JP7680242B2 - フレキシブル金属張積層板及びフレキシブル回路基板 - Google Patents
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Description
厚みが50μm以上150μm以下の範囲内、引張弾性率(TM1)が1GPa以上7GPa以下の範囲内の絶縁樹脂層と、
前記絶縁樹脂層の少なくとも一方の面に積層された金属層と、を有しており、
前記絶縁樹脂層における前記金属層との界面から厚み方向に5μmの範囲内における引張弾性率(TM2)が2GPa以上10GPa以下の範囲内であり、前記引張弾性率(TM2)は前記引張弾性率(TM1)よりも大きいことを特徴とするフレキシブル金属張積層板を提供する。
図1は、本発明の一実施の形態のフレキシブル片面金属張積層板の構成を示す概略断面図である。本実施の形態のフレキシブル片面金属張積層板(CA)は、金属層(MA)と、この金属層(MA)の片面に積層された絶縁樹脂層(X)とを有する。絶縁樹脂層(X)は、ボトム絶縁樹脂層(PA)と接着層(BA)とが積層された構造を有し、ボトム絶縁樹脂層(PA)が金属層(MA)側に配置されている。なお、ボトム絶縁樹脂層(PA)と接着層(BA)とは、それぞれポリイミド層から構成されることが好ましい。
本発明のフレキシブル金属張積層板を構成する絶縁樹脂層(X)は、フレキシブル金属張積層板から高周波用途のFPCを製造するために、50μm以上150μm以下、好ましくは50μm以上125μm以下の層厚を有する。層厚がこの範囲を下回ると、高周波FPC基板にて必須のインピーダンスコントロールの観点から、配線幅が狭くなりサブトラクティブ方法における配線加工時の配線幅のばらつき制御が困難となり、上回ると配線幅が広くなることで他部品との接合部分にてインピーダンス不整合が生じやすくなる傾向がある。
また、本発明のフレキシブル金属張積層板においては、絶縁樹脂層(X)が全体として1GPa以上7GPa以下、好ましくは2GPa以上6GPa以下の引張弾性率(TM1)を示す。引張弾性率(TM1)がこの範囲を下回ると180度の厳しい折り曲げにて電子機器へ搭載する際に基板自体の剛性が低いがゆえに、折り曲げ先端部の角度がより鋭くなり屈曲耐性の低下に繋がることとなり、上回ると基板自体の曲げ剛性が高くなることで、電子機器への搭載時のスプリングバック等の問題に発展しやすくなる傾向がある。従って、引張弾性率(TM1)がこの範囲内であれば、厚絶縁体を用いた基板でも電子機器への搭載時の問題は生じにくくなる。なお、引張弾性率の測定は、金属層をエッチング除去して残りの絶縁樹脂層(X)を温度23℃、相対湿度50%の環境下で、市販の引張弾性試験機(例えば、(株)東洋精機製作所のストログラフR-1)を用いて行うことができる。
本発明のフレキシブル金属張積層板においては、絶縁樹脂層(X)の全体の引張弾性率(TM1)だけでなく、金属層との界面から厚み方向に5μmの範囲内における絶縁樹脂層(X)の引張弾性率(TM2)に着目する。これは、上記したように基板を180度に折るような厳しい折り曲げを行った際、金属配線に近い部分の絶縁樹脂層の剛性が低いと、配線の折り曲げ先端部が鋭角となってしまい、そのため銅配線へのダメージが大きくなるためである。従って、本発明のフレキシブル金属張積層板では、引張弾性率(TM2)が2GPa以上10GPa以下、好ましくは4GPa以上7GPa以下を示す。引張弾性率(TM2)がこの範囲を下回ると銅箔との界面付近の剛性を発現できず、上回ると剛性が高くなりすぎることで銅箔側にダメージを与える傾向がある。従って、引張弾性率(TM2)がこの範囲内であれば、折り曲げ先端部の配線形状が鋭角にならず良好な屈曲耐性を維持できる。
本発明のフレキシブル金属張積層板においては、等価曲げ剛性(RF)[N/mm2]に着目する。等価曲げ剛性の数値が小さくなると、フレキシブル金属張積層板が銅配線基板として最低限必要な剛性を保持できなくなることが懸念され、その数値が大きくなると、フレキシブル金属張積層板の剛性が大きくなりすぎ、電子機器搭載時にその反発力の高さからスプリングバック等の問題に発展することが懸念されるからである。このため、本発明のフレキシブル金属張積層板の等価曲げ剛性(RF)[N/mm2]を好ましくは0.1N/mm2以上3.0N/mm2以下、より好ましくは0.5N/mm2以上2.0N/mm2以下とする。なお、等価曲げ剛性の算出は、特開2016-146419号公報の段落0030~0038及び0055~0058の内容に準じて行うことができる。
