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JP7670560B2 - ワイヤ送給システム及びワイヤ送給方法 - Google Patents
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JP7670560B2 - ワイヤ送給システム及びワイヤ送給方法 - Google Patents

ワイヤ送給システム及びワイヤ送給方法 Download PDF

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Description

本発明は、ワイヤ送給システム及びワイヤ送給方法に関する。
一般的に、アーク溶接を行う際には金属の表面にスラグが発生し、当該スラグは、溶接の仕上がりに影響を及ぼしたり、アークの発生を妨げたりする原因となる場合がある。このため、アーク溶接を行う際には、発生したスラグを除去することが行われている。
特許文献1では、スラグ除去プロセスにおいて、溶接ワイヤの周期的な高速の繰り返し前後運動によってスラグを除去し、短絡監視ユニットによる溶接ワイヤとワークピースとの間の短絡検出があると、スラグ除去プロセスが終了する技術が開示されている。
特許第5230600号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、溶接ワイヤの周期的な高速の繰り返し前後運動によって、チップ先端の摩耗が大きくなったり、溶接ワイヤを移動させるモータに掛かる負荷が大きくなったりする。その結果、チップやモータ等の部品の寿命が短くなってしまうという問題があった。
そこで、本発明は、チップやモータ等の部品の寿命が短くなることを軽減するワイヤ送給システム及びワイヤ送給方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るワイヤ送給システムは、溶接ワイヤを送給するワイヤ送給部と、母材の方向である正方向に溶接ワイヤを送給する正送給、又は正方向と逆方向とに繰り返して溶接ワイヤを送給する正逆送給を行うように、ワイヤ送給部を制御するワイヤ送給制御部と、アークを発生させるために溶接ワイヤを正送給するスローダウン制御において、アークが開始するか否かを検知する検知部と、を備え、ワイヤ送給制御部は、検知部によってアークが開始しないことが検知された場合には、アークを発生させるための電圧印加を継続しつつ正逆送給を行うようにワイヤ送給部を制御する。
この態様によれば、検知部によってアークを発生させるために溶接ワイヤを正送給するスローダウン制御において、アークが開始しないことが検知された場合には、ワイヤ送給制御部は、アークを発生させるための電圧印加を継続しつつ溶接ワイヤの正逆送給を行うようにワイヤ送給部を制御する。これにより、溶接ワイヤの正送給を継続することによってモータに過大な負荷が掛かることを回避し、チップと母材との強い接触によって生じる損傷を回避することができる。その結果、チップやモータ等の部品の寿命が短くなることを軽減することができる。
上記態様において、ワイヤ送給制御部によってスローダウン制御において正逆送給を行うようにワイヤ送給部が制御される場合、当該正逆送給のうち正方向への溶接ワイヤの送給速度は、スローダウン制御における正送給の溶接ワイヤの送給速度よりも大きくてもよい。
この態様によれば、スローダウン制御において、正逆送給のうち正方向への溶接ワイヤの送給速度は、正送給の溶接ワイヤの送給速度よりも大きいため、溶接ワイヤの先端に付着しているスラグ等、及び溶接ワイヤと母材との間に存在しているスラグ等を適切に除去することができる。
上記態様において、正逆送給において、正方向に送給される溶接ワイヤ量は、逆方向に送給される溶接ワイヤ量以上であってもよい。
この態様によれば、正逆送給において、正方向に送給される溶接ワイヤ量は、逆方向に送給される溶接ワイヤ量以上であるため、溶接ワイヤの先端にあるチップと母材とが接触を繰り返し、溶接ワイヤの先端に付着しているスラグ等、及び溶接ワイヤと母材との間に存在しているスラグ等を適切に除去することができる。
