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JP7768944B2 - 電子顕微鏡およびキャリブレーション方法 - Google Patents
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JP7768944B2 - 電子顕微鏡およびキャリブレーション方法 - Google Patents

電子顕微鏡およびキャリブレーション方法

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Description

本発明は、電子顕微鏡およびキャリブレーション方法に関する。
透過電子顕微鏡用のカメラとして、イメージセンサーの有感領域に、直接電子が入射する直接検出カメラが知られている。例えば、特許文献1には、透過電子顕微鏡用のカメラとして、直接検出器(イメージセンサー)を備えた直接検出カメラが開示されている。特許文献1に開示された直接検出器では、電子線を検出する半導体層を薄くすることによって、電子線と半導体層との相互作用を抑制している。これにより、電子線と半導体層の相互作用によって生じる入射電子以上の過剰信号によるノイズを低減できる。
特開2022-002317号公報
特許文献1に開示された直接検出器は、電子線に基づく画像を形成するための複数の画素を備えている。このような複数の画素を備えたイメージセンサーでは、製造誤差などにより、画素ごとに感度が異なっている場合がある。そのため、画素ごとに異なる感度を補正することができる電子顕微鏡が望まれている。
本発明に係る電子顕微鏡の一態様は、
試料に電子線を照射し、前記試料を透過した電子で結像する電子光学系と、
複数のセンサー画素を有するイメージセンサーを含み、前記イメージセンサーに電子が入射することによって前記複数のセンサー画素の各々から出力される出力値に基づくフレーム画像を撮影するカメラと、
前記複数のセンサー画素の感度を補正するための複数の補正係数を算出する補正係数算出部と、
を含み、
前記補正係数算出部は、
前記イメージセンサーに入射する電子がポアソン過程に従う条件で撮影された複数の前記フレーム画像から、前記センサー画素ごとに出力値の最頻値を求め、
前記センサー画素ごとに求めた前記最頻値を平均して平均最頻値を算出し、
前記センサー画素ごとに前記最頻値を前記平均最頻値で除算して、前記複数の補正係数を算出する。
このような電子顕微鏡では、互いに異なる感度を有する複数のセンサー画素の感度を補正できる。
本発明に係るキャリブレーション方法の一態様は、
試料に電子線を照射し、前記試料を透過した電子で結像する電子光学系と、
複数のセンサー画素を有するイメージセンサーを含み、前記イメージセンサーに電子が
入射することによって前記複数のセンサー画素の各々から出力される出力値に基づくフレーム画像を撮影するカメラと、を含む電子顕微鏡における前記イメージセンサーのキャリブレーション方法であって、
前記イメージセンサーに入射する電子がポアソン過程に従う条件で撮影された複数の前記フレーム画像から、前記センサー画素ごとに出力値の最頻値を求める工程と、
前記センサー画素ごとに求めた前記最頻値を平均して平均最頻値を算出する工程と、
前記センサー画素ごとに前記最頻値を前記平均最頻値で除算して、前記複数のセンサー画素の感度を補正するための複数の補正係数を算出する工程と、
を含む。
このようなキャリブレーション方法では、互いに異なる感度を有する複数のセンサー画素の感度を補正できる。
本発明の一実施形態に係る電子顕微鏡の構成を示す図。 撮像処理装置の構成の一例を示す図。 画像処理部の画像生成処理の流れの一例を示すフローチャート。 黒引き処理を説明するための図。 感度補正処理を説明するための図。 イメージセンサーを模式的に示す断面図。 イメージセンサーの任意のセンサー画素に1つの入射電子が入射したときの信号の発生量とその頻度を示すグラフ。 カウンティング処理を説明するための図。 補正係数算出部の処理の一例を示すフローチャート。 任意のセンサー画素の出力値のヒストグラム。 最頻値テーブルの一例を示す図。 カメラ制御部の暗時画像更新処理の一例を示すフローチャート。 カメラ制御部の暗時画像更新処理の変形例を示すフローチャート。 カメラ制御部の暗時画像更新処理の変形例を示すフローチャート。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 電子顕微鏡
まず、本発明の一実施形態に係る電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電子顕微鏡100の構成を示す図である。
電子顕微鏡100は、電子光学系10と、試料ステージ20と、カメラ30と、電子光学系制御部40と、撮像処理装置50と、を含む。
電子光学系10は、試料Sに電子線を照射し、試料Sを透過した電子で結像する。電子光学系10は、電子源12と、照射系14と、結像系16と、電子線のシャッターとしても機能する蛍光板18と、を含む。
電子源12は、電子線を放出する。電子源12は、例えば、陰極から放出された電子を陽極で加速し電子線を放出する電子銃である。
照射系14は、電子源12から放出された電子線を試料Sに照射する。例えば、照射系14は、試料Sに対して平行ビームを照射する。照射系14は、複数のコンデンサーレンズ140を含む。コンデンサーレンズ140は、電子源12から放出された電子線を集束する。図示はしないが、照射系14は、コンデンサーレンズ140以外のレンズや絞りなどを含んでいてもよい。
結像系16は、試料Sを透過した電子線で結像するための光学系である。結像系16は、対物レンズ160と、中間レンズ162と、投影レンズ164と、を含む。
対物レンズ160は、試料Sを透過した電子線でTEM像(試料像)を結像するための初段のレンズである。対物レンズ160の後焦点面には、電子回折パターンが形成される。中間レンズ162は、焦点距離を変えることによって、対物レンズ160によって形成されるTEM像または電子回折パターンに焦点を合わせる。これにより、TEM像または電子回折パターンを拡大し、投影レンズ164の物面にTEM像または電子回折パターンを形成できる。投影レンズ164は、中間レンズ162が形成した像(TEM像または電子回折パターン)を拡大し、蛍光板18上およびカメラ30上に結像する。
