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JP7779042B2 - 周配向断面円弧状、ラジアル配向断面円弧状、または集中配向断面矩形の板磁石、ならびにその製造方法 - Google Patents
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JP7779042B2 - 周配向断面円弧状、ラジアル配向断面円弧状、または集中配向断面矩形の板磁石、ならびにその製造方法 - Google Patents

周配向断面円弧状、ラジアル配向断面円弧状、または集中配向断面矩形の板磁石、ならびにその製造方法

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本発明は周配向断面円弧状、ラジアル配向断面円弧状、または集中配向断面矩形の板磁石、ならびにその製造方法に関する。
配向方向が制御された板状の磁石として、例えば、周配向断面円弧状、ラジアル配向断面円弧状、および集中配向断面矩形の板磁石が挙げられる。
ラジアル配向断面円弧状の板磁石の製造方法として、例えば特許文献1には、ラジアル配向焼結Nd-Fe-B系瓦状磁性体の製造方法であって、(工程1)ストリップキャスト法によってNd-Fe-B系合金薄片を製造し、Nd-Fe-B系合金薄片を水素化処理工程、ジェットミル工程を経てNd-Fe-B系合金粉末とし、(工程2)前記Nd-Fe-B系合金粉末をラジアル配向用の金型に入れ、粉末充填、着磁及び成形工程を以下の2回行うものであり、(工程2-1)第1次粉末充填、着磁及びプリプレスであって、必要な重量W1の焼結Nd-Fe-B系合金粉末を秤量し、これを直流磁場プレス機内に設置した前記金型に投入し、磁場及び成形圧力を調整して第1次素地を形成し、(工程2-2)第2次合金粉末充填、着磁及び最終成形であって、必要な重量W2の焼結Nd-Fe-B系合金粉末を秤量し、これを前記第1次素地が入った状態の前記直流磁場プレス機内の前記金型に投入し、磁場及び成形圧力を調整し、第2次素地を形成し、(工程3)上記2回の成形及び配向後の素地を焼結処理及び時効処理し、必要なラジアル配向を行った前記焼結Nd-Fe-B系瓦状磁性体を作成する、ことを特徴とするラジアル配向焼結Nd-Fe-B系瓦状磁性体の製造方法が記載されている。そして、このような製造方法によれば、合金粉末の供給及び成形を2回行い、且つ毎回の合金粉末の供給量と配向磁場の大きさを合理な範囲内に制御することで、従来技術と比べて磁性体の上下方向における配向のバラつき及び素地の断裂といった課題を解決することができると記載されている。また、均一性が増した透磁性板を用い、その寸法及び角度を合理的に設計することで、外部から印加される配向磁場が増加した条件においても、瓦形金型の磁力線方向と設計値とを一致させることができ、これによって、Nd-Fe-B系瓦状磁性体の残留磁束密度や磁気特性の均一性を向上させることができると記載されている。
特開2021-097224号公報
前述のようなラジアル配向断面円弧状、周配向断面円弧状、または集中配向断面矩形の板磁石を、より効率的に製造する方法の提案が望まれる。また、その製造方法によって得られる板磁石は表面磁束密度が高く、表面の全ての箇所における配向方向に対して垂直な方向における漏洩磁束量の大きさのバラツキが小さいことが望ましい。
本発明は上記のような課題を解決することを目的とする。
すなわち、本発明の目的は、表面磁束密度が高く、表面の全ての箇所における配向方向に対して垂直な方向における漏洩磁束量の大きさのバラツキが小さい周配向断面円弧状、ラジアル配向断面円弧状、または集中配向断面矩形の板磁石、ならびにそれらを効率的に製造する方法を提供することである。
本発明者は鋭意検討し、本発明を完成させた。
本発明は以下の(1)~(4)である。
(1)平均粒子径が1.0~5.0μmであり、潤滑剤を1.0質量%以下含むネオジム磁石用粉末を、3.4~4.0g/cm3の充填密度で、断面が円弧形状のものを含む2以上のキャビティを有するモールドに充填し、粉末充填済みモールドを得る充填工程(1)と、
