以下、本発明について実施形態及び例示物を示して説明する。ただし、本発明は、下記に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施されうる。
<保護フィルム付き樹脂シートの製造方法の概要>
本発明の一実施形態に係る製造方法では、離型層を備える支持体と、硬化性樹脂組成物を含む樹脂組成物層と、保護フィルムと、をこの順に備える、保護フィルム付き樹脂シートを製造する。以下の説明では、「保護フィルム付き樹脂シート」を「積層樹脂シート」と呼ぶことがある。
本実施形態に係る積層樹脂シートの製造方法は、
支持体の離型層側の面に、特定範囲の粘着力を有する第一除塵ローラーを接触させる工程(I)と、
支持体の離型層側の面に、樹脂組成物層を形成する工程(II)と、
保護フィルムの第一面に、特定範囲の粘着力を有する第二除塵ローラーを接触させる工程(III)と、
樹脂組成物層と保護フィルムの第一面とを貼り合わせる工程(IV)と、
を含む。
また、本実施形態に係る積層樹脂シートの製造方法は、更に
支持体の離型層とは反対側の面に、第三除塵ローラーを接触させる工程(V)
を含むことが好ましく、
保護フィルムの第一面とは反対側の第二面に、第四除塵ローラーを接触させる工程(VI)
を含むことが好ましい。
本実施形態に係る製造方法によれば、異物を効果的に排除して、配線形成の歩留まりを向上させることが可能な積層樹脂シート(保護フィルム付き樹脂シート)を簡単に製造することができる。
<工程(I).支持体の離型層側の面の除塵>
本実施形態に係る製造方法は、離型層を備える支持体を用いて、積層樹脂シートを製造する。支持体は、離型層側の面としての離型面と、当該離型面とは反対側の面としての裏面と、を有する。一般に、支持体は離型層を最外層として備えるので、離型層は、支持体の離型面に露出している。このような支持体としては、例えば、基材層と、この基材層上に形成された離型層とを備えるシートを用いうる。
本実施形態に係る積層樹脂シートの製造方法は、支持体の離型面(即ち、離型層側の面)に、第一除塵ローラーを接触させる工程(I)を含む。第一除塵ローラーは特定範囲の粘着力を有する。よって、第一除塵ローラーと支持体の離型面とを接触させることにより、離型面に付着した異物を第一除塵ローラーに移動させることができるので、離型面から異物を除去することができる。したがって、積層樹脂シートの製造過程において樹脂組成物層に異物が混入することを抑制できる。ここで樹脂組成物層に異物が「混入」するとは、樹脂組成物層の内部に異物が浸入すること、及び、樹脂組成物層の表面に異物が付着することの両方を包含する。
通常、第一除塵ローラーは粘着面として周面を有し、その周面が特定範囲の粘着力を有する。第一除塵ローラーの粘着力の範囲は、通常2.9N/100mm2未満、好ましくは2.7N/100mm2以下である。粘着力が前記上限値未満である場合、第一除塵ローラーとの接触によって支持体にしわが発生することを抑制したり、第一除塵ローラーとの接触によって離型層の一部又は全部が支持体から剥離されることを抑制したりできる。下限値は特に限定されないが、支持体の離型面から異物をより効果的に除去し、配線形成の歩留まりを顕著に向上させる観点から、好ましくは0.6N/100mm2以上、より好ましくは1.0N/100mm2以上である。
前記の粘着力は、粘着力テスター(例えば、一進産業社製「A3―10N」。粘着面に接触する測定部の面は、ステンレス鋼等の金属で形成された平坦面)の測定部を粘着面に押し当て、その測定部を粘着面に対する垂直方向に引き戻して剥がしたときの最大荷重として測定できる。具体的な測定条件は、後述する実施例の<除塵ローラーの粘着力測定方法>に記載の条件を採用しうる。
第一除塵ローラーとしては、例えば、異物に対し粘着性を呈する高分子化合物(シリコン系ゴム、ノンシリコン系ゴムなど)からなる粘着面を有するローラーを用いてよい。第一除塵ローラーのローラー面長は、支持体の幅に応じて設定しうる。また、第一除塵ローラーの径は、支持体の離型面に付着した異物を除去しうる限り特に限定されない。また、第一除塵ローラーは、1個を単独で用いてもよく、2個以上を組み合わせて用いてもよい。
第一除塵ローラーは、市販品を用いてもよい。第一除塵ローラーとしては、例えば、YanGo社製の高分子ゴム除塵ローラー(RUSシリーズ、HSSシリーズ、LPSシリーズ、SRRシリーズなど)、TEKNEK社製の除塵ローラー、C.M.システムズ社製の除塵ローラー(CTR-Sシリーズ)などが挙げられる。
第一除塵ローラーと支持体とは、適切な範囲の接触圧で接することが好ましい。一例においては、第一除塵ローラーと支持体との接触圧の範囲は、好ましくは0.01MPa~0.1MPa、より好ましくは0.02MPa~0.08MPaである。
第一除塵ローラーと支持体の離型面との接触方法に制限はなく、例えば、固定した支持体の離型面上で第一除塵ローラーを転がすことで、接触を行ってもよい。効率的な異物の除去を行う観点では、第一除塵ローラーの粘着面に接触するように支持体を搬送することで、第一除塵ローラーと支持体の離型面との接触を行うことが好ましい。通常、第一除塵ローラーはその周面に粘着面を有するので、第一除塵ローラーの周面に離型面が接触するように支持体を搬送することが好ましい。第一除塵ローラーは、支持体の離型面との接触時に回転しうる。このとき、第一除塵ローラーは、支持体の搬送に従動して回転してもよく、モータ等の駆動装置から与えられる駆動力によって回転駆動されていてもよい。支持体の搬送方向と第一除塵ローラーの回転方向とは、一般的には、同じである。
工程(I)は、必要に応じて、第一除塵ローラーに付着した異物を除去することを含んでいてもよい。第一除塵ローラーに付着した異物を除去することにより、第一除塵ローラーに異物が堆積して第一除塵ローラーの粘着力が低下することを抑制でき、支持体の離型面に付着した異物を長時間安定して効果的に除去することができる。
第一除塵ローラーからの異物の除去方法に制限はない。例えば、第一除塵ローラーから異物を除去するための第一吸着ローラーを第一除塵ローラーに接触させ、第一除塵ローラーに付着した異物を第一吸着ローラーに移すことにより、第一除塵ローラーからの異物の除去を行ってもよい。具体例を挙げると、周面に粘着面を有する第一吸着ローラーを用意し、その第一吸着ローラーの粘着面を第一除塵ローラーの周面に接触させて、第一除塵ローラーからの異物の除去を行ってもよい。第一吸着ローラーは、第一除塵ローラーとの接触時に回転しうる。このとき、第一吸着ローラーは、第一除塵ローラーの回転に従動して回転してもよく、モータ等の駆動装置から与えられる駆動力によって回転駆動されていてもよい。
第一吸着ローラーとしては、例えば、周面に塵等の異物を吸着させうる粘着層を備えるローラーを用いうる。第一除塵ローラーからの異物の除去を効果的に行う観点から、第一吸着ローラーの粘着力は、第一除塵ローラーの粘着力よりも大きいことが好ましい。この第一吸着ローラーは、市販品を用いてもよく、例えば、YanGo社製の塵埃転写用粘着テープロール「GaplessTMULT」、「GaplessTMSRR」;TEKNEK社製の粘着ローラーが挙げられる。第一吸着ローラーは、1個を単独で用いてもよく、2個以上を組み合わせて用いてもよい。
第一除塵ローラーによる支持体の離型面からの異物の除去と、第一吸着ローラーによる第一除塵ローラーからの異物の除去とは、同時に行ってもよく、非同時に行ってもよい。
<工程(II).樹脂組成物層の形成>
本実施形態に係る積層樹脂シートの製造方法は、支持体の離型面(即ち、離型層側の面)に、樹脂組成物層を形成する工程(II)を含む。この工程(II)では、第一除塵ローラーと接触することにより異物を除去された支持体の離型面に、樹脂組成物層を形成する。よって、工程(II)は、工程(I)の後に行われる。この工程(II)により、支持体と、この支持体の離型面に形成された樹脂組成物層とを備える樹脂シートが得られる。
樹脂組成物層の形成方法に制限はない。例えば、予め用意した樹脂組成物層を支持体の離型面に積層することで、離型面上に樹脂組成物層を形成してもよい。異物の付着の機会を少なくして配線形成の歩留まりを顕著に高める観点では、液状の硬化性樹脂組成物を支持体の離型面に塗布することを含む方法によって、樹脂組成物層を形成することが好ましい。
例えば、硬化性樹脂組成物が塗布環境において液状である場合、その硬化性樹脂組成物を支持体の離型面に塗布してもよい。また、例えば、硬化性樹脂組成物の不揮発成分及び溶剤を混合して液状の硬化性樹脂組成物を得て、得られた液状の硬化性樹脂組成物を支持体の離型面に塗布してもよい。以下、溶剤を含む液状の硬化性樹脂組成物を「樹脂ワニス」と呼ぶことがある。硬化性樹脂組成物の塗布により、樹脂組成物層を形成できる。
液状の硬化性樹脂組成物の塗布方法に制限はなく、例えば、ダイコーター等の塗布装置を用いて行いうる。
工程(I)で異物を除去されてから、工程(II)で樹脂組成物層を設けられるまでの間、支持体の離型面は他の部材に接触しない非接触状態であることが好ましい。よって、支持体を所定の搬送路を通るように搬送しながら積層樹脂シートの製造を行う場合、当該搬送路の第一除塵ローラーと塗布装置との間の区間には、支持体の離型面に接触する部材(例えば、搬送ローラー等)を設けないことが好ましい。
工程(II)は、必要に応じて、液状の硬化性樹脂組成物の塗布後に乾燥を行うことを含んでいてもよい。通常、溶剤を含む樹脂ワニスを塗布した場合、工程(II)は、塗布後に乾燥を行うことを含む。乾燥により、樹脂組成物層に含まれる溶剤を除去できる。
乾燥は、例えば、加熱、熱風吹きつけ等の方法により実施してよい。乾燥条件は、特に限定されないが、樹脂組成物層中の溶剤の含有量が通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の溶剤を含む樹脂ワニスを塗布した場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させてもよい。
工程(II)により、支持体の離型面上に、樹脂組成物層を形成できる。この樹脂組成物層は、硬化性樹脂組成物を含み、好ましくは硬化性樹脂組成物のみを含む。樹脂組成物層の厚みは、当該樹脂組成物層を用いて形成される絶縁層の厚みに応じて設定することが好ましい。具体例を挙げると、樹脂組成物層の厚さは、好ましくは200μm以下、より好ましくは70μm以下、特に好ましくは50μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、5μm以上、10μm以上等でありうる。
<工程(III).保護フィルムの第一面の除塵>
本実施形態に係る製造方法で使用される保護フィルムは、第一面と、この第一面とは反対側の面としての第二面と、を有する。保護フィルムの第一面が、樹脂組成物層と接合する面に相当する。
本実施形態に係る積層樹脂シートの製造方法は、保護フィルムの第一面に、第二除塵ローラーを接触させる工程(III)を含む。第二除塵ローラーは特定範囲の粘着力を有する。よって、第二除塵ローラーと保護フィルムの第一面とを接触させることにより、第一面に付着した異物を第二除塵ローラーに移動させることができるので、第一面から異物を除去することができる。したがって、積層樹脂シートの製造過程において樹脂組成物層に異物が混入することを抑制できる。
通常、第二除塵ローラーは粘着面として周面を有し、その周面が特定範囲の粘着力を有する。第二除塵ローラーの粘着力の範囲は、通常2.9N/100mm2未満、好ましくは2.7N/100mm2以下である。粘着力が前記上限値未満である場合、第二除塵ローラーとの接触によって保護フィルムにしわが発生することを抑制できる。下限値は特に限定されないが、保護フィルムの第一面から異物をより効果的に除去し、配線形成の歩留まりを顕著に向上させる観点から、好ましくは0.6N/100mm2以上、より好ましくは1.0N/100mm2以上である。第二除塵ローラーの粘着力は、第一除塵ローラーの粘着力と同じ方法によって測定できる。
第二除塵ローラーとしては、例えば、第一除塵ローラーと同じものを用いうる。第二除塵ローラーのローラー面長は、保護フィルムの幅に応じて設定しうる。また、第二除塵ローラーの径は、保護フィルムの第一面に付着した異物を除去し得る限り特に限定されない。また、第二除塵ローラーは、1個を単独で用いてもよく、2個以上を組み合わせて用いてもよい。
第二除塵ローラーと保護フィルムとは、適切な範囲の接触圧で接することが好ましい。一例においては、第二除塵ローラーと保護フィルムとの接触圧の範囲は、第一除塵ローラーと支持体との接触圧の範囲と同じでありうる。
第二除塵ローラーと保護フィルムの第一面との接触方法に制限はなく、例えば、固定した保護フィルムの第一面上で第二除塵ローラーを転がすことで、接触を行ってもよい。効率的な異物の除去を行う観点では、第二除塵ローラーの粘着面に接触するように保護フィルムを搬送することで、第二除塵ローラーと保護フィルムの第一面との接触を行うことが好ましい。通常、第二除塵ローラーはその周面に粘着面を有するので、第二除塵ローラーの周面に第一面が接触するように保護フィルムを搬送することが好ましい。第二除塵ローラーは、保護フィルムの第一面との接触時に回転しうる。このとき、第二除塵ローラーは、保護フィルムの搬送に従動して回転してもよく、モータ等の駆動装置から与えられる駆動力によって回転駆動されていてもよい。保護フィルムの搬送方向と第二除塵ローラーの回転方向とは、一般的には、同じである。
工程(III)は、必要に応じて、第二除塵ローラーに付着した異物を除去することを含んでいてもよい。第二除塵ローラーに付着した異物を除去することにより、第二除塵ローラーに異物が堆積して第二除塵ローラーの粘着力が低下することを抑制でき、保護フィルムの第一面に付着した異物を長時間安定して効果的に除去することができる。
第二除塵ローラーからの異物の除去方法に制限はない。例えば、第二除塵ローラーから異物を除去するための第二吸着ローラーを第二除塵ローラーに接触させて、第二除塵ローラーからの異物の除去を行ってもよい。具体例を挙げると、第一除塵ローラーからの異物の除去と同じく、周面に粘着面を有する第二吸着ローラーの粘着面を第二除塵ローラーの周面に接触させて、第二除塵ローラーからの異物の除去を行ってもよい。第二吸着ローラーの粘着力は、第二除塵ローラーの粘着力よりも大きいことが好ましい。第二吸着ローラーとしては、例えば、第一吸着ローラーと同じものを用いうる。第二除塵ローラーによる保護フィルムの第一面からの異物の除去と、第二吸着ローラーによる第二除塵ローラーからの異物の除去とは、同時に行ってもよく、非同時に行ってもよい。
<工程(IV).樹脂組成物層と保護フィルムの第一面との貼合>
本実施形態に係る製造方法は、樹脂組成物層と保護フィルムの第一面とを貼り合わせる工程(IV)を含む。具体的には、工程(II)で得られた樹脂シートと工程(III)で第一面から異物を除去された保護フィルムとを積層することで、樹脂組成物層と保護フィルムの第一面とを貼り合わせる。この工程(IV)により、支持体、樹脂組成物層及び保護フィルムを厚み方向においてこの順に備える積層樹脂シート(保護フィルム付き樹脂シート)が得られる。得られた積層樹脂シートにおいて、通常、樹脂組成物層と保護フィルムとは直に接している。ここで、2つの部材が「直に」接するとは、接する2つの部材の間に他の部材が無いことを表す。
通常は、対に設けられた適切な押圧部材の間に樹脂シート及び保護フィルムを挟んだ状態で、少なくとも一方の押圧部材を他方の押圧部材の方向に押圧することで、貼り合わせを行う。連続的な積層を可能にして積層樹脂シートの製造効率を高める観点から、押圧部材としては回転可能に設けられた押圧ローラーを用いることが好ましい。このような押圧ローラーとしては、例えば、ゴム製ローラー、金属製ローラー、金属製芯材とゴム製ライニングからなる複合材ローラー、などが挙げられる。
押圧部材の間の圧着圧力(樹脂シート及び保護フィルムに加えられる圧力)は、積層樹脂シートを製造しうる限り特に限定されず、例えば、0.1MPa~3MPaの範囲にて設定してもよく、好ましくは0.2MPa~2.5MPaの範囲、より好ましくは0.3MPa~2MPaの範囲としてよい。
貼り合わせ時の温度は、積層樹脂シートを製造しうる限り特に限定されず、常温(25℃程度)であってもよく、加熱条件としてもよい。樹脂シート及び保護フィルムを十分に密着させ得る観点から、加熱条件下で貼り合わせを行うことが好ましく、その温度は、例えば50℃~130℃の範囲、好ましくは60℃~120℃の範囲としてよい。
工程(III)で異物を除去されてから、工程(IV)で樹脂組成物層と貼り合わせられるまでの間、保護フィルムの第一面は他の部材に接触しない非接触状態であることが好ましい。よって、保護フィルムを所定の搬送路を通るように搬送しながら積層樹脂シートの製造を行う場合、当該搬送路の第二除塵ローラーと押圧部材との間の区間には、保護フィルムの第一面に接触する部材(例えば、搬送ローラー等)を設けないことが好ましい。
<工程(V).支持体の離型層とは反対側の面の除塵>
本実施形態に係る積層樹脂シートの製造方法は、支持体の裏面(即ち、離型層とは反対側の面)に、第三除塵ローラーを接触させる工程(V)を含むことが好ましい。第三除塵ローラーは、粘着力を有する。よって、第三除塵ローラーと支持体の裏面とを接触させることにより、裏面から異物を除去することができる。したがって、積層樹脂シートを用いた回路基板の製造過程(特に、内層配線と樹脂シートとの積層過程)において支持体の裏面の異物が樹脂組成物層に混入することを抑制できるから、配線形成の歩留まりを効果的に高めることができる。
