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JP7732241B2 - 積層シート及び積層シートの耐候性評価方法 - Google Patents
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JP7732241B2 - 積層シート及び積層シートの耐候性評価方法 - Google Patents

積層シート及び積層シートの耐候性評価方法

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Description

本発明は、積層シート及び当該積層シートの耐候性評価方法に関するものである。
従来、木質ボード、無機系ボード類、金属板等に貼り合わせて外装用建材に用いられる積層シートが知られている。建物の外装に用いられる積層シートは、屋外において紫外線や風雨を受けることから、耐候性向上が大きな課題となっている。耐候性向上のため、積層シートの最表層において紫外線吸収剤やラジカル補捉剤(光安定剤)を添加することが一般的に知られている(例えば特許文献1~4)。
特開2008-238444号公報 特開2007-118584号公報 特開2005-088481号公報 特開2011-16277号公報
屋外で用いる積層シートは、表面に白化等の異常が生じると、異常の発生箇所が紫外線や風雨に曝露されることで耐候性が低下して、劣化が促進される。つまり、積層シートの耐候性低下にともなって、建物外装の劣化が生じることとなる。
近年、建物(例えば、住宅)の長期保証が常識となりつつあり、その一環として外装用建材に使用される積層シートの品質保証に関するニーズも高まっている。そこで、耐候性評価として、例えば保証期間に相当する期間において積層シートの耐候性が低下せずに保持されるかを予め評価することが求められている。
従来の積層シートでは、紫外線照射による表面の経時変化を目視で観察することにより耐候性の評価が行われていた。しかしながら、このような評価方法では、評価結果を導出するまでの時間(評価時間)として数千時間という非常に長い時間を要するという問題があった。
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑み、耐候性評価に係る時間を短縮可能な積層シート及び当該積層シートの耐候性評価方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様による積層シートは、基材シート上に印刷層を設け、前記印刷層上に少なくとも透明樹脂層と表面保護層とをこの順に積層した積層シートであって、前記表面保護層側から前記積層シートに対して、感度波長域が310nm以上390nm以下の積算光量計で照度が65mW/cm、ブラックパネル温度が63℃、槽内湿度が50%の条件下において、メタルハライドランプを用いて250時間の紫外線の照射試験を行い、且つ前記照射試験の前後に、前記透明樹脂層の厚さ方向において前記表面保護層側の領域に設定された表面側測定位置における表面側押込み硬度(HIT)と、前記透明樹脂層の厚さ方向において前記基材シート側の領域に設定された裏面側測定位置における裏面側押込み硬度(HIT)とを測定した場合に、前記表面側押込み硬度(R1)と前記裏面側押込み硬度(R2)との比(R1/R2)は、前記照射試験の前後での変化率が20%未満であり、前記裏面側測定位置および前記裏面側測定位置は、前記透明樹脂層において前記表面側押込み硬度および前記裏面側押込み硬度の測定時に他の層の影響を受けない領域に設定される。
上記課題を解決するために、本発明の他の態様による積層シートは、基材シート上に印刷層を設け、前記印刷層上に少なくとも透明樹脂層と表面保護層とをこの順に積層した積層シートであって、前記透明樹脂層は、押込み硬度が45N/mm以下であり、前記透明樹脂層と前記表面保護層とのうち少なくとも一方にヒンダードアミン系光安定剤を含有する。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様による耐候性評価方法は、基材シート上に印刷層を設け、前記印刷層上に少なくとも透明樹脂層と表面保護層とをこの順に積層した積層シートの耐候性評価方法であって、前記積層シートの最表面である前記表面保護層側から前記積層シートに対して、感度波長域が310nm以上390nm以下の積算光量計で照度が65mW/cm、ブラックパネル温度が63℃、槽内湿度が50%の条件下において、メタルハライドランプを用いて250時間の紫外線の照射試験を行う紫外線照射工程と、前記紫外線の照射試験の前後に、前記透明樹脂層の厚さ方向において前記表面保護層側の領域に設定された表面側測定位置における表面側押込み硬度(HIT)と、前記透明樹脂層の厚さ方向において前記基材シート側の領域に設定された裏面側測定位置における裏面側押込み硬度(HIT)とを測定する押込み硬度測定工程と、前記照射試験の前後における前記表面側押込み硬度(R1)と裏面側押込み硬度(R2)との比(R1/R2)の変化率が20%未満であるか否かに基づいて耐候性を評価する評価工程と、を含み、前記表面側測定位置および前記裏面側測定位置は、前記透明樹脂層において前記表面側押込み硬度および前記裏面側押込み硬度の測定時に他の層の影響を受けない領域に設定されている。
本発明によれば、耐候性評価に係る時間を短縮可能な積層シート及び当該積層シートの耐候性評価方法を提供することができる。
本発明の第一実施形態に係る積層シートの一例を表す断面図である。 本発明の第一実施形態に係る積層シートの耐候性評価方法の一例を示すフローチャートである。 本発明の第二実施形態に係る積層シートの耐候性評価方法の一例を示すフローチャートである。 本発明の第三実施形態に係る積層シートの耐候性評価方法の一例を示すフローチャートである。
以下、実施形態を通じて本開示を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、図面は特許請求の範囲にかかる発明を模式的に示すものであり、各部の幅、厚さ等の寸法は現実のものとは異なり、これらの比率も現実のものとは異なる。
本開示の第一実施形態に係る積層シートについて説明する。本開示に係る積層シートは、例えば、建物外装用の建具に施工される積層シートである。なお、以下の説明では、積層シートの貼り付け面に接触する基材シート側を「下」、積層シートの貼り付け面に接触する側と反対側(表面)を「上」として説明する場合がある。
以下、図面を参照して本開示の各実施形態の各態様について説明する。
1.第一実施形態
(1.1)積層シートの基本構成
図1は、本実施形態に係る積層シート10の断面を示す模式図であって、当該断面を正面視した図である。図1に示すように、本発明の第一実施形態(以下、本実施形態)に係る積層シート10は、基材シート11と、印刷層12と、アンカー層13と、透明樹脂層14と、表面保護層15と、がこの順で積層されている。以下、上述した各層の構成について説明する。
本実施形態に係る積層シート10は、基材シート11上に印刷層12を設け、印刷層12上に少なくとも透明樹脂層14と表面保護層15とをこの順に積層した積層シートであればよい。このため、積層シート10において、アンカー層13の形成を省略してもよい。
(基材シート11)
基材シート11の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、従来の化粧シートで基材に使用されていた熱可塑性樹脂と同様のものを使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体、1,4-シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、6-ナイロン、6,6-ナイロン、6,10-ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン-テトラフロロエチレン共重合体、エチレン-パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂等或いはそれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用できる。
ここで、基材シート11に使用可能な熱可塑性樹脂として、多数の熱可塑性樹脂を挙げたが、近年の環境問題に対する社会的な関心の高まりに鑑みれば、ポリ塩化ビニル樹脂等の塩素(ハロゲン)を含有する熱可塑性樹脂を使用することは望ましくなく、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂を使用することが望ましい。特に、各種物性や、加工性、汎用性、経済性等の面からは、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂(非晶質又は二軸延伸)を使用することが最も望ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、既に列挙した多くの種類から、積層シート10の使用目的等に応じて適宜選択して使用すればよい。特に、一般的な用途に最も好適なのは、ポリプロピレン系樹脂、すなわち、プロピレンを主成分とする単独又は共重合体である。例えば、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂等を単独又は適宜配合したり、それらに更にアタクチックポリプロピレンを適宜配合した樹脂等を使用することができる。また、プロピレン以外のオレフィン系単量体を含む共重合体であってもよく、例えば、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2~20のα-オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン-1、4-メチルペンテン-1、ヘキセン-1又はオクテン-1のコモノマーの1種又は2種以上を15モル%以上含有するプロピレン-α-オレフィン共重合体等を例示できる。また、通常ポリプロピレン系樹脂の柔軟化に用いられている低密度ポリエチレン、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-プロピレン共重合ゴム、エチレン-プロピレン-非共役ジエン共重合ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体又はその水素添加物等の改質剤を適宜添加できる。
基材シート11としては、上述した熱可塑性樹脂以外に、例えば紙、ゴム、不織布、合成紙、金属箔等から任意に選定したものが使用可能である。紙としては、薄葉紙、チタン紙、樹脂含浸紙等が例示できる。ゴムとしては、エチレン-プロピレン共重合ゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴム、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合ゴム、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合ゴム、ポリウレタン等が例示できる。不織布としては、有機系や無機系の不織布が使用できる。金属箔の金属としては、アルミニウム、鉄、金、銀等が例示できる。
基材シート11は隣接層との密着性を補うため、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、電子線処理、紫外線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。
また、本実施形態における基材シート11は、不透明に着色された着色オレフィン系樹脂層(着色熱可塑性樹脂層)であって隠蔽性を有していてもよい。これにより、基材シート11は、例えば積層シート10と所定の基板とを貼り合わせて外装用建材を形成する際に、基板表面の色のばらつきや欠陥等を隠蔽することができる。また、基板表面の質感を活かす場合、基材シート11は、基板表面を透視可能な程度の透明性を有する着色オレフィン系樹脂層であればよい。
(印刷層12)
印刷層12は、積層シート10に意匠性を付与する層であって、基材シート11に対してインキを用いて施された絵柄印刷の層である。
印刷層12は、印刷インキやコーティング剤等を用いて形成される。印刷インキ等としては、特に制限はなく、従来の化粧シートで印刷層に使用されている印刷インキ等と同様のものを使用できる。例えば、印刷インキとしてアクリル系インキを用いることができる。アクリル系インキとしては、例えば、アクリルポリオール系ビヒクルにイソシアネート硬化剤を配合してなる2液硬化型ウレタン樹脂をバインダー樹脂に用いたインキを使用することができる。また、印刷層12には、その他の樹脂成分を必要に応じ添加してもよい。印刷層12のバインダー樹脂以外の成分としては、例えば、顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、光安定剤など各種添加剤などを用いることができる。顔料としては、例えば、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等が挙げられる。
