JP7750082B2 - 積層フィルム - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、フィルム表面が特に高度な平滑性を必要とする用途、例えば、液晶偏光膜形成用支持体、(高速)通信機能を搭載した端末機器(スマートフォン、I-Padなどの部材、フィルムミラーなど)において、塗布欠陥が少なく、それでいて、熱しわの発生を抑制し、平面性が良好な積層フィルムを提供することを課題とするものである。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[20]を提供するものである。
[1]基材フィルムの少なくとも片面に、硬化樹脂層(A)及び硬化樹脂層(B)を順次積層した構成を備えており、下記(1)~(3)の全てを満足する積層フィルム。
(1)硬化樹脂層(B)の平均表面粗さ(Sa)が5.0nm以下であること。
(2)硬化樹脂層(B)表面の最短の自己相間距離(Sal)が15μm以上であること。
(3)硬化樹脂層(A)、硬化樹脂層(B)がともに(a)(メタ)アクリレートを含む硬化樹脂組成物の硬化物であること。
[2]前記硬化樹脂層(B)表面の最大山高さ(Sp)が45nm以下である、上記[1]に記載の積層フィルム。
[3]前記硬化樹脂層(B)表面の10nm以上の突起数が10個/(237.65μm×178.25μm)以下である上記[1]または[2]に記載の積層フィルム。
[4]前記基材フィルムがポリエステルフィルムである、上記[1]~[3]の何れかに記載の積層フィルム。
[5]前記基材フィルムがポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである、上記[1]~[4]の何れかに記載の積層フィルム。
[6]前記基材フィルムが少なくとも2層構成である、上記[1]~[5]の何れかに記載の積層フィルム。
[7]前記ポリエステルフィルムの硬化樹脂層(A)と接する側の層が平均粒径0.1~5μmの粒子を含有する、上記[4]~[6]の何れかに記載の積層フィルム。
[8]前記基材フィルムの厚みが12~125μmである、上記[1]~[7]の何れかに記載の積層フィルム。
[9]前記硬化樹脂層(A)と前記硬化樹脂層(B)の合計厚みが10μm以下である、上記[1]~[8]の何れかに記載の積層フィルム。
[10]前記硬化樹脂層(A)及び前記硬化樹脂層(B)が、それぞれ(a)(メタ)アクリレート、(b)光開始剤、及び(c)溶媒を含む硬化性樹脂組成物を硬化させてなる、上記[1]~[9]の何れかに記載の積層フィルム。
[11]前記(a)(メタ)アクリレートが多官能(メタ)アクリレートを含む、上記[10]に記載の積層フィルム。
[12]基材フィルムの少なくとも片面側表面に、硬化性組成物を塗布し硬化させて硬化樹脂層(A)を形成した後、その上に、硬化性組成物を塗布し硬化させて硬化樹脂層(B)を形成する上記[1]~[11]の何れかに記載の積層フィルムの製造方法。
[13]前記硬化樹脂層(A)を設けた後、硬化樹脂層(B)を5分以内に設ける、上記[12]に記載の積層フィルムの製造方法。
[14]上記[1]~[11]の何れかに記載の積層フィルムの前記硬化樹脂層(B)上に金属層が積層されてなる金属積層フィルム。
[15]前記金属層がパターン化した金属層である、上記[14]に記載の金属積層フィルム。
[16]通信端末機器用である、上記[1]~[11]の何れかに記載の積層フィルム。
[17]通信端末機器用である、上記[14]または[15]に記載の金属積層フィルム。
[18]光学用である、上記[1]~[11]の何れかに記載の積層フィルム。
[19]光学用である、上記[14]または[15]に記載の金属積層フィルム。
[20]液晶偏光膜形成用である、上記[18]に記載の積層フィルム。
本発明の積層フィルムは、基材フィルムの少なくとも片面に、硬化樹脂層(A)及び硬化樹脂層(B)を順次積層した構成を備え、硬化樹脂層(B)の表面の面粗さが特定の範囲に制御され、かつ硬化樹脂層(A)及び硬化樹脂層(B)がともに、(a)(メタ)アクリレートを含む硬化樹脂組成物の硬化物であることが特徴である。