上記態様において、ワイヤ送給制御部は、スローダウン制御が開始されてから所定時間経過までにアークが開始しない場合には、正逆送給を行うようにワイヤ送給部を制御してもよい。
この態様によれば、スローダウン制御が開始されてから所定時間経過までにアークが開始しない場合には、溶接ワイヤの正逆送給が開始されるため、溶接ワイヤの正送給が継続され続けてチップやモータ等に過大な負荷が掛かることを防止することができる。
上記態様において、所定時間は、アークが開始した履歴又はアークが開始しなかった履歴の少なくともいずれかに基づいて算出されてもよい。
この態様によれば、所定時間は、アークが開始した履歴又はアークが開始しなかった履歴の少なくともいずれかに基づいて算出されるため、溶接機、ワイヤ送給システムの各部及び溶接ワイヤ等の種類や性能に応じて、より適切なタイミングで溶接ワイヤの正逆送給を開始させることができる。これにより、より適切に、溶接ワイヤの正送給を継続することによってモータに過大な負荷が掛かることを回避し、チップと母材との強い接触によって生じる損傷を回避することができる。その結果、チップやモータ等の部品の寿命が短くなることを軽減することができる。
本発明の一態様に係るワイヤ送給方法は、溶接ワイヤを送給するワイヤ送給システムが実行するワイヤ送給方法であって、アークを発生させるために溶接ワイヤを送給するスローダウン制御において、母材の方向である正方向に溶接ワイヤを送給する正送給ステップと、正送給ステップにおいてアークが開始するか否かを検知する検知ステップと、検知ステップでアークが開始しないことが検知された場合には、アークを発生させるための電圧印加を継続しつつ正方向と逆方向とに繰り返して溶接ワイヤを送給する正逆送給ステップとを含む。
この態様によれば、アークを発生させるために溶接ワイヤを送給するスローダウン制御において、検知ステップでアークが開始しないことが検知された場合には、アークを発生させるための電圧印加を継続しつつ正逆送給ステップで正方向と逆方向とに繰り返して溶接ワイヤを送給する。これにより、溶接ワイヤの正送給を継続することによってモータに過大な負荷が掛かることを回避し、チップと母材との強い接触によって生じる損傷を回避することができる。その結果、チップやモータ等の部品の寿命が短くなることを軽減することができる。
本発明によれば、チップやモータ等の部品の寿命が短くなることを軽減するワイヤ送給システム及びワイヤ送給方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るワイヤ送給システム1の概略構成を例示するブロック図である。 本発明の一実施形態に係るワイヤ送給システム1において、溶接ワイヤ4が送給されてアークが開始される様子を示す図である。 本発明の一実施形態に係るワイヤ送給システム1が実行するワイヤ送給方法M100を示すフローチャートである。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、あくまで、本発明を実施するための具体的な一例を挙げるものであって、本発明を限定的に解釈させるものではない。また、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する場合がある。
<一実施形態>
[ワイヤ送給システムの構成/機能]
図1は、本発明の一実施形態に係るワイヤ送給システム1の概略構成を例示するブロック図である。ワイヤ送給システム1は、ワイヤリール2に巻かれた溶接ワイヤ4を、アーク溶接を行う溶接トーチ3に送給するシステムである。ワイヤ送給システム1は、例えば、ワイヤ送給部10と、ワイヤ送給制御部20と、検知部30とを備える。なお、ワイヤ送給部10は、第1のワイヤ送給部11と、ワイヤバッファ12と、第2のワイヤ送給部13とを含む。