通常、第三除塵ローラーは粘着面として周面を有し、その周面が粘着力を有する。第三除塵ローラーの粘着力の範囲は、第一除塵ローラーと同様の効果を得る観点から、第一除塵ローラーの粘着力の範囲と同じでありうる。第三除塵ローラーの粘着力は、第一除塵ローラーの粘着力と同じ方法によって測定できる。第三除塵ローラーとしては、例えば、第一除塵ローラーと同じものを用いうる。第三除塵ローラーは、1個を単独で用いてもよく、2個以上を組み合わせて用いてもよい。
第三除塵ローラーと支持体とは、適切な範囲の接触圧で接することが好ましい。一例においては、第三除塵ローラーと支持体との接触圧の範囲は、第一除塵ローラーと支持体との接触圧の範囲と同じでありうる。
第三除塵ローラーと支持体の裏面との接触方法に制限はなく、例えば、第一除塵ローラーと支持体の離型面との接触方法と同様の方法を採用してもよい。
工程(V)は、工程(I)の前に行ってもよく、工程(I)の後に行ってもよく、工程(I)と同時に行ってもよい。樹脂組成物層への異物の混入を効果的に抑制する観点では、工程(V)は工程(IV)の前に行うことが好ましく、工程(II)の前に行うことがより好ましい。
工程(V)は、必要に応じて、第三除塵ローラーに付着した異物を除去することを含んでいてもよい。第三除塵ローラーに付着した異物を除去することにより、第三除塵ローラーに異物が堆積して第三除塵ローラーの粘着力が低下することを抑制でき、支持体の裏面に付着した異物を長時間安定して効果的に除去することができる。
第三除塵ローラーからの異物の除去方法に制限はない。例えば、第三除塵ローラーから異物を除去するための第三吸着ローラーを第三除塵ローラーに接触させて、第三除塵ローラーからの異物の除去を行ってもよい。具体例を挙げると、第一除塵ローラーからの異物の除去と同じく、周面に粘着面を有する第三吸着ローラーの粘着面を第三除塵ローラーの周面に接触させて、第三除塵ローラーからの異物の除去を行ってもよい。第三吸着ローラーの粘着力は、第三除塵ローラーの粘着力よりも大きいことが好ましい。第三吸着ローラーとしては、例えば、第一吸着ローラーと同じものを用いうる。第三除塵ローラーによる支持体の裏面からの異物の除去と、第三吸着ローラーによる第三除塵ローラーからの異物の除去とは、同時に行ってもよく、非同時に行ってもよい。
<工程(VI).保護フィルムの第二面の除塵>
本実施形態に係る積層樹脂シートの製造方法は、保護フィルムの第二面(即ち、第一面とは反対側の面)に、第四除塵ローラーを接触させる工程(VI)を含むことが好ましい。第四除塵ローラーは、粘着力を有する。よって、第四除塵ローラーと保護フィルムの第二面とを接触させることにより、第二面から異物を除去することができる。したがって、積層樹脂シートを用いた回路基板の製造過程(特に、内層配線と樹脂シートとの積層過程)において保護フィルムの第二面の異物が樹脂組成物層に混入することを抑制できるから、配線形成の歩留まりを効果的に高めることができる。
通常、第四除塵ローラーは粘着面として周面を有し、その周面が粘着力を有する。第四除塵ローラーの粘着力の範囲は、第二除塵ローラーと同様の効果を得る観点から、第二除塵ローラーの粘着力の範囲と同じでありうる。第四除塵ローラーの粘着力は、第一除塵ローラーの粘着力と同じ方法によって測定できる。第四除塵ローラーとしては、例えば、第二除塵ローラーと同じものを用いうる。第四除塵ローラーは、1個を単独で用いてもよく、2個以上を組み合わせて用いてもよい。
第四除塵ローラーと保護フィルムとは、適切な範囲の接触圧で接することが好ましい。一例においては、第四除塵ローラーと保護フィルムとの接触圧の範囲は、第二除塵ローラーと保護フィルムとの接触圧の範囲と同じでありうる。
第四除塵ローラーと保護フィルムの第二面との接触方法に制限はなく、例えば、第二除塵ローラーと保護フィルムの第一面との接触方法と同様の方法を採用してもよい。
工程(VI)は、工程(III)の前に行ってもよく、工程(III)の後に行ってもよく、工程(III)と同時に行ってもよい。樹脂組成物層への異物の混入を効果的に抑制する観点では、工程(VI)は工程(IV)の前に行うことが好ましい。
工程(VI)は、必要に応じて、第四除塵ローラーに付着した異物を除去することを含んでいてもよい。第四除塵ローラーに付着した異物を除去することにより、第四除塵ローラーに異物が堆積して第四除塵ローラーの粘着力が低下することを抑制でき、保護フィルムの第二面に付着した異物を長時間安定して効果的に除去することができる。
第四除塵ローラーからの異物の除去方法に制限はない。例えば、第四除塵ローラーから異物を除去するための第四吸着ローラーを第四除塵ローラーに接触させて、第四除塵ローラーからの異物の除去を行ってもよい。具体例を挙げると、第一除塵ローラーからの異物の除去と同じく、周面に粘着面を有する第四吸着ローラーの粘着面を第四除塵ローラーの周面に接触させて、第四除塵ローラーからの異物の除去を行ってもよい。第四吸着ローラーの粘着力は、第四除塵ローラーの粘着力よりも大きいことが好ましい。第四吸着ローラーとしては、例えば、第一吸着ローラーと同じものを用いうる。第四除塵ローラーによる保護フィルムの第二面からの異物の除去と、第四吸着ローラーによる第四除塵ローラーからの異物の除去とは、同時に行ってもよく、非同時に行ってもよい。
<積層樹脂シートの製造方法に係るその他の事項>
本実施形態に係る積層樹脂シートの製造方法は、枚葉の支持体及び枚葉の保護フィルムを用いて実施してもよい。枚葉の支持体及び枚葉の保護フィルムを用いる場合、枚葉の積層樹脂シートを製造することができる。
積層樹脂シートを効率的に製造する観点では、長尺の支持体及び長尺の保護フィルムを用いて、長尺の積層樹脂シートを製造することが好ましい。ある部材が「長尺」とは、当該部材がロール状に巻き取り可能な程度の長さを有することを表し、例えば、幅に対して10倍以上の長さを有することを表す。長尺の支持体及び長尺の保護フィルムを用いることにより、ロールトゥロール法によって長尺の積層樹脂シートを効率的に製造することが可能である。
長尺の支持体及び保護フィルムを用いる場合、通常は、それら支持体及び保護フィルムを長尺方向に連続的に搬送しながら上述した工程が行われる。この際、支持体、保護フィルム、樹脂シート及び積層樹脂シートといった各部材の搬送速度は、特に制限はなく、例えば0.1m/分~50m/分の範囲でありうる。
本実施形態に係る積層樹脂シートの製造方法は、上述した工程に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。例えば、積層樹脂シートの製造方法は、製造された積層樹脂シートを巻き取って回収する工程を含んでいてもよい。積層樹脂シートを巻き取ることによって当該積層樹脂シートのロールを得て、当該ロールの状態で保存及び運搬することが可能となる。
<製造方法の第一の具体例>
以下、図面を示して本実施形態に係る積層樹脂シートの製造方法の第一の例を説明する。図1は、本発明の第一の例に係る積層樹脂シート50の製造装置1を模式的に示す正面図である。図1に示すように、製造装置1は、基材層11及び離型層12を備える長尺の支持体10上に樹脂組成物層20を形成して長尺の樹脂シート30を得て、その樹脂シート30を長尺の保護フィルム40と積層して積層樹脂シート50を得るように設けられている。
製造装置1は、支持体10から異物を除去できるように設けられた支持体除塵部100、支持体10の離型面10U上に樹脂組成物層20を形成できるように設けられた層形成部200、保護フィルム40から異物を除去できるように設けられた保護フィルム除塵部300、及び、樹脂シート30の樹脂組成物層20と保護フィルム40の第一面40Dとを貼合できるように設けられたラミネート部400を備える。
支持体除塵部100は、支持体10の搬送方向と同じ回転方向に回転可能に設けられた第一除塵ローラー110及び第三除塵ローラー120を備える。第一除塵ローラー110及び第三除塵ローラー120は、それぞれ、適切な粘着力を有する粘着面をその周面110S及び120Sに有する。また、本例において、第一除塵ローラー110及び第三除塵ローラー120は互いに対向して設けられ、それら第一除塵ローラー110及び第三除塵ローラー120の間を通って支持体10を搬送できるように設けられている。第一除塵ローラー110及び第三除塵ローラー120は、適切な接触圧で第一除塵ローラー110の周面110Sと支持体10の離型面10Uとの接触、並びに、第三除塵ローラー120の周面120Sと支持体10の裏面10Dとの接触ができるように、互いに近づく向きに付勢されている。
層形成部200は、塗工装置210及び乾燥装置220を備える。塗工装置210は、液状の硬化性樹脂組成物21を支持体10の離型面10Uに塗布できるように設けられている。また、乾燥装置220は、支持体10の離型面10Uに形成された樹脂組成物層20を乾燥させて溶剤を除去できるように設けられている。本例では、乾燥装置220として、支持体10が通ることができるように設けられたオーブンを設けた例を示して説明する。
保護フィルム除塵部300は、保護フィルム40の搬送方向と同じ回転方向に回転可能に設けられた第二除塵ローラー310及び第四除塵ローラー320を備える。第二除塵ローラー310及び第四除塵ローラー320は、それぞれ、適切な粘着力を有する粘着面をその周面310S及び320Sに有する。また、本例において、第二除塵ローラー310及び第四除塵ローラー320は互いに対向して設けられ、それら第二除塵ローラー310及び第四除塵ローラー320の間を通って保護フィルム40を搬送できるように設けられている。さらに、第二除塵ローラー310及び第四除塵ローラー320は、適切な接触圧で第二除塵ローラー310の周面310Sと保護フィルム40の第一面40Dとの接触、並びに、第四除塵ローラー320の周面320Sと保護フィルム40の第二面40Uとの接触ができるように、互いに近づく向きに付勢されている。
ラミネート部400は、樹脂シート30及び保護フィルム40の搬送方向と同じ回転方向に回転可能に設けられた一対の押圧ローラー410及び420、並びに、それらの押圧ローラー410及び420を収納したチャンバ430を備える。押圧ローラー410及び押圧ローラー420は互いに対向して設けられ、それら押圧ローラー410及び420の間を通って樹脂シート30及び保護フィルム40を搬送できるように設けられている。また、チャンバ430内には、チャンバ430内の温度を適切に調整できるように、図示しないヒーターが設けられている。
前記の製造装置1を用いた積層樹脂シート50の製造方法では、支持体10を搬送して支持体除塵部100に供給する。支持体除塵部100に供給された支持体10は、第一除塵ローラー110及び第三除塵ローラー120の間を通るように搬送される。第一除塵ローラー110及び第三除塵ローラー120の間を通る時、第一除塵ローラー110の周面110Sと支持体10の離型面10Uとが接触し、第三除塵ローラー120の周面120Sと支持体10の裏面10Dとが接触する(工程(I)及び(V))。よって、支持体10の離型面10U及び裏面10D上の異物(図示せず)が除去される。その後、支持体10は、層形成部200へと送り出される。
層形成部200に送られた支持体10は、塗工装置210に供給される。塗工装置210は、支持体10の離型面10Uに硬化性樹脂組成物21を塗工して、樹脂組成物層20を形成する(工程(II))。その後、支持体10及び樹脂組成物層20は乾燥装置220へと送られ、その乾燥装置220で樹脂組成物層20の乾燥が行われる。本例では、適切な温度に設定された乾燥装置220としてのオーブンを適切な時間をかけて通過することにより、樹脂組成物層20の乾燥が行われる例を示す。乾燥によって樹脂組成物層20から溶剤が除去されて、支持体10及び樹脂組成物層20を備える樹脂シート30が得られる。この樹脂シート30は、ラミネート部400へと送り出される。
また、製造装置1を用いた積層樹脂シート50の製造方法では、支持体10とは別に、保護フィルム40を搬送して保護フィルム除塵部300に供給する。保護フィルム除塵部300に供給された保護フィルム40は、第二除塵ローラー310及び第四除塵ローラー320の間を通るように搬送される。第二除塵ローラー310及び第四除塵ローラー320の間を通る時、第二除塵ローラー310の周面310Sと保護フィルム40の第一面40Dとが接触し、第四除塵ローラー320の周面320Sと保護フィルム40の第二面40Uとが接触する(工程(III)及び(VI))。よって、保護フィルム40の第一面40D及び第二面40U上の異物(図示せず)が除去される。その後、保護フィルム40は、ラミネート部400へと送り出される。
ラミネート部400へ送られた樹脂シート30及び保護フィルム40は、チャンバ430内に入り、押圧ローラー410及び420の間を通るように搬送される。押圧ローラー410及び420の間を通る時、樹脂シート30の樹脂組成物層20と保護フィルム40の第一面40Dとを対向させた状態で、それら樹脂シート30及び保護フィルム40が押圧ローラー410及び420によって押圧される。よって、樹脂組成物層20と保護フィルム40の第一面40Dとが貼り合わせられるように樹脂シート30及び保護フィルム40の積層が行われて、支持体10、樹脂組成物層20及び保護フィルム40をこの順に備える長尺の積層樹脂シート50が得られる。
<製造方法の第二の具体例>
以下、図面を示して本実施形態に係る積層樹脂シートの製造方法の第二の例を説明する。図2は、本発明の第二の例に係る積層樹脂シート50の製造装置2を模式的に示す正面図である。図2に示すように、本例に係る製造装置2は、支持体除塵部100及び保護フィルム除塵部300の代わりに支持体除塵部500及び保護フィルム除塵部600を備えること以外は、第一の例に係る製造装置1と同様に設けられている。
支持体除塵部500は、第一除塵ローラー510及び第三除塵ローラー520を備える。本例における第一除塵ローラー510及び第三除塵ローラー520は、支持体10の搬送方向において第一除塵ローラー510及び第三除塵ローラー520が異なる位置に設けられていること以外、第一の例に係る第一除塵ローラー110及び第三除塵ローラー120と同様に設けられている。
第一除塵ローラー510は、当該第一除塵ローラー510の周面510Sに巻き付くように支持体10が搬送されることができるように設けられている。よって、本例において、搬送される支持体10の離型面10Uは、当該支持体10の搬送張力に応じた接触圧で第一除塵ローラー510の周面510Sに接触することが可能である。
また、第三除塵ローラー520は、当該第三除塵ローラー520の周面520Sに巻き付くように支持体10が搬送されることができるように設けられている。よって、本例において、搬送される支持体10の裏面10Dは、当該支持体10の搬送張力に応じた接触圧で第三除塵ローラー520の周面520Sに接触することが可能である。
保護フィルム除塵部600は、第二除塵ローラー610及び第四除塵ローラー620を備える。本例における第二除塵ローラー610及び第四除塵ローラー620は、保護フィルム40の搬送方向において第二除塵ローラー610及び第四除塵ローラー620が異なる位置に設けられていること以外、第一の例に係る第二除塵ローラー310及び第四除塵ローラー320と同様に設けられている。
第二除塵ローラー610は、当該第二除塵ローラー610の周面610Sに巻き付くように保護フィルム40が搬送されることができるように設けられている。よって、本例において、搬送される保護フィルム40の第一面40Dは、当該保護フィルム40の搬送張力に応じた接触圧で第二除塵ローラー610の周面610Sに接触することが可能である。
また、第四除塵ローラー620は、当該第四除塵ローラー620の周面620Sに巻き付くように保護フィルム40が搬送されることができるように設けられている。よって、本例において、搬送される保護フィルム40の第二面40Uは、当該保護フィルム40の搬送張力に応じた接触圧で第四除塵ローラー620の周面620Sに接触することが可能である。
前記の製造装置2を用いた積層樹脂シート50の製造方法では、支持体10が支持体除塵部500に供給され、第一除塵ローラー510及び第三除塵ローラー520を経由して搬送される。支持体除塵部500に供給された支持体10は、第一除塵ローラー510の周面510Sと接触して搬送されるときに離型面10Uから異物(図示せず)を除去され(工程(I))、第三除塵ローラー520の周面520Sと接触して搬送されるときに裏面10Dから異物(図示せず)を除去される(工程(V))。その後、支持体10は、層形成部200へと送り出される。そして、第一の例と同様に、層形成部200において支持体10の離型面10Uに樹脂組成物層20が形成されて樹脂シート30が得られ(工程(II))、その樹脂シート30は、ラミネート部400へと送り出される。
また、製造装置2を用いた積層樹脂シート50の製造方法では、保護フィルム40が保護フィルム除塵部600に供給され、第二除塵ローラー610及び第四除塵ローラー620を経由して搬送される。保護フィルム除塵部600に供給された保護フィルム40は、第二除塵ローラー610の周面610Sと接触して搬送されるときに第一面40Dから異物(図示せず)を除去され(工程(III))、第四除塵ローラー620の周面620Sと接触して搬送されるときに第二面40Uから異物(図示せず)を除去される(工程(VI))。その後、保護フィルム40は、ラミネート部400へと送り出される。