硬化樹脂層(A)及び硬化樹脂層(B)は、それぞれ(a)(メタ)アクリレート、(b)光開始剤、及び(c)溶媒を含む硬化性樹脂組成物(以下、「本発明の硬化性樹脂組成物」と称することがある。)を硬化させてなることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、基材フィルムなどの基材上に塗布され、その後、乾燥及び硬化することで硬化樹脂層が形成される。以下、硬化性樹脂組成物が硬化してなる硬化樹脂層が基材フィルム上に設けられる積層フィルムの実施形態を参照しつつ本発明を説明する。
以下、各部材についてより詳細に説明するが、まず積層フィルムを構成する各部材についてさらに詳細に説明する。
本発明の積層フィルム(以下、「本積層フィルム」と記載することがある。)を構成する基材フィルムは、フィルム状を呈するものであれば、その材料を特に限定するものではない。例えば、紙製、樹脂製、金属製などであってもよい。これらの中でも、機械的強度および柔軟性の観点から、樹脂製であることが好ましい。
また、ポリエステルフィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても延伸フィルムであってもよい。中でも、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムであるのが好ましい。その中でも、力学特性のバランスや平面性の観点で、二軸延伸フィルムであるのがより好ましい。したがって、二軸延伸ポリエステルフィルムがよりさらに好ましい。
代表的なホモポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等を例示することができる。
共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の一種又は二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上を挙げることができる。共重合ポリエステルは、ジカルボン酸がテレフタル酸を含み、グリコール成分がエチレングリコールを含み、かつ第3成分がこれら以外であることが好ましい。
中でも、本積層フィルムにおける基材としては、60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
また、用いる粒子の平均粒径は、好ましくは5μm以下、より好ましくは0.1~3μmの範囲である。平均粒径を上記範囲で用いることにより、フィルムに適度な表面粗度を与え、良好な滑り性と平滑性が確保できる。
粒子を配合する場合、例えば、表層と、中間層を設けて、表層に粒子を含有させることが好ましい。この場合、より好ましくは、粒子を含有する表層、中間層、及び粒子を含有する表層をこの順に有する多層構造とするとよい。
なお、本明細書において「実質的に粒子を含有しない」とは、意図して含有しないという意味であり、具体的には、粒子の含有量(粒子質量濃度)がその部材や層(ここでは、基材フィルム)に対して、200質量ppm以下、より好ましくは150質量ppm以下のことを指す。以下で示す同様の用語も同様の意味である。
なお、基材フィルムに粒子が実質的に含有されない場合、あるいは含有量が少ない場合は、基材フィルムの透明性が高くなり外観が良好なフィルムが得られ、また、硬化樹脂層表面の平滑性が高くなりやすくなる。一方で、積層フィルムの滑り性が不十分となる場合がある。そのため、そのような場合には、硬化樹脂層中に粒子を配合するなどすることで、滑り性を向上させたりしてもよいし、後述する粒子を有する易滑層などを設けて滑り性を向上させてもよい。
基材フィルムは単層でも2層以上の積層構造でもよいが、基材フィルムに易滑性及び透明性を付与する観点から、少なくとも2層構成であることが好ましい。表面層にのみ粒子を配することで、少ない粒子含有量で易滑性を付与することができ、透明性を担保することができる。
基材フィルムが2以上の層を有する積層構造を備える場合、ベース層Aと表面層B及び表面層Cから構成されるB/A/C及びベース層Aと表面層Bから構成されるB/A/Bの3層構造が好ましい。基材フィルムが2以上の層を有する積層構造を備える場合、各層を構成する主成分樹脂は、上記の通りポリエステルが好ましい。
また、上記B/A/C及びB/A/Bの3層構造において、表面層B及び表面層Cそれぞれは、粒度分布が狭い略均一な平均粒径を有する(いわゆる単分散性を有する)粒子を含有することが特に好ましい。
前記表面層Cが、係る範囲で粒子を含むことでフィルムの取扱い性を良好とできる。
本積層フィルムは、本基材フィルムの少なくとも片面側表面に、硬化樹脂層(A)を設け、その表面側にさらに硬化樹脂層(B)を設けてなる積層構成を備えている。
