JP3367279B2 - 水の濃度分布測定方法 - Google Patents
水の濃度分布測定方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料の誘電率を測定す
ることにより、その試料中の水の濃度の深さ方向の分布
を求める水の濃度分布測定装置に関する。
ることにより、その試料中の水の濃度の深さ方向の分布
を求める水の濃度分布測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、皮膚や食品等のように水を含む
試料の性質は、その水分含量に大きく影響される。した
がって、これら試料の水分含量の測定は、試料の性質や
状態を把握する上で有用であり、また、試料に適用した
薬品、化粧品等の性能を評価する上でも有用となる。
試料の性質は、その水分含量に大きく影響される。した
がって、これら試料の水分含量の測定は、試料の性質や
状態を把握する上で有用であり、また、試料に適用した
薬品、化粧品等の性能を評価する上でも有用となる。
【0003】そこで、従来より種々の水分測定方法が提
案され、使用されている。例えば、皮膚等の試料表層の
水分の測定方法としては、一般に高周波インピーダンス
法が用いられている。しかし、高周波インピーダンス法
は、試料表層の水の挙動を直接的には観測していないた
め、試料表層の水分以外に測定値に影響を及ぼす因子が
多く、再現性に問題がある。また、高周波インピーダン
ス法により得られる情報は、試料表面からどの程度の深
さのものであるかがあいまいであるという問題もある。
さらに、この方法では、自由水であるか結合水であるか
という水の状態に関する情報を得ることもできない。
案され、使用されている。例えば、皮膚等の試料表層の
水分の測定方法としては、一般に高周波インピーダンス
法が用いられている。しかし、高周波インピーダンス法
は、試料表層の水の挙動を直接的には観測していないた
め、試料表層の水分以外に測定値に影響を及ぼす因子が
多く、再現性に問題がある。また、高周波インピーダン
ス法により得られる情報は、試料表面からどの程度の深
さのものであるかがあいまいであるという問題もある。
さらに、この方法では、自由水であるか結合水であるか
という水の状態に関する情報を得ることもできない。
【0004】これに対し、試料表層の水分測定方法とし
ては、試料表層の誘電率を測定し、そこに存在する水の
誘電緩和を測定する方法が提案されている。誘電緩和の
測定方法としては、周波数領域測定法と時間領域反射法
(以下、TDR法(Time Domain Reflectometry method)
と略する)とがあるが、近年、後者の測定技術及びその
応用の研究が積極的に進められている。
ては、試料表層の誘電率を測定し、そこに存在する水の
誘電緩和を測定する方法が提案されている。誘電緩和の
測定方法としては、周波数領域測定法と時間領域反射法
(以下、TDR法(Time Domain Reflectometry method)
と略する)とがあるが、近年、後者の測定技術及びその
応用の研究が積極的に進められている。
【0005】このTDR法は、試料に特定波形の励起信
号(例えば、ステップパルス)を印加してその反射波を
観測し、反射波の各周波数成分の位相と強度の変化から
試料の複素誘電率を求め、それに基づいて試料の物性を
知る方法である。例えば、特開平2−110357号公
報には、TDR法により生体の水分測定を行った例が記
載されている(同公報第4頁上右欄10行〜第7頁下右
欄17行)。この方法によれば、試料中の水分含量を非
破壊的にかつ定量的に測定することができ、また、自由
水であるか結合水であるかという水の状態に関する情報
も得ることができるので好ましい。
号(例えば、ステップパルス)を印加してその反射波を
観測し、反射波の各周波数成分の位相と強度の変化から
試料の複素誘電率を求め、それに基づいて試料の物性を
知る方法である。例えば、特開平2−110357号公
報には、TDR法により生体の水分測定を行った例が記
載されている(同公報第4頁上右欄10行〜第7頁下右
欄17行)。この方法によれば、試料中の水分含量を非
破壊的にかつ定量的に測定することができ、また、自由
水であるか結合水であるかという水の状態に関する情報
も得ることができるので好ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
TDR法による水分測定では、単に試料表面からある深
さまでの試料表層の平均的な水分含量がわかるにすぎ
ず、試料の深さ方向の水の濃度分布を知ることはできな
い。そのため、試料の性質や状態の分析、あるいは試料
に適用した薬品、化粧品等の評価を詳細に行うことがで
きないという問題があった。
TDR法による水分測定では、単に試料表面からある深
さまでの試料表層の平均的な水分含量がわかるにすぎ
ず、試料の深さ方向の水の濃度分布を知ることはできな
い。そのため、試料の性質や状態の分析、あるいは試料
に適用した薬品、化粧品等の評価を詳細に行うことがで
きないという問題があった。
【0007】なお、試料の深さ方向の濃度分布を求める
方法としては、試料の表層を所定の深さごとに剥離しな
がら測定するテープストリッピング法が知られている。
しかしながら、このような方法は試料の破壊を伴うもの
であり、特に皮膚を試料とする場合には、被試験者の苦
痛を伴うという問題を有している。また、深さ方向の濃
度分布を十分な精度で求めることができないという問題
もある。
方法としては、試料の表層を所定の深さごとに剥離しな
がら測定するテープストリッピング法が知られている。
しかしながら、このような方法は試料の破壊を伴うもの
であり、特に皮膚を試料とする場合には、被試験者の苦
痛を伴うという問題を有している。また、深さ方向の濃
度分布を十分な精度で求めることができないという問題
もある。
【0008】本発明は以上のような従来技術の課題を解
決しようとするものであり、誘電率を測定し、TDR法
等の誘電緩和測定にしたがって試料の水分測定を非破壊
的かつ定量的に行う場合に、試料の深さ方向の水の濃度
分布が得られるようにすることを目的としている。
決しようとするものであり、誘電率を測定し、TDR法
等の誘電緩和測定にしたがって試料の水分測定を非破壊