第1のワイヤ送給部11は、ワイヤリール2に巻かれた溶接ワイヤ4を溶接トーチ3に向けて送給する。第1のワイヤ送給部11は、例えば、溶接ワイヤ4を前進又は後退させるローラ(不図示)と、このローラを回転させるモータ(不図示)とを有する。溶接ワイヤ4の前進とは、溶接ワイヤ4が溶接トーチ3の方向に移動することであり(正送給)、溶接ワイヤ4の後退とは、溶接ワイヤ4がワイヤリール2の方向に移動することである(逆送給)。
モータは、ワイヤ送給制御部20からの指示に従って、溶接ワイヤ4を前進させる方向又は後退させる方向に回転する。
例示的に、第1のワイヤ送給部11は、溶接するときには、ワイヤ送給制御部20からの指示に従って、溶接ワイヤ4を前進させる方向に送給する。また、第1のワイヤ送給部11は、較正するときには、ワイヤ送給制御部20からの指示に従って、溶接ワイヤ4を前進させる方向又は後退させる方向に移動させる。
第2のワイヤ送給部13は、ワイヤバッファ12に収容された溶接ワイヤ4を溶接トーチ3に送給する。第2のワイヤ送給部13は、前述した第1のワイヤ送給部11と同様に、ローラとモータとを有する。ローラ及びモータの詳細については省略する。
例示的に、第2のワイヤ送給部13は、溶接するときには、ワイヤ送給制御部20からの指示に従って、溶接ワイヤ4を母材に対して前進と後退とを高速に繰り返しながら、溶接トーチ3に溶接ワイヤ4を送給する(正逆送給)。また、第2のワイヤ送給部13は、較正するときには、ワイヤ送給制御部20からの指示に従って、溶接ワイヤ4を前進させる方向又は後退させる方向に移動させる。
ワイヤバッファ12は、第1のワイヤ送給部11と第2のワイヤ送給部13との間に設けられ、第1のワイヤ送給部11と第2のワイヤ送給部13とで送給される溶接ワイヤ4の差分を吸収する。ワイヤバッファ12によって、前進させる方向又は後退させる方向いずれにおいても溶接ワイヤ4をスムーズに送給できるようにしている。
ワイヤ送給制御部20は、物理的な構成として、例えば、プロセッサ、メモリ及び通信インタフェースを含む制御ユニットにより構成される。ワイヤ送給制御部20は、プロセッサがメモリに格納された所定のプログラムを実行することにより、溶接ワイヤ4を、前進させる方向、後退させる方向、又は前進させる方向と後退させる方向とに繰り返して、送給するようにワイヤ送給部10を制御する機能を実現する。
検知部30は、アークを発生させるために溶接ワイヤ4を正送給するスローダウン制御において、アークが開始するか否かを検知する。例えば、溶接を行う際には、溶接の開始位置まで溶接トーチ3を移動させて溶接ワイヤ4を送給するが、アークが発生するまではスローダウン制御が行われる。スローダウン制御では、溶接の際に溶接ワイヤ4を送給する送給速度よりも遅い速度で溶接ワイヤ4が送給される。
通常、ワイヤ送給制御部20は、溶接の開始位置まで溶接トーチ3を移動させて、スローダウン制御において、溶接ワイヤ4を正送給するようにワイヤ送給部10を制御し、溶接ワイヤ4の先端を母材に接触させることによりアークを発生させる。ここで、正常に溶接ワイヤ4の先端と母材とが接触していればアークが発生するべき状況であるにもかかわらず、実際に、アークが開始しない場合があり、検知部30は、アークが開始しないことを検知する。
例えば、検知部30は、モータの負荷を監視することにより、アークを発生させるために溶接ワイヤ4を正送給するスローダウン制御において、アークが開始するか否かを検知する。溶接ワイヤ4は、モータを駆動することにより送給されるが、溶接ワイヤ4の先端が母材に直接的又は間接的に当接して、さらに溶接ワイヤ4の送給を継続すると、モータに掛かる負荷が上昇する。つまり、検知部30は、モータの負荷が閾値に到達してもアークが開始しない場合には、例えば、溶接ワイヤ4の先端と母材との間にスラグ等が介在する等して、正常に溶接ワイヤ4の先端と母材とが接触していない可能性があり、アークを発生させるために溶接ワイヤ4を正送給するスローダウン制御において、アークが開始しないとして検知すればよい。
なお、アークが開始しているか否かについては、検知部30は、典型的には、溶接ワイヤ4と母材との電気的接触である短絡を検知すればよい。検知部30は、溶接ワイヤ4と母材との短絡を検知することによってアークの開始を検知できるものであれば何でも構わないが、例えば、電圧信号(電圧値、電圧波形)や電流信号(電流値、電流波形)等を検出して短絡を判定するような短絡判定回路を用いて実現すればよい。
