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JP7659689B2 - 植物体の花冠調整剤 - Google Patents
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JP7659689B2 - 植物体の花冠調整剤 - Google Patents

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Description

本発明は、有機酸および/またはその塩を有効成分とする、植物体の花冠調整剤に関する。
昔から花卉等の植物体を栽培し、植物体の色調や形態を見て楽しむ、あるいは、植物体の香気を楽しむことがなされてきた。鑑賞用の植物体の中でも、特にバラの人気は高く、中世ヨーロッパで育成された白色や赤紫色の花を咲かせるバラに加えて、中国から渡来したバラによって紅色の色素や淡黄色の色素が加わり、1900年頃には、ロサ・フェティダ(Rosa foetida)との交雑により、バラの花に黄色の色素が導入された。近年には、遺伝子組み換えによって、青色系の花を咲かせるバラが加わるなど、他の植物体と比べて花色が豊富であることが特徴となっている。しかしながら、品種改良や遺伝子組み換え以外に、植物体の花の色調を変化させる方法はあまり知られていない。
また、鑑賞目的のみならず、植物体の香気を楽しむ人も多く、中でも、バラは、様々な特徴ある香気の品種が開発されてきた。近年では、リフレッシュ効果やリラックス効果など香気の機能性についても注目されている(例えば、特許文献1、2等)。しかしながら、色調と同様に、品種改良や遺伝子組み換え以外に、植物体の花の香気を変化させる方法はあまり知られていない。
またバラの花冠は、中心が高く花弁がしっかりと巻いて均等に花弁が開いた状態が美しいと評価される傾向にあるが、色調や香気と同様に、品種改良や遺伝子組み換え以外に、植物体の花の形状を変化させる方法は知られていない。
特開2002-265977号公報 特開2005-281288号公報
上述のとおり、植物体における花弁(花びら)の集合体である花冠の色調、香気、形状などを変化させる方法として、品種改良や遺伝子組み換え以外の手法はあまり知られていない。
そこで、本発明は、品種改良や遺伝子組み換えなどの手法を用いることなく、色調、香気、形状などを使用者の好みに合わせて調整することが出来る、薬剤の提供を目的としている。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、植物体に対して有機酸および/またはその塩を施用することにより、植物体の花冠に関して、特に色調、香気、形状が変化することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、詳しくは以下の事項を要旨とする。
1.有機酸および/またはその塩を有効成分とする、植物体の花冠調整剤。
2.花冠の色調、香気および形状から選択される1つ以上を調整することを特徴とする、1.に記載の植物体の花冠調整剤。
3.有機酸および/またはその塩を有効成分とする組成物を植物体に施用することを特徴とする、植物体の花冠の色調、香気および形状から選択される1つ以上を調整する方法。
本発明によれば、植物体の花冠に関して、特に、色調、香気および形状から選択される1つ以上を調整することが出来る。
植物体の花冠の色調については、本発明の調整剤を用いることにより、リラックス効果や食用においては健康効果に寄与することが既に報告されているアントシアニン色素の含有量を有意に増加させることが出来るため、色調が濃くなった植物体の花冠を得ることが出来る。
また、植物体の花冠の香気については、植物体の花冠が有する香気成分の含有量を有意に増加させることが出来るため、香気が強くなった植物体の花冠を得ることが出来る。
さらには、植物体の花冠の形状の完成度を高めることが出来るため、外観に優れた植物体の花冠を得ることが出来るという優れた効果を発揮する。
本発明は、外観と香気に優れた花冠を有する植物体を得る上で、非常に有用である。
植物体の花冠の色調調整効果確認試験1における、実施例1、2、比較例1の試験検体を用いたミニバラの花冠の写真である。
以下、本発明について詳細に説明する。
<植物体の花冠調整剤>
本発明の植物体の花冠調整剤における「調整」とは、調整剤を利用する使用者が好む方向に、植物体の花冠を調整することを意味する。調整する項目としては、具体的に、色調、香気、大きさ、立体的な形状が挙げられ、花冠色調調整剤、花冠香気調整剤、花冠形状調整剤として利用することが可能である。
<有機酸および/またはその塩について>
本発明の植物体の花冠調整剤の有効成分は、有機酸および/またはその塩である。
