JP7700517B2 - 衛生陶器 - Google Patents
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Description
陶器素地と、当該陶器素地の表面に形成された釉薬層とを備える衛生陶器であって、
前記釉薬層は、抗ウイルス剤として、ランタンを、ランタン酸化物(La2O3)換算で5重量%以上含むことを特徴とするものである。
また、本発明による衛生陶器は、
陶器素地と、当該陶器素地の表面に形成された釉薬層とを備える衛生陶器であって、
前記釉薬層は、抗ウイルス剤として、ランタンを、蛍光X線分析法(XRF)により測定される原子存在量で9質量%以上含むことを特徴とするものである。
本発明において、「衛生陶器」とは、トイレおよび洗面所周りで用いられる陶器製品を意味し、具体的には大便器、小便器、便器の目皿、便器タンク、洗面台の洗面器、手洗い器などを意味する。また、「陶器」とは、陶磁器のうち、素地の焼き締まりがやや吸水性のある程度で、かつ表面に釉薬を施したものを意味する。
本発明による衛生陶器は、図1Aに示すように、陶器素地10と、その表面に形成された、特定量以上のランタンを含む釉薬層20とを少なくとも備える。
陶器素地10は、特に限定されず、従来知られている陶器素地であってよい。すなわち、ケイ砂、長石、粘土等を原料として調製された衛生陶器素地泥漿を適宜成形したものであってよい。
本発明において、釉薬層20は、その成分として、抗ウイルス剤として特定量以上のランタン、および抗ウイルス剤とともに後述する表面性状を実現可能な釉薬材料を含む。
本発明において、抗ウイルス剤は、ランタン(La)である。
本発明の一つの態様において、釉薬層20に含まれるランタンの含有量は、釉薬層20を構成するランタンと後述する他の釉薬材料の合計を100重量%としたとき、ランタン酸化物(La2O3)換算で5重量%以上である。ランタン酸化物(La2O3)換算で5重量%以上のランタンを含むことにより、釉薬層20は、実用的な抗ウイルス性を発揮することができる。なお、ランタン酸化物の量から化学量論的にランタンの重量%に変換できることは言うまでもない。
(測定条件)
管電圧:60kV
管電流:50mA
測定深さ:数十μm(0~50μm程度)
測定面積:Φ20mm
(分析条件)
La検出線:La Lα(アルファ)線、2θ=82.88
分光結晶:LiF(200)
検出器:SC
なお、上記走査型蛍光X線分析装置は、釉薬層20の表面(0μm)から陶器素地の方向(図1に示す矢印方向)に深さ約50μmの領域がその測定限界であるため、本発明において、上記走査型蛍光X線分析装置を用いたランタンの定量は、釉薬層20の表面から約50μmの深さ領域におけるランタンの含有量(質量%)をもって、釉薬層20を特定するものである。
すなわち、既に説明したランタン酸化物換算でのランタンの含有量は、釉薬層20全体におけるランタンの含有割合(百分率)を表すものであり、蛍光X線分析法(XRF)により測定されるランタンの含有量は、釉薬層20の表面付近におけるランタンの含有割合をピンポイントで且つ正確に表すものである。 また、蛍光X線分析法(XRF)により測定されるランタンの含有量は、抗ウイルス剤の出発原料としてのランタンの酸化物、塩化物等の種々の化合物の添加量を化学量論に基づき正確に把握することに役立つ。
・ 試験片(特定量以上のランタンを含む釉薬層を備える衛生陶器の試験片、およびコントロール(抗ウイルス剤を含んでいない釉薬層を備える衛生陶器の試験片))に0.4mLのウイルス液を滴下し、フィルムで被覆する。
・ 試験片を25℃で24時間静置する。
・ 静置後、試験片上のウイルスを洗い出して回収した後、ウイルス感染価を測定する。
・ 次式により、抗ウイルス活性値を算出し、抗ウイルス性を評価する。
R=Ut-At
R:抗ウイルス活性値
Ut:コントロールの24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm2)の常用対数
At:特定量以上のランタンを含む釉薬層を備える衛生陶器の試験片の24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm2)の常用対数
TV:光照射後の特定量以上のランタンを含む釉薬層を備える衛生陶器のバクテリオファージ感染価(pfu)
UV:光照射後のコントロールあたりのバクテリオファージ感染価(pfu)
なお、コントロールとして、抗ウイルス剤を含んでいない釉薬層を備える衛生陶器を用いる。
