JP7732241B2 - 積層シート及び積層シートの耐候性評価方法 - Google Patents
積層シート及び積層シートの耐候性評価方法Info
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Description
近年、建物(例えば、住宅)の長期保証が常識となりつつあり、その一環として外装用建材に使用される積層シートの品質保証に関するニーズも高まっている。そこで、耐候性評価として、例えば保証期間に相当する期間において積層シートの耐候性が低下せずに保持されるかを予め評価することが求められている。
従来の積層シートでは、紫外線照射による表面の経時変化を目視で観察することにより耐候性の評価が行われていた。しかしながら、このような評価方法では、評価結果を導出するまでの時間(評価時間)として数千時間という非常に長い時間を要するという問題があった。
以下、図面を参照して本開示の各実施形態の各態様について説明する。
(1.1)積層シートの基本構成
図1は、本実施形態に係る積層シート10の断面を示す模式図であって、当該断面を正面視した図である。図1に示すように、本発明の第一実施形態(以下、本実施形態)に係る積層シート10は、基材シート11と、印刷層12と、アンカー層13と、透明樹脂層14と、表面保護層15と、がこの順で積層されている。以下、上述した各層の構成について説明する。
本実施形態に係る積層シート10は、基材シート11上に印刷層12を設け、印刷層12上に少なくとも透明樹脂層14と表面保護層15とをこの順に積層した積層シートであればよい。このため、積層シート10において、アンカー層13の形成を省略してもよい。
基材シート11の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、従来の化粧シートで基材に使用されていた熱可塑性樹脂と同様のものを使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体、1,4-シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、6-ナイロン、6,6-ナイロン、6,10-ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン-テトラフロロエチレン共重合体、エチレン-パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂等或いはそれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用できる。
基材シート11は隣接層との密着性を補うため、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、電子線処理、紫外線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。
印刷層12は、積層シート10に意匠性を付与する層であって、基材シート11に対してインキを用いて施された絵柄印刷の層である。
印刷層12は、印刷インキやコーティング剤等を用いて形成される。印刷インキ等としては、特に制限はなく、従来の化粧シートで印刷層に使用されている印刷インキ等と同様のものを使用できる。例えば、印刷インキとしてアクリル系インキを用いることができる。アクリル系インキとしては、例えば、アクリルポリオール系ビヒクルにイソシアネート硬化剤を配合してなる2液硬化型ウレタン樹脂をバインダー樹脂に用いたインキを使用することができる。また、印刷層12には、その他の樹脂成分を必要に応じ添加してもよい。印刷層12のバインダー樹脂以外の成分としては、例えば、顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、光安定剤など各種添加剤などを用いることができる。顔料としては、例えば、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等が挙げられる。
アンカー層(アンカーコート層)13は、基材シート11(下台)と透明樹脂層14(上台)とを接着性を高めるために設けられる層である。
本実施形態において、印刷層12を設けた基材シート11と透明樹脂層14とは、アンカー層13を介して接合されていればよく、接合手法は、熱ラミネート、押出ラミネート、ドライラミネート、サンドラミネートなどの各種ラミネート手法を用いることができる。ここで、本実施形態による積層シート10の諸性能を考慮すると、接合手法はドライラミネート手法が好ましい。このため、アンカー層13は、ドライラミネート接着剤を用いたドライラミネート接着剤層であることが好ましい。また、アンカー層13は、例えば、グラビアコート、マイクログラビアコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコートなど通常の塗布方法を用いて形成される。
なお、積層シート10においてアンカー層13の構成は必須ではなく、アンカー層13が設けられていなくてもよい。
透明樹脂層14は、積層シート10の耐候性や耐久性を向上させるための層である。透明樹脂層14は、例えば、ポリオレフィン樹脂を用いて形成される。ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂等、或いはこれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等が挙げられる。
また、透明樹脂層14を構成するポリオレフィン樹脂の種類は、1種類であってもよいし、複数の種類であってもよい。これらのポリオレフィン樹脂のうち、透明樹脂層14を構成するポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂を好適に用いることができる。つまり、本実施形態に係る積層シート10において、透明樹脂層14は、ポリプロピレンで形成されていてもよい。
これにより、外装用に用いられる積層シート10に、優れた耐候性を付与することができる。
また、意匠性を付与するために、透明樹脂層14に表面凹凸を設けてもよい。凹凸を設ける方法としては、例えば、透明樹脂層14を押し出し成型した後に熱エンボス加工を施す方法、押し出し成型時に凹凸を設けた冷却ロールを用い押し出し成型と同時にエンボス加工を施す方法がある。
表面保護層15は、透明樹脂層14上に形成される層であり、積層シート10に耐候性、耐傷性、耐汚染性、意匠性などの機能を付与するために設けられた層である。
