上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、半導体装置を提供する。半導体装置は、上面および下面を有し、第1導電型のドリフト領域が設けられた半導体基板を備えてよい。半導体装置は、前記半導体基板の前記下面に接する第2導電型のコレクタ領域と、前記半導体基板の前記上面に接して設けられ前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のエミッタ領域とを有するトランジスタ部を備えてよい。上記何れかの半導体装置は、前記半導体基板の下面に接する第1導電型のカソード領域を有するダイオード部を備えてよい。上記何れかの半導体装置において、前記ダイオード部におけるアバランシェ耐圧が、前記トランジスタ部におけるアバランシェ耐圧の0.7倍以上、1倍未満であってよい。
上記何れかの半導体装置において、前記ダイオード部が負性抵抗領域に到達するカソード電圧は、前記トランジスタ部が負性抵抗領域に到達するコレクタ電圧以上であってよい。
上記何れかの半導体装置において、前記ダイオード部および前記トランジスタ部は、前記半導体基板の上面において、配列方向に沿って間隔を有して配置された複数のトレンチ部を有してよい。
上記何れかの半導体装置において、前記トランジスタ部における少なくとも一部の前記トレンチ部は、前記配列方向において第1の間隔で配置されてよい。上記何れかの半導体装置において、前記ダイオード部における少なくとも一部の前記トレンチ部は、前記配列方向において前記第1の間隔よりも大きい第2の間隔で配置されていてよい。
上記何れかの半導体装置は、前記ダイオード部および前記トランジスタ部の間に配置され、複数の前記トレンチ部が設けられ、前記カソード領域および前記コレクタ領域の少なくとも一方を有する中間領域を備えてよい。上記何れかの半導体装置において、前記中間領域はトランジスタ側領域を有してよい。上記何れかの半導体装置において、当該トランジスタ側領域は前記トランジスタ部と接し、且つ、1つ以上の前記トレンチ部が前記第1の間隔で配置されてよい。
上記何れかの半導体装置は、前記ダイオード部および前記トランジスタ部の間に配置され、複数の前記トレンチ部が設けられ、前記カソード領域および前記コレクタ領域の少なくとも一方を有する中間領域を備えてよい。上記何れかの半導体装置において、前記中間領域はトランジスタ側領域を有してよい。上記何れかの半導体装置において、当該トランジスタ側領域は前記トランジスタ部と接し、且つ、1つ以上の前記トレンチ部が前記第1の間隔より小さい間隔で配置されてよい。
上記何れかの半導体装置において、前記境界位置が、前記トランジスタ側領域の1つ以上の前記トレンチ部のうち、最も前記ダイオード部側の前記トレンチ部の下方に配置されていてよい。
上記何れかの半導体装置において、前記トランジスタ側領域は、前記配列方向における間隔が、前記中間領域において最も小さい第1の前記トレンチ部および第2の前記トレンチ部を含んでよい。上記何れかの半導体装置において、前記境界位置は、前記第1のトレンチ部の下方から、前記第2のトレンチ部の下方までの領域に配置されていてよい。
上記何れかの半導体装置において、前記トランジスタ部における少なくとも一部の前記トレンチ部は、前記半導体基板の深さ方向において第1の長さを有してよい。上記何れかの半導体装置において、前記ダイオード部における少なくとも一部の前記トレンチ部は、前記深さ方向において前記第1の長さよりも大きい第2の長さを有してよい。
上記何れかの半導体装置は、前記ダイオード部および前記トランジスタ部の間に配置され、複数の前記トレンチ部が設けられ、前記カソード領域および前記コレクタ領域を有する中間領域を備えてよい。上記何れかの半導体装置において、前記中間領域は、前記トランジスタ部と接するトランジスタ側領域を有してよい。上記何れかの半導体装置において、前記トランジスタ側領域は、前記第1の長さの前記トレンチ部を有してよい。
上記何れかの半導体装置は、前記ダイオード部および前記トランジスタ部の間に配置され、複数の前記トレンチ部が設けられ、前記カソード領域および前記コレクタ領域を有する中間領域を備えてよい。上記何れかの半導体装置において、前記中間領域は、前記トランジスタ部と接するトランジスタ側領域を有してよい。上記何れかの半導体装置において、前記トランジスタ側領域は、前記第1の長さより小さい長さの前記トレンチ部を有してよい。
上記何れかの半導体装置において、前記トランジスタ部は、少なくとも一つの前記トレンチ部の下端に接して設けられた第2導電型の第1下端領域を有してよい。上記何れかの半導体装置において、前記ダイオード部の少なくとも一つの前記トレンチ部の下端は、第2導電型の領域に接していなくてよい。
上記何れかの半導体装置において、前記ダイオード部は、少なくとも一つの前記トレンチ部の下端に接して設けられ、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度が高い第1導電型の第2下端領域を有してよい。上記何れかの半導体装置において、前記トランジスタ部の少なくとも一つの前記トレンチ部の下端は、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度が高い第1導電型の領域に接していなくてよい。
上記何れかの半導体装置において、前記トランジスタ部は、前記エミッタ領域と前記ドリフト領域との間に設けられた第2導電型のベース領域を有してよい。上記何れかの半導体装置において、前記トランジスタ部は、前記ベース領域と前記ドリフト領域との間に設けられ、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型の蓄積領域を有してよい。上記何れかの半導体装置において、前記第2下端領域のドーピング濃度は、前記蓄積領域のドーピング濃度よりも低くてよい。
本発明の第2の態様においては、半導体装置を提供する。半導体装置は、上面および下面を有し、第1導電型のドリフト領域が設けられた半導体基板を備えてよい。半導体装置は、前記半導体基板の前記下面に接する第2導電型のコレクタ領域と、前記半導体基板の前記上面に接して設けられ前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のエミッタ領域とを有するトランジスタ部を備えてよい。上記何れかの半導体装置は、前記半導体基板の下面に接する第1導電型のカソード領域を有するダイオード部を備えてよい。上記何れかの半導体装置において、前記ダイオード部および前記トランジスタ部は、前記半導体基板の上面において、配列方向に沿って間隔を有して配置された複数のトレンチ部を有してよい。前記トランジスタ部は、少なくとも一つの前記トレンチ部の下端に接して設けられた第2導電型の第1下端領域を有してよい。上記何れかの半導体装置において、前記ダイオード部の少なくとも一つの前記トレンチ部の下端は、第2導電型の領域に接していなくてよい。
本発明の第3の態様においては、半導体基板にトランジスタ部およびダイオード部を有する半導体装置の製造方法を提供する。製造方法では、前記トランジスタ部および前記ダイオード部の耐圧が等しい、第1の前記半導体装置について、非クランプ誘電性スイッチング試験により前記半導体装置が破壊されない非破壊最大エネルギー密度を取得してよい。製造方法では、前記第1の前記半導体装置を基準とし、前記第1の半導体装置よりも前記非破壊最大エネルギー密度が大きくなるように、前記ダイオード部および前記トランジスタ部のアバランシェ耐圧の比を設定してよい。上記何れかの製造方法では、設定された前記アバランシェ耐圧の比を満たすように第2の前記半導体装置における前記トランジスタ部および前記ダイオード部を設計してよい。上記何れかの製造方法では、前記設計に基づいて第2の前記半導体装置を製造してよい。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
本明細書においては半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」の方向は、重力方向または半導体装置の実装時における方向に限定されない。
本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。直交座標軸は、構成要素の相対位置を特定するに過ぎず、特定の方向を限定するものではない。例えば、Z軸は地面に対する高さ方向を限定して示すものではない。なお、+Z軸方向と-Z軸方向とは互いに逆向きの方向である。正負を記載せず、Z軸方向と記載した場合、+Z軸および-Z軸に平行な方向を意味する。
本明細書では、半導体基板の上面および下面に平行な直交軸をX軸およびY軸とする。また、半導体基板の上面および下面と垂直な軸をZ軸とする。本明細書では、Z軸の方向を深さ方向と称する場合がある。また、本明細書では、X軸およびY軸を含めて、半導体基板の上面および下面に平行な方向を、水平方向と称する場合がある。
半導体基板の深さ方向における中心から、半導体基板の上面までの領域を、上面側と称する場合がある。同様に、半導体基板の深さ方向における中心から、半導体基板の下面までの領域を、下面側と称する場合がある。
本明細書において「同一」または「等しい」のように称した場合、製造ばらつき等に起因する誤差を有する場合も含んでよい。当該誤差は、例えば10%以内である。
本明細書においては、不純物がドーピングされたドーピング領域の導電型をP型またはN型として説明している。本明細書においては、不純物とは、特にN型のドナーまたはP型のアクセプタのいずれかを意味する場合があり、ドーパントと記載する場合がある。本明細書においては、ドーピングとは、半導体基板にドナーまたはアクセプタを導入し、N型の導電型を示す半導体またはP型の導電型を示す半導体とすることを意味する。
本明細書においては、ドーピング濃度とは、熱平衡状態におけるドナーの濃度またはアクセプタの濃度を意味する。本明細書においては、ネット・ドーピング濃度とは、ドナー濃度を正イオンの濃度とし、アクセプタ濃度を負イオンの濃度として、電荷の極性を含めて足し合わせた正味の濃度を意味する。一例として、ドナー濃度をND、アクセプタ濃度をNAとすると、任意の位置における正味のネット・ドーピング濃度はND-NAとなる。本明細書では、ネット・ドーピング濃度を単にドーピング濃度と記載する場合がある。
ドナーは、半導体に電子を供給する機能を有している。アクセプタは、半導体から電子を受け取る機能を有している。ドナーおよびアクセプタは、不純物自体には限定されない。例えば、半導体中に存在する空孔(V)、酸素(O)および水素(H)が結合したVOH欠陥は、電子を供給するドナーとして機能する。本明細書では、VOH欠陥を水素ドナーと称する場合がある。水素ドナーは、少なくとも空孔(V)および水素(H)が結合したドナーであってもよい。