図示はしないが、結像系16は、対物レンズ160、中間レンズ162、および投影レンズ164以外のレンズや絞りなどを含んでいてもよい。
蛍光板18は、TEM像や電子回折パターンを可視化する。蛍光板18では、電子の衝突により蛍光物質が励起され、放出された可視光が電子の強度に対応した明暗を作る。蛍光板18は、カメラ30の前段に配置されている。蛍光板18は、電子線のシャッターを兼ねている。例えば、蛍光板18でカメラ30が配置されたカメラ室を閉じている状態では、カメラ30に電子線は入射しない。蛍光板18を跳ね上げてカメラ室を開放した状態では、カメラ30に電子線が入射し、カメラ30でTEM像や電子回折パターンを撮影できる。
試料ステージ20は、試料Sを保持している。試料ステージ20は、試料Sを傾斜させることができる。試料ステージ20は、試料ホルダー22と、ゴニオメータ24と、を含む。試料ホルダー22は、試料Sを保持している。試料ホルダー22は、ゴニオメータ24に挿入されている。ゴニオメータ24は、試料Sを傾斜させたり移動させたりすることができる。
カメラ30は、複数のセンサー画素を有するイメージセンサー32を含む。カメラ30は、電子をイメージセンサー32で直接検出する直接検出カメラ(Direct Detection Camera)である。直接検出カメラとしては、Gatan社製のK2、Gatan社製のK3、Thermo Fisher Science社製のFalcon 4、Direct
Electron社製のDE-64などが挙げられる。
ここで、電子顕微鏡用のカメラとして、間接検出カメラと直接検出カメラが知られている。間接検出カメラは、シンチレーターで電子を光に変換し、光をイメージセンサーで検出する。これに対して、直接検出カメラは、シンチレーターを用いることなく、イメージセンサー32で直接電子を検出する。直接検出カメラでは、シンチレーターで電子を光に変換する過程において光が広がることによるボケを低減できるため、高解像度の像を取得できる。さらに、直接検出カメラでは、低照射量で高いコントラストが得られる。したがって、直接検出カメラを備えた電子顕微鏡100は、生物系試料を凍結状態のまま観察するクライオ電顕などに好適である。
カメラ30は、フレーム画像を撮影する。フレーム画像は、イメージセンサー32の複数のセンサー画素に1対1に対応する複数の画像画素を有しており、複数の画像画素の各々の画素値が対応するセンサー画素の出力値に応じた値を有している。センサー画素の出力値は、センサー画素に入射した電子によって発生した信号の発生量(電荷量)に対応している。
なお、イメージセンサー32の複数のセンサー画素をまとめて1つのセンサー画素とみ
なしてもよい。すなわち、画像画素の画素値が、1つのセンサー画素とみなした複数のセンサー画素の出力値に応じた値であってもよい。
カメラ30は、イメージセンサー32に結像されたTEM像または電子回折パターンを撮影し、フレーム画像として出力する。フレームは最小撮影単位であり、フレーム画像は1フレームの撮影で得られる画像である。カメラ30は、例えば、1秒あたり400フレームの撮影が可能である。すなわち、カメラ30は、1秒あたり400枚のフレーム画像を撮影できる。電子顕微鏡100では、数百から数千フレームのフレーム画像を積算して、1つの画像(TEM像や電子回折パターン)を生成する。
イメージセンサー32は、例えば、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサー、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーなどである。イメージセンサー32としてCMOSイメージセンサーを用いることによって、CCDイメージセンサーを用いた場合と比べて、高フレームレートでフレーム画像を撮影できる。すなわち、イメージセンサー32としてCMOSイメージセンサーを用いることによって、単位時間あたりに撮影できるフレーム画像の数を多くできる。
電子光学系制御部40は、電子光学系10を制御する。電子光学系制御部40で電子光学系10を制御することによって、TEM像や電子回折パターンを結像させることができる。電子光学系制御部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と、半導体メモリ等の記憶回路と、を含む。電子光学系制御部40では、CPU等の処理回路で記憶回路に記憶されたプログラムを実行することにより、各種制御処理を行う。
撮像処理装置50は、カメラ30を制御する処理や、フレーム画像に対する画像処理、イメージセンサー32のキャリブレーション処理、暗時画像を取得する処理などの処理を行う。
図2は、撮像処理装置50の構成の一例を示す図である。
撮像処理装置50は、図2に示すように、処理部500と、操作部510と、表示部520と、記憶部530と、を含む。
操作部510は、ユーザーが操作情報を入力するためのものであり、入力された操作情報を処理部500に出力する。操作部510の機能は、キーボード、マウス、ボタン、タッチパネル、タッチパッドなどの入力機器により実現できる。
表示部520は、処理部500によって生成された画像を表示する。表示部520の機能は、LCD(Liquid Crystal Display)、タッチパネル型ディスプレイなどにより実現できる。
記憶部530は、処理部500が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部530は、処理部500の作業領域として用いられ、処理部500が各種プログラムに従って実行した算出結果等を一時的に記憶するためにも使用される。記憶部530の機能は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、およびハードディスクなどにより実現できる。