表面保護層15の材料としては、例えば、表面保護層15の耐候性を向上させることを考慮すると、アクリル系樹脂組成物を主成分とし、ポリイソシアネートを硬化剤とした反応生成物(以下、「イソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物」とも呼ぶ)を用いることができる。アクリル系樹脂組成物としては、例えば、アクリルポリオールを用いることができる。アクリルポリオールとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル等の通常のアクリル系モノマーに、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル等の水酸基を含有するモノマーと、必要に応じてスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、酪酸ビニル、バーサチック酸ビニル、エチルビニルエーテル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の共重合可能な重合性モノマーとを配合して、共重合させて得られる、側鎖に水酸基を有するアクリル系の高分子化合物を採用することができる。
また、表面保護層15が含有する光安定剤および紫外線吸収剤は、透明樹脂層14が含有するものと同一の種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
表面保護層15の形成方法は、特に限定されず、前述の材料を塗液化したものを、例えばグラビアコート、マイクログラビアコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコートなど通常の方法で塗布した後、熱硬化や紫外線硬化など材料に適合した方法で硬化させることで表面保護層15を形成する。
次に、図1および図2を用いて、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法について説明する。図2は、本実施形態に係る耐候性評価方法の流れの一例を示すフローチャートである。
以下、本実施形態に係る耐候性評価方法の一例を具体的に説明する。
なお、以下の説明において、本実施形態に係る耐候性評価方法による耐候性評価を積層シート10に対して実施する例を説明するが、本発明はこれに限られず、透明樹脂層14上に表面保護層15を形成した試料(サンプル)に対して耐候性評価を行ってもよい。いずれにおいても、同等の評価結果を得ることができる。
図2に示すように、本例による積層シート10の耐候性評価方法では、まず照射前硬度測定工程において透明樹脂層14のマルテンス硬度(N/mm2)の測定を行う。
つまり、表面側測定位置E1は、透明樹脂層14において、表面側マルテンス硬度の測定時において表面保護層15からの浸潤等の影響を受けない領域に設定されている。また、裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14において、裏面側マルテンス硬度の測定時において基材シート11および基材シート11上に設けられた各層(印刷層12、アンカー層13)からの浸潤等の影響を受けない領域に設定されている。
図2に示すように、照射前硬度測定工程S1を実施した後、次いで紫外線照射工程を実施する。紫外線照射工程S2では、積層シート10に対する紫外線照射試験を行う。
なお、紫外線照射試験は、上記照射前硬度測定工程S1に用いた積層シート10と同一組成であって、断面が露出していない積層シートについて実施する。
図2に示すように、紫外線照射工程S2を実施した後、次いで照射後硬度測定工程S3を実施する。照射後硬度測定工程S3では、紫外線照射試験後における透明樹脂層14のマルテンス硬度の測定を行う。本工程では、照射前硬度測定工程S1と同様にして、表面側測定位置E1における表面側マルテンス硬度および、裏面側測定位置E2における裏面側マルテンス硬度を測定する。このように、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法では、紫外線照射試験の前後に、表面側マルテンス硬度および裏面側マルテンス硬度を測定する。
なお、照射後硬度測定工程S3では、紫外線照射工程S2において紫外線照射試験を実施した後の積層シート10の試料について、表面側マルテンス硬度および裏面側マルテンス硬度を測定する。
また、照射前硬度測定工程S1および照射後硬度測定工程S3を総称して、「マルテンス硬度測定工程」と称する場合がある。
図2に示すように、照射後硬度測定工程S3を実施した後、次いで硬度比算出工程S4を実施する。硬度比算出工程S4では、積層シート10の透明樹脂層14における表面側マルテンス硬度(A1)と裏面側マルテンス硬度(A2)との比(A1/A2)を算出する。
図2に示すように、硬度比算出工程S4を実施した後、次いで硬度比変化率算出工程S5を実施する。本実施形態において、硬度比変化率算出工程S5では、紫外線照射工程S2の前後における表面側マルテンス硬度と裏面側マルテンス硬度との比(A1/A2)の変化率(%)を算出する。
具体的には、硬度比算出工程S4で算出した照射前硬度比と照射後硬度比とを用いて、上述の変化率を算出する。ここで、当該変化率を「C1」としたとき、変化率(C1)は、例えば以下の式(1)を用いて算出される。
C1=(照射後硬度比-照射前硬度比)/照射前硬度比・・・(1)
上記式(1)により、紫外線照射前のマルテンス硬度比に対する紫外線照射後のマルテンス硬度比の変化率(上昇率)が算出される。
図2に示すように、硬度比変化率算出工程S5を実施した後、次いで評価工程S6を実施する。本実施形態における評価工程S6では、紫外線照射工程S2の前後における表面側マルテンス硬度と裏面側マルテンス硬度との比(A1/A2)の変化率(C1)に基づいて、積層シート10の耐候性評価を行う。具体的には、評価工程S6では、マルテンス硬度比の変化率(C1)が予め定められた閾値以下であるか否かに基づいて、積層シート10が十分な耐候性を有するか否かを評価する。
ここで、十分な耐候性とは、積層シート10を屋外使用した場合に、少なくとも5年間は表面に白化等の異常が生じずに耐候性が保持され得ることを示す。
本発明者らは、当該紫外線照射時間が250時間である場合にマルテンス硬度比の変化率に係る閾値を「10%」とし、当該変化率が10%以下であるか否かの判定によって積層シートの耐候性の初期変化を捉えることで、少なくとも5年間における耐候性の保持の可/不可について評価できることを発見した。そこで、本実施形態では、当該紫外線照射時間が250時間であり、且つマルテンス硬度比の変化率に基づいて耐候性評価を行う際の閾値を10%に設定している。
また、上記変化率(C1)は、負の値となる場合があるが、これは紫外線照射工程S2での紫外線照射試験前後におけるマルテンス硬度比がほとんど変化していないことを示しており、積層シート10の軟化を示すものではない。
従来、目視による積層シートの耐候性評価方法では、評価に係る時間が数千時間(例えば、1000時間から3000時間程度)であった。これに対し、本実施形態にかかる積層シート10の耐候性評価方法では、耐候性評価に係る時間は約250時間となる。つまり、本実施形態に係る耐候性評価方法によれば、耐候性評価に係る時間を70%以上削減することができる。
