以下、本発明の実施形態における通信装置の起動方法、無線通信システム及び無線通信装置を、図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
[無線通信システムの構成]
以下、第1の実施形態における無線通信システム1の構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における無線通信システム1の構成を説明するための模式図である。
第1の実施形態における無線通信システム1では、図1に示されるように、少なくとも、移動中継局2と、1以上の端末局3とを有する。図1は、一例として、2台の端末局3-1~端末局3-2が存在する場合を示している。
移動中継局2は、高速で移動するため、移動中継局2から送信された起動信号が地上に配置された端末局3によって受信された際には、ドップラー変動が生じうる。ここでいう起動信号とは、上空を移動する移動中継局2から地上へ向けて送信される、端末局3を起動させるためのダウンリンク信号である。また、ここでいうドップラー変動とは、ドップラーシフトを微分して得られるドップラーシフトの時変動である。起動信号にドップラー変動が生じると、ドップラー変動の許容範囲外となる位置に存在する端末局3が、起動信号を復調及び復号できない場合がある。ドップラー変動の許容範囲外となる位置に存在する端末局3とは、当該端末局3の位置から見て移動中継局2の位置が高仰角の位置となる位置関係であるときの端末局3である。
したがって、図1に示されるように、ドップラー変動の許容範囲外となる地上のエリアは、移動中継局2の真下の位置を中心とする範囲となる。図1には、端末局3が移動中継局2から送信された起動信号を受信可能なエリアであるエリアA1と、当該エリアA1のうちドップラー変動の許容範囲外となるエリアA2とが示されている。
例えば、図1では、端末局3-1が、エリアA1内、かつ、エリアA2の外側に位置している。よって、端末局3-1は、ドップラー変動を許容可能な範囲に位置し、移動中継局2から送信された起動信号を復調及び復号することができる。一方、図1では、端末局3-2が、エリアA2内に位置している。よって、端末局3-2は、ドップラー変動の許容範囲外に位置し、移動中継局2から送信された起動信号を復調及び復号できないことがある。
そこで、第1の実施形態における移動中継局2は、予め起動信号に対して、このようなドップラー変動を打ち消す(補償する)変動量の周波数変動を付与する。そして、移動中継局2は、周波数変動が付与された起動信号を、地上へ向けて送信する。付与される周波数変動の変動量は、端末局3の位置から見た移動中継局2の仰角等に基づいて算出される。移動中継局2は、発生するドップラー変動の変動量(以下、「ドップラー変動量」という。)を仰角等に基づいて算出し、算出されたドップラー変動量を打ち消す変動量の周波数変動を起動信号に付与する。
以下、一例として、端末局3が起動信号を復調及び復号可能となるためのドップラー変動の変動量の許容範囲が、-15~15[Hz/s]である場合について説明する。すなわち、移動中継局2から送信された起動信号に生じたドップラー変動の変動量が-15~15[Hz/s]の範囲内であるならば、端末局3が起動信号を復調及び復号できるものとする。
また、以下の説明において、このような、端末局3が起動信号を復調及び復号可能となるドップラー変動の変動幅(ここでは、15[Hz/s]の変動幅)を、「ドップラーシフト耐性」という。移動中継局2は、「最大ドップラー変動量-ドップラーシフト耐性」によって算出される変動量の周波数変動を起動信号に付与する。
例えば、移動中継局2の高度が570[km]で、400[MHz]帯の起動信号の場合、ドップラー変動量の変動幅が最大となる地点である移動中継局2の真下付近におけるドップラー変動量は、およそ134[Hz/s]となる。前述の通り、移動中継局2は、「最大ドップラー変動量-ドップラーシフト耐性」の周波数変動を起動信号に付与する。すなわち、この場合、移動中継局2は、119[Hz/s](=134-15)の周波数変動を起動信号に付与する。移動中継局2は、119[Hz/s]の周波数変動を起動信号に付与して送信することで、移動中継局2の真下及びその周辺に位置する端末局3が起動信号を復調及び復号可能になる。
図2は、移動中継局2が起動信号に周波数変動を付与しない場合における、仰角とドップラー変動量との関係を示す図である。なお、ここでいう仰角とは、前述の通り、端末局3の位置から見た移動中継局2の仰角である。
図2の上段に示されるグラフは、横軸が移動中継局2のx軸位置(単位:km)を表し、縦軸がドップラー変動量(単位:Hz/s)を表す。ここでいう移動中継局2のx軸位置とは、移動中継局2の周回軌道上の特定の位置の真下の地点(例えば端末局3が存在する地点)から、実際に移動中継局2が存在する位置の真下の地点までの距離を示す。図2の上段のグラフにおいて、移動中継局2のx軸位置が0[km]である場合とは、移動中継局2の位置が上記の特定の地点(例えば端末局3が存在する地点)の真上にある場合である。すなわち、この時の仰角は90[deg]となる。図2の上段のグラフに示されるように、移動中継局2のx軸位置が0[km]である場合、ドップラー変動量の変動幅は最大となり、およそ-134[Hz/s]となる。
また、図2の上段のグラフに示されるように、移動中継局2のx軸位置が-600[km]又は600[km]であっても、ドップラー変動量は-40[Hz/s]を下回っており、ドップラー耐性の範囲内(-15~15[Hz/s]以内)に納まっていない。そのため、移動中継局2の位置とは上記のような位置関係となる地点(すなわち、移動中継局2のx軸位置が-600[km]又は600[km]となる地点)においても、端末局3は起動信号を復調及び復号できない場合がある。すなわち、移動中継局2の位置が、端末局3の位置からさらに離れていなければ(すなわち、移動中継局2の位置がさらに低仰角の位置にあるときでなければ)、端末局3は起動信号を復調及び復号できない場合があることが分かる。
図2の下段に示されるグラフは、横軸が移動中継局2のx軸位置(単位:km)を表し、縦軸が仰角(単位:deg)を表す。図2の下段のグラフに示されるように、移動中継局2のx軸位置が0[km]である場合とは、移動中継局2の位置が上記の特定の地点の真上である場合であることから、仰角は90[deg]となる。
例えば、図2の上段のグラフと下段のグラフとを照らし合わせることで、端末局3の位置から移動中継局2を見たときの仰角がおよそ40[deg]程度であるときには、移動中継局2のx軸位置はおよそ-700[km]又は700[km]であることが分かる。よって、端末局3の位置から移動中継局2を見たときの仰角がおよそ40[deg]程度であったとしても、ドップラー変動量はドップラー耐性の範囲内(-15~15[Hz/s]以内)に納まっておらず、端末局3は、起動信号を復調及び復号できない場合があることが分かる。
図3は、移動中継局2が起動信号に対して「最大ドップラー変動量-ドップラーシフト耐性」の変動量の周波数変動を付与した場合における、仰角とドップラー変動量との関係を示す図である。すなわち、図3は、移動中継局2が起動信号に対して119[Hz/s](=134-15)の周波数変動を付与した場合における、仰角とドップラー変動量との関係を表している。なお、ここでいう仰角とは、前述の通り、端末局3の位置から見た移動中継局2の仰角である。
図3の上段に示されるグラフは、横軸が移動中継局2のx軸位置(単位:km)を表し、縦軸がドップラー変動量(単位:Hz/s)を表す。図3の上段のグラフに示されるように、移動中継局2のx軸位置が、およそ-200~200[km]の範囲内である場合、ドップラー変動量が-15~15[Hz/s]の範囲内に納まることが分かる。すなわち、移動中継局2のx軸位置がおよそ-200~200[km]の範囲内となる地点に存在する端末局3は、起動信号を復調及び復号できることが分かる。