本発明における有機酸としては、カルボキシル基(-COH基)を有するカルボン酸と、スルホ基(-SOH基)を有するスルホン酸が挙げられるが、中でも、カルボン酸が好ましい。カルボン酸としては、蟻酸、酢酸等の飽和カルボン酸、オレイン酸等の不飽和カルボン酸、リンゴ酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸、安息香酸等の芳香族カルボン酸、シュウ酸、コハク酸等のジカルボン酸が挙げられる。中でも、炭素数1以上10以下の有機酸が好ましく、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸等の飽和脂肪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸等のジカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸等のヒドロキシカルボン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸等が挙げられる。
これらの有機酸の中でも、本発明の植物体の花冠調整剤の有効成分として、炭素数1以上5以下の飽和カルボン酸が好適である。
また、本発明の植物体の花冠調整剤の有効成分として、例えば、酢酸を用いる場合は、純粋な酢酸の他、食酢である醸造酢や合成酢が含まれる。これらは市販されており、例えば、穀物酢や特濃酢、高濃度醸造酢、粉末食酢(酢酸とデキストリン等の混合物)などを利用することができる。また、ワインビネガーやアップルビネガーといった果実酢も利用可能である。
有機酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等が挙げられ、本発明の植物体の花冠調整剤の有効成分として、有機酸塩を使用する場合には、ナトリウム塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩、カリウム塩が好ましい。これらの塩は単体として植物体の花冠調整剤中に加えても良いが、有機酸と対応する中和剤とを別々に加えて製剤調製時に塩を形成させてもよい。例えば、有機酸と、中和剤として水酸化ナトリウムを別々に加えて、ナトリウム塩として使用することができる。中和剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が好適である。
本発明の植物体の花冠調整剤は、上記の有機酸および/またはその塩を含有するものを、1種のみ使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。
本発明の植物体の花冠調整剤は、有効成分である有機酸および/またはその塩を、植物体の花冠調整剤全体に対して、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上となるように含有させることができる。また、有機酸および/またはその塩をあまり多量に用いると、有機酸臭が気になる使用者もいるため、10重量%以下の含有量とすることが好ましく、5重量%以下がより好ましく、3重量%以下がさらに好ましい。
本発明の植物体の花冠調整剤は、そのまま植物体に処理することができるが、所定の有効成分を含有した製剤を使用時に水で希釈して植物体に処理することもできる。この場合、水で希釈された製剤中での有効成分である有機酸および/またはその塩の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上となるように調製して使用することができる。
本発明の植物体の花冠調整剤は、各種製剤として用いることができる。
製剤としては、例えば、油剤、乳剤、水和剤、フロアブル剤(水中懸濁剤、水中乳濁剤等)、マイクロカプセル剤、粉剤、粒剤、錠剤、液剤、スプレー剤、エアゾール剤等が挙げられる。その中でも、スプレー剤やエアゾール剤等の噴霧用製剤や、液剤をジョウロヘッド付き容器に充填した散布剤等が、本発明の植物体の花冠調整剤の性能を、最大限に活用することができる製剤型として好適である。スプレー剤やエアゾール剤とするには、所定の噴霧パターン、噴霧粒子を供給する噴霧装置を備えたエアゾール缶、薬剤ボトルを用いることができる。
本発明の植物体の花冠調整剤は、本発明の効果を奏する限り、液剤に限らず、粉剤、顆粒剤、微細粒等の固形剤として用いることもできる。
上記製剤の1つの製造例としては、有機酸および/またはその塩と必要に応じて界面活性剤を用いて溶剤に溶かして溶液(A液)を調製し、このA液を適量の水に混合、撹拌して製剤とすることにより、使用時に希釈する必要がない植物体の花冠調整剤とする方法を挙げることができる。
水としては、水道水、イオン交換水、蒸留水、濾過処理した水、滅菌処理した水、地下水などを用いることができる。
