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JP7680696B2 - 誘電分光センサ - Google Patents
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JP7680696B2 - 誘電分光センサ - Google Patents

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Description

本発明は、誘電分光センサに関する。
血糖値などの成分濃度検査は血液の採取を必要とし、患者にとって大きな負担となっている。このため、血液を採取しない非侵襲な成分濃度測定装置が実用化されている。
非侵襲な成分濃度測定装置として、例えばマイクロ波-ミリ波帯の電磁波を用いる方法が提案されている。この方法では、近赤外光などの光学的な方法と比較して、生体内での散乱が少なく、1フォトンの持つエネルギーが低いという利点がある。
マイクロ波-ミリ波帯の電磁波を用いる方法として、非特許文献1に開示された共振構造を用いる方法が提案されている。非特許文献1では、アンテナや共振器などのQ値の高いデバイスと測定試料を接触させ、共振周波数周辺の周波数特性を測定する。共振周波数はデバイスの周囲の複素誘電率により決定されるため、共振周波数のシフト量と成分濃度との間の相関を予め予測することにより、共振周波数のシフト量に基づいて成分濃度を推定することができる。
マイクロ波-ミリ波帯の電磁波を用いる他の方法として、特許文献1に開示された誘電分光法が提案されている。誘電分光法は、人間或いは動物の皮膚内に電磁波を照射し、測定対象である血液成分、例えば、グルコース分子と水の相互作用に従い、電磁波を吸収させ、電磁波の振幅及び位相を観測する。観測される電磁波の周波数に対する振幅及び位相から、誘電緩和スペクトルを算出する。誘電緩和スペクトルは、一般的には、Cole-Cole式に基づき緩和カーブの線形結合として表現し、複素誘電率を算出する。
複素誘電率は、血液中に含まれるグルコース、コレステロール等の血液成分の量との間に相関がある。複素誘電率の変化と成分濃度との相関を予め測定することによって検量モデルを構築し、測定した誘電緩和スペクトルの変化に基づいて成分濃度の検量を行うことができる。いずれの方法を用いる場合でも、対象となる成分と相関の強い周波数帯を選定することにより測定感度の向上が期待できるため、予め広帯域な誘電分光により誘電率の変化を測定しておくことが求められる。
誘電分光法の中でも、非特許文献2、3、特許文献2に示すような同軸プローブ(Open-ended coaxial probe、または Open-endedcoaxial line)を用いた方法は測定器の校正に水などの入手が容易な試料を用いることができる。また、材料の特殊な加工を必要とせずプローブ端面に被測定試料を接触させることで測定試料の誘電率を測定することが可能である。このため、生体や果実(の糖度)、土壌(の水分量、導電性)などの加工を避けた上で電気的特性を評価したい試料の測定に適している。
特に、特許文献2に示すような基板集積型の平面型同軸センサは、ディスクリートICやASICを用いた誘電分光システムを集積するPCB基板に直接集積が可能であることから、ウェアラブル端末などの小型なシステム構築に適している。
また、非特許文献4には、同軸プローブの開口径に応じて測定対象物の内部に電界が侵入する深さが異なることが開示されている。
特開2013-32933号公報 特許第6771372号公報
M. Hofmann,G. Fischer, R. Weigel, and D. Kissinger, "Microwave-Based Noninvasive Concentration Measurements for Biomedical Applications", IEEE Trans. Microwave Theory and Techniques, Vol.61, No.5, pp. 2195-2203,2013 J P. Grant, R N. Clarke,G T. SYymm and N M. Spyrou,"A criticalstudy of the open-ended coaxialline sensor technique for RF and microwave complexpermittivity measurements", J. Phys.E: Sci. Instrum,Vol.22, pp. 757-770,1989 T.P. Marsland, and S. Evans"Dielectric measurements with an open-ended coaxial probe", IEE Proceedings, Vol. 134, No.4,1987 P.