本明細書において半導体基板は、N型のバルク・ドナーが全体に分布している。バルク・ドナーは、半導体基板の元となるインゴットの製造時に、インゴット内に略一様に含まれたドーパントによるドナーである。本例のバルク・ドナーは、水素以外の元素である。バルク・ドナーのドーパントは、例えばリン、アンチモン、ヒ素、セレンまたは硫黄であるが、これに限定されない。本例のバルク・ドナーは、リンである。バルク・ドナーは、P型の領域にも含まれている。半導体基板は、半導体のインゴットから切り出したウエハであってよく、ウエハを個片化したチップであってもよい。半導体のインゴットは、チョクラルスキー法(CZ法)、磁場印加型チョクラルスキー法(MCZ法)、フロートゾーン法(FZ法)のいずれかで製造されてよい。本例におけるインゴットは、MCZ法で製造されている。MCZ法で製造された基板に含まれる酸素濃度は1×1017~7×1017/cm3である。FZ法で製造された基板に含まれる酸素濃度は1×1015~5×1016/cm3である。酸素濃度が高い方が水素ドナーを生成しやすい傾向がある。バルク・ドナー濃度は、半導体基板の全体に分布しているバルク・ドナーの化学濃度を用いてよく、当該化学濃度の90%から100%の間の値であってもよい。また、半導体基板は、リン等のドーパントを含まないノンドープ基板を用いてもよい。その場合、ノンドーピング基板のバルク・ドナー濃度(D0)は例えば1×1010/cm3以上、5×1012/cm3以下である。ノンドーピング基板のバルク・ドナー濃度(D0)は、好ましくは1×1011/cm3以上である。ノンドーピング基板のバルク・ドナー濃度(D0)は、好ましくは5×1012/cm3以下である。尚、本発明における各濃度は、室温における値でよい。室温における値は、一例として300K(ケルビン)(約26.9℃)のときの値を用いてよい。
本明細書においてP+型またはN+型と記載した場合、P型またはN型よりもドーピング濃度が高いことを意味し、P-型またはN-型と記載した場合、P型またはN型よりもドーピング濃度が低いことを意味する。また、本明細書においてP++型またはN++型と記載した場合には、P+型またはN+型よりもドーピング濃度が高いことを意味する。本明細書の単位系は、特に断りがなければSI単位系である。長さの単位をcmで表示することがあるが、諸計算はメートル(m)に換算してから行ってよい。
本明細書において化学濃度とは、電気的な活性化の状態によらずに測定される不純物の原子密度を指す。化学濃度は、例えば二次イオン質量分析法(SIMS)により計測できる。上述したネット・ドーピング濃度は、電圧-容量測定法(CV法)により測定できる。また、拡がり抵抗測定法(SR法)により計測されるキャリア濃度を、ネット・ドーピング濃度としてよい。CV法またはSR法により計測されるキャリア濃度は、熱平衡状態における値としてよい。また、N型の領域においては、ドナー濃度がアクセプタ濃度よりも十分大きいので、当該領域におけるキャリア濃度を、ドナー濃度としてもよい。同様に、P型の領域においては、当該領域におけるキャリア濃度を、アクセプタ濃度としてもよい。本明細書では、N型領域のドーピング濃度をドナー濃度と称する場合があり、P型領域のドーピング濃度をアクセプタ濃度と称する場合がある。
ドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度分布がピークを有する場合、当該ピーク値を当該領域におけるドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度としてよい。ドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度がほぼ均一な場合等においては、当該領域におけるドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度の平均値をドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度としてよい。本明細書において、単位体積当りの濃度表示にatоms/cm3、または、/cm3を用いる。この単位は、半導体基板内のドナーまたはアクセプタ濃度、または、化学濃度に用いられる。atоms表記は省略してもよい。
SR法により計測されるキャリア濃度が、ドナーまたはアクセプタの濃度より低くてもよい。拡がり抵抗を測定する際に電流が流れる範囲において、半導体基板のキャリア移動度が結晶状態の値よりも低い場合がある。キャリア移動度の低下は、格子欠陥等による結晶構造の乱れ(ディスオーダー)により、キャリアが散乱されることで生じる。
CV法またはSR法により計測されるキャリア濃度から算出したドナーまたはアクセプタの濃度は、ドナーまたはアクセプタを示す元素の化学濃度よりも低くてよい。一例として、シリコンの半導体においてドナーとなるリンまたはヒ素のドナー濃度、あるいはアクセプタとなるボロン(ホウ素)のアクセプタ濃度は、これらの化学濃度の99%程度である。一方、シリコンの半導体においてドナーとなる水素のドナー濃度は、水素の化学濃度の0.1%から10%程度である。
図1は、本発明の一つの実施形態に係る半導体装置100の一例を示す上面図である。図1においては、各部材を半導体基板10の上面に投影した位置を示している。図1においては、半導体装置100の一部の部材だけを示しており、一部の部材は省略している。
半導体装置100は、半導体基板10を備えている。半導体基板10は、半導体材料で形成された基板である。一例として半導体基板10はシリコン基板である。半導体基板10は、上面視において端辺162を有する。本明細書で単に上面視と称した場合、半導体基板10の上面側から見ることを意味している。本例の半導体基板10は、上面視において互いに向かい合う2組の端辺162を有する。図1においては、X軸およびY軸は、いずれかの端辺162と平行である。またZ軸は、半導体基板10の上面と垂直である。
半導体基板10には活性部160が設けられている。活性部160は、半導体装置100が動作した場合に半導体基板10の上面と下面との間で、深さ方向に主電流が流れる領域である。活性部160の上方には、エミッタ電極が設けられているが図1では省略している。活性部160は、上面視においてエミッタ電極と重なる領域を指してよい。また、上面視において活性部160で挟まれる領域も、活性部160に含めてよい。
活性部160には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のトランジスタ素子を含むトランジスタ部70が設けられている。活性部160には、還流ダイオード(FWD)等のダイオード素子を含むダイオード部80が更に設けられていてもよい。図1の例では、半導体基板10の上面における所定の配列方向(本例ではX軸方向)に沿って、トランジスタ部70およびダイオード部80が交互に配置されている。本例の半導体装置100は逆導通型IGBT(RC-IGBT)である。
図1においては、トランジスタ部70が配置される領域には記号「I」を付し、ダイオード部80が配置される領域には記号「F」を付している。本明細書では、上面視において配列方向と垂直な方向を延伸方向(図1ではY軸方向)と称する場合がある。トランジスタ部70およびダイオード部80は、それぞれ延伸方向に長手を有してよい。つまり、トランジスタ部70のY軸方向における長さは、X軸方向における幅よりも大きい。同様に、ダイオード部80のY軸方向における長さは、X軸方向における幅よりも大きい。トランジスタ部70およびダイオード部80の延伸方向と、後述する各トレンチ部の長手方向とは同一であってよい。
ダイオード部80は、半導体基板10の下面と接する領域に、N+型のカソード領域を有する。本明細書では、カソード領域が設けられた領域を、ダイオード部80と称する。つまりダイオード部80は、上面視においてカソード領域と重なる領域である。半導体基板10の下面には、カソード領域以外の領域には、P+型のコレクタ領域が設けられてよい。本明細書では、ダイオード部80を、後述するゲート配線までY軸方向に延長した延長領域81も、ダイオード部80に含める場合がある。延長領域81の下面には、コレクタ領域が設けられている。
トランジスタ部70は、半導体基板10の下面と接する領域に、P+型のコレクタ領域を有する。また、トランジスタ部70は、半導体基板10の上面側に、N型のエミッタ領域、P型のベース領域、ゲート導電部およびゲート絶縁膜を有するゲート構造が周期的に配置されている。
半導体装置100は、半導体基板10の上方に1つ以上のパッドを有してよい。本例の半導体装置100は、ゲートパッド164を有している。半導体装置100は、アノードパッド、カソードパッドおよび電流検出パッド等のパッドを有してもよい。各パッドは、端辺162の近傍に配置されている。端辺162の近傍とは、上面視における端辺162と、エミッタ電極との間の領域を指す。半導体装置100の実装時において、各パッドは、ワイヤ等の配線を介して外部の回路に接続されてよい。
ゲートパッド164には、ゲート電位が印加される。ゲートパッド164は、活性部160のゲートトレンチ部の導電部に電気的に接続される。半導体装置100は、ゲートパッド164とゲートトレンチ部とを接続するゲート配線を備える。図1においては、ゲート配線に斜線のハッチングを付している。
本例のゲート配線は、外周ゲート配線130と、活性側ゲート配線131とを有している。外周ゲート配線130は、上面視において活性部160と半導体基板10の端辺162との間に配置されている。本例の外周ゲート配線130は、上面視において活性部160を囲んでいる。上面視において外周ゲート配線130に囲まれた領域を活性部160としてもよい。また、ゲート配線の下方には、ウェル領域が形成されている。ウェル領域とは、後述するベース領域よりも高濃度のP型領域であり、半導体基板10の上面からベース領域よりも深い位置まで形成されている。上面視においてウェル領域で囲まれる領域を活性部160としてもよい。
外周ゲート配線130は、ゲートパッド164と接続されている。外周ゲート配線130は、半導体基板10の上方に配置されている。外周ゲート配線130は、アルミニウム等を含む金属配線であってよい。
活性側ゲート配線131は、活性部160に設けられている。活性部160に活性側ゲート配線131を設けることで、半導体基板10の各領域について、ゲートパッド164からの配線長のバラツキを低減できる。
外周ゲート配線130および活性側ゲート配線131は、活性部160のゲートトレンチ部と接続される。外周ゲート配線130および活性側ゲート配線131は、半導体基板10の上方に配置されている。外周ゲート配線130および活性側ゲート配線131は、不純物がドープされたポリシリコン等の半導体で形成された配線であってよい。
活性側ゲート配線131は、外周ゲート配線130と接続されてよい。本例の活性側ゲート配線131は、活性部160を挟む一方の外周ゲート配線130から他方の外周ゲート配線130まで、活性部160をY軸方向の略中央で横切るように、X軸方向に延伸して設けられている。活性側ゲート配線131により活性部160が分割されている場合、それぞれの分割領域において、トランジスタ部70およびダイオード部80がX軸方向に交互に配置されてよい。
半導体装置100は、ポリシリコン等で形成されたPN接合ダイオードである不図示の温度センス部や、活性部160に設けられたトランジスタ部の動作を模擬する不図示の電流検出部を備えてもよい。
本例の半導体装置100は、上面視において、活性部160と端辺162との間に、エッジ終端構造部90を備える。本例のエッジ終端構造部90は、外周ゲート配線130と端辺162との間に配置されている。エッジ終端構造部90は、半導体基板10の上面側の電界集中を緩和する。エッジ終端構造部90は、活性部160を囲んで環状に設けられたガードリング、フィールドプレートおよびリサーフのうちの少なくとも一つを備えていてよい。
