以下、図面を参照し、本実施形態に係るレーザ加工機について説明する。図1は、本実施形態に係るレーザ加工機の主要な構成を模式的に示す図である。
まず、図1を参照し、レーザ加工機10の概要を説明する。レーザ加工機10は、ワークWを載置するためのパレット50と、パレット50の上方に配置され、ワークWに向かってレーザビームを照射してレーザ加工を行う加工ヘッド30と、パレット50の下方の空間を囲むように設けられ、レーザ加工に伴う粉塵を集める集塵室60と、集塵室60と接続されており、集塵装置90が引き込む空気の流れによって集塵室60内の空気を吸引する集塵ダクト61と、パレット50よりも小さなサイズに形成されて、パレット50内の所定区画に配置されており、ワークWが載置される加工用テーブル80と、加工用テーブル80の下方の空間を囲むように設けられた吸引テーブル81と、吸引テーブル81と接続されており、集塵装置90が引き込む空気の流れによって吸引テーブル81内の空気を吸引する吸引ダクト85と、集塵ダクト61と吸引ダクト85とがそれぞれ接続されており、集塵装置90が引き込む空気の流れを集塵ダクト61と吸引ダクト85とで切り替える切替装置70と、集塵装置90を制御する制御装置100とを備えている。
制御装置100は、集塵装置90を制御するための切替可能な動作モードとして、レーザ加工の開始と連動して集塵装置90の動作を開始させる第1動作モードと、作業者の指示と連動して集塵装置90の動作を開始させる第2動作モードと、を有している。
図2は、レーザ加工機の基本構造を示す斜視図である。つぎに、本実施形態に係るレーザ加工機10の基本構造を説明する。本明細書では、水平方向において直交する左右方向及び前後方向と、水平方向に対して直交する上下方向とを方向の定義として用いる。左右方向及び前後方向は、パレット50に載置されるワークWの面内方向と平行であり、上下方向は、パレット50に載置されるワークWの面直方向と対応する。
レーザ加工機10は、ワークWにレーザビームを照射することで、熱エネルギーによってワークWを切断する加工機である。レーザ加工機10は、本体部11と、ヘッド駆動機構15と、加工ヘッド30と、パレット50と、制御装置100と、レーザ発振器110とを備えている。
本体部11は、概ね直方体状に形成されており、床面などの設置面に設置されている。本体部11の前縁部及び後縁部には、左右方向に延在するサイドフレーム12がそれぞれ配置されている。前縁部及び後縁部のサイドフレーム12は、互いに平行に配置されている。
ヘッド駆動機構15は、前後方向及び左右方向及に沿って加工ヘッド30を移動させる。ヘッド駆動機構15は、X軸キャリッジ16と、Y軸キャリッジ17とを備えている。
X軸キャリッジ16は、門型形状を有している。X軸キャリッジ16は、一対のサイドフレーム12によって支持されており、サイドフレーム12に沿って移動可能に構成されている。X軸キャリッジ16は、サイドフレーム12に設けられたX軸駆動部(図示せず)によって駆動され、左右方向に移動する。
Y軸キャリッジ17は、X軸キャリッジ16によって支持されており、X軸キャリッジ16に沿って移動可能に構成されている。Y軸キャリッジ17は、X軸キャリッジ16に設けられたY軸駆動部(図示せず)によって駆動され、前後方向に移動する。
加工ヘッド30は、ワークWの上方からレーザビームを照射して、ワークWに対してレーザ加工を行う。加工ヘッド30には、プロセスファイバ(図示せず)を介して、レーザ発振器110から射出されたレーザビームが伝送されている。レーザビームは、加工ヘッド30の先端に設けられたノズルからワークWに照射される。
加工ヘッド30は、Y軸キャリッジ17に配置されている。X軸駆動部及びY軸駆動部を駆動して、X軸キャリッジ16及びY軸キャリッジ17を移動させることにより、加工ヘッド30を左右方向及び前後方向にそれぞれ移動させることができる。また、ヘッド駆動機構15は図示しないZ軸駆動部を備えており、加工ヘッド30は、Z軸駆動部によって駆動され、上下方向に移動することができる。
加工ヘッド30は、ヘッド駆動機構15による左右方向の移動及び前後方向の移動を通じて、予め定められた加工範囲の中で、レーザ加工を行うことができる。本実施形態のレーザ加工機10は、小さいサイズのワークWを想定した装置であり、加工範囲は、最大で4'×4'(1219mm×1219mm)サイズのワークWを加工することができる範囲に設定されている。