ラミネート部400へ送られた樹脂シート30及び保護フィルム40は、第一の例と同様に、チャンバ430内で押圧ローラー410及び420によって樹脂組成物層20と保護フィルム40の第一面40Dとが貼り合わせられるように積層されて、支持体10、樹脂組成物層20及び保護フィルム40をこの順に備える長尺の積層樹脂シート50が得られる。
<製造される積層樹脂シート>
上述した製造方法により、積層樹脂シート(保護フィルム付き樹脂シート)を製造することができる。この積層樹脂シートは、支持体の離型面に形成された樹脂組成物層を備える。離型面からは第一除塵ローラーと接触することで異物が除去されているから、当該離型面に付着した異物が樹脂組成物層に混入することを抑制できる。
また、積層樹脂シートの樹脂組成物層は、保護フィルムの第一面と直に接している。保護フィルムの第一面からは、第二除塵ローラーと接触することで異物が除去されている。よって、当該第一面に付着した異物が樹脂組成物層に混入することを抑制できる。
従来から、支持体の離型面及び保護フィルムの第一面から異物を除去することは提案されていたが、それら従来の技術では、エアブロー等を用いた非接触式の装置を用いて異物を除去することが通常であった。これに対し、本実施形態では、除塵ローラーという接触式の装置を用いて異物の除去を行っているので、異物の除去を効果的に行うことができる。特に、100μm以下(好ましくは、数十μm以下程度)と小さい異物を効果的に除去できる点で、本実施形態に係る方法は優れる。
このように樹脂組成物層に異物が混入することを抑制できるから、本実施形態で製造された積層樹脂シートを用いて回路基板の製造を行う場合に、配線形成の歩留まりを高くできる。具体的には、配線間の間隙に異物が浸入して配線間の絶縁性能が意図せず低下することを抑制できる。さらに、異物上に配線層の一部が形成されることによって配線の形状が歪んだり、当該異物上の部分で配線が欠けたりすることを抑制できる。よって、意図した通りに機能できない配線の発生を抑制できるから、高い歩留まりで意図した通りの配線を形成することが可能である。
また、本実施形態で使用した除塵ローラーは、適切な範囲の粘着力を有する。よって、過剰な粘着によって支持体及び保護フィルムの搬送を乱すことを抑制できる。したがって、支持体及び保護フィルムにしわが発生することを抑制できるので、良好な搬送性を得ることができる。さらに、特に第一除塵ローラーが適切な範囲の粘着力を有することによれば、支持体の離型層が第一除塵ローラーに固着して支持体から除去されてしまうことを抑制できる。よって、回路基板の製造時に絶縁層からの支持体の剥離を円滑に行うことができる。したがって、回路基板の製造を簡単に行ったり、回路基板の歩留まりを向上させたりすることが可能である。
第三除塵ローラーで支持体の裏面の異物を除去した場合、当該裏面の異物が樹脂組成物層に混入することを抑制できる。また、第四除塵ローラーで保護フィルムの第二面の異物を除去した場合、当該第二面の異物が樹脂組成物層に混入することを抑制できる。よって、樹脂組成物層への異物の混入を効果的に抑制できるから、配線形成の歩留まりを更に高くすることができる。
本実施形態に係る積層樹脂シートは、回路基板の形成に好ましく用いることができる。回路基板において、積層樹脂シートは、通常、絶縁層の形成に用いられる。具体的には、樹脂組成物層を硬化させて絶縁層を形成するために積層樹脂シートが好ましく用いられる。樹脂組成物層への異物の混入を抑制できるから、本実施形態に係る積層樹脂シートによれば、絶縁層上に形成される配線の形成の歩留まりを向上させることができる。
特に、一般的なシートから異物を除去する技術と比較して、回路基板の絶縁層形成用の積層樹脂シートにおいて樹脂組成物層への異物の混入を抑制できる本実施形態に係る技術には、下記の通り優れた意義がある。
あるシート上に配線層を形成する場合、一般には、そのシートの表面の異物が配線形成の障害となりうる。よって、通常は、そのシートの表面の異物を除去することが試みられる。しかし、絶縁層形成用の樹脂組成物層は、内層基板の表面にある凹凸を間隙なく充填することが求められるから、適切な温度において流動性を有しうる程度に柔軟であること等の特性が要求される。仮に、このように柔軟な樹脂組成物層に接触式の装置を用いて異物の除去を試みると、樹脂組成物層が変形ないし傷付きを生じるおそれがある。よって、樹脂組成物層の表面の異物を、接触式の装置を用いて除去することは、用途を考慮すると、難しい。
また、樹脂組成物層を用いて回路基板の絶縁層を形成する場合には、樹脂組成物層の表面に付着した異物だけでなく、当該樹脂組成物層の内部の異物も配線形成の障害となりうる。具体的には、回路基板を製造する際、通常は、保護フィルムを剥離して現れる樹脂組成物層と内層基板とを積層し、当該内層基板上に樹脂組成物層を形成する。その後、樹脂組成物層を硬化させて絶縁層を得た後、当該絶縁層上に配線を形成する。このとき、内層基板上に設けられた樹脂組成物層には、化学的又は物理的な加工処理が施されうる。加工処理としては、例えば、熱又は光で硬化性樹脂を反応させることによる硬化処理;ドリル、レーザー光等によるホール形成処理;樹脂残渣の除去のためのデスミア処理;配線形成のためのめっき処理;などが挙げられる。これらの加工処理を行うと、樹脂組成物層の内部にあった異物が表面に現れることがある。そして、そのように表面に現れた異物が、配線形成の障害となりうる。
従来は、このように樹脂組成物層の内部の異物は、当該樹脂組成物層の原料である樹脂組成物に含まれると考えられていた。しかし、本発明者は、濾過によって樹脂組成物を十分に除去した場合であっても、異物を原因とした配線形成の歩留まりの低下が生じうることを見出した。そして、積層樹脂シートの製造過程においては従来は問題視されていなかった程度に小さい異物が樹脂組成物層に混入することがあり、そのように混入した小さい異物による歩留まりの低下が、配線の微細化及び高密度化によって顕在化したことを見出した。
これに対し、上述した製造方法で製造される積層樹脂シートによれば、絶縁層形成のために求められる特性を満たす樹脂組成物層を用いながら、配線形成の歩留まりを下げる原因となりうる小さい異物を効果的に排除できる。よって、本実施形態に係る積層樹脂シートによれば、従来の技術では解決が困難であった配線形成の歩留まりの向上が可能であり、したがって、回路基板の絶縁層に好適である。
<支持体の説明>
以下、本実施形態で使用される支持体について、詳細に説明する。
支持体は、離型層を備える。支持体は、離型層を最外層として備えるので、離型層は支持体の最表面に露出している。そして、その離型層の表面に、樹脂組成物層が形成される。通常、支持体は、基材層を備え、この基材層上に離型層を備える。
基材層としては、例えば、熱可塑性樹脂フィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、熱可塑性樹脂フィルム及び金属箔が好ましい。基材層として熱可塑性樹脂フィルムを使用する場合、基材層が含む熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリルポリマー、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
基材層として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
基材層は、離型層側の面に、マット処理、コロナ処理、帯電防止処理等の表面処理を施してあってもよい。
基材層の厚さは、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。
離型層は、支持体の剥離に要する力(ピール強度)を小さくする作用を有する層である。具体的には、剥離層の作用により、樹脂組成物層又はその硬化物である絶縁層に直に接する基材層を剥離するために要する力に比べ、樹脂組成物層又は絶縁層に離型層で接する支持体を剥離するために要する力を、小さくできる。
離型層は、通常、離型剤から形成される。離型剤としては、例えば、樹脂を用いうる。一般に、離型剤としての樹脂は、離型性を付与することができる成分としての離型性成分を含み、更に必要に応じて離型性成分以外の任意の成分を含みうる。よって、離型層は、一例において、離型性成分を含み、更に必要に応じて任意の成分を含みうる。また、離型層は、別の一例においては、離型剤が含む成分の一部又は全部が重合反応及び架橋反応等の反応によって結合し、当該離型剤が硬化することによって形成されうる。この例においては、離型層は、離型剤に含まれる離型性成分及び任意の成分、並びにそれらの反応生成物(例えば、重合体)からなる群より選択される1以上の成分を含みうる。離型性成分としては、離型層の表面自由エネルギーを低下させたり、離型層の静摩擦係数を低下させたりする機能を発揮できる化合物を用いうる。
離型性成分としては、例えば、長鎖アルキル基含有樹脂、オレフィン樹脂、フッ素化合物、ワックス系化合物などが挙げられる。
長鎖アルキル基含有樹脂は、長鎖アルキル基を含有する樹脂を表す。また、長鎖アルキル基とは、炭素原子数が通常12以上、好ましくは16以上のアルキル基を表す。このように長い炭素鎖を分子中に含有す樹脂は、一般に高い疎水性を有するので、高い離型性を発揮できる。長鎖アルキル基の炭素原子数の上限は、例えば、25以下でありうる。長鎖アルキル基含有樹脂の具体例としては、テトラデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート等の長鎖アクリルアクリレート;テトラデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート等の長鎖アクリルメタクリレート;並びに、これらの重合体;などの、長鎖アルキル基を含有する(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。用語「(メタ)アクリル樹脂」は、別に断らない限り、(メタ)アクリル化合物及びその重合体を包含する。また、用語「(メタ)アクリル化合物」は、別に断らない限り、アクリロイル基を含有するアクリル化合物、メタクリロイル基を含有するメタクリロイル化合物、及びそれらの組み合わせを包含する。さらに、用語「重合体」には、別に断らない限り、単独重合体及び共重合体がいずれも包含される。
オレフィン樹脂としては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセンなどが挙げられる。
フッ素化合物は、分子中にフッ素原子を含有する化合物を表す。フッ素化合物の具体例としては、パーフルオロアルキル基含有化合物、フッ素原子を含有するオレフィン化合物の重合体、フルオロベンゼン等の芳香族フッ素化合物、フッ素原子を含有する(メタ)アクリル樹脂、などが挙げられる。中でも、フッ素原子を含有する(メタ)アクリル樹脂が好ましい。フッ素原子を含有する(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、トリフルオロエチルアクリレート等のフルオロアルキルアクリレート;ペンタフルオロフェニルアクリレート等のフルオロアリールアクリレート;トリフルオロエチルメタクリレート等のフルオロアルキルメタクリレート;ペンタフルオロフェニルメタクリレート等のフルオロアリールメタクリレート;並びに、これらの重合体;などが挙げられる。
ワックス系化合物としては、例えば、天然ワックス、合成ワックス、及びそれらを組み合わせたワックスが挙げられる。天然ワックスには、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス及び石油ワックスが包含される。植物系ワックスとしては、例えば、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油が挙げられる。動物系ワックスとしては、例えば、みつろう、ラノリン、鯨ロウが挙げられる。鉱物系ワックスとしては、例えば、モンタンワックス、オゾケライト、セレシンが挙げられる。石油ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムが挙げられる。合成ワックスとしては、例えば、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックス、脂肪酸、酸アミド、アミン、イミド、エステル、ケトンが挙げられる。合成炭化水素としては、例えば、フィッシャー・トロプシュワックス(別名サゾワールワックス)、ポリエチレンワックスが挙げられる。また、合成炭化水素には、ポリプロピレン、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのブロック結合体、及び、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのグラフト結合体、からなる群より選ばれるポリマーのうち、低分子量(具体的には粘度平均分子量500以上20000以下)のものが含まれうる。変性ワックスとしては、例えば、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体が挙げられる。ここでの誘導体とは、精製、酸化、エステル化、ケン化のいずれかの処理、またはそれらの組み合わせによって得られる化合物を表す。水素化ワックスとしては、例えば、硬化ひまし油、および硬化ひまし油誘導体が挙げられる。
離型性成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
離型剤中の離型性成分の量は、離型剤の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
また、離型層中の離型性成分の量は、離型層100質量%に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは60質量%以下、特に好ましくは40質量%以下である。
離型剤が含みうる任意の成分としては、例えば、離型性成分以外の任意の樹脂が挙げられる。任意の樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂などが挙げられる。また、任意の樹脂としての(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアクリル化合物;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等のメタクリル化合物;並びに、これらの重合体;などが挙げられる。任意の樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
離型剤中の任意の樹脂の量は、離型剤の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
また、離型層中の任意の樹脂の量は、離型層100質量%に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
任意の成分の更に別の例としては、易滑剤、無機粒子、有機粒子、界面活性剤、酸化防止剤、熱開始剤などの任意の添加剤が挙げられる。任意の添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。任意の添加剤の量は、特に制限されないが、例えば、離型性成分及び任意の樹脂の合計100質量%に対して、0.001質量%以上10質量%以下でありうる。
上述した離型剤としては、例えば、アルキド系離型剤、ポリオレフィン系離型剤、ウレタン系離型剤、メラミン系離型剤、フッ素系離型剤、アクリル系離型剤、及び、シリコン系離型剤などが挙げられる。中でも、絶縁性に優れる絶縁層を備える回路基板を製造する観点では、非シリコン系離型剤が好ましい。更には、異物の除去を特に円滑に行う観点では、アクリル系離型剤が更に好ましい。アクリル系離型剤は、離型性成分及び任意の樹脂の一方又は両方として(メタ)アクリル樹脂を含む離型剤を表す。
離型層の厚みは、特に制限はないが、好ましくは50nm以上、より好ましくは70nm以上であり、好ましくは400nm以下、より好ましくは200nm以下、特に好ましくは130nm以下である。
支持体として、通常、シート状の部材を用いる。支持体は、枚葉のシートであってもよいが、積層樹脂シートの連続的な製造を可能にして製造効率を高める観点から、長尺のシートであることが好ましい。長尺のシートとは、別に断らない限り、ロール状に巻き取り可能な程度の長さを有するシートをいい、例えば、幅に対して10倍以上の長さを有するシートでありうる。
支持体の厚さは、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。
支持体は、例えば、基材層の面に離型剤を塗布することを含む方法によって製造できる。離型剤は、上述した離型性成分及び任意の成分といった不揮発成分に組み合わせて、更に溶剤を含んでいてもよい。離型剤が溶剤を含む場合、支持体の製造方法は、離型剤を塗布した後に乾燥することを含むことが好ましい。