製剤時に用いられる液体担体としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール等)、エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、乳酸エチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、芳香族または脂肪族炭化水素類(キシレン、トルエン、アルキルナフタレン、フェニルキシリルエタン、ケロシン、軽油、ヘキサン、シクロヘキサン等)、ハロゲン化炭化水素類(クロロベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、ヘテロ環系溶剤(スルホラン、γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-オクチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン)、酸アミド類(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等)、炭酸アルキリデン類(炭酸プロピレン等)、植物油(大豆油、綿実油等)、植物精油(オレンジ油、ヒソップ油、ハッカ油、レモン油等)、及び水が挙げられる。
製剤時に用いられる界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤を挙げることができる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマーアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル(例、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンラウレート)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール脂肪酸エーテルなどが挙げられる。陰イオン性界面活性剤としては、例えば、硫酸アルキル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンベンジル(またはスチリル)フェニルエーテル硫酸またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー硫酸のナトリウム、カルシウムまたはアンモニウムの各塩;スルホン酸アルキル、ジアルキルスルホサクシネート、アルキルベンゼンスルホン酸(例、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムなど)、モノ-またはジ-アルキルナフタレン酸スルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸またはポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホサクシネートのナトリウム、カルシウム、アンモニウムまたはアルカノールアミン塩の各塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート、ポリオキシエチレン、モノ-またはジ-アルキルフェニルエーテルホスフェート、ポリオキシエチレンベンジル(またはスチリル)化フェニルエーテルホスフェート、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマーホスフェートのナトリウムまたはカルシウム塩などの各塩が挙げられる。陽イオン性界面活性剤としては、例えば第4級アンモニウム塩、アルキルアミン塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルオキサイドなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、例えばアルキルベタイン、アミンオキシドなどが挙げられる。なお、界面活性剤は展着剤としても用いられる。
エアゾール剤とする時に用いられる噴射剤としては、例えば、ブタンガス、フロンガス、代替フロン(HFO、HFC等)、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、炭酸ガスが挙げられる。
また固体担体としては、例えば、粘土類(カオリン、珪藻土、ベントナイト、クレー、酸性白土等)、合成含水酸化珪素、タルク、ゼオライト、セラミック、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ等)、多孔質体等が挙げられる。
本発明の植物体の花冠調整剤は、製剤調製時に必要に応じて、消泡剤、防腐剤、酸化防止剤及び増粘剤等を添加することができる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤、フッ素系消泡剤等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、有機窒素硫黄系複合物、有機臭素系化合物、イソチアゾリン系化合物、ベンジルアルコールモノ(ポリ)ヘミホルマル、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、及びビタミンE、混合トコフェロール、α-トコフェロール、エトキシキン及びアスコルビン酸等が挙げられる。
増粘剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、グアーガム、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。
