JP7772170B2 - 多層フィルム、包装材及び包装体 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の一実施形態に係る多層フィルムの断面図である。多層フィルム10は、第一の外層1aと、内層2と、第二の外層1bと、をこの順に備える。多層フィルムは、ポリプロピレン系無延伸シーラントフィルムとして用いることができる。
第一の外層及び第二の外層は、プロピレン単独重合体(A)、及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)を含有する。第一の外層及び第二の外層は、プロピレン単独重合体(A)、及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)から形成されてよい。第一の外層及び第二の外層をまとめて、単に外層という場合がある。第一の外層及び第二の外層は同一の組成を有していてもよく、異なる組成を有していてもよい。包装材として用いられる場合、第一の外層がヒートシール層としての役割を有し、内容物に接するように配置される。
プロピレン単独重合体(A)は、その製造方法が特に制限されるものではないが、例えばチーグラー・ナッタ型触媒、メタロセン触媒、又はハーフメタロセン触媒を用いて、プロピレンを単独重合する方法により得ることができる。外層がプロピレン単独重合体(A)を含有することにより、外層に優れた耐熱性を付与することができる。
プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)は、その製造方法が特に制限されるものではないが、例えばチーグラー・ナッタ型触媒、メタロセン触媒、又はハーフメタロセン触媒を用いて、プロピレンからなる主モノマー中にコモノマーとしてエチレンを共重合することにより得ることができる。外層がプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)を含有することにより、優れた透明性を有する多層フィルムを得ることができる。
内層は、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)を含有する。内層は、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)から形成されてよい。
プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)は、第一工程でプロピレン重合体(C1)を製造し、次いで、第二工程で気相重合によりエチレン-プロピレン共重合体(C2)を製造することで得ることができる共重合体である。プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)は、プロピレン重合体末端とエチレン-プロピレン共重合体末端が結合されたブロック共重合体ではなく、一種のブレンド系の共重合体である。内層がプロピレン・エチレンブロック共重合体(C)を含有することにより、フィルムの柔軟性が維持され、レトルト処理後にヒートシール部のエッジ切れを抑制でき、優れたヒートシール性を得易い。
エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)は、例えばヘキサン、ヘプタン、灯油等の不活性炭化水素、又はプロピレン等の液化α-オレフィン溶媒の存在下で行うスラリー重合法、無溶媒下の気相重合法などにより得ることができる。具体的には、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)は、公知の多段重合法を用いて得られる。すなわち、第1段の反応でプロピレン及び/又はプロピレン-α-オレフィン重合体を重合した後、第2段の反応でプロピレンとα-オレフィンとの共重合により得ることができる、重合型高ゴム含有ポリプロピレン系樹脂である。内層がエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)を含有することにより、フィルムに柔軟性を付与し易く、ヒートシール部のエッジ切れを抑制でき、優れたヒートシール性を得易く、また優れた耐寒衝撃性を得易い。
内層及び第二の外層の少なくともいずれかは、酸化亜鉛粒子をさらに含有する。酸化亜鉛粒子の含有量は、多層フィルムの単位面積当たり0.030~0.25g/m2とすることができ、0.045~0.18g/m2であってよく、0.09~0.15g/m2であってよい。酸化亜鉛粒子の含有量が下限以上であることで、優れた臭気吸着性を得ることができ、上限以下であることで、優れた透明性を発現することができる。多層フィルムの単位面積とは、内層にのみ酸化亜鉛粒子が含まれる場合は内層の単位面積と、第二の外層にのみ酸化亜鉛粒子が含まれる場合は第二の外層の単位面積と、それぞれ言うことができる。各層における酸化亜鉛粒子の含有量は、酸化亜鉛粒子の添加量や、層の厚さを変更することで調整することができる。
酸化亜鉛粒子を配合した多層フィルムをエポキシ樹脂で包埋した後、ダイヤモンドナイフ装着のウルトラミクロトームでトリミング、面出し、超薄切片を作製する。その後、走査透過電子顕微鏡を用いて、超薄切片(酸化亜鉛粒子を配合した層)の断面を観察倍率50000倍で観察する。3D再構成ソフト「Composer」により、観察画像の三次元再構成像を作成する。その後、画像解析ソフト(FEI社製 型番Avizo2019.2)を用いて、3281nm×3281nm×625nmの範囲で観察された酸化亜鉛粒子それぞれの体積を算出し、その体積と等しい球の直径を算出し、その平均値を平均球相当径とする。
