以下、本願発明におけるDAB方式双方向絶縁型DC/DCコンバータの実施形態1~6を図1~図18に基づいて詳述する。
[実施形態1]
本実施形態1~4は図1の回路に適用することを前提とする。左側を1次側、右側を2次側としてm台のセル(DABコンバータ)を両側とも直列接続した構成である。1次側直流電源DC1と2次側直流電源DC2の間には第1~第mセルが接続される。
1次側直流電源DC1の両端間には、第1~第mセルの1次側直流コンデンサC1が直列接続される。各セルの1次側直流コンデンサC1の両端間には、それぞれ第1,第2スイッチング素子S1,S2が直列接続される。また、各セルの1次側直流コンデンサC1の両端間には、第3,第4スイッチング素子S3,S4が直列接続される。第1~第4スイッチング素子S1~S4を第1インバータとする。
2次側直流電源DC2の両端間には、第1~第mセルの2次側直流コンデンサC2が直列接続される。各セルの2次側直流コンデンサC2の両端間には、それぞれ第5,第6スイッチング素子S5,S6が直列接続される。また、各セルの2次側直流コンデンサC2の両端間には、第7,第8スイッチング素子S7,S8が直列接続される。第5~第8スイッチング素子S5~S8を第2インバータとする。
なお、図1では、第1~第8スイッチング素子にコンデンサが並列接続されているが、このコンデンサは省略することも可能である。
第1,第2スイッチング素子S1,S2の接続点にはリアクトルL1の一端が接続される。第3,第4スイッチング素子S3,S4の接続点にはリアクトルL2の一端が接続される。第5,第6スイッチング素子S5,S6の接続点にはリアクトルL3の一端が接続される。第7,第8スイッチング素子S7,S8の接続点にはリアクトルL4の一端が接続される。
リアクトルL1の他端とリアクトルL2の他端との間にはトランスTrの1次巻線が接続される。リアクトルL3の他端とリアクトルL4の他端との間にはトランスTrの2次巻線が接続される。第1インバータ、第2インバータ、トランスTr、1次側直流コンデンサC1、2次側直流コンデンサC2、リアクトルL1~L4で1つのセルとする。本実施形態1では、第1~第m(m:2以上の整数)セルを備えるものとする。
図1では、第1インバータ,第2インバータとトランスTrと間に直列にリアクトルL1~L4を接続しているが、リアクトルL1~L4の代わりにトランスTrの漏れインダクタンスとしてもよい。また、リアクトルL1~L4とトランスTrの漏れインダクタンスの両方としてもよい。
なお、1次側直流電源DC1の電圧をVdc1,2次側直流電源DC2の電圧をVdc2,第1~第mセルの1次側直流コンデンサC1の1次側直流コンデンサ電圧をVdc11~Vdc1m,第1~第mセルの2次側直流コンデンサC2の2次側直流コンデンサ電圧をVdc21~Vdc2m,第kセルの1次側交流電圧をV1k、第kセルの2次側交流電圧をV2k、第kセルの1次側交流電流をi1k、第kセルの2次側交流電流をi2kとする。ここで、k=1~mの整数とする。
図2~4に本実施形態1における図1の回路構成の第kセルの制御部のブロック図を示す。制御部は第1,第2インバータのゲート信号を生成する。図2は第kセルの位相差指令値(θk)演算部のブロック図である。
第1ローパスフィルタLPF1は、第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kから基本波の2倍の周波数のリプルやノイズなどを除去する。
1次側直流コンデンサ電圧平均値Vdc1avgは1次側直流コンデンサ電圧Vdc11~Vdc1mの合計または1次側直流電圧Vdc1のどちらかをセルの台数mで割った値である。
第1減算器1は、第1ローパスフィルタLPF1を適用した第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kと第kセルのアンバランス電圧指令値Vdck*の和から1次側直流コンデンサ電圧平均値Vdc1avgを減算し、第kセルの1次側電圧偏差を求める。本実施形態1では、Vdck*=0である。
第2ローパスフィルタLPF2は、第kセルの2次側直流コンデンサ電圧Vdc2kから基本波の2倍の周波数のリプルやノイズなどを除去する。2次側直流コンデンサ電圧平均値Vdc2avgは2次側直流コンデンサ電圧Vdc21~Vdc2mの合計または2次側直流電圧Vdc2のどちらかをセルの台数mで割った値である。
第2減算器2は、第2ローパスフィルタLPF2を適用した第kセルの2次側直流コンデンサ電圧Vdc2kと第kセルのアンバランス電圧指令値Vdck*の和から2次側直流コンデンサ電圧平均値Vdc2avgを減算し、第kセルの2次側電圧偏差を求める。
