JP7676803B2 - 電池電極用バインダー組成物及びその製造方法、電池電極作製用組成物及びその製造方法、電極、並びに電池 - Google Patents
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Description
また、二次電池電極は、活物質及びバインダーを含む電池電極形成用組成物(以下、「電極スラリー」ともいう。)を電極集電体表面に塗布乾燥することにより得ることがある。この際、電極スラリーの乾燥効率を高め、電極の生産性を向上する観点から、電極スラリー中の活物質濃度を高くすることが有利である。しかしながら、通常、活物質濃度を高くするにつれて電極スラリーの固形分濃度も高くなるため、良好な塗工性を確保することが難しくなる。従来、水系スラリーでは、活物質を分散安定化し、良好な塗工性を付与するバインダーとして、カルボキシメチルセルロースが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献2には、短幅の方の数平均幅が2~1000nmであるセルロースを含有する蓄電デバイスの電極塗工液用増粘・安定剤が開示されている。当該増粘・安定剤は、電極活物質の分散安定性に優れ、かつ、分散工程中に攪拌せん断力による粘度低下を起こさず、かつ結着性及び耐電解液性に優れるとされている。
特許文献3には、セルロース繊維とSBR等の粒子状重合体を含む二次電池電極用バインダー組成物が開示されている。当該組成物は、粒子状重合体の移動(マイグレーション)が抑制され、得られる電極合材層中における粒子状重合体の分布が均一になり、電極活物質層と集電体との密着強度が優れるとされている。
特許文献4には、活物質と、カルボキシ基を有する繊維状多糖類と、分散媒とを含むことを特徴とする電池電極用組成物が開示されている。当該電池電極用組成物は、電池用電極の組成設計の自由度が向上し、生産性に優れ、良好なサイクル特性に加え、出力特性に優れるとされている。
特許文献3の二次電池電極用バインダー組成物においては、セルロース繊維としてBinFi-s(登録商標)、セリッシュ(登録商標)といった機械解繊セルロース繊維が用いられる。特許文献4の電池電極用組成物においては、カルボキシ基を有する繊維状多糖類として、TEMPO酸化セルロース繊維が用いられる。このようなセルロース繊維は、上述したとおり、少量の添加でも粘度が大きく上昇し、塗工性に課題がある。
[1]
ナノセルロースを含む、電池電極用バインダー組成物であって、
前記ナノセルロースが、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含み、且つ、N-オキシル化合物を実質的に含まない、
電池電極用バインダー組成物。
[2]
前記ナノセルロースのカルボキシ基の含有量が、0.2mmol/g以上2.0mmol/g以下である、
[1]に記載の電池電極用バインダー組成物。
[3]
前記ナノセルロースの平均繊維長が、50nm以上700nm以下である、
[1]又は[2]に記載の電池電極用バインダー組成物。
[4]
粒子状重合体及び/又はカルボキシ基を有する重合体若しくはその塩を含む、
[1]~[3]のいずれかに記載の電池電極用バインダー組成物。
[5]
前記カルボキシ基を有する重合体が、架橋性単量体に由来する構造単位を含み、
前記架橋性単量体に由来する構造単位の含有量が、前記カルボキシ基を有する重合体を構成する単量体単位総量100質量部に対して、0.1質量部以上2.0質量部以下である、
[4]に記載の電池電極用バインダー組成物。
[6]
前記カルボキシ基を有する重合体を中和度80~100モル%に中和した後、水媒体中で測定した粒子径が、体積基準メジアン径として0.1μm以上5.0μm以下である、
[4]又は[5]に記載の電池電極用バインダー組成物。
[7]
[1]~[6]のいずれかに記載の電池電極用バインダー組成物を含む、電池電極作製用組成物。
[8]
[7]に記載の電池電極作製用組成物を用いて作製された、電極。
[9]
[8]に記載の電極を備える電池。
[10]
ナノセルロースを含む電池電極用バインダー組成物の製造方法であって、
酸化セルロースと、前記電池電極用バインダー組成物のナノセルロース以外の材料とを含む混合物を撹拌することにより、前記電池電極用バインダー組成物を得る工程を含み、
前記酸化セルロースが、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含み、且つ、N-オキシル化合物を実質的に含まない、製造方法。
[11]
ナノセルロースを含む電池電極用バインダー組成物の製造方法であって、
酸化セルロースを撹拌し、連続して前記電池電極用バインダー組成物のナノセルロース以外の材料を添加することにより、前記電池電極用バインダー組成物を得る工程を含み、
前記酸化セルロースが、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含み、且つ、N-オキシル化合物を実質的に含まない、製造方法。
[12]
ナノセルロースを含む電池電極作製用組成物の製造方法であって、
酸化セルロースと、前記電池電極作製用組成物のナノセルロース以外の材料とを含む混合物を撹拌することにより、前記電池電極作製用組成物を得る工程を含み、
前記酸化セルロースが、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含み、且つ、N-オキシル化合物を実質的に含まない、製造方法。
[13]
ナノセルロースを含む電池電極作製用組成物の製造方法であって、
酸化セルロースを撹拌し、連続して前記電池電極作製用組成物のナノセルロース以外の材料を添加することにより、前記電池電極作製用組成物を得る工程を含み、
前記酸化セルロースが、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含み、且つ、N-オキシル化合物を実質的に含まない、製造方法。