多層フィルムを製造する方法は特に制限されるものではなく、公知の方法を使用することが可能である。例えば、熱成形加工の方法としては、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等が挙げられる。作業性を考慮した場合、単軸スクリュー押出機又は2軸スクリュー押出機を使用することができる。単軸押出機を用いる場合、スクリューとしては、フルフライトスクリュー、ミキシングエレメントを持つスクリュー、バリアフライトスクリュー、フルーテッドスクリュー等が挙げられ、これらを特に制限なく使用することができる。2軸混練装置としては、同方向回転2軸スクリュー押出機、異方向回転2軸スクリュー押出機等を用いることができ、またスクリュー形状としてはフルフライトスクリュー、ニーディングディスクタイプ等特に限定なく用いることができる。
多層フィルムは、単体フィルムとして用いてもよく、基材と積層して用いてもよく、その包装材としての使用方法は特に制限されるものではない。
包装体は上記の包装材から製袋されてよく、その製袋様式に関してはとくに制限されない。例えば上記の包装材(積層体)は、多層フィルムをシール材とする、平袋、三方袋、合掌袋、ガゼット袋、スタンディングパウチ、スパウト付きパウチ、ビーク付きパウチ等に用いることが可能である。
以下に示すプロピレン単独重合体(A)、プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)、酸化亜鉛マスターバッチ(E)及び(F)を準備した。
示差走査熱量測定(JIS K 7121)をした際の、融解開始温度が153℃、融解ピーク温度が159℃であり、かつメルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が3.0g/10分であるプロピレン単独重合体。
示差走査熱量測定(JIS K 7121)をした際の、融解開始温度が142℃、融解ピーク温度が147℃、ΔHh/ΔHlが1.84であり、かつエチレン含有量が3.4質量%であるプロピレン・エチレンランダム共重合体。
ΔHh/ΔHlは、示差走査熱量測定(JIS K 7121)をした際の、測定温度135℃より高温側の融解熱量ΔHhと、低温側の融解熱量ΔHlとの比率である。図3は、プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)の総融解熱量と135℃で融解熱量を分割した結果を表す図である。
メルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が2.0g/10分であり、プロピレン重合体77.1質量%及びエチレン-プロピレン共重合体22.9質量%を含有し、エチレン-プロピレン共重合体に含まれるエチレン含有量が28.7質量%であるプロピレン・エチレンブロック共重合体。
メルトフローレート(MFR:ISO 1133)(温度230℃、荷重2.16kg)が0.6g/10分であり、かつプロピレン含有量/エチレン含有量が2.7であるエチレン・プロピレン共重合体エラストマー。
一次粒径が35nmであり、かつ粒子表面に高密度シリカ層とポリシロキサン層を順にコーティング処理を行った酸化亜鉛粒子20質量%と、ポリプロピレン系樹脂80質量%とを溶融混合した酸化亜鉛マスターバッチ。
一次粒径が35nmであり、粒子表面にコーティング処理を行っていない酸化亜鉛粒子20質量%と、ポリプロピレン系樹脂80質量%とを溶融混合した酸化亜鉛マスターバッチ。
(実施例1)
外層形成用に、プロピレン単独重合体(A)50質量部及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)50質量部をペレット状態で混合した樹脂混合体を用いた。また、内層形成用に、プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)67.8質量部及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)32.2質量部をペレット状態で混合し、更に酸化亜鉛マスターバッチ(E)をプロピレン・エチレンブロック共重合体(C)とエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)100質量部に対して、0.63質量部混合し、層形成後の内層中の酸化亜鉛含有量が0.045g/m2になるように調整した樹脂混合体を用いた。それぞれの原料を250℃に温調した押出機に供給し、溶融状態にて混錬して、フィードブロックを持つTダイ押出機にて第一の外層及び第二の外層の厚さがそれぞれ10μm、内層の厚さが40μmとなるように積層し、実施例1のフィルムを作製した。
酸化亜鉛マスターバッチ(E)の配合割合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2のフィルムを作製した。
酸化亜鉛マスターバッチ(E)を酸化亜鉛マスターバッチ(F)に変更した以外は、実施例2と同様にして実施例3のフィルムを作製した。
酸化亜鉛マスターバッチ(F)の配合割合を表1に示すように変更した以外は、実施例3と同様にして実施例4のフィルムを作製した。
酸化亜鉛マスターバッチ(E)の配合割合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして実施例5のフィルムを作製した。
酸化亜鉛マスターバッチ(E)を配合する層を第二の外層に変更し、酸化亜鉛マスターバッチ(E)をプロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)100質量部に対して、5.21質量部混合した樹脂混合体を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例6のフィルムを作製した。
酸化亜鉛マスターバッチ(E)の配合割合を表1に示すように変更した以外は、実施例6と同様にして実施例7のフィルムを作製した。
酸化亜鉛マスターバッチ(E)の配合割合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1のフィルムを作製した。