パレット50は、一対のサイドフレーム12によって水平に支持されている。パレット50には、ワークWが載置される。パレット50は、正方形状を有しており、加工範囲と同じサイズ及びこれよりも小さなサイズのワークWを載置することができる。なお、パレット50及びこれに関連するレーザ加工機10の構造については後述する。
パレット50は、サイドフレーム12に固定されたガイド部材(図示せず)を介して、左右方向へ移動自在に支持されている。ガイド部材は、パレット50に設けられたレールを摺動自在に支持することで、パレット50の直線運動をガイドする。
パレット50の左端には、作業者がパレット50を移動させるために把持する把手部(図示せず)が設けられている。作業者は、把手部を把持してパレット50を左右方向に動かすことで、正規位置と引出位置との間でパレット50を移動させることができる。
パレット50が正規位置にある場合、パレット50は、本体部11に収容された状態となる(図2に示す状態)。このとき、パレット50のほぼ全域が加工ヘッド30の加工範囲に含まれる。正規位置にあるパレット50を左方向へと引き出すと、パレット50は引出位置まで移動する。パレット50が引出位置にある場合、パレット50の一部は本体部11から引き出された状態となる。
制御装置100は、箱形の筐体と、この筐体の内部に収容される回路基板などで構成されている。制御装置100は、本体部11の右端下方に配置され、本体部11に固定されている。
制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサ(Hardware Processor)と、メモリ(Memory)と、各種のインターフェース(Interface)とを有するコンピュータによって構成されている。メモリ、各種のインターフェースは、バスを介してハードウェアプロセッサに接続されている。ハードウェアプロセッサによってメモリに格納されたプログラムを実行させることにより、制御装置100が備える種々の機能が実現される。
図1に示すように、制御装置100は、加工プログラムに従ってヘッド駆動機構15及びレーザ発振器110を制御し、ワークWに対するレーザ加工を行う。また、制御装置100は、レーザ加工機10の動作状態及び作業者からの指示に応じて、集塵装置90の動作を開始したり、集塵装置90の動作を停止させたりする。
制御装置100には、操作部105が接続されている。操作部105は、作業者が入力操作を行うための装置である。例えば、操作部105は、ディスプレイと、ディスプレイ上に表示される情報に従って入力操作を行うことができるタッチパネルとを主体に構成されている。作業者は、操作部105を操作することで、レーザ加工機10の運転設定などを含む各種の指示を、レーザ加工機10に対して入力することができる。また、作業者は、操作部105に表示される情報から、レーザ加工機10に関する様々な情報を把握することができる。
レーザ発振器110は、レーザビームを生成し、加工ヘッド30に対してレーザビームを供給する。図2に示すように、レーザ発振器110は、箱形の筐体と、この筐体の内部に収容される電子部品及び電機部品などで構成されている。レーザ発振器110は、本体部11の右端上方に配置され、本体部11に固定されている。
図3は、吸引テーブル及び加工用テーブルが搭載されたレーザ加工機を示す斜視図である。図4は、図2に示すレーザ加工機に搭載されるパレットの状態を説明する図である。図5は、図3に示すレーザ加工機に搭載されるパレットの状態を説明する図である。以下、図1及び図2に加え、図3乃至図5を参照し、パレット50の構造及びパレット50に関係するレーザ加工機10の構造を詳細に説明する。
図2及び図4に示すように、パレット50は、枠体51と、複数のスキッド52とを備えている。
枠体51は、パレット50の上方からみたときに、正方形状を有するフレーム部材である。前後方向における枠体51の中央には、左右方向に延在する仕切板51aが設けられている。
