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JP7658286B2 - 電動機の制御装置 - Google Patents
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Description

本発明は、電動機の動作を制御する制御装置に関する。
電動機の制御装置として、電動機に流れる電流に含まれる高周波電流を用いて電動機の回転子の位置を180度の曖昧性を有したまま推定した後、正のパルス電圧と負のパルス電圧とを交互に電圧指令値に重畳することで変化する電流の大小関係により回転子の極性を判定し、その判定した極性を用いて回転子の位置を確定するものがある。関連する技術として、特許文献1がある。
このように、上記制御装置では、回転子の位置を仮に推定した後、回転子の極性を判定し、その判定した極性を用いて回転子の位置を確定する構成であるため、回転子の位置推定にかかる時間が比較的長くなる懸念がある。
特開2002-171798号公報
本発明の一側面に係る目的は、電動機に流れる電流に含まれる高周波電流を用いて電動機の回転子の位置を推定する電動機の制御装置において、回転子の位置推定にかかる時間の短縮化を図ることである。
本発明に係る一つの形態である電動機の制御装置は、搬送波の電圧値と電圧指令値との比較結果により電動機を駆動させるインバータ回路と、前記電動機の回転子の極性を判定しつつ前記極性を用いて前記回転子の位置を推定する推定部と、前記位置を用いて前記電動機に流れる電流をd軸電流及びq軸電流に変換する電流変換部と、前記回転子の回転数と回転数指令値との回転数差によりd軸電流指令値及びq軸電流指令値を出力する電流指令値出力部と、前記d軸電流と前記d軸電流指令値との差が小さくなるようにd軸電圧指令値を算出するとともに前記q軸電流と前記q軸電流指令値との差が小さくなるようにq軸電圧指令値を算出する電圧指令値算出部と、前記d軸電圧指令値に前記d軸電圧指令値より高い周波数の重畳電圧を重畳させる重畳部と、前記位置を用いて前記重畳部から出力されるd軸電圧指令値及び前記電圧指令値算出部から出力されるq軸電圧指令値を前記電圧指令値に変換する電圧指令値変換部とを備える。
前記推定部は、前記d軸電流に含まれる高周波電流を用いて前記電動機のd軸インダクタンスの磁気飽和による変化分を含む評価値を求め、前記評価値の符号に応じて前記回転子の極性を判定する。
例えば、評価値が負である場合、すなわち、d軸インダクタンスが比較的小さい場合、電動機において磁気飽和が発生しているため、d軸電流により生じる磁極の方向と永久磁石により生じる磁極の方向とが互いに同じ方向であると判断することができ、推定される位置と実際の位置との間に誤差が生じていないと判定することができる。また、評価値が正である場合、すなわち、d軸インダクタンスが比較的大きい場合、電動機において磁気飽和が発生していないため、d軸電流により生じる磁極の方向と永久磁石により生じる磁極の方向とが互いに異なる方向である判断することができ、推定される位置と実際の位置との間に180度の誤差が発生していると判定することができる。このように、d軸電流に含まれる高周波電流を用いて電動機のd軸インダクタンスの磁気飽和による変化分を含む評価値を求め、その評価値の符号に応じて推定位置と実際の位置との誤差の有無、すなわち、回転子の極性を判定することができる。
また、回転子の極性を判定しつつ回転子の位置を推定しているため、回転子の位置を仮に推定した後、回転子の極性を判定し、その判定した極性を用いて回転子の位置を確定する構成に比べて、回転子の位置推定にかかる時間の短縮化を図ることができる。
また、前記推定部は、前記d軸電流に含まれる高周波電流をiγhとし、前記重畳電圧の振幅をVとし、前記重畳電圧の角周波数をωとし、前記電動機のd軸インダクタンスをLとし、前記電動機のq軸インダクタンスをLとし、Ld0=(L+L)/2とし、Ld1=(L-L)/2とし、前記d軸電流をiとし、i=isinωtとし、前記高周波電流をiγhとする場合、前記高周波電流に復調信号として前記重畳電圧の周波数成分であるsinωtを乗算することで下記式1を得て、帯域阻止フィルタにより下記式1から交流成分である(1-cos2ωt)を取り除くことで下記式2を得て、下記式2の逆数をとることで下記式3を得て、下記式3に前記sinωtを乗算することで下記式4を得て、移動平均フィルタにより下記式4から直流成分を抽出することで前記評価値として下記式5を得るように構成してもよい。
Figure 0007658286000001
