JP7657026B2 - Cu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片 - Google Patents
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Description
[1]
質量%で、
C:0.25%以下、
Si:3.0%以下、
Mn:0.1~20.0%、
P:0.045%以下、
S:0.0050%以下、
Cr:10.0~25.0%、
Ni:4.0~22.0%、
Mo:5.0%以下、
Cu:0.1~4.0%、および、
N:0.4%以下、
を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、
下記式(1)で表されるCreqと、下記式(2)で表されるNieqとの比Creq/Nieqが1.48未満であり、
幅方向中央における鋳造方向断面での厚さ方向中心部において、下記式(3)で示されるα値が3.63超である領域が存在し、
前記領域の円相当径が1.5mm以下であり、
下記式(4)で示されるβ値が2.51以下である、Cu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片。
Creq=Cr+(1.37×Mo)+(1.5×Si) …式(1)
Nieq=Ni+(0.31×Mn)+Cu+(22×C)+(14.2×N) …式(2)
α=[Cu]+(0.136×[Mn])-(0.2×[Ni]) …式(3)
β=Cu+(0.0075×Mn2)+(0.0404×Mn)-(0.09×Ni) …式(4)
前記式(1)、前記式(2)および前記式(4)中、Cr、Mo、Si、Ni、Mn、Cu、C、および、Nは、各元素の含有量(質量%)を示し、前記式(3)中、[Cu]、[Mn]および[Ni]は、前記厚さ方向中心部における電子線マイクロアナライザにより測定された各元素の濃度(質量%)である。
[2]
等軸晶率が30%超である、[1]に記載のCu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片。
[3]
Feの一部に代えて、質量%で、
Al:0.15%以下、
Ca:0.005%以下、および、
B:0.005%以下、
からなる群から選択される1種または2種以上を含む、[1]または[2]に記載のCu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片。
[4]
Feの一部に代えて、質量%で、
Nb:0.3%以下、または、
Ti:0.3%以下、
の少なくともいずれかを含む、[1]~[3]のいずれか1項に記載のCu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片。
本実施形態に係るCu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片は、質量%で、C:0.25%以下、Si:3.0%以下、Mn:0.1~20.0%、P:0.045%以下、S:0.0050%以下、Cr:10.0~25.0%、Ni:4.0~22.0%、Mo:5.0%以下、Cu:0.1~4.0%、および、N:0.4%以下、を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、下記式(1)で表されるCreqと、下記式(2)で表されるNieqとの比Creq/Nieqが1.48未満であり、幅方向中央における鋳造方向断面での厚さ方向中心部において、下記式(3)で示されるα値が3.63超である領域の円相当径が1.5mm以下であり、下記式(4)で示されるβ値が2.51以下である。
Creq=Cr+(1.37×Mo)+(1.5×Si) …式(1)
Nieq=Ni+(0.31×Mn)+Cu+(22×C)+(14.2×N) …式(2)
α=[Cu]+(0.136×[Mn])-(0.2×[Ni]) …式(3)
β=Cu+(0.0075×Mn2)+(0.0404×Mn)-(0.09×Ni) …式(4)
上記式(1)、上記式(2)および上記式(4)中、Cr、Mo、Si、Ni、Mn、Cu、C、および、Nは、各元素の含有量(質量%)を示し、上記式(3)中、[Cu]、[Mn]および[Ni]は、厚さ方向中心部における電子線マイクロアナライザによりビーム径50μmで測定された各元素の濃度(質量%)である。
以下に、本実施形態に係るCu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片について詳細に説明する。