図2は、図1における領域Dの拡大図である。領域Dは、トランジスタ部70、ダイオード部80、および、活性側ゲート配線131を含む領域である。本例の半導体装置100は、トランジスタ部70およびダイオード部80の間に接続領域190を備える。本例の半導体装置100は、半導体基板10の上面側の内部に設けられたゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、ウェル領域11、エミッタ領域12、ベース領域14およびコンタクト領域15を備える。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、それぞれがトレンチ部の一例である。また、本例の半導体装置100は、半導体基板10の上面の上方に設けられたエミッタ電極52および活性側ゲート配線131を備える。エミッタ電極52および活性側ゲート配線131は互いに分離して設けられる。
エミッタ電極52および活性側ゲート配線131と、半導体基板10の上面との間には層間絶縁膜が設けられるが、図2では省略している。本例の層間絶縁膜には、コンタクトホール54が、当該層間絶縁膜を貫通して設けられる。図2においては、それぞれのコンタクトホール54に斜線のハッチングを付している。
エミッタ電極52は、ゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、ウェル領域11、エミッタ領域12、ベース領域14およびコンタクト領域15の上方に設けられる。エミッタ電極52は、コンタクトホール54を通って、半導体基板10の上面におけるエミッタ領域12、コンタクト領域15およびベース領域14と接触する。また、エミッタ電極52は、層間絶縁膜に設けられたコンタクトホールを通って、ダミートレンチ部30内のダミー導電部と接続される。エミッタ電極52は、Y軸方向におけるダミートレンチ部30の先端において、ダミートレンチ部30のダミー導電部と接続されてよい。ダミートレンチ部30のダミー導電部は、エミッタ電極52およびゲート導電部と接続されなくてよく、エミッタ電極52の電位およびゲート導電部の電位とは異なる電位に制御されてもよい。
活性側ゲート配線131は、層間絶縁膜に設けられたコンタクトホールを通って、ゲートトレンチ部40と接続する。活性側ゲート配線131は、Y軸方向におけるゲートトレンチ部40の先端部41において、ゲートトレンチ部40のゲート導電部と接続されてよい。活性側ゲート配線131は、ダミートレンチ部30内のダミー導電部とは接続されない。
エミッタ電極52は、金属を含む材料で形成される。図2においては、エミッタ電極52が設けられる範囲を示している。例えば、エミッタ電極52の少なくとも一部の領域はアルミニウムまたはアルミニウム‐シリコン合金、例えばAlSi、AlSiCu等の金属合金で形成される。エミッタ電極52は、アルミニウム等で形成された領域の下層に、チタンやチタン化合物等で形成されたバリアメタルを有してよい。さらにコンタクトホール内において、バリアメタルとアルミニウム等に接するようにタングステン等を埋め込んで形成されたプラグを有してもよい。
ウェル領域11は、活性側ゲート配線131と重なって設けられている。ウェル領域11は、活性側ゲート配線131と重ならない範囲にも、所定の幅で延伸して設けられている。本例のウェル領域11は、コンタクトホール54のY軸方向の端から、活性側ゲート配線131側に離れて設けられている。ウェル領域11は、ベース領域14よりもドーピング濃度の高い第2導電型の領域である。ウェル領域11は、半導体基板10の上面からトレンチ部の下端よりも深くまで形成されてよい。本例のベース領域14はP型であり、ウェル領域11はP+型である。
トランジスタ部70、接続領域190およびダイオード部80のそれぞれは、配列方向に複数配列されたトレンチ部を有する。本例のトランジスタ部70には、配列方向に沿って1以上のゲートトレンチ部40と、1以上のダミートレンチ部30とが交互に設けられている。本例の接続領域190には、配列方向に沿って複数のダミートレンチ部30が設けられている。本例のダイオード部80には、複数のダミートレンチ部30が、配列方向に沿って設けられている。本例の接続領域190およびダイオード部80には、ゲートトレンチ部40が設けられていないが、接続領域190およびダイオード部80にはゲートトレンチ部40が設けられていてもよい。
本例のゲートトレンチ部40は、配列方向と垂直な延伸方向に沿って延伸する2つの直線部分39(延伸方向に沿って直線状であるトレンチ部の部分)と、2つの直線部分39を接続する先端部41を有してよい。図2における延伸方向はY軸方向である。
先端部41の少なくとも一部は、上面視において曲線状に設けられることが好ましい。2つの直線部分39のY軸方向における端部どうしを先端部41が接続することで、直線部分39の端部における電界集中を緩和できる。
トランジスタ部70において、ダミートレンチ部30はゲートトレンチ部40のそれぞれの直線部分39の間に設けられる。それぞれの直線部分39の間には、1本のダミートレンチ部30が設けられてよく、複数本のダミートレンチ部30が設けられていてもよい。ダミートレンチ部30は、延伸方向に延伸する直線形状を有してよく、ゲートトレンチ部40と同様に、直線部分29と先端部31とを有していてもよい。図2に示した半導体装置100は、先端部31を有さない直線形状のダミートレンチ部30と、先端部31を有するダミートレンチ部30の両方を含んでいる。
ウェル領域11の拡散深さは、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の深さよりも深くてよい。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30のY軸方向の端部は、上面視においてウェル領域11に設けられる。つまり、各トレンチ部のY軸方向の端部において、各トレンチ部の深さ方向の底部は、ウェル領域11に覆われている。これにより、各トレンチ部の当該底部における電界集中を緩和できる。
配列方向において各トレンチ部の間には、メサ部が設けられている。メサ部は、半導体基板10の内部において、トレンチ部に挟まれた領域を指す。一例としてメサ部の上端は半導体基板10の上面である。メサ部の下端の深さ位置は、トレンチ部の下端の深さ位置と同一である。本例のメサ部は、半導体基板10の上面において、トレンチに沿って延伸方向(Y軸方向)に延伸して設けられている。本例では、トランジスタ部70にはメサ部60が設けられ、ダイオード部80にはメサ部61が設けられ、接続領域190にはメサ部62が設けられている。本明細書において単にメサ部と称した場合、メサ部60、メサ部61およびメサ部62のそれぞれを指している。
それぞれのメサ部には、ベース領域14が設けられる。メサ部において半導体基板10の上面に露出したベース領域14のうち、活性側ゲート配線131に最も近く配置された領域をベース領域14-eとする。図2においては、それぞれのメサ部の延伸方向における一方の端部に配置されたベース領域14-eを示しているが、それぞれのメサ部の他方の端部にもベース領域14-eが配置されている。それぞれのメサ部には、上面視においてベース領域14-eに挟まれた領域に、第1導電型のエミッタ領域12および第2導電型のコンタクト領域15の少なくとも一方が設けられてよい。本例のエミッタ領域12はN+型であり、コンタクト領域15はP+型である。エミッタ領域12およびコンタクト領域15は、深さ方向において、ベース領域14と半導体基板10の上面との間に設けられてよい。
トランジスタ部70のメサ部60は、半導体基板10の上面に露出したエミッタ領域12を有する。エミッタ領域12は、ゲートトレンチ部40に接して設けられている。ゲートトレンチ部40に接するメサ部60には、半導体基板10の上面に露出したコンタクト領域15が設けられていてよい。
メサ部60におけるコンタクト領域15およびエミッタ領域12のそれぞれは、X軸方向における一方のトレンチ部から、他方のトレンチ部まで設けられる。一例として、メサ部60のコンタクト領域15およびエミッタ領域12は、トレンチ部の延伸方向(Y軸方向)に沿って交互に配置されている。
他の例においては、メサ部60のコンタクト領域15およびエミッタ領域12は、トレンチ部の延伸方向(Y軸方向)に沿ってストライプ状に設けられていてもよい。例えばトレンチ部に接する領域にエミッタ領域12が設けられ、エミッタ領域12に挟まれた領域にコンタクト領域15が設けられる。
ダイオード部80のメサ部61および接続領域190のメサ部62には、エミッタ領域12が設けられていない。メサ部61およびメサ部62の上面には、ベース領域14およびコンタクト領域15が設けられてよい。メサ部61およびメサ部62の上面においてベース領域14-eに挟まれた領域には、それぞれのベース領域14-eに接してコンタクト領域15が設けられてよい。メサ部61の上面においてコンタクト領域15に挟まれた領域には、ベース領域14が設けられてよい。ベース領域14は、コンタクト領域15に挟まれた領域全体に配置されてよい。
それぞれのメサ部の上方には、コンタクトホール54が設けられている。コンタクトホール54は、ベース領域14-eに挟まれた領域に配置されている。本例のコンタクトホール54は、コンタクト領域15、ベース領域14およびエミッタ領域12の各領域の上方に設けられる。コンタクトホール54は、ベース領域14-eおよびウェル領域11に対応する領域には設けられない。コンタクトホール54は、メサ部60の配列方向(X軸方向)における中央に配置されてよい。
ダイオード部80において、半導体基板10の下面と隣接する領域には、N+型のカソード領域82が設けられる。半導体基板10の下面において、カソード領域82が設けられていない領域には、P+型のコレクタ領域22が設けられてよい。接続領域190において、半導体基板10の下面と隣接する領域には、カソード領域82が設けられてよく、コレクタ領域22が設けられてよく、カソード領域82およびコレクタ領域22の両方が設けられてもよい。カソード領域82およびコレクタ領域22は、半導体基板10の下面23と、バッファ領域20との間に設けられている。図2においては、カソード領域82およびコレクタ領域22の境界を点線で示している。
カソード領域82は、Y軸方向においてウェル領域11から離れて配置されている。これにより、比較的にドーピング濃度が高く、且つ、深い位置まで形成されているP型の領域(ウェル領域11)と、カソード領域82との距離を確保して、耐圧を向上できる。本例のカソード領域82のY軸方向における端部は、コンタクトホール54のY軸方向における端部よりも、ウェル領域11から離れて配置されている。他の例では、カソード領域82のY軸方向における端部は、ウェル領域11とコンタクトホール54との間に配置されていてもよい。
図3は、図2におけるe-e断面の一例を示す図である。図3においては参考例に係る構造を示している。e-e断面は、エミッタ領域12およびカソード領域82を通過するXZ面である。e-e断面には、トランジスタ部70、接続領域190およびダイオード部80が含まれる。本例の半導体装置100は、当該断面において、半導体基板10、層間絶縁膜38、エミッタ電極52およびコレクタ電極24を有する。