複数のスキッド52は、枠体51に取り付けられており、ワークWを支持するワーク支持部材である。個々のスキッド52は、前後方向に延在する板状部材であり、複数のスキッド52は、左右方向にかけて間隔を空けて配置されている。複数のスキッド52は、仕切板51aよりも前側に位置するパレット50の前側領域、及び仕切板51aよりも後側に位置するパレット50の後側領域にそれぞれ配置されている。スキッド52の両端は、枠体51を構成するフレーム部材と仕切板51aとによって支持されている。個々のスキッド52は、枠体51に対して着脱を行うことができる。
スキッド52は、鋼などの金属材料、例えば軟鋼から構成されている。スキッド52は、上下方向に沿うように起立した状態で配置されている。スキッド52の上縁部には、それぞれが上方に向かって突出する複数の突出部が設けられている。複数の突出部は、前後方向にかけて間隔を空けて設けられている。個々の突出部は、上下方向に沿って縦長に形成されており、上方に向かう程に幅が狭くなるような山形状を有している。ワークWは、スキッド52の上縁部、すなわち個々の突出部の頂点において支持される。
複数のスキッド52は、左右方向にかけて大きな間隔で配置されているので、主として、切り出すパーツのサイズが大きい大型のワークWを載置する際に利用される。
図3及び図5に示すように、パレット50には、薄板などの小型のワークWを載置して微細加工を行うための加工用テーブル80を設置することができる。加工用テーブル80は、パレット50よりも小さなサイズに形成されており、パレット50内の所定区画に配置される。例えばパレット50の前側領域に装着されたスキッド52を取り外すことで、加工用テーブル80を設置するための所定区画を確保することができる。加工用テーブル80は、後述する吸引テーブル81上に着脱可能に設置される。
加工用テーブル80は、上下方向に一定の高さを備えており、その上面にワークWを載置することができる。加工用テーブル80は、パレット50に配列されたスキッド52の間隔よりも小さな間隔のメッシュ構造を有しており、それぞれ上下方向に貫通する複数の貫通孔が設けられている。メッシュ構造としては、水平方向の断面形状が六角形となるハニカム形状、水平方向の断面形状が四角形となる格子形状を用いることができる。
図1、図2及び図3に示すように、レーザ加工機10は、集塵室60と、集塵ダクト61と、吸引テーブル81と、吸引ダクト85と、切替装置70と、集塵装置90とさらに備えている。なお、図2及び図3では、集塵装置90の記載が省略されている。
集塵室60は、正規位置にあるパレット50の下方の空間を囲むように設けられており、レーザ加工に伴いパレット50の周囲に発生する粉塵を集めるための空間である。この粉塵には、ヒュームやスパッタ(溶融金属)も含まれる。レーザ加工に伴う粉塵は、加工ヘッド30から噴射されるアシストガス、及び集塵ダクト61へと引き込まれる空気の流れを受けて、集塵室60へと導かれる。
集塵ダクト61は、集塵室60内の空気を吸引する。集塵ダクト61の一端は、集塵室60に接続され、集塵ダクト61の他端は、切替装置70に接続されている。集塵ダクト61は、集塵装置90が引き込む空気の流れによって集塵室60内の空気を吸引する。集塵室60内の空気を吸引することで、レーザ加工に伴う粉塵を回収することができる。
図1及び図3に示すように、吸引テーブル81は、パレット50に加工用テーブル80を設置する際に利用されるテーブルであり、パレット50に対して着脱可能に構成されている。吸引テーブル81は、上面が開放された直方体状の箱体である。吸引テーブル81は、加工用テーブル80と同一サイズに形成されており、吸引テーブル81の上方に加工用テーブル80を着脱可能に設置することができる。吸引テーブル81に加工用テーブル80を装着することにより、両者が一体化され、加工用テーブル80の下方の空間が吸引テーブル81によって囲まれる。
吸引ダクト85は、吸引テーブル81内の空気を吸引する。吸引ダクト85の一端は、吸引テーブル81に接続され、吸引ダクト85の他端は、切替装置70に接続されている。吸引ダクト85は、集塵装置90が引き込む空気の流れによって吸引テーブル81内の空気を吸引する。吸引テーブル81内の空気を吸引することで、加工用テーブル80の下面側が負圧となる。負圧の作用により、加工用テーブル80の上面に載置されるワークWが吸着され、ワークWを加工用テーブル80に固定することができる。