-M. Meaney, A.-P.Gregory, J. Sepp?l? and T. Lahtinen, "Open-Ended Coaxial Dielectric Probe Effective Penetration Depth Determination", IEEE Trans.Microwave Theory and Techniques, Vol.64,No.3, pp. 915-923,2016
しかし、基板集積型の誘電分光センサは、通常は基板厚が規定されているので、誘電分光センサの基板厚に応じて伝送線路を設計する必要がある。このため、基板集積型の誘電分光センサに設けられる開口部の開口径が制限され、所望する開口径にすることができない。その結果、測定対象物の内部へ電界が侵入可能な侵入深さが制限されてしまう。侵入深さよりも深い部位で誘電率変化が発生した場合には、誘電分光センサで検出される反射係数(S11パラメータ)が変化しない。このため、高精度な誘電率の測定ができないという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、基板開口部の開口径に制限されず、測定対象物内への電界の侵入深さを大きくすることにより、測定対象物の誘電率を高精度に測定することが可能な誘電分光センサを提供することにある。
本発明の誘電分光センサは、誘電分光システムに接続する誘電分光センサであって、前記誘電分光システムと一致する所定の特性インピーダンスを有する伝送線路と、前記伝送線路に接続され、第1の開口径の第1開口部を有する準同軸構造部と、前記準同軸構造部に接続され、一方の端部が前記所定の特性インピーダンスとされ、他方の端部が前記第1の開口径とは異なる第2開口径の第2開口部とされている開口径調整部と、を備える。
本発明によれば、測定対象物の誘電率を高精度に測定することが可能になる。
図1は、実施形態に係る誘電分光センサの構成を示すブロック図である。 図2は、平面型同軸センサの構造を有する誘電分光センサの構成を示す斜視図である。 図3Aは、第2基板の上面を示す説明図である。 図3Bは、第2基板の下面を示す説明図である。 図4Aは、第1基板の上面を示す説明図である。 図4Bは、第1基板の下面を示す説明図である。 図5Aは、開口径調整部の構成を示す断面図であり、上面から下面に向けて外部導体53aの内径が一定である例を示す。 図5Bは、開口径調整部の構成を示す断面図であり、上面から下面に向けて外部導体53bの内径が段階的に長くなる例を示す。 図5Cは、開口径調整部の構成を示す断面図であり、上面から下面に向けて外部導体53cの内径が段階的に短くなる例を示す。 図5Dは、開口径調整部の構成を示す断面図であり、上面から下面に向けて外部導体53dの内径が徐々に短くなる例を示す。 図6は、開口径調整部が準同軸形状に構成される例を示す説明図である。 図7は、開口径調整部の端面からの距離(侵入深さ)と、電界強度との関係を示すグラフである。 図8は、各サイズの開口径を有する開口径調整部を使用したときの、周波数の変化に対するS21パラメータの変化を示すグラフである。 図9は、開口径調整部の端面からの距離(侵入深さ)と、電界強度との関係を示すグラフである。 図10は、開口径調整部13を使用しないときの、周波数の変化に対するS21パラメータの変化を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る誘電分光センサ、及びその周辺機器の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る誘電分光センサ100は、誘電分光システム20に接続されており、誘電分光システム20から出力される高周波信号(RF)を受信する。また、誘電分光センサ100は、測定対象物Mに向けて電磁波を出力し、その反射波を受信して誘電分光システム20に送信する。測定対象物Mは、例えば人間の皮膚、動物、果実、土壌などである。
