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JP7684566B2 - ゴムの流動特性推定方法および装置並びに未加硫ゴムの流動シミュレーション方法 - Google Patents
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JP7684566B2 - ゴムの流動特性推定方法および装置並びに未加硫ゴムの流動シミュレーション方法 - Google Patents

ゴムの流動特性推定方法および装置並びに未加硫ゴムの流動シミュレーション方法 Download PDF

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本発明は、ゴムの流動特性推定方法および装置並びに未加硫ゴムの流動シミュレーション方法に関し、さらに詳しくは、加硫中のゴムの流動特性をより高い精度で推定できる方法および装置並びに未加硫ゴムの流動シミュレーション方法に関するものである。
タイヤなどのゴム製品を製造する場合には、未加硫ゴムを用いて成形した成形体をモールドの中で加硫する。或いは、未加硫ゴムをモールドの中に射出してゴム製品を製造することもある。未加硫ゴムはモールドの中で流動して、モールドによって所定形状に型付けされる。未加硫ゴムが十分に流動しない場合は、所定形状に型付けできないことがあり、ゴム製品の品質に大きく影響する。この流動特性は加硫時間、即ち、ゴム製品の生産性にも影響する。
そこで、加硫中の未加硫ゴムの挙動がシミュレーションされている。このシミュレーションの際には、ゴムの流動特性を示す指標データが必要であり、代表的な指標データとして粘度が用いられている。ゴムの粘度の要素は、せん断速度や温度の影響を受ける基礎粘度要素と、熱履歴(加硫温度や加硫時間)の影響を受ける熱硬化要素に大別できる。基礎粘度要素を把握する一般的な方法としては、細管式粘度計(キャピラリーレオメータ)が知られている。熱硬化要素を把握する一般的な方法しては、平板型回転粘度計(キュラストメータ)が知られている。
上記のような方法で把握された基礎粘度要素と熱硬化要素とを併用し総合的な粘度を算出して、加硫ゴムの挙動シミュレーションに用いる場合、実際の未加硫ゴムの挙動とシミュレーション結果との整合性を十分に高くすることは難しい。何故ならば、基礎粘度要素と熱硬化要素とが別々の方法(異なる装置)で把握されていて、互いの方法の違いに起因するばらつき(不整合)が生じるためである。
未加硫ゴムの粘度測定方法として、一定の断面形状の流路に未加硫ゴムを充填した状態で流動させて、流路における検知圧力と検知流量に基づいて、または、検知圧力と未加硫ゴムの先端位置および検知速度に基づいて、粘度を算出する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、未加硫ゴムの基礎粘度要素と熱硬化要素とを別々に把握していない。そのため、加硫中の未加硫ゴムの流動特性をより高い精度で推定するには改善の余地がある。
特開2019-27959号公報
本発明の目的は、加硫中のゴムの流動特性をより高い精度で推定できる方法および装置並びに未加硫ゴムの流動シミュレーション方法を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明のゴムの流動特性推定方法は、未加硫ゴムに加硫剤が配合された対象ゴムの加硫中の粘度の基礎粘度要素と熱硬化要素とを推定するゴムの流動特性推定方法であって、流路に対する加熱具合を調整しつつ、前記流路で前記対象ゴムを加硫硬化開始前の状態および加硫硬化開始後の状態で流動手段によって流動させ、温度一定条件下で前記対象ゴムを加硫硬化開始前の状態で流動させている前記流動手段の移動速度と、前記対象ゴムから前記流動手段が受ける圧力とに基づいて前記基礎粘度要素を推定し、温度一定条件下および前記移動速度一定条件下で前記対象ゴムを加硫硬化開始後の状態で流動させている前記流動手段が前記対象ゴムから受ける圧力の変化具合に基づいて前記熱硬化要素を推定することを特徴とする。