Figure 0007658286000002
Figure 0007658286000003
Figure 0007658286000004
Figure 0007658286000005
また、前記推定部は、前記d軸電圧指令値に前記重畳電圧を重畳することで励起される拡張誘起電圧を用いて前記回転子の位置を推定する中高速域位置推定部と、前記d軸電流に含まれる高周波電流を用いて前記回転子の位置を推定する低速域位置推定部と、前記評価値が負である場合、前記中高速域位置推定部及び低速域位置推定部により推定される位置と実際の位置との位置誤差を0度とし、前記評価値が正である場合、前記位置誤差を180度とする極性判定部と、前記中高速域位置推定部により推定される位置と前記低速域位置推定部により推定される位置との加重平均に前記極性判定部により求められる位置誤差を加算した結果を、前記電流変換部及び前記電圧指令値変換部において用いられる位置とする位置推定部とを備えるように構成してもよい。
また、前記位置推定部は、前記回転子の回転数が小さいほど、前記低速域位置推定部により推定される位置に対応する重みを大きくし、前記重畳部は、前記回転子の回転数が小さいほど、前記重畳電圧の振幅を大きくするように構成してもよい。
これにより、回転子の回転数が比較的小さくなることで、中高速域位置推定部において用いられる拡張誘起電圧が比較的小さくなり、中高速域位置推定部により推定される位置の推定精度が低下しても、低速域位置推定部により推定される位置の推定精度を向上させることができるため、位置推定部により推定される位置の推定精度が低下することを抑制することができる。
本発明によれば、電動機に流れる電流に含まれる高周波電流を用いて電動機の回転子の位置を推定する電動機の制御装置において、回転子の位置推定にかかる時間の短縮化を図ることができる。
第1実施形態における電動機の制御装置の一例を示す図である。 第1実施形態における推定部の一例を示す図である。 第2実施形態における電動機の制御装置の一例を示す図である。 第2実施形態における推定部の一例を示す図である。 第1実施形態における重畳部の他の例を示す図である。
以下、図面に基づいて実施形態の詳細を説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態における電動機の制御装置の一例を示す図である。
図1に示す制御装置1は、例えば、電動フォークリフトやプラグインハイブリッド車などの車両に搭載される電動機Mの動作を制御するものであって、インバータ回路2と、制御回路3とを備える。なお、電動機Mは、例えば、埋込磁石型モータまたは表面磁石型モータなどとする。
インバータ回路2は、電源Pから供給される電力により電動機Mを駆動させるものであって、コンデンサCと、スイッチング素子SW1~SW6(例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor))と、電流センサSe1、Se2とを備える。すなわち、コンデンサCの一方端子が電源Pの正極端子及びスイッチング素子SW1、SW3、SW5の各コレクタ端子に接続され、コンデンサCの他方端子が電源Pの負極端子及びスイッチング素子SW2、SW4、SW6の各エミッタ端子に接続されている。スイッチング素子SW1のエミッタ端子とスイッチング素子SW2のコレクタ端子との接続点は電流センサSe1を介して電動機MのU相の入力端子に接続されている。スイッチング素子SW3のエミッタ端子とスイッチング素子SW4のコレクタ端子との接続点は電流センサSe2を介して電動機MのV相の入力端子に接続されている。スイッチング素子SW5のエミッタ端子とスイッチング素子SW6のコレクタ端子との接続点は電動機MのW相の入力端子に接続されている。
コンデンサCは、電源Pから出力されインバータ回路2へ入力される電圧を平滑する。
スイッチング素子SW1は、制御回路3から出力される駆動信号S1に基づいて、オンまたはオフする。スイッチング素子SW2は、制御回路3から出力される駆動信号S2に基づいて、オンまたはオフする。スイッチング素子SW3は、制御回路3から出力される駆動信号S3に基づいて、オンまたはオフする。スイッチング素子SW4は、制御回路3から出力される駆動信号S4に基づいて、オンまたはオフする。スイッチング素子SW5は、制御回路3から出力される駆動信号S5に基づいて、オンまたはオフする。スイッチング素子SW6は、制御回路3から出力される駆動信号S6に基づいて、オンまたはオフする。スイッチング素子SW1~SW6がそれぞれオンまたはオフすることで、電源Pから出力される直流電圧が、互いに位相が120度ずつ異なる3つの交流電圧に変換され、それら交流電圧が電動機MのU相、V相、及びW相の入力端子に印加され電動機Mの回転子が回転する。