硬化樹脂層(A)/(B)それぞれの厚さを変更することで、硬化樹脂層(A)/(B)の弾性率を調整することができるばかりか、表面硬度を向上させることができる。例えば、硬化樹脂層(A)の厚さよりも、硬化樹脂層(B)の厚さを大きくすることで、表面硬度を向上させることができる。
硬化樹脂層(A)の厚さは、硬化樹脂層(B)の厚さの10~300%であるのが好ましく、中でも20%以上或いは200%以下、その中でも30%以上或いは100%以下であるのがさらに好ましい。
他方、硬化樹脂層(B)の層厚は、0.5μm以上5μm以下であるのが好ましく、さらに好ましくは0.5μm以上3μm以下、その中でも0.5μm以上2μm以下であるのがさらに好ましい。
硬化樹脂層(A)の表面は、外観(表面光沢)の観点から、平坦であるのが好ましい。他方、硬化樹脂層(B)の表面は高平滑なことが必要である。
硬化樹脂層(A)及び(B)はいずれも、光学用途を考慮すると、ヘーズが小さく、透明であるのが好ましい。
硬化樹脂層(A)と硬化樹脂層(B)の屈折率差が0.15以下であれば、視認性を高めることができる。具体的には、フィルム面に対して斜め45度の角度から目視した際、硬化樹脂層(A)由来の輪郭が見えにくくなる。かかる観点から、硬化樹脂層(A)と硬化樹脂層(B)の屈折率差は0.10以下であるのが好ましく、中でも0.05以下であるのがさらに好ましい。屈折率差の下限は0である。
硬化樹脂層(A)及び硬化樹脂層(B)は、それぞれ硬化性樹脂組成物を硬化して形成されるものであり、基材フィルム上に設けられる。硬化樹脂層(A)及び(B)は、基材フィルムの片面のみに設けられてもよいが、両面に設けられてもよい。
硬化樹脂層(A)及び(B)は、例えば光学部材を保護する機能を有する。硬化性樹脂組成物は、重合することでポリマーとなる成分を含み、具体的には、光重合性化合物及び熱重合性化合物のいずれの重合性化合物を含有してもよいが、硬化性樹脂組成物は、光重合性化合物を含み、光硬化性樹脂組成物であることが好ましい。光硬化性樹脂組成物を使用することで、硬化性樹脂組成物を硬化させるために、高温で熱処理する必要がないため、熱処理による不純物の発生や、熱収縮の発生などが防止できる。また、重合性化合物としては、一分子中に1つまたは2つ以上の重合性官能基を有するモノマーが挙げられる。
硬化樹脂層(A)と硬化樹脂層(B)を形成するための硬化性樹脂組成物は、互いに同一であってもよいし、異なってもよい。
なお、硬化樹脂層(A)と硬化樹脂層(B)を形成するための硬化性樹脂組成物が互いに同一であっても、各層を後述する製造方法で形成することで、異なる層として判別することができる。判別の手段としては、SEM等の電子顕微鏡などによる断面観察の方法を用いるとよい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」という表現を用いる場合、「アクリレート」及び「メタクリレート」の一方又は両方を意味するものとする。「(メタ)アクリロイル」という表現を用いる場合、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の一方又は両方を意味するものとする。「(メタ)アクリル」という表現を用いる場合、「アクリル」及び「メタクリル」の一方又は両方を意味するものとし、他の類似表現も同様である。
また、本発明で用いられる(メタ)アクリロイル基を有する化合物の(メタ)アクリロイル基濃度の表現として(メタ)アクリロイル基当量(g/eq)を示すことがある。(メタ)アクリロイル基当量とは、(メタ)アクリロイル基1個あたりの平均分子量である。例えば、数平均分子量10,000の(メタ)アクリレート系化合物の1分子あたりの(メタ)アクリロイル基が10個の場合、(メタ)アクリロイル基当量は、10,000/10=1,000g/eqとなる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、(a)(メタ)アクリレートを含むことで硬化性樹脂組成物を硬化して形成した層(硬化樹脂層)の紫外線吸収剤のブリードアウト抑制効果が良好となりやすい。また、耐擦傷性、基材フィルムに対する密着性なども高めやすくなる。
