定義
別に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本開示が関連する技術分野の当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。
本明細書で使用される場合、「制御可能なキメラ抗原受容体(CCAR)」は、そのレベル及び/又は活性を調節することができるCARを指す。一部の実施形態では、CCARの発現若しくは活性レベルを調節して、CAR機能を増強し、且つ/又は毒性を低減することができる。一部の実施形態では、CCARは、転写、翻訳又は翻訳後レベルで調節される。一部の実施形態では、CCARは、CARの安定化をもたらすか、又はCARの発現及び/若しくは活性をオンにするOnスイッチにより調節される。一部の実施形態では、CCARは、CARのユビキチン化及び分解をもたらすか、又はCARの発現及び/若しくは活性をオフにするOffスイッチにより調節される。一部の実施形態では、CCARは、Onスイッチ及びOffスイッチの両方により調節される。一部の実施形態では、CCARは、国際公開第2019079569号パンフレット(その全体が、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるようなデグロンタグを含む。一部の実施形態では、CCARは、国際公開第2015090229号パンフレット(その全体が、参照により本明細書に組み込まれる)に開示される、調節可能なCAR(RCAR)である。一部の実施形態では、CCARは、国際公開第2014127261号パンフレット(その全体が、参照により本明細書に組み込まれる)に開示される、条件付き活性ヘテロ二量体CARである。一部の実施形態では、CCARは、国際公開第2016014553号パンフレット(その全体が、参照により本明細書に組み込まれる)に開示される、ソルターゼ合成CARである。
本明細書で使用される場合、「調節分子」は、調節活性を有する分子又は調節活性を媒介するために使用することができる分子を指す。一部の実施形態では、細胞において調節分子をCARと共発現させて、直接(例えば、発現レベル若しくは機能活性に直接作用することにより)又は間接的に(例えば、CARを発現する細胞の生存若しくは活性を調節することにより)、CARの発現及び/若しくは活性を調節することができる。一部の実施形態では、調節分子を用いて、細胞、例えばCAR発現細胞の細胞死を誘導する、例えば、アポトーシスを誘導することができる。一部の実施形態では、調節分子を用いて、細胞、例えばCAR発現細胞を活性化することができる。一部の実施形態では、調節分子は、細胞、例えばCAR発現細胞を枯渇のために標識するマーカー、例えば、細胞表面マーカーである。一部の実施形態では、調節分子は、カスパーゼ、例えば、誘導性カスパーゼ9、例えば、国際公開第2011146862号パンフレット、同第2014164348号パンフレット又は同第2016100236号パンフレット(それらの全体が、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている誘導性カスパーゼ9である。一部の実施形態では、調節分子は、切断型EGFR、例えば、国際公開第2011056894号パンフレット又は同第2013123061号パンフレット(それらの全体が、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている切断型EGFRである。
用語「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、その冠詞の文法上の指示対象の1つ又は1つより多い(すなわち少なくとも1つ)を指す。例として、「要素」は、1つの要素又は1つより多い要素を意味する。
用語「約」は、量、時間的な継続期間などの計測可能な値を参照するとき、指定される値から±20%又は一部の例では±10%、又は一部の例では±5%、又は一部の例では±1%、又は一部の例では±0.1%の変動が、かかる変動が本開示の方法の実施に適切であるものとして包含されることを意味する。
本開示の組成物及び方法は、指定された配列を有するポリペプチド及び核酸又はそれと実質的に同一若しくは類似の配列、例えば指定された配列と少なくとも85%、90%若しくは95%以上同一の配列を包含する。アミノ酸配列に関連して、用語「実質的に同一の」は、本明細書において、第1及び第2アミノ酸配列が共通の構造ドメイン及び/若しくは共通の機能活性を有し得るように、第2アミノ酸配列内のアラインメントされたアミノ酸残基とi)同一であるか、又はii)その保存的置換である十分な若しくは最小数のアミノ酸残基を含有する第1アミノ酸配列、例えば参照配列、例えば本明細書に記載の配列に対して少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有する共通の構造ドメインを含有するアミノ酸配列を指すために使用される。
ヌクレオチド配列に関連して、用語「実質的に同一の」は、本明細書において、第1及び第2ヌクレオチド配列が共通の機能活性を有するポリペプチドをコードするか、又は共通の構造ポリペプチドドメイン若しくは共通の機能性ポリペプチド活性をコードするように、第2の核酸配列内のアラインメントされたヌクレオチドと同一である十分な若しくは最小数のヌクレオチドを含有する第1の核酸配列、例えば参照配列、例えば本明細書に記載の配列に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するヌクレオチド配列を指すために使用される。
用語「変異体」は、参照アミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するか、又は実質的に同一のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドを指す。一部の実施形態では、変異体は、機能性変異体である。
用語「機能性変異体」は、参照アミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するか、又は実質的に同一のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドで、参照アミノ酸配列の1つ以上の活性を有し得るポリペプチドを指す。
用語サイトカイン(例えば、IL-2、IL-7、IL-15、IL-21又はIL-6)は、完全長の天然に存在するサイトカイン、フラグメント又は変異体、例えば機能性変異体(天然に存在するサイトカインの活性、例えば免疫調節活性の少なくとも10%、30%、50%若しくは80%を有するそのフラグメント及び機能性変異体を含む)を包含する。一部の実施形態では、サイトカインは、天然に存在するサイトカインと実質的に同一(例えば、少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性)であるか、又はサイトカインをコードする天然に存在するヌクレオチド配列と実質的に同一(例えば、少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性)であるヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、文脈から理解される通り、サイトカインは、受容体ドメイン、例えばサイトカイン受容体ドメイン(例えば、IL-15/IL-15R)をさらに含む。
用語「キメラ抗原受容体」又は代替的に「CAR」は、下に定義されるような、少なくとも細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び刺激性分子由来の機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞質シグナル伝達ドメイン(本明細書では「細胞内シグナル伝達ドメイン」とも称する)を含む組換えポリペプチド構築物を指す。一部の実施形態では、CARポリペプチド構築物中のドメインは、同じポリペプチド鎖内に例えばキメラ融合タンパク質を含む。一部の実施形態では、CARポリペプチド構築物内のドメインは、互いに隣接しておらず、例えば異なるポリペプチド鎖内、例えば本明細書に記載される通りRCAR内に提供される。一部の実施形態では、CARは、CCAR、例えば本明細書に開示されるCCARである。
一部の実施形態において、細胞質シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζの一次シグナル伝達ドメイン)を含む。一部の実施形態では、細胞質シグナル伝達ドメインは、下に定義するような少なくとも1つの共刺激分子由来の1つ以上の機能的シグナル伝達ドメインをさらに含む。一部の実施形態では、共刺激分子は、41BB(すなわちCD137)、CD27、ICOS及び/又はCD28から選択される。一部の実施形態では、CARは、細胞外抗原認識ドメインを含むキメラ融合タンパク質、膜貫通ドメイン及び刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、細胞外抗原認識ドメインを含むキメラ融合タンパク質、膜貫通ドメイン並びに共刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメイン及び刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、細胞外抗原認識ドメインを含むキメラ融合タンパク質、膜貫通ドメイン並びに1つ以上の共刺激分子由来の2つの機能的シグナル伝達ドメイン及び刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、細胞外抗原認識ドメインを含むキメラ融合タンパク質、膜貫通ドメイン並びに1つ以上の共刺激分子由来の少なくとも2つの機能的シグナル伝達ドメイン及び刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、CAR融合タンパク質のアミノ末端(N末端)に任意選択のリーダー配列を含む。一部の実施形態では、CARは、細胞外抗原認識ドメインのN末端のリーダー配列をさらに含み、このリーダー配列は、細胞プロセシング及びCARの細胞膜への局在化中に抗原認識ドメイン(例えば、scFv)から任意選択で切断される。
本明細書に記載のものなどの特定の腫瘍抗原X(Xは、本明細書に記載されるような腫瘍マーカーであり得る)を標的とする抗原結合ドメイン(例えば、scFv、単一ドメイン抗体又はTCR(例えば、TCRα結合ドメイン若しくはTCRβ結合ドメイン))を含むCARは、XCARとも称される。例えば、BCMAを標的とする抗原結合ドメインを含むCARは、BCMA CARと称される。CARは、任意の細胞、例えば本明細書に記載される免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞若しくはNK細胞)に発現され得る。
「シグナル伝達ドメイン」という用語は、セカンドメッセンジャーを生成することにより、又はそのようなメッセンジャーに応答することによりエフェクターとして機能することにより、特定されたシグナル伝達経路を介して細胞活性を調節するために細胞内で情報を伝達することによって作用するタンパク質の機能的部分を指す。
用語「抗体」は、本明細書で使用されるとき、抗原と特異的に結合する免疫グロブリン分子に由来するタンパク質又はポリペプチド配列を指す。抗体は、ポリクローナル又はモノクローナル、多重鎖又は単鎖又はインタクトな免疫グロブリンであり得、及び天然の供給源又は組換え供給源に由来し得る。抗体は、免疫グロブリン分子の四量体であり得る。
用語「抗体フラグメント」は、インタクトな抗体の少なくとも一部又はその組換え変異体を指し、また標的、例えば抗原に対し、抗体フラグメントの認識及び特異的結合を付与する上で十分な抗原結合ドメイン、例えばインタクトな抗体の抗原決定可変領域を指す。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFvフラグメント、scFv抗体フラグメント、線形抗体、sdAbなどの単一ドメイン抗体(VL又はVHのいずれか)、ラクダ科VHHドメイン並びにヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つ以上、例えば2つのFabフラグメント又は連結された抗体の2つ以上、例えば2つの単離CDR若しくは他のエピトープフラグメントを含む二価フラグメントなどの抗体フラグメントから形成される多特異性抗体を含むが、これらに限定されない。抗体フラグメントは、シングルドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、ナノボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v-NAR及びビス-scFvにも取り込まれ得る(例えば、Hollinger and Hudson,Nature Biotechnology 23:1126-1136,2005を参照されたい)。抗体フラグメントは、フィブロネクチンIII型(Fn3)などのポリペプチドをベースとする足場にもグラフトされ得る(フィブロネクチンポリペプチドミニボディについて記載している米国特許第6,703,199号明細書を参照されたい)。用語「scFv」は、軽鎖の可変領域を含む少なくとも1つの抗体フラグメントと、重鎖の可変領域を含む少なくとも1つの抗体フラグメントとを含む融合タンパク質を指し、軽鎖及び重鎖可変領域は、短い可動性ポリペプチドリンカーによって近接して連結されており、単鎖ポリペプチドとして発現することが可能であり、及びscFvは、その由来であるインタクトな抗体の特異性を保持している。指定されない限り、本明細書で使用されるとき、scFvは、VL及びVH可変領域を例えばポリペプチドのN端側及びC端側末端に対していずれの順序でも有し得、scFvは、VL-リンカー-VHを含み得るか又はVH-リンカー-VLを含み得る。
一部の実施形態では、scFvは、NH2-VL-リンカー-VH-COOH又はNH2-VH-リンカー-VL-COOHの構造を含み得る。
本明細書で使用される「相補性決定領域」又は「CDR」という用語は、抗原特異性及び結合親和性を与える抗体可変領域内のアミノ酸の配列を指す。例えば、一般に、各重鎖可変領域(例えば、HCDR1、HCDR2及びHCDR3)には3つのCDRがあり、各軽鎖可変領域(LCDR1、LCDR2及びLCDR3)には3つのCDRがある。ある所与のCDRの厳密なアミノ酸配列境界は、Kabat et al.(1991),“Sequences of Proteins of Immunological Interest”,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(「Kabat」番号付けスキーム)、Al-Lazikani et al.,(1997)JMB 273,927-948(「Chothia」番号付けスキーム)により記載のもの又はその組み合わせを含む、多くの周知のスキームのいずれかを使用して決定できる。KabatとChothiaを組み合わせた番号付けスキームでは、一部の実施形態において、CDRは、Kabat CDRの一部、Chothia CDRの一部又はその両方であるアミノ酸残基に対応する。
抗体又はその抗体フラグメントを含む本開示のCAR組成物の部分は、種々の形態で存在し得、例えば、ここで、抗原結合ドメインは、例えば、単一ドメイン抗体フラグメント(sdAb)、単鎖抗体(scFv)又は例えばヒト型若しくはヒト化抗体を含め、ポリペプチド鎖の一部として発現する(Harlow et al.,1999,Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY;Harlow et al.,1989,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,New York;Houston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883;Bird et al.,1988,Science 242:423-426)。一部の実施形態では、本開示のCARの抗原結合ドメインは、抗体フラグメントを含む。一部の実施形態では、CARは、scFvを含む抗体フラグメントを含む。
本明細書で使用されるとき、用語「結合ドメイン」又は「抗体分子」(本明細書では「抗標的結合ドメイン」とも称される)は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むタンパク質、例えば免疫グロブリン鎖又はそのフラグメントを指す。用語「結合ドメイン」又は「抗体分子」は、抗体及び抗体フラグメントを包含する。一部の実施形態では、抗体分子は、多重特異性抗体分子であり、例えば、これは、複数個の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、複数のうちの第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列が第1のエピトープに対する結合特異性を有し、複数のうちの第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列が第2のエピトープに対する結合特異性を有する。ある実施形態において、多重特異性抗体分子は、二重特異性抗体分子である。二重特異性抗体は、2つ以下の抗原に対して特異性を有する。二重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対して結合特異性を有する第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列と、第2のエピトープに対して結合特異性を有する第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列を特徴とする。
用語「二重特異性抗体」及び「複数の二重特異性抗体」は、単一分子内の2つの抗体の抗原結合部位を結合させる分子を指す。従って、二重特異性抗体は、同時又は順次2つの異なる抗体に結合することができる。二重特異性抗体を作製する方法は、当技術分野で公知である。2つの抗体を結合させる様々なフォーマットも当技術分野で公知である。本開示の二重特異性抗体の形態としては、当業者に周知のように、ダイアボディ、単鎖抗体、Fab二量体化(Fab-Fab)、Fab-scFv及びタンデム抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「抗体重鎖」は、その天然に存在するコンホメーションで抗体分子に存在する2種類のポリペプチド鎖の大きい方を指し、通常、これが抗体の属するクラスを決定する。
用語「抗体軽鎖」は、その天然に存在するコンホメーションで抗体分子に存在する2種類のポリペプチド鎖の小さい方を指す。カッパ(κ)及びラムダ(λ)軽鎖が2つの主要な抗体軽鎖アイソタイプを指す。
用語「組換え抗体」は、例えば、バクテリオファージ又は酵母発現システムによって発現される抗体など、組換えDNA技術を用いて作成される抗体を指す。この用語は、抗体をコードするDNA分子であって、抗体タンパク質を発現するDNA分子又はその抗体を指定するアミノ酸配列の合成によって作成された抗体を意味するとも解釈されるべきであり、DNA又はアミノ酸配列は、当技術分野において利用可能な周知の組換えDNA又はアミノ酸配列技術を用いて得られたものである。
用語「抗原」又は「Ag」は、免疫応答を引き起こす分子を指す。この免疫応答には、抗体産生又は特異的免疫適格細胞の活性化のいずれか又は両方が含まれ得る。当業者は、任意の巨大分子が、事実上あらゆるタンパク質又はペプチドを含め、抗原となり得ることを理解するであろう。さらに、抗原は、組換えDNA又はゲノムDNAに由来し得る。当業者は、従って、免疫応答を生じさせるタンパク質をコードするヌクレオチド配列又は部分的ヌクレオチド配列を含む任意のDNAが、その用語が本明細書において使用される通りの「抗原」をコードすることを理解するであろう。さらに、当業者は、抗原がある遺伝子の完全長ヌクレオチド配列によってのみコードされる必要はないことを理解するであろう。本開示には、限定されないが、2つ以上の遺伝子の部分的ヌクレオチド配列の使用が含まれること、及びそれらのヌクレオチド配列が所望の免疫応答を生じさせるポリペプチドをコードするように様々な組み合わせで配列されることが容易に明らかである。さらに、当業者は、抗原が「遺伝子」によってコードされる必要は全くないことを理解するであろう。抗原は、合成して作成され得るか、又は生体試料から得られ得るか、又はポリペプチド以外の巨大分子である可能性もあることが容易に明らかである。かかる生体試料には、限定されないが、組織試料、腫瘍試料、細胞又は体液が他の生物学的成分と共に含まれ得る。
用語「抗腫瘍効果」及び「抗癌効果」は、互換的に使用され、限定されないが、例えば腫瘍体積若しくは癌体積の減少、腫瘍細胞若しくは癌細胞の数の減少、転移の数の減少、平均余命の増加、腫瘍細胞増殖若しくは癌細胞増殖の低減、腫瘍細胞生存若しくは癌細胞生存の低減又は癌性病態に関連する多様な生理学的症状の改善を含む様々な手段によって現れ得る生物学的効果を指す。「抗腫瘍効果」又は「抗癌効果」は、本開示のペプチド、ポリヌクレオチド、細胞及び抗体が腫瘍又は癌の発生を予防する能力によってもまず現れ得る。
用語「自己」は、同じ個体に由来する任意の材料であって、後にその個体に再導入されることになる材料を指す。
用語「同種異系」は、材料が導入される個体と同じ種の異なる動物に由来する任意の材料を指す。2つ以上の個体は、1つ以上の遺伝子座の遺伝子が同一でないとき、互いに同種異系であると言われる。一部の実施形態において、同じ種の個体からの同種異系材料は、抗原的に相互作用するのに十分に遺伝的に異なり得る。
用語「異種」は、異なる種の動物に由来するグラフトを指す。
本明細書で使用される用語「アフェレーシス」は、ドナー又は患者の血液をドナー又は患者から採取して、選択した特定の成分を分離する装置に通過させた後、例えば再輸血によって残りをドナー又は患者に戻すという、当技術分野で承認されている体外処置を指す。従って、「アフェレーシスサンプル」に関連して、アフェレーシスを用いて得られたサンプルを指す。
用語「癌」は、異常細胞の急速且つ無制御の成長によって特徴付けられる疾患を指す。癌細胞は、局所的に又は血流及びリンパ系を通じて体の他の部位に広がり得る。様々な癌の例が本明細書に記載され、限定されないが、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、皮膚癌、膵癌、結腸直腸癌、腎癌、肝癌、脳癌、リンパ腫、白血病、肺癌などが挙げられる。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法で処置される癌は、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫を含む。
用語「腫瘍」及び「癌」は、本明細書では同義的に使用され、例えば、両方の用語とも固形及び液性、例えばびまん性又は循環性腫瘍を包含する。本明細書で使用されるとき、用語「癌」又は「腫瘍」は、前癌性並びに悪性の癌及び腫瘍を含む。
「由来する」は、この用語が本明細書で使用される場合、第1の分子と第2の分子との間の関係を指す。これは、概して、第1の分子と第2の分子との間の構造的類似性に言及するものであり、第2の分子に由来する第1の分子に関する方法又は供給源を限定することを含意又は包含しない。例えば、CD3ζ分子に由来する細胞内シグナル伝達ドメインの場合、細胞内シグナル伝達ドメインは、求められる機能、すなわち適切な条件下でシグナルを生成する能力を有するような十分なCD3ζ構造を保持している。これは、細胞内シグナル伝達ドメインの特定の作製方法に限定することを含意又は包含せず、例えば細胞内シグナル伝達ドメインを提供するためにCD3ζ配列で開始して不要な配列を欠失させるか、又は変異を付与して細胞内シグナル伝達ドメインに至らせなければならないことを意味しない。
用語「保存的配列改変」は、そのアミノ酸配列を含む抗体又は抗体フラグメントの結合特性が大きい影響又は変化を被ることのないアミノ酸改変を指す。かかる保存的改変には、アミノ酸置換、付加及び欠失が含まれる。改変は、部位特異的突然変異誘発及びPCR媒介性突然変異誘発など、当技術分野において公知の標準技法によって本開示の抗体又は抗体フラグメントに導入することができる。保存的置換は、アミノ酸残基が同様の側鎖を有するアミノ酸残基に置き換えられるものである。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野において定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。従って、本開示のCAR内の1つ以上のアミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基に置き換えることができ、及び変化したCARは、本明細書に記載される機能アッセイを用いて試験することができる。
刺激及び/又は共刺激分子による刺激に関連して、用語「刺激」は、刺激性分子(例えば、TCR/CD3複合体)及び/又は共刺激分子(例えば、C28若しくは4-1BB)とその同族のリガンドとの結合によって誘導される応答、例えば一次若しくは二次応答を指し、それにより、限定されないが、TCR/CD3複合体を介したシグナル伝達などのシグナル伝達事象を媒介する。刺激は、特定の分子の発現変化及び/又は細胞骨格構造の再組織化などを媒介することができる。
用語「刺激性分子」は、T細胞によって発現され、T細胞シグナル伝達経路の少なくともいくつかの態様について、TCR複合体の一次活性化を調節する一次細胞質シグナル伝達配列を提供する分子を指す。一部の実施形態では、CAR内のITAM含有ドメインは、内因性TCR複合体とは独立に一次TCRのシグナル伝達を反復する。一部の実施形態では、一次シグナルは、例えば、TCR/CD3複合体と、ペプチドを載せたMHC分子との結合により開始される一次シグナルであり、これは、限定されないが、増殖、活性化、分化などを含むT細胞応答の媒介をもたらす。刺激性様式で作用する初代細胞質シグナル伝達配列(「一次シグナル伝達ドメイン」とも称される)は、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ又はITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含み得る。本開示において特に有用であるITAM含有初代細胞質シグナル伝達配列の例としては、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD278(「ICOS」としても知られる)、FcεRI及びCD66d、DAP10及びDAP12由来のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。本開示の具体的なCARにおいて、本開示の任意の1つ以上のCARSの細胞内シグナル伝達ドメインは、細胞内シグナル伝達配列、例えばCD3-ζの一次シグナル伝達配列を含む。用語「抗原提示細胞」又は「APC」は、その表面上に主要組織適合遺伝子複合体(MHC)と複合体化した外来抗原を提示するアクセサリー細胞などの免疫系細胞(例えば、B細胞、樹状細胞など)を指す。T細胞は、そのT細胞受容体(TCR)を用いてこうした複合体を認識し得る。APCは、抗原をプロセシングしてそれをT細胞に提示する。
「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、この用語が本明細書で使用されるとき、分子の細胞内部分を指す。実施形態において、細胞内シグナルドメインは、エフェクター機能シグナルを形質導入し、細胞に特殊な機能を果たすよう指示する。細胞内シグナル伝達ドメイン全体を用いることができるが、多くの場合、鎖全体を使用する必要はない。細胞内シグナル伝達ドメインの切断された一部を使用する範囲内で、このような切断された一部を、それがエフェクター機能シグナルを伝達する限り、完全鎖の代わりに使用し得る。用語細胞内シグナル伝達ドメインは、そのため、エフェクター機能シグナルの伝達に十分な細胞内シグナル伝達ドメインのあらゆる切断された一部を含むことを意図する。
細胞内シグナル伝達ドメインは、CAR含有細胞、例えばCART細胞の免疫エフェクター機能を促進するシグナルを生成する。例えば、CART細胞の免疫エフェクター機能の例として、細胞溶解活性及びサイトカインの分泌を含めたヘルパー活性が挙げられる。
一部の実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含み得る。例示的一次細胞内シグナル伝達ドメインには、一次刺激又は抗原依存性刺激に関与する分子に由来するものが含まれる。一部の実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激細胞内ドメインを含み得る。例示的共刺激細胞内シグナル伝達ドメインには、共刺激シグナル又は抗原非依存性刺激に関与する分子に由来するものが含まれる。例えば、CARTの場合、一次細胞内シグナル伝達ドメインがT細胞受容体の細胞質配列を含むことができ、及び共刺激細胞内シグナル伝達ドメインが共受容体又は共刺激分子からの細胞質配列を含むことができる。
一次細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容活性化チロシンモチーフ又はITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含むことができる。ITAMを含む一次細胞質シグナル伝達配列の例には、限定されないが、CD3ζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD278(「ICOS」としても知られる)、FcεRI、CD66d、DAP10及びDAP12に由来するものが含まれる。
用語「ζ」若しくは代替的に「ζ鎖」、「CD3-ζ」又は「TCR-ζ」は、CD247を指す。Swiss-Prot受託番号P20963は、例示的なヒトCD3ζアミノ酸配列を提供する。「ζ刺激ドメイン」若しくは代替的に「CD3-ζ刺激ドメイン」又は「TCR-ζ刺激ドメイン」は、CD3ζ又はその変異体(例えば、突然変異、例えば点突然変異、フラグメント、挿入若しくは欠失を有する分子)の刺激ドメインを指す。一部の実施形態では、ζの細胞質ドメインは、GenBank受託番号BAG36664.1の残基52~164又はその変異体(例えば、突然変異、例えば点突然変異、フラグメント、挿入若しくは欠失を有する分子)を含む。一部の実施形態では、「ζ刺激ドメイン」又は「CD3-ζ刺激ドメイン」は、配列番号9若しくは10として提供される配列又はその変異体(例えば、突然変異、例えば点突然変異、フラグメント、挿入若しくは欠失を有する分子)である。
「共刺激分子」という用語は、共刺激リガンドと特異的に結合し、それにより、T細胞の、限定されないが、増殖などによる共刺激応答を媒介する、T細胞上の同族結合パートナーを指す。共刺激分子は、効率的な免疫応答に必要な抗原受容体又はそのリガンド以外の細胞表面分子である。共刺激分子は、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ性活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、4-1BB(CD137)、B7-H3、CDS、ICAM-1、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、CD28-OX40、CD28-4-1BB及びCD83と特異的に結合するリガンドを含むが、これらに限定されるものではない。
共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激分子の細胞内部分を指す。
細胞内シグナル伝達ドメインは、それが由来する分子の細胞内部分全体若しくは天然の細胞内シグナル伝達ドメイン全体又はその機能的フラグメントを含み得る。
用語「4-1BB」は、CDR137又は腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー9を指す。Swiss-Prot受託番号P20963は、例示的なヒト4-1BBアミノ酸配列を提供する。「4-1BB共刺激ドメイン」は、4-1BBの共刺激ドメイン又はその変異体(例えば、突然変異、例えば点突然変異、フラグメント、挿入若しくは欠失を有する分子)を指す。一部の実施形態では、「4-1BB共刺激ドメイン」は、配列番号7として提供される配列又はその変異体(例えば、突然変異、例えば点突然変異、フラグメント、挿入若しくは欠失を有する分子)である。
「免疫エフェクター細胞」は、その用語が本明細書で使用される場合、免疫応答、例えば、免疫エフェクター応答の促進に関与する細胞を指す。免疫エフェクター細胞の例には、T細胞、例えばα/βT細胞及びγ/δT細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、肥満細胞及び骨髄球由来食細胞が含まれる。
「免疫エフェクター機能又は免疫エフェクター応答」は、この用語が本明細書で使用されるとき、標的細胞の免疫攻撃を亢進させる又は促進する例えば免疫エフェクター細胞の機能又は応答を指す。例えば、免疫エフェクター機能又は応答は、標的細胞の死滅又は成長若しくは増殖阻害を促進するT細胞又はNK細胞の特性を指す。T細胞の場合、一次刺激及び共刺激が免疫エフェクター機能又は応答の例である。
用語「エフェクター機能」は、細胞の特殊化された機能を指す。T細胞のエフェクター機能は、例えば、細胞溶解活性又はサイトカインの分泌を含むヘルパー活性であり得る。
用語「コードする」は、定義付けられたヌクレオチド配列(例えば、rRNA、tRNA及びmRNA)又は定義付けられたアミノ酸配列のいずれかを有する生物学的過程における他のポリマー及び巨大分子の合成の鋳型としての役割を果たす、遺伝子、cDNA又はmRNAなど、ポリヌクレオチド内の特異的ヌクレオチド配列の固有の特性及びそれによってもたらされる生物学的特性を指す。従って、遺伝子、cDNA又はRNAは、その遺伝子に対応するmRNAの転写及び翻訳によって細胞又は他の生体系のタンパク質が産生される場合にタンパク質をコードする。そのヌクレオチド配列がmRNA配列と同一の且つ通常配列表に提供されるものであるコード鎖及び遺伝子又はcDNAの転写鋳型として使用される非コード鎖の両方は、その遺伝子のcDNAのタンパク質又は他の産物をコードすると称することができる。
特記されない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの縮重バージョンであり、同じアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列の全てを含む。タンパク質又はRNAをコードするヌクレオチド配列という語句には、そのタンパク質をコードするヌクレオチド配列が何らかのバージョンで1つ又は複数のイントロンを含み得る限りにおいて、イントロンも含まれ得る。
用語「有効量」又は「治療有効量」は、本明細書において互換的に使用され、特定の生物学的結果を達成する上で有効である、本明細書に記載の化合物、製剤、材料若しくは組成物の量を指す。
「内因性」という用語は、生物体、細胞、組織若しくは系からの又はその内部で生成された任意の物質を指す。
用語「外因性」は、生物、細胞、組織又は系の外側から導入されるか又はその外側で産生される任意の材料を指す。
用語「発現」は、特定のヌクレオチド配列の転写及び/又は翻訳を指す。一部の実施形態では、発現は、細胞に導入されたmRNAの翻訳を含む。
用語「トランスファーベクター」は、単離核酸を含む組成物であって、細胞内部への単離核酸の送達に使用し得る組成物を指す。当技術分野では、限定されないが、線状ポリヌクレオチド、イオン性又は両親媒性化合物に関連するポリヌクレオチド、プラスミド及びウイルスを含め、多くのベクターが公知である。従って、用語「トランスファーベクター」には自己複製プラスミド又はウイルスが含まれる。この用語は、例えば、ポリリジン化合物、リポソームなど、細胞への核酸のトランスファーを促進する非プラスミド及び非ウイルス化合物もさらに含むものと解釈されなければならない。ウイルストランスファーベクターの例としては、限定されないが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターなどが挙げられる。
用語「発現ベクター」は、発現させるヌクレオチド配列に作動可能に連結した発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは、発現に十分なシス作用エレメントを含み、他の発現用エレメントは、宿主細胞によって供給されるか、又はインビトロ発現系に供給され得る。発現ベクターには、組換えポリヌクレオチドを組み込むコスミド、プラスミド(例えば、ネイキッド又はリポソームに含まれる)及びウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス)を含め、当技術分野において公知のもの全てが含まれる。
用語「レンチウイルス」は、レトロウイルス科(Retroviridae)の属を指す。レンチウイルスは、非分裂細胞を感染させることができる点でレトロウイルスの中でユニークであり、レンチウイルスは、宿主細胞のDNAに多量の遺伝情報を送達することができ、そのため、遺伝子デリバリーベクターの最も効率的な方法の1つである。HIV、SIV及びFIVは、全てレンチウイルスの例である。
用語「レンチウイルスベクター」は、特に、Milone et al.,Mol.Ther.17(8):1453-1464(2009)に提供される通りの自己不活性化レンチウイルスベクターを含め、レンチウイルスゲノムの少なくとも一部分に由来するベクターを指す。臨床で使用し得るレンチウイルスベクターの他の例としては、限定されないが、例えばOxford BioMedicaからのLENTIVECTOR(登録商標)遺伝子デリバリー技術、LentigenからのLENTIMAX(商標)ベクターシステムなどが挙げられる。非臨床タイプのレンチウイルスベクターも利用可能であり、当業者に公知であろう。
用語「相同」又は「同一性」は、2つのポリマー分子間、例えば2つのDNA分子又は2つのRNA分子など、2つの核酸分子間又は2つのポリペプチド分子間におけるサブユニット配列同一性を指す。2つの分子の両方におけるサブユニット位置が同じ単量体サブユニットによって占有されるとき、例えば、2つのDNA分子の各々の位置がアデニンによって占有される場合、それらは、その位置で相同又は同一である。2つの配列間の相同性は、一致する位置又は相同な位置の数の直接の関数である。例えば、2つの配列における位置の半分(例えば、10サブユニット長のポリマーにおける5個の位置)が相同である場合、それらの2つの配列は、50%相同である。位置の90%(例えば、10個中9個)が一致するか又は相同である場合、それらの2つの配列は、90%相同である。
「ヒト化」形態の非ヒト(例えば、マウス)抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はそのフラグメント(抗体のFv、Fab、Fab’、F(ab’)2又は他の抗原結合部分配列など)である。ほとんどの場合、ヒト化抗体及びその抗体フラグメントは、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体又は抗体フラグメント)においてレシピエントの相補決定領域(CDR)からの残基が所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット又はウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基に置き換えられているものである。一部の例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が対応する非ヒト残基に置き換えられる。さらに、ヒト化抗体/抗体フラグメントは、レシピエント抗体にも、移入されるCDR又はフレームワーク配列にも見られない残基を含むことができる。これらの改変は抗体又は抗体フラグメントの性能をさらに精緻化及び最適化し得る。一般に、ヒト化抗体又はその抗体フラグメントは、少なくとも1つ及び典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むことになり、CDR領域の全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、及びFR領域の全て又は大部分がヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体又は抗体フラグメントは、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのFcの少なくとも一部分も含むことができる。さらなる詳細については、Jones et al.,Nature,321:522-525,1986;Reichmann et al.,Nature,332:323-329,1988;Presta,Curr.Op.Struct.Biol.,2:593-596,1992を参照されたい。
「完全にヒト」は、分子全体がヒト起源であるか、又はヒト形態の抗体又は免疫グロブリンと同一のアミノ酸配列からなる抗体又は抗体フラグメントなどの免疫グロブリンを指す。
用語「単離されている」は、自然状態から改変されているか又は取り出されていることを意味する。例えば、生きている動物に天然に存在する核酸又はペプチドは、「単離されている」のではないが、その自然状態の共存する材料から部分的又は完全に分離された同じ核酸又はペプチドは、「単離されている」。単離核酸又はタンパク質は、実質的に精製された形態で存在することができるか、又は例えば宿主細胞など、非天然環境中に存在することができる。
本開示との関連において、一般的に存在する核酸塩基に関して以下の略称が使用される。「A」は、アデノシンを指し、「C」は、シトシンを指し、「G」は、グアノシンを指し、「T」は、チミジンを指し、及び「U」は、ウリジンを指す。
用語「作動可能に連結された」又は「転写制御」は、調節配列と異種核酸配列との間における後者の発現をもたらす機能的な連結を指す。例えば、第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的に関係した状態に置かれているとき、第1の核酸配列は、第2の核酸配列と作動可能に連結されている。例えば、プロモーターがコード配列の転写又は発現に影響を及ぼす場合、プロモーターは、コード配列に作動可能に連結されている。作動可能に連結されるDNA配列は、互いに連続し得、例えば2つのタンパク質コード領域をつなぎ合わせる必要がある場合、同じリーディングフレーム内にある。
免疫原性組成物の「非経口」投与という用語は、例えば、皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)、又は胸骨内注射、腫瘍内、又は輸注技法を含む。
用語「核酸」、「核酸分子」、「ポリペプチド」又は「ポリヌクレオチド分子」は、一本鎖又は二本鎖のいずれかの形態のデオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)及びそれらのポリマーを指す。具体的に限定しない限り、この用語には、参照核酸と同様の結合特性を有し、且つ天然に存在するヌクレオチドと同じように代謝される、天然ヌクレオチドの公知の類似体を含む核酸が包含される。一部の実施形態では、「核酸」、「核酸分子」、「ポリペプチド」又は「ポリヌクレオチド分子」は、ヌクレオチド/ヌクレオシド誘導体又は類似体を含む。別に指示のない限り、特定の核酸配列は、黙示的に、その保存的に改変された変異体(例えば、縮重コドン置換、例えば保存的置換)、アレル、オルソログ、SNP及び相補配列並びに明示的に指示される配列も包含する。具体的には、縮重コドン置換、例えば保存的置換は、1つ以上の選択された(又は全ての)コドンの3番目の位置が、混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基で置換されている配列を作製することによって達成し得る(Batzer et al.,Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsuka et al.,J.Biol.Chem.260:2605-2608(1985);及びRossolini et al.,Mol.Cell.Probes 8:91-98(1994))。
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、同義的に使用され、ペプチド結合によって共有結合的に連結したアミノ酸残基で構成される化合物を指す。タンパク質又はペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含有しなければならず、タンパク質の配列又はペプチドの配列を含むことのできるアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドは、互いにペプチド結合によってつなぎ合わされた2つ以上のアミノ酸を含む任意のペプチド又はタンパク質を含む。本明細書で使用されるとき、この用語は、当技術分野では一般に例えばペプチド、オリゴペプチド及びオリゴマーとも称される短鎖と、当技術分野では概してタンパク質と称される、多数の種類があるより長い鎖との両方を指す。「ポリペプチド」には、例えば、生物学的に活性なフラグメント、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドの変異体、修飾ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質が特に含まれる。ポリペプチドには、天然ペプチド、組換えペプチド又はこれらの組み合わせが含まれる。
用語「プロモーター」は、ポリヌクレオチド配列の特異的転写を開始させるのに必要である、細胞の合成機構又は導入された合成機構によって認識されるDNA配列を指す。
用語「プロモーター/調節配列」は、そのプロモーター/調節配列に作動可能に連結された遺伝子産物の発現に必要な核酸配列を指す。一部の例では、この配列は、コアプロモーター配列であり得、他の例では、この配列は、エンハンサー配列及び遺伝子産物の発現に必要な他の調節エレメントも含み得る。プロモーター/調節配列は、例えば、遺伝子産物を組織特異的に発現するものであり得る。
用語「構成的」プロモーターは、遺伝子産物をコードするか又はそれを指定するポリヌクレオチドと作動可能に連結されているとき、細胞のほとんど又は全ての生理条件下で細胞において遺伝子産物の産生を生じさせるヌクレオチド配列を指す。
用語「誘導性」プロモーターは、遺伝子産物をコードするか又はそれを指定するポリヌクレオチドと作動可能に連結されているとき、実質的にプロモーターに対応する誘発物質が細胞に存在する場合に限り細胞において遺伝子産物の産生を生じさせるヌクレオチド配列を指す。
用語「組織特異的」プロモーターは、遺伝子をコードするか又はそれによって指定されるポリヌクレオチドと作動可能に連結されているとき、実質的に細胞がプロモーターに対応する組織型の細胞である場合に限り細胞において遺伝子産物の産生を生じさせるヌクレオチド配列を指す。
用語「癌関連抗原」、「腫瘍抗原」、「過剰増殖性障害抗原」及び「過剰増殖性障害に関連する抗原」は、互換的に、特定の過剰増殖性障害に共通の抗原を指す。一部の実施形態では、これらの用語は、癌細胞の表面上に、完全に又はフラグメント(例えば、MHC/ペプチド)として、発現する分子(典型的にはタンパク質、炭水化物若しくは脂質)であって、癌細胞に対する薬理学的薬剤の優先的な標的化に有用な分子を指す。一部の実施形態において、腫瘍抗原は、正常細胞及び癌細胞の両方が発現するマーカー、例えば系列マーカー、例えばB細胞上のCD19である。一部の実施形態では、腫瘍抗原は、正常細胞と比べて癌細胞で過剰発現(例えば、正常細胞と比べて1倍の過剰発現、2倍の過剰発現、3倍以上の過剰発現)する細胞表面分子である。一部の実施形態では、腫瘍抗原は、癌細胞で不適切に合成される細胞表面分子、例えば正常細胞に発現する分子と比べて欠失、付加又は変異を含む分子である。一部の実施形態では、腫瘍抗原は、癌細胞の細胞表面にのみ、完全に又はフラグメント(例えば、MHC/ペプチド)として発現することになり、正常細胞の表面には合成されないか又は発現しない。一部の実施形態では、本開示の過剰増殖性障害抗原は、原発性若しくは転移性黒色腫、胸腺腫、リンパ腫、肉腫、肺癌、肝臓癌、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、白血病、子宮癌、子宮頸癌、膀胱癌、腎臓癌並びに乳癌、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性若しくは治療抵抗性前立腺癌又は転移性前立腺癌)、卵巣癌、膵臓癌など、又は形質細胞増殖性障害、例えば無症候性骨髄腫(くすぶり型多発性骨髄腫若しくは無症候性骨髄腫)、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、形質細胞腫(例えば、プラズマ細胞増殖症、孤立性骨髄腫、孤立性形質細胞腫、髄外性形質細胞腫及び多発性形質細胞腫)、全身性軽鎖アミロイドーシス及びPOEMS症候群(また、クロウ・深瀬症候群、高月病(Takatsuki disease)及びPEP症候群としても知られる)に由来する。一部の実施形態では、本開示のCARは、MHC提示ペプチドに結合する抗原結合ドメイン(例えば、抗体又は抗体フラグメント)を含むCARを含む。通常、内因性タンパク質に由来するペプチドは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI分子のポケットに嵌まり、CD8+Tリンパ球上のT細胞受容体(TCR)によって認識される。MHCクラスI複合体は、あらゆる有核細胞によって構成的に発現される。癌では、ウイルス特異的及び/又は腫瘍特異的ペプチド/MHC複合体が免疫療法用のユニークなクラスの細胞表面標的となる。ヒト白血球抗原(HLA)-A1又はHLA-A2のコンテクストでウイルス又は腫瘍抗原由来のペプチドを標的とするTCR様抗体が記載されている(例えば、Sastry et al.,J Virol.2011 85(5):1935-1942;Sergeeva et al.,Blood,2011 117(16):4262-4272;Verma et al.,J Immunol 2010 184(4):2156-2165;Willemsen et al.,Gene Ther 2001 8(21):1601-1608;Dao et al.,Sci Transl Med 2013 5(176):176ra33;Tassev et al.,Cancer Gene Ther 2012 19(2):84-100を参照されたい)。例えば、TCR様抗体は、ヒトscFvファージディスプレイライブラリなど、ライブラリーのスクリーニングによって同定することができる。
用語「腫瘍支持抗原」又は「癌支持抗原」は、互換的に、それ自体癌性ではない細胞の表面に発現するが、例えばそれらの増殖若しくは生存、例えば免疫細胞に対する抵抗性を促進することによって癌細胞を支持する分子(典型的にはタンパク質、炭水化物若しくは脂質)を指す。このタイプの例示的な細胞として、間質細胞及び骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)が挙げられる。腫瘍支持抗原自体は、癌細胞を支持する細胞に抗原が存在する限り、腫瘍細胞を支持する役割を果たす必要はない。
用語「可動性ポリペプチドリンカー」又は「リンカー」は、scFvとの関連で使用されるとき、可変重鎖領域と可変軽鎖領域とを共に連結するために単独又は組み合わせで使用されるグリシン及び/又はセリン残基などのアミノ酸からなるペプチドリンカーを指す。一部の実施形態において、可動性ポリペプチドリンカーは、Gly/Serリンカーであり、アミノ酸配列(Gly-Gly-Gly-Ser)n(式中、nは、1以上の正の整数、例えばn=1、n=2、n=3、n=4、n=5及びn=6、n=7、n=8、n=9及びn=10である)(配列番号41)を含む。一部の実施形態において、可動性ポリペプチドリンカーには、限定されないが、(Gly4 Ser)4(配列番号27)又は(Gly4 Ser)3(配列番号28)が含まれる。一部の実施形態において、リンカーは、(Gly2Ser)、(GlySer)又は(Gly3Ser)(配列番号29)の複数の繰り返しを含む。また、国際公開第2012/138475号パンフレット(参照により本明細書に援用される)に記載されるリンカーも本開示の範囲内に含まれる。
本明細書で使用されるとき、5’キャップ(RNAキャップ、RNA7-メチルグアノシンキャップ又はRNA m7Gキャップとも称される)は、転写開始直後に真核生物メッセンジャーRNAの「前」又は5’末端に付加された修飾グアニンヌクレオチドである。5’キャップは、1番目の転写ヌクレオチドに連結される末端基からなる。その存在は、リボソームによる認識及びRNアーゼからの保護に重要である。キャップ付加は転写と結び付いており、それぞれが他方に影響を与えるようにして同時転写的に起こる。転写開始直後、合成されているmRNAの5’末端に、RNAポリメラーゼに関連するキャップ合成複合体が結合する。この酵素複合体は、mRNAキャッピングに必要な化学反応を触媒する。合成は、多段階生化学反応として進行する。キャッピング部分は、mRNAのその安定性又は翻訳効率などの機能を調整するために改変することができる。
本明細書で使用されるとき、「インビトロ転写RNA」は、インビトロ合成されたRNAを指す。一部の実施形態では、RNAは、mRNAである。概して、インビトロ転写RNAは、インビトロ転写ベクターから作成される。インビトロ転写ベクターは、インビトロ転写RNAの作成に使用される鋳型を含む。
本明細書で使用されるとき、「ポリ(A)」は、ポリアデニル化によってmRNAに結合される一連のアデノシンである。一過性発現用の構築物の一部の実施形態において、ポリ(A)は、50~5000である(配列番号30)。一部の実施形態では、ポリ(A)は、64より多い。一部の実施形態では、ポリ(A)は、100より多い。一部の実施形態では、ポリ(A)は、300より多い。一部の実施形態では、ポリ(A)は、400より多い。ポリ(A)配列は、局在性、安定性又は翻訳効率などのmRNA機能を調整するために化学的又は酵素的に改変することができる。
本明細書で使用されるとき、「ポリアデニル化」は、メッセンジャーRNA分子へのポリアデニリル部分又はその改変変異体の共有結合を指す。真核生物では、ほとんどのメッセンジャーRNA(mRNA)分子が3’末端でポリアデニル化される。3’ポリ(A)テールは、酵素、ポリアデニル酸ポリメラーゼの作用によってmRNA前駆体に付加されるアデニンヌクレオチドの長い配列(多くの場合に数百個)である。高等真核生物では、ポリ(A)テールは、特異的配列、ポリアデニル化シグナルを含む転写物に付加される。ポリ(A)テール及びそれに結合したタンパク質は、mRNAをエキソヌクレアーゼによる分解から保護するのに役立つ。ポリアデニル化は、転写終結、mRNAの核外移行及び翻訳にも重要である。ポリアデニル化は、DNAからRNAへの転写直後に核内で起こるが、さらに後に細胞質でも起こり得る。転写が終結した後、RNAポリメラーゼに関連するエンドヌクレアーゼ複合体の作用によってmRNA鎖が切断される。切断部位は、通常、切断部位近傍の塩基配列AAUAAAの存在によって特徴付けられる。mRNAが切断された後、切断部位の遊離3’末端にアデノシン残基が付加される。
本明細書で使用されるとき、「一過性」は、数時間、数日間又は数週間の期間にわたる組み込まれないトランス遺伝子の発現を指し、この発現期間は、宿主細胞においてゲノムに組み込まれた場合又は安定プラスミドレプリコン中に含まれている場合の遺伝子の発現期間よりも短い。
本明細書で使用される場合、用語「処置する」、「処置」及び「処置している」は、1つ以上の療法(例えば、本開示のCARなどの1つ以上の療法剤)の投与によってもたらされる増殖性障害の進行、重症度及び/若しくは持続期間の低減若しくは改善又は増殖性障害の1つ以上の症状(好ましくは1つ以上の認識し得る症状)の改善を指す。具体的な実施形態において、用語「処置する」、「処置」及び「処置している」は、患者には必ずしも認識できない、腫瘍の増殖などの増殖性障害の少なくとも1つの計測可能な理学的パラメーターの改善を指す。他の実施形態において、用語「処置する」、「処置」及び「処置している」は、増殖性障害の進行の物理的な、例えば認識し得る症状の安定化による阻害、生理学的な、例えば理学的パラメーターの安定化による阻害のいずれか又は両方を指す。他の実施形態において、用語「処置する」、「処置」及び「処置している」は、腫瘍サイズ又は癌性細胞数の低減又は安定化を指す。
用語「シグナル伝達経路」は、細胞のある部分から細胞の別の部分へのシグナルの伝達において役割を果たす種々のシグナル伝達分子間の生化学的関係を指す。語句「細胞表面受容体」は、シグナルを受け取り、且つ細胞の膜を越えてシグナルを伝える能力を有する分子及び分子複合体を含む。
用語「対象」は、免疫応答を生じさせることのできる生きている生物(例えば、哺乳類、例えばヒト)を含むことが意図される。
用語の「実質的に精製された」細胞は、他の細胞型を本質的に含まない細胞を指す。実質的に精製された細胞とは、その天然に存在する状態でそれが通常結び付いている他の細胞型と分離されている細胞も指す。一部の例では、実質的に精製された細胞集団とは、均質な細胞集団を指す。他の例では、この用語は、単に、その自然状態でそれが天然に結び付いている細胞から分離されている細胞を指す。一部の実施形態において、これらの細胞は、インビトロで培養される。一部の実施形態において、これら細胞は、インビトロで培養されない。
本明細書で使用される用語「治療的」とは、処置を意味する。治療効果は、病態の低減、抑制、寛解又は根絶によって達成される。
本明細書で使用される用語「予防」とは、疾患若しくは病態の予防又は予防的処置を意味する。
用語「トランスフェクトされた」、又は「形質転換された」、又は「形質導入された」は、外因性核酸を宿主細胞に移入させるか又は導入するプロセスを指す。「トランスフェクトされた」、又は「形質転換された」、又は「形質導入された」細胞は、外因性核酸をトランスフェクト、形質転換又は形質導入されたものである。細胞には初代対象細胞及びその子孫が含まれる。
用語「特異的に結合する」は、試料中に存在するコグネイト結合パートナー(例えば、T細胞に存在する刺激及び/若しくは共刺激分子)タンパク質を認識して、それと結合するが、試料中の他の分子は実質的に認識しないか又はそれらに結合しない抗体又はリガンドを指す。
本明細書で使用される「調節可能なキメラ抗原受容体(RCAR)」という用語は、免疫エフェクター細胞中にあるとき、標的細胞、典型的には癌細胞に対する特異性及び細胞内シグナル生成を細胞に賦与する一連のポリペプチド、典型的には最も単純な実施形態では2つのポリペプチドを指す。一部の実施形態では、RCARは、少なくとも1つの細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン並びにCAR分子に関連して本明細書で定義されるような刺激分子及び/又は共刺激分子由来の機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞腫シグナル伝達ドメイン(また、本明細書では「細胞内シグナル伝達ドメイン」とも称される)を含む。一部の実施形態では、RCAR中のこれら一連のポリペプチドは、互いに隣接しておらず、例えば異なるポリペプチド鎖内にある。一部の実施形態では、RCARは、二量体化スイッチを含み、これは、二量体化分子が存在すると、ポリペプチドを互いに結合させることができ、例えば細胞内シグナル伝達ドメインに抗原結合ドメインを結合させることができる。一部の実施形態では、RCARは、本明細書に記載される細胞(例えば、免疫エフェクター細胞)、例えばRCAR発現細胞(また、「RCARX細胞」とも称される)に発現される。一部の実施形態では、RCARX細胞は、T細胞であり、RCART細胞と称される。一部の実施形態では、RCARXは、NK細胞であり、RCARN細胞と称される。RCARは、RCAR発現細胞に、標的細胞、典型的には癌細胞に対する特異性及び調節可能な細胞内シグナル生成若しくは増殖を賦与することができ、これらは、RCAR発現細胞の免疫エフェクター特性を最適化し得る。複数の実施形態では、RCAR細胞は、抗原結合ドメインに結合した抗原を含む標的細胞に対する特異性を取得するために、少なくとも部分的に、抗原結合ドメインに依存する。
「膜アンカー」又は「膜テザリングドメイン」は、この用語が本明細書で使用されるとき、細胞外若しくは細胞内ドメインを原形質膜に結合させる上で十分なポリペプチド若しくは部分、例えばミリストイル基を指す。
「スイッチドメイン」は、この用語が本明細書で例えばRCARを指す場合に使用されるとき、二量体化分子の存在下で別のスイッチドメインと結合する実体、典型的には、ポリペプチドベースの実体を指す。この結合により、第1のスイッチドメインに連結、例えば融合した第1の実体と、第2のスイッチドメインに連結、例えば融合した第2の実体との機能性カップリングが起こる。第1及び第2のスイッチドメインは、集合的に二量体化スイッチと呼ばれる。複数の実施形態において、第1及び第2のスイッチドメインは、互いに同じであり、例えば、両者は、同じ一次アミノ酸配列を有するポリペプチドであり、集合的にホモ二量体化スイッチと呼ばれる。複数の実施形態において、第1及び第2のスイッチドメインは、互いに異なり、例えば、それらは、異なる一次アミノ酸配列を有するポリペプチドであり、集合的にヘテロ二量体化スイッチと呼ばれる。複数の実施形態において、スイッチは、細胞内である。複数の実施形態では、スイッチは、細胞外である。複数の実施形態において、スイッチドメインは、ポリペプチドベースの実体、例えばFKBP又はFRBベースであり、二量体化分子は、小分子、例えばラパログである。複数の実施形態において、スイッチドメインは、ポリペプチドベースの実体、例えばmycペプチドに結合するscFvであり、二量体化分子は、ポリペプチド、そのフラグメント又はポリペプチドの多量体、例えばmycリガンド若しくは1つ以上のmyc scFvに結合するmycリガンドの多量体である。複数の実施形態において、スイッチドメインは、ポリペプチドベースの実体、例えばmyc受容体であり、二量体化分子は、抗体又はそのフラグメント、例えばmyc抗体である。
「二量体化分子」という用語は、この用語が本明細書で例えばRCARを指す場合に使用されるとき、第1のスイッチドメインと第2のスイッチドメインの結合を促進する分子を指す。複数の実施形態において、二量体化分子は、対象に天然に存在しないか、又は有意な二量体化を起こす濃度では存在しない。複数の実施形態では、二量体化分子は、小分子、例えばラパマイシン若しくはラパログ、例えばRAD001である。
用量「低い免疫増強用量」は、mTOR阻害剤、例えばアロステリックmTOR阻害剤、例えばRAD001若しくはラパマイシン又は触媒mTOR阻害剤と一緒に使用されるとき、例えばP70 S6キナーゼ活性の阻害により測定される通り、mTOR活性を部分的に、しかし完全にではなく、阻害するmTOR阻害剤の用量を指す。例えば、P70 S6キナーゼ活性の阻害によりmTOR活性を評価する方法は、本明細書に詳述される。この用量は、完全な免疫抑制をもたらすのに不十分であるが、免疫応答を増強するには十分である。一部の実施形態では、mTOR阻害剤の低い免疫増強用量は、PD-1陽性T細胞の数の減少及び/若しくはPD-1陰性T細胞の数の増加又はPD-1陰性T細胞/PD-1陽性T細胞の比の増加をもたらす。一部の実施形態では、mTOR阻害剤の低い免疫増強用量は、ナイーブT細胞の数の増加をもたらす。一部の実施形態では、mTOR阻害剤の低い免疫増強用量は、
例えば、メモリーT細胞、例えばメモリーT細胞前駆体での下記マーカー:CD62Lhigh、CD127high、CD27+及びBCL2の1つ以上の発現の増大;
例えば、メモリーT細胞、例えばメモリーT細胞前駆体でのKLRG1の発現の減少;並びに
例えば、下記の特徴:CD62Lhighの増加、CD127highの増加、CD27+の増加、KLRG1の減少及びBCL2の増加のいずれか1つ又はそれらの組み合わせを備えるメモリーT細胞前駆体の数の増加
の1つ以上をもたらし、ここで、前述した変化のいずれかは、例えば、非処置対象と比較して、少なくとも一時的に起こる。
「難治性」は、本明細書で使用される場合、処置に応答しない疾患、例えば癌を指す。複数の実施形態において、難治性癌は、処置の開始前又は開始時点で処置に抵抗性であり得る。他の実施形態において、難治性癌は、処置中に抵抗性になり得る。難治性癌は、抵抗性癌とも称される。
本明細書で使用される「再発した」又は「再発」は、改善若しくは応答性期間後、例えばある治療(例えば、癌治療)による以前の処置後の疾患(例えば、癌)の又は癌などの疾患の兆候及び症状の再発又は再出現を指す。初期の応答性期間は、癌細胞のレベルの、ある閾値未満、例えば20%、1%、10%、5%、4%、3%、2%又は1%未満への低下を含み得る。再出現は、癌細胞のレベルの、ある閾値を越える、例えば20%、1%、10%、5%、4%、3%、2%又は1%を超える増加を含み得る。例えば、再出現は、例えば、B-ALLに関連して、完全応答後の、例えば血液、骨髄(>5%)又は任意の髄外部位における芽球の再出現を含み得る。これに関連して、完全応答は、<5%のBM芽球を含み得る。より一般的には、一部の実施形態において、応答(例えば、完全応答又は部分応答)は、検出可能なMRD(微小残存病変)の非存在を含み得る。一実施形態において、応答性の初期期間は、少なくとも1、2、3、4、5又は6日間;少なくとも1、2、3又は4週間;少なくとも1、2、3、4、6、8、10又は12ヶ月間;又は少なくとも1、2、3、4又は5年間続く。
範囲:本開示全体を通じて、本開示の様々な実施形態が範囲の形式で提示され得る。範囲の形式での記載は、単に便宜上及び簡潔にするためのものであり、本開示の範囲に対する確固たる限定と解釈されてはならないことが理解されるべきである。従って、範囲の記載は、具体的に開示される全ての可能な部分範囲並びにその範囲内にある個々の数値を有すると考えられなければならない。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの具体的に開示される部分範囲並びにその範囲内にある個々の数値、例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3及び6を有すると考えられなければならない。別の例として、95~99%の同一性などの範囲は、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するものを含み、及び96~99%、96~98%、96~97%、97~99%、97~98%及び98~99%の同一性などの部分範囲を含む。これは、範囲の幅に関わらず適用される。
「遺伝子編集システム」は、この用語が本明細書で使用されるとき、前記システムにより標的化されるゲノムDNAの部位若しくはその付近の1つ以上の核酸の改変、例えば欠失を指令し、実行するシステム、例えば1つ以上の分子を指す。遺伝子編集システムは、当技術分野では公知であり、以下により詳しく記載する。
「組み合わせて」投与されるは、本明細書で使用される場合、疾患による対象の苦痛が継続する過程において2種(以上の)異なる処置が対象に送達されることを意味し、例えば対象が疾患を有すると診断された後且つ疾患が治癒若しくは排除されるか、又は処置が他の理由で中止される前に、2種以上の処置が送達される。一部の実施形態では、1つの処置の送達は、第2の処置の送達が開始するとき依然として続いており、これにより、投与に関して重複が存在する。これは、本明細書において、「同時」又は「同時送達」と呼ばれる場合がある。他の実施形態では、1つの処置の送達は、他の処置の送達が開始する前に終了する。いずれかの場合の一部の実施形態において、処置は、併用投与によってより有効である。例えば、第2の処置の方が有効であり、例えばより少ない第2の処置で同等の効果がみられるか、又は第2の処置は、第1の処置を行わずに第2の処置が投与される場合にみられるものより優れた程度まで症状を軽減するか若しくは第1の処置と類似の状況がみられる。一部の実施形態では、送達は、症状の軽減又は障害に関する他のパラメーターが、一方が他方なしで送達された場合に認められるものより高くなるようにする。2つの処置の効果は、部分的に相加的、完全に相加的であるか又は相加的を上回り得る。送達は、送達される第1の処置の効果が、第2の処置が送達されるときにも依然として検出可能であるようにすることができる。
本明細書で互換的に使用される「枯渇(欠失)」又は「枯渇する(欠失させる)こと」という用語は、プロセス、例えば選択ステップ、例えばネガティブ選択が実施された後の、サンプル中の細胞、タンパク質若しくは高分子のレベル又は量の減少又は低下を指す。枯渇は、細胞、タンパク質若しくは高分子の完全又は部分的な枯渇であり得る。一部の実施形態において、枯渇は、プロセスが実施される前のサンプル中の細胞、タンパク質若しくは高分子のレベル又は量と比べて、細胞、タンパク質若しくは高分子のレベル又は量の少なくとも1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%若しくは99%の減少又は低下である。
本明細書で使用される場合、「ナイーブT細胞」は、抗原未経験のT細胞を指す。一部の実施形態では、抗原未経験T細胞は、胸腺中でそのコグネイト抗原に遭遇しているが、末梢では遭遇していない。一部の実施形態では、ナイーブT細胞は、メモリーT細胞の前駆体である。一部の実施形態では、ナイーブT細胞は、CD45RA及びCCR7の両方を発現するが、CD45ROを発現しない。一部の実施形態では、ナイーブT細胞は、CD62L、CD27、CCR7、CD45RA、CD28及びCD127の発現並びにCD95又はCD45ROアイソフォームの非存在を特徴とし得る。一部の実施形態では、ナイーブT細胞は、CD62L、IL-7受容体α、IL-6受容体及びCD132を発現するが、CD25、CD44、CD69又はCD45ROを発現しない。一部の実施形態では、ナイーブT細胞は、CD45RA、CCR7及びCD62Lを発現するが、CD95又はIL-2受容体βを発現しない。一部の実施形態では、マーカーの表面発現レベルは、フローサイトメトリーを用いて評価される。
用語「セントラルメモリーT細胞」は、ヒトにおいてCD45RO陽性であり、CCR7を発現するT細胞のサブセットを指す。一部の実施形態では、セントラルメモリーT細胞は、CD95を発現する。一部の実施形態では、セントラルメモリーT細胞は、IL-2R、IL-7R及び/又はIL-15Rを発現する。一部の実施形態では、セントラルメモリーT細胞は、CD45RO、CD95、IL-2受容体β、CCR7及びCD62Lを発現する。一部の実施形態では、マーカーの表面発現レベルは、フローサイトメトリーを用いて評価される。
用語「ステムメモリーT細胞」、「幹細胞メモリーT細胞」、「幹細胞様メモリーT細胞」、「メモリーステムT細胞」、「Tメモリー幹細胞」、「Tステムセルメモリー細胞」又は「TSCM細胞」は、幹細胞様能力、例えば自己再生する能力並びに/又はメモリー及び/若しくはエフェクターT細胞サブセットを再構成する多分化能を備えたメモリーT細胞のサブセットを指す。一部の実施形態では、ステムメモリーT細胞は、CD45RA、CD95、IL-2受容体β、CCR7及びCD62Lを発現する。一部の実施形態では、マーカーの表面発現レベルは、フローサイトメトリーを用いて評価される。一部の実施形態では、例示的なステムメモリーT細胞は、Gattinoni et al.,Nat Med.2017 January 06;23(1):18-27に開示されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
明瞭化の目的で、別に注記されない限り、特定のマーカーを「発現しない」又は「それが存在しない」又は「それについて陰性である」ものとして細胞若しくは細胞の集団を分類するのは、必ずしもマーカーの非存在を意味するわけではない。当業者は、容易に、陽性及び/若しくは陰性対照に対して細胞を比較し、及び/又は所定の閾値を設定し、且つ従来の検出方法を用いて、例えばフローサイトメトリーを用いて、例えば本明細書の実施例に記載されるように、細胞が、所定の閾値に満たない発現レベルを有するか、又は細胞の集団が、所定の閾値に満たない過剰発現レベルを有するとき、マーカーを発現しないか、若しくはマーカーについて陰性であるものとして細胞若しくは細胞の集団を分類することができる。例えば、代表的なゲーティング戦略を図1に示す。例えば、CCR7陽性、CD45RO陰性細胞は、図1Gの左上象限に示される。
本明細書で使用される場合、細胞の「GeneSetScore(Up TEM vs.Down TSCM)」という用語は、細胞が、幹細胞メモリーT細胞(TSCM)表現型に対してエフェクターメモリーT細胞(TEM)表現型を示す程度を表すスコアを指す。より高いGeneSetScore(Up TEM vs.Down TSCM)は、TEM表現型の増加を示すのに対し、より低いGeneSetScore(Up TEM vs.Down TSCM)は、TSCM表現型の増加を示す。一部の実施形態では、GeneSetScore(Up TEM vs.Down TSCM)は、TEM細胞で上方制御される及び/又はTSCMで下方制御される1つ以上の遺伝子、例えばMXRA7、CLIC1、NAT13、TBC1D2B、GLCCI1、DUSP10、APOBEC3D、CACNB3、ANXA2P2、TPRG1、EOMES、MATK、ARHGAP10、ADAM8、MAN1A1、SLFN12L、SH2D2A、EIF2C4、CD58、MYO1F、RAB27B、ERN1、NPC1、NBEAL2、APOBEC3G、SYTL2、SLC4A4、PIK3AP1、PTGDR、MAF、PLEKHA5、ADRB2、PLXND1、GNAO1、THBS1、PPP2R2B、CYTH3、KLRF1、FLJ16686、AUTS2、PTPRM、GNLY及びGFPT2からなる群から選択される1つ以上の遺伝子の発現を測定することによって決定される。一部の実施形態では、GeneSetScore(Up TEM vs.Down TSCM)は、例えば、図39Aを参照にして実施例10に例示される通り、RNA-seq、例えば単一細胞RNA-seq(scRNA-seq)を用いて、各細胞について決定される。一部の実施形態では、GeneSetScore(Up TEM vs.Down TSCM)は、遺伝子セット中の遺伝子全ての平均log正規化遺伝子発現値を取得することにより計算される。
本明細書で使用されるとき、細胞の「GeneSetScore(Up Treg vs.Down Teff)」という用語は、細胞が、エフェクターT細胞(Teff)表現型に対して調節T細胞(Treg)を示す程度を表すスコアを指す。より高いGeneSetScore(Up Treg vs.Down Teff)は、Treg表現型の増加を示すのに対し、より低いGeneSetScore(Up Treg vs.Down Teff)は、Teff表現型の増加を示す。一部の実施形態では、GeneSetScore(Up Treg vs.Down Teff)は、Treg細胞で上方制御される及び/又はTeff細胞で下方制御される1つ以上の遺伝子、例えばC12orf75、SELPLG、SWAP70、RGS1、PRR11、SPATS2L、SPATS2L、TSHR、C14orf145、CASP8、SYT11、ACTN4、ANXA5、GLRX、HLA-DMB、PMCH、RAB11FIP1、IL32、FAM160B1、SHMT2、FRMD4B、CCR3、TNFRSF13B、NTNG2、CLDND1、BARD1、FCER1G、TYMS、ATP1B1、GJB6、FGL2、TK1、SLC2A8、CDKN2A、SKAP2、GPR55、CDCA7、S100A4、GDPD5、PMAIP1、ACOT9、CEP55、SGMS1、ADPRH、AKAP2、HDAC9、IKZF4、CARD17、VAV3、OBFC2A、ITGB1、CIITA、SETD7、HLA-DMA、CCR10、KIAA0101、SLC14A1、PTTG3P、DUSP10、FAM164A、PYHIN1、MYO1F、SLC1A4、MYBL2、PTTG1、RRM2、TP53INP1、CCR5、ST8SIA6、TOX、BFSP2、ITPRIPL1、NCAPH、HLA-DPB2、SYT4、NINJ2、FAM46C、CCR4、GBP5、C15orf53、LMCD1、MKI67、NUSAP1、PDE4A、E2F2、CD58、ARHGEF12、LOC100188949、FAS、HLA-DPB1、SELP、WEE1、HLA-DPA1、FCRL1、ICA1、CNTNAP1、OAS1、METTL7A、CCR6、HLA-DRB4、ANXA2P3、STAM、HLA-DQB2、LGALS1、ANXA2、PI16、DUSP4、LAYN、ANXA2P2、PTPLA、ANXA2P1、ZNF365、LAIR2、LOC541471、RASGRP4、BCAS1、UTS2、MIAT、PRDM1、SEMA3G、FAM129A、HPGD、NCF4、LGALS3、CEACAM4、JAKMIP1、TIGIT、HLA-DRA、IKZF2、HLA-DRB1、FANK1、RTKN2、TRIB1、FCRL3及びFOXP3からなる群から選択される1つ以上の遺伝子の発現を測定することによって決定される。一部の実施形態において、GeneSetScore(Up Treg vs.Down Teff)は、例えば、図39Bを参照にして実施例10に例示される通り、RNA-seq、例えば単一細胞RNA-seq(scRNA-seq)を用いて決定される。一部の実施形態では、GeneSetScore(Up Treg vs.Down Teff)は、遺伝子セット中の遺伝子全ての平均log正規化遺伝子発現値を取得することにより計算される。
本明細書で使用されるとき、細胞の「GeneSetScore(Down stemness)」という用語は、細胞が、幹細胞性表現型を示す程度を表すスコアを指す。より低いGeneSetScore(Down stemness)は、幹細胞性表現型の増加を示す。一部の実施形態では、GeneSetScore(Down stemness)は、造血幹細胞中で下方制御されるのに対して、分化幹細胞中で上方制御される1つ以上の遺伝子、例えばACE、BATF、CDK6、CHD2、ERCC2、HOXB4、MEOX1、SFRP1、SP7、SRF、TAL1及びXRCC5からなる群から選択される1つ以上の遺伝子の発現を測定することにより測定される。一部の実施形態では、GeneSetScore(Down stemness)は、例えば、図39Cを参照にして実施例10に例示される通り、RNA-seq、例えば単一細胞RNA-seq(scRNA-seq)を用いて決定される。一部の実施形態では、GeneSetScore(Down stemness)は、遺伝子セット中の遺伝子全ての平均log正規化遺伝子発現値を取得することにより計算される。
本明細書で使用されるとき、細胞の「GeneSetScore(UP hypoxia)」という用語は、細胞が低酸素表現型を示す程度を表すスコアを示す。より高いGeneSetScore(UP hypoxia)は、低酸素表現型の増加を示す。一部の実施形態では、GeneSetScore(UP hypoxia)は、低酸素を被っている細胞において上方制御される1つ以上の遺伝子、例えばABCB1、ACAT1、ADM、ADORA2B、AK2、AK3、ALDH1A1、ALDH1A3、ALDOA、ALDOC、ANGPT2、ANGPTL4、ANXA1、ANXA2、ANXA5、ARHGAP5、ARSE、ART1、BACE2、BATF3、BCL2L1、BCL2L2、BHLHE40、BHLHE41、BIK、BIRC2、BNIP3、BNIP3L、BPI、BTG1、C11orf2、C7orf68、CA12、CA9、CALD1、CCNG2、CCT6A、CD99、CDK1、CDKN1A、CDKN1B、CITED2、CLK1、CNOT7、COL4A5、COL5A1、COL5A2、COL5A3、CP、CTSD、CXCR4、D4S234E、DDIT3、DDIT4、1-Dec、DKC1、DR1、EDN1、EDN2、EFNA1、EGF、EGR1、EIF4A3、ELF3、ELL2、ENG、ENO1、ENO3、ENPEP、EPO、ERRFI1、ETS1、F3、FABP5、FGF3、FKBP4、FLT1、FN1、FOS、FTL、GAPDH、GBE1、GLRX、GPI、GPRC5A、HAP1、HBP1、HDAC1、HDAC9、HERC3、HERPUD1、HGF、HIF1A、HK1、HK2、HLA-DQB1、HMOX1、HMOX2、HSPA5、HSPD1、HSPH1、HYOU1、ICAM1、ID2、IFI27、IGF2、IGFBP1、IGFBP2、IGFBP3、IGFBP5、IL6、IL8、INSIG1、IRF6、ITGA5、JUN、KDR、KRT14、KRT18、KRT19、LDHA、LDHB、LEP、LGALS1、LONP1、LOX、LRP1、MAP4、MET、MIF、MMP13、MMP2、MMP7、MPI、MT1L、MTL3P、MUC1、MXI1、NDRG1、NFIL3、NFKB1、NFKB2、NOS1、NOS2、NOS2P1、NOS2P2、NOS3、NR3C1、NR4A1、NT5E、ODC1、P4HA1、P4HA2、PAICS、PDGFB、PDK3、PFKFB1、PFKFB3、PFKFB4、PFKL、PGAM1、PGF、PGK1、PGK2、PGM1、PIM1、PIM2、PKM2、PLAU、PLAUR、PLIN2、PLOD2、PNN、PNP、POLM、PPARA、PPAT、PROK1、PSMA3、PSMD9、PTGS1、PTGS2、QSOX1、RBPJ、RELA、RIOK3、RNASEL、RPL36A、RRP9、SAT1、SERPINB2、SERPINE1、SGSM2、SIAH2、SIN3A、SIRPA、SLC16A1、SLC16A2、SLC20A1、SLC2A1、SLC2A3、SLC3A2、SLC6A10P、SLC6A16、SLC6A6、SLC6A8、SORL1、SPP1、SRSF6、SSSCA1、STC2、STRA13、SYT7、TBPL1、TCEAL1、TEK、TF、TFF3、TFRC、TGFA、TGFB1、TGFB3、TGFBI、TGM2、TH、THBS1、THBS2、TIMM17A、TNFAIP3、TP53、TPBG、TPD52、TPI1、TXN、TXNIP、UMPS、VEGFA、VEGFB、VEGFC、VIM、VPS11及びXRCC6からなる群から選択される1つ以上の遺伝子の発現を測定することにより決定される。一部の実施形態では、GeneSetScore(UP hypoxia)は、例えば、図39Dを参照にして実施例10に例示される通り、RNA-seq、例えば単一細胞RNA-seq(scRNA-seq)を用いて決定される。一部の実施形態では、GeneSetScore(UP hypoxia)は、遺伝子セット中の遺伝子全ての平均log正規化遺伝子発現値を取得することにより計算される。
