JP7657646B2 - 有機電界発光素子、表示装置、照明装置 - Google Patents
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Description
また、同様に窒素原子を有するフェナントロリン誘導体について、その金属イオンとの高い配位能力により金属原子からの電子放出を促進し、電極・有機層界面で電子注入障壁を大きく下げることが非特許文献4~6に報告されており、電極と有機層間にフェナントロリン誘導体を用いることが電子注入能を向上させることが報告されている。また、電子注入層の材料として電子輸送性化合物由来の基に直接又は他の基を介して窒素原子を含有するアミノ基などが結合した構造の化合物や酸解離定数pKaが1以上の有機材料を用いた有機EL素子が開示されている(特許文献1~3参照)。
ところで、陰極と陽極との間の層が全て有機化合物で形成された有機電界発光素子は、原理的に酸素や水によって劣化しやすく、これらの侵入を防ぐために厳密な封止が不可欠である。このことは、有機電界発光素子の製造工程を煩雑なものとすると共にフレキシブル素子への道の障害となっている。
これに対し、陰極と陽極との間の層の一部が無機酸化物を配し基板側に陰極を配置した逆構造で形成された有機無機ハイブリッド型の電界発光素子(HOILED素子)が提案されている(特許文献4参照。)。この素子では、正孔輸送層、電子輸送層を無機酸化物に変えることで、陰極として導電性酸化物電極であるFTOやITO、陽極として金を使用することが可能になった。このことは素子駆動の観点からは電極に対する制約がなくなったことを意味する。結果、アルカリ金属やアルカリ金属化合物等、仕事関数の小さな金属を用いる必要がなくなり、厳密な封止無しで発光させることが可能となっており、フレキシブル素子に向けて大きく貢献している。本HOILED素子は逆構造有機EL素子の候補として発展が期待されている。
[1] 少なくとも一対の電極とその間に有機層を有する有機電界発光素子であって、該有機電界発光素子は、マグネシウムと、銀及び/又はアルミニウムとを含み、マグネシウムの体積比率が2%以上、30%以下である、平均厚さが40nm以下の層を陰極とし、該陰極に隣接して金属原子に配位結合可能な有機材料を含む有機電子注入層を有することを特徴とする有機電界発光素子。
[2] 前記有機電界発光素子は、基板上に陰極が形成された素子であることを特徴とする[1]に記載の有機電界発光素子。
[3] [1]又は[2]に記載の有機電界発光素子を備えることを特徴とする表示装置。
[4] [1]又は[2]に記載の有機電界発光素子を備えることを特徴とする照明装置。
「有機EL素子」
本発明は、一対の電極である陰極と陽極との間に発光層を含む有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)であって、マグネシウムと、銀及び/又はアルミニウムとを含む層を陰極とし、該陰極に隣接して金属原子に配位結合可能な有機材料を含む有機電子注入層を有することを特徴とする。このような構成にすると、マグネシウムと金属原子に配位結合可能な有機材料との配位結合によって優れた電子注入性が得られる。またマグネシウムを少量の比率で銀及び/又はアルミニウムとともに陰極中に含ませた平均厚さ40nm以下の層とすることで仕事関数の小さいマグネシウムを使用しながら大気安定性にも優れた素子とすることができる。更にこのような構成を有する素子は、既出の陰極上に金属酸化物層を設けた素子よりも長寿命である。そのメカニズムは、マグネシウムの方が酸化物層よりも配位結合が密に存在するために、注入障壁の強固かつ均一な低減、そして外部から侵入する酸素や水の軽減ができるためと考えられる。
上記有機EL素子は、陰極が基板上にある逆構造であることが好ましいが、基板上に陽極を配する順構造であってもよい。また、それぞれ基板側から光を取り出すボトムエミッションであってもよく、基板上部から光を取り出すトップエミッションであってもよい。
図1、2は、本発明の有機EL素子の一例を説明するための概略断面図である。ここでは逆構造の構成を示す。図1、2に示す本実施形態の有機EL素子1は、陰極3と陽極10との間に発光層7を有する。図1、2に示す有機EL素子1では、陰極3と発光層7との間に有機電子注入層5が陰極3に隣接して存在する。また、必要に応じて電子輸送層6や正孔阻止層11を有している。発光層7と陽極10の間には、正孔輸送層8と正孔注入層9を有する。また、陰極の安定性を高めるために金属酸化物層4を陰極3の下地として用いてもよい(図4、5)
以下に説明する有機EL素子1を構成する各層の材料や厚さ及び封止は、後述する陽極の材料を除き、順構造の有機EL素子についても同様である。