また、本実施形態に係る積層シート10は、表面側マルテンス硬度と裏面側マルテンス硬度との比(A1/A2)の照射試験の前後での変化率が10%以下となるように構成されることで、優れた耐候性を有し、且つ耐候性評価に係る時間を短縮することができる。
具体的には、本実施形態に係る積層シート10は、基材シート11上に印刷層12を設け、印刷層12上に少なくとも透明樹脂層14と表面保護層15とをこの順に積層した積層シートである。また、積層シート10は、表面保護層15側から積層シート10に対して、感度波長域が310nm以上390nm以下の積算光量計で照度が65mW/cm2、ブラックパネル温度が63℃、槽内湿度が50%の条件下において、メタルハライドランプを用いて250時間の紫外線の照射試験(紫外線照射工程S2)を行い、且つ当該紫外線の照射試験の前後に、透明樹脂層14の厚さ方向において表面保護層15側の領域に設定された表面側測定位置E1における表面側マルテンス硬度(A1)と、透明樹脂層14の厚さ方向において基材シート11側の領域に設定された裏面側測定位置E2における裏面側マルテンス硬度(A2)とを測定した場合(マルテンス硬度測定工程を実施した場合)に、表面側マルテンス硬度と裏面側マルテンス硬度との比(A1/A2)は、当該照射試験の前後での変化率が10%以下である。さらに、積層シート10において、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14において表面側マルテンス硬度および裏面側マルテンス硬度の測定時に他の層(表面保護層15、基材シート11上の各層)の影響を受けない領域に設定される。
また、本実施形態に係る積層シート10は、基材シート11上に印刷層12を設け、印刷層上12に少なくとも透明樹脂層14と表面保護層15とをこの順に積層した積層シートであって、透明樹脂層14は、マルテンス硬度が30N/mm2以下であり、透明樹脂層14と表面保護層15とのうち少なくとも一方にヒンダードアミン系光安定剤を含有する構成であってもよい。
このような構成であっても、積層シート10は優れた耐候性を有し、且つ耐候性評価に係る時間を短縮することができる。
また、ヒンダードアミン系光安定剤は、透明樹脂層14と表面保護層15との両方に含まれていてもよいし、透明樹脂層14のみに含まれていてもよいし、表面保護層15のみに含まれていてもよい。
(耐候性評価)
本発明の第二実施形態(以下、本実施形態という)に係る化粧シートの耐候性評価方法について、図1および図3を用いて説明する。図3は、本実施形態に係る積層シート10の評価方法の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
本実施形態に係る耐候性評価方法は、押込み弾性率に基づいて積層シート10の耐候性評価を行う点で、第一実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法と相違する。
以下、本実施形態に係る耐候性評価方法の一例を具体的に説明する。
以下の説明では、第一実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法(図2参照)と相違する点について主に説明し、同様の点については詳細な説明を適宜省略する。
図3に示すように、本例による積層シート10の耐候性評価方法では、まず照射前弾性率測定工程において透明樹脂層14の押込み弾性率(EIT/1-VS^2)の測定を行う。なお、押込み弾性率の単位は、Mpaである。照射前弾性率測定工程S21は、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2において、押込み弾性率を測定する点で、上記第一実施形態における照射前硬度測定工程S1と異なる。
照射前弾性率測定工程S21においても、照射前硬度測定工程S1と同様に、表面側押込み弾性率および裏面側押込み弾性率の測定にあたり、積層シート10のサンプル(試料)を厚さ方向に切断して、断面を露出させている。また、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14において、表面側押込み弾性率および裏面側押込み弾性率の測定時においても他の層の影響を受けない領域に設定されている。
本実施形態においても上記第一実施形態と同様に、表面側測定位置E1は、透明樹脂層14における表面保護層15側の境界面から基材シート11側に向かって厚さ方向に10μm離間した領域に設定され、裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14における基材シート11側の境界面から表面保護層15側に向かって厚さ方向に10μm離間した位置に設定されることが好ましい。これにより、表面保護層15の影響を受けることなく、確実に表面側押込み弾性率が測定可能となり、基材シート11上に設けられた各層(印刷層12またはアンカー層13)の影響を受けることなく、確実に裏面側押込み弾性率が測定可能となる。
なお、押し込み試験機(上記の微小硬さ測定装置)による弾性率測定では真の押し込み弾性率(EIT)ではなく、測定サンプルのポアソン比を含む押し込み弾性率の係数(EIT/1-vs^2)の測定となる。このため、本例では押し込み試験機で測定可能な押し込み弾性率の係数(EIT/1-vs^2)を押し込み弾性率と呼ぶこととする。
図3に示すように、照射前弾性率測定工程S21を実施した後、次いで紫外線照射工程S22を実施する。紫外線照射工程S22では、積層シート10に対する紫外線照射試験を行う。紫外線照射工程S22における紫外線照射試験は、上記第一実施形態の紫外線照射工程S2における紫外線照射試験と同様であるため、説明は省略する。
図3に示すように、紫外線照射工程S22を実施した後、次いで照射後弾性率測定工程S23を実施する。照射後弾性率測定工程S23では、紫外線照射試験後における透明樹脂層14の押し込み弾性率の測定を行う。本工程では、照射前弾性率測定工程S21と同様にして、表面側測定位置E1における表面側押し込み弾性率および、裏面側測定位置E2における裏面側押し込み弾性率を測定する。このように、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法では、紫外線照射試験の前後に、表面側押し込み弾性率および裏面側押し込み弾性率を測定する。
図3に示すように、照射後弾性率測定工程S23を実施した後、次いで弾性率比算出工程S24を実施する。弾性率比算出工程S24では、積層シート10の透明樹脂層14における表面側押し込み弾性率(P1)と裏面側押し込み弾性率(P2)との比(P1/P2)を算出する。
