以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。また、以下の説明において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、実施形態および変形例に記載された各構成は、適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。また、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、構成の一部が省略されたりしている。
<<自動植毛装置の構成例及び動作例>>
最初に、本発明の実施形態に係る自動植毛装置の基本的な構成及び動作について図面を参照して説明する。なお、ここでは、本発明の要部を説明する前提として、自動植毛装置の基本的な構成及び動作のそれぞれの一例を説明するに過ぎない。本発明の要部の構成及び動作と矛盾を生じない限りにおいて、ここで説明する自動植毛装置の構成及び動作とは異なる構成及び動作を採用することは当然に可能である。
図1は、自動植毛装置の構造及び初期位置を示した側面図である。図2は、図1の状態の自動植毛装置を後方から前方に向かってみた場合の正面図である。図1に示すように、自動植毛装置120は、エキセン10、植毛鉤針20、引出鉤針30、ストッカ40、糸位置出しバー50、糸落としバー60、糸引込バー70、反転ローラー80、図11に図示した磁石90、図示のされていない駆動機構、制御装置などを備え、当該制御装置による前記駆動機構の制御に伴いエキセン10と植毛鉤針20と引出鉤針30と糸落としバー60並びに糸引込バー70のそれぞれが図2から図11までに示した第1動作から第18動作までを行い、毛髪材100aをストッカ40から1本ずつ捕捉して植毛ネット200の横糸202に結び付けて植毛する。なお、図1ないし図21に示す側面図及び正面図では、図中の左右方向が水平方向、上下方向が鉛直方向である。
毛髪材100aとは、人工毛(ファイバー、合成繊維)のほか、人毛(ヒトから採取した毛)、動物毛(ヒト以外の動物から採取した毛)、またはこれらの混合物などであり、自動植毛装置120によって植毛可能な毛または毛様の一切の材料が含まれる。植毛ネット200は、複数本の縦糸201と複数本の横糸202とからなる網目状に形成されており、縦糸201及び横糸202のそれぞれは、複数本の原糸を撚りあわせた一本の糸であってもよいし、一本の原糸であってもよい。
最初に、自動植毛装置120の構成及び自動植毛装置120が動作を行う際の初期位置について説明する。図1に示すように、予め切り揃えられた複数本の毛髪材100aからなる毛髪材束100bが、エキセン10よりも上方に配置されたストッカ40内に配置される。ストッカ40における取出口42の下方には引出鉤針30が配置されており、植毛鉤針20と引出鉤針30の間にエキセン10が配置されている。以下、水平面内の方向であって、エキセン10からみて引出鉤針30がある方向を後方、その反対方向を前方といい、これらを合わせて前後方向という。また、水平面内において前後方向と垂直な方向を奥行方向といい、後方を見たときに左側となる方向を奥側(図1における紙面裏側)、右側となる方向を手前側(図1における紙面表側)という。
植毛ネット200は、エキセン10のネット掛部11に対して上方から覆い被さるようにセットされ、引出鉤針30の下方のある反転ローラー80にも接触して位置が規制されている。植毛鉤針20は、その先端が後方を向いており、当該先端がエキセン10の回転軸と同程度の高さに位置している。引出鉤針30は、その先端が上方を向いており、当該先端がエキセン10の中心軸よりも下方に位置している。糸位置出しバー50は、ストッカ40の底部41における前後方向の中央部に設けられた取出口42よりも下方かつ前方に位置している。糸落としバー60及び糸引込バー70は、糸位置出しバー50の下方かつエキセン10の上方であって、糸位置出しバー50よりも前方に位置している。
ストッカ40は、平面視が矩形である平板状の底部41と、底部41の前後方向の二辺のそれぞれに沿って設けられている一対の対向した側板43を有している。底部41と側板43は垂直であり、前後方向の断面がコの字型になっている。毛髪材100aは、例えば完成するウィッグの毛の長さの約2倍の長さに切り揃えられ、奥行方向に交差する(例えば、毛髪材束100bを構成する毛髪材100aの大半が概ね奥行方向と直交する)ようにストッカ40の底部41上に配置される。なお、毛髪材100aの長さを、ストッカ40における底部41の前後方向の長さより長くして、一部がストッカ40から外側に突出するようにしてもよい。ただし、毛髪材100aのストッカ40から突出した部分が底部41より下方に垂れ下がらない程度であれば、引出鉤針30がストッカ40から毛髪材100aを捕捉して下方に引き出す際に、毛髪材100aのストッカ40から突出した部分が底部41の前後方向の端部で擦れて傷むことを防止することができるし、稼働する他の機構への巻き込みなども防止することができるため、好ましい。
ストッカ40は、図2に示すように1つだけ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。また、図2では、1つのストッカ40から複数の引出鉤針30が毛髪材100aを引き出す場合を例示しているが、複数のストッカのそれぞれから当該ストッカに対応する1つの引出鉤針30が毛髪材100aを引き出すように構成してもよい。また、ストッカ40には、例えば異なる色の毛髪材100a、色が同じであって太さの異なる毛髪材100a、同じ色や同じ太さであっても硬さ(弾力)の異なる毛髪材100aなど、種類の異なる毛髪材100aが混合されて供給され、完成するウィッグにおける毛髪材100aの色や太さ或いは髪質が予め調整される。なお、ストッカ40に対して、単一の種類の毛髪材100aを供給してもよい。
エキセン10は、植毛ネット200の植毛領域を確保する部材であり、奥行方向に延びる中心線を有する円柱状のネット掛部11と、ネット掛部11の側周面から内部に窪むように設けられて当該側周面に重なる開口を有する逃げ部12と、ネット掛部11の両端部に設けられて奥行方向に延びる中心線を有する軸部13とを備える。軸部13の中心線は、ネット掛部11の中心線とは一致しておらず、ネット掛部11の半径方向の外側に偏位しており、ネット掛部11の側周面上であって逃げ部12が設けられている部分(さらには当該部分の周方向の中央部分)に位置する。
軸部13は、装置本体に設けられた図示されていない軸受部により、中心線が回転軸となるように回転可能に支持され、軸部13が自転することで、軸部13に連結されたネット掛部11が軸部13の中心線を軸として公転する。初期位置では、逃げ部12の開口は、図1に示すように前方を向いている。なお、軸部13の中心線は、逃げ部12の開口の周方向の中心に位置する一本の横糸202-1と重なっていてもよい。
逃げ部12の開口幅(周方向の長さ)は、例えば、植毛ネット200がネット掛部11の外面に巻き掛けられて一本の横糸202-1が逃げ部12の開口の周方向の中心に位置した場合において、当該中心に位置する一本の横糸202-1の周方向に隣接する2本の横糸202-2及び202-3のうちの一本の横糸202-2が逃げ部12の開口の下方側の端部付近に位置し、別の一本の横糸202-3が逃げ部12の開口の上方側の端部付近に位置するように、植毛ネット200の網目を構成する横糸202の間隔に基づき決定してもよい。なお、図1では、逃げ部12の開口幅が横糸202-2と横糸202-3の幅よりも狭い場合を図示しているが、逃げ部12の開口幅が横糸202-2と横糸202-3の幅以上であってもよい。