電流センサSe1は、ホール素子やシャント抵抗などにより構成され、電動機MのU相に流れるU相電流Iuを検出して制御回路3に出力する。また、電流センサSe2は、ホール素子やシャント抵抗などにより構成され、電動機MのV相に流れるV相電流Ivを検出して制御回路3に出力する。
制御回路3は、記憶部4と、ドライブ回路5と、演算部6とを備える。
記憶部4は、RAM(Random Access Memory)またはROM(Read Only Memory)などにより構成される。
ドライブ回路5は、IC(Integrated Circuit)などにより構成され、搬送波(三角波、ノコギリ波、または逆ノコギリ波など)の電圧値と、演算部6から出力されるU相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、及びW相電圧指令値Vw*とを比較し、その比較結果に応じた駆動信号S1~S6をスイッチング素子SW1~SW6のそれぞれのゲート端子に出力する。
例えば、ドライブ回路5は、U相電圧指令値Vu*が搬送波の電圧値以上である場合、ハイレベルの駆動信号S1を出力するとともに、ローレベルの駆動信号S2を出力し、U相電圧指令値Vu*が搬送波の電圧値より小さい場合、ローレベルの駆動信号S1を出力するとともに、ハイレベルの駆動信号S2を出力する。また、ドライブ回路5は、V相電圧指令値Vv*が搬送波の電圧値以上である場合、ハイレベルの駆動信号S3を出力するとともに、ローレベルの駆動信号S4を出力し、V相電圧指令値Vv*が搬送波の電圧値より小さい場合、ローレベルの駆動信号S3を出力するとともに、ハイレベルの駆動信号S4を出力する。また、ドライブ回路5は、W相電圧指令値Vw*が搬送波の電圧値以上である場合、ハイレベルの駆動信号S5を出力するとともに、ローレベルの駆動信号S6を出力し、W相電圧指令値Vw*が搬送波の電圧値より小さい場合、ローレベルの駆動信号S5を出力するとともに、ハイレベルの駆動信号S6を出力する。
演算部6は、マイクロコンピュータなどにより構成され、電流変換部7と、推定部8と、減算部9と、トルク指令値算出部10と、電流指令値出力部11と、減算部12と、減算部13と、電圧指令値算出部14と、重畳部15と、電圧指令値変換部16とを備える。例えば、マイクロコンピュータが記憶部4に記憶されているプログラムを実行することにより、電流変換部7、推定部8、減算部9、トルク指令値算出部10、電流指令値出力部11、減算部12、減算部13、電圧指令値算出部14、重畳部15、及び電圧指令値変換部16が構成される。
電流変換部7は、電流センサSe1により検出されるU相電流Iu及び電流センサSe2により検出されるV相電流Ivを用いて、電動機MのW相に流れるW相電流Iwを求める。
また、電流変換部7は、推定部8により推定される位置θ^を用いて、U相電流Iu、V相電流Iv、及びW相電流Iwをd軸電流Id(電動機Mに弱め界磁を発生させるための電流成分)及びq軸電流Iq(電動機Mにトルクを発生させるための電流成分)に変換する。
例えば、電流変換部7は、下記式6に示す変換行列C1を用いて、U相電流Iu、V相電流Iv、W相電流Iwを、d軸電流Id及びq軸電流Iqに変換する。
Figure 0007658286000006
なお、電流センサSe1、Se2により検出される電流は、U相電流Iu及びV相電流Ivの組み合わせに限定されず、V相電流Iv及びW相電流Iwの組み合わせ、または、U相電流Iu及びW相電流Iwの組み合わせでもよい。電流センサSe1、Se2によりV相電流Iv及びW相電流Iwが検出される場合、電流変換部7は、V相電流Iv及びW相電流Iwを用いて、U相電流Iuを求める。また、電流センサSe1、Se2によりU相電流Iu及びW相電流Iwが検出される場合、電流変換部7は、U相電流Iu及びW相電流Iwを用いて、V相電流Ivを求める。
また、インバータ回路2において、電流センサSe1、Se2の他に、電動機MのW相に流れるW相電流Iwを検出する電流センサSe3をさらに備える場合、電流変換部7は、推定部8により推定される位置θ^を用いて、電流センサSe1~Se3により検出されるU相電流Iu、V相電流Iv、及びW相電流Iwをd軸電流Id及びq軸電流Iqに変換するように構成してもよい。
推定部8は、電流変換部7から出力されるd軸電流Id及びq軸電流Iqと、重畳部15から出力されるd軸電圧指令値Vd*´と、電圧指令値算出部14から出力されるq軸電圧指令値Vq*とを用いて、電動機Mの回転子の極性(推定位置と実際の位置との誤差)を判定しつつ、その極性を用いて回転子の位置θ^を推定する。