図2のP*は、1次側と2次側間で伝送される電力指令値である。電力指令値P*がプラスならば電力は1次側から2次側に伝送され、マイナスならば電力は2次側から1次側に伝送される。電力指令値P*は外部から与えられる他、1次側直流電圧Vdc1または2次側直流電圧Vdc2どちらかの電圧制御や電流制御によって得られる場合もある。
第1比較器3は、電力指令値P*がプラスであるか否かを判断する。第1巻数比演算器4は、第2減算器2の出力(2次側電圧偏差)にトランスTrの巻数比の逆数に-1を乗算した値を乗算する。また、第1巻数比演算器4は、第2減算器2の出力(2次側電圧偏差)に-1を乗算し、第1減算器1の出力(1次側電圧偏差)にトランスTrの巻数比nを乗算してもよい。ここで、トランスTrの巻数比は1次側:2次側=1:nとする。
第1スイッチSW1は、電力指令値P*がプラスならば第kセルの1次側電圧偏差を、電力指令値P*が零またはマイナスならば第1巻数比演算器4の出力を出力する。
第1スイッチSW1の頻繁な切り替わりを防ぐため、電力指令値P*が零付近ならば直前のスイッチの状態を維持させヒステリシス特性を持たせてもよい。また、電力指令値P*が零ならば、第kセルの1次側電圧偏差と第1巻数比演算器4出力の平均値を出力してもよい。
第1アンプ5は、第1スイッチSW1の出力を増幅し第kセルの位相θkbを出力する。今回は例として以下の2つを併用する。
比例アンプP1は、第1スイッチSW1の出力に比例した値を出力する。ゲイン付き一次遅れフィルタ5aは、第1スイッチSW1の出力の低周波数成分を増幅する。
第1加算器6は、以上2つのアンプ出力を加算して位相θkbを出力する。第2加算器7は、位相θkbに別途与えられる位相指令値θ*を加算し、第kセルの位相差指令値θkを出力する。
位相指令値θ*は直流側の電流や電圧のフィードバック制御によって与えられる場合もある。電力指令値P*と第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1k,第kセルの2次側直流コンデンサ電圧Vdc2kから計算により求める場合もある。
ここでは、位相θkb,位相指令値θ*,第kセルの位相差指令値θkはプラスの時に第kセルの1次側交流電圧V1kの位相が第kセルの2次側交流電圧V2kに対して進みとなり、電力は1次側から2次側に伝送されるものとする。
図3にパルス幅指令値(W1kp,W1km,W2kp,W2km)演算部のブロック図を示す。
第3ローパスフィルタLPF3は、第kセルの1次側交流電流検出値i1kの直流成分を抽出する。
第1乗算器8は、第kセルの2次側交流電流検出値i2kに巻数比nを乗算する。第4ローパスフィルタLPF4は、第1乗算器8の出力(n×i2k)から直流成分を抽出する。
なお、図3では、第kセルの2次側交流電流検出値i2kにトランスTrの巻数比nを乗算したが、第kセルの1次側交流電流検出値i1kに巻数比nの逆数(1/n)を乗算してもよい。
第3減算器9は、直流成分指令値から第3ローパスフィルタLPF3の出力を減算し偏差を求める。第4減算器10は、直流成分指令値から第4ローパスフィルタLPF4の出力を減算し偏差を求める。実施形態1,2,3では、直流成分指令値は零である。
PIアンプ11は、第3減算器9で求めた偏差を増幅する。PIアンプ12は、第4減算器10で求めた偏差を増幅する。
第3加算器13は、第kセルの1次側パルス幅指令値W1kと、第kセルの1次側交流電流検出値i1kを入力としたPIアンプ11の出力を加算し、第kセルの1次側のプラス側パルス幅指令値W1kpを出力する。
第5減算器14は、第kセルの1次側パルス幅指令値W1kから、第kセルの1次側交流電流検出値i1kを入力としたPIアンプ11の出力を減算し、第kセルの1次側のマイナス側パルス幅指令値W1kmを出力する。
第4加算器15は、第kセルの2次側パルス幅指令値W2kと、第kセルの2次側交流電流検出値i2kを入力としたPIアンプ12の出力を加算し、第kセルの2次側のプラス側パルス幅指令値W2kpを出力する。
第6減算器16は、第kセルの2次側パルス幅指令値W2kから、第kセルの2次側交流電流検出値i2kを入力としたPIアンプ12の出力を減算し、第kセルの2次側のマイナス側パルス幅指令値W2kmを出力する。
図4にゲート信号生成部のブロック図を示す。
第2乗算器17は、第kセルの位相差指令値θkを0.5倍する。第3乗算器18は、第2乗算器17の出力(0.5θk)に-1を乗算して符号を反転させる。
ゲート生成器19は、第2乗算器17の出力(0.5θk)と、前述した第kセルの1次側のプラス側パルス幅指令値W1kp、第kセルの1次側のマイナス側パルス幅指令値W1kmを入力し、デッドタイムを付加してゲート信号T1k1,T1k2,T1k3,T1k4を出力する。ゲート信号T1k1が第kセルの第1スイッチング素子S1を、ゲート信号T1k2は第2スイッチング素子S2を、ゲート信号T1k3は第3スイッチング素子S3を、ゲート信号T1k4は第4スイッチング素子S4を制御する。
