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JP7664771B2 - シール部材の切断方法 - Google Patents
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Description

本開示は、シール部材の切断方法に関する。
構造物を構成する壁部材を超えて配管やケーブル等をレイアウトする場合には、壁部材に貫通部が設けられることがある。例えば原子力プラントの建屋では、壁部材に形成した貫通孔にスリーブを配置し、スリーブの内側を通る配管やケーブル等との間に存在する隙間にシール部材を設けることで、津波等による浸水防止が図られる。このようなシール部材は、例えばポリウレタンやシリコーンゴム等のような弾性樹脂等が充填されて形成される。
このようなシール部材は、周辺環境や経年の影響によって劣化が進行すると、性能維持のためのメンテナンスが必要になる。メンテナンスはシール部材を一旦除去し、新たなシール部材を施工することで行われる。シール部材の除去は、ドリルによる体積除去、又は、カッターナイフやノミ等の刃物による切断などの方法がある。例えば特許文献1には、除去対象がシール部材ではなくコンクリート材であるが、ダイヤモンドチップを接着したループ状ワイヤを高速回転させて、コンクリートを削り取っていくコンクリート用ワイヤソーを用いた切断方法に関する技術が開示されている。
特開平05-185422号公報
ドリルによる体積除去、又は、カッターナイフやノミ等の刃物による切断などの方法は作業員による手作業であるため、多くの時間を要し、効率が良くない。また上記特許文献1は、切断対象が比較的規模が大きなコンクリート材であり、またワイヤを高速回転させるために設備規模が大きくなるため、貫通穴に設けられたシール部材のように比較的規模が小さい対象への適用が難しい。また張力が与えられた状態のワイヤを高速回転させて対象に接触させるため、切粉や粉塵が発生してしまう。
本開示の少なくとも一実施形態は上述の事情に鑑みなされたものであり、構造物の貫通部に設けられたシール部材を効率的に切断可能なシール部材の切断方法を提供することを目的とする。
本開示の少なくとも一実施形態に係るシール部材の切断方法は、上記課題を解決するために、
互いに隣り合う第1空間及び第2空間を区画する壁部材に形成された貫通部に設けられたシール部材の切断方法であって、
前記シール部材の異なる位置に第1貫通穴及び第2貫通穴をそれぞれ形成する貫通孔形成工程と、
前記第1空間から前記第2空間に向けてワイヤを前記第1貫通穴に挿入する第1ワイヤ挿入工程と、
前記第2空間から前記第1空間に向けて、前記第1貫通穴に挿入された前記ワイヤを更に前記第2貫通穴に挿入する第2ワイヤ挿入工程と、
前記ワイヤの一端側を固定しながら、前記ワイヤの他端側に張力を与えることにより、前記シール部材を切断する切断工程と、
を備える。
本開示の少なくとも一実施形態によれば、構造物の貫通部に設けられたシール部材を効率的に切断可能なシール部材の切断方法を提供できる。
構造体の全体構成を示す正面図である。 図1のA-A線に沿った断面図である。 一実施形態に係るシール部材の切断方法を示すフローチャートである。 図3のステップS1でシール部材に形成される貫通穴を示す正面図である。 図3のステップS2で図4の第1貫通穴にワイヤを挿入する様子を示す断面図である。 図3のステップS3で図5の第2貫通穴にワイヤを更に挿入する様子を示す断面図である。 図3のステップS4で図6のシール部材を切断する様子を示す断面図である。 図3のステップS3において、挿入治具を用いて、ワイヤの先端を第2貫通穴に偏向して導く一態様を示す模式図である。 図8の挿入治具の詳細構成の一例を示す図である。 図8の挿入治具の詳細構成の一例を示す図である。 図3のステップS3において、挿入治具を用いて、ワイヤの先端を第2貫通穴に偏向して導く他の態様を示す模式図である。 切断長さとシール部材を切断するために必要な張力との関係の検証結果である。 図6の第1貫通穴及び第2貫通穴の変形例である。 シール部材に対する貫通穴の配置に関する他の態様を示す斜視図である。 図13Aの貫通穴を用いて切断されたシール部材からブロックを取り出す様子を示す斜視図である。 図13Aの貫通穴にワイヤを挿入してシール部材を切断する様子を模式的に示すC線断面図である。 図13Aの貫通穴にワイヤを挿入してシール部材を切断する様子を模式的に示すC線断面図である。 シール部材に対する貫通穴の配置に関する他の態様を示す正面図である。 図3の変形例である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
