JP7730611B2 - インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
[1]
水不溶性の着色剤、分散剤、水、HLB値が7.9より大きく20.0以下である非イオン性界面活性剤、及び、重量平均分子量が4500~500000の樹脂、を含有するインク。但し、上記非イオン性界面活性剤と、重量平均分子量4500~500000の樹脂が、いずれもシロキサン化合物の場合、両者が同じ化合物となることはない。
[2]
さらにグリコールエーテル類を含有する[1]に記載のインク。
[3]
グリコールエーテル類がアルキレングリコールモノアルキルエーテルである、[2]に記載のインク。
[4]
[1]~[3]のいずれか一項に記載のインクが付着した記録メディア。
[5]
[1]~[3]のいずれか一項に記載のインクの液滴を、インクジェットプリンタから吐出させて記録メディアに付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
上記の着色剤は、水不溶性の着色剤であれば特に限定されない。例えば、公知の顔料、分散染料、及び溶剤染料等が使用できる。本明細書において水不溶性の着色剤とは、25℃の水1リットルに対する溶解度が通常5g以下、好ましくは3g以下、より好ましくは1g以下、さらに好ましくは0.5g以下の着色剤を意味する。溶解度の下限は0gを含む。
なお、特に断りのない限り「水不溶性の着色剤」を、以下「着色剤」という。
着色剤は併用することができる。上記インクが含有する着色剤の種類は通常3種類以上、黒インクのときは3~5種類が好ましく、黒インク以外のカラーインクのときは通常3種類、好ましくは2種類、又は1種類である。但し、黒インクが着色剤としてカーボンブラックを含有するときは、着色剤の種類は2種類、又は1種類が好ましい。本明細書において、カラーインクとは黒インク以外の有色インク(例えばイエロー、マゼンタ、シアン、レッド、オレンジ、ブラウン、バイオレット、ブルー、グリーン等の各色のインク)を意味する。
また、顔料、分散染料、及び溶剤染料の中では顔料が好ましい。顔料としては、無機顔料、有機顔料、及び体質顔料等が挙げられる。
また、着色剤の平均粒径は通常50nm~250nm、好ましくは60nm~200nmである。本明細書において平均粒径とは、レーザ光散乱法を用いて測定した粒子の平均粒径を言う。
上記の分散剤としては特に制限されず、公知の分散剤が使用できる。分散剤は、水不溶性の着色剤をインク中に分散する目的で使用する。分散剤としては、一般に樹脂等の高分子分散剤が用いられる。そのような樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマール酸、フマール酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルメタクリレート、スルホン化ビニルナフタレンのα,β-不飽和モノマー等のイオン性モノマー、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル、アクリルニトリル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、N-ブトキシメチルアクリルアミド等から誘導されたポリマー等が挙げられる。
国際公開2013/115071号ガゼットが開示する分散剤(A-Bブロックポリマー)の1例としては、例えば、上記Aポリマーを構成するモノマーは(メタ)アクリル酸、及び、直鎖又は分岐鎖C4アルキル(メタ)アクリレートから選択される1種類以上のモノマーであり、Bポリマーを構成するモノマーは、ベンジルメタクリレート及び/又はベンジルアクリレートである。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」及び「(メタ)アクリレート」の文言は、それぞれ「アクリル、メタクリル」及び「アクリレート、メタクリレート」の両方を含む意味として用いる。
Aブロックを構成するモノマーはメタクリル酸、及びn-ブチルメタクリレートから選択される1種類以上のモノマーが好ましく、これら2種類のモノマーを併用するのが特に好ましい。
Bブロックを構成するモノマーはベンジルメタクリレートが好ましい。
その具体例としては、上記の国際公開ガゼットの合成例3~8に開示されたブロック共重合体が挙げられる。
分散剤の質量平均分子量は通常10000~60000、好ましくは10000~40000、より好ましくは15000~30000、さらに好ましくは20000~25000である。