また、推定部8は、位置θ^を一定時間(演算部6のクロック周期など)で除算することにより回転数ω^を推定する。
減算部9は、外部から入力される回転数指令値ω*と推定部8により推定される回転数ω^との回転数差Δωを算出する。
トルク指令値算出部10は、減算部9から出力される回転数差Δωを用いて、トルク指令値T*を算出する。例えば、トルク指令値算出部10は、記憶部4に記憶されている、電動機Mの回転子の回転数(角周波数)と電動機Mのトルクとが互いに対応付けられている情報(不図示)を参照して、回転数差Δωに相当する回転数に対応するトルクを、トルク指令値T*として求める。
電流指令値出力部11は、トルク指令値T*を用いて、d軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*を出力する。例えば、電流指令値出力部11は、記憶部4に記憶されている、電動機Mのトルクとd軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*とが互いに対応付けられている情報(不図示)を参照して、トルク指令値T*に対応するd軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*を求める。
すなわち、電流指令値出力部11は、回転子の回転数ω^と回転数指令値ω*との回転数差Δωによりd軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*を出力する。
減算部12は、電流指令値出力部11から出力されるd軸電流指令値Id*と、電流変換部7から出力されるd軸電流Idとの差ΔIdを算出する。
減算部13は、電流指令値出力部11から出力されるq軸電流指令値Iq*と、電流変換部7から出力されるq軸電流Iqとの差ΔIqを算出する。
電圧指令値算出部14は、減算部12から出力される差ΔId及び減算部13から出力される差ΔIqを用いたPI制御により、d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を算出する。例えば、電圧指令値算出部14は、下記式7を計算することによりd軸電圧指令値Vd*を求めるとともに、下記式8を計算することによりq軸電圧指令値Vq*を求める。なお、KpはPI制御の比例項の定数とし、KiはPI制御の積分項の定数とし、Lqは電動機Mのq軸インダクタンスとし、Ldは電動機Mのd軸インダクタンスとし、ω^は推定部8により推定される回転数とし、Keは誘起電圧定数とする。
d軸電圧指令値Vd*=Kp×差ΔId+∫(Ki×差ΔId)-ω^LqIq・・・式7
q軸電圧指令値Vq*=Kp×差ΔIq+∫(Ki×差ΔIq)+ω^LdId+ω^Ke・・・式8
すなわち、電圧指令値算出部14は、d軸電流Idとd軸電流指令値Id*との差ΔIdが小さくなるようにd軸電圧指令値Vd*を算出するとともにq軸電流Iqとq軸電流指令値Iq*との差ΔIqが小さくなるようにq軸電圧指令値Vq*を算出する。
重畳部15は、電圧指令値算出部14から出力されるd軸電圧指令値Vd*より周波数が高い重畳電圧Vをd軸電圧指令値Vd*に重畳させてd軸電圧指令値Vd*´として出力する。なお、重畳電圧Vの振幅をVとし、重畳電圧Vの周波数成分をsinωtとする。
例えば、重畳部15は、図1に示すように加算部151によりd軸電圧指令値Vd*と重畳電圧Vsとを加算し、その加算結果をd軸電圧指令値Vd*´とする。
電圧指令値変換部16は、推定部8により推定される位置θ^を用いて、d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、及びW相電圧指令値Vw*に変換する。例えば、電圧指令値変換部16は、下記式9に示す変換行列C2を用いて、d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、W相電圧指令値Vw*に変換する。
Figure 0007658286000007
図2は、第1実施形態における推定部8の一例を示す図である。
図2に示す推定部8は、中高速域位置推定部81と、低速域位置推定部82と、極性判定部83と、位置推定部84と、回転数推定部85とを備える。
中高速域位置推定部81は、電流変換部7から出力されるd軸電流Id及びq軸電流Iqと、重畳部15から出力されるd軸電圧指令値Vd*´と、電圧指令値算出部14から出力されるq軸電圧指令値Vq*とを用いて、回転子の位置θHIGHを推定する。
