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JP7735256B2 - 治療装置 - Google Patents
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JP7735256B2 - 治療装置 - Google Patents

治療装置

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Description

本発明は、子宮頸がんの治療装置に関する。
子宮頸がん患者は増加傾向にあり、特に20~30歳代の若い女性の患者数が増加している。現在の子宮頸がんの治療は、早期ステージ(ステージI)から子宮を全部摘出することが標準治療とされているが、若い患者にとっては、妊孕性を維持するために子宮を温存できるような局所治療が求められている。また、進行ステージ(ステージIII以降)では、がんは周辺組織へ広がっているため手術による切除は難しいことから、放射線療法と化学療法を組み合わせた治療が標準治療とされている。しかし、5年生存率はステージIIIでは50%、ステージIVでは20%と低く、より効果的な治療が求められている。がんの局所治療として、光反応物質を用いた治療法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。なかでも、抗体-光感受性物質(親水性フタロシアニン)を用いた治療法は、腫瘍に集積した抗体-光感受性物質に対して励起光(例えば、近赤外線)を照射することで、正常細胞などの非標的細胞を破壊せずに、標的細胞を特異的に破壊することができ、副作用を軽減しながら高い治療効果が得られることが期待されている。
米国特許出願公開第2018-0113246号明細書
一方、抗体-光感受性物質の高い治療効果を得るためには、腫瘍に集積した抗体-光感受性物質に対して、確実に近赤外線を照射することが必要となる。しかしながら、光は生体組織の影響により急激に減衰するため、近赤外線の深達度は浅く、非侵襲的に体表面から固形がんに治療に必要なエネルギーの光を照射することは非常に困難である。そのため、侵襲性を極力抑えながら体内の腫瘍に確実に光を照射する手段が必要となる。子宮頸がんの場合は、子宮頸管の広範囲にがんが広がっている場合が多く、広範囲のがんに対して極力近くから光を照射する手段が求められる。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、子宮頸部の少なくとも一部を含む範囲のがんを効果的に治療できる治療装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る治療装置は、子宮頸がんの腫瘍細胞に結合した抗体-光感受性物質へ励起光を照射する治療装置であって、先端部および基端部を有する本体シャフトと、前記本体シャフトの先端側に配置され、前記本体シャフトの径方向へ前記本体シャフトよりも大きく形成された先端構造部と、前記先端構造部から先端側へ突出する先端シャフトと、前記先端シャフトおよび前記先端構造部から前記抗体-光感受性物質の励起光を発光可能とする少なくとも1つの照射部と、を有し、前記照射部は、先端部に発光部を有し、前記先端構造は、前記先端構造部の先端側から基端側へ貫通し、前記照射部の前記発光部を移動可能に収容する貫通孔を有するとともに、前記貫通孔に収容された前記照射部の前記発光部が発する波長の光を外部に伝播できる透明または半透明の材料により形成されており、前記本体シャフトの軸心に沿った軸心方向において、前記先端構造部の前記貫通孔の長さは、前記発光部の長さ以上であることを特徴とする。
上記のように構成した治療装置は、先端シャフトを子宮頸管に挿入するとともに、先端構造部を膣内へ挿入した状態で、子宮頸部の少なくとも一部を含む範囲の腫瘍細胞に結合した抗体-光感受性物質へ、励起光を効果的に照射できる。このため、本治療装置は、子宮頸部の少なくとも一部を含む範囲におけるがんの治療効果を向上できる。
前記治療装置は、前記貫通孔の内部および前記先端シャフトの内部を連通し、前記照射部を移動可能に収容する照射ルーメンが形成されてもよい。これにより、照射部が1つの場合であっても、先端シャフトおよび先端構造部から励起光を照射できるため、治療装置の構成を単純化して、操作性を向上できる。また、照射部を移動させることで、励起光を照射する位置を適切に調節できるため、治療効果を向上できる。
前記先端構造部は、先端側に凹部が形成されたカップ形状であってもよい。これにより、先端シャフトを子宮頸管に挿入するとともに、先端構造部の凹部を囲む部位を膣円蓋の近傍へ挿入した状態で、子宮頸部を含む広い範囲の腫瘍細胞に結合した抗体-光感受性物質へ、励起光を効果的に照射できる。このため、本治療装置は、子宮頸部を含む広い範囲におけるがんの治療効果を向上できる。
前記先端構造部は、前記凹部を囲んで先端側へ突出する壁部を有し、前記壁部は、前記凹部を囲む周方向の一部に、他の部位よりも先端方向への突出量が大きい突出部を有してもよい。これにより、壁部を膣円蓋に近づけることができる。したがって、光が到達しにくい膣円蓋の近傍へ励起光を効果的に照射でき、治療効果を向上できる。
前記先端シャフトは、前記励起光を当該先端シャフトの軸心に対して略垂直方向へ照射し、前記先端構造部は、前記励起光を略先端方向へ照射してもよい。これにより、子宮頸部の腫瘍細胞へ先端シャフトおよび先端構造部の両方から励起光を照射できるため、治療効果を向上できる。
前記治療装置は、前記抗体-光感受性物質が発する蛍光を検出する検出部を有してもよい。これにより、励起光の照射による腫瘍細胞の破壊の程度を、検出部により検出する蛍光の変化によって確認できる。
前記先端構造部は、前記本体シャフトに対して当該本体シャフトの軸心方向へ移動可能であってもよい。これにより、先端構造部を本体シャフトに対して基端側へ後退させて視野を確保した状態で、先端シャフトを子宮頸管へ挿入できる。また、先端シャフトを子宮頸管の適切な位置に維持した状態で、先端構造部を移動させて適切な位置に配置できる。このため、先端シャフトおよび先端構造部の両方を、子宮頸管および膣の適切な位置に正確かつ容易に配置できる。したがって、先端シャフトおよび先端構造部から、望ましい位置へ励起光を照射できるため、治療効果を向上できる。
前記先端構造部は、前記発光部が発する波長の光により前記先端構造部自体が発光するように、前記光を散乱させる構造を備えてもよい。
前記先端構造部は、前記光を散乱させる構造を備えるように、前記材料の内部に散乱体を備えてもよい。
前記先端構造部の基端側を向く面および径方向の外側を向く面が、光を反射する反射体コートに被覆され、先端側を向く面が、前記反射体コートに被覆されていなくてもよい。