分散剤のPDI(質量平均分子量/数平均分子量)は1.29~1.49程度である。
上記のような範囲とすることにより、分散性、及び保存安定性を良好にできる。
中和剤としては、例えば、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、脂肪族アミン化合物及びアルカノールアミン化合物等が挙げられる。アンモニア及びアルカリ金属の水酸化物が好ましく、アンモニアが特に好ましい。
中和剤の使用量は特に制限されない。その目安としては、分散剤の酸価の理論等量で中和したときを100%中和度として、通常30~300%中和度、より好ましくは50~200%中和度である。
分散剤を使用するとき、水不溶性の着色剤の総質量に対する分散剤の総質量の比は通常0.1~1.0、好ましくは0.1~0.6、より好ましくは0.2~0.5である。
上記のHLB値が7.9より大きく20.0以下である非イオン性界面活性剤としては、HLB値が7.9より大きく20.0以下の非イオン性界面活性剤であれば特に限定はなく、例えば、後述する「汎用の非イオン性界面活性剤」、「シリコン系の非イオン性界面活性剤」、「フッ素系の非イオン性界面活性剤」が挙げられる。非イオン性界面活性剤は、イオン性界面活性剤を比較して、イオン結合のような分子間相互作用が起こりにくく表面張力を下げやすい。そのためメディア上で濡れやすく、印刷物の塗工ムラが起こりにくい。
また、実験により実測値として求めることもできる。その方法については、公知の方法が使用できる。その一例としては、例えば、国際公開2017/159685号ガゼットに記載されたグリフィン法による方法が挙げられる。HLB値は下記式(1)により算出することができる。なお、本明細書において記載した「HLB値」は、使用する化合物の構造が明確にわかる場合は、上述のグリフィン法を用いて算出したHLB値を意味する。
HLB値=20×(親水性部分の分子量の総和)÷(材料の分子量) 式(1)
また、HLB値が製造元、又は販売元のカタログ等に記載されているときは、その数値を使用することもできる。
上記のHLB値が小数点以下の桁を有さないときは、小数点以下1桁目を「ゼロ」と見なして小数点以下1桁目までを記載する。
一般的に水系のインクジェットインクに用いられている樹脂の役割は基材に対する密着性や印刷面に耐性を付与する目的で使用される。用いられる樹脂の構造としてアクリル系、スチレン-アクリル系、ウレタン系、オレフィン系、パラフィン系等多岐にわたるが、これらは共通して分子量が高い樹脂ほど形成される膜の強度は高くなる。膜の強度は樹脂のガラス転移点由来するものであり、分子量の増加に伴い樹脂のガラス転移点が高くなることに起因する。そのため、用いる樹脂の分子量が高いほど印刷面の強度は高くなる。重量平均分子量が4500~500000の樹脂としては、日華化学社製のエバファール HA-15やDSM Coating Resin社製のNeoCryl A-655等が挙げられる。該樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5000~400000、より好ましくは6500~300000である。また、該樹脂の一例として、後述するシロキサン化合物も挙げられる。
シロキサンはケイ素と酸素を骨格とする化合物で、Si-O-Si結合を持つものの総称として知られている。前記のシロキサン化合物はとしては塗膜表面のスリップ性を向上させる特性を発揮させるシロキサン構造を有する化合物が該当する。また、主鎖のシロキサン骨格が長いものが有効とされる理由としてインク表面の膜形成の影響が挙げられる。主鎖のシロキサン骨格が長くなると疎水性が高くなり、インキが乾燥した後の表面にシロキサン化合物が浮いて、ミクロな膜が形成される。このミクロな膜がいわゆる滑剤として作用するため、摩擦係数が低下しスリップ性が出ると考えられる。シロキサン骨格が短く、分子量が4500より低いシロキサン化合物はシロキサン結合の直線性が弱く、水素結合が生じやすいために疎水性能が弱い。そのためスリップ性が発揮されにくいと言われている。シロキサン化合物にはジメチルシロキサン、メチルシロキサン、シラノール等が挙げられるが、ジメチルシロキサンはその中でも疎水性が高く乾燥工程でインク表面にシリコン膜を形成しやすいため、よりスリップ性が発揮される。上記で説明したシリコン系界面活性剤は主鎖が短く、スリップ効果を発揮しないため、本シロキサン化合物との違いは重量平均分子量で説明される。そのようなシロキサン化合物としては、ビックケミー社製のBYK-3760、エボニック社製のTEGO Glide 490、東レダウ社製のDOWSIL IE-7170等が挙げられる。シロキサン化合物としては、重量平均分子量がこの範囲にある化合物が好ましい。上記インクが、そのような化合物を含有することにより、塗工ムラが少なく、耐擦過性も良好な印刷画像を得ることができる。