例えば、中高速域位置推定部81は、d軸電圧指令値Vd*に重畳電圧Vを重畳することで励起される拡張誘起電圧eを用いて位置θHIGHを推定する。なお、任意の値に調整可能なパラメータとしてd軸インダクタンスLd及びq軸インダクタンスLqを含む電動機MのモデルMLdLqを下記式10に示す。下記式10におけるd軸インダクタンスLdは、実験やシミュレーションなどにより予め推定される値とする。また、Rを電動機Mの抵抗成分とし、pを微分演算子とし、ωを回転子の角周波数(例えば、前回の制御タイミングにおいて回転数推定部85により算出される回転数ω^とする)とし、Iを下記式11により示される単位行列とし、Jを下記式12により示される単位行列とする。
{(R+pLd)I-ω(Ld-Lq)J} ・・・式10
Figure 0007658286000008
Figure 0007658286000009
まず、中高速域位置推定部81は、電圧vα、vβと、モデルMLdLqから出力される電圧との差に相当する拡張誘起電圧eα、eβを求める。なお、電圧vα、vβが電動機Mに入力され、電動機Mから出力される電流iα、iβがモデルMLdLqに入力されるものとする。また、電圧vαは、重畳部15から出力されるd軸電圧指令値Vd*´を、電動機MのU相、V相、W相のうちのU相に対応する固定座標系のα軸に変換した電圧とする。また、電圧vβは、電圧指令値算出部14から出力されるq軸電圧指令値Vq*を、α軸を基準に90度進んだ固定座標系のβ軸に変換した電圧とする。また、電流iαは、電流変換部7から出力されるd軸電流Idを、α軸に変換した電流とする。また、電流iβは、電流変換部7から出力されるq軸電流Iqをβ軸に変換した電流とする。また、拡張誘起電圧eα、eβは、下記式13により示されるものとする。
Figure 0007658286000010
次に、中高速域位置推定部81は、拡張誘起電圧eα、eβに対してフィルタリング処理などを行うことで、拡張誘起電圧eαω、eβωを推定する。
そして、中高速域位置推定部81は、下記式14を計算することにより、位置θHIGHを求める。
Figure 0007658286000011
低速域位置推定部82は、電流変換部7から出力されるq軸電流Iqを用いて、回転子の位置θLOWを推定する。
例えば、低速域位置推定部82は、q軸電流Iqに含まれる高周波電流iδhを用いて位置θLowを推定する。なお、高周波電流iδhは、下記式15により示されるものとする。Lを下記式16に示す値とし、Lを下記式17に示す値とし、Δθを中高速域位置推定部81や低速域位置推定部82により推定される位置と実際の位置との誤差とする。
Figure 0007658286000012
Figure 0007658286000013
Figure 0007658286000014
まず、低速域位置推定部82は、高周波電流iδhに対して同期検波を行うことで、下記式18に示すように位置誤差Δθに相関関係をもつ値を取得する。なお、上記同期検波では、高周波電流iδhに復調信号として重畳電圧Vの周波数成分sinωtが乗算された後、ローパスフィルタによりフィルタリング処理が行われるものとする。
Figure 0007658286000015
次に、低速域位置推定部82は、上記式18の位置誤差ΔθがゼロになるようにPI制御を行うことで、下記式19に示すように回転数ωLOWを取得する。なお、KpはPI制御の比例項の定数とし、KiはPI制御の積分項の定数とし、sは微分演算子とする。
Figure 0007658286000016
そして、低速域位置推定部82は、回転数ωLOW^を下記式20のように積分することにより位置θLOWを取得する。
Figure 0007658286000017
極性判定部83は、乗算部831と、帯域阻止フィルタ(BEF:Band Elimination Filter)832と、逆数演算部833と、乗算部834と、移動平均フィルタ(MAF:Moving Average Filter)835と、位置誤差出力部836とを備え、d軸電流Idに含まれる高周波電流iγhを用いて電動機Mのd軸インダクタンスLdの磁気飽和による変化分(磁気飽和成分Ld1)を含む評価値eを求め、評価値eの符号(負または正)により位置誤差Δθを求める。
なお、高周波電流iγhは、下記式21により示されるものとする。また、位置誤差Δθが0度または180度に収束しているものとし、cos2Δθ≒1とする場合、下記式21は下記式22に変形される。また、下記式22のd軸インダクタンスLdに関して、下記式23が成立すると仮定する場合、下記式22は下記式24に変形される。Ld0をd軸インダクタンスLdの定常成分とし、Ld1をd軸インダクタンスLdの磁気飽和による変化分(磁気飽和成分)とし、idをd軸電流Idとする。