溶剤としては、溶剤の急激な蒸発を抑制して均一な離型層を形成する観点から、水系溶剤が好ましい。水系溶剤としては、例えば、水;水と、アルコール溶剤、ケトン溶剤、グリコール溶剤等の、水に可溶な有機溶剤との混合溶剤;が挙げられる。溶剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。溶剤を使用する場合、塗布性を良好にして均一な離型層を形成する観点から、離型剤の不揮発成分濃度は、好ましくは40質量%以下である。
離型剤の塗布方法としては、例えば、ワイヤーバーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ブレードコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法などが挙げられる。
離型剤の乾燥温度は、特に制限はない。一例においては、80℃以上130℃以下の温度範囲で乾燥を行ってもよい。また、別の一例においては、160℃以上240℃以下の温度範囲で乾燥を行ってもよい。
基材層の面に離型剤を塗布し、必要に応じて乾燥を行うことにより、離型剤の不揮発成分を含む層を形成できる。この層を離型層として用いてもよい。また、離型剤の不揮発成分を含む前記の層に硬化処理を施して、離型層を得てもよい。硬化処理としては、例えば、加熱処理、紫外線照射処理などが挙げられる。通常は、前記の硬化処理によって離型剤に含まれる一部又は全部の成分の重合反応及び架橋反応等の反応が進行して、離型剤を硬化させることができるので、離型剤の硬化物からなる離型層を得ることができる。
また、支持体の製造方法は、必要に応じて、延伸処理等の任意の処理を含んでいてもよい。
<保護フィルムの説明>
以下、本実施形態で使用される保護フィルムについて、詳細に説明する。
保護フィルムは、樹脂組成物層を物理的ダメージから守ったり、ゴミ等の異物付着を抑制したりするために、樹脂組成物層に積層されるフィルムである。通常、回路基板の製造時には保護フィルムは不要となるので、一般に、保護フィルムは樹脂組成物層に剥離可能に積層される。
保護フィルムとしては、例えば、熱可塑性樹脂フィルム、金属箔が挙げられる。保護フィルムとして熱可塑性樹脂フィルムを使用する場合、保護フィルムが含む熱可塑性樹脂としては、基材層が含む熱可塑性樹脂と同じ例が挙げられる。また、保護フィルムは、延伸処理を施された延伸フィルムであってもよい。また、保護フィルムとして金属箔を使用する場合、当該金属箔としては、基材層の金属箔と同じ例が挙げられる。保護フィルムの市販品としては、例えば、王子エフテックス社製の「MA430」、「MA411」(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等が挙げられる。
保護フィルムの樹脂組成物層と接合する表面(即ち、保護フィルムの第一面)は、特定の範囲の算術平均粗さを有していてもよい。具体的には、保護フィルムの第一面の算術平均粗さは、好ましくは150nm以上、より好ましくは200nm以上、さらに好ましくは250nm以上であり、好ましくは2000nm以下、より好ましくは1500nm以下、さらに好ましくは1200nm以下である。算術平均粗さは、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。非接触型表面粗さ計の具体例としては、ビーコインスツルメンツ社製の「WYKO NT3300」が挙げられる。算術平均粗さは、例えば、非接触型表面粗さ計を用いてVSIモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして測定することができる。
保護フィルムは、離型層を備えていてもよい。離型層は、通常、第一面側の最外層として形成されるので、その離型層は保護フィルムの第一面に露出しうる。保護フィルムの離型層としては、支持体の離型層と同じものを用いてもよい。
保護フィルムの厚さは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、好ましくは75μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは40μm以下である。離型層を備える保護フィルムを使用する場合、離型層を含む保護フィルムの全体厚さが上記範囲にあることが好適である。
保護フィルムは、枚葉のフィルムであってもよいが、積層樹脂シートの連続的な製造を可能にして製造効率を高める観点から、長尺のフィルムであることが好ましい。長尺のフィルムとは、別に断らない限り、ロール状に巻き取り可能な程度の長さを有するフィルムをいい、例えば、幅に対して10倍以上の長さを有するフィルムでありうる。
<硬化性樹脂組成物の説明>
以下、本実施形態で使用される硬化性樹脂組成物について、詳細に説明する。
硬化性樹脂組成物は、硬化可能な樹脂組成物であり、通常は、熱及び光の一方又は両方によって硬化できる。この硬化性樹脂組成物としては、(A)硬化性樹脂を含む組成物を用いうる。以下、硬化性樹脂組成物の組成の具体例を説明するが、硬化性樹脂組成物としては下記に例示する以外のものを用いてもよい。
-(A)硬化性樹脂-
硬化性樹脂組成物が含みうる(A)硬化性樹脂は、通常、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂からなる群より選ばれる。(A)硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂のみを用いてもよく、光硬化性樹脂のみを用いてもよく、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂を組み合わせて用いてもよい。また、(A)硬化性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂としては、熱を加えられた場合に硬化可能な樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂の例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、活性エステル樹脂、シアネート樹脂、カルボジイミド樹脂、酸無水物樹脂、アミン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、チオール樹脂、及び、ラジカル重合性樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
一例においては、エポキシ樹脂と、そのエポキシ樹脂と反応して硬化性樹脂組成物を硬化させうる樹脂とを組み合わせて用いることが好ましい。エポキシ樹脂と反応して硬化性樹脂組成物を硬化させうる樹脂を、以下「硬化剤」と呼ぶことがある。硬化剤としては、例えば、フェノール樹脂、活性エステル樹脂、シアネート樹脂、カルボジイミド樹脂、酸無水物樹脂、アミン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、チオール樹脂などが挙げられる。中でも、フェノール樹脂、活性エステル樹脂、シアネート樹脂及びカルボジイミド樹脂が好ましく、フェノール樹脂及び活性エステル樹脂がより好ましい。また、硬化剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する硬化性樹脂である。エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、イソシアヌラート型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は、耐熱性に優れる硬化物を得る観点から、芳香族構造を含有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。芳香族構造とは、一般に芳香族と定義される化学構造であり、多環芳香族及び芳香族複素環をも含む。芳香族構造を含有するエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビシキレノール型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルアミン型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、芳香族構造を有する線状脂肪族エポキシ樹脂、芳香族構造を有するブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、芳香族構造を有する脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、芳香族構造を有するスピロ環含有エポキシ樹脂、芳香族構造を有するシクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するトリメチロール型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するテトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
(A)硬化性樹脂は、エポキシ樹脂として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である。
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含んでいてもよい。
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「828EL」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」、「604」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「ED-523T」(グリシロール型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-3950L」、「EP-3980S」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-4088S」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」、日本曹達社製の「JP-100」、「JP-200」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂が好ましい。
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「HP-7200L」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」、「HP6000L」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3000FH」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」、「ESN4100V」(ナフタレン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN485」(ナフトール型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN375」(ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YX4000HK」、「YL7890」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX7700」(フェノールアラルキル型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」;三菱ケミカル社製の「YL7760」及び「YX7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「WHR991S」(フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの質量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、好ましくは20:1~1:20、より好ましくは15:1~1:15、特に好ましくは10:1~1:10である。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5,000g/eq.、より好ましくは60g/eq.~3,000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.~2,000g/eq.、特に好ましくは110g/eq.~1,000g/eq.である。エポキシ当量は、エポキシ基1当量あたりの樹脂の質量を表す。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100~5,000、より好ましくは250~3,000、さらに好ましくは400~1,500である。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
硬化性樹脂組成物中のエポキシ樹脂の量は、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
硬化性樹脂組成物中のエポキシ樹脂の量は、硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。硬化性樹脂組成物の樹脂成分とは、別に断らない限り、硬化性樹脂組成物の不揮発成分のうち、後述する(B)無機充填材を除いた成分を表す。
フェノール樹脂としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環に結合した水酸基を1分子中に1個以上、好ましくは2個以上有する化合物を用いうる。フェノール樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して硬化性樹脂組成物を硬化させうるので、「フェノール系硬化剤」ということがある。耐熱性及び耐水性に優れた硬化物を得る観点からは、ノボラック構造を有するフェノール樹脂が好ましい。また、配線との密着性に優れた硬化物を得る観点からは、含窒素フェノール樹脂が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール樹脂がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び密着性に高度に優れる硬化物を得る観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂が好ましい。フェノール樹脂の具体例としては、例えば、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SN-170」、「SN-180」、「SN-190」、「SN-475」、「SN-485」、「SN-495」、「SN-375」、「SN-395」、DIC社製の「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-3018」、「LA-3018-50P」、「LA-1356」、「TD2090」、「TD-2090-60M」等が挙げられる。
硬化性樹脂組成物中のフェノール樹脂の量は、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
硬化性樹脂組成物中のフェノール樹脂の量は、硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
活性エステル樹脂としては、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。活性エステル樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して硬化性樹脂組成物を硬化させうるので、「活性エステル系硬化剤」ということがある。当該活性エステル樹脂は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性に優れる硬化物を得る観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル樹脂が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル樹脂がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
具体的には、活性エステル樹脂としては、ジシクロペンタジエン型活性エステル樹脂、ナフタレン構造を含むナフタレン型活性エステル樹脂、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル樹脂、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル樹脂が好ましく、中でもジシクロペンタジエン型活性エステル樹脂、及びナフタレン型活性エステル樹脂から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。ジシクロペンタジエン型活性エステル樹脂としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル樹脂が好ましい。