まず、本実施形態に係るCu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片の化学成分について説明する。なお、成分を示す%は質量%を意味する。
Cはオーステナイト相の安定化に有効な元素であるが、過剰なCの含有は、Cr炭化物が析出してCr欠乏層を形成し、耐食性が低下することが懸念される。このため、C含有量を0.25%以下とする。C含有量は、好ましくは0.10%以下である。一方、Cは、固溶強化による鋼材の強度上昇に寄与し、また、オーステナイト相の安定化により加工誘起マルテンサイト相の生成を抑制して耐水素脆化特性の向上に寄与する。そのため、C含有量は0.01%以上であることが好ましい。C含有量は、より好ましくは、0.015%以上である。
Siはオーステナイト相の安定化に有効な元素であるが、過剰なSiの含有は、シグマ相などの金属間化合物の生成を促進し、熱間加工性や靭性低下を招く。そのため、Si含有量を3.0%以下とする。Si含有量は、好ましくは1.0%以下であり、より好ましくは0.7%以下である。一方で、Siは、オーステナイト相の安定化により加工誘起マルテンサイト相の生成を抑制して耐水素脆化特性を向上させるため、Si含有量を0.2%以上とすることが好ましい。Si含有量は、より好ましくは0.4%以上である。
Mnはオーステナイト相の安定化に有効な元素であるが、過剰量のMnが含有されると、粗大なMnS介在物の生成が促進され、オーステナイト相の延性低下を招く。また、過剰量のMnは、窒化物の生成を促進する。よって、Mn含有量を20.0%以下とする。Mn含有量は、好ましくは10.0%以下である。一方、Mnによるオーステナイト安定化効果を安定して得るためには、Mn含有量を0.1%以上とする。Mn含有量は、好ましくは1.0%以上であり、より好ましくは2.0%超である。
Pは、本実施形態に係るCu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片に不純物として含まれる。Pは、熱間加工性を低下させる元素である。そのため、本実施形態に係るCu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片では、P含有量を0.045%以下とする。P含有量は、好ましくは0.035%以下である。P含有量は極力低減させることが好ましいため、特に下限は設けないが、極度の低減は製鋼コストの増大に繋がる。そのため、P含有量は0.008%以上であることが好ましい。
Sは、鋳片を熱間加工する際にオーステナイト粒界に偏析し、粒界の結合力を弱めることで熱間加工時の割れを誘発する元素である。熱間加工時の割れを防止するため、S含有量を0.0050%以下とする。S含有量は、好ましくは、0.0010%以下である。S含有量は、極力低減させることが好ましいため、特に下限は設けないが、極度の低減は製鋼コストの増大に繋がる。そのためS含有量は0.0001%以上であることが好ましい。
Crはステンレス鋼に要求される耐食性を得るために欠くことのできない元素である。また、Crは、オーステナイト系ステンレス鋼の高強度化に寄与する。上記効果を得るため、Cr含有量は10.0%以上とする。Cr含有量は、好ましくは13.0%以上である。一方、過剰量のCrが含有されると、Cr系炭窒化物の粒界析出が助長され、耐食性や靭性が低下する。このため、Cr含有量を25.0%以下とする。Cr含有量は、好ましくは、18.0%以下である。
Niは、Fe、Cr、Mo、またはSiとともに金属間化合物を生成し、高強度化に寄与するため、Ni含有量を4.0%以上とする。また、Niは、オーステナイト系ステンレス鋼の耐水素脆化特性を向上にも寄与する。耐水素脆化特性向上の点からも、Ni含有量を4.0%以上であることが好ましい。成分偏析を解消することにより、これらの効果は更に向上するため、Ni含有量は11.5%以上であることが好ましい。一方、過剰量のNiが含有すると、材料コストの上昇を招くため、Ni含有量を22.0%以下とする。Ni含有量は、好ましくは14.0%以下である。
Moは、オーステナイト系ステンレス鋼の強度の上昇と耐食性の向上に寄与する元素である。しかしながら、Moの含有は合金コストの増加を招く。したがって、Mo含有量は5.0%以下とする。Mo含有量は、好ましくは、0.5%以下である。一方、Moはスクラップ原料から不可避に混入する元素である。Mo含有量は、極力低減させることが好ましいため、特に下限は設けないが、Mo含有量の過度な低減は溶解原料の制約を招き、製造コストの増加に繋がる。したがって、上記効果と製造性を両立させるため、Mo含有量は0.05%以上であることが好ましい。