本明細書で使用されるとき、細胞の「GeneSetScore(UP autophagy)」という用語は、細胞がオートファジー表現型を示す程度を表すスコアを示す。より高いGeneSetScore(UP autophagy)は、オートファジー表現型の増加を示す。一部の実施形態では、GeneSetScore(UP autophagy)は、オートファジーを被っている細胞において上方制御される1つ以上の遺伝子、例えばABL1、ACBD5、ACIN1、ACTRT1、ADAMTS7、AKR1E2、ALKBH5、ALPK1、AMBRA1、ANXA5、ANXA7、ARSB、ASB2、ATG10、ATG12、ATG13、ATG14、ATG16L1、ATG16L2、ATG2A、ATG2B、ATG3、ATG4A、ATG4B、ATG4C、ATG4D、ATG5、ATG7、ATG9A、ATG9B、ATP13A2、ATP1B1、ATPAF1-AS1、ATPIF1、BECN1、BECN1P1、BLOC1S1、BMP2KL、BNIP1、BNIP3、BOC、C11orf2、C11orf41、C12orf44、C12orf5、C14orf133、C1orf210、C5、C6orf106、C7orf59、C7orf68、C8orf59、C9orf72、CA7、CALCB、CALCOCO2、CAPS、CCDC36、CD163L1、CD93、CDC37、CDKN2A、CHAF1B、CHMP2A、CHMP2B、CHMP3、CHMP4A、CHMP4B、CHMP4C、CHMP6、CHST3、CISD2、CLDN7、CLEC16A、CLN3、CLVS1、COX8A、CPA3、CRNKL1、CSPG5、CTSA、CTSB、CTSD、CXCR7、DAP、DKKL1、DNAAF2、DPF3、DRAM1、DRAM2、DYNLL1、DYNLL2、DZANK1、EI24、EIF2S1、EPG5、EPM2A、FABP1、FAM125A、FAM131B、FAM134B、FAM13B、FAM176A、FAM176B、FAM48A、FANCC、FANCF、FANCL、FBXO7、FCGR3B、FGF14、FGF7、FGFBP1、FIS1、FNBP1L、FOXO1、FUNDC1、FUNDC2、FXR2、GABARAP、GABARAPL1、GABARAPL2、GABARAPL3、GABRA5、GDF5、GMIP、HAP1、HAPLN1、HBXIP、HCAR1、HDAC6、HGS、HIST1H3A、HIST1H3B、HIST1H3C、HIST1H3D、HIST1H3E、HIST1H3F、HIST1H3G、HIST1H3H、HIST1H3I、HIST1H3J、HK2、HMGB1、HPR、HSF2BP、HSP90AA1、HSPA8、IFI16、IPPK、IRGM、IST1、ITGB4、ITPKC、KCNK3、KCNQ1、KIAA0226、KIAA1324、KRCC1、KRT15、KRT73、LAMP1、LAMP2、LAMTOR1、LAMTOR2、LAMTOR3、LARP1B、LENG9、LGALS8、LIX1、LIX1L、LMCD1、LRRK2、LRSAM1、LSM4、MAP1A、MAP1LC3A、MAP1LC3B、MAP1LC3B2、MAP1LC3C、MAP1S、MAP2K1、MAP3K12、MARK2、MBD5、MDH1、MEX3C、MFN1、MFN2、MLST8、MRPS10、MRPS2、MSTN、MTERFD1、MTMR14、MTMR3、MTOR、MTSS1、MYH11、MYLK、MYOM1、NBR1、NDUFB9、NEFM、NHLRC1、NME2、NPC1、NR2C2、NRBF2、NTHL1、NUP93、OBSCN、OPTN、P2RX5、PACS2、PARK2、PARK7、PDK1、PDK4、PEX13、PEX3、PFKP、PGK2、PHF23、PHYHIP、PI4K2A、PIK3C3、PIK3CA、PIK3CB、PIK3R4、PINK1、PLEKHM1、PLOD2、PNPO、PPARGC1A、PPY、PRKAA1、PRKAA2、PRKAB1、PRKAB2、PRKAG1、PRKAG2、PRKAG3、PRKD2、PRKG1、PSEN1、PTPN22、RAB12、RAB1A、RAB1B、RAB23、RAB24、RAB33B、RAB39、RAB7A、RB1CC1、RBM18、REEP2、REP15、RFWD3、RGS19、RHEB、RIMS3、RNF185、RNF41、RPS27A、RPTOR、RRAGA、RRAGB、RRAGC、RRAGD、S100A8、S100A9、SCN1A、SERPINB10、SESN2、SFRP4、SH3GLB1、SIRT2、SLC1A3、SLC1A4、SLC22A3、SLC25A19、SLC35B3、SLC35C1、SLC37A4、SLC6A1、SLCO1A2、SMURF1、SNAP29、SNAPIN、SNF8、SNRPB、SNRPB2、SNRPD1、SNRPF、SNTG1、SNX14、SPATA18、SQSTM1、SRPX、STAM、STAM2、STAT2、STBD1、STK11、STK32A、STOM、STX12、STX17、SUPT3H、TBC1D17、TBC1D25、TBC1D5、TCIRG1、TEAD4、TECPR1、TECPR2、TFEB、TM9SF1、TMBIM6、TMEM203、TMEM208、TMEM39A、TMEM39B、TMEM59、TMEM74、TMEM93、TNIK、TOLLIP、TOMM20、TOMM22、TOMM40、TOMM5、TOMM6、TOMM7、TOMM70A、TP53INP1、TP53INP2、TRAPPC8、TREM1、TRIM17、TRIM5、TSG101、TXLNA、UBA52、UBB、UBC、UBQLN1、UBQLN2、UBQLN4、ULK1、ULK2、ULK3、USP10、USP13、USP30、UVRAG、VAMP7、VAMP8、VDAC1、VMP1、VPS11、VPS16、VPS18、VPS25、VPS28、VPS33A、VPS33B、VPS36、VPS37A、VPS37B、VPS37C、VPS37D、VPS39、VPS41、VPS4A、VPS4B、VTA1、VTI1A、VTI1B、WDFY3、WDR45、WDR45L、WIPI1、WIPI2、XBP1、YIPF1、ZCCHC17、ZFYVE1、ZKSCAN3、ZNF189、ZNF593及びZNF681からなる群から選択される1つ以上の遺伝子の発現を測定することにより決定される。一部の実施形態では、GeneSetScore(UP autophagy)は、例えば、図39Eを参照にして実施例10に例示される通り、RNA-seq、例えば単一細胞RNA-seq(scRNA-seq)を用いて決定される。一部の実施形態では、GeneSetScore(UP autophagy)は、遺伝子セット中の遺伝子全ての平均log正規化遺伝子発現値を取得することにより計算される。
本明細書で使用されるとき、細胞の「GeneSetScore(Up resting vs.Down activated)」という用語は、細胞が、活性化T細胞表現型に対して休止T細胞表現型を示す程度を表すスコアを指す。より高いGeneSetScore(Up resting vs.Down activated)は、休止T細胞表現型の増加を示すのに対し、より低いGeneSetScore(Up resting vs.Down activated)は、活性化T細胞表現型の増加を示す。一部の実施形態では、GeneSetScore(Up resting vs.Down activated)は、休止T細胞で上方制御され、且つ/又は活性化T細胞で下方制御される1つ以上の遺伝子、例えばABCA7、ABCF3、ACAP2、AMT、ANKH、ATF7IP2、ATG14、ATP1A1、ATXN7、ATXN7L3B、BCL7A、BEX4、BSDC1、BTG1、BTG2、BTN3A1、C11orf21、C19orf22、C21orf2、CAMK2G、CARS2、CCNL2、CD248、CD5、CD55、CEP164、CHKB、CLK1、CLK4、CTSL1、DBP、DCUN1D2、DENND1C、DGKD、DLG1、DUSP1、EAPP、ECE1、ECHDC2、ERBB2IP、FAM117A、FAM134B、FAM134C、FAM169A、FAM190B、FAU、FLJ10038、FOXJ2、FOXJ3、FOXL1、FOXO1、FXYD5、FYB、HLA-E、HSPA1L、HYAL2、ICAM2、IFIT5、IFITM1、IKBKB、IQSEC1、IRS4、KIAA0664L3、KIAA0748、KLF3、KLF9、KRT18、LEF1、LINC00342、LIPA、LIPT1、LLGL2、LMBR1L、LPAR2、LTBP3、LYPD3、LZTFL1、MANBA、MAP2K6、MAP3K1、MARCH8、MAU2、MGEA5、MMP8、MPO、MSL1、MSL3、MYH3、MYLIP、NAGPA、NDST2、NISCH、NKTR、NLRP1、NOSIP、NPIP、NUMA1、PAIP2B、PAPD7、PBXIP1、PCIF1、PI4KA、PLCL2、PLEKHA1、PLEKHF2、PNISR、PPFIBP2、PRKCA、PRKCZ、PRKD3、PRMT2、PTP4A3、PXN、RASA2、RASA3、RASGRP2、RBM38、REPIN1、RNF38、RNF44、ROR1、RPL30、RPL32、RPLP1、RPS20、RPS24、RPS27、RPS6、RPS9、RXRA、RYK、SCAND2、SEMA4C、SETD1B、SETD6、SETX、SF3B1、SH2B1、SLC2A4RG、SLC35E2B、SLC46A3、SMAGP、SMARCE1、SMPD1、SNPH、SP140L、SPATA6、SPG7、SREK1IP1、SRSF5、STAT5B、SVIL、SYF2、SYNJ2BP、TAF1C、TBC1D4、TCF20、TECTA、TES、TMEM127、TMEM159、TMEM30B、TMEM66、TMEM8B、TP53TG1、TPCN1、TRIM22、TRIM44、TSC1、TSC22D1、TSC22D3、TSPYL2、TTC9、TTN、UBE2G2、USP33、USP34、VAMP1、VILL、VIPR1、VPS13C、ZBED5、ZBTB25、ZBTB40、ZC3H3、ZFP161、ZFP36L1、ZFP36L2、ZHX2、ZMYM5、ZNF136、ZNF148、ZNF318、ZNF350、ZNF512B、ZNF609、ZNF652、ZNF83、ZNF862及びZNF91からなる群から選択される1つ以上の遺伝子の発現を測定することにより決定される。一部の実施形態では、GeneSetScore(Up resting vs.Down activated)は、例えば、図38Dを参照にして実施例10に例示される通り、RNA-seq、例えば単一細胞RNA-seq(scRNA-seq)を用いて決定される。一部の実施形態では、GeneSetScore(Up resting vs.Down activated)は、遺伝子セット中の遺伝子全ての平均log正規化遺伝子発現値を取得することにより計算される。
本明細書で使用されるとき、細胞の「GeneSetScore(Progressively up in memory differentiation)」は、メモリー分化における細胞の段階を表すスコアを指す。より高いGeneSetScore(Progressively up in memory differentiation)は、後期メモリーT細胞表現型の増加を示すのに対し、より低いGeneSetScore(Progressively up in memory differentiation)は、早期メモリーT細胞表現型の増加を示す。一部の実施形態では、GeneSetScore(UP autophagy)は、メモリー分化中に上方制御される1つ以上の遺伝子、例えばMTCH2、RAB6C、KIAA0195、SETD2、C2orf24、NRD1、GNA13、COPA、SELT、TNIP1、CBFA2T2、LRP10、PRKCI、BRE、ANKS1A、PNPLA6、ARL6IP1、WDFY1、MAPK1、GPR153、SHKBP1、MAP1LC3B2、PIP4K2A、HCN3、GTPBP1、TLN1、C4orf34、KIF3B、TCIRG1、PPP3CA、ATG4D、TYMP、TRAF6、C17orf76、WIPF1、FAM108A1、MYL6、NRM、SPCS2、GGT3P、GALK1、CLIP4、ARL4C、YWHAQ、LPCAT4、ATG2A、IDS、TBC1D5、DMPK、ST6GALNAC6、REEP5、ABHD6、KIAA0247、EMB、TSEN54、SPIRE2、PIWIL4、ZSCAN22、ICAM1、CHD9、LPIN2、SETD8、ZC3H12A、ULBP3、IL15RA、HLA-DQB2、LCP1、CHP、RUNX3、TMEM43、REEP4、MEF2D、ABL1、TMEM39A、PCBP4、PLCD1、CHST12、RASGRP1、C1orf58、C11orf63、C6orf129、FHOD1、DKFZp434F142、PIK3CG、ITPR3、BTG3、C4orf50、CNNM3、IFI16、AK1、CDK2AP1、REL、BCL2L1、MVD、TTC39C、PLEKHA2、FKBP11、EML4、FANCA、CDCA4、FUCA2、MFSD10、TBCD、CAPN2、IQGAP1、CHST11、PIK3R1、MYO5A、KIR2DL3、DLG3、MXD4、RALGDS、S1PR5、WSB2、CCR3、TIPARP、SP140、CD151、SOX13、KRTAP5-2、NF1、PEA15、PARP8、RNF166、UEVLD、LIMK1、CACNB1、TMX4、SLC6A6、LBA1、SV2A、LLGL2、IRF1、PPP2R5C、CD99、RAPGEF1、PPP4R1、OSBPL7、FOXP4、SLA2、TBC1D2B、ST7、JAZF1、GGA2、PI4K2A、CD68、LPGAT1、STX11、ZAK、FAM160B1、RORA、C8orf80、APOBEC3F、TGFBI、DNAJC1、GPR114、LRP8、CD69、CMIP、NAT13、TGFB1、FLJ00049、ANTXR2、NR4A3、IL12RB1、NTNG2、RDX、MLLT4、GPRIN3、ADCY9、CD300A、SCD5、ABI3、PTPN22、LGALS1、SYTL3、BMPR1A、TBK1、PMAIP1、RASGEF1A、GCNT1、GABARAPL1、STOM、CALHM2、ABCA2、PPP1R16B、SYNE2、PAM、C12orf75、CLCF1、MXRA7、APOBEC3C、CLSTN3、ACOT9、HIP1、LAG3、TNFAIP3、DCBLD1、KLF6、CACNB3、RNF19A、RAB27A、FADS3、DLG5、APOBEC3D、TNFRSF1B、ACTN4、TBKBP1、ATXN1、ARAP2、ARHGEF12、FAM53B、MAN1A1、FAM38A、PLXNC1、GRLF1、SRGN、HLA-DRB5、B4GALT5、WIPI1、PTPRJ、SLFN11、DUSP2、ANXA5、AHNAK、NEO1、CLIC1、EIF2C4、MAP3K5、IL2RB、PLEKHG1、MYO6、GTDC1、EDARADD、GALM、TARP、ADAM8、MSC、HNRPLL、SYT11、ATP2B4、NHSL2、MATK、ARHGAP18、SLFN12L、SPATS2L、RAB27B、PIK3R3、TP53INP1、MBOAT1、GYG1、KATNAL1、FAM46C、ZC3HAV1L、ANXA2P2、CTNNA1、NPC1、C3AR1、CRIM1、SH2D2A、ERN1、YPEL1、TBX21、SLC1A4、FASLG、PHACTR2、GALNT3、ADRB2、PIK3AP1、TLR3、PLEKHA5、DUSP10、GNAO1、PTGDR、FRMD4B、ANXA2、EOMES、CADM1、MAF、TPRG1、NBEAL2、PPP2R2B、PELO、SLC4A4、KLRF1、FOSL2、RGS2、TGFBR3、PRF1、MYO1F、GAB3、C17orf66、MICAL2、CYTH3、TOX、HLA-DRA、SYNE1、WEE1、PYHIN1、F2R、PLD1、THBS1、CD58、FAS、NETO2、CXCR6、ST6GALNAC2、DUSP4、AUTS2、C1orf21、KLRG1、TNIP3、GZMA、PRR5L、PRDM1、ST8SIA6、PLXND1、PTPRM、GFPT2、MYBL1、SLAMF7、FLJ16686、GNLY、ZEB2、CST7、IL18RAP、CCL5、KLRD1及びKLRB1からなる群から選択される1つ以上の遺伝子の発現を測定することにより決定される。一部の実施形態では、GeneSetScore(Progressively up in memory differentiation)は、例えば、図40Bを参照にして実施例10に例示される通り、RNA-seq、例えば単一細胞RNA-seq(scRNA-seq)を用いて決定される。一部の実施形態では、GeneSetScore(Progressively up in memory differentiation)は、遺伝子セット中の遺伝子全ての平均log正規化遺伝子発現値を取得することにより計算される。
本明細書で使用されるとき、細胞の「GeneSetScore(Up TEM vs.Down TN)」という用語は、細胞が、ナイーブT細胞(TN)表現型に対してエフェクターメモリーT細胞(TEM)表現型を示す程度を表すスコアを指す。より高いGeneSetScore(Up TEM vs.Down TN)は、TEM表現型の増加を示すのに対し、より低いGeneSetScore(Up TEM vs.Down TN)は、TN表現型の増加を示す。一部の実施形態では、GeneSetScore(Up TEM vs.Down TN)は、TEM細胞で上方制御され、且つ/又はTN細胞で下方制御される1つ以上の遺伝子、例えばMYO5A、MXD4、STK3、S1PR5、GLCCI1、CCR3、SOX13、KRTAP5-2、PEA15、PARP8、RNF166、UEVLD、LIMK1、SLC6A6、SV2A、KPNA2、OSBPL7、ST7、GGA2、PI4K2A、CD68、ZAK、RORA、TGFBI、DNAJC1、JOSD1、ZFYVE28、LRP8、OSBPL3、CMIP、NAT13、TGFB1、ANTXR2、NR4A3、RDX、ADCY9、CHN1、CD300A、SCD5、PTPN22、LGALS1、RASGEF1A、GCNT1、GLUL、ABCA2、CLDND1、PAM、CLCF1、MXRA7、CLSTN3、ACOT9、METRNL、BMPR1A、LRIG1、APOBEC3G、CACNB3、RNF19A、RAB27A、FADS3、ACTN4、TBKBP1、FAM53B、MAN1A1、FAM38A、GRLF1、B4GALT5、WIPI1、DUSP2、ANXA5、AHNAK、CLIC1、MAP3K5、ST8SIA1、TARP、ADAM8、MATK、SLFN12L、PIK3R3、FAM46C、ANXA2P2、CTNNA1、NPC1、SH2D2A、ERN1、YPEL1、TBX21、STOM、PHACTR2、GBP5、ADRB2、PIK3AP1、DUSP10、PTGDR、EOMES、MAF、TPRG1、NBEAL2、NCAPH、SLC4A4、FOSL2、RGS2、TGFBR3、MYO1F、C17orf66、CYTH3、WEE1、PYHIN1、F2R、THBS1、CD58、AUTS2、FAM129A、TNIP3、GZMA、PRR5L、PRDM1、PLXND1、PTPRM、GFPT2、MYBL1、SLAMF7、ZEB2、CST7、CCL5、GZMK及びKLRB1からなる群から選択される1つ以上の遺伝子の発現を測定することにより決定される。一部の実施形態では、GeneSetScore(Up TEM vs.Down TN)は、例えば、図40Cを参照にして実施例10に例示される通り、RNA-seq、例えば単一細胞RNA-seq(scRNA-seq)を用いて決定される。一部の実施形態では、GeneSetScore(Up TEM vs.Down TN)は、遺伝子セット中の遺伝子全ての平均log正規化遺伝子発現値を取得することにより計算される。
GeneSetScore値(例えば、GeneSetScore中央値)に関連して、正のGeneSetScoreが100%だけ減少するとき、この値は0になる。負のGeneSetScoreが100%増加するとき、この値は0になる。例えば、図39Aにおいて、第1日サンプルのGeneSetScore中央値は、-0.084であり;第9日サンプルのGeneSetScore中央値は、0.035であり;入力サンプルのGeneSetScore中央値は、-0.1である。図39Aにおいて、入力サンプルのGeneSetScore中央値の100%の増加により、0のGeneSetScore値が得られ;入力サンプルのGeneSetScore中央値の200%の増加により、0.1のGeneSetScore値が得られる。図39Aにおいて、第9日サンプルのGeneSetScore中央値の100%の減少により、0のGeneSetScore値が得られ;第9日サンプルのGeneSetScore中央値の200%の減少により、-0.035のGeneSetScore値が得られる。
本明細書で使用されるとき、用語「ビーズ」は、直径約0.1μm~数ミリメートルのサイズの固体表面を備える個別の粒子を指す。ビーズは、球形(例えば、ミクロスフィア)であり得るか、又は不規則な形状を有し得る。ビーズは、限定されないが、常磁性材料、セラミック、プラスチック、ガラス、ポリスチレン、メチルスチレン、アクリルポリマー、チタン、ラテックス、Sepharose(商標)、セルロース、ナイロンなどを含め、多様な材料を含み得る。一部の実施形態では、ビーズは、比較的均一で、直径約4.5μmの、球形、超常磁性ポリスチレンビーズであり、例えばCD3(例えば、CD3ε)及びCD28に対する抗体の混合物でコーティングされている、例えばそれと結合している。一部の実施形態では、ビーズは、Dynabeads(登録商標)である。一部の実施形態では、抗CD3及び抗CD28抗体の双方が同じビーズに結合されて、抗原提示細胞によるT細胞の刺激を模倣する。Dynabeads(登録商標)の特性並びに細胞単離及び増殖のためのDynabeads(登録商標)の使用は当技術分野で公知であり、例えばNeurauter et al.,Cell isolation and expansion using Dynabeads,Adv Biochem Eng Biotechnol 2007;106:41-73を参照されたく、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用されるとき、用語「ナノマトリックス」は、可動性ポリマー鎖のマトリックスを含むナノ構造を指す。ナノマトリックスは、1~500nm、例えば10~200nmのサイズである。一部の実施形態では、可動性ポリマー鎖のマトリックスは、T細胞に活性化シグナルを提供する1つ以上のアゴニスト、例えばアゴニスト抗CD3及び/又は抗CD28抗体に結合される。一部の実施形態では、ナノマトリックスは、1つ以上の刺激分子のアゴニスト及び/又は1つ以上の共刺激分子のアゴニストに結合、例えば共有結合したコロイドポリマーナノマトリックスを含む。一部の実施形態では、1つ以上の刺激分子のアゴニストは、CD3アゴニスト(例えば、抗CD3アゴニスト抗体)である。一部の実施形態では、1つ以上の刺激分子のアゴニストは、CD28アゴニスト(例えば、抗CD28アゴニスト抗体)である。一部の実施形態では、ナノマトリックスは、例えば、抗CD3及び/又は抗CD28抗体などのアゴニストの結合点として、固体表面の非存在を特徴とする。一部の実施形態では、ナノマトリックスは、国際公開第2014/048920A1号パンフレットに開示されるナノマトリックス又はMiltenyi Biotcc GmbH製のMACS(登録商標)GMP T Cell TransAct(商標)キットに提供されるようなナノマトリックスであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。MACS(登録商標)GMP T Cell TransAct(商標)は、ヒトCD3及びCD28に対するヒト化組換えアゴニスト抗体に共有結合されたコロイドポリマーナノマトリックスから構成される。
本明細書で使用される場合、「ユビキチン化」は、ユビキチン分子、例えば、単一のユビキチンの付加(モノユビキチン化)又は2つ以上のユビキチンの付加(例えば、ユビキチン分子の鎖若しくはポリユビキチン化)を指す。ユビキチン化は、ユビキチン活性化酵素(E1)、ユビキチン結合酵素(E2)及びユビキチンリガーゼ(E3)の1つ若しくは複数を含む酵素機構により実施することができる。
本明細書で使用される場合、用語「CRBN」は、ヒトにおいて、CRBN遺伝子又はそのフラグメント若しくは変異体(例えば、それと実質的に同一の、例えば、それと少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列)によりコードされるタンパク質を指す。Swiss-Protアクセッション番号Q96SW2は、例示的なヒトCRBNアミノ酸配列を提供している。
本明細書で使用される場合、「IKZFポリペプチド」は、IKZF又はそのフラグメント若しくは変異体(例えば、それと実質的に同一の、例えば、それと少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列)を指す。
本明細書で使用される場合、「IKZF3」は、ヒトにおいて、IKZF3遺伝子によりコードされるタンパク質を指す。Swiss-Protアクセッション番号Q9UKT9は、例示的なヒトIKZF3アミノ酸配列を提供する。例示的なヒトIKZF3アミノ酸配列は、配列番号328に提供される。用語「IKZF3ポリペプチド」は、IKZF3又はそのフラグメント若しくは変異体(例えば、それと実質的に同一の、例えば、それと少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列)を指す。
本明細書で使用される場合、「IKZF1」は、ヒトにおいて、IKZF1遺伝子によりコードされるタンパク質を指す。Swiss-Protアクセッション番号Q13422は、例示的なヒトIKZF1アミノ酸配列を提供する。例示的なヒトIKZF1アミノ酸配列は、配列番号329に提供される。用語「IKZF1ポリペプチド」は、IKZF1又はそのフラグメント若しくは変異体(例えば、それと実質的に同一の、例えば、それと少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列)を指す。
本明細書で使用される場合、「IKZF2」は、ヒトにおいて、IKZF2遺伝子によりコードされるタンパク質を指す。Swiss-Protアクセッション番号Q9UKS7は、例示的なヒトIKZF2アミノ酸配列を提供する。例示的なヒトIKZF2アミノ酸配列は、配列番号330に提供される。用語「IKZF2ポリペプチド」は、IKZF2又はそのフラグメント若しくは変異体(例えば、それと実質的に同一の、例えば、それと少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列)を指す。
本明細書で使用される場合、「IKZF4」は、ヒトにおいて、IKZF4遺伝子によりコードされるタンパク質を指す。Swiss-Protアクセッション番号Q9H2S9は、例示的なヒトIKZF4アミノ酸配列を提供する。例示的なヒトIKZF4アミノ酸配列は、配列番号331に提供される。用語「IKZF4ポリペプチド」は、IKZF4又はそのフラグメント若しくは変異体(例えば、それと実質的に同一の、例えば、それと少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列)を指す。
本明細書で使用される場合、「IKZF5」は、ヒトにおいて、IKZF5遺伝子によりコードされるタンパク質を指す。Swiss-Protアクセッション番号Q9H5V7は、例示的なヒトIKZF5アミノ酸配列を提供する。例示的なヒトIKZF5アミノ酸配列は、配列番号332に提供される。用語「IKZF5ポリペプチド」は、IKZF5又はそのフラグメント若しくは変異体(例えば、それと実質的に同一の、例えば、それと少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列)を指す。
本明細書で使用される場合、「融合ポリペプチド」又は「キメラポリペプチド」は、単一の連続したポリペプチド中の2つ以上の異種アミノ酸配列及び/又はタンパク質ドメインを含むポリペプチドを指す。一部の実施形態では、2つ以上の異種タンパク質ドメインは、共有結合により直接又はリンカーを介して間接的に連結されている。
本明細書で使用される場合、用語「エストロゲン受容体(ER)」は、ヒトにおいて、ESR1遺伝子によりコードされるタンパク質を指す。Swiss-Protアクセッション番号P03372は、例示的なヒトエストロゲン受容体(ER)アミノ酸配列を提供する。「エストロゲン受容体(ER)ドメイン」は、エストロゲン受容体又はそのフラグメント若しくは変異体(例えば、それと実質的に同一の、例えば、それと少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列)を指す。例示的なエストロゲン受容体(ER)ドメインアミノ酸配列は、配列番号340、342及び344に提供される。例示的なエストロゲン受容体(ER)ドメインヌクレオチド配列は、配列番号341、343及び345に提供される。
本明細書で使用される場合、「FKBタンパク質(FKBP)ドメイン」は、FKBP又はそのフラグメント若しくは変異体を指す。例示的なFKBタンパク質(FKBP)ドメインアミノ酸配列は、配列番号346に提供される。
本明細書で使用される場合、用語「ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)」は、ヒトにおいて、DHFR遺伝子によりコードされるタンパク質を指す。Swiss-Protアクセッション番号P00374は、例示的なヒトジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)アミノ酸配列を提供する。「ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)ドメイン」は、DHFR又はそのフラグメント若しくは変異体を指す。例示的なジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)ドメインアミノ酸配列は、配列番号347に提供される。
本明細書で使用される場合、用語「分解ドメイン」は、安定化化合物の存在下で発現されるとき、安定した立体配座を取る融合ポリペプチドのドメインを指す。目的の細胞に発現させたとき、安定した立体配座がなければ、分解ドメインの大部分(及び典型的にはそれらが融合しているあらゆるタンパク質)は、内因性細胞機構によって分解されるであろう。特に、分解ドメインは、タンパク質の天然に存在するドメインではなく、むしろ安定化化合物との接触がなければ不安定になるように操作されている。従って、分解ドメインは、以下の特性により識別可能である:(1)それは、天然に存在するものではない;(2)その発現が、分解速度の増加又は減少によって共翻訳的に又は翻訳後に調節される;(3)安定化化合物の存在下で分解速度が実質的に低下する。一部の実施形態では、安定化化合物が存在しなければ、融合ポリペプチドの分解ドメイン又は他のドメインは、細胞内又は細胞上で実質的に検出可能ではない。一部の実施形態では、分解ドメインは、安定化化合物の非存在下で不安定化された状態にある。一部の実施形態では、分解ドメインは、安定化化合物の非存在下で自己会合せず、例えば、ホモ二量体化しない。一部の実施形態では、分解ドメインは、異種プロテアーゼ切断部位に融合され、その場合、安定化化合物の存在下において、異種プロテアーゼ切断部位の切断は、安定化化合物の非存在下よりも効率的である。
分解ドメインは、PCT出願番号PCT/米国特許出願公開第2017/027778号明細書で定義されているような集成ドメインではない。
「安定化化合物(stabilization compound)」又は「安定化化合物(stabilizing compound)」とは、分解ドメインを発現する細胞に添加すると、分解ドメイン及びそれに融合された任意のタンパク質を安定化させ、その後、それが分解される速度を低下させる化合物を意味する。安定化化合物又は安定化化合物は、天然に存在するものであるか又は合成され得る。
さらに、「異種プロテアーゼ切断部位」とは、それが融合される1つ以上のタンパク質ドメインとは異なる起源を有する(例えば、他の参照ドメインの少なくとも1つに天然に融合されていない)プロテアーゼ切断部位を意味する。
「プロテアーゼ」とは、切断しようとするタンパク質における切断部位の存在に基づいて別のタンパク質を切断するタンパク質を意味する。
「細胞内プロテアーゼ」とは、目的の細胞内で天然に発現されるプロテアーゼを意味する。
「細胞外プロテアーゼ」とは、生物(例えば、哺乳動物)において天然に発現され、細胞の外部(例えば、血液中又は皮膚の表面)に分泌若しくは曝露されるプロテアーゼを意味する。
本明細書で使用される場合、用語「切断」は、核酸分子の骨格内又はペプチド結合の加水分解などの共有結合の切断を指す。切断は、様々な方法により開始することができ、そうした方法として、限定されないが、ホスホジエステル結合の酵素的又は化学的加水分解が挙げられる。一本鎖切断と二本鎖切断の両方が可能である。二本鎖切断は、2つの異なる一本鎖切断事象の結果として起こり得る。
特定の官能基及び化学用語の定義は、以下に、より詳細に説明される。化学元素は、元素周期表(Periodic Table of the Elements)、CASバージョン、Handbook of Chemistry and Physics,75th Ed、内表紙に従って識別され、特定の官能基は、一般に、そこで記載される通りに定義される。さらに、有機化学の一般原理並びに特定の機能性部分及び反応性は、以下に記載されている:Thomas Sorrell,Organic Chemistry,University Science Books,Sausalito,1999;Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry,5th Edition,John Wiley & Sons,Inc.,New York,2001;Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers,Inc.,New York,1989;Carruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis,3rd Edition,Cambridge University Press,Cambridge,1987。
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、1価の飽和、直鎖又は分岐鎖炭化水素、例えば、炭素数1~12、1~10若しくは1~6の直鎖又は分岐基を指し、本明細書では、それぞれ、C1~C12アルキル、C1~C10アルキル及びC1~C6アルキルと呼ばれる。アルキル基の例として、限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、sec-ペンチル、イソペンチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、sec-ヘキシルなどが挙げられる。
本明細書で使用される用語「アルケニル」及び「アルキニル」は、前述したアルキルと長さ及び可能な置換が類似するが、それぞれ、少なくとも1つの二重結合又は三重結合を含む不飽和脂肪族基を指す。例示的なアルケニル基として、限定されないが、-CH=CH2及び-CH2CH=CH2が挙げられる。
本明細書で使用される用語「アルコキシ」は、鎖中に末端「O」を含む炭素数1~12の直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素、例えば、-O(アルキル)を指す。アルコキシ基の例としては、限定されないが、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t-ブトキシ基又はペントキシ基が挙げられる。
本明細書で使用される用語「アリール」は、単環式、二環式又は多環式炭化水素環系を指し、ここで、少なくとも1つの環は芳香族である。代表的なアリール基として、完全な芳香環系、例えばフェニル(例えば、(C6)アリール)、ナフチル(例えば、(C10)アリール)及びアントラセニル(例えば、(C14)アリール)並びに芳香炭素環が1つ以上の非芳香族炭素環に縮合した環系、例えば、インダニル、フタルイミジル、ナフチミジル又はテトラヒドロナフチルなどが挙げられる。
本明細書で使用される用語「カルボシクリル」は、3~18個の炭素原子を含む単環式又は縮合型、スピロ縮合型及び/若しくは架橋型二環式又は多環式炭化水素環系を指し、ここで、各環は、完全に飽和しているか、又は1以上の不飽和単位を含むが、いずれの環も芳香族ではない。代表的なカルボシクリル基としては、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど)及びシクロアルケニル基(例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロペンタジエニル等)が挙げられる。
本明細書で使用される用語「カルボニル」は、-C=Oを指す。
本明細書で使用される用語「シアノ」は、-CNを指す。
本明細書で使用される用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ、-F)、塩素(クロロ、-Cl)、臭素(ブロモ、-Br)又はヨウ素(ヨード、-I)を指す。
本明細書で使用される用語「ハロアルキル」は、鎖中の少なくとも1個の炭素原子が、1個以上のハロゲン原子で置換されている1価の飽和直鎖又は分岐アルキル鎖を指す。一部の実施形態では、ハロアルキル基は、例えば、1~12個、1~10個又は1~6個の炭素原子を含み得、本明細書ではC1~C12ハロアルキル、C1~C10ハロアルキル及びC1~C6ハロアルキルと呼ばれる。ハロアルキル基の例として、限定されないが、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、トリクロロメチルなどが挙げられる。
用語「ハロアルコキシ」は、鎖中に末端「O」を含む炭素数1~12の直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素であり、ここで、鎖中の少なくとも1個の炭素原子は、1個以上のハロゲンで置換されている。ハロアルコキシ基の例として、限定されないが、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、トリクロロメトキシなどが挙げられる。
本明細書で使用される用語「ヘテロアルキル」は、鎖中の少なくとも1個の炭素原子が、O、S又はNなどのヘテロ原子で置換されている1価の飽和直鎖又は分岐アルキル鎖を指すが、但し、置換時に、鎖は、少なくとも1個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、ヘテロアルキル基は、例えば、1~12個、1~10個又は1~6個の炭素原子を含み得、本明細書では、C1~C12ヘテロアルキル、C1~C10ヘテロアルキル及びC1~C6ヘテロアルキルと呼ばれる。特定の例において、ヘテロアルキル基は、アルキル鎖中の1、2、3又は4個の個別の炭素原子の代わりに、独立して選択された1個、2個、3個又は4個のヘテロ原子を含む。代表的なヘテロアルキル基としては、-CH2NHC(O)CH3、-CH2CH2OCH3、-CH2CH2NHCH3、-CH2CH2N(CH3)CH3などが挙げられる。
本明細書で使用される用語「アルキレン」、「アルケニレン」、「アルキニレン」及び「ヘテロアルキレン」は、それぞれ、アルキル、アルケニル、アルキニル又はヘテロアルキル基の2価の基を指す。1価のアルキル基、アルケニル、アルキニル又はヘテロアルキル基のいずれも、上記アルキル、アルケニル、アルキニル若しくはヘテロアルキル基から2番目の水素原子の除去により得られるアルキレン、アルケニレン、アルキニレン若しくはヘテロアルキレンであり得る。
本明細書で使用される用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環が芳香族であり、且つヘテロ原子を含む単環式、二環式又は多環式環系を指し;ここで、他の環のいずれも、ヘテロシクリル(以下に定義する通り)ではない。代表的なヘテロアリール基としては、以下のものが挙げられる:(i)各環が、ヘテロ原子を含み、芳香族である環系、例えば、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、ピロリル、フラニル、チオフェニルピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル及びプテリジニル;(ii)各環が、芳香族又はカルボシクリルであり、少なくとも1つの芳香環がヘテロ原子を含み、且つ少なくとも1つの他の環が炭化水素環である環系又は例えばインドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、ピリド[2,3-b]-1,4-オキサジン-3(4H)-オン、チアゾロ-[4,5-c]-ピリジニル、4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジニル、5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピロリル、4,5,6,7,8-テトラヒドロキノリニル及び5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリニル;並びに(iii)各環が、芳香族又はカルボシクリルであり、且つ少なくとも1つの芳香環が、別の芳香環と橋頭ヘテロ原子を共有する環系、例えば、4Hキノリジニル。特定の実施形態では、ヘテロアリールは、単環式又は二環式環であり、ここで、前記環の各々は、5又は6個の環原子を含み、前記環原子の1、2、3又は4は、N、O及びSから独立して選択されるヘテロ原子である。
本明細書で使用される用語「ヘテロシクリル」は、少なくとも1つの環が、飽和又は部分不飽和であり(但し、芳香族ではない)、且つヘテロ原子を含む単環式又は縮合、スピロ縮合及び/又は架橋二環式及び多環式環系を指す。ヘテロシクリルは、安定な構造をもたらす任意のヘテロ原子又は炭素原子で、そのペンダント基に結合することができ、環原子のいずれかは、任意選択で置換され得る。代表的なヘテロシクリルとして、以下のものが挙げられる:(i)全ての環が非芳香族であり、且つ少なくとも1つの環がヘテロ原子を含む環系、例えば、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピロリジニル、ピロリドニル、ピペリジニル、ピロリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル及びキヌクリジニル;(ii)少なくとも1つの環が非芳香族であり、ヘテロ原子を含み、且つ少なくとも1つの他の環が、芳香族炭素環である環系、例えば、1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル;並びに(iii)少なくとも1つの環が、非芳香族であり、ヘテロ原子を含み、且つ少なくとも1つの他の環が芳香族であり、ヘテロ原子を含む環系、例えば、3,4-ジヒドロ-1H-ピラノ[4,3-c]ピリジニル及び1,2,3,4-テトラヒドロ-2,6-ナフチリジニル。特定の実施形態では、ヘテロシクリルは、単環式又は二環式環であり、ここで、前記環の各々は、3~7個の環原子を含み、前記環原子の1、2、3又は4個は、N、O及びSから独立して選択されるヘテロ原子である。
本明細書に記載されるように、本開示の化合物は、「任意選択で置換された」部分を含み得る。一般に、用語「置換された」は、用語「任意選択で」が先行するか否かにかかわらず、指定された部分の1個又は複数の水素が適切な置換基で置換されていることを意味する。別に指示されない限り、「任意選択で置換された」基は、その基の置換可能な位置の各々に適切な置換基を有し得、任意の所与の構造中の2つ以上の位置が、指定された群から選択される2つ以上の置換基で置換され得る場合、その置換基は、各位置で同一であるか又は異なり得る。本開示の下で想定される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定又は化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。用語「安定」は、本明細書で使用される場合、それらの製造、検出並びに特定の実施形態では、本明細書に開示される1つ若しくは複数の目的のためのそれらの回収、精製及び使用を可能にする条件に供されたときに実質的に変化しない化合物を指す。
本明細書で使用される用語「オキソ」は、=Oを指す。
本明細書で使用される用語「チオカルボニル」は、C=Sを指す。
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される塩」は、信頼できる医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずにヒト及び下等動物の組織と接触して使用するのに適しており、且つ妥当な利益/リスク比と見合った塩を指す。薬学的に許容される塩は、当技術分野において周知である。例えば、Berge et al.,は、参照により本明細書に援用されるJ.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19に、薬学的に許容される塩を詳細に記載している。本開示の化合物の薬学的に許容される塩には、適切な無機及び有機酸及び塩基から誘導されるものが含まれる。薬学的に許容される、無毒性の酸付加塩の例は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸又は有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸若しくはマロン酸と共に形成されるか、又はイオン交換などの当技術分野で公知の他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンホレート、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタノ酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオネート、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム及びN+(C1~4アルキル)4
-塩が挙げられる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらに薬学的に許容される塩としては、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを用いて形成される、無毒性アンモニウム、第四級アンモニウム及びアミンカチオンが挙げられる。
用語「溶媒和物」は、溶媒と会合している化合物の形態を指し、通常、加溶媒分解反応によって行われる。この物理的会合は、水素結合を含み得る。慣用的溶媒としては、水、メタノール、エタノール、酢酸、DMSO、THF、ジエチルエーテルなどが挙げられる。式(I)、式(I-a)及び/又は式(II)の化合物は、例えば、結晶形態で調製されるか又は溶媒和され得る。適切な溶媒和物には、薬学的に許容される溶媒和物が含まれ、さらに、化学量論的溶媒和物及び非化学量論的溶媒和物の両方が含まれる。特定の事例では、溶媒和物は、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子中に組み込まれるときに、単離することが可能となる。「溶媒和物」は、溶液相及び単離可能な溶媒和物の両方を包含する。代表的な溶媒和物としては、水和物、エタノール酸塩及びメタノール酸塩が挙げられる。
用語「水和物」は、水と会合している化合物を指す。典型的には、化合物の水和物に含まれる水分子の数は、水和物中の化合物分子の数に対して明確な比率である。従って、化合物の水和物は、例えば、一般式R・xH2Oによって表すことができ、式中、Rは、化合物であり、xは、0より大きい数である。所与の化合物は、例えば、一水和物(xは、1である)、より低級の水和物(xは、0より大きく、且つ1より小さい数であり、例えば、半水和物(R・0.5H2O))及び多水和物(xは、1より大きい数であり、例えば、二水和物(R・2H2O)及び六水和物(R・6H2O))を含む、2種以上の水和物を形成し得る。
同じ分子式を有するが、それらの原子の結合の性質若しくは配列又は空間におけるそれらの原子の配置が異なる化合物は、「異性体」と呼ばれることを理解されたい。空間におけるその原子の配置が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれる。
互いの鏡像でない立体異性体は、「ジアステレオマー」と呼ばれ、互いの鏡像を重ね合わせることができないものは「鏡像異性体」と呼ばれる。化合物が不斉中心を有する場合、例えば、それは、4つの異なる基に結合し、一対の鏡像異性体が可能である。鏡像異性体は、その不斉中心の絶対配置により特徴付けることができ、カーン(Cahn)及びプレログ(Prelog)のR及びS配列決定規則により、又は分子が偏光の平面を回転させ、右旋性又は左旋性(即ちそれぞれ(+)又は(-)異性体として)として指定される様式により記述される。キラル化合物は、個々の鏡像異性体として又はそれらの混合物として存在することができる。等しい割合の鏡像異性体を含む混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。
用語「互変異性体」は、特定の化合物構造の交換可能な形態であり、且つ水素原子及び電子の変位が変動する化合物を指す。従って、2つの構造は、π電子と原子(通常はH)の移動を介して平衡状態にあり得る。例えば、エノール及びケトンは、酸又は塩基のいずれかによる処理によって迅速に相互変換されるため、互変異性体である。互変異性の別の例は、酸又は塩基による処理によって同様に形成されるフェニルニトロメタンのアシ(aci)及びニトロ形態である。
互変異性体形態は、目的の化合物の最適な化学反応性及び生物学的活性の達成に関連し得る。
特に明示しない限り、本明細書に描かれる構造は、構造の全異性体(例えば、鏡像異性、ジアステレオマー及び幾何学的(又は立体配座))形態も含むことを意味し;例えば、各不斉中心のR及びS配置としては、Z及びE二重結合異性体並びにZ及びE配座異性体が挙げられる。従って、本化合物の単一の立体化学的異性体並びに鏡像異性体、ジアステレオマー及び幾何学的(又は立体配座)混合物は、本開示の範囲内にある。特に明示しない限り、本開示の化合物の全ての互変異性体形態は、本開示の範囲内にある。さらに、特に明示しない限り、本明細書に描かれる構造は、1つ以上の同位体濃縮原子の存在下でのみ異なる化合物を含むことも意味する。例えば、重水素若しくはトリチウムによる水素の置換又は13C若しくは14C濃縮炭素による炭素の置換を含む本構造を有する化合物は、本開示の範囲内である。一実施形態において、本明細書に開示される化合物(例えば、式(I)の化合物)のいずれか1つの中に存在する水素原子は、重水素中で同位体が濃縮されている。このような化合物は、例えば、分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして又は本開示による治療薬として有用である。
特定の鏡像異性体が好ましい場合、それは、一部の実施形態では、対応する鏡像異性体を実質的に含まずに提供され得、これは、「光学的に濃縮された」と称される場合もある。本明細書で使用される「光学的に濃縮された」とは、化合物が有意に大きい割合の1つのエナンチオマーから構成されていることを意味する。特定の実施形態では、化合物は、少なくとも約90重量%の好ましいエナンチオマーからなる。他の実施形態において、化合物は、少なくとも約95重量%、98重量%又は99重量%の好ましいエナンチオマーからなる。好ましい鏡像異性体は、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)並びにキラル塩の形成及び結晶化を含む、当業者に公知の任意の方法によってラセミ混合物から単離され得るか、又は不斉合成により調製され得る。例えば、Jacques et al.,Enantiomers,Racemates and Reresolution(Wiley Interscience,New York,1981);Wilen,et al.,Tetrahedron 33:2725(1977);Eliel,E.L.Stereochemistry of Carbon Compound(McGraw-Hill,NY,1962);Wilen,S.H.Tables of Resolving Agents and Optical Resolution p.268(E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972)を参照されたい。
本明細書に記載の組成物及び方法の様々な実施形態について以下でさらに詳細に説明する。追加的定義は、本明細書全体を通して記載される。
本明細書には、CAR、例えば本明細書に記載の制御可能なCAR(CCAR)を発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞若しくはNK細胞)を製造する方法、そうした細胞を含む組成物及び対象の疾患、例えば癌を処置するためのそうした細胞の使用方法が提供される。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、24時間未満でCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞を製造することができる。理論に縛られることを意図しないが、本明細書に記載の方法は、製造プロセス中、ナイーブT細胞などのT細胞の未分化表現型を保存する。未分化表現型を有するこれらのCAR発現細胞は、注入後にインビボで、より長く持続し、且つ/又はより良く増殖し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の製造方法によって生産されるCART細胞は、例えば、scRNA-seqを用いて測定される通り(例えば、図39Aを参照にして実施例10に記載される方法を用いて測定される通り)、伝統的な製造プロセスによって生産されるCART細胞と比べて、より高いパーセンテージの幹細胞メモリーT細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の製造方法によって生産されるCART細胞は、例えば、scRNA-seqを用いて測定される通り(例えば、図39Bを参照にして実施例10に記載される方法を用いて測定される通り)、伝統的な製造プロセスによって生産されるCART細胞と比べて、より高いパーセンテージのエフェクターT細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の製造方法によって生産されるCART細胞は、例えば、scRNA-seqを用いて測定される通り(例えば、図39Cを参照にして実施例10に記載される方法を用いて測定される通り)、伝統的な製造プロセスによって生産されるCART細胞と比べて、T細胞の幹細胞性をより良く保存する。一部の実施形態では、本明細書に記載の製造方法によって生産されるCART細胞は、例えば、scRNA-seqを用いて測定される通り(例えば、図39Dを参照にして実施例10に記載される方法を用いて測定される通り)、伝統的な製造プロセスによって生産されるCART細胞と比べて、低いレベルの低酸素を示す。一部の実施形態では、本明細書に記載の製造方法によって生産されるCART細胞は、例えば、scRNA-seqを用いて測定される通り(例えば、図39Eを参照にして実施例10に記載される方法を用いて測定される通り)、伝統的な製造プロセスによって生産されるCART細胞と比べて、低いレベルのオートファジーを示す。
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、Dynabeads(登録商標)(例えば、CD3/CD28Dynabeads(登録商標))などのビーズの使用を含まず、脱ビーズステップも含まない。一部の実施形態では、本明細書に開示の方法により製造されるCART細胞は、最小エクスビボ拡大、例えば1日未満、12時間未満、8時間未満、6時間未満、4時間未満、3時間未満、2時間未満、1時間未満又はエクスビボ拡大なしで対象に投与することができる。従って、本明細書に記載の方法は、対象の疾患の処置に使用するための改善されたCAR発現細胞産物を作製する高速製造プロセスを提供する。
サイトカインプロセス
一部の実施形態では、本開示は、キメラ抗原受容体(CAR)、例えば本明細書に開示されるCAR、例えば本明細書に開示されるCCARを発現する細胞(例えば、T細胞)の集団を作製する方法を提供する。一部の実施形態では、細胞の集団は、調節分子をさらに発現する。一部の実施形態では、細胞の集団は、本明細書に開示されるCCARを発現する。一部の実施形態では、細胞の集団は、本明細書に開示されるCAR及び本明細書に開示される調節分子を発現する。一部の実施形態では、方法は、(1)細胞の集団を、IL-2、IL-7、IL-15、IL-21、IL-6又はそれらの組み合わせから選択されるサイトカインと接触させるステップ、(2)細胞(例えば、T細胞)の集団を、CARをコードする核酸分子(例えば、DNA又はRNA分子)と接触させ、それにより核酸分子を含む細胞(例えば、T細胞)の集団を取得するステップ、及び(3)保存(例えば、凍結保存媒体中で細胞の集団の再製剤化すること)又は投与のために細胞(例えば、T細胞)の集団を採取するステップを含み、(a)ステップ(2)は、ステップ(1)と一緒に、又はステップ(1)の開始後の5時間以内、例えばステップ(1)の開始後の1、2、3、4若しくは5時間以内に実施し、ステップ(3)は、ステップ(1)の開始後の26時間以内、例えばステップ(1)の開始後の22、23又は24時間以内、例えばステップ(1)の開始後の24時間以内に実施するか、又は(b)ステップ(3)からの細胞の集団は、増殖されないか、又は例えばステップ(1)の開始時の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて5、10、15、20、25、30、35又は40%以下、例えば10%以下だけ増殖される。一部の実施形態では、ステップ(2)における核酸分子は、DNA分子である。一部の実施形態では、ステップ(2)における核酸分子は、RNA分子である。一部の実施形態では、ステップ(2)における核酸分子は、ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター又はレトロウイルスベクターから選択されるウイルスベクター上にある。一部の実施形態では、ステップ(2)における核酸分子は、非ウイルスベクター上にある。一部の実施形態では、ステップ(2)における核酸分子は、プラスミド上にある。一部の実施形態では、ステップ(2)における核酸分子は、いずれのベクター上にもない。一部の実施形態では、ステップ(2)は、細胞(例えば、T細胞)の集団を、CARをコードする核酸分子を含むウイルスベクターで形質導入することを含む。
一部の実施形態では、細胞(例えば、T細胞)の集団は、対象からのアフェレーシスサンプル(例えば、白血球アフェレーシスサンプル)から収集される。
一部の実施形態では、アフェレーシスサンプル(例えば、白血球アフェレーシスサンプル)を対象から採取し、凍結サンプル(例えば、凍結保存サンプル)として細胞製造施設に輸送する。次に、凍結アフェレーシスサンプルを解凍した後、例えばセルソーティング機(例えば、CliniMACS(登録商標)Prodigy(登録商標)装置)を用いて、アフェレーシスサンプルからT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)を選択する。続いて、選択されたT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)を、本明細書に記載のサイトカインプロセスを用いるCART製造のために接種する。一部の実施形態では、サイトカインプロセスの終了時、CART細胞を凍結保存し、後に解凍して、対象に投与する。一部の実施形態では、選択されたT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)は、CART製造のために接種する前に、1ラウンド以上の凍結-解凍工程に付す。
一部の実施形態では、アフェレーシスサンプル(例えば、白血球アフェレーシスサンプル)を対象から採取し、新鮮な産物(例えば、凍結していない産物)として細胞製造施設に輸送する。例えば、セルソーティング機(例えば、CliniMACS(登録商標)Prodigy(登録商標)装置)を用いて、アフェレーシスサンプルからT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)を選択する。続いて、選択されたT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)を、本明細書に記載のサイトカインプロセスを用いるCART製造のために接種する。一部の実施形態では、選択されたT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)は、CART製造のために接種する前に、1ラウンド以上の凍結-解凍工程に付す。
一部の実施形態では、アフェレーシスサンプル(例えば、白血球アフェレーシスサンプル)を対象から採取する。例えば、セルソーティング機(例えば、CliniMACS(登録商標)Prodigy(登録商標)装置)を用いて、アフェレーシスサンプルからT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)を選択する。続いて、選択されたT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)を凍結サンプル(例えば、凍結保存サンプル)として細胞製造施設に輸送する。選択されたT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)を後に解凍し、本明細書に記載のサイトカインプロセスを用いるCART製造のために接種する。
一部の実施形態では、細胞(例えば、T細胞)を接種し、1つ以上のサイトカイン(例えば、IL-2、IL-7、IL-15(例えば、hetIL-15(IL15/sIL-15Ra))、IL-21若しくはIL-6(例えば、IL-6/sIL-6R)から選択される1つ以上のサイトカイン)並びにCARをコードするベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を細胞に添加する。20~24時間のインキュベーション後、細胞を洗浄してから、保存又は投与のために製剤化する。
伝統的なCART製造アプローチと異なり、本明細書に提供されるサイトカインプロセスは、CD3及び/又はCD28刺激又はエクスビボT細胞拡大を伴わない。抗CD3及び抗CD28抗体と接触させて、エクスビボで広範囲に増殖するT細胞は、セントラルメモリー表現型に向かう分化を示す傾向がある。理論に縛られることを意図しないが、本明細書に提供されるサイトカインプロセスは、CART製造中、T細胞の未分化表現型を保存するか又は増加させて、対象に注入された後長期に持続し得るCART産物を生成する。
一部の実施形態では、細胞の集団を1つ以上のサイトカイン(例えば、IL-2、IL-7、IL-15(例えば、hetIL-15(IL15/sIL-15Ra))、IL-21又はIL-6(例えば、IL-6/sIL-6Ra)から選択される1つ以上のサイトカイン)と接触させる。
一部の実施形態では、細胞の集団をIL-2と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団をIL-7と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団をIL-15(例えば、hetIL-15(IL15/sIL-15Ra))と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団をIL-21と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団をIL-6(例えば、IL-6/sIL-6Ra)と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団をIL-2及びIL-7と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団をIL-2及びIL-15(例えば、hetIL-15(IL15/sIL-15Ra))と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団をIL-2及びIL-21と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団をIL-2及びIL-6(例えば、IL-6/sIL-6Ra)と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団をIL-7及びIL-15(例えば、hetIL-15(IL15/sIL-15Ra))と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団をIL-7及びIL-21と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団をIL-7及びIL-6(例えば、IL-6/sIL-6Ra)と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団をIL-15(例えば、hetIL-15(IL15/sIL-15Ra))及びIL-21と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団をIL-15(例えば、hetIL-15(IL15/sIL-15Ra))及びIL-6(例えば、IL-6/sIL-6Ra)と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団をIL-21及びIL-6(例えば、IL-6/sIL-6Ra)と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団をIL-7、IL-15(例えば、hetIL-15(IL15/sIL-15Ra))及びIL-21と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団をLSD1阻害剤とさらに接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団をMALT1阻害剤とさらに接触させる。
一部の実施形態では、細胞の集団を20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290又は300U/mlのIL-2と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団を1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20ng/mlのIL-7と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団を1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20ng/mlのIL-15と接触させる。
一部の実施形態では、細胞の集団を、CARをコードする核酸分子と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団を、CARをコードするDNA分子で形質導入する。一部の実施形態では、細胞の集団を、CCARをコードする核酸分子と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団を、CCARをコードするDNA分子で形質導入する。一部の実施形態では、細胞の集団を、CAR及び調節分子をコードする核酸分子と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団を、CAR及び調節分子をコードするDNA分子で形質導入する。
一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を前述した1つ以上のサイトカインと接触させるステップと同時に行う。一部の実施形態では、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を前述した1つ以上のサイトカインと接触させるステップの開始後の1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5又は10時間以内に行う。一部の実施形態では、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を前述した1つ以上のサイトカインと接触させるステップの開始後の5時間以内に行う。一部の実施形態では、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を前述した1つ以上のサイトカインと接触させるステップの開始後の4時間以内に行う。一部の実施形態では、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を前述した1つ以上のサイトカインと接触させるステップの開始後の3時間以内に行う。一部の実施形態では、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を前述した1つ以上のサイトカインと接触させるステップの開始後の2時間以内に行う。一部の実施形態では、細胞の集団を、CARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を前述した1つ以上のサイトカインと接触させるステップの開始後の1時間以内に行う。
一部の実施形態では、細胞の集団を保存又は投与のために採取する。
一部の実施形態では、細胞の集団を前述した1つ以上のサイトカインと接触させるステップの開始後の72、60、48、36、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19又は18時間以内に細胞の集団を保存又は投与のために採取する。一部の実施形態では、細胞の集団を前述した1つ以上のサイトカインと接触させるステップの開始後の26時間以内に細胞の集団を保存又は投与のために採取する。一部の実施形態では、細胞の集団を前述した1つ以上のサイトカインと接触させるステップの開始後の25時間以内に細胞の集団を保存又は投与のために採取する。一部の実施形態では、細胞の集団を前述した1つ以上のサイトカインと接触させるステップの開始後の24時間以内に細胞の集団を保存又は投与のために採取する。一部の実施形態では、細胞の集団を前述した1つ以上のサイトカインと接触させるステップの開始後の23時間以内に細胞の集団を保存又は投与のために採取する。一部の実施形態では、細胞の集団を前述した1つ以上のサイトカインと接触させるステップの開始後の22時間以内に細胞の集団を保存又は投与のために採取する。
一部の実施形態では、細胞の集団は、エクスビボで増殖されない。
一部の実施形態では、細胞の集団は、例えば、前述した1つ以上のサイトカインと接触させる前の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55又は60%以下だけ増殖される。一部の実施形態では、細胞の集団は、例えば、前述した1つ以上のサイトカインと接触させる前の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて5%以下だけ増殖される。一部の実施形態では、細胞の集団は、例えば、前述した1つ以上のサイトカインと接触させる前の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて10%以下だけ増殖される。一部の実施形態では、細胞の集団は、例えば、前述した1つ以上のサイトカインと接触させる前の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて15%以下だけ増殖される。一部の実施形態では、細胞の集団は、例えば、前述した1つ以上のサイトカインと接触させる前の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて20%以下だけ増殖される。一部の実施形態では、細胞の集団は、例えば、前述した1つ以上のサイトカインと接触させる前の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて25%以下だけ増殖される。一部の実施形態では、細胞の集団は、例えば、前述した1つ以上のサイトカインと接触させる前の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて30%以下だけ増殖される。一部の実施形態では、細胞の集団は、例えば、前述した1つ以上のサイトカインと接触させる前の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて35%以下だけ増殖される。一部の実施形態では、細胞の集団は、例えば、前述した1つ以上のサイトカインと接触させる前の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて40%以下だけ増殖される。
一部の実施形態において、細胞の集団は、例えば、前述した1つ以上のサイトカインと接触させる前の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、16、20、24、36又は48時間以下だけ増殖される。
一部の実施形態において、細胞の集団は、CD3/TCR複合体(例えば、抗CD3抗体)を刺激する薬剤及び/又は細胞の表面上の共刺激分子(例えば、抗CD28抗体)を刺激する薬剤とインビトロで接触されないか、又は接触される場合、接触させるステップは、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5若しくは5時間未満である。
一部の実施形態において、細胞の集団は、CD3/TCR複合体(例えば、抗CD3抗体)を刺激する薬剤及び/又は細胞の表面上の共刺激分子(例えば、抗CD28抗体)を刺激する薬剤と20、21、22、23、24、25、26、27又は28時間インビトロで接触される。
一部の実施形態において、本明細書に記載のサイトカインプロセスを用いて製造される細胞の集団は、細胞の集団を、例えばCD3/TCR複合体(例えば、抗CD3抗体)と結合する薬剤及び/又は細胞の表面上の共刺激分子(例えば、抗CD28抗体)と結合する薬剤と接触させるステップをさらに含むこと以外には類似の方法によって作製された細胞と比べて、CAR発現細胞の中でナイーブ細胞のより高い(例えば、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55又は60%高い)パーセンテージを示す。
一部の実施形態において、本明細書に記載のサイトカインプロセスは、0、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5又は8%以下の血清を含む細胞培地中で実施される。一部の実施形態において、本明細書に記載のサイトカインプロセスは、LSD1阻害剤、MALT1阻害剤又はそれらの組み合わせを含む細胞培地中で実施される。
活性化プロセス
一部の実施形態では、本開示は、キメラ抗原受容体(CAR)、例えば本明細書に開示されるCAR、例えば本明細書に開示されるCCARを発現する細胞(例えば、T細胞)の集団を作製する方法を提供する。一部の実施形態では、細胞の集団は、調節分子をさらに発現する。一部の実施形態では、細胞の集団は、本明細書に開示されるCCARを発現する。一部の実施形態では、細胞の集団は、本明細書に開示されるCAR及び本明細書に開示される調節分子を発現する。一部の実施形態において、方法は、(i)細胞(例えば、T細胞、例えば凍結された又は新鮮な白血球アフェレーシス産物から単離されたT細胞)の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップ;(ii)細胞(例えば、T細胞)の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子(例えば、DNA又はRNA分子)と接触させ、それにより核酸分子を含む細胞(例えば、T細胞)の集団を提供するステップ、及び(iii)保存(例えば、凍結保存培地中の細胞の集団を再製剤化すること)又は投与のために細胞(例えば、T細胞)の集団を採取するステップを含み、(a)ステップ(ii)は、ステップ(i)と一緒に、又はステップ(i)の開始後の20時間以内、例えばステップ(i)の開始後の12、13、14、15、16、17若しくは18時間以内、例えばステップ(i)の開始後の18時間以内に実施され、及びステップ(iii)は、ステップ(i)の開始後の26時間以内、例えばステップ(i)の開始後の22、23又は24時間以内、例えばステップ(i)の開始後の24時間以内に実施されるか;(b)ステップ(ii)は、ステップ(i)と一緒に、又はステップ(i)の開始後の20時間以内、例えばステップ(i)の開始後の12、13、14、15、16、17若しくは18時間以内、例えばステップ(i)の開始後の18時間後に実施され、及びステップ(iii)は、ステップ(ii)の開始後の30時間以内、例えばステップ(ii)の開始後の22、23、24、25、26、27、28、29又は30時間以内に実施されるか;又は(c)ステップ(iii)からの細胞の集団は、例えば、ステップ(i)の開始時の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて増殖されないか、又は5、10、15、20、25、30、35若しくは40%以下、例えば10%以下だけ増殖される。一部の実施形態では、ステップ(ii)における核酸分子は、DNA分子である。一部の実施形態では、ステップ(ii)における核酸分子は、RNA分子である。一部の実施形態では、ステップ(ii)における核酸分子は、ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター又はレトロウイルスベクターから選択されるウイルスベクター上にある。一部の実施形態では、ステップ(ii)における核酸分子は、非ウイルスベクター上にある。一部の実施形態では、ステップ(ii)における核酸分子は、プラスミド上にある。一部の実施形態では、ステップ(ii)における核酸分子は、いずれのベクター上にもない。一部の実施形態では、ステップ(ii)は、細胞(例えば、T細胞)の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子を含むウイルスベクターで形質導入することを含む。
一部の実施形態において、細胞(例えば、T細胞)の集団は、対象からのアフェレーシスサンプル(例えば、白血球アフェレーシスサンプル)から収集される。
一部の実施形態では、アフェレーシスサンプル(例えば、白血球アフェレーシスサンプル)を対象から採取し、凍結サンプル(例えば、凍結保存サンプル)として細胞製造施設に輸送する。次に、凍結アフェレーシスサンプルを解凍した後、例えばセルソーティング機(例えば、CliniMACS(登録商標)Prodigy(登録商標)装置)を用いて、アフェレーシスサンプルからT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)を選択する。続いて、選択されたT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)を、本明細書に記載の活性化プロセスを用いるCART製造のために接種する。一部の実施形態では、選択されたT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)は、CART製造のために接種する前に、1ラウンド以上の凍結-解凍工程に付す。
一部の実施形態では、アフェレーシスサンプル(例えば、白血球アフェレーシスサンプル)を対象から採取し、新鮮な産物(例えば、凍結していない産物)として細胞製造施設に輸送する。例えば、セルソーティング機(例えば、CliniMACS(登録商標)Prodigy(登録商標)装置)を用いて、アフェレーシスサンプルからT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)を選択する。続いて、選択されたT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)を、本明細書に記載の活性化プロセスを用いるCART製造のために接種する。一部の実施形態では、選択されたT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)は、CART製造のために接種する前に、1ラウンド以上の凍結-解凍工程に付す。
一部の実施形態では、アフェレーシスサンプル(例えば、白血球アフェレーシスサンプル)を対象から採取する。例えば、セルソーティング機(例えば、CliniMACS(登録商標)Prodigy(登録商標)装置)を用いて、アフェレーシスサンプルからT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)を選択する。続いて、選択されたT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)を凍結サンプル(例えば、凍結保存サンプル)として細胞製造施設に輸送する。選択されたT細胞(例えば、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞)を後に解凍し、本明細書に記載の活性化プロセスを用いるCART製造のために接種する。
一部の実施形態では、細胞(例えば、T細胞)を抗CD3及び抗CD28抗体と例えば12時間接触させた後、CAR、例えばCCARをコードするベクター(例えば、レンチウイルスベクター)による形質導入を実施する。培養開始から24時間後、細胞を洗浄し、保存又は投与のために製剤化する。
理論に縛られることを意図しないが、短時間のCD3及び抗CD28刺激によって自己再生T細胞の効率的な形質導入が促進され得る。伝統的なCART製造アプローチと比較して、本明細書に提供される活性化プロセスは、長時間のエクスビボ増殖を伴わない。サイトカインプロセスと同様に、本明細書に提供される活性化プロセスも、CART製造中、未分化T細胞を保存する。
一部の実施形態では、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させる。
一部の実施形態において、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤は、CD3を刺激する薬剤である。一部の実施形態において、共刺激分子を刺激する薬剤は、CD28、ICOS、CD27、HVEM、LIGHT、CD40、4-1BB、OX40、DR3、GITR、CD30、TIM1、CD2、CD226又はそれらの任意の組み合わせを刺激する薬剤である。一部の実施形態では、共刺激分子を刺激する薬剤は、CD28を刺激する薬剤である。一部の実施形態では、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤は、抗体(例えば、単一ドメイン抗体(例えば、重鎖可変ドメイン抗体)、ペプチボディ、Fabフラグメント若しくはscFv)、小分子又はリガンド(例えば、天然に存在するリガンド、組換えリガンド若しくはキメラリガンド)から選択される。一部の実施形態では、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤は、抗体である。一部の実施形態では、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤は、抗CD3抗体である。一部の実施形態では、共刺激分子を刺激する薬剤は、抗体(例えば、単一ドメイン抗体(例えば、重鎖可変ドメイン抗体)、ペプチボディ、Fabフラグメント若しくはscFv)、小分子又はリガンド(例えば、天然に存在するリガンド、組換えリガンド若しくはキメラリガンド)から選択される。一部の実施形態では、共刺激分子を刺激する薬剤は、抗体である。一部の実施形態では、共刺激分子を刺激する薬剤は、抗CD28抗体である。一部の実施形態では、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤又は共刺激分子を刺激する薬剤は、ビーズを含まない。一部の実施形態では、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤は、コロイドポリマーナノマトリックスに共有結合された抗CD3抗体を含む。一部の実施形態では、共刺激分子を刺激する薬剤は、コロイドポリマーナノマトリックスに共有結合された抗CD28抗体を含む。一部の実施形態では、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び共刺激分子を刺激する薬剤は、T細胞TransAct(商標)を含む。
一部の実施形態において、マトリックスは、例えば、細胞に対して非毒性であるポリマー、例えば生分解性若しくは生体適合性の不活性材料を含むか又はそれからなる。一部の実施形態では、マトリックスは、親水性ポリマー鎖から構成され、これは、鎖の水和によって水溶液中で最大可動性を取得する。一部の実施形態において、可動性マトリックスは、コラーゲン、精製タンパク質、精製ペプチド、多糖、グリコサミノグリカン又は細胞外マトリックス組成物からなるものであり得る。多糖としては、例えば、セルロースエーテル、デンプン、アラビアガム、アガロース、デキストラン、キトサン、ヒアルロン酸、ペクチン、キサンタン、グアーガム又はアルギン酸塩を挙げることができる。他のポリマーとしては、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアミン、ポリエチレンイミン、ポリクオタニウムポリマー、ポリホスファゼン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ブロックコポリマー又はポリウレタンが挙げられる。一部の実施形態において、可動性マトリックスは、デキストランのポリマーである。
一部の実施形態では、細胞の集団を、CARをコードする核酸分子と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団を、CARをコードするDNAで形質導入する。一部の実施形態では、細胞の集団を、CCARをコードする核酸分子と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団を、CCARをコードするDNA分子で形質導入する。一部の実施形態では、細胞の集団を、CAR及び調節分子をコードする核酸分子と接触させる。一部の実施形態では、細胞の集団を、CAR及び調節分子をコードするDNA分子で形質導入する。