<花冠調整効果について>
本発明の植物体の花冠調整剤は、下記実施例において詳細に説明するように、特に、植物体の花冠の色調、香気および形状から選択される1つ以上の調整に優れた効果を発揮する。
本発明の花冠調整剤を植物体に適用することにより、花弁に含まれるアントシアニン色素の含有量を有意に増加させることが出来る。この作用を利用することにより、使用者は、植物体の花冠の本来の色調を、好む方向である深い色合いに変調させることが可能となる。
本発明の花冠調整剤を植物体に適用することにより、植物体の花冠が有する香気成分の含有量を有意に増加させることが出来る。この作用を利用することにより、使用者は、植物体の花冠の本来の香気を、好む方向である深い香調に変調させることが可能となる。
また、本発明の花冠調整剤を植物体に適用することにより、植物体の花冠の形状の完成度を高めることが出来るため、外観に優れた植物体の花冠を得ることが可能となる。
<植物体について>
本発明における植物体とは、根部と茎葉部を有し、根部は通常地中(場合によっては水中)にあって地上部を支える部分を意味し、切り枝や切り花などのように根部の無い状態のものは含まない。
本発明における植物体は、花冠の調整が図られる植物体であれば限定されるものではない。具体的には、バラ、ユリ、カーネーション、ダリア、コチョウラン、キク、トルコギキョウ、シクラメン、スターチス、シンビジウム、ガーベラ、デンドロビウム、チューリップ、ペラルゴニウム、ペチュニア、カトレアなど、観賞対象となる花冠を有する植物体が挙げられる。
本発明の植物体の花冠調整剤は、植物体に付着させることができる限り、付着させる植物体の部位に制限はないが、吸収効率の良さの点から、植物茎葉部分や根部に対して施用する、茎葉処理や潅水処理による根部への処理が好ましく、特に、植物葉の表面に施用することが好ましい。施用する時期は、植物体の生育状況に応じて適宜選択すればよいが、特に、開花前から施用することが好ましい。施用頻度は、1~10日に1回、好ましくは1~7日に1回、より好ましくは1~4日に1回の頻度で施用するのがよい。施用手段は特に制限されない。
本発明の植物体の花冠調整剤の処理量としては、施用頻度に関わらず、植物体に対して有機酸および/またはその塩の積算処理量で0.005g/週以上、10g/週以下の範囲、好ましくは0.01g/週以上、7g/週以下の範囲、より好ましくは0.02g/週以上、5g/週以下の範囲で施用するのが良い。特に、地上部10~60cmの植物に対しては、積算処理量で0.02g/週以上、7g/週以下の範囲で施用すれば良く、好ましくは0.05g/週以上、5g/週以下の範囲、より好ましくは0.1g/週以上、3g/週以下の範囲となるように施用するのが良い。
また特に、バラに対して酢酸および/またはその塩を施用する場合、新芽が出始めて5枚葉が出る前の生育初期段階においては、バラ1株あたり積算処理量で0.02g/週以上、1g/週以下の範囲、好ましくは0.05g/週以上、0.5g/週以下の範囲で施用するのが良い。5枚葉が出てからの生育初期以降においては、バラ1株あたり積算処理量で0.05g/週以上、7g/週以下の範囲、好ましくは0.1g/週以上、5g/週以下の範囲で施用するのが良い。
この他、目的に応じて、例えば、殺菌剤、防カビ剤、殺虫殺ダニ剤、忌避剤、香料、精油等を併用してもよい。例えば、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ヘキサコナゾール、イマザリル、ミクロブタニル、シメコナゾール、テトラコナゾール、チアベンダゾール、ペンチオピラド、マンゼブ等の殺菌剤;塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、ヒノキチオール、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール等の防カビ剤;除虫菊エキス、天然ピレトリン、プラレトリン、イミプロトリン、フタルスリン、アレスリン、ビフェントリン、レスメトリン、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、サイパーメスリン、エトフェンプロックス、シフルトリン、デルタメトリン、ビフェントリン、フェンバレレート、フェンプロパトリン、エムペントリン、シラフルオフェン、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン等のピレスロイド系化合物、カルバリル、プロポクスル、メソミル、チオジカルブ等のカーバメート系化合物、メトキサジアゾン等のオキサジアゾール系化合物、フィプロニル等のフェニルピラゾール系化合物、アミドフルメト等のスルホンアミド系化合物、ジノテフラン、イミダクロプリド等のネオニコチノイド系化合物、クロルフェナピル等のピロール系化合物等、フェニトロチオン、ダイアジノン、マラソン、ピリダフェンチオン、プロチオホス、ホキシム、クロルピリホス、ジクロルボス等の有機リン系化合物等の殺虫殺ダニ剤;ディート、ジ-n-ブチルサクシネート、ヒドロキシアニソール、ロテノン、エチル-ブチルアセチルアミノプロピオネート、イカリジン(ピカリジン)、3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル等の忌避剤の1種または2種以上を用いることができる。香料、精油としては、用途に応じて天然香料及び合成香料、天然抽出物等からなる群から適宜選択される1種または2種以上の組み合わせを用いることができる。