処理部500は、カメラ30を制御する処理や、フレーム画像に対する画像処理、イメージセンサー32のキャリブレーション処理、暗時画像を取得する処理などの処理を行う。処理部500の機能は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Proc
essing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などの各種プロセッサで、記憶部530に記憶されたプログラムを実行することにより実現できる。処理部500は、画像処理部502と、補正係数算出部504と、カメラ制御部506と、を含む。
画像処理部502は、カメラ30で撮影された複数のフレーム画像から1つの画像を生成する。ここでは、画像として、TEM像や電子回折パターンの画像を生成する。画像処理部502は、複数のフレーム画像に対して、黒引き処理、イメージセンサー32の各センサー画素の感度を補正する感度補正処理、カウンティング処理、および積算処理を行って、画像を生成する。各処理の詳細については後述する。
補正係数算出部504は、イメージセンサー32を構成する複数のセンサー画素の感度を補正するための複数の補正係数を算出する。画像処理部502は、感度補正処理において、補正係数算出部504が算出した複数の補正係数を用いて、イメージセンサー32の複数のセンサー画素の感度を補正する。
カメラ制御部506は、カメラ30を制御する。カメラ制御部506は、例えば、黒引き処理で用いられる暗時画像を取得する処理を行う。暗時画像は、カメラ30に電子線が入射していない状態で撮影された画像である。カメラ制御部506は、電子光学系制御部40から電子光学系10の制御情報を取得し、取得した制御情報に基づいてカメラ30を制御して、暗時画像を取得する。例えば、カメラ制御部506は、電子光学系10の制御情報に基づいてカメラ30に電子線が入射しているか否かを判定し、カメラ30に電子線が入射していないと判定した場合に、カメラ30を制御して暗時画像を取得する。
2. 画像処理部の処理
図3は、画像処理部502の画像生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
画像処理部502は、カメラ30で撮影された複数のフレーム画像から1つの画像を生成する。画像処理部502は、図3に示すように、フレーム画像の取得処理S10、黒引き処理S20、感度補正処理S30、カウンティング処理S40、および積算処理S50を行う。これにより、複数のフレーム画像から1つの画像を生成できる。以下では、カメラ30でTEM像を撮影して画像を生成する場合について説明する。
(1)フレーム画像の取得処理S10
電子光学系10において、照射系14で試料Sに電子線を照射し、結像系16で試料Sを透過した電子でイメージセンサー32上にTEM像を結像する。この状態で、カメラ制御部506は、あらかじめ設定された数のフレーム画像をカメラ30に撮影させる。これにより、カメラ30から、設定された数のフレーム画像が出力される。出力された複数のフレーム画像は、処理部500に送られる。ここでは、処理部500が、M(M>2)枚のフレーム画像を取得したものとして説明する。
(2)黒引き処理S20
次に、画像処理部502は、取得したM枚のフレーム画像の各々に対して、黒引き処理S20を行う。黒引き処理S20は、フレーム画像から暗時画像を減算する処理である。黒引き処理S20を行うことによって、イメージセンサー32の規則的なノイズを除去できる。
図4は、黒引き処理S20を説明するための図である。
図4に示すように、画像処理部502は、フレーム画像2から暗時画像4を減算する。具体的には、画像処理部502は、フレーム画像2の画像画素2aの画素値から、対応す
る暗時画像4の画像画素4aの画素値を減算する。これにより、フレーム画像2からイメージセンサー32の規則的なノイズを除去できる。黒引き処理S20によって、M枚のフレーム画像2からイメージセンサー32の規則的なノイズが除去されたM枚のフレーム画像2Aを得ることができる。なお、図4に示す例では、フレーム画像2が5×5の画像画素2aを有しているが、フレーム画像2の画素の数は、特に限定されない。例えば、フレーム画像2は、4000×4000の画像画素2aを有していてもよい。
(3)感度補正処理S30
画像処理部502は、黒引き処理されたM枚のフレーム画像2Aの各々に対して、センサー画素の感度を補正するための感度補正処理S30を行う。
図5は、感度補正処理S30を説明するための図である。
画像処理部502は、フレーム画像2Aの各画像画素2aの画素値を、補正係数を用いて補正する。記憶部530には、感度補正テーブル6が記憶されている。感度補正テーブル6は、図5に示すように、センサー画素ごとに算出された補正係数が格納されたテーブルである。感度補正テーブル6では、センサー画素の座標と、センサー画素の感度を補正するための補正係数が関連付けて登録されている。図5に示す例では、感度補正テーブル6は、イメージセンサー32を構成する複数のセンサー画素に1対1に対応する複数のセル6aを有しており、複数のセル6aの各々に補正係数が格納されている。
画像処理部502は、フレーム画像2Aの各画像画素2aの画素値を、対応するセル6aに格納された補正係数を用いて補正する。例えば、フレーム画像2Aの各画像画素2aの画素値を、対応するセル6aに格納された補正係数で除算する。感度補正処理S30によって、M枚のフレーム画像2Aからセンサー画素の感度が補正されたM枚のフレーム画像2Bを得ることができる。
(4)カウンティング処理S40
次に、画像処理部502は、センサー画素の感度が補正されたM枚のフレーム画像2Bの各々に対してカウンティング処理S40を行う。以下では、まず、カウンティング処理S40を行う理由について説明する。
カメラ30は、上述したように、イメージセンサー32で直接電子を検出する直接検出カメラである。図6は、イメージセンサー32を模式的に示す断面図である。