(a)(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス-2-ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基を3個以上含有する3官能以上の多官能(メタ)アクリレート;これらの(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε-カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物の変性物;イソシアヌレート構造を有する多官能(メタ)アクリレート等の窒素原子含有複素環構造を有する多官能(メタ)アクリレート;デンドリマー構造を有する多官能(メタ)アクリレート、ハイパーブランチ構造を有する多官能(メタ)アクリレート等の多分岐樹脂状構造を有する多官能(メタ)アクリレート;ジイソシアネート、トリイソシアネートなどのポリイソシアネート、又はこれらの3量体(イソシアヌレート)に、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレートが付加したウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、水酸基を有する(メタ)アクリレートは、エチレン性不飽和基を2個以上有する多官能であることが好ましい。
また、上記化合物は、1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、質量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレン換算にて算出した値である。
硬化性樹脂組成物が光硬化性樹脂組成物の場合、硬化性を向上させるため、硬化性樹脂組成物は光開始剤を含有することが好ましい。光開始剤は、光重合開始剤であり、公知のものを使用することができる。光重合開始剤としては例えば、光ラジカル発生剤、光酸発生剤等が挙げられる。
硬化性樹脂組成物は、(c)溶媒により希釈されることで塗布液とするとよい。硬化性樹脂組成物は、液状の塗布液として基材フィルムに塗布し、乾燥し、かつ硬化させることで硬化樹脂層とするとよい。硬化性樹脂組成物を構成する各成分((a)成分など)は、溶媒に溶解させてもよいが、溶媒中に分散させてもよい。硬化性樹脂組成物は、(c)溶媒を含有し、かつ塗布液を乾燥かつ硬化させることで、シワ、カールなどが発生するおそれがあるが、本発明では、上記(a)成分との組み合わせと硬化樹脂層の層構成が二層構成であることにより、シワ、カールの発生が防止できる。
溶媒としては有機溶媒が好ましい。有機溶媒の具体例として、例えば、トルエン、 キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)、アニソール、フェネトール等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテート等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。これらの有機溶媒のうち、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒が好ましく使用される。
硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の主旨を損なわない範囲内で適宜、種々の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、有機顔料、有機粒子、無機粒子、難燃剤、レベリング剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、消泡剤などを併用してもよい。
ただし、硬化樹脂層は、主成分樹脂がアクリル系樹脂により構成されるアクリル系樹脂層であることが好ましい。なお、主成分樹脂とは、硬化樹脂層を構成する樹脂の中で最も質量割合の大きい樹脂の意味であり、硬化樹脂層を構成する樹脂の50質量%以上、或いは75質量%以上、或いは90質量%以上、或いは100質量%を占めればよい。
上記のとおり、硬化樹脂層は、硬化性樹脂組成物を基材フィルム表面に塗布し、乾燥して塗布層を形成し、その塗布層を硬化することで得ることができる。
また、硬化樹脂層(A)を形成した後、一旦、フィルムをロール状に巻き取った後、再度、フィルムを巻出して、硬化樹脂層(A)上に硬化性樹脂組成物を塗布し硬化させて硬化樹脂層(B)を形成するようにしてもよいし、基材フィルム表面に硬化樹脂層(A)を形成した後、連続して、硬化性組成物を塗布し硬化させて硬化樹脂層(B)を形成するようにしてもよい。本積層フィルムの製造方法はかかる方法に何ら限定されるものではない。