本発明の電池電極用バインダー組成物(以下、単にバインダー組成物ともいう)は、ナノセルロースを含む。本発明のバインダー組成物に含まれるナノセルロースは、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含み、且つ、N-オキシル化合物を実質的に含まない、ナノセルロースである。
ナノセルロースは解繊を経て得られるが、解繊はセルロースミクロフィブリル同士の水素結合が切断されることにより進行する。次亜塩素酸又はその塩を用いた酸化処理では、酸化の進行に伴いミクロフィブリルの重合度の低下(すなわち、セルロース分子鎖の短鎖化)が起こる。この重合度の低下は、機械解繊によってのみでは起こりにくい。また、この重合度の低下は、次亜塩素酸又はその塩で酸化した場合には、例えばTEMPO酸化法による場合に比べて、酸化度の増大に伴い重合度の低下が進行しやすい。このため、酸化処理によりミクロフィブリル1本1本において解繊によって切断すべき水素結合数が少なく、さらには酸化の進行に伴いカルボキシ基量が増加することにより、ミクロフィブリル同士の反発力が強まり、得られるナノセルロースの分散安定性が向上すると考えられる。分散安定性によって、粘度上昇を抑制できることから、塗工性が向上すると考えられる。
また、本発明におけるナノセルロースに含まれるカルボキシ基は、グルコピラノース単位でみたときに、後述するように、グルコピラノース環の水酸基のうち少なくとも2個が酸化された構造を有し、また、C6位の第一級水酸基は、酸化されることなく、そのまま水酸基として存在すると考えられる。一方、TEMPO酸化法によって得られるナノセルロースは、グルコピラノース環のC6位の第一級水酸基が酸化される。以上のとおり、本発明において使用されるナノセルロースは、C6位のヒドロキシメチル基構造を維持することができ、第一級水酸基量を多くできると考えられる。上記ヒドロキシメチル基は、相互作用を形成しやすく、結着性が高められると考えられる。
通常、結着性を高めようとすると、例えば、塗工液等の組成物中の成分の流動性が低下して粘度も上昇しやすいが、本発明におけるナノセルロースは、結着性は維持しながら粘度安定性に優れ、塗工性を電池電極作製用組成物に付与できると考えれる。
本発明におけるナノセルロースは、次亜塩素酸又はその塩によってセルロース系原料を酸化して得られる酸化セルロースのナノ化したものである。ここで、上記酸化セルロースは、セルロース系原料の酸化物ともいうことができる。本発明におけるナノセルロースは、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含む。
なお、植物の主成分はセルロースであり、セルロース分子が束になったものがセルロースミクロフィブリルと称される。セルロース系原料中のセルロースもまた、セルロースミクロフィブリルの形態で含まれている。本発明におけるナノセルロースは、セルロースをナノ化したものの総称を表し、微細セルロース繊維やセルロースナノクリスタル等を含む。微細セルロース繊維は、セルロースナノファイバー(CNFとも記載する)ともいう。
本発明のナノセルロースは、カルボキシ基を含むが、当該カルボキシ基はH型(-COOH)であってもよく、塩型であってもよい。塩の種類は、特に制限されないが、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム塩及びバリウム塩等のアルカリ土類金属塩;マグネシウム塩、アルミニウム塩等のその他の金属塩;アンモニウム塩及び有機アミン塩等が挙げられる。中でも、アルカリ金属塩が好ましく、抵抗の低い電池が得られる観点から、リチウム塩が好ましい。
本発明におけるナノセルロース及び酸化セルロースのカルボキシ基量は、0.20mmol/g以上2.0mmol/g未満であることが好ましい。当該カルボキシ基量が0.20mmol/g以上であると、酸化セルロースに十分な易解繊性を付与することができる。これにより、温和な条件によって解繊処理を行った場合にも、分散安定化させた電池電極作製用組成物を得ることができ、塗工性が一層向上できると考えられる。一方、カルボキシ基量が2.0mmol/g未満であると、解繊処理時にセルロースが過度に分解することを抑制でき、粒子状のセルロースの比率が少なく品質が均一なナノセルロースを得ることができる。これによって、ナノセルロースの分散性が向上し、結着性を一層高めることができると考えられる。こうした観点から、本発明におけるナノセルロース及び酸化セルロースのカルボキシ基量は、より好ましくは0.5mmol/g以上であり、更に好ましくは0.6mmol/g以上であり、より更に好ましくは0.65mmol/g以上である。カルボキシ基量の上限については、より好ましくは1mmol/g以下であり、更に好ましくは0.9mmol/gであり、より更に好ましくは0.8mmol/g以下である。
カルボキシ基量=a(ml)×0.05/酸化セルロース質量(g)
本発明におけるナノセルロースの平均繊維幅は、特に制限されないが、2.0nm以上5.0nm以下であることが好ましい。平均繊維幅が2.0nm以上5.0nm以下であることにより、バインダー組成物あるいは電池電極作製用組成物の粘度の上昇を抑え、分散安定化させた電池電極作製用組成物を得ることができ、塗工性が一層向上できると考えられる。
塗工性をさらに向上させる観点から、平均繊維幅は2.0nm以上4.5nm以下の範囲がより好ましく、2.5nm以上4.0nm以下の範囲がより好ましい。
アスペクト比が200以下であることにより、ナノセルロースの分散性が向上し、結着性を一層高めることができると考えられる。こうした観点から、アスペクト比は、より好ましくは190以下であり、さらに好ましくは180以下である。
その一方で、アスペクト比が低すぎる、すなわち、ナノセルロースの形状が細長い繊維状というよりも太い棒状である場合、偏在により凝集が起こり、分散性が低下する傾向にある。そのため、アスペクト比は、好ましくは20以上であり、より好ましくは30以上であり、さらに好ましくは40以上である。
本発明におけるナノセルロースは、市販品を用いてもよく、自ら調製したものを使用してもよい。