誘電分光システム20は、例えば、CPU(Central Processing Unit、プロセッサ)と、メモリと、ストレージ(HDD:Hard Disk Drive、SSD:Solid State Drive)と、通信装置と、入力装置と、出力装置とを備える汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。
図1に示すように誘電分光センサ100は、伝送線路11と、準同軸構造部12と、開口径調整部13を備えている。伝送線路11及び準同軸構造部12は、回路基板10に形成されている。
図2は、誘電分光センサ100の斜視図である。図2に示すように本実施形態に係る誘電分光センサ100は、第1基板21と第2基板31を積層した平面型同軸センサの構成を有している。第1基板21と第2基板31が図1に示す回路基板10に対応する。第1基板21及び第2基板31は誘電体基板で構成するとよい。
図3Aは第2基板31の上面、図3Bは第2基板31の下面を示す平面図である。第2基板31の上面は第1基板21に接する面であり、下面は開口径調整部13に接する面である。
図4Aは第1基板21の上面、図4Bは第1基板21の下面を示す平面図である。第1基板21の上面は伝送線路11が形成される面であり、下面は第2基板31に接する面である。
第1基板21及び第2基板31の材料としては、高周波で用いられるガラスエポキシ、テフロン、アルミナ、石英、Siなどを用いることができる。第1基板21及び第2基板31の大きさは例えば、数センチ×数センチ角、厚さは例えば、数百μm~数mmである。第1基板21及び第2基板31は、例えば比誘電率が2~3の誘電体である。
図3A、図3Bに示すように、第2基板31の両面には円形の開口部H1(第1開口部)を有する金属パターン32、35が設けられている。開口部H1の直径(第1の開口径)は、例えば数百μm~数mmである。金属パターン32、35の材料としては、高周波基板で用いられる金属、例えばCu、Auなどを用いることができる。
第2基板31の開口部H1の中央には、第2基板31を貫通するビア33が設けられている。また、開口部H1の円周に沿って、金属パターン32及び金属パターン35と導通する複数(図では8個)のビア34が設けられている。つまり、ビア33を中心とした円状に複数のビア34が設けられる。ビア33、34内には、導体が充填されている。
ビア33、34の材料としては、導電性のインク、銅ペースト、銀ペースト、銅めっきなどを用いることができる。或いは、ビア33、34の径と同一の直径を有する金属ピンを埋め込んでもよい。ビア33を内部導体、ビア34を外部導体とする準同軸構造により、第2基板31の平面方向にTEMモードの電磁波が伝搬する。
一方、図4Aに示すように、第1基板21の上面には、コプレーナ線路を構成する金属パターン11a、11bが設けられる。金属パターン11aはコプレーナ線路のシグナル線となり、金属パターン11bはグランド線となる。即ち、金属パターン11a、11bにより、伝送線路11が形成されている。また、金属パターン11a、11bの特性インピーダンスは、図1に示す誘電分光システム20の接続部における特性インピーダンス(所定の特性インピーダンス)と同一になるように設定されている。
金属パターン11aの幅、及び金属パターン11a、11b間のギャップの幅は、数十μm~数mmである。誘電分光センサ100に接続される誘電分光システム20の特性インピーダンス(所定の特性インピーダンス)に合わせて、例えば50Ω又は75Ωとなるようにコプレーナ線路の各寸法が設計される。
第1基板21には、第2基板31のビア33、34の位置に対応させて、準同軸構造を構成するビア24、及び複数のビア25が設けられている。ビア24は、ビア33及び金属パターン11aに導通する。ビア25は、ビア34及び金属パターン11bに導通する。この構成により、第1基板21は、コプレーナ線路-準同軸変換の役割を果たす。なお、複数のビア25は、シグナル線となる金属パターン11aと接触しないように配置されている。第2基板31と第1基板21は、例えば接着剤により接着されている。
ビア33、複数のビア34、及び各ビア34で囲まれる開口部H1で構成される領域が、図1に示す準同軸構造部12に対応しており、開口径調整部13を接続する接続面となる。即ち、準同軸構造部12は、伝送線路11に接続され、第1の開口径の第1開口部を有している。準同軸構造部12は、誘電体基板(第1基板21、第2基板31)に形成した金属パターンを含んでいる。具体的には、準同軸構造部12は、誘電体基板に形成したビア24、33(第1のビア)、及びビア25、34(第2のビア)を含んでいる。