一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップと同時に行う。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0.5時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の20時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の19時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の18時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の17時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の16時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の15時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の14時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の14時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の13時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の12時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の11時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の10時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の9時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の8時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の7時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の6時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の5時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の4時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の3時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の2時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の1時間以内に実施する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CAR、例えばCCARをコードする核酸分子と接触させるステップは、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の30分以内に実施する。
一部の実施形態では、保存又は投与のために細胞の集団を採取する。
一部の実施形態において、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の72、60、48、36、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19又は18時間以内に保存又は投与の目的で細胞の集団を採取する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の26時間以内に保存又は投与の目的で細胞の集団を採取する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の25時間以内に保存又は投与の目的で細胞の集団を採取する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の24時間以内に保存又は投与の目的で細胞の集団を採取する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の23時間以内に保存又は投与の目的で細胞の集団を採取する。一部の実施形態において、細胞の集団を、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させるステップの開始後の22時間以内に保存又は投与の目的で細胞の集団を採取する。
一部の実施形態において、細胞の集団はエクスビボで増殖されない。
一部の実施形態において、細胞の集団は、例えば、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させる前の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55又は60%以下だけ増殖される。一部の実施形態では、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させる前の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて5%以下だけ増殖される。一部の実施形態では、細胞の集団は、例えば、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させる前の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて10%以下だけ増殖される。一部の実施形態では、細胞の集団は、例えば、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させる前の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて15%以下だけ増殖される。一部の実施形態では、細胞の集団は、例えば、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させる前の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて20%以下だけ増殖される。一部の実施形態では、細胞の集団は、例えば、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させる前の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて25%以下だけ増殖される。一部の実施形態では、細胞の集団は、例えば、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させる前の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて30%以下だけ増殖される。一部の実施形態では、細胞の集団は、例えば、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させる前の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて35%以下だけ増殖される。一部の実施形態では、細胞の集団は、例えば、CD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は上記細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させる前の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて40%以下だけ増殖される。
一部の実施形態において、細胞の集団は、例えば、前述した1つ以上のサイトカインと接触させる前の細胞の集団と比べて、生存細胞の数によって評価されて1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、16、20、24、36又は48時間以下だけ増殖される。
一部の実施形態において、活性化プロセスは、無血清細胞培地中で実施される。一部の実施形態において、活性化プロセスは、IL-2、IL-15(例えば、hetIL-15(IL15/sIL-15Ra))又はIL-6(例えば、IL-6/sIL-6Ra))から選択される1つ以上のサイトカインを含む細胞培地中で実施される。一部の実施形態において、hetIL-15は、
のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、hetIL-15は、配列番号309と少なくとも約70、75、80、85、90、95又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、活性化プロセスは、LSD1阻害剤を含む細胞培地中で実施される。一部の実施形態において、活性化プロセスは、MALT1阻害剤を含む細胞培地中で実施される。一部の実施形態において、無血清細胞培地は、血性代替品を含む。一部の実施形態において、血清代替品は、CTS(商標)Immune Cell Serum Replacement(ICSR)である。一部の実施形態において、ICSRのレベルは、例えば、最大5%、例えば約1%、2%、3%、4%又は5%であり得る。理論に縛られることを意図しないが、ICSR、例えば2%ICSRを含有する細胞培地、例えば表21若しくは表25に示すラピッドメディア(Rapid Media)を使用すれば、本明細書に記載の製造プロセス中の細胞生存能力を向上させることができる。
一部の実施形態において、本開示は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞(例えば、T細胞)の集団を作製する方法を提供し、これは、(a)対象から採取したアフェレーシスサンプル(例えば、新鮮な又は凍結保存された白血球アフェレーシスサンプル)を用意するステップ;(b)アフェレーシスサンプルからT細胞を選択する(例えば、ネガティブ選択、ポジティブ選択又はビーズなしの選択を用いて)ステップ;(c)単離したT細胞を例えば1×106~1×107細胞/mLで接種するステップ;(d)T細胞を、T細胞を刺激する薬剤、例えばCD3/TCR複合体を刺激する薬剤及び/又は細胞の表面上の共刺激分子を刺激する薬剤と接触させる(例えば、T細胞を抗CD3及び/又は抗CD28抗体と接触させる、例えばT細胞をTransActと接触させる)ステップ;(e)T細胞を、CARをコードする核酸分子(例えば、DNA又はRNA分子)と例えば6~48時間、例えば20~28時間接触させる(例えば、T細胞を、CARをコードする核酸分子を含むウイルスと接触させる)ステップ;及び(f)保存(例えば、凍結保存培地中でT細胞を製剤化すること)又は投与のためにT細胞を洗浄及び採取するステップを含む。一部の実施形態において、ステップ(f)は、ステップ(d)又は(e)の開始後の30時間以内、例えばステップ(d)又は(e)の開始後の22、23、24、25、26、27、28、29又は30時間以内に実施される。
追加の例示的な製造方法
一部の実施形態では、本明細書に記載されるCAR製造方法(例えば、活性化高速製造(ARM)プロセス)を、「伝統的製造(TM)」プロセスと呼ばれるCAR製造プロセスと比較する。伝統的製造プロセス下において、一部の実施形態では、細胞、例えばT細胞又はNK細胞は、例えば、抗CD3/抗CD28抗体コーティングされたDynabeads(登録商標)を用いて活性化され、CARをコードする1つ以上の核酸分子と接触させ、例えば7、8、9、10又は11日にわたってインビトロで増殖させた後、細胞を回収する。一部の実施形態では、細胞、例えばT細胞又はNK細胞は、例えば、陽性若しくは陰性選択を用いて、新鮮な又は凍結保存された白血球アフェレーシスサンプルから選択される。
本明細書に開示されるプロセスによって製造されたCAR発現細胞の集団
一部の実施形態では、本開示は、例えば、本明細書に記載の製造方法のいずれかによって作製され、CAR、例えば、CCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞又はNK細胞)を特徴とし、ここで、操作された免疫エフェクター細胞は、抗腫瘍特性を示す。一部の実施形態では、免疫エフェクター細胞は、本明細書に開示されるCCARを発現するように操作される。一部の実施形態では、免疫エフェクター細胞は、本明細書に開示されるCAR及び本明細書に開示される調節分子を発現するように操作される。
一部の実施形態において、CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む。例示的な抗原は、本明細書に記載の癌関連抗原である。一部の実施形態において、細胞(例えば、T細胞又はNK細胞)は、CAR、例えばCCARで形質転換され、CAR、例えばCCARは、細胞表面に発現される。一部の実施形態において、細胞(例えば、T細胞又はNK細胞)は、CAR、例えばCCARをコードするウイルスベクターで形質導入される。一部の実施形態において、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクターである。一部の実施形態において、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。一部の実施形態において、細胞は、CAR、例えばCCARを安定して発現することができる。一部の実施形態において、細胞(例えば、T細胞又はNK細胞)は、CAR、例えばCCARをコードする核酸、例えばmRNA、cDNA又はDNAでトランスフェクトされる。一部のこうした実施形態において、細胞は、CAR、例えばCCARを一過性発現し得る。
一部の実施形態では、本明細書に記載される製造方法(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセス)のいずれかによって作製され、CARを発現するように操作された細胞(例えば、免疫エフェクター細胞、例えばT細胞又はNK細胞)の集団が提供される。
一部の実施形態において、製造プロセスの終了時(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの終了時)の細胞の集団中のナイーブ細胞、例えばナイーブT細胞、例えばCD45RA+CD45RO-CCR7+T細胞のパーセンテージは、製造プロセスの開始時(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの開始時)の細胞の集団中のナイーブ細胞、例えばナイーブT細胞、例えばCD45RA+CD45RO-CCR7+T細胞のパーセンテージと比べて、(1)同じであるか、(2)例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15%以下だけ異なるか、又は(3)少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24若しくは25%だけ増加される。一部の実施形態において、製造プロセスの終了時(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの終了時)の細胞の集団は、26時間超継続する(例えば、5、6、7、8、9、10、11若しくは12日超継続する)か、又は3日超(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15日にわたりインビトロで細胞の集団を増殖させるステップを含むこと以外には類似の方法によって作製された細胞と比べて、ナイーブ細胞、例えばナイーブT細胞、例えばCD45RA+CD45RO-CCR7+T細胞のより高い(例えば、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45又は50%高い)パーセンテージを示す。
一部の実施形態において、製造プロセスの終了時(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの終了時)の細胞の集団中のナイーブ細胞、例えばナイーブT細胞、例えばCD45RA+CD45RO-CCR7+T細胞のパーセンテージは、20、25、30、35、40、45、50、55若しくは60%以上である。
一部の実施形態において、製造プロセスの終了時(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの終了時)の細胞の集団中のセントラルメモリー細胞、例えばセントラルメモリーT細胞、例えばCD95+セントラルメモリーT細胞のパーセンテージは、製造プロセスの開始時(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの開始時)の細胞の集団中のセントラルメモリー細胞、例えばセントラルメモリーT細胞、例えばCD95+セントラルメモリーT細胞のパーセンテージと比べて、(1)同じであるか、(2)例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15%以下だけ異なるか、又は(3)少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24若しくは25%だけ減少される。一部の実施形態において、製造プロセスの終了時(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの終了時)の細胞の集団は、例えば26時間超持続する(例えば、5、6、7、8、9、10、11若しくは12日超持続する)か、又は例えば3日超にわたりインビトロで細胞の集団を増殖させる(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15日にわたりインビトロで細胞の集団を増殖させる)ステップを含むこと以外には類似の方法によって作製された細胞と比べて、ナイーブ細胞、例えばセントラルメモリー細胞、例えばセントラルメモリーT細胞、例えばCD95+セントラルメモリーT細胞のより低い(例えば、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45又は50%低い)パーセンテージを示す。
一部の実施形態において、製造プロセスの終了時(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの終了時)の細胞の集団中のセントラルメモリー細胞、例えばセントラルメモリーT細胞、例えばCD95+セントラルメモリーT細胞のパーセンテージは、40、45、50、55、60、65、70、75又は80%以下である。
一部の実施形態において、製造プロセスの終了時(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの終了時)の細胞の集団は、インビボで投与された後、例えば26時間超持続する(例えば、5、6、7、8、9、10、11若しくは12日超持続する)か、又は例えば3日超にわたりインビトロで細胞の集団を増殖させる(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14若しくは15日にわたりインビトロで細胞の集団を増殖させる)ステップを含むこと以外には類似の方法によって作製された細胞と比べて、長時間持続するか又は高い(例えば、少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、75、80、85若しくは90%高い)レベルで増殖する(例えば、図4Cを参照にして実施例1に記載される方法を用いて評価されるように)。
一部の実施形態において、細胞の集団は、製造プロセスの開始前(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの開始前)にIL6R発現細胞(例えば、IL6Rα及び/又はIL6Rβ)について濃縮されている。一部の実施形態において、細胞の集団は、例えば、製造プロセスの開始時(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセスの開始時)に、例えば30、35、40、45、50、55、60、65、70、75又は80%以下のIL6R発現細胞(例えば、IL6Rα及び/又はIL6Rβについて陽性の細胞)を含む。
医薬組成物
さらに、本開示は、CAR、例えばCCAR発現細胞組成物並びに疾患の中でも、とりわけ癌又は本明細書に記載の腫瘍抗原を発現する細胞若しくは組織を含むあらゆる悪性若しくは自己免疫疾患を処置するための薬剤又は方法でのそれらの使用を提供する。一部の実施形態では、1種以上の薬学的に又は生理的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と組み合わせて、本明細書に記載の製造プロセス(例えば、本明細書に記載のサイトカインプロセス又は活性化プロセス)によって作製される、CAR、例えばCCAR発現細胞、例えば複数のCAR、例えばCCAR発現細胞を含む医薬組成物が提供される。一部の実施形態では、CAR発現細胞は、本明細書に開示されるCCARを発現する。一部の実施形態では、CAR発現細胞は、本明細書に開示されるCAR及び本明細書に開示される調節分子を発現する。
キメラ抗原受容体を調節するための戦略
CAR活性を調節することができる多くの方法がある。一部の実施形態では、CAR活性を制御することができる調節可能なCAR(RCAR)は、CAR療法の安全性及び有効性を最適化するために望ましい。本開示のCAR療法を調節するための代替戦略は、CARを分解するか、又はCAR活性を不活性化するか若しくはオフにする小分子若しくは抗体、例えばCCARを利用することを含み、これは、例えば、CAR発現細胞を欠失させる、例えば、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を誘導するによって実施される。例えば、本明細書に記載のCAR発現細胞は、細胞死、例えばADCC又は補体誘導性細胞死を誘導することができる分子によって認識される抗原も発現し得る。例えば、本明細書に記載のCAR発現細胞は、抗体又は抗体フラグメントによって標的化され得る受容体も発現し得る。このような受容体の例としては、EpCAM、VEGFR、インテグリン(例えば、インテグリンανβ3、α4、αΙ3/4β3、α4β7、α5β1、ανβ3、αν)、TNF受容体スーパーファミリーのメンバー(例えば、TRAIL-R1、TRAIL-R2)、PDGF受容体、インターフェロン受容体、葉酸受容体、GPNMB、ICAM-1、HLA-DR、CEA、CA-125、MUC1、TAG-72、IL-6受容体、5T4、GD2、GD3、CD2、CD3、CD4、CD5、CD11、CD1 1a/LFA-1、CD15、CD18/ITGB2、CD19、CD20、CD22、CD23/lgE受容体、CD25、CD28、CD30、CD33、CD38、CD40、CD41、CD44、CD51、CD52、CD62L、CD74、CD80、CD125、CD147/ベイシジン、CD152/CTLA-4、CD154/CD40L、CD195/CCR5、CD319/SLAMF7及びEGFR並びにそれらの切断型バージョン(例えば、1つ若しくは複数の細胞外エピトープを保持するが、細胞質ドメイン内の1つ若しくは複数の領域を欠くバージョン)が挙げられる。例えば、本明細書に記載のCAR発現細胞は、シグナル伝達能力を欠いているが、ADCCを誘導することができる分子、例えば、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))によって認識されるエピトープを保持する切断型上皮成長因子受容体(EGFR)も発現することができ、その結果、セツキシマブの投与が、ADCC、続いてCAR発現細胞の枯渇を誘導する(例えば、国際公開第2011/056894号パンフレット及びJonnalagadda et al.,Gene Ther.2013;20(8)853-860)。別の戦略は、本明細書に記載のCAR発現細胞においてCD32及びCD20抗原の両方からの標的エピトープを組み合わせた高度にコンパクトなマーカー/自殺遺伝子を発現することを含み、これは、リツキシマブに結合して、例えば、ADCCによるCAR発現細胞の選択的枯渇を引き起こす(例えば、Philip et al.,Blood.2014;124(8)1277-1287を参照されたい)。本明細書に記載のCAR発現細胞を枯渇させるための他の方法は、CAMPATH(登録商標)、即ち成熟リンパ球、例えばCAR発現細胞に選択的に結合し、例えば、ADCCを誘導することによって破壊するために、上記細胞を標的化するモノクローナル抗CD52抗体の投与を含む。他の実施形態では、CAR発現細胞は、CARリガンド、例えば抗イディオタイプ抗体を用いて、選択的に標的化され得る。一部の実施形態では、抗イディオタイプ抗体は、エフェクター細胞活性、例えば、ADCC又はADC活性を引き起こし、それによりCAR発現細胞の数を減少させることができる。他の実施形態では、CARリガンド、例えば抗イディオタイプ抗体を、細胞殺傷を誘導する薬剤、例えば毒素と結合させ、それによりCAR発現細胞の数を減少させることができる。代わりに、CAR分子自体は、以下に説明する通り、活性を調節できるように、例えばオン及びオフにすることができるように構成することもできる。
分解ポリペプチド及び分解化合物により媒介されるCCARの分解
一部の実施形態において、分解ポリペプチド及び異種ポリペプチドを含む融合ポリペプチドが本明細書に提供される。一部の実施形態では、分解ポリペプチドを異種ポリペプチドのC末端又はN末端に融合させる。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、異種ポリペプチドの中央にある。一部の実施形態では、異種ポリペプチドは、CAR、例えば本明細書に開示されるCAR、例えば抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARである。一部の実施形態では、分解ポリペプチド及びCARを含む制御可能なCAR(CCAR)が本明細書に提供される。
一部の実施形態では、本明細書に開示される分解化合物、例えば、COF1若しくはCOF2、例えばIMiD(例えば、サリドマイド及びその誘導体、例えばレナリドミド、ポマリドミド及びサリドマイド)又はCOF3、例えば表29に開示される化合物(例えば、表29に開示される化合物I-112)の存在下において、分解ポリペプチドは、融合ポリペプチド、例えばCCARのレベル及び/又は活性を改変する。一部の実施形態では、本明細書に開示される分解化合物の存在下において、分解ポリペプチドは、融合ポリペプチド、例えばCCARの翻訳後修飾及び/又は分解を増大させる。一部の実施形態では、翻訳後修飾は、融合ポリペプチド、例えばCCAR(例えば、下記の1つ以上:異種ポリペプチド、例えばCAR及び/又は分解ポリペプチドの全部若しくは一部)における、1つ以上のアミノ酸残基、例えば、1つ以上のリジン又はメチオニンのユビキチン化(例えば、モノ若しくはポリユビキチン化)を含み得る。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、国際公開第2019079569号パンフレット(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている分解ポリペプチド、国際公開第2019079569号パンフレット、例えば、その第114~120頁に記載されているCOF1/CRBN結合ポリペプチド、COF2/CRBN結合ポリペプチド若しくはCOF3/CRBN結合ポリペプチドである。一部の実施形態では、分解化合物は、国際公開第2019079569号パンフレット、例えば、その第120~216頁に開示されている分解化合物である。
一部の実施形態では、融合ポリペプチド、例えばCCAR(例えば、異種ポリペプチド、例えばCAR及び/又は分解ポリペプチドの全部若しくは一部)の1つ以上のリジン残基は、ユビキチン化される。一部の実施形態では、融合ポリペプチド、例えばCCAR(例えば、異種ポリペプチド、例えばCAR及び/又は分解ポリペプチドの全部若しくは一部)の1つ以上のメチオニン残基は、ユビキチン化(例えば、モノ又はポリユビキチン化)される。
理論に束縛されることは望まないが、一部の実施形態では、本明細書に記載の融合ポリペプチド、例えばCCARの不活性化、例えば、分解は、例えば、細胞又は反応混合物中で、以下のステップの1つ、2つ、3つ又は全部を含み得る:
(1)本明細書に開示される分解化合物、例えば、COF1若しくはCOF2、例えばIMiD(例えば、サリドマイド及びその誘導体(例えば、レナリドミド))又はCOF3、例えば表29に開示される化合物(例えば、表29に開示される化合物I-112)の存在下での、融合ポリペプチド、例えば分解ポリペプチドを含むCCARと、ユビキチンリガーゼ複合体(例えば、E3ユビキチンリガーゼ複合体)の1つ以上のサブユニット(例えば、CRBN)と会合;
(2)融合ポリペプチド、例えばCCARのユビキチン化(例えば、異種ポリペプチド、例えばCAR及び/又は分解ポリペプチドにおけるユビキチン化)、それによる、ユビキチン化融合ポリペプチド、例えばCCARの取得;並びに
(3)ユビキチン化融合ポリペプチド、例えばCCARの分解。
一部の実施形態では、本明細書に記載の任意の分解ポリペプチドは、本明細書に開示される分解化合物、例えばIMiD又は化合物I-112の存在下において、融合ポリペプチド、例えばCCARの翻訳後修飾及び/又は分解を、例えば本明細書に開示される分解化合物、例えばIMiD又は化合物I-112の非存在下での修飾及び/又は分解に比べて増大する。一実施形態において、分解ポリペプチドは、本明細書に開示される分解化合物、例えばIMiD又は化合物I-112の存在下において、融合ポリペプチド、例えばCCARの選択的ユビキチン化を、例えば本明細書に開示される分解化合物、例えばIMiD又は化合物I-112の非存在下でのユビキチン化に比べて増大する。
一部の実施形態では、本明細書に開示される融合ポリペプチド、例えばCCARをコードする核酸分子が、本明細書に提供される。一部の実施形態では、上記核酸分子を含むベクターが、本明細書に提供される。一部の実施形態では、上記核酸分子又はベクターを含む細胞が、本明細書に提供される。
一部の実施形態では、融合ポリペプチド、例えばCCAR(例えば、分解ポリペプチド及び異種ポリペプチド、例えばCARを含む融合ポリペプチド、例えばCCAR)を選択的に調節(例えば、分解)する方法が、本明細書に提供される。このような方法は、本明細書に記載の融合ポリペプチド、例えばCCAR又はそのような融合ポリペプチド、例えばCCARをコードする核酸のいずれかを含む細胞を、本明細書に記載の分解化合物のいずれかと接触させるステップを含み得る。一部の実施形態では、細胞をインビボで分解化合物と接触させる。一部の実施形態では、細胞をエクスビボで分解化合物と接触させる。本明細書で使用される場合、融合ポリペプチド、例えばCCAR又は標的ポリペプチドなどを「選択的に分解する」とは、参照ポリペプチド、例えば分解ポリペプチドを含まないポリペプチドに対して、融合ポリペプチド、例えばCCAR又は標的ポリペプチドの分解の増加(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、500%、10倍、100倍、1,000倍若しくはそれを超える、例えば分解レベル及び/又は分解速度の増加)を指す。
一部の実施形態では、本開示は、本開示の融合ポリペプチド、例えばCCARを治療薬として投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、このような投与は、対象に対する本開示の融合ポリペプチド、例えばCCARを発現する細胞(例えば、自家又は同種異系宿主細胞)の形態である。従って、分解化合物の投与(インビボ又はエクスビボのいずれか)を通じて、治療薬(例えば、異種ポリペプチド、例えばCAR)の発現を調節することができる。従って、分解化合物の投与(インビボ又はエクスビボのいずれか)を通じて、治療薬(例えば、異種ポリペプチド、例えばCAR)の発現を調節することができる。従って、公知の合成治療用タンパク質又は膜貫通型受容体(例えば、本明細書に記載のように、例えば本明細書に記載のCAR分子を含有するドメインを含む、例えば融合ポリペプチド、例えばCCAR)の発現を調節することができる。一実施形態において、対象は、本明細書に記載の障害を有し、例えば、対象は、癌を有し、例えば、対象は、本明細書に記載の標的抗原を発現する癌を有する。一実施形態において、対象はヒトである。
分解ポリペプチド
一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、本明細書に開示される分解化合物、例えばCOF1若しくはCOF2、IMiD、例えばサリドマイドクラスの化合物(例えば、レナリドミド、ポマリドミド及びサリドマイド)又はCOF3、例えば表29に開示される化合物、例えば表29に開示される化合物I-112の存在下において、ユビキチンリガーゼ複合体(例えば、E3ユビキチンリガーゼ複合体)の1つ若しくは複数の成分に結合するアミノ酸配列及び/又は構造モチーフ(例えば、ドメイン)に由来する。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、ジンクフィンガードメイン(例えば、ジンクフィンガー2ドメイン)又はその一部を含む。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、βターンを含む。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、IKZFポリペプチド又はその構造モチーフを含む。一部の実施形態では、IKZFポリペプチドは、IKZF1ポリペプチド、IKZF2ポリペプチド、IKZF3ポリペプチド、H141Q置換(配列番号330に従って番号付けされる)を有するIKZF2ポリペプチド又はH188Q置換(配列番号331に従って番号付けされる)を有するIKZF4ポリペプチドである。
一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、転写因子のイカロスファミリー、例えば、IKZF1又はIKZF3又はそれと実質的に同一(例えば、それと少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%同一)の配列のβターンを含む。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、IKZF1又はIKZF3のβヘアピン又はそれと実質的に(例えば、それと少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%)同一の配列を含む。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、IKZF1又はIKZF3又はそれと実質的に同一(例えば、それと少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%同一)の配列のβ鎖を含む。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、IKZF1又はIKZF3又はそれと実質的に同一(例えば、それと少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%同一)の配列のヘリックスを含む。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、N末端からC末端に、IKZF1又はIKZF3の第1のβ鎖、第2のβ鎖及び第1のαヘリックスを含む。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、N末端からC末端に、IKZF1又はIKZF3の第1のβ鎖、βヘアピン、第2のβ鎖、第1のαヘリックス及び第2のαヘリックスを含む。一部の実施形態では、βヘアピン及び第2のαヘリックスは、60、50、40又は30以下のアミノ酸残基によって隔てられている。
一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、IKZF1(例えば、配列番号329)若しくはIKZF3(例えば、配列番号328)又はそれと実質的に同一(例えば、それと少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%同一)の配列の約10~約95アミノ酸残基、約15~約90アミノ酸残基、約20~約85アミノ酸残基、約25~約80アミノ酸残基、約30~約75アミノ酸残基、約35~約70アミノ酸残基、約40~約65アミノ酸残基、約45~約65アミノ酸残基、約50~約65アミノ酸残基又は約55~約65アミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、IKZF1(例えば、配列番号329)若しくはIKZF3(例えば、配列番号328)又はそれと実質的に同一(例えば、それと少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%同一)の配列の少なくとも10アミノ酸、少なくとも15アミノ酸、少なくとも20アミノ酸、少なくとも25アミノ酸、少なくとも30アミノ酸、少なくとも35アミノ酸、少なくとも40アミノ酸、少なくとも45アミノ酸、少なくとも50アミノ酸、少なくとも55個、少なくとも60アミノ酸、少なくとも65アミノ酸、少なくとも70アミノ酸、少なくとも75アミノ酸、少なくとも80アミノ酸、少なくとも85アミノ酸、少なくとも90アミノ酸、少なくとも90アミノ酸又は少なくとも95アミノ酸を含む。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、配列番号310~315、320~324、337~339、360~361、367~369及び374からなる群から選択されるアミノ酸配列(又はそれに対して少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%の同一性を有する配列)を含むか又はそれからなる。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、配列番号312のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。一部の実施形態では、分解化合物は、例えば、本明細書に記載されるように、サリドマイドクラスの化合物(例えば、レナリドミド、ポマリドミド及びサリドマイド)である。一部の実施形態では、分解化合物は、COF1又はCOF2である。
一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、IKZF2のβターン又はそれと実質的に同一の配列(例えば、少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%同一)を含む。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、IKZF2のβヘアピン又はそれと実質的に同一(例えば、それと少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%同一)の配列を含む。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、IKZF2のβ鎖又はそれと実質的に同一(例えば、それと少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%同一)の配列を含む。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、IKZF2のαヘリックス又はそれと実質的に同一(例えば、それと少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%同一)の配列を含む。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、N末端からC末端に、IKZF2の第1のβ鎖、βヘアピン、第2のβ鎖及び第1のαヘリックスを含む。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、N末端からC末端に、IKZF2の第1のβ鎖、βヘアピン、第2のβ鎖、第1のαヘリックス及び第2のαヘリックスを含む。一部の実施形態では、βヘアピン及び第2のαヘリックスは、60、50、40又は30以下のアミノ酸残基によって隔てられている。
一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、IKZF2(例えば、配列番号21)又はそれと実質的に同一(例えば、それと少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%同一)の配列の約10~約95アミノ酸残基、約15~約90アミノ酸残基、約20~約85アミノ酸残基、約25~約80アミノ酸残基、約30~約75アミノ酸残基、約35~約70アミノ酸残基、約40~約65アミノ酸残基、約45~約65アミノ酸残基、約50~約65アミノ酸残基又は約55~約65アミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、IKZF2(例えば、配列番号21)又はそれと実質的に同一(例えば、それと少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%同一)の配列の少なくとも10アミノ酸、少なくとも15アミノ酸、少なくとも20アミノ酸、少なくとも25アミノ酸、少なくとも30アミノ酸、少なくとも35アミノ酸、少なくとも40アミノ酸、少なくとも45アミノ酸、少なくとも50アミノ酸、少なくとも55アミノ酸、60アミノ酸、少なくとも65アミノ酸、少なくとも70アミノ酸、少なくとも80アミノ酸、少なくとも85アミノ酸、少なくとも90アミノ酸、少なくとも90アミノ酸又は少なくとも95アミノ酸を含む。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、配列番号375~377からなる群から選択されるアミノ酸配列(又はそれに対して少なくとも85、87、90、95、97、98、99若しくは100%の同一性を有する配列)を含むか又はそれからなる。一部の実施形態では、分解ポリペプチドは、配列番号375のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。一部の実施形態では、分解化合物は、表29に開示される化合物、例えば表29に開示される化合物I-112である。一部の実施形態では、分解化合物はCOF3である。
一部の実施形態では、例示的な分解ポリペプチドは、表30に開示される。表31は、IKZF1、IKZF2、IKZF3、IKZF4及びIKZF5又はそのフラグメントの例示的な完全長配列を開示する。
分解性化合物
例えば、分解ポリペプチドを含む融合ポリペプチド、例えばCCARのユビキチン化及び/又は分解を増大することができる分解化合物が、本明細書に開示される。
一部の実施形態では、分解化合物は、免疫調節イミド薬(IMiD)である。一部の実施形態では、分解化合物は、サリドマイドクラスの化合物のメンバーを含む。一部の実施形態では、サリドマイドクラスの化合物のメンバーとして、限定するものではないが、レナリドミド(CC-5013)、ポマリドミド(CC-4047若しくはACTIMID)、サリドマイド又はそれらの塩若しくは誘導体が挙げられる。一部の実施形態では、分解化合物は、サリドマイドクラスの化合物の1つ、2つ、3つ又はそれを超えるメンバーの混合物であり得る。サリドマイド類似体及びサリドマイド類似体の免疫調節特性は、Bodera and Stankiewicz, Recent Pat Endocr Metab Immune Drug Discov,2011 Sep;5(3):192-6(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。サリドマイド類似体とE3ユビキチンの構造複合体は、Gandhi et al.,Br J Haematol.2014 Mar;164(6):811-21(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。サリドマイド類似体によるE3ユビキチンリガーゼの調節は、Fischer al.,Nature,2014 Aug 7;512(7512):49-53(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
一部の実施形態では、分解化合物は、式(I)の化合物(COF1)であり、ここで、COF1は、
又はその薬学的に許容される塩、エステル、水和物、溶媒和物若しくは互変異性体であり、式中:
Xは、O又はSであり;
R1は、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C1~C6ヘテロアルキル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり、それらの各々は、独立して、且つ任意選択で、1つ若しくは複数のR4により置換されており;
R2a及びR2bの各々は、独立して、水素若しくはC1~C6アルキルであるか;又はR2a及びR2bは、それらが結合する炭素原子と一緒に、カルボニル基若しくはチオカルボニル基を形成し;
R3の各々は、独立して、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C1~C6ヘテロアルキル、ハロ、シアノ、-C(O)RA、-C(O)ORB、-ORB、-N(RC)(RD)、-C(O)N(RC)(RD)、-N(RC)C(O)RA、-S(O)xRE、-S(O)xN(RC)(RD)又は-N(RC)S(O)xREであり;ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル及びヘテロアルキルは、独立して、且つ任意選択で、1つ若しくは複数のR6で置換されており;
各R4は、独立して、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C1~C6ヘテロアルキル、ハロ、シアノ、オキソ、-C(O)RA、-C(O)ORB、-ORB、-N(RC)(RD)、-C(O)N(RC)(RD)、-N(RC)C(O)RA、-S(O)xRE、-S(O)xN(RC)(RD)、-N(RC)S(O)xRE、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、独立して、且つ任意選択で、1つ若しくは複数のR7で置換されており;
RA、RB、RC、RD及びREの各々は、独立して、水素又はC1~C6アルキルであり;
各R6は、独立して、C1~C6アルキル、オキソ、シアノ、-ORB、-N(RC)(RD)、-C(O)N(RC)(RD)、-N(RC)C(O)RA、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、各アリール及びヘテロアリールは、独立して、且つ任意選択で、1つ若しくは複数のR8で置換されており;
各R7は、独立して、ハロ、オキソ、シアノ、-ORB、-N(RC)(RD)、-C(O)N(RC)(RD)又は-N(RC)C(O)RAであり;
各R8は、独立して、C1~C6アルキル、シアノ、-ORB、-N(RC)(RD)、-C(O)N(RC)(RD)又は-N(RC)C(O)RAであり;
nは、0、1、2、3又は4であり;並びに
xは、0、1又は2である。
一部の実施形態では、分解化合物は、式(II)の化合物(COF2)であり、ここで、COF2は、
又はその薬学的に許容される塩、エステル、水和物、互変異性体若しくはプロドラッグであり、式中:
Xは、O又はSであり;
R1は、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C1~C6ヘテロアルキル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり、それらの各々は、独立して、且つ任意選択で、1つ若しくは複数のR4により置換されており;
R2a及びR2bの各々は、独立して、水素若しくはC1~C6アルキルであるか;又はR2a及びR2bは、それらが結合する炭素原子と一緒に、カルボニル基若しくはチオカルボニル基を形成し;
R10の各々は、独立して、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C1~C6ヘテロアルキル、ハロ、シアノ、-C(O)RA、-C(O)ORB、-ORB、-N(RC)(RD)、-C(O)N(RC)(RD)、-N(RC)C(O)RA、-S(O)xRE、-S(O)xN(RC)(RD)若しくは-N(RC)S(O)xRE又はL-タグ(Tag)であり;ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル及びヘテロアルキルは、独立して、且つ任意選択で、1つ若しくは複数のR11で置換されており;
各R4は、独立して、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C1~C6ヘテロアルキル、ハロ、シアノ、オキソ、-C(O)RA、-C(O)ORB、-ORB、-N(RC)(RD)、-C(O)N(RC)(RD)、-N(RC)C(O)RA、-S(O)xRE、-S(O)xN(RC)(RD)、-N(RC)S(O)xRE、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、独立して、且つ任意選択で、1つ若しくは複数のR7で置換されており;
RA、RB、RC、RD及びREの各々は、独立して、水素又はC1~C6アルキルであり;
各R11は、独立して、C1~C6アルキル、ハロ、オキソ、シアノ、-ORB、-N(RC)(RD)、-C(O)N(RC)(RD)、-N(RC)C(O)RA、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、各アリール及びヘテロアリールは、独立して、且つ任意選択で、1つ若しくは複数のR8で置換されており;
各R7は、独立して、ハロ、オキソ、シアノ、-ORB、-N(RC)(RD)、-C(O)N(RC)(RD)又は-N(RC)C(O)RAであり;
各R8は、独立して、C1~C6アルキル、ハロ、シアノ、-ORB、-N(RC)(RD)、-C(O)N(RC)(RD)又は-N(RC)C(O)RAであり;
各Lは、独立して、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C1~C6ヘテロアルキル、-C(O)RA1、-C(O)ORB1、-ORB1、-N(RC1)(RD1)、-C(O)N(RC1)(RD1)、-N(RC1)C(O)RA1、-S(O)xRE1、-S(O)xN(R1)(RD1)又は-N(RC1)S(O)xRE1であり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル及びヘテロアルキルは、独立して、且つ任意選択で、1つ若しくは複数のR12で置換されており;
各タグ(Tag)は、標的タンパク質に結合することができる標的化部分であり;
RA1、RB1、RC1、RD1及びRE1の各々は、独立して、水素、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C1~C6ヘテロアルキル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、独立して、且つ任意選択で、1つ若しくは複数のR12で置換されており;
各R12は、独立して、C1~C6アルキル、ハロ、シアノ、カルボシクリル又はヘテロシクリルであり;
nは、0、1、2、3又は4であり;並びに
xは、0、1又は2である。
一部の実施形態では、分解化合物は、式(III)の化合物(COF3)であり、ここで、COF3は、
又はその薬学的に許容される塩、エステル、水和物、溶媒和物若しくは互変異性体であり、式中:
X1は、CR3であり;
は、X1がCR3で、且つR3が存在しないとき、任意選択で、二重結合であり;
各R1は、独立して、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル若しくはハロであるか、又は
2つのR1は、それらが結合する炭素原子と一緒に、5若しくは6員ヘテロシクリル環を形成するか、又は
2つのR1は、隣接する原子上にあるとき、それらが結合する原子と一緒に、C6~C10アリール又はO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5若しくは6員ヘテロアリール環を形成し;
R2は、水素、C1~C6アルキル、-C(O)C1~C6アルキル、-C(O)(CH2)0~3-C6~C10アリール、-C(O)O(CH2)0~3-C6~C10アリール又はO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5若しくは6員ヘテロアリール、C3~C8カルボシクリル又はO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~7ヘテロシクリルである(ここで、アルキルは、任意選択で、1つ若しくは複数のR4で置換されており;アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル及びヘテロシクリルは、任意選択で、1つ若しくは複数のR5で置換されている)か、又は
R1とR2は、隣接する原子上にあるとき、それらが結合する原子と一緒に、5若しくは6員ヘテロシクリル環を形成し;
R3は、水素であるか、又は
が二重結合であるとき、R3は存在せず;
各R4は、独立して、-C(O)OR6、-C(O)NR6R6’、-NR6C(O)R6’、ハロ、-OH、-NH2、シアノ、C6~C10アリール、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む5若しくは6員ヘテロアリール並びにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~7員ヘテロシクリル(アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル及びヘテロシクリルは、任意選択で、1つ若しくは複数のR7で置換されている)であり;
各R5は、独立して、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ヘテロアルコキシ、C1~C6ヒドロキシアルキル、ハロ、-OH、-NH2、シアノ、C3~C7カルボシクリル、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~7員ヘテロシクリル、C6~C10アリール並びにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5若しくは6員ヘテロアリールから選択されるか、又は
2つのR5は、隣接する原子上にあるとき、それらが結合する原子と一緒に、C6~C10アリール又はO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5若しくは6員ヘテロアリールを形成し、これは、任意選択で、1つ若しくは複数のR10で置換され得るか、又は
2つのR5は、隣接する原子上にあるとき、それらが結合する原子と一緒に、C5~C7カルボシクリル又はO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~7員ヘテロシクリルを形成し、これは、任意選択で、1つ若しくは複数のR10’で置換され得;
R6及びR6’は、各々独立して、水素、C1~C6アルキル又はC6~C10アリールであり;
各R7は、独立して、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、-C(O)R8、-(CH2)0~3C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-NR8C(O)R9、-NR8C(O)OR9、-S(O)pNR8R9、-S(O)pR12、(C1~C6)ヒドロキシアルキル、ハロ、-OH、-O(CH2)1~3CN、-NH2、シアノ、-O(CH2)0~3-C6~C10アリール、アダマンチル、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む-O(CH2)0~3-5若しくは6員ヘテロアリール、C6~C10アリール、O、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む単環式又は二環式環の5~10員ヘテロアリール、C3~C7カルボシクリル並びにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~7ヘテロシクリルである(ここで、アルキルは、任意選択で、1つ若しくは複数のR11で置換されており、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルは、任意選択で、ハロゲン、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル及びC1~C6アルコキシから各々独立して選択される1つ若しくは複数の置換基で置換されている)か、又は
2つのR7は、それらが結合する原子と一緒に、=(O)を形成するか、又は
2つのR7は、隣接する原子上にあるとき、それらが結合する原子と一緒に、C6~C10アリール又はO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5若しくは6員ヘテロアリールを形成し、これは、任意選択で、1つ若しくは複数のR10で置換され得るか;又は
2つのR7は、それらが結合する原子と一緒に、C5~C7カルボシクリル又はO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~7員ヘテロシクリルを形成し、これは、任意選択で、1つ若しくは複数のR10で置換され得;
R8及びR9は、各々独立して、水素又はC1~C6アルキルであり;
各R10は、独立して、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、C1~C6ヒドロキシアルキル、ハロ、-OH、-NH2及びシアノから選択されるか、又は
2つのR10は、それらが結合する原子と一緒に、=(O)を形成し;
各R11は、独立して、シアノ、C1~C6アルコキシ、C6~C10アリール並びにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~7員ヘテロシクリルから選択され、ここで、各アリール及びヘテロシクリルは、任意選択で、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、C1~C6ヒドロキシアルキル、ハロ、-OH、-NH2及びシアノから各々独立して選択される1つ若しくは複数の置換基で置換され得;
R12は、C1~C6アルキル、C1~C6ハロアルキル、C6~C10アリール並びにO、N及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~7員ヘテロシクリルであり;
Rxは、水素又は重水素であり;
pは、0、1又は2であり;
nは、0、1又は2であり;
yは、1又は2であり、ここで、n+y≦3であり;
qは、0、1、2、3又は4である。
さらに別の例示的な分解化合物を表29に開示する。
分解ドメイン及び安定化化合物により媒介されるCCARの分解
一部の実施形態では、分解ドメインと異種ポリペプチド、例えばCARを含む融合ポリペプチド、例えばCCARが本明細書に提供される。一部の実施形態では、分解ドメインは、第1の状態及び第2の状態、例えば、安定化/不安定化の状態又はフォールディング/ミスフォールディングの状態を有する。第1の状態は、第1の速度又はレベルで、融合ポリペプチド、例えばCCARの発現と関連するか、それを誘発又は媒介し、第2の状態は、第2の速度又はレベルで、融合ポリペプチド、例えばCCARの発現と関連するか、それを誘発又は媒介する。一部の実施形態では、第2の状態は、第1の状態の速度又はレベルよりも大きい、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、20又は30倍大きい速度又はレベルを有する。一部の実施形態では、第2の状態は、安定化化合物の存在に関連するか、それにより維持又は誘発される。一部の実施形態では、安定化化合物の存在は、第1のフォールディング状態から第2のフォールディング状態への変化、例えばミスフォールディングされた状態からより適切にフォールディングされた状態への変化、例えば分解を受けやすい第1の状態から第1の状態よりも分解を受けにくい第2の状態への変化;又は例えば目的の細胞において、第1のレベルの分解を有する第1のフォールディング状態から、第2のより低レベルの分解を有する第2のフォールディング状態への変化と関連するか、それを誘発又は媒介し得る。
理論に束縛されることは望まないが、一部の実施形態では、分解ドメインは、不安定であり、且つ/又は安定化化合物の非存在下では安定な立体構造にフォールディングすることができない。このミスフォールディング/アンフォールディングされた分解ドメインは、融合ポリペプチド、例えばCCARの残りの部分と一緒に、細胞内分解経路によって分解され得る。安定化化合物の存在下では、分解ドメインは適切な立体配座を取るため、細胞間分解経路を受けにくい。従って、融合ポリペプチド、例えばCCARの発現レベルは、安定化化合物の存在又は非存在によって調節することができる。一部の実施形態では、安定化化合物の存在下での融合ポリペプチド、例えばCCARの発現レベルは、例えば、本明細書に記載のアッセイ、例えばウェスタンブロット分析又はフローサイトメトリー分析により測定した場合、安定化化合物の非存在下での融合ポリペプチド、例えばCCARの発現レベルと比較して、少なくとも例えば1.5、2、3、4、5、10、20、30、40又は50倍だけ増加される。
一部の実施形態では、分解ドメインは、異種プロテアーゼ切断部位によって異種ポリペプチド、例えばCARから隔てられている。一部の実施形態では、分解ドメインの適切なフォールディングは、異種プロテアーゼ切断部位を露出させ、その結果、異種プロテアーゼ切断部位の切断並びに融合ポリペプチド、例えばCCARの残り部分からの分解ドメインの除去が起こる。
分解ドメイン及び安定化化合物
本開示は、任意の天然に存在するタンパク質に由来する分解ドメインを包含する。好ましくは、本開示の融合ポリペプチド、例えばCCARは、目的の細胞区画において天然に発現されるリガンドが存在しない分解ドメインを含む。例えば、T細胞に発現させるために融合ポリペプチド、例えばCCARを設計する場合、T細胞中に天然のリガンドが存在しない分解ドメインを選択することが好ましい。従って、分解ドメインは、目的の細胞に発現させるとき、外因的に添加された化合物の存在下でのみ安定化されることになる。特に、この特性は、天然に発現されたリガンドと結合しなくなるように分解ドメインを操作する(この場合、分解ドメインは、合成化合物の存在下でのみ安定である)か、又は天然に発現されたリガンドが生じない区画内で分解ドメインを発現させる(例えば、分解ドメインは、融合ポリペプチド、例えばCCARが発現される種以外の種に由来し得る)かのいずれかによって操作することができる。
分解ドメイン-安定化化合物ペアは、天然に存在するか、又は合成によって作製されたいずれのタンパク質に由来するものであり得る。安定化化合物は、天然に存在するか又は合成化合物であり得る。特定の実施形態では、安定化化合物は、既存の処方薬又は市販薬であろう。分解ドメインの性質を有するように操作され得るタンパク質の例を、対応する安定化化合物と共に以下の表32に記載する。
一部の実施形態では、分解ドメインは、Banaszynski,et al.,Cell,2006,126,995-1004に記載されるように、FKBPベースである(例えば、「Shield」安定化化合物を用いて)か;Iwamoto,et al.,Chemistry & Biology,2010,17,981-988に記載されるように、DHFRベースである(例えば、安定化化合物としてトリメトプリムを用いて)か;又はMiyazaki,et al.,J.Am.Chem.Soc.2012,134,3942-3945に記載されるように、エストロゲン受容体αベースである(例えば、この場合、安定化化合物として、4OHTが使用される)。これらの参考文献の各々は、その全体が参照により組み込まれる。
一部の実施形態では、分解ドメインは、表32に列挙するタンパク質に由来する。
一部の実施形態では、分解ドメインは、エストロゲン受容体(ER)に由来する。一部の実施形態では、分解ドメインは、配列番号342又はそれに対して少なくとも90%、95%、97%、98%若しくは99%の同一性を有する配列或いは配列番号344又はそれに対して少なくとも90%、95%、97%、98%若しくは99%の同一性を有する配列から選択されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、分解ドメインは、配列番号342又は344のアミノ酸配列を含む。分解ドメインがエストロゲン受容体に由来する場合、安定化化合物は、バゼドキシフェン又は4-ヒドロキシタモキシフェン(4-OHT)から選択することができる。一部の実施形態では、安定化化合物は、バゼドキシフェンである。タモキシフェンとバゼドキシフェンは、FDA承認薬であるため、ヒトに使用するのに安全である。
一部の実施形態では、分解ドメインは、FKBタンパク質(FKBP)に由来する。一部の実施形態では、分解ドメインは、配列番号346のアミノ酸配列又はそれに対して少なくとも90%、95%、97%、98%若しくは99%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、分解ドメインは、配列番号346のアミノ酸配列を含む。分解ドメインがFKBPに由来する場合、安定化化合物は、Shield-1であり得る。
一部の実施形態では、分解ドメインは、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)に由来する。一部の実施形態では、分解ドメインは、配列番号347のアミノ酸配列又はそれに対して少なくとも90%、95%、97%、98%若しくは99%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、分解ドメインは、配列番号347のアミノ酸配列を含む。分解ドメインが、DHFRに由来する場合、安定化化合物はトリメトプリムであり得る。
一部の実施形態では、分解ドメインは、FKBタンパク質、エストロゲン受容体又はDHFRに由来しない。
切断部位
一部の実施形態では、本開示の融合ポリペプチド、例えばCCARは、分解ドメインと、異種ポリペプチド、例えばCARを含み、これらは、異種切断部位によって隔てられる。
切断部位は、プロテアーゼ切断部位であり得る。切断部位は、分解ドメインを切断するのに適切なレベルで、目的の細胞に発現される任意の部位特異的プロテアーゼにより(組換え発現又は内因性発現のいずれかを介して)切断されるように設計することができる。一部の実施形態では、プロテアーゼ切断部位は、目的のタンパク質の発現に関連する細胞区画内に存在するために、天然に(又は細胞工学によって)プロテアーゼに対応するように選択される。プロテアーゼの細胞内トラフィッキングは、使用される分解ドメインを含む目的のタンパク質の細胞内トラフィッキングと重複するか又は部分的に重複する必要がある。例えば、目的のタンパク質が細胞表面に位置する場合、それを切断する酵素を、細胞に外因的に添加することができる。
目的のタンパク質が、エンドソーム/リソソーム系に存在する場合、それらの区画内に常在する酵素のプロテアーゼ切断部位を使用することができる。このようなプロテアーゼ/コンセンサスモチーフとして、例えば、以下のものが挙げられる:
フーリン:RX(K/R)Rコンセンサスモチーフ(Xは、任意のアミノ酸であり得る;配列番号348)
PCSK1:RX(K/R)Rコンセンサスモチーフ(Xは、任意のアミノ酸であり得る;配列番号348)
PCSK5:RX(K/R)Rコンセンサスモチーフ(Xは、任意のアミノ酸であり得る;配列番号348)
PCSK6:RX(K/R)Rコンセンサスモチーフ(Xは、任意のアミノ酸であり得る;配列番号348)
PCSK7:RXXX[KR]Rコンセンサスモチーフ(Xは、任意のアミノ酸であり得る;配列番号349)
カテプシンB:RRX(配列番号350)
グランザイムB:I-E-P-D-X(配列番号351)
第XA因子:Ile-Glu/Asp-Gly-Arg(配列番号352)
エンテロキナーゼ:Asp-Asp-Asp-Asp-Lys(配列番号353)
ジェネナーゼ:Pro-Gly-Ala-Ala-His-Tyr(配列番号354)
ソルターゼ:LPXTG/A(配列番号355)
PreScissionプロテアーゼ:Leu-Glu-Val-Phe-Gln-Gly-Pro(配列番号356)
トロンビン:Leu-Val-Pro-Arg-Gly-Ser(配列番号357)
TEVプロテアーゼ:E-N-L-Y-F-Q-G(配列番号358)
エラスターゼ1:[AGSV]-X(Xは、任意のアミノ酸であり得る;配列番号359)
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合ポリペプチド、例えばCCARは、フーリン切断部位を含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチド、例えばCCARは、本明細書に記載され、表28に列挙されるフーリン切断部位のいずれか1つを含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合ポリペプチド、例えばCCARは、RTKR(配列番号378)又はそれに対して少なくとも90%、95%、97%、98%若しくは99%の同一性を有する配列;GTGAEDPRPSRKRRSLGDVG(配列番号379)又はそれに対して少なくとも90%、95%、97%、98%若しくは99%の同一性を有する配列;GTGAEDPRPSRKRR(配列番号381)又はそれに対して少なくとも90%、95%、97%、98%若しくは99%の同一性を有する配列;LQWLEQQVAKRRTKR(配列番号383)又はそれに対して少なくとも90%、95%、97%、98%若しくは99%の同一性を有する配列;GTGAEDPRPSRKRRSLGG(配列番号385)又はそれに対して少なくとも90%、95%、97%、98%若しくは99%の同一性を有する配列;GTGAEDPRPSRKRRSLG(配列番号387)又はそれに対して少なくとも90%、95%、97%、98%若しくは99%の同一性を有する配列;SLNLTESHNSRKKR(配列番号389)又はそれに対して少なくとも90%、95%、97%、98%若しくは99%の同一性を有する配列;又はCKINGYPKRGRKRR(配列番号391)又はそれに対して少なくとも90%、95%、97%、98%若しくは99%の同一性を有する配列から選択されるフーリン切断部位を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合ポリペプチド、例えばCCARは、RTKR(配列番号378);GTGAEDPRPSRKRRSLGDVG(配列番号379);GTGAEDPRPSRKRR(配列番号381);LQWLEQQVAKRRTKR(配列番号383);GTGAEDPRPSRKRRSLGG(配列番号385);GTGAEDPRPSRKRRSLG(配列番号387);SLNLTESHNSRKKR(配列番号389);又はCKINGYPKRGRKRR(配列番号391)から選択されるフーリン切断部位を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合ポリペプチド、例えばCCARは、GTGAEDPRPSRKRRSLGDVG(配列番号379)又はそれに対して少なくとも90%、95%、97%、98%若しくは99%の同一性を有する配列或いはGTGAEDPRPSRKRR(配列番号381)又はそれらに対して少なくとも90%、95%、97%、98%若しくは99%の同一性を有する配列から選択されるフーリン切断部位を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合ポリペプチド、例えばCCARは、GTGAEDPRPSRKRRSLGDVG(配列番号379)又はGTGAEDPRPSRKRR(配列番号381)から選択されるフーリン切断部位を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の融合ポリペプチド、例えばCCARは、GTGAEDPRPSRKRRSLGDVG(配列番号379)のフーリン切断部位を含む。
調節可能なCAR(RCAR)
一部の実施形態では、本明細書に記載されるCCARは、調節可能なCAR(RCAR)であり得る。一部の実施形態において、RCARは、1セットのポリペプチド、典型的には、最も単純な実施形態で、2つのポリペプチドを含み、その場合、本明細書に記載の標準的CARの構成要素、例えば、抗原結合ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメインが、個別のポリペプチド又はメンバー上で仕切られる。一部の実施形態では、ポリペプチドのセットは、二量体化分子が存在すると、ポリペプチドを互いに結合することができ、例えば、抗原結合ドメインを細胞内シグナル伝達ドメインに結合させることができる二量体化スイッチを含む。こうした調節可能なCARのさらなる説明及び例示的な構成は、本明細書及び国際公開第2015/090229号パンフレットに提供され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
一実施形態において、RCARは、2つのポリペプチド又はメンバー:1)細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば本明細書に記載の一次細胞内シグナル伝達ドメイン及び第1のスイッチドメインを含む細胞内シグナル伝達メンバー;2)例えば、本明細書に記載される腫瘍抗原を標的化する抗原結合ドメイン及び第2のスイッチドメインを含む抗原結合メンバーを含む。任意選択で、RCARは、本明細書に記載の膜貫通ドメインを含む。一実施形態では、膜貫通ドメインは、細胞内シグナル伝達メンバー上、抗原結合メンバー上又はその両方の上に配置することができる。(特に指示のない限り、RCARのメンバー又は要素が本明細書に記載される場合、順序が提供されることがあるが、他の順序も同様に含まれる。換言すれば、或る実施形態では、順序は本文に記載される通りであるが、他の実施形態では、順序は異なり得る。例えば、膜貫通領域の片側におけるエレメントの順序は、例えば、細胞内シグナル伝達ドメインに対するスイッチドメインの配置と異なり得、例えば逆であり得る)。
一実施形態において、第1及び第2のスイッチドメインは、細胞内又は細胞外二量体化スイッチを形成することができる。一実施形態では、二量体化スイッチは、例えば、第1及び第2のスイッチドメインが同じであるホモ二量体化スイッチ又は例えば第1及び第2のスイッチドメインが互いに異なるヘテロ二量体化スイッチであり得る。
一実施形態において、RCARは、「マルチスイッチ」を備えることができる。マルチスイッチは、ヘテロ二量体化スイッチドメイン又はホモ二量体化スイッチドメインを含み得る。マルチスイッチは、複数の、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のスイッチドメインを、独立して、第1メンバー、例えば、抗原結合メンバー及び第2メンバー、例えば、細胞内シグナル伝達メンバー上に含む。一実施形態では、第1メンバーは、複数の第1のスイッチドメイン、例えばFKBPベースのスイッチドメインを含むことができ、第2メンバーは、複数の第2のスイッチドメイン、例えばFRBベースのスイッチドメインを含むことができる。一実施形態では、第1メンバーは、第1及び第2のスイッチドメイン、例えばFKBPベースのスイッチドメインと、FRBベースのスイッチドメインを含むことができ、第2メンバーは、第1及び第2のスイッチドメイン、例えばFKBPベースのスイッチドメインと、FRBベースのスイッチドメインを含むことができる。
一実施形態において、細胞内シグナル伝達メンバーは、1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば一次細胞内シグナル伝達ドメインと、1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。
一実施形態において、抗原結合メンバーは、1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインを含み得る。一実施形態では、抗原結合メンバーは、例えば、4-1BB、CD28、CD27、ICOS及びOX40から選択される、複数、例えば、2又は3つの本明細書に記載の共刺激シグナル伝達ドメインを含み、また一実施形態では、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含まない。一実施形態において、抗原結合メンバーは、細胞外から細胞内方向に、以下の共刺激シグナル伝達ドメイン:4-1BB-CD27;4-1BB-CD27;CD27-4-1BB;4-1BB-CD28;CD28-4-1BB;OX40-CD28;CD28-OX40;CD28-4-1BB;又は4-1BB-CD28を含む。このような実施形態において、細胞内結合メンバーは、CD3ζドメインを含む。そうした一実施形態において、RCARは、以下を含む:(1)抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び2つの共刺激ドメインと、第1のスイッチドメインとを含む抗原結合メンバー;並びに(2)膜貫通ドメイン又は膜テザリングドメイン及び少なくとも1つの一次細胞内シグナル伝達ドメインと、第2のスイッチドメインとを含む細胞内シグナル伝達ドメイン。
一実施形態において、抗原結合メンバーがCAR発現細胞の表面にテザリングされていないRCARを提供する。これにより、細胞内シグナル伝達メンバーを有する細胞を、抗原結合メンバーをコードする配列で上記細胞を形質転換することなく、1つ以上の抗原結合ドメインと好都合に対合させることができる。こうした実施形態において、RCARは、以下を含む:1)第1のスイッチドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば一次細胞内シグナル伝達ドメイン及び第1のスイッチドメインを含む細胞内シグナル伝達メンバー;並びに2)抗原結合ドメイン及び第2のスイッチドメインを含む抗原結合メンバー(上記抗原結合メンバーは、膜貫通ドメイン又は膜テザリングドメインを含まず、且つ任意選択で細胞内シグナル伝達ドメインを含まない)。一部の実施形態では、RCARは、3)第2の抗原結合ドメイン、例えば抗原結合ドメインに結合するものとは異なる抗原に結合する第2の抗原結合ドメインと;第2のスイッチドメインとを含む第2の抗原結合メンバーをさらに含み得る。
また、抗原結合メンバーが二重特異性活性化及び標的化能力を備えるRCARも本明細書に提供される。この実施形態では、抗原結合メンバーは、複数の、例えば、2、3、4又は5つの抗原結合ドメイン、例えばscFvを含むことができ、ここで、各抗原結合ドメインは、標的抗原、例えば、異なる抗原又は同じ抗原、例えば、同じ抗原上の同じ又は異なるエピトープに結合する。一実施形態では、複数の抗原結合ドメインはタンデムであり、任意選択で、リンカー又はヒンジ領域が、抗原結合ドメインの各々の間に配置される。好適なリンカー及びヒンジ領域が本明細書に記載される。
一実施形態は、増殖の切替えを可能にする構成を有するRCARを提供する。この実施形態では、RCARは、以下を含む:1)任意選択で、膜貫通ドメイン又は膜テザリングドメイン;例えば、4-1BB、CD28、CD27、ICOS及びOX40から選択される、1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメイン及びスイッチドメインを含む細胞内シグナル伝達メンバー;並びに2)抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えばCD3ζドメインを含む抗原結合メンバー(上記抗原結合メンバーは、スイッチドメインを含まないか、又は細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチドメインと二量体化するスイッチドメインを含まない)。一実施形態では、抗原結合メンバーは、共刺激性シグナル伝達ドメインを含まない。一実施形態では、細胞内シグナル伝達メンバーは、ホモ二量体化スイッチからのスイッチドメインを含む。一実施形態では、細胞内シグナル伝達メンバーは、ヘテロ二量体化スイッチの第1のスイッチドメインを含み、RCARは、ヘテロ二量体化スイッチの第2のスイッチドメインを含む第2細胞内シグナル伝達メンバーを含む。こうした実施形態において、第2細胞内シグナル伝達メンバーは、細胞内シグナル伝達メンバーと同じ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一実施形態では、二量体化スイッチは、細胞内である。一実施形態では、二量体化スイッチは細胞外である。
本明細書に記載されるRCAR構成のいずれかにおいて、第1及び第2のスイッチドメインは、本明細書に記載されるようなFKBP-FRBベースのスイッチを含む。
また、本明細書に記載のRCARを含む細胞も、本明細書に提供される。RCARを発現するように設計されている任意の細胞をRCARX細胞として使用することができる。一実施形態では、RCARX細胞は、T細胞であり、RCART細胞と呼ばれる。一実施形態では、RCARX細胞は、NK細胞であり、RCARN細胞と呼ばれる。
また、RCARコード配列を含む核酸及びベクターも本明細書に提供される。RCARの様々な要素をコードする配列は、同じ核酸分子、例えば、同じプラスミド又はベクター、例えば、ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクター上に配置することができる。一実施形態では、(i)抗原結合メンバーをコードする配列及び(ii)細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列が、同じ核酸、例えばベクター上に存在することができる。対応するタンパク質の産生は、例えば、個別のプロモーターの使用又はバイシストロニック転写産物(これは、単一の翻訳産物の切断又は2つの別個のタンパク質産物の翻訳によって2つのタンパク質の産生をもたらし得る)の使用によって達成され得る。一実施形態において、切断可能なペプチドをコードする配列、例えば、P2A又はF2A配列は、(i)と(ii)の間に配置される。一実施形態では、IRES、例えば、EMCV又はEV71 IRESをコードする配列が、(i)と(ii)の間に配置される。これらの実施形態において、(i)及び(ii)は、単一のRNAとして転写される。一実施形態では、第1のプロモーターが(i)に作動可能に連結され、第2のプロモーターが(ii)に作動可能に連結され、その結果、(i)及び(ii)は、個別のmRNAとして転写される。
代わりに、RCARの様々なエレメントをコードする配列を、異なる核酸分子、例えば、異なるプラスミド又はベクター、例えば、ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクター上に配置することができる。例えば、(i)抗原結合メンバーをコードする配列は、第1の核酸、例えば、第1のベクター上に存在することができ、(ii)細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列は、第2の核酸、例えば、第2のベクター上に存在することができる。
二量体化スイッチ
二量体化スイッチは、非共有結合又は共有結合であり得る。非共有結合二量体化スイッチにおいて、二量体化分子は、スイッチドメイン間の非共有結合相互作用を促進する。共有結合二量体化スイッチにおいて、二量体化分子は、スイッチドメイン間の共有結合相互作用を促進する。
一実施形態では、RCARは、FKBP/FRAP又はFKBP/FRBベースの二量体化スイッチを含む。FKBP12(FKBP又はFK506結合タンパク質)は、天然産物免疫抑制薬であるラパマイシンの初期細胞内標的として機能する豊富な細胞質タンパク質である。ラパマイシンは、FKBP及び大型PI3KホモログFRAP(RAFT、mTOR)に結合する。FRBは、FRAPの93アミノ酸部分であり、この部分は、FKBP-ラパマイシン複合体と結合するのに十分である(Chen,J.,Zheng,X.F.,Brown,E.J.& Schreiber,S.L.(1995)Identification of an 11-kDa FKBP12-rapamycin-binding domain within the 289-kDa FKBP12-rapamycin-associated protein and characterization of a critical serine residue.Proc Natl Acad Sci U S A 92:4947-51.)