イメージセンサー32は、図6に示すように、支持層320と、配線層322と、有感層324と、を含む。支持層320は、配線層322および有感層324を支持している。配線層322は、有感層324上に配置されている。配線層322には、複数の配線や複数のビアなどを構成する積層された金属層を含む。また、配線層322は、配線間を絶縁するための積層された絶縁層を含む。
有感層324には、複数のフォトダイオード325が形成されている。フォトダイオード325間は、STI(shallow trench isolation)構造やLOCOS(Local Oxidation of Silicon)構造を有する素子分離部によって分離されている。1つのフォトダイオード325が1つのセンサー画素3を構成している。
有感層324は、例えば、50μm程度の厚みを有する半導体層である。フォトダイオード325に電子が入射すると光電効果により電子正孔対が発生する。イメージセンサー32では、この電子(または正孔)を電圧に変換して電気信号として読み出す。図示はしないが、各センサー画素3には、フォトダイオード325で発生した微小な電気信号を増
幅するためのアンプが形成されている。フォトダイオード325で発生した電気信号は、配線層322に形成された複数の配線によって取り出される。イメージセンサー32では、有感層324を薄くすることによって、電子線と半導体層の相互作用を抑制してノイズを低減している。
図7は、イメージセンサー32の任意のセンサー画素3に1つの入射電子が入射したときの信号の発生量(電荷量)とその頻度を示すグラフである。
1つのセンサー画素3において、光電効果による信号の発生量は、図7に示すように、ランダウ分布となる。これは、有感層324を薄くすることによって、入射電子は、有感層324内においてエネルギーが完全に消失することなく、有感層324を通過するためである。例えば、有感層324の材質がシリコンであり、有感層324の厚さが50μm以下で配線層322の厚さが10μm以下の場合、加速電圧100kV以上の電子がイメージセンサー32に入射すると、光電効果による信号の発生量は、ランダウ分布に従う。すなわち、有感層324の厚さが50μm以下、配線層322の厚さが10μm以下、加速電圧100kV以上の場合、センサー画素3の出力値は、ランダウ分布に従う。
このように、複数のセンサー画素3の各々の出力信号がランダウ分布に従うイメージセンサー32では、フレーム画像2を単純に積算して画像を生成しても、フレーム画像2の各画像画素2aの画素値と入射電子の数のリニアリティが不十分である。
そのため、画像処理部502では、フレーム画像2の各画像画素2aの画素値と入射電子の数のリニアリティを向上させるために、M枚のフレーム画像2Bの各々に対して、カウンティング処理S40を行う。カウンティング処理S40では、フレーム画像2Bを二値化して、入射電子をカウントする。
図8は、カウンティング処理S40を説明するための図である。例えば、閾値が140に設定された場合、フレーム画像2Bの各画像画素2aの画素値が140よりも大きい場合には画素値を「1」とし、画素値が140以下の場合には画素値を「0」とする。これにより、二値化されたフレーム画像2Cを得ることができる。ここで、閾値は、ノイズよりも大きい値であって、かつ、ノイズが含まれない範囲で小さい値に設定される。これにより、ノイズを入射電子としてカウントしたり、入射電子を数え落としたりする可能性を低減できる。
フレーム画像2Cでは、電子が入射したセンサー画素3に対応する画像画素2aが「1」、電子が入射していないセンサー画素3に対応する画像画素2aが「0」で表される。このように、カウンティング処理S40を行うことによって、1フレームあたりにイメージセンサー32に入射した電子の数および電子が入射したセンサー画素3の位置を知ることができる。
(5)積算処理S50
画像処理部502は、二値化されたM枚のフレーム画像2Cを積算して、TEM像を生成する。画像処理部502は、M枚のフレーム画像2Cの対応する画像画素2aの画素値を積算する。
以上の処理により、複数のフレーム画像2から、画素値と入射電子の数のリニアリティの高いTEM像を生成できる。画像処理部502は、生成したTEM像を表示部520に表示させ、画像生成処理を終了する。
3. イメージセンサーの感度補正
3.1. センサー画素の感度
イメージセンサー32では、センサー画素3ごとに感度が異なっている。イメージセンサー32は、センサー画素3ごとにアンプを備えており、感度が異なる要因の一つとして、製造誤差等によるアンプの特性のばらつきが挙げられる。
このようにセンサー画素3ごとに感度が異なる場合、各センサー画素3の出力信号が示すランダウ分布に、センサー画素3間で相対的な差が生じる。この相対的な感度の差がカウンティング処理S40に影響を及ぼす。
例えば、イメージセンサー32を構成するすべてのセンサー画素3の感度の平均よりも対象のセンサー画素3の感度が低い場合、対象のセンサー画素3において入射電子から得られる信号量が相対的に減少する。そのため、対象のセンサー画素3に電子が入射しても、カウンティング処理S40において閾値以下と判定され、入射電子としてカウントされない、すなわち、数え落としの可能性がある。また、イメージセンサー32を構成するすべてのセンサー画素3の感度の平均よりも対象のセンサー画素3の感度が高い場合、ノイズに起因する信号量が増加し、電子が入射していないにも関わらず、入射電子としてカウントされてしまう、すなわち、誤カウントの可能性がある。
したがって、互いに異なる感度を有する複数のセンサー画素3の感度を補正することによって、カウンティング処理S40の精度を向上できる。
感度を補正するためのキャリブレーション方法として、例えば可視光の検出を目的としたCMOSイメージセンサーの場合、均一照明を用いて各センサー画素の出力値を得た後、この各センサー画素の出力値がセンサー画素間で均一となるようにセンサー画素ごとに正規化係数を算出して補正係数を求める方法がある。しかしながら、イメージセンサー32では、入射電子から得られる信号量がランダウ分布に従うため、この方法では補正係数を算出できない。