Figure 0007658286000018
Figure 0007658286000019
Figure 0007658286000020
Figure 0007658286000021
極性判定部83では、上記式24から磁気飽和成分Ld1を陽に含む式(後述する式5)を評価値eとして求め、その評価値eの符号、すなわち、磁気飽和成分Ld1の符号が負であるのか、または、正であるのかを判断する。
例えば、評価値e(磁気飽和成分Ld1)の符号が負である場合、上記式23の左辺のd軸インダクタンスLdが比較的小さくなるため、電動機Mに磁気飽和が発生していると判断することができ、d軸電流により生じる磁極の方向と永久磁石により生じる磁極の方向とが互いに一致していると判断することができる。そのため、位置誤差Δθが0度または180度に収束しているものと仮定していることから、中高速域位置推定部81や低速域位置推定部82により推定される位置と実際の位置との誤差が0度であると判断することができる。
一方、評価値e(磁気飽和成分Ld1)の符号が正である場合、上記式23の左辺のd軸インダクタンスLdが比較的大きくなるため、電動機Mに磁気飽和が発生していないと判断することができ、d軸電流により生じる磁極の方向と永久磁石により生じる磁極の方向とが互いに一致していないと判断することができる。そのため、位置誤差Δθが0度または180度に収束しているものと仮定していることから、中高速域位置推定部81や低速域位置推定部82により推定される位置と実際の位置との誤差が180度であると判断することができる。
乗算部831は、上記式24に示す高周波電流iγhに復調信号として重畳電圧Vの周波数成分sinωtを乗算することで、下記式1を得る。
Figure 0007658286000022
帯域阻止フィルタ832は、上記式1から交流成分(1-cos2ωt)を取り除くことで下記式2を得る。なお、id=isinωtとする。
Figure 0007658286000023
逆数演算部833は、上記式2の逆数をとることで下記式3を得る。
Figure 0007658286000024
乗算部834は、上記式3に復調信号として重畳電圧Vの周波数成分sinωtを乗算することで下記式4を得る。
Figure 0007658286000025
移動平均フィルタ835は、上記式4から直流成分を抽出することで評価値eとして下記式5を得る。
Figure 0007658286000026
位置誤差出力部836は、評価値eが負である場合、位置誤差Δθとして0度を位置推定部84に出力し、評価値eが正である場合、位置誤差Δθとして180度を位置推定部84に出力する。
位置推定部84は、中高速域位置推定部81により推定される位置θHIGHと、低速域位置推定部82により推定される位置θLOWと、位置誤差出力部836から出力される位置誤差Δθとを用いて、位置θ^を推定する。
例えば、位置推定部84は、位置θHIGHと位置θLOWとの加重平均に位置誤差Δθを加算した結果を、位置θ^とする。なお、位置推定部84は、回転数推定部85により算出された回転数ω^が大きくなるほど、位置θHIGHに対応する重みを大きくするとともに、位置θLOWに対応する重みを小さくする。また、位置推定部84は、回転数推定部85により算出される回転数ω^が小さくなるほど、位置θHIGHに対応する重みを小さくするとともに、位置θLOWに対応する重みを大きくする。
回転数推定部85は、位置推定部84により算出される位置θ^を一定時間(演算部6のクロック周期など)で除算することにより回転数ω^を推定する。
このように、第1実施形態の制御装置1によれば、評価値eが負である場合、すなわち、d軸インダクタンスLdが比較的小さい場合、電動機Mにおいて磁気飽和が発生しているため、d軸電流Idにより生じる磁極の方向と永久磁石により生じる磁極の方向とが互いに同じ方向であると判断することができ、中高速域位置推定部81や低速域位置推定部82により推定される位置と実際の位置との間に誤差が生じていないと判定することができる。また、評価値eが正である場合、すなわち、d軸インダクタンスLdが比較的大きい場合、電動機Mにおいて磁気飽和が発生していないため、d軸電流Idにより生じる磁極の方向と永久磁石により生じる磁極の方向とが互いに異なる方向である判断することができ、中高速域位置推定部81や低速域位置推定部82により推定される位置と実際の位置との間に180度の誤差が発生していると判定することができる。このように、d軸電流Idに含まれる高周波電流iγhを用いて電動機Mのd軸インダクタンスLdの磁気飽和による変化分(磁気飽和成分Ld1)を含む評価値eを求め、その評価値eの符号に応じて推定位置と実際の位置との誤差の有無、すなわち、回転子の極性を判定することができる。