第1基板21に形成される金属パターン11a、11bからなる伝送線路11は、マイクロストリップ線路、コプレーナ線路、コプレーナストリップなどのプリント基板や半導体基板上に製造可能な伝送線路などを用いることができる。例えば、マイクロストリップ線路を用いる場合において、特性インピーダンスZMSLは下記(1)式で示される。
Figure 0007680696000001
上記(1)式において、「εsub」はマイクロストリップ線路の基板誘電率、「h」は回路基板10の基板厚である。「W」は線路幅、即ち、図4Aに示す金属パターン11aの幅である。
(1)式において、基板誘電率εsub、及び基板厚hは、誘電分光センサ100の作製に用いるプリント基板、或いは半導体基板を選定した段階で決定される固定値となる。従って、所望の特性インピーダンスZMSLを得るための線路幅Wは一義的に決定される。
例えば、基板厚が200μm、誘電率3.5程度の高周波基板を用いて、特性インピーダンスZMSLを50Ω程度にするためには、線路幅Wは400μm程度となる。準同軸構造は、前述した特許文献2に示されているとおり、基板にビアを設けることで基板垂直方向に内部導体、外部導体を持つような疑似的な同軸構造としたものであり、その特性は同軸線路と同等であると見なすことができる。
ここで、同軸線路の特性インピーダンスZcoaxは、下記の(2)式で示すことができる。
Figure 0007680696000002
(2)式において、「εc」は、同軸線路の内部誘電体の誘電率、「D」は同軸線路を構成する外部導体の内径、「d」は内部導体の外径を示す。
(2)式から明らかなように、回路基板10の誘電率が決定され、外径Dと内径dの比率「D/d」が変化しない場合には、同軸線路の特性インピーダンスは変化しない。一般的に特性インピーダンスは50Ωとなるように設計され、基板誘電率が3.5程度の場合には比率「D/d」は0.2程度とされている。
同軸プローブ型の誘電分光センサを用いる場合は、同軸線路の片側端面が測定対象物Mに接触できる開放端とし、開放端に接する測定対象物Mに電界を発生させ、この電界による反射波に基づいてS11パラメータを算出する。誘電分光システム20は、S11パラメータの変化に基づいて、測定対象物の誘電率を測定する。この際、開放端の開口径に応じて測定対象物Mに電界が侵入する深さが変化する。
「侵入深さ」とは、誘電分光センサ100の測定面から出力された電磁波により、測定対象物Mの内部に電界が侵入する深さである。侵入深さよりも深い部位で誘電率変化が起きた場合には、この部位まで電界が達していないので同軸センサのS11パラメータは変化しない。従って、薄膜測定、細胞などの生体の測定では、十分な侵入深さを確保することが必要になる。
図7は、本実施形態に係る開口径調整部13を使用しないときの、測定対象物Mの端面からの距離(侵入深さ)と規格化した電界強度の関係を示すグラフである。周波数fは、5.0GHzとしている。図7に示す曲線q1は、開口径を3mmとしたとき、曲線q2は開口径を1.6mmとしたときのグラフである。曲線q1、q2から、開口径を3mmとした方が電界の侵入深さが大きくなっていることが判る。
即ち、電界の侵入深さは、同軸センサ端面からの電界強度分布に関係しており、開口径が大きいほど電界の減衰が少なく、より深くまで電界が到達する。従って、所望の侵入深さとなる誘電分光センサを設計する際には、誘電分光センサの端面の開口径を調整すればよい。また、開口径調整部13を同軸線路で構成し、比率「D/d」を設定することにより、準同軸構造部12の特性インピーダンスと開口径調整部13の準同軸構造部12との接続面側の特性インピーダンスを一致させることができる。
本実施形態では、準同軸構造部12の端面(図3A、図3Bに示した開口部H1に対応)に、同軸構造を有する開口径調整部13を設けることにより、準同軸構造部12にて、伝送線路~同軸線路の変換を行い、開口径調整部13にて同軸線路の開口径を変化させる。そして、広帯域な伝送特性と侵入深さの設計の自由度を両立させる。
開口径調整部13の開口径は、準同軸構造部12の開口径(開口部H1の直径)よりも広くしても狭くしてもよい。この際、伝送線路11、準同軸構造部12、開口径調整部13の特性インピーダンスは同一となるように設計する。以下、開口径調整部13の具体的な構成について説明する。
図5A~図5Dは、開口径調整部13の具体的な実施例を示す断面図である。図5A~図5Dに示す各開口径調整部13a~13dは円筒形状をなしており、上端p1が回路基板10の測定面に接する面、下端p2が測定対象物Mに接する面とされている。