実施形態に係る治療装置を示す平面図である。 膣および子宮を示す概略図であり、(A)は患者を前から見た状態、(B)は患者を左側から見た状態を示す。 実施形態に係る治療装置の先端部を示す断面図である。 先端シャフトの変形例を示す平面図であり、(A)は第1の変形例、(B)は第2の変形例を示す。 第3の変形例を示す平面図である。 先端構造部の変形例を示す断面図であり、(A)は第4の変形例、(B)は第5の変形例、(C)は第6の変形例、(D)は第7の変形例、(E)は第8の変形例を示す。 先端構造部の変形例を示す断面図であり、(A)は第9の変形例、(B)は第10の変形例、(C)は第11の変形例、(D)は第12の変形例を示す。 先端構造部の変形例を示す平面図であり、(A)は第13の変形例、(B)は第14の変形例、(C)は第15の変形例、(D)は第16の変形例、(E)は第17の変形例を示す。 先端構造部の変形例を示す断面図であり、(A)は第18の変形例、(B)は第19の変形例、(C)は第20の変形例、(D)は第21の変形例を示す。 照射部の変形例を示す平面図であり、(A)は本実施形態、(B)は第22の変形例、(C)は第23の変形例を示す。 実施形態に係る治療装置の先端シャフトを子宮頸管に挿入した状態を示す概略図である。 子宮頸管に挿入した先端シャフトから近赤外線を腫瘍細胞へ照射している状態を示す概略図である。 膣内の先端構造部から近赤外線を腫瘍細胞へ照射している状態を示す概略図である。 治療装置の第24の変形例を示す平面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法は、説明の都合上、誇張されて実際の寸法とは異なる場合がある。また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。本明細書において、デバイスの生体管腔に挿入する側を「先端側」、操作する側を「基端側」と称することとする。
本実施形態に係る治療装置10は、子宮頸がんの治療方法に使用される。治療装置10および治療方法は、子宮頸がんおよび膣がんの両方を同時に治療するために使用することもできる。本治療方法は、標的細胞の細胞膜に結合させた抗体-光感受性物質に、抗体-光感受性物質の励起光である近赤外線を照射して、標的細胞を破壊する光免疫療法に用いられる。標的細胞は、がん細胞等の腫瘍細胞である。この治療方法では、腫瘍細胞の表面にある特有の抗原のみに特異的に結合する抗体と、その抗体と対になる光感受性物質とを結合させた抗体-光感受性物質を、薬剤として使用する。抗体は、特に限定されないが、例えば、パニツムバブ、トラスツズマブ、HuJ591、ペルツズマブ、ラパチニブ、パルボシクリブ、オラパリブ等である。光感受性物質は、例えば、約700nmの波長の近赤外線に反応する物質(IR700)である親水性フタロシアニンであるが、これに限定されない。IR700は、約660~740nmの波長の近赤外線を受けると、水溶性を担保している官能基のリガンドが切れ、水溶性から疎水性へ構造変化を生じる。この構造変化によって膜たんぱく質が引き抜かれ、細胞膜に穴が開いて細胞内に水が入り込むことで、がん細胞を破裂させて破壊することができる。また、IR700は、近赤外線を受けて励起され、励起波長と異なる波長の蛍光を発する。例えば、IR700は、689nmの波長の近赤外線を受けて励起されると、704nmの波長の蛍光を発する。IR700は、光反応により蛍光を発しつつ構造変化し、腫瘍細胞を破壊して薬剤としての役割を果たすと、蛍光を発しなくなる。
図1に示す治療装置10は、図2、11~13に示す子宮頸部U、外子宮口O、外子宮口Oの周辺の子宮膣部UV、膣円蓋VF、および膣Vの膣円蓋VFよりも膣口側の膣円蓋VFに近い部位までの広い範囲Aにおける子宮頸がんおよび膣がんを、1つのデバイスで治療できる。治療装置10は、子宮頸部Uから膣Vまでの広い範囲の腫瘍細胞Cに結合した抗体-光感受性物質に、励起光を照射できる。
子宮は、膣Vの奥にあり、子宮の上部は左右の卵管につながり、子宮の下部にある外子宮口Oは、膣Vにつながっている。子宮は、大きく子宮体部と子宮頸部Uに分けられ、子宮頸部Uには、外子宮口Oにつながる子宮頸管CCが設けられる。膣Vは、外子宮口Oを囲むように広がる膣円蓋VFを有する。膣円蓋VFは、膣Vの前部に位置する前膣円蓋AVよりも、膣Vの後部に位置する後膣円蓋RVで、深くなっている。
まず、本実施形態に係る治療装置10について説明する。
治療装置10は、図1および3に示すように、先端部および基端部を有する長尺なシャフト部20と、シャフト部20の先端部に設けられる先端構造部30と、シャフト部20の基端部に連結された操作部60と、光を照射する長尺な照射部50とを有している。治療装置10は、光出力装置80に接続して使用される。
シャフト部20は、操作部60から先端方向へ延在する管状体である本体シャフト21と、照射部50を収容する照射用シャフト22とを備えている。
本体シャフト21は、先端構造部30を支持する管体である。本体シャフト21は、照射用シャフト22を内腔に収容している。本体シャフト21は、直線状に延在する円管であるが、曲がっていてもよく、円管でなくてもよい。本体シャフト21の基端部は、操作部60のケーシング61に対して摺動可能であり、かつ移動操作部62に固定される。先端シャフト24を含む照射用シャフト22は、ケーシング61に固定される。移動操作部62がケーシング61に対して移動すると、照射用シャフト22は移動せずに、本体シャフト21、先端構造部30がケーシング61に対して移動する。ケーシング61および移動操作部62は図示しない固定要素を有しており、固定要素の状態を切り替えすることにより、移動操作部62がケーシング61に対して摺動可能か否かを調整することができる。本体シャフト21の先端部は、先端構造部30の基端部に固定されている。
本体シャフト21は、術者が移動操作部62を、または操作部60を把持して目的の位置まで押し込むことができるように、ある程度の剛性を有することが好ましい。本体シャフト21の構成材料は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、チタン合金、錫、マグネシウム合金等に代表される金属、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリイミド等に代表される樹脂等である。本体シャフト21の軸心方向の長さは、特に限定されないが、例えば100~400mmである。