前記キャビティの断面の円弧が配向方向に沿うように、前記粉末充填済みモールドを2N極(Nは自然数)配向ヨークへ装填し、充填された前記ネオジム磁石用粉末に圧力を加えることなく1.0~5.0Tの配向磁界を印加することで前記ネオジム磁石用粉末を配向し、配向済みモールドを得る配向工程(1)と、
前記配向済みモールドから配向された前記ネオジム磁石用粉末の成形体を取り出し焼結炉へ装入して焼結し、または、前記配向済みモールドをこれに配向済みの前記ネオジム磁石用粉末の成形体が入ったまま焼結炉へ装入してモールドごと焼結し、焼結体を得る焼結工程と、
を備え、周配向断面円弧状板磁石が得られる、磁石の製造方法。
(2)平均粒子径が1.0~5.0μmであり、潤滑剤を1.0質量%以下含むネオジム磁石用粉末を、3.4~4.0g/cm3の充填密度で、断面が円弧形状のものを含む2以上のキャビティを有するモールドに充填し、粉末充填済みモールドを得る充填工程(2)と、
前記キャビティの断面の円弧が配向方向と直交するように、前記粉末充填済みモールドを2N極(Nは自然数)配向ヨークへ装填し、充填された前記ネオジム磁石用粉末に圧力を加えることなく1.0~5.0Tの配向磁界を印加することで前記ネオジム磁石用粉末を配向し、配向済みモールドを得る配向工程(2)と、
前記配向済みモールドから配向された前記ネオジム磁石用粉末の成形体を取り出し焼結炉へ装入して焼結し、または、前記配向済みモールドをこれに配向済みの前記ネオジム磁石用粉末の成形体が入ったまま焼結炉へ装入してモールドごと焼結し、焼結体を得る焼結工程と、
を備え、ラジアル配向断面円弧状板磁石が得られる、磁石の製造方法。
(3)平均粒子径が1.0~5.0μmであり、潤滑剤を1.0質量%以下含むネオジム磁石用粉末を、3.4~4.0g/cm3の充填密度で、断面が矩形のものを含む2以上のキャビティを有するモールドに充填し、粉末充填済みモールドを得る充填工程(3)と、
前記キャビティの矩形の断面の一辺が配向方向と交差するように、前記粉末充填済みモールドを2N極(Nは自然数)配向ヨークへ装填し、充填された前記ネオジム磁石用粉末に圧力を加えることなく1.0~5.0Tの配向磁界を印加することで前記ネオジム磁石用粉末を配向し、配向済みモールドを得る配向工程(3)と、
前記配向済みモールドから配向された前記ネオジム磁石用粉末の成形体を取り出し焼結炉へ装入して焼結し、または、前記配向済みモールドをこれに配向済みの前記ネオジム磁石用粉末の成形体が入ったまま焼結炉へ装入してモールドごと焼結し、焼結体を得る焼結工程と、
を備え、集中配向断面矩形板磁石が得られる、磁石の製造方法。
(4)表面の全ての箇所における配向方向に対して垂直な方向における漏洩磁束量の大きさのバラツキが、その平均値に対してプラスマイナス5%以下である、周配向断面円弧状、ラジアル配向断面円弧状、または集中配向断面矩形の板磁石。
本発明によれば、表面磁束密度が高く、表面の全ての箇所における配向方向に対して垂直な方向における漏洩磁束量の大きさのバラツキが小さい周配向断面円弧状、ラジアル配向断面円弧状、または集中配向断面矩形の板磁石、ならびにそれらを効率的に製造する方法を提供することができる。
本発明の製造方法で用いるモールドの好適例を示す概略斜視図である 図1に示すモールドの概略上面図である。 本発明の製造方法で用いる別のモールドの好適例を示す概略斜視図である 図3に示すモールドの概略上面図である。 粉末充填済みモールドを配向ヨークへ装填した状態を上側から見た図(概略上面図)である。 粉末充填済みモールドを配向ヨークへ装填した状態を上側から見た、別の図(概略上面図)である。 粉末充填済みモールドを配向ヨークへ装填した状態を上側から見た、さらに別の図(概略上面図)である。 本発明の周配向磁石を示す概略斜視図である。 本発明のラジアル配向磁石を示す概略斜視図である。 本発明の集中配向磁石を示す概略斜視図である。 表面の全ての箇所における配向方向に対して垂直な方向における漏洩磁束量の大きさのバラツキの測定方法を説明するために用いる図である。 実施例で得られた周配向断面円弧状板磁石の表面、裏面、両端面写真である。 実施例で得られたラジアル配向断面円弧状板磁石の端面写真である。 実施例で得られた集中配向断面矩形板磁石の表面、裏面、両端面写真である。 実施例において得られた周配向断面円弧状板磁石、ラジアル配向断面円弧状板磁石、および集中配向断面矩形板磁石の各々について、磁石表面における各測定点の配向方向を測定した結果を示す図である。
