JP7722012B2 - マイクロ流路チップ及びマイクロ流路チップの製造方法 - Google Patents
マイクロ流路チップ及びマイクロ流路チップの製造方法Info
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Description
例えば、樹脂層が硬すぎると、樹脂層と蓋材との間に僅かな段差があった場合に、樹脂層の弾性変形による蓋材接触面への追従ができず、密着性が低下して隙間が生じる場合がある。一方、流路を形成する樹脂層が柔らかすぎると、樹脂層と蓋材との貼り合わせの際に流路に大きな変形が生じ、例えば流路の高さが変わることで樹脂層と蓋材との接合面の間に僅かに隙間が生じる場合がある。
このように、樹脂層と蓋材との間に隙間が生じる等の接合不良が発生すると、隙間から流体が漏れてしまうなどといった問題が生じる。またこのような接合不良は、製品の歩留まりを著しく低下させる要因となる。したがって、マイクロ流路チップにおいて、流路を形成する樹脂層と蓋材との接合性を向上すること、すなわち接合不良の発生を抑制することが求められている。
また、本開示の他の態様に係るマイクロ流路チップは、基板と、樹脂材料で構成され、前記基板上に設けられて流路を形成する隔壁層と、前記隔壁層の前記基板とは反対側の面に設けられたカバー層と、を備え、前記隔壁層の弾性率が2GPaより大きく10GPa以下となる範囲内である、ことを特徴とする。
また、本開示のさらに他の態様に係るマイクロ流路チップは、基板と、樹脂材料で構成され、前記基板上に設けられて流路を形成する隔壁層と、前記隔壁層の前記基板とは反対側の面に設けられたカバー層と、を備え、前記隔壁層の弾性率が1MPa以上2GPa以下の範囲内であり、前記隔壁層のビッカース硬さが2HV以上である、ことを特徴とする。
を含み、前記隔壁層の弾性率を1MPa以上10GPa以下の範囲内とする。
以下、図面を参照して本開示の各実施形態の各態様について説明する。
(1.1)マイクロ流路チップの基本構成
図1は、本開示の第一実施形態(以下、「本実施形態」という)に係るマイクロ流路チップ1の一構成例を説明するための概略図である。具体的には、図1(a)は本実施形態のマイクロ流路チップ1の平面概略図である。また、図1(b)は、図1(a)に示すA-A線でマイクロ流路チップ1を切断した断面を示す概略断面図である。
図1(a)では、透明性を有するカバー層12を介して視認される流路部3を図示している。
基板10は、マイクロ流路チップ1の基礎となる部材であり、基板10上に設けられた隔壁層11によって流路部3が構成される。つまり、基板10および隔壁層11は、マイクロ流路チップ1の本体部といえる。
基板10は、透光性材料又は非透光性材料のいずれかによって形成することができる。例えば、流路部3内の状態(流体の状態)を光によって検出、観察する場合は、該光に対して透明性に優れる材料を用いることができる。透光性材料としては、樹脂又はガラス等を用いることができる。基板10を形成する透光性材料に用いる樹脂としては、マイクロ流路チップ1の本体部の形成に適しているという観点から、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
隔壁層11は、基板上に設けられて、流路部3を形成する構成である。隔壁層11は、樹脂材料で形成することができる。隔壁層11の樹脂材料としては、例えば感光性樹脂を用いることができる。
なお本実施形態においては、隔壁層11の樹脂材料は感光性樹脂に限定されるものではなく、例えば、シリコーンゴム(PDMS:ポリジメチルシロキサン)や、合成樹脂を用いてもよい。合成樹脂としては、例えばポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリプロピレン(PP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)などを用いることができる。隔壁層11の樹脂材料は、用途に応じて適宜選択されることが望ましい。