また、このように、119[Hz/s]の変動量の周波数変動が付与された起動信号が用いられる場合、移動中継局2のx軸位置がおよそ-200~200[km]の範囲内となるような地上の範囲が、端末局3の起動可能エリアとなることが分かる。なお、図3の下段に示されるグラフは、図2の下段に示されるグラフと同一であり、移動中継局2のx軸位置と仰角との関係を示している。
さらに、移動中継局2は、異なる変動量の周波数変動を付与した起動信号を時分割送信する。例えば、移動中継局2は、上記の「最大ドップラー変動量-ドップラーシフト耐性」の変動量の周波数変動を付与した起動信号のほかに、「最大ドップラー変動量-ドップラーシフト耐性×3」の変動量の周波数変動を付与した起動信号、及び「最大ドップラー変動量-ドップラーシフト耐性×5」の変動量の周波数変動を付与した起動信号を生成し、時分割送信する。このように、移動中継局2は、最大ドップラー変動量からドップラーシフト耐性の奇数倍の値を差し引くことによって算出される変動量の周波数変動を付与した、複数種類の起動信号を所定の間隔で切り替えて送信する時分割送信を行う。
図4は、移動中継局2が起動信号に対して「最大ドップラー変動量-ドップラーシフト耐性×3」の変動量の周波数変動を付与した場合における、仰角とドップラー変動量との関係を示す図である。すなわち、図4は、移動中継局2が起動信号に対して89[Hz/s](=134-45)の周波数変動を付与した場合における、仰角とドップラー変動量との関係を表している。なお、ここでいう仰角とは、前述の通り、端末局3の位置から見た移動中継局2の仰角である。
図4の上段に示されるグラフは、横軸が移動中継局2のx軸位置(単位:km)を表し、縦軸がドップラー変動量(単位:Hz/s)を表す。図4の上段のグラフに示されるように、移動中継局2のx軸位置が、およそ-400~-200[km]の範囲内、及び、およそ200~400[km]の範囲内である場合、ドップラー変動量が-15~15[Hz/s]に納まることが分かる。すなわち、移動中継局2のx軸位置がおよそ-400~-200[km]の範囲内、及び、およそ200~400[km]の範囲内となる地点に存在する端末局3は、起動信号を復調及び復号できることが分かる。
また、このように、89[Hz/s]の変動量の周波数変動が付与された起動信号が用いられる場合、移動中継局2のx軸位置がおよそ-400~-200[km]の範囲内、及び、およそ200~400[km]の範囲内となるような地上の範囲が、端末局3の起動可能エリアとなることが分かる。なお、図4の下段に示されるグラフは、図2の下段及び図3の下段に示されるグラフと同一であり、移動中継局2のx軸位置と仰角との関係を示している。
図5は、移動中継局2が起動信号に対して「最大ドップラー変動量-ドップラーシフト耐性×5」の変動量の周波数変動を付与した場合における、仰角とドップラー変動量との関係を示す図である。すなわち、図5は、移動中継局2が起動信号に対して59[Hz/s](=134-75)の周波数変動を付与した場合における、仰角とドップラー変動量との関係を表している。なお、ここでいう仰角とは、前述の通り、端末局3の位置から見た移動中継局2の仰角である。
図5の上段に示されるグラフは、横軸が移動中継局2のx軸位置(単位:km)を表し、縦軸がドップラー変動量(単位:Hz/s)を表す。図5の上段のグラフに示されるように、移動中継局2のx軸位置が、およそ-600~-400[km]の範囲内、及び、およそ400~600[km]の範囲内である場合、ドップラー変動量が-15~15[Hz/s]に納まることが分かる。すなわち、移動中継局2のx軸位置がおよそ-600~-400[km]の範囲内、及び、およそ400~600[km]の範囲内となる地点に存在する端末局3は、起動信号を復調及び復号できることが分かる。
また、このように、59[Hz/s]の変動量の周波数変動が付与された起動信号が用いられる場合、移動中継局2のx軸位置がおよそ-600~-400[km]の範囲内、及び、およそ400~600[km]の範囲内となるような地上の範囲が、端末局3の起動可能エリアとなることが分かる。なお、図5の下段に示されるグラフは、図2の下段、図3の下段、及び図4の下段に示されるグラフと同一であり、移動中継局2のx軸位置と仰角との関係を示している。
以下、「最大ドップラー変動量-ドップラーシフト耐性」の周波数変動が付与された起動信号を「起動信号A」といい、「最大ドップラー変動量-ドップラーシフト耐性×3」の周波数変動が付与された起動信号を「起動信号B」といい、「最大ドップラー変動量-ドップラーシフト耐性×5」の周波数変動が付与された起動信号を「起動信号C」という。
このように、移動中継局2は、起動信号A、起動信号B、及び起動信号Cを所定の間隔で順に切り替えながら送信する時分割送信を行うことにより、これら3つの起動信号による起動可能エリアが組み合わされた範囲を、端末局3の起動可能エリアとすることができる。すなわち、移動中継局2は、移動中継局2のx軸位置がおよそ-600~600[km]の範囲内となるような地上の範囲を、端末局3の起動可能エリアとすることができる。
また、上記の例においては、起動信号Aによる端末局3の起動可能エリアと、起動信号Bによる端末局3の起動可能エリアと、起動信号Cによる端末局3の起動可能エリアとは、互いに重複することがない。但し、このような構成に限られるものではなく、各起動信号による端末局3の起動可能エリアを少しずつ互いに重複させる(マージンを持たせる)ように設定する構成であってもよい。
例えば、所定のマージンとなる値を決めておき、「最大ドップラー変動量-ドップラーシフト耐性」の周波数変動が付与された起動信号を起動信号Aとし、「最大ドップラー変動量-ドップラーシフト耐性×3-マージン×1」の周波数変動が付与された起動信号を起動信号Bとし、及び「最大ドップラー変動量-ドップラーシフト耐性×5-マージン×2」の周波数変動が付与された起動信号を起動信号Cとするようにしてもよい。また、用いられる起動信号の種類は3つに限られるものではなく、任意の個数の起動信号が用いられてもよい。このような構成とすることで、例えば移動中継局2の高速移動に起因して、起動信号が切り替えられたタイミングで起動可能エリア間に隙間が生じることを、防止することができる。
[無線通信システムの機能構成]
以下、無線通信システム1の機能構成について説明する。図6は、本発明の第1の実施形態における無線通信システム1の機能構成を示すブロック図である。図6に示されるように、無線通信システム1は、移動中継局2と、1以上の端末局3と、基地局4とを有する。
無線通信システム1が有する移動中継局2、端末局3及び基地局4それぞれの数は任意である。端末局3の数は多数であることが想定される。図6では、無線通信システム1が、2台の端末局3-1及び3-2を有している場合を示している。以下の説明では、端末局3-1及び3-2について特に区別しない場合には、単に端末局3と記載する。
移動中継局2は、移動体に搭載され、通信可能なエリアが時間の経過により移動する無線通信装置の一例である。移動中継局2は、データ収集エリアの上空に到達すると、地上の端末局3を起動させるための起動信号を送信する。移動中継局2は、起動信号を例えば数秒間隔で定期的に送信する。データ収集エリアは、端末局3が取得したデータを収集するためのエリアである。移動中継局2は、例えばデータ収集エリアの上空に到達したか否かを、移動中継局2の軌道情報と時刻情報とに基づいて判定する。