なお、本発明においては、後述するように、硬化樹脂層(A)と硬化樹脂層(B)とを積層する過程において、硬化樹脂層(A)を半硬化させた状態で、硬化樹脂層(B)を積層することもできる。このような方法をとることにより、基材フィルムの凹凸形状に追従せずに、非常に高平滑で滑らかな表面を有する積層フィルムを得ることができる。
硬化樹脂層(A)と硬化樹脂層(B)の塗布方法の組み合わせとして、例えば、バーコート+バーコート、バーコート+グラビアコート、グラビアコート+グラビアコートなどが挙げられる。
乾燥条件は、特に限定されず、室温付近で行ってもよいし、加熱により行ってもよく、例えば25~120℃程度、好ましくは50~100℃、より好ましくは60~90℃である。また、乾燥時間は、(c)溶媒が十分に揮発できる限り特に限定されず、例えば10秒~30分程度、好ましくは15秒~10分程度である。
本発明の積層フィルムにおいて、硬化性樹脂組成物を硬化させる際に用いることのできる活性エネルギー線には、紫外線、電子線、X線、赤外線及び可視光線が含まれる。これらの活性エネルギー線のうち硬化性と樹脂劣化防止の観点から好ましいのは紫外線及び電子線である。
硬化性樹脂組成物の硬化方法は、成形時間および生産性の観点、及び加熱による各部材の熱収縮及び熱劣化を防止できる観点などから、これらの中ではエネルギー線照射により硬化することが好ましい。エネルギー線の照射は、いずれの面側から行ってもよく、基材フィルム側から行ってもよいし、基材フィルムの反対側から行ってもよい。
本発明の積層フィルムは、基材フィルムの表面に易接着層を有してもよい。易接着層は、上記した硬化樹脂層が設けられる基材フィルムの一方の面に設けられるとよく、易接着層の表面に上記した硬化樹脂層が形成されるとよい。
易接着層を設けることで、基材フィルムに硬化樹脂層を接着させやすくなる。易接着層は、バインダー樹脂及び架橋剤を含む易接着層組成物から形成される。
これらの中でも、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、及びエポキシ化合物が好ましい。これら架橋剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
易接着層組成物における架橋剤の含有量は、固形分基準で、例えば、5~50質量%、好ましくは10~40質量%である。
また、易接着層組成物には、架橋を促進するための成分、例えば架橋触媒などが配合されていてもよい。さらに、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、帯電防止剤、
紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等を併用することも可能である。
本発明の積層フィルムは、易滑層を有してもよい。易滑層は、基材フィルムの硬化樹脂層が設けられる一方の面とは反対側の面に設けられるとよい。易滑層は、基材フィルムの表面に設けられるとよい。積層フィルムは、易滑層を有することで、滑り性が良好となる。そのため、上記の通り、積層フィルムの硬化樹脂層が設けられる側の面の平滑性を高めても、積層フィルムのロール巻き取り性及び取り扱い性が良好になる。
また、易滑層組成物におけるバインダー樹脂の含有量は、固形分基準で、例えば、20~90質量%、好ましくは30~80質量%である。易滑層組成物における架橋剤の含有量は、固形分基準で、例えば、5~50質量%、好ましくは10~40質量%である。
易滑層の厚さは、通常0.003~1μmの範囲であり、好ましくは0.005~0.6μm、さらに好ましくは0.01~0.4μmの範囲である。厚さを0.003μm以上とすることで、易滑層に含有される粒子を十分に保持でき、滑り性を付与できる。また1μm以下とすることで、外観の悪化や、ブロッキングなどを生じにくくできる。
(1)硬化樹脂層(B)の平均表面粗さ(Sa)
硬化樹脂層(B)の平均表面粗さ(Sa)は5.0nm以下であり、1~5nmの範囲であることが好ましい。
硬化樹脂層表面の平均表面粗さ(Sa)が5.0nmより大きくなると、硬化樹脂層表面の微細な凹凸によって、樹脂コーティング用支持体として用いた場合、ピンホールなどの欠陥が生じやすくなる。また、平均表面粗さ(Sa)が1nm以上であると、フィルム表面が平坦化しすぎることがなく、傷がつきにくい。