本発明のフレキシブル金属張積層板において、絶縁樹脂層(X)は単層のポリイミド層でも良いが、図1、図2のように複数のポリイミド層を積層したものから構成することが好ましい。これにより、絶縁樹脂層(X)の厚化が容易となり、FPCを高周波用途へ適用する際のハードルを下げることができる。なお、図1の様に片面金属層タイプの場合、絶縁樹脂層(X)は2層のポリイミド層が積層されたものであることが好ましく、また、図2のように両面金属層タイプの場合、絶縁樹脂層(X)は3層のポリイミド層が積層されたものであることが好ましい。
フレキシブル片面金属張積層板(CA)、一対の片面金属張積層板(C1,C2)の構成は、特に限定されず、FPC材料として一般的なものを使用可能であり、市販の銅張積層板などであってもよい。なお、第1の片面金属張積層板(C1)と第2の片面金属張積層板(C2)の構成は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
金属層(MA)、第1の金属層(M1)及び第2の金属層(M2)の材質としては、特に制限はないが、例えば、銅、ステンレス、鉄、ニッケル、ベリリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、銀、金、スズ、ジルコニウム、タンタル、チタン、鉛、マグネシウム、マンガン及びこれらの合金等が挙げられる。この中でも、特に銅又は銅合金が好ましい。なお、後述する本実施の形態の回路基板における配線層の材質も金属層(MA)、第1の金属層(M1)及び第2の金属層(M2)と同様である。
絶縁樹脂層(X)は、図1では、ボトム絶縁樹脂層(PA)と接着層(BA)とが積層された構造を有し、図2では、第1の絶縁樹脂層(P1)と第2の絶縁樹脂層(P2)とが接着層(B)を挟持する構造を有する。
ボトム絶縁樹脂層(PA)、第1の絶縁樹脂層(P1)及び第2の絶縁樹脂層(P2)としては、電気的絶縁性を有する樹脂により構成されるものであれば特に限定はなく、例えばポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ETFEなどを挙げることができるが、ポリイミドによって構成されることが好ましい。また、ボトム絶縁樹脂層(PA)、第1の絶縁樹脂層(P1)及び第2の絶縁樹脂層(P2)は、単層に限らず、複数の樹脂層が積層されたものであってもよい。なお、本発明でポリイミドという場合、ポリイミドの他、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリシロキサンイミド、ポリベンズイミダゾールイミドなど、分子構造中にイミド基を有するポリマーからなる樹脂を意味する。
絶縁樹脂層(X)を構成する接着層(BA)、接着層(B)は、絶縁樹脂層(X)が複数のポリイミド層を積層してなるものから構成されている場合には、ポリイミド層(A)に相当し、テトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基及びジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を含有する熱可塑性ポリイミド(以下、「接着性ポリイミド」と記すことがある)を含む。
0℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、300℃における貯蔵弾性率が3.0×108Pa以上であるポリイミドをいう。
接着性ポリイミドは、一般に熱可塑性ポリイミドに使用されるテトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基を特に制限なく含むことができるが、テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、下記の一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、「テトラカルボン酸残基(1)と記すことがある)を、合計で90モル部以上含有することが好ましい。テトラカルボン酸残基(1)を、テトラカルボン酸残基の100モル部に対して合計で90モル部以上含有させることによって、接着性ポリイミドの柔軟性と耐熱性の両立が図りやすく好ましい。テトラカルボン酸残基(1)の合計が90モル部未満では、接着性ポリイミドの溶剤溶解性が低下する傾向になる。
