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JP7657646B2 - 有機電界発光素子、表示装置、照明装置 - Google Patents
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有機電界発光素子、表示装置、照明装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機電界発光(以下、電界発光を「エレクトロルミネッセンス」や「EL」と記す場合がある。)素子、表示装置、照明装置に関する。
有機EL素子は、薄く、柔軟でフレキシブルである。また、有機EL素子を用いた表示装置は、現在主流となっている液晶表示装置およびプラズマ表示装置と比べて、高輝度、高精細な表示が可能である。また、有機EL素子を用いた表示装置は、液晶表示装置に比べて視野角が広い。このため、有機EL素子を用いた表示装置は、今後、テレビや携帯電話のディスプレイ等としての利用の拡大が期待されている。また、有機EL素子は、照明装置としての利用も期待されている。
有機EL素子は、陰極と発光層と陽極とが積層されたものである。有機EL素子では、陽極から注入されたホールと陰極から注入された電子との再結合時のエネルギーを利用して発光性有機化合物を励起させ、発光を得る有機電界発光素子では、陽極からのホール注入、陰極からの電子注入がともにスムーズに行われることが重要であるため、よりスムーズなホール注入、電子注入が行われるよう、正孔注入層、電子注入層の材料についても種々検討され、最近では塗布できる電子注入層の材料として、ポリエチレンイミンやポリエチレンイミンを修飾した化合物を用いた順構造の有機電界発光素子が報告されている(非特許文献1~3参照。)。
また、同様に窒素原子を有するフェナントロリン誘導体について、その金属イオンとの高い配位能力により金属原子からの電子放出を促進し、電極・有機層界面で電子注入障壁を大きく下げることが非特許文献4~6に報告されており、電極と有機層間にフェナントロリン誘導体を用いることが電子注入能を向上させることが報告されている。また、電子注入層の材料として電子輸送性化合物由来の基に直接又は他の基を介して窒素原子を含有するアミノ基などが結合した構造の化合物や酸解離定数pKaが1以上の有機材料を用いた有機EL素子が開示されている(特許文献1~3参照)。
ところで、陰極と陽極との間の層が全て有機化合物で形成された有機電界発光素子は、原理的に酸素や水によって劣化しやすく、これらの侵入を防ぐために厳密な封止が不可欠である。このことは、有機電界発光素子の製造工程を煩雑なものとすると共にフレキシブル素子への道の障害となっている。
これに対し、陰極と陽極との間の層の一部が無機酸化物を配し基板側に陰極を配置した逆構造で形成された有機無機ハイブリッド型の電界発光素子(HOILED素子)が提案されている(特許文献4参照。)。この素子では、正孔輸送層、電子輸送層を無機酸化物に変えることで、陰極として導電性酸化物電極であるFTOやITO、陽極として金を使用することが可能になった。このことは素子駆動の観点からは電極に対する制約がなくなったことを意味する。結果、アルカリ金属やアルカリ金属化合物等、仕事関数の小さな金属を用いる必要がなくなり、厳密な封止無しで発光させることが可能となっており、フレキシブル素子に向けて大きく貢献している。本HOILED素子は逆構造有機EL素子の候補として発展が期待されている。
特開2017-157743号公報 特開2019-176093号公報 特開2019-179863号公報 特開2009-70954号公報
タオ シオン(Tao Xiong)外3名「アプライド フィジクス レターズ(Applied Physics Letters)」93巻、2008年、pp123310-1 インファ ジョウ(Yinhua Zhou)外21名「サイエンス(Science)」336号、2012年、pp327 ジャンシャン チェン(Jianshan Chen)外6名「ジャーナル オブ マテリアルズ ケミストリー(Journal of Materials Chemistry)」2012年、22巻、pp5164 ヒロユキ ヨシダ「ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー(J. Phys. Chem. C20151194324459-24464)」、第119巻、2015年、p24459 ゼンヤン ビン(Zhengyang Bin)、外7名「ネイチャー コミュニケーションズ(Nature Communications)」、第10巻、2019年、p866 ヒロヒコ フカガワ(Hirohiko Fukagawa)、外8名、「ネイチャー コミュニケーションズ(Nature Communications)」、第11巻、2020年、p1 ハーバート B ミケルソン(Herbert B Michaelson)、「(J. Appl. Phys.)」、第48巻、1977年、p4729
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、より高特性かつより安価なフレキシブル有機電界発光素子を提供することを目的とする。特に、良好な発光が得られ、かつ大気安定性に優れた素子の提供という課題を解決する発明となっている。
本発明者等は、良好な発光が得られる有機電界発光素子の開発のため、素子の電子注入能を向上させる材料について種々検討した。そして電子注入層に用いる材料として、電子供与性の窒素原子を複素環内に有する多座配位可能な有機材料などの配位可能な部位を有する有機材料を用い、該有機材料を含む有機電子注入層をその配位先となるマグネシウムと、銀及び/又はアルミニウムとを所定の割合で含む所定の膜厚の陰極に隣接して形成すると、良好な発光が得られ、かつ大気安定性にも優れた有機電界発光素子となることを見出した。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、以下のとおりである。
[1] 少なくとも一対の電極とその間に有機層を有する有機電界発光素子であって、該有機電界発光素子は、マグネシウムと、銀及び/又はアルミニウムとを含み、マグネシウムの体積比率が2%以上、30%以下である、平均厚さが40nm以下の層を陰極とし、該陰極に隣接して金属原子に配位結合可能な有機材料を含む有機電子注入層を有することを特徴とする有機電界発光素子。
[2] 前記有機電界発光素子は、基板上に陰極が形成された素子であることを特徴とする[1]に記載の有機電界発光素子。
[3] [1]又は[2]に記載の有機電界発光素子を備えることを特徴とする表示装置。
[4] [1]又は[2]に記載の有機電界発光素子を備えることを特徴とする照明装置。