酸化亜鉛マスターバッチ(F)の配合割合を表1に示すように変更した以外は、実施例3と同様にして比較例2のフィルムを作製した。
酸化亜鉛マスターバッチ(E)の配合割合を表1に示すように変更した以外は、実施例6と同様にして比較例3のフィルムを作製した。
酸化亜鉛マスターバッチ(F)の配合割合を表1に示すように変更した以外は、実施例3と同様にして比較例4のフィルムを作製した。
酸化亜鉛マスターバッチ(E)の配合割合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして比較例5のフィルムを作製した。
各例で得られたフィルムに対し以下の評価を行った。結果を表1に示す。
各例で得られたフィルムをエポキシ樹脂で包埋した後、ダイヤモンドナイフ装着のウルトラミクロトームでトリミング、面出し、超薄切片を作製した。その後、走査透過電子顕微鏡を用いて、超薄切片(酸化亜鉛粒子を配合した層)の断面を観察倍率50000倍で観察したのち、3D再構成ソフト「Composer」により、観察画像の三次元再構成像を作成した。その後、画像解析ソフト(FEI社製 型番Avizo2019.2)を用いて、3281nm×3281nm×625nmの範囲で観察された酸化亜鉛粒子それぞれの体積を算出し、その体積と等しい球の直径を算出し、その平均値を平均球相当径とした。図4は、実施例1にて作製されたフィルム中の酸化亜鉛粒子の球相当径分布図である。
各例で得られたフィルム(ポリプロピレン多層フィルム)の第一の外層同士を対向させて、テスター産業株式会社製のヒートシーラーを用いて、シール圧0.2MPa、シール時間1秒間、シール幅5mm、シール温度200℃の条件でヒートシールした。その後、水を充填し、135℃で40分間レトルト処理を行った。JISK7136に記載されているヘーズの測定方法に則り、村上色彩技術研究所製のヘーズメーター(型番HM-150)を用いて、レトルト処理を行ったフィルムの評価を実施した。
厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)と、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルム(ONy)と、厚さ7μmのAL箔と、各例で得られたフィルム(ポリプロピレン系フィルム)を、ウレタン系接着剤を用いて通常のドライラミネート法で貼り合せ、次の構成の積層体を形成した。
積層体構成:PET/接着剤/ONy/接着剤/AL箔/接着剤/ポリプロピレン系フィルム
この積層体の、ポリプロピレン系フィルム同士を対向させて、テスター産業株式会社製のヒートシーラーを用いて、シール圧0.2MPa、シール時間1秒間、シール幅5mm、シール温度200℃の条件でヒートシールし、包装袋(3方袋)を作製した。その後、L-システインを0.03質量%含むシステイン水溶液を包装袋に充填し、135℃で40分間レトルト処理を行った。レトルト処理後、包装袋中の溶液を採取し、株式会社共立理化学研究所製のパックテスト(型番WAK-S)を用いて、硫化水素減少率の測定を行った。硫化水素減少率の算出は、採取した溶液とパックテスト試薬を反応させた後、分光光度計で波長668nmの吸光度を測定し、酸化亜鉛を配合していない包装袋で測定した吸光度に対する、各例で得られたフィルムを用いて評価した吸光度の減少率より算出した。
上述と同様の方法にて包装袋(3方袋)を作製したのち、水を充填し、135℃で40分間レトルト処理を行った。レトルト処理を行ったフィルムを15mm幅×80mmに切出し、株式会社島津製作所製の引張試験機を用いて、300mm/minの引張速度でT字剥離を行い、ヒートシール強度を測定した。
株式会社東洋精機製のフィルムインパクトテスターを用いて、温度-5℃、秤量1.5J、弾頭サイズ1.5インチの条件で、各例で得られたフィルムの耐寒衝撃性評価を実施した。
Claims (8)
- プロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・エチレンランダム共重合体(B)を含有する、ヒートシール層である外層と、
プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)を含有する内層と、を備え、
前記内層が酸化亜鉛粒子をさらに含有し、前記酸化亜鉛粒子の含有量が、多層フィルムの単位面積当たり0.030~0.25g/m2である、多層フィルム。 - 前記酸化亜鉛粒子の平均球相当径が100nm以下である、請求項1に記載の多層フィルム。
- 前記外層が、前記プロピレン単独重合体(A)70~30質量部、及びエチレン含有量が5質量%以下である前記プロピレン・エチレンランダム共重合体(B)30~70質量部を含有する、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- 前記内層が、前記プロピレン・エチレンブロック共重合体(C)90~50質量部及び前記エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(D)10~50質量部を含有する、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- 前記内層の厚さが30μm以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の多層フィルム。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載の多層フィルムと、前記多層フィルムの前記内層側に基材と、を備える包装材。
- 前記基材が二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、又は透明蒸着フィルムである、請求項6に記載の包装材。
- 請求項6又は7に記載の包装材から製袋された包装体。
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