まず図1を参照して、切断対象であるシール部材2を備える構造体1について説明する。図1は構造体1の全体構成を示す正面図であり、図2は図1のA-A線に沿った断面図である。
構造体1は、厚さtを有する壁部材6を有する。壁部材6は互いに隣り合う第1空間8及び第2空間10を区画するための構成であり、当該壁部材6には、第1空間8及び第2空間10にわたって配管12を設けるための貫通部4が形成されている。配管12は流体が通過可能な内部空間5を有する管部材である。貫通部4は、図1に示すように正面から見たときに、配管12の外径R1より大きな内径R2を有する略円形状に形成されることで、貫通部4と配管12との間に隙間14を確保し、配管12が温度変化による熱膨張変位を生じても壁部材6に対して直接干渉しないように構成されている。配管12は、このような貫通部4に対して同心配置されている。
尚、貫通部4に配置される構成は、本実施形態では配管12を例示しているが、ケーブルトレイやケーブル等の他の構成であってもよい。また貫通部4の形状は略円形状に限られず、任意の形状を有してもよい。
隙間14は、津波による浸水の経路となるため、隙間14には、シール部材2が充填される。シール部材2は、貫通部4の内径R2及び配管12の外径R1に水が漏れないように強固に接着するとともに、配管の変位を拘束することなく追従する程度に柔軟性を有する材料から構成され、隙間14に密に充填されることで第1空間8及び第2空間10を互いに隔離する。シール部材2は、例えばシリコーンゴムやポリウレタン等のような弾性樹脂から構成されことで、隙間14を介して水の侵入を防止することで良好な防水性能を得る。このような構成は、例えば、原子力プラントの建屋に適用されることにより、津波による浸水を防止するために有利である。
このようなシール部材2は、周辺環境や経年の影響によって劣化が進行すると、性能維持のためのメンテナンスが必要になる。メンテナンスはシール部材2を一旦除去し、新たなシール部材2を施工することで行われる。シール部材2の除去は、以下に説明する切断方法によってシール部材2を切断することで効率的に行うことが可能である。
図3は一実施形態に係るシール部材2の切断方法を示すフローチャートであり、図4は図3のステップS1でシール部材2に形成される貫通穴20(第1貫通穴20A及び第2貫通穴20B)を示す正面図であり、図5は図3のステップS2で図4の第1貫通穴20Aにワイヤ30を挿入する様子を示す断面図であり、図6は図3のステップS3で図5の第2貫通穴20Bにワイヤ30を更に挿入する様子を示す断面図であり、図7は図3のステップS4で図6のシール部材2を切断する様子を示す断面図である。以下の説明では、シール部材2を切断するにあたり、壁部材6の一方側(第1空間8側)にいる作業員によって各作業が行われることを前提として述べるが、壁部材6の他方側(第2空間10側)に作業員がいる場合はさらに容易適用可能である。
まず作業員は、図4に示すように、シール部材2に対して一方側(第1空間8側)から貫通穴20を形成する(ステップS1:貫通穴形成工程)。貫通穴20は、シール部材2に対して、第1空間8と第2空間10とを連通するように厚さt方向に沿って形成される。貫通穴20は、例えばドリルのような工具を用いて形成される。貫通穴20には、後述する工程においてワイヤ30を挿入可能なように、その内径は、ワイヤ30の外径より大きく設定される。また貫通穴20の内径が大きくなるに従って作業負担が増加することから、ワイヤ30が挿入可能な範囲において小さく設定することで、少ない作業負担で貫通穴20の形成が可能となる。
ステップS1では、貫通穴20として、少なくとも一対の第1貫通穴20A及び第2貫通穴20Bが形成される。第1貫通穴20A及び第2貫通穴20Bは、シール部材2のうち互いに異なる位置に形成される。図4では、本方法によってシール部材2を切断して効率的に貫通部4から除去するための貫通穴20の配置レイアウトの一例が示されている(具体的には、正面から見て、シール部材2の内径側(第2空間10側)に周方向に沿って複数の貫通穴20が形成されるとともに、シール部材2の外径側(壁部材6側)に周方向に沿って複数の貫通穴20が形成されている)。