また、基板10上における隔壁層11の厚み、すなわち流路部3の高さは特に限定されないが、流路部3に導入される流体に含まれる解析・検査対象の物質(例えば、薬剤、菌、細胞、赤血球、白血球等)よりは流路部3の高さを大きくする必要がある。このため、隔壁層11の厚み、すなわち流路部3の高さは、5μm以上100μm以下の範囲内が好ましい。
また同様に、解析・検査対象の物質よりは流路部3の幅を大きくする必要から、隔壁層11によって画定される流路部3の幅は、5μm以上100μm以下の範囲内が好ましい
一方、弾性率が1MPa未満の場合、隔壁層11が過度に柔らかくなり、マイクロ流路チップ1の製造過程での接合時などに、変形が生じ易くなる。この場合、流路部3の変形、閉塞が生じ得る。
さらに、マイクロ流路チップ1は、隔壁層11の弾性率を1MPa以上とすることにより、隔壁層11が過度に柔らかくなることを抑制できる。このため、例えばカバー層12との接合時に加わる外力等による隔壁層11の大幅な変形が抑制され、流路部3の変形、閉塞を抑制することができる。
このように、本実施形態に係るマイクロ流路チップ1において、隔壁層11の弾性率が1MPa以上10GPa以下の範囲内とすることにより、流路を形成する樹脂層である隔壁層11と蓋材であるカバー層12との接合不良の発生および隔壁層11で構成される流路部3の変形(閉塞を含む)を抑制することができる。
また、本実施形態に係るマイクロ流路チップ1において、弾性率が2GPaを超え且つ10GPa以下の範囲内とすると、隔壁層11と蓋材であるカバー層12との接合不良の発生および隔壁層11で構成される流路部3の変形(閉塞を含む)を抑制することができることに加え、隔壁層11やカバー層12の接合面のうねりや基板自体の反りなどのような大きな凹凸に追従できるため好ましい。
なお、マイクロ流路チップ1における隔壁層11の弾性率の制御及び測定に関しては後述する。
なお、マイクロ流路チップ1における隔壁層11のビッカース硬さの制御及び測定に関しては後述する。
本実施形態に係るマイクロ流路チップ1において、カバー層12は、図1(b)に示すように流路部3を覆う蓋材である。上述のように、カバー層12は、隔壁層11の基板10とは反対側の面に設けられており、隔壁層11を挟んで基板10と対向している。より具体的には、図1(b)に示すように、断面視においてカバー層12は側端部が隔壁層11に支持され、中央領域が基板10と対向しており、該中央領域が流路部3の上部を画定している
また、カバー層12の弾性率は、隔壁層11の弾性率より小さくてもよい。この場合、カバー層12は隔壁層11よりも柔らかくなるため、隔壁層11とカバー層12との接合面においてカバー層12の追従性が向上し、接合不良をさらに抑制することができる。また、カバー層12の弾性率が隔壁層11の弾性率よりも小さくなると、入力部2、出力部4のそれぞれに相当する孔を開け易くなるため、製造時の作業負荷を軽減することができる。
本実施形態に係るマイクロ流路チップ1において、カバー層12の弾性率は、隔壁層11の弾性率と同様に、1MPa以上10GPa以下の範囲内であればよい。
次に、本実施形態に係るマイクロ流路チップ1の製造方法について説明する。図2は、本実施形態に係るマイクロ流路チップ1の製造方法の一例を示すフローチャートである。
ここでは、隔壁層11を感光性樹脂で形成する場合を例にとって説明する。
本実施形態に係るマイクロ流路チップ1の製造方法では、まず基板10上へ樹脂を塗工する工程を行う。これにより、基板10上に隔壁層11を形成するための樹脂層を設ける。本実施形態に係るマイクロ流路チップ1の製造方法では、例えば基板10上に感光性樹脂による樹脂層(感光性樹脂層)を形成する。
また、基板10上には、樹脂層(例えば、感光性樹脂層)の厚み、すなわち隔壁層11の厚みが5μm以上100μm以下の範囲内となるように樹脂(例えば、感光性樹脂)を塗工すればよい。
基板10上に感光性樹脂を形成すると、次に、基板10上に塗工した樹脂(例えば、感光性樹脂)内に含まれる溶媒(溶剤)を除去する目的で加熱処理(プリベーク処理)する工程を行う。なお、本実施形態に係るマイクロ流路チップ1の製造方法において、プリベーク処理は必須の工程ではなく、適宜、樹脂の特性に合わせて最適な温度、時間で実施すればよい。例えば、基板10上の樹脂層が感光性樹脂である場合は、プリベーク温度、時間は感光性樹脂の特性に応じて、適宜、最適な条件で行う。
