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JP7771105B2 - 鉄分で栄養強化した茶系飲料 - Google Patents
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JP7771105B2 - 鉄分で栄養強化した茶系飲料 - Google Patents

鉄分で栄養強化した茶系飲料

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Description

本発明は、健康的で、消費者が受け入れ可能な飲料の提供を対象とする。特に、本発明は、そのような飲料において、鉄分を含むが、鉄分の存在に典型的に伴う色の変化又は暗色化を受けない茶系飲料を対象とする。
鉄分不足は、人々の間で一般的なことである。世界保健機関のコーデックス食品規格(CODEX Alimentarius)には、植物性食品を多く含む食事(主にインドで消費されているもの等)の場合、鉄分の栄養参照量(NRV)は22mgと記載されている。しかしながら、地球の人口の6分の1超は、栄養学的な鉄分不足を抱えていることが公知である。貧血は、鉄分不足でよく見られる結果である。
食品を鉄分で栄養強化することは、鉄分不足の人々に鉄分を供給する1つの方法である。このことは、平均的な鉄分摂取量が推奨栄養摂取量の50~80%に過ぎないインド等の国々で特に求められている。また、インドでは、国民の大部分が菜食主義者であるため、この鉄分は、非ヘム鉄としてしか入手できない。
食品及び飲料の栄養強化に用いられる一般的な鉄分供給源としては、硫酸第一鉄、乳酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、ビスグリシン酸第一鉄、及びクエン酸第一鉄等が挙げられる。元素の鉄及び一部の第二鉄塩等の不溶性又は難溶性の鉄分供給源は、生物学的利用能が低いため、可溶性の形態の鉄が好ましい。
茶は、人気があり、安く入手可能な飲料であり、世界中で消費されている。従って、茶を鉄化合物で栄養強化することは、鉄分を供給する優れた方法であろう。しかしながら、茶の中に存在するポリフェノールは、鉄化合物と錯体を形成し、暗色である不溶性の鉄-ポリフェノール錯体を形成するため、可溶性の鉄分供給源で茶を栄養強化することは周知の課題である。これらの錯体は茶飲料の製造中に形成され、製造された茶の液体は、色がより暗くなり、栄養強化されていない茶とは異なる色を有する。鉄分で茶を栄養強化することに起因するそのような官能上の変化は、消費者に受け入れられないため、この課題に対する解決手段がこれまで模索されてきた。
WO10116379は、鉄塩で茶を栄養強化することに伴う課題を対象とし、そのような鉄分栄養強化の目的のために一般に入手可能な鉄塩のいずれかを茶に添加すると、茶ポリフェノールがそのような鉄塩と錯体形成を引き起こし、その結果、茶が変色することになると指摘する。従って、WO10116379には、通常の茶を99.5~99.88パーセント、鉄塩を0.1~0.3パーセント、及びデンプン基剤を0.02~0.2パーセント有し、鉄塩が、ビスグリシン硫酸第一鉄及びトリスグリシン酸第二鉄から選択される、乾燥させた鉄分栄養強化茶を提供することが開示されている。WO10116379は、デンプン基剤を用いて茶の変色の課題に対処しようとしていることに留意されたい。WO10116379では、いかなる色補正成分も採用していないし、開示もしていない。
IN01402CH2005は、食品/栄養補助食品用栄養強化剤の調製方法であって、栄養強化剤が色適合性の金属アミノ酸キレート又は色適合性の金属尿素錯体を含み、調製された有色の金属アミノ酸キレート及び/又は有色の金属尿素錯体等の栄養強化剤を、所望量の金属イオン封鎖剤を含む溶液に溶解させ、続いて任意選択で酸を添加して、乾燥させ、食品/栄養補助食品と混合してもよい又は食品/栄養補助食品に噴霧し、乾燥させてもよい無色の溶液を得て、その色に変化を受けない栄養強化食品/栄養補助食品を得ることを特徴とする、食品/栄養補助食品用栄養強化剤の調製方法を請求する。
IN01402CH2005には、「金属」は、人体に必要とされるマクロ又はミクロの栄養素として必要な金属として理解すべきであり、「アミノ酸」は、炭酸のアミドとみなされる尿素又はチオ尿素を含む任意のアミノ酸として理解すべきであると記載されている。