的かつ定量的に行う場合に、試料の深さ方向の水の濃度
分布が得られるようにすることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、電気長γd
の開放型電極を用いて試料の誘電率を測定することによ
り、試料表面から深さ略γd の範囲の平均的な水分含量
を測定できることを見出し、さらに、試料の同一部位に
対し電気長が異なる複数の開放型電極を用いて誘電率を
測定した場合、各電極の電気長と誘電率の測定値との間
には一定の関係式が成立し、それに基づいて試料の深さ
方向の水の濃度分布を求められることを見出し、本発明
を完成させるに至った。
の開放型電極を用いて試料の誘電率を測定することによ
り、試料表面から深さ略γd の範囲の平均的な水分含量
を測定できることを見出し、さらに、試料の同一部位に
対し電気長が異なる複数の開放型電極を用いて誘電率を
測定した場合、各電極の電気長と誘電率の測定値との間
には一定の関係式が成立し、それに基づいて試料の深さ
方向の水の濃度分布を求められることを見出し、本発明
を完成させるに至った。
【0010】即ち、本発明は、電気長の異なる複数の開
放型電極を用いて試料の誘電率を測定する手段、得られ
た誘電率の測定値と電極の電気長との関係に基づき、試
料の深さ方向の水の濃度分布を求める手段を備えた水の
濃度分布測定装置を提供する。
放型電極を用いて試料の誘電率を測定する手段、得られ
た誘電率の測定値と電極の電気長との関係に基づき、試
料の深さ方向の水の濃度分布を求める手段を備えた水の
濃度分布測定装置を提供する。
【0011】以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明
する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要
素を表している。
する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要
素を表している。
【0012】本発明において、開放型電極とは、例えば
図2に示した電極A又は電極Bのように、芯線状の内部
電極と、その周囲に絶縁体を介して同軸状に配された外
部電極からなり、内部電極の先端面と外部電極の先端面
とが測定試料に接する面を構成する電極をいう。
図2に示した電極A又は電極Bのように、芯線状の内部
電極と、その周囲に絶縁体を介して同軸状に配された外
部電極からなり、内部電極の先端面と外部電極の先端面
とが測定試料に接する面を構成する電極をいう。
【0013】また、電極の電気長とは、同軸ケーブル等
の伝送路の一端に複素誘電率ε*(ω)の負荷を設け、
他端から角振動数ωの電磁波V(ω)を印加した場合の
当該電磁波V(ω)と、その反射波R(ω)と、負荷の
複素誘電率ε*(ω)との関係式である次式(2)にお
いて、パラメータγd として含まれるものである。
の伝送路の一端に複素誘電率ε*(ω)の負荷を設け、
他端から角振動数ωの電磁波V(ω)を印加した場合の
当該電磁波V(ω)と、その反射波R(ω)と、負荷の
複素誘電率ε*(ω)との関係式である次式(2)にお
いて、パラメータγd として含まれるものである。
【0014】
【数2】
この電気長γd は、複素誘電率ε*(ω)が知られてい
る公知の標準試料の反射波を測定することにより求める
ことができる。
る公知の標準試料の反射波を測定することにより求める
ことができる。
【0015】また、電気長は、電極の形状と大きさによ
って定まる電極固有の物理量であり、測定方法には依存
しない。したがって、周波数領域測定法あるいは時間領
域反射法(TDR法)のいずれの誘電緩和の測定方法に
おいても、電極の電気長は一定である。
って定まる電極固有の物理量であり、測定方法には依存
しない。したがって、周波数領域測定法あるいは時間領
域反射法(TDR法)のいずれの誘電緩和の測定方法に
おいても、電極の電気長は一定である。
【0016】本発明は、まず、このような電極の電気長
γd と、この電極を用いて試料の誘電率を測定した場合
の測定深さとには密接な関係があり、電気長γd の電極
を用いた場合の誘電率の測定値は、試料表面から深さ略
γd の範囲の平均的な誘電率となり、したがって、電気
長γd の電極を使用することにより試料表面から深さ略
γd の範囲の平均的な水分含量を測定できるという知見
に基づいている。例えば、後述する実施例1に示したよ
うに、表層と下層の2層からなり、表層の厚みが、測定
に使用する電極の電気長と等しい試料について誘電緩和
を測定する場合、その電極で得られる全情報の63%
(1−e-1)が表層からの情報である。
γd と、この電極を用いて試料の誘電率を測定した場合
の測定深さとには密接な関係があり、電気長γd の電極
を用いた場合の誘電率の測定値は、試料表面から深さ略
γd の範囲の平均的な誘電率となり、したがって、電気
長γd の電極を使用することにより試料表面から深さ略
γd の範囲の平均的な水分含量を測定できるという知見
に基づいている。例えば、後述する実施例1に示したよ
うに、表層と下層の2層からなり、表層の厚みが、測定
に使用する電極の電気長と等しい試料について誘電緩和
を測定する場合、その電極で得られる全情報の63%
(1−e-1)が表層からの情報である。
【0017】また、本発明は、上記の知見を前提とした
上で、試料の同一部位に対し電気長が異なる複数の開放
型電極を用いて誘電率を測定し、それにより得られる電
気長と誘電率の測定値との関係から試料の深さ方向の水
の濃度分布を求められるという知見に基づいている。以
下、この点ついて詳細に説明する。
上で、試料の同一部位に対し電気長が異なる複数の開放
型電極を用いて誘電率を測定し、それにより得られる電
気長と誘電率の測定値との関係から試料の深さ方向の水
の濃度分布を求められるという知見に基づいている。以
下、この点ついて詳細に説明する。
【0018】電気長γd の電極を用いた場合に測定され
る誘電率の値が試料表面から深さ略γd の範囲の平均的
な値となる場合に、試料の各深さでの誘電率がどのよう
に平均化されて実際の測定値が得られるかについて何等
かの関係式を定式化することができれば、電気長の異な
る複数の電極を用いて試料の誘電率を測定した場合の電