植毛鉤針20は、植毛ネット200に毛髪材100aを植毛する部材であり、先端のフック21と、フック21の針口を開閉するラッチ22とを備える。ラッチ22は、一端が植毛鉤針20に図示のされていない軸で回転可能に連結され、当該軸を中心として回転することにより、ラッチ22の他端がフック21に接して針口が閉じた状態と、ラッチ22の他端がフック21から離れて針口が開いた状態とが切り替えられる。初期位置では、図1に示すように、植毛鉤針20がエキセン10の前方に離れた位置であって、逃げ部12の開口と対向する位置にあり、ラッチ22は針口が開いた状態になっている。
植毛鉤針20は、制御装置で制御される駆動機構によって駆動され、毛髪材100aを植毛ネット200に結び付けて植毛する。また、植毛鉤針20は、図2に示した複数本の引出鉤針30と1対1で対応するように、複数本が奥行方向に整列している。複数本の植毛鉤針20の一群は、制御装置で制御される駆動機構で一緒に動作して毛髪材100aを植毛ネット200に植毛する。なお、植毛鉤針20及び引出鉤針30のそれぞれは、1本であっても良い。
引出鉤針30は、ストッカ40から毛髪材100aを捕捉する部材であり、先端に1本の毛髪材100aを捕捉可能なフック31が設けられる。初期位置では、図1に示すように、引出鉤針30がエキセン10の下方かつ反転ローラー80の上方に位置し、フック31の針口32が手前側に向いている。また、引出鉤針30は、図2に示すように、複数設けられているとともに奥行方向に整列している。複数本の引出鉤針30の一群は、制御装置で制御される駆動機構により一緒に動作して毛髪材100aを捕捉する。なお、フック31は、2本または3本以上の複数本の毛髪材100aを捕捉可能であってもよいし、毛髪材100aを補足可能であればどのような大きさ、形状であってもよい。
糸位置出しバー50は、引出鉤針30によってストッカ40から引き出される毛髪材100aを所定位置に誘導する部材である。図1及び図2に示すように、糸位置出しバー50は、全体的には奥行方向に延びる中心線を有する円柱状であり、外周面から中心線の側に窪む複数の糸ガイド51が外周面を一周するように設けられている。なお、糸位置出しバー50は、奥行方向の両端部が装置本体に対して固定されて設けられてもよいが、回転可能な状態で装置本体に支持されるようにすると、糸位置出しバー50が引出鉤針30でストッカ40から引き出される毛髪材100aで回転され、毛髪材100aが糸ガイド51で擦れて傷むことを防止することができる。糸ガイド51の個数は、引出鉤針30の個数と同数である。
糸落としバー60は、制御装置で制御される駆動機構で上下方向に振動するものであり、糸引込バー70によって引き込まれる毛髪材100aを払い落とす。糸引込バー70は、制御装置で制御される駆動機構によって前後方向に移動するものであり、植毛ネット200に植毛された毛髪材100aを引っかけて前方に引き込む。磁石90は、植毛鉤針20で毛髪材100aを植毛ネット200に植毛する過程で閉じられたラッチ22を磁力で吸引して開けるものである。なお、磁石90は、永久磁石または電磁石のどちらでも適用可能であるが、電磁石であれば、電磁石を制御装置で制御し閉じられたラッチ22を開くときだけ磁力を発生すればよく、植毛鉤針20と磁石90の相対的な位置関係を変更する必要がないから植毛鉤針20と磁石90を共通の駆動機構で駆動する構成として、駆動機構を簡略化することができる。反転ローラー80は、装置本体に対して回転可能に取り付けられている。
次に、図2ないし図21を用いて自動植毛装置の動作について説明する。はじめに、図2に示すように、糸引込バー70が後方に向かって進み、図3におけるストッカ40の取出口42及び引出鉤針30を右側に超えた位置で停止する(第1動作)。
次に、引出鉤針30が上昇し、フック31を含む先端部が取出口42からストッカ40内部に入り込み、さらに毛髪材束100bに挿入された後に下降して停止する(第2動作)。このとき、引出鉤針30は、先端部が取出口42に挿入された後、僅かに手前側(フック31の針口32が開口した側)に移動する。これにより、引出鉤針30のフック31に毛髪材100aが引っ掛けられるため、毛髪材100aがストッカ40の取出口42から2つ折りにされた状態で引き出される。このとき、図3に示すように、毛髪材100aの両端はストッカ40内に残っており、図5に示すように、2つ折りで引き出された複数本の毛髪材100aが1本ずつ糸位置出しバー50の複数の糸ガイド51のそれぞれに収容される。これにより、引き出された毛髪材100aのそれぞれが所定の位置に規制されるため、後の動作において植毛鉤針20が毛髪材100aを適切に捕捉することが可能になる。
次に、図4に示すように、植毛鉤針20が後方に向かって進む(第3動作)。このとき、フック21が横糸202-1の下を通り、フック21の針口が逃げ部12内に収容されて破線で示す位置に到達する。次に、植毛鉤針20が破線で示した位置から実線で示した位置に後退し、フック21が横糸202-1を引っ掛ける(第4動作)。
次に、図6に示すように、エキセン10の軸部13が、逃げ部12の開口が上方を向くように90度だけ回転し、ネット掛部11が軸部13の中心線を中心として破線で示した位置から実線で示した位置へと下方に旋回して停止する(第5動作)。これにより、エキセン10が植毛鉤針20及び横糸202-1の下側に移動する。このエキセン10の破線で示した位置から実線で示した位置への移動により、植毛鉤針20が、エキセン10の上方を通りストッカ40と引出鉤針30との間で2つ折りになった毛髪材100aへと到達することが可能になる。なお、エキセン10が軸部13を備えず、ネット掛部11の中心線を軸として回転する構成であってもよい。この場合、植毛鉤針20が、横糸202-1を引っ掛けた状態のまま、ネット掛部11の回転に追随して上方かつ後方に向かって平行移動するように構成すれば、上記と同様に植毛鉤針20がエキセン10の上方に位置することになる。
次に、図7及び図8に示すように、植毛鉤針20が後方に向かって進むのに伴い、フック21がストッカ40と引出鉤針30との間で2つ折りになった毛髪材100aに近づく(第6動作)。このとき、横糸202-1は、開いたラッチ22の上側を通過することになり、最終的にラッチ22の全部を通過する。次に、フック21の針口が上を向いた状態から横向き(奥側を向いた状態)になるように植毛鉤針20が回転する(第7動作)。これにより、フック21の針口が、引出鉤針30によって引き出された毛髪材100aを向いた状態になる。
次に、図9に示すように、植毛鉤針20が、フック21の針口を横向きのまま更に後方へ進み、引出鉤針30によって引き出された2つ折りの毛髪材100aのうち前方の部分(以下、毛髪材100aの「前方部分」という。)にフック21の針口が向き合うところで停止する(第8動作)。次に、引出鉤針30が手前側に移動する(第9動作)。これにより、毛髪材100aの前方部分が植毛鉤針20に近づき、フック21の針口に導入される。