接着性ポリイミドは、ジアミン残基の100モル部に対して、ダイマー酸型ジアミンから誘導されるダイマー酸型ジアミン残基を20モル部以上、好ましくは40モル部以上、より好ましくは60モル部以上含有する。ダイマー酸型ジアミン残基を上記の量で含有することによって、接着層(BA)、(B)の誘電特性を改善するとともに、接着層(BA)、(B)のガラス転移温度を低温化(低Tg化)させて熱圧着特性を改善し、また、接着層(BA)、(B)の低弾性率化により内部応力を緩和することができる。ジアミン残基の100モル部に対して、ダイマー酸型ジアミン残基が20モル部未満であると、ボトム絶縁樹脂層(PA)、第1の絶縁樹脂層(P1)及び第2の絶縁樹脂層(P2)との間に介在する接着層(BA)、(B)として十分な接着性が得られないことがあり、また、高熱膨張性である接着層(BA)、(B)の弾性率が高くなることで、金属層(MA)、第1の金属層(M1)及び第2の金属層(M2)のエッチング後寸法変化率が悪化する恐れがある。
イミド分子鎖が有する自由度が増加して高い屈曲性を有しており、ポリイミド分子鎖の柔軟性の向上に寄与すると考えられる。従って、ジアミン(B5)を用いることで、ポリイミドの熱可塑性が高まる。ここで、連結基Aとしては、-O-が好ましい。
接着性ポリイミドがケトン基を有する場合に、該ケトン基と、少なくとも2つの第1級のアミノ基を官能基として有するアミノ化合物のアミノ基を反応させてC=N結合を形成させることによって、架橋構造を形成することができる。架橋構造の形成によって、接着性ポリイミドの耐熱性を向上させることができる。ケトン基を有する接着性ポリイミドを形成するために好ましいテトラカルボン酸二無水物としては、例えば3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)を、ジアミン化合物としては、例えば、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゾフェノン(BABP)、1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン(BABB)等の芳香族ジアミンを挙げることができる。
本発明のフレキシブル金属張積層板の絶縁樹脂層(X)を構成するボトム絶縁樹脂層(PA)、第1の絶縁樹脂層(P1)及び第2の絶縁樹脂層(P2)は、熱膨張係数(CTE)が10ppm/K以上がよく、好ましくは10ppm/K以上30ppm/K以下の範囲内、より好ましくは15ppm/K以上25ppm/K以下の範囲内である。CTEが10ppm/K未満であるか、又は30ppm/Kを超えると、反りが発生したり、寸法安定性が低下したりする。使用する原料の組合せ、厚み、乾燥・硬化条件を適宜変更することで所望のCTEを有するポリイミド層とすることができる。
接着性ポリイミドは、ガラス転移温度(Tg)が250℃以下であることが好ましく、40℃以上200℃以下の範囲内であることがより好ましい。接着性ポリイミドのTgが250℃以下であることによって、低温での熱圧着が可能になるため、積層時に発生する内部応力を緩和し、回路加工後の寸法変化を抑制できる。接着性ポリイミドのTgが250℃を超えると、ボトム絶縁樹脂層(PA)に積層する際の温度や、第1の絶縁樹脂層(P1)と第2の絶縁樹脂層(P2)との間に介在させて接着する際の温度が高くなり、回路加工後の寸法安定性を損なう恐れがある。
接着性ポリイミドは、40~250℃の範囲に、温度上昇に伴って貯蔵弾性率が急勾配で減少する温度域が存在することを特徴とする。このような接着性ポリイミドの特性が、熱圧着時の内部応力を緩和し、回路加工後の寸法安定性を保持する要因であると考えられる。接着性ポリイミドは、前記温度域の上限温度での貯蔵弾性率が、5×107[Pa]以下であることが好ましく、1×105~5×107[Pa]の範囲内であることがより好ましい。このような貯蔵弾性率とすることによって、仮に上記温度範囲の上限としても、250℃以下での熱圧着が可能となり、密着性を担保し、回路加工後の寸法変化を抑制することができる。
ボトム絶縁樹脂層(PA)、第1の絶縁樹脂層(P1)及び第2の絶縁樹脂層(P2)は、例えば回路基板に適用する場合において、誘電損失の悪化を抑制するために、10GHzにおける誘電正接(Tanδ)は、好ましくは0.02以下、より好ましくは0.0005以上0.01以下の範囲内、更に好ましくは0.001以上0.008以下の範囲内がよい。ボトム絶縁樹脂層(PA)、第1の絶縁樹脂層(P1)及び第2の絶縁樹脂層(P2)の10GHzにおける誘電正接が0.02を超えると、回路基板に適用した際に、高周波信号の伝送経路上で電気信号のロスなどの不都合が生じやすくなる。一方、ボトム絶縁樹脂層(PA)、第1の絶縁樹脂層(P1)及び第2の絶縁樹脂層(P2)の10GHzにおける誘電正接の下限値は特に制限されないが、回路基板の絶縁樹脂層としての物性制御を考慮している。