層間絶縁膜38は、半導体基板10の上面に設けられている。層間絶縁膜38は、ホウ素またはリン等の不純物が添加されたシリケートガラス等の絶縁膜、熱酸化膜、および、その他の絶縁膜の少なくとも一層を含む膜である。層間絶縁膜38には、図2において説明したコンタクトホール54が設けられている。
エミッタ電極52は、層間絶縁膜38の上方に設けられる。エミッタ電極52は、層間絶縁膜38のコンタクトホール54を通って、半導体基板10の上面21と接触している。コレクタ電極24は、半導体基板10の下面23に設けられる。エミッタ電極52およびコレクタ電極24は、アルミニウム等の金属材料で形成されている。本明細書において、エミッタ電極52とコレクタ電極24とを結ぶ方向(Z軸方向)を深さ方向と称する。
半導体基板10は、N型またはN-型のドリフト領域18を有する。ドリフト領域18は、トランジスタ部70、ダイオード部80および接続領域190のそれぞれに設けられている。
トランジスタ部70のメサ部60には、N+型のエミッタ領域12およびP型のベース領域14が、半導体基板10の上面21側から順番に設けられている。ベース領域14の下方にはドリフト領域18が設けられている。メサ部60には、N+型の蓄積領域16が設けられてもよい。蓄積領域16は、ベース領域14とドリフト領域18との間に配置される。
エミッタ領域12は半導体基板10の上面21に露出しており、且つ、ゲートトレンチ部40と接して設けられている。エミッタ領域12は、メサ部60の両側のトレンチ部と接していてよい。エミッタ領域12は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度が高い。コンタクト領域15を通過するXZ面においては、エミッタ領域12に代えてコンタクト領域15が設けられている。
ベース領域14は、エミッタ領域12の下方に設けられている。本例のベース領域14は、エミッタ領域12と接して設けられている。ベース領域14は、メサ部60の両側のトレンチ部と接していてよい。
蓄積領域16は、ベース領域14の下方に設けられている。蓄積領域16は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度が高いN+型の領域である。すなわち蓄積領域16は、ドナー濃度がドリフト領域18よりも高い。ドリフト領域18とベース領域14との間に高濃度の蓄積領域16を設けることで、キャリア注入促進効果(IE効果)を高めて、オン電圧を低減できる。蓄積領域16は、各メサ部60におけるベース領域14の下面全体を覆うように設けられてよい。
ダイオード部80のメサ部61には、半導体基板10の上面21に接して、P型のベース領域14が設けられている。ベース領域14の下方には、ドリフト領域18が設けられている。メサ部61において、ベース領域14の下方に蓄積領域16が設けられていてもよい。またメサ部61における上面21には、コンタクトホール54の下方にコンタクト領域15が設けられてもよい。コンタクト領域15を設けることで、メサ部61とエミッタ電極52との接触抵抗を低減できる。
接続領域190のメサ部62には、半導体基板10の上面21に接して、P型のベース領域14が設けられている。ベース領域14の下方には、ドリフト領域18が設けられている。メサ部62において、ベース領域14の下方に蓄積領域16が設けられていてもよい。またメサ部62における上面21には、コンタクトホール54の下方にコンタクト領域15が設けられてもよい。
トランジスタ部70、ダイオード部80および接続領域190のそれぞれにおいて、ドリフト領域18の下にはN+型のバッファ領域20が設けられてよい。バッファ領域20のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。バッファ領域20は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度の高い濃度ピークを有してよい。濃度ピークのドーピング濃度とは、濃度ピークの頂点におけるドーピング濃度を指す。また、ドリフト領域18のドーピング濃度は、ドーピング濃度分布がほぼ平坦な領域におけるドーピング濃度の平均値を用いてよい。
バッファ領域20は、半導体基板10の深さ方向(Z軸方向)において、2つ以上の濃度ピークを有してよい。バッファ領域20の濃度ピークは、例えば水素(プロトン)またはリンの化学濃度ピークと同一の深さ位置に設けられていてよい。バッファ領域20は、ベース領域14の下端から広がる空乏層が、P+型のコレクタ領域22およびN+型のカソード領域82に到達することを防ぐフィールドストップ層として機能してよい。
トランジスタ部70において、バッファ領域20の下には、P+型のコレクタ領域22が設けられる。コレクタ領域22のアクセプタ濃度は、ベース領域14のアクセプタ濃度より高い。コレクタ領域22は、ベース領域14と同一のアクセプタを含んでよく、異なるアクセプタを含んでもよい。コレクタ領域22のアクセプタは、例えばボロンである。
ダイオード部80において、バッファ領域20の下には、N+型のカソード領域82が設けられる。接続領域190において、バッファ領域20の下には、コレクタ領域22が設けられてよく、カソード領域82が設けられてもよい。本例では、全てのメサ部62の下方にコレクタ領域22が設けられている。
カソード領域82のドナー濃度は、ドリフト領域18のドナー濃度より高い。カソード領域82のドナーは、例えば水素またはリンである。なお、各領域のドナーおよびアクセプタとなる元素は、上述した例に限定されない。コレクタ領域22およびカソード領域82は、半導体基板10の下面23に露出しており、コレクタ電極24と接続している。コレクタ電極24は、半導体基板10の下面23全体と接触してよい。エミッタ電極52およびコレクタ電極24は、アルミニウム等の金属材料で形成される。
半導体基板10の上面21側には、1以上のゲートトレンチ部40、および、1以上のダミートレンチ部30が、X軸方向において間隔を有して設けられる。各トレンチ部は、半導体基板10の上面21から、ベース領域14を貫通して、ベース領域14の下方まで設けられている。エミッタ領域12、コンタクト領域15および蓄積領域16の少なくともいずれかが設けられている領域においては、各トレンチ部はこれらのドーピング領域も貫通している。トレンチ部がドーピング領域を貫通するとは、ドーピング領域を形成してからトレンチ部を形成する順序で製造したものに限定されない。トレンチ部を形成した後に、トレンチ部の間にドーピング領域を形成したものも、トレンチ部がドーピング領域を貫通しているものに含まれる。
上述したように、トランジスタ部70には、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30が設けられている。ダイオード部80および接続領域190には、ダミートレンチ部30が設けられ、ゲートトレンチ部40が設けられていない。
ゲートトレンチ部40は、半導体基板10の上面21に設けられたゲートトレンチ、ゲート絶縁膜42およびゲート導電部44を有する。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁を覆って設けられる。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁の半導体を酸化または窒化して形成してよい。ゲート導電部44は、ゲートトレンチの内部においてゲート絶縁膜42よりも内側に設けられる。つまりゲート絶縁膜42は、ゲート導電部44と半導体基板10とを絶縁する。ゲート導電部44は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。
ゲート導電部44は、深さ方向において、ベース領域14よりも長く設けられてよい。当該断面におけるゲートトレンチ部40は、半導体基板10の上面21において層間絶縁膜38により覆われる。ゲート導電部44は、ゲート配線に電気的に接続されている。ゲート導電部44に所定のゲート電圧が印加されると、ベース領域14のうちゲートトレンチ部40に接する界面の表層に電子の反転層によるチャネルが形成される。
ダミートレンチ部30は、当該断面において、ゲートトレンチ部40と同一の構造を有してよい。ダミートレンチ部30は、半導体基板10の上面21に設けられたダミートレンチ、ダミー絶縁膜32およびダミー導電部34を有する。ダミー導電部34は、エミッタ電極52に電気的に接続されている。ダミー絶縁膜32は、ダミートレンチの内壁を覆って設けられる。ダミー導電部34は、ダミートレンチの内部に設けられ、且つ、ダミー絶縁膜32よりも内側に設けられる。ダミー絶縁膜32は、ダミー導電部34と半導体基板10とを絶縁する。ダミー導電部34は、ゲート導電部44と同一の材料で形成されてよい。例えばダミー導電部34は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。ダミー導電部34は、深さ方向においてゲート導電部44と同一の長さを有してよい。
本例のゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、半導体基板10の上面21において層間絶縁膜38により覆われている。なお、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40の底部は、下側に凸の曲面状(断面においては曲線状)であってよい。本明細書では、ゲートトレンチ部40の下端の深さ位置をZtとする。
図3の参考例においては、X軸方向における各トレンチ部の間隔(すなわち、各メサ部の幅)は同一である。また、Z軸方向における各トレンチ部の深さ(すなわち、下端位置Zt)も同一である。本例のようなトレンチ部を有する半導体装置100では、高電圧が印加されたときに、電界が集中するトレンチ部の下端近傍においてアバランシェ降伏が発生しやすい。トランジスタ部70の下面23にはP型のコレクタ領域22が設けられており、例えばベース領域14-ドリフト領域18-コレクタ領域22で構成されるPNPトランジスタが形成されている。トランジスタ部70とダイオード部80とでトレンチ部の間隔および深さ等の構造が同一の場合、PNPトランジスタの電流増幅の影響で、トランジスタ部70のアバランシェ耐圧がダイオード部80のアバランシェ耐圧よりも低くなる。アバランシェ耐圧とは、コレクタ電極24とエミッタ電極52との間の電圧を徐々に上昇させて、それぞれの電圧を十分長い時間印加した場合に、いずれかの箇所でアバランシェ降伏が最初に発生する電圧を指す。つまりアバランシェ耐圧は、静的な耐圧を指す。
図4は、参考例に係るトランジスタ部70およびダイオード部80の、電流密度-電圧特性の一例である。図4においては、ゲート電圧を0V以下とした場合にトランジスタ部70のコレクタ電圧を徐々に上昇させた場合のコレクタ電流の推移と、ダイオード部80のカソード電圧を徐々に上昇させた場合のカソード電流の推移を示している。コレクタ電圧およびカソード電圧は、コレクタ電極24とエミッタ電極52との間の電圧である。コレクタ電流およびカソード電流は、コレクタ電極24に流れる電流である。
トランジスタ部70のコレクタ電圧が、トランジスタ部70のアバランシェ耐圧Va_tに達すると、トランジスタ部70において耐圧が低い箇所でアバランシェ降伏が発生してコレクタ電流が急激に上昇する。同様に、ダイオード部80のカソード電圧が、ダイオード部80のアバランシェ耐圧Va_dに達すると、ダイオード部80でアバランシェ降伏が発生してカソード電流が急激に上昇する。トランジスタ部70のアバランシェ耐圧Va_tと、ダイオード部80のアバランシェ耐圧Va_dの両方が、半導体装置100の耐圧の仕様値V0より大きくなるように半導体装置100が設計される。