IN01402CH2005には、金属アミノ酸キレートが、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、カリウム、セレン、亜鉛等から選択されうる、少なくとも11種の供給源が挙げられている。また、IN01402CH2005には、金属イオン封鎖剤が、ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、ポリリン酸アンモニウム、骨質リン酸塩、クエン酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム、グルコン酸カルシウム、ポリリン酸カルシウム、硫酸カルシウム、クエン酸、リン酸水素二カリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ピロリン酸二ナトリウム、DL-酒石酸、グルコノデルタラクトン、クエン酸イソプロピル混合物、L(+)酒石酸、オキシステアリン、三リン酸五ナトリウム、リン酸、クエン酸二水素カリウム、リン酸二水素カリウム、ポリリン酸カリウム、L(+)酒石酸カリウムナトリウム、二酢酸ナトリウム、クエン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、L(+)酒石酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ソルビトール、ソルビトールシロップ、クエン酸ステアリル、ピロリン酸四ナトリウム、クエン酸トリエチル、クエン酸三カリウム、リン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、リン酸三ナトリウム、又はそれらの組合せ等から選択されうる、40を超える種の様々な化合物も挙げられている。
IN01402CH2005には、「ビスグリシン酸第一鉄」等のアミノ酸キレートが、はるかに最も生物学的に利用可能で、毒性が低く、食品成分との反応に対して不活性であり、所望の官能特性に合った淡白な味であることが見出されたことも言及されている。
WO10116379 IN01402CH2005
「Tea: Cultivation to consumption」(K.C. Wilson & M.N. Clifford編、1992年発行)
しかしながら、更に以下で述べるように、ビスグリシン酸第一鉄は、茶との反応に対して不活性ではなく、意外にも、ビスグリシン酸第一鉄が添加された茶系飲料の色に望ましくない変化を引き起こす。これは、特に、実際に沸騰するまで茶を加熱する場合である。
本発明の製品は、言及したように、菜食主義者である国民の大部分にとって、鉄が非ヘム鉄としてしか入手できない例えばインド等における人々に特に適している。また、インドにおける茶の抽出が、実際に沸騰するまで茶を加熱する等の特有の特徴を有することにも、注目すべきである。そのような抽出は、不溶性の鉄-ポリフェノール錯体の形成を引き起こすのに特に有効であるため、そのような栄養強化された茶の中にある1種又は複数種の鉄分供給源は、特に色の変化及び暗色化を引き起こしやすい。従って、いかなる色補正物質も、色の変化及び暗色化を防ぐのに特に有効でなければならない。
この度、本発明者らは、鉄分供給源としてビスグリシン酸第一鉄(ビスグリシン酸Fe)を用いて栄養強化された茶系飲料を提供することが可能であることを見出した。ビスグリシン酸Feは、典型的には、抽出された製品の望ましくない暗色化等の官能上の問題、特に、茶の抽出が実際に沸騰するまで茶を加熱することを伴う場合の官能上の原因となるが、本発明者らは、この度、ビスグリシン酸FeをNa2H2EDTAと組み合わせて提供すると、得られる抽出製品は、ビスグリシン酸Feを用いた栄養強化に伴う暗色化又は他の色への変化を受けないことを見出した。
ビスグリシン酸Fe及びNa2H2EDTAは、茶の製造の過程で組み入れることができる。また、ビスグリシン酸Fe及びNa2H2EDTAは、茶葉をベースにした飲料製品、レディ・トゥ・ドリンク形態、水溶性茶粉末若しくは顆粒、又は液体茶飲料にも適切に使用することができる。
得られた茶の液体は、良好な色及び透明度を有し、鉄分で栄養強化されており、暗色化及び色の変化等の鉄分栄養強化茶に見られる劣悪な視覚的及び感覚的特性を全く有さない。