気長の値と誘電率の測定値とから水の濃度分布を求める
ことができる。そこでこの定式化を試みた。
る誘電率の値が試料表面から深さ略γd の範囲の平均的
な値となる場合に、試料の各深さでの誘電率がどのよう
に平均化されて実際の測定値が得られるかについて何等
かの関係式を定式化することができれば、電気長の異な
る複数の電極を用いて試料の誘電率を測定した場合の電
気長の値と誘電率の測定値とから水の濃度分布を求める
ことができる。そこでこの定式化を試みた。
【0019】この場合、まず、図1(a)に示したよう
に、芯線状の内部電極1aとその内部電極1aと同軸状
に配された外部電極1bとからなる一般的な開放型電極
1を試料Sに当接させ、誘電率を測定する場合の測定モ
デル系を想定した。同図に示したように、このモデル系
では、電極1の先端から出る電気力線としては、試料S
の表面を通るものから、深部を通るものまで存在すると
考えられる。また、このモデル系は、電極1の先端に、
試料Sの水分含量に応じた容量のコンデンサーc1 、c
2 、c3 、…、ci が接続していると考えることがで
き、等価回路的には、電気力線の通る深さごとに異なる
容量のコンデンサーが並列に接続していると考えること
ができる。
に、芯線状の内部電極1aとその内部電極1aと同軸状
に配された外部電極1bとからなる一般的な開放型電極
1を試料Sに当接させ、誘電率を測定する場合の測定モ
デル系を想定した。同図に示したように、このモデル系
では、電極1の先端から出る電気力線としては、試料S
の表面を通るものから、深部を通るものまで存在すると
考えられる。また、このモデル系は、電極1の先端に、
試料Sの水分含量に応じた容量のコンデンサーc1 、c
2 、c3 、…、ci が接続していると考えることがで
き、等価回路的には、電気力線の通る深さごとに異なる
容量のコンデンサーが並列に接続していると考えること
ができる。
【0020】そこで、試料Sを深さ方向zに種々の厚さ
で切り取り、同図(b)に示したように、それぞれを平
板コンデンサーとし、それらを並列に接続した回路を等
価回路モデルとして想定し、この合成容量を検討した。
で切り取り、同図(b)に示したように、それぞれを平
板コンデンサーとし、それらを並列に接続した回路を等
価回路モデルとして想定し、この合成容量を検討した。
【0021】図1(b)において、各コンデンサーの容
量Ci は、c1 、c2 、c3 、…、ci のコンデンサー
を直列に接続した場合の容量に相当し、
量Ci は、c1 、c2 、c3 、…、ci のコンデンサー
を直列に接続した場合の容量に相当し、
【0022】
【数3】
で表される。コンデンサーの容量は、試料の誘電率に比
例するため、上記の式は、誘電率についても表すことが
できる。即ち、誘電率が深さ方向に連続的に変化する場
合、深さxまでの平均的誘電率εav(x)は次のように
表される。
例するため、上記の式は、誘電率についても表すことが
できる。即ち、誘電率が深さ方向に連続的に変化する場
合、深さxまでの平均的誘電率εav(x)は次のように
表される。
【0023】
【数4】
本発明者は、このモデル系に属する種々の実験系で誘電
率を測定することにより、誘電率εav(x)は、exp
(−x/γd )の重みをもって平均化されることを見出
した。そこで、このモデル系の誘電率の測定値はεobs
(γd)は次式(1)で表されると考えた。
率を測定することにより、誘電率εav(x)は、exp
(−x/γd )の重みをもって平均化されることを見出
した。そこで、このモデル系の誘電率の測定値はεobs
(γd)は次式(1)で表されると考えた。
【0024】
【数5】
ここで、εobs(γd)は、電気長γd の電極を用いて測
定される誘電率の測定値を表し、ε(z)は表面からz
の深さにおける誘電率を表す。また、この式における誘
電率は、誘電率測定における水の緩和時間よりも十分に
速い領域での誘電率ε∞と水の緩和強度Δεとの和を意
味し、この水の緩和強度Δεは、試料の含水量に比例す
る。
定される誘電率の測定値を表し、ε(z)は表面からz
の深さにおける誘電率を表す。また、この式における誘
電率は、誘電率測定における水の緩和時間よりも十分に
速い領域での誘電率ε∞と水の緩和強度Δεとの和を意
味し、この水の緩和強度Δεは、試料の含水量に比例す
る。
【0025】この式(1)が実際に成立することは、深
さ方向に水の濃度分布が変化しない系については、容易
に検証することができる。即ち、ε(x)=ε(一定)
の場合、式(1)から次式(3)
さ方向に水の濃度分布が変化しない系については、容易
に検証することができる。即ち、ε(x)=ε(一定)
の場合、式(1)から次式(3)
【0026】
【数6】
が導出され、この場合の測定値εobs(γd)は、使用す
る電極によらず一定となることが検証できる。さらに、
水(表層)−テフロン(登録商標)(以下、「テフロ
ン」と略する)(下層)の2層系や、フィルム(上層)
−水(表層)の2層系についても後述する実施例に示し
たように、実際に満足されることが検証できた。
る電極によらず一定となることが検証できる。さらに、
水(表層)−テフロン(登録商標)(以下、「テフロ
ン」と略する)(下層)の2層系や、フィルム(上層)
−水(表層)の2層系についても後述する実施例に示し
たように、実際に満足されることが検証できた。
【0027】したがって、本発明において電気長の異な
る複数の電極を用いて試料の誘電率を測定し、それによ
り得られた誘電率の測定値と電極の電気長の値との関係
から試料の深さ方向の濃度分布を求めるに際しては、上
記式(1)の誘電率εobs(γd)と電気長γd との関係
式を使用することができる。
る複数の電極を用いて試料の誘電率を測定し、それによ
り得られた誘電率の測定値と電極の電気長の値との関係
から試料の深さ方向の濃度分布を求めるに際しては、上
記式(1)の誘電率εobs(γd)と電気長γd との関係
式を使用することができる。
【0028】より具体的には、誘電率の測定中、水の濃
度分布が経時的に変化しない試料について、電気長の異
なる複数の電極を用いて試料の同一部位の誘電率を測定
し、電気長の異なる電極ごとに誘電率の測定値ε
obs(γd)を得る。そして次の方法a又は方法bのいず
れかにしたがい、試料の水の濃度分布として、深さxに