トランジスタ部70のアバランシェ耐圧Va_tは、図5に示す電流密度-電圧特性において、コレクタ電流の増加に対してコレクタ電圧がほぼ一定(平坦)となっている部分の電圧のうち、最小の電圧であると定義してよい。電流密度-電圧特性は、室温(25℃)の周囲温度環境で測定してよい。ダイオード部80のアバランシェ耐圧Va_dは、図5に示す電流密度-電圧特性において、カソード電圧がほぼ一定(平坦)となっている部分の電圧のうち、最小の電圧であると定義してよい。ほぼ平坦とは、例えば電流が100倍変動しているのに対して、電圧の変動が20V以下であることを指す。
他の定義方法の例として、トランジスタ部70のアバランシェ耐圧Va_tは、図5に示す電流密度-電圧特性において、コレクタ電圧の波形がコレクタ電流の増加に対してほぼ一定(平坦)となっている部分の電圧のうち、予め設定したコレクタ電流の値におけるコレクタ電圧の値であると定義してもよい。ダイオード部80のアバランシェ耐圧Va_dは、図5に示す電流密度-電圧特性において、カソード電流の増加に対してカソード電圧がほぼ一定(平坦)となっている部分の電圧のうち、予め設定したカソード電流の値におけるカソード電圧の値であると定義してもよい。一例として、図5に示す電流密度-電圧特性において、コレクタ電流またはカソード電流が1×10-3(A/cm2)の場合におけるコレクタ電圧またはカソード電圧を、アバランシェ耐圧Va_tまたはアバランシェ耐圧Va_dとしてよい。予め設定したコレクタ電流またはカソード電流の値は、図5に示す電流密度-電圧特性において、1×10-4(A/cm2)以上であってよく、1×100(A/cm2)以下であってよい。
トランジスタ部70においてアバランシェ降伏が発生し、コレクタ電流の電流密度が増大して負性抵抗領域に到達すると、電流増大が抑制できなくなり、半導体装置100が破壊される。ダイオード部80においても同様に、カソード電流の電流密度が負性抵抗領域(図4では省略している)に到達すると、電流増大が抑制できなくなり、半導体装置100が破壊される。
トランジスタ部70においては、アバランシェ降伏が発生する電圧Va_tから、負性抵抗領域に到達する電圧Vn_tまでに上昇可能な電圧(Vn_t-Va_t)が数V程度であり、上昇可能なコレクタ電流も小さい。半導体基板10の温度が上昇すれば、負性抵抗領域に到達する電圧Vn_tも上昇し得るが、トランジスタ部70では、アバランシェ降伏から負性抵抗領域に到達するまでに上昇できる電圧および電流が小さいため、半導体基板10の温度を十分に上昇させることができず、負性抵抗領域に容易に到達してしまう。
一方で、ダイオード部80においては、アバランシェ降伏が発生する電圧Va_dから、負性抵抗領域に到達する電圧Vn_dまでに上昇可能な電圧(ΔV=Vn_d-Va_d)が比較的に大きく、上昇可能なカソード電流も比較的に大きい。このためダイオード部80は、トランジスタ部70に比べて、アバランシェ降伏が発生した場合であっても負性抵抗領域に到達しにくく、半導体装置100の破壊を抑制できる。
ダイオード部80が負性抵抗領域に到達する電圧Vn_dとは、ダイオード部80のカソード電流が増大した場合に、カソード電圧が増大から減少に転じる電圧である。電圧Vn_dは、図5に示す特性において、カソード電圧の最大値であってもよい。トランジスタ部70が負性抵抗領域に到達する電圧Vn_tとは、トランジスタ部70のコレクタ電流が増大した場合に、コレクタ電圧(コレクタ-エミッタ間電圧)が増大から減少に転じる電圧である。電圧Vn_tは、図5に示す特性において、コレクタ電圧の最大値であってもよい。
図4に示す参考例では、トランジスタ部70のアバランシェ耐圧Va_tが、ダイオード部80のアバランシェ耐圧Va_dよりも小さい。このためトランジスタ部70が先にアバランシェ降伏する。トランジスタ部70がアバランシェ降伏すると、瞬時に負性抵抗領域に到達してしまい、半導体装置100が破壊されてしまう。
図5は、実施例に係るトランジスタ部70およびダイオード部80の、電流密度-電圧特性の一例である。本例のダイオード部80におけるアバランシェ耐圧Va_dは、トランジスタ部70におけるアバランシェ耐圧Va_tより小さい。これにより、トランジスタ部70よりも先にダイオード部80でアバランシェ降伏を発生させることができる。このため、アバランシェ降伏が発生した場合に、瞬時に負性抵抗領域に到達することを抑制できる。
本例においてダイオード部80におけるアバランシェ耐圧Va_dは、トランジスタ部70におけるアバランシェ耐圧Va_tの0.7倍以上、1倍未満である。ダイオード部80のアバランシェ耐圧Va_dを小さくすることで、トランジスタ部70におけるアバランシェ降伏を抑制しやすくなる。アバランシェ耐圧Va_dは、アバランシェ耐圧Va_tの0.98倍以下であってよく、0.96倍以下であってよく、0.9倍以下であってもよい。ダイオード部80のアバランシェ耐圧Va_dを小さくしすぎると、半導体装置100のアバランシェ耐圧が低くなってしまう。アバランシェ耐圧Va_dは、アバランシェ耐圧Va_tの0.75倍以上であってよく、0.8倍以上であってよく、0.85倍以上であってもよい。
ダイオード部80のアバランシェ耐圧Va_dは、半導体装置100のアバランシェ耐圧V0の仕様値よりも大きい。アバランシェ耐圧Va_dは、アバランシェ耐圧の仕様値V0とトランジスタ部70におけるアバランシェ耐圧Va_tとの平均値よりも大きくてよい。ダイオード部80のアバランシェ耐圧Va_dは、ダイオード部80におけるトレンチ部のX軸方向の間隔(またはメサ部61のX軸方向の幅)、および、ダイオード部80のトレンチ部の深さ等により調整できる。
ダイオード部80が負性抵抗領域に到達する電圧Vn_dは、トランジスタ部70のアバランシェ耐圧Va_t以上であってよく、トランジスタ部70のアバランシェ耐圧Va_tより大きくてよい。ダイオード部80が負性抵抗領域に到達する電圧Vn_dは、トランジスタ部70が負性抵抗領域に到達する電圧Vn_t以上であってもよい。これにより、トランジスタ部70が先に負性抵抗領域に到達することを防げる。ダイオード部80が負性抵抗領域に到達する電圧Vn_dは、トランジスタ部70が負性抵抗領域に到達する電圧Vn_tより小さくてもよいし、同一であってもよい。
トランジスタ部70およびダイオード部80の電流密度-電圧特性は、一般的なデバイス・シミューレーションを用いて算出してよい。デバイス・シミューレーションは、ポアソンの式および電子と正孔に関する電流連続の式について、所定の境界条件や初期条件の下で解くことで行ってよい。トランジスタ部70の電流密度-電圧特性は、トランジスタ部70のみを模した構造について電流密度-電圧特性を算出してよい。あるいは、トランジスタ部70およびダイオード部80の両方を模した構造において計算をおこない、トランジスタ部70のみに関する電流密度-電圧特性を抽出してもよい。ダイオード部80の電流密度-電圧特性は、ダイオード部80のみを模した構造について電流密度-電圧特性を算出してよい。あるいは、トランジスタ部70およびダイオード部80の両方を模した構造において計算をおこない、ダイオード部80のみに関する電流密度-電圧特性を抽出してもよい。
図6は、実施例に係るe-e断面の一例を示す図である。本例では、ダイオード部80におけるトレンチ部の間隔が、図3の参考例とは相違する。本例では、図3に示した参考例における接続領域190に代えて中間領域200を有してよい。中間領域200と接続領域190とは、X軸方向におけるトレンチ部の間隔が異なる。他の構造は、図1から図3において説明した例と同様である。中間領域200は、X軸方向においてダイオード部80およびトランジスタ部70の間に配置される。中間領域200には複数のトレンチ部が設けられる。
上面視において、エミッタ領域12が設けられたメサ部60と、メサ部60と隣り合うトレンチ部を含む領域をトランジスタ部70とする。トランジスタ部70の下面にはコレクタ領域22が設けられている。
上面視において、エミッタ領域12が設けられていないメサ部61と、メサ部61と隣り合うトレンチ部を含む領域をダイオード部80とする。ダイオード部80の下面にはカソード領域82が設けられている。ダイオード部80における複数のトレンチ部のX軸方向の間隔は一定値Xdである。また、ダイオード部80における複数のトレンチ部のZ軸方向の長さも一定(下端の深さ位置Zt)である。ダイオード部80におけるアバランシェ耐圧Va_dは、トランジスタ部70におけるアバランシェ耐圧Va_tよりも小さい。
上面視において、エミッタ領域12が設けられていないメサ部62と、メサ部62と隣り合うトレンチ部を含む領域を中間領域200とする。中間領域200における下面23にはコレクタ領域22およびカソード領域82の少なくとも一方が設けられている。中間領域200における下面23には、トランジスタ部70と接する位置からダイオード部80と接する位置までコレクタ領域22およびカソード領域82の一方が設けられてよい。他の例では、中間領域200の下面には、トランジスタ部70と接する領域にはコレクタ領域22が設けられ、ダイオード部80と接する領域にはカソード領域82が設けられてもよい。この場合、コレクタ領域22とカソード領域82の境界が、中間領域200に配置される。
中間領域200とトランジスタ部70との境界は、エミッタ領域12と接するトレンチ部のうち、ダイオード部80に最も近いトレンチ部(本例ではダミートレンチ部30-1)のX軸方向における中央である。中間領域200のトレンチ部は、ダイオード部80のトレンチ部と異なる構造を有する。例えば中間領域200のトレンチ部は、ダイオード部80のトレンチ部とは、隣り合うトレンチ部の間隔およびトレンチ部の深さの少なくとも一方が異なっている。または、中間領域200のトレンチ部およびダイオード部80のトレンチ部は、第1下端領域202(図11参照)または第2下端領域204(図13参照)の有無が異なっていてもよい。中間領域200とダイオード部80との境界は、構造が変化する境界のトレンチ部(本例ではダミートレンチ部30-4)のX軸方向の中央である。中間領域200のアバランシェ耐圧は、ダイオード部80のアバランシェ耐圧より大きく、トランジスタ部70のアバランシェ耐圧より小さくてよい。本明細書の各例において中間領域200は設けられていなくてもよい。この場合、トランジスタ部70とダイオード部80とが接して設けられる。
ダイオード部80、トランジスタ部70および中間領域200のそれぞれは、半導体基板10の上面21において、配列方向(X軸方向)に沿って間隔を有して配置された複数のトレンチ部を有する。
トランジスタ部70における少なくとも一部のトレンチ部は、X軸方向において第1の間隔Xtで配置されている。第1の間隔Xtは、トランジスタ部70におけるトレンチ部の間隔のうち、最大の間隔であってよい。本例においては、トランジスタ部70における全てのトレンチ部が、第1の間隔Xtで配置されている。
ダイオード部80における少なくとも一部のトレンチ部は、X軸方向において第1の間隔Xtよりも大きい第2の間隔Xdで配置されている。本例においては、ダイオード部80の全てのトレンチ部が、第2の間隔Xdで配置されている。