本発明の有機電界発光素子は、良好な発光が得られ、大気安定性に優れることから、フレキシブル有機電界発光素子として表示装置や照明、そして光源として用いることができる。
本発明有機電界発光素子の積層構造の一例を示した概略図である。 本発明有機電界発光素子の積層構造の一例を示した概略図である。 本発明有機電界発光素子の積層構造の一例を示した概略図である。 実施例1で作製した有機電界発光素子の積層構造を示した概略図である。 比較例3で作製した有機電界発光素子の積層構造を示した概略図である。 実施例1で作製した有機電界発光素子を封止なしに85℃、湿度85%の環境下で65時間保存した後の発光の様子を観察した結果である。 実施例2で作製した有機電界発光素子を封止なしに85℃、湿度85%の環境下で65時間保存した後の発光の様子を観察した結果である。 実施例3で作製した有機電界発光素子を封止なしに85℃、湿度85%の環境下で65時間保存した後の発光の様子を観察した結果である。 実施例4で作製した有機電界発光素子を封止なしに85℃、湿度85%の環境下で65時間保存した後の発光の様子を観察した結果である。 比較例1で作製した有機電界発光素子を封止なしに85℃、湿度85%の環境下で65時間保存した後の発光の様子を観察した結果である。 比較例3で作製した有機電界発光素子を封止なしに85℃、湿度85%の環境下で65時間保存した後の発光の様子を観察した結果である。
以下に本発明を有機電界発光素子の層に沿って詳述する。
「有機EL素子」
本発明は、一対の電極である陰極と陽極との間に発光層を含む有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)であって、マグネシウムと、銀及び/又はアルミニウムとを含む層を陰極とし、該陰極に隣接して金属原子に配位結合可能な有機材料を含む有機電子注入層を有することを特徴とする。このような構成にすると、マグネシウムと金属原子に配位結合可能な有機材料との配位結合によって優れた電子注入性が得られる。またマグネシウムを少量の比率で銀及び/又はアルミニウムとともに陰極中に含ませた平均厚さ40nm以下の層とすることで仕事関数の小さいマグネシウムを使用しながら大気安定性にも優れた素子とすることができる。更にこのような構成を有する素子は、既出の陰極上に金属酸化物層を設けた素子よりも長寿命である。そのメカニズムは、マグネシウムの方が酸化物層よりも配位結合が密に存在するために、注入障壁の強固かつ均一な低減、そして外部から侵入する酸素や水の軽減ができるためと考えられる。
上記有機EL素子は、陰極が基板上にある逆構造であることが好ましいが、基板上に陽極を配する順構造であってもよい。また、それぞれ基板側から光を取り出すボトムエミッションであってもよく、基板上部から光を取り出すトップエミッションであってもよい。
次に、本発明の有機EL素子について、例を挙げて詳細に説明する。
図1、2は、本発明の有機EL素子の一例を説明するための概略断面図である。ここでは逆構造の構成を示す。図1、2に示す本実施形態の有機EL素子1は、陰極3と陽極10との間に発光層7を有する。図1、2に示す有機EL素子1では、陰極3と発光層7との間に有機電子注入層5が陰極3に隣接して存在する。また、必要に応じて電子輸送層6や正孔阻止層11を有している。発光層7と陽極10の間には、正孔輸送層8と正孔注入層9を有する。また、陰極の安定性を高めるために金属酸化物層4を陰極3の下地として用いてもよい(図4、5)
本実施形態においては、逆構造の有機EL素子1を例に挙げて説明するが、本発明の有機EL素子は、基板と発光層との間に陽極が配置された順構造のものであってもよい。本発明の有機EL素子が順構造である場合も、逆構造の場合と同様に、陰極と発光層との間に、陰極に隣接して有機電子注入層を有する。本発明の有機EL素子の構成の他の例としては、図3に示した構成が挙げられる。
以下に説明する有機EL素子1を構成する各層の材料や厚さ及び封止は、後述する陽極の材料を除き、順構造の有機EL素子についても同様である。
「基板」
基板2の材料としては、樹脂材料、ガラス材料等が挙げられる。
基板2に用いられる樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等が挙げられる。基板2の材料として、樹脂材料を用いた場合、柔軟性に優れた有機EL素子1が得られるため好ましい。
基板2に用いられるガラス材料としては、石英ガラス、ソーダガラス等が挙げられる。
有機EL素子1がボトムエミッション型のものである場合には、基板2の材料として、透明基板を用いる。
有機EL素子1がトップエミッション型のものである場合には、基板2の材料として透明基板だけでなく、不透明基板を用いてもよい。不透明基板としては、例えば、アルミナのようなセラミックス材料からなる基板、ステンレス鋼のような金属板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成した基板、樹脂材料で構成された基板等が挙げられる。
基板2の平均厚さは、基板2の材料等に応じて決定でき、0.1~30mmであることが好ましく、0.1~10mmであることがより好ましい。
基板2の平均厚さは、デジタルマルチメーター、ノギスにより測定できる。
「陰極」
陰極3は、基板2上に直接接触して形成されている。
陰極3は、マグネシウムと、銀及び/又はアルミニウムとを含んで形成される層である。銀とアルミニウムはいずれか一方を含んでいてもよく、両方を含んでいてもよい。
陰極3は、マグネシウムと、銀及び/又はアルミニウムとを含む層におけるマグネシウムの体積比率が30%以下である。このような割合であることで、素子が優れた電子注入性とともに、大気安定性にもより優れたものとなる。マグネシウムの体積比率は、好ましくは、20%以下であり、より好ましくは、10%以下であり、更に好ましくは、5%以下である。またより優れた電子注入性を発揮する点から、マグネシウムの体積比率は、2%以上であるが、好ましくは、3%以上、より好ましくは、4%以上である。
陰極3の平均厚さは、40nm以下である。このような厚さであると、素子が大気安定性に優れたものとなる。陰極3の平均厚さは、好ましくは、35nm以下であり、より好ましくは、25nm以下である。また、電極の導電性および素子の製造バラツキの観点から、陰極3の平均厚さは3nm以上であることが好ましい。より好ましくは、5nm以上であり、更に好ましくは、10nm以上である。
陰極3の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