ゲート生成器20は、第3乗算器18の出力(-0.5θk)と、第kセルの2次側のプラス側パルス幅指令値W2kp、第kセルの2次側のマイナス側パルス幅指令値W2kmを入力し、デッドタイムを付加してゲート信号T2k1,T2k2,T2k3,T2k4を出力する。ゲート信号T2k1が第kセルの第5スイッチング素子S5を、ゲート信号T2k2は第6スイッチング素子S6を、ゲート信号T2k3は第7スイッチング素子S7を、ゲート信号T2k4は第8スイッチング素子S8を制御する。
図5に第kセルの1次側交流電圧V1kと第kセルの2次側交流電圧V2kとゲート信号T2k1,T2k2,T2k3,T2k4の例を示す。この例では第kセルの位相差指令値θkはプラスであり、第kセルの1次側交流電圧V1kの位相が第kセルの2次側交流電圧V2kに対して進み、電力は1次側から2次側に伝送される。
本実施形態1では、ある程度の電力伝送が行われている条件下でのコンデンサ電圧のバランス制御を示す。図6,図7を用いてバランス制御の方針を説明する。
図6は、図1から1次側のみを抽出したものである。電力は1次側から2次側に伝送され、各セルの伝送電力は等しいとする。第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kは1次側直流コンデンサ電圧平均値Vdc1avgよりも過剰であり、第mセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1mが1次側直流コンデンサ電圧平均値Vdc1avgよりも不足している場合を考える。
DABセルは直列接続であるため、各セルを流れる直流電流は一定である。第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kは他のセルの1次側直流コンデンサ電圧よりも大きいため、第kセルが入力する電力も増加する。しかし、第kセルが2次側に伝送する電力は他のセルと等しいため、入力電力は過剰となり1次側直流コンデンサC1に充電され、第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kはさらに増加してしまう。
第mセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1mは他のセルの1次側直流コンデンサ電圧よりも小さく、第mセルが入力する電力は減少する。他のセルと等しい電力を伝送するには第mセルの1次側直流コンデンサC1を放電することになり、第mセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1mはさらに減少してしまう。
以上より、電力が1次側から2次側に伝送される場合、1次側直流コンデンサC1の電圧バランスは不安定であり、制御を必要とする。
一方、図7に示すように電力が2次側から1次側に伝送される場合を考える。図7は図1から1次側のみを抽出したものである。第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kは他のセルの1次側直流コンデンサ電圧よりも大きく、第kセルが出力する電力も増加する。しかし、第kセルが2次側から受け取る電力は他のセルに等しいため、出力電力に対して入力電力は不足しその分は第kセルの1次側直流コンデンサC1の放電によって補われる。そのため第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kは減少する。
第mセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1mは他のセルの1次側直流コンデンサ電圧よりも小さく、第mセルが出力する電力も減少する。第mセルが2次側から受け取る電力は他のセルに等しいため、第mセルが2次側から受け取る電力は出力に対して過剰となり、過剰分は第mセルの1次側直流コンデンサC1に充電され第mセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1mは増加する。
以上より、電力が2次側から1次側に伝送される場合、1次側直流コンデンサC1の電圧バランスは安定であり、ある程度の偏差は生じるが制御不要で自発的にバランスする。このバランス効果は伝送電力が大きくなるほど高くなるが、伝送電力が小さければバランスしにくくなり偏差が大きくなる。伝送電力が零であればバランス効果もなくなり不安定になる。