いくつかの実施形態では、FKBP/FRAP、例えば、FKBP/FRBベースのスイッチは、二量体化分子、例えば、ラパマイシン又はラパマイシン類似体を使用することができる。
FKBPの例示的なアミノ酸配列は、以下の通りである:
一実施形態では、FKBPスイッチドメインは、ラパマイシン若しくはラパログの存在下でFRBと結合する能力を有するFKBPのフラグメント又はそのフラグメント若しくは類似体を含み得る。一実施形態において、FKBPスイッチドメインは、以下のアミノ酸配列を含む:
VQVETISPGDGRTFPKRGQTCVVHYTGMLEDGKKFDSSRDRNKPFKFMLGKQEVIRGWEEGVAQMSVGQRAKLTISPDYAYGATGHPGIIPPHATLVFDVELLKLETS(配列番号276)
FRBのアミノ酸配列は、以下の通りである:
ILWHEMWHEGLEEASRLYFGERNVKGMFEVLEPLHAMMERGPQTLKETSFNQAYGRDLMEAQEWCRKYMKSGNVKDLTQAWDLYYHVFRRISK(配列番号277)
本明細書で使用される「FKBP/FRAP、例えば、FKBP/FRBベースのスイッチ」は、この用語が本明細書で使用される場合、以下を含む二量体化スイッチを指す:ラパマイシン若しくはラパログ、例えばRAD001の存在下でFRB又はそのフラグメント若しくは類似体と結合する能力を有するFKBPフラグメント若しくはその類似体を含み、配列番号275又は276のFKBP配列に対して少なくとも70、75、80、85、90、95、96、97、98若しくは99%の同一性を有するか、又はそれと30、25、20、15、10、5、4、3、2若しくは1以下のアミノ酸残基だけ異なる、第1のスイッチドメイン;並びにラパマイシン又はラパログの存在下でFRB又はそのフラグメント若しくは類似体と結合する能力を有するFRBフラグメント若しくはその類似体を含み、且つ配列番号277のFRB配列に対して少なくとも70、75、80、85、90、95、96、97、98若しくは99%の同一性を有するか、又はそれと30、25、20、15、10、5、4、3、2若しくは1以下のアミノ酸残基だけ異なる、第2のスイッチドメイン。一実施形態において、本明細書に記載のRCARは、配列番号275(又は配列番号276)に開示されるアミノ酸残基を含む1つのスイッチドメインと、配列番号277に開示されるアミノ酸残基を含む1つのスイッチドメインとを含む。
いくつかの実施形態では、FKBP/FRB二量体化スイッチは、FRBベースのスイッチドメイン、例えば修飾FRBスイッチドメイン、FKBPベースのスイッチドメインと、二量体化分子、例えばラパマイシン又はラパログ、例えばRAD001との間の改変された、例えば増強された複合体形成を示す修飾FRBスイッチドメインを含む。一実施形態では、修飾FRBスイッチドメインは、アミノ酸位置:L2031、E2032、S2035、R2036、F2039、G2040、T2098、W2101、D2102、Y2105及びF2108における変異から選択される1つ以上、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える変異を含み、野生型アミノ酸は、いずれか他の天然に存在するアミノ酸に変異される。一実施形態では、変異体FRBは、E2032における変異を含み、E2032は、フェニルアラニン(E2032F)、メチオニン(E2032M)、アルギニン(E2032R)、バリン(E2032V)、チロシン(E2032Y)、イソロイシン(E2032I)、例えば、配列番号278又はロイシン(E2032L)、例えば、配列番号279に変異される。一実施形態では、変異FRBは、T2098における変異を含み、T2098は、フェニルアラニン(T2098F)又はロイシン(T2098L)、例えば、配列番号280に変異される。一実施形態では、変異体FRBは、E2032及びT2098における変異を含み、E2032は、任意のアミノ酸に変異され、T2098は、任意のアミノ酸、例えば、配列番号281に変異される。一実施形態では、変異体FRBは、E2032I及びT2098L変異、例えば、配列番号282を含む。一実施形態では、変異体FRBは、E2032L及びT2098L変異、例えば、配列番号283を含む。
他の好適な二量体化スイッチとしては、GyrB-GyrBベースの二量体化スイッチ、ジベレリンベースの二量体化スイッチ、タグ/バインダー二量体化スイッチ及びハロ-タグ/スナップ-タグ二量体化スイッチが含まれる。本明細書に提供されるガイダンスに従って、このようなスイッチ及び関連する二量体化分子は、通常の技術者に明らかであろう。
二量体化分子
スイッチドメイン同士の会合は、二量体化分子によって促進される。二量体化分子の存在下において、スイッチドメイン同士の相互作用又は会合は、第1のスイッチドメインと会合、例えば、融合したポリペプチドと、第2のスイッチドメインと会合、例えば、融合したポリペプチドとの間のシグナル伝達を可能にする。非限定的なレベルの二量体化分子の存在下において、シグナル伝達は、例えば、本明細書に記載の系において測定される場合、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、5、10、50、100倍だけ増加される。
ラパマイシン及びラパマイシン類似体(ラパログと呼ばれることもある)、例えばRAD001は、本明細書に記載のFKBP/FRBベースの二量体化スイッチにおいて二量体化分子として使用することができる。一実施形態では、二量体化分子は、ラパマイシン(シロリムス)、RAD001(エベロリムス)、ゾタロリムス、テムシロリムス、AP-23573(リダフォロリムス)、ビオリムス及びAP21967から選択することができる。FKBP/FRBベースの二量体化スイッチでの使用に適した追加のラパマイシン類似体は、「併用療法」と題するセクション又は「低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤との組み合わせ」と題するサブセクションにさらに記載されている。
CAR発現細胞の枯渇のための誘導性カスパーゼ
一部の実施形態では、二量体化ドメインに融合したカスパーゼを用いたアポトーシスの誘導(例えば、Di et al.,N Engl.J.Med.2011 Nov.3;365(18):1673-1683を参照)は、本開示のCAR療法における安全スイッチとして使用することができる。一部の実施形態では、CAR発現細胞は、誘導性カスパーゼ-9(iCaspase-9)分子も発現することができ、これは、二量体化薬(例えば、リミデュシド(AP1903(Bellicum Pharmaceuticals)又はAP20187(Ariad)とも呼ばれる)の投与時に、カスパーゼ-9の活性化及びCAR発現細胞のアポトーシスを引き起こす。iCaspase-9分子は、CIDの存在下で二量体化を媒介する二量体化(CID)結合ドメインの化学的誘導物質を含む。これにより、CAR発現細胞の誘導性及び選択的枯渇が起こる。このように、iCaspase-9は、CAR発現細胞のあらゆる毒性を回避するための安全スイッチを提供することができる。例えば、Song et al.Cancer Gene Ther.2008;15(10):667-75;Clinical Trial Id.No.NCT02107963;Di Stasi et al.N.Engl.J.Med.2011;365:1673-83;Straathof et al.Blood.2005 Jun 1;105(11):4247-54(それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
一部の実施形態では、本明細書に提供される細胞は、CARをコードする核酸分子と、iCaspase-9分子をコードする核酸分子とを含む。一部の実施形態では、iCaspase-9分子は、(i)多量体リガンド結合領域と、(ii)カスパーゼ9分子とを含むキメラタンパク質を含む。一部の実施形態では、カスパーゼ9分子は、切断型カスパーゼ9である。一部の実施形態では、カスパーゼ9分子は、カスパーゼ動員ドメインを欠いている。一部の実施形態では、カスパーゼ9分子は、国際公開第2011146862号パンフレット、同第2014164348号パンフレット又は同第2016100236号パンフレット(それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているカスパーゼ9ポリペプチド又は修飾カスパーゼ9ポリペプチドである。
本明細書で使用される場合、用語「カスパーゼ9分子」は、天然に存在するカスパーゼ9、カスパーゼ9の切断型バージョン(例えば、カスパーゼ活性化及び動員ドメイン(CARD)ドメインが欠如した切断型カスパーゼ9)及びカスパーゼ9の変異体(例えば、多量体リガンドの非存在下でその基礎活性を低下させる1つ若しくは複数の変異を含むカスパーゼ9)を含む。
本明細書において、「多量体リガンド結合領域」という用語は、多量体リガンドに結合するリガンド結合領域を指す。用語「多量体リガンド」は、二量体リガンドを含む。二量体リガンドは、リガンド受容体ドメインに結合することができる2つの結合部位を有する。合成リガンド及び受容体の様々なペアを使用することができる。例えば、天然受容体を含む一部の実施形態では、二量体FK506は、FKBP12受容体と共に使用することができ、二量体化シクロスポリンAは、シクロフィリン受容体と共に使用することができ、二量体化エストロゲンは、エストロゲン受容体と共に、二量体化グルココルチコイドは、グルココルチコイド受容体と共に、二量体化テトラサイクリンは、テトラサイクリン受容体と共に、二量体化ビタミンDは、ビタミンD受容体と共に使用することができる等、である。非天然の受容体、例えば抗体サブユニット、修飾抗体サブユニット、フレキシブルリンカードメインによって隔てられたタンデムの重鎖及び軽鎖可変領域からなる一本鎖抗体又は修飾受容体及びそれらの変異配列などを伴う実施形態の場合、多様な化合物のいずれも使用し得る。これらのリガンド単位の顕著な特徴は、各結合部位が高い親和性で受容体と結合することができ、また、それらが化学的に二量体化され得ることである。
一部の実施形態では、多量体リガンド結合領域に多量体リガンドが結合すると、キメラタンパク質のオリゴマー化(例えば、二量体化)が起こり、これは、カスパーゼ9分子の活性化及び細胞のアポトーシスを誘導する。一部の実施形態では、多量体リガンド結合領域は、FKBP、シクロフィリン受容体、ステロイド受容体、テトラサイクリン受容体、重鎖抗体サブユニット、軽鎖抗体サブユニット、フレキシブルリンカードメイン及びそれらの変異配列によって隔てられたタンデムの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域で構成される一本鎖抗体からなる群から選択される。一部の実施形態では、多量体リガンド結合領域は、FKBP12領域である。一部の実施形態では、多量体リガンドは、FK506二量体又は二量体FK506類似体リガンドである。一部の実施形態では、多量体リガンドは、AP1903である。一部の実施形態では、多量体リガンド結合領域は、国際公開第2011146862号パンフレット、同第2014164348号パンフレット又は同第2016100236号パンフレットに開示される多量体リガンド結合領域である。一部の実施形態では、多量体リガンドは、国際公開第2011146862号パンフレット、同第2014164348号パンフレット又は同第2016100236号パンフレットに開示される多量体リガンドである。
一部の実施形態では、iCaspase-9分子は、CARコードベクターとは別の核酸分子によってコードされる。一部の実施形態では、iCaspase-9分子は、CARコードベクターと同じ核酸分子によってコードされる。
CAR発現細胞の枯渇のための切断型EGFR
一部の実施形態では、本明細書に提供される細胞は、CARをコードする核酸分子と、切断型上皮成長因子受容体(EGFRt)をコードする核酸分子とを含む。一部の実施形態では、EGFRtは、膜遠位EGF結合ドメイン及び細胞質シグナル伝達テールを欠いているが、細胞外エピトープを保持している。一部の実施形態では、EGFRtは、EGFRドメインIII及びEGFRドメインIVの一方又は両方を含む。一部の実施形態では、EGFRtは、EGFRドメインI、EGFRドメインII、EGFR膜近傍ドメイン及びEGFRチロシンキナーゼドメインのうちの1つ、2つ、3つ又は全部を含まない。一部の実施形態では、EGFRtは、免疫原性ではない。一部の実施形態では、EGFRtは、シグナル伝達又はトラフィッキング機能を媒介しない。一部の実施形態では、EGFRtは、内因性EGFRリガンド、例えば上皮成長因子(EGF)と結合しない。一部の実施形態では、EGFRtは、国際公開第2011056894号パンフレット又は同第2013123061号パンフレット(それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるEGFRt配列を含む。
一部の実施形態では、EGFRtを細胞(例えば、CAR発現細胞)に発現させれば、これを用いて、細胞の枯渇、追跡及び/又は精製を媒介することができる。一部の実施形態では、EGFRtは、抗EGFR抗体分子、EGFR特異的siRNA又はEGFRを標的とする小分子に結合する。一部の実施形態では、EGFRtは、セツキシマブ、マツズマブ、ネシツムマブ及びパニツムマブからなる群から選択される抗EGFR抗体に結合する。
一部の実施形態では、EGFRtは、CARコードベクターとは別の核酸分子によってコードされる。一部の実施形態では、EGFRtは、CARコードベクターと同じ核酸分子によってコードされる。
キメラ抗原受容体(CAR)
本開示は、免疫エフェクター細胞を癌に向かわせる1つ以上のCAR、例えばCCARを含むように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞又はNK細胞)を提供する。一部の実施形態では、免疫エフェクター細胞は、本明細書に開示されるCCARを発現するように操作される。一部の実施形態では、免疫エフェクター細胞は、本明細書に開示されるCAR及び本明細書に開示される調節分子を発現するように操作される。
これは、癌関連抗原に対して特異的であるCAR上の抗原結合ドメインを通して達成される。本明細書に記載のCARにより標的化され得る2つのクラスの癌関連抗原(腫瘍抗原)が存在する:(1)癌細胞の表面に発現される癌関連抗原;及び(2)それ自体は細胞内であるが、そのような抗原のフラグメント(ペプチド)がMHC(主要組織適合複合体)により癌細胞の表面に提示される、癌関連抗原。
従って、免疫エフェクター細胞(例えば、本明細書に記載の方法によって得られるもの)は、以下の癌関連抗原(腫瘍抗原)の1つを標的とするCARを含有するように操作することができる:CD19、CD123、CD22、CD30、CD171、CS-1、CLL-1、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、BCMA、Tn Ag、PSMA、ROR1、FLT3、FAP、TAG72、CD38、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、メソテリン、IL-11Ra、PSCA、VEGFR2、ルイスY、CD24、PDGFR-β、PRSS21、SSEA-4、CD20、葉酸受容体α、ERBB2(Her2/neu)、MUC1、EGFR、NCAM、Prostase、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体β、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、TSHR、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、レグマイン、HPV E6、E7、MAGE-A1、MAGE A1、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サバイビン及びテロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、MelanA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸カルボキシルエステラーゼ及びmut hsp70-2。
本明細書に記載されるCAR分子の一部となり得る様々な成分の非限定的な例の配列を表1に列挙し、ここで、「aa」は、アミノ酸を表し、「na」は、対応するペプチドをコードする核酸を表す。
一部の実施形態において、抗原結合ドメインは、標的細胞の表面上の対リガンドに結合する分子の細胞外ドメイン又はその対リガンド結合フラグメントを含む。
免疫エフェクター細胞は、CAR、例えばCCARをコードする配列を含む組換えDNA構築物を含むことができ、CARは、腫瘍抗原、例えば本明細書に記載の腫瘍抗原及び細胞内シグナル伝達ドメインに特異的に結合する抗原結合ドメイン(例えば、抗体又は抗体フラグメント、TCR又はTCRフラグメント)を含む。細胞内シグナル伝達ドメインは共刺激シグナル伝達ドメイン及び/又は一次シグナル伝達ドメイン、例えばζ鎖を含み得る。他の箇所に記載されるように、本明細書に記載される方法は、細胞(例えば、T制御性枯渇細胞の集団からのもの)を、CAR、例えば本明細書に記載されるCCARをコードする核酸で形質導入することを含み得る。
一部の実施形態において、CARはscFvドメインを含み、scFvの前には、配列番号1に提供されるような任意選択のリーダー配列があり得、後ろには、配列番号2又は配列番号36又は配列番号38に提供されるような任意選択のヒンジ配列、配列番号6に提供されるような膜貫通領域、配列番号7又は配列番号16を含む細胞内シグナル伝達ドメイン及び配列番号9又は配列番号10を含むCD3ζ配列があり得、例えば、これらのドメインは、連続しており、同じリーディングフレーム内にあり、単一の融合タンパク質を形成する。
一部の実施形態において、例示的CAR構築物は、任意選択のリーダー配列(例えば、本明細書に記載されるリーダー配列)、細胞外抗原結合ドメイン(例えば、本明細書に記載される抗原結合ドメイン)、ヒンジ(例えば、本明細書に記載されるヒンジ領域)、膜貫通ドメイン(例えば、本明細書に記載される膜貫通ドメイン)及び細胞内刺激ドメイン(例えば、本明細書に記載される細胞内刺激ドメイン)を含む。一部の実施形態において、例示的CAR構築物は、任意選択のリーダー配列(例えば、本明細書に記載されるリーダー配列)、細胞外抗原結合ドメイン(例えば、本明細書に記載される抗原結合ドメイン)、ヒンジ(例えば、本明細書に記載されるヒンジ領域)、膜貫通ドメイン(例えば、本明細書に記載される膜貫通ドメイン)、細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載される共刺激シグナル伝達ドメイン)及び/又は細胞内一次シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載される一次シグナル伝達ドメイン)を含む。
例示的なリーダー配列は、配列番号1として提供される。ヒンジ/スペーサー配列の例は、配列番号2又は配列番号36又は配列番号38として提供される。例示的な膜貫通ドメイン配列は、配列番号6として提供される。例示的な4-1BBタンパク質の細胞内シグナル伝達ドメインの配列は、配列番号7として提供される。例示的なCD27の細胞内シグナル伝達ドメインの配列の例は、配列番号16として提供される。例示的なCD3ζドメイン配列は、配列番号9又は配列番号10として提供される。
一部の実施形態において、免疫エフェクター細胞は、CARをコードする核酸分子を含む組換え核酸構築物を含み、核酸分子は、抗原結合ドメインをコードする核酸配列を含み、この配列は、細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸配列に連続しており、それと同じリーディングフレーム内にある。CARに使用し得る例示的細胞内シグナル伝達ドメインには、限定されないが、例えばCD3-ζ、CD28、4-1BBなどの1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインが含まれる。一部の例では、CARは、CD3-ζ、CD28、CD27、4-1BBなどの任意の組み合わせを含み得る。
所望の分子をコードする核酸配列は、標準的な技法を用いて、例えば核酸分子を発現する細胞からのライブラリーをスクリーニングすることによるか、それを含むことが知られるベクターから核酸分子を誘導することによるか、又はそれを含む細胞及び組織から直接単離することによるなど、当技術分野において公知の組換え方法を用いて得ることができる。代わりに、目的の核酸はクローニングでなく、むしろ合成的に作製することができる。
CARをコードする核酸は、例えばレトロウイルス又はレンチウイルスベクター構築物を使用して、免疫エフェクター細胞に導入することができる。
CARをコードする核酸は、例えば、細胞に直接トランスフェクトされ得るRNA構築物を使用しても免疫エフェクター細胞に導入され得る。トランスフェクションに使用するためのmRNAの作成方法には、特別に設計したプライマーによるテンプレートのインビトロ転写(IVT)と、続くポリ(A)付加が含まれ、それにより、3’及び5’非翻訳配列(「UTR」)(例えば、本明細書に記載の3’及び/又は5’UTR)、5’キャップ(例えば、本明細書に記載の5’キャップ)及び/又は配列内リボソーム進入部位(IRES)(例えば、本明細書に記載のIRES)、発現させようとする核酸及びポリ(A)テールを含む構築物、典型的には50~2000塩基長(例えば、実施例に記載されるもの、例えば、配列番号35)が産生される。このように産生されたRNAは、異なる種の細胞において効率的にトランスフェクトされ得る。一部の実施形態において、テンプレートは、CARの配列を含む。一部の実施形態において、RNA CARベクターは、電気穿孔によって細胞、例えばT細胞に、形質導入される。
抗原結合ドメイン
一部の実施形態において、複数の免疫エフェクター細胞、例えばT制御性枯渇細胞の集団は、抗原結合ドメインとも称される標的特異的結合要素を含むCAR(例えば、CCAR)をコードする核酸を含む。結合要素の選択は、標的細胞の表面を定義するリガンドのタイプ及び数に依存する。例えば、抗原結合ドメインは、特定の病状に関連する標的細胞上の細胞表面マーカーとして作用するリガンドを認識するように選択され得る。従って、本明細書に記載のCARにおいて抗原結合ドメインのリガンドとして作用し得る細胞表面マーカーの例には、ウイルス、細菌及び寄生虫感染、自己免疫疾患並びに癌細胞に関連するものが含まれる。
一部の実施形態において、抗原結合ドメインを含むCAR(例えば、CCAR)の一部分は、腫瘍抗原、例えば本明細書に記載される腫瘍抗原を標的とする抗原結合ドメインを含む。
抗原結合ドメインは、限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体及びその機能性フラグメント、例えば、限定されないが、重鎖可変ドメイン(VH)、軽鎖可変ドメイン(VL)及びラクダ科動物由来ナノボディの可変ドメイン(VHH)などのシングルドメイン抗体及び組換えフィブロネクチンドメイン、T細胞受容体(TCR)又はそのフラグメント、例えば、単鎖TCRなど、抗原結合ドメインとして機能することが当技術分野において公知の代替的足場を含め、抗原に結合する任意のドメインであり得る。一部の例において、抗原結合ドメインは、CARが最終的に使用されることになる同じ種に由来することが有益である。例えば、ヒトでの使用には、CARの抗原結合ドメインが抗体又は抗体フラグメントの抗原結合ドメインにヒト又はヒト化残基を含むことが有益であり得る。
CD19CAR
一部の実施形態において、本明細書に記載されるCAR発現細胞は、CD19CAR発現細胞(例えば、ヒトCD19に結合するCARを発現する細胞)である。
一部の実施形態において、CD19CARの抗原結合ドメインは、Nicholson et al.Mol.Immun.34(16-17):1157-1165(1997)に記載されるFMC63scFvフラグメントと同じであるか又は類似の結合特異性を有する。一部の実施形態において、CD19CARの抗原結合ドメインは、Nicholson et al.Mol.Immun.34(16-17):1157-1165(1997)に記載されるscFvフラグメントを含む。
一部の実施形態において、CD19CARは、国際公開第2014/153270号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)の表3に従う抗原結合ドメイン(例えば、ヒト化抗原結合ドメイン)を含む。国際公開第2014/153270号パンフレットは、様々なCAR構築物の結合及び有効性をアッセイする方法も記載する。
一部の実施形態において、親マウスscFv配列は、国際公開第2012/079000号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるCAR19構築物である。一部の実施形態において、抗CD19結合ドメインは、国際公開第2012/079000号パンフレットに記載されるscFvである。
一部の実施形態において、CAR分子は、国際公開第2012/079000号パンフレットの配列番号12に記載される融合ポリペプチド配列を含み、これは、ヒトCD19に特異的に結合するマウス由来のscFvフラグメントを提供する。
一部の実施形態において、CD19CARは、国際公開第2012/079000号パンフレットの配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、アミノ酸配列は、
又はそれに対して実質的に相動性の配列である。
一部の実施形態において、CD19CARは、USAN名TISAGENLECLEUCEL-Tを有する。実施形態において、CTL019は、T細胞の遺伝子改変によって作製され、この改変は、EF-1αプロモーターの制御下のCTL019導入遺伝子を含有する自己不活性化、複製欠損レンチウイルス(LV)ベクターでの形質導入による安定的挿入によって媒介される。CTL019は、パーセント導入遺伝子陽性T細胞に基づいて対象に送達される導入遺伝子陽性T細胞と導入遺伝子陰性T細胞の混合物であり得る。
一実施形態において、CD19に特異的に結合するCAR T細胞は、INN名:アキシカブタゲン・シロロイセル(Axicabtagene ciloleucel)を有する。一実施形態において、CD19に特異的に結合するCAR T細胞は、USAN名:ブレクスカブタゲン・オートロイセル(brexucabtagene autoleucel)を有する。一部の実施形態では、アキシカブタゲン・シロロイセルは、YESCARTA(登録商標)、Axi-cel又はKTE-C19としても知られている。一部の実施形態では、ブレクスカブタゲン・オートロイセルは、KTE-X19又はTECARTUS(登録商標)としても知られている。
一実施形態において、CD19に特異的に結合するCAR T細胞は、INN名:リソカブタゲン・マラロイセル(Lisocabtagene maraleucel)を有する。一部の実施形態では、リソカブタゲン・マラロイセルは、JCAR017としても知られている。
他の実施形態において、CD19CARは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2014/153270号パンフレットの表3に記載の抗原結合ドメイン(例えば、ヒト化抗原結合ドメイン)を含む。
マウスCD19抗体のヒト化は、マウス特異的残基が、CART19処置、すなわちCAR19構築物で形質導入されたT細胞による処置を受ける患者にヒト-抗-マウス抗原(HAMA)応答を誘導し得る臨床現場において望ましい。ヒト化CD19CAR配列の生成、特性決定及び有効性について、国際公開第2014/153270号パンフレット(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)に、実施例1~5(p.115~159)を含め、記載されている。
一部の実施形態において、CAR分子は、
のアミノ酸配列を含むヒト化CD19CARである。
一部の実施形態において、CAR分子は、
のアミノ酸配列を含むヒト化CD19CARである。
一部の実施形態では、CAR分子は、
のアミノ酸配列を含むヒト化CD19 CARである。
一部の実施形態では、CAR分子は、
のアミノ酸配列を含むヒト化CD19 CARである。
いずれか既知のCD19CAR、例えばいずれか既知のCD19CARのCD19抗原結合ドメインを当技術分野において本開示に従って使用することができる。例えば、LG-740;米国特許第8,399,645号明細書;米国特許第7,446,190号明細書;Xu et al.,Leuk Lymphoma.2013 54(2):255-260(2012);Cruz et al.,Blood 122(17):2965-2973(2013);Brentjens et al.,Blood,118(18):4817-4828(2011);Kochenderfer et al.,Blood 116(20):4099-102(2010);Kochenderfer et al.,Blood 122(25):4129-39(2013);及び16th Annu Meet Am Soc Gen Cell Ther(ASGCT)(May 15-18,Salt Lake City)2013,Abst 10に記載のCD19CARである。
例示的なCD19CARは、本明細書に記載されるCD19CAR又はXu et al.Blood 123.24(2014):3750-9;Kochenderfer et al.Blood 122.25(2013):4129-39,Cruz et al.Blood 122.17(2013):2965-73、NCT00586391、NCT01087294、NCT02456350、NCT00840853、NCT02659943、NCT02650999、NCT02640209、NCT01747486、NCT02546739、NCT02656147、NCT02772198、NCT00709033、NCT02081937、NCT00924326、NCT02735083、NCT02794246、NCT02746952、NCT01593696、NCT02134262、NCT01853631、NCT02443831、NCT02277522、NCT02348216、NCT02614066、NCT02030834、NCT02624258、NCT02625480、NCT02030847、NCT02644655、NCT02349698、NCT02813837、NCT02050347、NCT01683279、NCT02529813、NCT02537977、NCT02799550、NCT02672501、NCT02819583、NCT02028455、NCT01840566、NCT01318317、NCT01864889、NCT02706405、NCT01475058、NCT01430390、NCT02146924、NCT02051257、NCT02431988、NCT01815749、NCT02153580、NCT01865617、NCT02208362、NCT02685670、NCT02535364、NCT02631044、NCT02728882、NCT02735291、NCT01860937、NCT02822326、NCT02737085、NCT02465983、NCT02132624、NCT02782351、NCT01493453、NCT02652910、NCT02247609、NCT01029366、NCT01626495、NCT02721407、NCT01044069、NCT00422383、NCT01680991、NCT02794961又はNCT02456207に記載される抗CD19CARを含み、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態において、CD19CARは、例えば、表2に開示されるCDR、VH、VL、scFv若しくは完全CAR配列又はそれと少なくとも80%、85%、90%、95%若しくは99%の同一性を有する配列を含む。
BCMA CAR
一部の実施形態において、本明細書に記載されるCAR発現細胞は、BCMA CAR発現細胞(例えば、ヒトBCMAに結合するCARを発現する細胞)である。例示的なBCMA CARは、国際公開第2016/014565号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)の表1又は16に開示される配列を含み得る。BCMA CAR構築物は、任意選択のリーダー配列;任意選択ヒンジドメイン、例えばCD8ヒンジドメイン;膜貫通ドメイン、例えばCD8膜貫通ドメイン;細胞内ドメイン、例えば4-1BB細胞内ドメイン;並びに機能的シグナル伝達ドメイン、例えばCD3ζドメインを含み得る。特定の実施形態において、ドメインは、隣接しており、同じリーディングフレーム内で単一の融合タンパク質を形成する。他の実施形態において、ドメインは、例えば、本明細書に記載されるRCAR分子と同様に、個別のポリペプチド内に存在する。
一部の実施形態において、BCMA CAR分子は、1つ以上のCDR、VH、VL、scFv又は国際公開第2016/014565号パンフレットに開示されるBCMA-1、BCMA-2、BCMA-3、BCMA-4、BCMA-5、BCMA-6、BCMA-7、BCMA-8、BCMA-9、BCMA-10、BCMA-11、BCMA-12、BCMA-13、BCMA-14、BCMA-15、149362、149363、149364、149365、149366、149367、149368、149369、BCMA_EBB-C1978-A4、BCMA_EBB-C1978-G1、BCMA_EBB-C1979-C1、BCMA_EBB-C1978-C7、BCMA_EBB-C1978-D10、BCMA_EBB-C1979-C12、BCMA_EBB-C1980-G4、BCMA_EBB-C1980-D2、BCMA_EBB-C1978-A10、BCMA_EBB-C1978-D4、BCMA_EBB-C1980-A2、BCMA_EBB-C1981-C3、BCMA_EBB-C1978-G4、A7D12.2、C11D5.3、C12A3.2若しくはC13F12.1の完全長配列又はそれと実質的に(例えば、95~99%)同一の配列を含む。
抗BCMA CAR構築物に使用することができる別の例示的なBCMA標的化配列は、国際公開第2017/021450号、同第2017/011804号、同第2017/025038号、同第2016/090327号、同第2016/130598号、同第2016/210293号、同第2016/090320号、同第2016/014789号、同第2016/094304号、同第2016/154055号、同第2015/166073号、同第2015/188119号、同第2015/158671号パンフレット、米国特許第9,243,058号、同第8,920,776号、同第9,273,141号、同第7,083,785号、同第9,034,324号明細書、米国特許出願第2007/0049735号、同第2015/0284467号、同第2015/0051266号、同第2015/0344844号、同第2016/0131655号、同第2016/0297884号、同第2016/0297885号、同第2017/0051308号、同第2017/0051252号、同第2017/0051252号、同第2016/020332号、同第2016/087531号明細書、国際公開第2016/079177号、同第2015/172800号、同第2017/008169号パンフレット、米国特許第9,340,621号、米国特許出願第2013/0273055号、同第2016/0176973号、同第2015/0368351号、同第2017/0051068号、同第2016/0368988号及び同第2015/0232557号明細書に開示されており、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態において、別の例示的なBCMA CAR構築物は、国際公開第2012/0163805号パンフレット(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)からのVH及びVL配列を用いて作製される。
一部の実施形態において、BCMA CARは、配列、例えば表3~15に開示されるCDR、VH、VL、scFv若しくは完全CAR配列又はそれに対して少なくとも80%、85%、90%、95%若しくは99%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態において、抗原結合ドメインは、ヒト抗体又はヒト抗体フラグメントを含む。一部の実施形態において、ヒト抗BCMA結合ドメインは、本明細書に(例えば、表3~10及び12~15に)記載されるヒト抗BCMA結合ドメインの1つ以上(例えば、全3つ)のLC CDR1、LC、CDR2及びLC CDR3並びに/又は本明細書に(例えば、表3~10及び12~15に)記載されるヒト抗BCMA結合ドメインの1つ以上(例えば、全3つ)のHC CDR1、HC、CDR2及びHC CDR3を含む。一部の実施形態において、ヒト抗BCMA結合ドメインは、本明細書に(例えば、表3、7及び12)に記載のヒトVL並びに/又は本明細書に(例えば、表3、7及び12)に記載のヒトVHを含む。一部の実施形態において、抗BCMA結合ドメインは、表3、7及び12のアミノ酸配列のVL及びVHを含むscFvである。一部の実施形態において、抗BCMA結合ドメイン(例えば、scFv)は、以下を含む:表3、7及び12に記載のアミノ酸配列の少なくとも1つ、2つ若しくは3つの修飾(例えば、置換、例えば保存的置換)、しかし30、20若しくは10以下の修飾(例えば、置換、例えば保存的置換)を有するアミノ酸配列又は表3、7及び12のアミノ酸配列と95~99%の同一性を有する配列を含むVL並びに/或いは表3、7及び12に記載のアミノ酸配列の少なくとも1つ、2つ若しくは3つの修飾(例えば、置換、例えば保存的置換)、しかし30、20若しくは10以下の修飾(例えば、置換、例えば保存的置換)を有するアミノ酸配列又は表3、7及び12のアミノ酸配列と95~99%の同一性を有する配列を含むVH。
一部の実施形態において、ヒト抗BCMA結合ドメインは、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3を含む。
特定の実施形態において、本明細書に記載のCAR分子又は本明細書に記載の抗BCMA結合ドメインは、以下を含む:
(1)以下から選択される1つ、2つ若しくは3つの軽鎖(LC)CDR:
(i)配列番号54のLC CDR1、配列番号55のLC CDR2及び配列番号56のLC CDR3;及び/又は
(2)以下の1つからの1つ、2つ若しくは3つの重鎖(HC)CDR:
(i)配列番号44のHC CDR1、配列番号45のHC CDR2及び配列番号84のHC CDR3;(ii)配列番号44のHC CDR1、配列番号45のHC CDR2及び配列番号46のHC CDR3;(iii)配列番号44のHC CDR1、配列番号45のHC CDR2及び配列番号68のHC CDR3;又は(iv)配列番号44のHC CDR1、配列番号45のHC CDR2及び配列番号76のHC CDR3。
特定の実施形態において、本明細書に記載のCAR分子又は本明細書に記載の抗BCMA結合ドメインは、以下を含む:
(1)以下の1つからの1つ、2つ若しくは3つの軽鎖(LC)CDR:
(i)配列番号95のLC CDR1、配列番号131のLC CDR2及び配列番号132のLC CDR3;(ii)配列番号95のLC CDR1、配列番号96のLC CDR2及び配列番号97のLC CDR3;(iii)配列番号95のLC CDR1、配列番号114のLC CDR2及び配列番号115のLC CDR3;又は(iv)配列番号95のLC CDR1、配列番号114のLC CDR2及び配列番号97のLC CDR3;並びに/又は
(2)以下の1つからの1つ、2つ若しくは3つの重鎖(HC)CDR:
(i)配列番号86のHC CDR1、配列番号130のHC CDR2及び配列番号88のHC CDR3;(ii)配列番号86のHC CDR1、配列番号87のHC CDR2及び配列番号88のHC CDR3;又は(iii)配列番号86のHC CDR1、配列番号109のHC CDR2及び配列番号88のHC CDR3。
特定の実施形態において、本明細書に記載のCAR分子又は本明細書に記載の抗BCMA結合ドメインは、以下を含む:
(1)以下の1つからの1つ、2つ若しくは3つの軽鎖(LC)CDR:
(i)配列番号147のLC CDR1、配列番号182のLC CDR2及び配列番号183のLC CDR3;(ii)配列番号147のLC CDR1、配列番号148のLC CDR2及び配列番号149のLC CDR3;又は(iii)配列番号147のLC CDR1、配列番号170のLC CDR2及び配列番号171のLC CDR3;並びに/又は
(2)以下の1つからの1つ、2つ若しくは3つの重鎖(HC)CDR:
(i)配列番号179のHC CDR1、配列番号180のHC CDR2及び配列番号181のHC CDR3;(ii)配列番号137のHC CDR1、配列番号138のHC CDR2及び配列番号139のHC CDR3;又は(iii)配列番号160のHC CDR1、配列番号161のHC CDR2及び配列番号162のHC CDR3。
一部の実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号44、45、84、54、55及び56のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号44、45、46、54、55及び56のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号44、45、68、54、55及び56のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号44、45、76、54、55及び56のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号47、48、84、57、58及び59のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号47、48、46、57、58及び59のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号47、48、68、57、58及び59のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号47、48、76、57、58及び59のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号49、50、85、60、58及び56のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号49、50、51、60、58及び56のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号49、50、69、60、58及び56のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3は、それぞれ、配列番号49、50、77、60、58及び56のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、ヒト抗BCMA結合ドメインは、VH(例えば、本明細書に記載のVH)及びVL(例えば、本明細書に記載のVL)を含むscFvを含む。一部の実施形態では、VHは、リンカー、例えば本明細書に記載されるリンカー、例えば表1に記載のリンカーを介してVLに結合される。一部の実施形態において、ヒト抗BCMA結合ドメインは、(Gly4-Ser)nリンカーを含み、ここで、nは、1、2、3、4、5若しくは6、好ましくは3又は4である(配列番号26)。scFvの軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、例えば、以下の配向:軽鎖可変領域-リンカー-重鎖可変領域又は重鎖可変領域-リンカー-軽鎖可変領域のいずれでもあり得る。
一部の実施形態では、抗BCMA結合ドメインは、フラグメント、例えば単鎖可変フラグメント(scFv)である。一部の実施形態では、抗BCMA結合ドメインは、Fv、Fab、(Fab’)2又は二機能性(例えば、二重特異性)ハイブリッドである(例えば、Lanzavecchia et al.,Eur.J.Immunol.17,105(1987))。一部の実施形態では、本開示の抗体及びそのフラグメントは、野生型又は増大した親和性でBCMAタンパク質と結合する。
一部の実施形態では、scFvは、当技術分野で公知の方法に従って調製することができる(例えば、Bird et al.,(1988)Science 242:423-426及びHuston et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883を参照)。scFv分子は、柔軟なポリペプチドリンカーを用いてVH及びVL領域を互いに連結することによって生成することができる。scFv分子は、最適化された長さ及び/又はアミノ酸組成物を備えるリンカー(例えば、Ser-Glyリンカー)を含む。リンカー長さは、どのようにscFv分子の可変領域がフォールドし、相互作用するかに大きく影響し得る。実際、短いポリペプチドリンカー(例えば、5~10アミノ酸)を使用すると、鎖内フォールディングが妨げられる。また、鎖間フォールディングも、2つの可変領域を一緒にして、機能性エピトープ結合部位を形成するために必要である。例えば、リンカー配向及びサイズについて、例えばHollinger et al.1993 Proc Natl Acad.Sci.U.S.A.90:6444-6448、米国特許出願第2005/0100543号、同第2005/0175606号、同第2007/0014794号明細書並びに国際公開第2006/020258号パンフレット及び同第2007/024715号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
scFvは、そのVL及びVH領域間に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50若しくはそれを超えるアミノ酸残基のリンカーを含み得る。リンカー配列は、いずれの天然に存在するアミノ酸を含み得る。一部の実施形態では、リンカー配列は、アミノ酸グリシン及びセリンを含む。一部の実施形態では、リンカー配列は、一連のグリシン及びセリン反復、例えば(Gly4Ser)n(ここで、nは、1以上の正の整数である)(配列番号25)を含む。一部の実施形態では、リンカーは、(Gly4Ser)4(配列番号27)又は(Gly4Ser)3(配列番号28)であり得る。リンカー長さの変化は、活性を保持又は増大して、活性試験で優れた有効性をもたらし得る。
CD20 CAR
一部の実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、CD20 CAR発現細胞(例えば、ヒトCD20に結合するCARを発現する細胞)である。一部の実施形態では、CD20 CAR発現細胞は、本明細書に参照により組み込まれる国際公開第2016164731号パンフレット及び同第2018067992号パンフレットに従う抗原結合ドメインを含む。例示的なCD20結合配列又はCD20 CAR配列は、例えば、国際公開第2018067992号パンフレットの表1~5に開示されている。一部の実施形態では、CD20 CARは、国際公開第2018067992号パンフレット又は同第2016164731号パンフレットに開示されるCDR、可変領域、scFv又は完全長配列を含む。
CD22 CAR
一部の実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、CD22 CAR発現細胞(例えば、ヒトCD20に結合するCARを発現する細胞)である。一部の実施形態では、CD22 CAR発現細胞は、本明細書に参照により組み込まれる国際公開第2016164731号パンフレット及び同第2018067992号パンフレットに従う抗原結合ドメインを含む。例示的なCD22結合配列又はCD22 CAR配列は、例えば、国際公開第2016164731号パンフレットの表6A、6B、7A、7B、7C、8A、8B、9A、9B、10A及び10B並びに国際公開第2018067992号パンフレットの表6~10に開示されている。一部の実施形態では、国際公開第2018067992号パンフレット又は同第2016164731号パンフレットに開示されるCD22 CARは、CDR、可変領域、scFv又は完全長配列を含む。
一部の実施形態において、CAR分子は、CD22に結合する抗原を含む(CD22 CAR)。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、ヒトCD22を標的にする。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、本明細書に記載の単鎖Fv配列を含む。
ヒトCD CARの配列を以下に記載する。一部の実施形態では、ヒトCD22 CARは、CAR22-65である。
ヒトCD22 CARscFv配列
ヒトCD22 CAR重鎖可変領域
ヒトCD22 CAR軽鎖可変領域
QSALTQPASASGSPGQSVTISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSNRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYTSSSTLYVFGTGTQLTVL(配列番号287)
一部の実施形態において、抗原結合ドメインは、表16に挙げる任意の重鎖結合ドメインアミノ酸配列のHC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3を含む。複数の実施形態では、抗原結合ドメインは、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3をさらに含む。一部の実施形態において、抗原結合ドメインは、表17に挙げるLC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3アミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、抗原結合ドメインは、表17に挙げる任意の重鎖結合ドメインアミノ酸配列のLC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3の1つ、2つ若しくは全部と、表16に挙げる任意の重鎖結合ドメインアミノ酸配列のHC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3の1つ、2つ若しくは全部を含む。
一部の実施形態において、CDRは、Kabatナンバーリングスキーム、Chothiaナンバーリングスキーム又はそれらの組み合わせに従って定義される。
VL及びVHドメインがscFv内に出現する順序は変動する可能性があり(すなわちVL-VH若しくはVH-VL配向)、また各サブユニットが配列GGGGS(配列番号25)(例えば、(G4S)3(配列番号28)又は(G4S)4(配列番号27)を含む「G4S」サブユニット(配列番号25)の1つ、2つ、3つ若しくは4つのコピーのいずれかは、可変ドメインを連結して、完全なscFvドメインを形成することができる。代わりに、CAR構築物は、例えば、配列GSTSGSGKPGSGEGSTKG(配列番号43)を含むリンカーを含み得る。代わりに、CAR構築物は、例えば、配列LAEAAAK(配列番号308)を含むリンカーを含み得る。一部の実施形態では、CAR構築物は、VL及びVHドメイン間にリンカーを含まない。
これらのクローン、全てCD3ζ鎖由来の共刺激ドメインのシグナルドメインにQ/K残基変化を含んだ。
EGFR CAR
一部の実施形態では、本明細書に記載されるCAR発現細胞は、EGFR CAR発現細胞(例えば、ヒトEGFRに結合するCARを発現する細胞)である。一部の実施形態では、本明細書に記載のCAR発現細胞は、EGFRvIII CAR発現細胞(例えば、ヒトEGFRvIIIに結合するCARを発現する細胞)である。例示的なEGFRvIII CARは、本明細書に参照により組み込まれる国際公開第2014/130657号パンフレット、例えば国際公開第2014/130657号パンフレットの表2に開示される配列を含む。
例示的なEGFRvIII結合配列又はEGFR CAR配列は、国際公開第2014/130657号パンフレットに開示されるEGFR CARのCDR、可変領域、scFv又は完全長CAR配列を含み得る。
メソテリンCAR
一部の実施形態では、本明細書に記載されるCAR発現細胞は、メソテリンCAR発現細胞(例えば、ヒトメソテリンに結合するCARを発現する細胞)である。例示的なメソテリンCARは、本明細書に参照により組み込まれる国際公開第2015090230号パンフレット及び同第2017112741号パンフレット、例えば国際公開第2017112741号パンフレットの表2、3、4及び5に開示される配列を含み得る。
他の例示的なCAR
他の実施形態では、CAR発現細胞は、CD123に特異的に結合することができ、例えば本明細書に参照により組み込まれる国際公開第2014/130635号パンフレットの表1~2のCAR分子(例えば、CAR1~CAR8)又は抗原結合ドメインを含み得る。CD123 CAR分子及び抗原結合ドメイン(例えば、Kabat若しくはChothiaに従う1つ、2つ、3つのVH CDR;及び1つ、2つ、3つのVL CDR)をコードするアミノ酸及びヌクレオチド配列は、国際公開第2014/130635号パンフレットに明示されている。他の実施形態では、CAR発現細胞は、CD123に特異的に結合することができ、例えば本明細書に参照により組み込まれる国際公開第2016/028896号パンフレットの表2、6及び9に従うCAR分子(例えば、CAR123-1~CAR123-4及びhzCAR123-1~hzCAR123-32のいずれか)又は抗原結合ドメインを含み得る。CD123 CAR分子及び抗原結合ドメイン(例えば、Kabat若しくはChothiaに従う1つ、2つ、3つのVH CDR;及び1つ、2つ、3つのVL CDR)をコードするアミノ酸及びヌクレオチド配列は、国際公開第2016/028896号パンフレットに明示されている。
一部の実施形態において、CAR分子は、本明細書に記載のCLL1 CAR、例えば本明細書に参照により組み込まれる米国特許出願第2016/0051651A1号明細書に記載されるCLL1 CARを含む。複数の実施形態では、CLL1 CARは、アミノ酸を含むか、又は本明細書に参照により組み込まれる米国特許出願第2016/0051651A1号明細書に表示されるヌクレオチド配列を有する。他の実施形態では、CAR発現細胞は、CLL-1に特異的に結合し、例えば本明細書に参照により組み込まれる国際公開第2016/014535号パンフレットの表2に従うCAR分子又は抗原結合ドメインを含み得る。CLL-1 CAR分子及び抗原結合ドメイン(例えば、Kabat若しくはChothiaに従う1つ、2つ、3つのVH CDR;及び1つ、2つ、3つのVL CDR)をコードするアミノ酸及びヌクレオチド配列は、国際公開第2016/014535号パンフレットに明示されている。
一部の実施形態において、CAR分子は、本明細書に記載のCD33 CAR、例えば本明細書に参照により組み込まれる米国特許出願第2016/0096892A1号明細書に記載されるCD33 CARを含む。複数の実施形態では、CD33 CARは、アミノ酸を含むか、又は本明細書に参照により組み込まれる米国特許出願第2016/0096892A1号明細書に表示されるヌクレオチド配列を有する。他の実施形態では、CAR発現細胞は、CD33に特異的に結合し、例えば本明細書に参照により組み込まれる国際公開第2016/014576号パンフレットの表2若しくは9に従うCAR分子(例えば、CAR33-1~CD33-9のいずれか)又は抗原結合ドメインを含み得る。CD33 CAR分子及び抗原結合ドメイン(例えば、Kabat若しくはChothiaに従う1つ、2つ、3つのVH CDR;及び1つ、2つ、3つのVL CDR)をコードするアミノ酸及びヌクレオチド配列は、国際公開第2016/014576号パンフレットに明示されている。
一部の実施形態において、抗原結合ドメインは、本明細書に記載の抗体からの1つ、2つ、3つ(例えば、3つ全て)の重鎖CDR、HC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3(例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/142675号パンフレット、米国特許出願公開第2015-0283178-A1号明細書、2016-0046724-A1号明細書、米国特許出願公開第2014/0322212A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0068601A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0051651A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0096892A1号明細書、米国特許出願公開第2014/0322275A1号明細書又は国際公開第2015/090230号パンフレットに記載の抗体)及び/又は本明細書に記載の抗体からの1つ、2つ、3つ(例えば、3つ全て)の軽鎖CDR、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3(例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/142675号パンフレット、米国特許出願公開第2015-0283178-A1号明細書、2016-0046724-A1号明細書、米国特許出願公開第2014/0322212A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0068601A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0051651A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0096892A1号明細書、米国特許出願公開第2014/0322275A1号明細書又は国際公開第2015/090230号パンフレットに記載の抗体)を含む。一部の実施形態において、抗原結合ドメインは、上に列挙した抗体の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域を含む。
実施形態において、抗原結合ドメインは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/142675号パンフレット、米国特許出願公開第2015-0283178-A1号明細書、2016-0046724-A1号明細書、米国特許出願公開第2014/0322212A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0068601A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0051651A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0096892A1号明細書、米国特許出願公開第2014/0322275A1号明細書又は国際公開第2015/090230号パンフレットに記載の抗原結合ドメインである。
実施形態において、抗原結合ドメインはBCMAを標的とし、米国特許出願公開第2016-0046724-A1号明細書に記載されている。実施形態において、抗原結合ドメインはCD19を標的とし、米国特許出願公開第2015-0283178-A1号明細書に記載されている。実施形態において、抗原結合ドメインはCD123を標的とし、米国特許出願公開第2014/0322212A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0068601A1号明細書に記載されている。実施形態において、抗原結合ドメインはCLL1を標的とし、米国特許出願公開第2016/0051651A1号明細書に記載されている。実施形態において、抗原結合ドメインはCD33を標的とし、米国特許出願公開第2016/0096892A1号明細書に記載されている。
CAR発現細胞を使用して標的とすることができる例示的な標的抗原には、例えば、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2014/153270号パンフレット、国際公開第2014/130635号パンフレット、国際公開第2016/028896号パンフレット、国際公開第2014/130657号パンフレット、国際公開第2016/014576号パンフレット、国際公開第2015/090230号パンフレット、国際公開第2016/014565号パンフレット、国際公開第2016/014535号パンフレット及び国際公開第2016/025880号パンフレットに記載されるように、とりわけ、CD19、CD123、EGFRvIII、CD33、メソテリン、BCMA及びGFR ALPHA-4が含まれるが、これらに限定されるものではない。
他の実施形態において、CAR発現細胞は、GFR ALPHA-4に特異的に結合することができ、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2016/025880号パンフレットの表2に記載のCAR分子又は抗原結合ドメインを含み得る。GFR ALPHA-4 CAR分子及び抗原結合ドメインをコードするアミノ酸及びヌクレオチド配列(例えば、1つ、2つ、3つのVH CDR及びKabat又はChothiaによる1つ、2つ、3つのVL CDRを含む)は、国際公開第2016/025880号パンフレットで特定されている。
一部の実施形態において、本明細書に記載されるCAR分子のいずれかの抗原結合ドメイン(例えば、CD19、CD123、EGFRvIII、CD33、メソテリン、BCMA及びGFR ALPHA-4)は、上に挙げた抗体由来の1つ、2つ、3つ(例えば、全3つの)重鎖CDR、HC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3及び/又は上に挙げた抗原結合ドメイン由来の1つ、2つ、3つ(例えば、全3つの)軽鎖CDR、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3を含む。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、上に列挙若しくは記載した抗体の重鎖可変領域及び/又は可変軽鎖領域を含む。
一部の実施形態において、抗原結合ドメインは、上に挙げた抗体由来の1つ、2つ、3つ(例えば、全3つの)重鎖CDR、HC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3及び/又は上に挙げた抗原結合ドメイン由来の1つ、2つ、3つ(例えば、全3つの)軽鎖CDR、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3を含む。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、上に列挙若しくは記載した抗体の重鎖可変領域及び/又は可変軽鎖領域を含む。
一部の実施形態において、腫瘍抗原は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2015年3月13日出願の国際公開第2015/142675号パンフレットに記載の腫瘍抗原である。一部の実施形態において、腫瘍抗原は、CD19;CD123;CD22;CD30;CD171;CS-1(CD2サブセット1、CRACC、SLAMF7、CD319、19A24とも称される);C型レクチン様分子1(CLL-1又はCLECL1);CD33;上皮成長因子受容体変異体III(EGFRvIII);ガングリオシドG2(GD2);ガングリオシドGD3(aNeu5Ac(2-8)aNeu5Ac(2-3)bDGalp(1-4)bDGlcp(1-1)Cer);TNF受容体ファミリーメンバーB細胞成熟(BCMA);Tn抗原((Tn Ag)又は(GalNAcα-Ser/Thr));前立腺特異的膜抗原(PSMA);受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1);Fms様チロシンキナーゼ3(FLT3);腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72);CD38;CD44v6;癌胎児性抗原(CEA);上皮細胞接着分子(EPCAM);B7H3(CD276);KIT(CD117);インターロイキン13受容体サブユニットα2(IL-13Ra2又はCD213A2);メソテリン;インターロイキン11受容体α(IL-11Ra);前立腺幹細胞抗原(PSCA);プロテアーゼセリン21(テスティシン又はPRSS21);血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2);ルイス(Y)抗原;CD24;血小板由来増殖因子受容体β(PDGFR-β);ステージ特異的胚性抗原-4(SSEA-4);CD20;葉酸受容体α;受容体チロシンタンパク質キナーゼERBB2(Her2/neu);ムチン1、細胞表面関連(MUC1);上皮成長因子受容体(EGFR);神経細胞接着分子(NCAM);プロテアーゼ;前立腺酸性ホスファターゼ(PAP);伸長因子2変異体(ELF2M);エフリンB2;線維芽細胞活性化タンパク質α(FAP);インスリン様増殖因子1受容体(IGF-I受容体)、炭酸脱水酵素IX(CAIX);プロテアソーム(プロソーム、マクロペイン)サブユニット、βタイプ、9(LMP2);糖タンパク質100(gp100);切断点クラスター領域(BCR)及びアベルソンマウス白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ1(Abl)(bcr-abl);チロシナーゼ;エフリンA型受容体2(EphA2);フコシルGM1;シアリルルイス接着分子(sLe);ガングリオシドGM3(aNeu5Ac(2-3)bDGalp(1-4)bDGlcp(1-1)Cer);トランスグルタミナーゼ5(TGS5);高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA);o-アセチル-GD2ガングリオシド(OAcGD2);葉酸受容体β;腫瘍内皮マーカー1(TEM1/CD248);腫瘍内皮マーカー7関連(TEM7R);クローディン6(CLDN6);甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR);Gタンパク質共役受容体クラスCグループ5、メンバーD(GPRC5D);染色体Xオープンリーディングフレーム61(CXORF61);CD97;CD179a;未分化リンパ腫キナーゼ(ALK);ポリシアル酸;胎盤特異的1(PLAC1);globoHグリコセラミド(GloboH)の六糖部分;乳腺分化抗原(NY-BR-1);ウロプラキン2(UPK2);A型肝炎ウイルス細胞受容体1(HAVCR1);アドレナリン受容体β3(ADRB3);パネキシン3(PANX3);Gタンパク質共役受容体20(GPR20);リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K9(LY6K);嗅覚受容体51E2(OR51E2);TCRγ代替オープンリーディングフレームタンパク質(TARP);ウィルムス腫瘍タンパク質(WT1);癌/精巣抗原1(NY-ESO-1);癌/精巣抗原2(LAGE-1a);黒色腫関連抗原1(MAGE-A1);染色体12p上に位置するETS転座変異体遺伝子6(ETV6-AML);精子タンパク質17(SPA17);X抗原ファミリー、メンバー1A(XAGE1);アンジオポエチン結合細胞表面受容体2(Tie2);黒色腫癌精巣抗原-1(MAD-CT-1);黒色腫癌精巣抗原-2(MAD-CT-2);Fos関連抗原1;腫瘍タンパク質p53(p53);p53変異体;プロステイン(prostein);生存;テロメラーゼ;前立腺癌腫瘍抗原-1(PCTA-1又はガレクチン8)、T細胞によって認識される黒色腫抗原1(MelanA又はMART1);ラット肉腫(Ras)変異体;ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT);肉腫転座切断点;黒色腫由来アポトーシス阻害剤(ML-IAP);ERG(膜貫通型プロテーゼ、セリン2(TMPRSS2)ETS融合遺伝子);N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV(NA17);ペアードボックスタンパク質Pax-3(PAX3);アンドロゲン受容体;サイクリンB1;v-mycトリ骨髄球症ウイルス癌遺伝子神経芽腫由来ホモログ(MYCN);RasホモログファミリーメンバーC(RhoC);チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP-2);チトクロムP450 1B1(CYP1B1);CCCTC結合因子(ジンクフィンガータンパク質)様(BORIS、すなわちBrother of the Regulator of Imprinted Sites);T細胞により認識される扁平上皮癌抗原3(SART3);ペアードボックスタンパク質Pax-5(PAX5);プロアクロシン結合タンパク質sp32(OY-TES1);リンパ球特異的プロテインチロシンキナーゼ(LCK);Aキナーゼアンカータンパク質4(AKAP-4);滑膜肉腫、X染色体切断点2(SSX2);終末糖化産物受容体(RAGE-1);腎ユビキタス1(RU1);腎ユビキタス2(RU2);レグマイン;ヒトパピローマウイルスE6(HPV E6);ヒトパピローマウイルスE7(HPV E7);腸カルボキシルエステラーゼ;熱ショックタンパク質70-2変異体(mut hsp70-2);CD79a;CD79b;CD72;白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1);IgA受容体のFcフラグメント(FCAR又はCD89);白血球関連免疫グロブリン様受容体サブファミリーAメンバー2(LILRA2);CD300分子様ファミリーメンバーf(CD300LF);C型レクチンドメインファミリー12メンバーA(CLEC12A);骨髄間質細胞抗原2(BST2);EGF様モジュール含有ムチン様ホルモン受容体様2(EMR2);リンパ球抗原75(LY75);グリピカン3(GPC3);Fc受容体様5(FCRL5);並びに免疫グロブリンラムダ様ポリペプチド1(IGLL1)の1つ以上から選択される。
一部の実施形態において、抗原結合ドメインは、上に列挙した抗体からの1つ、2つ、3つ(例えば、3つ全て)の重鎖CDR、HC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3並びに/又は上に列挙した抗体からの1つ、2つ、3つ(例えば、3つ全て)の軽鎖CDR、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3を含む。一部の実施形態において、抗原結合ドメインは、上に列挙又は記載した抗体の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域を含む。
一部の実施形態において、抗腫瘍抗原結合ドメインは、フラグメント、例えば、単鎖可変フラグメント(scFv)である。一部の実施形態において、本明細書に記載されるような抗癌関連抗原結合ドメインは、Fv、Fab、(Fab’)2又は二機能性(例えば、二特異性)ハイブリッド抗体(例えば、Lanzavecchia et al.,Eur.J.Immunol.17,105(1987))である。一部の実施形態において、本開示の抗体及びそのフラグメントは、野生型又は増強した親和性で本明細書に記載されるような癌関連抗原に結合する。
ある例において、scFvsは、当技術分野で公知の方法により製造できる(例えば、Bird et al.,(1988)Science 242:423-426及びHuston et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883を参照されたい)。ScFv分子は、可動性ポリペプチドリンカーを使用して、VH領域とVL領域を一緒に連結することにより産生できる。scFv分子は、最適長及び/又はアミノ酸組成を有するリンカー(例えば、Ser-Glyリンカー)を含む。リンカー長は、scFvの可変領域がどのように折りたたまれ、相互作用するかに大きく影響し得る。実際、短ポリペプチドリンカーを用いる場合、(例えば、5~10アミノ酸)、鎖内折りたたみは阻止される。鎖内折りたたみは、2可変領域が一体となって機能的エピトープ結合部位を形成させるためにも必要である。リンカー方向及びサイズの例は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Hollinger et al.1993 Proc Natl Acad.Sci.U.S.A.90:6444-6448、米国特許出願公開第2005/0100543号、同第2005/0175606号、同第2007/0014794号明細書及び国際公開第2006/020258号パンフレット及び国際公開第2007/024715号パンフレットを参照されたい。
scFvは、そのVL領域とVH領域との間に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50又はそれを超えるアミノ酸残基のリンカーを含み得る。リンカー配列は、あらゆる天然に存在するアミノ酸を含み得る。一実施形態において、リンカー配列は、アミノ酸グリシン及びセリンを含む。一部の実施形態において、リンカー配列は、(Gly4Ser)n(ここで、nは1つ以上の正の整数である)など、一連のグリシン及びセリン反復を含む(配列番号25)。一部の実施形態において、リンカーは(Gly4Ser)4(配列番号27)又は(Gly4Ser)3(配列番号28)であり得る。リンカー長の変動は、活性を維持又は増強し、活性試験において優れた有効性を生じ得る。
一部の実施形態において、抗原結合ドメインは、T細胞受容体(「TCR」)又はそのフラグメント、例えば単鎖TCR(scTCR)である。そのようなTCRを作製する方法は当技術分野で公知である。例えば、illemsen RA et al,Gene Therapy 7:1369-1377(2000);Zhang T et al,Cancer Gene Ther 11:487-496(2004);Aggen et al,Gene Ther.19(4):365-74(2012)(参考文献はその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。例えば、リンカー(例えば、柔軟なペプチド)によって連結されたT細胞クローン由来のVα及びVβ遺伝子を含むscTCRを操作することができる。このアプローチは、それ自体が細胞内にある癌関連標的にとって非常に有用であるが、そのような抗原(ペプチド)のフラグメントは、MHCによって癌細胞の表面に提示される。
膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインに関して、種々の実施形態において、CAR(例えば、CCAR)は、CARの細胞外ドメインに結合する膜貫通ドメインを含むように設計できる。膜貫通ドメインは、膜貫通領域に隣接した1つ以上のさらなるアミノ酸、例えば膜貫通が由来するタンパク質の細胞外領域と関係する1つ以上のアミノ酸(例えば、細胞外領域の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10~最大で15のアミノ酸)及び/又は膜貫通タンパク質が由来するタンパク質の細胞内領域と関係する1つ以上のアミノ酸(例えば、細胞内領域の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10~最大で15のアミノ酸)を含み得る。一部の実施形態において、膜貫通ドメインは、CARの他のドメインの1つに関連して使用されるものである。ある例において、膜貫通ドメインは、このようなドメインが、同一又は異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインと結合するのを避けるように、例えば受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小化するように選択されるか、又はアミノ酸置換による改変ができる。一部の実施形態において、膜貫通ドメインは、CAR発現細胞、例えばCART細胞表面上の別のCARとホモ二量体化できる。一部の実施形態において、膜貫通ドメインのアミノ酸配列は、同じCAR発現細胞、例えばCARTに存在する天然結合パートナーの結合ドメインとの相互作用を最小化するように改変又は置換され得る。
膜貫通ドメインは、天然由来又は組換え源由来であり得る。源が天然であるとき、ドメインは、あらゆる膜結合又は膜貫通タンパク質由来であり得る。一部の実施形態において、膜貫通ドメインは、CARが標的に結合したときは常に細胞内ドメインにシグナル伝達できる。本開示において特に有用な膜貫通ドメインは、例えば、T細胞受容体のα、β又はζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8(例えば、CD8α、CD8β)、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154の少なくとも膜貫通領域を含み得る。一部の実施形態において、膜貫通ドメインは、少なくとも、共刺激分子、例えばMHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、LFA-1 (CD11a/CD18)、4-1BB(CD137)、B7-H3、CDS、ICAM-1、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a及びCD83と特異的に結合するリガンドの膜貫通領域を含み得る。
一部の事例において、膜貫通ドメインは、ヒンジ、例えばヒトタンパク質からのヒンジを介して、CARの細胞外領域、例えばCARの抗原結合ドメインに結合することができる。例えば、一部の実施形態において、ヒンジは、ヒトIg(免疫グロブリン)ヒンジ、例えばIgG4ヒンジ又はCD8aヒンジであり得る。一部の実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、配列番号2のアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号6の膜貫通ドメインを含む(例えば、それからなる)。
一部の実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、IgG4ヒンジを含む。例えば、一部の実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、配列番号3のヒンジを含む。一部の実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、配列番号14のヌクレオチド配列によってコードされるヒンジを含む。
一部の実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、IgDヒンジを含む。例えば、一部の実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、配列番号4のアミノ酸配列のヒンジを含む。一部の実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、配列番号15のヌクレオチド配列によってコードされるヒンジを含む。
一部の実施形態において、膜貫通ドメインは組換えであり得、その場合、ロイシン及びバリンなどの疎水性残基を優勢に含む。一部の実施形態において、フェニルアラニン、トリプトファン及びバリンのトリプレットを、組換え膜貫通ドメインの各末端に見ることができる。
任意選択で、2~10アミノ酸長の短オリゴ又はポリペプチドリンカーが、CARの膜貫通ドメインと細胞質領域との間に結合を形成し得る。グリシン-セリンダブレットは特に適当なリンカーを提供する。例えば、一部の実施形態において、リンカーは、配列番号5のアミノ酸配列を含む。一実施形態において、リンカーは、配列番号16のヌクレオチド配列によりコードされる。
一部の実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、KIR2DS2ヒンジを含む。
細胞質ドメイン
本開示のCARの(例えば、CCAR)細胞質ドメイン又は領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。細胞内シグナル伝達ドメインは、一般的に、CARが導入されている免疫細胞の正常エフェクター機能の少なくとも1つの活性化を担う。
本開示のCARにおいて使用する細胞内シグナル伝達ドメインの例は、T細胞受容体(TCR)及び抗原受容体結合後にシグナル伝達を開始するために協調して機能する共受容体の細胞質配列並びにこれらのあらゆる誘導体又はバリアント及び同じ機能的能力を有するあらゆる組換え配列を含む。
TCR単独により産生されたシグナルはT細胞の完全活性化には不十分であり、二次及び/又は共刺激シグナルも必要であることが知られている。そのため、T細胞活性化は、2つの異なるクラスの細胞質シグナル伝達配列が介在するということができる:TCR(初代細胞内シグナル伝達ドメイン)を介して抗原依存性一次活性化を開始するもの及び二次又は共刺激シグナル(二次細胞質ドメイン、例えば共刺激ドメイン)を提供するように抗原非依存的方法で作用するもの。
一次シグナル伝達ドメインは、TCR複合体の一次活性化を刺激性方向又は阻害性方向のいずれかで制御する。刺激性方向で作用する初代細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ又はITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含み得る。
本開示において特に有用であるITAM含有初代細胞内シグナル伝達ドメインの例は、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD278(「ICOS」としても知られる)、FcεRI、DAP10、DAP12及びCD66dのものを含む。一部の実施形態において、本開示のCARは、細胞内シグナル伝達ドメイン、例えばCD3ζの一次シグナル伝達ドメインを含む。
一部の実施形態において、一次シグナル伝達ドメインは、天然ITAMドメインと比較して改変された(例えば、増加又は減少した)活性を有する、修飾ITAMドメイン、例えば変異ITAMドメインを含む。一部の実施形態において、一次シグナル伝達ドメインは、修飾ITAM含有初代細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば最適化及び/又は切断されたITAM含有初代細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態において、一次シグナル伝達ドメインは、1つ、2つ、3つ、4つ又はそれを超えるITAMモチーフを含む。
本開示で特に有用な一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む分子のさらに別の例としては、DAP10、DAP12及びCD32の分子が挙げられる。
CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、例えばCD3-ζシグナル伝達ドメインをそれ自体で含み得るか、又は本開示のCARに関連して有用ないずれか他の所望の細胞内シグナル伝達ドメインと組み合わされ得る。例えば、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、例えばCD3ζ鎖部分並びに共刺激分子伝達ドメインを含み得る。共刺激分子シグナル伝達ドメインは、共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARの一部を指す。共刺激分子は、抗原に対するリンパ球の効率的な応答に必要な抗原受容体又はそのリガンド以外の細胞表面分子である。こうした分子の例として、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a及びCD83と特異的に結合するリガンドなどを含む。例えば、CD27共刺激は、インビトロでヒトCART細胞の拡大、エフェクター機能及び生存を増大し、ヒトT細胞持続性及び抗腫瘍活性をインビボで高めることが実証されている(Song et al.Blood.2012;119(3):696-706)。本開示のCARの細胞質部分内の細胞内シグナル伝達配列を、ランダムに又は指定された順序で互いに連結させることもできる。任意選択で、2~10アミノ酸(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10アミノ酸)長の短いオリゴ又はポリペプチドリンカーは、細胞内シグナル伝達配列同士の連結を形成し得る。一部の実施形態では、グリシン-セリンダブレットを好適なリンカーとして使用することができる。一部の実施形態では、単一アミノ酸、例えばアラニン、グリシンを好適なリンカーとして使用することができる。
一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、2つ以上、例えば2、3、4、5つ又はそれを超える共刺激シグナル伝達ドメインを含むように設計される。一部の実施形態では、2つ以上、例えば2、3、4、5つ又はそれを超える共刺激シグナル伝達ドメインは、リンカー分子、例えば本明細書に記載のリンカー分子によって隔てられている。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、2つの共刺激シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、リンカー分子は、グリシン残基である。一部の実施形態では、リンカーは、アラニン残基である。
一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζのシグナル伝達ドメインとCD28のシグナル伝達ドメインを含むように設計される。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζのシグナル伝達ドメインと4-1BBのシグナル伝達ドメインを含むように設計される。一部の実施形態では、4-1BBのシグナル伝達ドメインは、配列番号7のシグナル伝達ドメインである。一部の実施形態では、CD3ζのシグナル伝達ドメインは、配列番号9(突然変異型CD3ζ)又は配列番号10(野生型ヒトCD3ζ)のシグナル伝達ドメインである。
一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζのシグナル伝達ドメインとCD27のシグナル伝達ドメインを含むように設計される。一部の実施形態では、CD27のシグナル伝達ドメインは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CD27のシグナル伝達ドメインは、配列番号19の核酸配列によってコードされる。
