以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<光学積層体>
(1)概要
図1に示されているとおり、本実施形態の光学積層体1は、直線偏光板2と、位相子4と、粘着剤層5とをこの順に備える円偏光板である。用語「円偏光板」は、楕円偏光板を含む。光学積層体1は、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置等の画像表示装置における反射防止膜等として用いることができる。直線偏光板2と位相子4とは、直線偏光板-位相子間粘接着剤層3により積層されている。
直線偏光板2は、第1保護フィルム21、偏光子22、第2保護フィルム23をこの順に備えている。第1保護フィルム21と偏光子22との間、及び、偏光子22と第2保護フィルム23との間は、直線偏光板内粘接着剤層(図示していない。)により積層されている。なお、直線偏光板内粘接着層は任意であり、第1保護フィルム21と偏光子22、及び、偏光子22と第2保護フィルム23とは直接接していてもよい。
以下、各構成要素について詳細に説明する。
(2)偏光子
偏光子22は、無偏光の光を入射させたとき、吸収軸に直交する振動面をもつ直線偏光を透過させる性質を有する光学フィルム(直線偏光子)である。偏光子22は、具体的には、二色性色素が吸着配向しているポリビニルアルコール系樹脂フィルム(以下、「PVA系フィルム」ともいう。)である。
PVA系フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」ともいう。)は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより製造できる。ポリ酢酸ビニル系樹脂は、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体との共重合体であることもできる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルのいずれでもよいことを意味する。(メタ)アクリレート等の「(メタ)」も同様の意味である。
PVA系樹脂のケン化度は、通常85~100モル%程度であり、好ましくは98モル%以上である。PVA系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタール等も使用可能である。PVA系樹脂の平均重合度は、通常1000~10000程度であり、好ましくは1500~5000程度である。PVA系樹脂の平均重合度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。平均重合度が1000未満では好ましい偏光性能を得ることが困難であり、10000超ではフィルム加工性に劣ることがある。
偏光子は、通常、PVA系フィルムを一軸延伸する工程、PVA系フィルムを二色性色素で染色することにより二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたPVA系フィルムをホウ酸水溶液で処理して架橋させる工程、及びホウ酸水溶液による架橋処理後に水洗する工程(以下、ホウ酸処理ともいう。)を経て、製造される。
PVA系フィルムの一軸延伸は、二色性色素による染色の前、染色と同時、又は染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。もちろん、ここに示した複数の段階で一軸延伸を行うこともできる。一軸延伸には、周速の異なるロール間でフィルム運搬方向に一軸に延伸する方法や、熱ロールを用いてフィルム運搬方向に一軸に延伸する方法、テンターを使用して幅方向に延伸する方法などが採用できる。また一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸により行ってもよいし、水等の溶媒を用い、PVA系フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸により行ってもよい。延伸倍率は、通常3~8倍程度である。
PVA系フィルムの二色性色素による染色は、例えば、二色性色素を含有する水溶液にPVA系フィルムを浸漬する方法により行うことができる。二色性色素として、具体的にはヨウ素や二色性有機染料が用いられる。なお、PVA系フィルムは、染色処理の前に水に浸漬して膨潤させる処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、PVA系フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100質量部あたり、通常0.01~1質量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は、水100質量部あたり、通常0.5~20質量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常20~40℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20~1,800秒間程度である。
一方、二色性色素として二色性有機染料を用いる場合は、通常、水溶性の二色性有機染料を含む水溶液に、PVA系フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性有機染料の含有量は、水100質量部あたり、通常0.0001~10質量部程度であり、好ましくは0.001~1質量部である。この染料水溶液は、硫酸ナトリウムのような無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色に用いる二色性有機染料水溶液の温度は、通常20~80℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常10~1,800秒間程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたPVA系フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬する方法により、行うことができる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の含有量は、水100質量部あたり、通常2~15質量部程度であり、好ましくは5~12質量部である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量は、水100質量部あたり、通常0.1~15質量部程度であり、好ましくは5~12質量部である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常60~1,200秒間程度であり、好ましくは150~600秒間、さらに好ましくは200~400秒間である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50~85℃、さらに好ましくは60~80℃である。
ホウ酸処理後のPVA系フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたPVA系フィルムを水に浸漬する方法により、行うことができる。水洗処理における水の温度は、通常5~40℃程度である。また浸漬時間は、通常1~120秒間程度である。
水洗後は乾燥処理が施されて、偏光子が得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行うことができる。乾燥処理の温度は、通常30~100℃程度であり、好ましくは50~80℃である。乾燥処理の時間は、通常60~600秒間程度であり、好ましくは120~600秒間である。乾燥処理により、偏光子中の水分率は実用程度にまで低減される。その水分率は、偏光子の総質量に対して通常5~20質量%程度であり、好ましくは8~15質量%である。水分率が5質量%以上であると、偏光子は十分な可撓性を有するため、乾燥後に損傷したり、破断したりすることを抑制することができる。また水分率が20質量%以下であると、偏光子は、十分な熱安定性を有する。
以上のようにして、PVA系フィルムに二色性色素が吸着配向した偏光子を製造することができる。
偏光子の視感度補正偏光度Pyは、通常95%以上であり、好ましくは97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは98.7%以上、なおさらに好ましくは99.0%以上、特に好ましくは99.4%以上であり、99.9%以上であってもよい。偏光子の視感度補正偏光度Pyは、99.99%以下であってもよい。視感度補正偏光度Pyは、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製の「V7100」)を用いて、得られた偏光度に対して「JIS Z 8701」の2度視野(C光源)により視感度補正を行うことで算出することができる。
偏光子の視感度補正偏光度Pyを高くすることは、光学積層体の反射防止膜としての機能及び光学積層体の耐久性を高めるうえで有利である。偏光子の視感度補正偏光度Pyが95%未満であると、反射防止膜としての機能を果たせないことがある。
偏光子の厚みは、15μm以下であり、好ましくは13μm以下であり、より好ましくは10μm以下である。偏光子の厚みが該範囲内であると、光学積層体の薄型化に有利であり、また、位相差変化量をより効果的に抑制することができる。偏光子の厚みは、通常2μm以上であり、3μm以上であることが好ましく、例えば5μm以上であってよい。
(3)第1保護フィルム
第1保護フィルム21は、偏光子22の表面を保護する機能を有する。第1保護フィルム21は、偏光子22の表面に直接接して積層されてもよいし、直線偏光板内粘接着剤層を介して積層されてもよい。第1保護フィルム21は、偏光子22との密着性を向上させるため、表面処理(例えば、コロナ処理等)が施されていてもよく、プライマー層(易接着層ともいう)等の薄層が形成されていてもよい。
第1保護フィルムの厚みT1は、通常60μm以下、耐久環境下での偏光板全体のカール抑制の観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下であり、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上である。
第1保護フィルムとしては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性、延伸性等に優れる樹脂フィルムを用いることができる。樹脂フィルムは熱可塑性樹脂フィルムであってもよい。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、
トリアセチルセルロース等のセルロースエステル系樹脂;
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;
ポリエーテルスルホン系樹脂;
ポリスルホン系樹脂;
ポリカーボネート系樹脂;
ナイロンや芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂;
ポリイミド系樹脂;
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等の鎖状ポリオレフィン系樹脂;
シクロ系及びノルボルネン構造を有する環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂ともいう);
ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系樹脂;
ポリアリレート系樹脂;
ポリスチレン系樹脂;
ポリビニルアルコール系樹脂、
並びにこれらの混合物を挙げることができる。
上記熱可塑性樹脂からなる保護フィルムは市場から入手されてもよい。
鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂(エチレンの単独重合体であるポリエチレン樹脂や、エチレンを主体とする共重合体)、ポリプロピレン樹脂(プロピレンの単独重合体であるポリプロピレン樹脂や、プロピレンを主体とする共重合体)のような鎖状オレフィンの単独重合体の他、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げることができる。
環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1-240517号公報、特開平3-14882号公報、特開平3-122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレンのような鎖状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及びこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びにそれらの水素化物である。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマーのようなノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
ポリエステル系樹脂は、主鎖にエステル結合を有する樹脂であり、多価カルボン酸又はその誘導体と多価アルコールとの重縮合体が一般的である。多価カルボン酸又はその誘導体としては2価のジカルボン酸又はその誘導体を用いることができ、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチルなどが挙げられる。多価アルコールとしては2価のジオールを用いることができ、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。ポリエステル系樹脂の代表例として、テレフタル酸とエチレングリコールの重縮合体であるポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸とのエステルである。セルロースエステル系樹脂の具体例は、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートを含む。また、これらのセルロースエステル系樹脂を構成する重合単位を複数種有する共重合物や、水酸基の一部が他の置換基で修飾されたものも挙げられる。これらの中でも、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース)が特に好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主な構成モノマーとする樹脂である。(メタ)アクリル系樹脂の具体例は、例えば、ポリメタクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸共重合体;メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体;メタクリル酸メチル-アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸メチル-スチレン共重合体(MS樹脂等);メタクリル酸メチルと脂環族炭化水素基を有する化合物との共重合体(例えば、メタクリル酸メチル-メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)を含む。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸C1-C6アルキルエステルを主成分とする重合体が用いられ、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50~100質量%、好ましくは70~100質量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介してモノマー単位が結合された重合体からなる。ポリカーボネート系樹脂は、ポリマー骨格を修飾したような変性ポリカーボネートと呼ばれる樹脂や、共重合ポリカーボネート等であってもよい。
第1保護フィルムは、上記熱可塑性樹脂を含むフィルムを延伸したものであってもよい。延伸処理としては、一軸延伸や二軸延伸等が挙げられる。延伸方向としては、未延伸フィルムの機械流れ方向(MD)、これに直交する方向(TD)、機械流れ方向(MD)に斜交する方向等が挙げられる。二軸延伸は、2つの延伸方向に同時に延伸する同時二軸延伸でもよく、所定方向に延伸した後で他の方向に延伸する逐次二軸延伸であってもよい。延伸処理は、例えば出口側の周速を大きくした2対以上のニップロールを用いて、長手方向(機械流れ方向:MD)に延伸したり、未延伸フィルムの両側端をチャックで把持して機械流れ方向に直交する方向(TD)に広げたりすることで行うことができる。この際、フィルムの厚みを調整したり、延伸倍率を調整したりすることによって、位相差値及び波長分散値を制御することが可能である。また、樹脂に波長分散調整剤を添加したりすることによって、波長分散値を制御することが可能である。