本発明のナノセルロースの製造方法について説明する。本発明におけるナノセルロースは、例えば、セルロース系原料を次亜塩素酸又はその塩で酸化して酸化セルロースを得る工程Aと、必要に応じて、酸化セルロースを解繊する工程Bとを含む方法により製造することができる。
セルロース系原料は、セルロースを主体とする材料であれば特に限定されず、例えば、パルプ、天然セルロース、再生セルロース、及びセルロースを機械的処理することにより解重合した微細セルロース等が挙げられる。セルロース系原料としては、パルプを原料とする結晶セルロース等の市販品をそのまま使用することができる。その他、おからや大豆皮等、セルロース成分を多量に含む未利用バイオマスを原料としてもよい。また、使用する酸化剤を原料パルプの中に浸透しやすくする目的で、予めセルロース系原料を適度な濃度のアルカリで処理してもよい。
本発明におけるナノセルロースは、上記で得られた酸化セルロースを解繊してナノ化することにより得ることができる。酸化セルロースを解繊する方法としては、マグネチックスターラー等を用いた弱い撹拌による方法、機械的解繊による方法等が挙げられる。酸化セルロースの解繊を十分に行うことができ、また解繊時間の短縮を図ることができる点で、酸化セルロースの解繊は機械的解繊によることが好ましい。
解繊処理の際に分散媒として有機溶剤を使用することにより、酸化セルロース及びこれを解繊して得られるナノセルロースの単離が容易となる。
本発明におけるナノセルロースは、好ましくはゼータ電位が-30mV以下である。ゼータ電位が-30mV以下(すなわち、絶対値が30mV以上)であると、ミクロフィブリル同士の反発が十分に得られ、機械的解繊時に表面電荷密度が高いナノセルロースが生じやすくなる。これにより、ナノセルロースの分散性が向上し、スラリーとしたときの粘度安定性に優れる傾向にある。その結果、本発明のナノセルロースを含む電池電極作製用組成物を得た際に、塗工性と結着性とをより両立できる傾向にある。
ゼータ電位が-100mV以上(すなわち、絶対値が100mV以下)の場合には、酸化の進行に伴う繊維方向の酸化切断が抑制される傾向にあるため、均一なサイズのナノセルロースを得ることができ、バインダー組成物あるいは電池電極作製用組成物にはナノセルロースが均一に分散し、結着性がより高まる傾向にある。
なお、本明細書においてゼータ電位は、ナノセルロースと水とを混合してナノセルロースの濃度を0.1質量%としたセルロース水分散体につき、pH8.0、20℃の条件で測定した値である。
具体的には、以下の方法に従い測定することができる。
ナノセルロースの水分散体に純水を加えて、ナノセルロースの濃度が0.1%になるように希釈する。希釈後のナノセルロースの水分散体に、0.05mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH8.0に調整して、大塚電子社製ゼータ電位計(ELSZ-1000)等のゼータ電位測定装置によりゼータ電位を20℃で測定する。
本発明におけるナノセルロースは、凝集物が少なく、分散媒中に分散させたナノセルロース分散体は、微細セルロース繊維の光散乱等が少なく、高い光透過率を示す傾向にある。具体的には、本発明におけるナノセルロースは、水と混合して固形分濃度0.1質量%とした混合液における光透過率が95%以上であることが好ましい。当該光透過率は、より好ましくは96%以上であり、さらに好ましくは97%以上である。なお、光透過率は、分光光度計により測定した波長660nmでの値である。また、光透過率は、ナノセルロースを含む水分散体を用いて測定することができる。
具体的には、以下の方法に従い測定することができる。
ナノセルロースの水分散体を10mm厚の石英セルに入れて、JASCO V-550等の分光光度計により波長660nmの光透過率を測定する。
酸化セルロースの重合度は、粘度法により測定された平均重合度(粘度平均重合度)である。詳細は、以下の記載の方法に従う。
pH10に調整した水素化ホウ素ナトリウム水溶液に酸化セルロースを加え、25℃で5時間、還元処理を行った。水素化ホウ素ナトリウム量は、酸化セルロース1gに対して0.1gとした。還元処理後、吸引ろ過にて固液分離、水洗を行い、得られた酸化セルロース繊維を凍結乾燥させた。純水10mlに乾燥させた酸化セルロース繊維0.04gを加えて2分間撹拌した後、1M銅エチレンジアミン溶液10mlを加えて溶解させた。その後、キャピラリー型粘度計にて25℃でブランク溶液の流下時間とセルロース溶液の流下時間測定した。ブランク溶液の流下時間(t0)とセルロース溶液の流下時間(t)、酸化セルロース繊維の濃度(c[g/ml])から次式のように相対粘度(ηr)、比粘度(ηsp)、固有粘度([η])を順次求め、粘度測の式から酸化セルロースの重合度(DP)を計算した。
ηr=η/η0=t/t0
ηsp=ηr-1
[η]=ηsp/(100×c(1+0.28ηsp))
DP=175×[η]
本発明のバインダー組成物には、上記ナノセルロース以外のその他のバインダー成分を含んでいてもよい。その他のバインダー成分としては、電池電極の活物質等の材料を集電体に結着させる際に一般に使用されるものであれば特に制限されない。また、その他のバインダー成分は、活物質、集電体等の種類等に応じて適宜選択すればよい。その他のバインダー成分としては、例えば、粒子状重合体、及び、カルボキシ基を有する重合体又はその塩等を好適に挙げることができる。これらのバインダー成分は一種単独で含んでいてもよく、二種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
粒子状重合体としては、例えば、芳香族ビニル単量体/脂肪族共役ジエン系単量体のラテックス、アクリル系ラテックス、及びポリフッ化ビニリデン系ラテックス等のラテックスを挙げることができる。これらの粒子状重合体は、市販品を用いてもよく、これらのラテックスを構成するモノマーより公知の方法により重合し製造して用いてもよい。これらのラテックスは一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記共重合体中における上記芳香族ビニル単量体に由来する構造単位は、結着性の観点から、例えば、20~60質量%の範囲としてよく、30~50質量%の範囲としてもよい。