次に、図10に示すように、植毛鉤針20が、フック21の針口が横を向いた状態から上向きになるように回転するとともに、図11及び図12に示すように、前方に向かって進むことで、横糸202-1にラッチ22が接触してフック21の針口が閉じられ、さらに植毛鉤針20が実線で示した位置から破線で示した位置へと進むと、ラッチ22が磁石90の磁力で吸引され植毛鉤針20の針口が開かれる(第10動作)。このとき、植毛鉤針20が植毛ネット200から離れることで、毛髪材100aの前方部分がストッカ40から少しだけ引き出される。また、毛髪材100aは、取出口42の前方側から糸位置出しバー50を経由し横糸202-1と横糸202-2との間を通りフック21で折り返され、フック21から横糸202-1と横糸202-2との間を通り、横糸202-1と横糸202-3との間を通り引出鉤針30に至るように展開される。
次に、図13に示すように、植毛鉤針20は、図11の破線で示した位置から後方に進むとともに上昇し、植毛鉤針20が毛髪材100aを横糸202-1に結ぶために回転する(第11動作)。これにより、毛髪材100aのフック21と横糸202-1との間の2本の部分が互いに絡むように撚り合わせられてループ部45が設けられる。なお、この第11動作において、植毛鉤針の上昇は省略可能であるが、この上昇を行うことにより、後述する第12動作の際に、フック21が毛髪材100aの糸位置出しバー50と横糸202-1との間の部分を確実に通るようになる。
次に、図14に示すように、植毛鉤針20が、上向きのまま手前側に移動した後に後方に進み、引出鉤針30によって引き出された2つ折りの毛髪材100aのうち後方の部分(以下、毛髪材100aの「後方部分」という。)に対してフック21の針口が奥行方向に並ぶところで停止し、フック21の針口が上を向いた状態から横向き(奥側を向いた状態)になるように回転する(第12動作)。このとき、図15に示すように、植毛鉤針20のフック21は毛髪材100aの糸位置出しバー50と横糸202-1との間の部分を通り、ループ部45は植毛鉤針20のラッチ22の上側を通過する。また、植毛鉤針20の回転により、毛髪材100aの後半部分にフック21の針口が向いた状態になる。なお、植毛鉤針20の回転数は、1回転、2回転または3回転以上など、1回転以上であればどのような回転数でもよい。また、回転方向は、右回りであっても左回りであってもよい。
次に、引出鉤針30が手前側に移動する(第13動作)。これにより、毛髪材100aの後方部分が植毛鉤針20に近づき、フック21の針口に導入される。なお、植毛鉤針20が奥側に移動してもよいし、引出鉤針30と植毛鉤針20の両方が互いに近づくように動いてもよい。
次に、図16及び図17に示すように、植毛鉤針20が、フック21の針口が横を向いた状態から上向きになるように回転するとともに、前方に向かって進むことで、ループ部45にラッチ22が接触してフック21の針口が閉じられる(第14動作)。これにより、横糸202-1に対する毛髪材100aの結びつけ、つまり植毛が完了する。なお、植毛鉤針20のフック21が後退してループ部45を通過する際に、引出鉤針30が上下に小刻みに動くなどしてフック31から毛髪材100aを外してもよい。これにより、毛髪材100aが摩擦によって縮れてしまうピーリングを防止することができる。
次に、図18及び図19に示すように、糸引込バー70が前方に進むことで毛髪材100aの前方部分を前方に引き込み、初期位置で停止する(第15動作)。
さらに、図20に示すように、第16動作から第18動作を行う。まず、植毛鉤針20が初期位置に戻って停止する間にラッチ22が磁石90の磁力で吸引され植毛鉤針20の針口が開かれる(第16動作)。エキセン10が、軸部13の中心線を軸として図6に実線で示した位置から図6に示した破線で示した位置の側に戻るように旋回する(第17動作)。これにより、逃げ部12の開口が左側に向けられた初期位置に戻る。糸落としバー60が、下方に移動した後、上方に移動して初期位置で停止する(第18動作)。これにより、横糸202-1に対する植毛の完了した毛髪材100aが下方に整髪される。なお、第16動作から第18動作のいずれから先に行っても良く、第16動作から第18動作を同時に行っても良い。
以上の動作により、自動植毛装置120における横糸202-1に対する毛髪材100aを植毛する動作の1サイクルが終了し、図21に示す結び目が作成される。なお、図21は、第11動作において、植毛鉤針20が3回転し、植毛糸100が3回撚り合わせられて植毛ネット200に結び付けられた状態を図示している。
なお、上述の動作例では、植毛鉤針20のフック21が、第8動作及び第9動作において毛髪材100aの前方部分をとり、第12動作及び第13動作において毛髪材100aの後方部分をとっているが、それぞれの動作において前方部分及び後方部分のどちらを取っても、第12動作において植毛鉤針20を1回転以上させれば、毛髪材100aを横糸に結び付けることが可能である。また、第12動作において植毛鉤針20を半回転しかしない場合であっても、第12動作及び第13動作において、この半回転によって下側となった方を植毛鉤針20のフック21でとれば、毛髪材100aを横糸に結び付けることが可能である。
<<毛髪材の取り出し不良を抑制するための構成及び動作>>
以下、ストッカ40からの毛髪材100aの取り出し不良を抑制するための具体的な構成について説明する。
<第1実施形態>
最初に、本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態は、毛髪材100aに対して取出口42から離れる方向の成分を含む力を加える付勢部を備えることによって、ストッカ40内の取出口42付近における毛髪材100aの低密度化を緩和するものである。また、これまで説明したとおり、毛髪材100aは取出口42を跨いで底部41上に配置される。
最初に、第1実施形態の第1例について図面を参照して説明する。図22ないし図25は、第1実施形態の第1例の構成を示す斜視図である。なお、図22ないし図25は、付勢部であるは突起部401の動きを時系列に沿って示したものであり、図22、図23、図24、図25の順番で突起部401が動く。
図22に示すように、本例では、付勢部として突起部401が設けられている。図22に例示する突起部401は、櫛の歯のような形状になっており、複数の突起部401(本例では3つ)が連結されている。突起部401は、底部41から遠い位置ほど取出口42から離れるように傾斜している。また、本例では、取出口42を挟んで対向するように突起部401が設けられている。
次に、図23に示すように、突起部401が傾斜方向に沿って直進して、その先端が毛髪材束に挿入される。このとき、突起部401は、例えばエアシリンダなどの第1往復運動機構401aによって駆動されることで直進する。また、突起部401は、傾斜方向に沿って直進しているため、直進の前後で傾斜は変わらない。第1往復運動機構401aは、例えば上記の制御装置によって動作が制御される。