次に、基板10上に塗工した樹脂(例えば感光性樹脂)を露光する工程を行う。具体的には、基板10上に塗工した感光性樹脂には、露光により流路パターンが描画される。露光は、例えば、紫外線を光源とした露光装置、レーザー描画装置により行うことができる。中でも、紫外線を光源としたプロキシミティ露光やコンタクト露光装置を用いた露光が好ましい。プロキシミティ露光装置の場合、マイクロ流路チップ1における流路パターン配列を有するフォトマスクを介して露光が行われる。フォトマスクはクロム及び酸化クロムの二層構造を遮光膜とするフォトマスクなどを使用すればよい。
また上述のように、隔壁層11には、紫外光領域である190nm以上400nm以下の波長の光に対して感光性を有する感光性樹脂が用いられる。したがって、本工程(露光工程)では、基板10上に塗工される感光性樹脂を、190nm以上400nm以下の波長の光に感光させればよい。
次に、露光した感光性樹脂に対して現像を行い、流路パターンを形成する工程を行う。
現像は、例えば、スプレー、ディップ、パドル形式などの現像装置にて感光性樹脂と現像液の反応により行われる。現像液は、例えば炭酸ナトリウム水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化カリウム、有機溶剤などを用いることができる。現像液は感光性樹脂の特性に応じた最適なものを適宜使用すればよく、これらに限定されるものではない。また、濃度や現像処理時間は、感光性樹脂の特性に合わせて適宜最適な条件に調整することができる。
次に、洗浄により基板10上の樹脂層(感光性樹脂層)から現像に用いた現像液を完全に除去する工程を行う。洗浄は、例えば、スプレー、シャワー、浸漬形式などの洗浄装置によって行うことができる。洗浄水としては、例えば純水、イソプロピルアルコールなどから、現像処理に用いた現像液を除去するために最適な洗浄水を適宜使用すればよい。洗浄後はスピンドライヤ、IPAベーパドライヤ、自然乾燥などにより乾燥を行う。
次に、流路パターン、すなわち流路部3を形成する隔壁層11に対して加熱処理(ポストベーク)する工程を行う。このポストベーク処理により、現像や洗浄時の残留水分を除去する。ポストベーク処理は、例えば、ホットプレート、オーブン、などを用いて行われる。上記ステップS5の洗浄工程での乾燥が不十分な場合、現像液や洗浄時の水分が隔壁層11に残留している場合がある。また、プリベーク処理において除去されなかった溶剤も隔壁層11に残留している場合がある。ポストベーク処理を行うことで、それらを除去することができる。
ポストベーク処理後に、隔壁層11、及び隔壁層11との接合前のカバー層12(蓋材)に対して表面改質処理する工程を行う。表面改質処理の一例として、プラズマ処理を行う。なお、表面改質処理は、必要に応じて適宜実行すればよく、本実施形態に係るマイクロ流路チップ1の製造方法において必須の工程ではない。
次に、ポストベーク処理後の隔壁層11にカバー層12を接合する工程を行う。本工程では、図1(b)に示すように、隔壁層11の基板10とは反対側の面にカバー層12を接合する。これにより、流路部3がカバー層12に覆われ、図1(a)、図1(b)に示すマイクロ流路チップ1が形成される。
上記ステップS7において表面改質処理を行った基板同士を接合させる方法としては、例えば熱プレス機や熱ロール機を用いた熱圧着を用いることが好ましい。
カバー層12には、隔壁層11との接合前に、予め流体の入力部2、出力部4(図1(A)参照)に相当する孔をおくことが望ましい。これにより、隔壁層11との接合後に孔を開ける場合よりも、ゴミやコンタミネーションの問題が生じることを抑制することができる。
接着剤を用いて接合する場合、接着剤は隔壁層11およびカバー層12を構成する材料との親和性などに基づいて決定することができる。接着剤は、隔壁層11とカバー層12とを接合できるものであれば、特に限定されない。例えば、本実施形態における接着剤としては、アクリル樹脂系接着剤や、ウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤等を用いることができる。