照射用シャフト22は、内部に照射部50を収容できる管状の部材であり、照射部50からの光を外部へ透過できる。照射用シャフト22の一部は、本体シャフト21および先端構造部30の内部に配置される。照射用シャフト22の先端部は、本体シャフト21および先端構造部30よりも先端側へ延在している。照射用シャフト22の先端構造部30から先端側へ突出可能な部位は、先端シャフト24である。先端シャフト24は、子宮頸管CCの内部から子宮頸部Uへ光を照射するために、外子宮口Oから子宮頸管CCへ挿入される部位である(図12を参照)。照射用シャフト22の基端部は、本体シャフト21および操作部60よりも基端側へ延在している。照射用シャフト22の内側には、照射部50が移動可能な照射ルーメン25が形成されている。照射ルーメン25は、照射用シャフト22の最先端で閉じており、照射用シャフト22の最基端で開いている。照射用シャフト22の基端側には、照射ルーメン25に照射部50を受け入れる挿入口28が配置されている。
照射用シャフト22は、内部に収容した照射部50が発する波長の光を透過させることができる透明または半透明の材料により形成される。照射用シャフト22の構成材料は、特に限定されないが、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン等に代表される樹脂、ガラス等である。先端シャフト24の材料は弾性を有し、子宮頸管に挿入された後、頸管に沿ってたわみながら変形することができる物性であることがより好ましい。これにより頸管形状の個体差へ対応することができ、頸管内面への負担を軽減すると共に頸管内面への密着性をより高めることができる。照射用シャフト22(先端シャフト24)の外径は、特に限定されないが、例えば0.5~6mmである。先端シャフト24の軸心方向の長さは、特に限定されないが、例えば10~50mmである。照射用シャフト22の少なくとも先端シャフト24は、光を拡散させる機能を有してもよい。そのために、先端シャフト24は、後に詳述する先端構造部30と同様に、構成材料の少なくとも一部に散乱体を含有したり、内面や外面に多数の凹凸が形成されたり、屈折率の異なる材料を多数の凹凸が形成された面で接合した多層構造であってもよい。先端シャフト24は、直線的に形成されてもよいが、膣Vに対して傾いている子宮頸管CCを通りやすいように、湾曲して形成されてもよい。照射用シャフト22は、剛直、実質的に剛直、または柔軟に形成される。
先端シャフト24の形状は、特に限定されない。例えば、図4(A)に示す第1の変形例のように、先端シャフト24は、軸心方向に並ぶ凹凸構造24Aを有してもよい。これにより、術者は、先端シャフト24を外子宮口Oから子宮頸管CCへ挿入する際に、凹凸構造24Aを目視で確認することで、先端シャフト24のどこまでを子宮頸管CCに挿入したかを容易に把握できる。また、術者は、凹凸構造24Aを外子宮口Oから子宮頸管CCへ挿入する際に、操作部60を把持する手に受ける感覚の変化から、先端シャフト24のどこまでを子宮頸管CCに挿入したかを容易に把握できる。なお、先端シャフト24は、目視で確認しやすい構造として、目盛となる線や切り欠き等を有してもよい。また、術者が先端シャフト24を外子宮口Oから子宮頸管CCへ挿入する際に術者の手に受ける感覚が変化するように、先端シャフト24は、軸心方向に沿って変化する物性を有してもよい。例えば、先端シャフト24は、先端方向へ向かって剛性が減少してもよく、または剛性の高い部位と低い部位が交互に配置されてもよい。
また、図4(B)に示す第2の変形例のように、先端シャフト24は、先端部に、外径の大きい大径部24Bを1つ備えてもよい。これにより、術者は、先端シャフト24を外子宮口Oから子宮頸管CCへ挿入した後、大径部24Bが内子宮口Iを超えて子宮腔UCへ到達したことを、操作部60を把持する手に受ける感覚の変化から容易に把握できる。例えば、術者は、大径部24Bが内子宮口Iを超えた後に、操作部60を後退させて、大径部24Bを内子宮口Iに接触させることができる。したがって、大径部24Bを有する先端シャフト24は、先端シャフト24の先端部を、内子宮口Iに対して正確に位置決めしたい場合や、確実に内子宮口Iを通過させたい場合に有効である。なお、大径部24Bの位置は、先端シャフト24の最先端に限定されない。
また、図5に示す第3の変形例のように、先端シャフト24は、先端部に、柔軟に変形可能な袋状の第1バルーン24Cを有してもよい。第1バルーン24Cは、操作部60に配置される袋状の第2バルーン24Dとチューブ24Eによって連通している。第1バルーン24C、第2バルーン24Dおよびチューブ24Eには、流体が密封されている。これにより、先端シャフト24が外子宮口Oから子宮頸管CCに入ると、第1バルーン24Cが潰れて第1バルーン24Cの内部の流体が第2バルーン24Dへ向かって移動し、第2バルーン24Dが大きく拡張する。これにより、術者は、第2バルーン24Dを見ることで、第1バルーン24Cを備える先端シャフト24が子宮頸管CCに入ったことを容易に把握できる。また、第1バルーン24Cが内子宮口Iを超えると、第1バルーン24Cが自己の復元力により拡張し、第2バルーン24Dの内部の流体が第1バルーン24Cへ向かって移動して、第2バルーン24Dが小さくなる。これにより、術者は、第2バルーン24Dを見ることで、第1バルーン24Cを備える先端シャフト24が内子宮口Iを超えたことを容易に把握できる。
なお、術者は、先端シャフト24の内部に配置される照射部50を発光させた状態で、先端シャフト24を外子宮口Oから子宮頸管CCへ挿入してもよい。先端シャフト24の子宮頸管CCへ挿入された部位からの発光は、術者から見えなくなる。このため、術者は、目視によって、先端シャフト24のどこまでを子宮頸管CCに挿入したかを容易に把握できる。この場合、先端シャフト24に凹凸構造24Aや大径部24Bが設けられなくても、術者は、目視によって、先端シャフト24のどこまでを子宮頸管CCに挿入したかを把握できる。
先端構造部30は、図3、11~13に示すように、子宮頸管CCに挿入される先端シャフト24の基端側に配置されて膣V内に挿入され、膣Vの広い範囲に光を照射可能とする部材である。先端構造部30は、本体シャフト21の径方向へ本体シャフト21よりも大きく形成されている。先端構造部30は、先端構造部30の内部を通る照射ルーメン25に配置された照射部50から発せられる光を、外部へ透過できる。このために、先端構造部30は、照射部50が発する波長の光を透過できる透明または半透明の材料により形成される。