本発明の別のゴムの流動特性推定方法は、未加硫ゴムに加硫剤が配合された対象ゴムの加硫中の粘度の基礎粘度要素と熱硬化要素とを推定するゴムの流動特性推定方法であって、前記対象ゴムと、前記対象ゴムから前記加硫剤が排除された配合にして同等粘度に調製された比較ゴムとを用意しておき、前記対象ゴム、前記比較ゴムをそれぞれ個別に、同一の流路で、前記流路に対する加熱具合を調整しつつ流動手段によって流動させ、温度一定条件下で前記比較ゴムまたは前記対象ゴムを加硫硬化開始前の状態で流動させている前記流動手段の移動速度と、流動させている前記ゴムから前記流動手段が受ける圧力とに基づいて前記基礎粘度要素を推定し、温度一定条件下および前記移動速度一定条件下で、前記比較ゴムを流動させている前記流動手段が前記比較ゴムから受ける圧力と、前記対象ゴムを加硫硬化開始後の状態で流動させている前記流動手段が前記対象ゴムから受ける圧力と、に基づいて前記熱硬化要素を推定することを特徴とする。
本発明のゴムの流動特性推定装置は、未加硫ゴムに加硫剤が配合された対象ゴムの加硫中の粘度の基礎粘度要素と熱硬化要素とを推定するゴムの流動特性推定装置であって、流路と、前記流路に対する加熱具合を調整する加熱手段と、前記流路で前記対象ゴムを加硫硬化開始前の状態および加硫硬化開始後の状態で流動させる流動手段と、演算部とを有し、温度一定条件下で前記対象ゴムを加硫硬化開始前の状態で流動させている前記流動手段の移動速度と、前記対象ゴムから前記流動手段が受ける圧力とに基づいて、前記演算部により前記基礎粘度要素が推定され、温度一定条件下および前記移動速度一定条件下で前記対象ゴムを加硫硬化開始後の状態で流動させている前記流動手段が前記対象ゴムから受ける圧力の変化具合に基づいて、前記演算部により前記熱硬化要素が推定されることを特徴とする。
本発明の別のゴムの流動特性推定装置は、未加硫ゴムに加硫剤が配合された対象ゴムの加硫中の粘度の基礎粘度要素と熱硬化要素とを推定するゴムの流動特性推定装置であって、流路と、前記流路に対する加熱具合を調整する加熱手段と、前記流路で前記対象ゴムを加硫硬化開始前の状態および加硫硬化開始後の状態で流動させる流動手段と、演算部とを有し、前記対象ゴム、前記対象ゴムから前記加硫剤が排除された配合にして同等粘度に調製された比較ゴムがそれぞれ個別に、同一の前記流路で、前記流路に対する加熱具合を調整しつつ流動手段によって流動され、温度一定条件下で前記比較ゴムまたは前記対象ゴムを加硫硬化開始前の状態で流動させている前記流動手段の移動速度と、流動させている前記ゴムから前記流動手段が受ける圧力とに基づいて、前記演算部により前記基礎粘度要素が推定され、温度一定条件下および前記移動速度一定条件下で、前記比較ゴムを流動させている前記流動手段が前記比較ゴムから受ける圧力と、前記対象ゴムを加硫硬化開始後の状態で流動させている前記流動手段が前記対象ゴムから受ける圧力と、に基づいて、前記演算部により前記熱硬化要素が推定されることを特徴とする。
本発明の未加硫ゴムの流動シミュレーション方法は、上記のゴムの流動特性推定方法により推定した前記基礎粘度要素と前記熱硬化要素とをそれぞれ、前記対象ゴムの流動シミュレーションを行う際の粘度の基礎粘度要素、前記熱硬化要素として用いることを特徴とする。
本発明の前者のゴムの流動特性推定方法および装置によれば、温度一定条件下で前記対象ゴムを前記流路で加硫硬化開始前の状態で流動させている前記流動手段の移動速度と、前記対象ゴムから前記流動手段が受ける圧力とに基づいて、前記対象ゴムの前記基礎粘度要素として粘度のせん断速度依存性を把握できる。また、温度一定条件下および前記移動速度一定条件下で前記対象ゴムを前記流路で加硫硬化開始後の状態で流動させている前記流動手段が前記対象ゴムから受ける圧力の変化具合に基づいて、前記対象ゴムの前記熱硬化要素として粘度の熱履歴依存性を把握できる。