本実施形態では、上述の製造方法によってマイクロ流路チップ1を製造する際に、隔壁層11の弾性率を1MPa以上10GPa以下の範囲内となり、さらに隔壁層11のビッカース硬さが2HV以上となる。
本実施形態において、隔壁層11の弾性率及びビッカース硬さは、マイクロ流路チップ1の製造方法におけるポストベーク処理(上記ステップS6)によって制御することができる。具体的には、隔壁層11の弾性率及びビッカース硬さは、ポストベーク処理時の温度、時間によって制御される。ポストベーク処理の本来の目的は、前述のように、現像液や洗浄時の水分(場合によっては基板10に塗布した樹脂の溶剤)を除去させるものであるが、このとき、水分の除去に伴って隔壁層11の硬化が進行する。この硬化の進行の制御により、隔壁層11の弾性率及びビッカース硬さを制御することができる。
ポストベーク処理の実施時における温度が高すぎる、または、ポストベーク処理の時間が長すぎる場合、必要以上に隔壁層11の硬化が進んでしまい、弾性率及びビッカース硬さが過度に上昇し得る。このため、弾性率及びビッカース硬さを制御する際の最適な温度は、隔壁層11を形成する樹脂材料のガラス転移温度よりも、30℃から50℃低い温度で実施することが好適である。また、ポストベーク処理の処理時間としては、30分以内、より好ましくは10分以内で実施するのがよい。また、ポストベーク処理の処理時間は、5分以上であることが好ましい。
このように、ポストベーク処理の実施時における温度および処理時間を制御することにより、隔壁層11の弾性率を1MPa以上10GPa以下の範囲内に制御することができる。さらに、隔壁層のビッカース硬さを2HV以上になるように制御することができる。
また、本実施形態において、隔壁層11の弾性率及びビッカース硬さは、マイクロ流路チップ1の製造時において基板10上の樹脂を露光する工程における紫外線露光の露光量によっても制御することができる。マイクロ流路チップ1の製造時における上述の露光工程(例えば上記ステップS3)は、本来、隔壁層11によって画定される流路部3(流路パターン)を形成する目的で行うものであるが、例えばラジカル重合型のネガ型感光性樹脂においては、露光時に感光領域の硬化が進行する。この硬化の進行の制御により、隔壁層11の弾性率及びビッカース硬さを制御することができる。
また、第二の露光ステップは、第一の露光ステップに続いて(上記ステップS3の処理として)現像前の流路パターンに対して行ってもよいし、ポストベーク処理(上記ステップS6)の前に、現像後の流路パターンに対して行ってもよい。
また、第一の露光ステップおよび第二の露光ステップには、例えばプロキシミティ露光装置を用いることができる。また、第二の露光ステップにおいても、流路パターンを上記ステップS3と同様の波長(190nm以上400nm以下の波長)の光に感光させればよい。
また、隔壁層11の弾性率は、樹脂材料によっても変化する。例えば、隔壁層11をシリコーンゴム(PDMS)で形成した場合、弾性率は10MPa程度となり、ビッカース硬さは0.1HV程度となる。また、隔壁層11を感光性樹脂で形成した場合、弾性率は2GPa以上10GPa以下の範囲内となり、ビッカース硬さは40HV程度となる。
具体的には、上述のようにマイクロ流路チップ1の製造時において、弾性率及びビッカース硬さを制御することで、基板10と、樹脂材料で構成され、基板10上に設けられて流路部3を形成する隔壁層11と、隔壁層11の基板10とは反対側の面に設けられたカバー層12と、を備え、隔壁層11の弾性率が1MPa以上10GPa以下の範囲内であるマイクロ流路チップ1を得ることができる。これにより、流路を形成する樹脂層と蓋材との接合不良の発生および流路の変形を抑制することができるマイクロ流路チップを提供することができる。