基板2の材料としては、樹脂材料、ガラス材料等が挙げられる。
基板2に用いられる樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等が挙げられる。基板2の材料として、樹脂材料を用いた場合、柔軟性に優れた有機EL素子1が得られるため好ましい。
基板2に用いられるガラス材料としては、石英ガラス、ソーダガラス等が挙げられる。
有機EL素子1がトップエミッション型のものである場合には、基板2の材料として透明基板だけでなく、不透明基板を用いてもよい。不透明基板としては、例えば、アルミナのようなセラミックス材料からなる基板、ステンレス鋼のような金属板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成した基板、樹脂材料で構成された基板等が挙げられる。
基板2の平均厚さは、デジタルマルチメーター、ノギスにより測定できる。
陰極3は、基板2上に直接接触して形成されている。
陰極3は、マグネシウムと、銀及び/又はアルミニウムとを含んで形成される層である。銀とアルミニウムはいずれか一方を含んでいてもよく、両方を含んでいてもよい。
陰極3は、マグネシウムと、銀及び/又はアルミニウムとを含む層におけるマグネシウムの体積比率が30%以下である。このような割合であることで、素子が優れた電子注入性とともに、大気安定性にもより優れたものとなる。マグネシウムの体積比率は、好ましくは、20%以下であり、より好ましくは、10%以下であり、更に好ましくは、5%以下である。またより優れた電子注入性を発揮する点から、マグネシウムの体積比率は、2%以上であるが、好ましくは、3%以上、より好ましくは、4%以上である。
陰極3の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
これらの材料は、本発明の有機EL素子が基板と発光層との間に陽極が配置された順構造のものである場合には陽極の材料として使用することができる。その場合の陽極の平均厚さは上記陰極3と同様であることが好ましい。
有機電子注入層5は、陰極3に含まれるマグネシウムと錯体形成を起こすことで電子注入を改善するものである。有機電子注入層5は、配位能を有する有機材料であればよい。中でも、窒素原子を有する置換基を有する化合物が好適である、さらに窒素原子を有する複素環の縮環構造を有する化合物はより好適である。例えば、本発明の有機電子注入層に含まれる有機材料としては、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
2価の連結基としては、2価の炭化水素基及び炭化水素基の炭素原子の一部が窒素原子、酸素原子、硫黄原子のいずれかのヘテロ原子で置換された基が挙げられる。
炭化水素基としては、炭素数1~6のものが好ましく、炭素数1、2、または6のものがより好ましい。
炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状及びこれらを組み合わせたもののいずれのものであってもよい。
2価の炭化水素基は、飽和炭化水素基であるアルキレン基でもよく、アルケニレン基、アルキニレン基等の不飽和炭化水素基でもよい。
2価の炭化水素基として、具体的には下記式(2-1)~(2-4)で表されるものが好ましい。下記式における(2-1)~(2-4)におけるRは置換基を表す。(2-1)~(2-4)におけるRも含め、X1、X2における置換基の具体例としては、後述するR1~R3の1価の置換基と同様の基が挙げられる。
p価の連結基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、炭素原子の他、炭化水素基や炭化水素基の炭素原子の一部が窒素原子、酸素原子、硫黄原子のいずれかのヘテロ原子で置換された基から水素原子をp個除いてできる基が挙げられる。
p価の連結基が炭素原子を有するものである場合、炭素数1~30のものが好ましい。より好ましくは、炭素数1~20のものである。
炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状及びこれらを組み合わせたもののいずれのものであってもよい。
炭化水素基としては、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基のいずれのものであってもよい。
芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、トリフェニレン環、ピレン環、フルオレン環、インデン環等の芳香族化合物から水素原子を除いてできる基が挙げられる。