本発明の後者のゴムの流動特性推定方法および装置によれば、前記対象ゴム、前記比較ゴムをそれぞれ個別に、同一の流路で、前記流路に対する加熱具合を調整しつつ流動手段によって流動させ、温度一定条件下で前記比較ゴムまたは前記対象ゴムを加硫硬化開始前の状態で流動させている前記流動手段の移動速度と、流動させている前記ゴムから前記流動手段が受ける圧力とに基づいて、前記対象ゴムの前記基礎粘度要素として粘度のせん断速度依存性を把握できる。また、温度一定条件下および前記移動速度一定条件下で、前記比較ゴムを流動させている前記流動手段が前記比較ゴムから受ける圧力と、前記対象ゴムを加硫硬化開始後の状態で流動させている前記流動手段が前記対象ゴムから受ける圧力と、に基づいて、前記対象ゴムの前記熱硬化要素として粘度の熱履歴依存性を把握できる。
このように本発明によれば、対象ゴムの粘度の基礎粘度要素と熱硬化要素とを同じ装置を用いて1つの方法によって把握できる。したがって、基礎粘度要素と熱硬化要素とを別々の方法(装置)によって把握する場合のように、それぞれの要素を把握する方法(装置)の違いに起因して算出結果がばらつく(整合しなくなる)という不具合を防止するには有利になる。そのため、本発明によって基礎粘度要素と熱硬化要素とを把握することで、加硫中の対象ゴムの流動特性をより高い精度で推定することが可能になる。それ故、本発明の未加硫ゴムの流動シミュレーション方法によれば、シミュレーションモデルにおいて流動させた対象ゴムの挙動を、実際の製造工程での対象ゴムの挙動に一段と近似させることが可能になる。
本発明のゴムの流動特性推定装置を縦断面視で例示する説明図である。 図1の対象ゴムが加硫する過程におけるピストンの移動速度とピストンが対象ゴムから受ける圧力との経時変化を例示するグラフ図である。 図1の対象ゴムが加硫硬化開始前におけるピストンの移動速度とピストンが対象ゴムから受ける圧力との関係を例示するグラフ図である。 加硫硬化開始前の対象ゴムのせん断速度と粘度との関係を例示するグラフ図である。 対象ゴムの粘度の経時変化を例示するグラフ図である。 対象ゴムの粘度上昇率の経時変化を例示するグラフ図である。 比較ゴムと対象ゴムの粘度の経時変化を例示するグラフ図である。 シミュレーションでの対象ゴムの先端位置の経時変化を例示するグラフ図である。 ゴムの流動特性推定装置の別の実施形態を縦断面視で例示する説明図である。 図9のゴムの流動特性推定装置を平面視で例示する説明図である。
以下、本発明のゴムの流動特性推定方法および装置並びに未加硫ゴムの流動シミュレーション方法を、図に示した実施形態に基づいて説明する。
本発明は、未加硫ゴムに加硫剤が配合された対象ゴムR1の加硫される過程における流動特性を推定する。流動特性を示す指標となる対象ゴムR1の粘度(せん断粘度)をより高い精度で推定するために、この粘度を上記した基礎粘度要素MA(せん断速度依存性)と熱硬化要素MB(熱履歴依存性)とに区別して把握する。この粘度は、基礎粘度要素MA×熱硬化要素MBとして表すことができる。
本発明では、対象ゴムR1と、対象ゴムR1から加硫剤を排除した配合の未加硫ゴムR2(以下、比較ゴムR2という)を用いることがある。以下では、対象ゴムR1と比較ゴムR2を総称してゴムRと記載する。まず、対象ゴムR1だけを使用して、比較ゴムR2を使用しない実施形態を説明する。対象ゴムR1は、原料ゴムに加硫剤を含む各種配合剤を配合して混練りして製造する。
図1に例示する本発明の未加硫ゴムの流動特性推定装置1(以下、推定装置1という)は、流路4と、加熱手段4aと、ゴムRを流路4で流動させる流動手段5と、演算部8とを有している。この推定装置1はさらに、ゴムRの収容部となるシリンダ2a、温度センサ6、制御部7を有している。流路4はシリンダ2aの先端部に固定されているダイ3に形成されていて、流路4とシリンダ2aの内部は連通している。制御部7および演算部8としては、コンピュータが使用される。この実施形態では、制御部7および演算部8として1台のコンピュータが使用されているが、それぞれを別々にもよい。
流路4はダイ3に形成されたものに限らず例えば管体でもよい。流路4の断面形状は円形、楕円形、三角、四角、五角形等の多角形でもよいが、実際の製造工程で一般に使用されている円形断面がよい。この流路4は一定の断面形状になっていて、その断面積は全長に渡って実質的に不変で真っ直ぐに延在している。流路4は屈曲して延在していてもよいが直線状であることが好ましい。