これらの材料は、本発明の有機EL素子が基板と発光層との間に陽極が配置された順構造のものである場合には陽極の材料として使用することができる。その場合の陽極の平均厚さは上記陰極3と同様であることが好ましい。
「有機電子注入層」
有機電子注入層5は、陰極3に含まれるマグネシウムと錯体形成を起こすことで電子注入を改善するものである。有機電子注入層5は、配位能を有する有機材料であればよい。中でも、窒素原子を有する置換基を有する化合物が好適である、さらに窒素原子を有する複素環の縮環構造を有する化合物はより好適である。例えば、本発明の有機電子注入層に含まれる有機材料としては、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 0007657646000001
(一般式(1)中、X、Xは、同一又は異なって、置換基を有していてもよい窒素原子、酸素原子、硫黄原子又は2価の連結基を表す。Lは直接結合またはp価の連結基を表す。nは、0又は1の数を表し、pは、1~4の数を表す。qは、0又は1の数を表し、pが1のとき、qは0である。R~Rは、同一又は異なって、1価の置換基を表す。m~mは、同一又は異なって、0~3の数を表す。R~Rは、X、Xと結合して環構造を形成していてもよい。Rが複数ある場合、複数のRが結合して環構造を形成していてもよい。R、Rについても同様である。)
上記一般式(1)におけるX、Xは、同一又は異なって、置換基を有していてもよい窒素原子、酸素原子、硫黄原子又は2価の連結基を表す。
2価の連結基としては、2価の炭化水素基及び炭化水素基の炭素原子の一部が窒素原子、酸素原子、硫黄原子のいずれかのヘテロ原子で置換された基が挙げられる。
炭化水素基としては、炭素数1~6のものが好ましく、炭素数1、2、または6のものがより好ましい。
炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状及びこれらを組み合わせたもののいずれのものであってもよい。
2価の炭化水素基は、飽和炭化水素基であるアルキレン基でもよく、アルケニレン基、アルキニレン基等の不飽和炭化水素基でもよい。
2価の炭化水素基として、具体的には下記式(2-1)~(2-4)で表されるものが好ましい。下記式における(2-1)~(2-4)におけるRは置換基を表す。(2-1)~(2-4)におけるRも含め、X、Xにおける置換基の具体例としては、後述するR~Rの1価の置換基と同様の基が挙げられる。
Figure 0007657646000002
上記一般式(1)におけるLは直接結合またはp価の連結基を表す。なお、Lが直接結合となるのは、pが2の場合のみである。
p価の連結基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、炭素原子の他、炭化水素基や炭化水素基の炭素原子の一部が窒素原子、酸素原子、硫黄原子のいずれかのヘテロ原子で置換された基から水素原子をp個除いてできる基が挙げられる。
p価の連結基が炭素原子を有するものである場合、炭素数1~30のものが好ましい。より好ましくは、炭素数1~20のものである。
炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状及びこれらを組み合わせたもののいずれのものであってもよい。
炭化水素基としては、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基のいずれのものであってもよい。
芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、トリフェニレン環、ピレン環、フルオレン環、インデン環等の芳香族化合物から水素原子を除いてできる基が挙げられる。
上記一般式(1)におけるR~Rは、同一又は異なって、1価の置換基を表す。
1価の置換基としては、フッ素原子;フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等の炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5~7の環状アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等の炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数1~10のアルキル基を有するアルキルアミノ基;ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基等の環状アミノ基;ジフェニルアミノ基、カルバゾリル基等のジアリールアミノ基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等のアシル基;スチリル基等の炭素数2~30のアルケニル基;フッ素原子等のハロゲン原子や炭素数1~20のアルキル基、アルコキシ基、アミノ基等で置換されていてもよい炭素数5~20のアリール基(アリール基の具体例は、上記芳香族炭化水素基と同様);フッ素原子等のハロゲン原子や炭素数1~20のアルキル基、アルコキシ基、アミノ基等で置換されていてもよい炭素数4~40の窒素原子、硫黄原子、酸素原子のいずれか1つ以上を含む複素環基(複素環基は、1つの環のみからなるものであってもよく、1つの芳香族複素環のみからなる化合物が1つの炭素原子同士で複数直接結合した化合物であってもよく、縮合複素環基であってもよい。複素環基の具体例には、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、インドール環、ジベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、カルバゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環、フェナントリジン環等の芳香族複素環基の具体例が含まれる。);エステル基、チオエーテル基等や、これらを組み合わせでできる基が挙げられる。なお、これらの基は、ハロゲン原子やヘテロ元素、アルキル基、芳香環等で置換されていてもよい。
上記一般式(1)で表される化合物には、フェナントロリン骨格を一つだけ有する下記一般式(3)で表される構造を有する化合物が含まれ、この化合物も本発明の有機電子注入層の材料として好適である。
Figure 0007657646000003
(一般式(3)中、R、Rは同一又は異なって、ジアルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。m、mは、同一又は異なって、1又は2の数を表す。Rが複数ある場合、複数のRが結合して環構造を形成していてもよい。Rについても同様である。)
上記一般(3)におけるR、Rは、同一又は異なって、ジアルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。