1価の置換基としては、フッ素原子;フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等の炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5~7の環状アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等の炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数1~10のアルキル基を有するアルキルアミノ基;ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基等の環状アミノ基;ジフェニルアミノ基、カルバゾリル基等のジアリールアミノ基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等のアシル基;スチリル基等の炭素数2~30のアルケニル基;フッ素原子等のハロゲン原子や炭素数1~20のアルキル基、アルコキシ基、アミノ基等で置換されていてもよい炭素数5~20のアリール基(アリール基の具体例は、上記芳香族炭化水素基と同様);フッ素原子等のハロゲン原子や炭素数1~20のアルキル基、アルコキシ基、アミノ基等で置換されていてもよい炭素数4~40の窒素原子、硫黄原子、酸素原子のいずれか1つ以上を含む複素環基(複素環基は、1つの環のみからなるものであってもよく、1つの芳香族複素環のみからなる化合物が1つの炭素原子同士で複数直接結合した化合物であってもよく、縮合複素環基であってもよい。複素環基の具体例には、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、インドール環、ジベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、カルバゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環、フェナントリジン環等の芳香族複素環基の具体例が含まれる。);エステル基、チオエーテル基等や、これらを組み合わせでできる基が挙げられる。なお、これらの基は、ハロゲン原子やヘテロ元素、アルキル基、芳香環等で置換されていてもよい。
ジアルキルアミノ基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1~20のアルキル基を有するものが好ましい。より好ましくは、炭素数1~10のアルキル基を有するものである。また、ジアルキルアミノ基が有する2つのアルキル基は、炭素数が同じであってもよく、異なっていてもよい。また、2つのアルキル基が連結したアミノ基、例えばピペリジノ基やピロリジノ基、モルホリノ基のような環状アミノ基も好ましい。
アルコキシ基としては、上記一般式(1)におけるR1~R3がアルコキシ基である場合と同様のものが挙げられる。
芳香族炭化水素基、芳香族複素環基としては、炭素数3~30のものが好ましく、炭素数4~24のものがより好ましく、炭素数5~20のものがさらに好ましい。
芳香族炭化水素基としては、ベンゼン等の1つの芳香環のみからなる化合物;ビフェニル、ジフェニルベンゼン等の複数の芳香環が1つの炭素原子同士で直接結合した化合物;ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン等の縮合環式芳香族炭化水素化合物のいずれかの芳香環から水素原子を1~4個除いてできる基が挙げられる。
芳香族複素環基としては、チオフェン、フラン、ピロール、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン等の1つの芳香族複素環のみからなる化合物;これらの1つの芳香族複素環のみからなる化合物が1つの炭素原子同士で複数直接結合した化合物(ビピリジン等);キノリン、キノキサリン、ベンゾチオフェン、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、インドール、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、アクリジン、フェナントロリン等の縮合環式複素芳香族炭化水素化合物のいずれかの芳香族複素環から水素原子を1~4個除いてできる基が挙げられる。
アリールアルキレン基としては、上記芳香族炭化水素基と炭素数1~3のアルキレン基とを組み合わせた基が挙げられる。
2~4価の鎖状または環状炭化水素基としては、炭素数1~12のものが好ましく、炭素数1~6のものがより好ましく、炭素数1~4のものがさらに好ましい。鎖状炭化水素基は直鎖状のものであってもよく、分岐鎖状のものであってもよい。
また、R6は上記芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アリールアルキレン基、2~4価の鎖状炭化水素基を2つ以上組み合わせてできる基でもよい。