3.2. センサー画素の感度のキャリブレーション方法
図9は、補正係数算出部504の処理の一例を示すフローチャートである。
まず、補正係数算出部504は、イメージセンサー32に入射する電子がポアソン過程に従う条件において撮影された複数のフレーム画像2を取得する(S100)。
フレーム画像2の撮影は、まず、イメージセンサー32に入射する電子がポアソン過程に従うように電子光学系10を調整する。具体的には、試料Sが存在しない真空部分に電子線を照射し、電子線がイメージセンサー32に対して一様に照射される平行照射条件となるように電子光学系10を調整する。この状態で、1フレームあたりに各センサー画素3に入射する電子の数の平均と分散が一致するように電子光学系10を調整する。また、1フレームあたりに各センサー画素3に入射する電子の数の平均を1個よりも小さくする。1フレームあたりに各センサー画素3に入射する電子の数の平均は、0.1個以下、すなわち、0.1e-/pixel/frame以下であることが好ましい。電子光学系10を調整することで、1フレームあたりに各センサー画素3に入射する電子の数を調整できる。このような条件で、イメージセンサー32に電子を照射することによって、ポアソン過程が成立する。
なお、ここでは、イメージセンサー32の1つのセンサー画素3に入射した電子は、隣接するセンサー画素3に侵入しないものとする。
次に、イメージセンサー32に入射する電子がポアソン過程に従う条件でイメージセン
サー32に電子を照射し、あらかじめ設定された数のフレーム画像2をカメラ30で撮影する。例えば、数百枚から数千枚程度のフレーム画像2を撮影する。フレーム画像2の数が多いほど、統計ゆらぎを減少できる。ここでは、N(N>2)枚のフレーム画像2を取得したものとして説明する。
以上の工程により、N枚のフレーム画像2を撮影できる。カメラ30で撮影されたN枚のフレーム画像2は、撮像処理装置50に送られる。これにより、補正係数算出部504は、N枚のフレーム画像2を取得できる。
上述したN枚のフレーム画像2を撮影する処理は、カメラ制御部506が、電子光学系制御部40およびカメラ30を制御して自動で行われる。なお、ユーザーが、電子顕微鏡100を操作することによって、N枚のフレーム画像2を撮影してもよい。
また、上述したN枚のフレーム画像2を取得する処理S100では、フレーム画像2の各画像画素2aの値が画素値である場合について説明したが、フレーム画像2の各画像画素2aの値が電圧値であってもよい。すなわち、センサー画素3の出力値は、画素値であってもよいし、電圧値であってもよい。
次に、補正係数算出部504は、取得したN枚のフレーム画像2から、センサー画素3ごとに出力値の情報を取得して、センサー画素3ごとに出力値のヒストグラムを作成する(S102)。
補正係数算出部504は、N枚のフレーム画像2の各々から同じ座標の画像画素2aの画素値を抽出する。これにより、同じ座標の画像画素2aごとに、N個の画素値が得られる。画像画素2aの画素値は、対応するセンサー画素3の出力値に応じた値を有している。したがって、N個のフレーム画像2からセンサー画素3ごとにN個の出力値が得られる。すなわち、各センサー画素3ごとに、出力値をN個サンプリングする。
補正係数算出部504は、センサー画素3ごとに取得した出力値の情報から、センサー画素3ごとにヒストグラムを作成する。
図10は、任意のセンサー画素3の出力値のヒストグラムである。図10に示すセンサー画素3の出力値のヒストグラムは、横軸がセンサー画素3の出力値、縦軸が頻度で表される。
次に、補正係数算出部504は、ヒストグラムから出力値の最頻値を算出する(S104)。出力値の最頻値は、ヒストグラムのピークの位置である。図10に示す任意のセンサー画素3の出力値のヒストグラムから算出した最頻値は、876であった。補正係数算出部504は、センサー画素3ごとに作成したヒストグラムから、センサー画素3ごとに最頻値を求める。
補正係数算出部504は、求めた最頻値とセンサー画素3の位置を対応づけて最頻値テーブル8を作成する。
図11は、最頻値テーブル8の一例を示す図である。最頻値テーブル8は、複数のセンサー画素3に対応する複数のセル8aを有している。センサー画素3ごとに求めた最頻値は、その最頻値が得られたセンサー画素3に対応する座標のセル8aに格納される。
次に、補正係数算出部504は、センサー画素3ごとに求めた最頻値を平均して、平均最頻値を算出する(S106)。
補正係数算出部504は、最頻値テーブル8に格納されたすべての最頻値の和を、センサー画素3(セル8a)の数で除算することで、平均最頻値を求める。図11に示す最頻値テーブル8から算出した平均最頻値は、873.76であった。
次に、補正係数算出部504は、センサー画素3ごとに求めた最頻値を平均最頻値で除算して、複数の補正係数を求める(S108)。
最頻値テーブル8の各セル8aに格納された最頻値を、平均最頻値で除算する。これにより、図5に示す感度補正テーブル6を作成できる。感度補正テーブル6は、イメージセンサー32を構成する複数のセンサー画素3に1対1に対応する複数のセル6aを有している。各セル6aには対応するセンサー画素3から出力された出力値を補正するための補正係数が格納されている。
補正係数算出部504は、感度補正テーブル6を作成した後、処理を終了する。上述したように、図3に示す感度補正処理S30では、感度補正テーブル6を用いて各センサー画素3の感度を補正する。これにより、各センサー画素3の感度のキャリブレーションができる。
4. 暗時画像の取得
4.1. 暗時画像
黒引き処理S20では、暗時画像4を用いる。暗時画像4は、カメラ30に電子線が入射していない状態で撮影された画像である。ここで、センサー画素3の出力値は、オフセットされている。例えば、オフセットが60の場合、カメラ30に電子線が入射していない状態でのセンサー画素3の出力値は、60となる。カメラ30では、イメージセンサー32が直接電子を検出するため、イメージセンサー32が電子線により損傷する。この損傷によってノイズが増加すると、ノイズの分だけイメージセンサー32の出力値も増加する。例えば、オフセットが60、ノイズにより増加した出力値が50であった場合、カメラ30に電子線が入射していない状態でのセンサー画素3の出力値は110となる。