本実施形態の移動中継局2は、LEO(Low Earth Orbit)衛星に備えられる。LEO衛星の高度は2000[km]以下であり、地球の上空を1周約1.5時間程度で周回する。端末局3及び基地局4は、地上や海上など地球上に設置される。以下、端末局3から移動中継局2へ送信される無線信号を端末アップリンク信号と記載し、移動中継局2から端末局3及び基地局4に送信される信号をダウンリンク信号と記載する。
LEO衛星に搭載された移動中継局2は、高速で移動しながら通信を行うため、個々の端末局3や基地局4が移動中継局2と通信可能な時間が限られている。具体的には、地上で見ると、移動中継局2は、数分程度で上空を通り過ぎる。そこで、端末局3は、センサが検出した環境データ等のデータを収集し、記憶しておく。端末局3は、収集したデータが設定された端末アップリンク信号を、移動中継局2と通信可能なタイミングにおいて送信する。
移動中継局2は、地球の上空を移動しながら、複数の端末局3それぞれから送信された端末アップリンク信号を受信する。移動中継局2は、端末局3から端末アップリンク信号により受信したデータを蓄積し、蓄積しておいたデータを、基地局4との通信が可能なタイミングでダウンリンク信号により基地局4へ無線送信する。基地局4は、受信したダウンリンク信号から、端末局3が収集したデータを取得する。
移動中継局2は、端末局3との無線通信に使用するアンテナと、基地局4との無線通信に使用するアンテナとを有している。そのため、移動中継局2は、端末局3との無線通信、及び、基地局4との無線通信を並行して行うことも可能である。
移動中継局2として、静止衛星や、ドローン、HAPS(High Altitude Platform Station)などの無人航空機に搭載された中継局を用いることが考えられる。しかしながら、静止衛星に搭載された中継局の場合、地上のカバーエリア(フットプリント)は広いものの、高度が高いために、地上に設置されたIoT端末に対するリンクバジェットは非常に小さい。一方、ドローンやHAPSに搭載された中継局の場合、リンクバジェットは高いものの、カバーエリアが狭い。さらには、ドローンにはバッテリーが、HAPSには太陽光パネルが必要である。
本実施形態では、LEO衛星に移動中継局2を搭載する。よって、リンクバジェットは限界内に収まることに加え、LEO衛星は、大気圏外を周回するために空気抵抗がなく、燃料消費も少ない。また、LEO衛星に移動中継局2を搭載する場合、ドローンやHAPSに中継局を搭載する場合と比較して、フットプリントも大きい。
端末局3は、例えばセンサが検出した環境データ等のデータを収集する。端末局3は、移動中継局2から送信された起動信号に基づいて起動して、収集したデータを移動中継局2へ無線により送信する。例えば、端末局3は、移動中継局2から送信タイミングが指示されている場合には、指示された送信タイミングで、収集したデータを移動中継局2へ無線により送信する。端末局3は、通信装置の一態様である。
基地局4は、端末局3が収集したデータを移動中継局2から受信する。
端末局3及び基地局4は、地上や海上等の地球上の特定の位置に設置される。
以下、各装置の構成についてさらに詳しく説明する。まず、移動中継局2の構成について説明する。図6に示されるように、移動中継局2は、1本のアンテナ21と、端末通信部22と、記憶部23と、制御部24と、基地局通信部25と、1本のアンテナ26とを備える。なお、移動中継局2は、複数本のアンテナ21を備えてもよい。このように構成される場合、移動中継局2は、MIMO(multiple-input and multiple-output)による受信処理を行う。
端末通信部22は、送受信部221と、起動信号生成部223と、周波数変動付与部225と、周波数変換部227と、受信波形記録部228とを有する。
送受信部221は、アンテナ21により端末アップリンク信号を受信する。このように、送受信部221は、アンテナ21により1以上の端末局3との間で通信を行う。
周波数変換部227は、送受信部221が受信した端末アップリンク信号であるRF(Radio Frequency)信号を、直交復調器等を用いてベースバンド信号に変換する。周波数変換部227は、ベースバンド信号を受信波形記録部228に出力する。
受信波形記録部228は、周波数変換部227から出力されたベースバンド信号を取得する。受信波形記録部228は、ベースバンド信号をサンプリングし、サンプリングにより得られた波形データを記録する。受信波形記録部228は、波形データを記憶部23に受信データ232として記憶させる。
起動信号生成部223は、端末局3を起動させるための起動信号を生成する。なお、起動信号には、特定の端末局3を識別する情報及び端末アップリンク信号の送信タイミングを示す情報等が含まれていてもよい。
周波数変動付与部225は、変動付与制御部242による制御の下で、起動信号生成部223により生成された起動信号に周波数変動を付与する。
記憶部23は、少なくとも軌道情報231と、受信データ232と、付与テーブル233とを記憶する。軌道情報231は、移動中継局2を搭載しているLEO衛星の軌道に関する情報であり、例えば任意の時刻におけるLEO衛星の位置、速度、移動方向などを得ることが可能な情報である。受信データ232は、端末局3により収集されたデータであって、基地局4に送信すべきデータである。付与テーブル233は、周波数変動付与部225によって起動信号に付与される周波数変動の変動量の値が、複数種類の起動信号ごとに登録されたテーブルである。
図7は、本発明の第1の実施形態における付与テーブル233の一例を示す図である。付与テーブル233は、起動信号に付与される周波数変動の変動量に関する情報を表すレコードを複数有する。レコードは、起動信号種別及び付与変動量の各値を有する。
起動信号種別の値は、周波数変動付与部225によって所定の間隔で順に切り替えて送信される複数種類の起動信号を互いに識別するための識別情報を表す。付与変動量の値は、上記の複数種類の起動信号の各々に対してそれぞれ付与される、周波数変動の変動量の値である。例えば、付与変動量の値の単位は、Hz/sである。
図7に示す例では、例えば付与テーブル233の最上段には、起動信号種別“起動信号A”と付与変動量“119”とが対応付けられている。これは、起動信号Aが送信される期間においては、起動信号生成部223によって生成された記号信号に対して119[Hz/s]の変動量の周波数変動が、周波数変動付与部225により付与されることを示している。
制御部24は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサやメモリ等の記憶媒体を用いて構成される。制御部24は、プログラムを実行することによって、動作制御部241及び変動付与制御部242の機能を実現する。これらの機能部のうち一部または全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。これらの機能の一部は、予め移動中継局2に搭載されている必要はなく、追加のアプリケーションプログラムが移動中継局2にインストールされることで実現されてもよい。
動作制御部241は、軌道情報231及び時刻情報を参照し、移動中継局2を搭載しているLEO衛星が現在位置している場所が、データ収集エリア上空であるか否かを判定する。データ収集エリアである場合、動作制御部241は変動付与制御部242に対して周波数変動の変動量の値の取得を指示するとともに、端末通信部22に対して起動信号の送信を指示する。一方、データ収集エリアではない場合、動作制御部241は特に何もしない。