隔壁層11およびカバー層12の弾性率及びビッカース硬さの測定には、マイクロインデンテーション試験機を用いることが好ましい。マイクロインデンテーション試験機では、試料に対して準静的な押しこみ試験を行い、試料の機械特性を取得することができる。また、マイクロインデンテーション試験機では、試料に対する最大荷重印加時の押込み深さや、その曲線を解析することで硬度・弾性率、塑性変形と弾性変形との仕事率等の情報を求めることができ、これらの情報を解析可能である。
例えば、隔壁層11の試料に対し、マイクロインデンテーション試験機にて、対面角136°の四角錐圧子を使用して、押し込み荷重2mNで押しこみ試験を行い、隔壁層11の弾性率及びビッカース硬さを測定する。測定結果における除荷時の曲線の傾きから弾性変形域の硬さである弾性率が算出される。また圧子の押し込み量から圧痕を推定し、塑性変形域の硬さであるビッカース硬さが算出される。カバー層12についても、同様にして弾性率及びビッカース硬さを測定することができる。
以上のようなマイクロ流路チップ1は、以下の効果を有する。
(1)本実施形態に係るマイクロ流路チップ1は、基板10と、樹脂材料で構成され、基板10上に設けられて流路部3を形成する隔壁層11と、隔壁層11の基板10とは反対側の面に設けられたカバー層12と、を備え、隔壁層11の弾性率が1MPa以上10GPa以下の範囲内である。
これにより、流路部3を形成する樹脂層である隔壁層11と蓋材であるカバー層12との接合不良の発生および流路部3の変形を抑制することができる。
(2)また、本実施形態に係るマイクロ流路チップ1は、基板10と、樹脂材料で構成され、基板10上に設けられて流路部3を形成する隔壁層11と、隔壁層11の基板10とは反対側の面に設けられたカバー層12と、を備え、隔壁層11の弾性率が2GPaより大きく10GPa以下となる範囲内であってもよい。
これにより、流路部3を形成する樹脂層である隔壁層11と蓋材であるカバー層12との接合不良の発生および流路部3の変形を抑制することができる。
(3)また、本実施形態に係るマイクロ流路チップ1は、基板10と、樹脂材料で構成され、基板10上に設けられて流路部3を形成する隔壁層11と、隔壁層11の基板10とは反対側の面に設けられたカバー層12と、を備え、隔壁層11の弾性率が1MPa以上2GPa以下の範囲内であり、隔壁層11のビッカース硬さが2HV以上であってもよい。
これにより、流路部3を形成する樹脂層である隔壁層11と蓋材であるカバー層12との接合不良の発生および流路部3の変形を抑制することができる。
(5)また、本実施形態に係るマイクロ流路チップ1において、カバー層12の弾性率は、隔壁層11よりも大きくてもよい。
これにより、カバー層12は隔壁層11よりも機械的強度が向上され、隔壁層11との接合時に加わる外力への耐久性が向上することとなる。
(6)また、本実施形態に係るマイクロ流路チップ1において、カバー層の弾性率は、前記隔壁層よりも小さくてもよい。
これにより、カバー層12は隔壁層11よりも柔らかくなるため、隔壁層11とカバー層12との接合面においてカバー層12の追従性が向上し、接合不良をさらに抑制することができる。
これにより、フォトリソグラフィーによって基板10上に流路部3を構成する隔壁層11を形成することができる。
これにより、流路部3を形成する樹脂層である隔壁層11と蓋材であるカバー層12との接合不良の発生および流路部3の変形を抑制することができるマイクロ流路チップを提供することができる。
(9)また、本実施形態に係るマイクロ流路チップ1の製造方法において、隔壁層11のビッカース硬さを2HV以上とする。
これにより、隔壁層11に塑性変形が生じにくく、流路部3の変形や閉塞をより確実に抑制することができるマイクロ流路チップを提供することができる。
(10)また、本実施形態に係るマイクロ流路チップ1の製造方法において、隔壁層11の弾性率及びビッカース硬さは、ポストベーク処理によって制御される。
これにより、フォトリソグラフィーによって弾性率及びビッカース硬さを制御することができる。
(11)また、本実施形態に係るマイクロ流路チップ1の製造方法において、隔壁層11の弾性率およびビッカース硬さは、樹脂を露光する工程における紫外線の露光量よって制御される。
これにより、フォトリソグラフィーによって弾性率及びビッカース硬さを制御することができる。