先端構造部30は、図3に示すように、先端側に凹部31を備えたカップ形状で形成されている。先端構造部30は、本体シャフト21に連結される連結部32と、連結部32から径方向の外側へ延在する拡径部33と、凹部31を囲む筒状の壁部34とを備えている。連結部32は、先端シャフト24が軸心方向へ移動可能に貫通する貫通孔35が形成されている。拡径部33は、略円盤状に形成されるが、拡径部33の形状は特に限定されない。拡径部33は、本体シャフト21の軸心と略垂直に形成されるが、傾斜して形成されてもよい。拡径部33の厚さは、径方向の外側へ向かうにしたがって減少することが好ましい。これにより、貫通孔35の内壁面から先端構造部30の材料内に入射された光を、材料の表面で反射させつつ、材料内を通って径方向の外側へ誘導できる。貫通孔35は先端構造部30から本体シャフト21の基端方向に延在してもよく、その長さは発光部52と同等以上であるとより好ましい。なお、拡径部33は、一定の厚さで形成されてもよい。
壁部34は、略筒状であり、凹部31を囲んでいる。壁部34の基端部は、拡径部33の径方向の外側の部位に連結される。壁部34は、拡径部33との連結部位から先端方向へ円筒状に延在している。壁部34の厚さは、先端側へ向かうにしたがって減少することが好ましい。これにより、壁部34は、拡径部33から拡径部33の材料内を通って壁部34の基端部に伝播された光を、材料の表面で反射させつつ、材料内を通って先端側へ伝播できる。なお、壁部34は、一定の厚さで形成されてもよい。
壁部34の先端部には、カップ先端部36が形成される。カップ先端部36は、先端方向へ向かうにしたがって広がっている。すなわち、カップ先端部36の内径および外径は、先端方向へ向かうにしたがって増加している。壁部34は、先端側へ向かって広がるカップ先端部36を備えることで、凹部31内に子宮膣部UVを受け入れやすくなる(図11を参照)。これにより、カップ先端部36を、アクセスしにくい膣円蓋VFへ、または膣円蓋VFの近傍へ到達させることが容易となる。カップ先端部36の最先端が位置する面は、貫通孔35の軸心と垂直な面に対して90°未満の角度θで傾斜している。したがって、カップ先端部36は、周方向の一部に、先端方向へ最も突出する突出部37が形成される。カップ先端部36は、周方向において突出部37の反対側に、先端方向への突出量が最も小さい窪み部38が形成される。
先端構造部30の基端面から窪み部38までの長さL1は、例えば5~20mmである。先端構造部30の基端面から突出部37までの長さL2は、例えば10~30mmである。
窪み部38を膣口から近い前膣円蓋AV側に配置し、その反対側の突出部37を膣口から遠い後膣円蓋RV側に配置することで、前膣円蓋AVおよび後膣円蓋RVを含む膣円蓋VFの全体に、カップ先端部36を近づけることができる。このため、後膣円蓋RVおよび前膣円蓋AVを含む、光が到達しにくい範囲に、光を効果的に照射できる。
先端構造部30の構成材料は、ある程度の剛性を有し、かつ照射部50から発せられる波長の光を透過できれば、特に限定されないが、例えばシリコーン、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、ウレタン等やそれらの組み合わせである。先端構造部30の最大外径は、特に限定されないが、例えば20~50mmである。先端構造部30の軸心方向の長さは、特に限定されないが、例えば5~30mmである。
先端構造部30は、先端構造部30の内部の照射部50から受ける光を散乱させる構造を備えてもよい。先端構造部30の内部とは、貫通孔35の内部または凹部31の内部である。凹部31の内部とは、貫通孔35よりも先端側であって、かつ先端構造部30の最先端よりも基端側であり、かつ壁部34の内周面よりも径方向の内側を意味する。貫通孔35の内部から照射される光は、貫通孔35から先端構造部30の材料内に入り、拡径部33の材料内を径方向の外側へ伝播される。先端構造部30の凹部31の内部で照射された光は、凹部31の内側の面(例えば、拡径部33の先端側の面や、壁部34の内周面)から、先端構造部30の材料の内部へ入ることができる。これにより、カップ自体が、照射部50から受けた光によって発光する。このため、治療装置10は、照射部50から直接的に光が届く範囲以外へも、先端構造部30を介して、広い範囲へ光を照射できる。
先端構造部30は、光を散乱させる構造を備えてもよい。これにより、カップ自体が、照射部50から受けた光によって発光する。例えば、先端構造部30は、図6(A)に示す第4の変形例のように、材料の内部に散乱体39を含有してもよい。散乱体39は、公知のものを利用でき、例えば酸化チタン、スチレン、シリコーン等の微小な粒子である。また、先端構造部30は、図6(B)に示す第5の変形例のように、内面(凹部31側の面)に散乱体39を含む散乱体コート40を有してもよい。散乱体コート40は、散乱体39を、散乱体39と異なる屈折率を有するコート基材に混合して被覆される。また、先端構造部30は、図6(C)に示す第6の変形例のように、光を散乱させる構造として、内面に微小な多数の凹凸部41を有してもよい。また、先端構造部30は、図6(D)に示す第7の変形例のように、光を散乱させる構造として、外面に微小な多数の凹凸部41を有してもよい。先端構造部30の外面(凹部31側と反対側の面)の凹凸部41は、子宮膣部UVや膣V等の生体(臓器)に接触すると、先端構造部30の材料内から照射される光が、凹凸部41で反射せずに生体内へ透過しやすくなり、先端構造部30の材料内の光量が減少する。このため、先端構造部30の材料内の光量を検出できる検出部90(図13を参照)を設けることで、先端構造部30が生体に密着したことを判別できる。先端構造部30の凹凸部41が、生体に接触する際に光を生体へ透過しやすくするために、先端構造部30の屈折率は、空気の屈折率よりも大きく、生体の屈折率以下であることが好ましく、例えば1.0超~1.5程度である。また、先端構造部30は、図6(E)に示す第8の変形例のように、屈折率の異なる第1層42および第2層43を、凹凸を有する面で接合した構造を有してもよい。
また、先端構造部30は、特定の方向への照射強度を向上させる構造を備えてもよい。先端構造部30は、例えば、基端方向へは照射せず、径方向および先端方向へ光を照射することが好ましい。これにより、先端構造部30から子宮頸部Uまたは子宮頸部Uに近い膣Vの腫瘍細胞Cへ照射できる光の強度を向上できる。特定の方向への照射強度を向上させる構造は、例えば、先端構造部30の基端側から外部へ光を漏れにくくする構造である。例えば、先端構造部30は、図7(A)に示す第9の変形例のように、拡径部33の外面に、光を反射する反射体で形成された反射体コート42を有してもよい。なお、反射体は、先端構造部30の材料の内部や、先端構造部30の内面に配置されてもよい。また、図7(B)に示す第10の変形例のように、先端構造部30の材料の内部に散乱体39を含有させ、拡径部33における散乱体39の濃度を、壁部34における散乱体39の濃度よりも高くしてもよい。また、図7(C)に示す第11の変形例のように、先端構造部30の材料の内部に散乱体39を含有させ、拡径部33の厚さを、壁部34の厚さよりも厚くしてもよい。また、先端構造部30は、図7(D)に示す第12の変形例のように、拡径部33の両面に反射体コート42を有し、壁部34の両面に散乱体コート40を有してもよい。これにより、貫通孔35から先端構造部30の材料内に入った光を、拡径部33の両面の反射体コート42で反射させつつ壁部34へ伝播できる。そして、壁部34の材料内の光を、壁部34の両面の散乱体コート40で散乱させて、外部へ均一に照射できる。