パレット50に対する加工用テーブル80及び吸引テーブル81の設置は、パレット50を正規位置から引き出して、パレット50が引出位置にある状態で行うことできる。作業者は、パレット50の前側領域にあるスキッド52を取り外し、パレット50の前側領域を開放する。これにより、パレット50に対して加工用テーブル80及び吸引テーブル81を設置することができる。
図3及び図5に示すように、吸引ダクト85は、第1ダクト部85aと、第2ダクト部85bとから構成されており、2つの要素に分割することができる。パレット50の枠体51には、枠体51の内外を連通する連通部53が設けられている。第1ダクト部85aは、吸引テーブル81の接続継手83と連通部53との間を接続する。また、第2ダクト部85bは、連通部53と切替装置70との間を接続する。第1ダクト部85aと第2ダクト部85bとは、パレット50の連通部53を介して相互に接続される。
なお、吸引テーブル81の上面の周縁部は、加工用テーブル80の下面の周縁部と接触する接触面となるため、吸引テーブル81と加工用テーブル80との隙間を埋めるためのシール部材を配設してもよい。シール部材としては、例えばスポンジなどが挙げられる。また、加工用テーブル80を設置する際の位置決めを行うために、吸引テーブル81の上面の周縁部に突起又は切欠きなどを形成してもよい。また、加工用テーブル80と吸引テーブル81とは別体である必要はなく、一体に形成された構造体であってもよい。
図1に示すように、切替装置70は、集塵ダクト61と、吸引ダクト85とがそれぞれ接続されている。切替装置70には、集塵装置90へと至る集合ダクト75が接続されている。集塵装置90は、モータなどの動力機構により回転する排気ファンを備えている。排気ファンが回転すると、集塵装置90内が負圧となり、集合ダクト75内の空気が集塵装置90に引き込まれる。
切替装置70は、直方体状の箱体である。集塵ダクト61によって吸引された空気、及び吸引ダクト85によって吸引された空気は、切替装置70を経由して、集合ダクト75へと流れる。切替装置70は、集塵装置90が引き込む空気の流れを集塵ダクト61と吸引ダクト85とで切り替える役割を担っている。
以下、図1、図6及び図7を参照し、本実施形態の特徴の一つである、制御装置100による集塵装置90の制御方法について説明する。図6は、動作モードを設定する設定ボタンを説明する図である。図7は、レーザ加工機の動作状態と集塵装置を制御するための動作モードとに対応する集塵装置の動作状態を説明する図である。
レーザ加工機10が備える集塵装置90は、スキッド52上にワークWを配置してレーザ加工を行う際に、集塵室60内の空気の吸引することで、レーザ加工に伴う粉塵を収集する機能を担う。一方で、加工用テーブル80を利用して薄板のワークWを加工するときには、集塵装置90が引き込む空気の流れが吸引ダクト85側へと切り替えられる。このとき、集塵装置90は、吸引テーブル81内の空気を吸引することで、加工用テーブル80にワークWを固定する機能を担う。すなわち、集塵装置90は、集塵機能とともに、加工用テーブル80に対するワークWの固定機能という2つの用途で利用される。
集塵装置90の用途の違いに対応するために、制御装置100は、集塵装置90を制御するため動作モードとして、2つの動作モードを有している。制御装置100は、2つの動作モードを切り替えて利用することができる。
第1の動作モードは、レーザ加工機10によるレーザ加工の動作と連動して集塵装置90を動作させるモードである(以下「自動運転モード」という)。この自動運転モードが選択されている場合、制御装置100は、レーザ加工の開始を判断すると、作業者の指示が無くとも集塵装置90の動作を開始させる。この自動運転モードは、集塵機能として集塵装置90を動作させるために選択される動作モードである。初期的な動作モードには、自動運転モードが設定されている。
一方、第2の動作モードは、作業者の指示(入力操作)と連動して集塵装置90を動作させるモードである(以下「手動運転モード」という)。手動運転モードが選択されると、制御装置100は、集塵装置90の動作開始の指示が作業者からあったと判断し、集塵装置90の動作を開始させる。したがって、手動運転モードが選択されると、レーザ加工が開始する前であっても、制御装置100は、集塵装置90の動作を開始させる。この手動運転モードは、加工用テーブル80に対するワークWの固定機能として集塵装置90を動作させるために選択される動作モードである。