次に、図24に示すように、突起部401は、図22及び図23と同じ傾斜を保ったまま、取出口42から離れる方向に進行する。これにより、突起部401の先端が毛髪材100aに沿って進行するため、毛髪材100aに対して取出口42から離れる方向の力(毛髪材100aの撓みや弛みを緩和する力)を加えることができる。このとき、突起部401は、例えばラックアンドピニオンなどの第2往復運動機構401bによって駆動されることで、取出口42から離れる方向に進行する。第2往復運動機構401bは、突起部401だけでなく第1往復運動機構401aも併せて駆動する。また、第2往復運動機構401bは、例えば上記の制御装置によって動作が制御される。
次に、図25に示すように、突起部401は、図22ないし図24と同じ傾斜を保ったまま、傾斜方向に沿って後退して毛髪材束100bから抜去される。このとき、突起部401は、第1往復運動機構401aによって駆動されることで後退する。
第1実施形態の第2例について図面を参照して説明する。図26及び図27は、第1実施形態の第2例の構成を示す斜視図である。なお、図26では、付勢部であるローラー402の回転方向を破線で示しており、図27ではローラー402に加えて毛髪材100aも図示している。
図26及び図27に示すように、本例では、付勢部としてローラー402が設けられている。また、ローラー402は、自転による搬送方向が取出口42から離れる方向になっている。これにより、ローラー402の回転によって毛髪材100aに対して取出口42から離れる方向の力(毛髪材100aの撓みや弛みを緩和する力)を加えることができる。
ローラー402は、例えばモーターなどによって駆動され、当該モーターは制御装置によって動作が制御される。また、本例では、取出口42を挟んで対向するようにローラー402が設けられており、これらのローラー402は同時に回転する。なお、図26及び図27では、ローラー402がストッカ40の底部41に設けられる場合について例示しているが、ローラー402は、側板43に設けられていてもよいし、底部41と対向する位置(毛髪材100aの上方)に設けられてもよい。
以上のように、毛髪材100aに対して取出口から離れる方向の成分を含む力を加える付勢部(突起部401、ローラー402)を備えると、毛髪材100aは取出口から離れる方向に引っ張られる。そうすると、毛髪材100aが引き伸ばされることで撓みや弛みが緩和される。これにより、ストッカ40内の取出口42付近における毛髪材100aの低密度化が改善され、引出鉤針30が取出口42において毛髪材を安定して捕捉することができるようになるため、安定して植毛することが可能になる。
上記の例では、突起部401及びローラー402のいずれも、取出口42を挟んで対向するように設けられる場合について説明したが、取出口42の片側だけに設けられてもよい。この場合、毛髪材束100bの全体が動き得るが、毛髪材100aの撓みや弛みを緩和することは可能である。さらに、毛髪材100aの取出口42付近における撓みや弛みは、毛髪材束100bの全体が動くことで取出口42からずれた位置に移動するため、これによってもストッカ40内の取出口42付近における毛髪材100aの低密度化が改善される。なお、突起部401やローラー402を、取出口42を挟んで対向するように設けた場合であっても、片側だけ駆動した場合は、これらを片側だけ設けた場合と同様の効果が得られるし、片側とその反対側を交互に駆動すれば、毛髪材束100bが取出口42を挟んで往復するため、毛髪材束100bの位置が大きく変動することを抑制することができる。
一方、上記の例のように、突起部401やローラー402を、取出口42を挟んで対向するように設けるとともに、これらを同時に駆動すると、毛髪材100aが両端側に引っ張られるため、毛髪材100aの撓みや弛みを効果的に緩和することができる。なお、突起部401やローラー402は、常に同期して駆動させる必要はなく、同時に駆動するタイミングがあればこの効果が得られる。
また、取出口42を挟んで対向するように設けられる機構は、異なるものであってもよい。例えば、突起部401とローラー402を、取出口42を挟んで対向するように設けてもよい。また例えば、図28ないし図31に示すように、取出口42の片側に突起部401を設け、反対側に、毛髪材束100bを底部41に押さえ付けて移動を規制する制止部403を設けてもよい。図28ないし図31は、上述した第1例について示した図22ないし図25に相当するものである。図28ないし図31に示すように、制止部403は、突起部401の先端が毛髪材束100bに挿入されている状態(図29及び図30の状態)、すなわち突起部401が毛髪材束100bに対して取出口42から離れる方向の成分を含む力を加え得る状態になる場合に、毛髪材束100bを底部41に押さえ付けてその移動を規制する。なお、制止部403は、例えばエアシリンダなどの往復運動機構403aによって駆動され、当該往復運動機構403aは例えば上記の制御装置によって動作が制御される。また、図28ないし図31では突起部401と制止部403とを組み合わせた場合について例示したが、ローラー402と制止部403を組み合わせることも可能である。
また、第1例において、突起部401が傾斜しておらず、底部41に対して垂直であってもよい。ただし、突起部401が上記のように傾斜していると、突起部401が毛髪材100aに対して、取出口42から離れる方向の成分だけでなく、下方向の成分を有する力を加えることができる。これにより、ストッカ40内の毛髪材100aが取出口42のある底部41側へ押しつけられるため、ストッカ40内の取出口42付近における毛髪材100aの低密度化を効果的に改善することができる。また、突起部401の傾斜が一連の動作中に変わらない構成の場合、例えば第1往復運動機構401aと第2往復運動機構401bのみを備える簡素な機構で、突起部401に図22ないし図25の動作をさせることができる。
また、第1例において、突起部401の先端が毛髪材束100bに挿入され、次いで突起部401が取出口42から離れる方向に進行し、次いで突起部401の先端が毛髪材束100bから抜去されると、毛髪材100aに対して撓みや弛みを促進させる力(取出口42に近づく方向の成分を有する力)を与えることなく、撓みや弛みを緩和する力のみを与えることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、ストッカ40の底部41が、毛髪材100aが取出口42を跨ぐ方向(以下、「長手方向」という。)に対して垂直な断面において凹状である陥没部を有することによって、ストッカ40内の取出口42付近における毛髪材100aの低密度化を緩和するものである。なお、長手方向は、第1実施形態において説明した、取出口42から離れる方向と平行な方向である。
最初に、第2実施形態の第1例について図面を参照して説明する。図32は、第2実施形態の第1例の構成を示す斜視図である。図33は、図32のA-A断面(長手方向に対して垂直な断面であって取出口42を通る断面)を示す断面図である。なお、図32では、底部41の構成を見やすくするために、毛髪材100aの図示は省略している。また、図33の断面図において、左右方向が水平方向であり、上下方向が鉛直方向である。
図32及び図33に示すように、第2実施形態では、ストッカ40の底部41における毛髪材100aが配置される上面が平坦ではなく、長手方向に対して垂直な断面において凹状である陥没部411を有している。また、陥没部411は、底である下端に取出口42が形成されている。