印刷層12を設ける方法は、特に限定さるものではなく、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、インキジェット印刷など通常の印刷方法を用いることができる。また、印刷層12の絵柄としては、任意の絵柄を用いることができ、例えば、木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様等、或いはこれらの2種類以上の組み合わせ等を用いることができる。
(アンカー層13)
アンカー層(アンカーコート層)13は、基材シート11(下台)と透明樹脂層14(上台)とを接着性を高めるために設けられる層である。
本実施形態において、印刷層12を設けた基材シート11と透明樹脂層14とは、アンカー層13を介して接合されていればよく、接合手法は、熱ラミネート、押出ラミネート、ドライラミネート、サンドラミネートなどの各種ラミネート手法を用いることができる。ここで、本実施形態による積層シート10の諸性能を考慮すると、接合手法はドライラミネート手法が好ましい。このため、アンカー層13は、ドライラミネート接着剤を用いたドライラミネート接着剤層であることが好ましい。また、アンカー層13は、例えば、グラビアコート、マイクログラビアコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコートなど通常の塗布方法を用いて形成される。
なお、積層シート10においてアンカー層13の構成は必須ではなく、アンカー層13が設けられていなくてもよい。
(透明樹脂層14)
透明樹脂層14は、積層シート10の耐候性や耐久性を向上させるための層である。透明樹脂層14は、例えば、ポリオレフィン樹脂を用いて形成される。ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂等、或いはこれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等が挙げられる。
また、透明樹脂層14を構成するポリオレフィン樹脂の種類は、1種類であってもよいし、複数の種類であってもよい。これらのポリオレフィン樹脂のうち、透明樹脂層14を構成するポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂を好適に用いることができる。つまり、本実施形態に係る積層シート10において、透明樹脂層14は、ポリプロピレンで形成されていてもよい。
また本実施形態に係る積層シート10において、透明樹脂層14は、積層シート10の耐候性向上のため、耐候剤として紫外線吸収剤(Urtra Violet Absorber:UVA)や光安定剤を含有していることが好ましい。
透明樹脂層14は、耐候剤のうち少なくとも光安定剤を含んでいることが好ましい。光安定剤としては、ヒンダードアミン系の化合物を用いた光安定剤であるヒンダードアミン系光安定剤(Hindered Amine Light Stabilizers:HALS)を好適に用いることができる。つまり、積層シート10における透明樹脂層14は、HALSを含有していることが好ましい。HALSは、紫外線曝露によって生じるラジカルを捕捉して塗膜の分解を抑制するラジカル捕捉剤として機能する。このため、透明樹脂層14がHALSを含有することにより、積層シート10の耐候性を向上させることができる。
また、透明樹脂層14は、HALSに加えて紫外線吸収剤(UVA)を含有していることがさらに好ましい。紫外線吸収剤は、ラジカルの発生を抑制する効果を奏する。耐候剤としての機能が異なるHALSとUVAとを含有することにより、ラジカル制御効果とラジカルの発生を抑制する効果との相乗効果を得ることができ、積層シート10の耐候性をより向上させることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤が挙げられる。透明樹脂層14には、これらのうち1種類の紫外線吸収剤が添加されてもよいし、複数種類の紫外線吸収剤を混合して添加してもよい。本実施形態において、透明樹脂層14に添加する紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を好適に用いることができる。
透明樹脂層14は、透明樹脂層14全体の質量に対して、光安定剤(HALS)を0.2質量部以上含有していることが好ましい。透明樹脂層14における光安定剤の含有量が、0.2質量部未満の場合には、十分な耐候性が得られない場合がある。また、コストの抑制や、透明樹脂層14における樹脂成分の含有率維持の観点から、透明樹脂層14における光安定剤の含有量は透明樹脂層14全体の質量に対して、1質量部以下であることが好ましい。
また、透明樹脂層14は、透明樹脂層14全体の質量に対して、紫外線吸収剤(UVA)を0.2質量部以上含有していることが好ましい。透明樹脂層14における紫外線吸収剤の含有量が、0.2質量部未満の場合には、十分な耐候性が得られない場合がある。また、ブリードの発生防止や透明樹脂層14における樹脂成分の含有率維持の観点から、透明樹脂層14における紫外線吸収剤の含有量は、透明樹脂層14全体の質量に対して1質量部以下の範囲であることが好ましい。
このように、本実施形態において、透明樹脂層14は、光安定剤を少なくとも含有するポリプロピレン樹脂組成物(ポリオレフィン樹脂組成物)であることが好ましく、光安定剤および紫外線吸収剤を含有するポリプロピレン樹脂組成物であることがより好ましい。
これにより、外装用に用いられる積層シート10に、優れた耐候性を付与することができる。
また、透明樹脂層14の厚さは、40μm以上100μm以下の範囲内が好ましい。透明樹脂層14の厚さが40μmに満たない場合には、耐候性や耐傷性が低下することがある。また、透明樹脂層14の厚さが100μmを超える場合には、製造コストが高くなり、また可撓性が低下することがある。
なお、透明樹脂層14には、必要に応じて熱安定剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤及び光沢調整剤等の各種添加剤を添加することもできる。熱安定剤としては、フェノール系、硫黄系、リン系、ヒドラジン系等を、任意の組合せで添加するのが一般的である。
透明樹脂層14の形成方法は、特に限定されるものではない。透明樹脂層14は、カレンダー成膜や押出成膜など通常の方法を用いて形成することができる。その中でも、透明樹脂層14の形成方法としては、押し出し成型が好ましい。押し出し成型であれば、透明樹脂層14を均一に成膜することができる。
また、意匠性を付与するために、透明樹脂層14に表面凹凸を設けてもよい。凹凸を設ける方法としては、例えば、透明樹脂層14を押し出し成型した後に熱エンボス加工を施す方法、押し出し成型時に凹凸を設けた冷却ロールを用い押し出し成型と同時にエンボス加工を施す方法がある。
(表面保護層)
表面保護層15は、透明樹脂層14上に形成される層であり、積層シート10に耐候性、耐傷性、耐汚染性、意匠性などの機能を付与するために設けられた層である。
表面保護層15の材料としては、例えば、表面保護層15の耐候性を向上させることを考慮すると、アクリル系樹脂組成物を主成分とし、ポリイソシアネートを硬化剤とした反応生成物(以下、「イソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物」とも呼ぶ)を用いることができる。アクリル系樹脂組成物としては、例えば、アクリルポリオールを用いることができる。アクリルポリオールとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル等の通常のアクリル系モノマーに、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル等の水酸基を含有するモノマーと、必要に応じてスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、酪酸ビニル、バーサチック酸ビニル、エチルビニルエーテル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の共重合可能な重合性モノマーとを配合して、共重合させて得られる、側鎖に水酸基を有するアクリル系の高分子化合物を採用することができる。
また、ポリイソシアネートのイソシアネートプレポリマーとしては、例えば、表面保護層15の耐候性を考慮すると、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体を使用することができる。また、イソシアネートプレポリマーの側鎖としては、例えば、表面保護層15に柔軟性を付与することを考慮すると、ウレタン結合を使用することができる。
また、表面保護層15の材料としては、例えば、耐擦傷性・耐候性・耐久性を考慮すると、電離放射線硬化型樹脂と、イソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物との混合物を用いることができる。耐傷性としては、表面保護層15は、JIS K 5600に準じた鉛筆硬度試験の硬度がB以上であることが好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、電離放射線の照射により架橋反応する性質を有する(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの少なくとも何れかを主成分とする組成物を用いることができる。電離放射線としては、例えば、電子線、紫外線を用いることができる。電離放射線硬化性樹脂には、例えば、必要に応じて重合開始剤や増感剤等の添加剤を添加してもよい。
重合性不飽和結合を有するプレポリマーやオリゴマーとしては、例えば、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート等を用いることができる。また、モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の単官能モノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート等の2官能モノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能モノマー等を用いることができる。
イソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物としては、例えば、アクリル系樹脂組成物を主剤とし、ポリイソシアネートを硬化剤とした反応生成物を用いることができる。アクリル系樹脂組成物としては、例えば、アクリルポリオール化合物を採用することができる。アクリルポリオール化合物としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル等の通常のアクリル系モノマーに、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル等の水酸基を含有するモノマーと、必要に応じてスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、酪酸ビニル、バーサチック酸ビニル、エチルビニルエーテル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の共重合可能な重合性モノマーを配合して、共重合させて得られる、側鎖に水酸基を有するアクリル系の高分子化合物を採用することができる。
また、ポリイソシアネートのイソシアネートプレポリマーとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等を使用することができる。特に、耐候性・黄変性・生産性を考慮すると、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の三量体を使用できる。すなわち、HDIを原料とするイソシアヌレート型、つまり、HDIの誘導体であるHDIイソシアヌレートを使用できる。また、イソシアネートプレポリマーの側鎖としては、例えば、表面保護層15に柔軟性への付与を考慮すると、ウレタン結合を使用することができる。
また、表面保護層15の材料には、アクリル系樹脂として、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド等を使用してもよい。
このように、本実施形態における表面保護層15は、アクリル系樹脂を主成分とする層であることが好ましい。ここで、本明細書における主成分とは、対象の層を構成する材料の70質量%以上、好ましくは90質量%以上含まれる樹脂材料を指す。つまり、表面保護層15は、アクリル系樹脂で形成されていることが好ましい。