加熱手段4aは流路4を加熱し、流路4に対する加熱具合を調整することができる。例えば、流路4の外側をカバーする電気ヒータなどを加熱手段4aとして用いる。加熱手段4aによって流路4は、対象ゴムR1の架橋反応が促進される所定温度に加熱され、この所定温度は例えば100℃~250℃の任意の温度である。加熱手段4aによる加熱具合は制御部7によって制御される。
流動手段5は、流路4にゴムRを充満させた状態で流動させる。この実施形態では流動手段5は、円筒状のシリンダ2aの内部に配置されるピストン5aと、ピストン5aを筒軸方向に移動させる駆動機構5cとを有している。駆動機構5cとしては例えば、駆動モータなどが使用される。シリンダ2aの一定内径の内周面と、ピストン5aの一定外径の外周面とは、ほとんど隙間なく対向している。流動手段5は制御部7により制御される。
温度センサ6はその設置位置でのダイ3(流路4)の温度を検知する。温度センサ6による検知データは演算部8に入力される。
演算部8は、温度センサ6による検知データ(検知温度)と予め設定されている目標温度とを比較してその比較結果を制御部7に伝達する。制御部7は、検知温度と目標温度との差がなくなるように加熱手段4aによる加熱具合を制御する。
演算部8には、ゴムRを流動させているピストン5aの筒軸方向の移動速度Sと、流動させているゴムRからピストン5aが受ける筒軸方向の圧力Pとが入力される。この移動速度Sは制御部7によって把握することできる。この圧力Pは、駆動機構5cの出力(モータ出力など)の大きさに基づいて把握できるゴムRに対するピストン5aによる筒軸方向の押圧力Fを用いて算出することも、圧力センサを設けて検知することもできる。
演算部8には、上述した種々のデータの他に、ピストン5aの断面積(シリンダ2aの内側断面積)、流路4の断面積、流路4の長さなどの既知データが入力されている。演算部8は入力されたデータを用いて様々な演算処理を行う。
対象ゴムR1は加熱されることで加硫硬化が促進される。したがって、流路4を加熱して温度一定条件下で、ピストン5aの移動速度Sを一定にして対象ゴムR1を流路4で流動させると、図2に例示するように、流動させている対象ゴムR1からピストン5aが受ける圧力Pは途中で急減に大きくなる。
詳述すると図2に示すように、流路4で対象ゴムR1を流動させてからの経過時間がtxを超える前は、圧力Pは相対的に小さくて概ね一定であり、txを超えた後は圧力Pは急激に大きくなる。即ち、経過時間txを境界にして、それ以前では対象ゴムR1が加硫硬化開始前の状態なので相対的に流動性が高く、それ以後では対象ゴムR1が加硫硬化開始後の状態なので流動性が低下する。本発明は対象ゴムR1の図2の特性を利用する。
次に、対象ゴムR1の基礎粘度要素MAおよび熱硬化要素MBを把握する手順を説明する。
基礎粘度要素MAを把握するには、流路4で対象ゴムR1を加硫硬化開始前の状態で流動させる。そして、温度一定条件下で対象ゴムR1を加硫硬化開始前の状態で流動させているピストン5aの移動速度Sと、この対象ゴムR1からピストン5aが受ける圧力Pとに基づいて、演算部8による演算処理によって基礎粘度要素MAが推定される。
そこで、図1に例示するように、シリンダ2aに対象ゴムR1を収容し、流路4の温度は常温でよい。次いで、ピストン5aを筒軸方向前方に移動させて対象ゴムR1を押圧して、対象ゴムR1をシリンダ2aから流路4に注入する。対象ゴムR1はシリンダ2aおよび流路4で途切れることなく、流路4に充満された状態で流動する。ここで、図3に例示するように、一定の移動速度Sを複数に異ならせて、それぞれの移動速度Sにおける圧力Pを測定する。
演算部8がゴムRの粘度ηを算出する際には、下記(1)、(2)、(3)式が使用される。
見掛けのせん断応力τ=(P・d)/4L・・・(1)
見掛けのせん断速度γ=4Q/(π・(d3/8))・・・(2)
粘度η(見掛けのせん断粘度)=τ/γ・・・・(3)
ここで、P=4F/π・D2、Q=πD2/4(S/60)であり、Pはシリンダ2aの内圧(Pa)、FはゴムRに対するピストン5aによる筒軸方向の押圧力(N)、Dはシリンダ2aの内径(mm)、dは流路4の内径(mm)、Lは流路4の長さ(mm)、Qは容積流量比率(mm3/sec)、Sはピストン5aの筒軸方向の移動速度(mm/min)である。