以下に実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例において、特に明記しない限り、部は重量部を意味する。
<植物体の花冠の色調調整効果確認試験1>
(1)試験検体
実施例1
酢酸0.125重量部、展着剤(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)0.08重量部およびイオン交換水を使用して、全体量を100重量部として植物体の花冠調整剤を調製した。
実施例2
酢酸0.10重量部、展着剤(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)0.08重量部およびイオン交換水を使用して、全体量を100重量部として植物体の花冠調整剤を調製した。
比較例1
展着剤(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)0.08重量部およびイオン交換水を使用して、全体量を100重量部として比較剤を調製した。
(2)試験方法
供試植物として、ポリポット(4号:口径12cm×高さ10cm)で育成(試験時期:8~10月)した地上部が約15~30cmのミニバラ(花色:ピンク)を使用した。
供試植物に対して2週間にわたり、試験検体(実施例1、2、比較例1)を、初日、1週間後、2週間後の合計3回、供試植物全体が十分に濡れる程度に、ハンドスプレーを使用して1回あたり80~240mLを散布した。開花前から散布を行い、蕾や花には液剤が直接かからないように散布した。
最初の散布時から約1ヶ月後に開花した花の色の濃さについて、比較例1の花の色を評価基準(評価:3点)として、パネラー10名によりそれぞれ下記に示す5段階で評価した。今回の評価試験では、評価値4点以上が、本発明の植物体の花冠調整剤を用いることにより、花色が濃くなったと判断した。
なお、上記試験検体中の展着剤は、植物体の花色に影響を及ぼさないことを別の試験により確認している。
[花色評価基準]
5点:比較例1の花色より濃い
4点:比較例1の花色よりやや濃い
3点:比較例1の花色
2点:比較例1の花色よりやや薄い
1点:比較例1の花色より薄い
各パネラーの評価値と平均評価値を、試験検体の組成と共に、表1に記載した。
また、実施例1、2、比較例1の試験検体を用いたミニバラの花冠の写真を、図1に示した。
各々の色調をパントーン色見本帳(SOLID CHIPS/coated:商品名)で示すと、実施例1は236U、実施例2は250U、比較例1は671Uに相当する。
(3)結果
表1に示したとおり、本発明の酢酸を有効成分とする実施例1、2の植物体の花冠調整剤は、何れも有効成分を含有しない比較例1を基準として、花色が濃くなることが明らかとなった。
また、花弁の形、花弁の枚数等の観点から花冠を評価し花冠の見た目の綺麗さを表す指標「完成度」についても差が見られることが確認された。この「完成度」は、均等に花弁が開き、花弁の枚数が多く、花冠の中心部が盛り上がり高さ(花冠の厚み)を有するほど、高いと評価される指標である。
この花冠の「完成度」について、確認試験を行った。
<植物体の花冠の形状調整効果確認試験>
(1)試験検体
上記「植物体の花冠の色調調整効果確認試験1」の試験検体(実施例1、比較例1)を使用した。
(2)植物体の花冠の形状調整作用の確認試験方法
供試植物として、10号鉢(口径30cm×高さ30cm、容量11リットル)で育成(試験時期:9~10月)した地上部が約30~50cmのバラ(品種:メルヘンケーニギン)を使用した。
供試植物に対して生育初期から1カ月にわたり、試験検体(実施例1、比較例1)を、2~3回/1週間、供試植物全体が十分に濡れる程度に、ハンドスプレーを使用して1回あたり80~300mLを散布した。蕾が形成される前から散布を開始し、蕾や花に直接液剤がかからないように散布した。
最初の散布時から約1ヶ月後に開花した花冠の形状について、「花冠の高さ」「花弁の枚数」「花冠の円形度」それぞれについて、下記評価方法に従い評価を行った。
花冠の高さ:花冠の高さを花弁の付け根から花冠の最高点までとして、側面から測定した。
花弁の枚数:花冠を形成する全ての花弁の枚数を計測した。
花冠の円形度:花冠を真上から見た際の円形度を下記算出式より算出した。
[算出式]:円形度=4π×(面積)÷(周囲長)
なお、花冠の「面積」「周囲長」ともに画像解析ソフトImageJにより数値化したものである。
(3)結果