但し、上記非イオン性界面活性剤と、上記重量平均分子量4500~500000の樹脂が、いずれもシロキサン化合物の場合、両者が同じ化合物となることはない。
上記インクは、水を含有する水性インクである。インクが含有する水としては、金属イオン等の不純物の含有量が少ない水、すなわち、イオン交換水、蒸留水等が好ましい。そのような水は、公知の方法により調製することができる。
上記グリコールエーテル類としては、例えば、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましく;ジC2-C3アルキレングリコールモノC1-C4アルキルエーテルがより好ましく;ジC2-C3アルキレングリコールモノC3-C4アルキルエーテルがさらに好ましい。その具体例としてはジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルジグリコール)、及びジプロピレングリコール-n-プロピルエーテルが挙げられる。
防腐剤の市販品の具体例としては、アーチケミカル社製、商品名プロクセルGXL(S)やプロクセルXL-2(S)等が挙げられる。
樹脂エマルションの添加量としては、インク総量中0.5%以上15%以下であることが好ましく、1%以上10%以下がより好ましい。
ワックス剤の添加量としては、インク総量中0.5%以上15%以下であることが好ましく、1%以上10%以下がより好ましい。
なお、上記インクジェット記録方法には、フォトインクと称する、インク中の着色剤の含有量の低いインクを、小さい体積で多数射出する方式;実質的に同じ色相で、インク中の着色剤の含有量が異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式;及び、無色透明のインクと、着色剤を含有するインクとを併用することにより、記録メディアに対する着色剤の定着性を向上させる方式;等も含まれる。
上記インクジェット記録方法は、本発明のインク1種あるいは2種以上と、必要に応じて、グリーン、ブルー(又はバイオレット)及びレッド(又はオレンジ)等の各色のインクとを併用することもできる。
各色のインクは、それぞれの容器に注入され、その各容器を、上記インクを含有する容器と同様にインクジェットプリンタの所定の位置に装填してインクジェット記録に使用することができる。
産業用インクジェットプリンタは、印刷速度を高速にする目的で、ラインヘッド型のインクジェットプリンタの構成で、シングルパスでの印刷も好ましく行われる。上記インクにより、そのような印刷条件においても塗工ムと、耐擦過性のバランスに優れた印刷画像を得ることができる。
また、上記した全ての事項等について、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましく、より好ましいもの同士の組み合わせはさらに好ましい。好ましいものとより好ましいものとの組み合わせ、及び、より好ましいものとさらに好ましいものとの組み合わせ等についても同様である。
また、各合成反応及び晶析等の操作は、特に断りのない限り、いずれも攪拌下に行った。
また、各種の液が含有する、着色剤の固形分の測定が必要なときは、株式会社エイ・アンド・デイ社製、MS-70を用いて、乾燥重量法により、着色剤のみの換算値として算出した。
国際公開第2013/115071号の合成例3に記載のブロック共重合体を調製し、得られた高分子分散剤6部を、2-ブタノン30部に溶解させ、均一な溶液とした。この液に、0.68部の28%アンモニア水溶液を53部のイオン交換水に溶解させた液を加え、1時間攪拌することで高分子分散剤が溶解した乳化溶液を調製した。これにC.I.Pigment Blue 15:3(大日精化工業社製シアニンブルー A220J)20部を加え、1500rpmの条件下で15時間、サンドグラインダー中で分散処理を行った。得られた液にイオン交換水100部を滴下し、ろ過して分散用ビーズを取り除いた後、エバポレータで2-ブタノン及び水を減圧留去することにより、顔料固形分11.9%のシアン分散液を得た。得られた着色分散液を、「Dp1」とする。
上記で得た分散液「Dp1」を、下記表1に記載の各成分と混合してインクを得た後、3μmのメンブランフィルターで濾過することにより、評価試験用の実施例1~5、及び比較用の比較例1~2の各インクを得た。インクの総質量中における着色剤の含有量は、いずれのインクも4%になるように調整した。