上記共重合体中における上記脂肪族共役ジエン系単量体に由来する構造単位は、バインダーの結着性及び得られる電極の柔軟性が良好なものとなる観点から、例えば、30~70質量%の範囲としてよく、40~60質量%の範囲としてもよい。
上記共重合体中における上記その他の単量体に由来する構造単位は、例えば、0~30質量%の範囲としてよく、0~20質量%の範囲としてもよい。
カルボキシ基を有する重合体又はその塩(以下、単に重合体ともいう)は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構造単位を含む。カルボキシ基を有する単量体としては、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸単量体を挙げることができる。上記カルボキシ基を有する重合体又はその塩は、市販品を用いてもよく、この重合体を構成するモノマー、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸単量体より公知の方法により重合し製造して用いてもよい。
カルボキシ基を有する単量体に由来する構造単位は、エチレン性不飽和カルボン酸単量体を含む単量体を重合することにより重合体に導入することができる。その他にも、(メタ)アクリル酸エステル単量体を(共)重合した後、加水分解することによっても得られる。また、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリロニトリル等を重合した後、強アルカリで処理してもよいし、水酸基を有する重合体に酸無水物を反応させる方法であってもよい。
これらの構造単位は、スルホン酸基及びリン酸基等のカルボキシ基以外のアニオン性基を有するエチレン性不飽和単量体化合物、又は非イオン性のエチレン性不飽和単量体を含む単量体を共重合することにより導入することができる。
その他の構造単位の割合は、カルボキシ基を有する重合体の全構造単位に対して、0質量%以上100質量%未満の範囲とすることができる。その他の構造単位の割合は、1質量%以上60質量%以下であってもよい。
上記架橋性単量体に由来する構造単位の含有量は、カルボキシ基を有する重合体を構成する単量体単位総量100質量部に対して、0.1質量部以上2.0質量部以下であることが好ましい。
カルボキシ基を有する重合体は、中和度を80~100モル%に中和した後、水中に分散させた際の粒子径(水膨潤粒子径ともいう)が、体積基準メジアン径で0.1μm以上5.0μm以下の範囲にあることが好ましい。上記中和度は、上記重合体が有するカルボキシ基に基づくものであることが好ましい。上記粒子径のより好ましい範囲は、0.1μm以上5.0μm以下であり、さらに好ましい範囲は0.5μm以上3.0μm以下である。粒子径が0.1μm以上5.0μm以下の範囲であれば、本発明の組成物中において好適な大きさで均一に存在するため、本発明の組成物の安定性が高く、より優れた結着性を発揮することができる傾向にある。
また、カルボキシ基を有する重合体の乾燥時における粒子径(乾燥粒子径)は、体積基準メジアン径で0.03μm以上3μm以下の範囲にあることが好ましい。
本明細書では、上記中和度は、カルボキシ基等の酸基を有する単量体及び中和に用いる中和剤の仕込み値から計算により算出することができる。なお、中和度は架橋重合体又はその塩を、減圧条件下、80℃で3時間乾燥処理後の粉末をIR測定し、カルボン酸のC=O基由来のピークとカルボン酸塩のC=O基由来のピークの強度比より確認することができる。中和度は、より詳細には実施例に記載の方法により測定することができる。
カルボキシ基を有する重合体は、溶液重合、沈殿重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法を使用することが可能であり、生産性の観点から沈殿重合及び懸濁重合(逆相懸濁重合)が好ましい。結着性等に関してより良好な性能を得る観点から、沈殿重合、懸濁重合、乳化重合等の不均一系の重合法が好ましく、中でも沈殿重合法がより好ましい。
沈殿重合は、原料である不飽和単量体を溶解するが、生成する重合体を実質溶解しない溶媒中で重合反応を行うことにより重合体を製造する方法である。重合の進行とともにポリマー粒子は凝集及び成長により大きくなり、数十nm~数百nmの一次粒子が数μm~数十μmに二次凝集したポリマー粒子の分散液が得られる。ポリマーの粒子サイズを制御するために分散安定剤を使用してもよい。
上記の内、析出した重合体微粒子が二次凝集しにくい(若しくは二次凝集が生じても水媒体中で解れやすい)こと、連鎖移動定数が小さく重合度(一次鎖長)の大きい重合体が得られること、及び中和の際に操作が容易であること等の点で、メチルエチルケトン及びアセトニトリルが好ましい。
また、アクリル酸等の親水性の高いエチレン性不飽和カルボン酸単量体の重合では、高極性溶媒を加えた場合には重合速度が向上し、一次鎖長の長い重合体を得やすくなる。係る高極性溶媒としては、好ましくは水及びメタノールが挙げられ、中でも水は上記重合速度を向上させる効果が大きく好ましい。
重合開始剤の好ましい使用量は、用いる単量体成分の総量を100質量部としたときに、通常0.001~2質量部であればよく、0.005~1質量部であってもよく、0.01~0.1質量部であってもよい。
重合後に、適宜塩基を加えて中和してもよい。
上記のとおり、バインダー組成物の製造の際酸化セルロースを使用できる。上記酸化セルロースは、製造の際に、分散させる操作や混錬する操作によって、組成物中で解繊されてナノセルロースとなる。具体的には、上記酸化セルロースとバインダー組成物の酸化セルロース以外の材料とを配合して、分散あるいは混錬操作等の撹拌を行い混合物中で解繊させたり、酸化セルロースの使用者が自ら解繊してナノ化させたりすることによって、ナノセルロースとすることができる。上記撹拌としては、上述した(工程B:解繊処理)によって行うことができる。