また、本発明の好ましい態様において、ランタンの溶出量は、釉薬層の表面から陶器素地の方向(図1に示す矢印方向)に深さ10nmの領域に含まれるランタンの含有量の1~2%程度である。
釉薬層20は、特定量以上のランタンとともに、通常釉薬に使用される材料、例えばSiO2、Al2O3、2価金属酸化物および1価金属酸化物などを含む。
本発明の好ましい態様によれば、SiO2のガラス成分に対する重量%が52~76%であり、Al2O3のガラス成分に対する重量%が6~14%であり、2価金属酸化物のガラス成分に対する重量%が11.4~27.6%であり、1価金属酸化物のガラス成分に対する重量%が1.5~6.5%である。
本発明において、ランタンが、釉薬層20の少なくとも表面において、アモルファス(非晶質)状態で存在していることが好ましい。ランタンが釉薬層20の表面にアモルファス状態で存在することにより、ランタンは、釉薬層の表面に効率的にイオン化して溶出することができ、釉薬層表面に付着したウイルスを効率的に不活化することが可能となる。また、非晶質状態で存在するため釉薬層表面の表面性状への影響を抑えることができる。
XRD測定条件
測定範囲:3°~60°
スキャンレート:4°/min
印加電圧:45V、印加電流:40mA
平均粗さ(Ra)
本発明において、釉薬層20は、その表面粗さ(Ra)が0.07μm未満であることが好ましい。表面粗さ(Ra)が0.07μm未満であることにより、衛生陶器に尿石、黴、黄ばみ、その他の汚れが付着しにくくなり、たとえ付着したとしても弱い水流により容易に除去することができる。その結果、衛生陶器の表面を、頻繁な洗浄操作を要することなく、長期間に亘り清浄な状態に維持することが可能となる。
本発明の別の好ましい態様において、釉薬層20の表面(0μm)から陶器素地の方向に深さ約50μmの領域に含まれるランタンの含有量を、蛍光X線分析法(XRF)により測定される原子存在量で18.5質量%未満とすることで、釉薬層20の表面粗さ(Ra)を0.07μm未満とすることが可能となる。
したがって、本発明において、釉薬層20に含まれるランタンの含有量を、ランタン酸化物(La2O3)換算で5重量%以上10重量%未満とすることで、または、釉薬層20の表面(0μm)から陶器素地の方向に深さ約50μmの領域に含まれるランタンの含有量を、蛍光X線分析法(XRF)により測定される原子存在量で9質量%以上18.5質量%未満とすることで、実用的な抗ウイルス性と、汚れに対する優れた難付着性・易除去性(汚れが付きにくく、落ちやすい性質)とを併せ持つ釉薬層20を備えた衛生陶器1を実現することが可能となる。
本発明において、釉薬層20は、その表面のウェーブスキャンDOI測定装置によるDOI値が80以上であることが好ましい。本発明において、「DOI値」とは、ウェーブスキャンDOI測定装置、例えばBYK Gardner社製(ドイツ国) Wave-ScanDIO(オレンジピール測定装置)により測定されるDOI値をいう。本発明において、DOI値は、本発明による衛生陶器が備える釉薬層の表面の写像性を表す指標として用いられる。「写像性」とは、ものの映り込みの鮮明さを表し、この外観品質は、釉薬層の表面形状により光の反射が異なることによって決定され、人間の視覚で認められる。
du:波長0.1mm以下
Wa:波長0.1~0.3mm
Wb:波長0.3~1mm
Wc:波長1~3mm
Wd:波長3~10mm
We:波長10~30mm
Sw:波長0.3~1.2mm
Lw:波長1.2~12mm
DOI:波長0.3mm以下
ここで、DOIはdu、Wa、Wbからなるパラメータで、DOI=f(du,Wa,Wb)で表わされる。
本発明において、釉薬層20は、その表面の色差:ΔE*値が1.20以下であることが好ましい。釉薬層20の表面のΔE*値が1.20以下であることにより、耐光性に優れた衛生陶器を得ることができる。ΔE*値は、JIS K5400(1990)の9章8節に記載のサンシャインカーボンアーク灯式に準拠して、サンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機(スガ試験機社製、S-300)にて耐候性試験を実施する。試験時間は8時間とし、試験前後における光触媒塗装体のL*、a*、b*値をSCE方式にて測色し、色差:ΔE*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2を求める。色差計として、色彩色差計(コニカミノルタ社製、CR―400)を用いることができる。
釉薬層20の表面の色差:ΔE*値は、0.8以下であることがより好ましく、0.7以下であることがさらにより好ましい。