尚、シール部材2における貫通穴20の形成位置は、図4のレイアウトに限定されるものではない。シール部材2における貫通穴20の形成位置は、シール部材2の切断範囲を直接決定する要素であるため、シール部材2の切断範囲に応じて適宜設定可能である。
続いて作業員は、図5に示すように、第1貫通穴20Aにワイヤ30を挿入する(ステップS2:第1ワイヤ挿入工程)。ワイヤ30は、第1貫通穴20Aの内径より小さい外径を有しており、作業員がいる第1空間8から第2空間10に向けて(第1方向D1に向けて)、ワイヤ30の先端32が第2空間10に十分に露出するまで挿入される。
続いて作業員は、図6に示すように、ステップS2で第1貫通穴20Aに挿入されたワイヤ30を、第2貫通穴20Bに更に挿入する(ステップS3:第2ワイヤ挿入工程)。ステップS3では、ステップS2でワイヤ30が第1貫通穴20Aに挿入されることで第2空間10に露出している先端32を偏向させて第2貫通穴20Bに導き、第2空間10から第1空間8に向けて(第2方向D2に向けて)ワイヤ30の先端32が第1空間8に十分に露出するまで挿入される。
尚、第1ワイヤ挿入工程(ステップS2)、及び、第2ワイヤ挿入工程(ステップS3)では、貫通穴20に対するワイヤ30の挿入は、ワイヤ30に張力(挿入作業に必要な張力を除く)が与えられない状態で行われる。
ここでステップS3において、ワイヤ30の先端32を第2貫通穴20Bに偏向して導くための具体的手法について、図8~図10を参照して説明する。
図8は図3のステップS3において、挿入治具40を用いて、ワイヤ30の先端32を第2貫通穴20Bに偏向して導く一態様を示す模式図であり、図9A及び図9Bは図8の挿入治具40の詳細構成の一例を示す図である。
挿入治具40は、本体42と、本体42の先端に設けられた係合部44とを有する。本体42は、図9A及び図9Bに示すように、長手方向に延びる第1部材42a、第2部材42b、第3部材42cを備える。第1部材42a、第2部材42bは、リング42dによって互いに延在方向に沿って移動可能に係合され、ヒンジ42e、42fを介してそれぞれ、第3部材42cに接続される。
挿入治具40は、図9Aに示す第1形態と、図9Bに示す第2形態とを選択的に切り替え可能である。第1形態では、第1部材42a、第2部材42b、第3部材42cは互いに同一方向に延在する。一方で第2形態では、第1形態において第1部材42aが作業者によって延在方向(図9Aの矢印B)に沿って操作されると、ヒンジ42e、42fを起点として第3部材42cが回動することで、第3部材42cが第1部材42a及び第2部材42bに対して偏向する(第3部材42cの第1部材42a及び第2部材42bに対する角度は、作業者による第1部材42aの操作量によって調整可能である)。
係合部44は、ワイヤ30の先端32と係合可能な形状を有する。本実施形態では、係合部44はフック形状を有する場合を示しているが、構成は限定されない。
本手法では、図8に示すように、第1形態にある挿入治具40を第2貫通穴20Bに挿入する。第1形態では、挿入治具40は図9Aに示すように略直線形状を有するため、周囲と干渉することなく、第2貫通穴20Bに挿入可能である。続いて係合部44が第2空間10に十分に露出した状態で、挿入治具40を第2形態に切り替える。これにより、挿入治具40の先端に設けられた係合部44をワイヤ30の先端32に導き、捕捉することができる。その後、係合部44によってワイヤ30の先端32を係合した状態で、挿入治具40を再び第1形態に戻し、第2貫通穴20Bから引き抜く。これにより、係合部44によって先端32が係合されたワイヤ30が第1空間8に引き出される。
尚、図8では先端32を係合部44に係合しやすくするために、先端32はワイヤ30の本体に比べて、部分的に径が大きくなるように構成されている。これにより、先端32を係合部44に係合しながら第2貫通穴20Bから挿入治具40を引き抜く際に、先端32から係合部44が意図せず脱落することを防止し、作業性を向上することができる。