変動付与制御部242は、動作制御部241からの指示に応じて、起動信号に付与される周波数変動の変動量を示す情報を、記憶部23に記憶された付与テーブル233から取得する。変動付与制御部242は、取得された周波数変動の変動量が起動信号に対して付与されるように、周波数変動付与部225を制御する。変動付与制御部242は、周波数変動付与部225によって起動信号に付与される周波数変動の変動量を所定の間隔で切り替える。
基地局通信部25は、記憶部23に記憶されている受信データ232(波形データ)を基地局4への送信データとして記憶部23から読み出す。基地局通信部25は、送信データの符号化及び変調を行い、ダウンリンク信号を生成する。基地局通信部25は、基地局4との通信が可能なタイミングで、ダウンリンク信号をアンテナ26から送信する。
なお、本実施形態では、変動付与制御部242が、周波数変動付与部225によって起動信号に付与される周波数変動の変動量を所定の間隔で切り替える構成としたが、これに限られるものではない。例えば、起動信号生成部223によって生成された起動信号が複数の周波数変動付与部(不図示)に分配され、複数の周波数変動付与部の各々は互いに異なる変動量の周波数変動を起動信号に付与し、変動付与制御部242が、アクティブな状態にさせる1つの周波数変動付与部を所定の期間ごとに切り替えるような構成であってもよい。
次に、端末局3の構成について説明する。図6に示されるように、端末局3は、データ記憶部31と、送受信部32と、復調部33と、起動制御部34と、アンテナ35とを備える。なお、端末局3は、消費電力を抑制するため、移動中継局2からの起動信号を受信するまでは一部の機能を除きスリープ状態となっている。ここで、一部の機能とは、例えば図6に示されるデータ記憶部31、送受信部32、復調部33及び起動制御部34である。端末局3は、複数のアンテナ35を備えていてもよい。
データ記憶部31には、センサが検出した環境データが記憶される。送受信部32は、移動中継局2との間で通信を行う。例えば、送受信部32は、移動中継局2から送信されたダウンリンク信号を受信する。例えば、送受信部32は、データ記憶部31から環境データを端末送信データとして読み出す。送受信部32は、読み出した端末送信データを設定した端末アップリンク信号をアンテナ35から無線により送信する。
送受信部32は、例えば、LPWA(Low Power Wide Area)により信号を送受信する。LPWAには、LoRaWAN(登録商標)、Sigfox(登録商標)、LTE-M(Long Term Evolution for Machines)、NB(Narrow Band)-IoT等があるが、任意の無線通信方式を用いることができる。送受信部32は、他の端末局3と時分割多重、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)などにより送受信を行ってもよい。送受信部32は、使用する無線通信方式において予め決められた方法により、複数本のアンテナ35から送信する信号のビーム形成を行ってもよい。
復調部33は、送受信部32によって受信されたダウンリンク信号を復調及び復号する。移動中継局2と、端末局3との距離に応じて、ダウンリンク信号にはドップラー変動が生じている。
起動制御部34は、復調部33により復調及び復号されたダウンリンク信号に含まれる起動信号に応じて、端末局3スリープ状態から起動状態に移行させるように制御する。
次に、基地局4の構成について説明する。図6に示されるように、基地局4は、アンテナ41を備える。基地局4は、アンテナ41により受信したダウンリンク信号を、電気信号に変換した後に復調及び復号を行い、波形データを得る。基地局4は、波形データに含まれる端末アップリンク信号の受信処理を行う。このとき、基地局4は、端末局3が送信に使用した無線通信方式により受信処理を行って端末送信データを取得する。
なお、前述の通り本実施形態では、移動中継局2は、端末アップリンク信号であるRF信号をベースバンド信号に周波数変換し、ベースバンド信号をサンプリングして得られた波形データを記録して基地局4へ伝送する役割を担う構成であるものとした。よって、本実施形態では、移動中継局2では端末送信データを得るための受信処理は行われない構成であるものとした。
但し、このような構成に限られるものではなく、例えば、移動中継局2が、端末アップリンク信号をRF信号のままサンプリングして得られた波形データを基地局4へ伝送するようにしてもよい。そして、基地局4が、当該波形データを示すRF信号をベースバンド信号に周波数変換してから、受信処理を行うような構成であってもよい。
あるいは、例えば、移動中継局2が、端末アップリンク信号であるRF信号をベースバンド信号に周波数変換し、端末アップリンク信号の復調及び復号までの受信処理を行うようにしてもよい。そして、移動中継局2が、受信処理により得られた端末送信データを基地局4へ送信するようにしてもよい。
[移動中継局の動作]
以下、移動中継局2の動作の一例について説明する。図8は、本発明の第1の実施形態における移動中継局2が行う端末局3の起動処理の流れを示すフローチャートである。
動作制御部241は、移動中継局2の現在位置が、データ収集エリアの上空であると判定する(ステップS101)。動作制御部241は、変動付与制御部242に対して周波数変動の変動量の値の取得を指示するとともに、端末通信部22に対して起動信号の送信を指示する。変動付与制御部242は、動作制御部241からの指示に応じて、付与テーブル233を参照して、起動信号の種類(例えば、上記の起動信号A,起動信号B,及び起動信号C)ごとの周波数変動の変動量の値を取得する(ステップS102)。
起動信号生成部223は、動作制御部241からの指示に応じて起動信号を生成する(ステップS103)。起動信号生成部223は、生成した起動信号を周波数変動付与部225に出力する。変動付与制御部242は、付与テーブル233から取得した周波数変動の変動量が起動信号に対して付与されるように、周波数変動付与部225を制御する。周波数変動付与部225は、変動付与制御部242による制御の下で、起動信号生成部223により生成された起動信号に周波数変動を付与する(ステップS104)。
周波数変動付与部225は、周波数変動を付与した起動信号を送受信部221へ出力する。送受信部221は、周波数変動付与部225から出力された起動信号をダウンリンク信号としてアンテナ21を介して地上へ向けて送信する(ステップS105)。
変動付与制御部242は、所定の時間が経過した場合(ステップS106・YES)、起動信号に付与される周波数変動の変動量を変更するように周波数変動付与部225を制御する(ステップS107)。
動作制御部241は、移動中継局2の現在位置が、データ収集エリアの上空を過ぎたと判定した場合(ステップS108・YES)、移動中継局2が行う端末局3の起動処理を終了させる。すなわち、移動中継局2は、データ収集エリアの上空にいる間は、ステップS103からステップS108までの処理を繰り返し実行する。
[端末局の動作]
以下、端末局3の動作の一例について説明する。図9は、本発明の第1の実施形態における端末局3の起動処理の流れを示すフローチャートである。
図8のフローチャートのステップS105において移動中継局2から送信されたダウンリンク信号は、移動中継局2から送信された電波が届く範囲に位置する端末局3で受信される。端末局3の送受信部32は、移動中継局2から送信されたダウンリンク信号を受信する(ステップS110)。
端末局3の送受信部32は、受信したダウンリンク信号を復調部33に出力する。端末局3の復調部33は、ダウンリンク信号を復調及び復号する(ステップS111)。端末局3の起動制御部34は、復調部33により復調及び復号された起動信号に基づいて、端末局3をスリープ状態から起動状態へ移行させるように制御する(ステップS112)。