活性エステル樹脂の市販品としては、例えば、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル樹脂として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「EXB-8000L」、「EXB-8000L-65M」、「EXB-8000L-65TM」、「HPC-8000L-65TM」、「HPC-8000」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H」、「HPC-8000H-65TM」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル樹脂として「HP-B-8151-62T」、「HP-C-8151-62T」、「EXB-8100L-65T」、「EXB-8150-60T」、「EXB-8150-62T」、「EXB-9416-70BK」、「HPC-8150-60T」、「HPC-8150-62T」、「EXB-8」(DIC社製);りん含有活性エステル樹脂として、「EXB9401」(DIC社製);フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル樹脂として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル樹脂として「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱ケミカル社製);スチリル基及びナフタレン構造を含む活性エステル樹脂として「PC1300-02-65MA」(エア・ウォーター社製)等が挙げられる。
硬化性樹脂組成物中の活性エステル樹脂の量は、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
硬化性樹脂組成物中の活性エステル樹脂の量は、硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
シアネート樹脂としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のシアネート基を有する化合物を用いうる。シアネート樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して硬化性樹脂組成物を硬化させうるので、「シアネート系硬化剤」ということがある。シアネート樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート))、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネート樹脂の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネート樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
カルボジイミド樹脂としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のカルボジイミド構造を有する化合物を用いうる。カルボジイミド樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して硬化性樹脂組成物を硬化させうるので、「カルボジイミド系硬化剤」ということがある。カルボジイミド樹脂の具体例としては、テトラメチレン-ビス(t-ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサンビス(メチレン-t-ブチルカルボジイミド)等の脂肪族ビスカルボジイミド;フェニレン-ビス(キシリルカルボジイミド)等の芳香族ビスカルボジイミド等のビスカルボジイミド;ポリヘキサメチレンカルボジイミド、ポリトリメチルヘキサメチレンカルボジイミド、ポリシクロヘキシレンカルボジイミド、ポリ(メチレンビスシクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(イソホロンカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミド;ポリ(フェニレンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(トリレンカルボジイミド)、ポリ(メチルジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(キシリレンカルボジイミド)、ポリ(テトラメチルキシリレンカルボジイミド)、ポリ(メチレンジフェニレンカルボジイミド)、ポリ[メチレンビス(メチルフェニレン)カルボジイミド]等の芳香族ポリカルボジイミド等のポリカルボジイミドが挙げられる。カルボジイミド樹脂の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル社製の「カルボジライトV-02B」、「カルボジライトV-03」、「カルボジライトV-04K」、「カルボジライトV-07」及び「カルボジライトV-09」;ラインケミー社製の「スタバクゾールP」、「スタバクゾールP400」、「ハイカジル510」等が挙げられる。
酸無水物樹脂としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上の酸無水物基を有する化合物を用いうる。酸無水物樹脂は、エポキシ基と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して硬化性樹脂組成物を硬化させうるので、「酸無水物系硬化剤」ということがある。酸無水物樹脂の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’-4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。酸無水物樹脂の市販品としては、例えば、新日本理化社製の「HNA-100」、「MH-700」、「MTA-15」、「DDSA」、「OSA」;三菱ケミカル社製の「YH-306」、「YH-307」;日立化成社製の「HN-2200」、「HN-5500」;クレイバレイ社製「EF-30」、「EF-40」「EF-60」、「EF-80」等が挙げられる。
アミン樹脂としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のアミノ基を有する化合物を用いうる。アミン樹脂は、エポキシ基と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して硬化性樹脂組成物を硬化させうるので、「アミン系硬化剤」ということがある。アミン樹脂としては、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられ、中でも、芳香族アミン類が好ましい。アミン樹脂は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。アミン樹脂の具体例としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、等が挙げられる。アミン樹脂の市販品としては、例えば、セイカ社製「SEIKACURE-S」;日本化薬社製の「KAYABOND C-200S」、「KAYABOND C-100」、「カヤハードA-A」、「カヤハードA-B」、「カヤハードA-S」;三菱ケミカル社製の「エピキュアW」;住友精化社製「DTDA」等が挙げられる。
ベンゾオキサジン樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して硬化性樹脂組成物を硬化させうるので、「ベンゾオキサジン系硬化剤」ということがある。ベンゾオキサジン樹脂の具体例としては、JFEケミカル社製の「JBZ-OP100D」、「ODA-BOZ」;昭和高分子社製の「HFB2006M」;四国化成工業社製の「P-d」、「F-a」などが挙げられる。
チオール樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して硬化性樹脂組成物を硬化させうるので、「チオール系硬化剤」ということがある。チオール樹脂としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、トリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
硬化剤の活性基当量は、好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、より好ましくは100g/eq.~1000g/eq.、さらに好ましくは100g/eq.~500g/eq.、特に好ましくは100g/eq.~300g/eq.である。活性基当量は、活性基1当量あたりの硬化剤の質量を表す。
硬化剤の重量平均分子量(Mw)の範囲は、エポキシ樹脂の重量平均分子量の範囲と同じであってもよい。
エポキシ樹脂のエポキシ基数を1とした場合、硬化剤の活性基数は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上であり、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、特に好ましくは3.0以下である。「エポキシ樹脂のエポキシ基数」とは、硬化性樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂の不揮発成分の質量をエポキシ当量で割り算した値を全て合計した値を表す。また、「硬化剤の活性基数」とは、硬化性樹脂組成物中に存在する硬化剤の不揮発成分の質量を活性基当量で割り算した値を全て合計した値を表す。
硬化性樹脂組成物中の硬化剤の量は、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
硬化性樹脂組成物中の硬化剤の量は、硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
ラジカル重合性樹脂としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物を用いうる。よって、ラジカル重合性樹脂は、エチレン性不飽和結合を含むラジカル重合性基を有しうる。ラジカル重合性基としては、例えば、ビニル基、アリル基、3-シクロヘキセニル基、3-シクロペンテニル基、2-ビニルフェニル基、3-ビニルフェニル基、4-ビニルフェニル基等の不飽和炭化水素基;アクリロイル基、メタクリロイル基、マレイミド基(2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-1H-ピロール-1-イル基)等のα,β-不飽和カルボニル基等が挙げられる。ラジカル重合性樹脂が1分子内中に含むラジカル重合性基の数は、1個でもよいが、2個以上が好ましい。ラジカル重合性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系ラジカル重合性樹脂、スチレン系ラジカル重合性樹脂、アリル系ラジカル重合性樹脂、マレイミド系ラジカル重合性樹脂などが挙げられる。ラジカル重合性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
光硬化性樹脂としては、露光された場合に硬化可能な樹脂を用いることができる。光硬化性樹脂の例としては、ラジカル重合性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化性樹脂組成物中の(A)硬化性樹脂の量は、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、特に好ましくは50質量%以下である。
硬化性樹脂組成物中の(A)硬化性樹脂の量は、硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、好ましくは97質量%以下、より好ましくは96質量%以下、特に好ましくは95質量%以下である。
-(B)無機充填材-
硬化性樹脂組成物は、任意の成分として、(B)無機充填材を含んでいてもよい。(B)無機充填材は、通常、粒子の状態で硬化性樹脂組成物に含まれる。
(B)無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。(B)無機充填材の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカ、アルミナが好適であり、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては球形シリカが好ましい。(B)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)無機充填材の市販品としては、例えば、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」、「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」;デンカ社製の「UFP-30」、「DAW-03」、「FB-105FD」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;太平洋セメント社製の「セルスフィアーズ」、「MGH-005」;日揮触媒化成社製の「エスフェリーク」、「BA-1」などが挙げられる。
(B)無機充填材の平均粒径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。(B)無機充填材の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出しうる。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
(B)無機充填材の比表面積は、好ましくは1m2/g以上、より好ましくは2m2/g以上、更に好ましくは3m2/g以上であり、好ましくは60m2/g以下、より好ましくは50m2/g以下、更に好ましくは40m2/g以下である。比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで測定できる。
(B)無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、(B)無機充填材の分散性向上の観点から、特定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量%は、0.2質量%~5質量%の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量%~3質量%の表面処理剤で表面処理されていることがより好ましく、0.3質量%~2質量%の表面処理剤で表面処理されていることがさらに好ましい。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m2以上が好ましく、0.1mg/m2以上がより好ましく、0.2mg/m2以上がさらに好ましい。一方、硬化性樹脂組成物の溶融粘度の上昇を抑制する観点から、1.0mg/m2以下が好ましく、0.8mg/m2以下がより好ましく、0.5mg/m2以下がさらに好ましい。
(B)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
硬化性樹脂組成物中の(B)無機充填材の量は、硬化性樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
-(C)硬化促進剤-
硬化性樹脂組成物は、任意の成分として、(C)硬化促進剤を含んでいてもよい。(C)硬化促進剤は、(A)硬化性樹脂の硬化を促進させる硬化触媒としての機能を有する。