ボトム絶縁樹脂層(PA)、第1の絶縁樹脂層(P1)及び第2の絶縁樹脂層(P2)は、例えば回路基板の絶縁層として適用する場合において、絶縁層全体として、10GHzにおける比誘電率が4.0以下であることが好ましい。ボトム絶縁樹脂層(PA)、第1の絶縁樹脂層(P1)及び第2の絶縁樹脂層(P2)の10GHzにおける比誘電率が4.0を超えると、回路基板に適用した際に、ボトム絶縁樹脂層(PA)、第1の絶縁樹脂層(P1)及び第2の絶縁樹脂層(P2)の誘電損失の悪化に繋がり、高周波信号の伝送経路上で電気信号のロスなどの不都合が生じやすくなる。
本発明のフレキシブル金属張積層板は、常法に従って製造することができる。例えば、接着層を樹脂シートとして剥離フィルム上に作成する。それとは別に、金属層上に単独または複数のポリアミド溶液を塗布・乾燥することで金属層/ポリイミド層からなる片面金属張積層板を作成する。続いて、片面金属張積層板のポリイミド層上に樹脂シートを貼り付け、剥離フィルムを除去することで、図1のフレキシブル片面金属張積層板が得られる。あるいは、一対の片面金属張積層板のポリイミド層を対向させ、その間に剥離フィルムを除去した樹脂シートを挟み全体を接着することで図2のフレキシブル両面金属張積層板が得られる。なお、本発明のフレキシブル金属張積層板は、以上に説明した以外の方法でも製造可能である。
以上のようにして得られる図1,図2に示したような本実施の形態のフレキシブル金属張積層板は、金属層(MA)を配線回路加工することにより、あるいは第1の金属層(M1)及び/又は第2の金属層(M2)を配線回路加工することによって、片面FPC又は両面FPCなどの回路基板を製造することができる。
次に、図1のフレキシブル片面金属張積層板(CA)について、ボトム絶縁樹脂層(PA)及び接着層(BA)が、いずれもポリイミドである場合を例に挙げ図3を参照しつつより具体的に説明する。
非熱可塑性ポリイミド層111Aに用いるポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸二無水物成分を含む酸二無水物成分と、脂肪族ジアミン及び/又は芳香族ジアミン等を含むジアミン成分と、を反応させて得られる非熱可塑性ポリイミドが好ましい。酸二無水物及びジアミンとしては、非熱可塑性ポリイミドの合成に一般的に用いられるモノマーを使用できるため、ここでは記載を省略する。酸無水物及びジアミンの種類や、2種以上の酸無水物又はジアミンを使用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張性、接着性、ガラス転移温度等を制御することができる。
熱可塑性ポリイミド層112Aに用いるポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸二無水物成分を含む酸無水物成分と、脂肪族ジアミン成分及び/又は芳香族ジアミン成分を含むジアミン成分とを反応させて得られる熱可塑性ポリイミドが好ましい。酸無水物及びジアミンとしては、熱可塑性ポリイミドの合成に一般的に用いられるモノマーを使用できるため、ここでは記載を省略する。酸無水物及びジアミンの種類や、2種以上の酸無水物又はジアミンを使用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張性、接着性、ガラス転移温度等を制御することができる。また、誘電特性を改善する観点から、熱可塑性ポリイミド層112Aに用いるポリイミドとして、接着層(BA)としての接着性ポリイミド層120Aを形成するための接着性ポリイミドを使用することが好ましい。
本実施の形態のフレキシブル片面金属張積層板100Aは、主にFPC、リジッド・フレックス回路基板などの回路基板材料として有用である。すなわち、本実施の形態のフレキシブル金属張積層板100Aの金属層101Aを、常法によってパターン状に加工して配線層を形成することによって、本発明の一実施の形態であるFPCなどの回路基板を製造できる。
次に、図2のフレキシブル両面金属張積層板(C)について、第1の絶縁樹脂層(P1)及び第2の絶縁樹脂層(P2)及び接着層(B)がいずれもポリイミドである場合を例に挙げ図4を参照しつつより具体的に説明する。
非熱可塑性ポリイミド層111に用いるポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸二無水物成分を含む酸二無水物成分と、脂肪族ジアミン及び/又は芳香族ジアミン等を含むジアミン成分と、を反応させて得られる非熱可塑性ポリイミドが好ましい。酸二無水物及びジアミンとしては、非熱可塑性ポリイミドの合成に一般的に用いられるモノマーを使用できるため、ここでは記載を省略する。酸無水物及びジアミンの種類や、2種以上の酸二無水物又はジアミンを使用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張性、接着性、ガラス転移温度等を制御することができる。