ワイヤ送給制御部20は、検知部30での検知状況及び検知結果に基づいて、溶接ワイヤ4の送給方法を判断する。例えば、ワイヤ送給制御部20は、溶接ワイヤ4が正送給されて、検知部30によってアークが開始しないことが検知された場合には、アークを発生させるための電圧印加を継続しつつ正逆送給を行うようにワイヤ送給部10を制御する。以下に、その様子について詳しく説明する。
[ワイヤ送給システムにおける溶接ワイヤの送給制御]
図2は、本発明の一実施形態に係るワイヤ送給システム1において、溶接ワイヤ4が送給されてアークが開始される様子を示す図である。例えば、溶接を行う際には、溶接の開始位置まで溶接トーチ3を移動させて溶接ワイヤ4を送給するが、アークが発生するまではスローダウン制御が行われる。
図2に示されるように、先ず、溶接トーチ3から母材の方向である正方向に溶接ワイヤ4が送給される(正送給)。具体的には、ワイヤ送給制御部20は、溶接トーチ3から正方向に溶接ワイヤ4を送給するようにワイヤ送給部10を制御する。図1を用いて説明したように、ワイヤ送給部10は、ワイヤ送給制御部20からの指示に従って、溶接ワイヤ4を前進させる方向にローラを回転させるモータを駆動させて、溶接ワイヤ4を正送給する。
そして、スローダウン制御において、ゆっくりと母材の方向に送給される溶接ワイヤ4の先端は母材に到達し、ここで、溶接ワイヤ4と母材との電気的接触(短絡)が起これば、アークが発生するが、例えば、スラグ等の影響により、溶接ワイヤ4と母材との電気的接触(短絡)が起こらず、アークが発生しない場合がある。
換言すれば、溶接ワイヤ4の先端が母材に到達したように見えるが、厳密には、溶接ワイヤ4と母材との間にスラグが存在する等の原因により、短絡判定回路等である検知部30では、溶接ワイヤ4と母材とが電気的接触(短絡)したと検知しない場合がある。
このように、アークを発生させるために溶接ワイヤ4を正送給するスローダウン制御において、アークが開始されずに溶接ワイヤ4の正送給が継続されると、モータに掛かる負荷がさらに上昇することになる。
そして、モータに掛かる負荷が上昇し、予め設定された閾値に到達した場合、溶接トーチ3から母材の方向である正方向と、それとは反対の方向である逆方向とに繰り返して溶接ワイヤ4が送給される(正逆送給)。具体的には、ワイヤ送給制御部20は、溶接トーチ3から正方向と逆方向とに繰り返すように溶接ワイヤ4を送給するようにワイヤ送給部10を制御する。図1を用いて説明したように、ワイヤ送給部10は、ワイヤ送給制御部20からの指示に従って、溶接ワイヤ4を前進と後退とを繰り返すように、ローラを回転させるモータを駆動させて、溶接ワイヤ4を正逆送給する。この時、スローダウン制御における溶接ワイヤ4の正逆送給は、アークを発生させるための電圧が継続的に印加されている状態で実行される。アークを発生させるための電圧は、例えばワイヤ送給システム1に含まれ得る溶接電源部(不図示)により出力される。溶接電源部は、溶接電源装置として個別に分散して備えることとしてもよい。
上述したように、アークが発生するまではスローダウン制御されるため、当該正逆送給においても、溶接の際に溶接ワイヤ4を送給する送給速度よりも遅い速度で溶接ワイヤ4が正逆送給される。
ここで、スローダウン制御における正逆送給について詳しく説明する。正逆送給は、溶接ワイヤ4が母材に近づく方向(正方向、前進)への正送給と、溶接ワイヤ4が母材から遠ざかる方向(逆方向、後退)への逆送給とを繰り返すが、正送給での溶接ワイヤ4の送給量と逆送給での溶接ワイヤ4の送給量とは、同一になるように設定する。
正送給と逆送給とで溶接ワイヤ4の送給量が異なると、例えば、逆送給での溶接ワイヤ4の送給量が正送給での溶接ワイヤ4の送給量よりも大きい場合、溶接ワイヤ4の先端と母材との距離が離れていく。このため、溶接ワイヤ4の先端に付着しているスラグ等、及び溶接ワイヤ4と母材との間に存在しているスラグ等が除去できない場合がある。すなわち、溶接ワイヤ4と母材との電気的接触を阻害しているスラグ等が除去できずに、アークの開始に至らない。