各試験検体で処理したバラの花冠3輪を用いた、「花冠の高さ」「花弁の枚数」「花冠の円形度」それぞれの評価結果の平均値を、下記表2にまとめて示した。なお、上記評価方法による「花冠の円形度」では、1.0が真円を意味する最高評価の花冠となる。
表2に示したとおり、本発明の酢酸を有効成分とする実施例1の植物体の花冠調整剤で処理した植物体の花冠は、有効成分を含有しない比較例1で処理した植物体に比べて、「花冠の高さ」は約10%程度高くなり、「花弁の枚数」は約20%程度多くなることが明らかとなった。さらに、本発明の酢酸を有効成分とする実施例1の植物体の花冠調整剤で処理した植物体の「花冠の円形度」は0.96とほぼ真円に近いものであるのに対して、有効成分を含有しない比較例1で処理した植物体の「花冠の円形度」は0.81であり、いびつな形状であることも確認された。
この結果より、本発明の花冠調整剤は、本発明の花冠調整剤で処理しない植物体と比較して、「花冠の高さ」「花弁の枚数」「花冠の円形度」の全てにおいて高い形状調整効果を発揮し、花冠の形状の完成度を高めることが明らかとなった。
<植物体の花冠の色調調整効果確認試験2>
(1)試験検体
上記「植物体の花冠の色調調整効果確認試験1」の試験検体(実施例1、2、比較例1)を使用した。
(2)植物体の花冠の色素量確認試験
供試植物として、ポリポット(4号:口径12cm×高さ10cm)で育成(試験時期:8~10月)した地上部が約15~30cmのミニバラ(花色:ピンク)を使用して、2週間にわたり、試験検体(実施例1、2、比較例1)を、初日、1週間後、2週間後の合計3回、供試植物全体が十分に濡れる程度に、ハンドスプレーを使用して1回あたり80~240mLを散布した。開花前から散布を行い、蕾や花には液剤が直接かからないように散布した。
最初の散布時から約1ヶ月後に開花した花冠を使用して、以下の手順により、花冠に含まれるアントシアニンの含有量を測定した。
液体窒素を用いて粉砕した花弁0.1gと、50%酢酸水溶液5mLをガラス瓶に入れ、冷蔵庫(2℃)で48時間静置し、その後、フィルター(0.45μm)を用いてろ過した。下記分析条件により、花弁0.1g中のアントシアニン含有量を算出した。
[分析条件]
測定装置:高速液体クロマトグラフィー分析装置(島津製作所製)
カラム:イナートシルODS-2(4.6×150mm)(GLサイエンス社製)
オーブン温度:35℃
流量:0. 8mL/min
移動相:(A)1.5%リン酸水溶液、(B)リン酸(1.5重量%)+酢酸(20重量%)+アセトニトリル(25重量%)+水(全体が100重量%となるように調整)
グラジエント条件:「(A)80体積%+(B)20体積%」から、20分かけて「(A)15体積%+(B)85体積%」に移動相割合を変化させたのち、「(A)15体積%+(B)85体積%」を10分間維持させた。
サンプル注入量:20μL
試験は3回行い、その平均値を表3にまとめて示した。
表3に示したとおり、本発明の酢酸を有効成分とする実施例1、2の植物体の花冠調整剤で処理した植物体の花冠は、有効成分を含有しない比較例1で処理した植物体と比べて、アントシアニン含有量が飛躍的に向上することが明らかとなった。特に、実施例1の植物体の花冠調整剤で処理した植物体の花冠は、比較例1に比べて、概ね2倍程度にアントシアニン含有量が増加することが確認された。
この花弁に含まれるアントシアニンの量の飛躍的な増加は、花色が濃く変化したと視認できる程度のものであることも明らかとなった。
この試験結果から、本発明の植物体の花冠調整剤は、花冠におけるアントシアニン増強剤としての機能を有することが明らかとなった。
<植物体の花冠の香気調整効果確認試験1>
(1)試験検体
上記「植物体の花冠の色調調整効果確認試験1」の試験検体(実施例1、比較例1)を使用した。
(2)植物体の花冠の香気調整作用の確認試験方法
供試植物として、10号鉢(口径30cm×高さ30cm、容量11リットル)で育成(試験時期:3~4月)した地上部が約30~50cmのバラ(品種:フレグラントヒル)を使用した。
供試植物に対して2週間にわたり、試験検体(実施例1、比較例1)を、初日、1週間後、2週間後の合計3回、供試植物全体が十分に濡れる程度に、ハンドスプレーを使用して1回あたり80~300mLを散布した。生育初期の蕾が形成される前から散布を開始し、蕾や花に直接液剤がかからないように散布した。
最初の散布時から約1ヶ月後に開花した花冠の香気について、実施例1と比較例1の花冠の香気について評価を行った。22名のパネラー(内5名が臭気判定士)により、それぞれの花冠の香気強度、ティー系の香気強度、フルーティー系の香気強度、香質の良さについて、下記に示す5段階の絶対評価により評価を行った。当該評価基準は、においの快・不快の程度を表示するために用いられる評価方法(9段階快・不快度表示方法)を参考に設定したものである。
なお、ティー系の香気とフルーティー系の香気とは、7つに分類されるバラの香気の系統の2つである。
[香気強度評価基準]
5点:強い
4点:やや強い
3点:強くも弱くもない
2点:やや弱い