熱可塑性ポリイミド層112に用いるポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸二無水物成分を含む酸二無水物成分と、脂肪族ジアミン成分及び/又は芳香族ジアミン成分を含むジアミン成分とを反応させて得られる熱可塑性ポリイミドが好ましい。酸無水物及びジアミンとしては、熱可塑性ポリイミドの合成に一般的に用いられるモノマーを使用できるため、ここでは記載を省略する。酸無水物及びジアミンの種類や、2種以上の酸無水物又はジアミンを使用する場合のそれぞれのモル比を選定することにより、熱膨張性、接着性、ガラス転移温度等を制御することができる。また、誘電特性を改善する観点から、熱可塑性ポリイミド層112に用いるポリイミドとして、接着層(B)としての接着性ポリイミド層120を形成するための接着性ポリイミドを使用することが好ましい。
本実施の形態のフレキシブル金属張積層板100は、主にFPC、リジッド・フレックス回路基板などの回路基板材料として有用である。すなわち、本実施の形態のフレキシブル金属張積層板100の2つの金属層101の片方又は両方を、常法によってパターン状に加工して配線層を形成することによって、本発明の一実施の形態であるFPCなどの回路基板を製造できる。
東洋精機製作所社製ストログラフR-1を用いて、温度23℃、相対湿度50%の環境下で引張弾性率を測定した。測定用のサンプルは、MD;250mm×TD;12.7mmを使用し、ロードセル;500N、引張速度;50mm/分、チャック間距離;50mmの条件で測定した。
平均引張弾性率とは、絶縁樹脂層における金属層との界面から厚み方向に5μmの範囲内にある引張弾性率であり、下記式(1)より算出される。
動的粘弾性装置(DMA:ユー・ビー・エム社製、商品名;E4000F)を用いて測定した。なお、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、280℃における貯蔵弾性率が3.0×108Pa以上であるポリイミドを「非熱可塑性ポリイミド」とし、また、30℃における貯蔵弾性率が1.0×108Pa以上であり、280℃における貯蔵弾性率が3.0×107Pa未満であるポリイミドを「熱可塑性ポリイミド」とした。
ベクトルネットワークアナライザ(Agilent社製、商品名;ベクトルネットワークアナライザE8363C)およびSPDR共振器を用いてポリイミドフィルム(硬化後のポリイミドフィルム)を温度;23℃、湿度;50%RHの条件下で、24時間放置した後、周波数10GHzにおける比誘電率(ε)および誘電正接(Tanδ)を測定した。
温度;160℃、圧力;3.5MPa、時間;60分間の条件でプレスした接着剤シートを5mm×20mmのサイズの試験片に切り出し、動的粘弾性測定装置(DMA:ティー・エイ・インスツルメント社製、商品名;RSA―G2)を用いて、30℃から200℃まで昇温速度4℃/分、周波数11GHzで測定を行い、弾性率変化(tanδ)が最大となる温度をガラス転移温度とした。
特許第6320031号に記載されているように、フレキシブル金属張積層板の金属箔をエッチング加工し、その長手方向に沿ってライン幅100μm、スペース幅100μmにて長さが40mmの10列の銅配線を形成した試験片(試験回路基板片)を作製した(図6)。試験片における導体配線のみを表した図6に示したように、その試験片40における10列の銅配線51は、U字部52を介して全て連続して繋がっており、その両端には抵抗値測定用の電極部分(図示外)を設けている。その試験片40を、二つ折りが可能な試料ステージ20及び21上に固定し、抵抗値測定用の配線を接続して、抵抗値のモニタリングを開始した(図7)。折り曲げ試験は、10列の銅配線51に対して、長手方向のちょうど中央部分にて、ウレタン製のローラー22を用いて、折り曲げ箇所40CのギャップGが0.5~1.5mmとなるように制御しながら折り曲げた線と並行にローラーを移動させ10列の銅配線51を全て折り曲げた後(図8及び図9)、折り曲げ部分を開いて試験片を平らな状態に戻し(図10)、折り目がついている部分を再度ローラーにて抑えたまま移動させ(図11)、この一連の工程をもってはぜ折り回数1回とカウントするようにした。その常時配線の抵抗値をモニタリングしながら、折り曲げ試験を繰り返し、所定の抵抗(3000Ω)になった時点を配線の破断と判断し、その時までに繰り返した折り曲げ回数をはぜ折り測定値とした。