本発明において、釉薬層20の膜厚は、好ましくは50~1200μmであり、より好ましくは100~800μmであり、さらにより好ましくは150μm~400μmである。このような厚みの釉薬層20により、上述した表面性状が実現できる。
本発明による衛生陶器は、以下のような方法により好ましく製造することができる。
実施形態1
表1に記載の組成からなる釉薬材料と水および分散メディア(例えばアルミナボール)を陶器製ポット中に入れ、例えばボールミルにより粉砕して、釉薬スラリー前駆体を得る。この釉薬スラリー前駆体に、ランタン酸化物(La2O3)換算で5重量%以上のランタンを含有するランタン化合物を添加して混合、粉砕し、釉薬層20形成用釉薬スラリーを得る。
実施形態2
表1に記載の組成からなる釉薬材料を所定の温度にて溶融し、冷却してフリット原料を得る。このフリット原料に、ランタン酸化物(La2O3)換算で5重量%以上のランタンを含有するランタン化合物を添加し、さらに水、および分散メディア、必要に応じてその他の原料(例えば、陶石やZnOなど)を添加し、陶器製ポット中に入れ、例えばボールミルにより粉砕して、釉薬層20形成用釉薬スラリーを得る。
珪砂、長石、粘土等を原料として調製した陶器素地泥漿を用いて、70mm×150mm板状試験片を作製した。
下記表2に記載の組成からなる釉薬材料2kgと水1kgおよびアルミナボール4kgを、容積6Lの陶器製ポットに入れ、レーザー回折式粒度分布計を用いた粉砕後の釉薬スラリーの粒度測定結果が、10μm以下が65%、50%粒径が6.5μm程度になるように、ボールミルにより粉砕を行い、ベース釉薬層形成用釉薬スラリーを得た。
下記表3に記載の組成からなる釉薬材料2kgと水1kgおよびアルミナボール4kgを、容積6Lの陶器製ポットに入れ、レーザー回折式粒度分布計を用いた粉砕後の釉薬スラリーの粒度測定結果が、10μm以下が65%、50%粒径(D50)が6.5μmになるように、ボールミルにより粉砕を行い、釉薬スラリー前駆体を得た。この釉薬スラリー前駆体に、表4に記載の異なる含有量のランタン酸化物(La2O3)を添加し(すなわち、上記釉薬材料の合計含有量100重量%に対し、表4に記載の各濃度のランタノイド酸化物を添加し)、混合し、10μm以下が65%、50%粒径(D50)が6.5μmになるように、ボールミルにより粉砕を行い、粉砕し、例1~15の衛生陶器用の抗ウイルス釉薬スラリーを調製した。
上記のとおり調製した各抗ウイルス釉薬スラリーを、上記陶器素地試験片にスプレーコーティング法により塗布した。その後、釜にて1200℃で一体的に1回焼成し、例1~15の衛生陶器を作製した。
例1~15の衛生陶器について、以下の評価を行った。
例1~15の衛生陶器の釉薬層に含まれるランタンの酸化ランタン(La2O3)換算量(重量%)およびXRFにより測定した原子存在量(質量%)はそれぞれ表4に示されるとおりであった。
なお、表4に示される各衛生陶器の酸化ランタン(La2O3)換算量に基づくランタン含有量(重量%)は、例えば例4の衛生陶器については、表3に示す釉薬材料100重量%と酸化ランタン5重量%の合計(105重量%)に対する酸化ランタン(5重量%)の百分率として、5重量%/(100重量%+5重量%)×100≒4.8%と算出した。他の例1~3、4~15についても同様である。
各衛生陶器の酸化ランタン(La2O3)換算量に基づくランタン含有量(重量%)と、XRFにより測定したランタン含有量(質量%)とを対比すると、後者の方が多いことが確認された。これは、抗ウイルス釉薬層全体に含まれるランタン含有量よりも抗ウイルス釉薬層の表面付近に含まれるランタン含有量の方が多いことを示している。すなわち、ランタンが抗ウイルス釉薬層の表面付近に濃縮されていることを示している。
したがって、本発明によれば、ランタン(抗ウイルス剤)を釉薬層の表面付近に濃縮して存在させることができ、その結果、良好な抗ウイルス性を発揮することができる。また本発明によれば、少ない量のランタンであっても釉薬層の表面付近にランタンを濃縮させることができるため、良好な抗ウイルス性を効率的に発揮するとともに、ランタンの量が少ないため釉薬層のSi-O構造に影響を与えない、つまり優れた表面性状が維持された衛生陶器を実現することができる。
なお、例10、11の衛生陶器の釉薬層に含まれるランタンのXRFにより測定した原子存在量(質量%)については、原因は定かではないが、測定誤差を含んでいるものと考えられる。
また、例1~15の衛生陶器における抗ウイルス剤の含有量、抗ウイルス剤の溶出量、および抗ウイルス活性値の関係を確認した。