更に、R6は上記芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アリールアルキレン基、2~4価の鎖状炭化水素基の1つ若しくは2つ以上と窒素原子とを組み合わせてできる基であってもよい。そのような基としては、例えば、トリメチルアミン等のトリアルキルアミンやトリフェニルアミンから水素原子を1~4個除いてできる基等が挙げられる。
1価の置換基としては、上述した一般式(1)におけるR1~R3の1価の置換基の具体例と同様のものが挙げられる。
上記一般式(6)で表される構造を有するヘキサヒドロピリミドピリミジン化合物の具体例としては、例えば、下記式(7-1)~(7-34)で表される化合物が挙げられる。
有機電子注入層5の平均厚さは、0.5~10nmであることが好ましく、1~5nmであることがより好ましく、1~5nmであることがより好ましい。
有機電子注入層5の平均厚さは、例えば、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
また、有機電子注入層は次の層である電子輸送層6と混合してもよい。
電子輸送層6としては、電子輸送層の材料として通常用いることができるいずれの材料を用いてもよく、必要に応じて用いることができる。
具体的には、電子輸送層6の材料として、フェニル-ディピレニルホスフィンオキサイド(POPy2)のようなホスフィンオキサイド誘導体、トリス-1,3,5-(3’-(ピリジン-3’’-イル)フェニル)ベンゼン(TmPhPyB)のようなピリジン誘導体、(2-(3-(9-カルバゾリル)フェニル)キノリン(mCQ))のようなキノリン誘導体、2-フェニル-4,6-ビス(3,5-ジピリジルフェニル)ピリミジン(BPyPPM)のようなピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、バソフェナントロリン(BPhen)のようなフェナントロリン誘導体、2,4-ビス(4-ビフェニル)-6-(4’-(2-ピリジニル)-4-ビフェニル)-[1,3,5]トリアジン(MPT)のようなトリアジン誘導体、3-フェニル-4-(1’-ナフチル)-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール(TAZ)のようなトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル-1,3,4-オキサジアゾール)(PBD)のようなオキサジアゾール誘導体、2,2’,2’’-(1,3,5-ベンゼントリイル)-トリス(1-フェニル-1-H-ベンズイミダゾール)(TPBI)のようなイミダゾール誘導体、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物等の芳香環カルボン酸無水物、N,N‘-ジメチル-3,4,9,10-ペリレンテトラカルボンサンジイミドのような芳香環イミド化合物、イソインジゴ誘導体や2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン誘導体(ジケトピロロピロール)、トルキセノンのようなカルボニル基を有する化合物、ナフト[1,2-c:5,6-c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾールのような1,2,5-チアジアゾール誘導体、ビス[2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(Zn(BTZ)2)、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)などに代表される各種金属錯体、2,5-ビス(6’-(2’,2’’-ビピリジル))-1,1-ジメチル-3,4-ジフェニルシロール(PyPySPyPy),等のシロール誘導体に代表される有機シラン誘導体、トリス(2,4,6-トリメチル-3-(ピリジン-3-イル)フェニル)ボラン(3TPYMB)や特願2012-228460、特願2015-503053、特願2015-053872、特願2015-081108および特願2015-081109に記載のホウ素含有化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記の材料に加えて、芳香環を有する種々の炭化水素化合物である芳香族炭化水素化合物、窒素-ホウ素結合を有する化合物、ピロール環、フラン環、チオフェン環等の芳香環を含むπ電子過剰系複素芳香族化合物、シロール環を含む化合物についても用いることができる。
これらの電子輸送層6の材料の中でも、特に、POPy2のようなホスフィンオキサイド誘導体、Alq3のような金属錯体、TmPhPyBのようなピリジン誘導体を用いることが好ましい。