ダイオード部80におけるトレンチ部の第2の間隔Xdを大きくすることで、より広い領域のキャリアが1本のトレンチ部に向かって流れる。このため、ダイオード部80においては1本のトレンチ部に電界が集中しやすくなり、アバランシェ耐圧が小さくなる。本例では、ダイオード部80におけるアバランシェ耐圧Va_dが、トランジスタ部70におけるアバランシェ耐圧Va_tの1倍未満、70%以上となるように、ダイオード部80におけるトレンチ部の第2の間隔Xdを設定する。
ダイオード部80におけるトレンチ部の第2の間隔Xdは、トランジスタ部70におけるトレンチ部の第1の間隔Xtより大きくてよく、第1の間隔Xtの1.2倍以上であってよく、2倍以上であってよく、3倍以上であってよく、5倍以上であってもよい。一例として第1の間隔Xtは2.5μm以下であり、第2の間隔Xdは5μm以上である。ただし第2の間隔Xdを大きくしすぎると、ダイオード部80の耐圧が小さくなりすぎるので、第2の間隔Xdは50μm以下であってよく、30μm以下であってもよい。
中間領域200は、複数のトレンチ部を有する。本例の中間領域200は複数のダミートレンチ部30を有する。上述したように、ダミートレンチ部30-1が、トランジスタ部70と中間領域200との境界に配置されている。ダミートレンチ部30-1のX軸方向の中央を、トランジスタ部70と中間領域200との境界位置とする。上述したように、ダミートレンチ部30-4が、ダイオード部80と中間領域200との境界に配置されている。ダミートレンチ部30-4のX軸方向の中央を、ダイオード部80と中間領域200との境界位置とする。ダミートレンチ部30-1とダミートレンチ部30-4の間には、1つまたは複数のダミートレンチ部30が配置されてよく、他のダミートレンチ部30は配置されていなくてもよい。図6の例では、ダミートレンチ部30-1とダミートレンチ部30-4の間に、ダミートレンチ部30-2およびダミートレンチ部30-3が配置されている。
中間領域200は、1つ以上のメサ部62を有する。本例では、メサ部62-1がトランジスタ部70と隣り合って配置され、メサ部62-3がダイオード部80と隣り合って配置されている。メサ部62-1とメサ部62-3の間には、1つまたは複数のメサ部62が配置されてよく、他のメサ部62は配置されていなくてもよい。図6の例では、メサ部62-1とメサ部62-3の間にメサ部62-2が配置されている。
本例の中間領域200は、ダミートレンチ部30-1からダミートレンチ部30-4まで、ダイオード部80に近づくほどトレンチ間隔が単調に増加している。つまり本例の中間領域200は、メサ部62-1からメサ部62-3まで、ダイオード部80に近づくほどメサ幅が単調に増加している。トレンチ間隔は、X軸方向において隣り合う各トレンチ部の中央位置どうしの距離である。メサ幅は、X軸方向において隣り合う2つのトレンチ部に挟まれた領域の幅である。トレンチ間隔が単調に増加とは、ダミートレンチ部30-1からダミートレンチ部30-4に向かう方向において、少なくとも一か所でトレンチ間隔が増大しており、且つ、トレンチ間隔が減少している箇所が無いことを指す。つまりダミートレンチ部30-1からダミートレンチ部30-4に向かう方向において、トレンチ間隔が変化していない領域が含まれていてもよい。
図6の例では、ダミートレンチ部30-kと、ダミートレンチ部30-k+1とのトレンチ間隔をXkとする。ただしkは1以上の整数である。またダミートレンチ部30-k+1は、ダミートレンチ部30-kに対して、ダイオード部80側に隣り合って配置されている。トレンチ間隔Xkは、kの増加に応じて単調に増加してよい。1つのメサ部62におけるアバランシェ耐圧について、トレンチ間隔Xkが単調に増加することで、アバランシェ耐圧をX軸方向において徐々に変化させることができる。これにより、中間領域200で電界強度が集中することを防ぐことができる。
中間領域200は、トランジスタ部70と接するトランジスタ側領域201を有する。トランジスタ側領域201は、1つ以上のトレンチ部(本例ではダミートレンチ部30)が、トランジスタ部70におけるトレンチ間隔と同一の第1の間隔Xtで配置されている。図6の例では、トレンチ間隔X1が、第1の間隔Xtと等しい。つまりダミートレンチ部30-1からダミートレンチ部30-2までの領域がトランジスタ側領域201である。中間領域200におけるカソード領域82およびコレクタ領域22のX軸方向の境界位置は、トランジスタ側領域201に配置されていてよい。
ダイオード部80に最も近い箇所におけるトレンチ間隔X3は、トレンチ間隔X1よりも大きい。トレンチ間隔X3は、ダイオード部80における第2の間隔Xdより小さい。
中間領域200において、一か所でトレンチ間隔が増加してよく、複数個所でトレンチ間隔が増加してもよい。本例では、Xt=X1<X2<X3<Xdである。つまり本例の中間領域200における複数のトレンチ部のX軸方向におけるトレンチ間隔は、ダイオード部80に近いほど大きい。X3=Xdであってもよい。この場合、ダミートレンチ部30-3までがダイオード部80である。
図7は、実施例に係るe-e断面の他の例を示す図である。本例では、トランジスタ側領域201におけるトレンチ間隔X1が図6の例と相違する。他の構造は図6の例と同様であってよい。本例のトランジスタ側領域201のトレンチ間隔X1は、トランジスタ部70における第1の間隔Xtよりも小さい。図7の例では、トランジスタ側領域201は2つのトレンチ部を有しているが、より多くのトレンチ部を有してもよい。この場合においても、トランジスタ側領域201におけるそれぞれのトレンチ間隔Xkは、第1の間隔Xtよりも小さい。トランジスタ側領域201におけるそれぞれのトレンチ間隔Xkは一定であってよく、ダイオード部80に向かって単調に増加してもよい。
中間領域200のうち、トランジスタ部70に隣り合う部分には、比較的に電流が流れやすい。このため、トランジスタ側領域201のトレンチ間隔を小さくすることで、当該箇所の耐圧を増加させて、半導体装置100の破壊を抑制できる。
中間領域200において、トランジスタ側領域201に隣り合うトレンチ部のトレンチ間隔X2は、トランジスタ側領域201のトレンチ間隔X1よりも大きい。トレンチ間隔X2は、第1の間隔Xtと同一であってよく、第1の間隔Xtより小さくてよく、大きくてもよい。トランジスタ側領域201のトレンチ間隔X1は、中間領域200において最も小さいトレンチ間隔である。本例では、Xt>X1<X2<X3<Xdである。X3=Xdであってもよい。コレクタ領域22とカソード領域82とのX軸方向の境界位置は、ダミートレンチ部30-1の下方から、ダミートレンチ部30-2の下方までの領域に配置されてよい。
図8は、実施例に係るe-e断面の他の例を示す図である。本例では、トランジスタ側領域201の構成が図6の例と相違する。他の構造は図6の例と同様であってよい。本例のトランジスタ側領域201は、3つ以上のトレンチ部を含む。図8では、ダミートレンチ部30-1からダミートレンチ部30-4までがトランジスタ側領域201である。トランジスタ側領域201は、図6の例と同様に各トレンチ間隔(本例ではX1、X2、X3)が第1の間隔Xtと同一であってよく、第1の間隔Xtより小さくてもよい。カソード領域82とコレクタ領域22の境界位置は、トランジスタ側領域201のトレンチ部のうち、最もダイオード部80側のダミートレンチ部30-4の下方に配置されている。
図9は、実施例に係るe-e断面の他の例を示す図である。本例では、ダイオード部80のトレンチ部のZ軸方向の長さが、図3から図8において説明した例と相違する。更に本例では、図3に示した参考例における接続領域190に代えて中間領域200を有する。本例の中間領域200は、トレンチ部のZ軸方向の長さが、図6から図8において説明した例と相違する。中間領域200における他の構造(たとえばトレンチ間隔Xk)は、図6から図8において説明したいずれかの例と同様であってよく、図3において説明した接続領域190と同一であってもよい。
トランジスタ部70における少なくとも一部のトレンチ部は、Z軸方向において第1の長さZttで配置されている。第1の長さZttは、トランジスタ部70におけるトレンチ部の長さのうち、最大の長さであってよい。本例においては、トランジスタ部70における全てのトレンチ部が、第1の長さZttを有する。
ダイオード部80における少なくとも一部のトレンチ部は、Z軸方向において第1の長さZttよりも大きい第2の長さZtdを有する。本例においては、ダイオード部80の全てのトレンチ部が、第2の長さZtdを有する。
ダイオード部80におけるトレンチ部の第2の長さZtdを大きくすることで、ダイオード部のトレンチ部の下端に電流が集中しやすくなり、アバランシェ耐圧が小さくなる。本例では、ダイオード部80におけるアバランシェ耐圧Va_dが、トランジスタ部70におけるアバランシェ耐圧Va_tの1倍未満、70%以上となるように、ダイオード部80におけるトレンチ部の第2の長さZtdを設定する。図6から図8において説明したように、ダイオード部80のトレンチ間隔Xdと、トランジスタ部70のトレンチ間隔Xtとをさらに異ならせる場合、ダイオード部80におけるアバランシェ耐圧Va_dが、トランジスタ部70におけるアバランシェ耐圧Va_tの1倍未満、70%以上となるように、各トレンチ部の長さおよびトレンチ間隔を設定する。
第2の長さZtdは、第1の長さZttの1.5倍以上であってよく、2倍以上であってもよい。ただし第2の長さZtdを大きくしすぎるとダイオード部80の耐圧が小さくなりすぎるので、第2の長さZtdは、第1の長さZttの5倍以下であってよく、4倍以下であってもよい。
中間領域200は、複数のトレンチ部を有する。本例の中間領域200は複数のダミートレンチ部30を有する。本例では、ダミートレンチ部30-1が、トランジスタ部70と中間領域200との境界に配置されており、ダミートレンチ部30-5が、ダイオード部80と中間領域200との境界に配置されている。ダミートレンチ部30-1とダミートレンチ部30-5の間には、1つまたは複数のダミートレンチ部30が配置されてよく、他のダミートレンチ部30は配置されていなくてもよい。図9の例では、ダミートレンチ部30-1とダミートレンチ部30-5の間に、ダミートレンチ部30-2、ダミートレンチ部30-3およびダミートレンチ部30-4が配置されている。
本例の中間領域200は、ダミートレンチ部30-1からダミートレンチ部30-5まで、ダイオード部80に近づくほどトレンチ部のZ軸方向の長さが単調に増加している。トレンチ部の長さが単調に増加とは、ダミートレンチ部30-1からダミートレンチ部30-5に向かう方向において、少なくとも一か所でトレンチ部の長さが増大しており、且つ、トレンチ部の長さが減少している箇所が無いことを指す。つまりダミートレンチ部30-1からダミートレンチ部30-5に向かう方向において、トレンチ部の長さが変化していない領域が含まれていてもよい。
図9の例では、ダミートレンチ部30-kのZ軸方向の長さをZtkとする。ただしkは1以上の整数である。またダミートレンチ部30-k+1は、ダミートレンチ部30-kに対して、ダイオード部80側に隣り合って配置されている。長さZtkは、kの増加に応じて単調に増加してよい。トレンチ長さZtkが単調に増加することで、アバランシェ耐圧をX軸方向において徐々に変化させることができる。