おける誘電率ε(x)を求める。
度分布が経時的に変化しない試料について、電気長の異
なる複数の電極を用いて試料の同一部位の誘電率を測定
し、電気長の異なる電極ごとに誘電率の測定値ε
obs(γd)を得る。そして次の方法a又は方法bのいず
れかにしたがい、試料の水の濃度分布として、深さxに
おける誘電率ε(x)を求める。
【0029】方法a:水の濃度分布ε(x)に対して適
当な関数を仮定し、さらにその関数のパラメータを適宜
定め(例えば、水の濃度勾配、水の濃度が一定になる部
位での濃度や深さ等)、これらパラメータを変化させな
がら式(1)により誘電率εobs(γd)を計算し、その
計算値と実際の測定値とが一致する場合の関数とパラメ
ータを求める。
当な関数を仮定し、さらにその関数のパラメータを適宜
定め(例えば、水の濃度勾配、水の濃度が一定になる部
位での濃度や深さ等)、これらパラメータを変化させな
がら式(1)により誘電率εobs(γd)を計算し、その
計算値と実際の測定値とが一致する場合の関数とパラメ
ータを求める。
【0030】方法b:式(1)の逆変換式である次式
(4)
(4)
【0031】
【数7】
(式中、L-1は、s=1/γd に対しての逆ラプラス変
換を表す。)により水の濃度分布ε(x)を求める。
換を表す。)により水の濃度分布ε(x)を求める。
【0032】本発明の方法において、誘電率を測定する
ために使用する電極としては、開放型、即ち、芯線状の
内部電極と、その周囲に絶縁体を介して同軸状に配され
た外部電極からなり、内部電極の先端面と外部電極の先
端面とが測定試料に接する面を構成する電極である限り
特に制限はない。この場合、内部電極の先端面形状につ
いても特に制限はなく、例えば、円形、環状等とするこ
とができる。
ために使用する電極としては、開放型、即ち、芯線状の
内部電極と、その周囲に絶縁体を介して同軸状に配され
た外部電極からなり、内部電極の先端面と外部電極の先
端面とが測定試料に接する面を構成する電極である限り
特に制限はない。この場合、内部電極の先端面形状につ
いても特に制限はなく、例えば、円形、環状等とするこ
とができる。
【0033】また、電気長が互いに異なる電極を得る方
法としては、例えば、内部電極が試料に接触する電極先
端面の面積を適宜変えればよく、また、内部電極と外部
電極との先端面における間隔を適宜変えてもよい。例え
ば、内部電極の先端面を径10μm〜270μmの円形
とし、内部電極と外部電極との間隔を10μm〜310
μmとすることにより、電気長100μm以下の電極
を、誘電率の測定時に電極と接続することとなる同軸ケ
ーブルとのインピーダンスの整合性よく得ることができ
る。
法としては、例えば、内部電極が試料に接触する電極先
端面の面積を適宜変えればよく、また、内部電極と外部
電極との先端面における間隔を適宜変えてもよい。例え
ば、内部電極の先端面を径10μm〜270μmの円形
とし、内部電極と外部電極との間隔を10μm〜310
μmとすることにより、電気長100μm以下の電極
を、誘電率の測定時に電極と接続することとなる同軸ケ
ーブルとのインピーダンスの整合性よく得ることができ
る。
【0034】また、このような電極を用いて誘電率を測
定し、その際の誘電緩和を求める方法自体は、周波数領
域測定法あるいは時間領域反射法(TDR法)のいずれ
によってもよく、それぞれ公知の方法によることができ
る。例えば、TDR法による測定自体は、特開平2−1
10357号公報等に記載されている公知の方法による
ことができる。
定し、その際の誘電緩和を求める方法自体は、周波数領
域測定法あるいは時間領域反射法(TDR法)のいずれ
によってもよく、それぞれ公知の方法によることができ
る。例えば、TDR法による測定自体は、特開平2−1
10357号公報等に記載されている公知の方法による
ことができる。
【0035】本発明の方法が測定対象とすることができ
る試料については特に制限はない。例えば、皮膚、食品
等のように、試料表面からの深さにより水の濃度分布が
変化しているものを広く測定対象とすることができる。
る試料については特に制限はない。例えば、皮膚、食品
等のように、試料表面からの深さにより水の濃度分布が
変化しているものを広く測定対象とすることができる。
【0036】また、試料中に含有される水の状態につい
ても特に制限はない。自由水についても結合水について
も濃度分布を測定することができる。例えば、後述する
実施例3に示した水は、緩和時間が10psec程度で
あるが、さらに運動性の低い水に対しても本発明の方法
を適用することができる。また、自由水と結合水の2つ
の状態の水を含有する試料では、2つの周波数における
誘電率に対して本発明の方法を適用することにより、そ
れぞれの水の深さ方向の濃度分布を得ることができる。
ても特に制限はない。自由水についても結合水について
も濃度分布を測定することができる。例えば、後述する
実施例3に示した水は、緩和時間が10psec程度で
あるが、さらに運動性の低い水に対しても本発明の方法
を適用することができる。また、自由水と結合水の2つ
の状態の水を含有する試料では、2つの周波数における
誘電率に対して本発明の方法を適用することにより、そ
れぞれの水の深さ方向の濃度分布を得ることができる。
【0037】
【作用】本発明によれば、電気長の異なる複数の電極を
用いて試料の誘電率を測定することにより得られる誘電
率の測定値と電極の電気長との関係から、試料の深さ方
向の水の濃度分布を求めることが可能となる。したがっ
て、試料の性質や状態の分析、あるいは試料に適用した
薬品、化粧品等の評価を詳細に行うことが可能となる。
用いて試料の誘電率を測定することにより得られる誘電
率の測定値と電極の電気長との関係から、試料の深さ方
向の水の濃度分布を求めることが可能となる。したがっ
て、試料の性質や状態の分析、あるいは試料に適用した
薬品、化粧品等の評価を詳細に行うことが可能となる。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。
明する。
【0039】実施例1
(i) 電極の作製
まず、電極として、図2に示したように、先端部が内部
電極1a、絶縁材1c及び外部電極1bからなり、電極