また、先端構造部30は、様々な形状で形成され得る。先端構造部30は、患者の子宮膣部UV、膣円蓋VFや膣Vの形状に応じて、適宜選択できることが好ましい。
図8(A)に示す第13の変形例のように、先端構造部30の先端側の面は、本体シャフト21の軸心(貫通孔35の軸心)と略垂直であってもよい。また、図8(B)に示す第14の変形例のように、凹部31は、本体シャフト21の軸心を通る断面において、滑らかな円弧状に形成されてもよい。また、図8(C)に示す第15の変形例のように、凹部31は、本体シャフト21の軸心を通る断面において、部分的に滑らかな円弧状に形成されてもよい。
また、図8(D)に示す第16の変形例のように、先端構造部30は、壁部34の外周面、本体シャフト21の外周面および拡径部33の基端面を覆うバルーン43を有してもよい。バルーン43は、操作部60から延在する供給チューブ44を介して流体を供給されて拡張できる。バルーン43を拡張させることで、先端構造部30を、子宮膣部UV、膣円蓋VFや膣Vに密着させることができる。なお、バルーン43は、壁部34の外周面のみを覆ってもよく、本体シャフト21の外周面のみを覆ってもよく、または拡径部33の基端面を覆ってもよい。
また、図8(E)に示す第17の変形例のように、先端構造部30は2つ以上(第17の変形例では2つ)の副先端構造部44に分割されてもよい。各々の副構造部44は、独立して移動可能な移動操作部62に連結されて、軸心に沿って独立して移動可能である。したがって、術者は、例えば視野を確保するために1つの副構造部44を子宮膣部UVや膣円蓋VFに位置決めした後に、他の副構造部44を子宮膣部UVや膣円蓋VFに位置決めできる。
また、図9(A)に示す第18の変形例のように、先端構造部30の貫通孔35は、先端構造部30の軸心方向に長く形成されてもよい。先端構造部30の貫通孔35の軸心方向の長さは、限定されないが、後述する光出力装置80の発光する部位である発光部52の軸心方向の長さ以上であることが好ましい。これにより、発光部52から照射される光は、無駄なく先端構造部30に入力できる。先端構造部30の基端側を向く面および径方向の外側を向く面は、反射体コート39が被覆されることが好ましい。先端構造部30の先端側を向く面および先端構造部30の凹部31内の面は、反射体コート39が被覆されない。先端構造部30の先端側を向く面および先端構造部30の凹部31内の面は、散乱体コート36が被覆されてもよい。これにより、発光部52から照射される光は、損失が少なく先端構造部30に入力し、照射したい方向へ出力できる。先端構造部30の内部で発光部52が発光して、先端構造部30から照射される励起光は、先端方向(先端構造部30に対して外子宮口Oや子宮膣部UVがある方向)へのみ照射される。このため、外子宮口Oや子宮膣部UVにおける治療効果を向上できる。
また、図9(B)に示す第19の変形例のように、先端構造部30の拡径部33の外径が、先端方向へ向かうにつれて大きくなるように形成されてもよい。なお、他の構成は、第18の変形例と同様である。すなわち、先端構造部30の貫通孔35の軸心方向の長さは、発光部52の軸心方向の長さ以上であることが好ましい。これにより、発光部52から照射される光は、無駄なく先端構造部30に入力できる。先端構造部30に入力された光は、拡径部33の傾斜する外面に被覆された反射体コート39により、先端方向へ効果的に反射される。このため、外子宮口Oや子宮膣部UVにおける治療効果をさらに向上できる。
また、図9(C)に示す第20の変形例は、先端構造部30の凹部31の形状のみが、第19の変形例と異なる。凹部31の形状は、特に限定されない。したがって、図9(B)に示す第19の変形例の凹部31は、本体シャフト21の軸心を通る断面において、滑らかな円弧状に形成されるが、図9(C)に示す第20の変形例の凹部31は、内径が軸心方向へ略一定となるように形成される。
また、図9(D)に示す第21の変形例は、先端構造部30に凹部31および壁部34が形成されない点でのみ、第20の変形例と異なる。先端構造部30の先端側を向く先端面30Aは、例えば平面で形成されるが、平面でなくてもよく、例えば先端側へ突出してもよい。先端面30Aは、散乱体コート36が被覆されても、被覆されなくてもよい。先端構造部30の内部で発光部52が発光して、先端構造部30から照射される励起光は、先端方向(先端構造部30に対して外子宮口Oや子宮膣部UVがある方向)へのみ照射される。このため、外子宮口Oや子宮膣部UVにおける治療効果を向上できる。
照射部50は、図1および3に示すように、長尺であり、光を伝播する少なくとも1本の光ファイバ51を備えている。照射部50は、先端部に、光を外部へ照射する発光部52を備えている。照射部50の基端部は、光を出力する光出力装置80に接続可能である。照射部50は、光出力装置80から近赤外線を受け、近赤外線を発光部52へ伝播し、発光部52から照射することができる。なお、照射部50は、光ファイバ以外の光導波路により形成されてもよい。
発光部52は、図10(A)に示すように、光ファイバ51の切断された断端に接続されて、光ファイバ51から受ける光を拡散または散乱させる円柱状のディフューザーである。ディフューザーは光ファイバ51の表面や内部を加工することで一体に形成されていてもよい。なお、発光部52は、光ファイバ51の切断された断端であってもよい。この場合は、光を広い照射角で照射するために、複数の光ファイバ51が設けられることが好ましい。また、発光部52は、図10(B)に示す第22の変形例のように、光ファイバ51の切断された断端に配置されるミラー53および/またはレンズ54によって形成されてもよい。発光部52は、ミラー53および/またはレンズ54によって形成されることで、光の照射角を広げることができる。光ファイバ51を回転させることで、発光部52は、さらに広い範囲へ光を照射できる。