このように、電子線損傷によりセンサー画素3の出力値は変化するため、黒引き処理S20に用いられる暗時画像4は更新されることが望ましい。電子顕微鏡100では、自動で暗時画像4を更新できる。
具体的には、電子顕微鏡100では、カメラ制御部506が電子光学系制御部40から電子光学系10の制御情報を取得し、取得した制御情報に基づいてカメラ30を制御して、暗時画像4を取得する。カメラ制御部506は、電子光学系10の制御情報に基づいて、カメラ30に電子が入射していないか否かを判定し、カメラ30に電子が入射していないと判定した場合に、カメラ30を制御して暗時画像4を取得する。
また、イメージセンサー32の電子線による損傷が進んでノイズが増加すると、カウンティング処理S40の精度が低下してしまう。そのため、電子顕微鏡100では、カメラ制御部506が、暗時画像4に基づいてイメージセンサー32の損傷度合いを判定し、判定結果に応じてユーザーにイメージセンサー32を交換するように通知する。
4.2. 暗時画像更新処理
図12は、カメラ制御部506の暗時画像更新処理の一例を示すフローチャートである。
まず、カメラ制御部506は、電子光学系制御部40から電子光学系10の制御情報を
取得する(S200)。電子光学系10の制御情報は、電子光学系10を構成する各部の状態の情報を含む。電子光学系制御部40と撮像処理装置50とは、例えば、シリアルケーブル等を介して通信可能に接続されている。電子光学系制御部40は、例えば、カメラ制御部506の要求に応じて電子光学系10の制御情報を撮像処理装置50に送る。
カメラ制御部506は、電子光学系10の制御情報に基づいて、カメラ30に電子が入射しているか否かを判定する(S202)。カメラ制御部506は、例えば、電子源12から電子線が放出されていない状態、蛍光板18が閉じている状態、または、不図示の電子源12のブランキング装置が電子線を遮断している状態のときに、カメラ30に電子が入射していないと判定する。これらの状態は、電子光学系10の制御情報から知ることができる。
カメラ制御部506は、カメラ30に電子が入射していると判定した場合(S202のYes)、処理S200に戻って、電子光学系10の制御情報を取得する(S200)。カメラ制御部506は、カメラ30に電子が入射していないと判定するまで、電子光学系10の制御情報を取得する処理S200および判定処理S202を繰り返す。
カメラ制御部506は、カメラ30に電子が入射していないと判定した場合(S202のNo)、カメラ30を制御して暗時画像4を取得する(S204)。カメラ制御部506は、カメラ30に電子が入射していない状態で、カメラ30にフレーム画像2の撮影を実行させる。これにより、暗時画像4を取得できる。暗時画像4は、カメラ30に電子が入射していない状態で撮影された1枚のフレーム画像2であってもよいし、カメラ30に電子が入射していない状態で撮影された複数のフレーム画像2を平均した画像であってもよい。
カメラ制御部506は、取得した暗時画像4を黒引き処理S20用の暗時画像4として記憶部530に記憶させる(S206)。
カメラ制御部506は、暗時画像4を取得してから所定時間経過したか否かを判定する(S208)。ここで、所定時間は、暗時画像4を取得してから次の暗時画像4を取得するまでの時間である。所定時間は、あらかじめ設定されている。所定時間は、例えば、24時間でもよいし、168時間であってもよい。ユーザーが所定時間を任意に設定可能であってもよい。カメラ制御部506は、処理S204で暗時画像4を取得してから所定時間経過するまで待機する(S208のNo)。
カメラ制御部506は、所定時間経過したと判定した場合(S208のYes)、電子光学系制御部40から電子光学系10の制御情報を取得する(S210)。そして、カメラ制御部506は、電子光学系10の制御情報に基づいて、カメラ30に電子が入射しているか否かを判定する(S212)。
カメラ制御部506は、カメラ30に電子が入射していると判定した場合(S212のYes)、処理S210に戻って、電子光学系10の制御情報を取得する(S210)。カメラ制御部506は、カメラ30に電子が入射していないと判定するまで、電子光学系10の制御情報を取得する処理S210および判定処理S212を繰り返す。
カメラ制御部506は、カメラ30に電子が入射していないと判定した場合(S212のNo)、カメラ30を制御して、暗時画像4を取得する(S214)。
電子光学系10の制御情報を取得する処理S210、電子が入射しているか否かを判定する処理S212、および暗時画像4を取得する処理S214は、それぞれ処理S200
、処理S202、および処理S204と同様に行われる。なお、以下では、処理S214で新規に取得した暗時画像4を新規暗時画像4Aといい、黒引き処理S20用の暗時画像4として記憶部530に記憶されている暗時画像4を既存暗時画像4Bという。
次に、カメラ制御部506は、新規暗時画像4Aと既存暗時画像4Bを比較して、新規暗時画像4Aの複数の画像画素4aの画素値が、電子線損傷により増加したか否かを判定する(S216)。
例えば、カメラ制御部506は、新規暗時画像4Aの複数の画像画素4aの画素値の平均値(平均画素値)と、既存暗時画像4Bの複数の画像画素4aの画素値の平均値(平均画素値)を比較する。カメラ制御部506は、新規暗時画像4Aの平均画素値が、既存暗時画像4Bの平均画素値よりも大きい場合に、電子線損傷により画素値が増加したと判定する。
カメラ制御部506は、電子線損傷により画素値が増加したと判定した場合(S216のYes)、新規暗時画像4Aを黒引き処理S20用の暗時画像4として記憶部530に記憶させる(S222)。このとき、記憶部530に記憶されていた既存暗時画像4Bは、消去される。このようにして、黒引き処理S20用の暗時画像4が更新される。
次に、カメラ制御部506は、記憶部530に記憶された暗時画像4の平均画素値が閾値よりも大きいか否かを判定する(S220)。閾値は、あらかじめ設定されていてもよいし、ユーザーが任意の値に設定可能であってもよい。