仮に、正逆送給による振動によって溶接ワイヤ4の先端に付着しているスラグ等が除去できたとしても、溶接ワイヤ4の先端と母材との距離が離れていくため、当該正逆送給において、溶接ワイヤ4と母材とが物理的に接触しなくなり、電気的接触(短絡)が起こらないため、アークの開始に至らない。
また、正逆送給において、例えば、溶接ワイヤ4を正送給して溶接ワイヤ4の先端が母材に接触すれば、溶接ワイヤ4の先端で母材の表面を押圧することになる。この場合、正送給での溶接ワイヤ4の送給量と逆送給での溶接ワイヤ4の送給量とを同一に設定していたとしても、実際には、逆方向への移動量の方が正方向への移動量よりも大きくなる可能性がある。その結果、正逆送給において、溶接ワイヤ4の先端と母材との距離が離れていくことになるため、当該正逆送給において、溶接ワイヤ4と母材とが物理的に接触しなくなる。つまり、正逆送給において、適切に溶接ワイヤ4と母材とを接触させるためには、正送給での溶接ワイヤ4の送給量が逆送給での溶接ワイヤ4の送給量よりも大きく設定しておくことが好ましい場合がある。
正送給での溶接ワイヤ4の送給量が逆送給での溶接ワイヤ4の送給量よりも大きい場合、正逆送給において、適切に溶接ワイヤ4と母材とを接触させるため、溶接ワイヤ4の先端に付着しているスラグ等、及び溶接ワイヤ4と母材との間に存在しているスラグ等を除去できる可能性は向上する。正逆送給において、溶接ワイヤ4と母材との接触を繰り返し、例えば、その振動及び接触の衝撃によって、溶接ワイヤ4の先端に付着しているスラグ等、及び母材の表面に付着しているスラグ等が割れたりして除去できる。しかし、正送給での溶接ワイヤ4の送給量が逆送給での溶接ワイヤ4の送給量よりも大き過ぎると、溶接ワイヤ4の先端にあるチップと母材との接触が強くなるため、チップや母材を損傷させる可能性がある。
したがって、スローダウン制御における正逆送給において、正送給での溶接ワイヤ4の送給量と逆送給での溶接ワイヤ4の送給量とは、同一、又は、ほぼ同一で、正送給での溶接ワイヤ4の送給量が逆送給での溶接ワイヤ4の送給量以上に設定されることが好ましい。すなわち、図2に示される面積A1(逆送給量)≦面積A2(正送給量)、及び面積B1(逆送給量)≦面積B2(正送給量)である。これにより、溶接ワイヤ4の先端にあるチップと母材との接触によって、チップや母材を損傷させる可能性を軽減し、溶接ワイヤ4の先端に付着しているスラグ等、及び溶接ワイヤ4と母材との間に存在しているスラグ等を除去できる可能性を向上させることができる。
その結果、溶接ワイヤ4と母材との電気的接触(短絡)が起きることにより、アークが発生し、溶接が行われる。
さらに、スローダウン制御における正逆送給において、当該正逆送給のうち正方向への溶接ワイヤ4の送給速度は、スローダウン制御における正送給の溶接ワイヤ4の送給速度よりも大きい方が好ましい場合がある。上述したように、スローダウン制御における正送給でアークが発生しなかった場合に、溶接ワイヤ4を正逆送給させるように制御するが、この時、正逆送給のうち正方向への溶接ワイヤ4の送給速度を正送給の送給速度よりも大きくすることによって、溶接ワイヤ4の先端に付着しているスラグ等、及び溶接ワイヤ4と母材との間に存在しているスラグ等を適切に除去できる可能性が向上する。その結果、アークの発生を妨げている原因を取り除いて、溶接ワイヤ4と母材との電気的接触(短絡)が起きることにより、アークが発生し、溶接が行われる。
[ワイヤ送給方法]
次に、本発明の一実施形態に係るワイヤ送給システム1が実行するワイヤ送給方法について、具体的に詳しく説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係るワイヤ送給システム1が実行するワイヤ送給方法M100を示すフローチャートである。図3に示されるように、ワイヤ送給方法M100は、ステップS101~S104を含み、各ステップは、ワイヤ送給システム1に含まれるプロセッサによって実行される。