また、表面保護層15は、光安定剤または紫外線吸収剤のうち少なくとも1種を含有していることが好ましい。つまり、表面保護層15は、紫外線吸収剤または光安定剤のうち少なくともいずれか1種を含有するアクリル系樹脂組成物で形成されていることが好ましい。表面保護層15は、光安定剤および紫外線吸収剤を除く樹脂組成分の全てがアクリル系樹脂で構成されていてもよい。本実施形態において、表面保護層15には、透明樹脂層14と同様に、光安定剤としてヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を添加することができる。また表面保護層15は、透明樹脂層14が含有する紫外線吸収剤と同様に、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤を添加することができる。
また、表面保護層15は、光安定剤および紫外線吸収剤(UVA)の両方を含有していることがさらに好ましい。これにより、ラジカル制御効果とラジカルの発生を抑制する効果との相乗効果を得ることができ、積層シート10の耐候性をより向上させることができる。
表面保護層15における光安定剤(本例では、HALS)の含有量は、表面保護層15全体の質量に対して、0.2質量部以上であることが好ましい。表面保護層15における光安定剤の含有量が、0.2質量部未満の場合には、十分な耐候性が得られない場合がある。また、コストの抑制や、表面保護層15における樹脂成分の含有率維持の観点から、透明樹脂層14における光安定剤の含有量は表面保護層15全体の質量に対して、1質量部以下であることが好ましい。
また、表面保護層15における紫外線吸収剤(UVA)の含有量は、表面保護層15全体の質量に対して、0.2質量部以上であることが好ましい。表面保護層15における紫外線吸収剤の含有量が、0.2質量部未満の場合には、十分な耐候性が得られない場合がある。また、ブリードの発生防止や表面保護層15における樹脂成分の含有率維持の観点から、透明樹脂層14における紫外線吸収剤の含有量は、表面保護層15全体の質量に対して1質量部以下の範囲であることが好ましい。
なお、表面保護層15における紫外線吸収剤の含有量は、透明樹脂層14における紫外線吸収剤の含有量よりも多くてもよい。また、表面保護層15における光安定剤の含有量は、透明樹脂層14における光安定剤の含有量よりも多くてもよい。
また、表面保護層15が含有する光安定剤および紫外線吸収剤は、透明樹脂層14が含有するものと同一の種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
表面保護層15は、必要に応じて、例えば、熱安定剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤および艶調整剤等の各種添加剤を配合してもよい。
表面保護層15の形成方法は、特に限定されず、前述の材料を塗液化したものを、例えばグラビアコート、マイクログラビアコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコートなど通常の方法で塗布した後、熱硬化や紫外線硬化など材料に適合した方法で硬化させることで表面保護層15を形成する。
また、表面保護層15の層厚は、3μm以上15μm以下の範囲内が望ましい。表面保護層15の厚さが3μm以上であれば、耐傷性が向上する。表面保護層15の厚さが15μm以下であれば、必要以上に多くの量の樹脂材料を使用する必要がなくコストを低減することができる。
また、本発明の第1実施形態に係る積層シート10では、表面保護層15にエンボス模様(凹凸模様)を形成してもよい。エンボス模様(不図示)を形成することにより、木目導管状等、所望する任意の凹凸形状を表面保護層15に立体的に形成できる。これにより、優れた質感があり、且つ耐候性の優れた積層シート10を作製できる。
(積層シート10の耐候性評価)
次に、図1および図2を用いて、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法について説明する。図2は、本実施形態に係る耐候性評価方法の流れの一例を示すフローチャートである。
本発明の発明者は、外装用に用いる積層シートの耐候性評価とこれに係る評価時間の短縮について鋭意検討を行った結果、紫外線暴露による透明樹脂層14におけるマルテンス硬度の変化に基づいて、耐候性評価を行うことが可能であることを見出した。そして、マルテンス硬度の変化に基づく耐候性評価を行うことにより、評価に係る時間を大幅に短縮することに成功した。
以下、本実施形態に係る耐候性評価方法の一例を具体的に説明する。
なお、以下の説明において、本実施形態に係る耐候性評価方法による耐候性評価を積層シート10に対して実施する例を説明するが、本発明はこれに限られず、透明樹脂層14上に表面保護層15を形成した試料(サンプル)に対して耐候性評価を行ってもよい。いずれにおいても、同等の評価結果を得ることができる。
(照射前硬度測定工程S1)
図2に示すように、本例による積層シート10の耐候性評価方法では、まず照射前硬度測定工程において透明樹脂層14のマルテンス硬度(N/mm)の測定を行う。
ここで透明樹脂層14におけるマルテンス硬度の測定について説明する。照射前硬度測定工程では、透明樹脂層14における2つの領域において、マルテンス硬度を測定する。図1では、透明樹脂層14における2つの測定位置として、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2を例示している。表面側測定位置E1は、透明樹脂層14の厚さ方向において、表面保護層15側(表面側)の領域に設定されている。また、裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14の厚さ方向において、基材シート11側(裏面側)の領域に設定されている。
ここで、表面側測定位置E1のマルテンス硬度を表面側マルテンス硬度とし、裏面側測定位置E2のマルテンス硬度を裏面側マルテンス硬度とする。つまり、照射前硬度測定工程では、表面側測定位置E1における表面側マルテンス硬度および裏面側測定位置E2における裏面側マルテンス硬度を測定する。
図1に示すように、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2は、積層シート10を厚さ方向に切断した場合における、透明樹脂層14の切断面上に位置している。つまり、照射前硬度測定工程S1では、表面側マルテンス硬度および裏面側マルテンス硬度の測定にあたり、積層シート10のサンプル(試料)を厚さ方向に切断して、断面を露出させている。
また、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14において、表面側マルテンス硬度および裏面側マルテンス硬度の測定時において他の層の影響を受けない領域に設定されている。ここで、他の層の影響を受けない領域とは、例えば透明樹脂層14と接する他の層からの成分の浸潤(ブリード等)があった場合に当該浸潤が到達しない領域を示す。
つまり、表面側測定位置E1は、透明樹脂層14において、表面側マルテンス硬度の測定時において表面保護層15からの浸潤等の影響を受けない領域に設定されている。また、裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14において、裏面側マルテンス硬度の測定時において基材シート11および基材シート11上に設けられた各層(印刷層12、アンカー層13)からの浸潤等の影響を受けない領域に設定されている。
例えば、表面側測定位置E1は、透明樹脂層14における表面保護層15側の境界面から基材シート11側に向かって厚さ方向に10μm離間した領域に設定され、裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14における基材シート11側の境界面から表面保護層15側に向かって厚さ方向に10μm離間した位置に設定されることが好ましい。これにより、表面保護層15の影響を受けることなく、確実に表面側マルテンス硬度が測定可能となり、基材シート11上に設けられた各層(印刷層12またはアンカー層13)の影響を受けることなく、確実に裏面側マルテンス硬度が測定可能となる。
なお、図1に示す表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2は、一例であって、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2は、図1に図示した位置に限られない。上述のとおり、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2は、マルテンス硬度の測定時において他の層の影響を受けない程度に、表面保護層15側の境界面、基材シート11側の境界面のそれぞれから離間していればよい。
表面側マルテンス硬度および裏面側マルテンス硬度は、微小硬さ測定装置を用いて測定することができる。微小硬さ測定装置としては、例えば「Fischer社製FISCHERSCOPE Hm2000」を用いることができる。微小硬さ測定装置は、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2のそれぞれに対し、荷重5mNまで10秒間かけて荷重増加後、これを5秒間保持し、荷重0.1mNまで10秒間かけて荷重を減少させる荷重パラメーターを用いることにより、表面側マルテンス硬度および裏面側マルテンス硬度を測定する。
照射試験前における表面側マルテンス硬度は、20N/mm以下であることが好ましい。これにより、紫外線照射を実施する前の状態において、積層シート10が屋外使用に適した耐候性を有していることを確認することができる。
(紫外線照射工程S2)
図2に示すように、照射前硬度測定工程S1を実施した後、次いで紫外線照射工程を実施する。紫外線照射工程S2では、積層シート10に対する紫外線照射試験を行う。
ここで、紫外線照射工程S2における紫外線照射試験について、具体的に説明する。本例の紫外線照射試験では、メタルハライドランプを光源として紫外線照射試験を行う。メタルハライドランプによる紫外線照射試験は、例えば「ダイプラ・ウィンテス社製 メタルウエザー試験機(KW-R7TP-A)」を用いて実施することができる。
本例の紫外線照射試験の条件は、感度波長域が310nm以上390nm以下の積算光量計における照度が65mW/cm、ブラックパネル温度が63℃、槽内湿度が50%である。積算光量計としては、例えば、「紫外線照度計UIT-201:ウシオ電機株式会社製」を用いる。当該条件の下、積層シート10の最表面である表面保護層15側から、メタルハライドランプを用いて積層シート10に対し、250時間の紫外線照射試験を行う。
なお、紫外線照射試験は、上記照射前硬度測定工程S1に用いた積層シート10と同一組成であって、断面が露出していない積層シートについて実施する。
(照射後硬度測定工程S3)
図2に示すように、紫外線照射工程S2を実施した後、次いで照射後硬度測定工程S3を実施する。照射後硬度測定工程S3では、紫外線照射試験後における透明樹脂層14のマルテンス硬度の測定を行う。本工程では、照射前硬度測定工程S1と同様にして、表面側測定位置E1における表面側マルテンス硬度および、裏面側測定位置E2における裏面側マルテンス硬度を測定する。このように、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法では、紫外線照射試験の前後に、表面側マルテンス硬度および裏面側マルテンス硬度を測定する。
なお、照射後硬度測定工程S3では、紫外線照射工程S2において紫外線照射試験を実施した後の積層シート10の試料について、表面側マルテンス硬度および裏面側マルテンス硬度を測定する。
また、照射前硬度測定工程S1および照射後硬度測定工程S3を総称して、「マルテンス硬度測定工程」と称する場合がある。
(硬度比算出工程S4)
図2に示すように、照射後硬度測定工程S3を実施した後、次いで硬度比算出工程S4を実施する。硬度比算出工程S4では、積層シート10の透明樹脂層14における表面側マルテンス硬度(A1)と裏面側マルテンス硬度(A2)との比(A1/A2)を算出する。
具体的には、硬度比算出工程S4において、まず照射前硬度測定工程S1で測定した表面側マルテンス硬度と裏面側マルテンス硬度との比を照射前硬度比として算出する。さらに、照射後硬度測定工程S3で測定した表面側マルテンス硬度と裏面側マルテンス硬度との比を照射後硬度比として算出する。照射前硬度測定工程S1および照射後硬度測定工程S3で測定したマルテンス硬度の値から比を算出することで、データのばらつきを補正し、マルテンス硬度に基づく評価精度を向上することができる。
(硬度比変化率算出工程S5)
図2に示すように、硬度比算出工程S4を実施した後、次いで硬度比変化率算出工程S5を実施する。本実施形態において、硬度比変化率算出工程S5では、紫外線照射工程S2の前後における表面側マルテンス硬度と裏面側マルテンス硬度との比(A1/A2)の変化率(%)を算出する。
具体的には、硬度比算出工程S4で算出した照射前硬度比と照射後硬度比とを用いて、上述の変化率を算出する。ここで、当該変化率を「C1」としたとき、変化率(C1)は、例えば以下の式(1)を用いて算出される。