Cuは、オーステナイト相の安定化に有効な元素である。また、CuはCu析出強化による強度上昇にも寄与する。また、Cuは、鋳片の冷間加工性および耐水素脆化特性を向上させる。一方で、過剰量のCuが含有されると、オーステナイト相の強度が低下し、熱間加工性が低下する。そのため、Cu含有量を4.0%以下とする。Cu含有量は、好ましくは3.55%以下である。優れた冷間加工性および耐水素脆化特性を得るため、Cu含有量は、0.10%以上である。Cu含有量は、好ましくは、1.5%以上である。
Nは、オーステナイト相の安定化と耐食性の向上、固溶強化およびCr系窒化物の析出硬化に有効な元素であるが、過剰量のNが含有すると、Cr系窒化物の過剰な生成が促進され、オーステナイト相の耐食性、靭性や耐水素脆化特性を低下させる。このため、N含有量を0.4%以下とする。N含有量は、より好ましくは0.35%以下である。一方、上述した効果を得るため、N含有量は0.01%以上とすることが好ましい。N含有量は、より好ましくは0.04%以上である。
Al、Ca、およびBは、脱酸および鋳片の熱間加工性、耐食性の向上に有効な元素である。必要に応じて、これらから選択される1種または2種以上の元素が含有されることが好ましい。ただし、上記元素が過剰に含有されると、製造コストの著しい増加を招く。このため、Al含有量を0.15%以下、Ca含有量を0.005%以下、B:0.005%以下とすることが好ましい。ただし、脱酸効果を十分に得るため、Al:0.01%以上、Ca:0.001%以上、B:0.001%以上の1種または2種以上を含有することが好ましい。なお、Alは不純物として0.003%以下、BおよびCaは不純物として0.0005%以下含有されることがある。
TiおよびNbは鋼中に固溶するか、または炭窒化物として析出し、強度を増大させる。そのため、必要に応じて、NbおよびTiから選択される1種または2種が含有されてもよい。この場合、Nb含有量およびTi含有量は、それぞれ0.3%以下であることが好ましい。NbまたはTiによる上記効果を得る観点から、Nb含有量およびTi含有量のそれぞれは、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上、さらに好ましくは0.1%以上である。
本実施形態に係るCu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片では、上記の化学成分を含有しつつ、以下の式(1)および式(2)で算出されるCreqとNieqの比Creq/Nieqを1.48未満とすることが重要である。
Nieq=Ni+(0.31×Mn)+Cu+(22×C)+(14.2×N) …式(2)
ここで、式(1)および式(2)中、Cr、Mo、Si、Ni、Mn、Cu、C、および、Nは、鋳片における各元素の含有量(質量%)を示す。
本実施形態に係るCu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片は、幅方向中央における鋳造方向断面での厚さ方向中心部において、α値が3.63超である領域の円相当径が1.5mm以下である。
α=[Cu]+(0.136×[Mn])-(0.2×[Ni]) …式(3)
式(3)中、[Cu]、[Mn]および[Ni]は、厚さ方向中心部における電子線マイクロアナライザ(EPMA:Electron Probe Micro Analyzer)により測定された各元素の濃度(質量%)である。
そして、特定した領域の円相当径を求める。α値が3.63超の測定点を繋げたときに、α値が3.63以下の測定点が、α値が3.63超の測定点を繋げて得られる領域内に含まれる場合、上記α値が3.63以下の領域を除いて円相当径を算出する。
本実施形態に係るCu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片は、下記式(4)で算出されるβ値が2.51以下である。
式(4)中、Cu、Mn、および、Niは、鋳片における各元素の含有量(質量%)である。
本実施形態に係るCu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片の等軸晶率は、30%超であることが好ましい。等軸晶率は、鋳片を鋳造方向に垂直な面で切断した面(C断面)の幅方向の1/2の位置における鋳片の厚さに対する等軸晶部の厚さを等軸晶率とする。等軸晶の有無は、C断面のマクロ組織から判断する。マクロ組織は、JIS G 0553:2019に準拠して、ステンレス鋼に対して推奨される塩酸法によって現出する。塩酸法では、濃度が20質量%の塩酸を70℃に加熱してステンレス鋼を浸漬させて腐食させる。腐食時間(浸漬時間)は40分とする。