1点:弱い
[香質評価基準]
5点:良い
4点:やや良い
3点:良くも悪くもない
2点:やや悪い
1点:悪い
各パネラーの評価の平均値を、表4にまとめて示した。なお、上記試験検体中の展着剤は、植物体の花冠の香気に影響を及ぼさないことを別の試験により確認している。
(3)結果
表4に示したとおり、本発明の酢酸を有効成分とする実施例1の植物体の花冠調整剤で処理した植物体の花冠は、有効成分を含有しない比較例1で処理した植物体と比べて、香気が強いと評価された。また、香質についても良いと評価された。具体的な香気の系統として、ティー系の香気強度とフルーティー系の香気強度が、比較例1と比較して実施例1の方が強くなった。
<植物体の花冠の香気調整効果確認試験2>
(1)試験検体
上記「植物体の花冠の色調調整効果確認試験1」の試験検体(実施例1、比較例1)を使用した。
(2)植物体の花冠の香気調整作用の確認試験方法
供試植物として、10号鉢で育成(試験時期:3~4月)した地上部が約30~50cmのバラ(品種:フレグラントヒル、クインエリザベス、ニコル、ダブルデライト)を使用した。
[香気成分の捕集方法]
供試植物に対して2週間にわたり、試験検体(実施例1、比較例1)を、初日、1週間後、2週間後の合計3回、供試植物全体が十分に濡れる程度に、ハンドスプレーを使用して1回あたり80~300mLを散布した。生育初期の蕾が形成される前から散布を開始し、蕾や花に直接液剤がかからないように散布した。香気捕集は散布開始から約1ヶ月後に行った。
最初の散布時から約1ヶ月後に開花した花冠の香気について、花に袋(ポリフッ化ビニル製、容量:2リットル)を被せ、中に捕集剤(GLサイエンス社製、MonoTrap RCC18)を載置して、香気成分を捕集した。捕集は5時間(7:30~12:30)行った。
[香気成分の抽出方法]
バイアル瓶(GLサイエンス社製、MT Extract Cup with Vial)に、ジクロロメタンと香気成分を捕集した上記捕集剤を入れて、15分間超音波処理して、下記分析条件により香気成分を測定した。
[分析条件]
測定装置:ガスクロマトグラフ質量分析装置(島津製作所製)
カラム:DB-WAX(アジレント・テクノロジー社製)
カラム温度:40℃(5min)→4℃/min→250℃(5min)
キャリアガス:ヘリウム、120kPa
インジェクション温度:250℃、Splitless0.5min
ディテクション:MS Scan(m/z:40-350)
サンプル注入量:1.0μL
(3)結果
実施例1の試験検体で処理したバラの花の香気成分と、比較例1の試験検体で処理したバラの花の香気成分とを比較して、変化のあった香気成分について、どの程度増加しているかを、下記表5にまとめて示した。
表5に示したとおり、本発明の酢酸を有効成分とする実施例1の植物体の花冠調整剤で処理した植物体の花冠は、有効成分を含有しない比較例1で処理した植物体に比べて、香気成分であるジメトキシトルエン、ヒドロ-β-イオノン、フェネチルアルコールが大きく向上することが確認された。特に、クインエリザベスの香気成分ジメトキシトルエンは、比較例1の8.8倍と、フレグラントヒルの香気成分フェネチルアルコールは11.8倍と、飛躍的に増加することが明らかとなった。品種によって香気成分は異なるものの、それぞれの品種における主香気成分が増加することが明らかとなった。
本発明の植物体の花冠調整剤により、リラックス効果や食用においては健康効果に寄与することが既に報告されているアントシアニン色素の含有量を有意に増加させることが出来るため、色調が濃くなった植物体の花冠を得ることが出来る。また、植物体の花冠が有する香気成分の含有量を有意に増加させることが出来るため、香気が強くなった植物体の花冠を得ることが出来る。
本発明は、外観と香気に優れた花冠を有する植物体を得ることが出来る上で、非常に有用である。
さらに、植物体の花冠の形状の完成度を高めることが出来るため、外観に優れた植物体の花冠を得ることが出来るという優れた効果を発揮する。

Claims (2)

  1. 酢酸を有効成分(ただし、黒酢を除く。)とする、植物体の花冠の高さ及び/又は花弁の枚数及び/又は花冠の円形度を高める花冠形状調整剤(ただし、食用酸、紅コウジエキス及びキトサンを含有する植物活性剤を除き、メチル-α-ナフチル酢酸塩、ナトリウムフェノラート、酢酸及びリン酸カリウムを含有する組成物を除き、食酢に果糖含有糖類を配合する作物栄養補助剤を除く。)。
  2. 酢酸を有効成分とする組成物(ただし、食用酸、紅コウジエキス及びキトサンを含有する植物活性剤を除き、メチル-α-ナフチル酢酸塩、ナトリウムフェノラート、酢酸及びリン酸カリウムを含有する組成物を除き、食酢に果糖含有糖類を配合する作物栄養補助剤を除く。)を植物体に施用することを特徴とする、植物体の花冠の高さ及び/又は花弁の枚数及び/又は花冠の円形度を高める花冠の形状を調整する方法(ただし、黒酢を付与する植物の栽培方法を除く。)。
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