本フィルムは、樹脂コーティング用支持体に用いた際のピンホール抑制の観点から、硬化樹脂層表面(B)の平均表面粗さ(Sa)が好ましくは2~5nmである。
表面をXY面,高さ方向をZ軸とした時、A:定義された領域(画像全体とする)、Z(x,y):画像点(x,y)の高さ0の面からの高さとすると、以下のように表される。
本積層フィルムは、ピンホール抑制の観点から、硬化樹脂層表面(B)の最大山高さ(Sp)が45nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは40nm以下である。硬化樹脂層表面の最大山高さ(Sp)の下限については特に制限はされないが、フィルム取り扱い性の観点から、好ましくは1nm以上、より好ましくは3nm以上、更に好ましくは5nm以上である。
(3)硬化樹脂層表面の最短の自己相間距離(Sal)
硬化樹脂層表面(B)の最短の自己相間距離(Sal)は15μm以上であることが必要である。Salは表面の凹凸形状の滑らかさの程度を示す指標であり、この値が大きくなるほど、凹凸形状が緩やかであることを示す。したがって、Salが15μm未満であると十分な表面平滑性が得られない。Salに関して、好ましくは20μm以上がよい。
硬化樹脂層(B)表面の10nm以上の突起数は10個以下/(237.65μm×178.25μm)であることが好ましく、さらに好ましくは5個以下(237.65μm×178.25μm)以下、その中でも特に1個以下/(237.65μm×178.25μm)、最も好ましくは0個/(237.65μm×178.25μm)である。
上記範囲を満足することにより、液晶偏光膜形成用など、極めて高平滑な表面を有する樹脂シートの成形用支持体として好適である。
本発明の積層フィルムは、その表面に金属層が積層され、金属積層フィルムとして使用されることも好ましい態様の一つである。金属層は、積層フィルムの硬化樹脂層(B)側の表面に積層されるとよい。金属積層フィルムは、金属層を有することにより、金属光沢を有するようになり、意匠性を向上させることができる。
硬化樹脂層(B)側の表面は、上記の通り平滑となるので、その表面に設けられる金属層も平滑となり、かつ粒状感も見られにくくなる。
また、金属層は硬化樹脂層(B)表面の全面に設けられてもよいし、パターン化していてもよい。
スパッタリング法は、積層フィルムを真空容器内に入れ、アルゴン等の不活性ガスを導入し、直流電圧を印加して、イオン化した不活性ガスをターゲット金属に衝突させ、叩き出された金属により、積層フィルムの表面に金属層を形成する方法である。
本発明の硬化性樹脂組成物及び積層フィルムは、工業材料、光学部品、電子部品、電池用包装材など様々な分野で使用可能であるが、各種ディスプレイ、レンズ、ミラー、窓ガラス等の光学用に使用されることが好ましい。
本発明の積層フィルムは、特に高度な表面平滑性が必要とされる用途に好ましく使用され、例えば液晶偏光膜形成用支持体として有用である。また、電子機器用途、特に高速通信対応の通信端末機器用として好ましく使用される。また、電子機器用途において、筐体、ディスプレイの周辺などにおいて使用すると、表面平滑性を有することで、例えば、上記金属層を積層しても、その金属層の平滑性を確保でき、通信端末機器用として有用であり、かつ意匠性も高くなる。
本発明の積層フィルムは、ヘーズ値が低い値に維持されるので、光学部品などに使用されても、光学部品の性能を低下させることはない。
また、積層フィルムは、化粧シートなどに使用されてもよく、積層フィルムの硬化樹脂層上には、積層フィルムに意匠性を付与する意匠層などが設けられてもよい。意匠層は、樹脂層、金属層、印刷層などである。本発明では、硬化樹脂層の表面平滑性を高めることができるので、意匠層も同様に高い表面平滑性を有することが可能になる。そのため、積層フィルムの平面性が高くなることも相まって高い意匠性を有するものにすることができる。
本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
種々の物性及び特性の測定及び評価方法は、以下の通りである。
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