本発明の一つは、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含み、且つ、N-オキシル化合物を実質的に含まない酸化セルロースを材料として用いるバインダー組成物の製造方法であり、具体的には、ナノセルロースを含む電池電極用バインダー組成物の製造方法であって、酸化セルロースと、上記電池電極用バインダー組成物のナノセルロース以外の材料とを含む混合物を撹拌することにより、上記電池電極用バインダー組成物を得る工程を含む、製造方法である。また、本発明の一つは、ナノセルロースを含む電池電極用バインダー組成物の製造方法であって、酸化セルロースを撹拌し、連続して上記電池電極用バインダー組成物のナノセルロース以外の材料を添加することにより、上記電池電極用バインダー組成物を得る工程を含む、製造方法である。
ここで、ナノセルロース、酸化セルロース、及び電池電極用バインダー組成物の態様は、上記にて説明したとおりである。電池電極用バインダー組成物のナノセルロース以外の材料とは、電池電極用バインダー組成物に含まれうる、ナノセルロース以外の任意の材料であり、例えば、上述したその他のバインダー成分や分散媒を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、本明細書において「連続して材料を添加する」とは、撹拌による酸化セルロースの微細化と材料の添加とを一連で行うことを意味する。撹拌と添加を一連で行う具体的な態様としては、例えば、酸化セルロースを撹拌して微細化することと上記材料を添加することをワンポットで操作する態様;酸化セルロースの撹拌を行いながら、同時に上記材料を添加する態様;等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の電池電極作製用組成物は、本発明のバインダー組成物を含む。本発明の電池電極作製用組成物とは、電池電極を得るための材料組成物であり、電池電極の合剤層を作製することに好適に用いられる。合剤層の作製に用いられるとき、本発明の電池電極作製用組成物を電池電極合剤層用組成物ともいう。
本発明の電池電極作製用組成物は、本発明のバインダー組成物に加えて、電池電極を構成する成分や電極を形成するための成分といった電極材料を含むことが好ましい。また、上記電池電極合剤層用組成物は、合剤層を構成する成分や合剤層を形成するための成分を含み、バインダー組成物の他、活物質及び水を含むことが好ましい。
正極活物質としては、遷移金属酸化物のリチウム塩を用いることができ、例えば、層状岩塩型及びスピネル型のリチウム含有金属酸化物を使用することができる。層状岩塩型の正極活物質の具体的な化合物としては、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、並びに、三元系と呼ばれるNCM{Li(Nix,Coy,Mnz)、x+y+z=1}及びNCA{Li(Ni1-a-bCoaAlb)}等が挙げられる。また、スピネル型の正極活物質としてはマンガン酸リチウム等が挙げられる。酸化物以外にもリン酸塩、ケイ酸塩及び硫黄等が使用され、リン酸塩としては、オリビン型のリン酸鉄リチウム等が挙げられる。正極活物質としては、上記のうちの1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて混合物又は複合物として使用してもよい。正極活物質には、導電助剤を添加して使用されてもよい。導電助剤としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、黒鉛微粉、炭素繊維等の炭素系材料が挙げられる。導電助剤は、上記の1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
混合手段としては、プラネタリーミキサー、薄膜旋回式ミキサー及び自公転式ミキサー等の公知のミキサーを使用することができるが、短時間で良好な分散状態が得られる点で薄膜旋回式ミキサーを使用して行うことが好ましい。また、薄膜旋回式ミキサーを用いる場合は、予めディスパー等の攪拌機で予備分散を行うことが好ましい。
また、上記スラリーの粘度は、60rpmにおけるB型粘度として、塗工性の観点から、500~10,000mPa・sの範囲とすればよい。
電池電極作製用組成物を湿粉状態で得る場合、バインダー組成物、活物質、導電助剤等の各成分を、ヘンシェルミキサー、ブレンダー、プラネタリーミキサー及び2軸混練機等を用いて、濃度ムラのない均一な状態まで混練することが好ましい。
本発明の一つは、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含み、且つ、N-オキシル化合物を実質的に含まない酸化セルロースを材料として用いる電池電極作製用組成物の製造方法であり、具体的には、ナノセルロースを含む電池電極作製用組成物の製造方法であって、酸化セルロースと、上記電池電極作製用組成物のナノセルロース以外の材料とを含む混合物を撹拌することにより、上記電池電極作製用組成物を得る工程を含む、製造方法である。また、本発明の一つは、ナノセルロースを含む電池電極作製用組成物の製造方法であって、酸化セルロースを撹拌し、連続して上記電池電極作製用組成物のナノセルロース以外の材料を添加することにより、上記電池電極作製用組成物を得る工程を含む、製造方法である。
ここで、ナノセルロース、酸化セルロース、及び電池電極作製用組成物の態様は、上記にて説明したとおりである。電池電極作製用組成物のナノセルロース以外の材料とは、電池電極作製用組成物に含まれうる、ナノセルロース以外の任意の材料であり、例えば、上述したその他のバインダー成分、分散媒、電池電極を構成する成分(具体的には活物質等)や、電極を形成するための成分(具体的には水等)を挙げることができるが、これらに限定されない。
本発明の電池電極は、本発明の電池電極作製用組成物を用いて作製されるものであれば特に制限されないが、銅又はアルミニウム等の集電体表面に本発明の電池電極作製用組成物から形成される合剤層を備えるものであることが好ましい。合剤層は、集電体の表面に本発明の電池電極作製用組成物を塗工した後、水等の媒体を乾燥除去することにより形成することができる。上記組成物を塗工する方法は特に限定されず、ドクターブレード法、ディップ法、ロールコート法、コンマコート法、カーテンコート法、グラビアコート法及びエクストルージョン法等の公知の方法を採用することができる。また、上記乾燥は、温風吹付け、減圧、(遠)赤外線、マイクロ波照射等の公知の方法により行うことができる。