中間領域200は、トランジスタ部70と接するトランジスタ側領域201を有する。トランジスタ側領域201は、1つ以上のトレンチ部(本例ではダミートレンチ部30)が、トランジスタ部70と同一の第1の長さZttで配置されている。図9の例では、トレンチ長さZt1およびZt2が、第1の長さZttと等しい。つまりダミートレンチ部30-1からダミートレンチ部30-2までの領域がトランジスタ側領域201である。中間領域200におけるカソード領域82およびコレクタ領域22のX軸方向の境界位置は、トランジスタ側領域201に配置されていてよい。
ダイオード部80に最も近い箇所におけるトレンチ長さZt4は、トレンチ長さZt1よりも大きい。トレンチ長さZt4は、ダイオード部80における第2の長さZtdより小さい。
中間領域200において、一か所でトレンチ長さが増加してよく、複数個所でトレンチ長さが増加してもよい。本例では、Ztt=Zt1=Zt2<Zt3=Zt4<Ztdである。他の例では、中間領域200における複数のトレンチ部のX軸方向におけるトレンチ長さは、ダイオード部80に近いほど大きくてもよい。つまりZtt=Zt1<Zt2<Zt3<Zt4<Ztdであってもよい。
図10は、実施例に係るe-e断面の他の例を示す図である。本例では、トランジスタ側領域201におけるいずれかのトレンチ部のトレンチ長さが図9の例と相違する。他の構造は図9の例と同様であってよい。本例のトランジスタ側領域201のいずれかのトレンチ部のトレンチ長さ(図10ではZt2)は、トランジスタ部70における第1の長さZttよりも小さい。
図10の例では、トランジスタ側領域201における1つのダミートレンチ部30-2のトレンチ長さZt2が、第1の長さZttよりも小さい。他の例では、トランジスタ側領域201は、第1の長さZttよりも小さいトレンチ長さのダミートレンチ部30を複数含んでいてもよい。これらのダミートレンチ部30のトレンチ長さは一定であってよく、ダイオード部80に向かって単調に増加してもよい。
中間領域200のうち、トランジスタ部70に隣り合う部分には、比較的に電流が流れやすい。このため、トランジスタ側領域201のトレンチ長さを小さくすることで、当該箇所の耐圧を増加させて、半導体装置100の破壊を抑制できる。
トランジスタ側領域201に隣り合うトレンチ部のトレンチ長さZt3は、トレンチ長さZt2よりも大きい。トレンチ長さZt3は、第1の間隔Xtと同一であってよく、第1の間隔Xtより大きくてもよい。トランジスタ側領域201のトレンチ長さZt2は、中間領域200において最も小さいトレンチ間隔である。本例では、Ztt=Zt1>Zt2<Zt3=Zt4<Ztdである。コレクタ領域22とカソード領域82とのX軸方向の境界位置は、ダミートレンチ部30-1の下方から、ダミートレンチ部30-2の下方までの領域に配置されてよい。
図11は、実施例に係るe-e断面の他の例を示す図である。本例では、トランジスタ部70および中間領域200に第1下端領域202を設けた点で、図3から図10において説明した例と相違する。図3において説明した例と同様に、トランジスタ部70、ダイオード部80および中間領域200において、トレンチ間隔Xtおよびトレンチ長さは一定であってよい。トランジスタ部70、ダイオード部80および中間領域200は、図6から図8において説明した例と同様のトレンチ間隔を有してよく、図9から図10において説明した例と同様のトレンチ長さを有してもよい。
トランジスタ部70は、少なくとも一つのトレンチ部の下端212に接して設けられたP型の第1下端領域202を有する。第1下端領域202は、トレンチ部の下端212から、トレンチ部の側壁213の一部まで覆うように設けられている。本例のトランジスタ部70の第1下端領域202は、蓄積領域16と接している。第1下端領域202を設けることで、トランジスタ部70のトレンチ部の下端212における電界集中を緩和できる。第1下端領域202のドーピング濃度は、ベース領域14のドーピング濃度より低くてよく、高くてもよい。第1下端領域202のドーピング濃度は、コレクタ領域22より低くてよく、コンタクト領域15より低くてもよい。
トランジスタ部70の全てのトレンチ部に第1下端領域202が設けられてよい。それぞれのトレンチ部の下端212に設けられた第1下端領域202は、図11に示すようにX軸方向において互いに分離していてよく、X軸方向において互いに接続していてもよい。
ダイオード部80の少なくとも一つのトレンチ部の下端212には、第1下端領域202が設けられていない。つまり当該トレンチ部の下端212は、P型の領域に接していない。本例では、当該トレンチ部の下端212はドリフト領域18に接している。ダイオード部80の全てのトレンチ部の下端212において、第1下端領域202が設けられていなくてよい。
トランジスタ部70に第1下端領域202を設け、ダイオード部80に第1下端領域202を設けないことで、トランジスタ部70のアバランシェ耐圧を高め、ダイオード部80のアバランシェ耐圧を相対的に低くできる。このような構造によっても、図5に示したように、ダイオード部80のアバランシェ耐圧を、トランジスタ部70のアバランシェ耐圧の1倍未満、70%以上に調整できる。トランジスタ部70のアバランシェ耐圧は、第1下端領域202のドーピング濃度等によって調整できる。また図6から図8において説明したようにトレンチ間隔Xkの調整、図9から図10において説明したトレンチ長さの調整、および、図11において説明した第1下端領域202を用いた調整のうちの2つ以上を組み合わせて、ダイオード部80のアバランシェ耐圧を、トランジスタ部70のアバランシェ耐圧の1倍未満、70%以上に調整してもよい。
中間領域200のトレンチ部には、ダイオード部80との境界に配置されたダミートレンチ部30-3を除き、第1下端領域202が設けられている。図11の例では、ダミートレンチ部30-1およびダミートレンチ部30-2の下端212に接して、第1下端領域202が設けられている。中間領域200のそれぞれの第1下端領域202のドーピング濃度は、トランジスタ部70の第1下端領域202のドーピング濃度と同一である。他の例では、中間領域200の第1下端領域202のドーピング濃度は、ダイオード部80に近づくほど単調に減少してもよい。コレクタ領域22およびカソード領域82のX軸方向における境界位置は、ダミートレンチ部30-1の下方から、ダミートレンチ部30-2の下方までの領域に配置されてよい。
図12は、実施例に係るe-e断面の他の例を示す図である。本例では、中間領域200のトレンチ部の個数が図11の例と相違する。他の構造は図11の例と同様である。本例の中間領域200は、第1下端領域202が設けられたトレンチ部を3個以上有する。図12では、ダミートレンチ部30-1からダミートレンチ部30-4までの4つのダミートレンチ部30に、第1下端領域202が設けられている。
図13は、実施例に係るe-e断面の他の例を示す図である。本例では、ダイオード部80に第2下端領域204を設けた点で、図3から図12において説明した例と相違する。図3において説明した例と同様に、トランジスタ部70、ダイオード部80および中間領域200において、トレンチ間隔Xtおよびトレンチ長さは一定であってよい。トランジスタ部70、ダイオード部80および中間領域200は、図6から図8において説明した例と同様のトレンチ間隔を有してよく、図9から図10において説明した例と同様のトレンチ長さを有してもよい。また、図11および図12において説明した例と同様に、トランジスタ部70および中間領域200には、第1下端領域202が設けられてもよい。
ダイオード部80は、少なくとも一つのトレンチ部の下端212に接して設けられたN型の第2下端領域204を有する。第2下端領域204は、トレンチ部の下端212から、トレンチ部の側壁213の一部まで覆うように設けられている。第2下端領域204の下端は、蓄積領域16の下端よりも下面23側に配置されている。第2下端領域204のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。第2下端領域204のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度の2倍以上であってよく、5倍以上であってよく、10倍以上であってもよい。第2下端領域204のドーピング濃度は、蓄積領域16のドーピング濃度より低くてよい。第2下端領域204のドーピング濃度は、カソード領域82のドーピング濃度より低くてよい。第2下端領域204を設けることで、ダイオード部80のトレンチ部の下端212における電界集中を促進して、ダイオード部80におけるアバランシェ耐圧を低くできる。
ダイオード部80のトレンチ部のうち、半分以上のトレンチ部に第2下端領域204が設けられてよく、90%以上のトレンチ部に第2下端領域204が設けられてよく、全てのトレンチ部に第2下端領域204が設けられてもよい。それぞれのトレンチ部の下端212に設けられた第2下端領域204は、図13に示すようにX軸方向において互いに分離していてよく、X軸方向において互いに接続していてもよい。
トランジスタ部70の少なくとも一つのトレンチ部の下端212には、第2下端領域204が設けられていない。つまり当該トレンチ部の下端212は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度が高いN型の領域に接していない。本例では、当該トレンチ部の下端212はドリフト領域18に接している。トランジスタ部70の全てのトレンチ部の下端212において、第2下端領域204が設けられていなくてよい。中間領域200の全てのトレンチ部の下端212には、第2下端領域204が設けられていない。
それぞれの第2下端領域204のドーピング濃度は、均一であってよい。他の例では、複数の第2下端領域204のドーピング濃度を互いに異ならせてもよい。一例としてダイオード部80のX軸方向の中央における第2下端領域204のドーピング濃度は、ダイオード部80のX軸方向の端部における第2下端領域204のドーピング濃度よりも高くてよい。これにより、トランジスタ部70から離れたダイオード部80の中央近傍においてアバランシェ降伏を発生させやすくなる。
コレクタ領域22およびカソード領域82の境界位置は、第2下端領域204よりもトランジスタ部70側に配置されている。これにより、P+型のコレクタ領域22と、N型の第2下端領域204とを離して配置でき、コレクタ領域22と第2下端領域204との間でキャリアが移動することを抑制できる。
本例の構造によっても、図5に示したように、ダイオード部80のアバランシェ耐圧を、トランジスタ部70のアバランシェ耐圧の1倍未満、70%以上に調整できる。ダイオード部80のアバランシェ耐圧は、第2下端領域204のドーピング濃度等によって調整できる。また図6から図8において説明したようにトレンチ間隔Xkの調整、図9から図10において説明したトレンチ長さの調整、図11から図12において説明した第1下端領域202を用いた調整、および、図13において説明した第2下端領域204を用いた調整のうちの2つ以上を組み合わせて、ダイオード部80のアバランシェ耐圧を、トランジスタ部70のアバランシェ耐圧の1倍未満、70%以上に調整してもよい。