第1保護フィルムは、目的に応じて任意の適切な添加剤を含有し得る。添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系などの酸化防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、熱安定剤などの安定剤;ガラス繊維、炭素繊維などの補強材;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモンなどの難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤などの帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;可塑剤;滑剤;位相差低減剤などが挙げられる。含有される添加剤の種類、組み合わせ、含有量などは、目的や所望の特性に応じて適切に設定され得る。
また、所望の表面光学特性又はその他の特徴を付与するために、第1保護フィルムの外面にコーティング層(表面処理層)を設けることができる。表面処理層の具体例は、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層、防汚層を含む。表面処理層を形成する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。表面処理層は、第1保護フィルムの一方の面に形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。
ハードコート層は、第1保護フィルムの表面硬度を高める機能を有し、表面の擦り傷防止等の目的で設けられる。ハードコート層は、JIS K 5600-5-4:1999「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に規定される鉛筆硬度試験(ハードコート層を有する保護フィルムをガラス板の上に置いて測定する)で測定される鉛筆硬度がH又はそれより硬い値であることが好ましい。
ハードコート層を形成する材料は、一般に、熱や光によって硬化するものである。例えば、有機シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、(メタ)アクリル系、ウレタン(メタ)アクリレート系のような有機ハードコート材料、二酸化ケイ素のような無機ハードコート材料を挙げることができる。これらの中でも、保護フィルムに対する密着性が良好であり、生産性に優れることから、ウレタン(メタ)アクリレート系又は多官能(メタ)アクリレート系ハードコート材料が好ましく用いられる。
ハードコート層は、所望により、屈折率の調整、曲げ弾性率の向上、体積収縮率の安定化、さらには耐熱性、帯電防止性、防眩性等の向上を図る目的で、各種フィラーを含有することができる。またハードコート層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、レベリング剤、消泡剤のような添加剤を含有することもできる。
ハードコート層は、強度をより向上させるために、添加剤を含んでいてもよい。添加剤は限定されることはなく、無機系微粒子、有機系微粒子、又はこれらの混合物が挙げられる。また、ハードコート層の厚みは、硬さを持たせるためには厚い方が良いが、厚すぎるとカット時に割れやすくなるため、1μm~20μmであってもよく、2μm~10μmであってもよい。ハードコート層の厚みは、3μm~7μmとすることが好ましい。
防眩層は、表面に微細な凹凸形状を有する層であり、好ましくは、上述したハードコート材料を用いて形成される。
表面に微細な凹凸形状を有する防眩層は、1)保護フィルム上に微粒子を含有する塗膜を形成し、その微粒子に基づく凹凸を設ける方法、2)微粒子を含有するか、又は含有しない塗膜を保護フィルム上に形成した後、表面に凹凸形状が付与された金型(ロール等)に押し当てて凹凸形状を転写する方法(エンボス法とも呼ばれる)等によって形成することができる。
反射防止層は、保護フィルムを観察する者にとって、保護フィルム表面の外光反射を弱めるための層であり、通常は、可視光に対する反射率が1.5%以下となる。このような反射率の反射防止層は典型的には、高い屈折率を有する高屈折率層と、低い屈折率を有する低屈折率層とを積層する事や、特開2021-6929号公報に記載の方法や材料を用いる事によってなる。これらの屈折率と各層の厚みを調整することで各層からの反射光が互いに弱め合うようにすることができ、優れた反射防止機能が奏される。
高屈折率層と低屈折率層とからなる反射防止層は、後に詳細を述べるとおり、高屈折率層及び低屈折率層のそれぞれを形成し得る塗布型組成物を用いて反射防止層を製造すると、操作が極めて簡便であるため好ましい。ここで、高屈折率層及び低屈折率層のそれぞれを形成し得る塗布型組成物の一例を挙げておく。かかる塗布型組成物は液状のものであり、適切な硬化性樹脂と、必要に応じて添加剤とを含む。高屈折率層を形成し得る塗布型組成物(高屈折率層形成用組成物)は、例えば、ウレタンアクリレートのような硬化性樹脂と、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、ベンジルジメチルケタール系、α-ヒドロキシアルキルフェノン系、α-アミノアルキルフェノン系やチオキサントン系といった光重合のための開始剤(光重合開始剤)とを、メチルエチルケトンやメチルイソブチルケトンといった溶剤に溶解してなる。塗布性をより良好とするために、レベリング剤、好ましくはフッ素系レベリング剤を含ませてもよい。また、低屈折率層を形成し得る塗布型組成物(低屈折率層形成用組成物)としては、硬化性樹脂として、ポリエチレングリコールジアクリレートやペンタエリストール(トリ/テトラ)アクリレートのようなバインダー樹脂に、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、ベンジルジメチルケタール系、α-ヒドロキシアルキルフェノン系、α-アミノアルキルフェノン系やチオキサントン系といった光重合のための開始剤(光重合開始剤)を、1-メトキシ-2-プロピルアセテートやメチルイソブチルといった溶剤に溶解してなる溶液にシリカ粒子を分散させてなる。塗布性をより良好とするために、フッ素系レベリング剤を含ませてもよい。なお、ここで挙げた高屈折率層及び低屈折率層のそれぞれを形成し得る塗布型組成物はあくまで一例であり、形成しようとする反射防止層の特性に応じて、高屈折率層形成用組成物及び低屈折率層形成用組成物をそれぞれ最適化することが好ましい。
反射防止層は、例えば低屈折率層を備えるものであることができる。また、保護フィルムと低屈折率層との間に、高屈折率層及び/又は中屈折率層をさらに備える多層構造であってもよい。
低屈折率層は、上述の硬化性樹脂の硬化物や金属アルコキシド系ポリマー等の透光性樹脂及び無機粒子を含有する塗工液を塗工した後、塗工層を必要に応じて硬化させる方法によって形成することができる。無機粒子としては、たとえば、LiF(屈折率1.4)、MgF(屈折率1.4)、3NaF・AlF(屈折率1.4)、AlF(屈折率1.4)、Na3AlF6(屈折率1.33)などの低屈折粒子や、中空シリカ粒子などが挙げられる。
帯電防止層は、第1保護フィルムの表面に導電性を付与し、静電気による影響を抑制する等の目的で設けられる。帯電防止層の形成には、例えば、導電性物質(帯電防止剤)を含有する樹脂組成物を第1保護フィルム上に塗布する方法が採用できる。例えば、上述したハードコート層の形成に用いるハードコート材料に帯電防止剤を共存させておくことにより、帯電防止性のハードコート層を形成することができる。
防汚層は、撥水性、撥油性、耐汗性、防汚性等を付与するために設けられる。防汚層を形成するための好適な材料は、フッ素含有有機化合物である。フッ素含有有機化合物としては、フルオロカーボン、パーフルオロシラン、これらの高分子化合物等を挙げることができる。防汚層の形成方法は、形成する材料に応じて、蒸着やスパッタリングを代表例とする物理的気相成長法、化学的気相成長法、湿式コーティング法等を用いることができる。防汚層の平均厚みは、通常1~50nm程度、好ましくは3~35nmである。
光学積層体が画像表示装置に適用される際、偏光子22中のヨウ素等の二色性色素の拡散が、画像表示装置において光学積層体の近傍に存在する金属部材(電極等)の腐食をもたらすことがある。これは、上記拡散によってヨウ素等の二色性色素が金属部材へ移行することに起因する。金属部材の腐食を抑制するために、二色性色素の金属部材へ移行量を抑制することが好ましい。
第1保護フィルムの透湿度は100g/(m2・day)以上であることが好ましい。この透湿度は、100g/(m2・day)以上2000g/(m2・day)以下であることが好ましく、200g/(m2・day)以上1000g/(m2・day)以下であることがより好ましく、300g/(m2・day)以上500g/(m2・day)以下であることが更に好ましい。偏光子に含まれているヨウ素が光学積層体1の層間を移動するとき、第1保護フィルム21の透湿度が低すぎる場合はヨウ素の移動が抑制されすぎて反対方向(位相子側)への移動に偏る傾向がある。また、第1保護フィルム21の透湿度が高すぎると偏光子が湿熱劣化しやすくなる傾向がある。したがって、ヨウ素が第1保護フィルム21側へ移動した場合に、ヨウ素が第1保護フィルム21を通過して光学積層体1の外へ拡散するように、第1保護フィルムの透湿度は適度に高いことが好ましい。
(4)第2保護フィルム
第2保護フィルム23は、偏光子22の表面を保護する機能を有する。第2保護フィルム23は、偏光子22の表面に直接接して積層されてもよいし、直線偏光板内粘接着剤層を介して積層されてもよい。第2保護フィルム23は、偏光子22との密着性を向上させるため、表面処理(例えば、コロナ処理等)が施されていてもよく、プライマー層(易接着層ともいう)等の薄層が形成されていてもよい。
第2保護フィルム23の透湿度は、1200g/(m2・day)以下である。この透湿度は、0.1g/(m2・day)以上800g/(m2・day)以下であることが好ましく、0.5g/(m2・day)以上500g/(m2・day)以下であることがより好ましく、1g/(m2・day)以上100g/(m2・day)以下であることが更に好ましく、10g/(m2・day)以上50g/(m2・day)以下であることが特に好ましい。第2保護フィルム23の透湿度がこの範囲内であると、ヨウ素が位相子側へ移行するのを十分に抑制することができる。また、第2保護フィルム23の透湿度が10g/(m2・day)以上であると、後述するΔαの観点からも好ましい。なお、第2保護フィルム23の透湿度は、[実施例]の項の記載に従って測定することができる。
第2保護フィルムの厚みT2は、例えば0.1~60μm、好ましくは0.2~30μmである。第2保護フィルムの厚みT2が適度な薄さを有していることが本実施形態にとって有利である。つまり、後述する粘着剤層に含まれている帯電防止剤が光学積層体1の層間を移動するとき、第2保護フィルム23の厚みが大きすぎる場合は帯電防止剤の移動が抑制されすぎて反対方向(画像表示パネル側)への移動に偏る傾向がある。したがって、金属部材の腐食を抑制する観点からは、第2保護フィルムの厚みT2は、好ましくは1~10μmであり、より好ましくは2~8μmであり、更に好ましくは3~5μmである。
第2保護フィルムとしては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性、延伸性等に優れる樹脂フィルムを用いることができる。樹脂フィルムは熱可塑性樹脂フィルムであってもよい。このような熱可塑性樹脂の具体例は、第1保護フィルムについて記載したものと同様である。熱可塑性樹脂からなる保護フィルムは市場から入手されてもよい。
第2保護フィルムとして用いられる熱可塑性樹脂フィルム及び後述する熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂は、好ましくは、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂であり、より好ましくは、環状ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂であり、さらに好ましくは環状ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂であり、なおさらに好ましくは環状ポリオレフィン系樹脂である。
第2保護フィルムとして用いられる熱可塑性樹脂フィルムは、単体で存在するフィルムであってよく、この場合、該熱可塑性樹脂フィルムは、必要に応じて直線偏光板内粘接着剤層を介して偏光子22上に積層される。あるいは、第2保護フィルムは、熱可塑性樹脂層であってもよい。例えば、熱可塑性樹脂を含む組成物を支持基材上に塗布し、必要に応じて乾燥させて得られる支持基材付き熱可塑性樹脂層を、必要に応じて直線偏光板内粘接着剤層を介して偏光子22に貼合し、その後、支持基材を剥離除去することによって、偏光子22上に第2保護フィルムとしての熱可塑性樹脂層を積層することができる(第1の方法)。
第2保護フィルムが熱可塑性樹脂層である場合、上記組成物を直接、偏光子22の表面に塗布し、必要に応じて乾燥させることによって熱可塑性樹脂層を形成することも可能である(第2の方法)。ただし、組成物が溶剤を含有する場合、溶剤含有量が十分に低減された熱可塑性樹脂層を安定して形成しやすいことから、第1の方法の方が好ましい。
第2保護フィルムは、硬化型樹脂の硬化物を含む硬化樹脂層であってもよい。硬化型樹脂としては、熱硬化型樹脂、活性エネルギー硬化型樹脂が挙げられ、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、オキセタン系樹脂、ウレタン系樹脂、(メタ)アクリルウレタン系樹脂、メラミン系樹脂等が挙げられる。硬化型樹脂の硬化物を含む硬化樹脂層は、硬化型樹脂を含む組成物を支持基材上に塗布し、必要に応じて乾燥させた後、熱を加えるか又は可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線、電子線等の活性エネルギー線を照射することにより形成することができる。得られる支持基材付き硬化樹脂層を、必要に応じて直線偏光板内粘接着剤層を介して偏光子22に貼合し、その後、支持基材を剥離除去することによって、偏光子22上に第2保護フィルムとしての硬化樹脂層を積層することができる。
第2保護フィルムは、透湿性の観点から、又は、位相差特性の変化量を抑制する観点から、好ましくは、環状ポリオレフィン系樹脂からなる熱可塑性樹脂フィルム又は熱可塑性樹脂層、(メタ)アクリル系樹脂からなる熱可塑性樹脂フィルム又は熱可塑性樹脂層、(メタ)アクリル系樹脂の硬化物を含む硬化樹脂層、ポリスチレン系樹脂からなる熱可塑性樹脂フィルム又は熱可塑性樹脂層である。偏光子22中の二色性色素が上記金属部材へ移行することを抑制することをさらに考慮すると、第2保護フィルムは、より好ましくは、環状ポリオレフィン系樹脂からなる熱可塑性樹脂フィルム又は熱可塑性樹脂層、ポリスチレン系樹脂からなる熱可塑性樹脂フィルム又は熱可塑性樹脂層である。
第2保護フィルムは、目的に応じて任意の適切な添加剤を含有し得る。添加剤の具体例は、第1保護フィルムについて記載したものと同様である。
第2保護フィルムは、位相差特性を有しないか、位相差値が小さいフィルムであることが好ましい。具体的には、第2保護フィルムの波長550nmにおける面内位相差値は、10nm以下であることが好ましい。該面内位相差値は0nm以上である。また、第2保護フィルムの波長550nmにおける厚み方向の位相差値は、-10nm~+10nmであることが好ましい。
(5)位相子
位相子4は、面内又は厚み方向に位相差を示す光学素子であり、好ましくは位相差膜を含む。位相差膜は、面内又は厚み方向に位相差を示す膜であって、重合性液晶化合物の重合体からなる層(硬化物層)であるか、又は、該層と配向膜との組み合わせである。位相差膜は、例えば、重合性液晶化合物を含む位相差膜形成用組成物の硬化物層を含む。
位相子4が位相差膜を含む場合、二色性色素が上記金属部材へ移行し、金属部材の上記腐食が生じやすくなるが、本発明によれば、位相子4が位相差膜を含む場合であっても上記腐食を効果的に抑制し得る。また、位相子4が位相差膜を含むと、光学積層体の薄型化に有利であり、位相子4が位相差膜を含むことは、波長分散特性を任意に設計できる点で好ましい。
本実施形態の光学積層体1における位相子4は、二種類の位相差膜(以下「位相差層」ともいう。)を有してなっている。すなわち、第1位相差層41と、第2位相差層43とが位相子内粘接着剤層42により積層されてなっている。なお、本明細書にいて、位相子4が備える位相差膜のうち、直線偏光板2に近い順で「第1位相差層」、「第2位相差層」という場合がある。以下、位相子4の構成態様としてとりうる内容を説明する。
(5-1)位相差膜