また、図33に示すように、第1例の陥没部411は、図示する断面における水平方向の幅が、下端に向かって狭くなっており、直線状の斜面となっている。なお、図32及び図33では、底部41の全面に陥没部411が形成される場合について例示しているが、取出口42とその周辺だけに陥没部411が形成されていてもよい。この場合、底部41における陥没部411が設けられていない部分は平坦であってもよい。
第2実施形態の第2例について図面を参照して説明する。図34は、第2実施形態の第2例の構成を示す断面図である。なお、図34は、第2実施形態の第1例について示した図33に相当する断面を示した断面図である。
図34に示すように、第2例の陥没部412は、第1例の陥没部411と同様に、図示する断面において凹状であって、底である下端に取出口42が形成されている。一方、第2例の陥没部412は、図示する断面における水平方向の幅が下端まで一定であり、鉛直方向に平行な壁面を有している。
以上のように、底部41が、長手方向に対して垂直な断面において凹状である陥没部411,412を有していると、陥没部411,412によって毛髪材100aの移動範囲が取出口42の付近になるように規制される。これにより、ストッカ40内の取出口42付近における毛髪材100aの低密度化が改善され、引出鉤針30が取出口42において毛髪材100aを安定して捕捉することができるようになるため、安定して植毛することが可能になる。
また、第1例のように、図33に示す断面において陥没部411の水平方向の幅が下端に向かって徐々に狭くなっていると、陥没部411上の毛髪材100aに対して、当該毛髪材100aの自重による陥没部411の斜面に沿う力、すなわち取出口42に向かう方向の力を与えることができる。さらに、第1例のように、図33に示す断面において陥没部411が直線状の斜面を有していると、陥没部411上の毛髪材100aに対して取出口42に向かう方向の力を均一に与えて、陥没部411上の毛髪材100a全体を取出口42に向かわせることができる。
一方、第2例のように、図34に示す断面において、陥没部412の水平方向の幅が下端に向かって均一になっていると、陥没部412上の毛髪材100aが陥没部412の外側へ移動することを強く規制することができる。
なお、上記の第1例及び第2例は組み合わせることが可能である。図35は、第2実施形態の第1例と第2例を組み合わせた構成を示す断面図である。また、図35は、第2実施形態の第1例について示した図33に相当する断面を示した断面図である。図35に示す例は、第1例と同様の陥没部411の下端付近に、第2例と同様の陥没部412を形成したものである。この場合、陥没部411上の毛髪材100aには取出口42に向かう方向の力が与えられ、陥没部412上の毛髪材100aは外側への移動が強く規制されることになる。
また、上記例では、1つのストッカ40に対して1つの陥没部411,412及び取出口42が形成される場合について例示したが、1つのストッカ40に対して複数の陥没部411,412及び取出口42が形成されてもよい。図36は、ストッカ40に第1例の陥没部411を複数備えた場合の断面図である。また、図36は、第2実施形態の第1例について示した図33に相当する断面を示した断面図である。図36に示すように、ストッカ40が複数の陥没部411を備えると、同時に複数の毛髪材100aを取り出す場合においても、それぞれの陥没部411の取出口42付近における毛髪材100aの低密度化を改善することができる。
また、陥没部411,412を設けるだけでなく、毛髪材100a及び毛髪材束100bを下方に押しつける押圧部を備えてもよい。図37及び図38は、第2実施形態の第2例の構成において、押圧部413をさらに備えた構成を示す断面図である。また、図37及び図38は、第2実施形態の第1例について示した図33に相当する断面を示した断面図である。図37及び図38に示すように、押圧部413は、陥没部412に嵌合する形状であり、図38に示すように下方に押し出されて毛髪材100a(毛髪材束100b)を下方に押圧する。これにより、押圧部413によって、陥没部412上の毛髪材100aに対して取出口42に向かう方向の力を与えることができる。なお、押圧部413は、例えばエアシリンダなどの往復運動機構413aによって駆動され、当該往復運動機構413aは例えば上記の制御装置によって動作が制御される。
また、図32ないし図38では、底部41において、長手方向に垂直な水平方向の一部にのみ取出口42が設けられる場合について例示したが、図22ないし図31に例示した底部41と同様に、底部41の一方の側板43から他方の側板43まで取出口42が形成されていてもよい。図39は、第2実施形態の第1例の構成において、底部41の一方の側板43から他方の側板43まで取出口42を形成した場合を示す斜視図である。図39に示す例では、陥没部411の下端だけでなく、直線上の斜面にも取出口42が形成されることになるが、このような構成であっても上記例と同様に、陥没部411によって毛髪材100aの移動範囲が取出口42の付近になるように規制して、ストッカ40内の取出口42付近における毛髪材100aの低密度化を改善することができる。
また、上記例では、例えば図32及び図39に示したように、陥没部411が、底部41における長手方向の一端から他端まで形成される場合について例示した。この場合、毛髪材100aを、その長手方向の全体にわたって移動範囲を取出口42の付近になるように規制することができる。一方、陥没部411,412が、底部41における長手方向の一部にだけ形成されていてもよい。ただし、この場合は、少なくとも取出口42が陥没部411,412に含まれるように、陥没部411,412を形成する。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、ストッカ40の底部41が、長手方向に対して平行な鉛直断面において凸状である隆起部を有することによって、ストッカ40内の取出口42付近における毛髪材100aの低密度化を緩和するものである。
最初に、第3実施形態の第1例について図面を参照して説明する。図40は、第3実施形態の第1例の構成を示す斜視図である。図41は、図40のB-B断面(長手方向に対して平行な鉛直断面)を示す断面図である。なお、図40では、底部41の構成を見やすくするために、毛髪材100aの図示は省略している。また、図41の断面図において、左右方向が水平方向であり、上下方向が鉛直方向である。
図40及び図41に示すように、第3実施形態では、ストッカ40の底部41における毛髪材100aが配置される上面が平坦ではなく、毛髪材100aの長手方向に対して平行な鉛直断面において凸状である隆起部421を有している。また、隆起部421は、頂上である上端に取出口42が形成されている。
また、図41に示すように、第1例の隆起部421は、図示する断面において取出口42から離れるに従って水平方向に対する傾きが大きくなる形状である。なお、図40及び図41では、底部41の全面に隆起部421が形成される場合について例示しているが、取出口42とその周辺だけに隆起部421が形成されていてもよい。この場合、底部41における隆起部421が設けられていない部分は平坦であってもよい。
第3実施形態の第2例について図面を参照して説明する。図42は、第3実施形態の第2例の構成を示す断面図である。なお、図42は、第3実施形態の第1例について示した図41に相当する断面を示した断面図である。