走査型電子顕微鏡(HITACHI製、「S3400N」)を用いて、粉体を観察した。
得られた画像データから粒子1個の大きさを測定し、10点の平均値を平均粒径とした。
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)「HLC-8120」(東ソー(株)製)を用いて測定した。カラムとしては、TSKgel G5000HXL*GMHXL-L(東 ソー(株)製)を使用した。また、標準ポリスチレンとして、F288/F80/F40 /F10/F4/F1/A5000/A1000/A500(東ソー(株)製)及びスチ レンを使用して検量線を作成した。重合体をテトラヒドロフランに濃度が0.4%になるように溶解した溶液100μlを使用してカラムオーブン温度40℃で測定を行った。標準ポリスチレン換算にて数平均分子量(Mn)を算出した。
表面粗さ測定器(アメテック(株)、「NewView」(登録商標))を用いて実施例及び比較例のポリエステルフィルムロールにおけるポリエステルフィルムの樹脂層(A)側の表面を測定し、得られた表面のプロファイル曲線より、平均表面粗さSa値、最大山高さSp値、自己相間距離(Sal)及び10nm以上の突起数を求めた。
SEMによる断面観察により、硬化樹脂層(A)及び(B)の厚み(d)を計測した。
ロール状に巻き取った試料フィルムを巻き出した状態で、蛍光灯下、反射により、フィルムのシワ発生状況を目視判定した。
(評価基準)
○・・・シワが見えない。
△・・・手で引いて消えるかまたは僅かに残る。
×・・・手で引いても消えない。
(基材フィルム)
<ポリエステル(A)>
ジメチルテレフタレート100モル%、エチレングリコール100モル%、および該モノマー100質量部に対して、酢酸カルシウム一水塩0.07質量部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノール留去させエステル交換反応を行い、反応開始後、約4時間半を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次に燐酸0.04質量部および三酸化アンチモン0.035質量部を添加し、常法に従って重合した。すなわち、反応温度を徐々に上げて、最終的に280℃とし、一方、圧力は徐々に減じて、最終的に0.05mmHgとした。4時間後、反応を終了し、常法に従い、チップ化してポリエステル(A)を得た。得られたポリエステル(A)の極限粘度は0.63であった。
<ポリエステル(B)>
上記ポリエステル(A)に平均粒径2μmのシリカ粒子を加え、シリカ粒子を0.2質量%含有するポリエステル(B)を得た。極限粘度は0.65であった。
(a)(メタ)アクリレート(硬化性樹脂)
(a1)ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)
(a2)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)
(b)光開始剤
IGMレジン社製、Omnirad127
(c)溶媒
メチルエチルケトン(MEK)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)の混合溶媒(塗布液のMEKとPGMの溶媒比率が3:7となるように配合)
ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ90質量%、10質量%の割合で混合した混合原料を最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(A)のみを中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層=1/8/1の吐出量(質量比))の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、テンターに導き、横方向に110℃で4.3倍延伸し、235℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、厚さ50μmのポリエステルフィルム(基材フィルム)を得た。
得られた試料サンプルを評価した。評価結果を表1に示す。
(硬化性樹脂(A)組成物の配合条件)
a1/b/c=100/3/309(質量部)
(硬化性樹脂(B)組成物の配合条件)
a1/b/c=100/3/309(質量部)