図5Aに示す開口径調整部13aは、内部導体51aと、内部導体51aの外周に同心円状に形成された誘電体52aと、誘電体52aの外周に同心円状に形成された外部導体53aを備えた同軸プローブ構造を有している。内部導体51a、及び外部導体53aは、上端p1から下端p2に向けて直径が同一とされている。即ち、図5Aに示す例では、開口径調整部13aは、一方の端部の開口部の開口径と、他方の端部の開口径が同一とされている。このような構成により、測定対象物Mに接する測定面の開口径(外部導体53aの内径)を、図3A、図3Bに示した開口部H1の直径とは異なるL1(>H1)に設定することができる。
図5Bに示す開口径調整部13bは、内部導体51bと、内部導体51bの外周に同心円状に形成された誘電体52bと、誘電体52bの外周に同心円状に形成された外部導体53bを備えている。内部導体51bは、上端p1から下端p2に向けて段階的に直径が大きくなっている。即ち、図5Bに示す例では、開口径調整部13bは、一方の端部の開口部の開口径と、他方の端部の開口径が異なっており、一方の端部から他方の端部に向けて段階的に拡がるように開口径が変化する。このような構成により、測定対象物Mに接する測定面の開口径を、開口部H1の直径とは異なるL2(>H1)に設定することができる。
図5Cに示す開口径調整部13cは、内部導体51cと、内部導体51cの外周に同心円状に形成された誘電体52cと、誘電体52cの外周に同心円状に形成された外部導体53cを備えている。内部導体51cは、上端p1から下端p2に向けて段階的に直径が小さくなっている。即ち、図5Cに示す例では、開口径調整部13cは、一方の端部の開口部の開口径と、他方の端部の開口径が異なっており、一方の端部から他方の端部に向けて段階的に狭まるように開口径が変化する。このような構成により、測定対象物Mに接する測定面の開口径を、開口部H1の直径とは異なるL3(<H1)に設定することができる。
図5Dに示す開口径調整部13dは、内部導体51dと、内部導体51dの外周に同心円状に形成された誘電体52dと、誘電体52dの外周に同心円状に形成された外部導体53dを備えている。内部導体51dは、上端p1から下端p2に向けて連続的に直径が小さくなっている。即ち、図5Dに示す例では、開口径調整部13dは、一方の端部の開口部の開口径と、他方の端部の開口径が異なっており、一方の端部から他方の端部に向けて徐々に開口径が変化する。このような構成により、測定対象物Mに接する測定面の開口径を、開口部H1の直径とは異なるL4(<H1)に設定することができる。
図6は、開口径調整部13を準同軸形状に形成した例を示す説明図である。図6に示す開口径調整部13eは、円筒形状を有しており、中心部に内側導体61が形成され、内側導体61を中心とする円上に複数(図では8個)の外側導体62が設けられている。内側導体61は、図3A、図3Bに示したビア33の位置に対応して設けられている。外側導体62は、図3A、図3Bに示したビア34の位置よりも外側または内側となる位置に設けられている。このような構成により、測定対象物Mに接する測定面の開口径を、開口部H1の直径とは異なるL5(<H1)に設定することができる。
即ち、開口径調整部13は、準同軸構造部12に接続され、一方の端部(上端p1)が所定の特性インピーダンスとされ、他方の端部(下端p2)が開口部H1の開口径(第1の開口径)とは異なる開口径L1~L5(第2開口径)の第2開口部とされている。
図8は、基板厚200μm、誘電率3.5程度の高周波基板を用い、準同軸構造部12の開口径を2mmとし、開口径調整部13として図5Aに示したストレート構造を用いた場合の、周波数変化に対するS21パラメータの変化を示すグラフである。「S21パラメータ」とは、任意に設定した一のポイントから他のポイントまでの通過特性を示すパラメータである。
曲線q12は準同軸構造の開口部が2mmの場合、曲線q11は開口径調整部13の開口径が準同軸構造の開口の1/2倍である1mmとした場合、曲線q13は開口径調整部13の開口径が準同軸構造の開口の2.5倍である5mmとした場合のグラフである。
また、図10は開口径調整部13を使用せず、平面型同軸センサの開口部の開口径を2mm、及び5mmとしたときの、周波数変化に対するS21パラメータの変化を示すグラフである。図10において、開口径が2mmの曲線q31では、周波数の変化に対してS12パラメータは大きく変化していない。しかし、開口径が5mmの曲線q32では、周波数が高くなるにつれてS21パラメータが大きく低下している。