ステップS101では、ワイヤ送給部10は、母材の方向である正方向に溶接ワイヤ4を送給する(正送給ステップ)。具体的には、ワイヤ送給制御部20は、スローダウン制御において、溶接ワイヤ4を正送給するようにワイヤ送給部10を制御する。
ステップS102では、ステップS101で溶接ワイヤ4がスローダウン制御において正送給されて、検知部30がアークの開始を検知すれば(検知ステップ)、ステップS104の処理に進み(ステップS102のYes)、アークの開始を検知しなければ、ステップS103の処理に進む(ステップS102のNo)。
ステップS103では、ワイヤ送給部10は、正方向と逆方向とに繰り返して溶接ワイヤ4を送給する(正逆送給ステップ)。具体的には、ワイヤ送給制御部20は、スローダウン制御において、アークを発生させるための電圧印加を継続しつつ溶接ワイヤ4を正逆送給するようにワイヤ送給部10を制御する。
ステップS104では、溶接が行われ、ワイヤ送給システム1としては、溶接に応じて溶接ワイヤ4を送給する。具体的には、ワイヤ送給制御部20は、スローダウン制御から溶接制御に移行し、スローダウン制御での送給速度よりも速い速度で溶接ワイヤ4を送給するように、ワイヤ送給部10を制御する。
なお、ここでは、ステップS103において、溶接ワイヤ4を正逆送給するようにワイヤ送給部10を制御することによってアークが開始するものとして、ステップS104の処理に進むが、より詳細には、溶接ワイヤ4を正逆送給してアークの開始が検知されれば、ステップS104に進む。仮に、例えば、ステップS103において、溶接ワイヤ4を正逆送給するようにワイヤ送給部10を制御しても、所定時間、アークが開始しなければ、アークが開始しないものとしてユーザに異常を通知するようにしても構わない。
以上のように、本発明の一実施形態に係るワイヤ送給システム1及びワイヤ送給方法M100によれば、アークを発生させるために溶接ワイヤ4を正送給するスローダウン制御において、アークが開始せずに、モータに掛かる負荷が閾値に到達した場合には、ワイヤ送給制御部20は、アークを発生させるための電圧印加を継続しつつ溶接ワイヤ4の正逆送給を行うようにワイヤ送給部10を制御する。これにより、モータに過大な負荷が掛かることを回避し、チップと母材との強い接触によって生じる損傷を回避することができる。その結果、チップやモータ等の部品の寿命が短くなることを軽減することができる。
なお、本実施形態では、モータの負荷が閾値に到達してもアークが開始しない場合には、検知部30によってアークが開始しないと検知され、ワイヤ送給制御部20は、溶接ワイヤ4を正逆送給するようにワイヤ送給部10を制御していたが、検知部30によってアークが開始しないと検知する手段は、これに限定されるものではない。
例えば、ワイヤ送給制御部20からの送給指令に対応する、実際に送給された溶接ワイヤ4の送給量やワイヤバッファ12の状態に基づいて、検知部30によってアークが開始しないと検知され、ワイヤ送給制御部20は、溶接ワイヤ4を正逆送給するようにワイヤ送給部10を制御しても構わない。
より具体的には、アークを発生させるために溶接ワイヤ4を正送給するスローダウン制御において、アークが開始せずに、継続してワイヤ送給制御部20からの送給指令により溶接ワイヤ4をさらに正送給すれば、溶接ワイヤ4の先端は既に母材に直接的又は間接的に当接しているため、実際には、当該送給指令に対応する溶接ワイヤ4の送給量には至らず、ワイヤバッファ12に収容される溶接ワイヤ4が増加して余剰状態になる。このように、送給指令に対応する実際の送給量及びワイヤバッファ12における溶接ワイヤ4の余剰状態に基づいて、検知部30によってアークが開始しないと検知されても構わない。
また、通常、スローダウン制御において溶接ワイヤ4を正送給すれば、溶接ワイヤ4と母材との間にスラグ等が存在しない場合には、溶接ワイヤ4と母材との間で電気的接触(短絡)が起こり、アークが開始される。このため、スローダウン制御が開始されてから所定時間経過までに、検知部30によってアークの開始が検知されなければ、アークが開始しないと判断して、ワイヤ送給制御部20は、溶接ワイヤ4を正逆送給するようにワイヤ送給部10を制御しても構わない。