本発明の製造方法について説明する。
本発明は、平均粒子径が1.0~5.0μmであり、潤滑剤を1.0質量%以下含むネオジム磁石用粉末を、3.4~4.0g/cm3の充填密度で、断面が円弧形状のものを含む2以上のキャビティを有するモールドに充填し、粉末充填済みモールドを得る充填工程(1)と、前記キャビティの断面の円弧が配向方向に沿うように、前記粉末充填済みモールドを2N極(Nは自然数)配向ヨークへ装填し、充填された前記ネオジム磁石用粉末に圧力を加えることなく1.0~5.0Tの配向磁界を印加することで前記ネオジム磁石用粉末を配向し、配向済みモールドを得る配向工程(1)と、前記配向済みモールドから配向された前記ネオジム磁石用粉末の成形体を取り出し焼結炉へ装入して焼結し、または、前記配向済みモールドをこれに配向済みの前記ネオジム磁石用粉末の成形体が入ったまま焼結炉へ装入してモールドごと焼結し、焼結体を得る焼結工程と、を備え、周配向断面円弧状板磁石が得られる、磁石の製造方法である。
このような周配向断面円弧状板磁石の製造方法を、以下では「本発明の周配向磁石の製造方法」ともいう。
また、本発明は、平均粒子径が1.0~5.0μmであり、潤滑剤を1.0質量%以下含むネオジム磁石用粉末を、3.4~4.0g/cm3の充填密度で、断面が円弧形状のものを含む2以上のキャビティを有するモールドに充填し、粉末充填済みモールドを得る充填工程(2)と、前記キャビティの断面の円弧が配向方向と直交するように、前記粉末充填済みモールドを2N極(Nは自然数)配向ヨークへ装填し、充填された前記ネオジム磁石用粉末に圧力を加えることなく1.0~5.0Tの配向磁界を印加することで前記ネオジム磁石用粉末を配向し、配向済みモールドを得る配向工程(2)と、前記配向済みモールドから配向された前記ネオジム磁石用粉末の成形体を取り出し焼結炉へ装入して焼結し、または、前記配向済みモールドをこれに配向済みの前記ネオジム磁石用粉末の成形体が入ったまま焼結炉へ装入してモールドごと焼結し、焼結体を得る焼結工程と、を備え、ラジアル配向断面円弧状板磁石が得られる、磁石の製造方法である。
このようなラジアル配向断面円弧状板磁石の製造方法を、以下では「本発明のラジアル配向磁石の製造方法」ともいう。
また、本発明は、平均粒子径が1.0~5.0μmであり、潤滑剤を1.0質量%以下含むネオジム磁石用粉末を、3.4~4.0g/cm3の充填密度で、断面が矩形のものを含む2以上のキャビティを有するモールドに充填し、粉末充填済みモールドを得る充填工程(3)と、前記キャビティの矩形の断面の一辺が配向方向と交差するように、前記粉末充填済みモールドを2N極(Nは自然数)配向ヨークへ装填し、充填された前記ネオジム磁石用粉末に圧力を加えることなく1.0~5.0Tの配向磁界を印加することで前記ネオジム磁石用粉末を配向し、配向済みモールドを得る配向工程(3)と、前記配向済みモールドから配向された前記ネオジム磁石用粉末の成形体を取り出し焼結炉へ装入して焼結し、または、前記配向済みモールドをこれに配向済みの前記ネオジム磁石用粉末の成形体が入ったまま焼結炉へ装入してモールドごと焼結し、焼結体を得る焼結工程と、を備え、集中配向断面矩形板磁石が得られる、磁石の製造方法である。
このような集中配向断面矩形板磁石の製造方法を、以下では「本発明の集中配向磁石の製造方法」ともいう。
以下において、単に「本発明の製造方法」と記した場合、本発明の周配向磁石の製造方法、本発明のラジアル配向磁石の製造方法、および本発明の集中配向磁石の製造方法のいずれをも意味するものとする。
さらに、本発明は、表面の全ての箇所における配向方向に対して垂直な方向における漏洩磁束量の大きさのバラツキが、その平均値に対してプラスマイナス5%以下である、周配向断面円弧状、ラジアル配向断面円弧状、または集中配向断面矩形の板磁石である。
このような周配向断面円弧状の板磁石を、以下では「本発明の周配向磁石」ともいう。
また、このようなラジアル配向断面円弧状の板磁石を、以下では「本発明のラジアル配向磁石」ともいう。
さらに、このような集中配向断面矩形の板磁石を、以下では「本発明の集中配向磁石」ともいう。
以下において、単に「本発明の磁石」と記した場合、本発明の周配向磁石、本発明のラジアル配向磁石、および本発明の集中配向磁石のいずれをも意味するものとする。