図10は図3のステップS3において、挿入治具40を用いて、ワイヤ30の先端32を第2貫通穴20Bに偏向して導く他の態様を示す模式図である。この態様では、挿入治具40は、第1部材40A、及び、第2部材40Bを含む。ワイヤ30の先端32には予め第1磁石46が取り付けられており、第1部材40Aによってガイドされながら第1貫通穴20Aに挿入される。その後、本体40の先端に第2磁石50が取り付けられた挿入治具40を第2貫通穴20Bに挿入し、その先端にある第2磁石50を第1磁石46に係合させる。図10では、第1貫通穴20Aが第2貫通穴20Bより上方に位置しているため、第1貫通穴20Aに挿入されたワイヤ30の先端32が鉛直下方に偏向することで、第1磁石46を第2磁石50に良好に係合できる。
尚、第1貫通穴20A及び第2貫通穴20Bがこのような位置関係にない場合であっても、例えば、第2貫通穴20Bに挿入した状態で第1部材40Aを回転させることで、第1部材40Aに保持されたワイヤ30の先端32に遠心力を作用させて、第1磁石46を第2磁石50に係合させることができる。
このように挿入治具40を用いることによって、第1空間8にいる作業者が第2空間10にアクセスできない場合においても、第1空間8からの作業によって、第1貫通穴20Aから第2貫通穴20Bにわたってワイヤ30を挿入することが可能となる。
尚、図10に示す態様では、例えば内視鏡のような撮像プローブ52を先端に有するモニタリング装置54を用いて、空間10側の様子を観察しながら、第1磁石46と第2磁石50との係合を行ってもよい。この場合、シール部材2には、貫通穴20として第3貫通穴20Cを形成し、第3貫通穴20Cに撮像プローブ52を挿入することで、空間10側の様子を適切に観察することができる。
図3に戻って、続いて作業員は、第1貫通穴20A及び第2貫通穴20Bに挿入されたワイヤ30のうち先端32及び他端34の一方を固定しながら、他方に張力を与えることにより、シール部材2を切断する(ステップS4:切断工程)。図7では、シール部材2のうち第1貫通穴20A及び第2貫通穴20Bの間の領域が、張力が与えられたワイヤ30によって次第に切断される様子が段階的に示されている。ワイヤ30に張力が与えられると、第2空間10側から第1空間8に向けて次第にシール部材2が切断される。切断後、ワイヤ30はワイヤストッパー36とともに第1空間8に取り出される。
尚、本実施形態では、他端34を固定しながら先端32に張力を与える場合について例示するが、先端32を固定しながら他端34に張力を与えてもよい。
本実施形態では、ワイヤ30の他端34を固定するために、他端34にワイヤストッパー36が取り付けられる。ワイヤストッパー36は、ワイヤ30が挿入される貫通穴20の内径より大きく、先端32に張力が与えられた際にワイヤストッパー36が貫通穴20と干渉することで、ワイヤ30の抜け出しが防止される。
ワイヤ30の先端32に対する張力の付与は、例えば、先端32をウィンチ装置やジャッキ装置で引っ張ることにより行われてもよい。この際、ウィンチ装置やジャッキ装置は、張力の付与時に受ける反力を吸収するために、例えば架台によって所定の位置(壁部材6又はその周辺構成(不図示))に固定されてもよい。これらの装置は、手動によって操作されてもよいし、電動機やエンジンのような動力源を用いて操作されてもよい。例えばシール部材2が比較的柔らかい材料からなる場合には、張力が比較的小さく済み、また作業の確実性や事故防止の観点から、これらの装置を手動で操作してもよい。また張力を付与する際に受ける反力が大きい場合には、ジャッキ装置も有効である。
ここでワイヤ30に与えられる張力Fの大きさは、例えば切断長さL(第1貫通穴20A及び第2貫通穴20B間の距離)、ワイヤ30の径W、引抜速度V及びシール部材2の材料物性のような各種パラメータに基づいて決定することができる。ここで図11は切断長さLとシール部材2を切断するために必要な張力Fとの関係の検証結果である。この結果によれば、切断長さLが大きくなるに従って、ワイヤ30に必要な張力が増加する傾向が示されている。図11には、各ワイヤ30が耐えられる上限張力が破線で示されており、ワイヤ30に与えられる張力は、これらの上限張力を超えない範囲で設定される。
また図11では、異なる径を有する複数のワイヤ30における検証結果が示されており、ワイヤ30の径が大きくなるほど、シール部材2を切断するために必要な張力Fが大きくなる傾向が示されている。
尚、シール部材2の厚さH、貫通穴20の内径Dは作業難易度に影響するものの、張力Fの大きさに対してはあまり影響しない傾向がある。