従って、本発明は、
a)茶成分、
b)ビスグリシン酸Fe、及び
c)Na2H2EDTA
を含む、製品を提供する。
好ましくは、製品は、飲料前駆体である。即ち、製品は、茶系飲料の製造原料である茶成分を含む。好ましくは、茶成分は、抽出対象の茶葉、又は溶解対象の茶粉末、又は溶解対象の茶顆粒である。
好ましくは、茶成分は、植物カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)に由来する。
好ましくは、茶成分は、緑茶又は紅茶である。
より好ましくは、茶成分は、紅茶である。
茶成分は、茶葉、又は茶抽出物、又は茶粉末、又は茶顆粒であってもよい。
好ましくは、茶成分は、茶葉である。
より好ましくは、茶成分は、紅茶葉である。
好ましくは、製品は、茶成分を乾燥質量で95~99.9質量%含み、より好ましくは97~99.5質量%含み、更に好ましくは98~99質量%含み、最も好ましくは約98.5質量%含む。
好ましくは、製品は、ビスグリシン酸Feを乾燥質量で0.03~3質量%含み、より好ましくはビスグリシン酸Feを乾燥質量で0.1~1質量%含み、更に好ましくはビスグリシン酸Feを乾燥質量で0.2~0.5質量%含み、最も好ましくはビスグリシン酸Feを乾燥質量で約0.4質量%含む。
好ましくは、製品は、Na2H2EDTAを乾燥質量で0.07~7質量%含み、より好ましくはNa2H2EDTAを乾燥質量で0.2~5質量%含み、更に好ましくはNa2H2EDTAを乾燥質量で0.5~2質量%含み、最も好ましくはNa2H2EDTAを乾燥質量で約1質量%含む。
好ましくは、製品に含まれるNa2H2EDTA:ビスグリシン酸Feのモル比は、0.5:1~4:1であり、より好ましくは0.75:1~3.5:1であり、更に好ましくは1:1~3:1であり、一層好ましくは1.5:1~3:1であり、最も好ましくは約2:1である。
製品
本発明は、茶成分を含む鉄分栄養強化製品に関する。本発明の製品は、例えばアイスティー等のボトル入り茶系飲料、茶葉系飲料製品、レディ・トゥ・ドリンク形態、水溶性茶粉末若しくは茶顆粒、又は液体茶飲料等のレディ・トゥ・ドリンク茶を包含する。
本発明は、特に、飲料前駆体製品、即ち、茶が乾燥した形態で提供され、消費者によって水が加えられることになる製品を対象とする。従って、茶成分は、抽出されることになる茶葉であってもよく、又は溶解されることになる茶粉末であってもよく、又は溶解されることになる茶顆粒であってもよく、又はそれらの組合せであってもよい。
茶成分
本発明の目的のため、「茶」とは、カメリア・シネンシス変種シネンシス(Camellia sinensis var. sinensis)及び/又はカメリア・シネンシス変種アッサミカ(Camellia sinensis var. assamica)由来の材料を意味する。用語「茶葉」とは、チャノキ由来の葉及び/又は茎の未浸出形態の材料(即ち、溶媒抽出工程に供されていない材料)を指す。換言すれば、用語「茶葉」とは、茶の製造の最終製品(「調製茶(made tea)」と称されることもある)を指す。
本明細書で使用する場合、用語「紅茶」とは、実質的に発酵した茶を指し、「発酵」とは、ある種の内因性酵素と基質とが一緒にされたときに茶が受ける酸化及び加水分解の過程を指す。いわゆる発酵の過程で、葉及び/又は茎中の無色のカテキンは、黄色/橙色から暗褐色のポリフェノール物質の複合混合物に変換される。例えば、紅茶葉は、生の茶材料から、萎凋、温浸、発酵、及び乾燥の工程により製造することができる。紅茶の製造のより詳細な説明は、「Tea: Cultivation to consumption」(K.C. Wilson & M.N. Clifford編、1992年発行)の第14章に見出すことができる。
従って、本発明の茶成分は、植物カメリア・シネンシス由来であってもよい。茶成分は、緑茶であってもよいし、又は紅茶であってもよいが、茶成分は紅茶であることが好ましい。茶成分は、茶葉であってもよいし、又は茶抽出物であってもよいし、又は茶粉末であってもよい。茶成分は、茶葉であることが好ましい。より好ましくは、茶成分は、紅茶葉である。
茶系飲料の期待される官能特性、必要なレベルのポリフェノール、又はその両方を届けるために、製品は、茶成分を乾燥質量で95~99.9質量%含み、より好ましくは97~99.5質量%含み、更に好ましくは98~99質量%含み、最も好ましくは約98.5質量%含む。