本発明の周配向磁石は、本発明の周配向磁石の製造方法によって製造されたものであることが好ましい。
また、本発明のラジアル配向磁石は、本発明のラジアル配向磁石の製造方法によって製造されたものであることが好ましい。
さらに、本発明の集中配向磁石は、本発明の集中配向磁石の製造方法によって製造されたものであることが好ましい。
<本発明の製造方法>
本発明の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、充填工程と、配向工程と、焼結工程と、を有する。
<充填工程>
本発明の周配向磁石の製造方法および本発明のラジアル配向磁石の製造方法の各々における充填工程(充填工程(1)、充填工程(2))は、共通している。
これに対して本発明の集中配向磁石の製造方法における充填工程(充填工程(3))はキャビティの形状が異なるが、その他においては共通している。
本発明の製造方法における充填工程では、ネオジム磁石用粉末を用意する。
ネオジム磁石用粉末は、ネオジム、遷移元素(T)およびホウ素(B)を主成分とする粉末である。
ここで「主成分」とは、合計含有率が90質量%以上であることを意味し、この合計含有率は95質量%以上であることがより好ましい。
また、遷移元素(T)としてはFe、Co、Niなどが含まれることが好ましい。特にNd-Fe-B系のネオジム磁石用粉末であることが好ましい。
ネオジム磁石用粉末の平均粒子径は1.0~5.0μmであり、2.5~3.5μmであることが好ましい。
ネオジム磁石用粉末は、粒界相成分であるNdリッチ相と主相であるNd2Fe14B相の単結晶粒子とから構成されることが好ましい。主相が単結晶であればその粒子が有する磁化容易軸は1つであるため、その粒子は発生磁束方向に配向しやすくなり、結果として得られる磁石の磁束密度がより高くなるからである。平均粒子径が1.0~5.0μmであれば、ほぼ全てが単結晶粒子であると考えられる。ここで、平均粒子径は、レーザー式粉末粒度分布測定装置(例えば株式会社日本レーザー社製、HELOS&LODOS)により測定した粒度分布の中央値(D50)を意味する。
ネオジム磁石用粉末の調製方法は特に限定されない。例えば、溶解した母合金を回転ロール上に噴射し、急冷することにより微細な結晶組織を持つ薄帯を得た後、この薄帯を平均粒子径1.0~5.0μmに粉砕することで、ネオジム磁石用粉末を得る方法が挙げられる。
このようなネオジム磁石用粉末は、潤滑剤を1.0質量%以下の含有率で含む。ネオジム磁石用粉末が含む潤滑剤の含有率は0.01質量%以上であることが好ましく、0.05~1.0質量%であることがより好ましい。
潤滑剤としては、カプリル酸メチル、ラウリル酸メチル、ステアリン酸亜鉛などを用いることができる。
上記のような潤滑剤を前記ネオジム磁石用粉末へ添加し、十分に混合した後、これをモールドが有するキャビティに充填する。
モールドについて説明する。
図1は、本発明の周配向磁石の製造方法が備える充填工程(1)および本発明のラジアル配向磁石の製造方法が備える充填工程(2)で用いるモールド1の好適例を示す概略斜視図であり、図2は図1に示すモールド1の概略上面図である。
また、図3は、本発明の集中配向磁石の製造方法が備える充填工程(3)で用いるモールド1´の好適例を示す概略斜視図であり、図4は図3に示すモールド1´の概略上面図である。
なお、ここに好適例として示したモールド1,1´は、図1、図3に示すように円柱状であるが、モールドの形状は円柱状に限定されない。例えば角柱状など、断面が多角形の柱状のものであってよい。
また、モールド1,1´は非磁性体からなるものであることが好ましい。非磁性体として、例えばグラファイトカーボンが例示できる。
図1~図4に示すモールド1、1´は、2以上のキャビティ10、10´を有する。
キャビティ10、10´とは、モールド1、1´の内面5、5´によって構成される空間部分である。
図1~図4に示すモールド1、1´が有するキャビティ10、10´の個数は2以上であればよいが、後述する配向工程において用いる配向ヨークが備える極数と同一であることが好ましい。つまり、配向ヨークが有する極数は2N極(Nは自然数)であるので、モールド1、1´が有するキャビティ10、10´の個数も2N個(Nは自然数)であることが好ましい。例えば配向工程において用いる配向ヨークが有する極数が4の場合、1つのモールド1、1´が有するキャビティ10、10´の個数は4つであることが好ましい。より生産性が高まるからである。