ジアルキルアミノ基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1~20のアルキル基を有するものが好ましい。より好ましくは、炭素数1~10のアルキル基を有するものである。また、ジアルキルアミノ基が有する2つのアルキル基は、炭素数が同じであってもよく、異なっていてもよい。また、2つのアルキル基が連結したアミノ基、例えばピペリジノ基やピロリジノ基、モルホリノ基のような環状アミノ基も好ましい。
アルコキシ基としては、上記一般式(1)におけるR~Rがアルコキシ基である場合と同様のものが挙げられる。
フェナントロリン骨格を一つだけ有する化合物に加え、下記式(4-1)~(4-4)に示すようなフェナントロリン骨格を複数個有する化合物もマイナス電荷の発生に有効であると考えられる。
Figure 0007657646000004
また、上記一般式(1)におけるpは、1~4の数を表すが、1~3の数であることが好ましい。一般式(1)のpが1である化合物の具体例としては、例えば、下記式(5-1)~(5-9)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007657646000005
上記一般式(1)におけるnは、0又は1の数を表すが、上記一般式(1)で表される化合物が、nが0の化合物であることは本発明の好適な実施形態の1つである。一般式(1)のnが0の化合物の具体例としては、例えば、上記式(5-1)~(5-6)で表される化合物が挙げられる。
また、上記一般式(1)に含まれ、上記に類似した構造の化合物である下記式(5-10)~(5-65)で表される化合物も好適である。
Figure 0007657646000006
Figure 0007657646000007
Figure 0007657646000008
Figure 0007657646000009
Figure 0007657646000010
更に有機電子注入層5の材料としては配位可能な窒素原子があればよく、下記式(5-66)~(5-68)で表される構造を骨格構造として有する各種化合物も用いることができる。それらの化合物には、下記式(5-66)~(5-68)で表される構造の化合物の他、下記式(5-66)~(5-68)で表される構造に置換基を有する化合物が含まれる。置換基としては、上述した一般式(1)におけるR~Rと同様のものが挙げられ、置換基の数は1つであってもよく、複数であってもよい。複数の場合、置換基同士が結合して環構造を形成していてもよい。
Figure 0007657646000011
更に下記一般式(6)で表される構造を有するヘキサヒドロピリミドピリミジン化合物も有機電子注入層5の材料として用いることができる。
Figure 0007657646000012
(一般式(6)中、Rは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アリールアルキレン基、2~4価の鎖状または環状炭化水素基、又は、これらの基を2つ以上組み合わせてできる基、これらの基の1つ若しくは2つ以上と窒素原子とを組み合わせてできる基を表す。nは、1~4の整数である。)
上記一般式(6)で表される構造を有するヘキサヒドロピリミドピリミジン化合物は、陰極3に含まれるマグネシウムに配位することができ、外部から侵入する酸素や水との界面での反応を妨げ、素子の大気安定性を高める効果があることが確認されている。さらに、陰極3に含まれるマグネシウムと相互作用することにより発生する双極子により結果として、陰極3からの電子注入性を向上させることができる。
上記一般式(6)におけるRは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アリールアルキレン基、2~4価の鎖状または環状炭化水素基、又は、これらの基を2つ以上組み合わせてできる基、これらの基の1つ若しくは2つ以上と窒素原子とを組み合わせてできる基を表す。
芳香族炭化水素基、芳香族複素環基としては、炭素数3~30のものが好ましく、炭素数4~24のものがより好ましく、炭素数5~20のものがさらに好ましい。
芳香族炭化水素基としては、ベンゼン等の1つの芳香環のみからなる化合物;ビフェニル、ジフェニルベンゼン等の複数の芳香環が1つの炭素原子同士で直接結合した化合物;ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン等の縮合環式芳香族炭化水素化合物のいずれかの芳香環から水素原子を1~4個除いてできる基が挙げられる。
芳香族複素環基としては、チオフェン、フラン、ピロール、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン等の1つの芳香族複素環のみからなる化合物;これらの1つの芳香族複素環のみからなる化合物が1つの炭素原子同士で複数直接結合した化合物(ビピリジン等);キノリン、キノキサリン、ベンゾチオフェン、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、インドール、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、アクリジン、フェナントロリン等の縮合環式複素芳香族炭化水素化合物のいずれかの芳香族複素環から水素原子を1~4個除いてできる基が挙げられる。
アリールアルキレン基としては、上記芳香族炭化水素基と炭素数1~3のアルキレン基とを組み合わせた基が挙げられる。
2~4価の鎖状または環状炭化水素基としては、炭素数1~12のものが好ましく、炭素数1~6のものがより好ましく、炭素数1~4のものがさらに好ましい。鎖状炭化水素基は直鎖状のものであってもよく、分岐鎖状のものであってもよい。
また、Rは上記芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アリールアルキレン基、2~4価の鎖状炭化水素基を2つ以上組み合わせてできる基でもよい。
更に、Rは上記芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アリールアルキレン基、2~4価の鎖状炭化水素基の1つ若しくは2つ以上と窒素原子とを組み合わせてできる基であってもよい。そのような基としては、例えば、トリメチルアミン等のトリアルキルアミンやトリフェニルアミンから水素原子を1~4個除いてできる基等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、又は、アリールアルキレン基は1価の置換基を1つ又は2つ以上有していてもよい。