一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζのシグナル伝達ドメインとCD28のシグナル伝達ドメインを含むように設計される。一部の実施形態では、CD28のシグナル伝達ドメインは、配列番号36のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CD28のシグナル伝達ドメインは、配列番号37の核酸配列によってコードされる。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζのシグナル伝達ドメインとICOSのシグナル伝達ドメインを含むように設計される。一部の実施形態では、ICOSのシグナル伝達ドメインは、配列番号38のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ICOSのシグナル伝達ドメインは、配列番号39の核酸配列によってコードされる。
CARの構成
デュアルCAR
一実施形態では、免疫細胞(例えば、T細胞又はNK細胞)は、2つのCAR、例えば、第1の抗原に結合する第1のCARと、第2の抗原に結合する第2のCARを発現する。一実施形態では、第1の抗原と第2の抗原は異なる。一実施形態では、第1又は第2の抗原は、B細胞上に発現する抗原、急性骨髄性白血病細胞上に発現する抗原又は固形腫瘍細胞上に発現する抗原から選択される。一実施形態では、第1又は第2の抗原は、CD10、CD19、CD20、CD22、CD34、CD123、BCMA、FLT-3、ROR1、CD79b、CD179b、CD79a、CD34、CLL-1、葉酸受容体β、FLT3、EGFRvIII、メソテリン、GD2、Tn抗原、sTn抗原、Tn-O-糖ペプチド、sTn-O-糖ペプチド、PSMA、CD97、TAG72、CD44v6、CEA、EPCAM、KIT、IL-13Ra2、レグマン、GD3、CD171、IL-11Ra、PSCA、MAD-CT-1、MAD-CT-2、VEGFR2、ルイスY、CD24、PDGFR-β、SSEA-4、葉酸受容体α、ERBBs(例えば、ERBB2)、Her2/neu、MUC1、EGFR、NCAM、エフリンB2、CAIX、LMP2、sLe、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体β、TEM1/CD248、TEM7R、FAP、レグマイン、HPV E6又はE7、ML-IAP、CLDN6、TSHR、GPRC5D、ALK、ポリシアル酸、Fos関連抗原、好中球エラスターゼ、TRP-2、CYP1B1、精子タンパク質17、βヒト絨毛性ゴナドトロピン、AFP、チログロブリン、PLAC1、グロボH、RAGE1、MN-CAIX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、腸内カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、NA-17、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、NY-ESO-1、GPR20、Ly6k、OR51E2、TARP、GFRα4又はMHC上に提示されたこれらの抗原のいずれかのペプチドから選択される。
一実施形態では、第1のCARは、第1の核酸配列によってコードされる。一実施形態では、第2のCARは、第2の核酸配列によってコードされる。一実施形態では、第1及び第2の核酸配列は、単一の核酸分子上に配置される。一実施形態では、第1及び第2の核酸配列は、別々の核酸分子上に配置される。一実施形態では、単一又は複数の核酸分子は、DNA又はRNA分子である。いくつかの実施形態では、第1及び第2の核酸配列は、同じ配向に位置し、例えば、第1及び第2の核酸配列の転写は、同じ方向に進行する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の核酸配列は、異なる配向に位置する。いくつかの実施形態では、単一のプロモーターは、第1及び第2の核酸配列の発現を制御する。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ切断部位(例えば、T2A、P2A、E2A又はF2A切断部位)をコードする核酸は、第1及び第2の核酸配列の間に位置する。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ切断部位は、細胞が、第1のCAR及び第2のCARを含む融合タンパク質を発現することができるように配置され、この融合タンパク質は、続いてタンパク質分解的切断により2つのペプチドにプロセシングされる。一部の実施形態では、第1の核酸配列は、第2の核酸配列の上流にあるか、又は第2の核酸配列が、第1の核酸配列の上流にある。いくつかの実施形態では、第1プロモーターが、第1の核酸配列の発現を制御し、第2プロモーターが、第2の核酸配列の発現を制御する。いくつかの実施形態では、核酸分子は、プラスミドである。いくつかの実施形態では、核酸分子は、ウイルスパッケージング要素を含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、T2A、P2A、E2A若しくはF2A切断部位を切断するプロテアーゼ(例えば、内因性又は外因性プロテアーゼ)を含み得る。
一実施形態では、第1のCARは、第1の抗原結合ドメインを含み、第2のCARは、第2の抗原結合ドメインを含む。一実施形態では、第1又は第2の抗原結合ドメインは、本明細書に開示されるCDR、VH、VL若しくはscFv又はそれに対して少なくとも約85%、90%、95%若しくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
多重特異性CAR
一実施形態では、本開示のCARは、多重特異性CARである。一実施形態において、多重特異性CARは、二重特異性CARである。一実施形態において、二重特異性CARは、二重特異性抗体分子である抗原結合ドメインを含む。二重特異性抗体は、ただ2つの抗原に対して特異性を有する。二重特異性抗体分子は、第1エピトープに対する結合特異性を有する第1免疫グロブリン可変ドメイン配列及び第2エピトープに対する結合特異性を有する第2免疫グロブリン可変ドメイン配列を特徴とする。一実施形態では、第1及び第2エピトープは、同じ抗原、例えば、同じタンパク質(又は多量体タンパク質のサブユニット)上にある。一実施形態では、第1及び第2エピトープは、重複する。一実施形態では、第1及び第2エピトープは重複しない。一実施形態では、第1及び第2エピトープは、異なる抗原、例えば、異なるタンパク質(又は多量体タンパク質の異なるサブユニット)上にある。一実施形態では、二重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列及び軽鎖可変ドメイン配列と、第2エピトープに対する結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列及び軽鎖可変ドメイン配列とを含む。一実施形態では、二重特異性抗体分子は、第1エピトープに対する結合特異性を有するハーフ抗体と、第2エピトープに対する結合特異性を有するハーフ抗体とを含む。一実施形態では、二重特異性抗体分子は、第1エピトープに対する結合特異性を有するハーフ抗体又はそのフラグメントと、第2エピトープに対する結合特異性を有するハーフ抗体又はそのフラグメントとを含む。一実施形態では、二重特異性抗体分子は、第1エピトープに対する結合特異性を有するscFv又はそのフラグメントと、第2のエピトープに対する結合特異性を有するscFv又はそのフラグメントとを含む。
一部の実施形態では、本開示のCARは、多重特異性(例えば、二重特異性又は三重特異性)抗体分子である抗原結合ドメインを含む。二重特異性又はヘテロ二量体抗体分子を作製するためのプロトコルは、当技術分野において公知であり;限定するものではないが、以下のものが挙げられる:例えば、米国特許第5731168号明細書に記載される、「ノブ・イン・ア・ホール(knob in a hole)」;例えば、国際公開第09/089004号パンフレット、同第06/106905号パンフレット及び同第2010/129304号パンフレットに記載されるような静電ステアリングFcペアリング;例えば、国際公開第07/110205号パンフレットに記載されているような鎖交換操作ドメイン(SEED)ヘテロ二量体形成;例えば、国際公開第08/119353号パンフレット、同第2011/131746号パンフレット及び同第2013/060867号パンフレットに記載されているようなFabアーム交換;例えば、米国特許第4433059号明細書に記載されるような、例えば、アミン応性基及びスルフヒドリル反応性基を有するヘテロ二官能性試薬を用いて二重特異性構造を生成する抗体架橋による、二重抗体コンジュゲート;例えば、米国特許第4444878号明細書に記載されているような、2つの重鎖間のジスルフィド結合の還元及び酸化のサイクルを介して異なる抗体からハーフ抗体(重軽鎖ペア又はFab)を組み換えることによって作製される二重特異性抗体決定基;例えば、米国特許第5273743号明細書に記載されているような、三官能抗体、例えばスルフヒドリル反応性基を介して架橋された3つのFab’フラグメント;例えば、米国特許第5534254号明細書に記載されているような、生合成結合タンパク質、例えば、好ましくはジスルフィド又はアミン反応性化学架橋によるC末端テールを介して架橋された一対のscFv;例えば、米国特許第5582996号明細書に記載されているような、二機能性抗体、例えば定常ドメインが置換されたロイシンジッパー(例えば、c-fos及びc-jun)を介して二量体化された異なる結合特異性を有するFabフラグメント;例えば、米国特許第5591828号明細書に記載されているような、二重特異性及びオリゴ特異的一価及びオリゴ価受容体、例えば一方の抗体のCH1領域と、典型的には軽鎖が結合した他方の抗体のVH領域との間のポリペプチドスペーサーを介して連結された2つの抗体(2つのFabフラグメント)のVH-CH1領域;例えば、米国特許第5635602号明細書に記載されているような、二重特異性DNA-抗体コンジュゲート、例えば、DNAの二本鎖片を介した抗体又はFabフラグメントの架橋;例えば、米国特許第5637481号明細書に記載されているような、二重特異性融合タンパク質、例えば、2つのscFvと、両者の間の親水性ヘリカルペプチドリンカーと、完全な定常領域とを含む発現構築物;例えば、米国特許第5837242号明細書に記載されているような、多価及び多重特異性結合タンパク質、例えば、Ig重鎖可変領域の結合領域を備える第1ドメインと、Ig軽鎖可変領域の結合領域を備える第2ドメインを有するポリペプチドの二量体で、一般にダイアボディと呼ばれるもの(例えば、二重特異性、三重特異性又は四重特異性分子を形成する高次構造も包含される);例えば、米国特許第5837821号明細書に記載されているような、抗体ヒンジ領域及びCH3領域にペプチドスペーサーでさらに連結された連結VL鎖及びVH鎖を有するミニボディ構築物であって、二量体化されて、二重特異性/多価分子を形成することができるもの;例えば、米国特許第5844094号明細書に記載されているような、短いペプチドリンカー(例えば、5若しくは10アミノ酸)で連結されているか、又はいずれの配向でもリンカーを全く持たないVHドメイン及びVLドメインであって、二量体を形成して、二重特異性ダイアボディ;三量体及び四量体を形成することができるもの;例えば、米国特許第5864019号明細書に記載されているような、C末端の架橋性基とのペプチド結合によって連結されたVHドメイン(又はファミリーメンバー中のVLドメイン)の鎖であって、VLドメインとさらに結合して、一連のFV(又はscFv)を形成するもの;並びに例えば米国特許第5869620号明細書に記載されているように、ペプチドリンカーを介して連結されたVH及びVLドメインをいずれも含む一本鎖結合ポリペプチドが、非共有結合又は化学的架橋を介して多価構造に結合されて、例えば、scFV又はダイアボディ型フォーマットの双方を用いたホモ二価、ヘテロ二価、三価及び四価構造を形成する。さらに別の例示的な多重特異性及び二重特異性分子並びにそれを作製する方法は、例えば、以下の文献に見出される;米国特許第5910573号明細書、同第5932448号明細書、同第5959083号明細書、同第5989830号明細書、同第6005079号明細書、同第6239259号明細書、同第6294353号明細書、同第6333396号明細書、同第6476198号明細書、同第6511663号明細書、同第6670453号明細書、同第6743896号明細書、同第6809185号明細書、同第6833441号明細書、同第7129330号明細書、同第7183076号明細書、同第7521056号明細書、同第7527787号明細書、同第7534866号明細書、同第7612181号明細書、米国特許出願公開第2002004587A1号明細書、同第2002076406A1号明細書、同第2002103345A1号明細書、同第2003207346A1号明細書、同第2003211078A1号明細書、同第2004219643A1号明細書、同第2004220388A1号明細書、同第2004242847A1号明細書、同第2005003403A1号明細書、同第2005004352A1号明細書、同第2005069552A1号明細書、同第2005079170A1号明細書、同第2005100543A1号明細書、同第2005136049A1号明細書、同第2005136051A1号明細書、同第2005163782A1号明細書、同第2005266425A1号明細書、同第2006083747A1号明細書、同第2006120960A1号明細書、同第2006204493A1号明細書、同第2006263367A1号明細書、同第2007004909A1号明細書、同第2007087381A1号明細書、同第2007128150A1号明細書、同第2007141049A1号明細書、同第2007154901A1号明細書、同第2007274985A1号明細書、同第2008050370A1号明細書、同第2008069820A1号明細書、同第2008152645A1号明細書、同第2008171855A1号明細書、同第2008241884A1号明細書、同第2008254512A1号明細書、同第2008260738A1号明細書、同第2009130106A1号明細書、同第2009148905A1号明細書、同第2009155275A1号明細書、同第2009162359A1号明細書、同第2009162360A1号明細書、同第2009175851A1号明細書、同第2009175867A1号明細書、同第2009232811A1号明細書、同第2009234105A1号明細書、同第2009263392A1号明細書、同第2009274649A1号明細書、欧州特許出願公開第346087A2号明細書、国際公開第0006605A2号パンフレット、同第02072635A2号パンフレット、同第04081051A1号パンフレット、同第06020258A2号パンフレット、同第2007044887A2号パンフレット、同第2007095338A2号パンフレット、同第2007137760A2号パンフレット、同第2008119353A1号パンフレット、同第2009021754A2号パンフレット、同第2009068630A1号パンフレット、同第9103493A1号パンフレット、同第9323537A1号パンフレット、同第9409131A1号パンフレット、同第9412625A2号パンフレット、同第9509917A1号パンフレット、同第9637621A2号パンフレット、同第9964460A1号パンフレット。上記参照出願の内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
二重特異性抗体分子の各抗体又は抗体フラグメント(例えば、scFv)内で、VHは、VLの上流又は下流であり得る。一部の実施形態では、上流の抗体又は抗体フラグメント(例えば、scFv)は、そのVL(VL1)の上流にそのVH(VH1)を配置して構成され、下流の抗体又は抗体フラグメント(例えば、scFv)は、そのVH(VH2)の上流にそのVL(VL2)を配置して構成され、その結果、二重特異性抗体分子全体は、構成VH1-VL1-VL2-VH2を有する。他の実施形態では、上流の抗体又は抗体フラグメント(例えば、scFv)は、そのVH(VH1)の上流にそのVL(VL1)を配置して構成され、下流の抗体又は抗体フラグメント(例えば、scFv)は、そのVL(VL2)の上流にそのVH(VH2)を配置して構成され、その結果、二重特異性抗体分子全体は、構成VL1-VH1-VH2-VL2を有する。任意選択で、リンカーは、2つの抗体又は抗体フラグメント(例えば、scFv)間に例えば構築物がVH1-VL1-VL2-VH2として構成される場合にはVL1とVL2との間又は構築物がVL1-VH1-VH2-VL2として構成される場合にはVH1とVH2との間に配置される。リンカーは、本明細書に記載のリンカー、例えば(Gly4-Ser)nリンカーであり得、ここで、nは、1、2、3、4、5又は6、好ましくは4(配列番号26)である。一般に、2つのscFv間のリンカーは、2つのscFvのドメイン間の誤対合を回避するのに十分な長さにする必要がある。任意選択で、リンカーは、第1のscFvのVLとVHとの間に配置される。任意選択で、リンカーは、第2のscFvのVLとVHとの間に配置される。複数のリンカーを有する構築物において、任意の2つ以上のリンカーは、同一であるか又は異なり得る。従って、一部の実施形態では、二重特異性CARは、VL、VH及び場合により本明細書に記載されるような配置で1つ以上のリンカーを含む。
ダイアボディCAR
一部の実施形態では、本開示のCARは、二重特異性CARである。一部の実施形態では、本開示のCARは、ダイアボディCARである。一部の実施形態では、ダイアボディCARは、第1の抗原及び第2の抗原に結合する抗原結合ドメインを含む。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、VH1、VL1、VH2及びVL2を含み、VH1及びVL1は第1の抗原に結合し、VH2及びVL2は第2の抗原に結合する。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、N末端からC末端に、構成:VH1-任意選択でリンカー1(「L1」)-VH2-任意選択でリンカー2(「L2」)-VL2-任意選択でリンカー3(「L3」)-VL1を有する。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、N末端からC末端に、構成:VH1-任意選択でL1-VL2-任意選択でL2-VH2-任意選択でL3-VL1を有する。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、N末端からC末端に、構成:VL1-任意選択でL1-VH2-任意選択でL2-VL2-任意選択でL3-VH1を有する。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、N末端からC末端への構成:VL1-任意選択でL1-VL2-任意選択でL2-VH2-任意選択でL3-VH1-を有する。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、N末端からC末端に、構成:VH2-任意選択でL1-VH1-任意選択でL2-VL1-任意選択でL3-VL2を有する。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、N末端からC末端に、構成:VH2-任意選択でL1-VL1-任意選択でL2-VH1-任意選択でL3-VL2を有する。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、N末端からC末端に、構成:VL2-任意選択でL1-VH1-任意選択でL2-VL1-任意選択でL3-VH2を有する。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、N末端からC末端に、構成:VL2-任意選択でL1-VL1-任意選択でL2-VH1-任意選択でL3-VH2を有する。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、N末端からC末端に、構成:VH1-リンカー1(「L1」)-VH2-リンカー2(「L2」)-VL2-リンカー3(「L3」)-VL1を有する。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、N末端からC末端に、構成:VH1-L1-VL2-L2-VH2-L3-VL1を有する。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、N末端からC末端に、構成:VL1-L1-VH2-L2-VL2-L3-VH1を有する。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、N末端からC末端に、構成:VL1-L1-VL2-L2-VH2-L3-VH1を有する。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、N末端からC末端に、構成:VH2-L1-VH1-L2-VL1-L3-VL2を有する。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、N末端からC末端に、構成:VH2-L1-VL1-L2-VH1-L3-VL2を有する。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、N末端からC末端に、構成:VL2-L1-VH1-L2-VL1-L3-VH2を有する。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、N末端からC末端に、構成:VL2-L1-VL1-L2-VH1-L3-VH2を有する。一部の実施形態では、可変領域は、GGGGSGGGGS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むリンカーによって融合される。一部の実施形態では、可変領域は、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号63)のアミノ酸配列を含むリンカーによって融合される。一部の実施形態では、L1は、配列番号5のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、L2は、配列番号63のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、L3は、配列番号5のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VH1、VL1、VH2又はVL2は、本明細書に開示されるCDR、VH若しくはVL配列又はそれに対して少なくとも約85%、90%、95%若しくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本明細書に開示されるダイアボディは、例えば、ダイアボディを安定化させ、且つ/又はVH及びVLの正しい対合を容易にするために、操作されたジスルフィド架橋を含む。一部の実施形態では、操作されたジスルフィド架橋は、ヒンジ領域に最も近位にある可変領域(例えば、ヒンジ領域に最も近位にあるVH又はVL領域)と、その対応する対合パートナー(例えば、対応するVL又は対応するVH)との間にある。
一部の実施形態では、第1の抗原と第2の抗原は異なる。一部の実施形態では、第1又は第2の抗原は、B細胞上に発現される抗原、急性骨髄性白血病細胞上に発現される抗原又は固形腫瘍細胞上の抗原から選択される。一部の実施形態では、第1又は第2の抗原は、CD10、CD19、CD20、CD22、CD34、CD123、BCMA、FLT-3、ROR1、CD79b、CD179b、CD79a、CD34、CLL-1、葉酸受容体β、FLT3、EGFRvIII、メソテリン、GD2、Tn抗原、sTn抗原、Tn-O-糖ペプチド、sTn-O-糖ペプチド、PSMA、CD97、TAG72、CD44v6、CEA、EPCAM、KIT、IL-13Ra2、レグマン、GD3、CD171、IL-11Ra、PSCA、MAD-CT-1、MAD-CT-2、VEGFR2、ルイスY、CD24、PDGFR-β、SSEA-4、葉酸受容体α、ERBBs(例えば、ERBB2)、Her2/neu、MUC1、EGFR、NCAM、エフリンB2、CAIX、LMP2、sLe、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体β、TEM1/CD248、TEM7R、FAP、レグマイン、HPV E6又はE7、ML-IAP、CLDN6、TSHR、GPRC5D、ALK、ポリシアル酸、Fos関連抗原、好中球エラスターゼ、TRP-2、CYP1B1、精子タンパク質17、βヒト絨毛性ゴナドトロピン、AFP、チログロブリン、PLAC1、グロボH、RAGE1、MN-CAIX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、腸内カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、NA-17、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、NY-ESO-1、GPR20、Ly6k、OR51E2、TARP、GFRα4又はMHC上に提示されたこれらの抗原のいずれかのペプチドから選択される。
キメラTCR
一態様では、本開示の抗体及び抗体フラグメントを、T細胞受容体(「TCR」)鎖、例えば、TCRα鎖又はTCRβ鎖の1つ以上の定常ドメインに移植して、キメラTCRを作製することができる。理論に束縛されるものではないが、キメラTCRは、抗原に結合すると、TCR複合体を介してシグナル伝達すると考えられる。例えば、本明細書に開示されるscFvは、定常ドメイン、例えばTCR鎖、例えばTCRα鎖及び/又はTCRβ鎖の細胞外定常ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインの少なくとも一部に移植することができる。別の例として、抗体フラグメント、例えば本明細書に記載のVLドメインを、TCRα鎖の定常ドメインに移植することができ、また、抗体フラグメント、例えば本明細書に記載のVHドメインを、TCRβ鎖の定常ドメインに移植することができる(又は代替的にVLドメインをTCRβ鎖の定常ドメインに移植し、VHドメインをTCRα鎖に移植し得る)。別の例として、抗体又は抗体フラグメントのCDR、例えば本明細書に記載される抗体又は抗体フラグメントのCDRを、TCRα鎖及び/又はβ鎖に移植して、キメラTCRを作製することもできる。例えば、本明細書に開示されるLCDRをTCRα鎖の可変ドメインに移植して、本明細書に開示されるHCDRをTCRβ鎖の可変ドメインに移植し得るか又はその逆も可能である。このようなキメラTCRは、当技術分野で公知の方法によって生成することができる(例えば、Willemsen RA et al.,Gene Therapy 2000;7:1369-1377;Zhang T et al,Cancer Gene Ther 2004;11:487-496;Aggen et al.,Gene Ther.2012 Apr;19(4):365-74)。
追加の実施形態
一実施形態において、CAR発現細胞が、2つ以上の異なるCARを含む場合、異なるCARの抗原結合ドメインは、抗原結合ドメインが互いに相互作用しないようなものであり得る。例えば、第1及び第2のCARを発現する細胞は、例えば、フラグメント、例えばscFvとして、第2のCARの抗原結合ドメインとの会合を形成しない第1のCARの抗原結合ドメインを含むことができ、例えば、第2のCARの抗原結合ドメインは、VHHである。
一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、単一ドメイン抗原結合(SDAB)分子を含み、その相補的決定領域が単一ドメインポリペプチドの一部である分子を含む。例として、限定するものではないが、重鎖可変ドメイン、軽鎖が天然に欠失した結合分子、通常の4本鎖抗体に由来する単一ドメイン、操作されたドメイン並びに抗体由来のもの以外の単一ドメインスカフォールドが挙げられる。SDAB分子は、当技術分野のいずれかのものであり得るか、又はいずれかの将来の単一ドメイン分子であり得る。SDAB分子は、任意の種に由来するものであり得、そうした種として、限定されないが、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、ヤツメウナギ、魚、サメ、ヤギ、ウサギ及びウシが挙げられる。また、この用語には、ラクダ科及びサメ以外の種由来の天然に存在する単一ドメイン抗体分子も含まれる。
一態様では、SDAB分子は、例えば、サメの血清中に存在する新規抗原受容体(Novel Antigen Receptor)(NAR)として知られる免疫グロブリンアイソタイプに由来するものなど、魚類において見出される免疫グロブリンの可変領域に由来するものであり得る。NARの可変領域に由来する単一ドメイン分子(「IgNAR」)を製造する方法は、国際公開第03/014161号パンフレット及びStreltsov(2005)Protein Sci.14:2901-2909に記載されている。
別の態様によれば、SDAB分子は、軽鎖が欠失した重鎖として知られる天然に存在する単一ドメイン抗原結合分子である。このような単一ドメイン分子は、例えば、国際公開第9404678号パンフレット及びHamers-Casterman,C.et al.(1993)Nature 363:446-448に開示されている。明瞭化のために、軽鎖が天然に欠失した重鎖分子に由来するこの可変ドメインは、4本鎖免疫グロブリンの通常のVHと区別するために、VHH又はナノボディとして本明細書では識別される。このようなVHH分子は、ラクダ科の種、例えばラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカ及びグアナコに由来し得る。ラクダ科以外の他の種は、軽鎖が天然に欠失した重鎖分子を産生する可能性があり;そのようなVHHは、本開示の範囲内にある。
SDAB分子は、組換え、CDR移植、ヒト化、ラクダ化、脱免疫化及び/又はインビトロで作製(例えば、ファージディスプレイによって選択)され得る。
また、受容体の抗原結合ドメイン間で相互作用する抗原結合ドメインを含む複数のキメラ膜埋め込み受容体を有する細胞は、例えば、1つ以上の抗原結合ドメインがその同族抗原に結合する能力を阻害するため、望ましくない可能性があることも見出されている。従って、そうした相互作用を最小限にする抗原結合ドメインを含む第1及び第2の非天然型キメラ膜埋め込み受容体を有する細胞が、本明細書に開示される。また、そうした相互作用を最小限にする抗原結合ドメインを含む第1及び第2の非天然型キメラ膜組み込み受容体をコードする核酸並びにそのような細胞及び核酸を作製及び使用する方法が、本明細書に開示される。一実施形態では、前記第1及び前記第2の非天然型キメラ膜埋め込み受容体の一方の抗原結合ドメインは、scFvを含み、他方は、単一VHドメイン、例えばラクダ科、サメ若しくはヤツメウナギの単一VHドメイン又はヒト若しくはマウス配列由来の単一VHドメインを含む。
一部の実施形態では、この開示は、第1及び第2のCARを含み、ここで、前記第1のCAR及び前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、可変軽鎖ドメイン及び可変重鎖ドメインを含まない。一部の実施形態では、前記第1のCAR及び前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、scFvであり、他方は、scFvではない。一部の実施形態では、前記第1のCAR及び前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、単一VHドメイン、例えばラクダ科、サメ若しくはヤツメウナギの単一VHドメイン又はヒト若しくはマウス配列由来の単一VHドメインを含む。一部の実施形態では、前記第1のCAR及び前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、ナノボディを含む。一部の実施形態では、前記第1のCAR及び前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、ラクダ科VHHドメインを含む。
一部の実施形態では、前記第1のCAR及び前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、scFvを含み、他方は、単一VHドメイン、例えばラクダ科、サメ若しくはヤツメウナギの単一VHドメイン又はヒト若しくはマウス配列に由来の単一VHドメインを含む。一部の実施形態では、前記第1のCAR及び前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、scFvを含み、他方は、ナノボディを含む。一部の実施形態では、前記第1のCAR及び前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、scFvを含み、他方は、ラクダ科VHHドメインを含む。
一部の実施形態では、細胞の表面に存在する場合、その同族抗原に対する前記第1のCARの抗原結合ドメインの結合は、前記第2のCARの存在によって実質的に低下しない。一部の実施形態では、前記第2のCARの存在下での前記第1のCARの抗原結合ドメインのその同族抗原に対する結合は、前記第2のCARの非存在下における前記第1のCARの抗原結合ドメインのその同族抗原に対する結合の85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%である。
一部の実施形態では、細胞の表面上に存在する場合、前記第1のCAR及び前記第2のCARの抗原結合ドメインは、両者がscFv抗原結合ドメインであった場合よりも低い程度で互いに結合する。一部の実施形態では、前記第1のCAR及び前記第2のCARの抗原結合ドメインは、両者がscFv抗原結合ドメインであった場合よりも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%低い程度で互いに結合する。
ナチュラルキラー細胞受容体(NKR)CAR
一実施形態では、本明細書に記載のCAR分子は、ナチュラルキラー細胞受容体(NKR)の1つ以上の成分を含み、それによりNKR-CARを形成する。NKR成分は、下記ナチュラルキラー細胞受容体:キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、例えば、KIR2DL1、KIR2DL2/L3、KIR2DL4、KIR2DL5A、KIR2DL5B、KIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、DIR2DS5、KIR3DL1/S1、KIR3DL2、KIR3DL3、KIR2DP1及びKIR3DP1;天然細胞傷害性受容体(NCR)、例えば、NKp30、NKp44、NKp46;シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAM)ファミリーの免疫細胞受容体、例えばCD48、CD229、2B4、CD84、NTB-A、CRACC、BLAME及びCD2F-10;Fc受容体(FcR)、例えばCD16及びCD64;並びにLy49受容体、例えばLY49A、LY49Cのいずれかに由来する膜貫通ドメイン、ヒンジドメイン又は細胞質ドメインであり得る。本明細書に記載のNKR-CAR分子は、アダプター分子又は細胞内シグナル伝達ドメイン、例えばDAP12と相互作用し得る。NKR成分を含むCAR分子の例示的な配置及び配列は、国際公開第2014/145252号パンフレットに記載されており、その内容は本明細書に参照により組み込まれる。
非抗体スカフォールド
いくつかの実施形態において、抗原結合ドメインは、非抗体スカフォールド、例えばフィブロネクチン、アンキリン、ドメイン抗体、リポカリン、小モジュラー免疫医薬、マキシボディ、プロテインA又はアフィリンを含む。非抗体スカフォールドは、細胞上の標的抗原に結合する能力を有する。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、細胞上で発現される天然に存在するタンパク質のポリペプチド又はそのフラグメントである。一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、非抗体スカフォールドを含む。得られるポリペプチドが、標的細胞上の標的抗原に特異的に結合する少なくとも1つの結合領域を含む限り、多様な非抗体スカフォールドを使用することができる。
非抗体スカフォールドとしては、フィブロネクチン(Novartis,MA)、アンキリン(Molecular Partners AG,Zurich,Switzerland)、ドメイン抗体(Domantis,Ltd.,Cambridge,MA及びAblynx nv,Zwijnaarde,Belgium)、リポカリン(Pieris Proteolab AG,Freising,Germany)、小モジュラー免疫医薬(Trubion Pharmaceuticals Inc.,Seattle,WA)、マキシボディ(Avidia,Inc.,Mountain View,CA)、プロテインA(Affibody AG,Sweden)及びアフィリン(γクリスタリン又はユビキチン)(Scil Protein GmbH,Halle,Germany)が挙げられる。
スプリットCAR
一部の実施形態では、CAR発現細胞は、スプリットCARを使用する。スプリットCARアプローチは、参照により本明細書に援用される公報:国際公開第2014/055442号パンフレット及び同第2014/055657号パンフレットに、より詳しく記載されている。手短には、スプリットCAR系は、第1の抗原結合ドメイン及び共刺激ドメイン(例えば、41BB)を有する第1のCARを発現する細胞を含み、上記細胞は、第2の抗原結合ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζ)を有する第2のCARも発現する。細胞が第1の抗原に遭遇すると、共刺激ドメインが活性化され、細胞は増殖する。細胞が第2の抗原に遭遇すると、細胞内シグナル伝達ドメインが活性化され、細胞殺傷活性が開始する。このように、CAR発現細胞は、両方の抗原の存在下でのみ完全に活性化される。いくつかの実施形態において、第1の抗原結合ドメインはBCMAを認識し、例えば本明細書に記載の抗原結合ドメインを含み、第2の抗原結合ドメインは、急性骨髄性白血病細胞上で発現される抗原、例えば、CD123、CLL-1、CD34、FLT3又は葉酸受容体βを認識する。いくつかの実施形態において、第1の抗原結合ドメインは、BCMAを認識し、例えば本明細書に記載の抗原結合ドメインを含み、第2の抗原結合ドメインは、B細胞上で発現される抗原、例えば、CD10、CD19、CD20、CD22、CD34、CD123、FLT-3、ROR1、CD79b、CD179b又はCD79aを認識する。
CARと他の分子又は薬剤との共発現
第2のCARの共発現
一部の実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、第2のCAR、例えば同じ標的(例えば、CD19)又は異なる標的(例えば、CD19以外の標的、例えば本明細書に記載の標的)に対する、例えば第2のCARの異なる抗原結合ドメインをさらに含み得る。一部の実施形態において、CAR発現細胞は、第1の抗原を標的とし、共刺激シグナル伝達ドメインを有するが、一次シグナル伝達ドメインを有しない細胞内シグナル伝達ドメインを含む第1のCAR及び第2の、異なる、抗原を標的とし、一次シグナル伝達ドメインを有するが、共刺激シグナル伝達ドメインを有しない細胞内シグナル伝達ドメインを含む第2のCARを含む。第1のCARへの共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば4-1BB、CD28、CD27、OX-40又はICOS及び一次シグナル伝達ドメイン、例えばCD3ζの第2のCARへの配置は、両標的が発現される細胞に対してCAR活性を制限する。一部の実施形態において、CAR発現細胞は、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び共刺激ドメインを含む第1のCAR及び他の抗原を標的とし、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び一次シグナル伝達ドメインを含む第2のCARを含む。一部の実施形態において、CAR発現細胞は、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び一次シグナル伝達ドメインを含む第1のCAR及び他の抗原を標的とし、抗原に対する抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインを含む第2のCARを含む。
一部の実施形態において、CAR発現細胞は、本明細書に記載のXCAR及び阻害性CARを含む。一部の実施形態において、阻害性CARは、正常細胞、例えばXも発現する正常細胞で見られるが、癌細胞で見られない抗原と結合する抗原結合ドメインを含む。一部の実施形態において、阻害性CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び阻害分子の細胞内ドメインを含む。例えば、阻害性CARの細胞内ドメインは、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(CEACAM-1、CEACAM-3及び/又はCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14又はCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン及びTGF(例えば、TGFβ)の細胞内ドメインであり得る。
一部の実施形態において、CAR発現細胞が2以上の異なるCARを含むとき、異なるCARの抗原結合ドメインは、抗原結合ドメインが互いに相互作用しないようなものである。例えば、第1及び第2のCARを発現する細胞は、第2のCARの抗原結合ドメイン、例えばVHHである第2のCARの抗原結合ドメインと結合を形成しない、例えばフラグメント、例えばscFvとしての第1のCARの抗原結合ドメインを有し得る。
一部の実施形態において、抗原結合ドメインは、単一ドメイン抗原結合(SDAB)分子を含み、相補的決定領域が単一ドメインポリペプチドの一部である分子を含む。例は、重鎖可変ドメイン、軽鎖を天然に欠く結合分子、慣用の4鎖抗体由来の単一ドメイン、操作されたドメイン及び抗体由来のもの以外の単一ドメインスキャフォールドを含むが、これらに限定されない。SDAB分子は、当技術分野の又は将来的な単一ドメイン分子であり得る。SDAB分子は、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、ヤツメウナギ、魚類、サメ、ヤギ、ウサギ及びウシを含むが、これらに限定されない任意の種由来であり得る。この用語は、ラクダ科(Camelidae)及びサメ以外の種由来の天然に存在する単一ドメイン抗体分子も含む。
一部の実施形態において、SDAB分子は、例えば、サメの血清に見られる新規抗原受容体(NAR)として知られる免疫グロブリンアイソタイプ由来であるような、魚類で見られる免疫グロブリンの可変領域に由来し得る。NAR(「IgNAR」)の可変領域由来の単一ドメイン分子を製造する方法は、国際公開第03/014161号パンフレット及びStreltsov(2005)Protein Sci.14:2901-2909に記載されている。
一部の実施形態において、SDAB分子は、軽鎖を欠く重鎖として知られる天然に存在する単一ドメイン抗原結合分子である。このような単一ドメイン分子は、例えば、国際公開第9404678号パンフレット及びHamers-Casterman,C.et al.(1993)Nature 363:446-448に記載されている。明確化するために、天然に軽鎖を欠く重鎖分子由来のこの可変ドメインは、ここでは、4鎖免疫グロブリンの慣用のVHと区別するためにVHH又はナノボディとして知られている。このようなVHH分子は、ラクダ科(Camelidae)種、例えばラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカ及びグアナコ由来であり得る。ラクダ科(Camelidae)以外の他の種は、天然に軽鎖を欠く重鎖分子を産生し得、このようなVHHは、本開示の範囲内である。
SDAB分子は、組換え、CDR移植、ヒト化、ラクダ化、脱免疫化及び/又はインビトロ産生され得る(例えば、ファージディスプレイにより選択)。
受容体の抗原結合ドメイン間を相互作用する抗原結合ドメインを含む複数のキメラ膜包埋受容体を有する細胞は、例えば、抗原結合ドメインの1つ以上がその同族抗原に結合することを阻止するため、望ましくない可能性があることも判明した。従って、本明細書に開示されるのは、このような相互作用を最小化する、抗原結合ドメインを含む第1及び第2の天然に存在しないキメラ膜包埋受容体を有する細胞である。また、本明細書に開示されるのは、このような相互作用を最小化する抗原結合ドメインを含む第1及び第2の天然に存在しないキメラ膜包埋受容体をコードする核酸並びにこのような細胞及び核酸を製造及び使用する方法である。一部の実施形態において、第1及び第2の天然に存在しないキメラ膜包埋受容体の抗原結合ドメインの一方は、scFvを含み、他方は、単一VHドメイン、例えばラクダ科、サメ若しくはヤツメウナギ単一VHドメイン又はヒト若しくはマウス配列由来の単一VHドメインを含む。
一部の実施形態において、本明細書における組成物は、第1及び第2のCARを含み、第1及び第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、可変軽ドメイン及び可変重ドメインを含まない。一実施形態において、第1及び第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、scFvであり、他方は、scFvではない。一実施形態において、第1及び第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、単一VHドメイン、例えばラクダ科、サメ若しくはヤツメウナギ単一VHドメイン又はヒト若しくはマウス配列由来の単一VHドメインを含む。一実施形態において、第1及び第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、ナノボディを含む。一実施形態において、第1及び第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、ラクダ科VHHドメインを含む。
一実施形態において、第1及び第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、scFvを含み、他方は、単一VHドメイン、例えばラクダ科、サメ若しくはヤツメウナギ単一VHドメイン又はヒト若しくはマウス配列由来の単一VHドメインを含む。一実施形態において、第1及び第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、scFvを含み、他方は、ナノボディを含む。一実施形態において、第1及び第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、scFvを含み、他方は、ラクダ科VHHドメインを含む。
一実施形態において、細胞の表面上に存在するとき、第1のCARの抗原結合ドメインのその同族抗原への結合は、第2のCARの存在により実質的に低減されない。一実施形態において、第2のCARの存在下の第1のCARの抗原結合ドメインのその同族抗原への結合は、第2のCARの非存在下の第1のCARの抗原結合ドメインのその同族抗原への結合の少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%、例えば85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%である。
一実施形態において、細胞の表面上に存在するとき、第1及び第2のCARの抗原結合ドメインは、両方がscFv抗原結合ドメインである場合より少なく互いに結合する。一実施形態において、第1及び第2のCARの抗原結合ドメインは、両方がscFv抗原結合ドメインである場合より少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%少なく、例えば85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%少なく互いに結合する。
CAR活性を強化する薬剤の共発現
一部の実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、別の薬剤、例えばCAR発現細胞の活性又は適応度を増強する薬剤をさらに発現できる。
例えば、一部の実施形態において、薬剤は、T細胞機能を調節又は制御する、例えば、阻害する分子を阻害する薬剤であり得る。一部の実施形態において、T細胞機能を調節又は制御する分子は、阻害分子である。阻害分子、例えば、PD1は、一部の実施形態において、CAR発現細胞が免疫エフェクター応答を開始する能力を減少させ得る。阻害分子の例は、PD1、PD-L1、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14又はCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン又はTGFβを含む。
一部の実施形態において、例えば本明細書に記載されるような、薬剤、例えば阻害性核酸、例えばdsRNA、例えばsiRNA若しくはshRNA;又は例えば阻害性タンパク質若しくはシステム、例えば群生性等間隔短回文反復配列(CRISPR)、転写-アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)又は亜鉛フィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)を使用して、CAR発現細胞においてT細胞の機能を調節又は制御する、例えば阻害する、分子の発現を阻害することができる。一部の実施形態において、薬剤は、shRNA、例えば本明細書に記載のshRNAである。一部の実施形態において、T細胞機能を調節又は制御する、例えば阻害する薬剤は、CAR発現細胞内で阻害される。例えば、T細胞機能を調節又は制御する、例えば阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子は、CARの成分、例えば全ての成分をコードする核酸に連結される。
一部の実施形態において、薬剤は、例えば、PD1、PD-L1、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14又はCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン若しくはTGFβ又はこれらのいずれかのフラグメント(例えば、これらのいずれかの少なくとも細胞外ドメインの部分)などの阻害分子の第1のポリペプチド及び本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインである第2のポリペプチド(例えば、共刺激ドメイン(例えば、本明細書に記載のような例えば41BB、CD27又はCD28)及び/又は一次シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載のCD3ζシグナル伝達ドメインを含む)である第2のポリペプチドを含む。一部の実施形態において、薬剤は、PD1又はそのフラグメント(例えば、PD1の少なくとも細胞外ドメインの部分)の第1のポリペプチド並びに本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載のCD28シグナル伝達ドメイン及び/又は本明細書に記載のCD3ζシグナル伝達ドメイン)の第2のポリペプチドを含む。PD1は、CD28、CTLA-4、ICOS及びBTLAも含む受容体のCD28ファミリーの阻害性メンバーである。PD-1は、活性化B細胞、T細胞及び骨髄細胞に発現される(Agata et al.1996 Int.Immunol 8:765-75)。PD1に対する2リガンド、PD-L1及びPD-L2は、PD1への結合によりT細胞活性化を下方制御することが示されている(Freeman et al.2000 J Exp Med 192:1027-34;Latchman et al.2001 Nat Immunol 2:261-8;Carter et al.2002 Eur J Immunol 32:634-43)。PD-L1は、ヒト癌において豊富である(Dong et al.2003 J Mol Med 81:281-7;Blank et al.2005 Cancer Immunol.Immunother 54:307-314;Konishi et al.2004 Clin Cancer Res 10:5094)。免疫抑制は、PD1とPD-L1との局所相互作用の阻害により逆転できる。
一部の実施形態において、薬剤は、阻害分子、例えばプログラム細胞死1(PD1)(本明細書ではPD1 CARと称する)の細胞外ドメイン(ECD)を含み、膜貫通ドメイン及び41BB及びCD3ζなどの細胞内シグナル伝達ドメインに融合され得る。一部の実施形態において、PD1 CARは、本明細書に記載のXCARと組み合わせで使用したとき、T細胞の残留性を改善する。一部の実施形態において、CARは、配列番号24において下線で示すPD1の細胞外ドメインを含むPD1 CARである。一部の実施形態において、PD1 CARは、配列番号24のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、PD1 CARは、配列番号22のアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態において、薬剤は、PD1 CAR、例えば本明細書に記載のPD1 CARをコードする核酸配列を含む。一部の実施形態において、PD1 CARの核酸配列は、PD1 ECDに下線を施した配列番号23として提示される。
別の例において、一部の実施形態において、CAR発現細胞の活性を増強する薬剤は、共刺激分子又は共刺激分子リガンドであり得る。共刺激分子の例には、MHCクラスI分子、BTLA及びTollリガンド受容体並びにOX40、CD27、CD28、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)及び4-1BB(CD137)が含まれる。そのような共刺激分子のさらなる例は、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a及びCD83と特異的に結合するリガンド、例えば本明細書に記載されるようなものを含む。共刺激分子リガンドの例には、CD80、CD86、CD40L、ICOSL、CD70、OX40L、4-1BBL、GITRL及びLIGHTが含まれる。実施形態において、共刺激分子リガンドは、CARの共刺激分子ドメインと異なる共刺激分子のリガンドである。実施形態において、共刺激分子リガンドは、CARの共刺激分子ドメインと同一の共刺激分子のリガンドである。一部の実施形態において、共刺激分子リガンドは4-1BBLである。一部の実施形態において、共刺激リガンドは、CD80又はCD86である。一部の実施形態において、共刺激分子リガンドはCD70である。実施形態において、本明細書に記載されるCAR発現免疫エフェクター細胞は、1つ以上の追加の共刺激分子又は共刺激分子リガンドを発現するようにさらに操作され得る。
CARとケモカイン受容体の共発現
実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞、例えばCD19CAR発現細胞は、さらに、ケモカイン受容体分子を含む。T細胞におけるケモカイン受容体CCR2b又はCXCR2のトランスジェニック発現は、黒色腫及び神経芽腫を含むCCL2-又はCXCL1分泌固形腫瘍への輸送を促進する(Craddock et al.,J Immunother.2010 Oct;33(8):780-8及びKershaw et al.,Hum Gene Ther.2002 Nov 1;13(16):1971-80)。そのため、理論に拘束されることを望むものではないが、腫瘍、例えば、固形腫瘍によって分泌されるケモカインを認識するCAR発現細胞で発現されるケモカイン受容体は、CAR発現細胞の腫瘍への帰巣を改善し、CAR発現細胞の腫瘍への浸潤を促進し、及びCAR発現細胞の抗腫瘍効果を増強すると考えられる。ケモカイン受容体分子は、天然に存在する又は組換えケモカイン受容体又はそのケモカイン結合フラグメントを含み得る。本明細書に記載のCAR発現細胞(例えば、CAR-Tx)における発現に適するケモカイン受容体分子は、CXCケモカイン受容体(例えば、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6又はCXCR7)、CCケモカイン受容体(例えば、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10又はCCR11)、CX3Cケモカイン受容体(例えば、CX3CR1)、XCケモカイン受容体(例えば、XCR1)又はそのケモカイン結合フラグメントを含む。一部の実施形態において、本明細書に記載のCARと共に発現するケモカイン受容体分子は、腫瘍によって分泌されるケモカインに基づき選択する。一部の実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、さらに、CCR2b受容体又はCXCR2受容体を含む、例えば、発現する。一部の実施形態において、本明細書に記載のCAR及びケモカイン受容体分子は、同じベクターにある又は2つの異なるベクターにある。本明細書に記載のCAR及びケモカイン受容体分子が同じベクターに実施形態において、CAR及びケモカイン受容体分子は、各々、2つの異なるプロモーターの制御下にあるか又は同じプロモーターの制御下にある。
CARをコードする核酸構築物
本開示は、本明細書に記載される1つ以上のCAR構築物(例えば、1つ以上のCCAR構築物)をコードする核酸分子を含む免疫エフェクター細胞、例えば本明細書に記載の方法によって作製されたものも提供する。一部の実施形態において、核酸分子は、メッセンジャーRNA転写物として提供される。一部の実施形態において、核酸分子は、DNA構築物として提供される。
本明細書に記載される核酸分子は、DNA分子、RNA分子又はそれらの組み合わせであり得る。一部の実施形態において、核酸分子は、本明細書に記載されるようなCARポリペプチドをコードするmRNAである。他の実施形態において、核酸分子は、前述の核酸分子のいずれかを含むベクターである。
一部の実施形態において、本開示のCARの抗原結合ドメイン(例えば、scFv)は、その配列が哺乳動物細胞における発現のためにコドン最適化されている核酸分子によってコードされる。一部の実施形態において、本開示のCAR構築物全体は、その配列全体が哺乳動物細胞での発現のためにコドン最適化されている核酸分子によってコードされる。コドン最適化とは、コーディングDNAにおける同義コドン(すなわち同じアミノ酸をコードするコドン)の出現頻度が異なる種に偏っているという発見を指す。そのようなコドン縮重は、同一のポリペプチドが様々なヌクレオチド配列によってコードされることを可能にする。様々なコドン最適化方法が当技術分野で知られており、例えば少なくとも米国特許第5,786,464号明細書及び同第6,114,148号明細書に開示される方法が含まれる。
従って、一部の実施形態において、免疫エフェクター細胞、例えば本明細書に記載の方法によって作製されたものは、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸分子を含み、CARは、本明細書に記載の腫瘍抗原に結合する抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン(例えば、本明細書に記載の膜貫通ドメイン)並びに刺激ドメイン、例えば共刺激シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載の共刺激シグナル伝達ドメイン)及び/又は一次シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載の一次シグナル伝達ドメイン、例えば本明細書に記載のζ鎖)を含む細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。
本開示は、CARをコードする核酸分子、例えば本明細書に記載の核酸分子が挿入されているベクターも提供する。レンチウイルスなどのレトロウイルス由来のベクターは、それらが導入遺伝子の長期の安定した組み込み及び娘細胞への伝播を可能にするため、長期遺伝子導入を達成するのに適するツールである。レンチウイルスベクターは、肝細胞などの非増殖細胞を形質導入できる点で、マウス白血病ウイルスなどのオンコ-レトロウイルス由来のベクターを超えるさらなる利点を有する。さらに、それらは、低免疫原性であるという付加的利点も有する。レトロウイルスベクターは、例えば、γレトロウイルスベクターでもあり得る。γレトロウイルスベクターは、例えば、プロモーター、パッケージングシグナル(ψ)、プライマー結合部位(PBS)、1つ以上の(例えば、2)末端反復配列(LTR)及び目的の導入遺伝子、例えば、CARをコードする遺伝子を含み得る。γレトロウイルスベクターは、gag、pol及びenvなどのウイルス構造的遺伝子を欠き得る。例示的なγレトロウイルスベクターは、マウス白血病ウイルス(MLV)、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)及び骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)及びそれら由来のベクターを含む。他のγレトロウイルスベクターは、例えば、Tobias Maetzig et al.,“Gammaretroviral Vectors:Biology,Technology and Application”Viruses.2011 Jun;3(6):677-713に記載される。
一部の実施形態において、所望のCARをコードする核酸を含むベクターは、アデノウイルスベクター(A5/35)である。一部の実施形態において、CARをコードする核酸の発現は、sleeping beauty、crisper、CAS9及び亜鉛フィンガーヌクレアーゼなどのトランスポゾンを使用して達成できる。参照により本明細書に包含される下記のJune et al.2009 Nature Reviews Immunology 9.10:704-716を参照されたい。
概説すると、CARをコードする天然又は合成核酸の発現は、典型的には、CARポリペプチドをコードする核酸又はその一部をプロモーターに操作可能に連結させ、その構築物を発現ベクターに取り込むことにより達成される。ベクターは、真核生物での複製及び組込みに適し得る。典型的クローニングベクターは、所望の核酸配列の発現の制御に有用な転写及び翻訳ターミネーター、開始配列及びプロモーターを含む。
核酸は、多数のタイプのベクターにクローン化できる。例えば、核酸は、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルス及びコスミドを含むが、これらに限定されないベクターにクローン化できる。特に興味深いベクターは、発現ベクター、複製ベクター、プローブ産生ベクター及びシークエンシングベクターを含む。
さらに、発現ベクターは、ウイルスベクターの形で細胞に提供され得る。ウイルスベクターテクノロジーは当分野で周知であり、例えば、Sambrook et al.,2012,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,volumes 1 -4,Cold Spring Harbor Press,NY及び他のウイルス学及び分子生物学マニュアルに記載されている。ベクターとして有用なウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス及びレンチウイルスを含むが、これらに限定されない。一般に、適当なベクターは、少なくとも1生物で機能的な複製起点、プロモーター配列、便利な制限エンドヌクレアーゼ部位及び1つ以上の選択可能マーカーを含む(例えば、国際公開第01/96584号パンフレット;国際公開第01/29058号パンフレット;及び米国特許第6,326,193号明細書)。
多数のウイルスベースの系が、哺乳動物細胞への遺伝子移入のために開発されている。例えば、レトロウイルスは、遺伝子送達系のための簡便なプラットフォームを提供する。選択した遺伝子を、当分野で知られる技術を使用して、ベクターに挿入し、レトロウイルス粒子に包装できる。次いで、組換えウイルスが単離され、対象の細胞にインビボ又はエクスビボで送達され得る。多数のレトロウイルス系が当分野で知られる。一実施形態において、アデノウイルスベクターを使用する。多数のアデノウイルスベクターが当分野で知られる。一部の実施形態において、レンチウイルスベクターを使用する。
さらなるプロモーター要素、例えば、エンハンサーは、転写開始の頻度を制御する。典型的には、これらは、開始部位の上流30~110bpの領域に位置するが、多数のプロモーターが、同様に開始部位の下流に機能的要素を含むことが示されている。プロモーター要素間の空間はしばしば可動性であり、そのため、要素が互いに逆になったとき又は移動したときにプロモーター機能が保持される。チミジンキナーゼ(tk)プロモーターにおいて、プロモーター要素間の空間は、活性が落ち始める前、50bp離れるまで増加し得る。プロモーターにより、個々の要素は、転写を活性化するために協調的又は独立的に機能できるように見える。代表的プロモーターは、CMV IE遺伝子、EF-1α、ユビキチンC又はホスホグリセロキナーゼ(PGK)プロモーターを含む。
哺乳動物T細胞においてCARコード核酸分子を発現することができるプロモーターの例は、EF1aプロモーターである。天然EF1aプロモーターは、アミノアシルtRNAのリボソームへの酵素送達を担う伸長因子-1複合体のαサブユニットの発現を駆動する。EF1aプロモーターは、哺乳動物発現プラスミドで広く使用されており、レンチウイルスベクターにクローン化された核酸分子からCAR発現を駆動するのに有効であることが示されている。例えば、Milone et al.,Mol.Ther.17(8):1453-1464(2009)を参照されたい。一部の実施形態において、EF1aプロモーターは、実施例で提供される配列を含む。
プロモーターの別の例は、最初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列である。このプロモーター配列は、それに操作可能に連結したあらゆるポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を駆動できる、強い構成的プロモーター配列である。しかしながら、サルウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)末端反復配列(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、トリ白血病ウイルスプロモーター、エプスタイン-バーウイルス最初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーターを含むが、これらに限定されない他の構成的プロモーター配列並びにアクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、伸長因子-1αプロモーター、ヘモグロビンプロモーター及びクレアチンキナーゼプロモーターなど、しかし、これらに限定されないヒト遺伝子プロモーターも使用し得る。さらに、本開示は、構成的プロモーターの使用に限定すべきではない。誘導性プロモーターも本開示の一部であるとして意図される。誘導性プロモーターの使用は、操作可能に連結したポリヌクレオチド配列の発現を、発現が望まれるときに発現を活性化し、発現が望まれないときに発現を遮断することができる分子スイッチを提供する。誘導性プロモーターの例は、メタロチオネインプロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター及びテトラサイクリンプロモーターを含むが、これらに限定されない。
プロモーターの別の例は、ホスホグリセラートキナーゼ(PGK)プロモーターである。実施形態において、切断PGKプロモーター(例えば、野生型PGKプロモーター配列と比較したとき、1つ以上の、例えば、1、2、5、10、100、200、300又は400ヌクレオチド欠失を有するPGKプロモーター)が望ましいことがある。
PGKプロモーター例のヌクレオチド配列を下に提供する。
WT PGKプロモーター:
例示的な切断型PGKプロモーター:
PGK100:
PGK200:
PGK300:
PGK400:
ベクターは、例えば、分泌を促進するためのシグナル配列、ポリアデニル化シグナル及び転写ターミネーター(例えば、ウシ成長ホルモン(BGH)遺伝子から)、エピソーム複製及び原核生物における複製を可能にする要素(例えばSV40起源及びColE1又は当分野で知られるその他)及び/又は選択を可能にする要素(例えば、アンピシリン耐性遺伝子及び/又はゼオシンマーカー)も含み得る。
CARポリペプチド又はその一部の発現を評価するために、細胞に導入する発現ベクター遺伝子導入又はウイルスベクターによる感染が探求される細胞の集団から発現細胞から発現細胞の同定及び選択を容易にするために、選択可能マーカー遺伝子又はレポーター遺伝子又は両者も含み得る。一部の実施形態において、選択可能マーカーは、DNAの別の断面に担持され、共トランスフェクション法において使用される。選択可能マーカー及びレポーター遺伝子のいずれも、宿主細胞における発現が可能であるように、適切な制御配列が隣接し得る。有用な選択可能マーカーは、例えば、neoなどの抗生物質耐性遺伝子を含む。
レポーター遺伝子は、恐らく遺伝子導入されている細胞を同定し、制御配列の機能性を評価するために使用される。一般に、レポーター遺伝子は、レシピエント生物又は組織に存在又は発現されず、発現がある容易に検出可能な特性、例えば、酵素活性により顕在化されるポリペプチドをコードする、遺伝子である。レポーター遺伝子の発現を、DNAがレシピエント細胞に導入されてから適当な時間後にアッセイする。適当なレポーター遺伝子は、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌型アルカリホスファターゼ又は緑色蛍光タンパク質遺伝子をコードする遺伝子を含み得る(例えば、Ui-Tei et al.,2000 FEBS Letters 479:79-82)。適当な発現系は周知であり、既知技術により製造でき又は商業的に入手できる。一般に、レポーター遺伝子の最高レベルの発現を示す最小5’フランキング領域を有する構築物をプロモーターとして同定する。このようなプロモーター領域は、レポーター遺伝子に連結し、プロモーター駆動転写を調節する能力について薬剤を評価するのに使用し得る。
実施形態において、ベクターは、CAR、例えば本明細書に記載のCAR、例えばCD19CAR及び第2のCAR、例えば阻害性CAR又はCD19以外の抗原に特異的に結合するCARをコードする2つ以上の核酸配列を含み得る。このような実施形態において、2以上のCARをコードする核酸配列は、同じフレームにおいて単一核分子により且つ単一ポリペプチド鎖としてコード化される。一部の実施形態において、2以上のCARは、例えば、1つ以上のペプチド開裂部位によって分けられ得る(例えば、自己開裂部位又は細胞内プロテアーゼのための基質)。ペプチド切断部位の例には、T2A、P2A、E2A又はF2A部位が含まれる。
細胞に遺伝子を導入し、発現させる方法は当分野で知られる。発現ベクターに関連して、ベクターは、任意の方法、例えば当技術分野で知られたものにより、宿主細胞、例えば哺乳動物、細菌、酵母又は昆虫細胞に容易に導入できる。例えば、例えば、発現ベクターは、物理的、化学的又は生物学的手段により、宿主細胞に移入される。
宿主細胞にポリヌクレオチドを導入するための物理的方法は、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、微粒子銃、微量注入、エレクトロポレーションなどを含む。ベクター及び/又は外来性核酸を含む細胞を産生する方法は、当分野で周知である。例えば、Sambrook et al.,2012,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,volumes 1 -4,Cold Spring Harbor Press,NYを参照されたい)。宿主細胞へのポリヌクレオチドの導入するための適切な方法は、リン酸カルシウムトランスフェクションである。
宿主細胞に目的のポリヌクレオチドを導入するための生物学的方法は、DNA及びRNAベクターの使用を含む。ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、哺乳動物、例えば、ヒト細胞への遺伝子挿入に最も広く使用される方法となってきている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルス及びアデノ関連ウイルスなどに由来し得る。例えば、米国特許第5,350,674号明細書及び同第5,585,362号明細書を参照されたい。
宿主細胞にポリヌクレオチドを導入するための化学的手段は、巨大分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズ及び水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル及びリポソームを含む脂質ベースの系などのコロイド分散体系を含む。インビトロ及びインビボで送達媒体として使用するための代表的コロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。標的化ナノ粒子又は他の適当なサブミクロンサイズの送達系を用いるポリヌクレオチドの送達など、最新式の核酸の標的化送達の他の方法が利用可能である。
非ウイルス送達系を利用する場合、代表的送達媒体はリポソームである。脂質製剤の使用は、宿主細胞への核酸の導入のために意図される(インビトロ、エクスビボ又はインビボ)。一部の実施形態において、核酸は、脂質と結合され得る。脂質と結合した核酸は、リポソームの水性内部への被包、リポソームの脂質二重層内への分散、リポソームとオリゴヌクレオチドの両者と結合する連結分子を介するリポソームへの結合、リポソームへの封入、リポソームとの複合体化、脂質含有溶液への分散、脂質との混合、脂質との組み合わせ、脂質中の懸濁液としての包含、ミセル内への包含又は複合体化又は他の方法で脂質と結合する。脂質、脂質/DNA又は脂質/発現ベクター結合組成物は、溶液中の何らかの特定の構造に限定されない。例えば、それらは、二重層構造において、ミセルとして又は「崩壊」構造を有して存在し得る。それらはまた、単に溶液に分散され、恐らくサイズ又は形が均一ではない凝集体を形成し得る。脂質は、天然に存在する又は合成脂質であり得る脂肪物質である。例えば、脂質は、細胞質に天然に生じる脂肪滴並びに脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール及びアルデヒドなどの長鎖脂肪族炭化水素を含む化合物群及びその誘導体を含む。
使用に適する脂質は、商業的供給源から得ることができる。例えば、ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)は、Sigma,St.Louis,MOから得ることができ、リン酸ジセチル(「DCP」)はK&K Laboratories(Plainview,NY)から得ることができ;コレステロール(「Choi」)はCalbiochem-Behringから得ることができ、ジミリスチルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)及び他の脂質は、Avanti Polar Lipids,Inc.(Birmingham,AL.)から得ることができる。クロロホルム又はクロロホルム/メタノール中の脂質の原液を、約-20℃で保存できる。クロロホルムを、メタノールよりも容易に揮発するために、唯一の溶媒として使用する。「リポソーム」は、封入された脂質二重層又は凝集体の産生により形成される多様な単及び多層状脂質媒体を包含する一般的用語である。リポソームは、リン脂質二重層膜及び内部水性媒体を伴う小胞構造を有することにより特徴付けられる。多層状リポソームは、水性媒体によって分離された、複数の脂質層を有する。それらは、リン脂質が過剰の水溶液に懸濁されたときに自然に形成される。脂質要素は、閉構造形成前に自己凝集し、水及び溶解した溶質を脂質二重層間に封入する(Ghosh et al.,1991 Glycobiology 5:505-10)。しかしながら、通常の小胞構造と異なる構造を溶液で有する組成物も包含される。例えば、脂質は、ミセル構造であるか又は単に脂質分子の不均一凝集体として存在すると考えられ得る。リポフェクタミン-核酸複合体も考慮される。
外来性核酸を宿主細胞に導入する又はそうでなければ細胞を本開示の阻害剤に曝す方法に関係なく、宿主細胞における組換え核酸配列の存在を確認するために、多様なアッセイを行い得る。このようなアッセイは、例えば、サザン及びノーザンブロッティング、RT-PCR及びPCRなどの当業者に周知の「分子生物学的」アッセイ、薬剤の同定に使用するための、例えば、免疫学的手段(ELISA及びウェスタンブロット)により、特定のペプチドの存在又は不在を検出するような「生化学的」アッセイ又は本開示の範囲内に入る本明細書に記載のアッセイを含む。
ナチュラルキラー細胞受容体(NKR)CAR
一部の実施形態において、本明細書に記載のCAR分子はナチュラルキラー細胞受容体(NKR)の1つ以上の成分を含み、それによりNKR-CARを形成する。NKR成分は、次のナチュラルキラー細胞受容体のいずれか由来の膜貫通ドメイン、ヒンジドメイン又は細胞質ドメインであり得る:キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、例えば、KIR2DL1、KIR2DL2/L3、KIR2DL4、KIR2DL5A、KIR2DL5B、KIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、DIR2DS5、KIR3DL1/S1、KIR3DL2、KIR3DL3、KIR2DP1及びKIR3DP1;天然細胞傷害性受容体(NCR)、例えば、NKp30、NKp44、NKp46;免疫細胞受容体のシグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAM)ファミリー、例えばCD48、CD229、2B4、CD84、NTB-A、CRACC、BLAME及びCD2F-10;Fc受容体(FcR)、例えばCD16及びCD64;及びLy49受容体、例えばLY49A、LY49C。本明細書に記載のNKR-CAR分子は、アダプター分子又は細胞内シグナル伝達ドメイン、例えばDAP12と相互作用し得る。NKR要素を含むCAR分子の例示的な配置及び配列は、国際公開第2014/145252号パンフレットに記載され、その内容が参照により本明細書に援用される。
スプリットCAR
一実施形態において、CAR発現細胞は、スプリットCARを使用する。スプリットCARアプローチは、国際公開第2014/055442号パンフレット及び国際公開第2014/055657号パンフレットにより詳細に記載されている。簡潔には、スプリットCAR系は、第1の抗原結合ドメイン及び共刺激ドメイン(例えば、41BB)を有する第1のCARを発現する細胞を含み、細胞は、第2の抗原結合ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζ)を有する第2のCARも発現する。細胞が第1の抗原に遭遇したとき、共刺激ドメインが活性化され、細胞が増殖する。細胞が第2の抗原に遭遇したとき、細胞内シグナル伝達ドメインが活性化され、殺細胞活性が開始される。そのため、CAR発現細胞は、両方の抗原の存在下でのみ完全活性化される。
RNAトランスフェクション
インビトロで転写されたRNA CARを産生する方法が本明細書に開示される。RNA CAR及びそれを使用する方法は、例えば、2015年3月13日に出願された国際公開第2015/142675号パンフレットの段落553~570に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
免疫エフェクター細胞は、メッセンジャーRNA(mRNA)によってコードされたCARを含み得る。一部の実施形態において、本明細書に記載のCARをコードするmRNAは、CAR発現細胞の産生のために、例えば本明細書に記載される方法によって作製される、免疫エフェクター細胞に導入される。
一部の実施形態において、インビトロ転写RNA CARを一過性トランスフェクションの形態として細胞に導入できる。RNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)産生鋳型を使用するインビトロ転写により産生される。任意の供給源からの目的のDNAを、適切なプライマー及びRNAポリメラーゼを使用してインビトロmRNA合成のための鋳型にPCRにより直接変換できる。DNAの供給源は、例えば、ゲノムDNA、プラスミドDNA、ファージDNA、cDNA、合成DNA配列又はDNAのあらゆる他の適切な供給源であり得る。インビトロ転写のための所望の鋳型は本明細書中に記載されるCARである。例えば、RNA CARの鋳型は、本明細書に記載の腫瘍関連抗原に対する抗体の単鎖可変ドメインを含む細胞外領域;ヒンジ領域(例えば、本明細書に記載のヒンジ領域)、膜貫通ドメイン(例えば、CD8aの膜貫通ドメインなどの本明細書に記載の膜貫通ドメイン);及び細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメイン、例えばCD3-ζのシグナル伝達ドメイン及び4-1BBのシグナル伝達ドメインを含むものを含む細胞質領域を含む。
一部の実施形態において、PCRに使用するDNAは、オープンリーディングフレームを含む。DNAは、生物のゲノムからの天然に存在するDNA配列由来であり得る。一部の実施形態において、核酸は、5’及び/又は3’非翻訳領域(UTR)のいくらか又は全てを含み得る。核酸は、エクソン及びイントロンを含み得る。一部の実施形態において、PCRに使用するDNAは、ヒト核酸配列である。一部の実施形態において、PCRに使用するDNAは、5’及び3’UTRを含むヒト核酸配列である。DNAは、代わりに、天然に存在する生物で通常発現されない人工DNA配列であり得る。例示的な人工DNA配列は、融合タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを形成するようにライゲートされた遺伝子の部分を含むものである。ライゲートされたDNAの部分は、単一生物由来又は1つを超える生物由来であり得る。
PCRを使用して、トランスフェクションに使用するmRNAのインビトロ転写のための鋳型を産生する。PCRを実施する方法は、当技術分野で周知である。PCRにおいて使用するプライマーは、PCRのための鋳型として使用するDNAの領域に実質的に相補的である領域を有するように設計する。本明細書で使用する「実質的に相補的」は、プライマー配列の残基の大部分又は全てが相補的であるか又は1つ以上の塩基が非相補的又はミスマッチである、ヌクレオチドの配列を指す。実質的に相補的な配列は、PCRに使用するアニーリング条件下においてDNA標的とアニール又はハイブリダイズできる。プライマーは、DNA鋳型の任意の部分と実質的に相補的であるように設計できる。例えば、プライマーは、5’及び3’UTRを含む、細胞において通常転写される(オープンリーディングフレーム)核酸の部分を増幅するように設計できる。プライマーは、目的の特定のドメインをコードする核酸の部分を増幅するようにも設計できる。一部の実施形態において、プライマーは、5’及び3’UTRの全て又は一部を含む、ヒトcDNAのコーディング領域を増幅するように設計される。PCRに有用なプライマーは、当技術分野で周知の合成法により産生できる。「順方向プライマー」は、増幅するDNA配列の上流であるDNA鋳型上にヌクレオチドに対して実質的に相補的であるヌクレオチドの領域を含むプライマーである。「上流」は、コード鎖に対して、増幅するDNA配列に対する5位を指すために本明細書で使用する。「逆方向プライマー」は、増幅するDNA配列の下流である、二本鎖DNA鋳型に対して実質的に相補的なヌクレオチドの領域を含むプライマーである。「下流」は、コード鎖に対して、増幅するDNA配列に対する3’位を指すために本明細書で使用する。
PCRに有用なあらゆるDNAポリメラーゼを本明細書に開示する方法で使用できる。試薬及びポリメラーゼは、多数の供給元から市販されている。
安定性及び/又は翻訳効率を促進する能力を有する化学構造も使用し得る。実施形態において、RNAは、5’及び3’UTRを有する。一部の実施形態において、5’UTRは、1~3000ヌクレオチド長である。コーディング領域に付加する5’及び3’UTR配列の長さは、UTRの異なる領域をアニールするPCRのためのプライマーの設計を含むが、これに限定されない異なる方法により変わり得る。このアプローチを使用して、当業者は、転写RNAのトランスフェクション後、最適翻訳効率を達成するのに必要な5’及び3’UTR長を修飾できる。
5’及び3’UTRは、目的の核酸のための天然に存在する内在性5’及び3’UTRであり得る。代わりに、目的の核酸に対して内在性ではないUTR配列を順方向及び逆方向プライマーへのUTR配列の取り込みにより又は鋳型の任意の他の修飾により付加できる。目的の核酸に対して内在性ではないUTR配列の使用は、RNAの安定性及び/又は翻訳効率の修飾のために有用であり得る。例えば、3’UTR配列のAUリッチ要素は、mRNAの安定性を低下させ得ることが知られる。従って、3’UTRを、当技術分野で周知であるUTRの特性に基づき、転写されたRNAの安定性を増加するように選択及び設計できる。
一部の実施形態において、5’UTRは、内在性核酸のKozak配列を含み得る。代わりに、目的の核酸に対して内在性ではない5’UTRを上記のようにPCRにより付加するとき、コンセンサスKozak配列を5’UTR配列の付加により再設計できる。Kozak配列は、あるRNA転写物の翻訳効率を上げることができるが、効率的翻訳を可能とするために全RNAで必要であるように見えない。多くのmRNAについてのKozak配列に対する必要性は、当技術分野で公知である。他の実施形態において、5’UTRは、RNAゲノムが細胞で安定であるRNAウイルスの5’UTRであり得る。他の実施形態において、種々のヌクレオチドアナログを、mRNAのエキソヌクレアーゼ分解を妨害するために3’又は5’UTRにおいて使用できる。
遺伝子クローニングの必要性なしにDNA鋳型からのRNAの合成を可能にするために、転写のプロモーターは、転写する配列の上流のDNA鋳型に結合すべきである。RNAポリメラーゼのプロモーターとして機能する配列が順方向プライマーの5’末端に追加されるとき、RNAポリメラーゼプロモーターは、転写されるオープンリーディングフレームの上流のPCR産物に取り込まれる。一部の実施形態において、プロモーターは、本明細書の他の箇所に記載するような、T7ポリメラーゼプロモーターである。他の有用なプロモーターは、T3及びSP6 RNAポリメラーゼプロモーターを含むが、これらに限定されない。T7、T3及びSP6プロモーターのコンセンサスヌクレオチド配列が当技術分野で公知である。