また、第1実施形態の制御装置1では、図2に示すように、中高速域位置推定部81、低速域位置推定部82、及び極性判定部83が互いに並列に接続されているために中高速域位置推定部81、低速域位置推定部82、及び極性判定部83がそれぞれ同時に処理を行うことができる。そのため、第1実施形態の制御装置1によれば、回転子の極性を判定しつつ回転子の位置θ^を推定することができ、回転子の位置を仮に推定した後、回転子の極性を判定し、その判定した極性を用いて回転子の位置を確定する構成に比べて、回転子の位置推定にかかる時間の短縮化を図ることができる。
また、第1実施形態の制御装置1によれば、d軸電流指令値Id*に高周波電流を重畳することで励起される拡張誘起電圧を用いて回転子の極性を判定する場合に比べて、拡張誘起電圧を求めるための処理を必要としないため、その分、演算部6にかかる負荷を低減することができる。
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態における電動機の制御装置の一例を示す図である。なお、図1に示す構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図3に示す制御装置1´において、図1に示す制御装置1と異なる点は、推定部8の替わりに推定部8´を備えている点である。
推定部8´は、電流変換部7から出力されるd軸電流Id及びq軸電流Iqを用いて、電動機Mの回転子の極性を判定しつつ回転子の位置θ^を推定する。
また、推定部8´は、位置θ^を一定時間(演算部6のクロック周期など)で除算することにより回転数ω^を推定する。
図4は、第2実施形態における推定部8´の一例を示す図である。なお、図2に示す構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図4に示す推定部8´は、低速域位置推定部82と、極性判定部83と、位置推定部84´と、回転数推定部85´とを備える。なお、制御装置1´は、推定部8´に中高速域位置推定部81が備えられていないため、回転数ω^が定常的に比較的低い電動機Mに対して好適である。
位置推定部84´は、低速域位置推定部82により推定される位置θLOWと、極性判定部83により判定される位置誤差Δθとを用いて、位置θ^を推定する。
例えば、位置推定部84´は、低速域位置推定部82により推定される位置θLOWに位置誤差Δθを加算した結果を、位置θ^とする。
回転数推定部85´は、位置推定部84´により算出される位置θ^を一定時間(演算部6のクロック周期など)で除算することにより回転数ω^を推定する。
第2実施形態の制御装置1´によれば、第1実施形態の制御装置1と同様に、回転子の極性を判定しつつ回転子の位置θ^を推定しているため、回転子の位置を仮に推定した後、回転子の極性を判定し、その判定した極性を用いて回転子の位置を確定する構成に比べて、回転子の位置推定にかかる時間の短縮化を図ることができる。
また、第2実施形態の制御装置1´では、推定部8´において中高速域位置推定部81が省略されているため、第1実施形態の制御装置1に比べて、演算部6にかかる負荷を低減することができる。
なお、本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
<変形例>
図5は、第1実施形態における重畳部15の他の例を示す図である。
図5に示す重畳部15は、加算部151と、乗算部152と、振幅出力部153とを備える。
振幅出力部153は、回転数ω^が小さいほど大きな振幅Vを出力し、回転数ω^が大きいほどゼロに近い振幅Vを出力する。
乗算部152は、周波数成分sinωtと、振幅出力部153から出力される振幅Vとを乗算して重畳電圧Vを出力する。
加算部151は、電圧指令値算出部14から出力されるd軸電圧指令値Vd*に重畳電圧Vを加算した結果を、d軸電圧指令値Vd*´として出力する。
これにより、回転子の回転数ω^が比較的小さくなることで、中高速域位置推定部81において用いられる拡張誘起電圧eが比較的小さくなり、中高速域位置推定部81により推定される位置θHIGHの推定精度が低下しても、低速域位置推定部82により推定される位置θLOWの推定精度を向上させることができるため、位置推定部84により推定される位置θ^の推定精度が低下することを抑制することができる。