1価の置換基としては、上述した一般式(1)におけるR~Rの1価の置換基の具体例と同様のものが挙げられる。
上記一般式(6)におけるnは、1~4の整数であるが、2又は3であることが好ましい。
上記一般式(6)で表される構造を有するヘキサヒドロピリミドピリミジン化合物の具体例としては、例えば、下記式(7-1)~(7-34)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007657646000013
Figure 0007657646000014
Figure 0007657646000015
Figure 0007657646000016
Figure 0007657646000017
上記一般式(6)で表される化合物は、下記式(8)に示すように、よう素、臭素、塩素、フッ素を有するハロゲン化合物とヘキサヒドロピリミドピリミジンとを原料とし、Ullmannカップリング反応、Buchwald-Hartwigアミノ化反応または求核置換反応等により合成することができる。
Figure 0007657646000018
この他にも、配位子と用いることができれば良いので、窒素原子だけではなく、酸素原子が配位元素となるアセチルアセトナト誘導体などがあげられる。
有機電子注入層5の平均厚さは、0.5~10nmであることが好ましく、1~5nmであることがより好ましく、1~5nmであることがより好ましい。
有機電子注入層5の平均厚さは、例えば、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
また、有機電子注入層は次の層である電子輸送層6と混合してもよい。
「電子輸送材料」
電子輸送層6としては、電子輸送層の材料として通常用いることができるいずれの材料を用いてもよく、必要に応じて用いることができる。
具体的には、電子輸送層6の材料として、フェニル-ディピレニルホスフィンオキサイド(POPy)のようなホスフィンオキサイド誘導体、トリス-1,3,5-(3’-(ピリジン-3’’-イル)フェニル)ベンゼン(TmPhPyB)のようなピリジン誘導体、(2-(3-(9-カルバゾリル)フェニル)キノリン(mCQ))のようなキノリン誘導体、2-フェニル-4,6-ビス(3,5-ジピリジルフェニル)ピリミジン(BPyPPM)のようなピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、バソフェナントロリン(BPhen)のようなフェナントロリン誘導体、2,4-ビス(4-ビフェニル)-6-(4’-(2-ピリジニル)-4-ビフェニル)-[1,3,5]トリアジン(MPT)のようなトリアジン誘導体、3-フェニル-4-(1’-ナフチル)-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール(TAZ)のようなトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル-1,3,4-オキサジアゾール)(PBD)のようなオキサジアゾール誘導体、2,2’,2’’-(1,3,5-ベンゼントリイル)-トリス(1-フェニル-1-H-ベンズイミダゾール)(TPBI)のようなイミダゾール誘導体、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物等の芳香環カルボン酸無水物、N,N‘-ジメチル-3,4,9,10-ペリレンテトラカルボンサンジイミドのような芳香環イミド化合物、イソインジゴ誘導体や2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン誘導体(ジケトピロロピロール)、トルキセノンのようなカルボニル基を有する化合物、ナフト[1,2-c:5,6-c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾールのような1,2,5-チアジアゾール誘導体、ビス[2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(Zn(BTZ))、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq)などに代表される各種金属錯体、2,5-ビス(6’-(2’,2’’-ビピリジル))-1,1-ジメチル-3,4-ジフェニルシロール(PyPySPyPy),等のシロール誘導体に代表される有機シラン誘導体、トリス(2,4,6-トリメチル-3-(ピリジン-3-イル)フェニル)ボラン(3TPYMB)や特願2012-228460、特願2015-503053、特願2015-053872、特願2015-081108および特願2015-081109に記載のホウ素含有化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記の材料に加えて、芳香環を有する種々の炭化水素化合物である芳香族炭化水素化合物、窒素-ホウ素結合を有する化合物、ピロール環、フラン環、チオフェン環等の芳香環を含むπ電子過剰系複素芳香族化合物、シロール環を含む化合物についても用いることができる。
これらの電子輸送層6の材料の中でも、特に、POPyのようなホスフィンオキサイド誘導体、Alqのような金属錯体、TmPhPyBのようなピリジン誘導体を用いることが好ましい。
本発明の有機EL素子の有機電子注入層5の材料と上記電子輸送材料を混合して用いた場合、電子輸送層6はなくてもよい。また、これらの一部を正孔阻止材料として用いて、正孔阻止層を形成してもよい。別途、正孔阻止層の材料としては、通常用いることができるいずれの材料を用いてもよく、必要に応じて用いることができる。
電子輸送層6の平均厚さは、特に限定されないが、10~150nmであることが好ましく、20~100nmであることが、より好ましい。
電子輸送層6の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
「発光層」
発光層7を形成する材料としては、発光層7の材料として通常用いることのできるいずれの材料を用いてもよく、これらを混合して用いてもよい。例えば、発光層7として、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(Zn(BTZ))と、トリス[1-フェニルイソキノリン]イリジウム(III)(Ir(piq))とを含むものとすることができる。