図1、図2に示すモールド1は4つのキャビティ10を有している。また、その全てのキャビティ10は、断面が円弧形状のキャビティである。
ここで、本発明の周配向磁石の製造方法が備える充填工程(1)および本発明のラジアル配向磁石の製造方法が備える充填工程(2)で用いるモールドは2以上のキャビティを有し、その少なくとも1つが、断面が円弧形状のものであればよい。例えば複数のキャビティのうち、1つは断面が円弧形状のキャビティであり、その他は断面が円弧形状でないキャビティであってよい。
ただし、図1、図2に示すように、2以上のキャビティの全てが、断面が円弧形状のキャビティであることが好ましい。より生産性が高まるからである。
キャビティ10の円弧の程度(曲率等)やモールド1内における位置(図2における半径方向の位置等)は、後述する配向工程において印加される配向磁界の形状等による。
つまり、本発明の周配向磁石の製造方法では周配向断面円弧状板磁石を得るため、充填工程(1)では、キャビティ10における円弧の程度や位置は、キャビティ10の断面の円弧が後述する配向工程における配向方向に沿うような(円弧が配向方向と平行となるような)形状(曲率等)とする。なお、ここで「平行」とは完全な平行を意図していない。円弧が配向方向と略平行になるようにキャビティを形成することを意図しており、製造誤差等は許容される。以下において「平行」の意味は同様とする。
また、本発明のラジアル配向磁石の製造方法ではラジアル配向断面円弧状板磁石を得るため、充填工程(2)では、キャビティ10における円弧の程度や位置は、キャビティ10の断面の円弧が後述する配向工程における配向方向と直交するような形状(曲率等)とする。なお、ここで直交とは完全な直交を意図していない。円弧が配向方向と略直交するようにキャビティを形成することを意図しており、製造誤差等は許容される。以下において「直交」の意味は同様とする。
図3、図4に示すモールド1は4つのキャビティ10´を有している。また、その全てのキャビティ10´は、断面が矩形のキャビティである。
ここで、本発明の集中配向磁石の製造方法が備える充填工程(3)で用いるモールドは2以上のキャビティを有し、その少なくとも1つが、断面が矩形のものであればよい。例えば複数のキャビティのうち、1つは断面が矩形のキャビティであり、その他は断面が矩形でないキャビティであってよい。
ただし、図3、図4に示すように、2以上のキャビティの全てが、断面が矩形のキャビティであることが好ましい。より生産性が高まるからである。
キャビティ10´の大きさ(長辺および短辺の長さ等)やモールド1内における位置(図4における半径方向の位置等)は、後述する配向工程において印加される配向磁界の方向による。
つまり、本発明の集中配向磁石の製造方法では集中配向断面矩形板磁石を得るため、充填工程(3)では、キャビティ10´における長辺および短辺の長さや位置は、キャビティ10´の断面の長辺が後述する配向工程における配向方向と交差するようにする。なお、交差の程度、すなわち、長辺と配向方向とがなす角度は、得られる集中配向磁石の態様(例えば、配向方向の焦点等)によって異なる。
充填工程では、上記のようなモールド1、1´が有するキャビティ10、10´へネオジム磁石用粉末を充填する。
ここでネオジム磁石用粉末をキャビティに充填する際の充填密度は3.4~4.0g/cm3とする。この充填密度は3.5~3.9g/cm3とすることが好ましい。
本発明の製造方法における充填工程では、上記のようなモールドのキャビティに前記ネオジム磁石用粉末を上記の充填密度となるように充填する。
このようにして得られた前記ネオジム磁石用粉末が充填されたモールドを、粉末充填済みモールドとする。
<配向工程>
本発明の製造方法における配向工程では、粉末充填済みモールドを2N極(Nは自然数)配向ヨークへ装填し、配向磁界を印加する。
例えば、図1~図4に示したモールド1、1´を用いる場合、図5~図7に示す4極の配向ヨークを用いることが好ましい。