位相差膜は、通常、基材上に形成された配向膜上に、位相差膜形成用組成物を塗布し、上記位相差膜形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物を重合することによって形成される。位相差膜は、通常、重合性液晶化合物が配向した状態で硬化した膜であり、視認面内で位相差を生じるためには、重合性液晶化合物が基材面に対して水平方向に配向した状態で重合性基が重合した硬化膜である必要がある。この際、重合性液晶化合物が棒状の液晶である場合にはポジティブAプレートであればよく、重合性液晶化合物が円盤状の液晶であればネガティブAプレートであればよい。
位相子は、異なる光学異方性を有する位相差膜を2層以上含んでいてもよい。反射防止機能を高度に達成するためには、可視光全域でのλ/4板機能(すなわちπ/2の位相差機能)を有すればよい。具体的には逆波長分散性λ/4位相差層が好ましく、あるいは、配向の異なる2種類以上の位相差膜を組み合わせることが好ましい。例えば、λ/2板機能を有する位相差膜(すなわちπの位相差機能)とλ/4板機能を有する位相差膜(すなわちπ/2の位相差機能)を組み合わせたものであってもよい。さらに、斜め方向での反射防止機能を補償し得る観点から、厚み方向に異方性を有する層(ポジティブCプレート)をさらに含んでいることが好ましい。とりわけ、位相子が逆波長分散性λ/4位相差層とポジティブCプレートとを含む構成のとき、本願発明の効果をより顕著に得ることができる。また、それぞれの位相差膜はチルト配向をしていてもよいし、コレステリック配向状態を形成していてもよい。
位相子が配向の異なる2種類以上の位相差膜を貼り合わせて組み合わせる場合、位相子内粘接着剤層42を介して貼り合わせることができる。光学積層体を貼合する画像表示パネルが備えている金属部材の腐食を抑制する観点から、位相子内粘接着剤層42は透湿度が低い接着剤層であることが好ましい。
光学積層体1は、偏光子22に含まれているヨウ素と後述する粘着剤層5に含まれている帯電防止剤が層間を移動して位相子に移行し得る。このとき、位相差膜が重合性液晶化合物からなっている場合は、ヨウ素及び帯電防止剤の影響により位相差特性が変化(例えば上昇する)する。この観点から、位相子の水蒸気透過係数は、100以下であることが好ましい。この水蒸気透過係数は、1以上75以下であることが好ましく、5以上50以下であることがより好ましく、10以上35以下であることが更に好ましい。ここで「水蒸気透過係数」は、位相子の65℃における透湿度(単位はg/(m2・day))と厚み(単位はmm)との積で表される値を意味する。ヨウ素や帯電防止剤が光学積層体1の層間を移動するとき、位相子4の水蒸気透過係数が高すぎる場合はヨウ素及び帯電防止剤の移動が大きくなり、位相差変化を抑制すべき第1位相差層又は第2位相差層の位相差変化の抑制度合い、及び、金属部材の腐食を抑制する効果が、本来の抑制効果よりも低減される傾向がある。また、水蒸気透過係数が低すぎる場合は帯電防止剤が過度に透過しにくくなるので、帯電防止剤が金属部材のほうへ移動しやすくなる。したがって、位相子の水蒸気透過係数は適度に低いことが好ましい。
位相子の可視光全域でのλ/4機能は、波長λnmの光に対する面内位相差値をRe(λ)とすると、下記式(1)に示される光学特性を満たすことが好ましく、下記式(1)、下記式(2)及び下記式(3)で示される光学特性を満たすことが好ましい。位相子の面内位相差値Re(λ)は、直線偏光板、位相子をこの順に積層し、位相差測定装置(王子計測機器(株)製、KOBRA-WPR)で測定した値である。
100nm<Re(550)<160nm (1)
(式中、Re(550)は波長550nmの光に対する面内位相差値(面内リタデーション)を表す。)
Re(450)/Re(550)≦1.0 (2)
1.00≦Re(650)/Re(550) (3)
(式中、Re(450)は波長450nmの光に対する面内位相差値を、Re(550)は波長550nmの光に対する面内位相差値を、Re(650)は波長650nmの光に対する面内位相差値を表す。)
位相子の波長分散αの値は所定範囲内の値であることが好ましい。ここで「波長分散α」とは、波長450nmにおける面内位相差値Re(450)と波長550nmにおける面内位相差値Re(550)との比(Re(450)/Re(550))である。逆波長分散性が向上し、光学積層体の光学特性がより向上することから、波長分散αの値は、好ましくは0.70以上、より好ましくは0.78以上である。また、同様の理由から、波長分散αは、好ましくは0.92以下、より好ましくは0.90以下、さらに好ましくは0.88以下、特に好ましくは0.87以下である。「Re(450)/Re(550)」の値は、重合性液晶化合物の混合比率や複数の位相差膜の積層角度や位相差値を調整することで任意に調整する事が可能である。
位相差膜の面内位相差値は、位相差膜の厚みによって調整することができる。面内位相差値は下記式(4)によって決定されることから、所望の面内位相差値(Re(λ))を得るには、Δn(λ)と厚みdとを調整すればよい。位相差膜の厚みは、0.5μm~5μmが好ましく、1μm~3μmがより好ましい。位相差膜の厚みは、干渉膜厚計、レーザー顕微鏡又は触針式膜厚計により測定することができる。尚、Δn(λ)は、後述する重合性液晶化合物の分子構造に依存する。
Re(λ)=d×Δn(λ) (4)
(式中、Re(λ)は波長λnmにおける面内位相差値を表し、dは厚みを表し、Δn(λ)は波長λnmにおける複屈折率を表す。)
ポジティブCプレートは、厚み方向に異方性を有するものであれば特に限定はないが、チルト配向やコレステリック配向をしていない場合は式(5)で表される光学特性を有する。
nx≒ny<nz (5)
ポジティブCプレートの波長550nmにおける面内位相差値Re(550)は、通常0~10nmの範囲であり、好ましくは0~5nmの範囲である。また、波長550nmにおける厚み方向の位相差値Rth(550)は、通常-170nm以上-10nm以下の範囲であり、好ましくは-150nm以上-20nm以下、より好ましくは-100nm以上-40nm以下の範囲である。厚み方向の位相差値がこの範囲であれば、斜め方向からの反射防止特性を一段向上させることができる。
位相差膜形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物は、重合性基、特に光重合性基を有する液晶化合物を意味し、該重合性液晶化合物としては、従来公知の重合性液晶化合物を用いることができる。光重合性基とは、光重合開始剤から発生した反応活性種、例えば活性ラジカルや酸などによって重合反応に関与し得る基のことをいう。光重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。液晶性はサーモトロピック性液晶でもリオトロピック性液晶でもよいが、緻密な膜厚制御が可能な点でサーモトロピック性液晶が好ましい。また、サーモトロピック性液晶における相秩序構造としてはネマチック液晶でもスメクチック液晶でもよい。また、棒状液晶であってもよいし円盤状液晶であってもよい。重合性液晶化合物は単独又は2種以上組み合わせて使用できる。
重合性液晶化合物としては、逆波長分散性発現の観点から分子長軸方向に対して垂直方向にさらに複屈折性を有するT字型あるいはH型にメソゲン構造を有する液晶が好ましく、より強い分散が得られる観点からT字型液晶がより好ましく、T字型液晶の構造としては、具体的には、例えば、下記式(I):
で表される化合物が挙げられる。
式(I)中、Arは置換基を有していてもよい二価の芳香族基を表す。該二価の芳香族基中には窒素原子、酸素原子、硫黄原子のうち少なくとも1つ以上が含まれることが好ましい。二価の基Arに含まれる芳香族基が2つ以上である場合、2つ以上の芳香族基は互いに単結合、-CO-O-、-O-などの二価の結合基で結合していてもよい。
G1及びG2はそれぞれ独立に、二価の芳香族基又は二価の脂環式炭化水素基を表す。ここで、該二価の芳香族基又は二価の脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基に置換されていてもよく、該二価の芳香族基又は二価の脂環式炭化水素基を構成する炭素原子が、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子に置換されていてもよい。
L1、L2、B1及びB2はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基である。
k、lは、それぞれ独立に0~3の整数を表し、1≦k+lの関係を満たす。ここで、2≦k+lである場合、B1及びB2、G1及びG2は、それぞれ互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
E1及びE2はそれぞれ独立に、炭素数1~17のアルカンジイル基を表し、ここで、アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる-CH2-は、-O-、-S-、-COO-で置換されていてもよく、-O-、-S-、-COO-を複数有する場合は互いに隣接しない。P1及びP2は互いに独立に、重合性基又は水素原子を表し、少なくとも1つは重合性基である。
G1及びG2は、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子及び炭素数1~4のアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい1,4-フェニレンジイル基、ハロゲン原子及び炭素数1~4のアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい1,4-シクロヘキサンジイル基であり、より好ましくはメチル基で置換された1,4-フェニレンジイル基、無置換の1,4-フェニレンジイル基、又は無置換の1,4-trans-シクロヘキサンジイル基であり、特に好ましくは無置換の1,4-フェニレンジイル基、又は無置換の1,4-trans-シクロへキサンジイル基である。また、複数存在するG1及びG2のうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることが好ましく、また、L1又はL2に結合するG1及びG2のうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることがより好ましい。
L1及びL2はそれぞれ独立に、好ましくは、単結合、炭素数1~4のアルキレン基、-O-、-S-、-Ra1ORa2-、-Ra3COORa4-、-Ra5OCORa6-、Ra7OC=OORa8-、-N=N-、-CRc=CRd-、又は-C≡C-である。ここで、Ra1~Ra8はそれぞれ独立に単結合、又は炭素数1~4のアルキレン基を表し、Rc及びRdは炭素数1~4のアルキル基又は水素原子を表す。L1及びL2はそれぞれ独立に、より好ましくは単結合、-ORa2-1-、-CH2-、-CH2CH2-、-COORa4-1-、又はOCORa6-1-である。ここで、Ra2-1、Ra4-1、Ra6-1はそれぞれ独立に単結合、-CH2-、-CH2CH2-のいずれかを表す。L1及びL2はそれぞれ独立に、さらに好ましくは単結合、-O-、-CH2CH2-、-COO-、-COOCH2CH2-、又はOCO-である。
B1及びB2はそれぞれ独立に、好ましくは、単結合、炭素数1~4のアルキレン基、-O-、-S-、-Ra9ORa10-、-Ra11COORa12-、-Ra13OCORa14-、又はRa15OC=OORa16-である。ここで、Ra9~Ra16はそれぞれ独立に単結合、又は炭素数1~4のアルキレン基を表す。B1及びB2はそれぞれ独立に、より好ましくは単結合、-ORa10-1-、-CH2-、-CH2CH2-、-COORa12-1-、又はOCORa14-1-である。ここで、Ra10-1、Ra12-1、Ra14-1はそれぞれ独立に単結合、-CH2-、-CH2CH2-のいずれかを表す。B1及びB2はそれぞれ独立に、さらに好ましくは単結合、-O-、-CH2CH2-、-COO-、-COOCH2CH2-、-OCO-、又はOCOCH2CH2-である。
k及びlは、逆波長分散性発現の観点から2≦k+l≦6の範囲が好ましく、k+l=4であることが好ましく、k=2かつl=2であることがより好ましい。k=2かつl=2であると対称構造となるため好ましい。
E1及びE2はそれぞれ独立に、炭素数1~17のアルカンジイル基が好ましく、炭素数4~12のアルカンジイル基がより好ましい。
P1又はP2で表される重合性基としては、エポキシ基、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、及びオキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、置換基を有していてもよい芳香族複素環、及び電子吸引性基から選ばれる少なくとも一つを有することが好ましい。当該芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましい。当該芳香族複素環としては、フラン環、ベンゾフラン環、ピロール環、インドール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアゾール環、トリアジン環、ピロリン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チエノチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、及びフェナンスロリン環等が挙げられる。なかでも、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、又はベンゾフラン環を有することが好ましく、ベンゾチアゾール基を有することがさらに好ましい。また、Arに窒素原子が含まれる場合、当該窒素原子はπ電子を有することが好ましい。
式(I)中、Arで表される2価の芳香族基に含まれるπ電子の合計数Nπは8以上が好ましく、より好ましくは10以上であり、さらに好ましくは14以上であり、特に好ましくは16以上である。また、好ましくは30以下であり、より好ましくは26以下であり、さらに好ましくは24以下である。
Arで表される芳香族基としては、例えば以下の基が好適に挙げられる。
式(Ar-1)~式(Ar-23)中、*印は連結部を表し、Z0、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~12のアルキルスルフィニル基、炭素数1~12のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1~12のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~12のアルキルチオ基、炭素数1~12のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~12のN-アルキルスルファモイル基又は炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基を表す。
Q1、Q2及びQ3は、それぞれ独立に、-CR2’R3’-、-S-、-NH-、-NR2’-、-CO-又はO-を表し、R2’及びR3’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。
J1、及びJ2は、それぞれ独立に、炭素原子、又は窒素原子を表す。
Y1、Y2及びY3は、それぞれ独立に、置換されていてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。
W1及びW2は、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、メチル基又はハロゲン原子を表し、mは0~6の整数を表す。
Y1、Y2及びY3における芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ビフェニル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。芳香族複素環基としては、フリル基、ピロリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を少なくとも1つ含む炭素数4~20の芳香族複素環基が挙げられ、フリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基が好ましい。
Y1、Y2及びY3は、それぞれ独立に、置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基又は多環系芳香族複素環基であってもよい。多環系芳香族炭化水素基は、縮合多環系芳香族炭化水素基、又は芳香環集合に由来する基をいう。多環系芳香族複素環基は、縮合多環系芳香族複素環基、又は芳香環集合に由来する基をいう。