C1=(照射後硬度比-照射前硬度比)/照射前硬度比・・・(1)
上記式(1)により、紫外線照射前のマルテンス硬度比に対する紫外線照射後のマルテンス硬度比の変化率(上昇率)が算出される。
(評価工程S6)
図2に示すように、硬度比変化率算出工程S5を実施した後、次いで評価工程S6を実施する。本実施形態における評価工程S6では、紫外線照射工程S2の前後における表面側マルテンス硬度と裏面側マルテンス硬度との比(A1/A2)の変化率(C1)に基づいて、積層シート10の耐候性評価を行う。具体的には、評価工程S6では、マルテンス硬度比の変化率(C1)が予め定められた閾値以下であるか否かに基づいて、積層シート10が十分な耐候性を有するか否かを評価する。
ここで、十分な耐候性とは、積層シート10を屋外使用した場合に、少なくとも5年間は表面に白化等の異常が生じずに耐候性が保持され得ることを示す。
本実施形態において、耐候性評価に係る上記の閾値は、紫外線照射によるマルテンス硬度の変化と、紫外線照射工程S2における紫外線照射時間と、耐候性の保持が求められる期間(例えば、保証期間)とに応じて設定される。一般的に、建物(住宅等)の保証期間は5年から10年程度である。
本発明者らは、当該紫外線照射時間が250時間である場合にマルテンス硬度比の変化率に係る閾値を「10%」とし、当該変化率が10%以下であるか否かの判定によって積層シートの耐候性の初期変化を捉えることで、少なくとも5年間における耐候性の保持の可/不可について評価できることを発見した。そこで、本実施形態では、当該紫外線照射時間が250時間であり、且つマルテンス硬度比の変化率に基づいて耐候性評価を行う際の閾値を10%に設定している。
紫外線照射工程S2の前後における表面側マルテンス硬度と裏面側マルテンス硬度との比(A1/A2)の変化率(C1)が10%以下であることは、積層シート10の柔軟性が維持されており、紫外線曝露による積層シート10の硬化(劣化)が抑制されていることを示す。したがって、マルテンス硬度比の変化率(C1)が10%を超える場合に比べて、長い期間に亘り、耐候性が保持されることとなる。
このように、評価工程S6では、紫外線照射工程S2での紫外線照射試験前後における表面側マルテンス硬度と裏面側マルテンス硬度との比(A1/A2)の変化率(C1)が、10%以下であるか否かに基づいて、積層シート10が十分な耐候性を有するかを評価する。これにより、積層シート10が少なくとも5年間は、耐候性が保持され得るか否かを評価することができる。
つまり、本実施形態において、評価工程S6では、変化率(C1)が閾値「10%」以下である場合に、積層シート10が十分な耐候性を有すると評価し、変化率(C1)が10%以下でない場合、すなわち変化率(C1)が10%を超える場合に、積層シート10が十分な耐候性を有していないと評価する。つまり、積層シート10は、変化率(C1)が10%以下となるように構成されていることで、十分な耐候性を有することとなる。
また、上記変化率(C1)の値が少ない、つまり0%に近いほど劣化が少なく、耐候性が保持される期間が長くなる。したがって、紫外線照射工程S2での紫外線照射試験前後におけるマルテンス硬度比の変化率(C1)が5%未満である場合には、積層シート10を屋外使用した場合に、5年以上10年以下の期間内において耐候性が保持され得ると評価してもよい。
また、上記変化率(C1)は、負の値となる場合があるが、これは紫外線照射工程S2での紫外線照射試験前後におけるマルテンス硬度比がほとんど変化していないことを示しており、積層シート10の軟化を示すものではない。
また、本実施形態に係る積層シート10の評価方法において、硬度測定工程(照射前硬度測定工程S1,照射後硬度測定工程S3)におけるマルテンス硬度の測定や、硬度比算出工程S4、硬度比変化率算出工程S5、評価工程S6における算出処理や判定処理は、所定の電子計算機(コンピュータ等)によって実行すればよい。したがって、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価に係る時間は、主に紫外線照射工程S2における紫外線照射時間である。
従来、目視による積層シートの耐候性評価方法では、評価に係る時間が数千時間(例えば、1000時間から3000時間程度)であった。これに対し、本実施形態にかかる積層シート10の耐候性評価方法では、耐候性評価に係る時間は約250時間となる。つまり、本実施形態に係る耐候性評価方法によれば、耐候性評価に係る時間を70%以上削減することができる。
このように、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法によれば、積層シートの評価に係る時間を大幅に短縮することができる。これにより、コストの抑制や評価に係る人員の負担軽減、さらに商材に対する迅速な評価結果の取得が可能となる。また、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法では、数値データ(マルテンス硬度比の変化率(C1)と閾値(10%))に基づいて、耐候性評価を行う。これにより、目視による評価と比較して、評価精度を向上することができる。
また、本実施形態に係る積層シート10は、表面側マルテンス硬度と裏面側マルテンス硬度との比(A1/A2)の照射試験の前後での変化率が10%以下となるように構成されることで、優れた耐候性を有し、且つ耐候性評価に係る時間を短縮することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法は、積層シート10の最表面である表面保護層15側から積層シート10に対して、感度波長域が310nm以上390nm以下の積算光量計で照度が65mW/cm、ブラックパネル温度が63℃、槽内湿度が50%の条件下において、メタルハライドランプを用いて250時間の紫外線の照射試験を行う紫外線照射工程S2と、紫外線照射工程S2における紫外線の照射試験の前後に、透明樹脂層14の厚さ方向において表面保護層15側の領域に設定された表面側測定位置E1における表面側マルテンス硬度(A1)と透明樹脂層14内の厚さ方向において基材シート11側の領域に設定された裏面側測定位置E2における裏面側マルテンス硬度(A2)とを測定するマルテンス硬度測定工程(照射前硬度測定工程S1、照射後硬度測定工程S3)と、照射試験の前後における表面側マルテンス硬度と裏面側マルテンス硬度との比(A1/A2)の変化率(C1)が10%以下であるか否かに基づいて耐候性を評価する評価工程S6と、を含んでいる。さらに表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14において表面側マルテンス硬度および裏面側マルテンス硬度の測定時に他の層(表面保護層15、基材シート11上の各層)の影響を受けない領域に設定されている。
これにより、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法では、耐候性評価に係る時間を短縮することができる。
また、本実施形態に係る積層シート10は、図2に示す耐候性評価方法を適用可能に構成されている。
具体的には、本実施形態に係る積層シート10は、基材シート11上に印刷層12を設け、印刷層12上に少なくとも透明樹脂層14と表面保護層15とをこの順に積層した積層シートである。また、積層シート10は、表面保護層15側から積層シート10に対して、感度波長域が310nm以上390nm以下の積算光量計で照度が65mW/cm、ブラックパネル温度が63℃、槽内湿度が50%の条件下において、メタルハライドランプを用いて250時間の紫外線の照射試験(紫外線照射工程S2)を行い、且つ当該紫外線の照射試験の前後に、透明樹脂層14の厚さ方向において表面保護層15側の領域に設定された表面側測定位置E1における表面側マルテンス硬度(A1)と、透明樹脂層14の厚さ方向において基材シート11側の領域に設定された裏面側測定位置E2における裏面側マルテンス硬度(A2)とを測定した場合(マルテンス硬度測定工程を実施した場合)に、表面側マルテンス硬度と裏面側マルテンス硬度との比(A1/A2)は、当該照射試験の前後での変化率が10%以下である。さらに、積層シート10において、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14において表面側マルテンス硬度および裏面側マルテンス硬度の測定時に他の層(表面保護層15、基材シート11上の各層)の影響を受けない領域に設定される。
これにより、本実施形態に係る積層シート10は、優れた耐候性を有し、且つ耐候性評価に係る時間を短縮することができる。
(変形例)
また、本実施形態に係る積層シート10は、基材シート11上に印刷層12を設け、印刷層上12に少なくとも透明樹脂層14と表面保護層15とをこの順に積層した積層シートであって、透明樹脂層14は、マルテンス硬度が30N/mm以下であり、透明樹脂層14と表面保護層15とのうち少なくとも一方にヒンダードアミン系光安定剤を含有する構成であってもよい。
このような構成であっても、積層シート10は優れた耐候性を有し、且つ耐候性評価に係る時間を短縮することができる。
ここで、透明樹脂層14のマルテンス硬度(N/mm)としては、表面側測定位置E1における表面側マルテンス硬度でもよいし、裏面側測定位置E2における裏面側マルテンス硬度であってもよいし、透明樹脂層14の厚さ方向において表面側測定位置E1と裏面側測定位置E2との間の領域におけるマルテンス硬度であってもよい。また、透明樹脂層14のマルテンス硬度は、1N/mm以上30N/mm以下の範囲内が好ましく、20N/mm以下がより好ましい。
また、ヒンダードアミン系光安定剤は、透明樹脂層14と表面保護層15との両方に含まれていてもよいし、透明樹脂層14のみに含まれていてもよいし、表面保護層15のみに含まれていてもよい。
<第二実施形態>
(耐候性評価)
本発明の第二実施形態(以下、本実施形態という)に係る化粧シートの耐候性評価方法について、図1および図3を用いて説明する。図3は、本実施形態に係る積層シート10の評価方法の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
本実施形態に係る耐候性評価方法は、押込み弾性率に基づいて積層シート10の耐候性評価を行う点で、第一実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法と相違する。
本発明の発明者は、外装用に用いる積層シートの耐候性評価とこれに係る評価時間の短縮について鋭意検討を行った結果、紫外線暴露による透明樹脂層14における押込み弾性率の変化に基づいて、耐候性評価を行うことが可能であることを見出した。そして、押込み弾性率の変化に基づく耐候性評価を行うことにより、評価に係る時間を大幅に短縮することに成功した。
以下、本実施形態に係る耐候性評価方法の一例を具体的に説明する。
以下の説明では、第一実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法(図2参照)と相違する点について主に説明し、同様の点については詳細な説明を適宜省略する。
(照射前弾性率測定工程S21)
図3に示すように、本例による積層シート10の耐候性評価方法では、まず照射前弾性率測定工程において透明樹脂層14の押込み弾性率(EIT/1-V^2)の測定を行う。なお、押込み弾性率の単位は、Mpaである。照射前弾性率測定工程S21は、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2において、押込み弾性率を測定する点で、上記第一実施形態における照射前硬度測定工程S1と異なる。
照射前弾性率測定工程S21では、図1に示す表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2において、押込み弾性率を測定する。ここで、表面側測定位置E1の押込み弾性率を表面側押込み弾性率とし、裏面側測定位置E2の押込み弾性率を裏面側押込み弾性率とする。つまり、照射前弾性率測定工程では、表面側測定位置E1における表面側押込み弾性率および裏面側測定位置E2における裏面側押込み弾性率を測定する。
照射前弾性率測定工程S21においても、照射前硬度測定工程S1と同様に、表面側押込み弾性率および裏面側押込み弾性率の測定にあたり、積層シート10のサンプル(試料)を厚さ方向に切断して、断面を露出させている。また、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14において、表面側押込み弾性率および裏面側押込み弾性率の測定時においても他の層の影響を受けない領域に設定されている。
本実施形態においても上記第一実施形態と同様に、表面側測定位置E1は、透明樹脂層14における表面保護層15側の境界面から基材シート11側に向かって厚さ方向に10μm離間した領域に設定され、裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14における基材シート11側の境界面から表面保護層15側に向かって厚さ方向に10μm離間した位置に設定されることが好ましい。これにより、表面保護層15の影響を受けることなく、確実に表面側押込み弾性率が測定可能となり、基材シート11上に設けられた各層(印刷層12またはアンカー層13)の影響を受けることなく、確実に裏面側押込み弾性率が測定可能となる。