端末局3の送受信部32は、データ記憶部31に記憶されている環境データに基づく端末アップリンク信号を移動中継局2へ送信する(ステップS113)。これにより、移動中継局2は、各端末局3から送信された端末アップリンク信号を受信することができる。
以上のように構成された第1の実施形態における無線通信システム1によれば、移動中継局2が、起動信号に対してドップラー変動を打ち消す(補償する)周波数変動を予め付与し、周波数変動が付与された起動信号を地上へ向けて送信する。これにより、地上に設置された端末局3において受信された起動信号にドップラー変動が生じたとしても、起動信号に予め付与された周波数変動によって打ち消されるため、端末局3は起動信号を復調することができる。このように、無線通信システム1では、上空を移動する移動中継局2から送信された起動信号にドップラー変動が生じた場合であっても、地上に設置された端末局3を起動させることが可能になる。
さらに、第1の実施形態における無線通信システム1は、移動中継局2が、それぞれ異なる変動量の周波数変動が付与された複数種類の起動信号を、所定の間隔で切り替えながら順に地上へ向けて送信するため、より幅広い変動量のドップラー変動を打ち消す(補償する)ことができるため、端末局3の起動可能エリアをより広く確保することができる。
なお、第1の実施形態では、移動中継局2が、軌道情報231と時刻情報とに基づいて、移動中継局2がデータ収集エリアの上空にいるか否かを判定する構成を示した。但し、このような構成に限られるものでなく、例えば移動中継局2は、他の方法で、移動中継局2がデータ収集エリアの上空にいるか否かを判定するように構成されてもよい。具体的には、例えば移動中継局2は、端末局3からデータ収集を行う開始時刻と終了時刻とを基地局4からの上り通信で把握し、開始時刻から終了時刻までの間、データ収集エリアの上空にいると判定するようにしてもよい。
なお、第1の実施形態では、移動中継局2が搭載される移動体は、LEO衛星である場合について説明したが、当該移動体は、静止衛星、ドローンやHAPSなどの上空を飛行するその他の飛行体であってもよい。
<第1の実施形態の変形例>
以下、第1の実施形態の変形例について説明する。前述の第1の実施形態では、移動中継局2は、起動信号A、起動信号B、及び起動信号Cを所定の間隔で順に切り替えながら送信する時分割送信を行う構成であった。この場合、以下に説明するように、起動信号Aによる端末局3の起動可能エリアと起動信号Bによる端末局3の起動可能エリアとは互いに隣接し、また、起動信号Bによる端末局3の起動可能エリアと起動信号Cによる端末局3の起動可能エリアとは互いに隣接することになる。
図3の上段のグラフに示されるように、起動信号Aによる端末局3の起動可能エリアは、移動中継局2のx軸位置がおよそ-200~200[km]の範囲内となるような地上の範囲である。また、図4の上段のグラフに示されるように、起動信号Bによる端末局3の起動可能エリアは、移動中継局2のx軸位置が、およそ-400~-200[km]の範囲内、及び、およそ200~400[km]の範囲内となるような地上の範囲である。また、図5の上段のグラフに示されるように、起動信号Cによる端末局3の起動可能エリアは、移動中継局2のx軸位置が、およそ-600~-400[km]の範囲内、及び、およそ400~600[km]の範囲内となるような地上の範囲である。
図10は、前述の本発明の第1の実施形態における無線通信システム1よる起動信号の送信タイミングと起動可能エリアとの関係を説明するための模式図である。図10に示されるように、前述の第1の実施形態における無線通信システム1によれば、所定の間隔で起動信号に付与される周波数変動の変動量を切り替えるごとに、地上の隣り合うエリアが順に端末局3の起動可能エリアとなるように、起動可能エリアがシフトしていくことになる。
しかしながら、この場合、隣接するエリアの複数の端末局3が、端末アップリンク信号を同じタイミングで移動中継局2へ送信する機会が増大することが考えられる。図11は、前述の本発明の第1の実施形態における無線通信システム1による起動信号の送信タイミングと端末アップリンク信号の送信タイミングとの関係を説明するための模式図である。
図11において横軸は時間を表す。図11に示されるように、前述の第1の実施形態における移動中継局2は、所定の間隔で、起動信号A(図11の「起動A」)、起動信号B(図11の「起動B」)、及び起動信号C(図11の「起動C」)の順に切り替えながら、起動信号を地上へ向けて送信する。
この場合、例えば、起動信号Aによって起動した端末局3から送信される端末アップリンク信号(図11の「上りA」)と、起動信号Bによって起動した端末局3から送信される端末アップリンク信号(図11の「上りB」)と、起動信号Cによって起動した端末局3から送信される端末アップリンク信号(図11の「上りC」)とが、同じタイミングで送信されてしまう可能性がある。このように、互いに隣接するエリアに存在する複数の端末局3から同じタイミングで端末アップリンク信号が送信されると、端末アップリンク信号が互いに衝突し、移動中継局2が信号分離を行うことができない可能性がより高くなる。
これに対し、以下に説明する第1の実施形態の変形例における移動中継局2は、互いに隣接するエリアに存在する複数の端末局3から同じタイミングで端末アップリンク信号が送信されることがないように、各起動信号の送信タイミング及び送信順序を制御する。
図12は、本発明の第1の実施形態の変形例における無線通信システム1よる起動信号の送信タイミングと起動可能エリアとの関係を説明するための模式図である。第1の実施形態の変形例における無線通信システム1は、所定の間隔で起動信号に付与される周波数変動の変動量を切り替える場合、切り替え後の起動可能エリアが切り替え前の起動可能エリアと互いに隣接するエリアにならないように制御する。例えば、図12に示されるように、第1の実施形態の変形例における無線通信システム1は、起動信号A及び起動信号Cを送信するタイミングと、起動信号Bを送信するタイミングとは、互いに近いタイミングにならないように制御する。
図13は、本発明の第1の実施形態の変形例における無線通信システム1による起動信号の送信タイミングと端末アップリンク信号の送信タイミングとの関係を説明するための模式図である。図13において横軸は時間を表す。図13に示されるように、第1の実施形態の変形例における移動中継局2は、起動信号A(図13の「起動A」)を地上へ向けて送信した後、所定の期間経過後に続けて起動信号C(図13の「起動C」)を地上へ向けて送信する。
この場合、例えば、起動信号Aによって起動した端末局3から送信される端末アップリンク信号(図13の「上りA」)と、起動信号Cによって起動した端末局3から送信される端末アップリンク信号(図13の「上りC」)とが、同じタイミングで送信されてしまう可能性がある。このように、複数の端末局3から同じタイミングで端末アップリンク信号が送信されると、端末アップリンク信号が互いに衝突する可能性がある。
しかしながら、前述の通り、起動信号Aによる起動可能エリアと起動信号Cによる起動可能エリアとは隣接していない。このように、互いに隣接していないエリアに存在する複数の端末局3から同じタイミングで送信された端末アップリンク信号は、たとえ衝突を起こしたとしても、受信ビーム制御によって信号分離を行い易い。そのため、移動中継局2は、起動信号Aによって起動した端末局3から送信される端末アップリンク信号(図13の「上りA」)と、起動信号Cによって起動した端末局3から送信される端末アップリンク信号(図13の「上りC」)との双方を復調及び復号することが可能である。