図5~図7に示す配向ヨークは、図に示すように、向かい合う2ペアのコイル22(合計で4つのコイル)が互いに直交するように配置されている。この場合、図5~図7に示す極性および点線で示す磁場を発生させることができる。そして、これら4つのコイル22に囲まれた中央部に、粉末充填済みモールドを配置する。
図5は、本発明の周配向磁石の製造方法における配向工程(1)において、図1、図2に示したモールド1を用いた粉末充填済みモールドを、そのキャビティ10の断面の円弧が点線で示す配向方向に沿うように(平行となるように)配向ヨーク20へ装填した状態を上側から見た図(概略上面図)である。
このような状態で、充填されたネオジム磁石用粉末に圧力を加えることなく1.0~5.0Tの配向磁界を印加すると、キャビティ10内のネオジム磁石用粉末の磁化容易軸は、キャビティ10の断面の円弧に沿った方向に配向される。
図6は、本発明のラジアル配向磁石の製造方法における配向工程(2)において、図1、図2に示したモールド1を用いた粉末充填済みモールドを、そのキャビティ10の断面の円弧が点線で示す配向方向と直交するように配向ヨーク20へ装填した状態を上側から見た図(概略上面図)である。
このような状態で、充填されたネオジム磁石用粉末に圧力を加えることなく1.0~5.0Tの配向磁界を印加すると、キャビティ10内のネオジム磁石用粉末の磁化容易軸は、キャビティ10の断面の円弧に直交する方向に配向される。
図7は、本発明の集中配向磁石の製造方法における配向工程(3)において、図3、図4に示したモールド1´を用いた粉末充填済みモールドを、そのキャビティ10´の矩形の断面の一辺(長辺)が点線で示す配向方向と交差するように配向ヨーク20へ装填した状態を上側から見た図(概略上面図)である。
このような状態で、充填されたネオジム磁石用粉末に圧力を加えることなく1.0~5.0Tの配向磁界を印加すると、キャビティ10´内のネオジム磁石用粉末の磁化容易軸は、キャビティ10の矩形の断面の一辺(長辺)に交差する方向(点線で示される配向方向)に配向される。
配向工程においてネオジム磁石用粉末に印加する配向磁界は1.0~5.0Tであるが、この配向磁界は1.5~3.0Tとすることが好ましく、2.0~2.5T程度とすることがより好ましい。
配向工程では、上記のようにして配向方向に配向するが、その前に配向方向に対して垂直方向に磁界を印加した後に、上記のように配向方向に配向磁界を印加して配向することが好ましい。
すなわち、配向工程が、粉末充填済みモールドを配向装置へ装填し、充填されたネオジム磁石用粉末に圧力を加えることなく、配向方向に垂直な方向へ印加した後に、配向方向へ1.0~5.0Tの配向磁界を印加することでネオジム磁石用粉末を配向して、配向済みモールドを得る工程であることが好ましい。
この場合、よりひび割れが少ない極異方性磁石を本発明の製造方法によって得ることができることを、本発明者は見出した。
ここで配向方向に垂直な方向とは、通常、モールドのキャビティにおける深さ方向と一致する。
また、配向方向に垂直な方向へ印加する磁界は、前述の配向方向へ印加する磁界(配向磁界)と同程度であってよい。すなわち、配向方向に垂直な方向へ印加する磁界は1.0~5.0Tであってよく、1.5~3.0Tとすることが好ましく、2.0~2.5T程度とすることがより好ましい。
このような配向工程によって、配向された前記ネオジム磁石用粉末がキャビティ内に充填されているモールドを得ることができる。このようなモールドを、配向済みモールドとする。
<焼結工程>
本発明の製造方法における焼結工程では、配向済みモールドから配向された前記ネオジム磁石用粉末の成形体を取り出し焼結炉へ装入して焼結して焼結するか、または、配向工程によって得られた配向済みモールドをこれに配向済みの前記ネオジム磁石用粉末の成形体が入ったまま焼結炉へ装入してモールドごと焼結する。
焼結方法は特に限定されない。例えば従来公知のノックアウト方式等によって配向済みモールドから配向されたネオジム磁石用粉末の成形体を取り出し、焼結炉に装入して焼結することができる。従来公知の磁場中プレス焼結によって焼結することもできる。また、例えば従来公知の焼結炉に前記配向済みモールドを装入して焼結することができる。
焼結は真空中で行うことが好ましい。
磁石の成分により焼結温度は最適温度を選択する必要がある。焼結温度は900~1100℃とすることが好ましい。