一部の実施形態において、mRNAは、リボソーム結合、翻訳開始及び細胞におけるmRNAの安定性を決定する、5’末端及び3’ポリ(A)テールの両者にキャップを有する。環状DNA鋳型、例えばプラスミドDNA上において、RNAポリメラーゼは、真核細胞における発現に適しない長いコンカテマー産物を産生する。3’UTRの末端で直線化されたプラスミドDNAの転写は、転写後ポリアデニル化されても、真核トランスフェクションに有効ではない正常サイズのmRNAを生じる。
直鎖状DNA鋳型で、ファージT7 RNAポリメラーゼは、鋳型の最後の塩基を越えて転写物の3’末端を伸長できる(Schenborn and Mierendorf,Nuc Acids Res.,13:6223-36(1985);Nacheva and Berzal-Herranz,Eur.J.Biochem.,270:1485-65(2003))。
DNA鋳型に伸びるポリ(A)/Tの組込みの慣用法は、分子クローニングである。しかしながら、プラスミドDNAに統合されたポリ(A)/T配列は、プラスミド不安定性を生じ得、これは、細菌細胞から得たプラスミドDNA鋳型が多くの場合に欠失及び他の異常で高度に汚染されている理由である。これにより、クローニング工程は、困難で時間がかかるだけでなく、多くの場合に信頼できないものとなる。これが、クローニングを伴わないポリ(A)/T 3’ストレッチを有するDNA鋳型の産生を可能にする方法が非常に望ましい理由である。
転写DNA鋳型のポリ(A)/Tセグメントは、100Tテール(配列番号31)などのポリTテールを含む逆方向プライマーを使用するPCR中(サイズは、50~5000Tであり得る(配列番号32))又はDNAライゲーション若しくはインビトロ組換えを含むが、これらに限定されない任意の他の方法によりPCR後に産生できる。ポリ(A)テールはまた、RNAに安定性を提供し、その分解を減らす。一般に、ポリ(A)テールの長さは、転写されたRNAの安定性と正に相関する。一部の実施形態において、ポリ(A)テールは、100~5000アデノシンである(例えば、配列番号33)。
RNAのポリ(A)テールは、大腸菌(E.coli)ポリ(A)ポリメラーゼ(E-PAP)のなどのポリ(A)ポリメラーゼの使用により、インビトロ転写後にさらに伸長できる。一部の実施形態において、ポリ(A)テールの100ヌクレオチドから300~400ヌクレオチドへの長さの延長(配列番号34)は、RNAの翻訳効率の約2倍の増加を生じる。さらに、3’末端への異なる化学基の付加は、mRNA安定性を増加させ得る。このような結合は、修飾/人工ヌクレオチド、アプタマー及び他の化合物を含み得る。例えば、ATPアナログは、ポリ(A)ポリメラーゼを使用してポリ(A)テールに取り込まれ得る。ATPアナログは、RNAの安定性をさらに高め得る。
5’キャップもRNA分子に安定性を提供する。一部の実施形態において、本明細書に開示する方法により産生されたRNAは、5’キャップを含む。5’キャップは、当技術分野で公知であり、本明細書に記載の技術を使用して提供される(Cougot,et al.,Trends in Biochem.Sci.,29:436-444(2001);Stepinski,et al.,RNA,7:1468-95(2001);Elango,et al.,Biochim.Biophys.Res.Commun.,330:958-966(2005))。
本明細書に開示する方法により産生されたRNAは、配列内リボソーム進入部位(IRES)配列も含み得る。IRES配列は、mRNAへのキャップ非依存的リボソーム結合を開始し、翻訳開始を促進するあらゆるイルス、染色体又は人工設計配列であり得る。糖、ペプチド、脂質、タンパク質、抗酸化剤及び界面活性剤などの細胞透過性及び生存能を促進する因子を含有し得る、細胞電気穿孔に適した任意の溶質が含まれ得る。
RNAを、多数の異なる方法、例えば商業的に利用可能な方法のいずれかを使用して標的細胞に導入でき、これは、電気穿孔(Amaxa Nucleofector-II(Amaxa Biosystems,Cologne,Germany))、(ECM 830(BTX)(Harvard Instruments,Boston,Mass.)又はGene Pulser II(BioRad,Denver,Colo.)、Multiporator(Eppendort,Hamburg Germany)、リポフェクションを使用するカチオン性リポソーム介在トランスフェクション、ポリマー封入、ペプチド介在トランスフェクション又は「遺伝子銃」などの微粒子銃粒子送達系(例えば、Nishikawa,et al.Hum Gene Ther.,12(8):861-70(2001)を参照されたい)を含むが、これらに限定されない。
非ウイルス送達方法
一部の実施形態において、非ウイルス方法を使用して、本明細書に記載のCARをコードする核酸を細胞又は組織又は対象に送達できる。
一部の実施形態において、非ウイルス方法は、トランスポゾン(転位因子とも呼ばれる)の使用を含む。一部の実施形態において、トランスポゾンは、ゲノムの位置にそれ自体挿入できるDNAのフラグメント、例えば自己複製性であり、そのコピーをゲノムに挿入することができるDNAのフラグメント又は長い核酸の外にスプライシングされ、ゲノムの別の場所に挿入されることができるDNAのフラグメントである。例えば、トランスポゾンは、転位のための逆位反復フランキング遺伝子からなるDNA配列を含む。
例示的なトランスポゾンを使用する核酸送達法は、Sleeping Beautyトランスポゾン系(SBTS)及びpiggyBac(商標)(PB)トランスポゾン系を含む。例えば、Aronovich et al.Hum.Mol.Genet.20.R1(2011):R14-20;Singh et al.Cancer Res.15(2008):2961-2971;Huang et al.Mol.Ther.16(2008):580-589;Grabundzija et al.Mol.Ther.18(2010):1200-1209;Kebriaei et al.Blood.122.21(2013):166;Williams.Molecular Therapy 16.9(2008):1515-16;Bell et al.Nat.Protoc.2.12(2007):3153-65;及びDing et al.Cell.122.3(2005):473-83(これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
SBTSは2つの成分:1)導入遺伝子を含むトランスポゾン、及び2)トランスポサーゼ酵素の供給源を含む。トランスポサーゼは、担体プラスミド(又は他のドナーDNA)から、宿主細胞染色体/ゲノムなどの標的DNAにトランスポゾンを転位できる。例えば、トランスポサーゼは、担体プラスミド/ドナーDNAに結合し、トランスポゾン(導入遺伝子含有)をプラスミドの外に切り出し、宿主細胞のゲノムに入れる。例えば、Aronovich et al.上掲を参照されたい。
例示的なトランスポゾンは、pT2ベースのトランスポゾンを含む。例えば、全て参照により本明細書に組み込まれるGrabundzija et al.Nucleic Acids Res.41.3(2013):1829-47;及びSingh et al.Cancer Res.68.8(2008):2961-2971を参照されたい。例示的なトランスポサーゼは、Tc1/mariner型トランスポサーゼ、例えばSB10トランスポサーゼ又はSB11トランスポサーゼを含む(例えば、サイトメガロウイルスプロモーターから発現できる機能亢進トランスポサーゼ)。例えば、全て参照により本明細書に組み込まれるAronovich et al.;Kebriaei et al.;及びGrabundzija et al.を参照されたい。
SBTSの使用は、導入遺伝子、例えば本明細書に記載のCARをコードする核酸の効率的組込み及び発現を可能にする。例えば、SBTSなどのトランスポゾン系を使用する、本明細書に記載のCARを安定に発現する細胞、例えばT細胞又はNK細胞を産生する方法が本明細書に提供される。
本明細書に記載の方法により、一部の実施形態において、SBTS成分を含む1つ以上の核酸、例えばプラスミドが細胞に送達される(例えば、T細胞又はNK細胞)。例えば、核酸は、核酸(例えば、プラスミドDNA)送達の標準法、例えば本明細書に記載の方法、例えば電気穿孔、トランスフェクション又はリポフェクションにより送達される。一部の実施形態において、核酸は、導入遺伝子、例えば本明細書に記載のCARをコードする核酸を含むトランスポゾンを含む。一部の実施形態において、核酸は、導入遺伝子(例えば、本明細書に記載のCARをコードする核酸)を含むトランスポゾン並びにトランスポサーゼ酵素をコードする核酸配列を含む。他の実施形態において、例えば、デュアルプラスミド系、例えば第1のプラスミドが導入遺伝子を含むトランスポゾンを含み、第2のプラスミドがトランスポサーゼ酵素をコードする核酸配列を含む、2核酸の系が提供される。例えば、第1及び第2の核酸は、宿主細胞に共送達される。
一部の実施形態において、本明細書に記載のCARを発現する細胞、例えばT細胞又はNK細胞は、ヌクレアーゼ(例えば、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、CRISPR/Cas系又は操作されたメガヌクレアーゼ再操作ホーミングエンドヌクレアーゼ)を使用するSBTS及び遺伝子編集の遺伝子挿入の組み合わせを使用して産生される。
一部の実施形態において、非ウイルス送達方法の使用は、細胞、例えばT細胞又はNK細胞の再プログラミング及び対照への細胞の直接注入を可能にする。非ウイルスベクターの利点は、患者集団に見合うために必要な十分量の産生が容易且つ比較的安価であること、保存中の安定性及び免疫原性の欠如を含むが、これらに限定されない。
製造/生産の方法
一部の実施形態において、本明細書に開示される方法は、細胞(例えば、本明細書に記載されるような免疫エフェクター細胞)での処置後にT細胞枯渇剤を投与すること、それによりCAR発現細胞(例えば、CD19CAR発現細胞)を減少させる(例えば、枯渇させる)ことをさらに含む。そのようなT細胞枯渇剤は、CAR発現細胞(例えば、CD19CAR発現細胞)を効果的に枯渇させて、毒性を緩和するために使用することができる。一部の実施形態において、CAR発現細胞は、本明細書の方法に従って製造され、例えば本明細書の方法に従ってアッセイされた(例えば、トランスフェクション又は形質導入前又は後)。
一部の実施形態において、T細胞枯渇剤は、本明細書に記載の細胞、例えば免疫エフェクター細胞の集団の投与の1、2、3、4又は5週間後に投与される。
一部の実施形態において、T細胞枯渇剤は、例えば、抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)及び/又は補体誘導性細胞死を誘導することにより、CAR発現細胞を枯渇させる薬剤である。例えば、本明細書に記載のCAR発現細胞は、細胞死、例えば、ADCC又は補体誘導性細胞死を誘発できる分子により認識される抗原(例えば、標的抗原)も発現し得る。例えば、本明細書に記載のCAR発現細胞は、抗体又は抗体フラグメントにより標的化され得る標的タンパク質(例えば、受容体)も発現し得る。このような標的タンパク質の例は、EpCAM、VEGFR、インテグリン(例えば、インテグリンανβ3、α4、αΙ3/4β3、α4β7、α5β1、ανβ3、αν)、TNF受容体スーパーファミリーのメンバー(例えば、TRAIL-R1、TRAIL-R2)、PDGF受容体、インターフェロン受容体、葉酸受容体、GPNMB、ICAM-1、HLA-DR、CEA、CA-125、MUC1、TAG-72、IL-6受容体、5T4、GD2、GD3、CD2、CD3、CD4、CD5、CD11、CD11a/LFA-1、CD15、CD18/ITGB2、CD19、CD20、CD22、CD23/lgE受容体、CD25、CD28、CD30、CD33、CD38、CD40、CD41、CD44、CD51、CD52、CD62L、CD74、CD80、CD125、CD147/ベイシジン、CD152/CTLA-4、CD154/CD40L、CD195/CCR5、CD319/SLAMF7及びEGFR及びその切断バージョン(例えば、1つ以上の細胞外エピトープを保持するが、細胞質ドメイン内の1つ以上の領域を欠くバージョン)を含むが、これらに限定されるものではない。
一部の実施形態において、CAR発現細胞は、CAR及び標的タンパク質を共発現し、例えば、天然で標的タンパク質を発現するか、又は標的タンパク質を発現するように操作される。例えば、細胞、例えば免疫エフェクター細胞の集団は、CAR核酸(例えば、本明細書に記載されるようなCAR核酸)及び標的タンパク質をコードする核酸を含む核酸(例えば、ベクター)を含み得る。
一部の実施形態において、T細胞枯渇剤は、CD52阻害剤、例えば抗CD52抗体分子、例えばアレムツズマブである。
他の実施形態において、細胞、例えば免疫エフェクター細胞の集団は、本明細書に記載されるようなCAR分子(例えば、CD19CAR)及びT細胞枯渇剤によって認識される標的タンパク質を発現する。一部の実施形態において、標的タンパク質はCD20である。標的タンパク質がCD20である実施形態において、T細胞除去剤は抗CD20抗体、例えばリツキシマブである。
前述の方法のいずれかのさらなる実施形態において、方法は、細胞、例えば造血幹細胞又は骨髄を、哺乳動物に移植することをさらに含む。
一部の実施形態において、本開示は、細胞移植前に哺乳動物をコンディショニングする方法を特徴とする。方法は、哺乳動物に、CAR核酸又はポリペプチド、例えばCD19CAR核酸又はポリペプチドを含む、有効量の細胞を投与することを含む。一部の実施形態において、細胞移植は、幹細胞移植、例えば、造血幹細胞移植又は骨髄移植である。他の実施形態において、細胞移植前に対象をコンディショニングすることは、対象における標的発現細胞、例えばCD19発現正常細胞又はCD19発現癌細胞の数を減少させることを含む。
水簸
一部の実施形態において、本明細書に記載の方法は、不要な細胞、例えば単球及び芽細胞を除去し、これにより、CAR発現に好適な所望の免疫エフェクター細胞の濃縮改善を達成する水簸法を特徴とする。一部の実施形態では、本明細書に記載の水簸法は、事前に凍結したサンプル、例えば解凍サンプルからのCAR発現に好適な所望の免疫エフェクター細胞の濃縮のために最適化される。一部の実施形態では、本明細書に記載の水簸法は、当技術分野で公知の水簸プロトコルから収集される細胞の調製物と比較して、純度が向上した細胞の調製物を提供する。一部の実施形態では、本明細書に記載の水簸法は、特定の等張液(例えば、PBS)を用いた希釈による出発サンプル、例えば細胞サンプル、例えば解凍した細胞サンプルの最適化された粘度の使用並びに水簸装置により収集される各画分の流量及び収集量の最適化された組み合わせの使用を含む。本開示に適用することができる例示的な水簸法は、国際公開第2017/117112号パンフレット(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)の48~51ページに記載されている。
密度勾配遠心分離
養子細胞治療製品の製造は、末梢血アフェレーシス出発材料中に存在する血液細胞及び血液成分の複合混合物から離れて、所望の細胞、例えば免疫エフェクター細胞をプロセシングすることを必要とする。末梢血由来のリンパ球サンプルは、フィコール溶液による密度勾配遠心分離を用いた分離に成功している。しかし、フィコールは、臨床使用に適格ではないため、フィコールは、治療用途で細胞を分離するのに好ましい試薬ではない。さらに、フィコールは、グリコールを含有し、これは、細胞に対して毒性を有する可能性がある。さらに、凍結保存後の解凍アフェレーシス産物のフィコール密度勾配遠心分離は、例えば、本明細書の実施例に記載されるように、準最適なT細胞産物をもたらす。例えば、フィコール溶液による密度勾配遠心分離によって分離された細胞調製物では、非T細胞、特に望ましくないB細胞、芽細胞及び単球の相対的な増加と共に、最終産物でのT細胞の喪失が観察された。
理論に縛られることを意図しないが、免疫エフェクター細胞、例えばT細胞は、凍結保存中に脱水して、新鮮な細胞よりも密度が高くなると考えられる。理論に縛られることを意図しないが、免疫エフェクター細胞、例えばT細胞は、他の血液細胞よりも長い間密度が高いままであるため、他の細胞よりも容易にフィコール密度勾配分離中に失われることも考えられる。従って、理論に縛られることを意図しないが、フィコールより大きい密度の培地は、フィコール又はフィコールと同じ密度、例えば1.077g/mLを有する他の培地と比較して、所望の免疫エフェクター細胞の分離の改善を提供すると考えられる。
一部の実施形態において、本明細書に記載の密度勾配遠心分離法は、イオジキサノールを含む密度勾配媒体の使用を含む。一部の実施形態において、密度勾配媒体は、水中に約60%のイオジキサノールを含む。
一部の実施形態において、本明細書に記載の密度勾配遠心分離法は、フィコールより大きい密度を有する密度勾配媒体の使用を含む。一部の実施形態において、本明細書に記載の密度勾配遠心分離法は、1.077g/mL超、例えば1.077g/mL超、1.1g/mL超、1.15g/mL超、1.2g/mL超、1.25g/mL超、1.3g/mL超、1.31g/mL超の密度を有する密度勾配媒体の使用を含む。一部の実施形態では、密度勾配媒体は、約1.32g/mLの密度を有する。
密度勾配遠心分離の別の実施形態は、国際公開第2017/117112号パンフレット(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)の51~53ページに記載されている。
選択による濃縮
CAR発現に適した所望の免疫エフェクター細胞の濃縮を改善するための特定の細胞の選択方法が本明細書に提供される。一部の実施形態において、選択は、ポジティブ選択、例えば所望の免疫エフェクター細胞の選択を含む。一部の実施形態では、選択は、ネガティブ選択、例えば望ましくない細胞の選択、例えば望ましくない細胞の除去を含む。複数の実施形態において、本明細書に記載されるポジティブ又はネガティブ選択方法は、例えば、フロースルー装置、例えば本明細書に記載のフロースルー装置の使用により、流動条件下で実施される。例示的なポジティブ及びネガティブ選択は、国際公開第2017/117112号パンフレット(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)の53~57ページに記載されている。選択方法は、細胞プロセシングシステムとも呼ばれるフロースルー装置を使用することにより流動条件下で実施して、CAR発現に好適な所望の免疫エフェクター細胞、例えばT細胞の細胞調製物をさらに濃縮することができる。例示的なフロースルー装置は、国際公開第2017/117112号パンフレット(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)の57~70ページに記載されている。例示的な細胞分離及び脱ビーズ(debeading)方法は、国際公開第2017/117112号パンフレット(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)の70~78ページに記載されている。
選択手順は、国際公開第2017/117112号パンフレットの57~70ページに記載されているものに限定されない。カラム技術(CliniMACS(登録商標)Plus又はCliniMACS(登録商標)Prodigy(登録商標))と組み合わせてCD19、CD14及びCD26 Miltenyiビーズを用いる不要な細胞の除去によるネガティブT細胞選択又はCD4及びCD8 Miltenyiビーズ及びカラム技術(CliniMACS(登録商標)Plus又はCliniMACS(登録商標)Prodigy(登録商標))の組み合わせを用いたポジティブT細胞選択を使用することができる。代わりに、放出可能なCD3ビーズ(GE Healthcare)を用いたカラムフリー技術を使用することもできる。
加えて、ThermoGenesis X-シリーズ装置などのビーズフリー技術も使用することができる。
臨床用途
本明細書に記載のプロセス、全て臨床医薬品製造(cGMP)基準に従って実施することができる。
これらのプロセスは、特に製造プロセス開始時の未処理の出発材料(特に細胞)の収集並びに細胞療法用の細胞の選択若しくは拡大のための製造プロセス中の細胞精製、富化、採取、洗浄、濃縮又は細胞培地交換のために使用され得る。
細胞は、任意の複数の細胞を含み得る。細胞は、同じ細胞型又は混合された細胞型のものであり得る。加えて、細胞は、一人のドナー、例えば細胞療法のための自己ドナー又は単一同種異系ドナーに由来するものであり得る。細胞は、患者から、例えば白血球アフェレーシス又はアフェレーシスから取得され得る。細胞は、T細胞を含み得、例えば50%超のT細胞、60%超のT細胞、70%超のT細胞、80%超のT細胞又は90%超のT細胞を有する集団を含み得る。
選択プロセスは、培養及び拡大前に、細胞を選択する上で特に有用となり得る。例えば、抗CD3及び/又は抗CD28でコーティングされた常磁性粒子を使用して、キメラ抗原受容体(CAR)若しくは他のタンパク質をコードする核酸の伸長又は導入のためにT細胞を選択することができる。こうしたプロセスを使用して、急性リンパ性白血病(ALL)の治療のためにCTL019 T細胞を生産する。
本明細書に開示される脱ビーズプロセス及びモジュールは、特に、細胞療法用の細胞の製造、例えば培養及び増殖前又は後の細胞の精製に有用であり得る。例えば、抗CD3及び/又は抗CD28抗体でコーティングされた常磁性粒子を使用して、T細胞、例えばキメラ抗原受容体(CAR)又は他のタンパク質をコードする核酸の導入によって修飾された若しくは修飾されるであろうT細胞を、CARがT細胞により発現されるように、選択的に増殖させることができる。こうしたT細胞の製造中、脱ビーズプロセス又はモジュールを用いて、T細胞を常磁性粒子から分離することができる。このような脱ビーズプロセス又はモジュールを用いて、例えば急性リンパ芽球性白血病(ALL)の処置のためのCTL019 T細胞を生産する。
例として示される1つのこうしたプロセスでは、細胞、例えばT細胞をドナー(例えば、自己キメラ抗原受容体T細胞産物で処置しようとする患者)からアフェレーシス(例えば、白血球アフェレーシス)により収集する。続いて、収集した細胞を任意選択で例えば水簸ステップ又は標的細胞(例えば、T細胞)のポジティブ若しくはネガティブ選択によって精製し得る。次に、常磁性粒子、例えば抗CD3/抗CD28コーティング常磁性粒子を細胞集団に添加して、T細胞を増殖させることができる。このプロセスは、形質導入ステップも含み得、このステップにおいて、1つ以上の所望のタンパク質、例えばCAR、例えばCD19を標的化するCARをコードする核酸が細胞に導入される。核酸は、レンチウイルスベクター中に導入され得る。細胞、例えばレンチウイルスにより形質導入された細胞を例えば好適な培地の存在下で例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10若しくはそれを超える日数の期間にわたって増殖することができる。増殖後、本明細書に開示される脱ビーズプロセス/モジュールを用いて、常磁性粒子から所望のT細胞を分離することができる。このプロセスは、本開示のプロセスに従う1つ以上の脱ビーズステップを含み得る。次に、脱ビーズした細胞を、患者への投与のために製剤化することができる。CAR T細胞及びそれらの製造の例は、例えば、国際公開第2012/079000号パンフレット(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)にさらに記載されている。本開示のシステム及び方法は、国際公開第2012/079000号パンフレットに記載されるか又はそれに関連する任意の細胞分離/精製/脱ビーズプロセスに使用され得る。別のCAR T製造プロセスは、例えば、国際公開第2016109410号パンフレット及び同第2017117112号パンフレット(それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
本明細書に記載のシステム及び方法は、従来のシステム及び方法と比較して、化学物質との曝露が少ないか又は曝露せずに、望ましい細胞の無駄を少なくし、細胞外傷を低減すると共に、細胞からの磁気及びあらゆる非常磁性粒子をより確実に除去することにより、他の細胞療法製品にも同様に利益をもたらし得る。
上には本開示の例示的な実施形態のみが具体的に記載されているが、これらの例の修正及び変更は、本開示の趣旨及び意図される範囲から逸脱することなく、可能であることは理解されよう。例えば、磁気モジュール及びそれらを含むシステムは、記載されるものに加えて様々な配置に構成及び使用され得る。それ以外にも、非磁気モジュールを同様に使用することができる。加えて、システム及び方法は、本明細書に具体的に記載されていない別の成分及びステップを含み得る。例えば、方法は、プライミングを含み得、この場合、流体をまず1成分に導入して、気泡を除去し、細胞懸濁液又はバッファー運動に対する抵抗を低減する。さらに、複数の実施形態は、本明細書に記載の方法で使用するための本明細書に記載のシステムの一部のみを含む場合もある。例えば、複数の実施形態は、細胞を分離若しくは脱ビーズして細胞産物を生産することができる完全なシステムを形成するために、非使い捨て装置内で使用可能な使い捨てモジュール、ホースなどに関連し得る。
本開示と組み合わせることができる追加の製造方法及びプロセスは、当技術分野で記載されている。例えば、国際公開第2017/117112号パンフレットの86~91ページには、改善された洗浄ステップ及び改善された製造プロセスが記載されている。
免疫エフェクター細胞の供給源
この項では、所望の免疫エフェクター細胞を含むインプットサンプルを取得し、所望の免疫エフェクター細胞、例えばT細胞を分離及びプロセシングし、且つ不要な物質、例えば不要な細胞を除去するための追加の方法又はステップを提供する。この項に記載される追加の方法又はステップは、先行項に記載される水簸、密度勾配遠心分離、流動条件下での選択又は改善された洗浄ステップのいずれかと組み合わせて使用することができる。
細胞の供給源、例えばT細胞若しくはナチュラルキラー(NK)細胞は、対象から取得することができる。対象の例として、ヒト、サル、チンパンジー、イヌ、ネコ、マウス、ラット及びそれらのトランスジェニック種が挙げられる。T細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織及び腫瘍を含む、多数の供給源から得ることができる。
本開示の一部の実施形態において、免疫エフェクター細胞、例えばT細胞は、当業者に周知の任意の数の技術及び本明細書に開示される方法のいずれかを使用して、それらのステップの任意の組み合わせで、対象から収集した血液の単位から得ることができる。一部の実施形態では、個体の循環血液からの細胞をアフェレーシスにより取得する。アフェレーシス産物は、典型的にはT細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球を含めたリンパ球、赤血球及び血小板を含む。一部の実施形態では、アフェレーシスにより収集された細胞は、血漿画分を除去するために洗浄し、任意選択で、続くプロセシングステップのために細胞を適切なバッファー又は培地に入れ得る。一部の実施形態では、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄する。一部の実施形態では、洗浄溶液はカルシウムを欠き、マグネシウムを欠き得るか、又は全てではないとしても多くの二価カチオンを欠き得る。一部の実施形態において、細胞は、本明細書に記載の改善された洗浄ステップを使用して洗浄される。
カルシウム非存在下での初期活性化ステップは、活性化の増強をもたらすことができる。当業者に容易に認識されるように、洗浄ステップは、当業者に公知の方法により、例えば製造業者の指示に従う半自動化「フロースルー」遠心分離(例えば、Cobe 2991細胞処理装置、Baxter CytoMate(商標)又はHaemonetics Cell Saver 5)、Haemonetics Cell Saver Elite(GE Healthcare Sepax若しくはSefia)又はスピニングメンブレンろ過技術を利用する装置(Fresenius Kabi LOVO)を使用することにより達成され得る。洗浄後、細胞を、例えば無Ca、無Mg PBS、PlasmaLyte A、ヒト血清アルブミン(HSA)を補充したPBS-EDTA又はバッファーを含む又は含まない他の食塩水溶液など、多様な生体適合性バッファーに再懸濁し得る。代わりに、アフェレーシスサンプルの望ましくない成分を除去した後、細胞を培養培地に直接再懸濁し得る。
一部の実施形態において、所望の免疫エフェクター細胞、例えばT細胞は、赤血球を溶解し、例えばPERCOLL(商標)勾配による遠心分離又は向流遠心水簸により単球を枯渇させることにより、末梢血リンパ球から単離する。
本明細書に記載の方法は、例えば、本明細書に記載の、例えばネガティブ選択技術を使用する、例えばT制御性細胞枯渇集団、例えばCD25+枯渇細胞又はCD25high枯渇細胞である、免疫エフェクター細胞、例えばT細胞の、例えば特定の亜集団の選択を含み得る。一部の実施形態において、T制御性枯渇細胞の集団は、30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%未満のCD25+細胞又はCD25high細胞を含む。
一部の実施形態において、T制御性細胞、例えばCD25+T細胞又はCD25highT細胞を、抗CD25抗体若しくはそのフラグメント又はCD25結合リガンド、例えばIL-2を使用して集団から除去する。一部の実施形態では、抗CD25抗体若しくはそのフラグメント又はCD25結合リガンドを基質、例えばビーズにコンジュゲートするか、或いはそうでなければ基質、例えばビーズ上に被覆する。一部の実施形態では、抗CD25抗体又はそのフラグメントを、本明細書に記載されるような基質にコンジュゲートさせる。
一部の実施形態において、T制御性細胞、例えばCD25+T細胞又はCD25highT細胞は、Miltenyi(商標)からのCD25枯渇剤を使用して集団から除去する。一部の実施形態では、細胞対CD25枯渇剤の比は1e7細胞対20μL、又は1e7細胞対15μL、又は1e7細胞対10μL、又は1e7細胞対5μL、又は1e7細胞対2.5μL、又は1e7細胞対1.25μLである。一部の実施形態では、例えばT制御性細胞の場合、5億細胞/ml超を使用する。一部の実施形態では、6億、7億、8億又は9億細胞/mlの細胞濃度を使用する。
一部の実施形態において、枯渇させようとする免疫エフェクター細胞の集団は、約6×109のCD25+T細胞を含む。一部の実施形態では、枯渇させようとする免疫エフェクター細胞の集団は、約1×109~1×1010(及びその間の任意の整数値)のCD25+T細胞を含む。一部の実施形態では、得られるT制御性枯渇細胞集団は、2×109のT制御性細胞、例えばCD25+細胞若しくはCD25high細胞以下(例えば、1×109、5×108、1×108、5×107、1×107以下のT制御性細胞)を有する。
一部の実施形態において、T制御性細胞、例えばCD25+細胞又はCD25high細胞を、例えばチュービング162-01など、枯渇チュービングセットと共にCliniMAC系を使用して集団から除去する。一部の実施形態では、CliniMAC系を例えばDEPLETION2.1などの枯渇設定で作動させる。
特定の理論に縛られることを意図しないが、アフェレーシス前又はCAR発現細胞産物の製造工程中の対象における免疫細胞の負のレギュレーターのレベルの減少(例えば、不要な免疫細胞、例えばTreg細胞の数の減少)は、対象の再発リスクを有意に低下させる。例えば、Treg細胞を枯渇させる方法は当技術分野で知られている。Treg細胞を減少させる方法は、シクロホスファミド、抗GITR抗体(本明細書に記載の抗GITR抗体)、CD25枯渇及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態において、製造方法は、CAR発現細胞の製造前のTreg細胞の数の減少(例えば、枯渇)を含む。例えば、製造方法は、例えば、サンプル、例えばアフェレーシスサンプルと、抗GITR抗体及び/又は抗CD25抗体(若しくはそのフラグメント又はCD25結合リガンド)を接触させ、CAR発現細胞(例えば、T細胞、NK細胞)産物の製造前にTreg細胞を枯渇させることを含む。
理論に縛られることを意図しないが、アフェレーシス前又はCAR発現細胞産物の製造工程中の対象における免疫細胞の負のレギュレーターのレベルの減少(例えば、不要な免疫細胞、例えばTreg細胞の数の減少)は、対象の再発リスクを低下させることができる。一部の実施形態において、対象は、CAR発現細胞産物製造のための細胞採取前にTreg細胞を減らす1つ以上の治療で前処置されており、それにより対象がCAR発現細胞処置を再び必要とするリスクを低減する。一部の実施形態では、Treg細胞を減少させる方法は、シクロホスファミド、抗GITR抗体、CD25枯渇又はそれらの組み合わせの1つ以上の対象への投与を含むが、これに限定されない。一部の実施形態では、Treg細胞を減少させる方法は、シクロホスファミド、抗GITR抗体、CD25枯渇又はそれらの組み合わせの1つ以上の対象への投与を含むが、これに限定されない。シクロホスファミド、抗GITR抗体、CD25枯渇又はそれらの組み合わせの1つ以上の投与は、CAR発現細胞産物注入前、注入中又は注入後に行うことができる。シクロホスファミド、抗GITR抗体、CD25枯渇又はそれらの組み合わせの1つ以上の投与は、CAR発現細胞産物注入前、注入中又は注入後に行うことができる。
一部の実施形態において、製造方法は、CAR発現細胞製造前のTreg細胞の数の減少(例えば、枯渇)を含む。例えば、製造方法は、例えば、サンプル、例えばアフェレーシスサンプルと抗GITR抗体及び/又は抗CD25抗体(若しくはそのフラグメント又はCD25結合リガンド)を接触させ、CAR発現細胞(例えば、T細胞、NK細胞)産物の製造前にTreg細胞を枯渇させることを含む。
一部の実施形態において、対象は、CAR発現細胞産物製造のための細胞の採取前にシクロホスファミドで前処置され、それにより対象がCAR発現細胞処置(例えば、CTL019処置)を再び必要とするリスクを低減する。一部の実施形態では、対象は、CAR発現細胞(例えば、T細胞又はNK細胞)産物製造のための細胞の採取前に抗GITR抗体で前処置され、それにより対象がCAR発現細胞処置を再び必要とするリスクを低減する。
一部の実施形態において、CAR発現細胞(例えば、T細胞、NK細胞)製造プロセスは、CAR発現細胞(例えば、T細胞、NK細胞)産物(例えば、CTL019産物)の製造前にTreg細胞を枯渇させるように修飾される。一部の実施形態では、CD25枯渇を使用して、CAR発現細胞(例えば、T細胞、NK細胞)産物(例えば、CTL019産物)の製造前に、Treg細胞を枯渇させる。
一部の実施形態において、除去すべき細胞の集団は、制御性T細胞又は腫瘍細胞ではなく、CART細胞の増殖及び/又は機能に他にマイナスに影響する細胞、例えばCD14、CD11b、CD33、CD15又は潜在的免疫抑制性細胞により発現される他のマーカーを発現する細胞である。一部の実施形態では、このような細胞は、制御性T細胞及び/若しくは腫瘍細胞と同時に、又は前記枯渇後、又は別の順番で除去することが意図される。
本明細書に記載の方法は、2つ以上の選択ステップ、例えば2つ以上の枯渇ステップを含み得る。ネガティブ選択によるT細胞集団の濃縮は、例えば、ネガティブ選択される細胞に独特な表面マーカーを指向する抗体の組み合わせにより達成することができる。1つの方法は、ネガティブ選択される細胞に存在する細胞表面マーカーを指向するモノクローナル抗体のカクテルを使用する陰性磁気免疫粘着又はフローサイトメトリーによる細胞選別及び/又は選択である。例えば、ネガティブ選択によりCD4+細胞を富化するために、モノクローナル抗体カクテルは、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR及びCD8に対する抗体を含み得る。
本明細書に記載の方法は、腫瘍抗原、例えばCD25を含まない腫瘍抗原、例えばCD19、CD30、CD38、CD123、CD20、CD14又はCD11bを発現する細胞の集団からの除去をさらに含み、それによりCAR、例えば本明細書に記載のCARの発現に好適なT制御性枯渇、例えばCD25+枯渇又はCD25high枯渇及び腫瘍抗原枯渇細胞の集団を提供する。一部の実施形態では、腫瘍抗原発現細胞は、T制御性、例えばCD25+細胞又はCD25high細胞と同時に除去される。例えば、抗CD25抗体又はそのフラグメント及び抗腫瘍抗原抗体又はそのフラグメントを同じ基質、例えばビーズに結合することができ、これを細胞の除去に使用することができるか、或いは抗CD25抗体若しくはそのフラグメント又は抗腫瘍抗原抗体若しくはそのフラグメントを別のビーズに結合することができ、その混合物を細胞の除去に使用することができる。他の実施形態では、T制御性細胞、例えばCD25+細胞又はCD25high細胞の除去及び腫瘍抗原発現細胞の除去は逐次的であり、例えばいずれの順番でも起こり得る。
チェックポイント阻害剤、例えば本明細書に記載のチェックポイント阻害剤を発現する細胞、例えばPD1+細胞、LAG3+細胞及びTIM3+細胞の1つ以上の集団からの除去を含み、それによりT制御性枯渇、例えばCD25+枯渇細胞及びチェックポイント阻害剤枯渇細胞、例えばPD1+、LAG3+及び/又はTIM3+枯渇細胞の集団を提供する方法も提供される。例示的なチェックポイント阻害剤としては、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3及び/又はCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14又はCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン及びTGF(例えば、TGFβ)、例えば本明細書に記載されるようなものが挙げられる。一実施形態において、チェックポイント阻害剤発現細胞は、T制御性、例えばCD25+細胞又はCD25high細胞と同時に除去される。例えば、抗CD25抗体又はそのフラグメント及び抗チェックポイント阻害剤抗体又はそのフラグメントを同じビーズに結合することができ、それを細胞の除去に使用することができるか、又は抗CD25抗体若しくはそのフラグメント及び抗チェックポイント阻害剤抗体若しくはそのフラグメントを別のビーズに結合することができ、その混合物を細胞の除去に使用することができる。他の実施形態では、T制御性細胞、例えばCD25+細胞又はCD25high細胞の除去及びチェックポイント阻害剤発現細胞の除去は逐次的であり、例えばいずれの順番でも起こり得る。
本明細書に記載の方法は、ポジティブ選択ステップを含み得る。例えば、T細胞を、所望のT細胞のポジティブ選択に十分な時間、Dynabeads(登録商標)M-450 CD3/CD28 Tなどの抗CD3/抗CD28(例えば、3x28)コンジュゲートビーズと一緒にインキュベーションすることにより単離することができる。一部の実施形態では、時間は、約30分である。一部の実施形態では、時間は、30分~36時間又はそれより長い範囲及びその間の全部の整数値である。一部の実施形態では、時間は、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間又は6時間である。一部の実施形態では、時間は、10~24時間、例えば24時間である。腫瘍組織又は免疫不全状態の個体から腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)を単離する場合のように、他の細胞型と比較してT細胞が少ないあらゆる状況において、T細胞を単離するために長いインキュベーション時間が使用され得る。さらに、長いインキュベーション時間の使用は、CD8+T細胞の捕獲効率を高め得る。そのため、単にT細胞をCD3/CD28ビーズと結合させる時間を短縮若しくは延長し、且つ/又はビーズ対T細胞比を増加又は減少させる(本明細書に詳しく記載される通り)ことにより、培養開始時又はプロセス中の他の時点でT細胞の亜集団を優先的に又はその反対に選択することができる。加えて、ビーズ若しくは他の表面上の抗CD3及び/又は抗CD28抗体比を増加又は減少させることにより、培養開始時又は他の所望の時点でT細胞の亜集団を優先的に又はその反対に選択することができる。
一実施形態において、IFN-γ、TNFα、IL-17A、IL-2、IL-3、IL-4、GM-CSF、IL-10、IL-13、グランザイムB及びパーフォリン又は他の適切な分子、例えば他のサイトカインの1つ以上を発現するT細胞集団を選択することができる。細胞発現についてスクリーニングする方法は、例えば、国際公開第2013/126712号パンフレットに記載される方法により決定することができる。
ポジティブ又はネガティブ選択により所望の細胞の集団を単離するために、細胞及び表面(例えば、ビーズなどの粒子)の濃度は変わり得る。一部の実施形態において、細胞とビーズの最大接触を確実にするために、ビーズと細胞を一緒に混合する体積を有意に低下させる(例えば、細胞の濃度を増加させる)ことが望ましい場合もある。例えば、一部の実施形態では、100億細胞/ml、90億/ml、80億/ml、70億/ml、60億/ml又は50億/mlの濃度が使用される。一部の実施形態では、10億細胞/mlの濃度が使用される。一部の実施形態では、7500万、8000万、8500万、9000万、9500万又は1億細胞/mlの細胞濃度が使用される。一部の実施形態では、1億2500万又は1億5000万細胞/mlの濃度が使用され得る。
高濃度を使用して、細胞収率、細胞活性化及び細胞増殖を増加することができる。さらに、高細胞濃度の使用は、CD28陰性T細胞などの目的の標的抗原を弱く発現し得る細胞の又は多くの腫瘍細胞が存在するサンプル(例えば、白血病性血液、腫瘍組織など)からのより効率的な捕獲を可能にする。このような細胞集団は、治療価値を有し得るため、取得することが望ましい。例えば、高濃度細胞の使用は、通常CD28発現が弱いCD8+T細胞のより効率的な選択を可能にする。
一部の実施形態において、低濃度の細胞を使用することが望ましい場合がある。T細胞と表面(例えば、ビーズなどの粒子)の混合物を有意に希釈することにより、粒子と細胞の相互作用が最小化される。これは、粒子に結合する所望の抗原を高量で発現する細胞について選択する。例えば、CD4+T細胞は、高レベルのCD28を発現し、希釈濃度でCD8+T細胞より効率的に捕獲される。一部の実施形態では、使用する細胞の濃度は、5×106/mlである。一部の実施形態では、使用する濃度は、約1×105/ml~1×106/ml及びその間の任意の整数値であり得る。
一部の実施形態において、2~10℃又は室温のいずれかにおいて様々な長さの時間にわたり様々な速度のローテータ上で細胞をインキュベートし得る。
一部の実施形態において、集団の複数の免疫エフェクター細胞は、ジアグリセロールキナーゼ(DGK)を発現せず、例えばDGK欠損性である。一部の実施形態では、集団の複数の免疫エフェクター細胞は、Ikarosを発現せず、例えばIkaros欠損性である。一部の実施形態では、集団の複数の免疫エフェクター細胞は、DGK及びIkarosを発現せず、例えばDGK及びIkaros両方の欠損性である。
刺激のためのT細胞は、洗浄ステップ後に凍結させることもできる。理論に縛られることを意図しないが、凍結及びそれに続く解凍ステップは、細胞集団から顆粒球を、またある程度まで単球を除去することにより、より均一な産物を取得する。血漿及び血小板を除去する洗浄ステップ後、細胞を凍結溶液に懸濁することができる。多くの凍結溶液及びパラメーターが当技術分野で知られ、これに関連して有用であり、ある方法は、20%DMSO及び8%ヒト血清アルブミンを含むPBS又は10%Dextran 40及び5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミン及び7.5%DMSO又は31.25%Plasmalyte-A、31.25%デキストロース5%、0.45%NaCl、10%Dextran 40及び5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミン及び7.5%DMSOを含む培養培地又は例えばHespan及びPlasmaLyte Aを含む他の適当な細胞凍結媒体を使用することを伴い、次いで細胞を1°/分の速度で-80℃に凍結し、液体窒素貯蔵タンクの気相に保存する。制御凍結の他の方法も、直ちに-20℃又は液体窒素の非制御凍結と同様に使用することができる。
一部の実施形態において、凍結保存細胞を本明細書に記載されるように解凍し、洗浄し、本開示の方法を使用する活性化前に室温で1時間休息させる。
本開示に関連して、本明細書に記載されるような増殖細胞が必要となり得る時点前の期間における、対象からの血液サンプル又はアフェレーシス産物の採取も企図されている。従って、増殖させようとする細胞の供給源は、必要な任意の時点で採取することができ、T細胞などの所望の細胞は、本明細書に記載のものなど、免疫エフェクター細胞治療からの利益があるであろう任意の数の疾患又は状態について、免疫エフェクター細胞治療におけるその後の使用のために単離及び凍結することができる。一部の実施形態では、血液サンプル又はアフェレーシスは、概して健常な対象から採取する。一部の実施形態では、血液サンプル又はアフェレーシスは、疾患を発症するリスクにあるが、依然として疾患を発症していない、概して健常な対象から採取し、目的の細胞をその後の使用のために単離及び凍結する。一部の実施形態では、T細胞を増殖、凍結し、後の時点で使用することができる。一部の実施形態では、サンプルは、本明細書に記載されるような特定の疾患の診断の直後且つ何らかの処置前に患者から採取する。一部の実施形態では、任意の数の関連する処置モダリティー前に対象からの血液サンプル又はアフェレーシスから細胞を単離し、こうした処置モダリティーとして、限定されないが、ナタリズマブ、エファリズマブ、抗ウイルス剤、化学療法剤、放射線、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノレート及びFK506などの免疫抑制剤、抗体又は他の免疫除去剤、例えばCAMPATH、抗CD3抗体、シトキサン、フルダラビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228及び照射などの薬剤による処置が挙げられる。
本開示の一部の実施形態において、T細胞は、対象に機能的T細胞を残す処置後、患者から直接取得する。この点について、特定の癌処置、特に免疫系を損傷させる薬物での処置後、処置後間もなく、患者が通常その処置から回復するまでの間、得られるT細胞の品質がエクスビボで増殖する能力について最適であるか又は改善され得ることが観察されている。同様に、本明細書に記載の方法を使用するエクスビボ操作後、これらの細胞は、生着及びインビボ増殖増強について好ましい状態であり得る。このように、本開示に関連して、T細胞、樹状細胞又は造血細胞系統の他の細胞を含む血液細胞をこの回復期に採取することが企図される。さらに、一部の実施形態では、可動化(例えば、GM-CSFでの可動化)及びコンディショニングレジメンを使用して、特定の細胞型の再増殖、再循環、再生及び/又は増殖に好都合である条件を、特に、治療後の定められた時間枠中に対象において形成することができる。細胞型の例としては、T細胞、B細胞、樹状細胞及び免疫系の他の細胞が挙げられる。
一部の実施形態において、CAR分子、例えば本明細書に記載のCAR分子を発現する免疫エフェクター細胞は、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤を受けた対象から取得する。一部の実施形態において、CARを発現するように操作しようとする免疫エフェクター細胞の集団、例えばT細胞は、対象中の又は対象から採取したPD1陰性免疫エフェクター細胞、例えばT細胞のレベル又はPD1陰性免疫エフェクター細胞、例えばT細胞/PD1陽性免疫エフェクター細胞、例えばT細胞の比が少なくとも一過性に増加するように、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤の投薬から十分な時間後又は十分な投薬後に採取する。
他の実施形態では、CARを発現するように操作されているか又は操作される免疫エフェクター細胞、例えばT細胞の集団を、PD1陰性免疫エフェクター細胞、例えばT細胞の数を増加させるか、又はPD1陰性免疫エフェクター細胞、例えばT細胞/PD1陽性免疫エフェクター細胞、例えばT細胞の比を増大する量のmTOR阻害剤と接触させることにより、エクスビボで処理することができる。
本願の方法は、5%以下、例えば2%の、ヒトAB血清を含む培養培地条件を利用することができ、既知培養培地条件及び組成物、例えばSmith et al.,“Ex vivo expansion of human T cells for adoptive immunotherapy using the novel Xeno-free CTS(商標)Immune Cell Serum Replacement”Clinical&Translational Immunology(2015)4,e31;doi:10.1038/cti.2014.31に記載のものを用いることができることは認識される。
一部の実施形態において、本願の方法は、少なくとも約0.1%、0.5%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%又は10%の血清を含む培地条件を利用することができる。一部の実施形態では、培地は、約0.5%~5%、約0.5%~4.5%、約0.5%~4%、約0.5%~3.5%、約0.5%~3%、約0.5%~2.5%、約0.5%~2%、約0.5%~1.5%、約0.5%~1.0%、約1.0%~5%、約1.5%~5%、約2%~5%、約2.5%~5%、約3%~5%、約3.5%~5%、約4%~5%又は約4.5%~5%の血清を含む。一部の実施形態では、培地は、約0.5%の血清を含む。一部の実施形態では、培地は、約0.5%の血清を含む。一部の実施形態では、培地は、約1%の血清を含む。一部の実施形態では、培地は、約1.5%の血清を含む。一部の実施形態では、培地は、約2%の血清を含む。一部の実施形態では、培地は、約2.5%の血清を含む。一部の実施形態では、培地は、約3%の血清を含む。一部の実施形態では、培地は、約3.5%の血清を含む。一部の実施形態では、培地は、約4%の血清を含む。一部の実施形態では、培地は、約4.5%の血清を含む。一部の実施形態では、培地は、約5%の血清を含む。一部の実施形態では、血清は、ヒト血清、例えばヒトAB血清を含む。一部の実施形態では、血清は、採取後に自然凝固させたヒト血清、例えばoff-the-clot(OTC)血清である。一部の実施形態では、血清は、血漿由来血清ヒト血清である。血漿由来血清は、抗凝固剤、例えばクエン酸ナトリウムの存在下で採取されて、プールされたヒト血漿の脱線維によって生成することができる。
一部の実施形態において、本願の方法は、無血清培地を含む培地条件を利用することができる。一部の実施形態において、無血清培地は、OpTmizer(商標)CTS(商標)(LifeTech)、Immunocult(商標)XF(Stemcell technologies)、CellGro(商標)(CellGenix)、TexMacs(商標)(Miltenyi)、Stemline(商標)(Sigma)、Xvivo15(商標)(Lonza)、PrimeXV(商標登録)(Irvine Scientific)又はStemXVivo(商標登録)(RandD systems)である。無血清培地には、LifeTechのICSR(免疫細胞血清代替品)などの血清代替品を添加することができる。血清代替品(例えば、ICSR)のレベルは、例えば、最大5%、例えば約1%、2%、3%、4%又は5%であり得る。一部の実施形態において、無血清培地は、血清、例えばヒト血清、例えばヒトAB血清を添加し得る。一部の実施形態では、血清は、採取後に自然凝固させたヒト血清、例えばoff-the-clot(OTC)血清である。一部の実施形態では、血清は、血漿由来ヒト血清である。血漿由来血清は、抗凝固剤、例えばクエン酸ナトリウムの存在下で採取されて、プールされたヒト血漿の脱線維によって生成することができる。
一部の実施形態において、T細胞集団は、ジアグリセロールキナーゼ(DGK)欠損である。DGK欠損細胞は、DGK RNA又はタンパク質を発現しないか、又はDGK活性が低減若しくは阻害された細胞を含む。DGK欠損細胞は、DGK発現を低減又は阻止するための遺伝的手法、例えばRNA干渉剤、例えばsiRNA、shRNA、miRNAの投与によって作製することができる。代わりに、DGK欠損細胞は、本明細書に記載のDGK阻害剤での処理によって作製することもできる。
一部の実施形態において、T細胞集団は、イカロス欠損である。イカロス欠損細胞は、イカロスRNA又はタンパク質を発現しないか、又はイカロス活性が低下した又は阻害された細胞を含み、イカロス欠損細胞は、イカロス発現を低減又は阻止するための遺伝的手法、例えばRNA干渉剤、例えばsiRNA、shRNA、miRNAの投与によって作製することができる。代わりに、イカロス欠損細胞は、イカロス阻害剤、例えばレナリドマイドでの処理によって作製することができる。
複数の実施形態において、T細胞集団は、DGK欠損及びイカロス欠損であり、例えばDGK及びイカロスを発現しないか、又はDGK及びイカロス活性が低減若しくは阻害されている。このようなDGK及びイカロス欠損細胞は、本明細書に記載の方法のいずれかによって作製することができる。
一部の実施形態では、NK細胞を対象から取得する。一部の実施形態では、NK細胞は、NK細胞株、例えばNK-92細胞株(Conkwest)である。
同種CAR発現細胞
本明細書に記載の複数の実施形態において、免疫エフェクター細胞は、同種免疫エフェクター細胞、例えばT細胞又はNK細胞であり得る。例えば、細胞は、同種T細胞、例えば機能的T細胞受容体(TCR)及び/又はヒト白血球抗原(HLA)、例えばHLAクラスI及び/又はHLAクラスIIの発現を欠く同種T細胞であり得る。
機能的TCRを欠くT細胞は、例えば、その表面に何ら機能的TCRを発現しないように操作され、機能的TCRを含む1つ以上のサブユニットを発現しないように操作される(例えば、TCRα、TCRβ、TCRγ、TCRδ、TCRε及び/又はTCRζの発現がない(又は発現の減少を示す)ように操作される)か、又はその表面にごくわずかな機能的TCRを産生するように操作され得る。代わりに、T細胞は、例えば、TCRのサブユニットの1つ以上の変異型又は切断型の発現により、実質的に障害されたTCRを発現し得る。用語「実質的に障害されたTCR」とは、このTCRが、宿主で有害な免疫反応を惹起しないことを意味する。
本明細書に記載のT細胞は、例えば、その表面に機能的HLAを発現しないように操作され得る。例えば、本明細書に記載のT細胞は、細胞表面発現HLA、例えばHLAクラス1及び/又はHLAクラスIIが下方制御されるように操作され得る。一部の実施形態において、HLAの下方制御は、β-2ミクログロブリン(B2M)の発現の減少又は排除を伴い得る。
一部の実施形態において、T細胞は、機能的TCR及び機能的HLA、例えばHLAクラスI及び/又はHLAクラスIIを欠き得る。
機能的TCR及び/又はHLAの発現を欠く修飾T細胞は、TCR又はHLAの1つ以上のサブユニットのノックアウト又はノックダウンを含む、任意の適当な手段により得ることができる。例えば、T細胞は、siRNA、shRNA、群生性等間隔短回文反復配列(CRISPR)、転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)又は亜鉛フィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)を使用して、TCR及び/又はHLAのノックダウンを含み得る。
一部の実施形態において、同種細胞は、例えば、本明細書に記載の方法のいずれかにより、阻害性分子を発現しないか、又は低レベルで発現する細胞であり得る。例えば、細胞は、例えば、CAR発現細胞が免疫エフェクター応答を開始する能力を低下し得る、阻害分子を発現しないか、又は低レベルで発現する細胞であり得る。阻害分子の例は、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3及び/又はCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14又はCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン及びTGF(例えば、TGFβ)を含む。例えば、DNA、RNA又はタンパク質レベルでの阻害による、阻害分子の阻害は、CAR発現細胞性能を最適化できる。複数の実施形態において、例えば本明細書に記載されるような、阻害性核酸、例えば阻害性核酸、例えばdsRNA、例えばsiRNA若しくはshRNA、群生性等間隔短回文反復配列(CRISPR)、転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)又は亜鉛フィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)を使用することができる。
TCR又はHLAを阻害するためのsiRNA及びshRNA
一部の実施形態において、TCR発現及び/又はHLA発現を、細胞、例えばT細胞における、TCR及び/若しくはHLA並びに/又は本明細書に記載の阻害分子(例えば、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3及び/又はCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14又はCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン及びTGFβ)をコードする核酸を標的とするsiRNA又はshRNAを使用して、阻害することができる。
siRNA及びshRNAの発現系及び例示的なshRNAのための発現系は、例えば、2015年3月13日に出願された国際公開第2015/142675号パンフレットの段落649及び650に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
TCR又はHLAを阻害するためのCRISPR
本明細書で使用する「CRISPR」又は「TCR及び/又はHLAに対するCRISPR」又は「TCR及び/又はHLAを阻害するためのCRISPR」は、一連の群生性等間隔短回文反復配列又はこのような一連の反復を含む系を指す。本明細書で使用する「Cas」は、CRISPR関連タンパク質を指す。「CRISPR/Cas」系は、細胞、例えばT細胞における、TCR及び/若しくはHLA遺伝子並びに/又は本明細書に記載の阻害分子(例えば、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3及び/又はCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14又はCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン及びTGFβ)の発現抑制又は変異に使用することができる、CRISPR及びCas由来の系を指す。
CRISPR/Casシステム及びその使用は、例えば、2015年3月13日に出願された国際公開第2015/142675号パンフレットの段落651~658に記載され、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
TCR及び/又はHLAを阻害するためのTALEN
「TALEN」又は「HLA及び/又はTCRに対するTALEN」又は「HLA及び/又はTCRを阻害するためのTALEN」は、細胞、例えばT細胞における、HLA及び/若しくはTCR遺伝子並びに/又は本明細書に記載の阻害分子(例えば、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3及び/又はCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14又はCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン及びTGFβ)の編集に使用することができる人工ヌクレアーゼである、転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼを指す。
TALEN及びその使用は、例えば、2015年3月13日に出願された国際公開第2015/142675号パンフレットの段落659~665に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
HLA及び/又はTCRを阻害するための亜鉛フィンガーヌクレアーゼ
「ZFN」又は「亜鉛フィンガーヌクレアーゼ」又は「HLA及び/又はTCRに対するZFN」又は「HLA及び/又はTCRを阻害するためのZFN」は、細胞、例えばT細胞における、HLA及び/若しくはTCR遺伝子並びに/又は本明細書に記載の阻害分子(例えば、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3及び/又はCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14又はCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン及びTGFβ)の編集に使用することができる人工ヌクレアーゼである、亜鉛フィンガーヌクレアーゼを指す。
ZFN及びその使用は、例えば、2015年3月13日に出願された国際公開第2015/142675号パンフレットの段落666~671に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
テロメラーゼ発現
テロメアは、体細胞の持続に重要な役割を果たし、その長さはテロメラーゼ(TERT)によって維持される。CLL細胞のテロメア長は非常に短い可能性があり(Roth et al.,“Significantly shorter telomeres in T-cells of patients with ZAP-70+/CD38 chronic lymphocytic leukaemia”British Journal of Haematology,143,383-386.,August 28 2008)、製造されたCAR発現細胞、例えばCART19細胞ではさらに短くなる可能性があるため、患者への養子移入後にそれが増殖する可能性が制限される。テロメラーゼの発現は、CAR発現細胞を複製疲弊から救済することができる。
いずれか特定の理論に縛られることを意図しないが、一部の実施形態において、治療用T細胞は、T細胞中の短縮されたテロメアのために、患者における持続性が短期であり;従って、テロメラーゼ遺伝子を用いたトランスフェクションにより、T細胞のテロメアを延長し、患者におけるT細胞の持続性を改善することができる。Carl June,“Adoptive T cell therapy for cancer in the clinic”,Journal of Clinical Investigation,117:1466-1476(2007)を参照されたい。そのため、一部の実施形態では、免疫エフェクター細胞、例えばT細胞は、異所性にテロメラーゼサブユニットを、例えばテロメラーゼの触媒的サブユニット、例えばTERT、例えばhTERTを発現する。一部の実施形態では、本開示は、細胞と、テロメラーゼサブユニット、例えばテロメラーゼの触媒的サブユニット、例えばTERT、例えばhTERTをコードする核酸を接触させることを含む、CAR発現細胞を生産する方法を提供する。細胞は、CARをコードする構築物と接触させる前、それと同時又はその後に核酸と接触させることができる。
テロメラーゼの発現は安定しているか(例えば、核酸が細胞のゲノムに組み込まれ得る)又は一過性である(例えば、核酸が組み込まれず、一定の時間、例えば数日後に発現が低下する)可能性がある。安定した発現は、テロメラーゼサブユニット及び選択可能なマーカーをコードするDNAで細胞をトランスフェクト又は形質導入し、安定な組み込み体を選択することによって達成され得る。これに代わり又はこれと組み合わせて、安定した発現は、例えば、Cre/Lox又はFLP/FRTシステムを使用した、部位特異的組換えによって達成され得る。
一過性の発現は、核酸、例えばDNA又はmRNAなどのRNAによるトランスフェクション又は形質導入を含み得る。一部の実施形態において、一過性のmRNAトランスフェクションは、TERTによる安定したトランスフェクションに関連する場合のある遺伝的不安定性を回避する。外因性テロメラーゼ活性の一過性発現は、例えば、国際公開第2014/130909号パンフレットに記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。複数の実施形態において、テロメラーゼサブユニットのmRNAベースのトランスフェクションは、Moderna Therapeuticsによって商品化されたメッセンジャーRNA Therapeutics(商標)プラットフォームに従って実施される。例えば、この方法は、米国特許第8710200号明細書、同第8822663号明細書、同第8680069号明細書、同第8754062号明細書、同第8664194号明細書又は同第8680069号明細書に記載の方法であり得る。
一部の実施形態において、hTERTは、GenBankタンパク質ID AAC51724.1のアミノ酸配列を有する(Meyerson et al.,“hEST2,the Putative Human Telomerase Catalytic Subunit Gene,Is Up-Regulated in Tumor Cells and during Immortalization”Cell Volume 90,Issue 4,22 August 1997,Pages 785-795)。
一部の実施形態において、hTERTは、配列番号284の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一の配列を有する。一部の実施形態において、hTERTは、配列番号284の配列を有する。一実施形態において、hTERTは、N末端、C末端又は両方に欠失(例えば、5、10、15、20又は30アミノ酸以下)を含む。一部の実施形態において、hTERTは、N末端、C末端又は両方にトランスジェニックアミノ酸配列(例えば、5、10、15、20又は30アミノ酸以下)を含む。
一部の実施形態において、hTERTは、GenBank受託番号AF018167の核酸配列によりコードされる(Meyerson et al.,“hEST2,the Putative Human Telomerase Catalytic Subunit Gene,Is Up-Regulated in Tumor Cells and during Immortalization”Cell Volume 90,Issue 4,22 August 1997,Pages 785-795)。
免疫エフェクター細胞(例えばT細胞)の活性化及び増殖
本明細書に記載の方法によって生成又は濃縮されたT細胞などの免疫エフェクター細胞は、例えば、米国特許第6,352,694号明細書;同第6,534,055号明細書;同第6,905,680号明細書;同第6,692,964号明細書;同第5,858,358号明細書;同第6,887,466号明細書;同第6,905,681号明細書;同第7,144,575号明細書;同第7,067,318号明細書;同第7,172,869号明細書;同第7,232,566号明細書;同第7,175,843号明細書;同第5,883,223号明細書;同第6,905,874号明細書;同第6,797,514号明細書;同第6,867,041号明細書;及び米国特許出願公開第20060121005号明細書に記載する方法を使用して、一般的に活性化及び増殖され得る。
一般に、免疫エフェクター細胞の集団を、CD3/TCR複合体結合シグナルを刺激する薬剤が結合したその表面と、T細胞の表面上の共刺激分子を刺激するリガンドを接触させることにより増殖できる。特に、T細胞集団は、表面上に固定された抗CD3抗体若しくはその抗原結合フラグメント又は抗CD2抗体との接触又はカルシウムイオノフォアと組み合わせたタンパク質キナーゼCアクティベーター(例えば、ブリオスタチン)との接触により、本明細書に記載のように刺激し得る。T細胞表面上のアクセサリー分子の共刺激のために、アクセサリー分子と結合するリガンドである。例えば、T細胞集団を、T細胞の増殖刺激に適する条件下で抗CD3抗体及び抗CD28抗体と接触させ得る。CD4+T細胞又はCD8+T細胞の増殖を刺激するために、抗CD3抗体及び抗CD28抗体を使用できる。抗CD28抗体の例は、9.3、B-T3、XR-CD28を含み(Diaclone,Besancon,France)、当技術分野で一般に知られる他の方法のように使用できる(Berg et al.,Transplant Proc.30(8):3975-3977,1998;Haanen et al.,J.Exp.Med.190(9):13191328,1999;Garland et al.,J.Immunol Meth.227(1-2):53-63,1999)。
一部の実施形態において、T細胞のための一次刺激シグナル及び共刺激シグナルは、異なるプロトコルにより提供され得る。例えば、各シグナルを提供する薬剤は、溶液中でも表面と結合し得る。表面に結合しているとき、薬剤は、同じ表面(すなわち「シス」形態)又は別の表面(すなわち「トランス」形態)に結合し得る。代わりに、一方の薬剤が表面に結合し、他方が溶液にあり得る。一部の実施形態において、共刺激シグナルを提供する薬剤は、細胞表面に結合し、一次活性化シグナルを提供する薬剤は、溶液中であるか又は表面と結合する。一部の実施形態において、両剤は、溶液中にあり得る。一部の実施形態において、薬剤は、不溶性形態であり、Fc受容体又は抗体又は薬剤と結合する他の結合剤を発現する細胞などの表面に架橋され得る。この点に関して、例えば本開示におけるT細胞の活性化及び増殖のために意図される人工抗原提示細胞(aAPC)について、米国特許出願公開第20040101519号明細書及び同第20060034810号明細書を参照されたい。
一部の実施形態において、2剤は、ビーズに、同じビーズ、すなわち「シス」又は別のビーズ、すなわち「トランス」で固定化される。例として、一次活性化シグナルを提供する薬剤は、抗CD3抗体又はその抗原結合フラグメントであり、共刺激シグナルを提供する薬剤は、抗CD28抗体又はその抗原結合フラグメントであり、両剤は、均等な分子量で同じビーズに共固定化される。一部の実施形態において、CD4+T細胞増殖及びT細胞増殖のためのビーズに結合した1:1比の各抗体を使用する。本開示の一部の実施形態において、1:1比を使用して観察された増殖と比較して、T細胞増殖の増殖が観察されるように、ビーズに結合した抗CD3:CD28抗体の比を使用する。一部の実施形態において、1:1比を使用して観察された増殖と比較して約1~約3倍の増加が観察される。一部の実施形態において、ビーズに結合したCD3:CD28抗体比は、100:1~1:100及びその間の全ての整数値の範囲である。一部の実施形態において、抗CD3抗体より多くの抗CD28抗体が粒子に結合しており、すなわちCD3:CD28比が1未満である。一部の実施形態において、ビーズに結合した抗CD28抗体対抗CD3抗体比は、2:1より大きい。一部の実施形態において、ビーズに結合した1:100 CD3:CD28比の抗体を使用する。一部の実施形態において、ビーズに結合した1:75 CD3:CD28比の抗体を使用する。一部の実施形態において、ビーズに結合した1:50 CD3:CD28比の抗体を使用する。一部の実施形態において、ビーズに結合した1:30 CD3:CD28比の抗体を使用する。一部の実施形態において、ビーズに結合した1:10 CD3:CD28比の抗体を使用する。一部の実施形態において、ビーズに結合した1:3 CD3:CD28比の抗体を使用する。一部の実施形態において、ビーズに結合した3:1 CD3:CD28比の抗体を使用する。
1:500~500:1及びその間の任意の整数値の粒子対細胞比をT細胞又は他の標的細胞の刺激のために使用し得る。当業者に容易に認識され得るように、粒子対細胞比は、標的細胞に対する粒子径に依存し得る。例えば、小さいサイズのビーズは、少ない細胞にのみ結合でき、大きいビーズは、多く結合できる。一部の実施形態において、細胞対粒子比は、1:100~100:1及びその間の任意の整数値の範囲であり、一部の実施形態において1:9~9:1及びその間の任意の整数値からなる比をT細胞刺激に使用し得る。T細胞刺激をもたらす抗CD3及び抗CD28結合粒子対T細胞の比は、上記のように変わり得るが、しかしながら、ある好適な値は、1:100、1:50、1:40、1:30、1:20、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1及び15:1を含み、1つの好適な比は少なくとも1:1粒子対T細胞である。一部の実施形態において、1:1以下の粒子対細胞比を使用する。一部の実施形態において、好適な粒子:細胞比は、1:5である。一部の実施形態において、粒子対細胞比は、刺激の日により変わり得る。例えば、一部の実施形態において、粒子対細胞比は、1日目は1:1~10:1であり、さらなる粒子をその後10日目まで連日又は隔日で細胞に添加し、最終比1:1~1:10である(添加の比の細胞数に基づく)。一部の実施形態において、粒子対細胞比は、刺激1日目に1:1であり、刺激3日目及び5日目に1:5に調節する。一部の実施形態において、粒子を、1日目の1:1及び刺激3日目及び5日目の1:5の最終比に基づき、連日又は隔日で添加する。一部の実施形態において、粒子対細胞比は、刺激1日目は2:1であり、刺激3日目及び5日目に1:10に調節する。一部の実施形態において、粒子を、1日目の1:1及び3日目及び5日目の1:10の最終比に基づき、連日又は隔日で添加する。当業者は、多様な他の比が本開示における使用に適し得ることを認識する。特に、比は、粒子径並びに細胞サイズ及びタイプによる。一部の実施形態において、使用するための最も典型的な比は、1日目の1:1、2:1及び3:1付近である。
一部の実施形態において、T細胞などの細胞を薬剤被覆ビーズと組み合わせ、ビーズ及び細胞をその後分離し、次いで細胞を培養する。一部の実施形態において、培養前に薬剤被覆ビーズ及び細胞を分離するが、一緒に培養する。一部の実施形態において、ビーズ及び細胞を磁気力などの力の適用によりまず濃縮し、細胞表面マーカーのライゲーションを増加させ、それにより細胞刺激を誘導する。
例として、細胞表面タンパク質を、抗CD3及び抗CD28が結合した常磁性ビーズ(3x28ビーズ)とT細胞を接触させることにより、ライゲートし得る。一部の実施形態において、細胞(例えば、104~109T細胞)及びビーズ(例えば、DynaビーズS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T常磁性ビーズを1:1比)を緩衝液、例えばPBS(カルシウム及びマグネシウムなどの二価カチオンなし)中で合わせる。再び、任意の細胞濃度を使用し得ることが当業者に容易に認識され得る。例えば、標的細胞は、試料中で極めて稀であり、試料の0.01%のみが含まれるか又は試料全体(すなわち100%)が目的の標的細胞で構成され得る。従って、あらゆる細胞数が本開示に関連して一体となる。一部の実施形態において、細胞と粒子との最大接触を確実にするために、粒子及び細胞を混合する体積を有意に減少させる(すなわち細胞の濃度を高める)ことが望ましいことがある。例えば、一部の実施形態において、約100億細胞/ml、90億細胞/ml、80億細胞/ml、70億細胞/ml、60億細胞/ml、50億細胞/ml又は20億細胞/mlの濃度を使用する。一部の実施形態において、1億細胞/ml超を使用する。一部の実施形態において、1000万、1500万、2000万、2500万、3000万、3500万、4000万、4500万又は5000万細胞/mlの細胞濃度を使用する。一部の実施形態において、細胞の7500万、8000万、8500万、9000万、9500万又は1億細胞/mlの濃度を使用する。一部の実施形態において、1億2500万又は1億5000万細胞/mlの濃度を使用できる。高濃度を使用して、細胞収率、細胞活性化及び細胞増殖を増加できる。さらに、高細胞濃度の使用は、CD28陰性T細胞などの目的の標的抗原を弱く発現し得る細胞のより効率的な捕獲を可能にする。このような細胞集団は、治療的価値を有し得、及び特定の態様では得ることが望ましいであろう。例えば、高濃度細胞の使用は、通常、CD28発現が弱いCD8+T細胞のより効率的な選択を可能にする。
一部の実施形態において、CAR、例えば本明細書に記載のCAR、例えば本明細書に記載のCD19CARをコードする核酸が形質導入された細胞を例えば本明細書に記載の方法により増殖する。一部の実施形態において、細胞を数時間(例えば、約2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、15時間、18時間、21時間)~約14日(例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日又は14日)の期間の培養により増殖する。一部の実施形態において、細胞は、4~9日の期間増殖される。一部の実施形態において、細胞は、8日以下、例えば7日、6日又は5日の期間増殖される。一部の実施形態において、細胞は、5日の培養により増殖され、得られた細胞は、同じ培養条件において9日間培養で増殖された同じ細胞よりも強力である。効力は、例えば、多様なT細胞機能、例えば増殖、標的細胞死、サイトカイン産生、活性化、遊走、表面CAR発現、CAR定量的PCR又はそれらの組み合わせにより規定され得る。一部の実施形態において、5日増殖された細胞、例えば本明細書に記載のCD19CAR細胞は、同じ培養条件下において9日間培養で増殖された同じ細胞と比較して、抗原刺激による細胞倍加の少なくとも1倍、2倍、3倍又は4倍の増加を示す。一部の実施形態において、細胞、例えば本明細書に記載のCD19CAR発現細胞を発現する細胞は、5日の培養により増殖され、得られた細胞は、同じ培養条件下において9日間培養で増殖された同じ細胞と比較して、高い炎症誘発性サイトカイン産生、例えばIFN-γ及び/又はGM-CSFレベルを示す。一部の実施形態において、5日増殖された細胞、例えば本明細書に記載のCD19CAR細胞は、同じ培養条件下において9日間培養で増殖された同じ細胞と比較して、炎症誘発性サイトカイン産生、例えばIFN-γ及び/又はGM-CSFレベルのpg/mlで少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍又はそれを超えて増加する。
T細胞の培養期間が60日以上となり得るような数サイクルの刺激も望まれ得る。T細胞培養に適する条件は、血清(例えば、胎児ウシ又はヒト血清)、インターロイキン-2(IL-2)、インスリン、IFN-γ、IL-4、IL-7、GM-CSF、IL-10、IL-12、IL-15、TGFβ及びTNF-α又は当業者に知られる細胞増殖のための任意の他の添加剤を含む、増殖及び生存能に必要な因子を含み得る、適切な培地(例えば、最小必須培地、α-MEM、RPMI培地1640、AIM-V、DMEM、F-12又はX-vivo15(Lonza)、X-Vivo20、OpTmizer及びIMDM)を含む。細胞の増殖のための他の添加剤は、界面活性剤、プラスマネート、及びN-アセチル-システイン、及び2-メルカプトエタノールなどの還元剤を含むが、これらに限定されない。培地は、限定されないが、無血清又は適切な量の血清(又は血漿)が添加されたか、又は規定されたセットのホルモン及び/又はT細胞の増殖及び拡大に十分な量のサイトカインが添加されたRPMI 1640、AIM-V、DMEM、MEM、α-MEM、F-12、X-Vivo15、X-Vivo20、OpTmizer及びIMDMを含み得る。抗生物質、例えばペニシリン及びストレプトマイシンは、実験的培養においてのみ包含され、対象に注入すべき細胞の培養に含まれない。標的細胞は、増殖を支持するのに必要な条件、例えば適切な温度(例えば、37℃)及び雰囲気(例えば、空気+5%CO2)で維持される。
一部の実施形態において、細胞は、例えば、フローサイトメトリーなどの本明細書に記載の方法により測定して、14日の増殖期間にわたり、細胞の少なくとも200倍(例えば、200倍、250倍、300倍、350倍)増加をもたらす1つ以上のインターロイキンを含む適切な培地(例えば、本明細書に記載の培地)で増殖させる。一部の実施形態において、細胞は、IL-15及び/又はIL-7(例えば、IL-15及びIL-7)の存在下で増殖させる。
実施形態において、本明細書に記載の方法、例えばCAR発現細胞製造法は、T制御性細胞、例えばCD25+T細胞又はCD25highT細胞を、例えば抗CD25抗体又はそのフラグメント又はCD25結合リガンド、IL-2を使用して細胞集団から除去することを含む。細胞集団からT制御性細胞、例えばCD25+T細胞又はCD25highT細胞を除去する方法は、本明細書に記載される。実施形態において、方法、例えば製造法は、細胞集団(例えば、CD25+T細胞又はCD25highT細胞などのT制御性細胞が枯渇されている細胞集団;又は抗CD25抗体、そのフラグメント又はCD25結合リガンドと前に接触された細胞集団)とIL-15及び/又はIL-7との接触をさらに含む。例えば、細胞集団(例えば、抗CD25抗体、そのフラグメント又はCD25結合リガンドと先に接触されている)をIL-15及び/又はIL-7の存在下で増殖させる。
一部の実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞を、インターロイキン-15(IL-15)ポリペプチド、インターロイキン-15受容体α(IL-15Ra)ポリペプチド又はIL-15ポリペプチドとIL-15Raポリペプチドの組み合わせ、例えばhetIL-15を含む組成物とCAR発現細胞の製造中に例えばエクスビボで接触させることを含む。実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をCAR発現細胞の製造中に例えばエクスビボで、IL-15ポリペプチドを含む組成物と接触させる。実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をCAR発現細胞の製造中に例えばエクスビボで、IL-15ポリペプチド及びIL-15Raポリペプチドの両方の組み合わせを含む組成物と接触させる。実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をCAR発現細胞の製造中に例えばエクスビボで、hetIL-15を含む組成物と接触させる。
一部の実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞を、エクスビボ増殖中、hetIL-15を含む組成物と接触させる。一部の実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞を、エクスビボ増殖中、IL-15ポリペプチドを含む組成物と接触させる。一部の実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞を、エクスビボ増殖中、IL-15ポリペプチド及びIL-15Raポリペプチドの両方を含む組成物と接触させる。一部の実施形態において、接触は、リンパ球亜集団、例えばCD8+T細胞の生存及び増殖をもたらす。
種々の刺激時間に曝されているT細胞は、異なる特徴を示し得る。例えば、典型的な血液又はアフェレーシスした末梢血単核細胞産物は、細胞毒性又はサプレッサーT細胞集団(TC、CD8+)より大きいヘルパーT細胞集団(TH、CD4+)を有する。CD3及びCD28受容体での刺激によるT細胞のエクスビボ増殖は、約8~9日目前まで主にTH細胞からなるT細胞集団を産生するが、約8~9日目後、T細胞集団は、徐々に大きくなるTC細胞集団を含む。従って、処置の目的により、主にTH細胞を含むT細胞集団を対象に注入することは有利であり得る。同様に、TC細胞の抗原特異的サブセットが単離されている場合、このサブセットを大きい程度まで増殖させることが有利であり得る。
さらに、CD4及びCD8マーカーに加えて、他の表現型マーカーは、細胞増殖過程の経過中、有意に、しかし、主に再現性よく変化する。そうして、このような再現性は、特定の目的のために活性化T細胞産物をもたらす能力を可能とする。
本明細書に記載のCARが構築されると、適切なインビトロ及び動物モデルにおける抗原刺激後にT細胞を増殖させる能力、再刺激の非存在下でのT細胞増殖の持続及び抗癌活性など、しかし、これらに限定されない分子の活性を評価するために種々のアッセイが使用され得る。本開示のCARの効果を評価するためのアッセイは、以下にさらに詳細に記載される。
初代T細胞におけるCAR発現のウェスタンブロット分析は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2015年3月13日に出願された国際公開第2015/142675号パンフレットの段落695に記載されるように、単量体及び二量体の存在を検出するために使用できる。
抗原刺激後のCAR+T細胞のインビトロ増殖をフローサイトメトリーにより測定できる。例えば、CD4+及びCD8+T細胞の混合物をαCD3/αCD28 aAPCで刺激し、続いて分析すべきプロモーターの制御下において、GFPを発現するレンチウイルスベクターで形質導入する。代表的プロモーターは、CMV IE遺伝子、EF-1α、ユビキチンC又はホスホグリセロキナーゼ(PGK)プロモーターを含む。GFP蛍光を、CD4+及び/又はCD8+T細胞サブセットの培養6日目にフローサイトメトリーにより評価する。例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453-1464(2009)を参照されたい。代わりに、CD4+とCD8+T細胞の混合物を、0日目にαCD3/αCD28被覆磁気ビーズで刺激し、2Aリボソームスキッピング配列を使用するCARとeGFPを発現するバイシストロニックレンチウイルスベクターを使用して、1日目にCARを形質導入する。培養物を本明細書に記載されるような癌関連抗原+K562細胞(本明細書に記載されるような癌関連抗原を発現するK562)、野生型K562細胞(K562野生型)又は抗CD3及び抗CD28抗体存在下でhCD32及び4-1BBLを発現するK562細胞(K562-BBL-3/28)でのいずれかで再刺激する。外来性IL-2を、100IU/mlを隔日で培養物に添加する。GFP+T細胞を、ビーズベースの計数を使用するフローサイトメトリーにより数える。例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453-1464(2009)を参照されたい。