なお、発光部52は、シャフト部20の内部に配置されなくてもよく、または先端構造部30の内部に配置されなくてもよい。例えば、図10(C)に示す第23の変形例のように、照射部50は、先端構造部30の基端側のシャフト部20を囲む照射補助部55を有し、照射補助部55に、発光部52が配置されてもよい。発光部52は、拡径部33の基端側の面の一部を覆うように、先端方向へ向かって広がる内周面を有している。発光部52は、この内周面に配置される。発光部52は、光ファイバの断端、ディフューザー、ミラー、レンズ、または電力により光を発するLED等である。照射補助部55の発光部52が発光すると、先端構造部30の基端側から先端構造部30の内部へ光が照射される。これにより、先端構造部30は、照射補助部55の発光部52から光を受けて、略全体で発光できる。照射補助部55に設けられる発光部52は、照射ルーメン25に設けられる照射部50と一緒に使用されてよい。
操作部60は、図1に示すように、術者が把持して操作する部位である。操作部60は、本体シャフト21の基端部が固定されている。操作部60の基端部からは、照射用シャフト22が導出されている。なお照射用シャフト22は操作部60の基端部で固定されていてもよい。先端構造部30および先端シャフト24を膣口から挿入する際に、膣V内における術者の視野を確保しやすいように、操作部60は、先端部から基端部へ向かって曲がって形成される。なお、操作部60の構成は、特に限定されない。
光出力装置80は、照射部50の光ファイバ51へ、任意の波長の光を任意の強度(パワー)やエネルギーで出力できる。光出力装置80は、例えば660~740nmの波長の近赤外線を、例えば1mW~5Wの強度(パワー)で、例えば1~50Jcm-2のエネルギーで光を照射できるように、光ファイバ51へ出力を行う。
次に、実施形態に係る治療装置10を用いた治療方法を説明する。
始めに、抗体-光感受性物質を、静脈内投与する。静脈内投与から約12~36時間経過後に、術者は、図11に示すように、膣鏡100を用いて膣口を開き、先端構造部30を先端シャフト24に対して基端側へ後退させた状態の治療装置10を、膣口から膣V内へ挿入する。このとき、術者は、治療装置10を、先端シャフト24側から挿入する。次に、術者は、先端シャフト24の先端部を目視で確認しつつ、外子宮口Oから子宮頸管CCへ挿入する。このとき、先端構造部30が先端シャフト24に対して基端側へ後退しているため、術者は、先端シャフト24を子宮頸管CCへ容易に挿入できる。したがって、術者は、先端シャフト24を子宮頸部Uに対して望ましい位置に容易に位置決めできる。
次に、術者は、図12に示すように、移動操作部62を押し込み、先端構造部30を子宮膣部UVへ向かって押し付ける。外子宮口Oから子宮頸管CCへ挿入された先端シャフト24は、凹部31の底面に形成される貫通孔35を通っているため、外子宮口Oの周囲に位置する子宮膣部UVが、凹部31に入り込む。このため、先端構造部30の径方向外側に位置して先端方向へ突出するカップ先端部36は、膣円蓋VFに近づく。このとき、カップ先端部36の窪み部38は、膣口から近い前膣円蓋AVに接触または近づくことができる。また、カップ先端部36の突出部37は、膣口から遠い後膣円蓋RVに接触または使づくことができる。リング状に形成されるカップ先端部36の少なくとも一部は、膣円蓋VFに突き当たることが好ましい。これにより、先端構造部30が、子宮頸部Uおよび膣Vに対して位置決めされる。なお、術者は、先端構造部30を位置決めする際に、先端構造部30と共に先端シャフト24を移動させてもよい。この場合、先端構造部30および先端シャフト24が、子宮頸部Uおよび膣Vに対して同時に位置決めされる。
次に、術者は、照射部50の発光部52を先端シャフト24の内部に配置する。この後、術者は、光出力装置80を操作し、照射部50へ近赤外線を供給する。これにより、先端シャフト24の内部の発光部52は、子宮頸部Uに位置する腫瘍細胞Cへ、近赤外線を効果的に照射できる。発光部52からの近赤外線の照射方向は、先端シャフト24の軸心と略垂直な方向を含んでいる。このため、発光部52は、子宮頸管CCから子宮頸部Uに位置する腫瘍細胞Cへ、近赤外線を効果的に照射できる。術者は、先端シャフト24の内部で発光部52を移動させつつ、近赤外線を照射させてもよい。
近赤外線を照射すると、子宮頸部Uの腫瘍細胞Cに結合した抗体-光感受性物質に、近赤外線が到達する。これにより、励起光である近赤外線を受けた抗体-光感受性物質に化学変化が生じ、さらに抗体-光感受性物質の構造変化が起こることで細胞膜に穴が開く。これにより、近赤外線を照射された腫瘍細胞Cが破壊される。
術者は、腫瘍細胞Cの破壊が十分に行われたと判断する場合や、所定時間が経過した場合に、近赤外線の照射を停止する。
次に、術者は、図13に示すように、先端シャフト24および先端構造部30を保持した状態で、照射部50を引き、発光部52を先端構造部30の内部に移動させる。発光部52は、例えば、貫通孔35の内部と、凹部31の内部に配置される。次に、術者は、光出力装置80を操作し、照射部50へ近赤外線を供給する。これにより、発光部52から光を受けた先端構造部30の全体が発光する。すなわち、貫通孔35の内部に配置された発光部52は、貫通孔35から先端構造部30に到達し、凹部31の内部に配置された発光部52は、凹部31から先端構造部30に到達する。そして、先端構造部30に到達した近赤外線の一部が、先端構造部30を透過するとともに、先端構造部30に到達した近赤外線の一部が、先端構造部30によって散乱または反射されて、広い範囲へ照射される。先端構造部30が、先端方向への照射強度を向上させる構造(図7を参照)を備える場合には、近赤外線は、照射用シャフト22の軸心と略垂直な方向および先端方向へ照射される。このため、発光部52および先端構造部30は、主に、外子宮口O、子宮膣部UV、膣円蓋VF、膣Vの膣円蓋VFよりも膣口側であって膣円蓋VFに近い部位に位置する腫瘍細胞Cへ、近赤外線を効果的に照射できる。また、膣Vの膣円蓋VFよりも膣口側の膣壁には多数の襞があるが、カップ先端部36を膣円蓋VFの近くに配置することで、近赤外線の膣壁への入射角が小さくなる。このため、光の反射をできるだけ抑えて、腫瘍細胞Cへ、近赤外線を効果的に照射できる。なお、術者は、先端構造部30の内部で発光部52を移動させつつ、近赤外線を照射させてもよい。また、術者は、先端構造部30および先端シャフト24の内部で発光部52を交互に移動させつつ、近赤外線を照射させてもよい。発光部52が軸心方向へ長く、先端シャフト24および先端構造部30の両方から同時に発光できる場合には、術者は、発光部52を、先端シャフト24および先端構造部30の間で移動させなくてもよい。