製品は、茶成分を1人分当たり1g~10g含んでもよく、より好ましくは茶成分を1人分当たり1.25g~5g含んでもよく、更に好ましくは茶成分を1人分当たり1.5g~4g含んでもよく、最も好ましくは茶成分を1人分当たり約2g含んでもよい。
本明細書で使用する場合、用語「1人分」とは、1回の提供に必要な製品の量を意味する。レディ・トゥ・ドリンク製品の場合、1人分は、典型的には、200~300mlのボトル又は缶となる。飲料前駆体製品(即ち、茶が乾燥した形態で提供され、消費者によって水が加えられることになる製品)については、1人分は、飲料を作るのに必要な飲料前駆体製品の量である。
鉄分供給源
本発明の製品は、鉄分で栄養強化されている。具体的には、本発明の製品は、ビスグリシン酸Feで栄養強化されている。
ビスグリシン酸Feは、CAS番号20150-34-9、式C4H8FeN2O4、及び下記の構造:
を有する。
ビスグリシン酸Feの同義語としては、ビスグリシン酸鉄、ビスグリシン酸第一鉄、及びビスグリシン鉄(II)塩等が挙げられる。
述べたように、本発明により、製品は、暗色化又は色の変化を受けることなく、高いレベルの鉄分栄養強化を提供することができる。製品は、ビスグリシン酸Feを乾燥質量で0.03~3質量%含んでもよく、より好ましくはビスグリシン酸Feを乾燥質量で0.1~1質量%含んでもよく、更に好ましくはビスグリシン酸Feを乾燥質量で0.2~0.5質量%含んでもよく、最も好ましくはビスグリシン酸Feを乾燥質量で約0.4質量%含んでもよい。
製品は、ビスグリシン酸Feを1人分当たり1~30mg含んでもよく、より好ましくはビスグリシン酸Feを1人分当たり2.5~20mg含んでもよく、更に好ましくはビスグリシン酸Feを1人分当たり5~15mg含んでもよく、最も好ましくはビスグリシン酸Feを1人分当たり約10mg含んでもよい。
世界保健機関のコーデックス食品規格には、植物性食品を多く含む食事(主にインドで消費されているもの等)について、鉄分の栄養参照量(NRV)は22mgと記載されている。色補正物質の存在により、製品は、暗色化又は色の変化を受けることなく、高いレベルの鉄分を含むことができる。従って、製品は、鉄分を1人分当たり上記NRVの1~50%含んでもよく、好ましくは鉄分を1人分当たり該NRVの2~35%含んでもよく、より好ましくは鉄分を1人分当たり該NRVの3~20%含んでもよく、更に好ましくは鉄分を1人分当たり該NRVの4~10%含んでもよく、最も好ましくは鉄分を1人分当たり該NRVの約5%含んでもよい。
製品は、鉄分を1人分当たり0.05mg~10mg含んでもよく、好ましくは鉄分を1人分当たり0.1mg~7.5mg含んでもよく、より好ましくは鉄分を1人分当たり0.25mg~5mg含んでもよく、更に好ましくは鉄分を1人分当たり0.5mg~2mg含んでもよく、最も好ましくは、鉄分を1人分当たり約1mg含んでもよい。
誤解を避けるため、鉄分それ自体を質量で表す場合は、その質量は、製品の1人分における鉄それ自体の量を指すのであり、鉄分供給源の量を指すのではない。例えば、鉄分1mgは、鉄イオン1mgを意味し、ビスグリシン酸Fe1mgを意味しない。
色補正物質
本発明の製品は、ビスグリシン酸Feが茶系製品に提供される場合に引き起こされる色の変化を防ぐ色補正成分を採用する。この目的のため、本発明は、Na2H2EDTAを採用する。
Na2H2EDTAは、CAS番号6381-92-6、式C10H14N2Na2O8、及び下記の構造:
を有する。
Na2H2EDTAの同義語としては、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物、EDTA二ナトリウム塩、EDTA-Na2、エダタミル、エデト酸二ナトリウム塩二水和物、及びSequestrene(登録商標) Na2等が挙げられる。
製品は、Na2H2EDTAを乾燥質量で0.07~7質量%含んでもよく、より好ましくはNa2H2EDTAを乾燥質量で0.2~5質量%含んでもよく、更に好ましくはNa2H2EDTAを乾燥質量で0.5~2質量%含んでもよく、最も好ましくはNa2H2EDTAを乾燥質量で約1質量%含んでもよい。