通常、乾燥後に得られた合剤層には、金型プレス及びロールプレス等による圧縮処理が施される。圧縮することにより活物質及びバインダーを密着させ、合剤層の強度及び集電体への密着性を向上させることができる。圧縮により合剤層の厚みを、例えば、圧縮前の30~80%程度に調整することができ、圧縮後の合剤層の厚みは4~200μm程度が一般的である。
セパレータは電池の正極及び負極間に配され、両極の接触による短絡の防止や電解液を保持してイオン導電性を確保する役割を担う。セパレータにはフィルム状の絶縁性微多孔膜であって、良好なイオン透過性及び機械的強度を有するものが好ましい。具体的な素材としては、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン等を使用することができる。
ナノセルロース及び酸化セルロースの物性の測定方法は以下のとおりとした。
上記で得られた微細セルロース繊維の水分散体に純水を加え、CNF水分散体中の微細セルロース繊維の濃度が5ppmになるように調整した。濃度調整後のCNF水分散体をマイカ基材上で自然乾燥させ、オックスフォード・アサイラム社製 走査型プローブ顕微鏡「MFP-3D infinity」を用いて、ACモードで微細セルロース繊維の形状観察を行った。
繊維長については、得られた画像を画像処理ソフトウェア「ImageJ」を用いて二値化し解析を行った。繊維100本以上について、繊維長=「周囲長」÷2として数平均繊維長を求めた。
平均繊維幅については、「MFP-3D infinity」に付属されているソフトウェアを用いて、繊維50本以上について、形状像の断面高さ=繊維幅として数平均繊維幅[nm]を求めた。
酸化セルロースの濃度を0.5質量%に調整した酸化セルロース水分散体60mlに、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5にした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、pHが11.0になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が穏やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下記式を用いてカルボキシ基量(mmol/g)を算出した。
カルボキシ基量=a(ml)×0.05/酸化セルロース繊維の質量(g)
重合には、攪拌翼、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応器を用いた。
反応器内にアセトニトリル567部、アクリル酸(以下、「AA」という。)100.0部、トリメチロールプロパンジアリルエーテル(ダイソー社製、商品名「ネオアリルT-20」)0.9部及び上記AAに対して1.0モル%に相当するトリエチルアミンを仕込んだ。反応器内を十分に窒素置換した後、加温して内温を55℃まで昇温した。内温が55℃で安定したことを確認した後、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、商品名「V-65」)0.040部を添加したところ、反応液に白濁が認められたため、この点を重合開始点とした。なお、単量体濃度は15.0%と算出された。重合開始点から12時間経過した時点で反応液の冷却を開始し、内温が25℃まで低下した後、水酸化リチウム・一水和物(以下、「LiOH・H2O」という)の粉末52.4部を添加した。添加後室温下12時間撹拌を継続して、PAA架橋重合体塩(Li塩、中和度90モル%)の粒子が媒体に分散したスラリー状の重合反応液を得た。重合開始から12時間経過した時点のAAの反応率はそれぞれ97.3%と算出された。
PAA架橋重合体塩の粉末0.25g、及びイオン交換水49.75gを100ccの容器に量りとり、自転/公転式攪拌機(シンキー社製、あわとり練太郎AR-250)にセットした。次いで、撹拌(自転速度2000rpm/公転速度800rpm、7分)、さらに脱泡(自転速度2200rpm/公転速度60rpm、1分)処理を行い架橋重合体塩が水に膨潤した状態のハイドロゲルを作製した。
次に、イオン交換水を分散媒とするレーザー回折/散乱式粒度分布計(マイクロトラックベル社製、マイクロトラックMT-3300EXII)にて上記ハイドロゲルの粒度分布測定を行った。ハイドロゲルに対し、過剰量の分散媒を循環しているところに、適切な散乱光強度が得られる量のハイドロゲルを投入したところ、数分後に、測定される粒度分布形状が安定した。安定を確認次第、粒度分布測定を行い、粒子径の代表値としての体積基準メジアン径(D50)を測定したところ水媒体中での粒子径は1.7μmであった。
<ナノセルロースの製造>
セルロース系原料として、針葉樹パルプ(SIGMA-ALDRICH社 NIST RM 8495, bleached kraft pulp)を5mm角にハサミで切断し、大阪ケミカル社製「ワンダーブレンダーWB-1」にて、25,000rpmで1分間処理して、綿状に機械解繊した。
ビーカーに、有効塩素濃度が42質量%である次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶を350g入れ、純水を加えて撹拌し、有効塩素濃度を21質量%とした。そこへ、35質量%塩酸を加えて撹拌し、pH11の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を得た。
前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液を新東科学社製の撹拌機(スリーワンモータ、BL600)にてプロペラ型撹拌羽根を使用して200rpmで撹拌しながら恒温水浴にて30℃に加温した後、上記セルロース系原料50gを加えた。