近赤外線を照射すると、主に、外子宮口O、子宮膣部UV、膣円蓋VF、膣Vの膣円蓋VFよりも膣口側であって膣円蓋VFに近い部位の腫瘍細胞Cに結合した抗体-光感受性物質に、近赤外線が到達する。これにより、励起光である近赤外線を受けた抗体-光感受性物質に化学変化が生じ、さらに抗体-光感受性物質の構造変化が起こることで細胞膜に穴が開く。これにより、近赤外線を照射された腫瘍細胞Cが破壊される。
術者は、必要に応じて、移動操作部62または操作部60の全体を操作して先端構造部30を膣V内で移動させつつ、発光部52も適切な位置(貫通孔35および/または凹部31の内側)へ適宜移動させて、近赤外線を照射する治療を繰り返し行うことができる。
術者は、腫瘍細胞Cの破壊が十分に行われたと判断する場合や、所定時間が経過した場合に、近赤外線の照射を停止する。この後、術者は、先端構造部30を後退させ、治療装置10を子宮頸管CCおよび膣Vから引き抜く。これにより、本治療方法が終了する。
以上のように、本実施形態に係る治療装置10は、子宮頸がんの腫瘍細胞Cに結合した抗体-光感受性物質へ励起光を照射する治療装置10であって、先端部および基端部を有する本体シャフト21と、本体シャフト21の先端側に配置され、本体シャフト21の径方向へ本体シャフト21よりも大きく形成された先端構造部30と、先端構造部30から先端側へ突出する先端シャフト24と、先端シャフト24および先端構造部30から抗体-光感受性物質の励起光を発光可能とする少なくとも1つの照射部50と、を有する。
上記のように構成した治療装置10は、先端シャフト24を子宮頸管CCに挿入するとともに、先端構造部30を膣Vの外子宮口Oの近傍へ挿入した状態で、子宮頸部Uを含む広い範囲の腫瘍細胞Cに結合した抗体-光感受性物質へ、励起光を効果的に照射できる。このため、本治療装置10は、子宮頸部Uの少なくとも一部を含む広い範囲におけるがんの治療効果を向上できる。
また、治療装置10は、先端構造部30の先端側から基端側へ貫通する貫通孔35の内部および先端シャフト24の内部を連通し、照射部50を移動可能に収容する照射ルーメン25が形成される。これにより、照射部50が1つの場合であっても、先端シャフト24および先端構造部30から励起光を照射できるため、治療装置10の構成を単純化して、操作性を向上できる。また、照射部50を移動させることで、励起光を照射する位置を適切に調節できるため、治療効果を向上できる。
また、先端構造部30は、先端側に凹部31が形成されたカップ形状である。これにより、先端シャフト24を子宮頸管CCに挿入するとともに、先端構造部30の凹部31を囲む部位を膣円蓋VFの近傍へ挿入した状態で、子宮頸部Uを含む広い範囲の腫瘍細胞Cに結合した抗体-光感受性物質へ、励起光を効果的に照射できる。このため、本治療装置10は、子宮頸部Uの少なくとも一部を含む広い範囲におけるがんの治療効果を向上できる。
先端構造部30は、凹部31を囲んで先端側へ突出する壁部34を有し、壁部34は、凹部31を囲む周方向の一部に、他の部位よりも先端方向への突出量が大きい突出部37を有する。これにより、壁部34を膣円蓋VFに近づけることができる。したがって、光が到達しにくい膣円蓋VFの近傍へ励起光を効果的に照射でき、治療効果を向上できる。
また、先端シャフト24は、励起光を当該先端シャフト24の軸心に対して略垂直方向へ照射し、拡張部30は、励起光を略先端方向へ照射してもよい。これにより、子宮頸部Uの腫瘍細胞Cへ先端シャフト24および拡張部30の両方から励起光を照射できるため、治療効果を向上できる。
先端構造部30は、本体シャフト21に対して当該本体シャフト21の軸心方向へ移動可能である。これにより、先端構造部30を本体シャフト21に対して基端側へ後退させて視野を確保した状態で、先端シャフト24を子宮頸管CCへ挿入できる。また、先端シャフト24を子宮頸管CCの適切な位置に維持した状態で、先端構造部30を移動させて適切な位置に配置できる。このため、先端シャフト24および先端構造部30の両方を、子宮頸管CCおよび膣Vの適切な位置に正確かつ容易に配置できる。したがって、先端シャフト24および先端構造部30から、望ましい位置へ励起光を照射できるため、治療効果を向上できる。
また、本実施形態における治療方法は、子宮頸がんの治療方法であって、抗体-光感受性物質を静脈内投与するステップと、静脈内投与から12~36時間経過後に、長尺な本体シャフト21の先端側に配置された先端構造部30および先端構造部30から先端側へ突出する先端シャフト24を有して抗体-光感受性物質の励起光を照射可能な治療装置10を膣V内に挿入するステップと、先端シャフト24を子宮頸管CCへ挿入するステップと、先端構造部30を膣V内へ挿入するステップと、先端シャフト24から周辺組織へ励起光を照射するステップと、先端構造部30から周辺組織へ励起光を照射するステップと、を有する。
上記のように構成した治療方法は、先端シャフト24を外子宮口から子宮頸管CCへ挿入できるとともに、先端構造部30を膣V内(例えば外子宮口Oや子宮膣部UVの近傍や、外子宮口Oや子宮膣部UVに接触する位置)へ挿入できるため、先端シャフト24および先端構造部30から抗体-光感受性物質の励起光を発光することで、子宮頸部Uを含む広い範囲の腫瘍細胞Cに結合した抗体-光感受性物質へ、励起光を効果的に照射できる。このため、本治療方法は、子宮頸部Uの少なくとも一部を含む広い範囲におけるがんの治療効果を向上できる。
また、先端構造部30は、先端側に凹部31が形成されたカップ形状であり、先端構造部30を膣V内へ挿入するステップにおいて、先端構造部30の少なくとも一部を膣円蓋VFへ挿入してもよい。これにより、子宮頸部Uを含む広い範囲の腫瘍細胞CCに結合した抗体-光感受性物質へ、励起光を効果的に照射できる。このため、本治療方法は、子宮頸部Uを含む広い範囲におけるがんの治療効果を向上できる。
また、先端シャフト24から励起光を照射するステップにおいて、励起光を照射可能な照射部50を先端シャフト24の内部に配置して当該照射部50から励起光を照射し、先端構造部30から励起光を照射するステップにおいて、照射部50を先端構造部の内部に配置して当該照射部50から励起光を照射し、先端シャフト24から励起光を照射するステップおよび先端構造部30から励起光を照射するステップの間で、照射部50を先端シャフト24および先端構造部30の間で移動させてもよい。これにより、1つの照射部50により、先端シャフト24および先端構造部30から励起光を照射できるため、治療装置10の構成を単純化して、操作性を向上できる。また、照射部50を移動させることで、励起光を照射する位置を適切に調節できるため、治療効果を向上できる。なお、励起光を照射する順番は、限定されない。したがって、先端シャフト24で先に励起光を照射してもよく、先端構造部30で先に励起光を照射してもよい。