製品は、Na2H2EDTAを1人分当たり5~100mg含んでもよく、より好ましくはNa2H2EDTAを1人分当たり10~60mg含んでもよく、更に好ましくはNa2H2EDTAを1人分当たり15~45mg含んでもよく、最も好ましくはNa2H2EDTAを1人分当たり約35mg含んでもよい。
色補正物質:鉄分供給源のモル比
製品に含まれるNa2H2EDTA:ビスグリシン酸Feのモル比は、0.5:1~4:1であり、好ましくは0.75:1~3.5:1であり、より好ましくは1:1~3:1であり、更に好ましくは1.5:1~3:1であり、最も好ましくは約2:1である。
以上述べたように、本発明は、請求項に記載の鉄分供給源と色補正物質との組合せの使用により、茶系飲料の鉄分栄養強化に伴う暗色化及び色の変化を補正することが可能であることを見出した。
暗色補正係数及び全体色補正係数
茶系飲料の色及び暗色は、CIE 1976 L*a*b*色空間の座標を用いて表すことができる。CIE L*a*b*値は、ISO/CIEの共同規格(ISO 11664-4:2008(CE);CIE S 014-4/E:2007)に基づく比色分析により測定できる。色は、3つの値
- 黒(0)から白(100)までの明度L*、
- 緑(-)から赤(+)までのa*、及び
- 青(-)から黄(+)までのb*
として表わされる。
試料を互いに比較して、これらL*、a*、及びb*の値の差(ΔL*、Δa*、Δb*)を測定し、これらの値から、全体の色差であるデルタE*(ΔE*)も計算できる。
ΔL*値及びΔE*値は、通常の栄養強化されていない茶系飲料の暗色及び色をそれぞれ測定し、それを様々な鉄分供給源及び色補正物質候補を含む茶系飲料と比較するために用いることができるので、本発明の文脈では特に興味深いことを理解されたい。
本発明は、Na2H2EDTAを利用して、暗色及び全体的な色が、栄養強化されていない茶系飲料に可能な限り近くなるように、ビスグリシン酸Feに起因する暗色及び全体的な色の変化を補正した鉄分栄養強化茶系飲料を届ける製品を提供しようとするものである。これは、それぞれ「暗色補正係数」(DCF)及び「全体色補正係数」(OCCF)として表すことができる。
DCFは、下記のように計算される。
DCF=L*試料-L*ブランク
- 式中、L*試料は、本発明による製品から得られる栄養強化及び色補正がされた茶系飲料のL*値であり、
- 式中、L*ブランクは、茶成分のみを有し、鉄分供給源又は色補正物質を全く有さない同じ茶製品のL*値である。
従って、DCF値は、好ましくは-5~10であり、より好ましくは-4~7.5であり、更に好ましくは-3~5であり、更に一層好ましくは-2~4であり、最も好ましくは-0.5~3である。
OCCFは、下記のように計算される。
OCCF=E*試料-E*ブランク
- 式中、E*試料は、本発明による製品から得られる栄養強化及び色補正がされた茶系飲料のE*値であり、
- 式中、E*ブランクは、茶成分のみを有し、鉄分供給源又は色補正物質を全く有さない同じ茶製品のE*値である。
従って、OCCF値は、好ましくは0~15であり、より好ましくは0~10であり、更に好ましくは0~9であり、更に一層好ましくは1~8であり、最も好ましくは3~7である。
好ましくは、DCF及びOCCFは、40℃での茶系飲料から計算される。
本明細書で使用する場合、用語「を含む」は、用語「から本質的になる」及び「からなる」を包含する。本明細書に含まれる全てのパーセント及び比は、別段に明記しない限り、質量で計算される。任意の値又は量の範囲を指定する場合、任意の特定の上限値又は上限量を任意の特定の下限値又は下限量と対応付けることができることに留意されたい。
実施例及び比較例を除き、材料の量、反応の条件、材料の物理的性質、及び/又は使用を示す記載における全ての数字は、「約」という文言が先行するものとして理解されるべきである。
上記の個々の項で言及した本発明の実施形態の様々な特徴は、適宜、他の項にも準用される。従って、ある項で規定した特徴を他の項で規定した特徴と適宜組み合わせてもよい。本明細書に見出される本発明の開示は、互いに多数項に従属するものとして請求項中に見出されるような全ての実施形態を包含すると考えるべきである。本明細書で使用する全ての技術的及び科学的用語は、別段に定義しない限り、茶の加工の分野における当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。
それでは、以下の非限定的な実施例を参照して、本発明を例示する。