形状が同図に示したA又はBの4つの電極E1、E2 、
E3 、E4 を作製した。また、内部電極1aの先端面の
半径L、内部電極1aの先端面の面積S1 、内部電極1
aと絶縁材1cとを合わせた先端面の面積S2 、及び外
部電極の先端面の内径Dは、それぞれ表1に示した値と
した。電極素材は、内部電極1a、外部電極1b共に銅
とし、絶縁材1cとしては内部電極1aと外部電極1b
との間にテフロンを充填した。
電極1a、絶縁材1c及び外部電極1bからなり、電極
形状が同図に示したA又はBの4つの電極E1、E2 、
E3 、E4 を作製した。また、内部電極1aの先端面の
半径L、内部電極1aの先端面の面積S1 、内部電極1
aと絶縁材1cとを合わせた先端面の面積S2 、及び外
部電極の先端面の内径Dは、それぞれ表1に示した値と
した。電極素材は、内部電極1a、外部電極1b共に銅
とし、絶縁材1cとしては内部電極1aと外部電極1b
との間にテフロンを充填した。
【0040】(ii)電極の電気長の測定
これらの電極の電気長を次のようにして測定した。即
ち、誘電スペクトルが既に知られているアセトンを標準
試料とし、電極の先端をアセトンに浸し、励起信号とし
てステップパルスを用いてTDR法で反射波を測定し
た。そして、励起信号と測定された反射波とを用い、電
気長γd をパラメータとして、式(2)から誘電スペク
トルを算出した。この場合、電気長γd の値を変えなが
ら誘電スペクトルを算出し、その算出した誘電スペクト
ルの値がアセトンの既知の誘電スペクトルと最も一致し
た場合の電気長γd を当該電極の電気長γd とした。こ
の結果を表1に示した。
ち、誘電スペクトルが既に知られているアセトンを標準
試料とし、電極の先端をアセトンに浸し、励起信号とし
てステップパルスを用いてTDR法で反射波を測定し
た。そして、励起信号と測定された反射波とを用い、電
気長γd をパラメータとして、式(2)から誘電スペク
トルを算出した。この場合、電気長γd の値を変えなが
ら誘電スペクトルを算出し、その算出した誘電スペクト
ルの値がアセトンの既知の誘電スペクトルと最も一致し
た場合の電気長γd を当該電極の電気長γd とした。こ
の結果を表1に示した。
【0041】
【表1】
内部電極 外部電極 内部電極 内部電極 γd do
+絶縁体
電極 形状 半径L 内径D 面積S1 面積S2
(μm) (μm) (μm2 )(μm2 ) (μm) (μm)
E1 B 51 334 8.2 ×103 8.8 ×104 40 36
E2 A 455 3020 6.5 ×105 7.2 ×106 290 340
E3 A 255 1670 2.0 ×105 2.2 ×106 170 180
E4 A 160 1050 8.0 ×104 8.7 ×105 115 130
(iii) 電極の電気長と誘電率の測定値との関係
次いで、これら電極を用いてTDR法により水分測定を
行う場合の電極の電気長と誘電率の測定深さとの関係を
調べ、電気長γd の電極を用いた場合の誘電率の測定値
は、試料表面から深さ略γd の範囲の平均的な誘電率と
なることを検証するために、水(表層)−テフロン(下
層)の2層からなる試料に対して表層である水の厚みを
種々変えて100MHzにおける誘電率を次のように測
定した。
行う場合の電極の電気長と誘電率の測定深さとの関係を
調べ、電気長γd の電極を用いた場合の誘電率の測定値
は、試料表面から深さ略γd の範囲の平均的な誘電率と
なることを検証するために、水(表層)−テフロン(下
層)の2層からなる試料に対して表層である水の厚みを
種々変えて100MHzにおける誘電率を次のように測
定した。
【0042】即ち、図3に示したように、ガラス板11
にテフロンテープ(テフロンの誘電率2)12を貼った
ものを、水浴(水の誘電率78)13に入れ、そのテフ
ロンテープ12に対向するように浴中に電極10をセッ
トした。また、この水浴13はZステージ14に載置
し、Zステージ14には膜厚計15を取り付けた。そし
て、Zステージ14を上下させることにより、電極10
とテフロンテープ12との距離xを変化させ、そのとき
の誘電率を測定した。この場合、誘電率の測定方法とし
ては、ステップパルスを励起信号とするTDR法を用い
た。
にテフロンテープ(テフロンの誘電率2)12を貼った
ものを、水浴(水の誘電率78)13に入れ、そのテフ
ロンテープ12に対向するように浴中に電極10をセッ
トした。また、この水浴13はZステージ14に載置
し、Zステージ14には膜厚計15を取り付けた。そし
て、Zステージ14を上下させることにより、電極10
とテフロンテープ12との距離xを変化させ、そのとき
の誘電率を測定した。この場合、誘電率の測定方法とし
ては、ステップパルスを励起信号とするTDR法を用い
た。
【0043】こうして得られた誘電率を図4に示した。
なお、同図の誘電率変化率は、テフロンの誘電率を0、
水の誘電率を100と規格化した値を示している。ま
た、同図において下段の図は上段の図の膜厚計の読み−
100〜400μmの範囲の拡大図である。さらに、図
5に、−ln(1−誘電率変化率)と膜厚計の読みとの関
係を示した。なお、図4、図5において膜厚計の読み
(即ち、電極10とテフロンテープ12との距離x)が
負の値の領域は、電極10がテフロンテープ12に接触
したまま上方に移動していることを表している。
なお、同図の誘電率変化率は、テフロンの誘電率を0、
水の誘電率を100と規格化した値を示している。ま
た、同図において下段の図は上段の図の膜厚計の読み−
100〜400μmの範囲の拡大図である。さらに、図
5に、−ln(1−誘電率変化率)と膜厚計の読みとの関
係を示した。なお、図4、図5において膜厚計の読み
(即ち、電極10とテフロンテープ12との距離x)が
負の値の領域は、電極10がテフロンテープ12に接触
したまま上方に移動していることを表している。
【0044】このような誘電率の測定においては、電極
10がテフロンテープ12に接している場合には、電極
10からの励起信号の滲み出しはテフロンテープ12の
みに行われるので、図4に示されているように、観測さ
れる誘電率は一定値を示す。一方、電極10をテフロン
テープ12から離していき、両者の距離xを大きくして
いくと、電極10からの励起信号の滲み出しは水とテフ