(12)また、本実施形態に係るマイクロ流路チップ1の製造方法では、樹脂を露光する工程において、感光性樹脂を、紫外光領域である190nm以上400nm以下の波長の光に感光させる。
これにより、フォトリソグラフィーによって基板10上に流路部3を構成する隔壁層11を形成することができる。
以下、本開示の第二実施形態に係るマイクロ流路チップについて、図3を用いて説明する。図3は、本開示の第二実施形態に係るマイクロ流路チップ102の一構成例を説明するための断面図である。
マイクロ流路チップ102は、基板20と、基板20上に配置された密着層24と、基板20上に流路部23を形成する隔壁層21と、カバー層22と、を備えている。すなわち、マイクロ流路チップ102は、基板と隔壁層との間に密着層24を備える点で、第一実施形態に係るマイクロ流路チップ1と相違する。
以下、本開示の第三実施形態に係るマイクロ流路チップについて、図4を用いて説明する。図4は、本開示の第三実施形態に係るマイクロ流路チップ103の一構成例を説明するための断面図である。
マイクロ流路チップ103は、基板30と、基板30上に流路部33を形成する隔壁層31と、カバー層32と、隔壁層31とカバー層32との間に設けられた密着層34とを備えている。すなわち、マイクロ流路チップ103は、密着層34を備える点で、第一実施形態に係るマイクロ流路チップ1と相違する。
以下、本開示に係るマイクロ流路チップについて、具体的な実施例を用いて説明する
なお、本開示は、下記の実施例に限定されるものではない。
まず、ガラス基板上へ透明体の感光性樹脂を塗工して、感光性樹脂層を形成した。感光性樹脂にPDMSを使用した。感光性樹脂は、スピンコーターにて回転数1100rpm、30秒でガラス基板上に塗工した。膜厚は50μmになるように回転数、時間を調整した。次に、ホットプレート上にて感光性樹脂内に含まれる残留溶媒を除去する目的で加熱処理(プリベーク)を行った。プリベークは、温度90℃で20分実施した。
続いて、超純水によるシャワー洗浄を行い、基板上の感光性樹脂層から現像液を除去し、スピンドライヤにて乾燥を行った。
ポストベーク後に、隔壁層に対し弾性率及びビッカース硬さの測定を行った。測定には、マイクロインデンテーション試験機(HM2000)を用いた。具体的には、対面角136°の四角錐圧子を使用して、押し込み荷重2mNで弾性率及びビッカース硬さを測定した。測定結果曲線の除荷時の傾きから弾性変形域の硬さである弾性率を測定し、圧子の押し込み量から圧痕を推定し、塑性変形域の硬さであるビッカース硬さを測定した。弾性率の測定結果は、0.001GPa(1MPa)であった。またビッカース硬さの測定結果は、0.008HVであった。
ガラス基板上へ塗工する感光性樹脂としてウレタンアクリレート系樹脂を用いた。またプロキシミティ露光装置による第二の露光ステップにおける露光量を100mJ/cm2とした。それ以外は、実施例1と同様にして、本実施例によるマイクロ流路チップを得た。
また本実施例によるマイクロ流路チップにおいて、ポストベーク後に実施例1と同様にして弾性率及びビッカース硬さを測定した。本実施例において、弾性率の測定結果は、0.25GPaであった。またビッカース硬さの測定結果は、2HVであった。
ガラス基板上へ塗工する感光性樹脂として上記実施例2と同様のウレタンアクリレート系樹脂を用いた。またプロキシミティ露光装置による第二の露光ステップにおける露光量を170mJ/cm2とし、ポストベーク温度を120℃とした。それ以外は、実施例1と同様にして、本実施例によるマイクロ流路チップを得た。
また本実施例によるマイクロ流路チップにおいて、ポストベーク後に実施例1と同様にして弾性率及びビッカース硬さを測定した。本実施例において、弾性率の測定結果は、0.7GPaであった。またビッカース硬さの測定結果は、0.8HVであった。
ガラス基板上へ塗工する感光性樹脂としてアクリル系樹脂を用いた。またポストベーク温度を150℃とした。それ以外は、実施例1と同様にして、本実施例によるマイクロ流路チップを得た。
本実施例において、弾性率の測定結果は、1.5GPaであった。またビッカース硬さの測定結果は、1.3HVであった。