図14は、実施例に係るe-e断面の他の例を示す図である。本例では、ダイオード部80にライフタイム調整部208を設けた点で、図3から図13において説明した例と相違する。図3において説明した例と同様に、トランジスタ部70、ダイオード部80および中間領域200において、トレンチ間隔Xtおよびトレンチ長さは一定であってよい。トランジスタ部70、ダイオード部80および中間領域200は、図6から図8において説明した例と同様のトレンチ間隔を有してよく、図9から図10において説明した例と同様のトレンチ長さを有してもよい。図11および図12において説明した例と同様に、トランジスタ部70および中間領域200には、第1下端領域202が設けられてもよい。図13において説明した例と同様に、ダイオード部80には第2下端領域204が設けられてもよい。
ライフタイム調整部208は、半導体基板10の上面21側において、トレンチ部の下端よりも下方に配置されている。ライフタイム調整部208は、半導体基板10の深さ方向において、キャリアライフタイムが極小値を示す領域である。格子欠陥206が多く残留している領域では、キャリアが格子欠陥206に捕捉されるので、キャリアのライフタイムが短くなる。キャリアのライフタイムを調整することで、半導体装置100のターンオフ時間等の特性を調整できる。本例では、所定の深さ位置にヘリウムイオンビーム等の荷電粒子線を照射することで、当該深さ位置の近傍に格子欠陥206を形成し、ライフタイム調整部208を形成する。本例のライフタイム調整部208は、X軸方向において、ダイオード部80の全体に設けられている。ライフタイム調整部208は、X軸方向において中間領域200の全体に延伸して設けられてよい。ライフタイム調整部208は、X軸方向においてトランジスタ部70の一部にも延伸して設けられてよい。
ライフタイム調整部208が設けられた領域は、ライフタイム調整部208が設けられていない領域に比べて、キャリアライフタイムが10%未満、0.001%以上であってよい。例えばトランジスタ部70のドリフト領域18の深さ方向の中央における基準キャリアライフタイムに比べて、ライフタイム調整部208におけるキャリアライフタイムは10%未満、0.001%以上である。ライフタイム調整部208におけるキャリアライフタイムは、基準キャリアライフタイムの1%以下であってよく、0.1%以下であってもよい。ライフタイム調整部208におけるキャリアライフタイムは、基準キャリアライフタイムの0.01%以上であってもよい。
図3から図13における例のように、ライフタイム調整部208が設けられていない場合、ドリフト領域18におけるキャリアライフタイムは、ほぼ均一である。ほぼ均一とは、例えばドリフト領域18のキャリアライフタイムの最大値に対して、ドリフト領域18の全体におけるキャリアライフタイムが、100%以下、10%以上の範囲内に分布していることを指す。ライフタイム調整部208を設けない場合、ドリフト領域18のキャリアライフタイムの最大値に対して、ドリフト領域18の全体におけるキャリアライフタイムが、100%以下、50%以上の範囲内に分布していてもよい。
図15は、実施例に係るe-e断面の他の例を示す図である。本例では、図9に示した構成に、ライフタイム調整部208を設けている。図10に示した構成に、ライフタイム調整部208を設けてもよい。
図16は、実施例に係るe-e断面の他の例を示す図である。本例では、図11に示した構成に、ライフタイム調整部208を設けている。図12に示した構成に、ライフタイム調整部208を設けてもよい。
図17は、実施例に係るe-e断面の他の例を示す図である。本例では、図13に示した構成に、ライフタイム調整部208を設けている。
図18は、トランジスタ部70およびダイオード部80におけるトレンチ間隔と、トランジスタ部70およびダイオード部80におけるアバランシェ耐圧との関係を示す図である。図18では、各サンプルの測定値を、四角のプロットおよび丸のプロットで示している。トランジスタ部70およびダイオード部80のいずれにおいても、トレンチ間隔を大きくすると、アバランシェ耐圧が低下している。つまり、トレンチ間隔を調整することで、アバランシェ耐圧を調整できる。本例では、トランジスタ部70におけるトレンチ間隔が1μmの場合、トランジスタ部70の耐圧は1425Vである。これに対してダイオード部80のトレンチ間隔を5.5μm以上にすると、ダイオード部80の耐圧を1425Vより小さくできる。ダイオード部80のトレンチ間隔は、トランジスタ部70のトレンチ間隔の5.5倍以上であってよく、6倍以上であってよく、10倍以上であってもよい。
図19は、トランジスタ部70およびダイオード部80におけるトレンチ長さと、トランジスタ部70およびダイオード部80におけるアバランシェ耐圧との関係を示す図である。図19では、各サンプルの測定値を、四角のプロットおよび丸のプロットで示している。トランジスタ部70およびダイオード部80のいずれにおいても、トレンチ長さを大きくすると、アバランシェ耐圧が低下している。つまり、トレンチ長さを調整することで、アバランシェ耐圧を調整できる。本例では、トランジスタ部70におけるトレンチ長さが5μmの場合、トランジスタ部70の耐圧は1425Vである。これに対してダイオード部80のトレンチ間隔を12μm以上にすると、ダイオード部80の耐圧を1425Vより小さくできる。ダイオード部80のトレンチ長さは、トランジスタ部70のトレンチ長さの2.4倍以上であってよく、3倍以上であってよく、5倍以上であってもよい。
図20は、トランジスタ部70およびダイオード部80におけるトレンチ間隔と、トランジスタ部70およびダイオード部80におけるアバランシェ耐圧との関係を示す図である。本例のダイオード部80は、図18の例のダイオード部80と同一である。図18の例のトランジスタ部70は第1下端領域202を設けていないが、本例のトランジスタ部70は第1下端領域202を設けている。本例のトランジスタ部70は、第1下端領域202を設けたこと以外は、図18の例のトランジスタ部70と同一である。図18および図20に示すように、第1下端領域202を設けることで、トランジスタ部70のアバランシェ耐圧が上昇している。つまり、第1下端領域202を設けることで、アバランシェ耐圧を調整できる。
図21は、ダイオード部80における第2下端領域204におけるドーズ量(またはドーピング濃度)と、ダイオード部80におけるアバランシェ耐圧との関係を示す図である。図21では、第2下端領域204を設けない場合のアバランシェ耐圧を四角のプロットで示している。第2下端領域204のドーズ量を多くすると、アバランシェ耐圧が低下している。つまり、第2下端領域204のドーズ量を調整することで、アバランシェ耐圧を調整できる。
図22は、半導体装置100の非破壊最大エネルギー密度を説明する図である。非破壊最大エネルギー密度とは、非クランプ誘電性スイッチング試験(UIS試験)において、半導体装置100に印加するエネルギーを徐々に増大させた場合に、半導体装置100が破壊される直前までに印加されるエネルギー密度を指す。
半導体装置100を時刻t1においてオン状態からオフ状態に遷移させると、半導体装置100に流れる主電流の電流密度は徐々に減少し、半導体装置100のコレクタ/エミッタ間電圧は上昇する。半導体装置100には、図22の下側のグラフで示されるように、主電流密度およびコレクタ/エミッタ間電圧との積(V×J)を時間積分したエネルギーが印加される。
半導体装置100がオン状態のときに流れる主電流の電流密度を逐次上昇させて、ターンオフ動作を繰り返すと、ある電流密度でのターンオフ動作において時刻t2で半導体装置100が破壊されて、主電流が急激に増大する。当該ターンオフ動作において時刻t1から時刻t2までに印加されたエネルギーよりわずかに小さいエネルギーが、非破壊最大エネルギー密度である。当該ターンオフ動作における印加エネルギーを非破壊最大エネルギー密度としてもよいし、当該ターンオフ動作における印加エネルギーから所定のマージンを減じて非破壊最大エネルギー密度としてもよいし、当該ターンオフ動作の直前のターンオフ動作における印加エネルギーを非破壊最大エネルギー密度としてもよい。
図23は、ダイオード部80におけるアバランシェ耐圧Va_dと、非破壊最大エネルギー密度との関係を示している。図23における横軸は、トランジスタ部70におけるアバランシェ耐圧Va_tで正規化したアバランシェ耐圧Va_d(すなわち、Va_d/Va_t)を示している。
ダイオード部80におけるアバランシェ耐圧Va_dが、トランジスタ部70におけるアバランシェ耐圧Va_tと同一の場合(Va_d/Va_t=1)の非破壊最大エネルギー密度を基準値S0とする。
半導体装置100は、非破壊最大エネルギー密度が、基準値S0より大きくなるような、ダイオード部80およびトランジスタ部70のアバランシェ耐圧比を有してよい。一例として半導体装置100は、ダイオード部80のアバランシェ耐圧Va_dが、トランジスタ部70のアバランシェ耐圧Va_tの70%以上、100%未満である。
半導体装置100は、非破壊最大エネルギー密度が、最大値Smaxの80%以上となるような、ダイオード部80およびトランジスタ部70のアバランシェ耐圧比を有してよい。半導体装置100は、非破壊最大エネルギー密度が、最大値Smaxの90%以上となるような、ダイオード部80およびトランジスタ部70のアバランシェ耐圧比を有してよい。半導体装置100は、非破壊最大エネルギー密度が、基準値S0と最大値Smaxの中間値以上となるような、ダイオード部80およびトランジスタ部70のアバランシェ耐圧比を有してもよい。半導体装置100は、ダイオード部80のアバランシェ耐圧Va_dが、トランジスタ部70のアバランシェ耐圧Va_tの75%以上であってよく、80%以上であってよい。半導体装置100は、ダイオード部80のアバランシェ耐圧Va_dが、トランジスタ部70のアバランシェ耐圧Va_tの100%未満であってよく、95%以下であってよく、90%以下であってよい。
図24は、半導体装置100の製造方法の一例を示す図である。まず基準値取得段階S302において、1つ以上の半導体装置を用いて、図22および図23において説明した非破壊最大エネルギー密度の基準値S0を取得する。S302では、非クランプ誘電性スイッチング試験により基準値S0を取得する。基準値S0を取得するのに用いた1つ以上の半導体装置を、第1の半導体装置と称する。
次に設定段階S304において、図23で説明したように、基準値S0よりも非破壊最大エネルギー密度が大きくなるように、ダイオード部80およびトランジスタ部70のアバランシェ耐圧比を設定する。
次に設計段階S306において、S304で設定したアバランシェ耐圧の比を満たすように、ダイオード部80およびトランジスタ部70の構造を設計する。S306においては、図5から図17において説明したように、トレンチ部の間隔、トレンチ部の深さ、第1下端領域202の配置、第2下端領域204の配置、ライフタイム調整部208の配置等を調整することで、ダイオード部80およびトランジスタ部70のアバランシェ耐圧比を調整する。ダイオード部80およびトランジスタ部70のアバランシェ耐圧比が調整された半導体装置を、第2の半導体装置と称する。
次に製造段階S308において、S306の設計に基づいて、半導体装置100を製造する。半導体装置100は、第2の半導体装置である。これにより、半導体装置100を製造できる。半導体装置100は、図5において説明したアバランシェ耐圧を有する。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。