図42に示すように、第2例の隆起部422は、第1例の隆起部421と同様に、図示する断面において取出口42を上端として上側に凸の形状である。一方、第2例の隆起部422は、図示する断面において水平方向に対する傾きが一定であり、形状が直線上である。なお、図42では、底部41の全面に隆起部422が形成される場合について例示しているが、取出口42とその周辺だけに隆起部422を形成されていてもよい。この場合、底部41における隆起部422が設けられていない部分は平坦であってもよい。
第3実施形態の第3例について図面を参照して説明する。図43は、第3実施形態の第3例の構成を示す断面図である。なお、図43は、第3実施形態の第1例について示した図41に相当する断面を示した断面図である。
図43に示すように、第3例の隆起部423は、第1例及び第2例の隆起部421,422と同様に、図示する断面において凸状である。一方、第3例の隆起部423は、取出口42とその周辺だけに隆起部423が形成されており、その外側には、取出口42から離れるほど上側となるように傾斜した傾斜部424が設けられている。なお、図43では、傾斜部424の外側が、隆起部423と同様に取出口42から離れるほど下側となるように傾斜している場合について例示しているが、傾斜部424の外側は平坦であってもよいし、底部41における長手方向の端まで傾斜部424が続いていてもよい。
以上のように、底部41が、長手方向に平行な鉛直断面において凸状である隆起部421~423を有していると、毛髪材100aが隆起部421~423に沿って凸状に支持されることで、毛髪材100aが自重によって長手方向に沿って引っ張られるため、毛髪材100aの撓みや弛みが抑制され、ストッカ40内の取出口42付近における毛髪材100aの低密度化が改善される。これにより、引出鉤針30が取出口42において毛髪材100aを安定して捕捉することができるようになるため、安定して植毛することが可能になる。
また、第1例のように、隆起部421を、図41に示す断面において取出口42から離れるに従って水平方向に対する傾きが大きくなる形状にすると、毛髪材100aが隆起部421に沿って湾曲して浮きにくくなり、毛髪材100aと隆起部421との摩擦が大きくなるため、毛髪材100aの移動が規制される。したがって、ストッカ40内の取出口42付近における毛髪材100aの低密度化を効果的に改善することができる。
一方、第2例のように、隆起部422を、図42に示す断面において水平方向に対する傾きが一定になる形状(すなわち直線状)にすると、毛髪材100aが自重により直線的に引っ張られるため、毛髪材100aの撓みや弛みが効果的に抑制される。したがって、ストッカ40内の取出口42付近における毛髪材100aの低密度化を効果的に改善することができる。
また、第3例のように、図43に示す断面において、隆起部423の外側に、取出口42から離れるほど上側となるように傾斜した傾斜部を設けると、毛髪材100aが複数回湾曲して支持されるため、これを収容するストッカ40の長手方向の長さを短くすることができる。
なお、毛髪材100aを凸状で支持するだけであれば、底部41及び隆起部は連続した面でなくてもよい。図44は、第3実施形態の第1例の変形例の構成を示す断面図である。また、図44は、第3実施形態の第1例について示した図41に相当する断面を示した断面図である。図44に示す例において、隆起部425は、長手方向に対し垂直であって水平方向に延びる複数の棒状部材で構成されており、隣接する棒状部材の間は間隙になっている。図44に示す場合であっても、毛髪材100aは隆起部425によって凸状で支持される。
一方、上述した第1例ないし第3例のように、底部41及び隆起部421~423が、長手方向に平行な鉛直断面において、取出口42から長手方向の一端まで連続した面になっていると、毛髪材100aが取出口42以外の部分から下方に抜け出て自動植毛装置120の駆動機構に絡まるなどの事態が生じることを防止することができる。ここで、連続した面とは、間隙がなく続く面を意味し、急峻に折れ曲がる点(微分不可能な点)を含むような面も連続した面に含まれる。
また、第3実施形態において、毛髪材100aに対して、その両端を長手方向に沿って引っ張るような力を加えてもよい。例えば、第1例または第2例の隆起部421,422を有するストッカ40を用いる場合において、毛髪材束100bの両端を輪ゴムのような弾性体で束ねた上で当該弾性体に錘を付加してもよい。これにより、毛髪材100aに対して、自重以上に長手方向に引っ張る力を加えることができるため、毛髪材100aの撓みや弛みをより効果的に抑制することができる。
また、第3実施形態において、隆起部が、鉛直方向に平行な壁面を有していてもよい。ただし、この場合、毛髪材100aが当該壁面に接触し難く、毛髪材100aと隆起部との摩擦は小さくなる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態は、ストッカ40に配置される毛髪材100aに対して引出鉤針30が引っ掛ける位置を変更する引掛位置変更部を備えることによって、ストッカ40内の取出口42付近における毛髪材100aの低密度化を緩和するものである。
最初に、第4実施形態の第1例について図面を参照して説明する。図45は、第4実施形態の第1例の構成を示す斜視図である。図45に示すように、第4実施形態の第1例では、ストッカ40が、底部41において複数(図示の例では2つ)の取出口42を有している。この取出口42は、長手方向に沿って並んでおり、毛髪材100aは複数の取出口42を跨ぐように底部41上に配置される。
また、図45に示すように、第4実施形態の第1例では、引掛位置変更部として、ストッカを長手方向に沿って駆動するストッカ駆動部431を備える。ストッカ駆動部431は、例えばラックアンドピニオンなどの往復運動機構で構成され、例えば上記の制御装置によって動作が制御される。ストッカ駆動部431によってストッカ40が長手方向に沿って駆動されると、引出鉤針30が次に挿入される取出口42が変更される。なお、引出鉤針30については長手方向に駆動する必要はなく、上述のとおり鉛直方向に駆動するだけよい。
第4実施形態の第2例について図面を参照して説明する。図46は、第4実施形態の第2例の構成を示す斜視図である。なお、図46では、ローラーの回転方向を破線で示すとともに毛髪材100aの図示は省略しているが、毛髪材100aを図示した場合、第1実施形態について示した図27と同様になる。
図46に示すように、第4実施形態の第2例では、引掛位置変更部として、ストッカ40に配置されている毛髪材100aを長手方向に沿って移動させる毛髪材駆動部432(さらに具体的には、毛髪材100a及び毛髪材束100bを搬送するローラー)を備えている。毛髪材駆動部432であるローラーは、図26に示した第1実施形態と同様に長手方向に沿って2つ備えられているが、図26とは異なりローラーの回転方向(搬送方向)が同じである。ローラーは、例えばモーターなどによって駆動され、当該モーターは例えば上記の制御装置によって動作が制御される。また、これらのローラーは同時に回転し、毛髪材100a及び毛髪材束100bの全体がストッカ40の取出口42に対して移動する。なお、図46では2つのローラーを備える場合について図示しているが、1つのローラーのみ備えてもよいし、3つ以上のローラーを備えてもよい。