(実施例5)
ガラス基板上へ塗工する感光性樹脂として上記実施例4と同様のアクリル系樹脂を用いた。またプロキシミティ露光装置による第二の露光ステップにおける露光量を130mJ/cm2とし、ポストベーク温度を120℃とした。それ以外は、実施例1と同様にして、本実施例によるマイクロ流路チップを得た。
本実施例において、弾性率の測定結果は、2.5GPaであった。またビッカース硬さの測定結果は、20HVであった。
ガラス基板上へ塗工する感光性樹脂として上記実施例4と同様のアクリル系樹脂を用いた。またプロキシミティ露光装置による第二の露光ステップにおける露光量を170mJ/cm2とし、ポストベーク温度を150℃とした。それ以外は、実施例1と同様にして、本実施例によるマイクロ流路チップを得た。
本実施例において、弾性率の測定結果は、5GPaであった。またビッカース硬さの測定結果は、40HVであった。
(実施例7)
ガラス基板上へ塗工する感光性樹脂として上記実施例4と同様のアクリル系樹脂を用いた。またプロキシミティ露光装置による第二の露光ステップにおける露光量を170mJ/cm2とし、ポストベーク温度を150℃とした。それ以外は、実施例1と同様にして、本実施例によるマイクロ流路チップを得た。
本実施例において、弾性率の測定結果は、5.1GPaであった。またビッカース硬さの測定結果は、42HVであった。
ガラス基板上へ塗工する感光性樹脂としてエポキシ系樹脂によるネガ型液体樹脂(ネガ型の液体レジスト)を用いた。またプロキシミティ露光装置による第二の露光ステップにおける露光量を500mJ/cm2とし、ポストベーク温度を250℃とした。それ以外は、実施例1と同様にして、本実施例によるマイクロ流路チップを得た。
本実施例において、弾性率の測定結果は、10GPaであった。またビッカース硬さの測定結果は、80HVであった。
ポストベーク温度を300℃とした以外は、上記実施例8と同様にして、本比較例によるマイクロ流路チップを得た。
本比較例において、弾性率の測定結果は、11.7GPaであった。またビッカース硬さの測定結果は、20.8HVであった。
(比較例2)
プロキシミティ露光装置による第二の露光ステップにおける露光量を600mJ/cm2とした以外は、比較例1と同様にしてマイクロ流路チップを得た。
本比較例において、弾性率の測定結果は、14.2GPaであった。またビッカース硬さの測定結果は、30.4HVであった。
(接合状態試験)
実施例1~8及び比較例1、2のマイクロ流路チップに対し、着色した反応溶液10μLの量をピペットにて採取し、流路の入口ポートより導入し、その送液の様子を顕微鏡にて観察した。
観察結果に基づいて、以下の基準により「〇」、「×」の2段階でマイクロ流路チップの隔壁層とカバー層との接合状態を評価した。
<評価基準>
〇:隔壁層とカバー層との接合箇所において流路内からの液漏れが観察されなかった
×:隔壁層とカバー層との接合箇所において流路内からの液漏れが観察された
実施例1~8及び比較例1、2のマイクロ流路チップに対して、以下のビーズ通過試験を行った。
着色した反応溶液100質量部に対して直径40μmのマイクロビーズを30質量部添加し、撹拌した。10個以上のマイクロビーズを含むように当該反応溶液10μLをピペットにて採取し、採取した反応溶液を顕微鏡によって観察して当該溶液内のマイクロビーズの個数を計測した。その後、ピペット内の反応溶液をマイクロ流路チップにおける入力ポートから流路内に導入して出力ポートまで送液した。出力ポートにおいて反応溶液を回収して顕微鏡で観察し、当該反応溶液中のマイクロビーズの個数を再度計測した。
上記の再計測結果に基づいて、以下の基準により「〇」、「△」、「×」の3段階でマイクロ流路チップにおけるビーズの通過状態(流路の変形による滞留の程度)を評価した
<評価基準>
〇:出力部で回収された溶液内のマイクロビーズの個数が送液前の計測時の90%以上
△:出力部で回収された溶液内のマイクロビーズの個数が送液前の計測時の70%以上
×:出力部で回収された溶液内のマイクロビーズの個数が送液前の計測時の70%未満