ここで図12は図6の第1貫通穴20A及び第2貫通穴20Bの変形例である。図12に示すように、第1貫通穴20A及び第2貫通穴20Bは、第1空間8に向って互いの間隔が大きくなるように形成されてもよい。この場合、ワイヤ30によって切り出されるブロックは、作業員がいる第1空間8に向けて広がる形状となるため、切断後にブロックを第1空間8側に取出しやすいメリットがある。
続いてシール部材2の具体的な切断例について幾つか説明する。図13Aはシール部材2に対する貫通穴20の配置に関する他の態様を示す斜視図であり、図13Bは図13Aの貫通穴20を用いて切断されたシール部材2からブロックを取り出す様子を示す斜視図である。
この例では、図13Aに示すように、シール部材2には4つの貫通穴20が形成される。ここでは説明をわかりやすくするために、これらを貫通穴20-1,20-2,20-3,20-4と称して区別する。貫通穴20-1,20-2,20-3,20-4は、シール部材2上に閉ループを描くように配置される。前述のように、貫通穴20は切断範囲に対応することから、このように貫通穴20を配置することで、シール部材2の一部をブロックとして切り出すことができる(ステップS5)。
図14A及び図14Bは図13Aの貫通穴20にワイヤ30を挿入してシール部材2を切断する様子を模式的に示すC線断面図である。この例では、まず図14Aに示すように、貫通穴20-1,20-3を第1貫通穴20A、貫通穴20-2、20-4を第2貫通穴20Bとしてワイヤ30が挿入される。そして、貫通穴20-3に対応する位置にワイヤストッパー36を設けてワイヤ30に張力を与えることで、貫通穴20-3及び20-4の間(図14Aの領域1)におけるシール部材2を切断する。続いて、ワイヤストッパー36の位置を貫通穴20-1に対応する位置に移動し、再びワイヤ30に張力を与えることで、貫通穴20-1及び20-2の間(図14Aの領域2)におけるシール部材2を切断する。
続いて図14Bに示すように、貫通穴20-2,20-4を第1貫通穴20A、貫通穴20-1、20-3を第2貫通穴20Bとしてワイヤ30が挿入される。そして、貫通穴20-2に対応する位置にワイヤストッパー36を設けてワイヤ30に張力を与えることで、貫通穴20-2及び20-3の間(図14Bの領域3)におけるシール部材2を切断する。続いて、ワイヤストッパー36の位置を貫通穴20-4に対応する位置に移動し、再びワイヤ30に張力を与えることで、貫通穴20-4及び20-1の間におけるシール部材2(図14Bの領域4)を切断する。
このように本実施例では、シール部材2に形成した貫通穴20に対してワイヤ30の挿入パターンを切り替えながら切断作業を繰り返すことで、少ない作業工程数で効率的にブロックとして切り出すことができる。
図15はシール部材2に対する貫通穴20の配置に関する他の態様を示す正面図である。図15では、一対の第1貫通穴20A及び第2貫通穴20Bが、貫通部4に配置された配管12を介して互いに対向する位置(配管12を基準に180度対称の位置)にそれぞれ配置されている。この場合、ワイヤ30を配管12の一方を経由するようにワイヤ30がルートAに沿って挿入して張力を付与することで1回目の切断を行い、その後、ワイヤ30を配管12の他方を経由するようにルートBに沿って挿入して張力を付与することで2回目の切断を行う。このように本態様では、シール部材2に形成する貫通穴20の数を抑えるとともに、少ない切断回数で、シール部材2の除去を行うことができる。
図16は図3の変形例である。図16に示すフローチャートでは、切断工程(ステップS4)においてシール部材2が切断され、続くステップS5で切断されたブロックが取り出された後の貫通部4に形成される切断面にシール部材除去剤を塗布するシール部材除去剤塗布工程(ステップS6)を更に備えてもよい。シール部材除去剤塗布工程では、切断工程(ステップS4)でシール部材2を切断し、ステップS5でブロックとして取り出した際に、残存したシール部材2に存在する切断面にシール部材除去剤を塗布する。これによりシール部材除去剤が塗布された切断面に残存するシール部材の接着力が弱くなり、好適に除去することができる(ステップS7)。