レーザ加工機10の動作を設定する運転設定の中には、加工用テーブル80を利用するときに使用する設定項目がある。その設定項目を作業者が選択すると、操作部105には、図6に示すような、動作モードを設定するための設定ボタン106が表示される。設定ボタン106は、手動運転モードを選択するためのONボタン106aと、手動運転モードを選択しない、すなわち自動運転モードを選択するためのOFFボタン106bとを備えている。動作モードの初期設定は自動運転モードであるため、設定ボタン106も、OFFボタン106bが選択された状態が初期状態となる。制御装置100は、設定ボタン106で選択されている内容に従って、動作モードの切り替えを行う。
ONボタン106aが操作され、手動運転モードが選択されると、制御装置100は、集塵装置90の動作開始の指示が作業者からあったと判断する。そして、制御装置100は、ONボタン106aが操作されたタイミングで集塵装置90の動作を開始する。集塵装置90が動作した状態でレーザ加工が開始されると、制御装置100は、レーザ加工が終了するタイミングで集塵装置90の動作を終了する。制御装置100は、加工プログラムに規定される加工終了のコードに基づいて、レーザ加工を終了するタイミングを判断する。加工終了のコードとしては、例えばG50といった原点復帰を指示するコード、M30といったプログラム終了を指示するコードなどを用いることができる。
一方、ONボタン106aが操作されず、自動運転モードが選択されたままの場合、制御装置100は、レーザ加工を開始するタイミングで集塵装置90の動作を開始する。制御装置100は、加工プログラムに規定される加工開始のコードに基づいて、レーザ加工を開始するタイミングを判断する。加工開始のコードとしては、例えばM103といった加工ヘッド30の下降を指令するコードなどを用いることができる。そして、制御装置100は、手動運転モードと同様に、レーザ加工を終了するタイミングで集塵装置90の動作を終了する。
図7を参照し、レーザ加工機10の動作状態と集塵装置90の動作状態との関係を説明する。図7に示す丸印は、集塵装置90が動作している状態を表している。まず、加工用テーブル80を利用してワークWのレーザ加工を行うときの、レーザ加工機10の動作の流れを説明する。
作業者は、パレット50に加工用テーブル80及び吸引テーブル81を装着した上で、加工用テーブル80上にワークWを載置する。つぎに、作業者は、設定ボタン106のONボタン106aを選択する。設定ボタン106のONボタン106a、すなわち手動運転モードが選択されると、制御装置100は、レーザ加工を開始する前の待機中であっても集塵装置90の動作を開始する。集塵装置90が動作を開始すると、加工用テーブル80上のワークWが吸着され、加工用テーブル80にワークWが固定される。加工用テーブル80にワークWを載置した段階でワークWの固定を行うことができるので、レーザ加工を開始する前にワークWがずれてしまうという事態を抑制することができる。これにより、ワークWがずれた状態でレーザ加工が開始されることを抑制することができる。
つぎに、レーザ加工が開始すると、制御装置100は、集塵装置90の動作を継続させ、レーザ加工の終了に連動して集塵装置90の動作を停止させる。これにより、レーザ加工の終了後は、ワークWの固定が解除されるので、ワークWから切り出されたパーツを簡単に取り出すことができる。また、ワークWの固定が不要な状況では集塵装置90の動作を継続させないので、集塵装置90を経済的に動作させることができる。
また、手動運転モードでは、集塵装置90が動作を開始すると、レーザ加工中は集塵装置90の動作が継続される。そのため、レーザ加工機10によるレーザ加工の運転中に加工動作を一時的に中断させる事由が起きても、制御装置100は、集塵装置90の動作を継続させる。加工動作を一時的に中断させる事由としては、加工動作を停止して待機するために加工プログラムに規定されるプログラムストップ、アラーム発生などである。このため、加工動作を中断させてから加工動作を再開させるまでの間においても、加工用テーブル80に対するワークWの固定を継続することができる。これにより、加工動作を中断している間にワークWがずれてしまうことを抑制することができ、ワークWがずれた状態で加工動作が再開されることを抑制することができる。