電子輸送層6の平均厚さは、特に限定されないが、10~150nmであることが好ましく、20~100nmであることが、より好ましい。
電子輸送層6の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
発光層7を形成する材料としては、発光層7の材料として通常用いることのできるいずれの材料を用いてもよく、これらを混合して用いてもよい。例えば、発光層7として、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(Zn(BTZ)2)と、トリス[1-フェニルイソキノリン]イリジウム(III)(Ir(piq)3)とを含むものとすることができる。
例えば、配位子に2,2’-ビピリジン-4,4’-ジカルボン酸を持つ、3配位のイリジウム錯体、ファクトリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、8-ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)、トリス(4-メチル-8キノリノレート)アルミニウム(III)(Almq3)、8-ヒドロキシキノリン亜鉛(Znq2)、(1,10-フェナントロリン)-トリス-(4,4,4-トリフルオロ-1-(2-チエニル)-ブタン-1,3-ジオネート)ユーロピウム(III)(Eu(TTA)3(phen))、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィンプラチナム(II)のような各種金属錯体;ジスチリルベンゼン(DSB)、ジアミノジスチリルベンゼン(DADSB)のようなベンゼン系化合物;ナフタレン、ナイルレッドのようなナフタレン系化合物;フェナントレンのようなフェナントレン系化合物;クリセン、6-ニトロクリセンのようなクリセン系化合物;ペリレン、N,N’-ビス(2,5-ジ-t-ブチルフェニル)-3,4,9,10-ペリレン-ジ-カルボキシイミド(BPPC)のようなペリレン系化合物;コロネンのようなコロネン系化合物;アントラセン、ビススチリルアントラセンのようなアントラセン系化合物;ピレンのようなピレン系化合物;4-(ジ-シアノメチレン)-2-メチル-6-(パラ-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピラン(DCM)のようなピラン系化合物;アクリジンのようなアクリジン系化合物;スチルベンのようなスチルベン系化合物;2,5-ジベンゾオキサゾールチオフェンのようなチオフェン系化合物;ベンゾオキサゾールのようなベンゾオキサゾール系化合物;ベンゾイミダゾールのようなベンゾイミダゾール系化合物;2,2’-(パラ-フェニレンジビニレン)-ビスベンゾチアゾールのようなベンゾチアゾール系化合物;ビスチリル(1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン)、テトラフェニルブタジエンのようなブタジエン系化合物;ナフタルイミドのようなナフタルイミド系化合物;クマリンのようなクマリン系化合物;ペリノンのようなペリノン系化合物;オキサジアゾールのようなオキサジアゾール系化合物;アルダジン系化合物;1,2,3,4,5-ペンタフェニル-1,3-シクロペンタジエン(PPCP)のようなシクロペンタジエン系化合物;キナクリドン、キナクリドンレッドのようなキナクリドン系化合物;ピロロピリジン、チアジアゾロピリジンのようなピリジン系化合物;2,2’,7,7’-テトラフェニル-9,9’-スピロビフルオレンのようなスピロ化合物;フタロシアニン(H2Pc)、銅フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物;更には特開2009-155325号公報、特開2011-184430号公報および特願2011-6458号に記載のホウ素化合物材料等が挙げられる。
発光層7の平均厚さは、特に限定されないが、10~150nmであることが好ましく、20~100nmであることがより好ましい。
発光層7の平均厚さは、触針式段差計により測定してもよいし、水晶振動子膜厚計により発光層7の成膜時に測定してもよい。
正孔輸送層8に用いる正孔輸送性有機材料としては、各種p型の高分子材料(有機ポリマー)、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができる。
正孔輸送層8の平均厚さは、例えば、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