具体的には、実施例1から8のマイクロ流路チップのように、隔壁層の弾性率が1MPa以上10GPa以下の範囲内であることにより、流路を形成する樹脂層と蓋材との接合不良の発生および流路の変形を抑制することができることが分かった。また、隔壁層の弾性率が2GPaより大きく10GPa以下となる範囲内である場合も同様に、流路を形成する樹脂層と蓋材との接合不良の発生および流路の変形を抑制することができることが分かった。さらに、実施例2のマイクロ流路チップのように、弾性率が1MPa以上2GPa以下の範囲内であり、ビッカース硬さが2HV以上である場合も同様に、流路を形成する樹脂層と蓋材との接合不良の発生および流路の変形を抑制することができることが分かった。
2 入力部
3、23、33 流路部
4 出力部
10、20、30 基板
11、21、31 隔壁層
12、22、32 カバー層
24、34 密着層
Claims (12)
- 基板と、
樹脂材料で構成され、前記基板上に設けられて流路を形成する隔壁層と、
前記隔壁層の前記基板とは反対側の面に設けられたカバー層と、を備え、
前記隔壁層の弾性率が2GPaより大きく10GPa以下となる範囲内であり、
前記隔壁層が含む樹脂材料が1種類のみである、
ことを特徴とするマイクロ流路チップ。 - 基板と、
樹脂材料で構成され、前記基板上に設けられて流路を形成する隔壁層と、
前記隔壁層の前記基板とは反対側の面に設けられたカバー層と、を備え、
前記隔壁層の弾性率が1MPa以上2GPa以下の範囲内であり、
前記隔壁層のビッカース硬さが2HV以上であり、
前記隔壁層が含む樹脂材料が1種類のみである、
ことを特徴とするマイクロ流路チップ。 - 前記隔壁層が含む樹脂材料は、ポリジメチルシロキサン、ウレタンアクリレート系樹脂、アクリル系樹脂及びエポキシ系樹脂のうちいずれか1種類のみである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロ流路チップ。 - 前記隔壁層のビッカース硬さが2HV以上である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロ流路チップ。 - 前記カバー層の弾性率は、前記隔壁層よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のマイクロ流路チップ。 - 前記カバー層の弾性率は、前記隔壁層よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のマイクロ流路チップ。 - 前記隔壁層を形成する樹脂材料は、紫外光領域である190nm以上400nm以下の波長の光に対して感光性を有する感光性樹脂である、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のマイクロ流路チップ。 - 基板上に、樹脂を塗工する工程と、
塗工した前記樹脂を露光する工程と、
露光した前記樹脂を現像及び洗浄し、前記基板上において流路を画定する隔壁層を形成する工程と、
前記隔壁層をポストベーク処理する工程と、
前記隔壁層の前記基板とは反対側の面にカバー層を接合する工程と、
を含み、
前記隔壁層の弾性率を2GPaより大きく10GPa以下の範囲内とし、
前記隔壁層が含む樹脂材料が1種類のみである、
ことを特徴とするマイクロ流路チップの製造方法。 - 前記隔壁層のビッカース硬さを2HV以上とする、
請求項8記載のマイクロ流路チップの製造方法。 - 前記隔壁層の前記弾性率及びビッカース硬さは、前記ポストベーク処理によって制御されることを特徴とする、
請求項9記載のマイクロ流路チップの製造方法。 - 前記隔壁層の前記弾性率および前記ビッカース硬さは、前記樹脂を露光する工程における紫外線の露光量よって制御されることを特徴とする、
請求項9または請求項10に記載のマイクロ流路チップの製造方法。 - 前記樹脂を露光する工程において、感光性樹脂を、紫外光領域である190nm以上400nm以下の波長の光に感光させる、
ことを特徴とする請求項8から11のいずれか1項に記載のマイクロ流路チップの製造方法。
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