これに対して、図8に示すグラフでは、曲線q11、q13の双方において、同軸プローブ構造のプローブ端面まで電磁波が効率よく伝送されていることが判る。プローブ端面まで効率よく電磁波が伝送されることで、反射点によるロスの影響が低減され、反射特性の測定感度を高めることができる。
図9は、図8と同様の設計において開口径調整部13の端面からの電界強度分布を示すグラフである。図9に示す曲線q21は開口径が1mm、曲線q22は開口径が2mm、曲線q23は開口径が5mmの場合を示している。各曲線q21、q22、q23から、開口径の大きさが大きいほど、より深い侵入深さが得られていることが判る。
本実施形態に係る誘電分光センサ100では、測定対象物Mに対する電界の侵入深さを所望の侵入深さとし、且つ広い周波数帯域にて精度よく測定対象物の反射特性を測定することができる。測定した反射特性に基づいて、以下に示す演算により測定対象物Mの誘電率を求める。
同軸プローブ構造を有する開口径調整部13の端面に校正標準、及び測定対象物Mを設置し、それぞれについて電磁波を出力したときの反射波を測定し、下記の(3)式、(4)式を用いることで測定対象物Mの誘電率を算出する。
Figure 0007680696000003
Figure 0007680696000004
(3)式、(4)式において、「ρ」は補正された反射係数S11、「y」はアドミタンスの線形写像、「ε」は測定対象物Mの誘電率、「G0」は真空中の同軸プローブのコンダクタンス、「C0」は真空中の同軸プローブのキャパシタンスである。添え字の「1」~「4」は校正標準を示し、「m」は測定対象物を示す。
測定された誘電率は、材料評価や測定対象物Mの時系列の特性変化、生体成分濃度の定量などに活用することができる。なお、回路基板10とは異なる誘電率の材料を用いて「D/d」の比率を変化させてもよい。
上述した特許文献2に記載に示された従来方法では、誘電分光センサは、本実施形態の特徴的な構成である開口径調整部13を備えておらず、接続用伝送線路と準同軸構造部のみで構成されている。このため、電界の侵入深さを変化させるためには準同軸構造部の開口径を大きくする必要がある。
このとき、マイクロストリップ配線、或いはコプレーナ配線にて伝送するTEMモードの電磁波は、100μmオーダーのギャップを通過しているため、準同軸構造部の開口径が極めて大きい場合には準同軸構造部が開放端に近い特性を示し、伝送線路-準同軸構造の界面で電磁波が反射してしまう。
例えば、伝送線路に線幅400μmのマイクロストリップ配線を用い、マイクロストリップ配線側を第1ポート、準同軸構造部の端面を第2ポートとしたときの通過特性は、図10に示したように、開口径が大きい場合において電磁波の伝送特性が著しく劣化する。
これに対して、本実施形態では、伝送線路11及び準同軸構造部12に加えて、開口径調整部13を設け、開口径調整部13における同軸プローブ構造端面の特性インピーダンスが、伝送線路11の特性インピーダンスと一致するように設計することで各界面における反射を低減することができる。
このように、本実施形態に係る誘電分光センサ100は、誘電分光システム20に接続する誘電分光センサ100であって、誘電分光システム20と一致する所定の特性インピーダンスを有する伝送線路11と、伝送線路11に接続され、第1の開口径の第1開口部を有する準同軸構造部12と、準同軸構造部12に接続され、一方の端部が所定の特性インピーダンスとされ、他方の端部が第1の開口径とは異なる第2開口径の第2開口部とされている開口径調整部13とを備える。
本実施形態に係る誘電分光センサ100では、開口径調整部13を設けることにより、測定対象物Mに接する開口部の開口径を任意に設定できる。その結果、電界の侵入深さを大きくすることができ、より深い部位で測定対象物Mの誘電率が変化した場合でも、誘電率の変化を高精度に検出することができる。
また、伝送線路11及び準同軸構造部12を、誘電体基板である第1基板21、第2基板31上に形成した金属パターンで構成するので、誘電分光センサ100の小型化、薄型化を図ることができる。
準同軸構造部12は、第1基板21及び第2基板31(誘電体基板)に形成した円形状の開口部の中心に形成された第1のビア(ビア24、33)と、開口部H1の円周に沿って形成された複数の第2のビア(ビア25、34)を備えるので、準同軸構造部12を簡易に構成でき、且つ、誘電体基板の小型化を図ることができる。