特許第6320031号に記載されているように、図12に示される第1層の下面を基準面SPとする。以下、基準面SPが図12おける下側に凸形状になるように積層体を屈曲させる場合について考える。図12において、符号NPは積層体の中立面を表している。中立面位置[NP](Neutral Plane position)は、次の式(2)によって算出される。ここで、Eは弾性率、Bは奥行き幅 (通常全層単位幅としBi = 1とする)、hは層の中央面と基準面との距離、tは層厚みである。
特許第6320031号に記載されているように、フレキシブル回路基板全体の曲げ剛性である等価曲げ剛性[BR](Equivalent Bending Rigidity)は、次の式(3)によって算出される。
BPDA:3,3',4,4'‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
m‐TB:2,2'‐ジメチル‐4,4'‐ジアミノビフェニル
TPE-R:1,3-ビス(4‐アミノフェノキシ)ベンゼン
ビスアニリン-M:1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
DMAc:N,N‐ジメチルアセトアミド
BTDA:3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
DDA:炭素数36の脂肪族ジアミン(クローダジャパン株式会社製、商品名;PRIA
MINE1074、アミン価;205mgKOH/g、環状構造及び鎖状構造のダイマー
ジアミンの混合物、ダイマー成分の含有量;95重量%以上)
BAPP:2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
N-12:ドデカン二酸ジヒドラジド
OP935:有機ホスフィン酸アルミニウム塩(クラリアントジャパン社製、商品名;E
xolit OP935)
(ポリイミド溶液1の調製)
窒素導入管、攪拌機、熱電対、ディーンスタークトラップ、冷却管を付した500mLの4ッ口フラスコに、44.92gのBTDA(0.139モル)、75.08gのDDA(0.141モル)、168gのNMP及び112gのキシレンを装入し、40℃で30分間混合して、ポリアミド酸溶液を調製した。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、4時間加熱、攪拌し、留出する水及びキシレンを系外に除去した。その後、100℃まで冷却し、112gのキシレンを加え撹拌し、更に30℃まで冷却することでイミド化を完結したポリイミド溶液1(固形分;29.5重量%、重量平均分子量;75,700)を調製した。
(ポリアミド酸溶液1の調製)
窒素気流下で、反応槽に、64.20gのm-TB(0.302モル)及び5.48gのビスアニリン-M(0.016モル)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、34.20gのPMDA(0.157モル)及び46.13gのBPDA(0.157モル)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液1(粘度;26,500cps)を調製した。
(ポリアミド酸溶液2の調製)
69.56gのm-TB(0.328モル)、542.75gのTPE-R(1.857モル)、重合後の固形分濃度が12重量%となる量のDMAc、194.39gのPMDA(0.891モル)及び393.31gのBPDA(1.337モル)を原料組成とした以外は、合成例2と同様にしてポリアミド酸溶液2(粘度;2,650cps)を調製した。
(ポリイミドワニス1から樹脂シート1の作製)
ポリイミド溶液1の169.49g(固形分として50g)に1.8gのN-12(0.0036モル)及び12.5gのOP935を配合し、6.485gのNMPと19.345gのキシレンを加えて希釈して、ポリイミドワニス1を調製した。
貯蔵弾性率(40℃);5.0×108Pa
貯蔵弾性率(74℃);1.1×107Pa
貯蔵弾性率(250℃);3.0×106Pa
(ポリイミドワニス1から樹脂シート2~5の作製)
乾燥後厚みを変更したこと以外、作製例1と同様にして、樹脂シート2(厚み;75μm)、樹脂シート3(厚み;25μm)、樹脂シート4(厚み;19μm)及び樹脂シート5(厚み;38μm)を作製した。
(片面金属張積層板1の作製)