ビスグリシン酸Feが2種類の異なる茶飲料の色に及ぼす影響を評価した。また、これらの色の変化を補正する様々な化合物の能力も試験した。
材料
2種類の茶飲料を試験した。
- 実施例1 - ポーランドから調達したLipton Yellow Labelのティーバッグ(ポーランドの地元スーパーマーケットから購入した)
- 実施例2 - KSA(サウジアラビア王国)から調達したLipton Yellow Labelのばら詰めの茶、ばら詰めの茶(KSAの地元スーパーから購入した)
試験した鉄分供給源は、下記の通りである。
- ビスグリシン酸Fe(CAS番号20150-34-9)、鉄23.2質量%含有(供給元:Dr. Paul Lohmann GmbH & Co. KGaA社、Hauptstrasse 2、31860 Emmerthal、Germany)
試験した色補正物質候補は、下記の通りである。
- ピロリン酸ナトリウム二塩基性(二塩基性NaPP)(CAS番号:7758-16-9)
○ 供給元:Sigma-Aldrich社
- アスコルビン酸(CAS番号:50-81-7)
○ 供給元:Huijbregts Groep B.V.社
- クエン酸・H2O(CAS番号:77-92-9)
○ 供給元:Merck社
- Na2H2EDTA・2H2O(CAS番号6381-92-6)
○ 供給元:VWR Chemicals社、注文番号20302
試料の調製
茶飲料
茶飲料を以下のように調製した。
(実施例1)
- ポーランドから調達したLipton Yellow Labelのティーバッグ1袋を陶磁器のマグカップに入れた。
- 沸騰させた水200mlを加え、ティーバッグを2分間浸して(水がティーバッグに接触した時点でタイマーをスタートさせた)、茶の液体を得た。
- ティーバッグを茶の液体から持ち上げ、5秒間滴らせた後、取り除いた。
- 茶の液体に砂糖6.5gを加え、その後、以下で述べる分析に用いた。
(実施例2)
- KSAから調達したLipton Yellow Labelの11gを金属製ポットに入れ、沸騰させた水580mlを加えて、約4回提供する分の調製を模擬した。
- ポットに蓋をし、コンロにポットを乗せて穏やかに沸騰させるのに十分な加熱下に置いた。
- 茶を攪拌せずに3分間沸騰させて(茶を加えた後、水が沸騰し始めた時点でタイマーをスタートさせた)、茶の液体を得た。
- その茶の液体を濾し器で濾して、茶の液体130mlを4回提供する分を得た。
- 茶の液体の1回の提供分に砂糖6gを加え、その後、以下で述べる分析に用いた。
試験の組合せ
Table 1(表1)及びTable2(表2)に示す量の鉄分供給源及び/又は色補正物質候補を乾燥した茶と共に添加することによって、上記の茶の手順に従って試験試料を調製した。
色補正物質候補を使用した場合は、色補正物質候補を、表に示すように色補正物質候補:鉄分供給源由来の鉄が約3:1~約2:1のモル比を供給する量で添加した。
比色分析
Table 1(表1)及びTable 2(表2)に示す茶試料のそれぞれ20mlの一定分量を石英のキュベットに移し、以下の通り、CIE L*a*b*分析を行った。
Hunterlab社Ultrascan VIS分光光度計(波長:360~780nm)を用いて、試料の色を測定した。この研究では、透過色を測定した。
センサーは、ランプからの光を拡散させるためにSpectraflect(登録商標)でコーティングされている、直径6インチ(152.4mm)のプラスチックの積分球を用いた。光を試料に照らし、試料を透過させた。レンズは、試料面に対して垂直な方向から8°の角度で配置した。レンズで透過光を集め、その透過光を回折格子に向け、その回折格子で透過光をその波長成分へと分離し、デュアルダイオードアレイによりその波長成分を測定し、データに変換した。
センサーの中央に位置する透過区画は、液体の透過色を測定するために用いた。標定及び測定を行っている間は、透過区画の扉を閉じた。透過セルのホルダーは、10mmの透過セルに一定分量を収納した。取り付けるために、透過セルのホルダーを、透過区画の中央、透過区画の最も幅の広い部分に設置した。
透過セルは、一定の経路長10mmの光学的に透明なガラスセルを用意した。透過セルの寸法は、55mm×57mm(幅×高さ)であった。測定用の試料の最小体積は、20mlであった。測定は、全透過モード(TTRAN)で行った。セルは、分光光度計内部の透過区画の前面にある球体の開口部に設置した。