なお、加工動作が中断している状況であっても集塵装置90の動作を継続させる意図は、加工動作の再開を念頭に、ワークWの位置ずれを防止することにある。そのため、非常停止といったように、その後に加工動作の再開を予定しないような中断事由の場合には、集塵装置90の動作を停止させることが好ましい。また、集塵装置90を理由とするアラーム発生の場合には、やはり集塵装置90の動作を停止させることが好ましい。
また、制御装置100は、レーザビームの芯出し調整、焦点調整、工具径補正などのレーザ加工機10の調整動作、いわゆるユーティリティ動作の実行中は集塵装置90を動作させることが好ましい。そして、制御装置100は、ユーティリティ動作後も集塵装置90の動作を継続させることが好ましい。これにより、ユーティリティ動作中及びにユーティリティ動作後も、加工用テーブル80に対するワークWの固定が維持される。これにより、ユーティリティ動作後にワークWの位置がずれたまま、レーザ加工を開始してしまうことを抑制することができる。
つぎに、スキッド52上にワークWを配置してレーザ加工を行うときの、レーザ加工機10の動作の流れを説明する。スキッド52上にワークWを配置してレーザ加工を行うときには、ONボタン106aが操作されず、OFFボタン106bが選択されたままとなる。このため、制御装置100の動作モードは、自動運転モードのままとなる。制御装置100は、レーザ加工の待機状態では集塵装置90の動作を停止したままとし、レーザ加工の開始と連動して集塵装置90の動作を開始させる。レーザ加工が開始すると、制御装置100は、集塵装置90の動作を継続させ、レーザ加工の終了に連動して集塵装置90の動作を停止させる。レーザ加工の開始及び終了に連動して集塵装置90を動作させることで、集塵が必要な範囲において集塵装置90を動作させることとなる。これにより、集塵装置90を経済的に動作させることができる。
なお、自動運転モードでは、レーザ加工機10によるレーザ加工の運転中に加工動作を一時的に中断させる事由が起きた場合、制御装置100は、集塵装置90の動作を一時的に停止させることが好ましい。また、制御装置100は、ユーティリティ動作の実行中は集塵装置90を動作させるが、ユーティリティ動作後に集塵装置90の動作を停止させることが好ましい。これにより、不要な状況で集塵装置90を動作させることがないので、集塵装置90を効率的に運転することができる。
このように本実施形態のレーザ加工機10によれば、集塵室60内の空気が、集塵装置90が引き込む空気の流れによって集塵ダクト61から吸引されている。集塵装置90が引き込む空気の流れは、切替装置70によって、集塵ダクト61から吸引ダクト85へと切り替えることができる。これにより、空気の流れを吸引ダクト85側へと切り替えることで、パレット50内に配置される吸引テーブル81内の空気を吸引することができる。その結果、パレット50内の所定区画に配置された加工用テーブル80を限定的に吸引することができる。これにより、ワークWを吸引するために必要な吸引力を得ることができるので、ワークWを加工用テーブル80に確実に固定することができる。また、集塵室60内の空気を吸引する流れを流用しているので、吸引テーブル81を吸引するための専用の吸引手段を別途設ける必要がない。その結果、安価な構成でワークWの固定を行うことができる。
加えて、制御装置100が動作モードを第2動作モードへと切り替えることで、集塵装置90を任意のタイミングで動作させることができる。これにより、レーザ加工機10がレーザ加工を行っていない状態でも集塵装置90を動作させることができるので、加工用テーブル80に対するワークWの固定を効果的に行うことができる。
なお、上述した実施形態では、手動運転モードが選択されている場合、制御装置100は、レーザ加工が終了するまでは集塵装置90の動作を継続している。しかしながら、制御装置100は、加工動作を一時的に中断させている最中にOFFボタン106bへの切り替えが行われた場合に、集塵装置90の動作を停止させるように構成してもよい。これにより、加工中に一つのパーツのみを取り出したといった要求に応えることができる。
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。