例えば、配位子に2,2’-ビピリジン-4,4’-ジカルボン酸を持つ、3配位のイリジウム錯体、ファクトリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy))、8-ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq)、トリス(4-メチル-8キノリノレート)アルミニウム(III)(Almq)、8-ヒドロキシキノリン亜鉛(Znq)、(1,10-フェナントロリン)-トリス-(4,4,4-トリフルオロ-1-(2-チエニル)-ブタン-1,3-ジオネート)ユーロピウム(III)(Eu(TTA)(phen))、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィンプラチナム(II)のような各種金属錯体;ジスチリルベンゼン(DSB)、ジアミノジスチリルベンゼン(DADSB)のようなベンゼン系化合物;ナフタレン、ナイルレッドのようなナフタレン系化合物;フェナントレンのようなフェナントレン系化合物;クリセン、6-ニトロクリセンのようなクリセン系化合物;ペリレン、N,N’-ビス(2,5-ジ-t-ブチルフェニル)-3,4,9,10-ペリレン-ジ-カルボキシイミド(BPPC)のようなペリレン系化合物;コロネンのようなコロネン系化合物;アントラセン、ビススチリルアントラセンのようなアントラセン系化合物;ピレンのようなピレン系化合物;4-(ジ-シアノメチレン)-2-メチル-6-(パラ-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピラン(DCM)のようなピラン系化合物;アクリジンのようなアクリジン系化合物;スチルベンのようなスチルベン系化合物;2,5-ジベンゾオキサゾールチオフェンのようなチオフェン系化合物;ベンゾオキサゾールのようなベンゾオキサゾール系化合物;ベンゾイミダゾールのようなベンゾイミダゾール系化合物;2,2’-(パラ-フェニレンジビニレン)-ビスベンゾチアゾールのようなベンゾチアゾール系化合物;ビスチリル(1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン)、テトラフェニルブタジエンのようなブタジエン系化合物;ナフタルイミドのようなナフタルイミド系化合物;クマリンのようなクマリン系化合物;ペリノンのようなペリノン系化合物;オキサジアゾールのようなオキサジアゾール系化合物;アルダジン系化合物;1,2,3,4,5-ペンタフェニル-1,3-シクロペンタジエン(PPCP)のようなシクロペンタジエン系化合物;キナクリドン、キナクリドンレッドのようなキナクリドン系化合物;ピロロピリジン、チアジアゾロピリジンのようなピリジン系化合物;2,2’,7,7’-テトラフェニル-9,9’-スピロビフルオレンのようなスピロ化合物;フタロシアニン(HPc)、銅フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物;更には特開2009-155325号公報、特開2011-184430号公報および特願2011-6458号に記載のホウ素化合物材料等が挙げられる。
また、発光層7を形成する材料は、低分子化合物であってもよいし、高分子化合物であってもよい。なお、本発明において低分子材料とは、高分子材料(重合体)ではない材料を意味し、分子量が低い有機化合物を必ずしも意味するものではない。
発光層7の平均厚さは、特に限定されないが、10~150nmであることが好ましく、20~100nmであることがより好ましい。
発光層7の平均厚さは、触針式段差計により測定してもよいし、水晶振動子膜厚計により発光層7の成膜時に測定してもよい。
「正孔輸送層」
正孔輸送層8に用いる正孔輸送性有機材料としては、各種p型の高分子材料(有機ポリマー)、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができる。
具体的には、正孔輸送層8の材料として、例えば、N,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(α-NPD)、N4,N4’-ビス(ジベンゾ[b,d]チオフェン-4-イル)-N4,N4’-ジフェニルビフェニルー4,4’-ジアミン(DBTPB)、ポリアリールアミン、フルオレン-アリールアミン共重合体、フルオレン-ビチオフェン共重合体、ポリ(N-ビニルカルバゾール)、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p-フェニレンビニレン)、ポリチエニレンビニレン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂またはその誘導体等が挙げられる。これらの正孔輸送層8の材料は、他の化合物との混合物として用いることもできる。一例として、正孔輸送層8の材料として用いられるポリチオフェンを含有する混合物として、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン/スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等が挙げられる。
正孔輸送層8の平均厚さは、特に限定されないが、10~150nmであることが好ましく、20~100nmであることがより好ましい。
正孔輸送層8の平均厚さは、例えば、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
「正孔注入層」
正孔注入層9は、無機材料からなるものであってもよいし、有機材料からなるものであってもよい。無機材料は、有機材料と比較して安定であるため、有機材料を用いた場合と比較して、酸素や水に対する高い耐性が得られやすい。
無機材料としては、特に制限されないが、例えば、酸化バナジウム(V)、酸化モリブテン(MoO)、酸化ルテニウム(RuO)等の金属酸化物を1種又は2種以上を用いることができる。
有機材料としては、ジピラジノ[2,3-f:2’,3’-h]キノキサリン-2,3,6,7,10,11-ヘキサカルボニトリル(HAT-CN)や2,3,5,6-テトラフルオロ-7,7,8,8-テトラシアノ-キノジメタン(F4-TCNQ)等の低分子材料や、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)等を用いることができる。
正孔注入層9の平均厚さは、特に限定されないが、1~1000nmであることが好ましく、5~50nmであることがより好ましい。
正孔注入層9の平均厚さは、水晶振動子膜厚計、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより成膜時に測定することができる。
「陽極」
陽極10に用いられる材料としては、ITO、IZO、Au、Pt、Cu、Ag、Alまたはこれらを含む合金等が挙げられる。この中でも、陽極10の材料として、ITO、IZO、Au、Alを用いることが好ましい。