Dp1:調製例1で得た着色分散液。
BDG:ブチルジグリコール。
DPGPE:ジプロピレングリコール-n-プロピルエーテル。
NT-3:ニューコール NT-3(HLB値7.9)。
NT-5:ニューコール NT-5(HLB値10.5)。
NT-12:ニューコール NT-12(HLB値12.1)。
NF-13:ハイテノール NF-13(アニオン界面活性剤、HLB値13~15)。
BYK-3450:シリコン系界面活性剤(HLB値13.8)
BYK-3451:シリコン系界面活性剤(HLB値9.7)
BYK-3760:シロキサン化合物(Mw.6800)。
TG490:TEGO Glide 490、シロキサン化合物(Mw.31000)。
上記実施例及び比較例のインクを、自動塗工機(テスター産業社製、PI-1210)にてバーコーターNo.3を使用し、PETシート(東洋紡社製、E5100)に全面塗工を行った。その後、70℃の恒温槽で2分間乾燥させることにより試験用印刷物を得た。
得られた試験用印刷物を目視で観察し、塗工ムラを以下の基準で評価した。結果を下記表2に示す。
D:塗工ムラが多く、均一になっていない。
C:塗工ムラが観察される。
B:やや塗工ムラがあるようにみられる。
A:塗工ムラがなく、均一になっている。
得られた試験用印刷物を、250gの荷重をかけた株式会社安田精機製作所製の学振試験機でPETフィルム同士を10回擦過させることにより試験用印刷物を得た。得られた試験用印刷物を目視で観察し、擦過面の状態を以下の基準で評価した。結果を下記表2に示す。
D:擦過面が完全に剥がれ、インクが残らない。
C:擦過面の半分程度が剥がれる。
B:擦過面が削られ、少しインクが剥がれる。
A:擦過面が削られることなく、まったくインクが剥がれない。
結果を以下の表2に示す。
上記で得た分散液「Dp1」を、下記表3に記載の各成分と混合してインクを得た後、3μmのメンブランフィルターで濾過することにより、評価試験用の実施例6~13、及び比較用の比較例3~4の各インクを得た。インクの総質量中における着色剤の含有量は、いずれのインクも4%になるように調整した。
Dp1:調製例1で得た着色分散液。
BDG:ブチルジグリコール。
DPGPE:ジプロピレングリコール-n-プロピルエーテル。
NT-5:ニューコール NT-5。
TDX-50:(ノイゲン TDX-50)。
EA197D:(ノイゲン EA197D)。
SAG503A:(シルフェイス SAG503A)。
SF465:サーフィノール 465。
FS-30:キャプストーン FS-30。
TG490:TEGO Glide 490、シロキサン化合物(Mw.31000)。
TG450:TEGO Glide 450、シロキサン化合物(Mw.4100)。
HA-15:エバファール HA-15(Mw.113000)。
A-655:NeoCryl A-655(Mw.83000)。
IE7170:DOWSIL IE-7170、シロキサン化合物(Mw.282799)。
実施例及び比較例の各インクをそれぞれ使用し、セイコーエプソン社製インクジェットプリンタ、商品名 PX205により、記録メディアとしてPET E5100(東洋紡社製)に対してインクジェット記録を行った。その結果、いずれのインクも問題なくインクジェットプリンタから吐出され、記録メディアに対してインクジェット記録ができることを確認した。
Claims (4)
- 水不溶性の着色剤、質量平均分子量が10000~40000かつ酸価が100~150mgKOH/gの分散剤、水、HLB値が7.9より大きく20.0以下である非イオン性界面活性剤、及び、重量平均分子量が4500~500000の樹脂、さらにインク総量中3~15%のグリコールエーテル類を含有するインク。但し、上記非イオン性界面活性剤と、重量平均分子量4500~500000の樹脂が、いずれもシロキサン化合物の場合、両者が同じ化合物となることはない。
- グリコールエーテル類がアルキレングリコールモノアルキルエーテルである、請求項1に記載のインク。
- 請求項1~2のいずれか一項に記載のインクが付着した記録メディア。
- 請求項1~2のいずれか一項に記載のインクの液滴を、インクジェットプリンタから吐出させて記録メディアに付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
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