(C)硬化促進剤としては、(A)硬化性樹脂の種類に応じて適切なものを用いうる。例えば、(A)硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む場合、そのエポキシ樹脂の硬化を促進させうる(C)硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、ウレア系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤等が挙げられる。(C)硬化促進剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムデカノエート、テトラブチルホスホニウムラウレート、ビス(テトラブチルホスホニウム)ピロメリテート、テトラブチルホスホニウムハイドロジェンヘキサヒドロフタレート、テトラブチルホスホニウム2,6-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノラート、ジ-tert-ブチルジメチルホスホニウムテトラフェニルボレート等の脂肪族ホスホニウム塩;メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、p-トリルトリフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラp-トリルボレート、トリフェニルエチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(3-メチルフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(2-メトキシフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等の芳香族ホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン等の芳香族ホスフィン・ボラン複合体;トリフェニルホスフィン・p-ベンゾキノン付加反応物等の芳香族ホスフィン・キノン付加反応物;トリブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(2-ブテニル)ホスフィン、ジ-tert-ブチル(3-メチル-2-ブテニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の脂肪族ホスフィン;ジブチルフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(4-エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチル-4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル-2-ピリジルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)アセチレン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテル等の芳香族ホスフィン等が挙げられる。
ウレア系硬化促進剤としては、例えば、1,1-ジメチル尿素;1,1,3-トリメチル尿素、3-エチル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロヘキシル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロオクチル-1,1-ジメチル尿素等の脂肪族ジメチルウレア;3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(4-クロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(2-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジメチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-イソプロピルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-ニトロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、N,N-(1,4-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)、N,N-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)〔トルエンビスジメチルウレア〕等の芳香族ジメチルウレア等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられる。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。イミダゾール系硬化促進剤の市販品としては、例えば、四国化成工業社製の「1B2PZ」、「2E4MZ」、「2MZA-PW」、「2MZ-OK」、「2MA-OK」、「2MA-OK-PW」、「2PHZ」、「2PHZ-PW」、「Cl1Z」、「Cl1Z-CN」、「Cl1Z-CNS」、「C11Z-A」;三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられる。アミン系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、味の素ファインテクノ社製の「MY-25」等が挙げられる。
硬化性樹脂組成物中の(C)硬化促進剤の量は、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.2質量%以下である。
硬化性樹脂組成物中の(C)硬化促進剤の量は、硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.10質量%以上であり、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
-(D)高分子樹脂-
硬化性樹脂組成物は、任意の成分として、(D)高分子樹脂を含んでいてもよい。(D)高分子樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。(D)高分子樹脂は、1種類単独で用いてもよく、又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種類以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「FX280」及び「FX293」;三菱ケミカル社製の「YL7500BH30」、「YL7800BH40」、「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」、「YL7482」及び「YL7891BH30」;等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、信越化学工業社製「SLK-6100」、新日本理化社製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業社製の「電化ブチラール4000-2」、「電化ブチラール5000-A」、「電化ブチラール6000-C」、「電化ブチラール6000-EP」;積水化学工業社製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ(例えばBX-5Z)、KSシリーズ(例えばKS-1)、BLシリーズ、BMシリーズ;等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系共重合樹脂;ポリプロピレン、エチレン-プロピレンブロック共重合体等のポリオレフィン系重合体等が挙げられる。
ポリブタジエン樹脂としては、例えば、水素化ポリブタジエン骨格含有樹脂、ヒドロキシ基含有ポリブタジエン樹脂、フェノール性水酸基含有ポリブタジエン樹脂、カルボキシ基含有ポリブタジエン樹脂、酸無水物基含有ポリブタジエン樹脂、エポキシ基含有ポリブタジエン樹脂、イソシアネート基含有ポリブタジエン樹脂、ウレタン基含有ポリブタジエン樹脂、ポリフェニレンエーテル-ポリブタジエン樹脂等が挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡社製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成社製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ社製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル樹脂の具体例としては、SABIC製「NORYL SA90」等が挙げられる。ポリエーテルイミド樹脂の具体例としては、GE社製の「ウルテム」等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、例えば、ヒドロキシ基含有カーボネート樹脂、フェノール性水酸基含有カーボネート樹脂、カルボキシ基含有カーボネート樹脂、酸無水物基含有カーボネート樹脂、イソシアネート基含有カーボネート樹脂、ウレタン基含有カーボネート樹脂等が挙げられる。ポリカーボネート樹脂の具体例としては、三菱瓦斯化学社製の「FPC0220」、旭化成ケミカルズ社製の「T6002」、「T6001」(ポリカーボネートジオール)、クラレ社製の「C-1090」、「C-2090」、「C-3090」(ポリカーボネートジオール)等が挙げられる。ポリエーテルエーテルケトン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「スミプロイK」等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート樹脂等が挙げられる。
(D)高分子樹脂は、通常、大きい分子量を有する。具体的には、(D)高分子樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは5,000より大きく、より好ましくは8,000以上、更に好ましくは10,000以上、更に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは70,000以下、さらに好ましくは60,000以下、更に好ましくは50,000以下である。
硬化性樹脂組成物中の(D)高分子樹脂の量は、硬化性樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
硬化性樹脂組成物中の(D)高分子樹脂の量は、硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
-(E)任意の添加剤-
硬化性樹脂組成物は、上述した(A)~(D)成分に組み合わせて、更に任意の不揮発成分として、(E)任意の添加剤を含んでいてもよい。(E)任意の添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物、有機コバルト化合物等の有機金属化合物;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディングリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック等の着色剤;ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の重合禁止剤;シリコーン系レベリング剤、アクリルポリマー系レベリング剤等のレベリング剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系消泡剤、アクリル系消泡剤、フッ素系消泡剤、ビニル樹脂系消泡剤等の消泡剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;尿素シラン等の接着性向上剤;トリアゾール系密着性付与剤、テトラゾール系密着性付与剤、トリアジン系密着性付与剤等の密着性付与剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤;スチルベン誘導体等の蛍光増白剤;フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤;リン系難燃剤(例えばリン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスフィン酸化合物、赤リン)、窒素系難燃剤(例えば硫酸メラミン)、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤(例えば三酸化アンチモン)等の難燃剤;リン酸エステル系分散剤、ポリオキシアルキレン系分散剤、アセチレン系分散剤、シリコーン系分散剤、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤等の分散剤;ボレート系安定剤、チタネート系安定剤、アルミネート系安定剤、ジルコネート系安定剤、イソシアネート系安定剤、カルボン酸系安定剤、カルボン酸無水物系安定剤等の安定剤;第三級アミン類等の重合開始助剤;ピラリゾン類、アントラセン類、クマリン類、キサントン類、チオキサントン類等の光増感剤;有機粒子;が挙げられる。(E)任意の添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
-(F)溶剤-
硬化性樹脂組成物は、上述した(A)~(E)成分といった不揮発成分に組み合わせて、更に任意の揮発性成分として、(F)溶剤を含んでいてもよい。(F)溶剤としては、通常、有機溶剤を用いる。有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶剤;テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、アニソール等のエーテル系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶剤;酢酸2-エトキシエチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルジグリコールアセテート、γ-ブチロラクトン、メトキシプロピオン酸メチル等のエーテルエステル系溶剤;乳酸メチル、乳酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステルアルコール系溶剤;2-メトキシプロパノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等のエーテルアルコール系溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶剤;ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤等を挙げることができる。(F)溶剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(F)溶剤の量は、特に限定されるものではないが、硬化性樹脂組成物中の全成分を100質量%とした場合、例えば、60質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下等でありえ、0質量%であってもよい。
-硬化性樹脂組成物の製造方法-
硬化性樹脂組成物は、例えば、硬化性樹脂組成物に含まれうる成分を混合することによって、製造することができる。前記の成分は、一部又は全部を同時に混合してもよく、順に混合してもよい。各成分を混合する過程で、温度を適宜設定してもよく、よって、一時的に又は終始にわたって、加熱及び/又は冷却してもよい。また、各成分を混合する過程において、撹拌又は振盪を行ってもよい。
-硬化性樹脂組成物の特性-
硬化性樹脂組成物を硬化することにより、硬化物を得ることができる。この硬化物は、好ましくは、回路基板の絶縁層を形成するために用いられる。絶縁層は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含み、好ましくは当該硬化物のみを含む。通常、硬化性樹脂組成物に含まれる(F)溶剤等の揮発性成分は、硬化時に与えられる熱によって揮発しうるので、硬化物は、硬化性樹脂組成物の不揮発成分又はその反応生成物を含みうる。
硬化性樹脂組成物の硬化物は、優れた誘電特性を有することが好ましい。具体的には、硬化性樹脂組成物の硬化物は、低い比誘電率を有することが好ましい。一例において、硬化物の比誘電率は、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、特に好ましくは3以下である。下限は、特段の制限は無く、例えば、1.5以上、2.0以上などでありうる。
また、硬化性樹脂組成物の硬化物は、低い誘電正接を有することが好ましい。一例において、硬化物の誘電正接は、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.04以下、特に好ましくは0.03以下である。下限は、特段の制限は無く、例えば、0.001以上、0.002以上などでありうる。
硬化性樹脂組成物の硬化物の比誘電率及び誘電正接の測定は、空洞共振摂動法により、測定周波数5.8GHz、測定温度23℃の条件で行いうる。硬化性樹脂組成物が熱硬化性を有する場合、前記の比誘電率及び誘電正接は、例えば、硬化性樹脂組成物を180℃、90分の条件で熱硬化させて得られる硬化物を用いて測定できる。また、硬化性樹脂組成物が光硬化性を有する場合、前記の比誘電率及び誘電正接は、硬化性樹脂組成物に1J/cm2の紫外線照射を行った後、180℃、90分の条件で加熱して得られる硬化物を用いて測定できる。
<積層樹脂シートを用いた回路基板の製造方法の説明>
以下、本実施形態に係る積層樹脂シートの用途の一例として、回路基板の製造方法を説明する。回路基板は、通常、樹脂組成物層を硬化して得られる絶縁層を備える。この回路基板は、例えば、下記(i)~(iii)の工程を含む方法により製造することができる。
(i)積層樹脂シートから保護フィルムを剥離して、樹脂シートを得る工程。
(ii)内層基板上に、樹脂シートを、樹脂組成物層と内層基板とが接合するように、積層する工程。
(iii)樹脂組成物層を硬化して、絶縁層を形成する工程。
本例に係る回路基板の製造方法は、積層樹脂シートから保護フィルムを剥離して、樹脂シートを得る工程(i)を含む。保護フィルムを剥離することにより、樹脂組成物層が露出するので、工程(ii)において樹脂組成物層と内層基板とを接合させることが可能となる。