陽極10の平均厚さは、特に限定されないが、10~1000nmであることが好ましく、30~200nmであることがより好ましい。また、陽極10の材料として不透過な材料を用いる場合でも、例えば、平均厚さを10~30nm程度にすることで、トップエミッション型の有機EL素子における透明な陽極として使用できる。
陽極10の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により陽極10の成膜時に測定できる。
「封止」
図1に示す有機EL素子1は、必要に応じて、封止されていてもよい。
例えば、図1に示す有機EL素子1は、有機EL素子1を収容する凹状の空間を有する封止容器(不図示)と、封止容器の縁部と基板2とを接着する接着剤とによって封止されていてもよい。また、封止容器に有機EL素子1を収容し、紫外線(UV)硬化樹脂などからなるシール材を充填することにより封止してもよい。また、例えば、図1に示す有機EL素子1は、陽極10上に配置された板部材(不図示)と、板部材の陽極10と対向する側の縁部に沿って配置された枠部材(不図示)とからなる封止部材と、板部材と枠部材との間および枠部材と基板2との間とを接着する接着剤とを用いて封止されていてもよい。
封止容器または封止部材を用いて有機EL素子1を封止する場合、封止容器内または封止部材の内側に、水分を吸収する乾燥材を配置してもよい。また、封止容器または封止部材として、水分を吸収する材料を用いてもよい。また、封止された封止容器内または封止部材の内側には、空間が形成されていてもよい。
図1に示す有機EL素子1を封止する場合に用いる封止容器または封止部材の材料としては、樹脂材料、ガラス材料等を用いることができる。封止容器または封止部材に用いられる樹脂材料およびガラス材料としては、基板2に用いる材料と同様のものが挙げられる。
本実施形態の有機EL素子1において、有機電子注入層5として、上記一般式(1)で表される配位能を有した有機材料を用い形成した場合には、例えば、大気中で不安定な材料であるアルカリ金属のみで電子注入層を形成した素子と比較して、優れた耐久性が得られる。このため、封止容器または封止部材の水蒸気透過率が10-4~10-3オーダー(g/m/day)程度であれば、有機EL素子1の劣化を十分に抑制できる。したがって、封止容器または封止部材の材料として、水蒸気透過率が10-3オーダー(g/m/day)程度以下の樹脂材料を用いることが可能であり、柔軟性に優れた有機EL素子1を実現できる。
「有機EL素子の製造方法」
次に、本発明の有機EL素子の製造方法の一例として、図1に示す逆構造の有機EL素子1の製造方法を説明するが、本発明の有機EL素子は従来型の順構造でも良い。その場合、例えば、陽極、正孔注入層と構成が逆転するように積層するだけでよく、特に製膜方法に制限されることはない。
図1に示す有機EL素子1を製造するには、まず、基板2上に陰極3を形成する。
陰極3は、スパッタ法、真空蒸着法、ゾルゲル法、スプレー熱分解(SPD)法、原子層堆積(ALD)法、気相成膜法、液相成膜法等により形成することができる。陰極3の形成には、金属箔を接合する方法を用いてもよい。
次に、陰極3上に有機電子注入層5を形成する。
有機電子注入層5は、例えば、真空蒸着法等の方法を用いて形成する。
次に、有機電子注入層5上に、電子輸送層6、発光層7と、正孔輸送層8とをこの順で形成する。
電子輸送層6、発光層7、正孔輸送層8の形成方法は、特に限定されず、電子輸送層6、発光層7、正孔輸送層8それぞれに用いられる材料の特性に合わせて、従来公知の種々の形成方法を適宜用いることができる。
次に、正孔輸送層8上に正孔注入層9と、陽極10とをこの順に形成する。これらの層についても、それぞれに用いられる材料の特性に合わせて、従来公知の種々の形成方法を適宜用いることができる。
以上の工程により、図1に示す有機EL素子1が得られる。
「封止方法」
図1に示す有機EL素子1は、有機EL素子の封止に用いられる通常の方法を使用して封止できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「モル%」を意味するものとする。
(合成例1)
下記式(9)で表される化合物を、以下に示す方法により合成した。
Figure 0007657646000019
100mLなすフラスコ中、4,7-ジクロロ-1,10-フェナントロリン(3.00g)とピロリジン(19.5mL)の混合物をオイルバス100℃にて1時間加熱還流した。室温に戻した混合物を減圧濃縮し、水を加えてから超音波処理することで析出した固体を濾取した。得られた固体を減圧乾燥後、メタノール(100mL)に溶解させた。混合物に活性炭を加えて室温にて1時間撹拌後、不溶物を濾別した。濾液を減圧濃縮し、得られた固体をメタノール(9mL)にて再結晶した。得られた固体を少量のメタノールにて洗浄後、減圧乾燥することで式(9)で表される化合物(1.69g,44%)を白色固体として得た。
(実施例1)
[工程1]尾池工業製バリアフィルム(PT7/25GT3:厚さ25μm、WVTR:4×10-3g/m/day)上にレジスト材料を塗布製膜し、スパッタ装置にて酸化亜鉛を24nm製膜を行い、金属酸化物層4を形成した。
[工程2]次に陰極3として銀とマグネシウムを70:30の体積比率で含む合計10nmの膜厚の層を形成するため、[工程1]の処理を行った基板を真空装置に導入し、5×10-5Pa以下まで減圧し、真空蒸着法により製膜した。
[工程3]次に、有機電子注入層5として有機電子注入層用材料である上記式(9)の材料を3nm、電子輸送層6として電子輸送材料であるケミプロ化成製KHLHEI-02を15nm、正孔阻止層11としてケミプロ化成製KHLHS-04を15nm、発光層7としてケミプロ化成製KHLHS-03とKHLHS-04とKHLDG-01を共蒸着により35nm、正孔輸送層8としてケミプロ化成製KHLHS-03を25nmの膜厚となるように真空蒸着法により積層した。
[工程4]次に、正孔輸送層8の上に、正孔注入層9を形成した。ここでは、酸化モリブデンを10nmの膜厚となるように気相成膜法である真空蒸着法により形成した。
[工程5]次に、最終工程として正孔注入層9上に陽極10を形成した。ここでは、アルミニウムを200nmの膜厚となるように真空蒸着法により製膜した。さらに、その上に尾池工業製バリアフィルム(厚さ25μm、WVTR:4×10-3g/m/day)で封止を行った。
以上の工程[工程1]~[工程5]により、図4の構成を持つフィルム有機電界発光素子を作製した。厚さは98μm程度であった。
[工程6]作製した有機電界発光素子の大気安定性を85℃、湿度85%の環境に保存することで評価した。結果を図6に示した。65時間後にもダークスポットは観測されなかった。
(実施例2)