また、本治療方法は、先端シャフト24から励起光を照射するステップと、先端構造部30から励起光を照射するステップと、を同時に行ってもよい。これにより、本治療方法は、多様な位置および方向から励起光を同時に照射できるため、治療効果を向上できるとともに、短時間で効率的に治療を行うことができる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。
例えば、治療装置10は、図14に示す第24の変形例のように、発光部52から近赤外線を照射されて励起された抗体-光感受性物質が発する、照射光の波長(例えば689nm)とは異なる波長の蛍光(例えば704nm)を検出する検出部90を有してもよい。検出部90は、例えば、照射部50と同様に照射ルーメン25に配置されて光を受ける光ファイバ等の光導波路91と、光量を検出できる光センサ92とを備えている。検出部90は、受光する位置に、光を感じて電気信号に変えるCMOSイメージセンサ等の半導体センサを有してもよい。
腫瘍細胞Cに結合した抗体-光感受性物質に近赤外線が照射されると、抗体-光感受性物質が光反応を生じて蛍光を発するとともに、腫瘍細胞Cを破壊する。なお、抗体-光感受性物質は、腫瘍細胞Cを破壊した後には、蛍光を発しない。このため、検出される蛍光の強度の変化を光センサ92により測定することで、励起光の照射による腫瘍細胞Cの破壊の程度を確認できる。したがって、腫瘍細胞Cを破壊する光反応の進行状態を確認できる。
なお、検出部90は、近赤外線を受けて励起された抗体-光感受性物質が発する蛍光を検出できれば、前述の照射部50を備える治療装置10とは異なる装置であってもよい。検出部90は、膣V、子宮、直腸、膀胱、尿道、腹腔、血管、尿管等に挿入されて、蛍光を検出してもよい。検出部90による蛍光の検出は、治療装置10による近赤外線の照射と並行して行われてもよく、または、治療装置10による近赤外線の照射が完了した後に行われてもよい。治療装置10が、子宮頸管CCおよび膣Vから引き抜かれた後に、検出部90が、膣Vまたは子宮頸管CCに挿入されてもよい。または、検出部90は、治療装置10による近赤外線の照射と並行して、または近赤外線の照射の後に、体外の体表面から蛍光を検出してもよい。
なお、検出部90は、術者が治療装置10を膣Vや子宮頸管CCに挿入する際に、どこまで挿入したかを確認するために使用されてもよい。例えば、CMOSイメージセンサから得られる画像や、光ファイバ等の光導波路91から得られる光の強度や色の変化から、治療装置10の位置を確認することができる。
なお、本出願は、2020年3月30日に出願された日本特許出願2020-060401号に基づいており、それらの開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。
10 治療装置
20 シャフト部
21 本体シャフト
22 照射用シャフト
24 先端シャフト
25 照射ルーメン
30 先端構造部
31 凹部
32 連結部
33 拡径部
34 壁部
35 貫通孔
36 カップ先端部
37 突出部
38 窪み部
44 副構造部
50 照射部
51 光ファイバ
52 発光部
80 光出力装置
90 検出部
C 腫瘍細胞
CC 子宮頸管
I 内子宮口
O 外子宮口
U 子宮頸部
UC 子宮腔
UV 子宮膣部
V 膣
VF 膣円蓋
AV 前膣円蓋
RV 後膣円蓋

Claims (10)

  1. 子宮頸がんの腫瘍細胞に結合した抗体-光感受性物質へ励起光を照射する治療装置であって、
    先端部および基端部を有する本体シャフトと、
    前記本体シャフトの先端側に配置され、前記本体シャフトの径方向へ前記本体シャフトよりも大きく形成された先端構造部と、
    前記先端構造部から先端側へ突出する先端シャフトと、
    前記先端シャフトおよび前記先端構造部から前記抗体-光感受性物質の励起光を発光可能とする少なくとも1つの照射部と、を有し、
    前記照射部は、先端部に発光部を有し、
    前記先端構造は、前記先端構造部の先端側から基端側へ貫通し、前記照射部の前記発光部を移動可能に収容する貫通孔を有するとともに、前記貫通孔に収容された前記照射部の前記発光部が発する波長の光を外部に伝播できる透明または半透明の材料により形成されており、
    前記本体シャフトの軸心に沿った軸心方向において、前記先端構造部の前記貫通孔の長さは、前記発光部の長さ以上であることを特徴とする治療装置。
  2. 前記貫通孔の内部および前記先端シャフトの内部を連通し、前記照射部を移動可能に収容する照射ルーメンが形成されたことを特徴とする請求項1に記載の治療装置。
  3. 前記先端構造部は、先端側に凹部が形成されたカップ形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の治療装置。
  4. 前記先端構造部は、前記凹部を囲んで先端側へ突出する壁部を有し、
    前記壁部は、前記凹部を囲む周方向の一部に、他の部位よりも先端方向への突出量が大きい突出部を有することを特徴とする請求項3に記載の治療装置。
  5. 前記先端シャフトは、前記励起光を当該先端シャフトの軸心に対して略垂直方向へ照射し、
    前記先端構造部は、前記励起光を略先端方向へ照射することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の治療装置。
  6. 前記抗体-光感受性物質が発する蛍光を検出する検出部を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の治療装置。
  7. 前記先端構造部は、前記本体シャフトに対して当該本体シャフトの軸心方向へ移動可能であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の治療装置。
  8. 前記先端構造部は、前記発光部が発する波長の光により前記先端構造部自体が発光するように、前記光を散乱させる構造を備えることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の治療装置。
  9. 前記先端構造部は、前記光を散乱させる構造を備えるように、前記材料の内部に散乱体を備えることを特徴とする請求項8に記載の治療装置。
  10. 前記先端構造部の基端側を向く面および径方向の外側を向く面が、光を反射する反射体コートに被覆され、先端側を向く面が、前記反射体コートに被覆されていないことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の治療装置。
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