カメラ制御部506は、暗時画像4の平均画素値が閾値よりも大きいと判定した場合(S220のYes)、ユーザーにイメージセンサー32を交換するように通知する(S222)。
カメラ制御部506は、例えば、表示部520にイメージセンサー32の交換を促すメッセージを表示する。なお、通知方法は、メッセージによる通知に限定されず、音や、振動、光などを用いて通知してもよい。
カメラ制御部506は、電子線損傷により画素値が増加していないと判定した場合(S216のNo)、暗時画像4の平均画素値が閾値よりも大きくないと判定した場合(S220のNo)、および通知処理S222の後、ユーザーが暗時画像更新処理を終了する指示を行ったか否かを判定する(S224)。例えば、カメラ制御部506は、操作部510を介して、ユーザーが暗時画像更新処理を終了する指示を入力した場合に、ユーザーが終了指示を行ったと判定する。
カメラ制御部506は、ユーザーが終了指示を行っていない判定した場合(S224のNo)、処理S208に戻って、暗時画像4を取得してから所定時間経過したか否かを判定する(S208)。カメラ制御部506は、処理S214で暗時画像4を取得してから所定時間経過するまで待機する(S208のNo)。
このように、カメラ制御部506は、処理S208、処理S210、処理S212、処理S214、処理S216、処理S218、処理S220、処理S222、処理S224を、ユーザーが終了指示を行ったと判定されるまで繰り返す。
カメラ制御部506は、ユーザーが終了指示を行ったと判定した場合(S224のYes)、暗時画像更新処理を終了する。
5. 効果
電子顕微鏡100は、試料Sに電子線を照射し、試料Sを透過した電子で結像する電子光学系10と、複数のセンサー画素3を有するイメージセンサー32を含み、イメージセンサー32に電子が入射することによって複数のセンサー画素3の各々から出力される出力値に基づくフレーム画像2を撮影するカメラ30と、複数のセンサー画素3の感度を補正するための複数の補正係数を算出する補正係数算出部504と、を含む。また、補正係数算出部504は、イメージセンサー32に入射する電子がポアソン過程に従う条件で撮影された複数のフレーム画像2からセンサー画素3ごとに出力値の最頻値を求め、センサー画素3ごとに求めた最頻値に基づいて、複数の補正係数を算出する。
そのため、電子顕微鏡100では、互いに異なる感度を有する複数のセンサー画素3の感度を補正できる。これにより、カウンティング処理S40の精度を向上できる。
電子顕微鏡100では、補正係数算出部504は、センサー画素3ごとに求めた最頻値を平均して平均最頻値を算出し、センサー画素3ごとに最頻値を平均最頻値で除算して複数の補正係数を算出する。そのため、電子顕微鏡100では、イメージセンサー32に電子が入射することによって複数のセンサー画素3の各々から出力される出力値がランダウ分布に従うイメージセンサー32である場合でも、互いに異なる感度を有する複数のセンサー画素3の感度を補正するための複数の補正係数を算出できる。
電子顕微鏡100では、カメラ30は、電子をイメージセンサー32で直接検出する直接検出カメラである。そのため、電子顕微鏡100では、解像度の高いTEM像を取得できる。
電子顕微鏡100では、電子光学系10を制御する電子光学系制御部40と、カメラ30を制御するカメラ制御部506と、を含み、カメラ制御部506は、電子光学系制御部40から電子光学系10の制御情報を取得し、取得した制御情報に基づいてカメラ30を制御して、暗時画像4を取得する。そのため、電子顕微鏡100では、暗時画像4を自動で取得できる。
電子顕微鏡100では、カメラ制御部506は、電子光学系10の制御情報に基づいて、カメラ30に電子が入射しているか否かを判定し、カメラ30に電子が入射していないと判定した場合に、カメラ30を制御して暗時画像4を取得する。そのため、電子顕微鏡100では、暗時画像4を自動で取得できる。
電子顕微鏡100におけるイメージセンサー32のキャリブレーション方法は、イメージセンサー32に入射する電子がポアソン過程に従う条件で撮影された複数のフレーム画像2から、センサー画素3ごとに出力値の最頻値を求める工程と、センサー画素3ごとに求めた最頻値に基づいて、複数のセンサー画素3の感度を補正するための複数の補正係数を算出する工程と、を含む。そのため、互いに異なる感度を有する複数のセンサー画素3の感度を補正できる。したがって、カウンティング処理S40の精度を向上できる。
6. 変形例
6.1. 第1変形例
上述した実施形態では、イメージセンサー32の1つのセンサー画素3に入射した電子は、隣接するセンサー画素3に侵入しないものとして説明したが、1つのセンサー画素3に入射した電子が隣接する他のセンサー画素3に侵入する場合がある。この場合、例えば、図9に示すフレーム画像2を取得する処理S100において、フレーム画像2を取得する枚数を増やすことによって、出力値のサンプリング数を増やす。これにより、1つのセンサー画素3に入射した電子が隣接する他のセンサー画素3に侵入することによる影響を
低減できる。
6.2. 第2変形例
上述した実施形態では、イメージセンサー32の1つのセンサー画素3に入射した電子は、隣接するセンサー画素3に侵入しないものとして説明したが、1つのセンサー画素3に入射した電子が隣接する他のセンサー画素3に侵入する場合がある。
この場合、イメージセンサー32に入射した電子の数と、フレーム画像2において特定される電子の数が一致しない。そのため、イメージセンサー32に入射した電子の数と、フレーム画像2において特定される電子の数を一致させるための処理を行う。例えば、注目する1つの画像画素2aと当該1つの画像画素2aに隣接する複数の画像画素2aを1つのグループとして、各画像画素2aの画素値から重心位置を求めて、重心位置と重なる画像画素2aを電子が入射したセンサー画素3に対応する画像画素2aとする。このように複数の画像画素2aを1つのグループにまとめるグルーピングの手法を用いて、電子が入射したセンサー画素3を特定してもよい。