ロンテープ12の双方に及ぶので、観測される誘電率は
大きくなり、さらに距離xを大きくしていくと次第に誘
電率は水の規格化値100に近付く。
10がテフロンテープ12に接している場合には、電極
10からの励起信号の滲み出しはテフロンテープ12の
みに行われるので、図4に示されているように、観測さ
れる誘電率は一定値を示す。一方、電極10をテフロン
テープ12から離していき、両者の距離xを大きくして
いくと、電極10からの励起信号の滲み出しは水とテフ
ロンテープ12の双方に及ぶので、観測される誘電率は
大きくなり、さらに距離xを大きくしていくと次第に誘
電率は水の規格化値100に近付く。
【0045】ここで、図5において、距離xが正の領域
において、プロットが直線関係を示していることから、
測定される誘電率は距離xに対して指数関数的に変化し
ていることがわかる。即ち、表層(水)の誘電率を
ε1 、下層(テフロン)の誘電率をε2 、観測される誘
電率をεobs とすると、観測される誘電率εobs は、次
式(5)で表されることがわかる。
において、プロットが直線関係を示していることから、
測定される誘電率は距離xに対して指数関数的に変化し
ていることがわかる。即ち、表層(水)の誘電率を
ε1 、下層(テフロン)の誘電率をε2 、観測される誘
電率をεobs とすると、観測される誘電率εobs は、次
式(5)で表されることがわかる。
【0046】
【数8】
式中、do は、図5のプロットでxが正の領域における
直線の傾きの逆数である。こうして求められるdo の値
を表1に示した。表1から、このdo の値は、上述のγ
d と一致することがわかる。
直線の傾きの逆数である。こうして求められるdo の値
を表1に示した。表1から、このdo の値は、上述のγ
d と一致することがわかる。
【0047】そこで、式(5)は次式(6)と表せるこ
とがわかる。
とがわかる。
【0048】
【数9】
したがって、表層(水)の厚さに等しい電気長の電極を
用いて観察される誘電率εobs には、表層(水)の情報
が63%の重みを占めること、よって、電気長γd の電
極を用いた場合の誘電率の測定値は、試料表面から深さ
略γd の範囲の平均的な誘電率となることがわかる。
用いて観察される誘電率εobs には、表層(水)の情報
が63%の重みを占めること、よって、電気長γd の電
極を用いた場合の誘電率の測定値は、試料表面から深さ
略γd の範囲の平均的な誘電率となることがわかる。
【0049】(iv)式(1)の検証
上記のように、水(表層、誘電率ε1 )−テフロン(下
層、誘電率ε2 )の2層からなる試料は、式(6)のよ
うに表されることがわかったが、これとは別に、この系
について前述のような合成コンデンサーの等価回路を考
えた場合(図1参照)、水の誘電率ε1 はテフロンの誘
電率ε2 に比して十分に大きいため、
層、誘電率ε2 )の2層からなる試料は、式(6)のよ
うに表されることがわかったが、これとは別に、この系
について前述のような合成コンデンサーの等価回路を考
えた場合(図1参照)、水の誘電率ε1 はテフロンの誘
電率ε2 に比して十分に大きいため、
【0050】
【数10】
と近似することができる。式中、x0 は表層の水の厚み
である。この式(7)を前述の式(1)に代入すると次
式(8)
である。この式(7)を前述の式(1)に代入すると次
式(8)
【0051】
【数11】
が得られる。この式(8)は実験的に得られた前述の式
(6)と一致する。したがって、この系において、電極
の電気長γd と誘電率の測定値εobs と深さzにおける
誘電率ε(z)との間に式(1)が成立することが検証
できた。
(6)と一致する。したがって、この系において、電極
の電気長γd と誘電率の測定値εobs と深さzにおける
誘電率ε(z)との間に式(1)が成立することが検証
できた。
【0052】実施例2(フィルム(表層)−水(下層)
の2層系における式(1)の検証) まず、電極として、電気長γd が20μm、60μm、
115μm、170μm、290μmの5種を用意し
た。
の2層系における式(1)の検証) まず、電極として、電気長γd が20μm、60μm、
115μm、170μm、290μmの5種を用意し
た。
【0053】一方、図6に示すように、水浴13の上端
まで水(誘電率=78)を満たし、その上に厚さ10μ
mのポリ塩化ビニリデンフィルム(誘電率=2.4)1
6を張り、そのフィルム16に電極10を接触させ、実
施例1と同様に励起信号としてステップパルスを用いて
TDR法により反射波を測定し、誘電率を測定した。こ
の測定を5種の電極について繰り返した。
まで水(誘電率=78)を満たし、その上に厚さ10μ
mのポリ塩化ビニリデンフィルム(誘電率=2.4)1
6を張り、そのフィルム16に電極10を接触させ、実
施例1と同様に励起信号としてステップパルスを用いて
TDR法により反射波を測定し、誘電率を測定した。こ
の測定を5種の電極について繰り返した。
【0054】この結果を図7にプロットした。また、式
(1)の数値積分を直接行うことにより誘電率を求め
た。この結果を図7に実線で示した。図7から、誘電率
の実測値と式(1)による誘電率の値とはよく一致して
いる。したがって、このフィルム−水の2層系において
も式(1)が成立することが検証できた。
(1)の数値積分を直接行うことにより誘電率を求め
た。この結果を図7に実線で示した。図7から、誘電率
の実測値と式(1)による誘電率の値とはよく一致して
いる。したがって、このフィルム−水の2層系において
も式(1)が成立することが検証できた。
【0055】実施例3(皮膚の水の濃度分布の解析)
電極として、実施例2と同様に、電気長γd が20μ
m、60μm、115μm、170μm、290μmの
5種を用意した。そして、人の前腕内側の健常な皮膚の
所定箇所を測定対象とし、電極を取り替えながら、TD
R法により水の緩和強度を測定した。この測定を5種の
電極について繰り返した。
m、60μm、115μm、170μm、290μmの
5種を用意した。そして、人の前腕内側の健常な皮膚の
所定箇所を測定対象とし、電極を取り替えながら、TD
R法により水の緩和強度を測定した。この測定を5種の
電極について繰り返した。
【0056】得られた緩和強度から次の(a)、(b)