具体的には、弾性率比算出工程S24において、まず照射前弾性率測定工程S21で測定した表面側押し込み弾性率と裏面側押し込み弾性率との比を照射前弾性率比として算出する。さらに、照射後弾性率測定工程S23で測定した表面側押し込み弾性率と裏面側押し込み弾性率との比を照射後弾性率比として算出する。照射前弾性率測定工程S21および照射後弾性率測定工程S23で測定した押し込み弾性率の値から比を算出することで、データのばらつきを補正し、押し込み弾性率に基づく評価精度を向上することができる。
図3に示すように、弾性率比算出工程S24を実施した後、次いで弾性率比変化率算出工程S25を実施する。本実施形態において、弾性率比変化率算出工程S25では、紫外線照射工程S22の前後における表面側押し込み弾性率と裏面側押し込み弾性率との比(P1/P2)の変化率(%)を算出する。
具体的には、弾性率比算出工程S24で算出した照射前弾性率比と照射後弾性率比とを用いて、上述の変化率を算出する。ここで、当該変化率を「C2」としたとき、変化率(C2)は、例えば以下の式(2)を用いて算出される。
C2=(照射後弾性率比-照射前弾性率比)/照射前弾性率比・・・(2)
上記式(2)により、紫外線照射前の押し込み弾性率比に対する紫外線照射後の押し込み弾性率比の変化率(上昇率)が算出される。
図3に示すように、弾性率比変化率算出工程S25を実施した後、次いで評価工程S26を実施する。本実施形態における評価工程S26では、紫外線照射工程S22の前後における表面側押し込み弾性率と裏面側押し込み弾性率との比(P1/P2)の変化率(C2)に基づいて、積層シート10の耐候性評価を行う。具体的には、評価工程S26では、押し込み弾性率比の変化率(C2)が予め定められた閾値未満であるか否かに基づいて、積層シート10が十分な耐候性を有するか否かを評価する。
ここで、十分な耐候性とは、上記第一実施形態における耐候性評価と同様に、積層シート10を屋外使用した場合に、少なくとも5年間は表面に白化等の異常が生じずに耐候性が保持され得ることを示す。
本発明者らは、当該紫外線照射時間が250時間である場合に押し込み弾性率比の変化率に係る閾値を「25%」とし、当該変化率が25%未満であるか否かの判定によって積層シートの耐候性の初期変化を捉えることで、少なくとも5年間における耐候性の保持の可/不可について評価できることを発見した。そこで、本実施形態では、当該紫外線照射時間が250時間であり、且つ押し込み弾性率比の変化率に基づいて耐候性評価を行う際の閾値を25%に設定している。
また、上記変化率(C2)は、負の値となる場合があるが、これは紫外線照射工程S22での紫外線照射試験前後における押し込み弾性率比がほとんど変化していないことを示しており、積層シート10の軟化を示すものではない。
また、本実施形態に係る積層シート10は、表面側押し込み弾性率と裏面側押し込み弾性率との比(P1/P2)の照射試験の前後での変化率が25%未満となるように構成されることで、優れた耐候性を有し、且つ耐候性評価に係る時間を短縮することができる。
具体的には、本実施形態に係る積層シート10は、基材シート11上に印刷層12を設け、印刷層12上に少なくとも透明樹脂層14と表面保護層15とをこの順に積層した積層シートである。また、積層シート10は、表面保護層15側から積層シート10に対して、感度波長域が310nm以上390nm以下の積算光量計で照度が65mW/cm2、ブラックパネル温度が63℃、槽内湿度が50%の条件下において、メタルハライドランプを用いて250時間の紫外線の照射試験を行い、且つ当該紫外線の照射試験の前後に、透明樹脂層14の厚さ方向において表面保護層15側の領域に設定された表面側測定位置E1における表面側押込み弾性率(EIT/1-VS^2)と、透明樹脂層14の厚さ方向において基材シート11側の領域に設定された裏面側測定位置E2における裏面側押込み弾性率(EIT/1-VS^2)とを測定した場合(押込み弾性率測定工程を実施した場合)に、表面側押込み弾性率(P1)と裏面側押込み弾性率(P2)との比(P1/P2)は、当該照射試験の前後での変化率が25%未満である。さらに、積層シート10において、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14において表面側押込み弾性率および裏面側押込み弾性率の測定時に他の層(表面保護層15、基材シート11上の各層)の影響を受けない領域に設定される。
また、本実施形態に係る積層シート10は、基材シート11上に印刷層12を設け、印刷層上12に少なくとも透明樹脂層14と表面保護層15とをこの順に積層した積層シートであって、透明樹脂層14は、押込み弾性率(EIT/1-VS^2)が600MPa以下であり、透明樹脂層14と表面保護層15とのうち少なくとも一方にヒンダードアミン系光安定剤を含有する構成であってもよい。
このような構成であっても、積層シート10は優れた耐候性を有し、且つ耐候性評価に係る時間を短縮することができる。
また、ヒンダードアミン系光安定剤は、透明樹脂層14と表面保護層15との両方に含まれていてもよいし、透明樹脂層14のみに含まれていてもよいし、表面保護層15のみに含まれていてもよい。
(耐候性評価)
本発明の第三実施形態(以下、本実施形態という)に係る化粧シートの耐候性評価方法について、図1および図4を用いて説明する。図4は、本実施形態に係る積層シート10の評価方法の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
本実施形態に係る耐候性評価方法は、押込み硬度に基づいて積層シート10の耐候性評価を行う点で、上記第一実施形態および第二実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法と相違する。
以下、本実施形態に係る耐候性評価方法の一例を具体的に説明する。
以下の説明では、第一実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法(図2)と相違する点について主に説明し、同様の点については詳細な説明を適宜省略する。
図4に示すように、本例による積層シート10の耐候性評価方法では、まず照射前押込み硬度測定工程S31において透明樹脂層14の押込み硬度(HIT)の測定を行う。なお、押込み硬度の単位は、N/mm2である。照射前押込み硬度測定工程S31は、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2において、押込み硬度を測定する点で、上記第一実施形態における照射前硬度測定工程S1と異なる。
照射前押込み硬度測定工程S31においても、照射前硬度測定工程S1と同様に、表面側押込み硬度および裏面側押込み硬度の測定にあたり、積層シート10のサンプル(試料)を厚さ方向に切断して、断面を露出させている。また、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14において、表面側押込み硬度および裏面側押込み硬度の測定時においても他の層の影響を受けない領域に設定されている。