Z0、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~12のアルコキシ基であることが好ましく、Z0は、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基がさらに好ましく、Z1及びZ2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、シアノ基がさらに好ましい。
Q1、Q2及びQ3は、-NH-、-S-、-NR2’-、-O-が好ましく、R2’は水素原子が好ましい。中でも-S-、-O-、-NH-が特に好ましい。
式(Ar-1)~(Ar-23)の中でも、式(Ar-6)及び式(Ar-7)が分子の安定性の観点から好ましい。
式(Ar-16)~(Ar-23)において、Y1は、これが結合する窒素原子及びZ0と共に、芳香族複素環基を形成していてもよい。芳香族複素環基としては、Arが有していてもよい芳香族複素環として前記したものが挙げられるが、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピロリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、インドール環、キノリン環、イソキノリン環、プリン環、ピロリジン環等が挙げられる。この芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい。また、Y1は、これが結合する窒素原子及びZ0と共に、前述した置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基又は多環系芳香族複素環基であってもよい。例えば、ベンゾフラン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環等が挙げられる。
重合性液晶化合物の中でも、極大吸収波長が300~400nmである化合物が好ましい。重合性液晶組成物に光重合開始剤が含まれる場合、長期保管時に重合性液晶化合物の重合反応及びゲル化が進行するおそれがある。しかし、重合性液晶化合物の極大吸収波長が300~400nmであれば保管中に紫外光が曝露されても、光重合開始剤からの反応活性種の発生及び該反応活性種による重合性液晶化合物の重合反応及びゲル化の進行を有効に抑制できる。従って、重合性液晶組成物の長期安定性の点で有利となり、得られる位相差膜の配向性及び膜厚の均一性を向上できる。なお、重合性液晶化合物の極大吸収波長は、溶媒中で紫外可視分光光度計を用いて測定できる。該溶媒は重合性液晶化合物を溶解し得る溶媒であり、例えばクロロホルム等が挙げられる。
円盤状の重合性液晶化合物としては、例えば、式(W)で表される基を含む化合物(以下、「重合性液晶化合物(W)」ともいう。)が挙げられる。
[式(W)中、R40は、下記式(W-1)~(W-5)を表す。]
[式(W-1)~(W-5)中、
X40及びZ40は、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、炭素数1~5のアルコキシ基で置換されていてもよく、該アルコキシ基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。また、該アルカンジイル基を構成する-CH2-は、-O-又は-CO-に置き換わっていてもよい。
m2は、整数を表す。]
棒状の重合性液晶化合物としては、例えば式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)、式(VI)又は式(VII)で表わされる化合物が挙げられる。
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-A14-B16-E12-B17-P12 (II)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-A14-F11 (III)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-E12-B17-P12 (IV)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-F11 (V)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-E12-B17-P12 (VI)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-F11 (VII)
[式(II)~(VII)中、
A11~A14は、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基を表す。該2価の脂環式炭化水素基及び2価の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、該炭素数1~6のアルキル基及び該炭素数1~6のアルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
B11及びB17は、それぞれ独立に、-O-、-S-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-、-CO-NR16-、-NR16-CO-、-CO-、-CS-、又は単結合を表す。R16は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
B12~B16は、それぞれ独立に、-C≡C-、-CH=CH-、-CH2-CH2-、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-C(=O)-NR16-、-NR16-C(=O)-、-OCH2-、-OCF2-、-CH2O-、-CF2O-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-又は単結合を表す。
E11及びE12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、炭素数1~5のアルコキシ基で置換されていてもよく、該アルコキシ基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。また、該アルカンジイル基を構成する-CH2-は、-O-又は-CO-に置き換わっていてもよい。
F11は、水素原子、炭素数1~13のアルキル基、炭素数1~13のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基、ヒドロキシ基、メチロール基、ホルミル基、スルホ基(-SO3H)、カルボキシ基、炭素数1~10のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基及びアルコキシ基を構成する-CH2-は、-O-に置き換っていてもよい。
P11及びP12は、それぞれ独立に、重合性基を表す。]
位相差膜形成用組成物中の重合性液晶化合物の含有量は、位相差膜形成用組成物の固形分100質量部に対して、例えば70~99.5質量部であり、好ましくは80~99質量部であり、より好ましくは85~98質量部であり、さらに好ましくは90~95質量部である。重合性液晶化合物の含有量が上記範囲内であれば、得られる位相差膜の配向性の観点から有利である。なお、本明細書において、重合性液晶組成物の固形分とは、重合性液晶組成物から有機溶剤等の揮発性成分を除いた全ての成分を意味する。
(5-2)位相差膜形成用組成物
上記のとおり、位相差膜形成用組成物は、重合性液晶化合物を含む。位相差膜形成用組成物はさらに、溶剤、レベリング剤、重合開始剤、光増感剤、重合禁止剤、架橋剤、密着剤等の反応性添加剤を含んでいてもよく、溶剤、レベリング剤を含むことが加工性の観点から好ましい。
位相差膜形成用組成物は溶剤を含有してよい。一般に重合性液晶化合物は粘度が高いため、溶剤に溶解させた位相差膜形成用組成物とすることで塗布が容易になり、結果として位相差膜の形成がし易くなる場合が多い。溶剤としては、重合性液晶化合物を完全に溶解し得るものが好ましく、また、重合性液晶化合物の重合反応に不活性な溶剤であることが好ましい。
溶剤としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン又はプロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン及びメチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤;テトラヒドロフラン及びジメトキシエタン等のエーテル溶剤;クロロホルム及びクロロベンゼン等の塩素含有溶剤;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルミアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等のアミド系溶剤等が挙げられる。これら溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶剤の含有量は、位相差膜形成用組成物の総量に対して50~98質量%が好ましい。換言すると、位相差膜形成用組成物における固形分の含有量は、2~50質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。該固形分の含有量が50質量%以下であると、位相差膜形成用組成物の粘度が低くなることから、位相差膜の厚みが略均一になることで、当該位相差膜にムラが生じにくくなる傾向がある。また、かかる固形分の含有量は、製造しようとする位相差膜の厚みを考慮して定めることができる。
位相差膜形成用組成物には、レベリング剤を含有させてもよい。レベリング剤とは、組成物の流動性を調整し、組成物を塗布して得られる膜をより平坦にする機能を有する添加剤であり、例えば、有機変性シリコーン系、ポリアクリレート系及びパーフルオロアルキル系のレベリング剤が挙げられる。中でも、水平配向させる場合には、ポリアクリレート系レベリング剤及びパーフルオロアルキル系レベリング剤が好ましく、垂直配向させる場合には、有機変性シリコーン系レベリング剤及びパーフルオロアルキル系レベリング剤が好ましい。
位相差膜形成用組成物がレベリング剤を含有する場合、その含有量は、重合性液晶化合物の含有量100質量部に対して、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.05~3質量部である。レベリング剤の含有量が上記範囲内であると、重合性液晶化合物を水平配向させることが容易であり、かつ得られる位相差膜がより平滑となる傾向がある。重合性液晶化合物に対するレベリング剤の含有量が上記範囲を超えると、得られる位相差膜にムラが生じやすい傾向がある。なお、位相差膜形成用組成物は、レベリング剤を2種以上含有していてもよい。
位相差膜形成用組成物は重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤は、重合性液晶化合物等の重合反応を開始し得る化合物である。重合開始剤としては、サーモトロピック液晶の相状態に依存しないという観点から、光の作用により活性ラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤は、重合性液晶化合物の重合反応を開始し得る化合物であれば、公知の光重合開始剤を用いることができる。具体的には、光の作用により活性ラジカル又は酸を発生できる光重合開始剤が挙げられ、中でも、光の作用によりラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤は単独または2種以上組み合わせて使用できる。
光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤を用いることができ、例えば、活性ラジカルを発生する光重合開始剤としては、自己開裂型のベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ヒドロキシアセトフェノン系化合物、α-アミノアセトフェノン系化合物、オキシムエステル系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、アゾ系化合物等を使用でき、水素引き抜き型のベンゾフェノン系化合物、アルキルフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンジルケタール系化合物、ジベンゾスベロン系化合物、アントラキノン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、ハロゲノアセトフェノン系化合物、ジアルコキシアセトフェノン系化合物、ハロゲノビスイミダゾール系化合物、ハロゲノトリアジン系化合物、トリアジン系化合物等を使用できる。酸を発生する光重合開始剤としては、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩等を使用することができる。低温での反応効率に優れるという観点から自己開裂型の光重合開始剤が好ましく、特にアセトフェノン系化合物、ヒドロキシアセトフェノン系化合物、α-アミノアセトフェノン系化合物、オキシムエステル系化合物が好ましい。
位相差膜形成用組成物中の重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の種類及びその量に応じて適宜調節できるが、重合性液晶化合物の含有量100質量部に対して、通常0.1~30質量部、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは0.5~8質量部である。重合開始剤の含有量が上記範囲内であると、重合性液晶化合物の配向を乱すことなく重合を行うことができる。
位相差膜形成用組成物は増感剤を含有してもよい。増感剤としては、光増感剤が好ましい。該増感剤としては、例えば、キサントン及びチオキサントン等のキサントン化合物(例えば、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン等);アントラセン及びアルコキシ基含有アントラセン(例えば、ジブトキシアントラセン等)等のアントラセン化合物;フェノチアジン及びルブレン等が挙げられる。
位相差膜形成用組成物が増感剤を含有する場合、位相差膜形成用組成物に含有される重合性液晶化合物の重合反応をより促進することができる。かかる増感剤の使用量は、重合性液晶化合物の含有量100質量部に対して、0.1~30質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましく、0.5~8質量部がさらに好ましい。
重合反応を安定的に進行させる観点から、位相差膜形成用組成物は酸化防止剤を含有してもよい。酸化防止剤により、重合性液晶化合物の重合反応の進行度合いをコントロールすることができる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、キノン系酸化防止剤、ニトロソ系酸化防止剤から選ばれる一次酸化防止剤であってもよいし、リン系酸化防止剤および硫黄系酸化防止剤から選ばれる二次酸化防止剤であってもよい。
位相差膜形成用組成物が酸化防止剤を含有する場合、酸化防止剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部、より好ましくは0.5~10質量部、さらに好ましくは0.5~8質量部である。酸化防止剤は単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。酸化防止剤の含有量が、上記範囲内であると、重合性液晶化合物の配向を乱すことなく重合を行うことができる。
位相差膜形成用組成物は、反応性添加剤を含んでもよい。反応性添加剤としては、その分子内に炭素-炭素不飽和結合や活性水素反応性基やチオール基を有するものが好ましい。なお、ここでいう「活性水素反応性基」とは、カルボキシル基(-COOH)、水酸基(-OH)、アミノ基(-NH2)等の活性水素を有する基に対して反応性を有する基を意味し、グリシジル基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、アジリジン基、イミド基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、無水マレイン酸基等がその代表例である。反応性添加剤が有する反応性基の個数は、通常、それぞれ1~20個であり、好ましくはそれぞれ1~10個である。
(5-3)基材