表面側押込み弾性率および裏面側押込み弾性率は、微小硬さ測定装置を用いて測定することができる。微小硬さ測定装置としては、例えば「Fischer社製FISCHERSCOPE Hm2000」を用いることができる。微小硬さ測定装置は、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2のそれぞれに対し、荷重5mNまで10秒間かけて荷重増加後、これを5秒間保持し、荷重0.1mNまで10秒間かけて荷重を減少させる荷重パラメーターを用いることにより、表面側押し込み弾性率(EIT/1-v^2)および裏面側押し込み弾性率(EIT/1-v^2)を測定する。
なお、押し込み試験機(上記の微小硬さ測定装置)による弾性率測定では真の押し込み弾性率(EIT)ではなく、測定サンプルのポアソン比を含む押し込み弾性率の係数(EIT/1-v^2)の測定となる。このため、本例では押し込み試験機で測定可能な押し込み弾性率の係数(EIT/1-v^2)を押し込み弾性率と呼ぶこととする。
(紫外線照射工程S22)
図3に示すように、照射前弾性率測定工程S21を実施した後、次いで紫外線照射工程S22を実施する。紫外線照射工程S22では、積層シート10に対する紫外線照射試験を行う。紫外線照射工程S22における紫外線照射試験は、上記第一実施形態の紫外線照射工程S2における紫外線照射試験と同様であるため、説明は省略する。
(照射後弾性率測定工程S23)
図3に示すように、紫外線照射工程S22を実施した後、次いで照射後弾性率測定工程S23を実施する。照射後弾性率測定工程S23では、紫外線照射試験後における透明樹脂層14の押し込み弾性率の測定を行う。本工程では、照射前弾性率測定工程S21と同様にして、表面側測定位置E1における表面側押し込み弾性率および、裏面側測定位置E2における裏面側押し込み弾性率を測定する。このように、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法では、紫外線照射試験の前後に、表面側押し込み弾性率および裏面側押し込み弾性率を測定する。
なお、照射後弾性率測定工程S23では、紫外線照射工程S22において紫外線照射試験を実施した後の積層シート10の試料について、表面側押し込み弾性率および裏面側押し込み弾性率を測定する。また、照射前弾性率測定工程S21および照射後弾性率測定工程S23を総称して、「弾性率測定工程」と称する場合がある。
(弾性率比算出工程S24)
図3に示すように、照射後弾性率測定工程S23を実施した後、次いで弾性率比算出工程S24を実施する。弾性率比算出工程S24では、積層シート10の透明樹脂層14における表面側押し込み弾性率(P1)と裏面側押し込み弾性率(P2)との比(P1/P2)を算出する。
具体的には、弾性率比算出工程S24において、まず照射前弾性率測定工程S21で測定した表面側押し込み弾性率と裏面側押し込み弾性率との比を照射前弾性率比として算出する。さらに、照射後弾性率測定工程S23で測定した表面側押し込み弾性率と裏面側押し込み弾性率との比を照射後弾性率比として算出する。照射前弾性率測定工程S21および照射後弾性率測定工程S23で測定した押し込み弾性率の値から比を算出することで、データのばらつきを補正し、押し込み弾性率に基づく評価精度を向上することができる。
(弾性率比変化率算出工程S25)
図3に示すように、弾性率比算出工程S24を実施した後、次いで弾性率比変化率算出工程S25を実施する。本実施形態において、弾性率比変化率算出工程S25では、紫外線照射工程S22の前後における表面側押し込み弾性率と裏面側押し込み弾性率との比(P1/P2)の変化率(%)を算出する。
具体的には、弾性率比算出工程S24で算出した照射前弾性率比と照射後弾性率比とを用いて、上述の変化率を算出する。ここで、当該変化率を「C2」としたとき、変化率(C2)は、例えば以下の式(2)を用いて算出される。
C2=(照射後弾性率比-照射前弾性率比)/照射前弾性率比・・・(2)
上記式(2)により、紫外線照射前の押し込み弾性率比に対する紫外線照射後の押し込み弾性率比の変化率(上昇率)が算出される。
(評価工程S26)
図3に示すように、弾性率比変化率算出工程S25を実施した後、次いで評価工程S26を実施する。本実施形態における評価工程S26では、紫外線照射工程S22の前後における表面側押し込み弾性率と裏面側押し込み弾性率との比(P1/P2)の変化率(C2)に基づいて、積層シート10の耐候性評価を行う。具体的には、評価工程S26では、押し込み弾性率比の変化率(C2)が予め定められた閾値未満であるか否かに基づいて、積層シート10が十分な耐候性を有するか否かを評価する。
ここで、十分な耐候性とは、上記第一実施形態における耐候性評価と同様に、積層シート10を屋外使用した場合に、少なくとも5年間は表面に白化等の異常が生じずに耐候性が保持され得ることを示す。
本実施形態において、耐候性評価に係る上記の閾値は、紫外線照射による押し込み弾性率の変化と、紫外線照射工程S22における紫外線照射時間と、耐候性の保持が求められる期間(例えば、保証期間)とに応じて設定される。一般的に、建物(住宅等)の保証期間は5年から10年程度である。
本発明者らは、当該紫外線照射時間が250時間である場合に押し込み弾性率比の変化率に係る閾値を「25%」とし、当該変化率が25%未満であるか否かの判定によって積層シートの耐候性の初期変化を捉えることで、少なくとも5年間における耐候性の保持の可/不可について評価できることを発見した。そこで、本実施形態では、当該紫外線照射時間が250時間であり、且つ押し込み弾性率比の変化率に基づいて耐候性評価を行う際の閾値を25%に設定している。
紫外線照射工程S22の前後における表面側押し込み弾性率と裏面側押し込み弾性率との比(P1/P2)の変化率(C2)が25%未満であることは、積層シート10の柔軟性が維持されており、紫外線曝露による積層シート10の硬化(劣化)が抑制されていることを示す。したがって、押し込み弾性率の変化率(C2)が25%以上となる場合に比べて、長い期間に亘り、耐候性が保持されることとなる。
このように、評価工程S26では、紫外線照射工程S22での紫外線照射試験前後における表面側押し込み弾性率と裏面側押し込み弾性率との比(P1/P2)の変化率(C2)が、25%未満であるか否かに基づいて、積層シート10が十分な耐候性を有するかを評価する。これにより、積層シート10が少なくとも5年間は、耐候性が保持され得るか否かを評価することができる。
つまり、本実施形態において、評価工程S26では、変化率(C2)が閾値「25%」未満である場合に、積層シート10が十分な耐候性を有すると評価し、変化率(C2)が25%未満でない場合、すなわち変化率(C2)が25%以上となる場合に、積層シート10が十分な耐候性を有していないと評価する。つまり、積層シート10は、変化率(C2)が25%未満となるように構成されていることで、十分な耐候性を有することとなる。
また、上記変化率(C2)の値が少ない、つまり0%に近いほど劣化が少なく、耐候性が保持される期間が長くなる傾向がある。したがって、例えば紫外線照射工程S22での紫外線照射試験前後における押し込み弾性率の変化率(C2)が5%未満である場合には、積層シート10を屋外使用した場合に、5年以上10年以下の期間内において耐候性が保持される確率が高い。
また、上記変化率(C2)は、負の値となる場合があるが、これは紫外線照射工程S22での紫外線照射試験前後における押し込み弾性率比がほとんど変化していないことを示しており、積層シート10の軟化を示すものではない。
また、本実施形態に係る積層シート10の評価方法において、弾性率測定工程(照射前弾性率測定工程S21,照射後弾性率測定工程S23)における押し込み弾性率の測定や、弾性率比算出工程S24、弾性率比変化率算出工程S25、評価工程S26における算出処理や判定処理は、上記第一実施形態に係る耐候性評価方法と同様に、所定の電子計算機(コンピュータ等)によって実行すればよい。本実施形態に係る耐候性評価方法においても、上記第一実施形態に係る耐候性評価方法と同様に、耐候性評価に係る時間を70%以上削減することができる。
このように、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法によれば、積層シートの評価に係る時間を大幅に短縮することができ、コストの抑制や評価に係る人員の負担軽減、さらに商材に対する迅速な評価結果の取得が可能となる。また、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法では、数値データ(押し込み弾性率比の変化率(C2)と閾値(25%))に基づいて、耐候性評価を行う。これにより、目視による評価と比較して、評価精度を向上することができる。
また、本実施形態に係る積層シート10は、表面側押し込み弾性率と裏面側押し込み弾性率との比(P1/P2)の照射試験の前後での変化率が25%未満となるように構成されることで、優れた耐候性を有し、且つ耐候性評価に係る時間を短縮することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法は、積層シート10の最表面である表面保護層15側から積層シート10に対して、感度波長域が310nm以上390nm以下の積算光量計で照度が65mW/cm、ブラックパネル温度が63℃、槽内湿度が50%の条件下において、メタルハライドランプを用いて250時間の紫外線の照射試験を行う紫外線照射工程S22と、紫外線照射工程S22における紫外線の照射試験の前後に、透明樹脂層14の厚さ方向において表面保護層15側の領域に設定された表面側測定位置E1における表面側押込み弾性率(EIT/1-V^2)と、透明樹脂層14の厚さ方向において基材シート11側の領域に設定された裏面側測定位置E2における裏面側押込み弾性率(EIT/1-V^2)とを測定する押込み弾性率測定工程(照射前弾性率測定工程S21、照射後弾性率測定工程S23)と、当該照射試験の前後における表面側押込み弾性率(P1)と裏面側押込み弾性率(P2)との比(P1/P2)の変化率(C2)が25%未満であるか否かに基づいて耐候性を評価する評価工程S26と、を含んでいる。さらに、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14において表面側押込み弾性率および裏面側押込み弾性率の測定時に他の層(表面保護層15、基材シート11上の各層)の影響を受けない領域に設定されている。
これにより、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法では、耐候性評価に係る時間を短縮することができる。
また、本実施形態に係る積層シート10は、図3に示す耐候性評価方法を適用可能に構成されている。
具体的には、本実施形態に係る積層シート10は、基材シート11上に印刷層12を設け、印刷層12上に少なくとも透明樹脂層14と表面保護層15とをこの順に積層した積層シートである。また、積層シート10は、表面保護層15側から積層シート10に対して、感度波長域が310nm以上390nm以下の積算光量計で照度が65mW/cm、ブラックパネル温度が63℃、槽内湿度が50%の条件下において、メタルハライドランプを用いて250時間の紫外線の照射試験を行い、且つ当該紫外線の照射試験の前後に、透明樹脂層14の厚さ方向において表面保護層15側の領域に設定された表面側測定位置E1における表面側押込み弾性率(EIT/1-V^2)と、透明樹脂層14の厚さ方向において基材シート11側の領域に設定された裏面側測定位置E2における裏面側押込み弾性率(EIT/1-V^2)とを測定した場合(押込み弾性率測定工程を実施した場合)に、表面側押込み弾性率(P1)と裏面側押込み弾性率(P2)との比(P1/P2)は、当該照射試験の前後での変化率が25%未満である。さらに、積層シート10において、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14において表面側押込み弾性率および裏面側押込み弾性率の測定時に他の層(表面保護層15、基材シート11上の各層)の影響を受けない領域に設定される。
これにより、本実施形態に係る積層シート10は、優れた耐候性を有し、且つ耐候性評価に係る時間を短縮することができる。
(変形例)
また、本実施形態に係る積層シート10は、基材シート11上に印刷層12を設け、印刷層上12に少なくとも透明樹脂層14と表面保護層15とをこの順に積層した積層シートであって、透明樹脂層14は、押込み弾性率(EIT/1-V^2)が600MPa以下であり、透明樹脂層14と表面保護層15とのうち少なくとも一方にヒンダードアミン系光安定剤を含有する構成であってもよい。
このような構成であっても、積層シート10は優れた耐候性を有し、且つ耐候性評価に係る時間を短縮することができる。