本実施形態においても上記第一実施形態と同様に、表面側測定位置E1は、透明樹脂層14における表面保護層15側の境界面から基材シート11側に向かって厚さ方向に10μm離間した領域に設定され、裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14における基材シート11側の境界面から表面保護層15側に向かって厚さ方向に10μm離間した位置に設定されることが好ましい。これにより、表面保護層15の影響を受けることなく、確実に表面側押込み硬度が測定可能となり、基材シート11上に設けられた各層(印刷層12またはアンカー層13)の影響を受けることなく、確実に裏面側押込み硬度が測定可能となる。
図4に示すように、照射前押込み硬度測定工程S31を実施した後、次いで紫外線照射工程S32を実施する。紫外線照射工程S32では、積層シート10に対する紫外線照射試験を行う。紫外線照射工程S32における紫外線照射試験は、上記第一実施形態の紫外線照射工程S2における紫外線照射試験と同様であるため、説明は省略する。
図4に示すように、紫外線照射工程S32を実施した後、次いで照射後押込み硬度測定工程S33を実施する。照射後押込み硬度測定工程S33では、紫外線照射試験後における透明樹脂層14の押込み硬度の測定を行う。本工程では、照射前押込み硬度測定工程S31と同様にして、表面側測定位置E1における表面側押込み硬度および、裏面側測定位置E2における裏面側押込み硬度を測定する。このように、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法では、紫外線照射試験の前後に、表面側押込み硬度および裏面側押込み硬度を測定する。
図4に示すように、照射後押込み硬度測定工程S33を実施した後、次いで押込み硬度比算出工程S34を実施する。押込み硬度比算出工程S34では、積層シート10の透明樹脂層14における表面側押込み硬度(R1)と裏面側押込み硬度(R2)との比(R1/R2)を算出する。
具体的には、押込み硬度比算出工程S34において、まず照射前押込み硬度測定工程S31で測定した表面側押込み硬度と裏面側押込み硬度との比を照射前押込み硬度比として算出する。さらに、照射後押込み硬度測定工程S33で測定した表面側押込み硬度と裏面側押込み硬度との比を照射後押込み硬度比として算出する。照射前押込み硬度測定工程S31および照射後押込み硬度測定工程S33で測定した押込み硬度の値から比を算出することで、データのばらつきを補正し、押込み硬度に基づく評価精度を向上することができる。
図4に示すように、押込み硬度比算出工程S34を実施した後、次いで押込み硬度比変化率算出工程S35を実施する。本実施形態において、押込み硬度比変化率算出工程S35では、紫外線照射工程S32の前後における表面側押込み硬度と裏面側押込み硬度との比(R1/R2)の変化率(%)を算出する。
具体的には、押込み硬度比算出工程S34で算出した照射前押込み硬度比と照射後押込み硬度比とを用いて、上述の変化率を算出する。ここで、当該変化率を「C3」としたとき、変化率(C3)は、例えば以下の式(3)を用いて算出される。
C3=(照射後押込み硬度比-照射前押込み硬度比)/照射前押込み硬度比・・・(3)
上記式(3)により、紫外線照射前の押込み硬度比に対する紫外線照射後の押込み硬度比の変化率(上昇率)が算出される。
図4に示すように、押込み硬度比変化率算出工程S35を実施した後、次いで評価工程S36を実施する。本実施形態における評価工程S36では、紫外線照射工程S32の前後における表面側押込み硬度と裏面側押込み硬度との比(R1/R2)の変化率(C3)に基づいて、積層シート10の耐候性評価を行う。具体的には、評価工程S36では、押込み硬度比の変化率(C3)が予め定められた閾値未満であるか否かに基づいて、積層シート10が十分な耐候性を有するか否かを評価する。
ここで、十分な耐候性とは、上記第一実施形態における耐候性評価と同様に、積層シート10を屋外使用した場合に、少なくとも5年間は表面に白化等の異常が生じずに耐候性が保持され得ることを示す。
本発明者らは、当該紫外線照射時間が250時間である場合に押込み硬度比の変化率に係る閾値を「20%」とし、当該変化率が20%未満であるか否かの判定によって積層シートの耐候性の初期変化を捉えることで、少なくとも5年間における耐候性の保持の可/不可について評価できることを発見した。そこで、本実施形態では、当該紫外線照射時間が250時間であり、且つ押込み硬度比の変化率に基づいて耐候性評価を行う際の閾値を20%に設定している。
また、上記変化率(C3)は、負の値となる場合があるが、これは紫外線照射工程S32での紫外線照射試験前後における押込み硬度比がほとんど変化していないことを示しており、積層シート10の軟化を示すものではない。
また、本実施形態に係る積層シート10は、表面側押込み硬度と裏面側押込み硬度との比(R1/R2)の照射試験の前後での変化率が20%未満となるように構成されることで、優れた耐候性を有し、且つ耐候性評価に係る時間を短縮することができる。
具体的には、本実施形態に係る積層シート10は、基材シート11上に印刷層12を設け、印刷層12上に少なくとも透明樹脂層14と表面保護層15とをこの順に積層した積層シートである。また、積層シート10は、表面保護層15側から積層シート10に対して、感度波長域が310nm以上390nm以下の積算光量計で照度が65mW/cm2、ブラックパネル温度が63℃、槽内湿度が50%の条件下において、メタルハライドランプを用いて250時間の紫外線の照射試験を行い、且つ当該紫外線の照射試験の前後に、透明樹脂層14の厚さ方向において表面保護層15側の領域に設定された表面側測定位置E1における表面側押込み硬度(HIT)と、透明樹脂層14の厚さ方向において基材シート11側の領域に設定された裏面側測定位置E2における裏面側押込み硬度(HIT)とを測定した場合(押込み硬度測定工程を実施した場合)に、表面側押込み硬度(R1)と裏面側押込み硬度(R2)との比(R1/R2)は、当該照射試験の前後での変化率が20%未満である。さらに、積層シート10において、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14において表面側押込み硬度および裏面側押込み硬度の測定時に他の層の影響を受けない領域に設定される。
また、本実施形態に係る積層シート10は、基材シート11上に印刷層12を設け、印刷層上12に少なくとも透明樹脂層14と表面保護層15とをこの順に積層した積層シートであって、透明樹脂層14は、押込み硬度(HIT)が45N/mm2以下であり、透明樹脂層14と表面保護層15とのうち少なくとも一方にヒンダードアミン系光安定剤を含有する構成であってもよい。
このような構成であっても、積層シート10は優れた耐候性を有し、且つ耐候性評価に係る時間を短縮することができる。