再刺激非存在下の持続するCAR+T細胞増殖も測定できる。例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453-1464(2009)を参照されたい。簡潔には、平均T細胞体積(fl)を、0日目のαCD3/αCD28被覆磁気ビーズでの刺激及び1日目の記載するCARの形質導入後、培養8日目にCoulter Multisizer III粒子カウンター若しくはより高いバージョン、Nexcelom Cellometer Vision、Millipore Scepter又は他の細胞カウンターを使用して測定する。
動物モデルも、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2015年3月13日に出願された国際公開第2015/142675号パンフレットの段落698に記載されるように、CAR発現細胞活性の測定に使用できる。
用量依存的CAR処置応答は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2015年3月13日に出願された国際公開第2015/142675号パンフレットの段落699に記載されるように、評価できる。
細胞増殖及びサイトカイン産生の評価は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2015年3月13日に出願された国際公開第2015/142675号パンフレットの段落700に記載されるように、以前に説明されている。
細胞毒性は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2015年3月13日に出願された国際公開第2015/142675号パンフレットの段落701に記載されるように、標準的51Cr放出アッセイにより評価できる。代替的な非放射性方法も利用することができる。
細胞毒性は、例えば、xCELLigenceリアルタイム細胞アナライザー(RTCA)を使用して、付着細胞の電気インピーダンスの変化を測定することによっても評価できる。一部の実施形態において、細胞毒性は複数の時点で測定される。
造影テクノロジーは、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2015年3月13日に出願された国際公開第2015/142675号パンフレットの段落702に記載されるように、腫瘍担持動物モデルにおけるCARの特異的輸送及び増殖を評価するために使用することができる。
本明細書の実施例部分に記載のもの並びに当分野で知られるものを含む、他のアッセイも、本明細書に記載のCARの評価に使用できる。
ここに開示する方法の代わりに又はこれと組み合わせて、CARリガンドの使用を含む、CAR発現細胞(例えば、インビトロ又はインビボ(例えば、臨床モニタリング))、免疫細胞増殖及び/又は活性化及び/又はCAR特異的選択の1つ以上の検出及び/又は定量のための方法及び組成物が開示される。一部の実施形態において、CARリガンドは、CAR分子に結合する、例えば、CARの細胞外抗原結合ドメインに結合する抗体である(例えば、抗原結合ドメインに結合する抗体、例えば抗イディオタイプ抗体;又は細胞外結合ドメインの定常領域に結合する抗体)。他の実施形態において、CARリガンドは、CAR抗原分子である(例えば、本明細書に記載されるようなCAR抗原分子)。
一部の実施形態において、CAR発現細胞を検出及び/又は定量する方法が開示される。例えば、CARリガンドは、インビトロ又はインビボでCAR発現細胞の検出及び/又は定量に使用できる(例えば、患者におけるCAR発現細胞の臨床モニタリング又は患者への投薬)。方法は、
CARリガンド(任意選択で標識CARリガンド、例えばタグ、ビーズ、放射活性又は蛍光標識を含むCARリガンド)を提供し;
CAR発現細胞を獲得し(例えば、製造サンプル又は臨床サンプルなどのCAR発現細胞含有サンプルの獲得);
CAR発現細胞とCARリガンドを、結合が生じる条件下で接触させ、それにより存在するCAR発現細胞のレベル(例えば、量)を検出することを含む。CAR発現細胞とCARリガンドの結合は、FACS、ELISAなどのような標準技術を使用して検出できる。
一部の実施形態において、増殖及び/又は活性化細胞(例えば、免疫エフェクター細胞)を増殖する方法が開示される。方法は、
CAR発現細胞(例えば、第1のCAR発現細胞又は一過性に発現されるCAR細胞)を提供し);
前記CAR発現細胞とCARリガンド、例えば本明細書に記載されるようなCARリガンドを、免疫細胞増殖及び/又は増殖が生じる条件下で接触させ、それにより活性化及び/又は増殖集団を産生することを含む。
特定の実施形態において、CARリガンドは基質上に存在する(例えば、基質、例えば、天然に存在しない基質に固定化又は結合される)。一部の実施形態において、基質は、非細胞基質である。非細胞基質は、例えば、プレート(例えば、マイクロタイタープレート)、膜(例えば、ニトロセルロース膜)、マトリックス、チップ又はビーズから選択される固体支持体であり得る。実施形態において、CARリガンドは、基質に存在する(例えば、基質表面上)。CARリガンドを、基質に共有又は非共有(例えば、架橋)により固定、結合又は会合させ得る。一部の実施形態において、CARリガンドは、ビーズに結合(例えば、共有結合)する。前記実施形態において、免疫細胞集団をインビトロ又はエクスビボで増殖できる。方法は、例えば、本明細書に記載の方法のいずれかを使用して、CAR分子のリガンド存在下において、免疫細胞の集団を培養することをさらに含む。
他の実施形態において、細胞を増殖及び/又は活性化する方法は、さらに第2の刺激性分子、例えば、CD28の添加を含む。例えば、CARリガンド及び第2の刺激性分子を基質、例えば、1つ以上のビーズに固定し、それにより細胞増殖及び/又は活性化を増加させ得る。
一部の実施形態において、CAR発現細胞を選択又は富化する方法を提供する。方法は、CAR発現細胞と本明細書に記載されるようなCARリガンドを接触させ、CARリガンドの結合に基づき細胞を選択することを含む。
さらに他の実施形態において、CAR発現細胞を枯渇、減少及び/又は死滅する方法が提供される。方法は、CAR発現細胞と本明細書に記載されるようなCARリガンドを接触させ;及び細胞を、CARリガンドの結合に基づき標的化し、それによりCAR発現細胞の数を減らす及び/又は殺傷することを含む。一部の実施形態において、CARリガンドは、毒性剤と結合する(例えば、トキシン又は細胞除去剤)。一部の実施形態において、抗イディオタイプ抗体は、エフェクター細胞活性、例えば、ADCC又はADC活性を生じ得る。
本明細書に開示する方法において使用できる例示的な抗CAR抗体は、例えば、国際公開第2014/190273号パンフレット及びJena et al.,“Chimeric Antigen Receptor(CAR)-Specific Monoclonal Antibody to Detect CD19-Specific T cells in Clinical Trials”,PLOS March 2013 8:3 e57838に記載され、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態において、本明細書における組成物及び方法は、例えば、その内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、2015年7月31日出願の米国特許出願PCT/米国特許出願公開第2015/043219号明細書に記載のような、T細胞の特定のサブセットのために最適化される。一部の実施形態において、T細胞の最適化サブセットは、対照T細胞、例えば同じ構築物を発現する異なるタイプ(例えば、CD8+又はCD4+)のT細胞と比較して、残留性の増強を示す。
一部の実施形態において、CD4+T細胞は、本明細書に記載のCARを含み、そのCARは、CD4+T細胞に適する(例えば、最適化、例えば、残留性の増強に至る)細胞内シグナル伝達ドメイン、例えばICOSドメインを含む。一部の実施形態において、CD8+T細胞は、本明細書に記載のCARを含み、そのCARは、CD8+T細胞に適する(例えば、最適化、例えば、残留性の増強に至る)細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば4-1BBドメイン、CD28ドメイン又はICOSドメイン以外の共刺激ドメインを含む。一部の実施形態において、本明細書に記載のCARは、本明細書に記載の抗原結合ドメイン、例えば抗原結合ドメインを含むCARを含む。
一部の実施形態において、本明細書に記載されるのは、対象、例えば癌を有する対象を処置する方法である。方法は、前記対象に、有効量の:
1)抗原結合ドメイン、例えば本明細書に記載の抗原結合ドメイン;
膜貫通ドメイン;及び
細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば第1の共刺激ドメイン、例えばICOSドメイン
を含む、CARを含むCD4+T細胞(CARCD4+);並びに
2)CARを含むCD8+T細胞(CARCD8+)であって、
抗原結合ドメイン、例えば本明細書に記載の抗原結合ドメイン;
膜貫通ドメイン;及び
細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば第2の共刺激ドメイン、例えば4-1BBドメイン、CD28ドメイン又はICOSドメイン以外の別の共刺激ドメイン
を含むもの
を投与することを含み、CARCD4+とCARCD8+は互いに異なる。任意選択で、方法は、さらに、
3)CARを含む第2のCD8+T細胞(第2のCARCD8+)であって、
抗原結合ドメイン、例えば本明細書に記載の抗原結合ドメイン;
膜貫通ドメイン;及び
第2のCARCD8+が、CARCD8+上に存在しない細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば共刺激シグナル伝達ドメインを含み、任意選択で、ICOSシグナル伝達ドメインを含まない、細胞内シグナル伝達ドメイン
を含む。
バイオポリマー送達方法
一部の実施形態において、本明細書に開示する1つ以上のCAR発現細胞を、バイオポリマー足場、例えば、バイオポリマーインプラントにより対象に投与又は送達し得る。バイオポリマー足場は、本明細書に記載のCAR発現細胞の送達、増殖及び/分散を支持又は強化することができる。バイオポリマー足場は、生体適合性(例えば、炎症性又は免疫応答を実質的に誘発しない)及び/又は天然に存在し得るか又は合成である生分解性ポリマーを含む。例示的なバイオポリマーは、例えば、2015年3月13日に出願された国際公開第2015/142675号パンフレットの段落1004~1006に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
医薬組成物及び処置
一部の実施形態において、本開示は、本明細書に記載されるように産生されたCAR発現細胞を任意選択で1つ以上の他の治療と組み合わせて投与することを含む、患者を処置する方法を提供する。
一部の実施形態では、CAR発現細胞は、本明細書に開示されるCCARを発現する。一部の実施形態では、CAR発現細胞は、本明細書に開示されるCARと、本明細書に開示される調節分子を発現する。一部の実施形態において、本開示は、本明細書に記載されるようなCAR発現細胞を含む反応混合物を任意選択で1つ以上の他の治療と組み合わせて投与することを含む、患者を処置する方法を提供する。一部の実施形態において、本開示は、本明細書に記載されるようなCAR発現細胞を含む反応混合物を発送又は受領する方法を提供する。一部の実施形態において、本開示は、本明細書に記載されるように産生されたCAR発現細胞を受領することを含み、CAR発現細胞を任意選択で1つ以上の他の治療と組み合わせて患者に投与することをさらに含む、患者を処置する方法を提供する。一部の実施形態において、本開示は、本明細書に記載されるようなCAR発現細胞を産生することを含み、CAR発現細胞を任意選択で1つ以上の他の治療と組み合わせて患者に投与することをさらに含む、患者を処置する方法を提供する。他の療法は、例えば、化学療法などの癌療法であり得る。
一部の実施形態において、本明細書に記載のCARを発現する細胞を、Treg細胞集団を減少させる分子と組み合わせて対象に投与する。Treg細胞数を減らす(例えば、枯渇させる)方法は当分野で知られ、例えば、CD25枯渇、シクロホスファミド投与、GITR機能修飾を含む。理論に拘束されることを望むものではないが、アフェレーシス前又は本明細書に記載のCAR発現細胞投与前に対象におけるTreg細胞数を減らすことは、腫瘍微小環境における望まない免疫細胞(例えば、Treg)の数を減らし、対象の再発のリスクを減らすと考えられる。
一部の実施形態において、本明細書に記載の治療、例えば、CAR発現細胞は、制御性T細胞(Treg)を枯渇させるGITRアゴニスト及び/又はGITR抗体などのGITRを標的とする及び/又はGITR機能を調節する分子と組み合わせて対象に投与される。実施形態において、本明細書に記載のCARを発現する細胞を、対象にシクロホスファミドと組み合わせて投与する。一部の実施形態において、GITR結合分子及び/又はGITR機能を調節する分子(例えば、GITRアゴニスト及び/又はTreg枯渇GITR抗体)を、CAR発現細胞の前に投与する。例えば、一部の実施形態において、GITRアゴニストを細胞のアフェレーシス前に投与できる。実施形態において、シクロホスファミドを、対象にCAR発現細胞の投与(例えば、注入又は再注入)前又は細胞のアフェレーシス前に投与する。実施形態において、シクロホスファミド及び抗GITR抗体を、対象にCAR発現細胞の投与(例えば、注入又は再注入)前又は細胞のアフェレーシス前に投与する。一部の実施形態において、対象は癌(例えば、固形癌又はALL又はCLLなどの血液癌)を有する。一部の実施形態において、対象は、CLLを有する。実施形態において、対象はALLを有する。実施形態において、対象は、固形癌、例えば本明細書に記載の固形癌を有する。例示的なGITRアゴニストは、例えば、米国特許第6,111,090号明細書、欧州特許第090505B1号明細書、米国特許第8,586,023号明細書、国際公開第2010/003118号パンフレット及び同2011/090754号パンフレットに記載のGITR融合タンパク質又は例えば米国特許第7,025,962号明細書、欧州特許第1947183B1号明細書、米国特許第7,812,135号明細書、米国特許第8,388,967号明細書、米国特許第8,591,886号明細書、欧州特許出願公開第EP1866339号明細書、国際公開第2011/028683号パンフレット、国際公開第2013/039954号パンフレット、国際公開第2005/007190号パンフレット、国際公開第2007/133822号パンフレット、国際公開第2005/055808号パンフレット、国際公開第99/40196号パンフレット、国際公開第2001/03720号パンフレット、国際公開第99/20758号パンフレット、国際公開第2006/083289号パンフレット、国際公開第2005/115451号パンフレット、米国特許第7,618,632号明細書及び国際公開第2011/051726号パンフレットに記載される抗GITR抗体など、例えばGITR融合タンパク質及び抗GITR抗体(例えば、二価抗GITR抗体)を含む。
一部の実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞を、GITRアゴニスト、例えば本明細書に記載のGITRアゴニストと組み合わせて対象に投与する。一部の実施形態において、GITRアゴニストを、CAR発現細胞の前に投与する。例えば、一部の実施形態において、GITRアゴニストを細胞のアフェレーシス前に投与できる。一部の実施形態において、対象は、CLLを有する。
本明細書に記載の方法は、医薬組成物中にCAR発現細胞を製剤化することをさらに含み得る。医薬組成物は、本明細書に記載のように、CAR発現細胞、例えば複数のCAR発現細胞を1つ以上の薬学的に又は生理学的に許容される担体、希釈剤又は添加物と組み合わせて含む。このような組成物は、中性緩衝化食塩水、リン酸緩衝化食塩水などの緩衝液;グルコース、マンノース、スクロース又はデキストラン、マンニトールなどの炭水化物;タンパク質;グリシンなどのポリペプチド又はアミノ酸;抗酸化剤;EDTA又はグルタチオンなどのキレート剤;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);及び防腐剤を含み得る。組成物は、例えば静脈内投与のために、製剤化することができる。
一部の実施形態において、医薬組成物は、例えば、エンドトキシン、マイコプラズマ、複製可能レンチウイルス(RCL)、p24、VSV-G核酸、HIV gag、残留抗CD3/抗CD28被覆ビーズ、マウス抗体、貯留ヒト血清、ウシ血清アルブミン、ウシ血清、培養培地要素、ベクターパッケージング細胞又はプラスミド成分、細菌及び真菌からなる群から選択される汚染物が実質的になく、例えば検出可能なレベルで存在しない。一部の実施形態において、細菌は、アルガリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenza)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitides)、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumonia)及びストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)A群からなる群から選択される少なくとも1つである。
「免疫学的に有効量」、「抗癌有効量」、「癌阻害有効量」又は「治療量」が示されるとき、組成物の投与すべき正確な量は、年齢、体重、腫瘍サイズ、感染の程度又は転移及び患者(対象)の状態の個体差を考慮して医師が決定できる。本明細書に記載の免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を含む医薬組成物を、104~109細胞/kg体重、いくつかの例において105~106細胞/kg体重の範囲の用量(これらの範囲内の全整数値を含む)で投与し得ると一般に述べることができる。T細胞組成物をまたこの用量で複数回投与し得る。細胞を、免疫療法において一般に知られる注入技術を使用して投与できる(例えば、Rosenberg et al.,New Eng.J.of Med.319:1676,1988を参照されたい)。
一部の実施形態において、CAR細胞(例えば、CD19CAR細胞)の用量は、約1×106、1.1×106、2×106、3.6×106、5×106、1×107、1.8×107、2×107、5×107、1×108、2×108又は5×108細胞/kgを含む。一部の実施形態において、CAR細胞(例えば、CD19CAR細胞)の用量は、少なくとも約1×106、1.1×106、2×106、3.6×106、5×106、1×107、1.8×107、2×107、5×107、1×108、2×108又は5×108細胞/kgを含む。一部の実施形態において、CAR細胞(例えば、CD19CAR細胞)の用量は、最大約1×106、1.1×106、2×106、3.6×106、5×106、1×107、1.8×107、2×107、5×107、1×108、2×108又は5×108細胞/kgを含む。一部の実施形態において、CAR細胞(例えば、CD19CAR細胞)の用量は、約1.1×106~1.8×107細胞/kgを含む。一部の実施形態において、CAR細胞(例えば、CD19CAR細胞)の用量は、約1×107、2×107、5×107、1×108、2×108、5×108、1×109、2×109又は5×109細胞を含む。一部の実施形態において、CAR細胞(例えば、CD19CAR細胞)の用量は、少なくとも約1×107、2×107、5×107、1×108、2×108、5×108、1×109、2×109又は5×109細胞を含む。一部の実施形態において、CAR細胞(例えば、CD19CAR細胞)の用量は、最大約1×107、2×107、5×107、1×108、2×108、5×108、1×109、2×109又は5×109細胞を含む。
一部の実施形態において、活性化された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を対象に投与し、その後、血液を再採取し(又はアフェレーシスを実施し)、そこから免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を活性化し、これらの活性化及び増殖した免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を患者に再注入することが望ましい場合がある。この過程を数週間毎に複数回実施できる。一部の実施形態において、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)は、10cc~400ccの採血した血液から活性化することができる。一部の実施形態において、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)は、20cc、30cc、40cc、50cc、60cc、70cc、80cc、90cc又は100ccの採血した血液から活性化される。
対象組成物の投与は、任意の簡便な方法により実施し得る。本明細書に記載の組成物は、経動脈的に、皮下に、皮内に、腫瘍内に、節内に、髄内に、筋肉内に、静脈内(i.v.)注射により又は腹腔内に、例えば皮内又は皮下注射により患者に投与し得る。免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)の組成物を、腫瘍、リンパ節又は感染部位に直接注射し得る。
投薬レジメン
一部の実施形態では、1用量の生存CAR発現細胞(例えば、生存CD19、BCMA、CD20又はCD22 CAR発現細胞)は、約0.5×106個の生存CAR発現細胞~約1.25×109個の生存CAR発現細胞(例えば、0.5×106個の生存CAR発現細胞~1.25×109個の生存CAR発現細胞)を含む。一部の実施形態では、1用量の生存CAR発現細胞(例えば、生存CD19、BCMA、CD20又はCD22 CAR発現細胞)は、約1×106、約2.5×106、約5×106、約1.25×107、約2.5×107、約5×107、約5.75×107又は約8×107個の生存CAR発現細胞を含む。
患者の選択
対象を処置する方法又は本明細書に開示される使用のための組成物のいずれかの一部の実施形態では、対象は、癌、例えば血液癌を有する。一部の実施形態では、癌は、リンパ性白血病(CLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、多発性骨髄腫、急性リンパ性白血病(ALL)、ホジキンリンパ腫、B細胞急性リンパ性白血病(BALL)、T細胞急性リンパ性白血病(TALL)、小リンパ球性白血病(SLL)、B細胞前リンパ球性白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞新生物、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、慢性炎症を伴うDLBCL、慢性骨髄性白血病、骨髄増殖性腫瘍、濾胞性リンパ腫、小児性濾胞性リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、小細胞型又は大細胞型濾胞性リンパ腫、悪性リンパ球増殖性病態、MALTリンパ腫(粘膜関連リンパ組織型節外性濾胞辺縁帯リンパ腫)、辺縁帯リンパ腫、骨髄形成異常、骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、形質芽球性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞新生物、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾辺縁帯リンパ腫、脾リンパ腫/白血病、脾臓びまん性赤脾髄小細胞型B細胞リンパ腫、ヘアリー細胞白血病-変異型、リンパ形質細胞性リンパ腫、H鎖病、プラズマ細胞骨髄腫、孤立性骨形質細胞腫、骨外性形質細胞腫、節性辺縁帯リンパ腫、小児性節性辺縁帯リンパ腫、原発性皮膚濾胞中心リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、ALK+大細胞型B細胞リンパ腫、HHV8関連多中心性キャッスルマン病に発生する大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)又は分類不能なリンパ腫から選択される。一部の実施形態では、癌は、再発及び/又は難治性癌である。
対象を処置する方法又は本明細書に開示される使用のための組成物のいずれかの一部の実施形態では、対象は、CLL又はSLLを有する。一部の実施形態では、CLL又はSLLを有する対象は、以前、BTK阻害剤療法、例えばイブルチニブを少なくとも1~12ヶ月、例えば6カ月にわたって投与されている。一部の実施形態では、BTK阻害剤療法、例えばイブルチニブ療法は、第二選択療法である。一部の実施形態では、対象は、部分的応答を有したか、又はBTK阻害剤療法に対する応答が安定した疾患を有した。一部の実施形態では、対象は、BTK阻害剤療法に対して応答しなかった。一部の実施形態では、対象は、耐性を発生し、例えばイブルチニブ耐性突然変異を発生した。一部の実施形態では、イブルチニブ耐性突然変異は、BTKをコードする遺伝子及び/又はPLCg2をコードする遺伝子の突然変異を含む。一部の実施形態では、対象は、成人、例えば少なくとも18歳である。
対象を処置する方法又は本明細書に開示される使用のための組成物のいずれかの一部の実施形態では、対象は、DLBCL、例えば再発及び/又は難治性DLBCLを有する。一部の実施形態では、DLBCL、例えば再発及び/又は難治性DLBCLを有する対象は、以前、少なくとも2つの選択化学療法、例えば抗CD20療法及び/又はアントラリンに基づく化学療法を実施されている。一部の実施形態では、対象は、以前、幹細胞療法、例えば自己幹細胞療法を受けており、前記幹細胞療法に対して応答しなかった。一部の実施形態では、対象は、幹細胞療法、例えば自己幹細胞療法に適格ではない。一部の実施形態では、対象は、成人、例えば少なくとも18歳である。
CAR有効性を評価するためのバイオマーカー
一部の実施形態では、対象(例えば、癌、例えば血液癌を有する対象)において、CAR発現細胞療法(例えば、CD19若しくはBCMA CAR療法)の有効性を評価又はモニターする方法が本明細書に開示される。この方法は、CAR療法に対する有効性の値を取得することを含み、前記値は、CAR発現細胞療法の有効性又は適合性を示す。
複数の実施形態では、CLL若しくはSLLを有する対象におけるCAR療法に対する有効性の値は、下記パラメーターの1つ、2つ、3つ又は全部の尺度を含む:
(i)サンプル(例えば、アフェレーシスサンプル若しくは製造されたCAR発現細胞産物サンプル)中のBTKをコードする遺伝子の突然変異;
(ii)サンプル(例えば、アフェレーシスサンプル若しくは製造されたCAR発現細胞産物サンプル)中のPLCg2をコードする遺伝子の突然変異;
(iii)サンプル(例えば、対象からのアフェレーシスサンプル若しくは腫瘍サンプル)中の;例えばCD8、CD4、CD3、CD5、CD19、CD20、CD22、CD43、CD79b、CD27、CD45RO、CD45RA、CCR7、CD95、Lag3、PD-1、Tim-3及び/若しくはCD81のレベル及び/若しくは活性により評価される;又は免疫グロブリンディープシーケンシングにより評価されるような微小残存病変;又は
(iv)サンプル、例えば対象からのアフェレーシスサンプル中の、IFN-g、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-15、TNF-a、IP-10、MCP1,MIP1aから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10若しくは全部のレベル又は活性。
複数の実施形態では、DLBCL、例えば再発及び/又は難治性DLBCLを有する対象のCAR療法に対する有効性の値は、下記パラメーターの一方又は両方の尺度を含む:
(i)サンプル(例えば、対象からのアフェレーシスサンプル若しくは腫瘍サンプル)中の;例えばCD8、CD4、CAR19、CD3、CD27、CD45RO、CD45RA、CCR7、CD95、Lag3、PD-1及び/若しくはTim-3のレベル及び/若しくは活性により評価される;又は免疫グロブリンディープシーケンシングにより評価されるような微小残存病変;又は
(ii)サンプル(例えば、対象からアフェレーシスサンプル)中の、IFN-g、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-15、TNF-a、IP-10、MCP1,MIP1aから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10若しくは全部のレベル又は活性。
他の実施形態では、CAR療法に対する有効性の値は、下記パラメーターの1、2、3、4、5、6つ若しくはそれを超える(全部)の尺度をさらに含む:
(i)サンプル(例えば、アフェレーシスサンプル若しくは製造されたCAR発現細胞産物サンプル)中の、休止TEFF細胞、休止TREG細胞、より若いT細胞(例えば、ナイーブT細胞(例えば、ナイーブCD4若しくはCD8 T細胞、ナイーブγ/δ T細胞)、若しくはステムメモリーT細胞(例えば、ステムメモリーCD4若しくはCD8T細胞若しくはステムメモリーγ/δ T細胞)、若しくは早期メモリーT細胞又はそれらの組み合わせの1、2、3つ若しくはそれを超えるもの(例えば、全部)のレベル又は活性;
(ii)サンプル(例えば、アフェレーシスサンプル若しくは製造されたCAR発現細胞産物サンプル)中の、活性化TEFF細胞、活性化TREG細胞、より経時的なT細胞(例えば、より経時的なCD4若しくはCD8細胞)若しくは後期メモリーT細胞又はそれらの組み合わせの1、2、3つ若しくはそれを超えるもの(例えば、全部)のレベル又は活性;
(iii)サンプル(例えば、アフェレーシスサンプル若しくは製造されたCAR発現細胞産物サンプル)中の、免疫細胞疲弊マーカー、例えば1、2つ若しくはそれを超えるものの免疫チェックポイント阻害因子(例えば、PD-1、PD-L1、TIM-3、TIGIT及び/又はLAG-3)のレベル又は活性。一部の実施形態において、免疫細胞は、疲弊表現型を有し、例えば少なくとも2つの疲弊マーカー、例えばPD-1及びTIM-3を同時発現する。他の実施形態では、免疫細胞は、疲弊表現型を有し、例えば少なくとも2つの疲弊マーカー、例えばPD-1及びLAG-3を同時発現する;
(iv)サンプル(例えば、アフェレーシスサンプル若しくは製造されたCAR発現細胞産物サンプル)中の、例えばCD4+若しくはCD8+T細胞集団中における、CD27及び/又はCD45RO-(例えば、CD27+CD45RO-)免疫エフェクター細胞のレベル又は活性;
(v)CCL20、IL-17a、IL-6、PD-1、PD-L1、LAG-3、TIM-3、CD57、CD27、CD122、CD62L、KLRG1から選択されるバイオマーカーの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11若しくは全部のレベル又は活性;
(vi)CAR発現細胞産物サンプル、例えばCLL-1発現細胞産物サンプル中のサイトカインレベル又は活性(例えば、サイトカインレパトアの品質);又は
(vii)製造されたCAR発現細胞産物サンプル中のCAR発現細胞の形質導入効率。
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態において、CAR発現細胞療法は、複数のCAR発現免疫エフェクター細胞(例えば、その集団)、例えば複数のT細胞若しくはNK細胞(例えば、その集団)又はそれらの組み合わせを含む。一部の実施形態において、CAR発現細胞療法は、CD19CAR療法である。
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態において、本明細書に開示される1つ以上のパラメーターの尺度は、対象から得たアフェレーシスサンプルから取得される。アフェレーシスサンプルは、注入又は再注入前に評価することができる。
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態において、本明細書に開示される1つ以上のパラメーターの尺度は、対象から得た腫瘍サンプルから取得される。
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態において、本明細書に開示される1つ以上のパラメーターの尺度は、製造されたCAR発現細胞産物サンプル、例えばCD19CAR発現細胞産物サンプルから取得される。製造されたCAR発現細胞産物は、注入又は再注入前に評価することができる。
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態において、対象は、CAR発現細胞療法を受ける前、療法の過程で又はそれを受けた後に評価される。
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態において、本明細書に開示される1つ以上のパラメーターの尺度により、1つ以上の遺伝子発現、フローサイトメトリー又はタンパク質発現についてのプロフィールを評価する。
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態において、本方法は、本明細書に開示される1つ以上のパラメーターの尺度に基づいて、対象を応答者、非応答者、再発者又は非再発者として識別することをさらに含む。
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態において、応答者、例えば完全応答者は、参照値、例えばCD8+T細胞の非応答者パーセンテージと比べて、高い、例えば統計的に有意に高いパーセンテージのCD8+T細胞を有するか又は有する者として識別される。
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態において、応答者、例えば完全応答者は、参照値、例えばCD27+CD45RO-免疫エフェクター細胞の非応答者数と比べて、例えばCD8+集団において、高いパーセンテージのCD27+CD45RO-免疫エフェクター細胞を有するか又は有する者として識別される。
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態において、応答者、例えば完全応答者若しくは部分応答者は、参照値、例えばCD4+T細胞の非応答者パーセンテージと比べて、高い、例えば統計的に有意に高いパーセンテージのCD4+T細胞を有するか又は有する者として識別される。
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態において、応答者、例えば完全応答者は、参照値、例えば休止TEFF細胞、休止TREG細胞、より若いT細胞若しくは早期メモリーT細胞の非応答者数と比べて、高いパーセンテージで休止TEFF細胞、休止TREG細胞、より若いT細胞若しくは早期メモリーT細胞又はそれらの組み合わせの1、2、3つ若しくはそれを超えるもの(例えば、全部)を有するか又は有する者として識別される。
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態において、非応答者は、参照値、例えば活性化TEFF細胞、活性化TREG細胞、より経時的なT細胞(例えば、より経時的なCD4若しくはCD8細胞)又は後期メモリーT細胞の応答者数と比べて、高いパーセンテージで、活性化TEFF細胞、活性化TREG細胞、より経時的なT細胞(例えば、より経時的なCD4若しくはCD8細胞)若しくは後期メモリーT細胞又はそれらの組み合わせの1、2、3つ若しくはそれを超えるもの(例えば、全部)を有するか又は有する者として識別される。
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態において、非応答者は、より高いパーセンテージの免疫細胞疲弊マーカー、例えば1、2つ又はそれを超える免疫チェックポイント阻害因子(例えば、PD-1、PD-L1、TIM-3、TIGIT及び/若しくはLAG-3)を有するか又は有する者として識別される。一部の実施形態では、非応答者は、応答者からのPD-1若しくはLAG-3発現免疫エフェクター細胞パーセンテージと比べて、高いパーセンテージのPD-1、PD-L1若しくはLAG-3発現免疫エフェクター細胞(例えば、CD4+T細胞及び/若しくはCD8+T細胞)(例えば、CAR発現CD4+T細胞及び/若しくはCD8+T細胞)を有するか又は有する者として識別される。
一部の実施形態では、非応答者は、より高いパーセンテージで、疲弊表現型を有する免疫細胞、例えば少なくとも2つの疲弊マーカーを同時発現する、例えばPD-1、PD-L1及び/若しくはTIM-3を同時発現する免疫細胞を有するか又は有する者として識別される。他の実施形態では、非応答者は、より高いパーセンテージで、疲弊表現型を有する免疫細胞、例えば少なくとも2つの疲弊マーカーを同時発現する、例えばPD-1及びLAG-3を同時発現する免疫細胞を有するか又は有する者として識別される。
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態において、非応答者は、CAR発現細胞療法に対する応答者(例えば、完全応答者)と比べて、高いパーセンテージで、CAR発現細胞集団(例えば、CLL-1 CAR+細胞集団)中にPD-1/PD-L1+/LAG-3+細胞を有するか又は有する者として識別される。
本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態において、応答者(例えば、完全又は部分応答者)は、下記プロフィールの1、2、3つ若しくはそれを超えるもの(又は全部)を有する:
(i)参照値、例えばCD27+免疫エフェクター細胞の非応答者数と比べて、高い数のCD27+免疫エフェクター細胞を有する;
(ii)参照値、例えばCD8+T細胞の非応答者数と比べて、高い数のCD8+T細胞を有する;
(iii)参照値、例えば1つ以上のチェックポイント阻害因子を発現する細胞の非応答者数と比べて、少数の、1つ以上のチェックポイント阻害因子、例えばPD-1、PD-L1、LAG-3、TIM-3若しくはKLRG-1又はそれらの組み合わせから選択されるチェックポイント阻害因子を発現する免疫細胞を有する;又は
(iv)参照値、例えば休止TEFF細胞、休止TREG細胞、ナイーブCD4細胞、非刺激メモリーT細胞若しくは早期メモリーT細胞の非応答者数と比べて、高い数で、休止TEFF細胞、休止TREG細胞、ナイーブCD4細胞、非刺激メモリーT細胞若しくは早期メモリーT細胞又はそれらの組み合わせの1つ、2つ、3つ、4つ若しくはそれを超えるもの(全部)を有する。
複数の実施形態では、本明細書の方法によって特定された応答者、非応答者、再発者又は非再発者である対象は、臨床基準に従ってさらに評価することができる。例えば、完全応答者は、疾患、例えば癌を有するか又は有する者で、処置に対して完全応答、例えば完全寛解を呈示する対象として識別される。完全応答は、例えば、NCCN Guidelines(登録商標)又はその全体が参照により本明細書に組み込まれるHallek M et al.,Blood(2018)131:2745-2760“iwCLL guidelines for diagnosis,indications for treatment,response assessment,and supportive management of CLL,”に開示される通りのInternational Workshop on Chronic Lymphocytic Leukemia(iwCLL)2018を用いて識別され得る。部分応答者は、疾患、例えば癌を有するか又は有する者で、処置に対して部分応答、例えば部分寛解を呈示する対象として識別される。部分応答は、例えば、NCCN Guidelines(登録商標)又は本明細書に記載される通りのiwCLL 2018基準を用いて識別され得る。非応答者は、疾患、例えば癌を有するか又は有する者として識別され、その対象は、処置に対して応答を呈示せず、例えば、患者は、安定又は進行性疾患を有する。非応答者は、例えば、NCCN Guidelines(登録商標)又は本明細書に記載される通りのiwCLL 2018基準を用いて識別され得る。
上記に代わり又は本明細書に開示の方法と組み合わせて、前記の値に応答して、以下のステップの1つ、2つ、3つ、4つ若しくはそれを超えるものを実施する:
例えば、応答者又は非応答者に、CAR発現細胞療法を投与する;
変更された用量設定のCAR発現細胞療法を投与する;
CAR発現細胞療法のスケジュール又はタイムコースを変更する;
例えば、非応答者又は部分応答者に、CAR発現細胞療法と組み合わせて、追加薬剤、例えばチェックポイント阻害因子、例えば本明細書に記載のチェックポイント阻害因子を投与する;
非応答者又は部分応答者に、CAR発現細胞療法による処置前に対象中の若いT細胞の数を増加させる療法を実施する;
例えば、非応答者又は部分応答者として識別された対象の場合、CAR発現細胞療法の製造プロセスを改変する、例えばCARをコードする核酸の導入前に若いT細胞を濃縮するか又は形質導入効率を高める;
例えば、非応答者若しくは部分応答者又は再発者の場合、代替療法を実施する;又は
対象が、非応答者又は再発者であるか又はそれとして識別される場合、例えばCD25枯渇、シクロホスファミド、抗GITR抗体の投与の1つ以上又はそれらの組み合わせにより、TREG細胞集団及び/又はTREG遺伝子シグネチャーを低減する。
本発明を、次の実験的実施例を参照してさらに詳細に記載する。これらの実施例は、説明のみを目的として提供し、特に断らない限り限定を意図しない。従って、本発明は、決して次の実施例に限定されると解釈してはならず、むしろ本明細書に提供する教示の結果として明らかとなる任意且つ全ての変形形態を含むと解釈すべきである。
実施例1:サイトカイン刺激によるCARTの産生
概要
この実施例では、「サイトカインプロセス」と呼ばれるCART製造プロセスを説明する。一部の実施形態では、細胞(例えば、T細胞)を培地(例えば、血清含有培地、例えば2%血清を含有する培地)に接種する。例えば、IL-2、IL-7、IL-15(例えば、hetIL-15(IL15/sIL-15Ra))、IL-21又はIL-6(例えば、IL-6/sIL-6Ra)から選択される1つ以上のサイトカイン並びにCARをコードするベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を細胞に添加する。20~24時間のインキュベーション後、細胞を洗浄し、製剤化した後、凍結保存する。例示的なサイトカインプロセスを図1Aに示す。
伝統的なCART製造プロセスと比較して、この修正プロセスは、CD3/CD28刺激並びにエクスビボT細胞増殖を排除する。理論に縛られることを意図しないが、抗CD3/抗CD28ビーズは、セントラルメモリーT細胞への分化を駆動し;これと対照的に、IL-15、IL-21及びIL-7などのサイトカインは、形質導入されたCD3+T細胞の未分化表現型の保存を助け得る。結論として、CD3/CD28活性化を伴わないサイトカインプロセスは、伝統的な手法を用いて作製されるCART細胞と比べて、高いパーセンテージのナイーブ/ステムT細胞を含むCART細胞を作製することができる。
方法
採取から24時間以内にアフェレーシスを取得した後、T細胞を精製し、得られたT細胞の純度をフローサイトメトリーで評価する。T細胞を凍結した後、使用の必要があるまで液体窒素中に配置する。
代わりに、凍結保存アフェレーシスサンプルを調製した後、Prodigy(登録商標)機を用いて、CD4+T細胞及び/又はCD8+T細胞について濃縮する。
必要な最終濃度の1,000倍で、IL-7及びIL-15を調製した。IL-2は、培地中での10倍希釈により調製した。
エキスパンダービーズ刺激条件では、計算を実施して、ビーズ対細胞比が3:1の最終濃度で細胞を平板培養した。Dynamag(登録商標)を用いて、Dynabeads(登録商標)磁気ビーズを洗浄し、実験に必要な量の培地中に再懸濁させた。洗浄したビーズを、特定のサイトカイン及び細胞の入ったチューブに添加した。
平板培養時、1の多重感染度(MOI)で、レンチウイルスベクターにより細胞を形質導入した。形質導入しようとするベクターの具体的な量は、使用中のベクターロットの多重感染度(MOI)及び濃度(力価)に基づいて計算した。力価及びMOIは、初代T細胞株に基づいて測定した。
刺激のためにサイトカインのみを使用する条件では、細胞を洗浄後1E7/mlの濃度で再懸濁させ、条件(表19)に応じてサイトカインを既に含有するコニカルチューブに添加した。細胞及びサイトカインを添加した後、レンチウイルスベクター、次いで培地を添加した。
全ての条件において、細胞を混合し、24ウェルプレートの14ウェルに1mlを平板培養した。細胞をインキュベーター内に配置したが、これは37℃及び5%CO2であった。
翌日、細胞を採取し、細胞の濃度及び生存性を記録した。それらの機能は、細胞毒性及び増殖(EDU)合同アッセイを用いて測定した。これらの細胞は、「第1日CART」と称される。
T細胞分化状態について細胞の免疫表現型を決定した後、フローサイトメトリーを用いてCARの形質導入を評価した。細胞を洗浄し、生死判定試薬、続いて抗体カクテルを添加し(表20)、プレートを室温で20分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を2回洗浄し、固定した後、BD fortessaで解析した。
第1日CARTが、採取後に増殖する能力を依然として維持しているか否かを決定するために、T25フラスコにおいて、3:1(ビーズ対細胞)の比でCD3/CD28ビーズを用いて、5e6細胞/条件を増殖させた。Dynabeads(登録商標)磁気ビーズを前述のように洗浄した。培地は、サイトカインを含まなかった。37℃及び5%CO2のインキュベーター内に細胞を配置した。
2日毎にCD3/CD28ビーズを用いて増殖させるT細胞の場合、最大10日の培養で細胞をカウントし、溢流(spilt)させた。第10日に、細胞を回収し、カウントしてから、分化パネル(表20)を用いて免疫表現型を決定した後、Cryostor 10(商標)を用いて凍結した。機能性アッセイのために細胞を解凍したが、これらのアッセイは、細胞毒性アッセイ、増殖アッセイ及びサイトカイン分泌アッセイを含んだ。
CD3/CD28ビーズの存在下において、インビトロで10日間増殖させた細胞は、「第10日CART」と称される。
精製T細胞を他の活性化刺激の非存在下でサイトカインと一緒にインキュベートしたとき、第1日から第4日まで形質導入の増加があった(図1B)。時点及びサイトカイン条件とは独立に、CAR陽性集団内で優勢な集団は、ナイーブであった(図1D、1E及び1F)。活性化因子の排除により、初期集団による形質導入の増強が起こった。特に、IL-2又はIL-15に対する曝露は、インビトロでの自己再生T細胞を維持した(図1G)。試験した他のサイトカイン処理(IL-7;IL2+IL7;IL-7+IL-15;及びIL2+IL-15)でも、同様の現象が観察された(データは示していない)。サイトカインプロセス(この具体的な実施例では、IL2又はIL-15を用いた)は、CD45RO-CCR7+細胞のパーセンテージを維持するか又はやや増加した(図1G)。IL-2、IL-15及びIL-7とIL-15の組み合わせについて、類似のデータを図1H及び1Iに示す。表示のサイトカインと一緒にT細胞を24時間培養すると、CD3+T細胞のナイーブ表現型が維持されると共に、セントラルメモリーT細胞のパーセンテージが低下した(図1H及び1I)。
24時間以内に観察された形質導入が安定していることを確実にするために、24時間以内に産生されたCARTを洗浄して、残留ウイルスを全て除去してから、CD3/D28増殖ビーズを用いて10日にわたって増殖させた。増殖した細胞は、第1日CARTとほぼ同等の形質導入を示し、これは、形質導入が安定していることを示した(図2A)。
細胞毒性、サイトカイン放出及び増殖アッセイを用いて、第1日CART及び第10日CARTの機能性を検定した。標的細胞は、Nalm6細胞、すなわちCD19を発現するB細胞ALL細胞であった。細胞毒性アッセイから、増殖後第1日CARTは、第1日CARTがはるかに少ない形質導入細胞を含有したとしても、第10日CART(図2B)と比較して、殺傷では同等であることが証明された。増殖させた同じ第1日CARTをIFN-γの分泌について比較すると、第10日CART(図2C)と比較して、低いIFN-γ分泌を有することが判明し、これは、恐らく形質導入細胞の数の差によるものであろう。第1日CARTが、より高レベルの形質導入を有する別の試験では、それらは、より高レベルのIFN-γを分泌した(データは示していない)。さらに、IL7単独の条件を除く全ての処理条件からの第1日CARTは、第10日CARTと同等であるか又はそれより高い増殖を示した(図2D)。図2Dに示すデータは、形質導入レベルについて正規化していない。
第10日CARTには安定な形質導入が観察されたが、効率は一貫して低かった。レンチウイルスベクターの多重感染度(MOI)増加の力価測定を4つのサイトカイン条件で検定したところ、試験した全ての条件で、形質導入との線形関係が観察された(図3A)。
さらに、様々な培地組成物(主として、5%から2%、2%から無血清までの血清濃度の低減)を比較して、それらが形質導入効率に影響を及ぼすか否かを決定した。2%ヒト血清までの血清の低減は、最も高い形質導入効率をもたらした(図3B)。グルタマックス(Glutamax)のみの添加も、形質導入効率に有意な影響を及ぼすと考えられた。
次に、第1日CART及び第10日CARTを、インビボでのそれらの抗腫瘍活性について、マウスALLモデルを用いて検定した。手短には、80%を超える生存率で、前述のように第1日CART及び第10日CARTを製造した(図4A及び4B)。CARTを腫瘍担持マウスに投与し、インビボでの増殖についてモニターした。図4Cに示す通り、第1日CARTは、それらの第10日CART対応物よりも高いレベルのインビボ増殖を示した。特に、IL-2の存在下で製造されたCARTが、最も高いレベルのインビボ増殖を示した(図4C)。試験したCART、全てインビボで腫瘍増殖を阻害したが、第1日CARTは、第10日CARTと比較して動態の遅れを示した(図4D)。この特定のドナーにおいて、IL2条件は、インビボで腫瘍を排除する最も高い能力を明らかにした(図4D)。
さらに、この製造プロセスがスケーラブルであるかどうかも調べた。IL2又はhetIL-15(IL15/sIL-15Ra)いずれかの存在下において、24ウェルプレート又は濃縮後のPL30バッグのいずれかにおいて、凍結アフェレーシスサンプルからの精製T細胞をCAR19で形質導入した。hetIL-15は、国際公開第2014/066527号パンフレット(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されており、これは、ヒトIL-15Raの可溶性形態と複合体化したヒトIL-15を含む。細胞を24時間後に回収し、CARの発現について検定した。図5Bに示すように、プロセスを、IL2又はhetIL-15の存在下において、24ウェルプレートからPL30バッグにスケーリングしたとき、観察される形質導入に影響はなかった。
実施例2:TCR刺激によるCARTの産生
概要
この実施例では、「活性化プロセス」と呼ばれるCART製造プロセスを説明する。一部の実施形態では、細胞(例えば、T細胞)を、IL-2を含有する培地(例えば、無血清培地、例えばOpTmizer(商標)培地)(例えば、OpTmizer(商標)サプリメント、Glutamax及び100IU/mlのIL-2を含有するOpTmizer(商標)培地)に接種し、細胞培養装置内に配置して、抗CD3/抗CD28(例えば、TransAct)と接触させる。12時間後、CARをコードするベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を細胞に添加し、細胞をインキュベーターに戻す。細胞培養の開始から24hで、細胞を採取し、サンプリングした後、製剤化した。理論に縛られることを意図しないが、例えば抗CD3/抗CD28(例えば、TransAct)を用いた短時間のCD3及びCD28活性化により、自己再生T細胞の効率的な形質導入を促進する。
この実施例及び他の実施例では、「伝統的製造(TM)」プロセスと呼ばれるCART製造プロセスを対照として使用した。一部の実施形態では、T細胞を新鮮な又は凍結保存された白血球アフェレーシスサンプルから選択し(例えば、ポジティブ又はネガティブ選択を用いて)、活性化し(例えば、抗CD3/抗CD28抗体被覆Dynabeads(登録商標)を用いて)、CAR分子をコードする核酸分子と接触させて(例えば、CAR分子をコードする核酸分子を含むレンチウイルスベクターで形質導入する)、例えば7、8、9、10又は11日間インビトロで増殖させた。例示的なTMプロセスは、d9対照アームからのCAR細胞を製造するために使用される方法としてこの実施例に提供される。
方法
一部の実施形態では、本明細書に提供される活性化プロセスは、凍結された又は新鮮な白血球アフェレーシス産物で開始する。カウント及びQCのためのサンプルを取得した後、産物を細胞分別機(例えば、取り付けたCliniMACS(登録商標)Prodigy(登録商標)デバイスキット)に付着させると、プログラムが開始する。細胞を洗浄し、1つ又は複数の所望の表面マーカー(例えば、CD3、CD4、CD8、CD27、CD28、CD45RO、CCR7、CD62L、CD14、CD34、CD95、CD19、CD20、CD22及び/又はCD56)に結合するマイクロビーズと一緒にインキュベートする。ビーズ標識細胞は、細胞を磁気カラムに通過させることによって選択する。所望であれば、第2セットの表面マーカー(例えば、CD3、CD4、CD8、CD27、CD28、CD45RO、CCR7、CD62L、CD14、CD34、CD95、CD19、CD20、CD22及び/又はCD56)に結合するビーズと一緒に陰性画分をインキュベートした後、細胞を磁気分離カラムに再度通過させることにより、細胞をさらに分離することもできる。単離した細胞を再度洗浄してから、分離バッファーを細胞培地と交換する。次に、精製した細胞を培養に進めるか又は後の使用のために凍結保存する。凍結保存した細胞は、解凍し、予め温めた細胞培地で洗浄した後、細胞培地に再懸濁させることができる。新鮮な細胞を培養物に直接添加することができる。細胞を0.4~1.2e6細胞/cm2膜で膜分離バイオリアクターに接種し、抗CD3/抗CD28ビーズ/ポリマー、ナノ粒子又はナノコロイド(及び/又は下記共活性化因子の単独若しくは組み合わせのいずれか:ICOS、CD27、HVEM、LIGHT、CD40、4-1BB、OX40、DR3、GITR、CD30、TIM1、CD2若しくはCD226を刺激する試薬)などの活性化試薬を添加した後、細胞培地を0.25~2ml/cm2膜の最終量まで添加する。CARをコードするベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を培養開始直後又は18時間以内に添加する。培養開始から計24時間にわたって、ベクター及び前述の活性化試薬と一緒に細胞をインキュベートする。培養を24時間進行させたら、回転若しくはピペット操作又は他の攪拌によって機械的に細胞を再懸濁させてから、刺激試薬スカフォールドを適切なバッファーと一緒に溶解させる。細胞を洗浄して、不必要な試薬を除去し、凍結保存培地中に再配合する。細胞は、投与のために必要になるまで凍結保存する。
図6A~6Cに関連する試験のために、以下のプロトコルを使用した。
自動フィコール(Sepax 2、BioSafe)を用いて、新鮮な1/4ロイコパック(leukopack)から細胞を精製して、末梢血単核細胞(PBMC)を作製した。これらのPBMCを、免疫磁気ネガティブ選択(PanT Negative Selection Kit,Miltenyi)を用いてさらに精製することにより、高純度(98~100%)のCD3 T細胞を生成した。これらの細胞を、膜分離バイオリアクター内の、OpTmizer(商標)(Thermo)完全培地(添付文書に従って配合され、100IU/mlのIL-2(Proleukin,Prometheus)が添加されている)及び推奨用量の抗CD3/CD28活性化試薬(TransAct,Milenyi)と一緒に培養させた。次に、細胞を活性化のために37℃、5%CO2で12時間インキュベートした。細胞をインキュベーターから取り出し、新しく解凍したレンチウイルスベクターを2.5tu/細胞の多重感染度(MOI)で培養物に添加した。細胞を形質導入のためにさらに12時間インキュベーターに戻した。細胞を回収し、培地で2回洗浄してから、滅菌PBS(Invitrogen)に直接配合した後、NSGマウスに尾静脈から注射した。d9対照アームからの細胞を、10%ウシ胎仔血清(Seradigm)(完全培地、別名「R10」)及びT細胞当たり3ビーズの抗CD3/28Expander Dynabeads(登録商標)(Thermo)を添加したRPMI培地(Thermo)を用いて、フラスコ内(T25-T225,Corning)で増殖させた。次に、活性化のために、細胞を37℃、5%CO2で24時間インキュベートした。細胞をインキュベーターから取り出し、新しく解凍したレンチウイルスベクターを2.5tu/細胞のMOIで培養物に添加した。細胞をさらに7日間インキュベーターに戻すが、5e5細胞/mlの濃度を維持するために2日毎に分割した。増殖した細胞を50ml遠心分離管(Corning)に移し、自立型磁石(Dynamag-50、Thermo)を用いて、2ラウンドのビーズ除去に付した。次に、脱ビーズした細胞を培地で2回洗浄し、CryoStor10 cryomedia(STEMCELL Technologies)に配合し、CoolCell device(BioCision)を用いて凍結保存した後、少なくとも48時間にわたって気相液体窒素中で維持した。細胞を予め温めたR10培地中で解凍し、培地で2回洗浄してから、滅菌PBS(Invitrogen)に配合した後、NSGマウスに尾静脈から注射した。
6~8週齢のNSGマウス(NOD.Cg-PrkdcscidIl2rgtm1Wjl/SzJl,Jackson Labs)に、前準備なしでCART注射の4日前に、1e6細胞/マウスでルシフェラーゼ処理NALM6腫瘍細胞(ATCC CRL-3273,ATCC)を注射した。PBS配合CART細胞を、NSG一匹当たり2e6、5e5若しくは2e5CAR+細胞又は対応用量の非形質導入増殖T細胞若しくはPBSビヒクル対照を注射した。マウスは、毎週の採血、2週間毎のルシフェラーゼイメージング(Xenogen IVIS,PerkinElmer)及び2週間毎の体重測定によりモニターした。動物、全て毒性の兆候(体重減少、瀕死)についてモニターし、症候が現れたら安楽死させた。全ての生存マウスを試験終了時(第5週)に安楽死させて、終末血液、骨髄及び脾臓サンプルを取得した。試験は、IACUC及びその他全ての適用可能なガイドラインに従って実施した。
結果
前述の活性化プロセスを用いて、CART細胞を作製し、マウスALLモデルにおけるそれらのインビボ抗腫瘍活性について特性決定した。図6A~6Cに示す通り、活性化プロセスを用いて製造したCART細胞は、インビボで強力な抗腫瘍活性を示した。
実施例3:T細胞でのIL6R発現及びT細胞増殖に対するサイトカインの作用
材料及び方法
T細胞培養
以前凍結したT細胞を解凍し、第0日に、表示のサイトカインの存在下でαCD3/αCD28 dynalビーズ(1:3の細胞:ビーズ比)と接触させた。第3日から、第3、5、6、9、12、15及び18日に、2倍のT細胞増殖培地(RPMI1640、10%FBS、2mM L-グルタミン、100μM非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、10mM Hepes、55μMβ-メルカプトエタノール、10%FBS及び100U/mlのペニシリン-ストレプトマイシン)を、表示のサイトカイン(サイトカインなし、rhIL2(50IU/ml、Novartis)、IL6(10ng/ml、R&D Systems)、IL7(10ng/ml、Peprotech)、IL15(10ng/ml、Peprotech)及びIL21(10ng/ml、Peprotech))を含むプレートに添加した。サイトカイン、IL6又はIL21なしで処理した細胞は、第18日まで培養し、IL2、IL7又はIL15で処理した細胞は、第25日まで培養した。
細胞表面染色
細胞を表示時点で回収してから、生死判定試薬(eFluro780,eBioscience)、CD3(BioLegend、クローン♯:OKT3)、CD4(BioLegend、クローン♯:OKT4)、CD8(BD Bioscience、クローン♯:RPA-T8)、CD45RO(BioLegend、クローン♯:UCHL1)、CCR7(BioLegend、クローン♯:G043H7)、CD27(BD Horizon、クローン♯:L128)、CD127(BioLegend、クローン♯:A019D5)、CD57(BioLegend、クローン♯:HCD57)、CD126(BioLegend、クローン♯:UV4)及びCD130(R&D Systems、クローン♯:28126)抗体で染色した。細胞をFACS Fortessaにより取得した後、FlowJoプログラムを使用して、データ解析を実施した。
細胞内サイトカイン染色
第25日に、サイトカイン産生細胞の割合(%)を調べるために、T細胞を採取し、37℃のインキュベーターにおいてBrefeldin A(BioLegend)の存在下において、PMA(50ng/ml、Sigma-Aldrich)及びイオノマイシン(1μM、Sigma-Aldrich)で4時間簡単に活性化させた。次に、T細胞を生死判定試薬(eFluro780,eBioscience)、CD3(BioLegend、クローン♯:OKT3)、CD4(BioLegend、クローン♯:OKT4)、CD8(BD Bioscience、クローン♯:RPA-T8)抗体で染色した後、固定及び透過処理した。続いて、T細胞をIFN-γ(BioLegend、クローン♯:4S.B3)、IL-2(BioLegend、MQ1-17H12)及びTNF-a(BioLegend、Mab11)に対する抗体でさらに染色した。細胞をFACS Fortessaにより取得した後、FlowJoプログラムを使用して、データ解析を実施した。
結果
IL6Rα及び/又はIL6Rβ発現細胞を、CD4及びCD8T細胞の双方で、より低い分化T細胞サブセット中で濃縮した。図7A及び7Bに示す通り、ナイーブCD4及びCD8T細胞は、対応するメモリーT細胞よりも高いレベルのIL6Rα及びIL6Rβを発現した。IL6Rα及びIL6Rβを発現したT細胞は、主としてCD45RA+CD45RO-CD27+CD28+細胞であった(図8A及び8B)。TCR刺激時、IL6Rα発現が下方制御されたが、IL6Rβ発現はそうではなかった(図11)。
次に、様々なサイトカインを、T細胞増殖に対するそれらの影響について比較した。試験したサイトカインのうち、IL15、IL2及びIL7は、T細胞増殖を増大し、IL15が最大の増大を示した(図12)。サイトカイン処置は、細胞のサイズ(図13A)又は生存率(図13B)に影響しなかった。IL15処理は、IL6Rβ発現細胞の増殖も増大した(図14)。IL6Rβ発現細胞は、主に、TCR結合後15日のCD4及びCD8の双方で、CD27+(図16)又はCD57-(図17)T細胞サブセットに存在し、TCR活性化後25日で、IL2、IFNγ及びTNFαサイトカインを産生した(図18)。
実施例4:前臨床試験のためのTCR刺激によるCARTの産生
前臨床試験のためのエンジニアリングランの第0日単位操作は、第0日に使用する培地ラピッドバッファー(Rapid Buffer)及びラピッドメディア(表21)の製造から開始した。ラピッドバッファー(RB)は、0.5%HSAと共にCliniMACS(登録商標)バッファー(Miltenyi)を含有した。ラビットメディア(表21)は、製造第0日に調製され、基本培地は、OpTmizer(商標)と呼ばれる既製品培地を含むが、この培地は、Glutamax、IL-2、CTS(商標)サプリメント及びICSRを含有する。Prodigy(登録商標)機を第0日での使用のためにプライミングした。
Prodigy(登録商標)機は、第0日にプライミングし、健常なドナー白血球アフェレーシス材料を解凍し、アフェレーシス材料を合わせて600mLトランスファーバッグに導入したが、これは後にProdigy(登録商標)に密着させることができる。IPCサンプルを600mLトランスファーバッグから抽出し、NC200により測定して、出発アフェレーシス材料について生存細胞数及び生存率パーセンテージを取得した。Prodigy(登録商標)のプライミングを終了した後、アフェレーシス材料をアプリケーションバッグに移した。TCTプログラムの開始後にアフェレーシスがProdigy(登録商標)機に進入すると、それがどの程度多くのポジティブ選択分離を実施したかに応じて、プログラムは3時間45分から4時間15分まで作動した。第0日のTCTプログラムは、ラピッドバッファーによりCentricult中のDMSOを洗い流し、血小板洗浄、減容、Centricult中でのCD4及びCD8マイクロビーズとアフェレーシスのインキュベーションに続いて、Prodigy(登録商標)上の磁石を用いたポジティブ選択により、マイクロビーズでのT細胞の選択を実施する。CD4及びCD8試薬で選択されたT細胞を、ラピッドメディアを含むリアプリケーションバッグ中に溶出した。インプロセスコントロール(IPC)サンプルをリアプリケーションバッグから取得して、培養容器(G-Rex500MCS)中の接種に利用可能な総生存細胞数を決定した。
G-Rex培養装置をまず、ラピッドメディアでプライミングした後、リアプリケーションバッグからの標的細胞容量を培養容器に添加した。次に、活性化試薬(TransACT)を培養容器に添加した。続いて、TransACTの導入後にレンチウイルスベクターを培養容器に添加し、1.0のMOIを用いてベクター添加を実施した。次に、G-Rex500MCS培養容器を、250mLの最終培地容量までのラピッドメディア、さらにそのベクター添加容量でフラッシングした。続いて、G-Rex培養容器をインキュベーター中に配置して、20~28時間の範囲の目標24hにわたって培養物をインキュベートした。
標的24hインキュベーション後、CART培養物をインキュベーターから取り出し、サンプルを抽出して、ハーベストウォッシュ(Harvest Wash)前の細胞培養物の生存細胞数及び生存率を取得した。プレハーベスト(Pre-Harvest)に取得したサンプルはIPCであり、LOVO洗浄装置へのインプットとして使用することにより、回転濾過膜への細胞の流量を決定した。LOVOは、IPCとして生存WBC濃度を使用した。CART製造プロセスのために使用されるプログラムは、1溶液による4回の洗浄(Wash)として記載され、ハーベストバッファー(PBS+2.0%HSA)を使用した。LOVO洗浄中、減容及びハーベストバッファーによる細胞の洗浄の双方にIPCバッグを使用した後、それを最終的にアウトプットバッグ中に溶出した。次に、LOVO洗浄からのアウトプットバッグをサンプリングして、sanisureボトルを用いた手動の遠心分離の実施と共に、凍結培地を用いた最終製剤化の最終ステップを実施するために、生存細胞数及び生存率を取得した。
実施例5:活性化高速製造(ARM)プロセスを用いたBCMA CARTの産生
概要
この実施例では、「活性化高速製造(ARM)」と呼ばれるCART製造プロセスを説明する。一部の実施形態では、細胞(例えば、T細胞)を、培地(例えば、無血清培地、例えばOpTmizer(商標)培地)、組換えヒトIL-2培地(例えば、OpTmizer(商標)サプリメント、Glutamax及び100IU/mlのIL-2を含有するOpTmizer(商標)培地)、抗CD3/抗CD28(例えば、TransACT)及びBCMA CARをコードするベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を含有する細胞培養装置中で培養する。24時間後、「第1日CART産物」と称される細胞を採取し、サンプリングした後、製剤化した。理論に縛られることを意図しないが、抗CD3/抗CD28(例えば、TransACT)を用いた簡単なCD3及びCD28の活性化は、自己再生T細胞の効率的な形質導入を促進する。一部の事例では、培養から48h、72h及び96h又は7日後にいくつかの細胞を採取して、インビトロでのBCMA CAR発現動態を測定する。第1日CART応答は、限定されないが、インビボ細胞溶解活性及び増殖を含む。
ARMプロセスを用いた第1日BCMA CARTの産生
一部の実施形態では、本明細書に提供される活性化プロセスは、凍結された又は新鮮な白血球アフェレーシス産物で開始する。カウント及びQCのためのサンプルを取得した後、産物を細胞分別機(例えば、取り付けたCliniMACS(登録商標)Prodigy(登録商標)デバイスキット)に付着させると、プログラムが開始する。細胞を洗浄し、所望の表面マーカー、例えばCD4及びCD8などに結合するマイクロビーズと一緒にインキュベートする。ビーズ標識細胞は、細胞を磁気カラムに通過させることによって選択する。単離した細胞を再度洗浄してから、分離バッファーを細胞培地と交換する。次に、精製したT細胞を培養に進めるか又は後の使用のために凍結保存する。単離したT細胞の純度は、フローサイトメトリー評価によるQCステップを通過することになる。凍結保存した細胞は、解凍し、予め温めた細胞培地で洗浄し、細胞培地に再懸濁させることができる。新鮮な細胞を培養物に直接添加することができる。細胞を0.4~1.2e6細胞/cm2膜で膜分離バイオリアクターに接種し、抗CD3/抗CD28ビーズ/ポリマー、ナノ粒子又はナノコロイドなどの活性化試薬を添加した後、細胞培地を0.25~2ml/cm2膜の最終量まで添加する。平板培養時、様々な多重感染度(MOI)の、BCMA CARをコードするレンチウイルスベクターで細胞を形質導入する。SupT1などの細胞株に基づいて力価及びMOIを測定する。24時間の時点で、細胞を洗浄して不要な試薬を除去した後、染色して、フローサイトメトリーによりCAR発現を測定し、インビボ試験のための「第1日CART産物」として凍結保存培地に再製剤化する。
この実施例には、ARMプロセスを用いて製造される、BCMA CAR R1B6、R1F2、R1G5、PI61、B61-02、B61-10又はHy03を発現するT細胞の産生及び特性決定が記載される。R1B6、R1F2及びR1G5の配列は表3~6に開示する。PI61、B61-02及びB61-10の配列は、表7~11に開示する。Hy03の配列は、表12~15に開示する。
2.5のMOIでBCMA CARをコードするレンチウイルスベクターでT細胞を形質導入してから24時間後、rBCMA_Fcを用いたフローサイトメトリーによりCARの発現を測定した。図19Aに示すように、生存CD3+T細胞の集団全体が異なる度合いで右にシフトしたことが認められた。R1G5、R1B6又はPI61を発現するように形質導入された細胞が、最も高いCAR発現を示した(図19A)。フローサイトメトリーにより測定されるこの発現のパターンは、CARを発現するように形質導入された細胞の典型的なフローサイトメトリーヒストグラム(この場合、CAR陽性集団は、陰性集団から明瞭に分離される)と異なっていた。図19Aは、rBCMA_Fcにより検出される「偽形質導入又は一過性発現」が存在し得ることを示しており、これは、必ずしも実際の遺伝子発現を示すわけではない。レンチウイルス偽形質導入が観察され、これはベクターの添加時点から開始し、CD34+細胞では最大24時間及び293細胞では最大72時間持続することがこれまでに報告されている(Haas DL,et Al.Mol Ther.2000.291:71-80)。インテグラーゼ欠損型レンチウイルスベクターは、CD34+細胞において最大10日及び293細胞では、最大14日にわたって一過性eGFP発現を引き起こした。レンチウイルス偽形質導入はT細胞において広範に研究されていないが、こうした短時間での一過性発現の可能性は、無視することができない。そのため、インビトロ動態試験を実施して、以下に示すようにARMを用いて製造した細胞のCAR発現を測定した。
ARMプロセスを用いて製造した細胞のインビトロCAR発現動態試験
本明細書に記載の試験により、ARMプロセスを用いて製造した細胞が、どのようにしてCAR分子を経時的に発現するかを調べる。手短には、健常なドナーからのT細胞を、1のMOIのARMプロセスを用いてBCMA CARを発現するように製造し、様々な時間にわたって培養を維持し、24h、48h、72h、96h及び7日に採取して、AF647標識rBCMA_Fcを用いたフローサイトメトリーによりCAR発現動態を評価した。CAR発現動態を理解することは、インビボでトリアージ又は臨床用量設定戦略のためのリアル且つ安定な発現のための代替時点を見出す上で役立つ。
第1日に、1のMOIで形質導入された細胞のCAR発現パターン(図20A)は、2.5のMOIで形質導入された細胞のそれと類似している(図19A)。いずれのMOI条件も、第1日に偽又は一過性発現パターンを示した(図19A及び20A)。しかし、第2日に、rBCMA_Fc陽性集団は、UTD陰性対照群から分離し始めた(図20A)。第3及び第4日に、rBCMA_Fc陽性集団(BCMA CAR発現細胞を呈示し、UTD群には存在しない)が、細胞がBCMA CARを発現するように形質導入された全ての群に明確に現れた。第3日から第4日まで、CAR+%は、各CAR構築物について比較的安定しており(図20B)、最も高いMFIは第3日に観察された(図20C)(細胞は、この時点で最大であった)。図19Aに示すデータと一致して、PI61、R1G5及びR1B6を発現するように形質導入された細胞は、最も高いCAR発現細胞であった(図20A)。特に、R1F2又はHy03をコードするベクターで形質導入された細胞は、第1日に一過性CAR発現を示さなかったが、第3日及び第4日後にBCMA CAR分子を明らかに発現した(図20A)。結論として、様々なCARをコードするベクターは、経時的に様々なCAR発現動態を有すると考えられ、CAR発現の代替時点として、第3日が選択された。
インビボでの第1日のARMで処理したBCMA CARTの機能性の評価
播種性KMS-11-luc多発性骨髄腫異種移植マウスモデルを用いて、第1日CARTをそれらのインビボでの抗腫瘍活性について調べた。ルシフェラーゼリポーターは、定量的生物発光イメージング(BLI)により疾患負荷のモニタリングを可能にする。手短には、前述のように製造した第1日CARTを腫瘍担持マウスに投与した。最初のインビボ試験(図21A及び21B)において、各マウスは、1.5E6細胞の用量で最終CART産物を受けた。CAR発現を第1日及び第7日に分析した(図21A)。インビボ有効性試験では、PI61、R1G5又はR1B6を発現する細胞は、強力な抗腫瘍活性を示した(図21B)。R1F2を発現する細胞は、有効性の遅延を示した(図21B)。UTD群も、CART注射から14日後に部分的抗腫瘍活性を示したが、これはアロ反応によるものと考えられる(図21B)。2回目のインビボ試験では、CAR+T細胞の用量漸増法を試験した。CAR+T細胞の用量は、第3日のCAR+%に基づいて決定した(図22A)。腫瘍取込み動態をBLI測定により週2回モニターした。図22Aは、第1日及び第3日に検出されたCAR発現を示す。インビボ結果は、図22Bに示すように、1.5e5 CAR+T細胞及び5e4 CAR+T細胞の両用量で3つのクローンPI61、R1B6及びR1G5の全てが、腫瘍を拒絶し、排除できたことを示す。図22Cは、この試験の過程での体重変化を示すが、GVHDの前兆を呈示していない。
実施例6:12~24時間で採取される高速CARTの動態
概論
高速CART産物を24時間未満で産生できるか否かを決定するために、培養物で12~24時間後に生成された高速CARTの採取についての動態を特性決定した。この評価は、凍結保存した健常なドナーフェレーシスから濃縮したT細胞と、接種時のTransACT活性化試薬及び技術グレードCTL019ベクターの同時添加とを使用して、スモールスケールで実施した。一次読出しは、新しく採取したCART産物についての生存率、増殖後の生存細胞回収、白血球及びT細胞サブセット組成並びに形質導入効率(表面免疫表現型決定により決定される通り)であった。
方法
レンチウイルス産生及び力価決定:4.7×107TU/mLのHEK293TベースqPCR力価及び1.88×107TU/mLの概算T細胞ベース力価を用いて、CTL019をコードするレンチウイルスベクターを調製した。
T細胞単離:健常なドナーフェレーシスの凍結保存ロイコパック(LKPK)をHemacareから取得し、必要になるまで液体窒素中で保存した。第0日に、アフェレーシスを小さい氷の結晶が残るまで解凍した後、Prodigy(登録商標)プロセスバッファーで希釈した。次に、TS 520チュービングセット及びT細胞形質導入(TCT)プログラムソフトウエアバージョン1.0を備えるCliniMACS(登録商標)Prodigy(登録商標)で、自動化CD4/CD8ポジティブ選択を実施した。最終的Prodigy(登録商標)産物をOpTmizer(商標)完全T細胞培地中に溶出し、Cellometer Vision(Nexcelom)により列挙されるように、AO/PI染色により細胞濃度及び生存率を決定した。
培養開始及び形質導入:Prodigy(登録商標)産物からの細胞を計7つの容器(形質導入培養物用の5つの容器と、非形質導入(UTD)培養物用の2つの容器)に直ちに接種した。時点0で、各容器に膜1cm2当たり0.6×106生存細胞の密度で、GMPグレードTransActと共に接種してから、IL-2を含有するOpTmizer(商標)完全T細胞培地で1.2×106生存細胞/mLの最終濃度に到達させた。ベクターを室温で解凍し、概算T細胞力価に基づく0.45のMOIで各形質導入培養物に添加した。UTD対照にはウイルスを添加しなかった。一旦接種したら、採取の準備ができるまで、培養物を37℃及び5%CO2でインキュベートした。
採取:培養開始から12~24時間の各時点で、採取のために1つの形質導入培養物を選択した。容器を回転させて、膜から離して細胞を穏やかに再懸濁させることにより細胞を採取し、次に、全培養容量を再懸濁させた後、セロロジカルピペットによりコニカルチューブに移した。洗浄前カウント、生存率決定及びフロー染色のために、小さいアリコートを取り出した。各培養物の残りを50mLで2回(UTD容器の場合、100mLで2回)洗浄し、再懸濁させてから、洗浄後アリコートを取り出して、カウント及び生存率を検定した。
CART製造中の白血球組成及びCD19-CAR発現のフローサイトメトリー:白血球組成、T細胞表現型及び必要に応じてCAR発現について、培養前後のインプロセスサンプルを染色した。特別注文の蛍光色素標識抗イディオタイプ抗体(eBioscience)を用いて、形質導入細胞でのCTL019-CAR発現を評価した。各採取時点で、培養物のアリコートを生死判定試薬(Biolegend)で直ちに染色し、洗浄した後、いずれもCD3染色及び抗イディオタイプ抗体を含有する2つのフローパネルで染色し、獲得のためにパラホルムアルデヒド中に固定した。サンプルをフローサイトメーター(BD LSRFortessa;補正のために単一色の対照を使用した)で測定し、データをFlowJoソフトウエアで解析した。解析のために、白血球組成について染色したサンプル、全て生存CD45+一重項事象に基づいてプリゲートし、T細胞サブセットについて染色したサンプル、全て生存CD3+一重項事象に基づいてプリゲートした。CD45RO及びCCR7についてのゲートは、蛍光マイナスワン(FMO)対照を用いて設定した。
結果
LKPKの白血球組成、培養前のProdigy(登録商標)産物及び培養後のCART産物を第0日及び各採取時点でフローサイトメトリーにより特性決定した。同定された細胞型は、T細胞(CD3+)、単球(CD14+)、B細胞(CD19+)、ナチュラルキラー(NK)細胞(CD3-56+)及び他の細胞であった(表22)。Prodigy(登録商標)濃縮により、生存率が高く(92.9%)且つT細胞について濃縮された(48%から92%に)第0日出発材料が産生されたのに対し、混入B細胞(6%から0.10%に)並びに単球及びNK細胞は各々4%未満まで減少した。12~24時間の培養後、生存細胞の純度はさらに3~4.4%増加し、これは、12時間時点までの単球及びB細胞の即時減少並びに12から24時間時点までのNK細胞の漸減と対応する。フローサイトメトリーにより細胞外CARを発現する白血球のうち、3%未満が混入細胞(すなわちT細胞ではない)であり、接種後15時間~19時間でCAR純度の最大の上昇(96.6%から99.2%に)がみられた。
培養して18時間後のCAR発現細胞の純度の上昇(表22)は、CAR表面発現を有するT細胞のパーセンテージの増加と一致する(図22A及び23C)。24時間の培養後にフローサイトメトリーにより評価した高速CART産物で上に観察された通り(実施例5を参照)、CAR表面発現は、明確な陽性及び陰性集団をもたらさなかった。従って、CAR陽性についてのゲーティングは、下限としてのUTDサンプルを用いて設定した。細胞外CARを発現するCD3+細胞の割合は、接種から15時間後まで1%未満のままであり;その後、CAR発現は、3時間毎に3~4%ずつ増加し、飽和することなく最大11.8%に達した(図23A)。MFIにより測定されるCAR発現の強度も、>18時間の培養後やや増加したが、24時間を通して弱いままであった(図23B)。
さらに、CD4、CD8、CD45RO及びCCR7の組み合わせを用いて各時点(表24A及び24B)でT細胞サブセット(CD4:CD8比及びメモリーサブセット組成)も評価し;ここで、非分化ネイティブ様T細胞はCCR7+CD45RO-として、セントラルメモリー細胞はCCR7+CD45RO+として、エフェクターメモリー細胞はCCR7-CD45RO+として、且つ高度分化エフェクターT細胞はCCR7-CD45RO-として定義された。UTDを含め、評価した全ての時点で、培養物は、初期出発材料(それぞれ23%及び52%)よりも、高い割合のナイーブ細胞(40~47%)及び低い割合のセントラルメモリー細胞(33~39%)を含有した。興味深いことに、バルク組成物中のナイーブ又はセントラルメモリーT細胞の頻度は、12~24時間で変化しなかったが、その後の採取物は、より高い頻度の細胞外CAR発現細胞(ナイーブであった)及びより低い頻度の細胞外CAR発現細胞(セントラルメモリー細胞であった)と相関した(18時間時点でのCAR発現細胞中16%ナイーブ/63%セントラルメモリー細胞及び24時間時点でのCAR発現細胞中24%ナイーブ/54%セントラルメモリー細胞)。同様に、バルクCD4:CD8比は有意に変化しなかったが、CAR+細胞のCD4画分は、18~24時間で10%だけ減少した(66%から56%)。総細胞数へのこれらの頻度の変換(図25)から、CARを最も早期に発現するとみられたT細胞のサブセットは、培養の15~18時間にわたり、大部分がナイーブCD4細胞であり;その後、ナイーブCD8 CAR及びセントラルメモリー細胞CD8 CARの頻度が急速に増加することが明らかである。
生存細胞回復(又は増殖倍率)並びに洗浄前及び洗浄後生存率を各採取時点で決定した(図26及び27)。生存細胞の回復は、接種から18時間後(最低46%、細胞外CAR発現の速度増加と一致)まで13%低下し、その後の時点で採取した培養物について52%までやや増加した(図26)。産物生存率は、洗浄後71~77%まで増加し、採取について、生存率は、5~24時間で低下した(図27)。
結論
12~24時間に試験した時点のうち、TransAct及び技術グレードCTL019ベクターで同時に接種した高速CARTは、24時間の時点で最も高いCAR表面発現を示す。非常に少数の細胞は、接種後15時間までCAR+(採取の時間に測定)であり、その後、%CARはより急速に増加する。CAR発現の強度は弱いが、接種から18時間後にゆっくりと増加する。
高速CART産物は、接種後12~24時間の全ての時点で、最初の12時間での単球減少のために出発材料より純度が高くなり(より高い%T細胞)、続いてNK細胞がわずかに減少し、残留B細胞はProdigy(登録商標)濃縮により全く除去されなかった。
接種後18時間で採取したとき、全体的な細胞回復は最も低かった(24時間までにやや改善する)が、全体的なT細胞組成は、接種後12~24時間で変化しない。細胞外CARを最初に発現するT細胞は、接種後15~18時間にわたり、大部分がセントラルメモリーCD4であり、その後、ナイーブ及びセントラルメモリーCD8がCAR発現を示す。
実施例7:活性化高速製造(ARM)プロセスの説明
一部の実施形態では、連続的活性化高速製造(ARM)プロセスを用いて、約2日かけてCART細胞を製造するが、これにより恐らくより多数の低分化T細胞(Tナイーブ及びTSCM(ステムセントラルメモリーT)細胞)をインビボ細胞増殖のために患者に戻すことが可能になるであろう。短い製造期間により、早期分化T細胞プロフィールは、その所望の最終分化状態に向けて、エクスビボ培養容器内ではなく、体内で増殖することが可能になる。
一部の実施形態では、CART細胞は、凍結保存白血球アフェレーシス源材料、例えば非動員自己末梢血白血球アフェレーシス(LKPK)材料を用いて製造される。凍結保存材料は、抗CD4/抗CD8免疫磁気システムを用いて、生産の1日目(第0日)にT細胞濃縮のためのプロセシングステップに付す。次に、陽性画分をG-rex培養容器に接種し、抗CD3/CD28系(TransACT)で活性化し、同じ日に、CARをコードするレンチウイルスベクター(LV)で形質導入する。翌日、形質導入の20~28時間後、T細胞を採取し、4回洗浄し、凍結培地に製剤化した後、コントロールレートフリーザー(Controlled Rate Freezer)(CRF)により凍結する。第0日のプロセスの開始から翌日の採取の開始まで、第0日の接種後24時間を目標にして、細胞を20~28時間培養する。
第0日の培地を表21に従って調製した。凍結白血球アフェレーシス材料を解凍する。解凍した細胞をラピッドバッファー(表21)で希釈し、CliniMACS(登録商標)Prodigy(登録商標)装置で洗浄する。T細胞をCliniMACS(登録商標)CD4及びCD8マイクロビーズにより選択する。T細胞選択(約3時間40分~4時間40分)のためのプログラムが終了したら、ラピッドメディア(表21)に懸濁させた細胞を含むリアプリケーションバッグをトランスファーパックに移す。生存率及び細胞カウントのためにサンプルを取得した。培養容器を活性化及びベクター形質導入に接種する際、陽性画分バッグからの細胞数及び生存率データを用いて、細胞濃度を決定する。
CliniMACS(登録商標)マイクロビーズ(CD4及びCD8)を用いたT細胞のポジティブ選択後、細胞を培養容器、G-Rexに接種する。細胞を接種したら、活性化試薬(TransACT)を培養容器に添加する。次に、1.0(0.8~1.2)の目標MOIで、CARをコードするレンチウイルスベクターにより細胞を形質導入する。ベクター添加後、培養容器をインキュベーターに移し、そこで、公称5%CO2(作動範囲4.5~5.5%)、37℃の公称温度(作動範囲36~38℃)で目標の24時間にわたり(作動範囲20~28時間)それをインキュベートする。インキュベーション後、細胞をハーベスト洗浄液(Harvest Wash Solution)(表21)で4回洗浄して、非組込みベクター及び残留ウイルス粒子並びに他のプロセス関連不純物を全て除去する。次に、細胞を溶出し、細胞数及び生存率のためのサンプルを取得して試験し、それらの結果を用いて、CryoStor(登録商標)CS10を用いた最終製剤化のために、細胞を再懸濁させるのに必要な量を決定する。続いて、細胞を遠心分離して、ハーベスト洗浄液を除去し、凍結保存を実施する。