シール部材除去剤塗布工程で切断面に塗布されるシール部材除去剤は、シール部材2を構成する材料に基づいて選択することができる。例えば、シール部材2がウレタンゴムを含んで構成される場合、シール部材除去剤は、アルコール、ケトン若しくは官能基に窒素を持つ極性溶媒のうち少なくとも1つを含むように選択することで、切断面に残存するシール部材を好適に除去できる。またシール部材除去剤は、官能基に酸素を持つ極性溶媒、もしくは、官能基に酸素を持つ極性溶媒と官能基に窒素を持つ極性溶媒との混合物であってもよい。官能基に酸素を持つ極性溶媒は、例えば、ヒドロキシ基(-OH)を持つ含む極性溶媒,カルボニル基(-C(=O)-)を持つ極性溶媒である。ヒドロキシ基(-OH)を持つ含む極性溶媒は、例えばアルコール(R-OH)であり、より具体的には、炭素数6以上の高級アルコール(R-OH,RはC6以上のアルキル基),メタノール(CH3-OH)である。カルボニル基(-C(=O)-)を持つ極性溶媒は、例えばケトン(R-C(=O)-R’)であり、より具体的には、アセトン(CH3-C(=O)-CH3)である。また官能基に窒素を持つ極性溶媒は、アミノ基(N-RR’)を持つ極性溶媒,5員環ラクタム(-CO-NR-)構造を持つ極性溶媒である。アミノ基(N-RR’)を持つ極性溶媒は、例えばアミン(N-RR’R’’)である。5員環ラクタム(-CO-NR-)構造を持つ極性溶媒は、例えばメチルピロリドン(C5H9NO)である。このような材料として、アルコールとアミノ基を持つ極性溶媒との混合溶媒、又は、アルコールと5員環ラクタム構造を持つ極性溶媒との混合溶媒を用いることができる。より具体的な例としては、炭素数6以上の高級アルコールとアミンを含む薬品(例えばNCC社製/MEC-REL N-10等)、メタノールとメチルピロリドンを含む薬品(例えばエア・ブラウン社製URESOLVE411等)、ケトン類薬品(例えばアセトン等)がある。
シール部材2がシリコーンゴムを含んで構成される場合、シール部材除去剤は、有機スルホン酸、ハロゲン化アルキル若しくはハロゲン化アルケンの少なくとも1つを含むように選択することで、切断面に残存するシール部材2を好適に除去できる。このような材料として、より具体的には、有機スルホン酸とハロゲン化アルキル若しくはハロゲン化アルケンを含む薬品(例えばカネコ化学社製/eソルブ21RZ、日新化学社製/シリコンクリーナX-200及びシリコンクリーナX-300等)がある。尚、ハロゲンの種類は臭素、塩素、フッ素が好ましく、更に望ましくは電気陰性度が高い程(例えばフッ素>塩素>臭素の順で)好ましい。
以上説明したように上述の各実施形態によれば、シール部材2に形成された第1貫通穴20A及び第2貫通穴20Bにワイヤ30を挿入して張力を与えることで、シール部材2を簡易的に切断できる。このようなシール部材の切断作業を繰り返すことで、シール部材2をブロックとして切り出し、壁部材6の貫通部4からのシール部材2の除去作業を効率的に行うことができる。
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
(1)一態様に係るシール部材の切断方法は、
互いに隣り合う第1空間(例えば上記実施形態の第1空間8)及び第2空間(例えば上記実施形態の第2空間10)を区画する壁部材(例えば上記実施形態の壁部材6)に形成された貫通部(例えば上記実施形態の貫通部4)に設けられたシール部材(例えば上記実施形態のシール部材2)の切断方法であって、
前記シール部材の異なる位置に第1貫通穴(例えば上記実施形態の第1貫通穴20A)及び第2貫通穴(例えば上記実施形態の第2貫通穴20B)をそれぞれ形成する貫通孔形成工程(例えば上記実施形態のステップS1)と、
前記第1空間から前記第2空間に向けてワイヤ(例えば上記実施形態のワイヤ30)を前記第1貫通穴に挿入する第1ワイヤ挿入工程(例えば上記実施形態のステップS2)と、
前記第2空間から前記第1空間に向けて、前記第1貫通穴に挿入された前記ワイヤを更に前記第2貫通穴に挿入する第2ワイヤ挿入工程(例えば上記実施形態のステップS3)と、
前記ワイヤの一端側を固定しながら、前記ワイヤの他端側に張力を与えることにより、前記シール部材を切断する切断工程と(例えば上記実施形態のステップS4)、
を備える。
上記(1)の態様によれば、シール部材に形成された第1貫通穴及び第2貫通穴にワイヤを挿入して張力を与えることで、シール部材を簡易的に切断できる。このようなシール部材の切断作業を繰り返すことで、シール部材をブロックとして切り出し、シール部材の除去作業を効率的に行うことができる。
(2)他の態様では、上記(1)の態様において、
前記切断工程では、前記ワイヤの前記一端側にワイヤストッパー(例えば上記実施形態のワイヤストッパー36)を取り付けることにより、前記一端側を前記シール部材に対して固定する。