以上のように、ストッカ40に配置される毛髪材100aに対する引出鉤針30が引っ掛ける位置を変更する引掛位置変更部431,432を備えると、引出鉤針30によって毛髪材100aを取り出すことによって毛髪材100aに撓みや弛みが生じたとしても、当該撓みや弛みが生じていない別の場所に引出鉤針30を引っ掛けて毛髪材100aを取り出すことができる。これにより、引出鉤針30が取出口42において毛髪材100aを安定して捕捉することができるようになるため、安定して植毛することが可能になる。
さらに、第1例及び第2例のように、引掛位置変更部としてストッカ駆動部431や毛髪材駆動部432を備えることで、植毛動作に関係する引出鉤針30の駆動を要することなく、毛髪材100aに対する引出鉤針30が引っ掛ける位置を変更することができる。また、第1例のようにストッカ駆動部431を備えると、ストッカ40の全体を駆動することで、毛髪材100aをほぐして撓みや弛みを緩和することができる。一方、第2例のように毛髪材駆動部432を備えると、毛髪材100aを駆動することで、毛髪材100aをほぐして撓みや弛みを緩和することができる。また、第2例の場合、ローラーの回転量を制御することで、1つの取出口42に位置する毛髪材100aの部分を複数選択可能にすることができるため、撓みや弛みが生じていない多くの部分に引出鉤針30を引っ掛けさせることができる。
なお、図46に示した第2例の構成において、第1例と同様にストッカ40の底部41に複数の取出口42が設けられていてもよい。また、第1例と第2例は組み合わせることが可能であり、ストッカ駆動部431と毛髪材駆動部432を同時に備えてもよい。
また、引掛位置変更部が、引出鉤針30を駆動することで毛髪材100aに対する引出鉤針30が引っ掛ける位置を変更するものであってもよい。ただし、この場合、例えば、引出鉤針30を鉛直方向に駆動させてストッカ40の底部に近づけた後、長手方向に駆動するという、2段階の駆動が必要になる。
また、第2例について示した図46では、ローラーが一方向に回転する場合について図示しているが、反対方向に回転してもよい。この場合、ローラーを一方向に回転させて引出鉤針30で毛髪材100aを取り出した後に、これと異なる回転量で反対方向に回転させれば、毛髪材100aに対する引出鉤針30が引っ掛ける位置は異なる。また、ローラーの回転量が同じであっても、ローラーで毛髪材100aを搬送することによって毛髪材100aがほぐれ、毛髪材100aの撓みや弛みが生じた部分とは異なる部分に引出鉤針30を引っ掛けることで当該撓みや弛みが緩和されるため、毛髪材100aの撓みや弛みが緩和された部分に引出鉤針30を引っ掛けることができる。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態は、ストッカ40の毛髪材100aに接触する部分に、ストッカ40を構成する材料の平滑面よりも毛髪材100aの滑りを抑制する滑止部を備えることによって、ストッカ40内の取出口42付近における毛髪材100aの低密度化を緩和するものである。なお、ストッカ40を構成する材料の平滑面とは、典型的にはストッカ40における滑止部が形成されていない部分であるが、例えばストッカ40の全面が加工されるなどして均一な表面になっている場合は、ストッカ40を製造するために用いられる未加工の板材の表面や、滑止部を除去した表面がこれに相当する。
最初に、第5実施形態の第1例について図面を参照して説明する。図47は、第5実施形態の第1例の構成を示す斜視図である。なお、図47では、ストッカ40内の構成を見やすくするために、毛髪材100aの図示は省略している。
図47に示すように、第5実施形態の第1例では、底部41における毛髪材100aが配置される上面に、滑止部として粘着材441が設けられている。粘着材441には、例えばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系などの周知の粘着材料を適用可能である。なお、図47では、取出口42を中心として長手方向の両側に2箇所ずつ粘着材441が設けられる場合について例示しているが、底部41の上面の全面に粘着材441を設けてもよいし、側板43に粘着材441を設けてもよい。
第5実施形態の第2例について図面を参照して説明する。図48は、第5実施形態の第2例の構成を示す斜視図である。なお、図48では、ストッカ40内の構成を見やすくするために、毛髪材100aの図示は省略している。
図48に示すように、第5実施形態の第2例では、底部41における毛髪材100aが配置される上面に、滑止部として排気により毛髪材100aを吸着する排気孔442aが設けられている。また、底部41の下方には、排気孔442aから空気を排気する排気部442bが設けられており、排気部442bの先には排気用の送風機または圧縮機などが設けられており、当該送風機または圧縮機もしくは排気部442bに設けられた排気の有無を切り替える弁が、例えば上記の制御装置によって動作が制御される。なお、図48では、底部41の上面の全面に対して排気孔442aが設けられる場合について例示しているが、底部41の上面の一部にだけ排気孔442aを設けてもよいし、側板43に排気孔442aを設けてもよい。
以上のように、ストッカ40の毛髪材100aに接触する部分に滑止部441,442aを設けると、滑止部441,442aによって毛髪材100aの移動が抑制されるため、ストッカ40内の取出口42付近における毛髪材100aの低密度化が改善される。これにより、引出鉤針30が取出口42において毛髪材100aを安定して捕捉することができるようになるため、安定して植毛することが可能になる。
また、第1例及び第2例のように、滑止部441,442aを、底部41における毛髪材100aが配置される上面の少なくとも一部に設けると、取出口42が設けられている当該上面において毛髪材100aの移動が抑制されるため、ストッカ40内の取出口42付近における毛髪材100aの低密度化を効果的に改善することができる。
また、第1例のように、滑止部として粘着材441を有する場合は、粘着材441をストッカ40内に設置するという簡易な構成で、ストッカ40内の取出口42付近における毛髪材の低密度化を改善することができるとともに、毛髪材100aが何らかの物体に擦れることがないため、毛髪材100aにダメージを与えることなくその移動を抑制することができる。
一方、第1例のように、滑止部として排気孔442aを有する場合は、半永久的にストッカ40内の取出口42付近における毛髪材100aの低密度化を改善することができるし、排気を停止することで毛髪材100aの吸着を解除することができるため、ストッカ40に対する毛髪材100aの出し入れが容易になる。なお、排気孔442aは、毛髪材100aが吸い込まれることを防止するために、例えば取出口42よりも小さいと好ましい。
なお、第1例と第2例は組み合わせることが可能である。例えば、底部41の上面の一部に粘着材441を設け、その他の部分に排気孔442aを設けてもよい。また、底部41や側板43に対して、例えばブラスト処理などによって凹凸を形成することによって滑止部を設けてもよい。