6.3. 第3変形例
図13は、カメラ制御部506の暗時画像更新処理の変形例を示すフローチャートである。
上述した図12に示す暗時画像更新処理では、カメラ制御部506は、新規暗時画像4Aと既存暗時画像4Bを比較して、新規暗時画像4Aの複数の画像画素4aの画素値が、電子線損傷により増加したか否かを判定した(S216)。すなわち、図12に示す暗時画像更新処理では、電子線損傷により画素値が増加した場合に、暗時画像4を更新した。
これに対して、図13に示すように、判定処理S216を行わなくてもよい。すなわち、処理S214で新規暗時画像4Aを取得した後、常に、新規暗時画像4Aを黒引き処理S20用の暗時画像4として記憶部530に記憶させ、記憶部530から既存暗時画像4Bを消去する。このように、暗時画像更新処理において、常に、最新の暗時画像4を黒引き処理S20用の暗時画像4としてもよい。
6.4. 第4変形例
図14は、カメラ制御部506の暗時画像更新処理の変形例を示すフローチャートである。
上述した図12に示す暗時画像更新処理では、カメラ制御部506は、暗時画像4を取得してから所定時間経過したか否かを判定する処理S208を行った。すなわち、図12に示す暗時画像更新処理では、所定時間経過したと判定され(S208のYes)、かつ、カメラ30に電子が入射していないと判定された(S212のNo)場合に、暗時画像4を取得した(S214)。
これに対して、図14に示す暗時画像更新処理では、カメラ制御部506は、ユーザーが暗時画像4の取得を開始する指示を行ったか否かを判定する処理S209を行う。すなわち、図13に示す暗時画像更新処理では、ユーザーが暗時画像4の取得を開始する指示を行ったと判定され(S209のYes)、かつ、カメラ30に電子が入射していないと判定された(S212のNo)場合に、暗時画像4を取得する(S214)。
カメラ制御部506は、例えば、操作部510を介してユーザーが暗時画像4の取得を開始する指示を入力した場合に、ユーザーが暗時画像4の取得を開始する指示を行ったと判定する。
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
2…フレーム画像、2A…フレーム画像、2B…フレーム画像、2C…フレーム画像、2a…画像画素、3…センサー画素、4…暗時画像、4A…新規暗時画像、4B…既存暗時画像、4a…画像画素、6…感度補正テーブル、6a…セル、8…最頻値テーブル、8a…セル、10…電子光学系、12…電子源、14…照射系、16…結像系、18…蛍光板、20…試料ステージ、22…試料ホルダー、24…ゴニオメータ、30…カメラ、32…イメージセンサー、40…電子光学系制御部、50…撮像処理装置、100…電子顕微鏡、140…コンデンサーレンズ、160…対物レンズ、162…中間レンズ、164…投影レンズ、320…支持層、322…配線層、324…有感層、325…フォトダイオード、500…処理部、502…画像処理部、504…補正係数算出部、506…カメラ制御部、510…操作部、520…表示部、530…記憶部

Claims (6)

  1. 試料に電子線を照射し、前記試料を透過した電子で結像する電子光学系と、
    複数のセンサー画素を有するイメージセンサーを含み、前記イメージセンサーに電子が入射することによって前記複数のセンサー画素の各々から出力される出力値に基づくフレーム画像を撮影するカメラと、
    前記複数のセンサー画素の感度を補正するための複数の補正係数を算出する補正係数算出部と、
    を含み、
    前記補正係数算出部は、
    前記イメージセンサーに入射する電子がポアソン過程に従う条件で撮影された複数の前記フレーム画像から、前記センサー画素ごとに出力値の最頻値を求め、
    前記センサー画素ごとに求めた前記最頻値を平均して平均最頻値を算出し、
    前記センサー画素ごとに前記最頻値を前記平均最頻値で除算して、前記複数の補正係数を算出する、電子顕微鏡。
  2. 請求項において、
    前記イメージセンサーは、前記イメージセンサーに電子が入射することによって前記複数のセンサー画素の各々から出力される出力値がランダウ分布に従うセンサーである、電子顕微鏡。
  3. 請求項において、
    前記カメラは、電子を前記イメージセンサーで直接検出する直接検出カメラである、電子顕微鏡。
  4. 請求項1ないしのいずれか1項において、
    前記電子光学系を制御する電子光学系制御部と、
    前記カメラを制御するカメラ制御部と、
    を含み、
    前記カメラ制御部は、
    前記電子光学系制御部から前記電子光学系の制御情報を取得し、
    取得した前記制御情報に基づいて前記カメラを制御して、暗時画像を取得する、電子顕微鏡。
  5. 請求項において、
    前記カメラ制御部は、
    前記制御情報に基づいて、前記カメラに電子が入射しているか否かを判定し、
    前記カメラに電子が入射していないと判定した場合に、前記カメラを制御して前記暗時画像を取得する、電子顕微鏡。
  6. 試料に電子線を照射し、前記試料を透過した電子で結像する電子光学系と、
    複数のセンサー画素を有するイメージセンサーを含み、前記イメージセンサーに電子が入射することによって前記複数のセンサー画素の各々から出力される出力値に基づくフレーム画像を撮影するカメラと、を含む電子顕微鏡における前記イメージセンサーのキャリブレーション方法であって、
    前記イメージセンサーに入射する電子がポアソン過程に従う条件で撮影された複数の前記フレーム画像から、前記センサー画素ごとに出力値の最頻値を求める工程と、
    前記センサー画素ごとに求めた前記最頻値を平均して平均最頻値を算出する工程と、
    前記センサー画素ごとに前記最頻値を前記平均最頻値で除算して、前記複数のセンサー画素の感度を補正するための複数の補正係数を算出する工程と、
    を含む、キャリブレーション方法。
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