そして、移動中継局2は、先に送信した起動信号による起動可能エリアと隣接する起動可能エリアとなる別の起動信号を、少し間を空けて送信する。例えば、移動中継局2は、図13に示されるように、起動信号A及び起動信号Cを地上へ向けて送信した後、少し間を空けて起動信号Bを地上へ向けて送信する。具体的には、例えば、移動中継局2は、起動信号Aと起動信号Cとを同じ下り送信期間内に送信し、起動信号Bを上記の下り送信期間とは別の下り送信期間に送信する。
以上のように構成された第1の実施形態の変形例における無線通信システム1によれば、移動中継局2が、起動信号に対してドップラー変動を打ち消す(補償する)周波数変動を付与し、周波数変動が付与された起動信号を地上へ向けて送信する。これにより、地上に設置された端末局3において受信された起動信号にドップラー変動が生じたとしても、起動信号に予め付与された周波数変動によって打ち消されるため、端末局3は起動信号を復調及び復号することができる。このように、無線通信システム1では、上空を移動する移動中継局2から送信された起動信号にドップラー変動が生じた場合であっても、地上に設置された端末局3を起動させることが可能になる。
さらに、第1の実施形態の変形例における無線通信システム1では、互いに隣接するエリアに存在する複数の端末局3から同じタイミングで端末アップリンク信号が送信されることがないように、各起動信号の送信タイミングが制御される。このような構成により、無線通信システム1は、複数の端末アップリンク信号が衝突することよって、端末アップリンク信号が復調及び復号できなくなることを抑制することができる。なお、前述の通り、互いに隣接していないエリアに存在する複数の端末局3から同じタイミングで送信された端末アップリンク信号がたとえ衝突を起こしたとしても、移動中継局2は、受信ビーム制御によって信号分離を行うことができるため、各々の端末アップリンク信号を復調及び復号可能である。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について説明する。前述の第1の実施形態は、主に起動信号の信号帯域幅が、例えば数十kHzなど、比較的広帯域である場合を想定した実施形態である。この場合、起動信号のドップラーシフトの影響は、端末局3側に一般的に具備される周波数オフセット補償機能によって補償可能である。そのため、前述の第1の実施形態では、ドップラー変動の影響のみが課題であり、ドップラーシフトの影響については考慮されていない。
しかしながら、起動信号の信号帯域幅が狭帯域になるほど、補償できるドップラーシフトの範囲も狭くなり、低軌道衛星の高速移動により生じるKHzオーダのドップラーシフトの影響は、端末局3側に一般的に具備される周波数オフセット補償機能だけでは補償できなくなる。そこで、以下に説明する第2の実施形態における無線通信システム1aは、ドップラー変動の影響を補償するだけでなく、さらにドップラーシフトの影響も補償する。すなわち、第2の実施形態における移動中継局2aは、想定されるドップラーシフトを打ち消すための周波数シフトも起動信号に予め付与してから、当該起動信号を端末局3へ送信する。
また、前述の第1の実施形態における無線通信システム1によれば、起動信号に付与される周波数変動の変動量によっては、例えば前述の図1,4,5に示されるように、移動中継局2の前方の地上の範囲と後方の地上の範囲とにそれぞれ起動可能エリアが形成される。
例えば、図4に示されるように、第1の実施形態の条件下では、移動中継局2が起動信号に対して「最大ドップラー変動量-ドップラーシフト耐性×3」の変動量の周波数変動を付与した場合、移動中継局2の前方200~400[km]の範囲及び移動中継局2の後方200~400[km]の範囲に起動可能エリアが形成される。また、例えば、図5に示されるように、第1の実施形態の条件下では、移動中継局2が起動信号に対して「最大ドップラー変動量-ドップラーシフト耐性×5」の変動量の周波数変動を付与した場合、移動中継局2の前方400~600[km]の範囲及び移動中継局2の後方400~600[km]の範囲に起動可能エリアが形成される。
しかしながら、移動中継局2の前方のエリアは、一般的に、これから移動中継局2が向かおうとしているエリアであり、当該エリアに存在する端末局3から積極的にデータ収集を行いたいエリアである。一方、移動中継局2の後方のエリアは、一般的に、時間とともに移動中継局2が離れていき、当該エリアに存在する端末局3と移動中継局2との間の通信の通信成功率が徐々に低下していくエリアであるため、当該エリアに存在する端末局3から積極的にデータ収集を行いたいエリアではない。このような、移動中継局2の後方の地上のエリアについては、当該エリアに存在する端末局3からのデータ収集を、後に到来する別の移動中継局2に任せたほうが、より高い通信成功率が期待できる。
なお、以下に説明する第2の実施形態における無線通信システム1aは、前述の通り、ドップラー変動の影響を補償することに加えて、さらにドップラーシフトの影響も補償する構成を備える。これにより、無線通信システム1aは、例えば第2の実施形態における移動中継局2aの前方のエリアに存在する端末局3のみを起動させる等の、端末局3の起動制御を行うようにすることも可能である。
具体的には、移動中継局2aの前方のエリアに存在する端末局3では、ドップラーシフトの影響により、起動信号の受信周波数がより高い方向にシフトする。移動中継局2aは、このようなドップラーシフトの影響を補償するため、起動信号の送信周波数をより低い方向に予めシフトさせる。なお、このとき移動中継局2aは、前述の第1の実施形態における移動中継局2が行う、ドップラー変動の影響を補償するための、起動信号に対する周波数変動の付与も併せて行う。
また、第2の実施形態における移動中継局2aの後方のエリアに存在する端末局3では、ドップラーシフトの影響により、起動信号の受信周波数がより低い方向にシフトする。そして、この際に移動中継局2aがドップラーシフトを打ち消すための周波数シフトを起動信号に付与しなければ、移動中継局2aの後方のエリアに存在する端末局3側ではドップラーシフトの影響を補償することができなくなる。
このような構成を有することで、第2の実施形態における無線通信システム1aは、移動中継局2aの前方の地上のエリアに存在する端末局3のみを起動させることが可能になる。なお、逆に、第2の実施形態における無線通信システム1aが、移動中継局2aの後方のエリアに存在する端末局3のみを起動させるような構成にすることももちろん可能である。
[無線通信システムの構成]
以下、第2の実施形態における無線通信システム1aの構成について更に詳しく説明する。図14は、本発明の第2の実施形態における無線通信システム1aの構成を説明するための模式図である。
第2の実施形態における無線通信システム1aでは、図14に示されるように、少なくとも、移動中継局2aと、1以上の端末局3とを有する。図14は、一例として、2台の端末局3-1及び端末局3-3が存在する場合を示している。
移動中継局2aは、高速で移動するため、移動中継局2aが送信した起動信号が各エリアに配置された端末局3で受信された際にはKHzオーダのドップラーシフトが生じる。図15は、端末局3に対する移動中継局2aの位置とドップラーシフトとの関係の一例を示す図である。起動信号にドップラーシフトが生じると、端末局3が起動信号を復調及び復号できない場合がある。
そこで、第2の実施形態における移動中継局2aは、起動信号を送信する際、周波数シフトを与えた起動信号を送信する。