図4Aに、ランタンの酸化ランタン(La2O3)換算量(重量%)と、ランタンの釉薬層表面への溶出量(ppm)との関係を示す。図4Bに、ランタンの溶出量と抗ウイルス活性値との関係を示す。図5Aに、ランタンの酸化ランタン(La2O3)換算量(重量%)と、ランタンのXRFにより測定した原子存在量(質量%)との関係を示す。図5Bに、ランタンのXRFにより測定した原子存在量(質量%)と、抗ウイルス活性値との関係を示す。
図4および図5から、ランタンの酸化ランタン(La2O3)換算量(重量%)と、ランタンのXRFにより測定した原子存在量(質量%)との間に比例関係が成立し、ランタンの含有量と、ランタンの釉薬層表面への溶出量との間に比例関係が成立し、ランタンの溶出量と抗ウイルス活性値との間にも比例関係が成立することが確認された。
ISO 21702に準拠した下記試験方法によりバクテリオファージQβに対する抗ウイルス活性値を求めた。
・ 例1~15の衛生陶器、およびコントロールとして釉薬層が抗ウイルス剤を含んでいない衛生陶器に0.4mLのウイルス液を滴下し、フィルムで被覆した。
・ 各衛生陶器を25℃で24時間静置した。
・ 静置後、各衛生陶器上のウイルスを洗い出して回収した後、ウイルス感染価を測定した。
・ 次式により、抗ウイルス活性値を算出した。
R=Ut-At
R:抗ウイルス活性値
Ut:コントロールの衛生陶器の24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm2)の常用対数
At:例1~15の衛生陶器の24時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm2)の常用対数
例1~15の衛生陶器の抗ウイルス活性値は表4に示されるとおりであった。
触針式表面粗さ測定装置(JIS-B0651)を用い、JIS-B0601(1994)により定義される中心線平均粗さ(μm)を求めた。結果は表4に示されるとおりであった。
ウェーブスキャンDOI測定装置:BYK Gardner社製(ドイツ国) Wave-ScanDIO(オレンジピール測定装置)を用い、DOI値を測定した。結果は表4に示されるとおりであった。
<XRD測定>
XRD装置:パナリティカル製<X’Pert PRO>を用い、以下の条件で測定を行った。
XRD測定条件
測定範囲:3°~60°
スキャンレート:4°/min
印加電圧:45V、印加電流:40mA
ランタン含有量の異なる例1~15の衛生陶器の釉薬層表面のXRDパターンは図2に示されるとおりであった。なお、図2に示すランタン(La)の%は、原料として添加した酸化ランタンの、表3に示す釉薬材料の合計を100重量%としたときの添加量を表す。例1~12の衛生陶器の釉薬層表面のXRD測定においてピークは観察されず、したがって、ランタン含有量がランタン酸化物(La2O3)換算で1.0~11.5重量%である抗ウイルス釉薬層の表面において、ランタンがアモルファス(非晶質)状態またはガラス化された状態で存在していることが確認された。一方、例13~15の衛生陶器の釉薬層表面のXRD測定においてピークが観察され、したがって、ランタン含有量がランタン酸化物(La2O3)換算で14.2重量%以上である抗ウイルス釉薬層の表面において、結晶(LaとSiの複合結晶と推定される)が析出され、ランタンがアモルファス(非晶質)状態またはガラス化された状態で存在していないことが確認された。
なお、例15のXRDパターンに観察される最大ピークはSiO2、2θ(10~15)において観察されるピークは、左から順にLa2Si2O7、La2Si2O7、SiO2であり、また例1、4のXRDパターンに観察される小ピークはノイズである。
例1~15の衛生陶器のうち、例4の衛生陶器の釉薬層の表面付近におけるランタンの存在状態をSEM観察した。SEM観察は、装置:S4800(日立ハイテクノロジーズ製)を用い、条件:倍率50000倍、印加電圧2.0kV、印加電流20mAにて行った(2.0mm×50.0k SE(U,LA100))。SEM画像を図3に示す。図3Aは釉薬層の表面SEM画像であり、図3Bは釉薬層の断面SEM画像である。図3A、図3B双方において、白色部分はランタンの存在、黒色部分はSi-O構造を示す。図3Bにおいて、境界線のように見える部分は、白色部分はランタンがリッチに存在している様子を示す。白色部分より上側の画像領域は空気領域であるため、観察対象外である。