通常は、保護フィルムを樹脂シートに対して相対的に引っ張ることにより、保護フィルムを剥離する。例えば、保護フィルムを固定した状態で樹脂シートを搬送して、保護フィルムを剥がしてもよい。また、例えば、樹脂シートを固定した状態で保護フィルムを引っ張って、保護フィルムを剥がしてもよい。さらに、例えば、保護フィルムを引っ張りながら樹脂シートを搬送して、保護フィルムを剥がしてもよい。
通常は、樹脂組成物層の表面に対して特定の角度をなす剥離方向に保護フィルムが相対的に引っ張られて、保護フィルムの剥離が達成される。樹脂組成物層の表面に対して剥離方向がなす角度の範囲は、特段の制限は無い。剥離方向は、例えば、樹脂組成物層の表面に対して平行方向でもよく、垂直方向でもよく、それ以外の方向でもよい。また、剥離を行う温度条件は、特に制限されない。回路基板の製造に要するエネルギーを低減する観点から、通常、保護フィルムの剥離は常温又はそれに近い温度で行われる。
本例に係る回路基板の製造方法は、工程(i)の後で、内層基板上に樹脂シートを積層する工程(ii)を含む。この積層は、樹脂組成物層と内層基板とが接合するように行われる。
工程(ii)で用いられる「内層基板」とは、回路基板の基材となる部材であって、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。また、該基板は、その片面又は両面に導体層を有していてもよく、この導体層はパターン加工されていてもよい。かかる導体層は、内層配線として機能しうる。基板の片面または両面に導体層(回路)が形成された内層基板は「内層回路基板」ということがある。また回路基板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も、前記の「内層基板」に含まれる。回路基板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用してもよい。
内層基板と樹脂シートの積層は、例えば、支持体側から樹脂シートを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
内層基板と樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施される。
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
本例に係る回路基板の製造方法は、工程(ii)の後で、樹脂組成物層を硬化して、絶縁層を形成する工程(iii)を含む。樹脂組成物層の硬化は、熱硬化、光硬化等のように、硬化性樹脂組成物に適した方法で行いうる。樹脂組成物層の具体的な硬化条件は、回路基板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
例えば熱硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物等の、熱硬化性の硬化性樹脂組成物を用いた場合、硬化性樹脂組成物の硬化は、熱硬化として進行しうる。よってこの場合、工程(iii)は、樹脂組成物層を熱硬化させることを含みうる。樹脂組成物層の熱硬化条件は、硬化性樹脂組成物の種類によっても異なりうる。例えば、硬化温度は、好ましくは120℃~240℃、より好ましくは150℃~220℃、さらに好ましくは170℃~210℃である。また、硬化時間は、好ましくは5分間~120分間、より好ましくは10分間~100分間、さらに好ましくは15分間~100分間でありうる。
また、樹脂組成物層を熱硬化させる場合には、回路基板の製造方法は、その熱硬化の前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱することを含むことが好ましい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、通常50℃~150℃、好ましくは60℃~140℃、より好ましくは70℃~130℃の温度にて、樹脂組成物層を通常5分間以上、好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間、さらに好ましくは15分間~100分間予備加熱してもよい。
他方、例えば光硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物等の、光硬化性の硬化性樹脂組成物を用いた場合、硬化性樹脂組成物の硬化は、光硬化として進行しうる。よってこの場合、工程(iii)は、樹脂組成物層を光硬化させることを含みうる。硬化性樹脂組成物の光硬化条件は、硬化性樹脂組成物の種類によっても異なりうる。例えば、樹脂組成物層に活性光線を照射する露光処理によって、照射部の樹脂組成物層を光硬化させうる。活性光線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。紫外線の照射量は、例えば、10mJ/cm2~1000mJ/cm2である。このとき、支持体を通して露光を行ってもよく、支持体を剥離した後に露光を行ってもよい。
露光処理では、パターンを形成されたマスクを通して樹脂組成物層に活性光線を照射してもよい。マスクを用いた露光方法には、マスクをワークに接触させて露光を行う接触露光法と、接触させずに平行光線を使用して露光を行う非接触露光法とがあり、どちらを用いてもよい。
工程(iii)は、露光処理の後に、現像処理を行うことを含んでいてもよい。現像処理によれば、光硬化されていない部分(未露光部)を除去して、絶縁層にパターンを形成することができる。現像は、通常、ウェット現像により行う。ウェット現像において、現像液としては、例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の、安全かつ安定であり操作性が良好な現像液が用いられる。なかでも、アルカリ水溶液による現像工程が好ましい。現像方法としては、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の方法が採用されうる。
さらに、樹脂組成物層を光硬化させた場合には、光硬化及び現像の後で、必要に応じて、ポストベーク処理を行ってもよい。ポストベーク処理としては、例えば、高圧水銀ランプによる紫外線照射処理、クリーンオーブンを用いた加熱処理、などが挙げられる。紫外線照射処理は、例えば、0.05J/cm2~10J/cm2程度の照射量で行いうる。また、加熱処理は、例えば、好ましくは150℃~250℃で20分間~180分間の範囲、より好ましくは160℃~230℃で30分間~120分間の範囲で行いうる。
回路基板の製造方法は、通常、支持体を除去する工程(iv)を含む。支持体の除去は、樹脂組成物層の硬化前に行ってもよいが、樹脂組成物層の硬化後に行うことが好ましい。支持体によって樹脂組成物層が覆われた状態で樹脂組成物層を硬化した場合、硬化工程において樹脂組成物層の表面に異物が付着することを抑制できる。また、樹脂組成物層の硬化後に支持体を除去する場合、支持体を特に容易に除去することができる。
回路基板を製造するに際しては、(v)絶縁層に穴あけする工程、(vi)絶縁層を粗化処理する工程、(vii)配線としての導体層を形成する工程をさらに実施してもよい。これらの工程(v)乃至工程(vii)は、回路基板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。なお、支持体を工程(iii)の後に除去する場合、該支持体の除去は、工程(iii)と工程(v)との間、工程(v)と工程(vi)の間、又は工程(vi)と工程(vii)との間に実施してよい。また、必要に応じて、工程(i)~工程(vii)の絶縁層及び導体層の形成を繰り返して実施し、多層プリント配線板等の多層構造の回路基板を形成してもよい。
工程(v)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(v)は、絶縁層の形成に使用した硬化性樹脂組成物の組成に応じて、例えば、ドリル加工、レーザー加工、プラズマ加工等の加工方法を使用して実施してよい。ホールの寸法及び形状は、回路基板のデザインに応じて適宜決定してよい。
工程(vi)は、絶縁層を粗化処理する工程である。通常、この工程(vi)において、ホール形成時に生成しうるスミア(樹脂残渣)の除去も行われる。粗化処理の手順、条件は特に限定されず、回路基板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。
粗化処理に用いる膨潤液としては、例えば、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液である。該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、例えば、30℃~90℃の膨潤液に絶縁層を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に絶縁層を5分間~15分間浸漬させることが好ましい。
粗化処理に用いる酸化剤としては、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~100℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は、5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
粗化処理に用いる中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に5分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
工程(vii)は、導体層を形成する工程であり、絶縁層上に導体層を形成する。導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であってもよく、合金層であってもよい。合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造を有していてもよく、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造を有していてもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
通常、導体層には、配線として機能できるように、パターン加工が施される。このとき、導体層の最小ライン/スペース比の範囲は、小さいことが好ましい。導体層の最小ライン/スペース比の範囲は、好ましくは100μm/100μm以下(即ちピッチが200μm以下)、より好ましくは80μm/80μm以下、更に好ましくは50μm/50μm以下、更に好ましくは30μm/30μm以下である。下限は、例えば、0.5μm/0.5μm以上でありうる。ピッチは、導体層の全体にわたって均一でもよく、不均一でもよい。導体層の最小ピッチの範囲は、例えば、200μm以下、160μm以下、100μm以下、又は60μm以下であってもよい。ここで、「ライン」とは、導体層の配線幅を表し、「スペース」とは配線間の間隔を表す。
導体層の厚さは、所望の回路基板のデザインによるが、一般に3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
一実施形態において、導体層は、メッキにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にメッキして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法が好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
まず、絶縁層の表面に、無電解メッキによりメッキシード層を形成する。次いで、形成されたメッキシード層上に、所望の配線パターンに対応してメッキシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出したメッキシード層上に、電解メッキにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なメッキシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
回路基板の製造方法は、上述した工程に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。例えば、回路基板の製造方法は、導体層と接合するように半導体チップを設ける工程を含んでいてもよい。具体例を挙げると、半導体チップを備える半導体チップパッケージ用の回路基板を製造する場合に、回路基板の製造方法は、半導体チップを設ける工程を含んでいてもよい。半導体チップは、半導体チップの端子電極と絶縁層上に形成された導体層とが導体接続できる適切な条件を採用できる。例えば、フリップチップ実装において使用される条件を採用できる。また、半導体チップは、絶縁性の接着剤を介して接合してもよく、リフローにより接合してもよい。さらに、必要に応じて、設けた半導体チップをモールドアンダーフィル材で充填してもよい。
また、回路基板の製造方法は、例えば、封止層を形成する工程、ソルダーレジスト層を形成する工程、製造した回路基板をダイシングして個片化する工程などを含んでいてもよい。
製造される回路基板としては、例えば、プリント配線板及び半導体チップパッケージ等が挙げられる。半導体チップパッケージとしては、例えば、FC-CSP、MIS-BGAパッケージ、ETS-BGAパッケージ、Fan-out型WLP(Wafer Level Package)、Fan-in型WLP、Fan-out型PLP(Panel Level Package)、Fan-in型PLPが挙げられる。これらの半導体チップパッケージにおいては、上述した樹脂組成物層を硬化させた絶縁層により、再配線形成層を形成することが好ましい。ただし、本実施形態に係る積層樹脂シートを用いて製造される回路基板は、ここで例示するものには限られない。
前記の回路基板は、半導体装置の製造に用いることができる。半導体層は、上述した回路基板を備える。半導体装置としては、例えば、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット型デバイス、ウェラブルデバイス、デジタルカメラ、医療機器、及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に限定されるものではない。以下の説明において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。また、特に指定が無い場合の温度条件及び圧力条件は、室温(25℃)及び大気圧(1atm)であった。
<除塵ローラーの粘着力測定方法>
以下の実施例及び比較例で使用した除塵ローラーの粘着力は、下記の通りである。ここで、各除塵ローラーの粘着力は、当該除塵ローラー表面あるいは当該除塵ローラーの周面を形成する粘着テープの粘着力を表し、具体的には、以下の測定方法により測定された粘着力を表す。
粘着テープは粘着層が巻外になるようにコア芯に巻き付けて除塵ローラーを得た。除塵ローラーの周面に対して垂直に粘着力テスター(一進産業社製、A3―10N)を設置した。測定部を粘着層に押し当てて引き戻るときの最大荷重(N/100mm2)を測定した。測定は3回行い、測定された最大荷重の3回の平均値を粘着力として得た。
・粘着テープ1:ニチバン社製「かりとめNO.207」(粘着力2.3N/100mm2)
・粘着テープ2:ニチバン社製「シーリングマスキングテープNo.2563」(粘着力2.7N/100mm2)
・除塵ローラー3:テクノロール社製「クリーンダッシュE」(粘着力3.0N/100mm2)
・除塵ローラー4:オーディオテクニカ社製「HC-730」(粘着力0.6N/100mm2)
<実施例1>
(1.アクリル樹脂を含む離型層を備える支持体の製造)
(1-1.アクリル樹脂(A)の製造)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた温度調整可能な反応器中に、トルエン500質量部、ステアリルメタクリレート(アルキル鎖の炭素数18)80質量部、メタクリル酸15質量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート5質量部、及びアゾビスイソブチロニトリル1部を、滴下器を用いて反応温度85℃にて4時間で滴下して、重合反応を行った。その後、同温度で2時間熟成して反応を完了させて、アクリル樹脂(A)を得た。このアクリル樹脂(A)を、イソプロピルアルコール5質量%及びn-ブチルセロソルブ5質量%を含む水に溶解させ、離型性成分としてのアクリル樹脂(A)を含む樹脂溶液を得た。
(1-2.アクリル樹脂(B)の製造)
ステンレス反応容器に、メタクリル酸メチル(a)、メタクリル酸ヒドロキシエチル(b)、芳香族ウレタンアクリレートオリゴマー(ダイセル・オルネクス社製「EBECRYL 220」、アクリロイル基の数が6)(c)を、(a)/(b)/(c)=94/1/5の質量比で仕込んだ。さらに、前記の反応容器に、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを、(a)+(b)+(c)の合計100質量部に対して2質量部を加えて撹拌し、混合液(1)を調製した。