周波数シフトのシフト量は、移動中継局2aの高度(より具体的には高度によって定まる移動中継局2aの移動速度)と、下り送信周波数と、移動中継局2aとエリアの位置とに基づいて事前に決定されているものとする。例えば、移動中継局2aの真下から移動中継局2aの前方に向かって300[km]付近のエリアの端末局3を起動させたい場合、移動中継局2aは、約-5[kHz]のシフト量の周波数シフトを起動信号に付与することでドップラーシフトの影響を打ち消すことができ、端末局3が起動信号を復調及び復号可能になる。
[無線通信システムの機能構成]
以下、無線通信システム1aの機能構成について説明する。図16は、本発明の第2の実施形態における無線通信システム1aの機能構成を示すブロック図である。なお、無線通信システム1aの機能構成において、図6に示される前述の第1の実施形態における無線通信システム1が備える機能部と同様の構成を有する機能部については同一の符号を付し、説明を省略することがある。
図6に示される前述の第1の実施形態における無線通信システム1が移動中継局2を有するのに対し、図16に示される第2の実施形態における無線通信システム1aは、移動中継局2の代わりに移動中継局2aを有する。また、図6に示される前述の第1の実施形態における移動中継局2が端末通信部22及び制御部24を有するのに対し、図16に示される第2の実施形態における移動中継局2aは、端末通信部22及び制御部24の代わりに端末通信部22a及び制御部24aを有する。
図16に示される第2の実施形態における端末通信部22aは、図6に示される前述の第1の実施形態における端末通信部22の機能構成に加えて、さらに周波数シフト付与部225aを有する。また、図16に示される第2の実施形態における制御部24aは、図6に示される前述の第1の実施形態における制御部24の機能構成に加えて、さらにシフト付与制御部242aを有する。
以下、移動中継局2aの構成について説明する。図16に示されるように、移動中継局2は、1本のアンテナ21と、端末通信部22aと、記憶部23と、制御部24aと、基地局通信部25と、1本のアンテナ26とを備える。なお、移動中継局2は、複数本のアンテナ21を備えてもよい。このように構成される場合、移動中継局2は、MIMOによる受信処理を行う。
端末通信部22aは、送受信部221と、起動信号生成部223と、周波数変動付与部225と、周波数シフト付与部225aと、周波数変換部227と、受信波形記録部228とを有する。
送受信部221は、アンテナ21により端末アップリンク信号を受信する。このように、送受信部221は、アンテナ21により1以上の端末局3との間で通信を行う。
周波数変換部227は、送受信部221が受信した端末アップリンク信号であるRF信号を、直交復調器等を用いてベースバンド信号に変換する。周波数変換部227は、ベースバンド信号を受信波形記録部228に出力する。
受信波形記録部228は、周波数変換部227から出力されたベースバンド信号を取得する。受信波形記録部228は、ベースバンド信号をサンプリングし、サンプリングにより得られた波形データを記録する。受信波形記録部228は、波形データを記憶部23に受信データ232として記憶させる。
起動信号生成部223は、端末局3を起動させるための起動信号を生成する。
周波数変動付与部225は、変動付与制御部242による制御の下で、起動信号生成部223により生成された起動信号に周波数変動を付与する。
周波数シフト付与部225aは、シフト付与制御部242aによる制御の下で、周波数変動付与部225によって周波数変動を付与された起動信号に対し、周波数シフトを付与する。
記憶部23は、少なくとも軌道情報231と、受信データ232と、付与テーブル233aとを記憶する。軌道情報231は、移動中継局2を搭載しているLEO衛星の軌道に関する情報であり、例えば任意の時刻におけるLEO衛星の位置、速度、移動方向などを得ることが可能な情報である。受信データ232は、端末局3により収集されたデータであって、基地局4に送信すべきデータである。付与テーブル233aは、周波数変動付与部225によって起動信号に付与される周波数変動の変動量の値と、は、周波数シフト付与部225aによって起動信号に付与される周波数シフトのシフト量の値とが、起動信号ごとに登録されたテーブルである。
付与テーブル233aに含まれる周波数シフトのシフト量の値は、前述の通り、移動中継局2aの高度(より具体的には、高度によって定まる移動中継局2aの移動速度)と、下り送信周波数と、移動中継局2aとエリアの位置とに基づいて、事前に決定された値である。
制御部24aは、CPU等のプロセッサやメモリを用いて構成される。制御部24aは、プログラムを実行することによって、動作制御部241、変動付与制御部242、及びシフト付与制御部242aの機能を実現する。これらの機能部のうち一部または全部は、ASICやPLD、FPGAなどのハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。これらの機能の一部は、予め移動中継局2aに搭載されている必要はなく、追加のアプリケーションプログラムが移動中継局2aにインストールされることで実現されてもよい。
動作制御部241は、軌道情報231及び時刻情報を参照し、移動中継局2aを搭載しているLEO衛星が現在位置している場所が、データ収集エリア上空であるか否かを判定する。データ収集エリアである場合、動作制御部241は、変動付与制御部242に対して周波数変動の変動量の値の取得を指示し、シフト付与制御部242aに対して周波数シフトのシフト量の値の取得を指示するとともに、端末通信部22aに対して起動信号の送信を指示する。一方、データ収集エリアではない場合、動作制御部241は特に何もしない。
変動付与制御部242は、動作制御部241からの指示に応じて、起動信号に付与される周波数変動の変動量の値を、記憶部23に記憶された付与テーブル233aから取得する。変動付与制御部242は、取得された周波数変動の変動量が起動信号に対して付与されるように、周波数変動付与部225を制御する。変動付与制御部242は、周波数変動付与部225によって起動信号に付与される周波数変動の変動量を所定の間隔で切り替える。
シフト付与制御部242aは、動作制御部241からの指示に応じて、起動信号に付与される周波数シフトのシフト量の値を、記憶部23に記憶された付与テーブル233aから取得する。シフト付与制御部242aは、取得された周波数シフトのシフト量が起動信号に対して付与されるように、周波数シフト付与部225aを制御する。シフト付与制御部242aは、周波数シフト付与部225aによって起動信号に付与される周波数シフトのシフト量を所定の間隔で切り替える。
[移動中継局の動作]
以下、移動中継局2aの動作の一例について説明する。図17は、本発明の第2の実施形態における移動中継局2aが行う端末局3の起動処理の流れを示すフローチャートである。
動作制御部241は、移動中継局2aの現在位置が、データ収集エリアの上空であると判定する(ステップS201)。動作制御部241は、変動付与制御部242に対して周波数変動の変動量の値の取得を指示し、シフト付与制御部242aに対して周波数シフトのシフト量の値の取得を指示するとともに、端末通信部22aに対して起動信号の送信を指示する。
変動付与制御部242は、動作制御部241からの指示に応じて、付与テーブル233aを参照して、起動信号の種類(例えば、起動信号A,起動信号B,及び起動信号C)ごとの周波数変動の変動量の値を取得する(ステップS202)。シフト付与制御部242aは、動作制御部241からの指示に応じて、付与テーブル233aを参照して、起動信号に付与する予め定められた周波数シフトのシフト量の値を取得する(ステップS203)。
起動信号生成部223は、動作制御部241からの指示に応じて起動信号を生成する(ステップS204)。起動信号生成部223は、生成した起動信号を周波数変動付与部225に出力する。