尚、(1)~(3)式は円管流路に適用される計算式であるが、流路4、シリンダ2aの断面形状が円形以外の場合は(1)~(3)式をアレンジして使用する。
測定したそれぞれの移動速度Sにおける圧力Pと、上述した式(1)、(2)、(3)とを用いることで、演算部8により、せん断速度γおよび粘度ηが算出される。算出されたこのせん断速度γおよび粘度ηを、図4に例示するグラフにプロットすることでデータD1が得られる。このデータD1は、粘度ηのせん断速度依存性を示しているので基礎粘度要素MAとなる。図4に記載されたデータD1は、対象ゴムR1の温度によって変化するので、流路4(対象ゴムR1)の温度を複数に異ならせて取得するとよい。
熱硬化要素MBを把握するには、流路4で対象ゴムR1を加硫硬化開始後の状態で流動させる。そして、温度一定条件下およびピストン5aの移動速度Sが一定条件下で対象ゴムR1を流動させているピストン5aが対象ゴムR1から受ける圧力Pの変化具合に基づいて、演算部8による演算処理によって熱硬化要素MBが推定される。
そこで、図1に例示するように、シリンダ2aに対象ゴムR1を収容し、流路4は加熱手段4aによって所定温度に加熱しておく。次いで、ピストン5aを筒軸方向前方に移動させて対象ゴムR1を押圧して、対象ゴムR1をシリンダ2aから流路4に注入する。対象ゴムR1はシリンダ2aおよび流路4で途切れることなく、流路4に充満された状態で流動する。ここで、一定の移動速度Sに維持して経時的に圧力P(を測定する(圧力Pの経時変化を測定する)。これより、図2に例示するように経過時間がtxを超えた後のような圧力Pが測定される。
測定した所定の一定の移動速度Sにおける圧力Pと、上述した式(1)、(2)、(3)とを用いることで、演算部8により、図5に例示する経時的な粘度ηが算出される(粘度ηの経時変化が算出される)。
図5のデータの粘度ηを、対象ゴムR1の加硫硬化開始時点(tx)での粘度ηを基準の1としてプロットすることでデータD2が得られる。図5は、縦軸を加硫硬化開始時点(tx)での粘度ηに対する粘度上昇比率にして記載されている。このデータD2は、粘度ηの熱履歴依存性を示しているので基礎粘度要素MBとなる。対象ゴムR1が加硫硬化開始前では、熱履歴による粘度ηの変化は生じないので、経過時間がtx以前ではデータD2は基準の数値1で一定になる。尚、ピストン5aの移動速度Sを変えても粘度上昇比率は変わらないので、移動速度Sは任意の1条件でよい。
基礎粘度要素MAを把握する工程と熱硬化要素MBを把握する工程とは、連続して行うことも、別々に行うこともできる。両工程を連続して行う場合は、加熱手段4aによって所定温度に加熱された流路4で、対象ゴムR1を加硫硬化開始前の状態で流動手段5によって流動させた後、この対象ゴムR1を引き続き流路4で加硫硬化開始後の状態で流動手段5によって流動させればよいので、両工程を短時間で行うことができる。ただし、加硫硬化開始前の状態の対象ゴムR1が途中で加硫硬化開始後の状態になるので、迅速に基礎粘度要素MAを把握するための測定を行う必要がある。
両工程を別々に行う場合は、流路4で対象ゴムR1を加硫硬化開始前の状態で流動手段5によって流動させた後、この流路4で別の対象ゴムR1を加硫硬化開始後の状態で流動手段5によって流動させる。両工程を別々に行う場合は、一方の対象ゴムR1を確実に加硫硬化開始前の状態に維持することができ、他方の対象ゴムR1を確実に加硫硬化開始後の状態に維持することができるので、精度よく基礎粘度要素MAおよび熱硬化要素MBを把握するには有利になる。
対象ゴムR1の加硫硬化開始時点(tx)が図5に例示するように明確に表れない場合もある。このような場合は例えば、対象ゴムR1を流路4で流動させ始めてから粘度ηの最低値を基準の1として基礎粘度要素MBを把握する。
或いは、対象ゴムR1と比較ゴムR2を用いることで、対象ゴムR1の加硫硬化開始時点(tx)を明確にすることができる。そこで、対象ゴムR1と比較ゴムR2を用いた実施形態を説明する。