位相差膜を形成するための上記基材としては、ガラス基材及びフィルム基材が挙げられ、フィルム基材が好ましい、連続的に製造できる点で長尺のロール状フィルムがより好ましい。フィルム基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の鎖状ポリオレフィン;環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース及びセルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィド及びポリフェニレンオキシド;等が挙げられる。中でも光学フィルム用途で使用する際の透明性等の観点からトリアセチルセルロース、環状オレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレートのいずれかから選ばれるフィルム基材がより好ましい。
市販のセルロースエステル基材としては、“フジタックフィルム”(富士写真フイルム株式会社製);“KC8UX2M”、“KC8UY”及び“KC4UY”(以上、コニカミノルタオプト株式会社製)等が挙げられる。市販の環状オレフィン系樹脂としては、“Topas”(登録商標)(Ticona社(独)製)、“アートン”(登録商標)(JSR株式会社製)、“ゼオノア(ZEONOR)”(登録商標)、“ゼオネックス(ZEONEX)”(登録商標)(以上、日本ゼオン株式会社製)及び“アペル”(登録商標)(三井化学株式会社製)が挙げられる。このような環状オレフィン系樹脂を、溶剤キャスト法、溶融押出法等の公知の手段により製膜して、基材とすることができる。市販されている環状オレフィン系樹脂基材を用いることもできる。市販の環状オレフィン系樹脂基材としては、“エスシーナ”(登録商標)、“SCA40”(登録商標)(以上、積水化学工業株式会社製)、“ゼオノアフィルム”(登録商標)(オプテス株式会社製)及び“アートンフィルム”(登録商標)(JSR株式会社製)が挙げられる。
基材の厚みは、実用的な取り扱いができる程度で薄い方が好ましいが、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向がある。基材の厚みは、通常、5μm~300μmであり、好ましくは10μm~200μm、より好ましくは10~50μmである。また、基材を剥離して位相差膜を転写することによって、さらなる薄膜化効果が得られる。
(5-4)配向膜
本明細書において配向膜は、重合性液晶化合物を所望の方向に液晶配向させる、配向規制力を有するものである。
配向膜は、重合性液晶化合物の液晶配向を容易にする。水平配向、垂直配向、ハイブリッド配向、傾斜配向等の液晶配向の状態は、配向膜及び重合性液晶化合物の性質によって変化し、その組み合わせは任意に選択することができる。例えば、配向膜が配向規制力として水平配向を発現させる材料であれば、重合性液晶化合物は水平配向又はハイブリッド配向を形成することができ、垂直配向を発現させる材料であれば、重合性液晶化合物は垂直配向又は傾斜配向を形成することができる。水平、垂直等の表現は、位相差膜平面を基準とした場合の、配向した重合性液晶化合物の光軸の方向を表す。例えば、垂直配向とは位相差膜平面に対して垂直な方向に、配向した重合性液晶化合物の光軸を有することである。ここでいう垂直とは、位相差膜平面に対して90°±20°のことを意味する。
配向規制力は、配向膜が配向性ポリマーから形成されている場合は、表面状態やラビング条件によって任意に調整することが可能であり、光配向性ポリマーから形成されている場合は、偏光照射条件等によって任意に調整することが可能である。また、重合性液晶化合物の、表面張力や液晶性等の物性を選択することにより、液晶配向を制御することもできる。
基材と位相差膜との間に形成される配向膜としては、配向膜上に位相差膜を形成する際に使用される溶剤に不溶であり、また、溶剤の除去や液晶の配向のための加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。配向膜としては、配向性ポリマーからなる配向膜、光配向膜及びグルブ(groove)配向膜、配向方向に延伸してある延伸フィルム等が挙げられ、長尺のロール状フィルムに適用する場合には、配向方向を容易に制御できる点で、光配向膜が好ましい。
配向膜の厚みは、通常10nm~5000nmの範囲であり、好ましくは10nm~1000nmの範囲であり、より好ましくは30~300nmである。
ラビング配向膜に用いられる配向性ポリマーとしては、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミド及びその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸エステル類等が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。これらの配向性ポリマーは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラビングする方法としては、ラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールに、配向性ポリマー組成物を基材に塗布しアニールすることで基材表面に形成された配向性ポリマーの膜を、接触させる方法が挙げられる。
光配向膜は、光反応性基を有するポリマーやオリゴマー又はモノマーからなる。光配向膜は、偏光を照射することで配向規制力が得られる。照射する偏光の偏光方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御できる点で光配向膜がより好ましい。
光反応性基とは、光を照射することにより液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、光を照射することで生じる分子の配向誘起又は異性化反応、二量化反応、光架橋反応、又は光分解反応のような、液晶配向能の起源となる光反応を生じるものである。当該光反応性基の中でも、二量化反応又は光架橋反応を起こすものが、配向性に優れる点で好ましい。以上のような反応を生じうる光反応性基としては、不飽和結合、特に二重結合を有するものが好ましく、炭素-炭素二重結合(C=C結合)、炭素-窒素二重結合(C=N結合)、窒素-窒素二重結合(N=N結合)、及び炭素-酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも一つを有する基がより好ましい。
C=C結合を有する光反応性基としては例えば、ビニル基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾール基、スチルバゾリウム基、カルコン基及びシンナモイル基等が挙げられる。反応性の制御が容易であるという点や光配向時の配向規制力発現の観点から、カルコン基及びシンナモイル基が好ましい。C=N結合を有する光反応性基としては、芳香族シッフ塩基及び芳香族ヒドラゾン等の構造を有する基が挙げられる。N=N結合を有する光反応性基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基及びホルマザン基等や、アゾキシベンゼンを基本構造とするものが挙げられる。C=O結合を有する光反応性基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基及びマレイミド基等が挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基及びハロゲン化アルキル基等の置換基を有していてもよい。
偏光を照射するには、膜面から直接偏光を照射する形式でも、基材側から偏光を照射し、偏光を透過させて照射する形式でもよい。また、当該偏光は、実質的に平行光であることが特に好ましい。照射する偏光の波長は、光反応性基を有するポリマー又はモノマーの光反応性基が、光エネルギーを吸収し得る波長領域のものがよい。具体的には、波長250~400nmの範囲のUV(紫外光)が特に好ましい。当該偏光照射に用いる光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArF等の紫外光レーザー等が挙げられ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプがより好ましい。これらのランプは、波長313nmの紫外光の発光強度が大きいため好ましい。前記光源からの光を、適当な偏光子を通過して照射することにより、偏光を照射することができる。かかる偏光子としては、偏光フィルターやグラントムソン、グランテーラー等の偏光プリズムやワイヤーグリッドタイプの偏光子を用いることができる。
(6)粘接着剤層
本実施形態の光学積層体1は、三形態の粘接着剤層(直線偏光板内粘接着剤層、直線偏光板-位相子間粘接着剤層3、位相子内粘接着剤層42)を備えている。
直線偏光板内粘接着剤層(図1には図示されていない。)は、直線偏光板2の構成要素として、第1保護フィルム21と偏光子22との貼合のため、及び、偏光子22と第2保護フィルム23との貼合のために必要に応じて設けられる層である。光学積層体は、これら両方の直線偏光板内粘接着剤層を含むことが好ましい。直線偏光板-位相子間粘接着剤層3は、直線偏光板2と位相子4との貼合のために設けられる層である。光学積層体は、直線偏光板-位相子間粘接着剤層3を含むことが好ましい。位相子内粘接着剤層42は、位相子4内において、第1位相差層41(例えばλ/4位相差層)と第2位相差層43(例えばポジティブCプレート)との貼合のために用いられる層である。
直線偏光板内粘接着剤層、直線偏光板-位相子間粘接着剤層3、及び、位相子内粘接着剤層42は、いずれも、粘着剤層であってもよいし、接着剤層であってもよい。粘着剤層は粘着剤組成物(感圧式接着剤組成物)から形成される層であり、接着剤層は接着剤組成物から形成される層である。直線偏光板内粘接着剤層及び位相子内粘接着剤層42は、好ましくは接着剤層である。特に、位相子内粘接着剤層42は、後述する帯電防止剤の移動を抑制する観点から透湿度が低いものであることが好ましいので、活性エネルギー線硬化型接着剤からなることが好ましい。また、位相子のクラックの抑制のためには、粘着剤層と比べて弾性率が高い接着剤層が好ましい。他方、直線偏光板-位相子間粘接着剤層3は、好ましくは粘着剤層である。
(6-1)接着剤層
接着剤層を形成する接着剤組成物としては、例えば、水系接着剤組成物、加熱又は紫外線、可視光、電子線、X線等の活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性接着剤組成物等が挙げられる。水系接着剤組成物としては、例えば、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂又はウレタン樹脂を水に溶解したもの、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂又はウレタン樹脂を水に分散させたものが挙げられる。水系接着剤組成物は、さらに、多価アルデヒド、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物、グリオキサール化合物、水溶性エポキシ樹脂等の硬化性成分や架橋剤を含有していてもよい。水系接着剤組成物としては、例えば、特開2010-191389号公報に記載の接着剤組成物、特開2011-107686号公報に記載の接着剤組成物、特開2020-172088号公報に記載の組成物、特開2005-208456号公報に記載の組成物等が挙げられる。
硬化性接着剤組成物は、主成分として硬化性(重合性)化合物を含み、活性エネルギー線照射により硬化する活性エネルギー線硬化型接着剤組成物であることが好ましい。活性エネルギー線硬化型接着剤組成物としては、硬化性化合物としてカチオン重合性化合物を含むカチオン重合型接着剤組成物、硬化性化合物としてラジカル重合性化合物を含むラジカル重合型接着剤組成物、硬化性化合物としてカチオン重合性化合物とラジカル重合性化合物との両方を含むハイブリッド型接着剤組成物等が挙げられる。
カチオン重合性化合物は、紫外線、可視光、電子線、X線等の活性エネルギー線の照射や加熱によりカチオン重合反応が進行して硬化する化合物又はオリゴマーであり、具体的にはエポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニル化合物等が挙げられる。エポキシ化合物としては、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環式エポキシ化合物(脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有する化合物);ビスフェノールAのジグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物(分子内に芳香族環とエポキシ基とを有する化合物);2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物(脂肪族炭素原子に結合するオキシラン環を分子内に少なくとも1個有する化合物)等が挙げられる。
オキセタン化合物としては、3-エチル-3-{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン等の分子内に1個以上のオキセタン環を有する化合物が挙げられる。
カチオン重合型接着剤組成物は、カチオン重合開始剤を含むことが好ましい。カチオン重合開始剤は熱カチオン重合開始剤であってもよいし、光カチオン重合開始剤であってもよい。カチオン重合開始剤としては、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート等の芳香族ジアゾニウム塩;ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等の芳香族ヨードニウム塩;トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート等の芳香族スルホニウム塩;キシレン-シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート等の鉄-アレーン錯体等が挙げられる。カチオン重合開始剤の含有量は、カチオン重合性化合物100質量部に対して通常0.1~10質量部である。カチオン重合開始剤は2種以上含んでいてもよい。
カチオン重合型接着剤組成物としては、例えば、特開2016-126345号公報、特開2021-113969号公報に記載のカチオン重合性組成物等が挙げられる。
ラジカル重合性化合物は、紫外線、可視光、電子線、X線等の活性エネルギー線の照射や加熱によりラジカル重合反応が進行して硬化する化合物又はオリゴマーであり、具体的にはエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系化合物、分子内に1個以上のビニル基を有するビニル化合物等が挙げられる。
(メタ)アクリル系化合物としては、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー、及び、官能基含有化合物を2種以上反応させて得られ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルオリゴマー等の(メタ)アクリロイル基含有化合物を挙げることができる。
ラジカル重合型接着剤組成物は、ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。ラジカル重合開始剤は熱ラジカル重合開始剤であってもよいし、光ラジカル重合開始剤であってもよい。ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン、3-メチルアセトフェノン等のアセトフェノン系開始剤;ベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤;ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル系開始剤;4-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系開始剤;キサントン、フルオレノン等が挙げられる。ラジカル重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性化合物100質量部に対して通常0.1~10質量部である。ラジカル重合開始剤は2種以上含んでいてもよい。
ラジカル重合型接着剤組成物としては、例えば、特開2016-126345号公報、特開2016-153474号公報、国際公開第2017/183335号に記載のラジカル重合性組成物等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型接着剤組成物は、必要に応じて、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、帯電防止剤、レベリング剤、溶媒等の添加剤を含有することができる。
接着剤層による二層の貼合は、二層それぞれの貼合面から選ばれる少なくとも一方の貼合面に接着剤組成物を塗工し、接着剤組成物の塗工層を介して両者を重ね、貼合ロール等を用いて上下から押圧して貼合後、接着剤層を乾燥させる、活性エネルギー線を照射して硬化させる、又は加熱して硬化させることにより行うことができる。