図3Bより、例4の衛生陶器の釉薬層において、ランタン含有量がランタン酸化物(La2O3)換算で約4.8重量%であり、XRFにより測定した原子存在量が8.3質量%であること、そして図3Bの断面画像より、釉薬層の表面においてランタンがリッチに存在していることが確認された。また、釉薬層の表面に存在するこのランタンはスピノーダル分相しており、さらにスピノーダル分相量がリッチであることが確認された。
JIS K5400-9-8 サンシャインカーボンアーク式に準拠して、サンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機(米国アトラス社製)にて耐候性試験を実施した。試験時間は8時間とし、試験前後における光触媒塗装体のL*、a*、b*値をSCE方式にて測色し、色差:ΔE*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2を求めた。色差計として、色彩色差計(コニカミノルタ社製、CR―400)を用いた。結果は表4に示されるとおりであった。
酸化ランタンの添加量を10重量%とし、上記調製例により調製した抗ウイルス釉薬スラリーを、上記陶器素地試験片にスプレーコーティング法により塗布した。その後、釜にて、下記条件1~3にて焼成し、3種類の衛生陶器A~Cを作製した。
衛生陶器A:焼成条件1(焼成温度:1200℃、総焼成時間:10時間)
衛生陶器B:焼成条件2(焼成温度:1200℃、総焼成時間:15時間)
衛生陶器C:焼成条件3(焼成温度:1200℃、総焼成時間:20時間)
衛生陶器A~Cの抗ウイルス活性値は下記表5に示されるとおりであった。また、衛生陶器A~Cの抗ウイルス釉薬層表面付近のランタンの存在状態は図6A~Cに示されるとおりであった。
Claims (11)
- 陶器素地と、当該陶器素地の表面に形成された釉薬層とを備える衛生陶器であって、
前記釉薬層は、抗ウイルス剤として、ランタンを、ランタン酸化物(La2O3)換算で5重量%以上14.2重量%未満含み、
前記抗ウイルス剤が、前記釉薬層の少なくとも表面にアモルファス(非晶質)状態で存在することを特徴とする、衛生陶器。 - 陶器素地と、当該陶器素地の表面に形成された釉薬層とを備える衛生陶器であって、
前記釉薬層は、抗ウイルス剤として、ランタンを、蛍光X線分析法(XRF)により測定される原子存在量で9質量%以上21.2質量%未満含み、
前記抗ウイルス剤が、前記釉薬層の少なくとも表面にアモルファス(非晶質)状態で存在することを特徴とする、衛生陶器。 - 前記釉薬層は、その表面粗さ(Ra)が0.07μm以下である、請求項1または2に記載の衛生陶器。
- 前記釉薬層は、抗ウイルス剤として、ランタンを、ランタン酸化物(La2O3)換算で10重量%未満含む、請求項3に記載の衛生陶器。
- 前記釉薬層は、抗ウイルス剤として、ランタンを、蛍光X線分析法(XRF)により測定される原子存在量で18.5質量%未満含む、請求項3に記載の衛生陶器。
- 前記釉薬層は、その表面のウェーブスキャンDOI測定装置によるDOI値が80以上であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の衛生陶器。
- 前記抗ウイルス剤が、前記釉薬層の少なくとも表面に、スピノーダル分相していることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の衛生陶器。
- 前記陶器素地と前記釉薬層との間にベース釉薬層をさらに備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の衛生陶器。
- 請求項1~8のいずれか一項に記載の衛生陶器の製造方法であって、
陶器素地を用意する工程と、
ランタン酸化物(La2O3)換算で5重量%以上14.2重量%未満のランタンを含有するランタン化合物と、当該ランタン化合物以外の釉薬材料とを含む釉薬スラリーを調製する工程と、
前記釉薬スラリーを前記陶器素地の表面に適用する工程と、
釉薬スラリーが適用された陶器素地を焼成し、釉薬層を形成する工程と
を少なくとも含むことを特徴とする、方法。 - ランタンの平均粒径と、前記釉薬材料の平均粒径との比(前者/後者)が0.9~1.1の範囲内にあることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
- 前記陶器素地の表面にベース釉薬層を形成する工程をさらに含み、当該ベース釉薬層の表面に前記釉薬スラリーを適用することを特徴とする、請求項9~10のいずれか一項に記載の方法。
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