また、ヒンダードアミン系光安定剤は、透明樹脂層14と表面保護層15との両方に含まれていてもよいし、透明樹脂層14のみに含まれていてもよいし、表面保護層15のみに含まれていてもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが本発明は、実施例により何ら限定されるものではない。
<実施例1>
(透明樹脂層用樹脂シートの形成工程)
まず、ホモポリプロピレン樹脂に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系光安定化剤とを添加して、透明樹脂層用の樹脂材料とした。ここで、ホモポリプロピレン樹脂としては、メソペンタッド分率が95%以上、MFR(メルトフローレート)が4.5g/10min(JIS K 7210:99)である材料を使用した。透明樹脂層用の樹脂材料には、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系光安定化剤とを添加した。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収としては、「チヌビン328:BASF社製)を使用し、ホモポリプロピレン樹脂に対して2000PPM(0.2質量部)添加した。また、ヒンダードアミン系光安定化剤としては「キマソーブ944:BASF社製」を使用し、ホモポリプロピレン樹脂に対して2000PPM(0.2質量部)添加した。このような透明樹脂層用の樹脂材料を、溶融押出機を用いて押し出し、透明樹脂層として用いる厚さ80μmのポリプロピレン製の透明樹脂シートを製膜した。
(表面保護層の形成工程)
上述の透明樹脂層の表面に、アクリルウレタン樹脂に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系光安定化剤とを添加して、表面保護層用の樹脂材料とした。アクリルウレタン樹脂としては、2液硬化型ウレタントップコート(W184;DICグラフィックス株式会社製)を使用した。また、表面保護層用の樹脂材料には、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系光安定化剤とを添加した。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては「チヌビン328:BASF社製」を使用し、ウレタントップコートに対して2000PPM(0.2質量部)添加した。ヒンダードアミン系光安定化剤としては、「キマソーブ944:BASF社製」を使用し、ウレタントップコートに対して2000PPM(0.2質量部)添加した。このような表面保護層用の樹脂材料を透明樹脂層上に塗布厚6g/m2にて塗布し、乾燥させて表面保護層を形成した。
透明樹脂層用樹脂材料に対し、紫外線吸収剤を添加しなかった。それ以外は実施例1と同様にして、実施例2による透明樹脂層および表面保護層を作製した。
表面保護層用樹脂材料に対し、紫外線吸収剤を添加しなかった。それ以外は実施例1と同様にして、実施例3による透明樹脂層および表面保護層を作製した。
表面保護層用樹脂材料であるウレタントップコートに対し、ヒンダードアミン系光安定化剤を添加しなかった。それ以外は実施例1と同様にして、実施例4による透明樹脂層および表面保護層を作製した。
表面保護層用樹脂材料に対し、紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系光安定化剤を添加せず、ウレタントップコートのみとした。それ以外は実施例1と同様にして、実施例5による透明樹脂層および表面保護層を作製した。
透明樹脂層用樹脂材料におけるホモポリプロピレン樹脂としては、メソペンタッド分率が95%以上、MFR(メルトフローレート)が6.2g/10min(JIS K 7210:99)である材料を使用した。それ以外は実施例1と同様にして、実施例6による透明樹脂層および表面保護層を作製した。
透明樹脂層用樹脂材料をホモポリプロピレン樹脂のみとする以外は、実施例1と同様にして、比較例1による透明樹脂層および表面保護層を作製した。
透明樹脂層用樹脂材料に対し、ヒンダードアミン系光安定化剤を添加しなかった。それ以外は実施例1と同様にして、比較例2による透明樹脂層および表面保護層を作成した。
透明樹脂層用樹脂材料におけるホモポリプロピレン樹脂としては、メソペンタッド分率が95%以上、MFR(メルトフローレート)が15g/10min(JIS K 7210:99)である材料を使用した。それ以外は実施例1と同様にして、比較例3による透明樹脂層および表面保護層を作成した。
上記実施例1~5および比較例1~3で得られた各サンプル(透明樹脂層および表面保護層)に対し、(1)マルテンス硬度に基づく耐候性評価、(2)押込み弾性率に基づく耐候性評価、および(3)押込み硬度に基づく耐候性評価をそれぞれ実施した。上記(1)の評価結果を下記表1に示し、上記(2)の評価結果を下記表2に示し、上記(3)の評価結果を下記表3に示した。
<マルテンス硬度に基づく耐候性評価>
(1-1)紫外線照射前におけるマルテンス硬度測定
微小硬さ測定装置として「Fischer社製FISCHERSCOPE Hm2000」を用いて、以下(1-2)の紫外線照射試験前の実施例1~6および比較例1~3の各サンプルについて、透明樹脂層の2ヶ所(表面側測定位置、裏面側測定位置)におけるマルテンス硬度を測定した。表面側測定位置は、透明樹脂層における表面保護層側との境界面から厚さ方向(表面保護層と反対の方向)に10μm離間した位置とした。また、裏面側測定位置は、表面保護層の反対側の表面(裏面)から厚さ方向(表面保護層の方向)に10μm離間した位置とした。
表面側測定位置のマルテンス硬度(表面側マルテンス硬度)および裏面側測定位置のマルテンス硬度(裏面側マルテンス硬度)は、微小硬さ測定装置において、表面側測定位置および裏面側測定位置のそれぞれに対し、荷重5mNまで10秒間かけて荷重増加後、これを5秒間保持し、荷重0.1mNまで10秒間かけて荷重を減少させる荷重パラメーターを用いることで測定した。
表1の「照射試験前」欄には、実施例1~6および比較例1~3の各サンプルにおける紫外線照射試験前のマルテンス硬度(表面側マルテンス硬度、裏面側マルテンス硬度)を、マルテンス硬度比(照射試験前の表面側マルテンス硬度/照射試験前の裏面側マルテンス硬度)とともに示している。
「ダイプラ・ウィンテス社製 メタルウエザー試験機(KW-R7TP-A)」を用いて、実施例1~6および比較例1~3の各サンプルに対し、紫外線照射試験を行った。当該試験の条件は、感度波長域が310nm以上390nm以下の積算光量計における照度が65mW/cm2、ブラックパネル温度が63℃、槽内湿度が50%とした。積算光量計としては「紫外線照度計UIT-201:ウシオ電機株式会社製」を用いた。これにより、後述の紫外線照射後におけるマルテンス硬度測定用のサンプルを作製した。