接着剤層の塗工層を形成する前に、二層それぞれの貼合面から選ばれる少なくとも一方の貼合面に、ケン化処理、コロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理、アンカーコーティング処理等の易接着処理を施してもよい。接着剤組成物の塗工層の形成には、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター、ドクターブレードコーター等の種々の塗工方式を使用することができる。
活性エネルギー線を照射する場合の光照射強度は、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の組成ごとに決定されるものであって特に限定されないが、10mW/cm2以上1,000mW/cm2以下であることが好ましい。なお、照射強度は、好ましくは光カチオン重合開始剤又は光ラジカル重合開始剤の活性化に有効な波長領域における強度である。このような光照射強度で1回あるいは複数回照射して、その積算光量を、10mJ/cm2以上とすることが好ましく、100mJ/cm2以上1,000mJ/cm2以下とすることがより好ましい。
活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の重合硬化を行うために使用する光源は、特に限定されないが、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、ハロゲンランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプが挙げられる。
水系接着剤組成物から形成される接着剤層の厚みは、例えば5μm以下であってよく、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.01μm以上であってよく、0.05μm以上であることが好ましい。活性エネルギー線硬化型接着剤組成物から形成される接着剤層の厚みは、例えば、10μm以下であってよく、5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上であってもよく、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。
(6-2)粘着剤層
粘着剤層を形成する粘着剤組成物としては、従来公知の光学的な透明性に優れる粘着剤組成物を特に制限なく用いることができ、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂などのベースポリマーを有する粘着剤組成物を用いることができる。また、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、熱硬化型粘着剤組成物などであってもよい。これらの中でも、透明性、粘着力、再剥離性、耐候性、耐熱性などに優れる(メタ)アクリル系樹脂をベースポリマーとした粘着剤組成物が好適である。粘着剤組成物は、さらに、架橋剤、シラン化合物、帯電防止剤等を含んでいてもよい。
[(メタ)アクリル系樹脂]
粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系樹脂は、下記式(VIII)で示される(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位(以下、「構成単位(VIII)」ともいう。)を主成分(例えば、(メタ)アクリル系樹脂の構成単位100質量部に対して50質量部以上含む。)とする重合体(以下、「(メタ)アクリル酸エステル重合体」ともいう。)であることが好ましい。
[式(VIII)中、R10は、水素原子又はメチル基を表し、R20は、炭素数1~20のアルキル基を表し、前記アルキル基は直鎖状、分岐状又は環状のいずれの構造を有していてもよく、前記アルキル基の水素原子は、炭素数1~10のアルコキシ基で置き換わっていてもよい。]
式(VIII)で表される(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-へキシル(メタ)アクリレート、i-へキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、i-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、n-及びi-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、i-デシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルコキシ基含有アルキルアクリレートの具体例としては、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、2-メトキシ-2-エトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。特にアルコキシ基含有アクリレートは(メタ)アクリル系樹脂(VIII)を構成する構造単位全量を基準として10質量%以上40質量%以下含むことが好ましく、15質量%以上40質量%以下であることが好ましく、15質量%以上35質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上35質量%以下であることが特に好ましい。この含有量が10質量%未満の場合、粘着剤のイオン導電性が低いことから所望の帯電防止性を担保するためには帯電防止剤を多く添加する必要があり、金属腐食耐性が低くなり、40質量%を超えると粘着剤の極性が高くなることで水分率が高くなり粘着剤特性に影響を及ぼす。中でもアルキルアクリレートとしてはn-ブチル(メタ)アクリレートまたは2-エチルへキシル(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、特にn-ブチル(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。またアルコキシ基含有アクリレートとしては2-メトキシエチルアクリレートを含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体は、構成単位(VIII)以外の他の単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。他の単量体に由来する構成単位は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。(メタ)アクリル酸エステル重合体が含み得る他の単量体としては、極性官能基を有する単量体、芳香族基を有する単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体が挙げられる。
極性官能基を有する単量体としては、極性官能基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。極性官能基としては、ヒドロキシ基;カルボキシ基;炭素数1~6のアルキル基で置換された置換アミノ基又は無置換アミノ基;エポキシ基などの複素環基等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体中の極性官能基を有する単量体に由来する構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体の全構成単位100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上10質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以上5質量部以下、特に好ましくは1質量部以上5質量部以下である。
芳香族基を有する単量体としては、分子内に1個の(メタ)アクリロイル基と1個以上の芳香環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環など)を有し、フェニル基、フェノキシエチル基、又はベンジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。これらの構成単位を含むことで、高温、高湿環境において発生する偏光板の白抜け現象を抑制することができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体中の芳香族基を有する単量体に由来する構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体の全構成単位100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは4質量部以上20質量部以下、さらに好ましくは4質量部以上15質量部以下である。
(メタ)アクリルアミド系単量体としては、N-(メトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N-(エトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N-(プロポキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N-(ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-メチルプロポキシメチル)(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらの構成単位を含むことで、後述する帯電防止剤等の添加物のブリードアウトを抑制することができる。
さらに、構成単位(VIII)以外の他の単量体に由来する構成単位として、スチレン系単量体に由来する構成単位、ビニル系単量体に由来する構成単位、分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する単量体に由来する構成単位、などが含まれていてもよい。
(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(以下、単に「Mw」ともいう。)は、50万~250万であることが好ましい。重量平均分子量が50万以上であると、高温、高湿の環境下における粘着剤層の耐久性を向上させることができる。重量平均分子量が250万以下であると、粘着剤組成物を含有する塗工液を塗工する際の操作性が良好となる。本明細書において「重量平均分子量」及び「数平均分子量」とは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
(メタ)アクリル系樹脂は、酢酸エチルに溶解させて濃度20質量%の溶液としたとき、25℃における粘度が、20Pa・s以下であることが好ましく、0.1~15Pa・sであることがより好ましい。(メタ)アクリル樹脂の25℃における粘度が前記範囲内であると、前記樹脂により形成された粘着剤層作製時のスジの発生を抑制可能である。前記粘度は、ブルックフィールド粘度計によって測定できる。
(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、-10~-60℃の範囲にあることが好ましく、-20~-50℃の範囲にあることがより好ましく、-30~-45℃の範囲にあることがさらに好ましい。なお、ガラス転移温度は示差走査熱量計(DSC)により測定できる。
(メタ)アクリル系樹脂は、2種以上の(メタ)アクリル酸エステル重合体を含んでもよい。そのような(メタ)アクリル酸エステル重合体としては、重量平均分子量が50万~250万である上述の(メタ)アクリル酸エステル重合体よりも重量平均分子量が小さいものが挙げられ、より具体的には、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位(VIII)を主成分とするものであって、重量平均分子量が5万~30万の範囲にある比較的低分子量の(メタ)アクリル酸エステル重合体が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂は、通常、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合方法によって製造することができる。(メタ)アクリル系樹脂の製造においては、通常、重合開始剤の存在下に重合が行われる。重合開始剤の使用量は、(メタ)アクリル系樹脂を構成する全ての単量体の合計100質量部に対して、通常0.001~5質量部である。(メタ)アクリル系樹脂は、紫外線などの活性エネルギー線によって重合する方法により製造することもできる。
[架橋剤]
粘着剤組成物は、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、慣用の架橋剤(例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、過酸化物など)が挙げられ、特に粘着剤組成物のポットライフ、架橋速度、及び光学積層体の耐久性などの観点から、イソシアネート系化合物であることが好ましい。
イソシアネート化合物は、分子内に少なくとも2個のイソシアナト基(-NCO)を有する化合物である。具体的には、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどが挙げられる。また、これらのイソシアネート化合物と、グリセロールやトリメチロールプロンなどのポリオールを反応させて得られるアダクト体や、これらイソシアネート化合物の二量体や三量体も挙げられる。2種以上のイソシアネート化合物を組み合わせてもよい。
架橋剤の割合は、(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、例えば0.01~10質量部、好ましくは0.1~5質量部、より好ましくは0.1~3質量部、さらに好ましくは0.1~1質量部である。
[シラン化合物]
粘着剤組成物は、さらにシラン化合物を含有していてもよい。
シラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルエトキシジメチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
また、シラン化合物は、上記シラン化合物に由来するオリゴマーを含むことができる。
粘着剤組成物におけるシラン化合物の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、通常0.01~10質量部であり、好ましくは0.03~5質量部の割合で使用され、さらに好ましくは0.1~1質量部の割合で使用される。シラン化合物の含有量が0.01質量部以上であると、粘着剤層と被着体との密着性が向上する傾向にあり、含有量が10質量部以下であると、粘着剤層からのシラン化合物がブリードアウトすることが抑制される傾向にある。
[帯電防止剤]
粘着剤層は、帯電防止剤を含んでいてもよい。帯電防止剤については後述する「(7)粘着剤層」に示したものを用いることができる。
[その他]
粘着剤組成物は、紫外線吸収剤、溶媒、架橋触媒、粘着付与樹脂(タッキファイヤー)、可塑剤等の添加剤を単独又は2種以上含むことができる。また、粘着剤組成物に紫外線硬化性化合物を配合し、粘着剤層を形成した後に紫外線を照射して硬化させ、より硬い粘着剤層とすることも有用である。
粘着剤層は、例えば、前記粘着剤組成物を、溶剤に溶解又は分散して溶剤含有の粘着剤組成物とし、次いで、これを、基材又は粘着剤層を設ける層の表面に塗布し、乾燥させることで形成できる。
粘着剤層の厚みは、通常0.1~30μm、好ましくは3~30μm、より好ましくは5~25μmである。
(7)粘着剤層
光学積層体1は、位相子4における直線偏光板2側とは反対側に積層されている粘着剤層5を備える。粘着剤層5の基本構成については、上記「(6-2)粘着剤層」の記載内容が適用される。ここでは帯電防止剤や厚みについて説明する。
[帯電防止剤]
粘着剤層5を形成する粘着剤組成物は、帯電防止剤を含有しており、帯電防止剤は、有機カチオンと下記式(1)で表されるアニオンとからなるイオン性化合物を含む。
(CnF2n+1SO2)2N- …(1)
(式中、nは0~5の整数である。)
式(1)で表されるアニオンとしては例えば、nが1であるビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン[(CF3SO2)2N-]や、nが0であるビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン[(FSO2)2N-]アニオンが挙げられる。