セルロース系原料を供給後、同じ恒温水槽で30℃に保温しながら、48質量%水酸化ナトリウムを添加しながら反応中のpHを11に調整して、30分間、撹拌機にて同条件で撹拌を行った。
反応終了後、目開き134μmのPTFE製メッシュフィルターを使用して、吸引ろ過により生成物を固液分離し、得られた酸化セルロースを純水で洗浄した。
酸化セルロースに純水を加え、5%分散液を作製し、スギノマシン社製の超高圧ホモジナイザー「スターバースト ラボ」にて200MPaで、5パスで処理し、ナノセルロースを水分散体として得た。このナノセルロースをナノセルロースAとする。
なお、超高圧ホモジナイザーでは、内蔵された超高圧解繊部に酸化セルロース水分散液を循環通液させて解繊を進めた。その解繊部への通液1回分を1パスとする。
(次亜塩素酸ナトリウム水溶液中の有効塩素濃度の測定)
次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶を純水に加えた水溶液0.582gを精密に量り、純水50mLを加え、ヨウ化カリウム2g及び酢酸10mLを加え、直ちに密栓して暗所に15分間放置した。15分間の放置後、遊離したヨウ素を0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液(溶液ファクター1.000)で滴定した結果(指示薬 デンプン試液)、滴定量は34.55mLであった。別に空試験を行い補正し、0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液1mLが3.545mgClに相当するので、次亜塩素酸ナトリウム水溶液中の有効塩素濃度は21質量%であった。
バインダーとして、ナノセルロースA、PAA架橋重合体塩、及びスチレンブタジエンゴム(SBR)系ラテックスの混合物を用いた。
活物質として天然黒鉛(日本黒鉛社製、商品名「CGB-10」)を用いた。
電極作製用組成物の固形分濃度が43質量%となるように、水を希釈溶媒として、天然黒鉛:PAA架橋重合体塩:SBR:ナノセルロースA=100:1.5:1.5:1.5(固形分)の質量比となるよう、予めよく混合した後、薄膜旋回式ミキサー(プライミクス社製、FM-56-30)を用いて周速度20m/秒の条件で本分散を15秒間行うことにより、スラリー状の電極作製用組成物(以下、「電極用スラリー」ともいう。)を得た。
得られた電極用スラリーを用いて電極を作製し、その評価を行った。具体的な手順及び評価方法等について以下に示す。
実施例1の<ナノセルロースの製造>において10パス処理したこと以外は、実施例1と同じ条件とし、ナノセルロースBを作製した。その後、実施例1の<電極作製用組成物の作製>と同様にして電極用スラリーを得た。
実施例1の<ナノセルロースの製造>において15パス処理したこと以外は、実施例1と同じ条件とし、ナノセルロースCを作製した。その後、実施例1の<電極作製用組成物の作製>と同様にして電極用スラリーを得た。
実施例1の<ナノセルロースの製造>において20パス処理したこと以外は、実施例1と同じ条件とし、ナノセルロースDを作製した。その後、実施例1の<電極作製用組成物の作製>と同様にして電極用スラリーを得た。
実施例1の<ナノセルロースの製造>において反応時間を120分間としたこと以外は、実施例1と同じ条件で酸化反応を行った。
反応終了後、余剰の次亜塩素酸ナトリウム分に対して亜硫酸ナトリウム水溶液を加え反応を停止し、続いて塩酸を加えてpHを2.5としカルボキシ基を-COOH型(H型)とした。得られた酸化セルロース水分散体について、固液分離及び洗浄を行った。具体的には、遠心分離(1000G、10分間)、デカンテーションにより上澄み除去、除去分相当量の純水を加えて匙で充分に撹拌して均一にした後、再び遠心分離、という工程を合計6回繰り返して精製酸化セルロースを回収した。その後、導入されたカルボキシ基のほぼ当量分の水酸化ナトリウムを添加し、カルボキシ基を-COONa型(Na型)に戻した。その酸化セルロース水分散体について純水を加えて1質量%に調整した後、ホモミキサーで解繊(10,000rpm、10分間)し、ナノセルロースを水分散体として得た。このナノセルロースをナノセルロースEとする。
その後、実施例1の<電極作製用組成物の作製>と同様にして電極用スラリーを得た。
実施例5にて得られた、Na型に戻した精製酸化セルロースを用いた。すなわち、実施例1の<電極作製用組成物の作製>におけるナノセルロースAに替えて上記酸化セルロースを用いたこと以外は同様にして電極用スラリーを得た。
水酸化ナトリウムに替えて水酸化カリウムを使用してカルボキシ基を-COOK型(K型)とした以外は、実施例5と同じ条件でナノセルロースGを作製した。
その後、実施例1の<電極作製用組成物の作製>と同様にして電極用スラリーを得た。
水酸化ナトリウムに替えて水酸化リチウムを使用してカルボキシ基を-COOLi型(Li型)とした以外は、実施例5と同じ条件でナノセルロースHを作製した。
その後、実施例1の<電極作製用組成物の作製>と同様にして電極用スラリーを得た。
<ナノセルロースの製造>
セルロース系原料として、実施例1と同じ原料、機械処理条件にて得た綿状の針葉樹パルプ針葉樹パルプを準備した。
TEMPOを0.16g及び臭化ナトリウムを1.0gビーカーに入れ、純水を加えて撹拌して水溶液とし、上記機械解繊した針葉樹クラフトパルプを10.0g加えた。
上記水溶液をスターラーで撹拌しながら恒温水浴にて25℃に加温した後、0.1M水酸化ナトリウムを加えて撹拌し、pH10.0の水溶液とした。そこへ、有効塩素濃度13.2質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液25.8gを加え、同じ恒温水槽で25℃に保温した状態で、0.1M水酸化ナトリウムを添加しながら反応中のpHを10.0に調整して、120分間スターラーで撹拌を行った。
反応終了後、目開き134μmのPTFE製メッシュフィルターを使用して、吸引ろ過により生成物を固液分離し、得られた酸化セルロースを純水で洗浄した。