上記(1-2)の紫外線照射試験を実施した後の実施例1~6および比較例1~3の各サンプルに対し、上記(1-1)の照射前マルテンス硬度測定と同様にして、表面側マルテンス硬度および裏面側マルテンス硬度を測定した。
表1の「照射試験後」欄には、実施例1~6および比較例1~3の各サンプルにおける紫外線照射試験後のマルテンス硬度(表面側マルテンス硬度、裏面側マルテンス硬度)を、マルテンス硬度比(照射試験後の表面側マルテンス硬度/照射試験後の裏面側マルテンス硬度)とともに示している。
実施例1~6および比較例1~3の各サンプルについて、「ダイプラ・ウィンテス社製 メタルウエザー試験機(KW-R7TP-A)」を用いて、照度65mW/cm2(紫外線照度計UIT-201:ウシオ電機株式会社製にて校正)、ブラックパネル温度63℃、槽内湿度50%の条件下で光照射を実施し、24時間ごとに各サンプルの目視による確認を行った。寿命試験では、最表面(表面保護層)に白化が確認されるまでの時間(h)を、各サンプルの寿命(耐候性の保持期間)とし、耐候性評価を行った。
〔評価基準〕
◎:2800時間以上
〇:2500時間以上
×:2500時間未満
本評価では、最表面(表面保護層)に白化が確認されるまでの時間(寿命時間)が2500時間以上であれば、積層シートの耐候性が5年間維持され得る(耐候性が優れている)として、合格「○」とした。また、本評価結果が「◎」の場合、5年以上10年以下の期間において積層シートの耐候性が維持され得るとの評価結果を示す。
表1に示すように、実施例1~6の評価結果から、紫外線照射試験の前後におけるマルテンス硬度の比(表面側マルテンス硬度/裏面側マルテンス硬度)の変化率が10%以下である場合には、寿命評価結果が良好であり(全て合格「〇」以上)、優れた耐候性を有することが分かった。
また、実施例1、2の評価結果から、マルテンス硬度の比の変化率が5%未満である場合には、寿命評価結果が極めて良好(◎)であることが分かった。
以上のことから、マルテンス硬度の比の変化率が10%以下か否かによって耐候性を評価可能であることが分かった。さらに、マルテンス硬度に基づく耐候性評価により、目視では数千時間(本例では、2000時間以上)を要する積層シートの耐候性評価を250時間(紫外線照射試験における紫外線照射時間)で行うことができ、目視の場合と比較して評価時間を大幅に削減可能であることが分かった。
(2-1)紫外線照射前における押込み弾性率測定
微小硬さ測定装置として「Fischer社製FISCHERSCOPE Hm2000」を用いて、以下(2-2)の紫外線照射試験前の実施例1~5および比較例1~3の各サンプルについて、透明樹脂層の2ヶ所(表面側測定位置、裏面側測定位置)における押し込み弾性率(EIT/1-vs^2)を測定した。表面側測定位置および裏面側測定位置は、上記(1-1)におけるマルテンス硬度測定時の位置と同様とした。
表面側測定位置の押込み弾性率(表面側押込み弾性率)および裏面側測定位置の押込み弾性率(裏面側押込み弾性率)は、微小硬さ測定装置において、表面側測定位置および裏面側測定位置のそれぞれに対し、荷重5mNまで10秒間かけて荷重増加後、これを5秒間保持し、荷重0.1mNまで10秒間かけて荷重を減少させる荷重パラメーターを用いることで測定した。
表2の「照射試験前」欄には、実施例1~5および比較例1~3の各サンプルにおける紫外線照射試験前の押込み弾性率(表面側押込み弾性率、裏面側押込み弾性率)を、押込み弾性率比(照射試験前の表面側押込み弾性率/照射試験前の裏面側押込み弾性率)とともに示している。
上記(1-2)と同様の装置、条件にて紫外線照射試験を実施した。これにより、後述の紫外線照射後における押込み弾性率測定用のサンプルを作製した。
上記2-2の紫外線照射試験を実施した後の実施例1~5および比較例1~3の各サンプルに対し、上記(2-1)の照射前の押込み弾性率測定と同様にして、表面側押込み弾性率および裏面側押込み弾性率を測定した。
表2の「照射試験後」欄には、実施例1~5および比較例1~3の各サンプルにおける紫外線照射試験後の押込み弾性率(表面側押込み弾性率、裏面側押込み弾性率)を、押込み弾性率比(照射試験後の表面側押込み弾性率/照射試験後の裏面側押込み弾性率)とともに示している。
実施例1~5および比較例1~3の各サンプルについて、上記(1-4)と同様の装置、条件にて耐候性評価を行った。また、上記(1-4)と同様に、最表面(表面保護層)に白化が確認されるまでの時間(h)を、各サンプルの寿命(耐候性の保持期間)とし、耐候性評価を行った。
〔評価基準〕
◎:2800時間以上
〇:2500時間以上
×:2500時間未満
また本評価では、上記(1-4)と同様に、最表面(表面保護層)に白化が確認されるまでの時間(寿命時間)が2500時間以上であれば、積層シートの耐候性が5年間維持され得る(耐候性が優れている)として、合格「○」とした。また、本評価結果が「◎」の場合、5年以上10年以下の期間において積層シートの耐候性が維持され得るとの評価結果を示す。
表2に示すように、実施例1~5の評価結果から、紫外線照射試験の前後における押込み弾性率の比(表面側押込み弾性率/裏面側押込み弾性率)の変化率が25%未満である場合には、寿命評価結果が良好であり(全て合格「〇」以上)、優れた耐候性を有することが分かった。
また、実施例1、2の評価結果から、押込み弾性率の比の変化率が5%未満である場合には、寿命評価結果が極めて良好(◎)となる確率が高いことが分かった。
以上のことから、押込み弾性率の比の変化率が25%未満か否かによって耐候性を評価可能であることが分かった。さらに、押込み弾性率に基づく耐候性評価により、目視では数千時間(本例では、2000時間以上)を要する積層シートの耐候性評価を250時間(紫外線照射試験における紫外線照射時間)で行うことができ、目視の場合と比較して評価時間を大幅に削減可能であることが分かった。
(3-1)紫外線照射前における押込み硬度測定
微小硬さ測定装置として「Fischer社製FISCHERSCOPE Hm2000」を用いて、以下(3-2)の紫外線照射試験前の実施例1~5および比較例1~3の各サンプルについて、透明樹脂層の2ヶ所(表面側測定位置、裏面側測定位置)における押込み硬度(HIT)を測定した。表面側測定位置および裏面側測定位置は、上記(1-1)におけるマルテンス硬度測定時の位置と同様とした。
表面側測定位置の押込み硬度(表面側押込み硬度)および裏面側測定位置の押込み硬度(裏面側押込み硬度)は、微小硬さ測定装置において、表面側測定位置および裏面側測定位置のそれぞれに対し、荷重5mNまで10秒間かけて荷重増加後、これを5秒間保持し、荷重0.1mNまで10秒間かけて荷重を減少させる荷重パラメーターを用いることで測定した。
表3の「照射試験前」欄には、実施例1~5および比較例1~3の各サンプルにおける紫外線照射試験前の押込み硬度(表面側押込み硬度、裏面側押込み硬度)を、押込み硬度比(照射試験前の表面側押込み硬度/照射試験前の裏面側押込み硬度)とともに示している。