上記(2)の態様によれば、ワイヤに張力を与えて切断する際に、ワイヤの一端側にワイヤストッパーを取り付けることで簡易的に固定することができる。
(3)他の態様では、上記(1)又は(2)の態様において、
前記第2ワイヤ挿入工程では、
前記第1空間から前記第2空間に向けて、本体(例えば上記実施形態の本体42)の先端に係合部(例えば上記実施形態の係合部44)が設けられた挿入治具(例えば上記実施形態の挿入治具)を挿入し、
前記係合部によって、前記第1貫通穴に挿入された前記ワイヤの先端を係合した状態で、前記第2空間から前記第1空間に向けて、前記挿入治具を引き抜くことにより、前記ワイヤを前記第2貫通穴に挿入する。
上記(3)の態様によれば、第2貫通穴に挿入された挿入治具によって第1貫通穴に挿入されたワイヤの先端を係合した状態で、挿入治具を第2貫通穴から引き抜くことで、第1貫通穴に挿入されたワイヤを第2貫通穴に適切に導くことができる。
(4)他の態様では、上記(3)の態様において、
前記挿入治具は、前記係合部が設けられた前記先端を前記本体に対して偏向可能である。
上記(4)の態様によれば、挿入治具の先端に設けられた係合部を偏向することで、第1貫通穴に挿入されたワイヤの先端を、第2空間におけるワイヤの先端の係合部への係合作業を容易に実施できる。
(5)他の態様では、上記(3)の態様において、
前記係合部は、前記ワイヤの先端に取り付けられた第1磁石(例えば上記実施形態の第1磁石46)に係合可能な第2磁石(例えば上記実施形態の第2磁石50)を備える。
上記(5)の態様によれば、挿入治具の先端に設けられた第2磁石をワイヤの先端に設けられた第1磁石に吸着することで、第1貫通穴に挿入されたワイヤの先端を、第2空間におけるワイヤの先端の係合部への係合作業を容易に実施できる。
(6)他の態様では、上記(1)から(5)のいずれか一態様において、
前記切断工程では、ウィンチ装置又はジャッキ装置を用いて前記張力を与える。
上記(6)の態様によれば、ウィンチ又はジャッキ装置を用いることで、切断工程でワイヤに張力を好適に与えられる。
(7)他の態様では、上記(1)から(6)のいずれか一態様において、
前記第1貫通穴及び前記第2貫通穴は、前記第1空間に向って互いの間隔が大きくなるように形成される。
上記(7)の態様によれば、第1貫通穴及び第2貫通穴の間隔が、第1空間に向って互いの間隔が大きくなるように形成される。この場合、ワイヤによって切り出されるブロックは、作業員がいる第1空間に向けて広がる形状となるため、切断後にブロックを第1空間側に取出しやすい。
(8)他の態様では、上記(1)から(7)のいずれか一態様において、
前記貫通部には前記第1空間及び前記第2空間にわたって挿入部材(例えば上記実施形態の配管12)が配置されており、
前記シール部材は、前記挿入部材と前記壁部材との間に存在する隙間(例えば上記実施形態の隙間14)を封止するように構成される。
上記(8)の態様によれば、貫通部に配置される貫通部材と壁部材との間の隙間を封止するシール部材を好適に切断することができる。
(9)他の態様では、上記(8)において、
前記貫通孔形成工程では、前記第1貫通穴及び第2貫通穴が前記貫通部材を介して互いに対向する位置に形成される。
上記(9)の態様によれば、第1貫通穴及び第2貫通穴を貫通部材を介して互いに対向する位置に形成することで、少ない工程数でシール部材を効率的に切断できる。
(10)他の態様では、上記(1)から(9)のいずれか一態様において、
前記切断工程によって前記シール部材が切断されることにより前記貫通部に形成される切断面にシール部材除去剤を塗布するシール部材除去剤塗布工程を更に備える。
上記(10)の態様によれば、切断工程でシール部材を除去して形成された切断面にシール部材除去剤を塗布することで、切断面に残存したシール部材を好適に除去することができる。
(11)他の態様では、上記(10)の態様において、
前記シール部材除去剤は、アルコール、ケトン若しくは官能基に窒素を持つ極性溶媒のうち少なくとも1つを含む。
上記(11)の態様によれば、このような材料を含むシール部材除去剤を用いることで、例えばウレタンゴムからなるシール部材を好適に除去できる。
(12)他の態様では、上記(10)又は(11)の態様において、
前記シール部材除去剤は、有機スルホン酸、ハロゲン化アルキル若しくはハロゲン化アルケンの少なくとも1つを含む。