実施例1の[工程2]を以下の[工程2-2]に変えた以外は実施例1と同様に行い、有機電界発光素子を作製した。[工程6]として、実施例1と同じ方法により有機電界発光素子の大気安定性を評価した結果を図7に示した。65時間後にもダークスポットは観測されなかった。
[工程2-2]次に陰極3として銀とマグネシウムを95:5の体積比率で含む合計10nmの膜厚の層を形成するため、[工程1]の処理を行った基板を真空装置に導入し、5×10-5Pa以下まで減圧し、真空蒸着法により製膜した。
(実施例3)
実施例1の[工程2]を以下の[工程2-3]に変えた以外は実施例1と同様に行い、有機電界発光素子を作製した。[工程6]として、実施例1と同じ方法により有機電界発光素子の大気安定性を評価した結果を図8に示した。65時間後にもダークスポットは観測されなかった。
[工程2-3]次に陰極3として銀とマグネシウムを97:3の体積比率で含む合計10nmの膜厚の層を形成するため、[工程1]の処理を行った基板を真空装置に導入し、5×10-5Pa以下まで減圧し、真空蒸着法により製膜した。
(実施例4)
実施例1の[工程2]を以下の[工程2-4]に変えた以外は実施例1と同様に行い、有機電界発光素子を作製した。[工程6]として、実施例1と同じ方法により有機電界発光素子の大気安定性を評価した結果を図9に示した。65時間後にもダークスポットは観測されなかった。
[工程2-4]次に陰極3として銀とマグネシウムを95:5の体積比率で含む合計25nmの膜厚の層を形成するため、[工程1]の処理を行った基板を真空装置に導入し、5×10-5Pa以下まで減圧し、真空蒸着法により製膜した。
(実施例5)
実施例1の[工程2]を以下の[工程2-5]に変えた以外は実施例1と同様に行い、有機電界発光素子を作製した。[工程6]として、実施例1と同じ方法により有機電界発光素子の大気安定性を評価した。65時間後にもダークスポットは観測されなかった。
[工程2-5]次に陰極3として銀とマグネシウムを95:5の体積比率で含む合計35nmの膜厚の層を形成するため、[工程1]の処理を行った基板を真空装置に導入し、5×10-5Pa以下まで減圧し、真空蒸着法により製膜した。
(比較例1)
実施例1の[工程2]を以下の[工程2-6]に変えた以外は実施例1と同様に行い、有機電界発光素子を作製した。[工程6]として、実施例1と同じ方法により有機電界発光素子の大気安定性を評価した結果を図10に示した。65時間後にダークスポットが観測された。
[工程2-6]次に陰極3として銀とマグネシウムを50:50の体積比率で含む合計10nmの膜厚の層を形成するため、[工程1]の処理を行った基板を真空装置に導入し、5×10-5Pa以下まで減圧し、真空蒸着法により製膜した。
(比較例2)
実施例1の[工程2]を以下の[工程2-7]に変えた以外は実施例1と同様に行い、有機電界発光素子を作製した[工程6]として、実施例1と同じ方法により有機電界発光素子の大気安定性を評価した。65時間後、発光が確認できなかった。
[工程2-7]次に陰極3として銀とマグネシウムを99:1の体積比率で含む合計10nmの膜厚の層を形成するため、[工程1]の処理を行った基板を真空装置に導入し、5×10-5Pa以下まで減圧し、真空蒸着法により製膜した。
(比較例3)
実施例1の[工程2]を以下の[工程2-8]に変えた以外は実施例1と同様に行い、図5の構成を持つフィルム有機電界発光素子を作製した。[工程6]として、実施例1と同じ方法により有機電界発光素子の大気安定性を評価した結果を図11に示した。65時間後に多数のダークスポットが観測された。
[工程2-8]次に陰極3として銀を9nm、金属電子注入層12としてマグネシウム1nmを形成するため、[工程1]の処理を行った基板を真空装置に導入し、5×10-5Pa以下まで減圧し、真空蒸着法により製膜した。これにより、陰極内のマグネシウムを金属電子注入層12として分離し、積層した素子が完成した。
(比較例4)
実施例1の[工程2]を以下の[工程2-9]に変えた以外は実施例1と同様に行い、有機電界発光素子を作製した。[工程6]として、実施例1と同じ方法により有機電界発光素子の大気安定性を評価した。65時間後、発光が確認できなかった。
[工程2-9]次に陰極3として銀とマグネシウムを95:5の体積比率で含む合計45nmの膜厚の層を形成するため、[工程1]の処理を行った基板を真空装置に導入し、5×10-5Pa以下まで減圧し、真空蒸着法により製膜した。
実施例1~5、さらには比較例1~4の素子について、初期的な発光特性は以下の表1に示す通りである。
Figure 0007657646000020
また、85℃、湿度85%の条件での大気安定性試験の結果から、マグネシウムの比率については、30%以下であれば問題なく、50%まで増やすと透過性の観点、大気安定性の観点から問題があることがわかった。下限に関しては、初期においては1%でも問題なく特性が発現したものの、高い大気安定性を求める場合はより高い比率が必要であることがわかった。実施例3に示したとおり、比率3%では高い大気安定性が得られることが確認されている。膜厚については、35nmまでは初期特性および大気安定性共に問題はなかったが、45nmになると大気安定性においてダークスポットの発生が見られた。下限は10nmまでは実施例の結果に示した通り問題なかった。膜厚については、7nmまでは厚みのばらつきがない膜形成が可能であり、問題がないことを確認している。
1:有機EL素子、2:基板、3:陰極、4:金属酸化物層、5:有機電子注入層、6:電子輸送層、7:発光層、8:正孔輸送層、9:正孔注入層、10:陽極、11:正孔阻止層、12:金属電子注入層

Claims (4)

  1. 少なくとも一対の電極とその間に有機層を有する有機電界発光素子であって、
    該有機電界発光素子は、マグネシウムと、銀及び/又はアルミニウムとを含み、マグネシウムの体積比率が2%以上、30%以下である、平均厚さが40nm以下の層を陰極とし、該陰極に隣接して金属原子に配位結合可能な有機材料を含む有機電子注入層(該有機電子注入層に含まれる有機材料が配位可能な金属原子を含むものを除く)を有することを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 前記有機電界発光素子は、基板上に陰極が形成された素子であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 請求項1又は2に記載の有機電界発光素子を備えることを特徴とする表示装置。
  4. 請求項1又は2に記載の有機電界発光素子を備えることを特徴とする照明装置。
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