正孔注入層9は、無機材料からなるものであってもよいし、有機材料からなるものであってもよい。無機材料は、有機材料と比較して安定であるため、有機材料を用いた場合と比較して、酸素や水に対する高い耐性が得られやすい。
正孔注入層9の平均厚さは、水晶振動子膜厚計、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより成膜時に測定することができる。
陽極10に用いられる材料としては、ITO、IZO、Au、Pt、Cu、Ag、Alまたはこれらを含む合金等が挙げられる。この中でも、陽極10の材料として、ITO、IZO、Au、Alを用いることが好ましい。
陽極10の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により陽極10の成膜時に測定できる。
図1に示す有機EL素子1は、必要に応じて、封止されていてもよい。
次に、本発明の有機EL素子の製造方法の一例として、図1に示す逆構造の有機EL素子1の製造方法を説明するが、本発明の有機EL素子は従来型の順構造でも良い。その場合、例えば、陽極、正孔注入層と構成が逆転するように積層するだけでよく、特に製膜方法に制限されることはない。
図1に示す有機EL素子1を製造するには、まず、基板2上に陰極3を形成する。
陰極3は、スパッタ法、真空蒸着法、ゾルゲル法、スプレー熱分解(SPD)法、原子層堆積(ALD)法、気相成膜法、液相成膜法等により形成することができる。陰極3の形成には、金属箔を接合する方法を用いてもよい。
次に、陰極3上に有機電子注入層5を形成する。
有機電子注入層5は、例えば、真空蒸着法等の方法を用いて形成する。
次に、有機電子注入層5上に、電子輸送層6、発光層7と、正孔輸送層8とをこの順で形成する。
電子輸送層6、発光層7、正孔輸送層8の形成方法は、特に限定されず、電子輸送層6、発光層7、正孔輸送層8それぞれに用いられる材料の特性に合わせて、従来公知の種々の形成方法を適宜用いることができる。
次に、正孔輸送層8上に正孔注入層9と、陽極10とをこの順に形成する。これらの層についても、それぞれに用いられる材料の特性に合わせて、従来公知の種々の形成方法を適宜用いることができる。
以上の工程により、図1に示す有機EL素子1が得られる。
図1に示す有機EL素子1は、有機EL素子の封止に用いられる通常の方法を使用して封止できる。
下記式(9)で表される化合物を、以下に示す方法により合成した。
[工程1]尾池工業製バリアフィルム(PT7/25GT3:厚さ25μm、WVTR:4×10-3g/m2/day)上にレジスト材料を塗布製膜し、スパッタ装置にて酸化亜鉛を24nm製膜を行い、金属酸化物層4を形成した。
[工程2]次に陰極3として銀とマグネシウムを70:30の体積比率で含む合計10nmの膜厚の層を形成するため、[工程1]の処理を行った基板を真空装置に導入し、5×10-5Pa以下まで減圧し、真空蒸着法により製膜した。
[工程3]次に、有機電子注入層5として有機電子注入層用材料である上記式(9)の材料を3nm、電子輸送層6として電子輸送材料であるケミプロ化成製KHLHEI-02を15nm、正孔阻止層11としてケミプロ化成製KHLHS-04を15nm、発光層7としてケミプロ化成製KHLHS-03とKHLHS-04とKHLDG-01を共蒸着により35nm、正孔輸送層8としてケミプロ化成製KHLHS-03を25nmの膜厚となるように真空蒸着法により積層した。
[工程4]次に、正孔輸送層8の上に、正孔注入層9を形成した。ここでは、酸化モリブデンを10nmの膜厚となるように気相成膜法である真空蒸着法により形成した。
[工程5]次に、最終工程として正孔注入層9上に陽極10を形成した。ここでは、アルミニウムを200nmの膜厚となるように真空蒸着法により製膜した。さらに、その上に尾池工業製バリアフィルム(厚さ25μm、WVTR:4×10-3g/m2/day)で封止を行った。
以上の工程[工程1]~[工程5]により、図4の構成を持つフィルム有機電界発光素子を作製した。厚さは98μm程度であった。
[工程6]作製した有機電界発光素子の大気安定性を85℃、湿度85%の環境に保存することで評価した。結果を図6に示した。65時間後にもダークスポットは観測されなかった。
実施例1の[工程2]を以下の[工程2-2]に変えた以外は実施例1と同様に行い、有機電界発光素子を作製した。[工程6]として、実施例1と同じ方法により有機電界発光素子の大気安定性を評価した結果を図7に示した。65時間後にもダークスポットは観測されなかった。
[工程2-2]次に陰極3として銀とマグネシウムを95:5の体積比率で含む合計10nmの膜厚の層を形成するため、[工程1]の処理を行った基板を真空装置に導入し、5×10-5Pa以下まで減圧し、真空蒸着法により製膜した。