上記(12)の態様によれば、このような材料を含むシール部材除去剤を用いることで、例えばシリコーンゴムからなるシール部材を好適に除去できる。
(13)他の態様では、上記(1)から(12)のいずれか一態様において、
前記壁部材は、原子力プラントの建屋を構成する。
上記(13)によれば、原子力プラントの建屋を構成する壁部材の貫通部に、津波等の浸水を防止するために設けられたシール部材を好適に切断できる。
1 構造体
2 シール部材
4 貫通部
5 内部空間
6 壁部材
8 第1空間
10 第2空間
12 配管
14 隙間
20 貫通穴
20A 第1貫通穴
20B 第2貫通穴
30 ワイヤ
32 先端
36 ワイヤストッパー
40 挿入治具
42 本体
42a 第1部材
42b 第2部材
42c 第3部材
42d リング
42e ヒンジ
44 係合部
46 第1磁石
50 第2磁石

Claims (13)

  1. 互いに隣り合う第1空間及び第2空間を区画する壁部材に形成された貫通部に設けられたシール部材の切断方法であって、
    前記シール部材の異なる位置に第1貫通穴及び第2貫通穴をそれぞれ形成する貫通孔形成工程と、
    前記第1空間から前記第2空間に向けてワイヤを前記第1貫通穴に挿入する第1ワイヤ挿入工程と、
    前記第2空間から前記第1空間に向けて、前記第1貫通穴に挿入された前記ワイヤを更に前記第2貫通穴に挿入する第2ワイヤ挿入工程と、
    前記ワイヤの一端側を固定しながら、前記ワイヤの他端側に張力を与えることにより、前記シール部材を切断する切断工程と、
    を備える、シール部材の切断方法。
  2. 前記切断工程では、前記ワイヤの前記一端側にワイヤストッパーを取り付けることにより、前記一端側を前記シール部材に対して固定する、請求項1に記載のシール部材の切断方法。
  3. 前記第2ワイヤ挿入工程では、
    前記第1空間から前記第2空間に向けて、本体の先端に係合部が設けられた挿入治具を挿入し、
    前記係合部によって、前記第1貫通穴に挿入された前記ワイヤの先端を係合した状態で、前記第2空間から前記第1空間に向けて、前記挿入治具を引き抜くことにより、前記ワイヤを前記第2貫通穴に挿入する、請求項1又は2に記載のシール部材の切断方法。
  4. 前記挿入治具は、前記係合部が設けられた前記先端を前記本体に対して偏向可能である、請求項3に記載のシール部材の切断方法。
  5. 前記係合部は、前記ワイヤの先端に取り付けられた第1磁石に係合可能な第2磁石を備える、請求項3に記載のシール部材の切断方法。
  6. 前記切断工程では、ウィンチ装置又はジャッキ装置を用いて前記張力を与える、請求項1から5のいずれか一項に記載のシール部材の切断方法。
  7. 前記第1貫通穴及び前記第2貫通穴は、前記第1空間に向って互いの間隔が大きくなるように形成される、請求項1から6のいずれか一項に記載のシール部材の切断方法。
  8. 前記貫通部には前記第1空間及び前記第2空間にわたって挿入部材が配置されており、
    前記シール部材は、前記挿入部材と前記壁部材との間に存在する隙間を封止するように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載のシール部材の切断方法。
  9. 前記貫通孔形成工程では、前記第1貫通穴及び第2貫通穴が前記貫通を介して互いに対向する位置に形成される、請求項8に記載のシール部材の切断方法。
  10. 前記切断工程によって前記シール部材が切断されることにより前記貫通部に形成される切断面にシール部材除去剤を塗布するシール部材除去剤塗布工程を更に備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のシール部材の切断方法。
  11. 前記シール部材除去剤は、アルコール、ケトン若しくは官能基に窒素を持つ極性溶媒のうち少なくとも1つを含む、請求項10に記載のシール部材の切断方法。
  12. 前記シール部材除去剤は、有機スルホン酸、ハロゲン化アルキル若しくはハロゲン化アルケンの少なくとも1つを含む、請求項10又は11に記載のシール部材の切断方法。
  13. 前記壁部材は、原子力プラントの建屋を構成する、請求項1から12のいずれか一項に記載のシール部材の切断方法。
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