焼結時間は1~20時間とすることが好ましく、2~15時間とすることがより好ましく、4~10時間程度とすることがさらに好ましい。
このように配向済みモールドから配向されたネオジム磁石用粉末の成形体を取り出し焼結炉へ装入して焼結するか、または、配向済みモールドをこれに配向済みのネオジム磁石用粉末の成形体が入ったまま焼結炉へ装入してモールドごと焼結することで、焼結体を得ることができる。
例えば図1、図2に示したモールド1を用い、前述のように、ここへネオジム磁石用粉末を充填した後、図5に示したように配向ヨークに装填し、配向した後に焼結し、その後、結晶粒の配向方向に沿った磁界を印加することによって、周方向の配向方向に着磁された図8に示す周配向断面円弧状板磁石30(本発明の周配向磁石)を得ることができる。
また、例えば図1、図2に示したモールド1を用い、前述のように、ここへネオジム磁石用粉末を充填した後、図6に示したように配向ヨークに装填し、配向した後に焼結し、その後、結晶粒の配向方向に沿った磁界を印加することによって、ラジアル方向の配向方向に着磁された図9に示すラジアル配向断面円弧状板磁石32(本発明のラジアル配向磁石)を得ることができる。
また、例えば図3、図4に示したモールド1´を用い、前述のように、ここへネオジム磁石用粉末を充填した後、図7に示したように配向ヨークに装填し、配向した後に焼結し、その後、結晶粒の配向方向に沿った磁界を印加することによって、1点に集中する配向方向に着磁された図10に示す集中配向断面矩形板磁石34(本発明の集中配向磁石)を得ることができる。
なお、焼結体表面から重希土類を焼結体内部に拡散させる工程を行うことにより、焼結体の保磁力、ひいては磁石としての耐熱性を上昇させることができる。具体的な粒界拡散工程としてはどのような工程でも採用できるが、例えば、特許第6180507号公報に記載の方法を採用すると、磁石内部まで重希土類が効率よく導入され磁石特性を向上させることができる。
<本発明の磁石>
次に、本発明の磁石について説明する。
本発明の磁石は、上記のような本発明の製造方法によって得ることができる。
本発明の磁石は、磁化方向が磁路と一致するため、磁石の磁化ポテンシャルを高い効率で、外部に磁束を漏洩できる。すなわち、企図した面における表面磁束密度を高められる。
本発明の磁石は、表面の全ての箇所における配向方向に対して垂直な方向における漏洩磁束量の大きさのバラツキが、その方向における漏洩磁束量の平均値に対してプラスマイナス5%以下であることが好ましい。
ここで表面の全ての箇所における配向方向に対して垂直な方向は、キャビティ10の深さ方向と一致する。
このバラツキの測定方法について、図11を用いて説明する。
図11では、図8に示した周配向断面円弧状板磁石30(本発明の周配向磁石)を挙げるが、本発明のラジアル配向磁石および本発明の集中配向磁石の場合も同様である。
図11に示すように、本発明の周配向磁石30を表面の全ての箇所における配向方向に対して垂直な方向(キャビティ10の深さ方向)に平行方向において10箇所、均等に区切る。そして、各々の箇所において当該方向に垂直な断面を想定し、その断面において断面の輪郭に対する法線方向の表面磁束密度を測定する。得られた測定値の絶対値を取り、最大値をその箇所での表面磁束密度の大きさとする。表面磁束密度の最大値は450mT以上であることが好ましい。
ここで輪郭の法線方向に漏洩する磁束密度は、磁気測定装置(例えば、日本電磁測器株式会社製、UHS-1DS)を用いて測定する。具体的には、磁気測定装置の磁界センサプローブを本発明の磁石の表面と0.5mm程度の間隔をあけてセットし、磁石の外周に沿ってプローブを一周させ、表面磁束を測定する。
このような操作によって10箇所全ての磁束密度を求め、単純平均値を求める。
そして、その単純平均値に対する、全ての箇所の磁束密度の値の比(百分率)を求める。ここで求められた各々の比が、プラスマイナス5%以下(すなわち、95~105%)であることが好ましく、プラスマイナス3%以下(すなわち、97~103%)であることがより好ましい。
次に示す組成を備え、平均粒子径が3.2μmのネオジム磁石用粉末を用意した。
・Nd:26.5質量%
・Pr:4.7質量%
・Co:0.9質量%
・B:1.0質量%
・Cu:0.1質量%
・Al:0.2質量%
・Zr:0.1質量%