の2通りの方法により水の濃度分布を求めた。
の2通りの方法により水の濃度分布を求めた。
【0057】(a)水の濃度分布を仮定して式(1)か
ら求める方法 皮膚の水の濃度分布として、濃度が表面で0であり、あ
る深さまで直線的に増加し、さらに深いところでは一定
であるというモデルを仮定し、ε∞=3とした。そし
て、このようなモデルにおいて、表面から水の濃度が一
定となる深さまでの範囲における水の濃度勾配、深部に
おける水の濃度をパラメータとして、式(1)の数値積
分を行い、フィッティングによりパラメータを求め、水
の濃度分布を得た。この場合、水の緩和強度Δε(x)
と水の緩和時間よりも高周波側の誘電率ε∞=3との和
が誘電率ε(x)となる。そこで、得られた誘電率から
ε∞=3を引くことにより、水の緩和強度を求めた。
ら求める方法 皮膚の水の濃度分布として、濃度が表面で0であり、あ
る深さまで直線的に増加し、さらに深いところでは一定
であるというモデルを仮定し、ε∞=3とした。そし
て、このようなモデルにおいて、表面から水の濃度が一
定となる深さまでの範囲における水の濃度勾配、深部に
おける水の濃度をパラメータとして、式(1)の数値積
分を行い、フィッティングによりパラメータを求め、水
の濃度分布を得た。この場合、水の緩和強度Δε(x)
と水の緩和時間よりも高周波側の誘電率ε∞=3との和
が誘電率ε(x)となる。そこで、得られた誘電率から
ε∞=3を引くことにより、水の緩和強度を求めた。
【0058】このようにして得られた濃度分布(水の緩
和強度Δε(x) VS.深さx)を、図8に破線で示し、
この濃度分布の場合に式(1)により求まる水の緩和強
度を図8に実線で示した。また、水の緩和強度の実測値
を電気長に対して図8にプロットした。図8から、式
(1)により求まる水の緩和強度と水の緩和強度の実測
値とがよく一致していることから、皮膚が図8に破線で
示した濃度分布を有していることがわかる。
和強度Δε(x) VS.深さx)を、図8に破線で示し、
この濃度分布の場合に式(1)により求まる水の緩和強
度を図8に実線で示した。また、水の緩和強度の実測値
を電気長に対して図8にプロットした。図8から、式
(1)により求まる水の緩和強度と水の緩和強度の実測
値とがよく一致していることから、皮膚が図8に破線で
示した濃度分布を有していることがわかる。
【0059】なお、図8には水の濃度分布を水の緩和強
度で表したが、水の緩和強度を水100%の緩和強度で
ある73で割ることにより水の濃度を得ることができ
る。
度で表したが、水の緩和強度を水100%の緩和強度で
ある73で割ることにより水の濃度を得ることができ
る。
【0060】(b)式(1)の逆変換による方法
少数の測定点から直接逆変換を行うことは難しいため、
εobs(γd)の関数形を測定データから推定し、その関
数に対して行った。即ち、まず、誘電率の実測値をフィ
ッティングさせることができる関数として、次式(9)
εobs(γd)の関数形を測定データから推定し、その関
数に対して行った。即ち、まず、誘電率の実測値をフィ
ッティングさせることができる関数として、次式(9)
【0061】
【数12】
(式中、a0 、a1 、a2 、a3 はパラメータ)を想定
した。この式(9)の逆ラプラス変換は次式(10)と
なる。
した。この式(9)の逆ラプラス変換は次式(10)と
なる。
【0062】
【数13】
そこで、まず誘電率の実測値と合うように、上記式
(9)の各パラメータa0、a1 、a2 、a3 を定め、
これにより式(10)を求めた。次に、これを式(4)
に代入し、得られた濃度分布を、上記(a)と同様に、
深さxと水の緩和強度Δε(x)との関係として図9に
破線で示し、式(9)の関係を図9に実線で示した。ま
た、水の緩和強度の実測値を図9にプロットした。
(9)の各パラメータa0、a1 、a2 、a3 を定め、
これにより式(10)を求めた。次に、これを式(4)
に代入し、得られた濃度分布を、上記(a)と同様に、
深さxと水の緩和強度Δε(x)との関係として図9に
破線で示し、式(9)の関係を図9に実線で示した。ま
た、水の緩和強度の実測値を図9にプロットした。
【0063】以上の(a)、(b)のいずれの方法によ
っても、皮膚の表面は乾燥しており、皮膚表層から深さ
70μm程度までは水の濃度は単調に増加し、それより
も深いところでは、約70重量%であることがわかっ
た。
っても、皮膚の表面は乾燥しており、皮膚表層から深さ
70μm程度までは水の濃度は単調に増加し、それより
も深いところでは、約70重量%であることがわかっ
た。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、TDR法等の誘電緩和
測定にしたがって試料の水分測定を非破壊的かつ定量的
に行う場合に、試料の深さ方向の水の濃度分布を得るこ
とが可能となる。
測定にしたがって試料の水分測定を非破壊的かつ定量的
に行う場合に、試料の深さ方向の水の濃度分布を得るこ
とが可能となる。
【図1】本発明の測定系での電極の等価回路の説明図で
ある。
ある。
【図2】実施例で用いた電極の断面図である。
【図3】水−テフロンの2層系を試料とする場合の電極
の電気長と誘電率との関係を調べる方法の説明図であ
る。
の電気長と誘電率との関係を調べる方法の説明図であ
る。
【図4】膜厚計の読みと誘電率変化率との関係図であ
る。
る。
【図5】膜厚計の読みと誘電率変化率との関係図であ
る。
る。
【図6】フィルム−水の2層系を試料とする場合の電極
の電気長と測定される誘電率との関係を調べる方法の説
明図である。
の電気長と測定される誘電率との関係を調べる方法の説
明図である。
【図7】フィルム−水の2層系を試料とした場合の電極
の電気長と測定される誘電率との関係図である。
の電気長と測定される誘電率との関係図である。
【図8】皮膚を試料とした場合の試料の深さと緩和強度
との関係図である。
との関係図である。
【図9】皮膚を試料とした場合の試料の深さと緩和強度
との関係図である。
との関係図である。
1 電極
1a 内部電極
1b 外部電極
1c 絶縁材
10 電極
11 ガラス板
12 テフロンテープ
13 水浴
14 Zステージ
15 膜厚計
16 フィルム