測定
分光光度計は、可視スペクトルにわたって透過率値の積分を行って三刺激値X、Y、及びZを得るEasyMatch QCソフトウェアにより制御した。これらの値は、1931 2°標準観察者又は1964 CIE 10°標準観察者(CIE XYZ)で定義された、人間の観察者の等色応答関数をシミュレートする。
装置の設定
センサー名:USVIS1666-Ultrascan VIS
モードタイプ:TTRAN-全透過
視野域:1インチ
UVフィルター位置:UVF定格
ΔE*及びΔL*の計算
ΔE*及びΔL*の計算は、Hunterlab社ソフトウェアにより計算されるL*a*b*値を利用した。
Δa*及びΔb*の計算
Δa*=a*試料-a*ブランク
Δb*=b*試料-b*ブランク
ΔL*の計算
ΔL*=L*試料-L*ブランク
ΔL*は、明暗の差を示す(+ΔL*は、「ブランク」試料より明るいことを意味し、-ΔL*は、「ブランク」試料より暗いことを意味する)。
ΔE*の計算
L*のデルタ(ΔL*)、a*のデルタ(Δa*)、及びb*のデルタ(Δb*)は、ある試料と「ブランク」試料が、L*、a*及びb*において、互いにどの程度相違するかを示す。ΔL*、Δa*、及びΔb*は、正(+)又は負(-)でありうる。しかしながら、全体の色差であるデルタE*(ΔE*)は常に正である。
比色分析の結果
Table 1(表1)及びTable 2(表2)の末尾の欄に、比色分析の結果を示す。
- ΔE*は、それぞれの「ブランク」試料に対する色の変化を示す。
- ΔL*は、「ブランク」試料と比較して、茶が暗くなっているか(負の数字)、又は明るくなっているか(正の数字)を示す。
Table 1(表1)は、ビスグリシン酸Fe単独(A.Ex1)が、有意な色の変化(36.7)及び暗色化(-27.2)を引き起こすことを示す。また、この色の変化及び暗色化は、二塩基性NaPPによっても、アスコルビン酸によっても、クエン酸によっても補正されない(B.Ex1、C.Ex1、D.Ex1)。しかしながら、Na2H2EDTAを使用した場合(1.Ex1)、Na2H2EDTAが、色の変化(3.5)及び暗色化(2.2)を鉄分供給源なしの茶(ブランク)とほぼ同じにまで劇的に減少させる優れた色補正物質として作用することがわかる。
更に、Table 2(表2)は、Na2H2EDTAが、より過酷な抽出過程で調製された別の茶製品にも有効であることを示す。ビスグリシン酸Fe単独(A.Ex2)は、有意な色の変化(56.1)及び暗色化(-29.4)を引き起こすことがわかる。また、この色の変化及び暗色化は、二塩基性NaPPによっても、アスコルビン酸によっても、クエン酸によっても補正されない(B.Ex2、C.Ex2、D.Ex2)。しかしながら、Na2H2EDTAを使用した場合(1.Ex2、2.Ex2)、Na2H2EDTAが、色の変化(6.2、2.4)及び暗色化(2.7、-0.3)を鉄分供給源なしの茶(ブランク)とほぼ同じにまで劇的に減少させる優れた色補正物質として作用することがわかる。
従って、本発明者らは、色の変化又は暗色化を受けない鉄分栄養強化茶系飲料を提供するため、ビスグリシン酸FeとNa2H2EDTAとの組合せの独特な能力を特定した。特に、Na2H2EDTAの使用により、茶の抽出が、実際に沸騰するまで茶を加熱することを伴う場合でも、ビスグリシン酸Feに起因する色の変化又は暗色化を防ぐことができる。

Claims (5)

  1. a)製品全体の乾燥質量に対し、乾燥質量で95~99.9質量%の茶成分、
    b)製品全体の乾燥質量に対し、乾燥質量で0.03~3質量%のビスグリシン酸Fe、及び
    c)製品全体の乾燥質量に対し、乾燥質量で0.07~7質量%のNaEDTA
    を含み、
    前記茶成分が、茶葉である、製品。
  2. 飲料前駆体である、請求項1に記載の製品。
  3. 茶成分が、植物カメリア・シネンシスに由来する、請求項1又は2に記載の製品。
  4. 茶成分が、紅茶である、請求項1から3のいずれか一項に記載の製品。
  5. 製品に含まれるNaEDTA:ビスグリシン酸Fe由来のFeのモル比が、0.5:1~4:1である、請求項1からのいずれか一項に記載の製品。
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