上記(1-2)と同様の装置、条件にて紫外線照射試験を実施した。これにより、後述の紫外線照射後における押込み硬度測定用のサンプルを作製した。
上記3-2の紫外線照射試験を実施した後の実施例1~5および比較例1~3の各サンプルに対し、上記(3-1)の照射前押込み硬度測定と同様にして、表面側押込み硬度および裏面側押込み硬度を測定した。
表3の「照射試験後」欄には、実施例1~5および比較例1~3の各サンプルにおける紫外線照射試験後の押込み硬度(表面側押込み硬度、裏面側押込み硬度)を、押込み硬度比(照射試験後の表面側押込み硬度/照射試験後の裏面側押込み硬度)とともに示している。
実施例1~5および比較例1~3の各サンプルについて、上記(1-4)と同様の装置、条件にて耐候性評価を行った。また、上記(1-4)と同様に、最表面(表面保護層)に白化が確認されるまでの時間(h)を、各サンプルの寿命(耐候性の保持期間)とし、耐候性評価を行った。
〔評価基準〕
◎:2800時間以上
〇:2500時間以上
×:2500時間未満
また本評価では、上記(1-4)と同様に、最表面(表面保護層)に白化が確認されるまでの時間(寿命時間)が2500時間以上であれば、積層シートの耐候性が5年間維持され得る(耐候性が優れている)として、合格「○」とした。また、本評価結果が「◎」の場合、5年以上10年以下の期間において積層シートの耐候性が維持され得るとの評価結果を示す。
表3に示すように、実施例1~5の評価結果から、紫外線照射試験の前後における押込み硬度の比(表面側押込み硬度/裏面側押込み硬度)の変化率が20%未満である場合には、寿命評価結果が良好であり(全て合格「〇」以上)、優れた耐候性を有することが分かった。
以上のことから、押込み硬度の比の変化率が20%未満か否かによって耐候性を評価可能であることが分かった。さらに、押込み硬度に基づく耐候性評価により、目視では数千時間(本例では、2000時間以上)を要する積層シートの耐候性評価を250時間(紫外線照射試験における紫外線照射時間)で行うことができ、目視の場合と比較して評価時間を大幅に削減可能であることが分かった。
11 基材シート
12 印刷層
13 アンカー層
14 透明樹脂層
15 表面保護層
E1 表面側測定位置
E2 裏面側測定位置
Claims (11)
- 基材シート上に印刷層を設け、前記印刷層上に少なくとも透明樹脂層と表面保護層とをこの順に積層した積層シートであって、
前記表面保護層側から前記積層シートに対して、感度波長域が310nm以上390nm以下の積算光量計で照度が65mW/cm2、ブラックパネル温度が63℃、槽内湿度が50%の条件下において、メタルハライドランプを用いて250時間の紫外線の照射試験を行い、且つ
前記照射試験の前後に、前記透明樹脂層の厚さ方向において前記表面保護層側の領域に設定された表面側測定位置における表面側押込み硬度(HIT)と、前記透明樹脂層の厚さ方向において前記基材シート側の領域に設定された裏面側測定位置における裏面側押込み硬度(HIT)とを測定した場合に、
前記表面側押込み硬度(R1)と前記裏面側押込み硬度(R2)との比(R1/R2)は、前記照射試験の前後での変化率が-3.5%以上0.6%以下の範囲内であり、
前記表面保護層は、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有し、
前記透明樹脂層の厚さは、40μm以上100μm以下の範囲内であり、
前記表面側測定位置は、前記透明樹脂層における前記表面保護層側の境界面から前記基材シート側に向かって厚さ方向に10μm離間した領域に設定され、
前記裏面側測定位置は、前記透明樹脂層における前記基材シート側の境界面から前記表面保護層側に向かって厚さ方向に10μm離間した領域に設定されている、積層シート。 - 前記表面保護層に含まれる前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、下記式(1)で表される構造を有する、請求項1に記載の積層シート。
- 前期透明樹脂層は、樹脂としてポリプロピレン樹脂のみを含む
請求項1又は2に記載の積層シート。 - 前期透明樹脂層は、ヒンダードアミン系光安定剤を含んでいる
請求項1から3のいずれか1項に記載の積層シート。 - 前記透明樹脂層は、当該透明樹脂層の全質量に対して、ヒンダードアミン系光安定剤を0.2質量部以上含有している
請求項4に記載の積層シート。 - 前記透明樹脂層は、紫外線吸収剤を含んでいる
請求項4又は5に記載の積層シート。 - 前記透明樹脂層は、当該透明樹脂層の全質量に対して、紫外線吸収剤を0.2質量部以上含有している
請求項6に記載の積層シート。 - 前期表面保護層がアクリル系樹脂で形成されている
請求項1から7のいずれか1項に記載の積層シート。 - 前記表面保護層は、ヒンダードアミン系光安定剤を含有し、
前記表面保護層における前記ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、当該表面保護層の全質量に対して0.2質量部以上である
請求項1から8のいずれか1項に記載の積層シート。 - 前記表面保護層における前記紫外線吸収剤の含有量は、当該表面保護層の全質量に対して0.2質量部以上である
請求項1から9のいずれか1項に記載の積層シート。 - 基材シート上に印刷層を設け、前記印刷層上に少なくとも透明樹脂層と表面保護層とをこの順に積層した積層シートの耐候性評価方法であって、
前記積層シートの最表面である前記表面保護層側から前記積層シートに対して、感度波長域が310nm以上390nm以下の積算光量計で照度が65mW/cm2、ブラックパネル温度が63℃、槽内湿度が50%の条件下において、メタルハライドランプを用いて250時間の紫外線の照射試験を行う紫外線照射工程と、
前記紫外線の照射試験の前後に、前記透明樹脂層の厚さ方向において前記表面保護層側の領域に設定された表面側測定位置における表面側押込み硬度(HIT)と、前記透明樹脂層の厚さ方向において前記基材シート側の領域に設定された裏面側測定位置における裏面側押込み硬度(HIT)とを測定する押込み硬度測定工程と、
前記照射試験の前後における前記表面側押込み硬度(R1)と裏面側押込み硬度(R2)との比(R1/R2)の変化率が-3.5%以上0.6%以下の範囲内であるか否かに基づいて耐候性を評価する評価工程と、
を含み、
前記透明樹脂層の厚さは、40μm以上100μm以下の範囲内であり、
前記表面側測定位置は、前記透明樹脂層における前記表面保護層側の境界面から前記基材シート側に向かって厚さ方向に10μm離間した領域に設定され、
前記裏面側測定位置は、前記透明樹脂層における前記基材シート側の境界面から前記表面保護層側に向かって厚さ方向に10μm離間した領域に設定されている
積層シートの耐候性評価方法。
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