変動付与制御部242は、付与テーブル233から取得した変動量の周波数変動が起動信号に対して付与されるように、周波数変動付与部225を制御する。周波数変動付与部225は、変動付与制御部242による制御の下で、起動信号生成部223により生成された起動信号に周波数変動を付与する(ステップS205)。
シフト付与制御部242aは、記憶部23から取得したシフト量の周波数シフトが起動信号に対して付与されるように、周波数シフト付与部225aを制御する。周波数シフト付与部225aは、シフト付与制御部242aによる制御の下で、周波数変動付与部225によって周波数変動が付与された起動信号に対し、周波数シフトをさらに付与する(ステップS206)。
周波数シフト付与部225aは、周波数シフトを付与した起動信号を送受信部221へ出力する。送受信部221は、周波数シフト付与部225aから出力された起動信号をダウンリンク信号としてアンテナ21を介して地上へ向けて送信する(ステップS207)。
所定の時間が経過した場合(ステップS208・YES)、変動付与制御部242は、周波数変動付与部225によって起動信号に付与させる周波数変動の変動量を変更し、シフト付与制御部242aは、周波数シフト付与部225aによって起動信号に付与させる周波数シフトのシフト量を変更する(ステップS209)。
動作制御部241は、移動中継局2aの現在位置が、データ収集エリアの上空を過ぎたと判定した場合(ステップS210・YES)、移動中継局2aが行う端末局3の起動処理を終了させる。すなわち、移動中継局2aは、データ収集エリアの上空にいる間は、ステップS204からステップS210までの処理を繰り返し実行する。
なお、第2の実施形態における端末局3の動作は、図9に示される前述の第1の実施形態における端末局3の動作と同様であるため、説明を省略する。
以上のように構成された第2の実施形態における無線通信システム1aによれば、移動中継局2aが、起動信号に対してドップラーシフトを打ち消す(補償する)周波数シフトを予め付与し、周波数シフトが付与された起動信号を送信する。これにより、地上に設置された端末局3において受信された起動信号にドップラーシフトが生じたとしても、エリアに適したシフト量の周波数シフトが予め与えられているため、ドップラーシフトにより起動信号が強調される。そのため、端末局3において起動信号を復調及び復号することができる。その結果、端末局3を起動させることができる。このように、無線通信システム1aでは、上空を移動する移動中継局2aから送信された起動信号にドップラーシフトが生じた場合であっても、地上に設置された端末局3を起動させることが可能になる。
さらに、第2の実施形態における無線通信システム1aによれは、移動中継局2aが、起動信号に対してドップラー変動を打ち消す(補償する)周波数変動を予め付与し、周波数変動が付与された起動信号を地上へ向けて送信する。これにより、地上に設置された端末局3において受信された起動信号にドップラー変動が生じたとしても、起動信号に予め付与された周波数変動によって打ち消されるため、端末局3は起動信号を復調することができる。このように、無線通信システム1aでは、上空を移動する移動中継局2aから送信された起動信号にドップラー変動が生じた場合であっても、地上に設置された端末局3を起動させることが可能になる。
さらに、第2の実施形態における無線通信システム1aは、移動中継局2aが、それぞれ異なる変動量の周波数変動が付与された複数の起動信号を、所定の間隔で切り替えながら順に地上へ向けて送信するため、より幅広い変動量のドップラー変動を打ち消す(補償する)ことができるため、端末局3の起動可能エリアをより広く確保することができる。
なお、第2の実施形態では、移動中継局2aが、軌道情報231と時刻情報とに基づいて、移動中継局2aがデータ収集エリアの上空にいるか否かを判定する構成を示した。但し、このような構成に限られるものでなく、例えば移動中継局2aは、端末局3からデータ収集を行う開始時刻と終了時刻とを基地局4からの上り通信で把握し、開始時刻から終了時刻までの間、データ収集エリアの上空にいると判定するようにしてもよい。
なお、第2の実施形態では、移動中継局2aが搭載される移動体は、LEO衛星である場合を説明したが、当該移動体は、静止衛星、ドローンやHAPSなど上空を飛行する他の飛行体であってもよい。
なお、第2の実施形態における無線通信システム1aの構成に対し、前述の第1の実施形態の変形例として説明した無線通信システム1の構成を組み合わせることも可能である。
上述した実施形態によれば、無線通信システムは、地上に設置された1以上の通信装置と、移動する無線通信装置とを有する。例えば、無線通信システムは、実施形態における無線通信システム1又は無線通信システム1であり、通信装置は、実施形態における端末局3であり、無線通信装置は、実施形態における移動中継局2又は移動中継局2aである。
上記の無線通信装置は、起動信号生成部と、周波数変動付与部と、送信部とを備える。例えば、起動信号生成部は、実施形態における起動信号生成部223であり、周波数変動付与部は、実施形態における周波数変動付与部225であり、送信部は、実施形態における送受信部221である。
上記の起動信号生成部は、1以上の通信装置を起動するための起動信号を生成する。上記の周波数変動付与部は、起動信号生成部により生成された起動信号に対し、起動信号に生じるドップラーシフトの時変動を補償する周波数変動を付与する。上記の送信部は、周波数変動付与部により周波数変動が付与された起動信号を送信する。
上記の通信装置は、受信部と、起動制御部とを備える。例えば、受信部は、実施形態における送受信部32であり、起動制御部は、実施形態における起動制御部34である。上記の受信部は、無線通信装置から送信された起動信号を受信する。起動制御部は、受信部により受信された起動信号に応じて自装置を起動状態にする。
なお、上記の無線通信システムにおいて、起動信号に付与される周波数変動の変動量の少なくとも1つは、ドップラー変動の変動量の最大値から、通信装置が起動信号を復調及び復号するために許容可能な変動量の変動幅を示すドップラー耐性を差し引くことにより算出されるようにしてもよい。
なお、上記無線通信システムは、変動付与制御部をさらに備えていてもよい。例えば、変動付与制御部は、実施形態における変動付与制御部242である。上記の変動付与制御部は、周波数変動付与部により起動信号に付与される周波数変動の変動量を所定の間隔で変更させるようにしてもよい。
なお、上記の無線通信システムにおいて、所定の間隔で変更される周波数変動の変動量は、ドップラー変動の変動量の最大値から、ドップラー耐性の奇数倍の値を差し引くことにより算出されるようにしてもよい。
なお、上記の変動付与制御部は、付与される周波数変動の変動量が変更される直前の起動信号により通信装置の起動が可能となる地上のエリアと、付与される周波数変動の変動量が変更された直後の起動信号により通信装置の起動が可能となる地上のエリアとが互いに隣接したエリアにはならないように、周波数変動の変動量を変更させるようにしてもよい。
なお、上記の無線通信システムは、周波数シフト付与部をさらに備えていてもよい。例えば、無線通信システムは、実施形態における無線通信システム1aであり、周波数シフト付与部は、実施形態における周波数シフト付与部225aである。上記の周波数シフト付与部は、起動信号生成部により生成された起動信号に対し、起動信号に生じるドップラーシフトを補償する周波数シフトを付与するようにしてもよい。
上述した実施形態における移動中継局2及び移動中継局2aが行う一部又は全ての処理をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。