この実施形態では、準備作業として、設定された規定温度において同じ所定粘度の対象ゴムR1と比較ゴムR2を用意する。この規定温度は、対象ゴムR1の架橋反応が促進されない温度であり、例えば10℃~50℃程度、或いは常温に設定すればよい。
比較ゴムR2は、対象ゴムR1の配合から加硫剤のみを除外した各種配合剤を配合して混練りして製造し、所定粘度にする。対象ゴムR1と比較ゴムR2とは厳密に一致した粘度にすることはできないため、同等粘度であればよい。同等粘度とは、比較ゴムR2の粘度(Pa・s)が対象ゴムR1の粘度(Pa・s)の±1%程度であることを意味する。この時の対象ゴムR1と比較ゴムR2の粘度の確認は、キャピラリーレオメータなどの一般的な粘度計を用いて行えばよい。
対象ゴムR1における加硫剤の配合割合が小さくて、粘度に対する影響が無視できるならば、対象ゴムR1の配合から加硫剤のみを単純に除外した配合で比較ゴムR2を製造する。対象ゴムR1における加硫剤の配合割合が比較的大きくて、粘度に対する影響が無視できない場合は、対象ゴムR1の配合から加硫剤を除外したことによる粘度変化を補うために、例えば、加硫剤を除外した対象ゴムR1の残りの配合剤の配合量を調整する。これにより、対象ゴムR1と比較ゴムR2とを同等粘度にする。対象ゴムR1と比較ゴムR2との相違点は、実質的に加硫剤の有無のみである。
塑性体である対象ゴムR1は加硫剤が配合されているので、加熱することで架橋反応が生じて加硫硬化して弾性体に変質する。比較ゴムR2は、加硫剤が配合されていないので、加熱しても架橋反応が生じることがなく加硫硬化せずに塑性体のままである。
この実施形態では、対象ゴムR1、比較ゴムR2をそれぞれ個別に、同一の流路4で、流路4に対する加熱具合を調整しつつ流動手段5によって流動させる。熱硬化要素MBを把握するには、流路4で比較ゴムR2を流動させ、対象ゴムR1を加硫硬化開始後の状態で流動させる。そして、温度一定条件下およびピストン5aの移動速度Sが一定条件下で、比較ゴムR2を流動させているピストン5aが比較ゴムR2から受ける圧力Pと、対象ゴムR1を加硫硬化開始後の状態で流動させているピストン5aが対象ゴムR1から受ける圧力Pと、に基づいて、演算部8による演算処理によって熱硬化要素MBが推定される。
そこで、先の実施形態と同様に、対象ゴムR1、比較ゴムR2に対してピストン5aを一定の移動速度Sに維持して経時的に圧力Pを測定する(圧力Pの経時変化を測定する)。測定した所定の一定の移動速度Sにおける圧力Pと、上述した式(1)、(2)、(3)とを用いることで、演算部8により、対象ゴムR1、比較ゴムR2のそれぞれについて図7に例示する経時的な粘度ηとしてデータn1、n2が算出される(粘度ηの経時変化が算出される)。
比較ゴムR2は加熱しても加硫硬化しないので、図7ではデータn1とn2とが分岐する時点が対象ゴムR1の加硫硬化開始時点(tx)となる。このように対象ゴムR1と比較ゴムR2とを使用することで、対象ゴムR1の加硫硬化開始時点(tx)を明確に把握することが可能になる。その結果、比較ゴムR2の粘度ηを基準の1として、図6と同様のデータD2を得ることができる。
基礎粘度要素MAは、対象ゴムR1も比較ゴムR2も同じなので、どちらのゴムR1、R2を使用して把握してもよい。したがって、この実施形態では、基礎粘度要素MAを把握するには、流路4で比較ゴムR2または対象ゴムR1を加硫硬化開始前の状態で流動させる。そして、温度一定条件下でゴムRを流動させているピストン5aの移動速度Sと、流動させているゴムRからピストン5aが受ける圧力Pとに基づいて、演算部8による演算処理によって基礎粘度要素MAが推定される。
既述した種々の実施形態で説明したように、本発明では、対象ゴムR1の粘度ηの基礎粘度要素MAと熱硬化要素MBとを同じ推定装置1を用いて1つの方法によって把握できる。したがって、従来のように基礎粘度要素MAと熱硬化要素MBとを把握する方法(装置)の違いに起因して算出結果がばらつく(整合しなくなる)という不具合を防止するには有利になる。