本実施形態1では、電力指令値P*がプラスで電力が1次側から2次側に伝送される場合には1次側直流コンデンサ電圧をバランスさせる。図2に示すように、電力指令値P*がプラスの場合第1スイッチSW1は上側に切り替わり、第1アンプ5には第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kと1次側直流コンデンサ電圧平均値Vdc1avgとの偏差が入力される。
第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kが過剰ならば偏差はプラスであり、第1アンプ5で増幅された位相θkbもプラスとなる。その結果、第kセルの1次側交流電圧V1kの位相は第kセルの2次側交流電圧V2kに対して進み、その位相差は他のセルよりも大きくなる。第kセルでは他のセルよりも大きな電力が1次側から2次側に伝送され、第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kが減少し偏差が小さくなる。
第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kが不足していれば偏差はマイナスとなる。第kセルが1次側から2次側に伝達する電力は他のセルよりも小さくなり、第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kが増加する。
以上の動作により1次側コンデンサ電圧がバランスする。一方で、1次側コンデンサ電圧のバランスに必要な電荷は2次側コンデンサから供給するため2次側のコンデンサ電圧バランスは悪化する。
しかし、前述したように2次側のコンデンサ電圧バランスは安定である。そのためある程度の偏差は生じるが、2次側コンデンサ電圧はセルから伝送される電力と出力される電力の均衡がとれるところに収束する。
電力指令値P*が零またはマイナスで電力が2次側から1次側に伝送される場合には2次側のコンデンサ電圧をバランスさせる。電力指令値P*がマイナスの場合は第1スイッチSW1は下側に切り替わり、第1アンプ5には第kセルの2次側直流コンデンサ電圧Vdc2kと2次側直流コンデンサ電圧平均値Vdc2avgとの偏差が入力される。
第kセルの2次側直流コンデンサ電圧Vdc2kが過剰ならば偏差はマイナスになり第1アンプ5で増幅された位相θkbもマイナスとなる。第kセルの1次側交流電圧V1kの位相は第kセルの2次側交流電圧V2kに対して遅れ、位相差は他のセルよりも大きくなる。第kセルでは他のセルよりも大きな電力が2次側から1次側に伝送され、第kセルの2次側直流コンデンサ電圧Vdc2kが減少する。
第kセルの2次側直流コンデンサ電圧Vdc2kが不足していれば偏差はプラスとなる。第kセルが1次側から2次側に伝送する電力は他のセルよりも小さくなり、第kセルの2次側直流コンデンサ電圧Vdc2kが増加する。
1次側直流コンデンサC1の電圧バランスは制御を行わないが自発的に安定となる。
図2の第1アンプ5には積分器を使用していない。この理由を説明する。積分器は直流のゲインが無限となり、直流の偏差を零にして制御対象であるコンデンサ電圧を指令値に等しくするという特徴がある。
しかし、今回の制御対象である図1では、セルコンデンサ電圧の合計(1次側ではVdc1)は接続された電圧源や別途用意する直流電流一定制御など外部の要因によって決定する。そのためm-1台のセルコンデンサ電圧が決定すれば、残り1台のコンデンサ電圧は必然的に決定される。制御対象の自由度はm-1であるが、これにm個の制御器で制御を行うと自由度が不足し制御が不安定になる。
特に検出器に誤差がある場合には、あるセルの積分アンプが誤差も含めた偏差を零にしようと出力を増加し、それが他のセルの偏差を増加させることになりそのセルの積分アンプが出力を増加、とアンプ出力が際限なく増加してしまう恐れがある。
その対策として、直流のゲインを有限に抑えわずかではあるが残った偏差を許容するように比例アンプP1とゲイン付き一次遅れフィルタ5aで制御を行う。他の対策としては、m-1台のセルで図2のアンプをPIアンプに置換したバランス制御を行い、残りのセル(例えば第1セル)では図2のバランス制御を行わず位相θ1bを零で固定してもよい。
図2では電力指令値P*が零の場合は2次側直流コンデンサ電圧をバランスさせるが、1次側直流コンデンサ電圧をバランスさせてもよい。無負荷での待機状態など電力指令値P*が零に近く頻繁に符号が変わる場合には、位相θkbの急変の頻発を防ぐために第1スイッチSW1の切り替わりにヒステリシス特性を持たせてもよい。