ここで、透明樹脂層14の押込み弾性率としては、表面側測定位置E1における表面側押込み弾性率でもよいし、裏面側測定位置E2における裏面側押込み弾性率であってもよいし、透明樹脂層14の厚さ方向において表面側測定位置E1と裏面側測定位置E2との間の領域における押込み弾性率であってもよい。また、透明樹脂層14の押込み弾性率は、300Ma以上600MPa以下の範囲内が好ましく、450MPa以下がより好ましい。
また、ヒンダードアミン系光安定剤は、透明樹脂層14と表面保護層15との両方に含まれていてもよいし、透明樹脂層14のみに含まれていてもよいし、表面保護層15のみに含まれていてもよい。
<第三実施形態>
(耐候性評価)
本発明の第三実施形態(以下、本実施形態という)に係る化粧シートの耐候性評価方法について、図1および図4を用いて説明する。図4は、本実施形態に係る積層シート10の評価方法の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
本実施形態に係る耐候性評価方法は、押込み硬度に基づいて積層シート10の耐候性評価を行う点で、上記第一実施形態および第二実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法と相違する。
本発明の発明者は、外装用に用いる積層シートの耐候性評価とこれに係る評価時間の短縮について鋭意検討を行った結果、紫外線暴露による透明樹脂層14における押込み硬度(HIT)の変化に基づいて、耐候性評価を行うことが可能であることを見出した。そして、押込み硬度の変化に基づく耐候性評価を行うことにより、評価に係る時間を大幅に短縮することに成功した。
以下、本実施形態に係る耐候性評価方法の一例を具体的に説明する。
以下の説明では、第一実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法(図2)と相違する点について主に説明し、同様の点については詳細な説明を適宜省略する。
(照射前押込み硬度測定工程S31)
図4に示すように、本例による積層シート10の耐候性評価方法では、まず照射前押込み硬度測定工程S31において透明樹脂層14の押込み硬度(HIT)の測定を行う。なお、押込み硬度の単位は、N/mmである。照射前押込み硬度測定工程S31は、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2において、押込み硬度を測定する点で、上記第一実施形態における照射前硬度測定工程S1と異なる。
照射前押込み硬度測定工程31では、図1に示す表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2において、押込み硬度を測定する。ここで、表面側測定位置E1の押込み硬度を表面側押込み硬度とし、裏面側測定位置E2の押込み硬度を裏面側押込み硬度とする。つまり、照前押込み硬度測定工程では、表面側測定位置E1における表面側押込み硬度および裏面側測定位置E2における裏面側押込み硬度を測定する。
照射前押込み硬度測定工程S31においても、照射前硬度測定工程S1と同様に、表面側押込み硬度および裏面側押込み硬度の測定にあたり、積層シート10のサンプル(試料)を厚さ方向に切断して、断面を露出させている。また、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14において、表面側押込み硬度および裏面側押込み硬度の測定時においても他の層の影響を受けない領域に設定されている。
本実施形態においても上記第一実施形態と同様に、表面側測定位置E1は、透明樹脂層14における表面保護層15側の境界面から基材シート11側に向かって厚さ方向に10μm離間した領域に設定され、裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14における基材シート11側の境界面から表面保護層15側に向かって厚さ方向に10μm離間した位置に設定されることが好ましい。これにより、表面保護層15の影響を受けることなく、確実に表面側押込み硬度が測定可能となり、基材シート11上に設けられた各層(印刷層12またはアンカー層13)の影響を受けることなく、確実に裏面側押込み硬度が測定可能となる。
表面側押込み硬度および裏面側押込み硬度は、微小硬さ測定装置を用いて測定することができる。微小硬さ測定装置としては、例えば「Fischer社製FISCHERSCOPE Hm2000」を用いることができる。微小硬さ測定装置は、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2のそれぞれに対し、荷重5mNまで10秒間かけて荷重増加後、これを5秒間保持し、荷重0.1mNまで10秒間かけて荷重を減少させる荷重パラメーターを用いることにより、表面側押込み硬度(HIT)および裏面側押込み硬度(HIT)を測定する。
(紫外線照射工程S32)
図4に示すように、照射前押込み硬度測定工程S31を実施した後、次いで紫外線照射工程S32を実施する。紫外線照射工程S32では、積層シート10に対する紫外線照射試験を行う。紫外線照射工程S32における紫外線照射試験は、上記第一実施形態の紫外線照射工程S2における紫外線照射試験と同様であるため、説明は省略する。
(照射後押込み硬度測定工程S33)
図4に示すように、紫外線照射工程S32を実施した後、次いで照射後押込み硬度測定工程S33を実施する。照射後押込み硬度測定工程S33では、紫外線照射試験後における透明樹脂層14の押込み硬度の測定を行う。本工程では、照射前押込み硬度測定工程S31と同様にして、表面側測定位置E1における表面側押込み硬度および、裏面側測定位置E2における裏面側押込み硬度を測定する。このように、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法では、紫外線照射試験の前後に、表面側押込み硬度および裏面側押込み硬度を測定する。
なお、照射後押込み硬度測定工程S33では、紫外線照射工程S22において紫線照射試験を実施した後の積層シート10の試料について、表面側押込み硬度および裏面側押込み硬度を測定する。また、照射前押込み硬度測定工程S31および照射後押込み硬度測定工程S33を総称して、「押込み硬度測定工程」と称する場合がある。
(押込み硬度比算出工程S34)
図4に示すように、照射後押込み硬度測定工程S33を実施した後、次いで押込み硬度比算出工程S34を実施する。押込み硬度比算出工程S34では、積層シート10の透明樹脂層14における表面側押込み硬度(R1)と裏面側押込み硬度(R2)との比(R1/R2)を算出する。
具体的には、押込み硬度比算出工程S34において、まず照射前押込み硬度測定工程S31で測定した表面側押込み硬度と裏面側押込み硬度との比を照射前押込み硬度比として算出する。さらに、照射後押込み硬度測定工程S33で測定した表面側押込み硬度と裏面側押込み硬度との比を照射後押込み硬度比として算出する。照射前押込み硬度測定工程S31および照射後押込み硬度測定工程S33で測定した押込み硬度の値から比を算出することで、データのばらつきを補正し、押込み硬度に基づく評価精度を向上することができる。
(押込み硬度比変化率算出工程S35)
図4に示すように、押込み硬度比算出工程S34を実施した後、次いで押込み硬度比変化率算出工程S35を実施する。本実施形態において、押込み硬度比変化率算出工程S35では、紫外線照射工程S32の前後における表面側押込み硬度と裏面側押込み硬度との比(R1/R2)の変化率(%)を算出する。
具体的には、押込み硬度比算出工程S34で算出した照射前押込み硬度比と照射後押込み硬度比とを用いて、上述の変化率を算出する。ここで、当該変化率を「C3」としたとき、変化率(C3)は、例えば以下の式(3)を用いて算出される。
C3=(照射後押込み硬度比-照射前押込み硬度比)/照射前押込み硬度比・・・(3)
上記式(3)により、紫外線照射前の押込み硬度比に対する紫外線照射後の押込み硬度比の変化率(上昇率)が算出される。
(評価工程S36)
図4に示すように、押込み硬度比変化率算出工程S35を実施した後、次いで評価工程S36を実施する。本実施形態における評価工程S36では、紫外線照射工程S32の前後における表面側押込み硬度と裏面側押込み硬度との比(R1/R2)の変化率(C3)に基づいて、積層シート10の耐候性評価を行う。具体的には、評価工程S36では、押込み硬度比の変化率(C3)が予め定められた閾値未満であるか否かに基づいて、積層シート10が十分な耐候性を有するか否かを評価する。
ここで、十分な耐候性とは、上記第一実施形態における耐候性評価と同様に、積層シート10を屋外使用した場合に、少なくとも5年間は表面に白化等の異常が生じずに耐候性が保持され得ることを示す。
本実施形態において、耐候性評価に係る上記の閾値は、紫外線照射による押込み硬度の変化と、紫外線照射工程S32における紫外線照射時間と、耐候性の保持が求められる期間(例えば、保証期間)とに応じて設定される。一般的に、建物(住宅等)の保証期間は5年から10年程度である。
本発明者らは、当該紫外線照射時間が250時間である場合に押込み硬度比の変化率に係る閾値を「20%」とし、当該変化率が20%未満であるか否かの判定によって積層シートの耐候性の初期変化を捉えることで、少なくとも5年間における耐候性の保持の可/不可について評価できることを発見した。そこで、本実施形態では、当該紫外線照射時間が250時間であり、且つ押込み硬度比の変化率に基づいて耐候性評価を行う際の閾値を20%に設定している。
紫外線照射工程S32の前後における表面側押込み硬度と裏面側押込み硬度との比(R1/R2)の変化率(C3)が20%未満であることは、積層シート10の柔軟性が維持されており、紫外線曝露による積層シート10の硬化(劣化)が抑制されていることを示す。したがって、押込み硬度の変化率(C3)が20%以上となる場合に比べて、長い期間に亘り、耐候性が保持されることとなる。
このように、評価工程S36では、紫外線照射工程S32での紫外線照射試験前後における表面側押込み硬度と裏面側押込み硬度との比(R1/R2)の変化率(C3)が、20%未満であるか否かに基づいて、積層シート10が十分な耐候性を有するかを評価する。これにより、積層シート10が少なくとも5年間は、耐候性が保持され得るか否かを評価することができる。
つまり、本実施形態において、評価工程S26では、変化率(C3)が閾値「20%」未満である場合に、積層シート10が十分な耐候性を有すると評価し、変化率(C3)が20%未満でない場合、すなわち変化率(C3)20%以上となる場合に、積層シート10が十分な耐候性を有していないと評価する。つまり、積層シート10は、変化率(C3)が20%未満となるように構成されていることで、十分な耐候性を有することとなる。
また、上記変化率(C3)の値が少ない、つまり0%に近いほど劣化が少なく、耐候性が保持される期間が長くなる傾向がある。
また、上記変化率(C3)は、負の値となる場合があるが、これは紫外線照射工程S32での紫外線照射試験前後における押込み硬度比がほとんど変化していないことを示しており、積層シート10の軟化を示すものではない。
また、本実施形態に係る積層シート10の評価方法において、押込み硬度測定工程(照射前押込み硬度測定工程S31,照射後押込み硬度測定工程S33)における押込み硬度の測定や、押込み硬度比算出工程S34、押込み硬度比変化率算出工程S35、評価工程S36における算出処理や判定処理は、上記第一実施形態に係る耐候性評価方法と同様に、所定の電子計算機(コンピュータ等)によって実行すればよい。本実施形態に係る耐候性評価方法においても、上記第一実施形態に係る耐候性評価方法と同様に、耐候性評価に係る時間を70%以上削減することができる。
このように、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法によれば、積層シートの評価に係る時間を大幅に短縮することができ、コストの抑制や評価に係る人員の負担軽減、さらに商材に対する迅速な評価結果の取得が可能となる。また、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法では、数値データ(押込み硬度比の変化率(C3)と閾値(20%))に基づいて、耐候性評価を行う。これにより、目視による評価と比較して、評価精度を向上することができる。