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態について説明する。第6実施形態は、ストッカ40に対して振動を与える振動部を備えることによって、ストッカ40内の取出口42付近における毛髪材100aの低密度化を緩和するものである。
第6実施形態について図面を参照して説明する。図49は、第6実施形態の構成の一例を示す斜視図である。図49に示す構成例では、底部41に、ストッカ40に対して振動を与える振動部451が設けられている。振動部451は、例えば偏心モーター、ソレノイド、ピエゾ素子などで構成され、例えば上記の制御装置によって動作が制御される。
図49に示す構成例において、振動部451が振動を発生させると、ストッカ40が振動し、当該振動は毛髪材100aに伝播する。また、振動部451は、例えば1Hz以上の周波数の振動をストッカ40に対して与える。
以上のように、振動部451によってストッカ40に与えられる振動によって毛髪材100aがほぐされるため、毛髪材100aの撓みや弛みが緩和され、ストッカ40内の取出口42付近における毛髪材100aの低密度化が改善される。これにより、引出鉤針30が取出口42において毛髪材100aを安定して捕捉することができるようになるため、安定して植毛することが可能になる。
特に、振動部451が、パルス的な衝撃ではなく、継続的な振動をストッカ40に対して与えることで、毛髪材100aを効果的にほぐし、毛髪材100aの撓みや弛みを効果的に緩和することができる。
なお、振動部451は、ストッカ40に対して振動を与えることができる位置であれば、どの位置に取り付けてもよい。ただし、ストッカ40の毛髪材100aに接触する壁部(図49の例では、底部41及び側板43)の外面に設けられると、毛髪材100aに干渉しないストッカ40の外側から、ストッカ40内の毛髪材100aに振動を与えることができるため、好ましい。特に、図49に例示するように、底部41の下面に設けると、ストッカ40内に配置される毛髪材100aに対して効果的に振動を与えることができるため、ストッカ40内の取出口42付近における毛髪材100aの低密度化を効果的に改善することができる。
<<変形等>>
以上、上述した各実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した各実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した各実施形態を適宜変形して実施することが可能である。また、上述した各実施形態は、矛盾のない限り適宜組み合わせることが可能である。
例えば、第1実施形態と、第2実施形態及び(または)第3実施形態とを組み合わせてもよい。この場合、例えば第1実施形態の突起部401を用いる場合は、突起部401の形状を、陥没部411,412や隆起部421~423,425が形成されている底部41の形状に合わせるとともに、突起部401の先端が底部41に衝突しないように、第1往復運動機構401aが突起部401を駆動する。
また例えば、第2実施形態と第3実施形態を組み合わせることも可能である。陥没部411,412は長手方向に垂直な断面形状であり、隆起部421~423,425は長手方向に平行な断面形状であるため、底部41が複雑な形状になるものの、両者は矛盾なく組み合わせることができる。
また、第4~第6実施形態のそれぞれは、他の実施形態に対して特に矛盾することなく組み合わせることができる。また、第6実施形態の振動部451は、第1実施形態の突起部401、ローラー402、制止部403、第2実施形態の押圧部413、第4実施形態の毛髪材駆動部(ローラー)432など、ストッカ40以外の毛髪材100aと接触する部分に対し振動を与えてもよい。この場合でも、毛髪材100aをほぐして、毛髪材100aの撓みや弛みを緩和することができる。
また、第1実施形態の突起部401及びローラー402、第4実施形態のストッカ駆動部431及び毛髪材駆動部(ローラー)432、第5実施形態の排気孔442a、第6実施形態の振動部451など、所定の動作をすることによって毛髪材100aの撓みや弛みを緩和する構成は、引出鉤針30が毛髪材100aを取り出す毎に毎回動作してもよいし、複数回毛髪材100aを取り出す毎に動作してもよい。また、これらの部材は、引出鉤針30による毛髪材100aの取り出しの阻害やピーリングを防止するために、引出鉤針30が取出口42からストッカ40内に挿入されている間は、動作を停止してもよい。
また、ストッカ40の底部41や側板43のほか、第1実施形態の突起部401、ローラー402、制止部403、第2実施形態の押圧部413、第4実施形態の毛髪材駆動部(ローラー)432など、毛髪材100aと接触する部分が、接地されて導体で構成されてもよい。この場合、毛髪材100aの静電気を除去することで、1つの毛髪材100aが取り出された際にその周囲の毛髪材100aが一緒に動くことを抑制することができるため、毛髪材100aの撓みや弛みを緩和することができる。
また、第1実施形態及び第3~第6実施形態について示した図22ないし図31及び図40ないし図49では、底部41の一方の側板43から他方の側板43まで取出口42が形成される場合について例示したが、長手方向に垂直な水平方向の一部(例えば、第2実施形態について示した図32ないし図38と同様に、引出鉤針30が挿入される位置とその周辺)にのみ取出口42を形成してもよい。
上述した自動植毛装置は、以下のように説明することができる。
自動植毛装置は、底部に取出口を有し、当該取出口を跨いで前記底部上に毛髪材が配置されるストッカと、前記ストッカの前記毛髪材に接触する部分に設けられ、前記ストッカを構成する材料の平滑面よりも前記毛髪材の滑りを抑制する滑止部と、を備える(第1の構成)。この構成によれば、滑止部によって毛髪材の移動が抑制されるため、ストッカ内の取出口付近における毛髪材の低密度化が改善される。これにより、引出鉤針が取出口において毛髪材を安定して捕捉することができるようになるため、安定して植毛することが可能になる。
第1の構成において、前記滑止部は、前記底部における前記毛髪材が配置される上面の少なくとも一部に設けられていてもよい(第2の構成)。この構成によれば、取出口が設けられているとともに毛髪材が配置されている底部の上面において毛髪材の移動が抑制されるため、ストッカ内の取出口付近における毛髪材の低密度化を効果的に改善することができる。
第1または第2の構成において、前記滑止部は、粘着材を有してもよい(第3の構成)。この構成によれば、滑止部として粘着材をストッカ内に設置するという簡易な構成で、ストッカ内の取出口付近における毛髪材の低密度化を改善することができるとともに、毛髪材1が何らかの物体に擦れることがないため、毛髪材にダメージを与えることなくその移動を抑制することができる。
第1~第3の構成のいずれか1つにおいて、前記滑止部は、排気により前記毛髪材を吸着する排気孔を有してもよい(第4の構成)。この構成によれば、半永久的にストッカ内の取出口付近における毛髪材の低密度化を改善することができるとともに、排気を停止することで毛髪材の吸着を解除することができるため、ストッカに対する毛髪材の出し入れが容易になる。
第4の構成において、前記排気孔は、前記取出口よりも小さくてもよい(第5の構成)。この構成によれば、毛髪材が排気孔に吸い込まれることを防止することができる。