その結果、本発明によって基礎粘度要素MAと熱硬化要素MBとを把握することで、加硫中の対象ゴムR1の流動特性を、より高精度で推定することが可能になる。対象ゴムR1の加硫過程での挙動シミュレーションをする際には、対象ゴムR1の流動特性を示す指標データ(粘度)として、上述の算出した基礎粘度要素MA、熱硬化要素MBを用いる。これら基礎粘度要素MA、熱硬化要素MBをシミュレーションモデルに適用し、コンピュータによってシミュレーションモデルをモールド内で流動させてその挙動を確認する。例えば図8に示すように、加硫中に流動している対象ゴムR1の先端位置を示すデータLxを算出することができ、その先端位置を精度よく推定することができる。
したがって、本発明の未加硫ゴムの流動シミュレーション方法によれば、シミュレーションモデルにおいて流動させた対象ゴムR1の挙動を、実際の製造工程での対象ゴムR1の挙動に一段と近似させることが可能になる。この基礎粘度要素MA、熱硬化要素MBは、例えばタイヤ、ホース、防舷材、コンベヤベルト等の様々なゴム製品、これらゴム製品を構成するゴム部材、ブラダ等のゴム製の製造設備部材などを製造する際の未加硫ゴムの挙動シミュレーションに利用することができる。
図9、図10に例示する推定装置1を用いることもできる。この推定装置1は、断面積一定の円筒体である容器2bを有している。この容器2bの内部が流路4になっている。流動手段5は、容器2bの内部で容器2bの筒軸心を中心にして回転する回転円盤5bと、この回転円盤5bを回転駆動する駆動機構5cとを有している。したがって、この推定装置1は、既述した先の実施形態のダイ3とシリンダ2aを容器2bに置き換え、ピストン5aを回転円盤5bに置き換えた構成であり、その他は実質的に同じである。
この推定装置1では、流路4に対する加熱具合を加熱手段4aで調整しつつ、流路4で対象ゴムR1を加硫硬化開始前の状態および加硫硬化開始後の状態で回転円盤5bによって回転流動させる。そして、温度一定条件下で対象ゴムR1を加硫硬化開始前の状態で回転流動させている回転円盤5bの回転移動速度Sと、対象ゴムR1から回転円盤5bが受ける回転方向の圧力Pとに基づいて基礎粘度要素MAが、演算部8により推定される。この圧力Pは具体的には、回転する回転円盤5bの回転抵抗(トルク)に基づいて測定できる。
また、温度一定条件下および回転移動速度Sが一定条件下で対象ゴムR1を加硫硬化開始後の状態で回転流動させている回転円盤5bが、対象ゴムR1から受ける圧力Pの変化具合に基づいて、演算部8により熱硬化要素MBが推定される。
基礎粘度要素MAおよび熱硬化要素MBを把握する手順は、既述した先の実施形態に対して、ダイ3とシリンダ2aを容器2bに置き換え、ピストン5aを回転円盤5bに置き換えただけで、実質的に同様である。また、既述した先の実施形態で説明した種々のアレンジを、この実施形態にも適用することができる。
1 流動特性推定装置
2a シリンダ(収容部)
2b 容器(収容部)
3 ダイ
4 流路
4a 加熱手段
5 流動手段
5a ピストン
5b 回転円盤
5c 駆動機構
6 温度センサ
7 制御部
8 演算部
R1 対象ゴム
R2 比較ゴム

Claims (9)

  1. 未加硫ゴムに加硫剤が配合された対象ゴムの加硫中の粘度の基礎粘度要素と熱硬化要素とを推定するゴムの流動特性推定方法であって、
    流路に対する加熱具合を調整しつつ、前記流路で前記対象ゴムを加硫硬化開始前の状態および加硫硬化開始後の状態で流動手段によって流動させ、
    温度一定条件下で前記対象ゴムを加硫硬化開始前の状態で流動させている前記流動手段の移動速度と、前記対象ゴムから前記流動手段が受ける圧力とに基づいて前記基礎粘度要素を推定し、
    温度一定条件下および前記移動速度一定条件下で前記対象ゴムを加硫硬化開始後の状態で流動させている前記流動手段が前記対象ゴムから受ける圧力の変化具合に基づいて前記熱硬化要素を推定することを特徴とするゴムの流動特性推定方法。
  2. 前記流路で前記対象ゴムを加硫硬化開始前の状態で前記流動手段によって流動させた後、この対象ゴムを引き続き前記流路で加硫硬化開始後の状態で前記流動手段によって流動させる請求項1に記載のゴムの流動特性推定方法。