銅箔1(福田金属社製電解銅箔 CF―T49A―DS―HD2、厚さ;12μm、樹脂層側の表面粗度Rz;0.6μm、引張弾性率;30GPa)の上に、ポリアミド酸溶液2を硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。次にその上にポリアミド酸溶液1を硬化後の厚みが、約21μmとなるように均一に塗布し、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、その上にポリアミド酸溶液3を硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結して、フレキシブル片面金属張積層板1(樹脂層厚み;25μm)を作製した。
(片面金属張積層板2の作製)
ポリアミド酸溶液の硬化後の厚みが約8μmとなるように塗布したこと以外、作製例6と同様にして、片面金属張積層板2(樹脂層厚み;12μm)を作製した。
(片面金属張積層板3の作製)
ポリアミド酸溶液の硬化後の厚みが約34μmとなるように塗布したこと以外、作製例6と同様にして、片面金属張積層板3(樹脂層厚み;38μm)を作製した。
(フレキシブル回路基板1の作製)
2枚の片面金属張積層板1を準備し、それぞれの樹脂層側の面を樹脂シート1の両面に重ね合わせ、180℃で2時間、3.5MPaの圧力をかけて圧着して、フレキシブル金属張積層板1を作製した。次に、フレキシブル金属張積層板1の片面の金属層を、塩化第二鉄水溶液を用いてエッチング除去して片面金属張積層板を調製した後、もう一方の金属層に所定の配線加工を施してフレキシブル回路基板1を調製した。フレキシブル回路基板1の評価結果を表1に示す。
(フレキシブル回路基板2の作製)
2枚の片面金属張積層板2を準備し、それぞれの樹脂層側の面を樹脂シート2の両面に重ね合わせ、実施例1と同様にして、フレキシブル金属張積層板2を作製し、更にフレキシブル回路基板2を作製した。フレキシブル回路基板2の評価結果を表1に示す。
(フレキシブル回路基板3の作製)
2枚の片面金属張積層板1を準備し、それぞれの樹脂層側の面を樹脂シート1の両面に重ね合わせ、実施例1と同様にして、フレキシブル金属張積層板3を作製し、更にフレキシブル回路基板3を作製した。フレキシブル回路基板3の評価結果を表1に示す。
(フレキシブル回路基板4の作製)
2枚の片面金属張積層板3を準備し、それぞれの樹脂層側の面を樹脂シート3の両面に重ね合わせ、実施例1と同様にして、フレキシブル金属張積層板4を作製し、更にフレキシブル回路基板4を作製した。フレキシブル回路基板4の評価結果を表1に示す。
(フレキシブル回路基板5の作製)
2枚の片面金属張積層板1を準備し、それぞれの樹脂層側の面を樹脂シート2の両面に重ね合わせ、実施例1と同様にして、フレキシブル金属張積層板5を作製し、更にフレキシブル回路基板5を作製した。フレキシブル回路基板5の評価結果を表1に示す。
(参考回路基板1の作製)
銅箔1の上に、樹脂シート1を置き、さらにその上にポリイミドフィルム1(東レデュポン社製、商品名;カプトンEN―S、厚さ;25μm)を重ねた状態で、温度170℃、圧力0.85MPa、時間1分の条件で真空ラミネートし、その後オーブンにて温度160℃、時間1時間の条件で加熱し、金属張積層板1を作製した。得られた金属張積層板1の金属層に所定の配線加工を施して参考回路基板1を作製した。参考回路基板1の評価結果を表2に示す。
(参考回路基板2の作製)
銅箔1の上に、樹脂シート4、ポリイミドフィルム1、樹脂シート4及び銅箔1をこの順番で重ねた状態で、参考例1と同様にして、金属張積層板2を作製した。得られた金属張積層板2の片面の金属層を、塩化第二鉄水溶液を用いてエッチング除去して片面金属張積層板を調製した後、もう一方の金属層に所定の配線加工を施して参考回路基板2を作製した。参考回路基板2の評価結果を表2に示す。
(参考回路基板3の作製)
銅箔1の上に、樹脂シート3、ポリイミドフィルム1、樹脂シート3及び銅箔1をこの順番で重ねた状態で、参考例1と同様にして、金属張積層板3を作製した。得られた金属張積層板3の片面の金属層を、塩化第二鉄水溶液を用いてエッチング除去して片面金属張積層板を作製した後、もう一方の金属層に所定の配線加工を施して参考回路基板3を作製した。参考回路基板3の評価結果を表2に示す。
(参考回路基板4の作製)
銅箔1の上に、樹脂シート5、ポリイミドフィルム1、樹脂シート5及び銅箔1をこの順番で重ねた状態で、参考例1と同様にして、金属張積層板4を作製した。得られた金属張積層板4の片面の金属層を、塩化第二鉄水溶液を用いてエッチング除去して片面金属張積層板を作製した後、もう一方の金属層に所定の配線加工を施して参考回路基板4を調製した。参考回路基板4の評価結果を表2に示す。
(参考回路基板5の作製)