有機カチオンとしては、トリブチルメチルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、トリメチルプロピルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムカチオン等のアンモニウムカチオン;トリブチルドデシルホスホニウムカチオン等のホスホニウムカチオン;1-ヘキシルピリジニウムカチオン、1-オクチルピリジニウムカチオン、4-メチル-1-ヘキシルピリジニウムカチオン、4-メチル-1-オクチルピリジニウムカチオン、4-メチル-1-ブチルピリジニウムカチオン等のピリジニウムカチオン;ブチルメチルピロリジニウムカチオン、エチルメチルピロリジニウムカチオン等のピロリジニウムカチオン;1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン等のイミダゾリウムカチオン;ピロリジニウムカチオン;アルキルアンモニウムカチオン;スルホニウムカチオン、などが挙げられる。なかでも特に、光学積層体1の層間を移動しにくいことから、ピロリジニウムカチオンとアルキルアンモニウムカチオンが好ましい。また、窒素原子を含む有機カチオンが好ましく、芳香環含有化合物を使用することによる耐久評価時に位相子に移行した際の位相差特性変動を抑制するという観点から、脂肪族カチオンであることがより好ましく、ピロリジニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオンがさらに好ましい。
粘着剤組成物の帯電防止性能の経時安定性に優れるという点で、室温で固体(23℃以上の融点を有する)であるイオン性化合物が好ましい。また、イオン性化合物の分子量は特に限定されないが、例えば、分子量700以下、さらには500以下であることが好ましい。
帯電防止剤の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、例えば0.01~20質量部、好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは0.1質量部以上2.5質量部以下さらに好ましくは0.1質量部以上1.5質量部以下である。粘着剤層を構成する樹脂の不揮発分100質量部に対して、帯電防止剤を0.1質量部以上含有すると、帯電防止性能が向上することから好ましく、またその量が10質量部以下であると、耐久試験中に粘着剤層からのイオン性化合物のブリードアウトを抑制でき、耐久性を保つのが容易であることから好ましい。
粘着剤層5の厚みT3は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上である。粘着剤層5の厚みT3は、通常35μm以下、好ましくは30μm以下である。
<画像表示装置>
画像表示装置は、本発明に係る光学積層体と、画像表示素子(有機EL表示素子等)とを含む。光学積層体は、画像表示素子の視認側に配置される。粘着剤層5を用いて、光学積層体を画像表示素子に貼合することができる。
画像表示装置は特に限定されず、例えば有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(無機EL)表示装置、液晶表示装置、電界発光表示装置等の画像表示装置が挙げられる。
画像表示装置は、スマートフォン、タブレット等のモバイル機器、テレビ、デジタルフォトフレーム、電子看板、測定器又は計器類、事務用機器、医療機器、電算機器等として用いることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。上記実施形態の光学積層体1では、最外層が第1保護フィルム21と粘着剤層5である態様を示したが、必要に応じて、第1保護フィルム21側にはその表面を保護する表面保護フィルムを備えていてもよく、粘着剤層5側にはセパレータを備えていてもよい。
以下、実施例、参考例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。以下の記載において、使用量、含有量を表す部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。また、以下の記載において「第2保護フィルム3」、「粘着剤層1」等の数字は、用いた複数種の第2保護フィルム、粘着剤層等の種類を表すものであり、図面中の符号とは無関係である。
<測定及び評価>
(1)層又はフィルムの厚み
特記しない限り、層又はフィルムの厚みは、レーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製「LEXT」)、又は、デジタルマイクロメーター(株式会社ニコン製「MH-15M」)を用いて測定した。
(2)層又はフィルムの面内位相差値
層又はフィルムの波長550nm及び450nmにおける面内位相差値[nm]は、位相差測定装置(王子計測機器(株)製、KOBRA-WPR)を用いて測定した。
(3)保護フィルムの透湿度
下記の測定条件で第2保護フィルムの透湿度を測定した。
・試験項目 :水蒸気透過度
・試験方法 :感湿センサ法
・測定装置 :Lyssy製 L80シリーズ 水蒸気透過度計
・試料作製方法 :支持基材と第2保護フィルムとを含む後述の積層体における第2保護フィルム面にアルミマスクに貼り付けた後、支持基材を剥離し、この剥離面にアルミマスクを貼り付けて測定試料とした。比較例1で用いた第2保護フィルム8(厚み20μmのトリアセチルセルロースフィルム)は支持基材が無いため、支持基材の剥離操作は行っていない。
・測定条件
測定温度 :40℃
相対湿度 :90%RH
測定面積 :
第2保護フィルム1~4:7.1×10-4m2(マスク装着時の透過面積)
第2保護フィルム5:7.9×10-5m2(マスク装着時の透過面積)
測定試料設置方向 :任意
(4)位相子の水蒸気透過係数
位相子の水蒸気透過係数は、測定温度を65℃とした以外は上記(3)と同様の手順で位相子の透湿度(単位はg/(m2・day))を求め、これに厚さ(単位はmm)を乗じることで求めた。
(5)位相差変化量の評価
光学積層体が高温湿熱環境下に置かれたときの面内位相差値の変化量を次の手順に従って測定し、評価した。光学積層体から、位相子の遅相軸を長辺方向とする30mm×30mmの試料を切り出した。試料が有する帯電防止粘着剤層を介して無アルカリガラス(コーニング社製、品番:EAGLE XG(登録商標))に貼合して評価用サンプルを作製した。評価用サンプルについて、位相差測定装置(王子計測機器(株)製、KOBRA-WPR)を用いて、波長550nm及び450nmにおける面内位相差値を測定した。得られた値を用いて、面内位相差値の変化量ΔRe(550)、及び波長分散α(面内位相差値Re(450)/面内位相差値Re(550))を計算した。5枚の評価用サンプルで測定し、その平均値を求めた。
評価用サンプルをオーブンに入れ、温度60℃、相対湿度90%RHで336時間、湿熱耐久試験を実施した。評価用サンプルをオーブンから取り出し、その3時間後に上記位相差測定装置を用い、波長550nm及び450nmにおける面内位相差値を測定し、耐熱試験前後の面内位相差値の変化量ΔRe(550)を求めた。
A:ΔRe(550)が0.5未満
B:ΔRe(550)が0.5以上0.7未満
C:ΔRe(550)が0.7以上
評価用サンプルをオーブンに入れ、温度60℃、相対湿度90%RHで504時間、湿熱耐久試験を実施した。評価用サンプルをオーブンから取り出し、その3時間後に上記位相差測定装置を用い、波長550nm及び450nmにおける面内位相差値を測定し、耐熱試験前の波長分散α(0時間)と耐熱試験後の波長分散α(504時間)の値からその変化量を求め、下記式に従ってαの変化率であるΔαを求めた。下記基準のうちAが波長分散αの変化がより小さい。
Δα(%)=(α(504時間)-α(0時間))/α(0時間)×100
A:|Δα|が0.2未満
B:|Δα|が0.2以上
(6)光学積層体による金属腐食の評価
無アルカリガラス基板表面にスパッタリングによって金属アルミニウム層及び金属チタン層がこの順で積層された金属層付ガラス基板を準備した。次に、実施例、参考例及び比較例で得た光学積層体を50mm×50mmの大きさに裁断し、光学積層体の粘着剤層上に金属層付ガラス基板の金属チタン層側を貼着して評価用サンプルを作製した。評価用サンプルを、温度85℃、相対湿度85%RHのオーブン中で350時間保管した後、評価用サンプルをオーブンから取り出した。バックライト上にガラス基板を下にして評価用サンプルを載置し、光抜けによる輝点の個数及び大きさを観察して、下記の基準に従って金属腐食の評価を行った。
A+:輝点発生なし
A :0.1~0.5mmの輝点が1~5個以内
B+:0.1~0.5mmの輝点が6~15個以内、又は0.5~1.0mmの輝点が5個以内
B :0.5~1.0mmの輝点が6~15個以内
C :15個を超える輝点が全面に認められるが、一部輝点がない領域を有する
[偏光子の作製]
(1)偏光子1の作製
厚み20μm、重合度2400、ケン化度99.9%以上のポリビニルアルコールフィルムを、乾式で延伸倍率4.5倍に一軸延伸し、緊張状態を保ったまま、水100部あたりヨウ素0.05部及びヨウ化カリウム5部を含有する、28℃の染色浴に60秒間浸漬した。
次いで、水100部あたりホウ酸5.5部及びヨウ化カリウム15部を含有する、64℃のホウ酸水溶液1に110秒間浸漬した。次いで、水100部あたりホウ酸5.5部及びヨウ化カリウム15部を含有する、67℃のホウ酸水溶液2に30秒間浸漬した。その後、3℃の純水を用いて水洗し、乾燥して、偏光子1を得た。上記方法により測定した偏光子1のホウ素含有量は4.1質量%であった。偏光子の厚みは8μmであった。
(2)偏光子2の作製
厚み30μmのポリビニルアルコール系樹脂フィルム(平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上)を乾式延伸により約5倍に縦一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、温度60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.05/5/100である温度28℃の水溶液に60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が8.5/8.5/100である温度72℃の水溶液に300秒間浸漬した。引き続き温度26℃の純水で20秒間洗浄した後、温度65℃で乾燥処理を行って、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向している、厚み12μmの直線偏光子を得た。
[保護フィルムの作製・準備]
(1)第1保護フィルム1の準備
第1保護フィルム1として、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(コニカミノルタ株式会社製KC2UATAC、厚みT1:25μm)の片面に厚み7μmのハードコート層を形成したもの(厚みT1:32μm)を準備した。
(2)第2保護フィルム1の作製
支持基材として、厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)(東洋紡(株)製「TN100」、ノンシリコーン系剥離剤を含む離型層を有する)を用意した。また、下記成分を配合して、熱可塑性樹脂を含む組成物を調製した。
・環状ポリオレフィン系樹脂(日本ゼオン(株)製「ゼオノア ZF14」):10部
・シクロヘキサン:90部
支持基材の離型層上に、上記熱可塑性樹脂を含む組成物を、バックコート法によりダイを用いて塗布した後、40℃で1分、70℃で1分、120℃で2分の条件で塗布層を乾燥させることにより、第2保護フィルム1として厚みT2が2μmの環状ポリオレフィン系樹脂層を有する積層体を作製した。第2保護フィルム1の透湿度は63g/m2/24hrであった。
(3)第2保護フィルム2の作製
支持基材の離型層上への熱可塑性樹脂を含む組成物の塗布量を変更したこと以外は第2保護フィルム1の作製と同様にして、第2保護フィルム2として厚みT2が3μmの環状ポリオレフィン系樹脂層を有する積層体を作製した。第2保護フィルム2の透湿度は37g/m2/24hrであった。
(4)第2保護フィルム3の作製
支持基材の離型層上への熱可塑性樹脂を含む組成物の塗布量を変更したこと以外は第2保護フィルム1の作製と同様にして、第2保護フィルム3として厚みT2が4μmの環状ポリオレフィン系樹脂層を有する積層体を作製した。第2保護フィルム3の透湿度は19g/m2/24hrであった。
(5)第2保護フィルム4の準備
第2保護フィルム4として、厚みT2が13μmの環状ポリオレフィン系樹脂フィルムを準備した。第2保護フィルム4の透湿度は4.8g/m2/24hrであった。
(6)第2保護フィルム5の準備
第2保護フィルム5として、厚みが25μmのトリアセチルセルロースフィルムを準備した。第2保護フィルム5の透湿度は1280g/m2/24hrであった。
[活性エネルギー線硬化型接着剤の調製]
(1)活性エネルギー線硬化型接着剤1の調製
下記成分を配合して混合した後、脱泡して、活性エネルギー線硬化型接着剤1(以下、単に「接着剤1」という。)を調製した。
(カチオン重合性化合物)
・3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名:CEL2021P、株式会社ダイセル製):70部
・ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(商品名:EX-211、ナガセケムテックス株式会社製):20部
・2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(商品名:EX-121、ナガセケムテックス株式会社製):10部
(光カチオン重合開始剤)
・商品名:CPI-100(サンアプロ株式会社製、50%プロピレンカーボネート溶液):4.5部(実質固形分2.25部)
(光増感助剤)
・1,4-ジエトキシナフタレン:2部
[粘着剤層の作製]
両面が剥離フィルムに貼り合わせられた以下の粘着剤層1及び粘着剤層2を作製した。
(1)粘着剤層1の作製
以下の手順で粘着剤層1を作製した。粘着剤層1は、後述する実施例及び参考例では主として直線偏光板-位相子間粘接着剤層として用い、一部の例では位相子内粘接着剤層として用いる。
(1-1)アクリル系樹脂溶液1の調製
冷却管、窒素導入管、温度計、及び撹拌機を備えた反応容器に、酢酸エチル100部、アクリル酸ブチル99.0部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル0.5部、及びアクリル酸0.5部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げた。その後、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)0.12部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。重合開始剤を添加した後、1時間この温度で保持し、次いで内温を54~56℃に保ちながら酢酸エチルを添加速度17.3部/hrで反応容器内へ連続的に加え、アクリル系樹脂の濃度が35質量%となった時点で酢酸エチルの添加を止め、さらに酢酸エチルの添加開始から6時間経過するまでこの温度で保温した。最後に酢酸エチルを加えてアクリル系樹脂の濃度が20質量%となるように調節し、アクリル系樹脂溶液1を調製した。得られたアクリル系樹脂は、重量平均分子量Mwが170万であった。なお、Mwは、GPC装置にカラムとして、東ソー(株)製の「TSKgel GMHHR-H(S)」を2本直列につないで配置し、溶出液としてテトラヒドロフランを用い、試料濃度2mg/mL、試料導入量100μL、温度40℃、流速1mL/分の条件で、標準ポリスチレン換算により測定した。
(1-2)粘着剤組成物1の調製
上記(1-1)にて得られたアクリル系樹脂溶液1の固形分80部に対して、二官能アクリレート(新中村化学工業株式会社より入手;品番「A-DOG」)を20部(固形分)、架橋剤(三井化学製:商品名「D-101E」(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の酢酸エチル溶液(固形分濃度75質量%))を有効成分ベースで2.5部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:商品名「イルガキュア500」)を1.5部、シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製:商品名「KBM-403」)を0.3部添加し、さらに固形分濃度が13%となるように酢酸エチルを添加して粘着剤組成物1を得た。
A-DOGは、ヒドロキシピバルアルデヒドとトリメチロールプロパンとのアセタール化合物のジアクリレートであって、下式の構造を有する。
(1-3)粘着剤層1の作製