1、1´ 制御装置
2 インバータ回路
3 制御回路
4 記憶部
5 ドライブ回路
6 演算部
7 電流変換部
8 推定部
9 減算部
10 トルク指令値算出部
11 電流指令値出力部
12 減算部
13 減算部
14 電圧指令値算出部
15 重畳部
16 電圧指令値変換部
81 中高速域位置推定部
82 低速域位置推定部
83 極性判定部
84、84´ 位置推定部
85、85´ 回転数推定部
P 電源
C コンデンサ
Se1、Se2 電流センサ
M 電動機

Claims (3)

  1. 搬送波の電圧値と電圧指令値との比較結果により電動機を駆動させるインバータ回路と、
    前記電動機のd軸インダクタンスの磁気飽和による変化分を含む評価値を用いて回転子の位置を推定する推定部と、
    前記位置を用いて前記電動機に流れる電流をd軸電流及びq軸電流に変換する電流変換部と、
    前記回転子の回転数と回転数指令値との回転数差によりd軸電流指令値及びq軸電流指令値を出力する電流指令値出力部と、
    前記d軸電流と前記d軸電流指令値との差が小さくなるようにd軸電圧指令値を算出するとともに前記q軸電流と前記q軸電流指令値との差が小さくなるようにq軸電圧指令値を算出する電圧指令値算出部と、
    前記d軸電圧指令値に前記d軸電圧指令値より高い周波数の重畳電圧を重畳させる重畳部と、
    前記位置を用いて前記重畳部から出力されるd軸電圧指令値及び前記電圧指令値算出部から出力されるq軸電圧指令値を前記電圧指令値に変換する電圧指令値変換部と、
    を備え、
    前記推定部は、
    前記d軸電圧指令値に前記重畳電圧を重畳することで励起される拡張誘起電圧を用いて前記回転子の位置を推定する中高速域位置推定部と、
    前記d軸電流に含まれる高周波電流を用いて前記回転子の位置を推定する低速域位置推定部と、
    前記評価値が負である場合、前記中高速域位置推定部及び低速域位置推定部により推定される位置と実際の位置との位置誤差を0度とし、前記評価値が正である場合、前記位置誤差を180度とする極性判定部と、
    前記中高速域位置推定部により推定される位置と前記低速域位置推定部により推定される位置との加重平均に前記極性判定部により求められる位置誤差を加算した結果を、前記電流変換部及び前記電圧指令値変換部において用いられる位置とする位置推定部と、
    を備えることを特徴とする電動機の制御装置。
  2. 請求項1に記載の電動機の制御装置であって、
    前記推定部は、
    前記d軸電流に含まれる高周波電流をiγhとし、前記重畳電圧の振幅をVhとし、前記重畳電圧の角周波数をωhとし、前記電動機のd軸インダクタンスをLdとし、前記電動機のq軸インダクタンスをLqとし、Ld0=(Ld+Lq)/2とし、Ld1=(Ld-Lq)/2とし、前記d軸電流をidとし、id=ihsinωhtとし、前記高周波電流をiγhとする場合で、かつ、
    ある値から交流成分を取り除いた値であることを示す記号をBEFとし、ある値から直流成分を抽出した値であることを示す記号をMAFとする場合で、かつ、
    前記高周波電流に復調信号として前記重畳電圧の周波数成分であるsinωhtを乗算したものを下記式1とし、帯域阻止フィルタにより下記式1から交流成分である(1-cos2ωht)を取り除いたものを下記式2とし、下記式2の逆数をとったものを下記式3とし、下記式3に前記sinωhtを乗算したものを下記式4とし、移動平均フィルタにより下記式4から直流成分を抽出したものを下記式5とする場合、
    下記式5の左辺の値を前記評価値とする
    Figure 0007658286000027
    Figure 0007658286000028
    Figure 0007658286000029
    Figure 0007658286000030
    Figure 0007658286000031
    ことを特徴とする電動機の制御装置。
  3. 請求項1に記載の電動機の制御装置であって、
    前記位置推定部は、前記回転子の回転数が小さいほど、前記低速域位置推定部により推定される位置に対応する重みを大きくし、
    前記重畳部は、前記回転子の回転数が小さいほど、前記重畳電圧の振幅を大きくする
    ことを特徴とする電動機の制御装置。
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