表1に示すように各硬化樹脂層(A)、(B)を形成するための硬化性樹脂組成物中の硬化性樹脂を変更した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
基材フィルム(PETフィルム)の表面特性を示した。参考例1はポリエステル(B)の表面特性、参考例2はポリエステル(A)の表面特性である。
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
実施例1~3は極めて高平滑であり、かつフィルム平面性も良好であることがわかった。一方、比較例1~3は同じ樹脂組成物から構成される、硬化樹脂層(1層構成)であるが、基材フィルムの凹凸形状に硬化樹脂組成物が追従するためか、得られる表面形状に関して、平滑性が不十分であった。
特に比較例3のように硬化樹脂層を厚塗りしただけでは、高度な平滑性を得るのが困難であることもわかった。
また、参考例1として、実施例1~3に用いた基材フィルムの表面粗さ(Sa)を記載しているが、前記実施例1~3のように、硬化樹脂層の合計厚み(硬化後)が1.5μmと薄膜であっても、基材フィルム表面の凹凸形状を緩和して、高度な平滑性を得ることができた。
そのレベルは参考例2に示した、高透明タイプのフィルムの表面平滑性よりもさらに高平滑化できることもわかった。
Claims (18)
- 基材フィルムの少なくとも片面に、硬化樹脂層(A)及び硬化樹脂層(B)を順次積層した構成を備えており、前記基材フィルムがポリエステルフィルムであり、前記ポリエステルフィルムの硬化樹脂層(A)と接する側の層が平均粒径0.1~5μmの粒子を含有し、下記(1)~(3)の全てを満足する積層フィルム。
(1)硬化樹脂層(B)の平均表面粗さ(Sa)が5.0nm以下であること。
(2)硬化樹脂層(B)表面の最短の自己相間距離(Sal)が15μm以上であること。
(3)硬化樹脂層(A)、硬化樹脂層(B)がともに(a)(メタ)アクリレートを含む硬化樹脂組成物の硬化物であること。 - 前記硬化樹脂層(B)表面の最大山高さ(Sp)が45nm以下である、請求項1に記載の積層フィルム。
- 前記硬化樹脂層(B)表面の10nm以上の突起数が10個/(237.65μm×178.25μm)以下である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
- 前記基材フィルムがポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである、請求項1~3の何れか1項に記載の積層フィルム。
- 前記基材フィルムが少なくとも2層構成である、請求項1~4の何れか1項に記載の積層フィルム。
- 前記基材フィルムの厚みが12~125μmである、請求項1~5の何れか1項に記載の積層フィルム。
- 前記硬化樹脂層(A)と前記硬化樹脂層(B)の合計厚みが10μm以下である、請求項1~6の何れか1項に記載の積層フィルム。
- 前記硬化樹脂層(A)及び前記硬化樹脂層(B)が、それぞれ(a)(メタ)アクリレート、(b)光開始剤、及び(c)溶媒を含む硬化性樹脂組成物を硬化させてなる、請求項1~7の何れか1項に記載の積層フィルム。
- 前記(a)(メタ)アクリレートが多官能(メタ)アクリレートを含む、請求項8に記載の積層フィルム。
- 基材フィルムの少なくとも片面側表面に、硬化性組成物を塗布し硬化させて硬化樹脂層(A)を形成した後、その上に、硬化性組成物を塗布し硬化させて硬化樹脂層(B)を形成する請求項1~9の何れか1項に記載の積層フィルムの製造方法。
- 前記硬化樹脂層(A)を設けた後、硬化樹脂層(B)を5分以内に設ける、請求項10に記載の積層フィルムの製造方法。
- 請求項1~9の何れか1項に記載の積層フィルムの前記硬化樹脂層(B)上に金属層が積層されてなる金属積層フィルム。
- 前記金属層がパターン化した金属層である、請求項12に記載の金属積層フィルム。
- 通信端末機器用である、請求項1~9の何れか1項に記載の積層フィルム。
- 通信端末機器用である、請求項12または13に記載の金属積層フィルム。
- 光学用である、請求項1~9の何れか1項に記載の積層フィルム。
- 光学用である、請求項12または13に記載の金属積層フィルム。
- 液晶偏光膜形成用である、請求項16に記載の積層フィルム。
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