また、本実施形態に係る積層シート10は、表面側押込み硬度と裏面側押込み硬度との比(R1/R2)の照射試験の前後での変化率が20%未満となるように構成されることで、優れた耐候性を有し、且つ耐候性評価に係る時間を短縮することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法は、積層シート10の最表面である表面保護層15側から積層シート10に対して、感度波長域が310nm以上390nm以下の積算光量計で照度が65mW/cm、ブラックパネル温度が63℃、槽内湿度が50%の条件下において、メタルハライドランプを用いて250時間の紫外線の照射試験を行う紫外線照射工程S32と、紫外線照射工程S32における紫外線の照射試験の前後に、透明樹脂層14の厚さ方向において表面保護層15側の領域に設定された表面側測定位置E1における表面側込み硬度(HIT)と、透明樹脂層の厚さ方向において基材シート11側の領域に設定された裏面側測定位置E2における裏面側押込み硬度(HIT)とを測定する押込み硬度測定工程(照射前押込み硬度測定工程S31、照射後押込み硬度測定工程S33)と、照射試験の前後における表面側押込み硬度(R1)と裏面側押込み硬度(R2)との比(R1/R2)の変化率が20%未満であるか否かに基づいて耐候性を評価する評価工程と、を含んでいる。さらに、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14において表面側押込み硬度および裏面側押込み硬度の測定時に他の層の影響を受けない領域に設定されている。
これにより、本実施形態に係る積層シート10の耐候性評価方法では、耐候性評価に係る時間を短縮することができる。
また、本実施形態に係る積層シート10は、図4に示す耐候性評価方法を適用可能に構成されている。
具体的には、本実施形態に係る積層シート10は、基材シート11上に印刷層12を設け、印刷層12上に少なくとも透明樹脂層14と表面保護層15とをこの順に積層した積層シートである。また、積層シート10は、表面保護層15側から積層シート10に対して、感度波長域が310nm以上390nm以下の積算光量計で照度が65mW/cm、ブラックパネル温度が63℃、槽内湿度が50%の条件下において、メタルハライドランプを用いて250時間の紫外線の照射試験を行い、且つ当該紫外線の照射試験の前後に、透明樹脂層14の厚さ方向において表面保護層15側の領域に設定された表面側測定位置E1における表面側押込み硬度(HIT)と、透明樹脂層14の厚さ方向において基材シート11側の領域に設定された裏面側測定位置E2における裏面側押込み硬度(HIT)とを測定した場合(押込み硬度測定工程を実施した場合)に、表面側押込み硬度(R1)と裏面側押込み硬度(R2)との比(R1/R2)は、当該照射試験の前後での変化率が20%未満である。さらに、積層シート10において、表面側測定位置E1および裏面側測定位置E2は、透明樹脂層14において表面側押込み硬度および裏面側押込み硬度の測定時に他の層の影響を受けない領域に設定される。
これにより、本実施形態に係る積層シート10は、優れた耐候性を有し、且つ耐候性評価に係る時間を短縮することができる。
(変形例)
また、本実施形態に係る積層シート10は、基材シート11上に印刷層12を設け、印刷層上12に少なくとも透明樹脂層14と表面保護層15とをこの順に積層した積層シートであって、透明樹脂層14は、押込み硬度(HIT)が45N/mm以下であり、透明樹脂層14と表面保護層15とのうち少なくとも一方にヒンダードアミン系光安定剤を含有する構成であってもよい。
このような構成であっても、積層シート10は優れた耐候性を有し、且つ耐候性評価に係る時間を短縮することができる。
ここで、透明樹脂層14の押込み硬度としては、表面側測定位置E1における表面側押込み硬度でもよいし、裏面側測定位置E2における裏面側押込み硬度であってもよいし、透明樹脂層14の厚さ方向において表面側測定位置E1と裏面側測定位置E2との間の領域における押込み硬度であってもよい。また、透明樹脂層14の押込み硬度は、10以N/mm以上45N/mm以下の範囲内が好ましく、30N/mm以下がより好ましい。
また、ヒンダードアミン系光安定剤は、透明樹脂層14と表面保護層15との両方に含まれていてもよいし、透明樹脂層14のみに含まれていてもよいし、表面保護層15のみに含まれていてもよい。
(実施例)
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが本発明は、実施例により何ら限定されるものではない。
<実施例1>
(透明樹脂層用樹脂シートの形成工程)
まず、ホモポリプロピレン樹脂に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系光安定化剤とを添加して、透明樹脂層用の樹脂材料とした。ここで、ホモポリプロピレン樹脂としては、メソペンタッド分率が95%以上、MFR(メルトフローレート)が4.5g/10min(JIS K 7210:99)である材料を使用した。透明樹脂層用の樹脂材料には、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系光安定化剤とを添加した。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収としては、「チヌビン328:BASF社製)を使用し、ホモポリプロピレン樹脂に対して2000PPM(0.2質量部)添加した。また、ヒンダードアミン系光安定化剤としては「キマソーブ944:BASF社製」を使用し、ホモポリプロピレン樹脂に対して2000PPM(0.2質量部)添加した。このような透明樹脂層用の樹脂材料を、溶融押出機を用いて押し出し、透明樹脂層として用いる厚さ80μmのポリプロピレン製の透明樹脂シートを製膜した。
(表面保護層の形成工程)
上述の透明樹脂層の表面に、アクリルウレタン樹脂に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系光安定化剤とを添加して、表面保護層用の樹脂材料とした。アクリルウレタン樹脂としては、2液硬化型ウレタントップコート(W184;DICグラフィックス株式会社製)を使用した。また、表面保護層用の樹脂材料には、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系光安定化剤とを添加した。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては「チヌビン328:BASF社製」を使用し、ウレタントップコートに対して2000PPM(0.2質量部)添加した。ヒンダードアミン系光安定化剤としては、「キマソーブ944:BASF社製」を使用し、ウレタントップコートに対して2000PPM(0.2質量部)添加した。このような表面保護層用の樹脂材料を透明樹脂層上に塗布厚6g/mにて塗布し、乾燥させて表面保護層を形成した。
<実施例2>
透明樹脂層用樹脂材料に対し、紫外線吸収剤を添加しなかった。それ以外は実施例1と同様にして、実施例2による透明樹脂層および表面保護層を作製した。
<実施例3>
表面保護層用樹脂材料に対し、紫外線吸収剤を添加しなかった。それ以外は実施例1と同様にして、実施例3による透明樹脂層および表面保護層を作製した。
<実施例4>
表面保護層用樹脂材料であるウレタントップコートに対し、ヒンダードアミン系光安定化剤を添加しなかった。それ以外は実施例1と同様にして、実施例4による透明樹脂層および表面保護層を作製した。
<実施例5>
表面保護層用樹脂材料に対し、紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系光安定化剤を添加せず、ウレタントップコートのみとした。それ以外は実施例1と同様にして、実施例5による透明樹脂層および表面保護層を作製した。
<実施例6>
透明樹脂層用樹脂材料におけるホモポリプロピレン樹脂としては、メソペンタッド分率が95%以上、MFR(メルトフローレート)が6.2g/10min(JIS K 7210:99)である材料を使用した。それ以外は実施例1と同様にして、実施例6による透明樹脂層および表面保護層を作製した。
<比較例1>
透明樹脂層用樹脂材料をホモポリプロピレン樹脂のみとする以外は、実施例1と同様にして、比較例1による透明樹脂層および表面保護層を作製した。
<比較例2>
透明樹脂層用樹脂材料に対し、ヒンダードアミン系光安定化剤を添加しなかった。それ以外は実施例1と同様にして、比較例2による透明樹脂層および表面保護層を作成した。
<比較例3>
透明樹脂層用樹脂材料におけるホモポリプロピレン樹脂としては、メソペンタッド分率が95%以上、MFR(メルトフローレート)が15g/10min(JIS K 7210:99)である材料を使用した。それ以外は実施例1と同様にして、比較例3による透明樹脂層および表面保護層を作成した。
<評価>
上記実施例1~5および比較例1~3で得られた各サンプル(透明樹脂層および表面保護層)に対し、(1)マルテンス硬度に基づく耐候性評価、(2)押込み弾性率に基づく耐候性評価、および(3)押込み硬度に基づく耐候性評価をそれぞれ実施した。上記(1)の評価結果を下記表1に示し、上記(2)の評価結果を下記表2に示し、上記(3)の評価結果を下記表3に示した。
以下に、各耐候性評価の評価内容を説明する。
<マルテンス硬度に基づく耐候性評価>
(1-1)紫外線照射前におけるマルテンス硬度測定
微小硬さ測定装置として「Fischer社製FISCHERSCOPE Hm2000」を用いて、以下(1-2)の紫外線照射試験前の実施例1~6および比較例1~3の各サンプルについて、透明樹脂層の2ヶ所(表面側測定位置、裏面側測定位置)におけるマルテンス硬度を測定した。表面側測定位置は、透明樹脂層における表面保護層側との境界面から厚さ方向(表面保護層と反対の方向)に10μm離間した位置とした。また、裏面側測定位置は、表面保護層の反対側の表面(裏面)から厚さ方向(表面保護層の方向)に10μm離間した位置とした。
表面側測定位置のマルテンス硬度(表面側マルテンス硬度)および裏面側測定位置のマルテンス硬度(裏面側マルテンス硬度)は、微小硬さ測定装置において、表面側測定位置および裏面側測定位置のそれぞれに対し、荷重5mNまで10秒間かけて荷重増加後、これを5秒間保持し、荷重0.1mNまで10秒間かけて荷重を減少させる荷重パラメーターを用いることで測定した。
表1の「照射試験前」欄には、実施例1~6および比較例1~3の各サンプルにおける紫外線照射試験前のマルテンス硬度(表面側マルテンス硬度、裏面側マルテンス硬度)を、マルテンス硬度比(照射試験前の表面側マルテンス硬度/照射試験前の裏面側マルテンス硬度)とともに示している。
(1-2)紫外線照射試験
「ダイプラ・ウィンテス社製 メタルウエザー試験機(KW-R7TP-A)」を用いて、実施例1~6および比較例1~3の各サンプルに対し、紫外線照射試験を行った。当該試験の条件は、感度波長域が310nm以上390nm以下の積算光量計における照度が65mW/cm、ブラックパネル温度が63℃、槽内湿度が50%とした。積算光量計としては「紫外線照度計UIT-201:ウシオ電機株式会社製」を用いた。これにより、後述の紫外線照射後におけるマルテンス硬度測定用のサンプルを作製した。
(1-3)紫外線照射後におけるマルテンス硬度測定
上記(1-2)の紫外線照射試験を実施した後の実施例1~6および比較例1~3の各サンプルに対し、上記(1-1)の照射前マルテンス硬度測定と同様にして、表面側マルテンス硬度および裏面側マルテンス硬度を測定した。
表1の「照射試験後」欄には、実施例1~6および比較例1~3の各サンプルにおける紫外線照射試験後のマルテンス硬度(表面側マルテンス硬度、裏面側マルテンス硬度)を、マルテンス硬度比(照射試験後の表面側マルテンス硬度/照射試験後の裏面側マルテンス硬度)とともに示している。
(1-4)寿命試験
実施例1~6および比較例1~3の各サンプルについて、「ダイプラ・ウィンテス社製 メタルウエザー試験機(KW-R7TP-A)」を用いて、照度65mW/cm(紫外線照度計UIT-201:ウシオ電機株式会社製にて校正)、ブラックパネル温度63℃、槽内湿度50%の条件下で光照射を実施し、24時間ごとに各サンプルの目視による確認を行った。寿命試験では、最表面(表面保護層)に白化が確認されるまでの時間(h)を、各サンプルの寿命(耐候性の保持期間)とし、耐候性評価を行った。
〔評価基準〕
◎:2800時間以上
〇:2500時間以上
×:2500時間未満
本評価では、最表面(表面保護層)に白化が確認されるまでの時間(寿命時間)が2500時間以上であれば、積層シートの耐候性が5年間維持され得る(耐候性が優れている)として、合格「○」とした。また、本評価結果が「◎」の場合、5年以上10年以下の期間において積層シートの耐候性が維持され得るとの評価結果を示す。
(マルテンス硬度に基づく耐候性評価結果について)
表1に示すように、実施例1~6の評価結果から、紫外線照射試験の前後におけるマルテンス硬度の比(表面側マルテンス硬度/裏面側マルテンス硬度)の変化率が10%以下である場合には、寿命評価結果が良好であり(全て合格「〇」以上)、優れた耐候性を有することが分かった。
また、実施例1、2の評価結果から、マルテンス硬度の比の変化率が5%未満である場合には、寿命評価結果が極めて良好(◎)であることが分かった。
これに対し、比較例1~3の評価結果から、紫外線照射試験の前後におけるマルテンス硬度の比の変化率が10%を超える場合には、寿命評価結果が不合格(×)となり耐候性が十分でないことが分かった。