さらに、所定時間は、アークが開始した履歴又はアークが開始しなかった履歴の少なくともいずれかに基づいて算出されても構わない。例えば、溶接機、ワイヤ送給システム1、検知部30及び溶接ワイヤ4等の種類、性能及びその他環境等の様々な要因により、スローダウン制御において溶接ワイヤ4を正送給してからアークが開始されるまでの時間にバラツキがある可能性がある。このため、スローダウン制御において溶接ワイヤ4を正送給してからアークが開始されるまでの時間を、履歴としてメモリ等に記憶しておいて、それらの履歴に基づいて、所定時間を設定するようにしても構わない。
また、検知部30は、例えば、CCDカメラ及びレーザセンサ等の光学式センサ等を用いて、一見、溶接ワイヤ4の先端が母材に到達していることを検知し、アークが開始されるべき状況にもかかわらず、アークが開始されなければ、アークが開始しないと検知しても構わない。
なお、本実施形態では、ワイヤ送給制御部20及び検知部30は、ワイヤ送給部10と同一の筐体に配置され、図1に示されたワイヤ送給システム1は、1つのワイヤ送給装置として捉えることができるが、これに限定されるものではない。例えば、ワイヤ送給制御部20、検知部30の全部又は一部をワイヤ送給部10とは異なる筐体(例えば、制御装置等)に配置され、有線又は無線を介して、ワイヤ送給部10に送給指令等を送信することによって制御しても構わない。
さらに、ワイヤ送給制御部20は、スローダウン制御において溶接ワイヤ4が正送給され、アークが開始しない場合には、正逆送給を行うようにワイヤ送給部10を制御していたが、当該制御を伴う機能を有効にするか無効にするかをユーザが選択できるようにしても構わない。ユーザは、例えば、ティーチングペンダント等の操作することによって有効又は無効を選択すればよい。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
1…ワイヤ送給システム、2…ワイヤリール、3…溶接トーチ、4…溶接ワイヤ、10…ワイヤ送給部、11…第1のワイヤ送給部、12…ワイヤバッファ、13…第2のワイヤ送給部、20…ワイヤ送給制御部、30…検知部、M100…ワイヤ送給方法、S101~S104…ワイヤ送給方法M100の各ステップ

Claims (6)

  1. 溶接ワイヤを送給するワイヤ送給部と、
    母材の方向である正方向に前記溶接ワイヤを送給する正送給、又は前記正方向と逆方向とに繰り返して前記溶接ワイヤを送給する正逆送給を行うように、前記ワイヤ送給部を制御するワイヤ送給制御部と、
    アークを発生させるために前記溶接ワイヤを正送給するスローダウン制御において、アークが開始するか否かを検知する検知部と、を備え、
    前記ワイヤ送給制御部は、前記検知部によってアークが開始しないことが検知された場合には、前記アークを発生させるための電圧印加を継続しつつ前記正逆送給を行うように前記ワイヤ送給部を制御し、
    前記ワイヤ送給制御部によってスローダウン制御において前記正逆送給を行うように前記ワイヤ送給部が制御される場合、当該正逆送給のうち前記正方向への前記溶接ワイヤの送給速度は、スローダウン制御における前記正送給の前記溶接ワイヤの送給速度よりも大きい
    イヤ送給システム。
  2. 溶接ワイヤを送給するワイヤ送給部と、
    母材の方向である正方向に前記溶接ワイヤを送給する正送給、又は前記正方向と逆方向とに繰り返して前記溶接ワイヤを送給する正逆送給を行うように、前記ワイヤ送給部を制御するワイヤ送給制御部と、
    アークを発生させるために前記溶接ワイヤを正送給するスローダウン制御において、アークが開始するか否かを検知する検知部と、を備え、
    前記ワイヤ送給制御部は、前記検知部によってアークが開始しないことが検知された場合には、前記アークを発生させるための電圧印加を継続しつつ前記正逆送給を行うように前記ワイヤ送給部を制御し、