一部の実施形態では、CART細胞中に発現したCARがCD19に結合する。一部の実施形態では、ラピッドメディア(RM)(表21)に使用したIL-2の代わりに、IL-15、hetIL-15(IL-15/sIL-15Ra)、IL-6又はIL-6/sIL-6Raを使用することができる。
一部の実施形態では、CART細胞中に発現したCARはBCMAに結合する。一部の実施形態では、ラピッドメディア(RM)(表21)に使用したIL-2の代わりに、IL-15、hetIL-15(IL-15/sIL-15Ra)、IL-6又はIL-6/sIL-6Raを使用することができる。
実施例8:活性化高速製造(ARM)プロセスを用いて製造されるCD19CART細胞の特性決定
本明細書には、活性化高速製造(ARM)プロセスを用いて製造される抗CD19CAR-T細胞産物が開示される。ARMプロセスは、伝統的製造(TM)プロセスと比較して、ターンアラウンドタイムを短縮し、先を見越して、患者に対する抗CD19CAR-T細胞産物の適時注入を可能にする。さらに、ARMプロセスは、改善した抗腫瘍効果に関連する細胞サブセットである推定ステムメモリーT(Tstem)細胞も保存する。製造の主な違いは、TMプロセスが、抗CD19CART細胞を、製剤化前にインターロイキン(IL-)2と一緒に9日間インビトロで培養する増殖期を含むのに対し、ARMプロセスは、わずか24時間の培養後に製剤化を可能にする点である。これは、CD3及びCD28に対するアゴニスト活性を有するモノクローナル抗体(mAb)と結合した完全に生体適合性のナノマトリックスの使用により可能になるものであり、こうしたビーズは、TMプロセスで使用されるCD3/CD28常磁性ビーズと異なり、形質導入の直後に残留レンチウイルスベクターと一緒に洗い流すことができる。異種移植マウスモデルからの結果並びにTstem細胞の最終産物濃縮、持続性が増加し、且つ長期抗腫瘍効果に関連する亜集団は、TMプロセスを用いて製造される抗CD19CART細胞と比較して、ARMプロセスを用いて製造される抗CD19CART細胞の治療可能性の全体的向上を示唆している。異種移植マウスモデルにより明らかにされた別の重要な相違は、TMプロセスを用いて製造される対応物と比較して、ARMプロセスを用いて製造される抗CD19CART細胞増殖の細胞動態の約1週間の遅延の可能性である。この遅延は、約1週間であると推定され、これにより、TMプロセスで製造される抗CD19CART細胞を用いた場合の3週間という潜在的毒性の慎重なモニタリング枠から4週間への相応延期がもたらされる。これに対し、インビトロサイトカイン放出モデルからの非臨床安全性データは、ARMプロセスを用いて製造される抗CD19CART細胞とTMプロセスを用いて製造されるものが、IL-6産生をインビボで誘導する同様の可能性を有し、従って、同様のサイトカイン放出症候群(CRS)リスクを保有し得ることを示している。このエビデンスに基づき、ARMプロセスを用いて製造される抗CD19CART細胞は、進行性小リンパ球性リンパ腫(SLL)/慢性リンパ球性白血病(CLL)を有する患者の第I相、オープンラベル臨床試験で、この適用で既に承認された薬剤であるブルトン型キナーゼ阻害剤(BTKi)イブルチニブ(Imbruvica)と併用して且つDLBCLでの単剤として調査されることになる。
作製及びインビトロ分析
臨床スケールでの抗CD19CART細胞製造を目的とするARMプロセスを試験するために、代表的な例として、図28Aに記載する出発材料として、凍結した健常なドナー白血球アフェレーシス産物(Leukopak,LKPK)を使用した。LKPKは、37%T細胞、4%NK細胞、37%単球及び15%B細胞を含有した(図28A)。解凍後、抗CD4及び抗CD8マイクロビーズを用いて、T細胞をポジティブ選択した。陽性T細胞選択後の産物の組成は、95.4%T細胞、1.9%NK細胞、1.7%単球及び0.1%B細胞であった(図28A)。
ポジティブ選択されたT細胞は、抗CD3及び抗CD28アゴニストモノクローナル抗体に共役したポリマーナノマトリックスを用いて活性化してから、抗CD19CARをコードするレンチウイルスベクターで形質導入した。24時間の培養後、細胞を採取し、凍結保存した(こうした細胞をこの実施例では「ARM-CD19CAR」と称する)。並行して、同じドナーT細胞及びレンチウイルスベクターを使用し、伝統的製造(TM)プロセスを用いてCAR-T細胞を作製した(こうした細胞をこの実施例では「TM-CD19CAR」と称する)。TMプロセスは、抗CD3及び抗CD28抗体に結合させた常磁性ビーズを使用し、組織培養フラスコ内の9日培養期間後、同じ採取及び凍結手順を行った。各プロセスによって作製したCAR-T細胞をフローサイトメトリーによって分析して、解凍後のCAR発現並びにT細胞表現型を評価した(図28B~28D)。T細胞表現型の分析から、ARMプロセスは、CD8及びCD4コンパートメントの両方でナイーブ様T細胞を保持した(45.1%CD45RO-/CCR7+)のに対し、TMプロセスは、主としてセントラルメモリーT(TCM)細胞をもたらした(ARM-CD19CARの43.6%に対して68.6%CD45RO+/CCR7+)ことが明らかとなった(図28C及び図28D)。重要なことには、ARMプロセスは、TMプロセスと比較して、CAR+集団でも、初期ナイーブ様CD45RO-/CCR7+T細胞集団を良好に維持した(出発材料中28.6%、ARM-CD19CARで37.5%及びTM-CD19CARで4.5%)(図28C及び図28D)。このT細胞集団は、Fraietta,et al(2018)Nat Med,24(5);563-571により記載され、且つCLL第I相臨床試験で持続的寛解を伴うCD45RO-/CD27+Tstem細胞と大きく重なっている。
その表現型以外に、最終ARM-CD19CAR細胞産物をインビトロでのその機能についても評価した。ARM-CD19CAR及びTM-CD19CARを解凍し、CD19発現細胞株:NALM6(ALL)又はTMD-8(DLBCL)と一緒に共培養した。共培養から48時間後の上清中のサイトカインレベルの比較から、刺激癌細胞(NALM6又はTMD-8、図29A及び29C)に応じて、TM-CD19CARと比較して、ARM-CD19CARによって分泌されるIFN-γの11~17倍の増加及びIL-2のレベルの3.5~10倍の増加が明らかにされた。ARM若しくはTMプロセスを経た非形質導入(UTD)細胞(図29C)又はCD19陰性NALM6(NALM6-19KO)標的細胞(図29D)を用いた実験により、ARM-CD19CAR及びTM-CD19CARによるCD19特異的認識を確認した。CD19特異刺激の非存在下でのARM-UTD及びARM-CD19CAR(それぞれ、図29A及び29B)によるIFN-γ分泌のより高いバックグラウンドは、これらの産物の活性化された性質に起因する可能性がある。このバックグラウンド分泌は、48時間の共培養によち減少した(図28B及び29D)。標的細胞との最初の24時間の共培養後の細胞の中間洗浄後、さらに24時間(24h+24h)共培養すると、バックグラウンドとCD19特異的サイトカイン分泌の差はさらに増大した。24h+24h条件は、ARM-CD19CARによるバックグラウンドIFN-γ分泌が最初の24時間後に衰えることを明示している。
要約すると、ARM-CD19CARを作製するために用いたARMプロセスは、TM-CD19CARのそれと同等若しくはそれより高いCAR発現を有するT細胞をもたらす。重要なことには、ARMプロセスは、インプット材料と同様のT細胞表現型を維持する。ARM-CD19CARは、インビトロでのCD19特異的活性化を証明し、TM-CD19CARと比較して、より高いレベルのIL-2を分泌し、これは、そのTstem表現型と相関する。
インビボ有効性
インビボでの有効性試験を用いて、ARMプロセスの開発の指針とし、最終的に、臨床抗CD19CART細胞製造に使用されるプロセスが得られた。本明細書に記載の実験のために、ARM-CD19CARを臨床スケールで作製した。並行して、同じレンチウイルスベクター及び同じドナーからのT細胞を用いて、TM-CD19CARを作製した。異なるプロセスを用いて作製されたCAR-T細胞の有効性を、プレB ALL細胞株NALM6と一緒に接種した免疫欠損型NSGマウス(NOD-scid IL2Rg-ヌル)で評価した。この腫瘍細胞株は骨髄中に生着するが、高い腫瘍負荷の場合、循環中でも検出され得る。白血病接種から7日後、マウスのコホートは、CAR+T細胞の1回の注入を受けた(図30A)。第0日にTM-CD19CAR及びARM-CD19CARの解凍後フローアッセイに基づいて、0.2×106、0.5×106及び2×106生存CAR+T細胞という計画用量を決定した。
解凍後0日に、ARM-CD19CARの偽形質導入の懸念の理由で、センチネルバイアルを解凍し、最大5日間培養した後、様々な時点でフローサイトメトリーによりCAR発現(パーセンテージ及び平均蛍光強度)を分析した(図30B)。その後の時点での陽性細胞のパーセンテージは、解凍後0日サンプルと比較して低かった。同時に、CAR平均蛍光強度は、各細胞で高く、これは、安定に形質導入されたCAR-T細胞を表している。第3日の測定を用いて、ARM-CD19CARの実際用量を決定したところ、0.1×106、0.25×106及び1×106生存CAR+T細胞であることが判明した。休止させ、完全に組み込まれたCART細胞に対して解凍後サンプルのフロー分析を実施したため、TM-CD19CAR用量は不変のままであった(0.2×106、0.5×106及び2×106生存CAR+T細胞)。
ARM-CD19CAR及びTM-CD19CARは、用量依存的に腫瘍退縮を誘導した(図30C)。0.5×106若しくは2×106TM-CD19CAR細胞又は0.25×106及び1×106ARM-CD19CAR細胞で処置したマウスは、持続的な腫瘍退縮を経験した。興味深いことに、試験した各々の最低用量(2×106TM-CD19CAR細胞又は0.1×106ARM-CD19CAR細胞)で、TM-CD19CARに対する応答は持続せず、初期の部分的白血病制御後、全てのマウスが最終的に再発した。対照的に、最低用量(0.1×106)ARM-CD19CAR処置マウスは、腫瘍負荷の安定的減少を示し、これは試験終了まで持続した。腫瘍退縮の動態は、約1週間のARM-CD19CARの活性化遅延を示し、これは、Tstem細胞が、その抗腫瘍活性を及ぼすために、増殖して、エフェクターメモリー細胞に分化する必要があることを示唆している。
2つの製造プロセスによって作製されたCAR-T細胞及びUTD細胞で処置したマウスは、週2回採血して、サイトカインレベルを測定した(図31A~31D)。ARM-CD19CAR又はTM-CD19CARいずれかのCAR-T細胞を注入したマウスの循環IFN-γレベルは、二相パターンを示した(図31A)。CAR-T細胞注入から4~7日後に早期IFN-γピークが観察され、これは、TM-UTD又はARM-UTDを注入したマウスでは明瞭でなかったことから、腫瘍認識後のCD19特異的活性化に関連する可能性がある。早期CD19媒介活性化は、インビボIL-2レベルの同時上昇(図31C)により確認されたが、これは、後の時点で衰えた。
インビボ細胞動態
NSGマウスにおけるARM-CD19CARの有効性を評価するための薬理学試験の一環として、CAR+T細胞の増殖をインビボで評価した(図32)。注入から最大4週間後、CD3+/CAR+T細胞の血中濃度をフローサイトメトリーにより解析した。CAR-T細胞増殖は推定することができる。しかし、X-GVHDの発症に影響される試験時間の制限のために、長期持続性は評価することができない。0.2×106細胞の最低用量のTM-CD19CARを除いて、ARM-CD19CAR及びTM-CD19CARの両方について細胞増殖を全ての用量で観察した。曝露(細胞注射後21日以内のCmax及びAUC)は、TM-CD19CAR及びARM-CD19CARのいずれについても用量の増加と共に増大した。同じ用量レベルのTM-CD19CARに対してARM-CD19CAR及びの増殖を比較するために、TM-CD19CARの曝露を、同等用量のARM-CD19CAR(0.25×106及び1×106細胞)に対して内挿した。0.25×106及び1×106細胞の用量のTM-CD19CARと比較して、Cmaxは、24~46倍高く、AUV0-21dは、18~33倍高かった。ARM-CD19CARピーク増殖までの時間(Tmax)は、TM-CD19CARと比較して、少なくとも1週間遅れた。
要約すると、ARM-CD19CARをインビトロで評価する薬理学試験は、ARM-CD19CARが、早期分化表現型を有し、IFN-γ及びIL-2をより分泌する可能性を有することを示す。インビボで、ARM-CD19CARは、TM-CD19CARと比較して、遅れるが、より高い細胞増殖を示し、より多くのIL-2分泌を誘導すると共に、より低用量で腫瘍増殖を制御した。記述されるARM-CD19CARの他の特徴、例えばより遅い時点での高レベルの血漿IFN-γ及びより早期のX-GVHDの発生が、ARM-CD19CAR並びにARM-UTDの両方で認められ、これらは、ここで使用される異種移植マウスモデルの制限について根拠を示している。総合すると、これらの結果は、ARM-CD19CARが、より多くの幹細胞性特徴を備えるT細胞を含有し、それによりARM-CD19CARが効果的に生着し、増殖して、腫瘍を拒絶することができるという仮定を支持するものである。
インビトロIL-6放出アッセイ
CART細胞によるIL-6誘導可能性のインビトロ検証のための三者(three party)共培養モデルは、Norelli,et al(2018)Nat Med.,Jun;24(6);739-748により最初に公開されており、一部を改変して本明細書において適用した。このモデルは、最大化IL-6産生のための骨髄細胞供給源として、CAR-T細胞、白血病標的細胞及びバイスタンダーTHP-1単球細胞から構成される。このインビトロ細胞モデルでは、CD19発現標的及びTHP-1細胞との共培養により、ARM-CD19CAR又はTM-CD19CARのいずれか単独によるIL-6分泌が増加された(図33A及び33B)。重要なことには、ARM-CD19CARにより誘導された時間依存性CD19特異的IL-6分泌は、TM-CD19CARにより誘導されたものと重ね合わせることができた。同じインビトロ細胞モデルにおいて、ARM-CD19CAR条件でのCD19特異的IFN-γ分泌は、TM-CD19CAR条件よりも10倍高かった(データは示していない)。
まとめ
これらの結果は、ARM-CD19CARが、TM-CD19CARと比較して、優れた抗腫瘍能力と、類似の安全性プロフィールを有し得ることを示唆するものである。最も低い試験用量での優れた腫瘍制御と、高いインビボ細胞増殖とによって優れた抗腫瘍能力が推測される。しかしながら、こうした計算は、ARM-CD19CARが初めに検証されることになる2つの疾患適用(CLL及びDLBCL)よりも攻撃的なALLモデル(NALM6)でそれが検定されたことから、ARM-CD19CARの全体的治療能力の過小評価である可能性がある。CLLでは、とりわけ、インビボCAR-T細胞増殖が、腫瘍退縮と頑健に相関する場合(Mueller, et al(2017)Blood.130(21);2317-2325;Fraietta,et al(2018)Nat Med,24(5);563-571)、ARM-CD19CARの有意に高い増殖能(最大20倍)により、TM-CD19CARに比べ有意義に優れた有効性をもたらし得る。
マウスでは、CAR媒介性腫瘍退縮と関連するARM-CD19CARによるIFN-γ及びIL-2の早期全身放出は、伝統的に製造されたCAR-T細胞により誘導される放出のそれぞれ3倍及び10倍であった。この株では、機能性骨髄細胞の欠如によって炎症性サイトカインを産生することができないため、IL-6レベルはインビボで検定されなかった(Norelli,et al(2018)Nat Med.,Jun;24(6);739-748;Giavridis,et al(2018)Nat Med.,Jun;24(6);731-738)。これを回避し、ARM-CD19CARにより誘導されるインビボIL-6放出の可能性を評価するために、インビトロ三者共培養系を使用したが、この場合、バイスタンダー単球細胞を炎症性サイトカインの供給源として添加した(Norelli,et al(2018)Nat Med.,Jun;24(6);739-748)。この系では、IL-6産生は、ARM-CD19CARと、伝統的に製造されたCAR-T細胞との間で類似しており、これは、CRSに対する同様のリスクを示唆している。反対に、ARM-CD19CAR細胞増殖の動態遅延により、TM-CD19CARに典型的な3週間から、4週間へのCRSモニタリング期間の延長が必要となる。ARM-CD19CARを用いたインビトロ実験から、解凍後最初の3日間の培養中のARM-CD19CARによる一過性、非CAR媒介性IFN-γ及びIL-2分泌の可能性も明らかにされた。組換えヒトIL-2(Proleukin)及び組換えヒトIFN-γ(ACTIMMUNE)を受ける患者からのデータに基づく包括的リスク評価により、さらにARM-CD19CAR注入後に予測される曝露を考慮に入れて、これらの患者に、記載されるような全身症状(熱、悪寒、紅斑)のリスクが非常に低くなることを示す。このリスクをさらに軽減するために、ARM-CD19CARを受ける患者は、細胞産物の注入から少なくとも72時間にわたって入院することになる。
最終的に、非GLP準拠毒性試験では、ARM-CD19CARを移植したNSGマウスは、血液又はリンパ器官免疫表現型決定並びに関連する一連の器官の組織学的評価により評価したところ、伝統的に製造されたCAR-T細胞及びARMプロセスを経た非形質導入細胞と比較して予想外の挙動を示さなかった。
実施例9:ARMプロセスを用いて製造されるBCMA CART細胞
方法
T細胞単離
健常なドナーアフェレーシスの新鮮なロイコパックをHemacareから取得し、必要になるまで気相液体窒素(LN2)中で保存した。第0日に、2/4ロイコパックをLN2から取り出し、Plasmatherm(Barkey,Leopoldshoehe,Germany)内で小さい氷の結晶が残るまで解凍した後、Prodigy(登録商標)プロセスバッファーで希釈した。次に、TS 520チュービングセット及びT細胞形質導入(TCT)プログラムソフトウエアバージョン1.0を備えるCliniMACS(登録商標)Prodigy(登録商標)で、自動化CD4/CD8ポジティブ選択を実施した。各Prodigy(登録商標)アウトプット(産物、廃棄物及び非標的細胞)の細胞数及び生存率を、Cellometer Vision(Nexcelom,Lawrence,MA)により列挙されるように、AO/PI染色により決定して、総細胞回復及びT細胞回復を評価した。CD4/CD8濃縮産物をOpTmizer(商標)完全T細胞培地中に溶出し、24h又は伝統的9日プロセス(TM)のいずれかを用いたさらなる培養のために分割した。残ったT細胞はLNタンク内で凍結した。T細胞純度はフローサイトメトリー解析により評価した。
ARMプロセスを用いたCAR-T細胞産生
Prodigy(登録商標)により精製したT細胞をプレート、フラスコ、G-REX容器などの様々なスケールの容器又は本格的な臨床スケールのcentricultに接種した。接種時、臨床グレードレンチウイルスベクターに加えて、TransAct(Miltenyi Biotec)、抗CD3及び抗CD28アゴニストと共役したポリマーナノマトリックスを添加した。100IU/mLのヒト組換えIL-2(Prometheus,San Diego,CA)、2%ICRS(Life Technologies)を含有するOpTmizer(商標)完全T細胞培地中で細胞を24時間インキュベートして、採取及び凍結保存した。
凍結保存CAR-T細胞のアリコートを予め温めたOpTmizer(商標)完全培地中で解凍し、20×容量の予め温めた培地で2回洗浄した後、培養し、フローサイトメトリー解析に付して、解凍後の様々な時点でBCMA-CAR発現及び幹細胞性特徴を評価した。細胞産物のアリコートを標的細胞株と共培養して、特定の抗原刺激に応答するサイトカイン放出を評価した。
TMプロセスを用いたCAR-T細胞産生
Prodigy(登録商標)処理T細胞を温かいRPMI完全T細胞培地に再懸濁させてから、24ウェルプレート内で平板培養した。3:1のビーズ:細胞比で、ヒトT-エキスパンダーCD3/CD28ビーズと一緒にT細胞を37℃で一晩インキュベートした。
第1日に、SUP-T1力価に基づき、2のMOIでレンチウイルスを添加した。非形質導入対照(UTD)にはウイルスを添加しなかった。T細胞を37℃で一晩インキュベートした後、1ウェル当たり1mLの完全T細胞培地をさらに添加してから、37℃で一晩インキュベートした。残る7日間の培養物増殖のために、T細胞を組織培養フラスコに移し、2日毎に完全T細胞培地で希釈した。
第8日~9日において、T細胞を脱ビーズし、採取した後、CryoStor CS10凍結保存溶液中に凍結保存し、CoolCell Cell Freezing Containers(Biocision)内に-80℃で凍結し、翌日LN2に移した。T細胞の小アリコートをCAR発現について染色した。補正のために単色対照を加えた。サンプルをフローサイトメーター(BD LSRFortessa)で測定し、データをFlowJoソフトウエアで解析した。
標的細胞株及び培養
Nalm6細胞をレンチウイルスホタルルシフェラーゼリポーター構築物でトランスフェクトして、Nalm6-luc細胞株を作製した。細胞を37℃、5%CO2のインキュベーター内で増殖させた。使用前の腫瘍抗原BCMA発現の検出のために、細胞のアリコートを使用した。
インビトロサイトカイン分泌アッセイ
BCMA発現標的細胞に応答する抗BCMA CAR-T(エフェクター細胞と称する)のサイトカイン分泌を、96ウェル平底プレート内でCAR-T細胞を標的細胞と2.5倍E:T比で20hインキュベートすることにより評価した。エフェクター細胞は、ARM又はTMプロセスのいずれかを用いて作製されるPI61、R1G5及びBCMA10CART細胞であった。ARMプロセスを用いて製造されたCART細胞を、細胞の休止及び非特異的活性の最小化を可能にする24hウォッシュアウト条件で平板培養した。標的細胞は、BCMA陽性KMS11-luc又はBCMA陰性NALM6-lucを含む。これらの標的細胞は、新しく平板培養したT細胞又は24hウォッシュアウト条件(ARM細胞のみ)からのT細胞に添加した。このアッセイのために、BCMA CAR-TへのUTDの添加によりCAR-T細胞の%形質導入を正規化した。これにより、各サンプル中の同じ数のCAR-T細胞と同じ総T細胞数の比較が可能になった。標的に対するエフェクターの20時間共培養時点からの上清を各ウェルから回収し、MSDサイトカイン分析に使用するために-20℃で凍結した。カスタムMSD V-PLEX Human IFN-γ、IL-2Kit(♯K151A0H-4A)を使用して、各々の上清サンプル中の分泌サイトカインを定量した。
結果
ARMプロセスは、T細胞の幹細胞性を保存する
ARMプロセスを用いて製造されるCAR-T細胞をフローサイトメトリーによって分析して、解凍時及び解凍後48h時点のそれらのCAR発現並びにT細胞表現型を評価した(図34A、34B及び34C)。TMプロセスを用いて製造されるCAR-T細胞の場合、CAR発現を採取の9日前に評価した(図35A)。BCMA-CARは、図34Aに示す解凍時にほとんど検出不能であった。しかし、解凍後48hの時点で、BCMA-CARは、PI61で32.9%、R1G5で35.9%及びBCMA10で17.4%のように明確に発現された。TMプロセスを用いて作製された第9日細胞は、PI61で36%、R1G5で40%及びBCMA10で7%のBCMA-CAR発現を示す(図35A)。CAR+T細胞表現型の解析から、ARMプロセスは、ナイーブ様T細胞(PI61及びR1G5について約60%のCD45RO-/CCR7+、BCMA10について32%のCD45RO-/CCR7+)を保持したことが明らかとなった(図34C)。TMプロセスは、主としてセントラルメモリーT細胞(TCM)(全3つのBCMA CAR-Tについて72~81%のCD45RO+/CCR7+)をもたらしたが、TMプロセスを用いて製造されたCAR+T細胞ではナイーブ様T細胞集団がほぼ消失した(図35B)。全体として、ナイーブT細胞集団は、以前の報告(Cohen AD,et al(2019).J Clin Invest.130.pii:126397.doi:10.1172/JCI126397;Fraietta,JA,et al(2018).Nat Med,24(5);563-571)に記載されているCD45RO-/CD27+Tstem細胞と大きく重なり、応答及びCAR-T発現と関連する。
その表現型に加えて、最終的PI61、R1G5及びBCMA10CART細胞産物をそれらの機能についてもインビトロで評価した。PI61、R1G5及びBCMA10細胞産物を解凍し、1:1比でBCMA発現細胞株KMS-11と一緒に共培養した。解凍後のARM処理細胞は、共培養を確立する前に24h休止させた。共培養後24時間の上清中のサイトカインレベルを比較すると、図36A~36Dに示す通り、TM産物と比較して、ARM産物によって分泌されるIL-2の約5~25倍の増加及びIFN-γの約3~7倍のレベル増加が明らかにされた。ARM又はTMプロセスを経た非形質導入(UTD)細胞による実験で、PI61、R1G5及びBCMA10によるBCMA特異的認識が確認された。
要約すると、ARMプロセスを用いて産生されたPI61、R1G5及びBCMA10CART細胞は、インビトロでのBCMA特異的活性化を示し、TM処理産物と比較して、高いレベルのIL-2及びIFN-γを分泌するが、これは、ARMプロセスを用いて産生されるCART細胞のTstem表現型と相関する。
実施例10:ARMプロセスを用いて製造されるCART細胞の遺伝子シグネチャー分析
方法
単一細胞RNAseq
10X Genomics Chromium Controller instrument及び支持ライブラリー構築キットを用いて、単一細胞RNAseqライブラリーを作製した。
凍結保存細胞を解凍し、カウント及びフロー分別(試験課題の必要に応じて)した後、10X Genomics Instrumentにロードした。個別の細胞を液滴にロードし、GemCodeビーズによって個別の液滴中のRNAにバーコードを付けた。バーコード付きRNAを液滴から放出させ、全トランスクリプトームIllumina適合性シーケンシングライブラリーに変換した。
作製したライブラリーをIllumina HiSeq Instrumentで配列決定し、10X Genomics解析パイプライン及びLoupe Cell Browserソフトウエアを用いて解析した。
単一細胞免疫細胞プロファイリング
全トランスクリプトーム10X Genomics単一細胞ライブラリーを鋳型材料として使用して、免疫細胞プロファイリング及びレパトア解析を作成した。T細胞受容体配列をChromium Single Cell 5‘LibrariesからPCR増幅した後、Illuminaシーケンシング装置で解析した。
解析パイプライン
単一細胞RNAseqデータを、FASTQファイルで開始するCell Ranger解析パイプラインで処理した。Cell Ranger解析パイプラインの詳細な説明は、https://support.10xgenomics.com/single-cell-gene-expression/software/pipelines/latest/what-is-cell-rangerに見出すことができる。一般的パイプラインは、アラインメント、フィルタリング、バーコードカウント及びUMIカウントを含んだ。細胞バーコードを用いて、遺伝子バーコードマトリックスを作成し、クラスターを決定して、遺伝子発現解析を実施した。遺伝子発現カウントデータは、Seurat Bioconductorパッケージを用いて正規化した。200未満の発現遺伝子を有する細胞を解析から廃棄した。2つ以下の細胞にのみ発現された遺伝子を解析から廃棄した。残ったデータを、10,000のスケール因子を用いてSeurat log正規化法により正規化した。1細胞当たりの検出分子の数に対する回帰によりデータをスケーリングした。遺伝子セット内の全遺伝子の平均log正規化遺伝子発現値を取得することにより、遺伝子セットスコア(GeneSetScore)を算出した。各遺伝子は、サンプル全体の遺伝子の平均発現が0であり、標準偏差が1であるように正規化されたz-スコアである。次に、遺伝子セットスコアを、遺伝子セット内の遺伝子の正規化値の平均として計算する。遺伝子セットスコア計算例を以下に説明する。
本実施例の遺伝子セットスコア計算の場合、6つの遺伝子についての2つのサンプルの正規化遺伝子発現を表23に記載する。この計算例を目的として、遺伝子セットは、遺伝子1~4から構成される。従って、サンプル1及び2の両方が、0の遺伝子セットスコアを有する。
遺伝子セット「Up TEM vs.Down TSCM」は、以下の遺伝子:MXRA7、CLIC1、NAT13、TBC1D2B、GLCCI1、DUSP10、APOBEC3D、CACNB3、ANXA2P2、TPRG1、EOMES、MATK、ARHGAP10、ADAM8、MAN1A1、SLFN12L、SH2D2A、EIF2C4、CD58、MYO1F、RAB27B、ERN1、NPC1、NBEAL2、APOBEC3G、SYTL2、SLC4A4、PIK3AP1、PTGDR、MAF、PLEKHA5、ADRB2、PLXND1、GNAO1、THBS1、PPP2R2B、CYTH3、KLRF1、FLJ16686、AUTS2、PTPRM、GNLY及びGFPT2を含む。
遺伝子セット「Up Treg vs.Down Teff」は、以下の遺伝子:C12orf75、SELPLG、SWAP70、RGS1、PRR11、SPATS2L、SPATS2L、TSHR、C14orf145、CASP8、SYT11、ACTN4、ANXA5、GLRX、HLA-DMB、PMCH、RAB11FIP1、IL32、FAM160B1、SHMT2、FRMD4B、CCR3、TNFRSF13B、NTNG2、CLDND1、BARD1、FCER1G、TYMS、ATP1B1、GJB6、FGL2、TK1、SLC2A8、CDKN2A、SKAP2、GPR55、CDCA7、S100A4、GDPD5、PMAIP1、ACOT9、CEP55、SGMS1、ADPRH、AKAP2、HDAC9、IKZF4、CARD17、VAV3、OBFC2A、ITGB1、CIITA、SETD7、HLA-DMA、CCR10、KIAA0101、SLC14A1、PTTG3P、DUSP10、FAM164A、PYHIN1、MYO1F、SLC1A4、MYBL2、PTTG1、RRM2、TP53INP1、CCR5、ST8SIA6、TOX、BFSP2、ITPRIPL1、NCAPH、HLA-DPB2、SYT4、NINJ2、FAM46C、CCR4、GBP5、C15orf53、LMCD1、MKI67、NUSAP1、PDE4A、E2F2、CD58、ARHGEF12、LOC100188949、FAS、HLA-DPB1、SELP、WEE1、HLA-DPA1、FCRL1、ICA1、CNTNAP1、OAS1、METTL7A、CCR6、HLA-DRB4、ANXA2P3、STAM、HLA-DQB2、LGALS1、ANXA2、PI16、DUSP4、LAYN、ANXA2P2、PTPLA、ANXA2P1、ZNF365、LAIR2、LOC541471、RASGRP4、BCAS1、UTS2、MIAT、PRDM1、SEMA3G、FAM129A、HPGD、NCF4、LGALS3、CEACAM4、JAKMIP1、TIGIT、HLA-DRA、IKZF2、HLA-DRB1、FANK1、RTKN2、TRIB1、FCRL3及びFOXP3を含む。
遺伝子セット「Down stemness」は、以下の遺伝子:ACE、BATF、CDK6、CHD2、ERCC2、HOXB4、MEOX1、SFRP1、SP7、SRF、TAL1及びXRCC5を含む。
遺伝子セット「Up hypoxia」は、以下の遺伝子:ABCB1、ACAT1、ADM、ADORA2B、AK2、AK3、ALDH1A1、ALDH1A3、ALDOA、ALDOC、ANGPT2、ANGPTL4、ANXA1、ANXA2、ANXA5、ARHGAP5、ARSE、ART1、BACE2、BATF3、BCL2L1、BCL2L2、BHLHE40、BHLHE41、BIK、BIRC2、BNIP3、BNIP3L、BPI、BTG1、C11orf2、C7orf68、CA12、CA9、CALD1、CCNG2、CCT6A、CD99、CDK1、CDKN1A、CDKN1B、CITED2、CLK1、CNOT7、COL4A5、COL5A1、COL5A2、COL5A3、CP、CTSD、CXCR4、D4S234E、DDIT3、DDIT4、1-Dec、DKC1、DR1、EDN1、EDN2、EFNA1、EGF、EGR1、EIF4A3、ELF3、ELL2、ENG、ENO1、ENO3、ENPEP、EPO、ERRFI1、ETS1、F3、FABP5、FGF3、FKBP4、FLT1、FN1、FOS、FTL、GAPDH、GBE1、GLRX、GPI、GPRC5A、HAP1、HBP1、HDAC1、HDAC9、HERC3、HERPUD1、HGF、HIF1A、HK1、HK2、HLA-DQB1、HMOX1、HMOX2、HSPA5、HSPD1、HSPH1、HYOU1、ICAM1、ID2、IFI27、IGF2、IGFBP1、IGFBP2、IGFBP3、IGFBP5、IL6、IL8、INSIG1、IRF6、ITGA5、JUN、KDR、KRT14、KRT18、KRT19、LDHA、LDHB、LEP、LGALS1、LONP1、LOX、LRP1、MAP4、MET、MIF、MMP13、MMP2、MMP7、MPI、MT1L、MTL3P、MUC1、MXI1、NDRG1、NFIL3、NFKB1、NFKB2、NOS1、NOS2、NOS2P1、NOS2P2、NOS3、NR3C1、NR4A1、NT5E、ODC1、P4HA1、P4HA2、PAICS、PDGFB、PDK3、PFKFB1、PFKFB3、PFKFB4、PFKL、PGAM1、PGF、PGK1、PGK2、PGM1、PIM1、PIM2、PKM2、PLAU、PLAUR、PLIN2、PLOD2、PNN、PNP、POLM、PPARA、PPAT、PROK1、PSMA3、PSMD9、PTGS1、PTGS2、QSOX1、RBPJ、RELA、RIOK3、RNASEL、RPL36A、RRP9、SAT1、SERPINB2、SERPINE1、SGSM2、SIAH2、SIN3A、SIRPA、SLC16A1、SLC16A2、SLC20A1、SLC2A1、SLC2A3、SLC3A2、SLC6A10P、SLC6A16、SLC6A6、SLC6A8、SORL1、SPP1、SRSF6、SSSCA1、STC2、STRA13、SYT7、TBPL1、TCEAL1、TEK、TF、TFF3、TFRC、TGFA、TGFB1、TGFB3、TGFBI、TGM2、TH、THBS1、THBS2、TIMM17A、TNFAIP3、TP53、TPBG、TPD52、TPI1、TXN、TXNIP、UMPS、VEGFA、VEGFB、VEGFC、VIM、VPS11及びXRCC6を含む。
遺伝子セット「Up autophagy」は、以下の遺伝子:ABL1、ACBD5、ACIN1、ACTRT1、ADAMTS7、AKR1E2、ALKBH5、ALPK1、AMBRA1、ANXA5、ANXA7、ARSB、ASB2、ATG10、ATG12、ATG13、ATG14、ATG16L1、ATG16L2、ATG2A、ATG2B、ATG3、ATG4A、ATG4B、ATG4C、ATG4D、ATG5、ATG7、ATG9A、ATG9B、ATP13A2、ATP1B1、ATPAF1-AS1、ATPIF1、BECN1、BECN1P1、BLOC1S1、BMP2KL、BNIP1、BNIP3、BOC、C11orf2、C11orf41、C12orf44、C12orf5、C14orf133、C1orf210、C5、C6orf106、C7orf59、C7orf68、C8orf59、C9orf72、CA7、CALCB、CALCOCO2、CAPS、CCDC36、CD163L1、CD93、CDC37、CDKN2A、CHAF1B、CHMP2A、CHMP2B、CHMP3、CHMP4A、CHMP4B、CHMP4C、CHMP6、CHST3、CISD2、CLDN7、CLEC16A、CLN3、CLVS1、COX8A、CPA3、CRNKL1、CSPG5、CTSA、CTSB、CTSD、CXCR7、DAP、DKKL1、DNAAF2、DPF3、DRAM1、DRAM2、DYNLL1、DYNLL2、DZANK1、EI24、EIF2S1、EPG5、EPM2A、FABP1、FAM125A、FAM131B、FAM134B、FAM13B、FAM176A、FAM176B、FAM48A、FANCC、FANCF、FANCL、FBXO7、FCGR3B、FGF14、FGF7、FGFBP1、FIS1、FNBP1L、FOXO1、FUNDC1、FUNDC2、FXR2、GABARAP、GABARAPL1、GABARAPL2、GABARAPL3、GABRA5、GDF5、GMIP、HAP1、HAPLN1、HBXIP、HCAR1、HDAC6、HGS、HIST1H3A、HIST1H3B、HIST1H3C、HIST1H3D、HIST1H3E、HIST1H3F、HIST1H3G、HIST1H3H、HIST1H3I、HIST1H3J、HK2、HMGB1、HPR、HSF2BP、HSP90AA1、HSPA8、IFI16、IPPK、IRGM、IST1、ITGB4、ITPKC、KCNK3、KCNQ1、KIAA0226、KIAA1324、KRCC1、KRT15、KRT73、LAMP1、LAMP2、LAMTOR1、LAMTOR2、LAMTOR3、LARP1B、LENG9、LGALS8、LIX1、LIX1L、LMCD1、LRRK2、LRSAM1、LSM4、MAP1A、MAP1LC3A、MAP1LC3B、MAP1LC3B2、MAP1LC3C、MAP1S、MAP2K1、MAP3K12、MARK2、MBD5、MDH1、MEX3C、MFN1、MFN2、MLST8、MRPS10、MRPS2、MSTN、MTERFD1、MTMR14、MTMR3、MTOR、MTSS1、MYH11、MYLK、MYOM1、NBR1、NDUFB9、NEFM、NHLRC1、NME2、NPC1、NR2C2、NRBF2、NTHL1、NUP93、OBSCN、OPTN、P2RX5、PACS2、PARK2、PARK7、PDK1、PDK4、PEX13、PEX3、PFKP、PGK2、PHF23、PHYHIP、PI4K2A、PIK3C3、PIK3CA、PIK3CB、PIK3R4、PINK1、PLEKHM1、PLOD2、PNPO、PPARGC1A、PPY、PRKAA1、PRKAA2、PRKAB1、PRKAB2、PRKAG1、PRKAG2、PRKAG3、PRKD2、PRKG1、PSEN1、PTPN22、RAB12、RAB1A、RAB1B、RAB23、RAB24、RAB33B、RAB39、RAB7A、RB1CC1、RBM18、REEP2、REP15、RFWD3、RGS19、RHEB、RIMS3、RNF185、RNF41、RPS27A、RPTOR、RRAGA、RRAGB、RRAGC、RRAGD、S100A8、S100A9、SCN1A、SERPINB10、SESN2、SFRP4、SH3GLB1、SIRT2、SLC1A3、SLC1A4、SLC22A3、SLC25A19、SLC35B3、SLC35C1、SLC37A4、SLC6A1、SLCO1A2、SMURF1、SNAP29、SNAPIN、SNF8、SNRPB、SNRPB2、SNRPD1、SNRPF、SNTG1、SNX14、SPATA18、SQSTM1、SRPX、STAM、STAM2、STAT2、STBD1、STK11、STK32A、STOM、STX12、STX17、SUPT3H、TBC1D17、TBC1D25、TBC1D5、TCIRG1、TEAD4、TECPR1、TECPR2、TFEB、TM9SF1、TMBIM6、TMEM203、TMEM208、TMEM39A、TMEM39B、TMEM59、TMEM74、TMEM93、TNIK、TOLLIP、TOMM20、TOMM22、TOMM40、TOMM5、TOMM6、TOMM7、TOMM70A、TP53INP1、TP53INP2、TRAPPC8、TREM1、TRIM17、TRIM5、TSG101、TXLNA、UBA52、UBB、UBC、UBQLN1、UBQLN2、UBQLN4、ULK1、ULK2、ULK3、USP10、USP13、USP30、UVRAG、VAMP7、VAMP8、VDAC1、VMP1、VPS11、VPS16、VPS18、VPS25、VPS28、VPS33A、VPS33B、VPS36、VPS37A、VPS37B、VPS37C、VPS37D、VPS39、VPS41、VPS4A、VPS4B、VTA1、VTI1A、VTI1B、WDFY3、WDR45、WDR45L、WIPI1、WIPI2、XBP1、YIPF1、ZCCHC17、ZFYVE1、ZKSCAN3、ZNF189、ZNF593及びZNF681を含む。
遺伝子セット「Up resting vs.Down activated」は、以下の遺伝子:ABCA7、ABCF3、ACAP2、AMT、ANKH、ATF7IP2、ATG14、ATP1A1、ATXN7、ATXN7L3B、BCL7A、BEX4、BSDC1、BTG1、BTG2、BTN3A1、C11orf21、C19orf22、C21orf2、CAMK2G、CARS2、CCNL2、CD248、CD5、CD55、CEP164、CHKB、CLK1、CLK4、CTSL1、DBP、DCUN1D2、DENND1C、DGKD、DLG1、DUSP1、EAPP、ECE1、ECHDC2、ERBB2IP、FAM117A、FAM134B、FAM134C、FAM169A、FAM190B、FAU、FLJ10038、FOXJ2、FOXJ3、FOXL1、FOXO1、FXYD5、FYB、HLA-E、HSPA1L、HYAL2、ICAM2、IFIT5、IFITM1、IKBKB、IQSEC1、IRS4、KIAA0664L3、KIAA0748、KLF3、KLF9、KRT18、LEF1、LINC00342、LIPA、LIPT1、LLGL2、LMBR1L、LPAR2、LTBP3、LYPD3、LZTFL1、MANBA、MAP2K6、MAP3K1、MARCH8、MAU2、MGEA5、MMP8、MPO、MSL1、MSL3、MYH3、MYLIP、NAGPA、NDST2、NISCH、NKTR、NLRP1、NOSIP、NPIP、NUMA1、PAIP2B、PAPD7、PBXIP1、PCIF1、PI4KA、PLCL2、PLEKHA1、PLEKHF2、PNISR、PPFIBP2、PRKCA、PRKCZ、PRKD3、PRMT2、PTP4A3、PXN、RASA2、RASA3、RASGRP2、RBM38、REPIN1、RNF38、RNF44、ROR1、RPL30、RPL32、RPLP1、RPS20、RPS24、RPS27、RPS6、RPS9、RXRA、RYK、SCAND2、SEMA4C、SETD1B、SETD6、SETX、SF3B1、SH2B1、SLC2A4RG、SLC35E2B、SLC46A3、SMAGP、SMARCE1、SMPD1、SNPH、SP140L、SPATA6、SPG7、SREK1IP1、SRSF5、STAT5B、SVIL、SYF2、SYNJ2BP、TAF1C、TBC1D4、TCF20、TECTA、TES、TMEM127、TMEM159、TMEM30B、TMEM66、TMEM8B、TP53TG1、TPCN1、TRIM22、TRIM44、TSC1、TSC22D1、TSC22D3、TSPYL2、TTC9、TTN、UBE2G2、USP33、USP34、VAMP1、VILL、VIPR1、VPS13C、ZBED5、ZBTB25、ZBTB40、ZC3H3、ZFP161、ZFP36L1、ZFP36L2、ZHX2、ZMYM5、ZNF136、ZNF148、ZNF318、ZNF350、ZNF512B、ZNF609、ZNF652、ZNF83、ZNF862及びZNF91を含む。
遺伝子セット「Progressively up in memory differentiation」は、以下の遺伝子:MTCH2、RAB6C、KIAA0195、SETD2、C2orf24、NRD1、GNA13、COPA、SELT、TNIP1、CBFA2T2、LRP10、PRKCI、BRE、ANKS1A、PNPLA6、ARL6IP1、WDFY1、MAPK1、GPR153、SHKBP1、MAP1LC3B2、PIP4K2A、HCN3、GTPBP1、TLN1、C4orf34、KIF3B、TCIRG1、PPP3CA、ATG4D、TYMP、TRAF6、C17orf76、WIPF1、FAM108A1、MYL6、NRM、SPCS2、GGT3P、GALK1、CLIP4、ARL4C、YWHAQ、LPCAT4、ATG2A、IDS、TBC1D5、DMPK、ST6GALNAC6、REEP5、ABHD6、KIAA0247、EMB、TSEN54、SPIRE2、PIWIL4、ZSCAN22、ICAM1、CHD9、LPIN2、SETD8、ZC3H12A、ULBP3、IL15RA、HLA-DQB2、LCP1、CHP、RUNX3、TMEM43、REEP4、MEF2D、ABL1、TMEM39A、PCBP4、PLCD1、CHST12、RASGRP1、C1orf58、C11orf63、C6orf129、FHOD1、DKFZp434F142、PIK3CG、ITPR3、BTG3、C4orf50、CNNM3、IFI16、AK1、CDK2AP1、REL、BCL2L1、MVD、TTC39C、PLEKHA2、FKBP11、EML4、FANCA、CDCA4、FUCA2、MFSD10、TBCD、CAPN2、IQGAP1、CHST11、PIK3R1、MYO5A、KIR2DL3、DLG3、MXD4、RALGDS、S1PR5、WSB2、CCR3、TIPARP、SP140、CD151、SOX13、KRTAP5-2、NF1、PEA15、PARP8、RNF166、UEVLD、LIMK1、CACNB1、TMX4、SLC6A6、LBA1、SV2A、LLGL2、IRF1、PPP2R5C、CD99、RAPGEF1、PPP4R1、OSBPL7、FOXP4、SLA2、TBC1D2B、ST7、JAZF1、GGA2、PI4K2A、CD68、LPGAT1、STX11、ZAK、FAM160B1、RORA、C8orf80、APOBEC3F、TGFBI、DNAJC1、GPR114、LRP8、CD69、CMIP、NAT13、TGFB1、FLJ00049、ANTXR2、NR4A3、IL12RB1、NTNG2、RDX、MLLT4、GPRIN3、ADCY9、CD300A、SCD5、ABI3、PTPN22、LGALS1、SYTL3、BMPR1A、TBK1、PMAIP1、RASGEF1A、GCNT1、GABARAPL1、STOM、CALHM2、ABCA2、PPP1R16B、SYNE2、PAM、C12orf75、CLCF1、MXRA7、APOBEC3C、CLSTN3、ACOT9、HIP1、LAG3、TNFAIP3、DCBLD1、KLF6、CACNB3、RNF19A、RAB27A、FADS3、DLG5、APOBEC3D、TNFRSF1B、ACTN4、TBKBP1、ATXN1、ARAP2、ARHGEF12、FAM53B、MAN1A1、FAM38A、PLXNC1、GRLF1、SRGN、HLA-DRB5、B4GALT5、WIPI1、PTPRJ、SLFN11、DUSP2、ANXA5、AHNAK、NEO1、CLIC1、EIF2C4、MAP3K5、IL2RB、PLEKHG1、MYO6、GTDC1、EDARADD、GALM、TARP、ADAM8、MSC、HNRPLL、SYT11、ATP2B4、NHSL2、MATK、ARHGAP18、SLFN12L、SPATS2L、RAB27B、PIK3R3、TP53INP1、MBOAT1、GYG1、KATNAL1、FAM46C、ZC3HAV1L、ANXA2P2、CTNNA1、NPC1、C3AR1、CRIM1、SH2D2A、ERN1、YPEL1、TBX21、SLC1A4、FASLG、PHACTR2、GALNT3、ADRB2、PIK3AP1、TLR3、PLEKHA5、DUSP10、GNAO1、PTGDR、FRMD4B、ANXA2、EOMES、CADM1、MAF、TPRG1、NBEAL2、PPP2R2B、PELO、SLC4A4、KLRF1、FOSL2、RGS2、TGFBR3、PRF1、MYO1F、GAB3、C17orf66、MICAL2、CYTH3、TOX、HLA-DRA、SYNE1、WEE1、PYHIN1、F2R、PLD1、THBS1、CD58、FAS、NETO2、CXCR6、ST6GALNAC2、DUSP4、AUTS2、C1orf21、KLRG1、TNIP3、GZMA、PRR5L、PRDM1、ST8SIA6、PLXND1、PTPRM、GFPT2、MYBL1、SLAMF7、FLJ16686、GNLY、ZEB2、CST7、IL18RAP、CCL5、KLRD1及びKLRB1を含む。
遺伝子セット「Up TEM vs.Down TN」は、以下の遺伝子:MYO5A、MXD4、STK3、S1PR5、GLCCI1、CCR3、SOX13、KRTAP5-2、PEA15、PARP8、RNF166、UEVLD、LIMK1、SLC6A6、SV2A、KPNA2、OSBPL7、ST7、GGA2、PI4K2A、CD68、ZAK、RORA、TGFBI、DNAJC1、JOSD1、ZFYVE28、LRP8、OSBPL3、CMIP、NAT13、TGFB1、ANTXR2、NR4A3、RDX、ADCY9、CHN1、CD300A、SCD5、PTPN22、LGALS1、RASGEF1A、GCNT1、GLUL、ABCA2、CLDND1、PAM、CLCF1、MXRA7、CLSTN3、ACOT9、METRNL、BMPR1A、LRIG1、APOBEC3G、CACNB3、RNF19A、RAB27A、FADS3、ACTN4、TBKBP1、FAM53B、MAN1A1、FAM38A、GRLF1、B4GALT5、WIPI1、DUSP2、ANXA5、AHNAK、CLIC1、MAP3K5、ST8SIA1、TARP、ADAM8、MATK、SLFN12L、PIK3R3、FAM46C、ANXA2P2、CTNNA1、NPC1、SH2D2A、ERN1、YPEL1、TBX21、STOM、PHACTR2、GBP5、ADRB2、PIK3AP1、DUSP10、PTGDR、EOMES、MAF、TPRG1、NBEAL2、NCAPH、SLC4A4、FOSL2、RGS2、TGFBR3、MYO1F、C17orf66、CYTH3、WEE1、PYHIN1、F2R、THBS1、CD58、AUTS2、FAM129A、TNIP3、GZMA、PRR5L、PRDM1、PLXND1、PTPRM、GFPT2、MYBL1、SLAMF7、ZEB2、CST7、CCL5、GZMK及びKLRB1を含む。
また、類似のプロセス及び/又は特徴を記述する他の遺伝子セットを用いて、前述した細胞表現型を特性決定することもできる。
Cell Ranger VDJを使用して、単一細胞VDJ配列及び各単一細胞5‘ライブラリーのアノテーションを作成した。データ解析及び視覚化のために、Loupe Cell Browserソフトウエア及びBioconductorパッケージを用いた。
結果
この実施例は、インプット細胞として使用される精製T細胞、ARMプロセスを用いて製造されるCART細胞(「第1日」細胞と標識される)及びTMプロセスを用いて製造されるCART細胞(「第9日」細胞と標識される)間のT細胞状態を単一細胞RNA-seq(scRNA-seq)により比較することを目標とする。加えて、単一細胞TCR-seq(scTCR-seq)を実施して、クローン性を調べ、インプットから製造後材料への細胞分化を追跡する。
図37A~37Cに示すように、インプット細胞は、最も少ない発現遺伝子及びUMIを有したが、これは、これらの細胞が、転写的に活性ではなく、休止状態であることを示唆している。第1日及び第9日細胞は、より多くの遺伝子を発現し、第9日細胞が転写的に最も活性であった。同様の結果を図38A~38Dに示す。インプット細胞は、増殖遺伝子を発現していない(図38A及び38D)。
追加の遺伝子セット解析を図39A~39Eに示す。メディアン遺伝子セットスコア中央値を用いて、様々な細胞集団を比較した。第1日細胞及びインプット細胞は、より若く、よりステム様メモリー状態であった(図39A~39C)。図39Aでは、第1日細胞、第9日細胞及びインプット細胞のGeneSetScore(Up TEM vs.Down TSCM)中央値は、それぞれ-0.084、0.035及び-0.1である。図39Bでは、第1日細胞、第9日細胞及びインプット細胞のGeneSetScore(Up TEM vs.Down TSCM)中央値は、それぞれ-0.082、0.087及び-0.071である。図39Cでは、第1日細胞、第9日細胞及びインプット細胞のGeneSetScore(Down Stemness)中央値は、それぞれ-0.062、0.14及び-0.081である。
加えて、第1日細胞は、第9日細胞と比較して、より理想的代謝状態にあった(図39D及び39E)。図39Dでは、第1日細胞、第9日細胞及びインプット細胞のGeneSetScore(Up hypoxia)中央値は、それぞれ0.019、0.11及び-0.096である。図39Eでは、第1日細胞、第9日細胞及びインプット細胞のGeneSetScore(Up autophagy)中央値は、それぞれ0.066、0.11及び-0.09である。
遺伝子発現に基づいて、インプット細胞は、4つのクラスターを含有する。クラスター0は、LMNA、S100A4などの高度発現を特徴とする。クラスター1は、RP913、PRKCQ-AS1などの高度発現を特徴とする。クラスター2は、PR11-291B21.2、CD8Bなどの高度発現を特徴とする。クラスター3は、NKG7、GZMH、CCL5、CST7、GNLY、FGFBP2、GZMA、CCL4、CTSW、CD8Aなどの高度発現を特徴とする。インプット細胞のT分布型確率的近傍埋め込み法(T-Distributed Stochastic Neighbor Embedding)(TSNE)プロットにおいて、クラスター3は他の細胞から突出しており、クラスター1及び2は、識別するのが難しい。
図40A~40Cに示す遺伝子セット解析によれば、クラスター0及びクラスター3は、Tエフェクター表現型が濃縮されたクラスター1及びクラスター2と比較して、T調節表現型が濃縮されていた。クラスター3は、後期メモリー/エフェクターメモリー(TEM)細胞により占められ、クラスター1及びクラスター2は、早期メモリー及びナイーブ細胞であり、クラスター0は、中間にある。インプット細胞の大部分は、早期メモリー、ナイーブ状態にあった。理論に縛られることを意図しないが、これらの細胞が、製造工程中、最良に機能し得る。
第1日細胞及び第9日細胞に、より低い転写不均一性が認められた(データは示していない)。
インプット集団と同様に、第1日細胞は、インプット細胞のクラスター3にみられるものと類似して、TSNEプロットにおいて早期メモリー細胞の大きいクラスターと、後期メモリー細胞のより小さいクラスターを示した。対照的に、第9日細胞は、TSNEプロットに早期メモリー細胞の明確なクラスターは示さなかった。これは、第9日までに、細胞がより均質になったことを意味する。
TCRを配列決定し、クロノタイプ多様性を測定した。全体として、3つのクロノタイププロフィールは、非常に平坦であった(ほとんどのクローンは、1回のみ選び出された)(図41A~41C及び表24)。表24のシャノンエントロピーは、分布の平坦性を測定する。インプット細胞中の優勢なクローンは、後期メモリー細胞であった。第1日細胞は、インプット細胞と類似しているようにみえたが、均一になり始めた。9日までに、優勢なクローンは実質的に均一になり、分布がはるかに平坦になった。多様性測定は、インプット細胞又は第1日細胞よりも第9日にはるかに均一且つ平坦な分布が存在したため、第9日で最も高かった。
まとめ
第1日及び第9日産物間に有意なT細胞状態の差があった。第1日細胞は、インプット細胞とはるかによく類似し、幹細胞性シグネチャーが豊富であったが、これは、より有効な産物を示す。
実施例11:再発性及び/又は難治性多発性骨髄腫(MM)を有する成人患者におけるB細胞成熟抗原(BCMA)指向性CAR-T細胞の第I相、オープンラベル試験。
この試験では、利用可能であれば、IMiD(例えば、レナリドミド若しくはポマリドミド)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ)及び承認された抗CD38抗体(ダラツムマブ)を含め、少なくとも2種の過去の治療レジメンに対して再発性及び/又は難治性であり、且つ疾患進行のエビデンス(IMWG基準)が記録されている成人MM対象における抗BCMA CAR-T細胞療法の安全性及び耐容性を評価する。
抗BCMA CARは、PI61抗BCMA scFv、CD8ヒンジ及び膜貫通領域、4-1BB共刺激ドメイン及びCD3ζシグナル伝達ドメインを含む。この試験では、活性化高速製造(ARM)プロセスを用いて、抗BCMA
CAR-T細胞産物を製造する。こうした細胞は、「ARM-BCMA CAR」と呼ばれる。具体的に、T細胞表面上のCD4及びCD8共受容体を捕獲する市販の磁気ビーズを用いて、被験者の白血球アフェレーシス単位からT細胞を濃縮する。次に、濃縮したT細胞を、ヒトCD3及びCD8に対するヒト化組換えアゴニスト抗体に共有結合したコロイドポリマーナノマトリックスで刺激する。接種、活性化及び形質導入から24時間後、CAR-T細胞を採取し、洗浄して、残留する非組込みベクター及び非結合活性化マトリックスを除去する。洗浄後、BCMA CART細胞療法薬を濃縮及び凍結保存する。投与用の産物の放出前に放出試験手順の結果が必要となる。
レンチウイルスベクターによる形質導入後7~8日持続するエクスビボT細胞増殖に依存するCAR-T細胞のTMプロセスと比較して、ARMプロセスは、エクスビボT細胞増殖を含まない。対照的に、ARMで生産されたT細胞は、遺伝子移入から24時間後に採取されるため、それらを患者内でインビボ増殖させることができる。ARMプロセスで達成される優れたインビボT細胞増殖は、低分化T細胞表現型をもたらし、最終細胞産物中により大きい画分のメモリーステムT細胞を保存することが予測される。低分化のメモリーCAR-T細胞の存在は、臨床試験で改善された抗腫瘍効果に関連している(Fraietta JA,et al.,(2018)Nat Med 24(5);563-71)。理論に縛られることを意図しないが、より大きい画分のメモリーT細胞を含むBCMA CART細胞は、患者内でCAR-T細胞増殖の増大をもたらし、これによりエフェクターT細胞枯渇を克服して、伝統的な製造プロセスによって生産されたBCMA CART細胞と比較して、MM患者により持続的な有効性を達成する。
ARMプロセスは、伝統的製造(TM)プロセスを用いて製造されるCART細胞と比較して、産物全体及びCAR-陽性画分の両方において、有意に高い割合のナイーブ様メモリーT細胞(CCR7+/CD45RO-)を含むCAR-T細胞を生産する。ARM-BCMA CAR細胞は、用量応答性様式で、前臨床MMモデルにおける腫瘍根絶を証明している。ARM-BCMA CARは、TMプロセスによって産生されたBCMA CAR-T細胞と比較して、少なくとも5倍強力であり、より高レベルの全身性サイトカインと共に、インビボで持続的なCAR-T細胞増殖をもたらす。総合すると、これらの結果は、ARMプロセスを用いて製造される抗BCMA CAR-T細胞産物が、顕著なメモリー幹細胞表現型を有するT細胞を含み、その結果、増強された生着、増殖及び抗MM特性を備えたBCMA CAR-T細胞産物が達成されるという仮定を支持する。
この第I相試験では、まず、スクリーニング中に各対象を臨床適格性について評価する。本試験への参加に適格である対象は、以下の基準を満たさなければならない:(1)ICF署名時の年齢≧18歳;(2)スクリーニング時のECOGパフォーマンスステータスが0又は1いずれかである;(3)MMを有する対象であって、IMiD(例えば、レナリドミド若しくはポマリドミド)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ)及び承認済抗CD38抗体(例えば、ダラツムマブ)(利用可能であれば)を含め、少なくとも2種の過去の治療レジメンに対して再発性及び/又は難治性であり、且つ疾患進行のエビデンス(IMWG基準)が記録されている者;(4)対象は、次の3つの測定値の少なくとも1つにより確定される測定可能な疾患を有していなければならない:血清M-タンパク質≧1.0g/dL、尿M-タンパク質≧200mg/24時間又は血清遊離軽鎖(sFLC)>100mg/L関連FLC;(5)全ての患者は、施設のガイドラインに従い連続的骨髄生検及び/又は吸引採取について適性であり、且つ本試験について記載の通り、反復手順を受ける意思がなければならない;(6)対象は、スクリーニング時に次の血液学的値を満たさなければならない:試験の7日以内に増殖因子支持なしで、絶対好中球数(ANC)≧1,000/mm3(≧1×109/L)、7日以内の輸血サポートなしのCD3+T細胞の絶対数>150/mm3(>0.15×109/L)、血小板≧50,000/mm3(≧50×109/L)及びヘモグロビン≧8.0g/dl(≧4.9mmol/L);(7)患者は、臨床責任医師により、フルダラビン/シクロホスファミドLDレジメンを受けるのに適性であるとみなされなければならない;及び(8)製造が承認される非動員細胞の白血球アフェレーシス材料を有していなければならない。適合性であれば、対象は、白血球アフェレーシス産物を採取され、CAR-T製造に付される。対象は、それらの白血球アフェレーシス産物の製造開始の承認と共に登録される。
対象は、最終産物が利用可能であることが確認されて初めて、リンパ球枯渇(LD)化学療法を受ける。LD化学療法後、解凍から90分以内に、抗BCMA CAR-T細胞産物を静脈内(i.v.)注射により患者に投与する(図42)。ARM-BCMA CARの出発用量は、1×107生存CAR陽性T細胞である。また、5×107生存CAR陽性T細胞も試験する。各対象は各々、抗BCMA CAR-T細胞投与から最初の72時間入院する。
薬物動態分析のために、異なる時点で、連続的血液サンプルを採取して、フローサイトメトリー及びqPCRにより末梢血中の、またフローサイトメトリー及びqPCRにより骨髄中のARM-BCMA CAR細胞動態を測定し、ELISAにより末梢血中のsBCMA、BAFF及びAPRILといった潜在的薬力学マーカーを測定する。特に、対象は、末梢血、骨髄又は他の関連組織中のCARトランスジーンの量;末梢血又は骨髄中のCAR陽性T細胞の表面発現;血清中の抗mCAR抗体;PBMC中のIFN-γ陽性CD4/CD8T細胞のパーセンテージ;免疫細胞活性化のマーカー;可溶性免疫因子及びサイトカイン(例えば、sBCMA、IFN-γ、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-15、TNF-α)、CAR-Tクローナリティ;並びに血清中の可溶性BCMA、APRIL及びBAFFについて分析される。
実施例12:活性化高速製造(ARM)プロセスを用いるBCMA CART細胞の製造
BCMA CART細胞のARMプロセスは、表25に概略を示すように、培地の調製から開始する。
凍結保存した白血球アフェレーシス産物を出発材料として使用し、これをT細胞濃縮のために処理する。利用可能であれば、アフェレーシスペーパーワークを利用して、T細胞パーセンテージを決定する。アフェレーシスペーパーワークに基づくT細胞パーセンテージデータがない場合、到着した凍結保存白血球アフェレーシス産物にセンチネルバイアル試験を実施して、アフェレーシスのT細胞パーセンテージ目標を取得する。T細胞パーセンテージについての結果により、ARMプロセスの第0日にどの程度の個数のバッグを解凍するかを決定する。
凍結保存白血球アフェレーシスを解凍、洗浄した後、CliniMACS(登録商標)マイクロビーズ技術を用いて、T細胞選択及び濃縮を実施する。生存核細胞(VNC)をTransACT(Miltenyi)で活性化し、CARをコードするレンチウイルスベクターで形質導入する。Miltenyiマイクロビーズで選択された生存細胞を、非加湿インキュベーションチャンバーであるProdigy(登録商標)上のcentricult中に接種する。培養中、CTS(商標)サプリメント(ThermoFisher)、グルタマックス(Glutamax)、IL-2及び2%免疫細胞血清代替品をその成分として含むOpTmizer(商標)CTS(商標)基材の培地であるラピッドメディアに細胞を懸濁させて、T細胞活性化及び形質導入を促進する。レンチウイルス形質導入は、TransACTを培地中の希釈された細胞に添加した後、接種の日に1回実施する。レンチウイルスベクターは、接種日の使用直前に、室温で最大30分かけて解凍する。
第0日のプロセス開始から、培養物洗浄及び採取の開始まで、BCMA CART細胞を接種から20~28時間培養する。培養後、細胞懸濁液をcentricultチャンバー(Miltenyi Biotech)中で2回の培地洗浄及び1回の採取物洗浄に付す。
第1日のCliniMACS(登録商標)Prodigy(登録商標)での採取物洗浄後、細胞懸濁液をサンプリングして、生存細胞数及び生存率を決定する。次に、細胞懸濁液を遠心分離機に移し、手動でペレット化する。上清を除去し、細胞ペレットをCS10(BioLife Solution)に再懸濁させることにより、約10.0%の最終DMSO濃度を有する産物製剤が得られる。生存細胞数は、用量設定のために採取後に公式化する。次に、用量を個別のクライオバッグに分配し、クライオバイアル中での分析サンプリングを行う。
凍結保存産物は、安全な進入制限エリア内のモニター付きLN2保存タンク内に最終出荷及び発送まで保存する。
実施例13:活性化高速製造(ARM)プロセスを用いて製造されたBCMA CART細胞の特性決定
まとめ
この実施例では、ARMプロセスを用いて製造されるBCMA CART細胞の特性決定を説明する。ARMプロセスは、伝統的製造(TM)産物と比較して、有意に高い割合のナイーブ様メモリーT細胞(CCR7+/CD45RO-)から構成されるCAR-T細胞を生産する。多発性骨髄腫(MM)の前臨床モデルにおいて、ARMプロセスを用いて製造されたBCMA CART細胞は、用量依存的に腫瘍退縮を誘導し、これは、TMプロセスを用いて製造されるBCMA CART細胞と比較して、腫瘍殺傷が最大5倍有効であった。さらに、ARM製造細胞は、TM製造細胞と比較して、インビボで長期のCART増殖(最大3倍高いCmax及びAUC0-21d)を示し、より高い全身性サイトカイン(IFN-γ、約3.5倍)を誘導した。総合すると、これらの結果は、ARMプロセスを用いて製造されるBCMA CART細胞が、顕著なメモリー幹細胞表現型及びインビボで増大した増殖能力を備えたT細胞を有するという仮定を支持するものである。
ARMプロセスを用いて、CARは、ウイルス添加後96h(また、産物の解凍後72hとも称される)で、安定して発現させることができた。従って、ウイルス添加後96h又は解凍後72hは、インビトロ及びインビボ活性のためのCAR発現の代替時点と考えられる。ARMプロセスを用いて製造されたBCMA CART細胞は、TMプロセスで製造されたBCMA CART細胞と比較して、低分化細胞集団を保存し、インビトロでより高い標的特異的サイトカイン産生を示す。
ARMプロセスを用いて製造されたBCMA CART細胞は、市販のヒト血漿膜タンパク質アレイを用いてBCMAに対する高い特異性を示した。このアッセイでは、BCMA(TNFRSF17)との結合は検出されたが、他の強度、中度若しくは弱い結合は検出されなかった。スクリーンは、BCMA CART産物に発現される抗ヒトBCMA単鎖抗体可変フラグメント(scFv)(PI61)の交差反応タンパク質の存在を高い信頼性で見出さなかった。標的分布試験を実施して、潜在的なオフ腫瘍オンターゲット(off-tumor on-target)毒性を決定した。免疫組織化学(IHC)、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイを使用して、正常ヒト組織中のBCMAの分布を調べた。これらの分析から、二次リンパ器官、骨髄及び粘膜関連リンパ組織などの正常形質細胞(PC)を含有する部位に限定されたことが示された。中枢神経系(CNS)神経毒性は、他の細胞療法に関して懸念事項であったため、脳での発現を調べた。BCMAに特異的であることが証明された市販の抗体を用いる免疫組織化学によっても、またBCMA標的化scFvを含有するヒト-ウサギキメラツール抗体を用いた結合アッセイによっても、CNS中に染色は、観察されなかった。これらの知見は、インサイチュハイブリダイゼーション及びPCRに基づくスプライス変異体解析によって測定されるように、上記の組織中にBCMA mRNAが存在しないことにより確認された。正常PC及びBCMA発現形質細胞容樹状細胞のBCMA CART標的化は、それらの枯渇を起こすと考えられるが;他の細胞型の標的化は、予想されない。
結果
以下に記載する試験では、ARMプロセスを用いて製造されたBCMA CART細胞(「ARM-BCMA CAR」と称される)を、TMプロセスを用いて製造されたBCMA CART細胞(「TM-BCMA CAR」又は「TM-BCMA CAR*」と称される)と比較した。ARM-BCMA CARに発現されたCAR及びTM-BCMA CAR*に発現されたCARは、PI61 scFv、CD8ヒンジ及び膜貫通領域、4-1BB共刺激ドメイン並びにCD3ζシグナル伝達ドメインを含む同じ配列を有する。TM-BCMA CARに発現されたCARは、BCMA10 scFv、CD8ヒンジ及び膜貫通領域、4-1BB共刺激ドメイン及びCD3ζシグナル伝達ドメインを含む。
インビトロでのARM-BCMA CAR発現動態
8~9日後にCARトランスジーンのレンチウイルス組込みを測定するTMとは対照的に、ARMプロセスでは、レンチウイルス偽形質導入が起こり得ることから、レンチウイルス添加後24h以内にレンチウイルストランスジーンが完全に組み込まれ、真に発現されてはいない可能性がある(Haas DL,et al.,(2000)Mol Ther;2(1):71-80;Galla M,et al.,(2004)Mol Cell;16(2):309-15)。そのため、3’-アジド-3’-デオキシチミジン(AZT)の存在又は非存在下において、ARM-BCMA CARの長期培養により、BCMA-CAR発現パターンを経時的に評価して、CARトランスジーンの安定した組込み及び発現に対して偽形質導入の可能性を評価した。流量サイトメトリー(FACS)解析を実施して、T細胞活性化及びレンチウイルスによる形質導入後24h、48h、72h、96h及び168hでのCAR表面発現を検出した。一部の事例では、ARM-BCMA CAR及びこの産物のアリコートを、他のアッセイでのさらに別の特性決定のために、採取後直接凍結した。
図43に示すように、FACS解析は、レンチウイルスベクターの添加後24hで、BCMA-CARが、実際に発現を明らかにしなかったことを示している。しかし、CAR+集団は、初め、48hで出現した。CAR+集団は、ウイルス添加後48h~168hの各時点でやや増加した。CARは、96hから安定して発現されるとみられた。これは、非形質導入(UTD)及びAZT処理サンプルとは対照的であり、これらは、48hからのいずれの時点でもCAR+集団を示さなかった(図43)。AZTは、30μM及び100μM用量の双方でCAR+集団を有効に阻害することができ、これは、BCMA CAR発現が宿主細胞ゲノムへのウイルス遺伝子組込みによるものであり、レンチウイルス偽形質導入に起因するものではないようであることを示唆している。
ARM-BCMA CARは、T細胞幹細胞性を保存する
ARM-BCMA CAR及びTM-BCMA CARをFACSにより解析して、解凍時のCAR発現並びに解凍後48hのT細胞表現型を評価した(図44A及び44B)。BCMA-CARは、二人のドナーにみられる解凍時にほとんど検出不能であった(図44A)が、これは、図43に示されるCAR発現動態試験の観察と一致する。しかし、解凍後48hで、BCMA-CAR発現は、ARM-BCMA CARについて32.9%であった。対照的に、TM-BCMA CARは、7%のBCMA-CAR発現を明らかにした(図44B)。CAR+T細胞表現型の解析から、ARMプロセスは、ナイーブ様T細胞(60%CD45RO-/CCR7+)を保持することが明らかにされ、ナイーブ様T細胞は、エフェクターT細胞集団(CD45RO+/CCR7-)の26倍であることが判明した。TMプロセスは、主として、CAR+T細胞内にセントラルメモリーT細胞(81%CD45RO+/CCR7+)もたらした。TMプロセスでは、ナイーブ様T細胞集団は、ほとんど存在しなかった。このナイーブT細胞集団は、CD45RO-/CCR7+Tstem細胞(Cohen AD,et al(2019)J Clin Invest;129(6):2210-21;及びFraietta,et al(2018).Nat Med,24(5);563-571により記載)と大きく重なり、増大したCAR-T発現及び臨床応答と関連する。
その表現型に加えて、最終的ARM-BCMA CAR細胞産物をインビトロでのその活性化についても評価した。ARM-BCMA CAR及びTM-BCMA CARを解凍し、BCMA発現細胞株KMS-11と一緒に共培養した。解凍後のARM-BCMA CAR細胞は、共培養を確立する前に24h休ませた。共培養から24時間後の上清中のサイトカインレベルを比較すると、図45A及び45Bに示す通り、TM-BCMA CARと比較して、ARM-BCMA CARによって分泌されるIL-2の5倍の増加及びIFN-γの2倍のレベル増加が明らかにされた。ARM又はTMプロセスを経たUTD細胞による実験で、ARM-BCMA CAR及びTM-BCMA CARによるBCMA特異的認識が確認された。しかし、BCMA特異的刺激(図45B)の非存在下でのARM-UTDによるIFN-γ分泌のバッググランドが高いのは、ARM産物の活性化された性質に起因する可能性がある。
要約すると、BCMA CART細胞を作製するために用いられるARMプロセスは、TMプロセスのそれよりも高いCAR発現を伴うT細胞をもたらす。ARM-BCMA CARは、インビトロでBCMA特異的活性化を示し、TM-BCMA CARと比較して、高いレベルのIL-2を分泌するが、これは、そのTstem表現型と相関する。
異種移植モデルにおけるARM-BCMA CAR及びTM-BCMA CARの有効性
インビボでの薬理学試験をARM-BCMA CARの開発の指針として使用した。図46に記載する実験では、GMP材料を用いてARM-BCMA CARを作製した。並行して、TM-BCMA CARは、同じバッチのT細胞を用いるが、TMによって作製した。ARM-BCMA CARを用いる用量計算には、産物の解凍後72hのCAR+(%)の測定を用いて、用量を計算し;TM-BCMA CARの場合、第9日TM産物のCAR+(%)の測定を用いて、用量を計算した。異なるプロセスを用いて製造されたCAR-T細胞の有効性を、MM細胞株KMS-11-Lucを接種した免疫欠損型NSGマウス(NOD-scid IL2Rg-ヌル)で評価した。この腫瘍細胞株は、骨髄に生着する。MM接種から8日後、マウスのコホートは、CAR+T細胞の単回注入を受けた。対応用量群の総CAR+T細胞に対して用量を正規化した。UTD T細胞を同様に調製し、これは、腫瘍に対する同種免疫反応について照合するための独立した群として提供された。UTD用量は、TM及びARMの両方について達成することができたそれぞれのプロセスの最も高い総T細胞用量を表すものであった。
図47は、全ての群の腫瘍退縮曲線である。両BCMA CAR+T産物(ARM-BCMA CAR及びTM-BCMA CAR)共に、試験した用量レベルで、最も低い用量群でも、腫瘍を排除することができた。腫瘍退縮は、用量依存的に誘導された。腫瘍殺傷効果の開始は、高い用量群に比べて低い用量群で約1週間遅れた。ARM-BCMA CARは、TM-BCMA CARの3~5倍の用量で同様の退縮を誘導し、ARM-BCMA CARが、TM-BCMA CARに比べて3~5倍強力であることを示している。
さらに、この試験では、TM-BCMA CAR*の有効性も評価した。TM-BCMA CAR*及びARM-BCMA CARは、同じ抗BCMA CARを発現したが、これらは、異なるプロセス:それぞれTMプロセス及びARMプロセスを用いて製造された。これらの結果から、ARM-BCMA CARが、TM-BCMA CAR*より1~5倍低い用量で類似の腫瘍退縮を誘導することが実証された。
マウス、全てCAR+T療法後2、7、14及び21日に採血して、血漿IFN-γを測定した(図48A~48C)。早期ピークは観察されず、全ての群が、2日時点で非常に低レベルの循環IFN-γ(<10pg/ml)を示した。全ての群についてピークは、CAR+T用量後14日以内に観察された。しかし、IFN-γレベルは、TM-BCMA CARと比較して、ARM-BCMA CARの方が3.5倍高かった。ARM-UTD群は、試験終了の2日前及び7日前IFN-γをほとんど又は全く産生していない。IFN-γは、ARM-BCMA CAR 1e4及びTM-BCMA CAR 5e4群と比較すると、これら2つの群ではCAR+T細胞が依然として増殖し、腫瘍阻害が遅れるため、第21日に、より高い用量群で下降した。
インビトロARM-BCMA CAR細胞動態
NSGマウスにおける有効性を評価するためのこの薬理学試験の一環として、注入後最大3週間まで末梢血CAR-T細胞の増殖をFACSにより解析した。CD3+T細胞及びCAR+T細胞増殖のいずれも、全CAR-T細胞処理群に観察された。Cmax及びAUC-21dに関して、ARM-BCMA CAR又はTM-BCMA CARの明らかな用量依存性増殖はなかった。ARM-BCMA CAR又はMTV273の細胞増殖のピークは、21日以内に達成されなかった。しかし、5e5の用量群のTM-BCMA CAR及び0.5e5の用量群のARM-BCMA CARは、第14日に明らかなピーク増殖を達成した(図49)。21日でのARM-BCMA CARの発現とTM-BCMA CARのそれとを比較すると、ARM-BCMA CARのCmax及びAUC0-21dはいずれも2~3倍高かった。
実施例14:IL-15又はhetIL-15(IL-15/sIL-15Ra)を使用する活性化高速製造(ARM)プロセスを用いたBCMA CART細胞の製造
BCMA CART細胞のARMプロセスは、表25に概略を示すような培地の調製で開始する。
凍結保存した白血球アフェレーシス産物を出発材料として使用し、これをT細胞濃縮のために処理する。利用可能であれば、アフェレーシスペーパーワークを利用して、T細胞パーセンテージを決定する。アフェレーシスペーパーワークに基づくT細胞パーセンテージデータがない場合、到着した凍結保存白血球アフェレーシス産物にセンチネルバイアル試験を実施して、アフェレーシスのT細胞パーセンテージ目標を取得する。T細胞パーセンテージについての結果により、ARMプロセスの第0日にどの程度の個数のバッグを解凍するかを決定する。
凍結保存白血球アフェレーシスを解凍、洗浄した後、CliniMACS(登録商標)マイクロビーズ技術を用いて、T細胞選択及び濃縮を実施する。生存核細胞(VNC)をTransACT(Miltenyi)で活性化し、CARをコードするレンチウイルスベクターで形質導入する。Miltenyiマイクロビーズで選択された生存細胞を、非加湿インキュベーションチャンバーであるProdigy(登録商標)上のcentricult中に接種する。培養中、CTS(商標)サプリメント(ThermoFisher)、グルタマックス(Glutamax)、IL-15又はhetIL-15(IL-15/sIL-15Ra)及び2%免疫細胞血清代替品をその成分として含むOpTmizer(商標)CTS(商標)基材の培地であるラピッドメディアに細胞を懸濁させて、T細胞活性化及び形質導入を促進する。レンチウイルス形質導入は、TransACTを培地中の希釈された細胞に添加した後、接種の日に1回実施する。レンチウイルスベクターは、接種日の使用直前に、室温で最大30分かけて解凍する。
第0日のプロセス開始から、培養物洗浄及び採取の開始まで、BCMA CART細胞を接種から20~28時間培養する。培養後、細胞懸濁液をcentricultチャンバー(Miltenyi Biotech)中で2回の培養物洗浄及び1回の採取物洗浄に付す。
第1日のCliniMACS(登録商標)Prodigy(登録商標)での採取物洗浄後、細胞懸濁液をサンプリングして、生存細胞数及び生存率を決定する。次に、細胞懸濁液を遠心分離機に移し、手動でペレット化する。上清を除去し、細胞ペレットをCS10(BioLife Solution)に再懸濁させることにより、約10.0%の最終DMSO濃度を有する産物製剤が得られる。生存細胞数は、用量設定のために採取後に公式化する。次に、用量を個別のクライオバッグに分配し、クライオバイアル中での分析サンプリングを行う。
凍結保存産物は、安全な進入制限エリア内のモニター付きLN2保存タンク中に最終出荷及び発送まで保存する。
一部の実施形態では、OpTmizer(商標)CTS(商標)基材の培地に使用したIL-15又はhetIL-15の代わりにIL-6又はIL-6/sIL-6Raを使用することができる。
実施例15:活性化高速製造(ARM)プロセスを用いたCD19CART細胞の製造
CD19CART細胞のARMプロセスは、表25に概略を示すような培地の調製で開始する。
凍結保存した白血球アフェレーシス産物を出発材料として使用し、これをT細胞濃縮のために処理する。利用可能であれば、アフェレーシスペーパーワークを利用して、T細胞パーセンテージを決定する。アフェレーシスペーパーワークに基づくT細胞パーセンテージデータがない場合、到着した凍結保存白血球アフェレーシス産物にセンチネルバイアル試験を実施して、アフェレーシスのT細胞パーセンテージ目標を取得する。T細胞パーセンテージについての結果により、ARMプロセスの第0日にどの程度の個数のバッグを解凍するかを決定する。
凍結保存白血球アフェレーシスを解凍、洗浄した後、CliniMACS(登録商標)マイクロビーズ技術を用いて、T細胞選択及び濃縮を実施する。生存核細胞(VNC)をTransACT(Miltenyi)で活性化し、CARをコードするレンチウイルスベクターで形質導入する。Miltenyiマイクロビーズで選択された生存細胞を、非加湿インキュベーションチャンバーであるProdigy(登録商標)上のcentricult中に接種する。培養中、CTS(商標)サプリメント(ThermoFisher)、グルタマックス(Glutamax)、IL-2及び2%免疫細胞血清代替品をその成分として含むOpTmizer(商標)CTS(商標)基材の培地であるラピッドメディアに細胞を懸濁させて、T細胞活性化及び形質導入を促進する。レンチウイルス形質導入は、TransACTを培地中の希釈された細胞に添加した後、接種の日に1回実施する。レンチウイルスベクターは、接種日の使用直前に、室温で最大30分かけて解凍する。
第0日のプロセス開始から、培養物洗浄及び採取の開始まで、CD19CART細胞を接種から20~28時間培養する。培養後、細胞懸濁液をcentricultチャンバー(Miltenyi Biotech)中で2回の培養物洗浄及び1回の採取物洗浄に付す。
第1日のCliniMACS(登録商標)Prodigy(登録商標)での採取物洗浄後、細胞懸濁液をサンプリングして、生存細胞数及び生存率を決定する。次に、細胞懸濁液を遠心分離機に移し、手動でペレット化する。上清を除去し、細胞ペレットをCS10(BioLife Solution)に再懸濁させることにより、約10.0%の最終DMSO濃度を有する産物製剤が得られる。生存細胞数は、用量設定のために採取後に公式化する。次に、用量を個別のクライオバッグに分配し、クライオバイアルへの分析サンプリングを行う。
凍結保存産物は、安全な進入制限エリア内のモニター付きLN2保存タンク中に最終出荷及び発送まで保存する。
一部の実施形態では、OpTmizer(商標)CTS(商標)基材の培地に使用したL-2の代わりに、IL-15、hetIL-15(IL-15/sIL-15Ra)、IL-6又はIL-6/sIL-16Raを使用することができる。
実施例16:活性化高速製造(ARM)プロセスを用いたCAR19.HilD発現T細胞の製造
この実施例では、ARMプロセスを用いたCAR19.HilD発現T細胞の製造について説明する。CAR19は、抗CD19CARである。CAR19.HilDは、CAR19がHilDタグに融合された構造を指す。HilDタグ(「IKZF3 136-180及び236-249」とも呼ばれる)は、標的タンパク質のレナリドミド依存性分解を媒介することができるIKZF3ベースの分解タグである。HilDタグは、ヒトIKZF3のアミノ酸残基136~180及び236~249を含み、配列番号312のアミノ酸配列を含む。
方法
2人のドナー由来のヒト初代T細胞を解凍し、円錐チューブ中でTransActを用いて調製した。CAR19及びCAR19.HilDベクターを、2つの異なるMOI(感染多重度):1及び2で添加した。非形質導入T細胞も培養して、対照として使用した。細胞を1μMのレナリドミドと一緒に又はレナリドミドなしで培養した。
24時間のインキュベーション後、1%HSA(ヒト血清アルブミン)を含むPBSを用いて、細胞を洗浄し、次に、予熱したOptimizer培地に再懸濁した。回収した細胞を計数し、Cellacaのシステムを用いて生存率を測定した。形質導入効率を決定するために、細胞を新鮮な24ウェルプレートに再播種し、加湿器チャンバー中、5%CO2雰囲気下において37℃でインキュベートした。
ベクター洗浄後6日目の終わりに、全ての細胞を回収し、PBSで洗浄した。細胞を生死判定染色のために染色し、続いて、抗CD3抗体(T細胞の染色)及び抗ID抗体(CAR発現の染色)を用いて表面染色した。次に、細胞をPBSで2回洗浄し、2%パラホルムアルデヒド細胞固定バッファー中に、室温で10分間再懸濁した。固定細胞をPBSで洗浄してから、Fortessa装置内に取得した。Flow Joソフトウエアを使用して、結果を解析した。
分析のために、細胞を、一重項、生存及びCD3陽性細胞についてプレゲーティングした後、これらをCAR発現についてゲーティングし、非形質導入細胞を対照として用いた。
結果
CAR19.HilD細胞は、CAR19細胞及び非形質導入細胞(UTD)と同様の生存率を示し、ウイルスベクター及びTransActとの24時間インキュベーション後、約40~50%の生存率を示した(図50A)。ARMプロセスを用いて製造されたCART19.HilD細胞の回収は、24時間で約50%であった(図50B)。タグなしCART19細胞についても同様の結果が得られた(図50B)。従って、CAR19にHilDタグを付けても、ARMプロセスを用いて製造された細胞の生存率又は回収率に影響を及ぼさない。
CAR発現に関しては、CART19.HilD細胞は、ベクターの洗浄から6日後に14%CAR発現を示した。このCAR発現は、レナリドミドの存在下で1%未満に低下したが、これは、CAR19-HilD発現の調節に対する薬物の効果を示している(図51C及び51D)。レナリドミドのこの効果は、CAR19-HilDに特異的であり、タグなしCART19細胞へのレナリドミドの添加は、CAR発現に影響を及ぼさなかった(約29~30%の形質導入効率が得られた)(図51A及び51B)。
均等物
本明細書に引用するそれぞれの及び全ての特許、特許出願及び刊行物の開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。本発明は、特定の実施形態を参照して開示しているが、本発明のさらなる実施形態及び変形形態は、本発明の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の当業者によって考案され得ることが明らかである。下記の特許請求の範囲は、全てのこのような実施形態及び均等な変形形態を含むと解釈されることを意図する。