上記(1-2)で調製した粘着剤組成物1を、離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルムからなる剥離フィルム〔三菱ケミカル製:MRV(V04)(厚み:38μm)〕の離型処理面に、アプリケーターを用いて乾燥後の厚みT3が5μmとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥して粘着剤層(粘着剤シート)を作製した。次いで得られた粘着剤層の前記剥離フィルム側とは反対側の表面を、離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルムからなる剥離フィルム〔三菱ケミカル製:MRF(厚み:38μm)〕の離型処理面と貼合した。続けて紫外線を下記の条件で照射し、粘着剤層1を作製した。粘着剤層1の温度85℃での貯蔵弾性率G’は0.125MPaであった。
<UV照射条件>
・Fusion UVランプシステム(フュージョンUVシステムズ社製)Hバルブ使用・UV波長領域UVAの積算光量250mJ/cm2(測定器:FusionUV社製UV Power PuckIIによる測定値)
(2)粘着剤層2の作製
以下の手順でアクリル系粘着剤層2を作製した。粘着剤層2は帯電防止剤を含んでおり、後述する実施例及び参考例では位相子の直線偏光板側とは反対側に貼合する粘着剤層として用いる。
(2-1)アクリル系樹脂溶液2の調製
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌機を備えた反応容器に、アクリル酸n-ブチル42.5質量部、アクリル酸2-エチルヘキシル5質量部、アクリル酸メチル20質量部、アクリル酸2-メトキシエチル30質量部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル1.0質量部、及びアクリル酸1.5質量部を酢酸エチルで希釈したモノマー混合物を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げた。その後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを酢酸エチルに溶かした溶液を、モノマー総量100質量部に対してアゾビスイソブチロニトリルが0.3質量部となるように添加した。重合開始剤の添加後、55℃で1時間保持し、次に内温を54~56℃に保ちながら、添加速度17.3部/hrで酢酸エチルを反応容器内へ連続的に加え、アクリル樹脂の濃度が35%となった時点で酢酸エチルの添加を止め、さらに酢酸エチルの添加開始から12時間経過するまで55℃で保温した。その後、酢酸エチルを加えてアクリル樹脂の濃度が20%となるように調節し、アクリル系樹脂溶液2を調製した。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量Mwは158万であった。
(2-2)粘着剤組成物2の調製
・粘着剤組成物2-1
上記で得たアクリル系樹脂溶液2の固形分100質量部に対して、架橋剤として三井化学(株)製の商品名「D-103」(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の酢酸エチル溶液(固形分濃度75質量%)を有効成分ベースで0.5質量部、シラン化合物として信越化学工業(株)製の商品名「KBM-403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)を有効成分ベースで0.5質量部、及び、イオン性化合物としてトリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを有効成分ベースで0.54質量部添加し、さらに固形分濃度が14%となるように酢酸エチルを添加して、後述する粘着剤層「AS-PSA1」を作製するための粘着剤組成物2-1を得た。
・粘着剤組成物2-2
イオン性化合物をブチルメチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを有効成分ベースで0.47質量部に変更した以外は上記「(AS-PSA1)」の調製と同様にして、後述する粘着剤層「AS-PSA2」を作製するための粘着剤組成物2-2を得た。
・粘着剤組成物2-3
イオン性化合物を4-メチル-1-オクチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを有効成分ベースで0.51質量部に変更した以外は上記「(AS-PSA1)」の調製と同様にして、粘着剤層後述する「AS-PSA3」を作製するための粘着剤組成物2-3を得た。
・粘着剤組成物2-4
イオン性化合物を4-メチル-1-オクチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェートを有効成分ベースで0.41質量部に変更した以外は上記「(AS-PSA1)」の調製と同様にして、粘着剤層後述する「AS-PSA4」を作製するための粘着剤組成物2-4を得た。
(2-3)粘着剤層AS-PSA1、AS-PSA2、AS-PSA3、AS-PSA4の作製
上記で得た粘着剤組成物2-1を、剥離フィルム(1)(三菱ケミカル(株)製、商品名「MRV38(V04)」、厚さ:38μm)の剥離処理面上にアプリケーターを用いて乾燥後の厚さが15μmとなるように塗布した後、温度100℃で1分間乾燥して、厚さ15μmの粘着剤層(1)を得た。得られた粘着剤層(1)の剥離フィルム(1)とは反対側に、剥離フィルム(2)(三菱ケミカル(株)製、商品名「MRF38」、厚さ:38μm)を、その剥離処理面が粘着剤層(1)側となるように積層した。得られた積層体を温度23℃、相対湿度60%環境下に7日間以上静置し、粘着剤層AS-PSA1を得た。また、粘着剤組成物として粘着剤組成物2-2、2-3、2-4を用いたこと以外は上記と同様にして、それぞれ粘着剤層AS-PSA2、AS-PSA3、AS-PSA4を得た。なお、これらの粘着剤層AS-PSA1、AS-PSA2、AS-PSA3、AS-PSA4をまとめて「粘着剤層2」と呼ぶ。
[位相子の作製]
(1)位相差膜Aの作製
(1-1)光配向膜形成用組成物Aの調製
下記構造の光配向性材料(重量平均分子量:50000、m:n=50:50)は特開2021-196514号公報に記載の方法に準じて製造した。光配向性材料2部とシクロペンタノン(溶剤)98部とを成分として混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、光配向膜形成用組成物Aを調製した。
光配向性材料:
(1-2)重合性液晶化合物の製造
下記に示す構造を有する重合性液晶化合物(A1)及び重合性液晶化合物(A2)を、それぞれ調製した。重合性液晶化合物(A1)は、特開2019-003177号公報に記載の方法と同様に準備した。重合性液晶化合物(A2)は、特開2009-173893号公報に記載の方法と同様に準備した。
重合性液晶化合物(A1):
重合性液晶化合物(A2):
クロロホルム10mLに重合性液晶化合物(A1)1mgを溶解させて溶液を得た。得られた溶液を光路長1cmの測定用セルに測定用試料を入れ、測定用試料を紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製「UV-2450」)にセットして吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルから極大吸収度となる波長を読み取ったところ、波長300~400nmの範囲における極大吸収波長λmaxは356nmであった。
(1-3)位相差膜形成用組成物Aの調製
重合性液晶化合物(A1)及び重合性液晶化合物(A2)を質量比90:10で混合し、混合物を得た。得られた混合物100部に対して、レベリング剤「BYK-361N」(BM Chemie社製)0.1部と、光重合開始剤として「イルガキュアOXE-03」(BASFジャパン株式会社製)3部を添加した。さらに、固形分濃度が13%となるようにN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を添加した。この混合物を温度80℃で1時間撹拌することにより、位相差膜形成用組成物Aを調製した。
(1-4)位相差膜Aの作製
基材Aとして二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ダイアホイル;三菱樹脂(株)製)に、光配向膜形成用組成物Aをバーコーターにより塗布した。得られた塗布膜を120℃で2分間乾燥させた後、室温まで冷却して乾燥被膜を形成した。その後、UV照射装置(SPOT CURE SP-9;ウシオ電機株式会社製)を用いて、偏光紫外光100mJ(313nm基準)を照射し光配向膜Aを得た。日本分光株式会社製のエリプソメータ M-220を用いて測定した光配向膜Aの膜厚は100nmであった。
得られた光配向膜A上に、上記位相差膜形成用組成物Aをバーコーターにより塗布し、塗布膜を形成した。この塗布膜を120℃で2分間加熱乾燥後、室温まで冷却して乾燥被膜を得た。次いで、高圧水銀ランプ(ウシオ電機株式会社製「ユニキュアVB-15201BY-A」)を用いて、窒素雰囲気下にて露光量500mJ/cm2(365nm基準)の紫外光を前記乾燥被膜に照射することにより、重合性液晶化合物が基材面内に対して水平方向に配向した状態で硬化した位相差膜Aを形成し、基材A/光配向膜A/位相差膜Aからなる積層体Aを得た。オリンパス株式会社製のレーザー顕微鏡LEXT OLS4100を用いて測定した位相差膜Aの膜厚は2.0μmであった。
積層体Aの位相差膜Aの表面にコロナ処理を実施し、厚み25μmの粘着剤層(リンテック社製)を介してガラスに貼合し、基材Aを剥離、除去した。波長450nm、550nm及び650nmの光に対する面内位相差値を、波長448.2nm、498.6nm、548.4nm、587.3nm、628.7nm、748.6nmの光に対する面内位相差値の測定結果から得られたコーシーの分散公式より求めた。
その結果、面内位相差値は、Re(450)=122nm、Re(550)=140nm、Re(650)=144nmであり、各波長での面内位相差値の関係は以下の通りとなった。
Re(450)/Re(550)=0.87
Re(650)/Re(550)=1.03
(式中、Re(450)は波長450nmの光に対する面内位相差値を、Re(550)は波長550nmの光に対する面内位相差値を、Re(650)は波長650nmの光に対する面内位相差値を表す。)
(2)位相差膜Bの作製
(2-1)配向膜形成用組成物Bの調製
市販の配向性ポリマーであるサンエバーSE-610(日産化学工業株式会社製)に2-ブトキシエタノールを固形分量が1%になるよう加えて、配向膜形成用組成物Bを得た。
(2-2)位相差膜形成用組成物Bの調製
重合性液晶化合物Paliocolor LC242(BASFジャパン社製)100部と、レベリング剤「BYK-361N」(BYK-Chemie社製)0.1部と、光重合開始剤「Omnirad907」(IGM Resin B.V.社製)2.5部を混合した。さらに、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート(PGME)400部を添加し、得られた混合物を温度80℃で1時間撹拌することにより、位相差膜形成用組成物Bを調製した。
重合性液晶化合物LC242:
(2-3)位相差膜Bの作製
基材Bとして、環状オレフィン系樹脂(COP)フィルム(日本ゼオン株式会社製、ZF14)を用いて、その片面にコロナ処理装置(AGF-B10;春日電機株式会社製)を用いてコロナ処理を施し、その表面に配向膜形成用組成物Bを、バーコーターを用いて塗布し、90℃で1分間乾燥した。得られた配向膜Bの膜厚をレーザー顕微鏡で測定したところ、30nmであった。
得られた配向膜B上に位相差膜形成用組成物Bを、バーコーターを用いて塗布し、90℃で1分間乾燥して乾燥被膜を得た。高圧水銀ランプ(ウシオ電機株式会社製「ユニキュアVB-15201BY-A」)を用いて、窒素雰囲気下にて露光量1000mJ/cm2(365nm基準)の紫外光を前記乾燥被膜に照射することにより位相差膜Bを形成し、基材B/配向膜B/位相差膜Bからなる積層体Bを得た。オリンパス株式会社製のレーザー顕微鏡LEXT OLS4100を用いて測定した位相差膜Bの膜厚は450nmであった。
位相差値を測定したところ、Re(550)=1nm、Rth(550)=-75nmであった。積層体Bは、nx≒ny<nzで表される光学特性を有した。なお、COPの波長550nmにおける位相差値は略0であるため、当該光学特性には影響しない。
(3)位相子1の作製
積層体Aの位相差膜A及び積層体Bの位相差膜Bに、それぞれコロナ処理を施した。位相差膜A又は位相差膜Bのいずれか一方のコロナ処理面に接着剤を塗布して、積層体Aと積層体Bとを貼り合わせた。接着剤には、上記接着剤1を用いた。コロナ処理装置には、春日電機株式会社製のAGF-B10を用いた。コロナ処理は、上記コロナ処理装置を用いて、出力0.3kW、処理速度3m/分の条件で1回行った。積層体A側から紫外線を照射して接着剤1を硬化させて、厚み1.5μmの接着剤層1を形成した。紫外線は、波長320nm~390nmのUVAが420mJ/cm2となるように照射した。以上により、基材A/光配向膜A/位相差膜A/接着剤層1/位相差膜B/配向膜B/基材Bからなる基材付きの位相子1を作製した。
(4)位相子2の作製
位相子1の作製において、積層体Aと積層体Bとの貼り合わせに、接着剤1に代えて、粘着剤層1を用いて位相子を作製したこと以外は、位相子1と同様にして位相子2を作製した。以上により、基材A/光配向膜A/位相差膜A/粘着剤層1/位相差膜B/配向膜B/基材Bからなる基材付きの位相子2を作製した。
<実施例1~8、参考例9~12、比較例1>
上記で作製した第1保護フィルム1と、上記偏光子1~2から選択される偏光子と、上記第2保護フィルム1~5から選択される保護フィルムと、上記位相子1~2から選択される位相子とを貼合した。次いで、位相子における第2保護フィルム側とは反対側の面に粘着剤層を積層して、実施例1~8、参考例9~12及び比較例1の光学積層体を得た。具体的には次のとおりである。
第1保護フィルム及び第2保護フィルムの表面(第2保護フィルムを有する積層体を用いた場合は、該積層体の第2保護フィルムの表面)の一方面に、それぞれコロナ処理を施した。偏光子の一方の面に、水系接着剤を塗布し、第1保護フィルムを貼り合わせた。偏光子のもう一方の面に、水系接着剤を塗布し、第2保護フィルム(又は第2保護フィルムを有する積層体)を貼り合わせた。その後、乾燥させて偏光板を得た。前記水系接着剤は、水100部に対して、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール〔株式会社クラレから入手した商品名「KL-318」〕を3部溶解させ、水溶性エポキシ樹脂であるポリアミドエポキシ系添加剤〔田岡化学工業株式会社製の商品名「スミレーズレジン 650(30)」、固形分濃度30%の水溶液〕を1.5部添加したものである。以上により、第1保護フィルム/接着剤層/偏光子/接着剤層/第2保護フィルムからなる積層体X(直線偏光板)を得た。ここで、第2保護フィルムを有する積層体を用いた場合は、積層体Xは、第1保護フィルム/接着剤層/偏光子/接着剤層/第2保護フィルム/支持基材となる。
次に、上記積層体Xの第2保護フィルムの表面(積層体Xが支持基材を有する場合は、支持基材を剥離除去した表面)及び位相子の基材Aを剥離除去することにより露出した表面に、それぞれコロナ処理を施した。コロナ処理装置には、春日電機株式会社製のAGF-B10を用いた。コロナ処理は、上記コロナ処理装置を用いて、出力0.3kW、処理速度3m/分の条件で1回行った。積層体Xのコロナ処理面と位相子のコロナ処理面とを、上記粘着剤層1を介して貼り合わせた。その後、位相子の基材Bを剥離除去して、第1保護フィルム/接着剤層/偏光子/接着剤層/第2保護フィルム/粘着剤層1/光配向膜A/位相差膜A/位相子内粘接着剤層/位相差膜B/配向膜Bをこの順に含む積層体Yを得た。最後に、積層体Yの位相差膜B側の面に上記粘着剤層2を積層して、光学積層体を得た。得られた光学積層体を位相差測定装置(王子計測機器(株)製、KOBRA-WPR)を用いて評価したところ、位相子の面内位相差値、及び波長分散は、それぞれRe(550)=140nm、α=0.87であった。
実施例1~8、参考例9~12及び比較例1で使用した第1保護フィルム、偏光子、第2保護フィルム、位相子及び粘着剤層(位相子における第2保護フィルムとは反対側の面に積層される粘着剤層)の種類を下記表に示す。また、各光学積層体について行った、位相差変化量の評価及び金属腐食の評価の結果を下記表に示す。
表1及び表2に示した結果から、第2保護フィルムの透湿度が低く、かつ、粘着剤層が所定の帯電防止材を含んでいる場合に位相差特性の変化や金属腐食が十分に抑制されることが分かった(実施例1~8、参考例9~12と比較例1との比較)。また、位相子内粘接着剤層として粘着剤層1を用いた場合では、金属腐食の抑制度合いが少々弱まることが分かった(実施例7,参考例10,12)。また、第2保護フィルムの厚みが厚くなると、金属腐食の抑制度合いが少々弱まることが分かった(参考例9~12)。また、第2保護フィルムの厚みが薄くなりすぎると、金属腐食の抑制度合いが少々弱まることが分かった(実施例2,5)。