次に、攪拌機、環流冷却管、温度計及び滴下ロートを備えた反応装置を用意した。上記混合液(1)を60質量部、イソプロピルアルコール200質量部、及び、重合開始剤として過硫酸カリウム5質量部を反応装置に加え、60℃に加熱して、混合液(2)を調製した。混合液(2)は、60℃の加熱状態のまま20分間保持させた。
次に、混合液(1)40質量部、イソプロピルアルコール50質量部、及び過硫酸カリウム5質量部からなる混合液(3)を調製した。滴下ロートを用いて混合液(3)を2時間かけて混合液(2)へ滴下し、混合液(4)を調製した。
その後、混合液(4)は、60℃に加熱した状態のまま2時間保持した。得られた混合液(4)を50℃以下に冷却した後、攪拌機及び減圧設備を備えた容器に移した。この容器に、25%アンモニア水60質量部、および純水900質量部を加え、60℃に加熱しながら減圧下にてイソプロピルアルコールおよび未反応モノマーを回収し、純水に分散された任意の樹脂としてのアクリル樹脂(B)を含む組成物を得た。
(1-3.離型剤の製造)
アクリル樹脂(A)を含む樹脂溶液とアクリル樹脂(B)を含む組成物とを、アクリル樹脂(A)及びアクリル樹脂(B)の質量比(固形分質量比)で(A)/(B)=20/80となるように混合して、中間組成物を得た。さらに、この中間組成物にフッ素系界面活性剤(互応化学工業社製「プラスコート(登録商標) RY-2」)を、前記の中間組成物全体100質量部に対して0.1質量部になるように添加して、液状のアクリル樹脂組成物としての離型剤を得た。
(1-4.支持体の製造)
基材層として、PETフィルム(東レ社製「T60」(厚さ38μm))を用意した。この基材層の片面に、グラビアコーターを用いて離型剤を塗布し、乾燥して、厚み0.1μmの離型層を形成した。以上の操作により、基材層とアクリル樹脂を含む離型層とを備える長尺の支持体を得た。
(2.樹脂組成物の調製)
テトラメチルビスフェノール型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX4000H」エポキシ当量194g/eq.)8部、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000L」、エポキシ当量約271g/eq.)10部、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP6000L」、エポキシ当量約213g/eq.)2部、2官能エポキシ樹脂(日鉄ケミカル社製「ZX1658GS」、エポキシ当量約133g/eq.)2部、トリアジン骨格及びクレゾールノボラック構造を有するフェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、フェノール性水酸基当量約151g/eq.、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)4部、活性エステル樹脂(DIC社製「HP-C-8151-62T」、活性エステル基当量約238g/eq.、固形分62%のトルエン溶液)6部、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YL7800BH40」、固形分40%のMEKならびにシクロヘキサン溶液)5部、アミノ系シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)で表面処理された無機充填材(平均粒径0.5μm、表面処理量:無機充填材100質量%に対しアミノ系シランカップリング剤0.6質量%)40部、及び、硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン)の固形部5%のMEK溶液1部を混合して、液状の樹脂組成物としての樹脂ワニスを調製した。
(3.積層樹脂シートの製造)
以下の操作を、支持体及び保護フィルムを搬送しながら行って、積層樹脂シートを製造した。
(3-1.異物としての銅粉の支持体への付着)
支持体の両面に、異物として、100μmメッシュの銅粉を意図的に付着させた。
(3-2.支持体の除塵)
回転可能に対向して設けられた1対のニップローラーを備えるロールラミネーター(大成ラミネーター社製「VA770」)を用意した。前記1対のニップローラーに粘着テープ1(ニチバン社製「かりとめNO.207」、粘着力2.3N/100mm2)を、粘着剤が外側を向くよう固定して、一対の除塵ローラーを用意した。支持体を前記ロールラミネーターに供給し、一対の除塵ローラー間に支持体を通すことで、支持体の両面に除塵ローラーを接触させて、除塵を行った。
(3-3.樹脂組成物層の形成)
支持体の離型層上に、乾燥後に得られる樹脂組成物層の厚さが18μmになるよう、樹脂ワニスをダイコーターにて均一に塗布し、オーブンで乾燥させて、樹脂シートを得た。樹脂シートは、基材層/離型層/樹脂組成物層の層構成を有していた。
(3-4.異物としての銅粉の保護フィルムへの付着)
保護フィルムとして、粗化面(算術平均粗さ250nm)と平滑面とを有するポリプロピレンフィルム(王子エフテックス社製の二軸延伸ポリプロピレンフィルム、製品名「MA411」、厚さ15μm)を用意した。この保護フィルムの両面に、異物として、100μmメッシュの銅粉を意図的に付着させた。
(3-5.保護フィルムの除塵)
回転可能に対向して設けられた1対のニップローラーを備えるロールラミネーター(大成ラミネーター社製「VA770」)を用意した。前記1対のニップローラーに粘着テープ1(ニチバン社製「かりとめNO.207」、粘着力2.3N/100mm2)を、粘着剤が外側を向くよう固定して、一対の除塵ローラーを用意した。保護フィルムを前記ロールラミネーターに供給し、一対の除塵ローラー間に保護フィルムを通すことで、保護フィルムの両面に除塵ローラーを接触させて、除塵を行った。
(3-6.ラミネート)
樹脂シート及び保護フィルムを、ロールラミネーター(大成ラミネーター社製「VA770」)に供給し、当該ロールラミネーターによってラミネートした。この際、ラミネートは、温度70℃、圧力0.3MPaにて圧着させることにより実施した。ラミネートにより、基材層/離型層/樹脂組成物層/保護フィルムの層構成を有する積層樹脂シートを得た。
(4.評価用回路基板の製造)
(4-1.樹脂シートと内層基板との積層)
内層基板として、銅張積層板(パナソニック電工社製「R1515A」、銅層の厚さ18μm、基板の厚さ0.8mm)を用意した。積層樹脂シートから保護フィルムを剥がして基材層/離型層/樹脂組成物層の層構成を有する樹脂シートを得た後、その樹脂シートを、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製の2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層が内層基板と接合するように、内層基板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を5hPa以下とし、100℃、圧力0.7MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、100℃、圧力0.55MPaにて60秒間熱プレスを行って、平滑化処理を実施した。
(4-2.樹脂組成物層の硬化)
樹脂シートがラミネートされた内層基板を、180℃のオーブンに投入し30分間、加熱した。加熱により樹脂組成物層が熱硬化して、絶縁層が形成された。
(4-3.配線の形成)
次いで、以下の手順にしたがって、絶縁層の露出表面プロファイルを利用するセミアディティブ法(SAP)により、導体層としての配線を形成した。
(1)支持体の除去:
支持体を剥離して絶縁層を最外層とした。
(2)無電解めっき工程:
支持体を剥離することで露出した絶縁層の表面に、下記1~6の工程を含む無電解めっき工程(アトテックジャパン社製の薬液を使用した銅めっき工程)を行って、無電解銅めっき層を形成した。
1.アルカリクリーニング(絶縁層の表面の洗浄と電荷調整):
Cleaning Cleaner Securiganth 902(商品名)を用いて、絶縁層の表面を60℃で5分間洗浄した。
2.ソフトエッチング(絶縁層の表面の洗浄):
硫酸酸性ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液を用いて、絶縁層の表面を、30℃で1分間処理した。
3.プレディップ(Pd付与のための絶縁層の表面の電荷の調整):
Pre. Dip Neoganth B(商品名)を用い、絶縁層の表面を、室温で1分間処理した。
4.アクティヴェーター付与(絶縁層の表面へのPdの付与):
Activator Neoganth 834(商品名)を用い、絶縁層の表面を、35℃で5分間処理した。
5.還元(絶縁層に付与されたPdを還元):
Reducer Neoganth WA(商品名)とReducer Acceralator 810 mod.(商品名)との混合液を用い、絶縁層の表面を、30℃で5分間処理した。
6.無電解銅めっき工程(Cuを絶縁層の表面(Pd表面)に析出):
Basic Solution Printganth MSK-DK(商品名)と、Copper solution Printganth MSK(商品名)と、Stabilizer Printganth MSK-DK(商品名)と、Reducer Cu(商品名)との混合液を用いて、絶縁層の表面を、35℃で20分間処理して、無電解銅めっき層を形成した。形成された無電解銅めっき層の厚さは、0.8μmであった。
(3)めっきレジストの形成、露光及び現像:
無電解めっき層の形成後、めっきレジスト(昭和電工社製のパターン形成用ドライフィルム「RY5115」、厚さ15μm)を、両面の無電解めっき層上に積層した。次いで、配線パターン(詳細は以下に示す。)を形成した15cm角のガラスマスク(露光マスク)を、めっきレジスト上に配置して、ステッパー(ウシオ電機社製の投影露光装置「UX-2240」)により露光した(露光量210mJ)。その後、室温で30分間エージングを行った後に、スプレータイプの現像機を用いて、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液を30秒間噴射して、めっきレジストの現像(パターン形成)を行った。
ガラスマスクの配線パターン:
陽極からの配線と陰極からの配線とが対抗した櫛歯パターン(配線幅25μm、配線間距離25μm、配線長10mm、16ライン)を25個有するガラスマスクを使用した。
(4)電解めっき工程:
次いで、アトテックジャパン社製の薬液を使用して電解銅めっきを行って、8μm~10μmの厚みを有する電解銅めっき層を形成した。この電解銅めっきにより、絶縁層上に、無電解銅めっき層及び電解銅めっき層を備える複層基板を得た。
(5)めっきレジストの剥離:
得られた複層基板を三菱瓦斯化学社製のプリント基板用レジスト剥離液「R100S」に50℃、120秒、超音波を用いながら浸漬することで、めっきレジストを剥離した。
(6)フラッシュエッチング:
続いて、複層基板を、セミアディティブプロセス用の銅シード層エッチング剤「メルストリップSE-300」へ25℃で浸漬することで、不要な部分の無電解銅めっき層を除去して、櫛歯配線を有する評価用回路基板を得た。前記の櫛歯配線は、無電解銅めっき層及び電解銅めっき層を含む導体層によって形成されており、厚み方向から見て、ガラスマスクが有する櫛歯パターンと同じパターン形状を有していた。
<実施例2>
工程(3-5)における保護フィルムの除塵の際、粘着テープ1の代わりに粘着テープ2(ニチバン社製「シーリングマスキングテープNo.2563」、粘着力2.7N/100mm2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、積層樹脂シート及び評価用回路基板の製造を行った。
<実施例3>
工程(3-2)における支持体の除塵の際、粘着テープ1の代わりに粘着テープ2(ニチバン社製「シーリングマスキングテープNo.2563」、粘着力2.7N/100mm2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、積層樹脂シート及び評価用回路基板の製造を行った。
<実施例4>
工程(3-2)における支持体の除塵及び工程(3-5)における保護フィルムの除塵の際、粘着テープ1の代わりに粘着テープ2(ニチバン社製「シーリングマスキングテープNo.2563」、粘着力2.7N/100mm2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、積層樹脂シート及び評価用回路基板の製造を行った。
<実施例5>
工程(3-2)における支持体の除塵及び工程(3-5)における保護フィルムの除塵の際、粘着テープ1をニップローラーに固定して得た除塵ローラーの代わりに除塵ローラー4(オーディオテクニカ社製「HC-730」、粘着力0.6N/100mm2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、積層樹脂シート及び評価用回路基板の製造を行った。
<実施例6>
工程(3-2)における支持体の除塵において粘着テープ1をニップローラーに固定して得た除塵ローラーの代わりに除塵ローラー4(オーディオテクニカ社製「HC-730」、粘着力0.6N/100mm2)を用いたこと、さらに工程(3-5)における保護フィルムの除塵の際、粘着テープ1の代わりに粘着テープ2(ニチバン社製「シーリングマスキングテープNo.2563」、粘着力2.7N/100mm2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、積層樹脂シート及び評価用回路基板の製造を行った。
<比較例1>
工程(3-2)における支持体の除塵の際、粘着テープ1をニップローラーに固定して得た除塵ローラーの代わりに除塵ローラー3(テクノロール社製「クリーンダッシュE」、粘着力3.0N/100mm2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、積層樹脂シート及び評価用回路基板の製造を行った。
<比較例2>
工程(3-5)における保護フィルムの除塵の際、粘着テープ1をニップローラーに固定して得た除塵ローラーの代わりに除塵ローラー3(テクノロール社製「クリーンダッシュE」、粘着力3.0N/100mm2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、積層樹脂シート及び評価用回路基板の製造を行った。
<比較例3>
工程(3-2)における支持体の除塵及び工程(3-5)における保護フィルムの除塵を、送風型除電装置(シシド静電気社製「BF-6MB」)を用いて10秒間処理することによって実施したこと以外は実施例1と同様にして、積層樹脂シート及び評価用回路基板の製造を行った。送風型除電装置による処理は、イオナイザーによって除電を行いながら風力によって異物を除去する非接触型の除電処理である。
<比較例4>
工程(3-2)における支持体の除塵及び工程(3-5)における保護フィルムの除塵を、非接触式超音波クリーナー(ヒューグル社製「USW-102」)を用いて10秒間処理することによって実施したこと以外は実施例1と同様にして、積層樹脂シート及び評価用回路基板の製造を行った。非接触式超音波クリーナーによる処理は、超音波によって異物を除去する非接触型の除電処理である。
<比較例5>
工程(3-2)における支持体の除塵及び工程(3-5)における保護フィルムの除塵を、エアガンを用いて処理することによって実施したこと以外は実施例1と同様にして、積層樹脂シート及び評価用回路基板の製造を行った。エアガンによる処理は、エアガンから噴射されるエアによって異物を除去する非接触型の除電処理である。
<試験1.支持体の剥離性の評価>
工程(4-3)で支持体を剥離する工程において、絶縁層から支持体を円滑に剥がせる場合を「〇」と評価し、支持体の一部又は全部が絶縁層に固着して支持体を円滑に剥がせない場合を「×」と評価した。支持体を円滑に剥がせないことは、支持体の除塵工程において離型層の一部又は全部が除塵ローラーに付着して失われた結果、支持体の剥離性が低下したことを表す。
<試験2.支持体及び保護フィルムの除塵時の搬送性の評価>
工程(3-2)において除塵ローラーと接触させながら支持体を搬送する時に、支持体にしわが発生するか否かを観察した。また、工程(3-5)において除塵ローラーと接触させながら保護フィルムを搬送する時に、保護フィルムにしわが発生するか否かを観察した。しわが発生しない場合を「〇」と評価し、しわが発生する場合を「×」と評価した。
<試験3.配線形成歩留まりの評価>
評価用回路基板について、櫛歯配線の絶縁抵抗値を抵抗測定器(J-RAS社製「ECM-100」)を用いて測定した。絶縁抵抗値が1×107Ω以上である櫛歯配線の割合が60%以上(すなわち1×107Ω以上である櫛歯配線の数が15以上)の場合に「〇」と評価し、60%未満の場合に「×」と評価した。
<結果>
上述した実施例及び比較例の結果を、下記の表に示す。
<検討>
実施例及び比較例から、本発明の製造方法によれば、異物を排除して配線形成の歩留まりを向上させることが可能な積層樹脂シート(保護フィルム付き樹脂シート)を製造できたことが確認された。
上述した実施例及び比較例ではアクリル系離型剤を用いた結果を示したが、本発明者は、アクリル系以外の離型剤を用いた場合でも、程度は異なるものの、異物を排除して配線形成の歩留まりを向上させることが可能な積層樹脂シートを製造できることを確認している。