酸化セルロースに純水を加え、0.5%分散液を作製し、スギノマシン社製の超高圧ホモジナイザー「スターバースト ラボ」にて200MPaで、30パスで処理し、ナノセルロースの水分散体を得た。これを必要に応じてエバポレーターにて加温濃縮して使用した。このナノセルロースをナノセルロースIとする。
<電極作製用組成物の作製>
その後、実施例1の<電極作製用組成物の作製>と同様にして電極用スラリーを得た。
セルロース系原料として、実施例1と同じ原料、機械処理条件にて得た綿状の針葉樹パルプ針葉樹パルプを水に加えて0.5%水分散液とし、増幸産業製の微粒摩砕機(スーパーマスコロイダー)にて1500rpmで10パス予備解繊した。その後、スギノマシン社製の超高圧ホモジナイザー「スターバースト ラボ」にて200MPaで40パス処理し、CNF水分散体を得た。これを必要に応じてエバポレーターにて加温濃縮して使用した。このナノセルロースをナノセルロースJとする。
その後、実施例1の<電極作製用組成物の作製>と同様にして電極用スラリーを得た。
「スターバースト ラボ」にて200MPaで、3パスで処理したこと以外は、製造実施例9と同じ条件で作製した。
その後、実施例1の<電極作製用組成物の作製>と同様にして電極用スラリーを得た。
得られた電極スラリーについて、アントンパール社製レオメーター(Physica MCR301)を用い、CP25-5のコーンプレート(直径25mm、コーン角度5°)にて、せん断速度60s-1のスラリー粘度を測定した。
得られた電極スラリーについて可変式アプリケーターを用いて、銅箔(厚み:20μm、古河電気工業株式会社製)に塗布し、60℃×2分乾燥させた後、さらに150℃×5分乾燥することにより合剤層を形成した。乾燥後、合剤層の膜厚を、ミツトヨ株式会社製のデジマチックインジケーターID-H0560を用いて測定することにより、塗工性を評価した。評価基準は以下のとおりとした。
◎:塗膜200cm2のうち、膜厚のばらつきが0μm以上4μm以下であった。
〇:塗膜200cm2のうち、膜厚のばらつきが4μm超過9μm以下であった。
×:塗膜200cm2のうち、膜厚のばらつきが9μm超過
上記で得られた合剤層について、合剤層の厚みが80μm、充填密度が1.6g/cm3になるよう圧延し、負極極板を得た。負極極板を25mm幅の短冊状に裁断した後、水平面に固定された両面テープに上記試料の合剤層面を貼付け、剥離試験用試料を作製した。試験用試料を60℃、1晩減圧条件下で乾燥させた後、引張試験機(ORIENTEC社製テンシロン万能試験材料機RTE-1210)を用いて、測定温度25℃、引張速度50mm/分における90°剥離を行い、合剤層と銅箔間の剥離強度を測定した。
Claims (13)
- ナノセルロースを含む、電池電極用バインダー組成物であって、
前記ナノセルロースが、グルコピラノース環の第2位及び第3位の水酸基が酸化されてカルボキシ基が導入され、且つ、第6位に水酸基が存在する構造を有する、
電池電極用バインダー組成物。 - 前記ナノセルロースのカルボキシ基の含有量が、0.2mmol/g以上2.0mmol/g以下である、
請求項1に記載の電池電極用バインダー組成物。 - 前記ナノセルロースの平均繊維長が、50nm以上700nm以下である、
請求項1又は2に記載の電池電極用バインダー組成物。 - 粒子状重合体及び/又はカルボキシ基を有する重合体若しくはその塩を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の電池電極用バインダー組成物。 - 前記カルボキシ基を有する重合体が、架橋性単量体に由来する構造単位を含み、
前記架橋性単量体に由来する構造単位の含有量が、前記カルボキシ基を有する重合体を構成する単量体単位総量100質量部に対して、0.1質量部以上2.0質量部以下である、
請求項4に記載の電池電極用バインダー組成物。 - 前記カルボキシ基を有する重合体を中和度80~100モル%に中和した後、水媒体中で測定した粒子径が、体積基準メジアン径として0.1μm以上5.0μm以下である、
請求項4又は5に記載の電池電極用バインダー組成物。 - 請求項1~6のいずれか一項に記載の電池電極用バインダー組成物を含む、電池電極作製用組成物。
- 請求項7に記載の電池電極作製用組成物を用いて作製された、電極。
- 請求項8に記載の電極を備える電池。
- ナノセルロースを含む電池電極用バインダー組成物の製造方法であって、
酸化セルロースと、前記電池電極用バインダー組成物のナノセルロース以外の材料とを含む混合物を撹拌することにより、前記電池電極用バインダー組成物を得る工程を含み、
前記酸化セルロースが、グルコピラノース環の第2位及び第3位の水酸基が酸化されてカルボキシ基が導入され、且つ、第6位に水酸基が存在する構造を有する、製造方法。 - ナノセルロースを含む電池電極用バインダー組成物の製造方法であって、
酸化セルロースを撹拌し、連続して前記電池電極用バインダー組成物のナノセルロース以外の材料を添加することにより、前記電池電極用バインダー組成物を得る工程を含み、
前記酸化セルロースが、グルコピラノース環の第2位及び第3位の水酸基が酸化されてカルボキシ基が導入され、且つ、第6位に水酸基が存在する構造を有する、製造方法。 - ナノセルロースを含む電池電極作製用組成物の製造方法であって、
酸化セルロースと、前記電池電極作製用組成物のナノセルロース以外の材料とを含む混合物を撹拌することにより、前記電池電極作製用組成物を得る工程を含み、
前記酸化セルロースが、グルコピラノース環の第2位及び第3位の水酸基が酸化されてカルボキシ基が導入され、且つ、第6位に水酸基が存在する構造を有する、製造方法。 - ナノセルロースを含む電池電極作製用組成物の製造方法であって、
酸化セルロースを撹拌し、連続して前記電池電極作製用組成物のナノセルロース以外の材料を添加することにより、前記電池電極作製用組成物を得る工程を含み、
前記酸化セルロースが、グルコピラノース環の第2位及び第3位の水酸基が酸化されてカルボキシ基が導入され、且つ、第6位に水酸基が存在する構造を有する、製造方法。
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