・Ga:0.1質量%
・Fe:残部
そして、ここへ潤滑剤としてカプリル酸メチルを0.07質量%となるように加え、十分に混合した。その後、潤滑剤が添加されたネオジム磁石用粉末を、3.6g/cm3の充填密度で図1~図4に示したカーボン製のモールドのキャビティに充填し、粉末充填済みモールドを得た。
次に、粉末充填済みモールドを配向装置へ装填し、充填された前記ネオジム磁石用粉末に圧力を加えることなく、図5~図7に示すように2.0Tの配向磁界を印加して、配向済みモールドを得た。
次に、配向済みモールドを焼結炉へ装入して、1000℃で4時間、真空中にてモールドごと焼結し、焼結体を得た。さらに、得られた焼結体について、800℃で30分、520℃で1時間、時効処理を行った。
そして、これに配向方向に沿った磁界を印加して図8に示した周配向断面円弧状板磁石と、図9に示したラジアル配向断面円弧状板磁石と、図10に示した集中配向断面矩形板磁石を得た。
ここで得られた図8に示した周配向断面円弧状板磁石の表面、裏面、両端面写真を図12に示す。また、ここで得られた図9に示したラジアル配向断面円弧状板磁石の端面写真を図13に示す。さらに、ここで得られた図10に示した集中配向断面矩形板磁石の表面、裏面、両端面写真を図14に示す。
得られた周配向断面円弧状板磁石、ラジアル配向断面円弧状板磁石、および集中配向断面矩形板磁石の表面磁束密度を測定したところ、その表面磁束密度の最大値は450mT以上であった。
次に、周配向断面円弧状板磁石、ラジアル配向断面円弧状板磁石、および集中配向断面矩形板磁石の各々について、磁石表面における各測定点の配向方向をXRD(X線回析)によって測定した。
結果を図15に示す。
図15に示すように、全ての磁石における全ての測定点において、概ね狙い通りの方向へ配向させることができたことを確認した。
1、1´ モールド
5、5´ モールドの内面
10、10´ キャビティ
20 配向ヨーク
22 コイル
30 周配向断面円弧状板磁石(本発明の周配向磁石)
32 ラジアル配向断面円弧状板磁石(本発明のラジアル配向磁石)
34 集中配向断面矩形板磁石(本発明の集中配向磁石)

Claims (2)

  1. 平均粒子径が1.0~5.0μmであり、潤滑剤を1.0質量%以下含むネオジム磁石用粉末を、3.4~4.0g/cm3の充填密度で、断面が円弧形状のものを含む2以上のキャビティを有するモールドに充填し、粉末充填済みモールドを得る充填工程(1)と、
    前記キャビティの断面の円弧が配向方向に沿うように、前記粉末充填済みモールドを2N極(Nは自然数)配向ヨークへ装填し、充填された前記ネオジム磁石用粉末に圧力を加えることなく1.0~5.0Tの配向磁界を印加することで前記ネオジム磁石用粉末を配向し、配向済みモールドを得る配向工程(1)と、
    前記配向済みモールドから配向された前記ネオジム磁石用粉末の成形体を取り出し焼結炉へ装入して焼結し、または、前記配向済みモールドをこれに配向済みの前記ネオジム磁石用粉末の成形体が入ったまま焼結炉へ装入してモールドごと焼結し、焼結体を得る焼結工程と、
    を備え、周配向断面円弧状板磁石が得られる、磁石の製造方法。
  2. 平均粒子径が1.0~5.0μmであり、潤滑剤を1.0質量%以下含むネオジム磁石用粉末を、3.4~4.0g/cm3の充填密度で、断面が矩形のものを含む2以上のキャビティを有するモールドに充填し、粉末充填済みモールドを得る充填工程(3)と、
    前記キャビティの矩形の断面の一辺が配向方向と交差するように、前記粉末充填済みモールドを2N極(Nは自然数)配向ヨークへ装填し、充填された前記ネオジム磁石用粉末に圧力を加えることなく1.0~5.0Tの配向磁界を印加することで前記ネオジム磁石用粉末を配向し、配向済みモールドを得る配向工程(3)と、
    前記配向済みモールドから配向された前記ネオジム磁石用粉末の成形体を取り出し焼結炉へ装入して焼結し、または、前記配向済みモールドをこれに配向済みの前記ネオジム磁石用粉末の成形体が入ったまま焼結炉へ装入してモールドごと焼結し、焼結体を得る焼結工程と、
    を備え、集中配向断面矩形板磁石が得られる、磁石の製造方法。
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