以上のことから、マルテンス硬度の比の変化率が10%以下か否かによって耐候性を評価可能であることが分かった。さらに、マルテンス硬度に基づく耐候性評価により、目視では数千時間(本例では、2000時間以上)を要する積層シートの耐候性評価を250時間(紫外線照射試験における紫外線照射時間)で行うことができ、目視の場合と比較して評価時間を大幅に削減可能であることが分かった。
<押込み弾性率に基づく耐候性評価>
(2-1)紫外線照射前における押込み弾性率測定
微小硬さ測定装置として「Fischer社製FISCHERSCOPE Hm2000」を用いて、以下(2-2)の紫外線照射試験前の実施例1~5および比較例1~3の各サンプルについて、透明樹脂層の2ヶ所(表面側測定位置、裏面側測定位置)における押し込み弾性率(EIT/1-v^2)を測定した。表面側測定位置および裏面側測定位置は、上記(1-1)におけるマルテンス硬度測定時の位置と同様とした。
表面側測定位置の押込み弾性率(表面側押込み弾性率)および裏面側測定位置の押込み弾性率(裏面側押込み弾性率)は、微小硬さ測定装置において、表面側測定位置および裏面側測定位置のそれぞれに対し、荷重5mNまで10秒間かけて荷重増加後、これを5秒間保持し、荷重0.1mNまで10秒間かけて荷重を減少させる荷重パラメーターを用いることで測定した。
表2の「照射試験前」欄には、実施例1~5および比較例1~3の各サンプルにおける紫外線照射試験前の押込み弾性率(表面側押込み弾性率、裏面側押込み弾性率)を、押込み弾性率比(照射試験前の表面側押込み弾性率/照射試験前の裏面側押込み弾性率)とともに示している。
(2-2)紫外線照射試験
上記(1-2)と同様の装置、条件にて紫外線照射試験を実施した。これにより、後述の紫外線照射後における押込み弾性率測定用のサンプルを作製した。
(2-3)紫外線照射後における押込み弾性率測定
上記2-2の紫外線照射試験を実施した後の実施例1~5および比較例1~3の各サンプルに対し、上記(2-1)の照射前の押込み弾性率測定と同様にして、表面側押込み弾性率および裏面側押込み弾性率を測定した。
表2の「照射試験後」欄には、実施例1~5および比較例1~3の各サンプルにおける紫外線照射試験後の押込み弾性率(表面側押込み弾性率、裏面側押込み弾性率)を、押込み弾性率比(照射試験後の表面側押込み弾性率/照射試験後の裏面側押込み弾性率)とともに示している。
(2-4)寿命試験
実施例1~5および比較例1~3の各サンプルについて、上記(1-4)と同様の装置、条件にて耐候性評価を行った。また、上記(1-4)と同様に、最表面(表面保護層)に白化が確認されるまでの時間(h)を、各サンプルの寿命(耐候性の保持期間)とし、耐候性評価を行った。
〔評価基準〕
◎:2800時間以上
〇:2500時間以上
×:2500時間未満
また本評価では、上記(1-4)と同様に、最表面(表面保護層)に白化が確認されるまでの時間(寿命時間)が2500時間以上であれば、積層シートの耐候性が5年間維持され得る(耐候性が優れている)として、合格「○」とした。また、本評価結果が「◎」の場合、5年以上10年以下の期間において積層シートの耐候性が維持され得るとの評価結果を示す。
(押込み弾性率に基づく評価結果について)
表2に示すように、実施例1~5の評価結果から、紫外線照射試験の前後における押込み弾性率の比(表面側押込み弾性率/裏面側押込み弾性率)の変化率が25%未満である場合には、寿命評価結果が良好であり(全て合格「〇」以上)、優れた耐候性を有することが分かった。
また、実施例1、2の評価結果から、押込み弾性率の比の変化率が5%未満である場合には、寿命評価結果が極めて良好(◎)となる確率が高いことが分かった。
これに対し、比較例1~3の評価結果から、紫外線照射試験の前後における押込み弾性率の比の変化率が25%以上である場合には、寿命評価結果が不合格(×)となり耐候性が十分でないことが分かった。
以上のことから、押込み弾性率の比の変化率が25%未満か否かによって耐候性を評価可能であることが分かった。さらに、押込み弾性率に基づく耐候性評価により、目視では数千時間(本例では、2000時間以上)を要する積層シートの耐候性評価を250時間(紫外線照射試験における紫外線照射時間)で行うことができ、目視の場合と比較して評価時間を大幅に削減可能であることが分かった。
<押込み硬度に基づく耐候性評価>
(3-1)紫外線照射前における押込み硬度測定
微小硬さ測定装置として「Fischer社製FISCHERSCOPE Hm2000」を用いて、以下(3-2)の紫外線照射試験前の実施例1~5および比較例1~3の各サンプルについて、透明樹脂層の2ヶ所(表面側測定位置、裏面側測定位置)における押込み硬度(HIT)を測定した。表面側測定位置および裏面側測定位置は、上記(1-1)におけるマルテンス硬度測定時の位置と同様とした。
表面側測定位置の押込み硬度(表面側押込み硬度)および裏面側測定位置の押込み硬度(裏面側押込み硬度)は、微小硬さ測定装置において、表面側測定位置および裏面側測定位置のそれぞれに対し、荷重5mNまで10秒間かけて荷重増加後、これを5秒間保持し、荷重0.1mNまで10秒間かけて荷重を減少させる荷重パラメーターを用いることで測定した。
表3の「照射試験前」欄には、実施例1~5および比較例1~3の各サンプルにおける紫外線照射試験前の押込み硬度(表面側押込み硬度、裏面側押込み硬度)を、押込み硬度比(照射試験前の表面側押込み硬度/照射試験前の裏面側押込み硬度)とともに示している。
(3-2)紫外線照射試験
上記(1-2)と同様の装置、条件にて紫外線照射試験を実施した。これにより、後述の紫外線照射後における押込み硬度測定用のサンプルを作製した。
(3-3)紫外線照射後における押込み硬度測定
上記3-2の紫外線照射試験を実施した後の実施例1~5および比較例1~3の各サンプルに対し、上記(3-1)の照射前押込み硬度測定と同様にして、表面側押込み硬度および裏面側押込み硬度を測定した。
表3の「照射試験後」欄には、実施例1~5および比較例1~3の各サンプルにおける紫外線照射試験後の押込み硬度(表面側押込み硬度、裏面側押込み硬度)を、押込み硬度比(照射試験後の表面側押込み硬度/照射試験後の裏面側押込み硬度)とともに示している。
(3-4)寿命試験
実施例1~5および比較例1~3の各サンプルについて、上記(1-4)と同様の装置、条件にて耐候性評価を行った。また、上記(1-4)と同様に、最表面(表面保護層)に白化が確認されるまでの時間(h)を、各サンプルの寿命(耐候性の保持期間)とし、耐候性評価を行った。
〔評価基準〕
◎:2800時間以上
〇:2500時間以上
×:2500時間未満
また本評価では、上記(1-4)と同様に、最表面(表面保護層)に白化が確認されるまでの時間(寿命時間)が2500時間以上であれば、積層シートの耐候性が5年間維持され得る(耐候性が優れている)として、合格「○」とした。また、本評価結果が「◎」の場合、5年以上10年以下の期間において積層シートの耐候性が維持され得るとの評価結果を示す。
(押込み硬度に基づく評価結果について)
表3に示すように、実施例1~5の評価結果から、紫外線照射試験の前後における押込み硬度の比(表面側押込み硬度/裏面側押込み硬度)の変化率が20%未満である場合には、寿命評価結果が良好であり(全て合格「〇」以上)、優れた耐候性を有することが分かった。
これに対し、比較例1~3の評価結果から、紫外線照射試験の前後における押込み硬度の比の変化率が20%以上である場合には、寿命評価結果が不合格(×)となり耐候性が十分でないことが分かった。
以上のことから、押込み硬度の比の変化率が20%未満か否かによって耐候性を評価可能であることが分かった。さらに、押込み硬度に基づく耐候性評価により、目視では数千時間(本例では、2000時間以上)を要する積層シートの耐候性評価を250時間(紫外線照射試験における紫外線照射時間)で行うことができ、目視の場合と比較して評価時間を大幅に削減可能であることが分かった。
なお、本発明の積層シート及び積層シートの耐候性評価方法は、上記の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、発明の特徴を損なわない範囲において種々の変更が可能である。
10 化粧シート
11 基材シート
12 印刷層
13 アンカー層
14 透明樹脂層
15 表面保護層
E1 表面側測定位置
E2 裏面側測定位置

Claims (11)

  1. 基材シート上に印刷層を設け、前記印刷層上に少なくとも透明樹脂層と表面保護層とをこの順に積層した積層シートであって、
    前記表面保護層側から前記積層シートに対して、感度波長域が310nm以上390nm以下の積算光量計で照度が65mW/cm、ブラックパネル温度が63℃、槽内湿度が50%の条件下において、メタルハライドランプを用いて250時間の紫外線の照射試験を行い、且つ
    前記照射試験の前後に、前記透明樹脂層の厚さ方向において前記表面保護層側の領域に設定された表面側測定位置における表面側押込み硬度(HIT)と、前記透明樹脂層の厚さ方向において前記基材シート側の領域に設定された裏面側測定位置における裏面側押込み硬度(HIT)とを測定した場合に、
    前記表面側押込み硬度(R1)と前記裏面側押込み硬度(R2)との比(R1/R2)は、前記照射試験の前後での変化率が-3.5%以上0.6%以下の範囲内であり、
    前記表面保護層は、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有し、
    前記透明樹脂層の厚さは、40μm以上100μm以下の範囲内であり、
    前記表面側測定位置は、前記透明樹脂層における前記表面保護層側の境界面から前記基材シート側に向かって厚さ方向に10μm離間した領域に設定され、
    前記裏面側測定位置は、前記透明樹脂層における前記基材シート側の境界面から前記表面保護層側に向かって厚さ方向に10μm離間した領域に設定されている、積層シート。
  2. 前記表面保護層に含まれる前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、下記式(1)で表される構造を有する、請求項1に記載の積層シート。
  3. 前期透明樹脂層は、樹脂としてポリプロピレン樹脂のみを含む
    請求項1又は2に記載の積層シート。
  4. 前期透明樹脂層は、ヒンダードアミン系光安定剤を含んでいる
    請求項1から3のいずれか1項に記載の積層シート。
  5. 前記透明樹脂層は、当該透明樹脂層の全質量に対して、ヒンダードアミン系光安定剤を0.2質量部以上含有している
    請求項4に記載の積層シート。
  6. 前記透明樹脂層は、紫外線吸収剤を含んでいる
    請求項4又は5に記載の積層シート。
  7. 前記透明樹脂層は、当該透明樹脂層の全質量に対して、紫外線吸収剤を0.2質量部以上含有している
    請求項6に記載の積層シート。
  8. 前期表面保護層がアクリル系樹脂で形成されている
    請求項1から7のいずれか1項に記載の積層シート。
  9. 前記表面保護層は、ヒンダードアミン系光安定剤を含有し、
    前記表面保護層における前記ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、当該表面保護層の全質量に対して0.2質量部以上である
    請求項1から8のいずれか1項に記載の積層シート。
  10. 記表面保護層における前記紫外線吸収剤の含有量は、当該表面保護層の全質量に対して0.2質量部以上である
    請求項1からのいずれか1項に記載の積層シート。
  11. 基材シート上に印刷層を設け、前記印刷層上に少なくとも透明樹脂層と表面保護層とをこの順に積層した積層シートの耐候性評価方法であって、
    前記積層シートの最表面である前記表面保護層側から前記積層シートに対して、感度波長域が310nm以上390nm以下の積算光量計で照度が65mW/cm、ブラックパネル温度が63℃、槽内湿度が50%の条件下において、メタルハライドランプを用いて250時間の紫外線の照射試験を行う紫外線照射工程と、
    前記紫外線の照射試験の前後に、前記透明樹脂層の厚さ方向において前記表面保護層側の領域に設定された表面側測定位置における表面側押込み硬度(HIT)と、前記透明樹脂層の厚さ方向において前記基材シート側の領域に設定された裏面側測定位置における裏面側押込み硬度(HIT)とを測定する押込み硬度測定工程と、
    前記照射試験の前後における前記表面側押込み硬度(R1)と裏面側押込み硬度(R2)との比(R1/R2)の変化率が-3.5%以上0.6%以下の範囲内であるか否かに基づいて耐候性を評価する評価工程と、
    を含み、
    前記透明樹脂層の厚さは、40μm以上100μm以下の範囲内であり、
    前記表面側測定位置は、前記透明樹脂層における前記表面保護層側の境界面から前記基材シート側に向かって厚さ方向に10μm離間した領域に設定され、
    前記裏面側測定位置は、前記透明樹脂層における前記基材シート側の境界面から前記表面保護層側に向かって厚さ方向に10μm離間した領域に設定されている
    積層シートの耐候性評価方法。
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