    前記正逆送給において、前記正方向に送給される溶接ワイヤ量は、前記逆方向に送給される溶接ワイヤ量以上である
    イヤ送給システム。
  3. 溶接ワイヤを送給するワイヤ送給部と、
    母材の方向である正方向に前記溶接ワイヤを送給する正送給、又は前記正方向と逆方向とに繰り返して前記溶接ワイヤを送給する正逆送給を行うように、前記ワイヤ送給部を制御するワイヤ送給制御部と、
    アークを発生させるために前記溶接ワイヤを正送給するスローダウン制御において、アークが開始するか否かを検知する検知部と、を備え、
    前記ワイヤ送給制御部は、前記検知部によってアークが開始しないことが検知された場合には、前記アークを発生させるための電圧印加を継続しつつ前記正逆送給を行うように前記ワイヤ送給部を制御し、
    前記ワイヤ送給制御部は、前記スローダウン制御が開始されてから所定時間経過までにアークが開始しない場合には、前記正逆送給を行うように前記ワイヤ送給部を制御し、
    前記所定時間は、アークが開始した履歴又はアークが開始しなかった履歴の少なくともいずれかに基づいて算出される
    イヤ送給システム。
  4. 溶接ワイヤを送給するワイヤ送給システムが実行するワイヤ送給方法であって、
    アークを発生させるために前記溶接ワイヤを送給するスローダウン制御において、母材の方向である正方向に前記溶接ワイヤを送給する正送給ステップと、
    前記正送給ステップにおいてアークが開始するか否かを検知する検知ステップと、
    前記検知ステップでアークが開始しないことが検知された場合には、前記アークを発生させるための電圧印加を継続しつつ前記正方向と逆方向とに繰り返して前記溶接ワイヤを送給する正逆送給ステップと、を含み、
    前記正逆送給ステップにおいて前記正方向と前記逆方向とに繰り返して前記溶接ワイヤが送給される場合の前記正方向への前記溶接ワイヤの送給速度は、前記正送給ステップのスローダウン制御における前記正方向への前記溶接ワイヤの送給速度よりも大きい、
    ワイヤ送給方法。
  5. 溶接ワイヤを送給するワイヤ送給システムが実行するワイヤ送給方法であって、
    アークを発生させるために前記溶接ワイヤを送給するスローダウン制御において、母材の方向である正方向に前記溶接ワイヤを送給する正送給ステップと、
    前記正送給ステップにおいてアークが開始するか否かを検知する検知ステップと、
    前記検知ステップでアークが開始しないことが検知された場合には、前記アークを発生させるための電圧印加を継続しつつ前記正方向と逆方向とに繰り返して前記溶接ワイヤを送給する正逆送給ステップと、を含み、
    前記正逆送給ステップにおいて前記正方向と前記逆方向とに繰り返して前記溶接ワイヤが送給される場合の前記正方向に送給される溶接ワイヤ量は、前記逆方向に送給される溶接ワイヤ量以上である、
    ワイヤ送給方法。
  6. 溶接ワイヤを送給するワイヤ送給システムが実行するワイヤ送給方法であって、
    アークを発生させるために前記溶接ワイヤを送給するスローダウン制御において、母材の方向である正方向に前記溶接ワイヤを送給する正送給ステップと、
    前記正送給ステップにおいてアークが開始するか否かを検知する検知ステップと、
    前記検知ステップでアークが開始しないことが検知された場合には、前記アークを発生させるための電圧印加を継続しつつ前記正方向と逆方向とに繰り返して前記溶接ワイヤを送給する正逆送給ステップと、を含み、
    前記正逆送給ステップでは、前記スローダウン制御が開始されてから所定時間経過までにアークが開始しない場合には、前記アークを発生させるための電圧印加を継続しつつ前記正方向と逆方向とに繰り返して前記溶接ワイヤを送給することを開始し、
    前記所定時間は、アークが開始した履歴又はアークが開始しなかった履歴の少なくともいずれかに基づいて算出される、
    ワイヤ送給方法。
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