  3. 前記流路で前記対象ゴムを加硫硬化開始前の状態で前記流動手段によって流動させた後、前記流路で別の前記対象ゴムを加硫硬化開始後の状態で前記流動手段によって流動させる請求項1に記載のゴムの流動特性推定方法。
  4. 未加硫ゴムに加硫剤が配合された対象ゴムの加硫中の粘度の基礎粘度要素と熱硬化要素とを推定するゴムの流動特性推定方法であって、
    前記対象ゴムと、前記対象ゴムから前記加硫剤が排除された配合にして同等粘度に調製された比較ゴムとを用意しておき、
    前記対象ゴム、前記比較ゴムをそれぞれ個別に、同一の流路で、前記流路に対する加熱具合を調整しつつ流動手段によって流動させ、
    温度一定条件下で前記比較ゴムまたは前記対象ゴムを加硫硬化開始前の状態で流動させている前記流動手段の移動速度と、流動させている前記ゴムから前記流動手段が受ける圧力とに基づいて前記基礎粘度要素を推定し、
    温度一定条件下および前記移動速度一定条件下で、前記比較ゴムを流動させている前記流動手段が前記比較ゴムから受ける圧力と、前記対象ゴムを加硫硬化開始後の状態で流動させている前記流動手段が前記対象ゴムから受ける圧力と、に基づいて前記熱硬化要素を推定することを特徴とするゴムの流動特性推定方法。
  5. 前記流路に断面積一定の筒状体を連通させて、前記流動手段として前記筒状体を筒軸方向に移動するピストンを使用する請求項1~4にいずれかに記載のゴムの流動特性推定方法。
  6. 断面積一定の円筒状の容器の内部を前記流路として使用し、前記流動手段として前記容器の内部で前記容器の筒軸心を中心にして回転する回転円盤を使用する請求項1~4にいずれかに記載のゴムの流動特性推定方法。
  7. 未加硫ゴムに加硫剤が配合された対象ゴムの加硫中の粘度の基礎粘度要素と熱硬化要素とを推定するゴムの流動特性推定装置であって、
    流路と、前記流路に対する加熱具合を調整する加熱手段と、前記流路で前記対象ゴムを加硫硬化開始前の状態および加硫硬化開始後の状態で流動させる流動手段と、演算部とを有し、
    温度一定条件下で前記対象ゴムを加硫硬化開始前の状態で流動させている前記流動手段の移動速度と、前記対象ゴムから前記流動手段が受ける圧力とに基づいて、前記演算部により前記基礎粘度要素が推定され、
    温度一定条件下および前記移動速度一定条件下で前記対象ゴムを加硫硬化開始後の状態で流動させている前記流動手段が前記対象ゴムから受ける圧力の変化具合に基づいて、前記演算部により前記熱硬化要素が推定されることを特徴とするゴムの流動特性推定装置。
  8. 未加硫ゴムに加硫剤が配合された対象ゴムの加硫中の粘度の基礎粘度要素と熱硬化要素とを推定するゴムの流動特性推定装置であって、
    流路と、前記流路に対する加熱具合を調整する加熱手段と、前記流路で前記対象ゴムを加硫硬化開始前の状態および加硫硬化開始後の状態で流動させる流動手段と、演算部とを有し、
    前記対象ゴム、前記対象ゴムから前記加硫剤が排除された配合にして同等粘度に調製された比較ゴムがそれぞれ個別に、同一の前記流路で、前記流路に対する加熱具合を調整しつつ流動手段によって流動され、
    温度一定条件下で前記比較ゴムまたは前記対象ゴムを加硫硬化開始前の状態で流動させている前記流動手段の移動速度と、流動させている前記ゴムから前記流動手段が受ける圧力とに基づいて、前記演算部により前記基礎粘度要素が推定され、
    温度一定条件下および前記移動速度一定条件下で、前記比較ゴムを流動させている前記流動手段が前記比較ゴムから受ける圧力と、前記対象ゴムを加硫硬化開始後の状態で流動させている前記流動手段が前記対象ゴムから受ける圧力と、に基づいて、前記演算部により前記熱硬化要素が推定されることを特徴とするゴムの流動特性推定装置。
  9. 請求項1~6のいずれかに記載のゴムの流動特性推定方法により推定した前記基礎粘度要素と前記熱硬化要素とをそれぞれ、前記対象ゴムの流動シミュレーションを行う際の粘度の基礎粘度要素、前記熱硬化要素として用いる未加硫ゴムの流動シミュレーション方法。
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