一方、等軸晶率の上限は、特段制限されず、80%以下であってもよく、70%以下であってもよい。
続いて、上述したCu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片の製造方法を説明する。以下に説明するCu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片の製造方法は、あくまでも一例であり、他の方法によって製造されてもよい。
さらに、上記化学成分の範囲内で、化学成分を制御した本実施形態に係るCu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片を用いることで、耐水素脆化特性に優れ、高圧水素環境下でも使用可能なオーステナイト系ステンレス鋼や、非磁性が求められる用途で使用可能な耐食性に優れ高強度の非磁性鋼を製造することが可能である。
・鋳型からの溶鋼の引抜き速度Vc:0.4~0.6m/min
・過熱度ΔT:20~40℃
・二次冷却比水量:3~5L/(kg-steel)
・電磁攪拌位置:鋳片における厚さ方向断面の固相率が0.5~0.75となる部分
・流れモード:長辺近傍の溶鋼が同一方向に流動する並進流
・電磁気力付与パターン:6秒付与、1秒除去
・二次冷却温度:800℃まで
Nieq=Ni+(0.31×Mn)+Cu+(22×C)+(14.2×N) …式(2)
ここで、式(1)および式(2)中、Cr、Mo、Si、Ni、Mn、Cu、C、および、Nは、各元素の含有量(質量%)を示す。
β=Cu+(0.0075×Mn2)+(0.0404×Mn)-(0.09×Ni) …式(4)
式(4)中、Cu、Mn、および、Niは、各元素の含有量(質量%)である。
結果を表3に示す。
Claims (4)
- 質量%で、
C:0.10%以下、
Si:3.0%以下、
Mn:0.1~20.0%、
P:0.045%以下、
S:0.0050%以下、
Cr:10.0~25.0%、
Ni:4.0~22.0%、
Mo:5.0%以下、
Cu:2.00~4.0%、および、
N:0.4%以下、
を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、
下記式(1)で表されるCreqと、下記式(2)で表されるNieqとの比Creq/Nieqが1.48未満であり、
幅方向中央における鋳造方向断面での厚さ方向中心部において、下記式(3)で示されるα値が3.63超である領域が存在し、
前記領域の円相当径が1.5mm以下であり、
下記式(4)で示されるβ値が2.51以下である、Cu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片。
Creq=Cr+(1.37×Mo)+(1.5×Si) …式(1)
Nieq=Ni+(0.31×Mn)+Cu+(22×C)+(14.2×N) …式(2)
α=[Cu]+(0.136×[Mn])-(0.2×[Ni]) …式(3)
β=Cu+(0.0075×Mn2)+(0.0404×Mn)-(0.09×Ni) …式(4)
前記式(1)、前記式(2)および前記式(4)中、Cr、Mo、Si、Ni、Mn、Cu、C、および、Nは、各元素の含有量(質量%)を示し、前記式(3)中、[Cu]、[Mn]および[Ni]は、前記厚さ方向中心部における電子線マイクロアナライザにより測定された各元素の濃度(質量%)である。 - 等軸晶率が30%超である、請求項1に記載のCu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片。
- Feの一部に代えて、質量%で、
Al:0.15%以下、
Ca:0.005%以下、および、
B:0.005%以下、
からなる群から選択される1種または2種以上を含む、請求項1または2に記載のCu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片。 - Feの一部に代えて、質量%で、
Nb:0.3%以下、または、
Ti:0.3%以下、
の少なくともいずれかを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のCu含有オーステナイト系ステンレス鋼鋳片。
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