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平2−110357(JP,A)
特開 平8−159990(JP,A)
国際公開94/29735(WO,A1)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
G01N 22/00 - 22/04
A61B 5/00 - 5/05
JICSTファイル(JOIS)
Claims (3)
- 【請求項1】 電気長の異なる複数の開放型電極を用い
て試料の誘電率を測定する手段、得られた誘電率の測定
値と電極の電気長との関係に基づき、試料の深さ方向の
水の濃度分布を求める手段を備えた水の濃度分布測定装
置。 - 【請求項2】 誘電率の測定値と電極の電気長とが、次
式(1) 【数1】 (式中、εobs(γd )は電気長γd の電極を用いて測
定される誘電率の測定値を表し、ε(z)は表面からz
の深さにおける誘電率を表す。)を満たすように、深さ
zと誘電率ε(z)との関係を求め、深さ方向の水の濃
度分布を求める請求項1記載の水の濃度分布測定装置。 - 【請求項3】 式(1)の逆変換式により深さ方向の水
の濃度分布を求める請求項2記載の水の濃度分布測定装
置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15091095A JP3367279B2 (ja) | 1995-05-24 | 1995-05-24 | 水の濃度分布測定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15091095A JP3367279B2 (ja) | 1995-05-24 | 1995-05-24 | 水の濃度分布測定方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08320297A JPH08320297A (ja) | 1996-12-03 |
| JP3367279B2 true JP3367279B2 (ja) | 2003-01-14 |
Family
ID=15507067
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP15091095A Expired - Fee Related JP3367279B2 (ja) | 1995-05-24 | 1995-05-24 | 水の濃度分布測定方法 |
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|---|---|
| JP (1) | JP3367279B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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|---|---|---|---|---|
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| JP4782506B2 (ja) * | 2005-08-09 | 2011-09-28 | 日本特殊陶業株式会社 | 静電容量式センサ |
| US7154282B1 (en) * | 2005-09-19 | 2006-12-26 | United States Gypsum Company | System and method for calibrating moisture meters with associated settable slurry products for determining relative dryness |
| TWI574019B (zh) * | 2015-12-23 | 2017-03-11 | 桓達科技股份有限公司 | 時域反射導波器結構 |
| US20230152262A1 (en) * | 2020-04-06 | 2023-05-18 | Nippon Telegraph And Telephone Corporation | Dielectric Spectroscopic Measurement Device and Method |
| JP7680695B2 (ja) * | 2022-01-06 | 2025-05-21 | 日本電信電話株式会社 | 誘電分光センサ |
| JP7680696B2 (ja) * | 2022-01-06 | 2025-05-21 | 日本電信電話株式会社 | 誘電分光センサ |
| CN114839118B (zh) * | 2022-04-04 | 2025-07-08 | 南京林业大学 | 一种测定加压过程中水膜分布变化规律的装置与测试方法 |
| JPWO2024127573A1 (ja) * | 2022-12-15 | 2024-06-20 |
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-
1995
- 1995-05-24 JP JP15091095A patent/JP3367279B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO1994029735A1 (en) | 1993-06-09 | 1994-12-22 | Union Engineering Ltd. | Apparatus and methods for generating unambiguous large amplitude timing markers in time domain reflectometry systems |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2005020811A1 (ja) | 2003-08-29 | 2005-03-10 | Sony Corporation | 測定装置及びその方法 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH08320297A (ja) | 1996-12-03 |
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