銅箔1の上に、樹脂シート1、ポリイミドフィルム1、樹脂シート1及び銅箔1をこの順番で重ねた状態で、参考例1と同様にして、金属張積層板5を調製した。得られた金属張積層板5の片面の金属層を、塩化第二鉄水溶液を用いてエッチング除去して片面金属張積層板を作製した後、もう一方の金属層に所定の配線加工を施して参考回路基板5を調製した。参考回路基板5の評価結果を表2に示す。
銅箔1の上に、所定のポリアミド酸溶液を所定の厚みになるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去し、120℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結して、片面金属張積層板を調製した。塩化第二鉄水溶液を用いて片面金属張積層板の銅箔層をエッチング除去してポリイミドフィルムを調製した。このポリイミドフィルムの引張弾性率を単層のポリイミド層の引張弾性率とした。
フレキシブル金属張積層板の等価曲げ剛性の算出において、図13に示すような積層体を例に説明する。上記はぜ折り試験のサンプルの状態を想定し、絶縁樹脂層の片面側に銅箔を貼り付けた層構造にて、上記式(3)にて算出する。積層体の等価曲げ剛性の計算に用いた数値は、全て単層の絶縁体として測定した数値を用いた。実施例1のケースに当てはめると、銅箔層(引張弾性率M1:30.0GPa、厚みT1:12μm)を第1層目とし、その上に順番に、2層目の絶縁体(引張弾性率M2:3.4GPa、厚みT2:2μm)、3層目の絶縁体(引張弾性率M3:8.0GPa、厚みT3:21μm)、4層目の絶縁体(引張弾性率M4:3.4GPa、厚みT4:2μm)、5層目の絶縁体(引張弾性率M5:0.8GPa、厚みT5:12μm)の層構成にて、等価曲げ剛性は0.15N/mm2となり、トータル厚み(87μm)の3乗で除した値は、234N/mm2となる。
実施例1と参考例1及び3、実施例2~4と参考例4、並びに実施例5と参考例5とをそれぞれ対比させると、絶縁樹脂層の層厚が同じであっても、実施例の方が、はぜ折り試験回数が大きく増加していることがわかる。なお、参考例2のはぜ折り回数が94回と比較的多いが、絶縁樹脂層を参考例2と同じ厚さとした本願発明のフレキシブル金属張積層板であれば、実施例1~5の結果(絶縁樹脂層が薄くなるとはぜ折り回数が増加する傾向があること)から、参考例2の結果よりもはぜ折り回数が大きく増加することが確実に気体できる。
C1 第1の片面金属張積層板
C2 第2の片面金属張積層板
MA、M1、M2 金属層
PA ボトム絶縁樹脂層
P1 第1の絶縁樹脂層
P2 第2の絶縁樹脂層
B、BA 接着層
X 絶縁樹脂層
100、100A フレキシブル金属張積層板
101、101A 金属層
110、110A ポリイミド層
111、111A 非熱可塑性ポリイミド層
112、112A 熱可塑性ポリイミド層
120、120A 接着性ポリイミド層
130、130A 片面金属張積層板
Claims (5)
- 電子機器の筐体内に上面側が180度反転して下面側になるように折り曲げるはぜ折りによって折り畳んで収納されるフレキシブル回路基板に用いられるフレキシブル金属張積層板であって、
厚みが50μm以上150μm以下の範囲内、引張弾性率(TM1)が1GPa以上7GPa以下の範囲内の絶縁樹脂層と、
前記絶縁樹脂層の少なくとも一方の面に積層された金属層と、を有しており、
前記絶縁樹脂層が複数のポリイミド層が積層されてなり、複数のポリイミド層の中心層としてポリイミド層(A)を有し、前記ポリイミド層(A)の厚みが前記絶縁樹脂層の全体の厚みに対して0.5以上0.96以下の範囲内であり、
前記絶縁樹脂層における前記金属層との界面から厚み方向に5μmの範囲内における引張弾性率(TM2)が2GPa以上10GPa以下の範囲内であり、前記引張弾性率(TM2)は前記引張弾性率(TM1)よりも大きいことを特徴とするフレキシブル金属張積層板。 - 前記金属層の厚みが6μm以上15μm以下の範囲内である請求項1に記載のフレキシブル金属張積層板。
- 前記ポリイミド層(A)の50℃における貯蔵弾性率が、1800MPa以下であり、180~260℃における貯蔵弾性率の最大値が、800MPa以下である請求項1に記載のフレキシブル金属張積層板。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載のフレキシブル金属張積層板における前記金属層が配線加工されてなるフレキシブル回路基板。
- 前記金属層が内側になるように折り曲げられた請求項4に記載のフレキシブル回路基板。
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