実施例1の[工程2]を以下の[工程2-3]に変えた以外は実施例1と同様に行い、有機電界発光素子を作製した。[工程6]として、実施例1と同じ方法により有機電界発光素子の大気安定性を評価した結果を図8に示した。65時間後にもダークスポットは観測されなかった。
[工程2-3]次に陰極3として銀とマグネシウムを97:3の体積比率で含む合計10nmの膜厚の層を形成するため、[工程1]の処理を行った基板を真空装置に導入し、5×10-5Pa以下まで減圧し、真空蒸着法により製膜した。
実施例1の[工程2]を以下の[工程2-4]に変えた以外は実施例1と同様に行い、有機電界発光素子を作製した。[工程6]として、実施例1と同じ方法により有機電界発光素子の大気安定性を評価した結果を図9に示した。65時間後にもダークスポットは観測されなかった。
[工程2-4]次に陰極3として銀とマグネシウムを95:5の体積比率で含む合計25nmの膜厚の層を形成するため、[工程1]の処理を行った基板を真空装置に導入し、5×10-5Pa以下まで減圧し、真空蒸着法により製膜した。
実施例1の[工程2]を以下の[工程2-5]に変えた以外は実施例1と同様に行い、有機電界発光素子を作製した。[工程6]として、実施例1と同じ方法により有機電界発光素子の大気安定性を評価した。65時間後にもダークスポットは観測されなかった。
[工程2-5]次に陰極3として銀とマグネシウムを95:5の体積比率で含む合計35nmの膜厚の層を形成するため、[工程1]の処理を行った基板を真空装置に導入し、5×10-5Pa以下まで減圧し、真空蒸着法により製膜した。
実施例1の[工程2]を以下の[工程2-6]に変えた以外は実施例1と同様に行い、有機電界発光素子を作製した。[工程6]として、実施例1と同じ方法により有機電界発光素子の大気安定性を評価した結果を図10に示した。65時間後にダークスポットが観測された。
[工程2-6]次に陰極3として銀とマグネシウムを50:50の体積比率で含む合計10nmの膜厚の層を形成するため、[工程1]の処理を行った基板を真空装置に導入し、5×10-5Pa以下まで減圧し、真空蒸着法により製膜した。
実施例1の[工程2]を以下の[工程2-7]に変えた以外は実施例1と同様に行い、有機電界発光素子を作製した[工程6]として、実施例1と同じ方法により有機電界発光素子の大気安定性を評価した。65時間後、発光が確認できなかった。
[工程2-7]次に陰極3として銀とマグネシウムを99:1の体積比率で含む合計10nmの膜厚の層を形成するため、[工程1]の処理を行った基板を真空装置に導入し、5×10-5Pa以下まで減圧し、真空蒸着法により製膜した。
実施例1の[工程2]を以下の[工程2-8]に変えた以外は実施例1と同様に行い、図5の構成を持つフィルム有機電界発光素子を作製した。[工程6]として、実施例1と同じ方法により有機電界発光素子の大気安定性を評価した結果を図11に示した。65時間後に多数のダークスポットが観測された。
[工程2-8]次に陰極3として銀を9nm、金属電子注入層12としてマグネシウム1nmを形成するため、[工程1]の処理を行った基板を真空装置に導入し、5×10-5Pa以下まで減圧し、真空蒸着法により製膜した。これにより、陰極内のマグネシウムを金属電子注入層12として分離し、積層した素子が完成した。
実施例1の[工程2]を以下の[工程2-9]に変えた以外は実施例1と同様に行い、有機電界発光素子を作製した。[工程6]として、実施例1と同じ方法により有機電界発光素子の大気安定性を評価した。65時間後、発光が確認できなかった。
[工程2-9]次に陰極3として銀とマグネシウムを95:5の体積比率で含む合計45nmの膜厚の層を形成するため、[工程1]の処理を行った基板を真空装置に導入し、5×10-5Pa以下まで減圧し、真空蒸着法により製膜した。
Claims (4)
- 少なくとも一対の電極とその間に有機層を有する有機電界発光素子であって、
該有機電界発光素子は、マグネシウムと、銀及び/又はアルミニウムとを含み、マグネシウムの体積比率が2%以上、30%以下である、平均厚さが40nm以下の層を陰極とし、該陰極に隣接して金属原子に配位結合可能な有機材料を含む有機電子注入層(該有機電子注入層に含まれる有機材料が配位可能な金属原子を含むものを除く)を有することを特徴とする有機電界発光素子。 - 前記有機電界発光素子は、基板上に陰極が形成された素子であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
- 請求項1又は2に記載の有機電界発光素子を備えることを特徴とする表示装置。
- 請求項1又は2に記載の有機電界発光素子を備えることを特徴とする照明装置。
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