本実施形態では、図5Aに示したように、開口径調整部13は、一方の端部の開口部の開口径と、前記他方の端部の開口径が同一とされている。従って、図5Aに示した開口径L1は、図3A、図3Bに示した開口部H1の開口径とは異なっている。このため、開口径調整部13の開口径を任意の開口径に設定することができ、電界の侵入深さを大きくすることができる。その結果、誘電分光センサ100の測定精度を向上させることができる。
本実施形態では、図5B、図5Cに示したように、開口径調整部13は、一方の端部から他方の端部に向けて開口径が段階的に変化する。このため、開口径調整部13の開口径を任意の開口径に設定することができ、電界の侵入深さを大きくすることができる。その結果、誘電分光センサ100の測定精度を向上させることができる。
本実施形態では、図5Dに示したように、開口径調整部13は、一方の端部から他方の端部に向けて開口径が徐々に変化する。このため、開口径調整部13の開口径を任意の開口径に設定することができ、電界の侵入深さを大きくすることができる。その結果、誘電分光センサ100の測定精度を向上させることができる。
本実施形態では、図6に示したように、準同軸ケーブル形状を有する開口径調整部13を用いる。このため、開口径調整部13の開口径を任意の開口径に設定することができ、電界の侵入深さを大きくすることができる。その結果、誘電分光センサ100の測定精度を向上させることができる。
本実施形態では、基板厚及び誘電率が規定されている誘電体基板上に、薄層基板や細胞、生体試料などの測定に適した広帯域かつ任意の侵入深さを有する同軸プローブ構造の開口径調整部13を搭載することにより、測定対象物Mの誘電率を高精度に測定することが可能になる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
10 回路基板
11 伝送線路
11a、11b 金属パターン
12 準同軸構造部
13、13a~13e 開口径調整部
20 誘電分光システム
21 第1基板
24、33 ビア(第1のビア)
25、34 ビア(第2のビア)
31 第2基板
32、35 金属パターン
51a、51b、51c、51d 内部導体
52a、52b、52c、52d 誘電体
53a、53b、53c、53d 外部導体
61 内側導体
62 外側導体
100 誘電分光センサ
M 測定対象物

Claims (7)

  1. 誘電分光システムに接続する誘電分光センサであって、
    前記誘電分光システムと一致する所定の特性インピーダンスを有する伝送線路と、
    前記伝送線路に接続され、第1の開口径の第1開口部を有する準同軸構造部と、
    前記準同軸構造部に接続され、一方の端部が前記所定の特性インピーダンスとされ、他方の端部が前記第1の開口径とは異なる第2開口径の第2開口部とされている開口径調整部と、を備え、
    前記第2開口部にて発生する電界が、測定対象物の端面から、誘電率測定のための所望の侵入深さまで到達するように、前記第2開口径が設定されている
    誘電分光センサ。
  2. 前記伝送線路、及び前記準同軸構造部は、誘電体基板に形成した金属パターンを含む
    請求項1に記載の誘電分光センサ。
  3. 前記準同軸構造部は、前記誘電体基板に形成された円形状の開口部の中心に形成された第1のビアと、
    前記開口部の円周に沿って形成された複数の第2のビアと、を含む
    請求項2に記載の誘電分光センサ。
  4. 前記開口径調整部は、前記一方の端部の開口部の開口径と、前記他方の端部の開口径が同一である
    請求項1~3のいずれか1項に記載の誘電分光センサ。
  5. 前記開口径調整部は、前記一方の端部の開口部の開口径と、前記他方の端部の開口径が異なっており、前記一方の端部から前記他方の端部に向けて徐々に開口径が変化する
    請求項1~3のいずれか1項に記載の誘電分光センサ。
  6. 前記開口径調整部は、前記一方の端部の開口部の開口径と、前記他方の端部の開口径が異なっており、前記一方の端部から前記他方の端部に向けて段階的に開口径が変化する
    請求項1~3のいずれか1項に記載の誘電分光センサ。
  7. 前記開口径調整部は、前記第1のビアに対応する位置に配置された内側導体と、前記第2のビアの外側、または内側に対応する位置に配置された外側導体と、を備えた
    請求項3に記載の誘電分光センサ。
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