1次側電圧偏差と2次側電圧偏差の平均値を第1アンプ5に入力して制御を行ってもよい。すなわち、第1アンプ5は、電力指令値P*が第1閾値よりも大きい場合は1次側電圧偏差を増幅し、電力指令値P*が第2閾値よりも小さい場合は2次側電圧偏差を増幅し、電力指令値P*が第2閾値以上第1閾値未満の場合は1次側電圧偏差または2次側電圧偏差のどちらか、あるいは両方(平均値)の和を増幅し、あるいは0を第kセルの位相θkbとして出力する。
ただし、本実施形態1単独では電力指令値P*=0においてコンデンサ電圧をバランスすることができない。この問題には、後述する実施形態3と組み合わせる必要がある。
本実施形態1は、伝送される電力の絶対値が十分大きければ制御を行わない側のコンデンサ電圧のバランス偏差を十分小さく保つことができる。しかし、負荷が軽くなり伝送電力の絶対値が小さくなると偏差が大きくなってしまうという問題がある。
以上示したように、本実施形態1によれば、ある程度伝送電力が大きな条件では1次側・2次側両方の直流コンデンサ電圧のバランスを保つことができる。
また、特定のセルへの電圧責務集中を防ぎ、過電圧による過熱や部品の破損、サージによるスイッチング素子の破損を防ぐことができる。
また、部品の耐圧を高くする必要がなくなりコストを下げることができる。また、従来技術に比べて補助回路が不要のため、コスト低減の他に装置を小型化できる。
[実施形態2]
図8に、本実施形態2における第kセルのアンバランス電圧指令値(Vdck*)演算部のブロック図を示す。
第5ローパスフィルタLPF5は、第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kの基本波の2倍の周波数のリプルやノイズなどを除去して直流成分を抽出する。第6ローパスフィルタLPF6は、第kセルの2次側直流コンデンサ電圧Vdc2kの直流成分を抽出する。
第4乗算器21は、第5ローパスフィルタLPF5を適用した第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kの自乗を求める。第5乗算器22は、第6ローパスフィルタLPF6を適用した第kセルの2次側直流コンデンサ電圧Vdc2kの自乗を求める。
第6乗算器23は、第4乗算器21の出力に、1次側コンデンサ容量C1を2で割った値を乗算する。第7乗算器24は、第5乗算器22の出力に、2次側コンデンサ容量C2を2で割った値を乗算する。
第5加算器25は、第6,第7乗算器23,24の出力を加算し、第kセルの両側に接続された1次側直流コンデンサC1と2次側直流コンデンサC2に蓄積されたエネルギーEkを求める。
第7減算器26は、エネルギーEkと、全セルの1次側直流コンデンサC1と2次側直流コンデンサC2に蓄積されたエネルギーの平均値Eavgと、の偏差である第1エネルギー偏差を求める。
第2アンプ27は、第7減算器26の出力にゲインG2をかけて増幅する。ゲインG2は固定値とするほか、図8に示したように、ゲイン調整器28において、電力指令値P*が零付近の時は小さくするなど、電力指令値P*に基づいて値を変化させてもよい。第2アンプ27の出力がアンバランス電圧指令値Vdck*となる。
本実施形態2では、実施形態1の問題点の1つである軽負荷時の偏差を小さくする方法を説明する。
本実施形態2では、まず第kセルの1次側直流コンデンサC1と2次側直流コンデンサC2に蓄積されたエネルギーEkを求める。次に、同様に求めた各セルのエネルギーの平均値EavgとエネルギーEkとの偏差を計算する。これをゲインG2で増幅し、得られた値を第kセルのアンバランス電圧指令値Vdck*とする。
本実施形態2の動作を説明する。例としてP*>0で1次側直流コンデンサ電圧が制御対象とする。このとき、Vdc11~Vdc1mは実施形態1の制御によりほぼ等しい値となるため、1次側直流コンデンサの蓄積エネルギーはほぼ等しくなる。
エネルギーEkには、第kセルの2次側直流コンデンサ電圧Vdc2kの大きさが反映される。第kセルの2次側直流コンデンサ電圧Vdc2kが2次側直流コンデンサ電圧平均値Vdc2avgよりも大きい場合、エネルギーEkもエネルギーの平均値Eavgより大きくなり、アンバランス電圧指令値Vdck*はプラスとなる。
このアンバランス電圧指令値Vdck*が図2の第1,第2減算器1,2に入力される。第1減算器1は、第1ローパスフィルタLPF1を適用した第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kと第kセルのアンバランス電圧指令値Vdck*の和から1次側直流コンデンサ電圧平均値Vdc1avgを減算し、第kセルの1次側電圧偏差を求める。
その結果、バランス制御の指令値(Vdc1avg-Vdck*)は小さくなり第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kも減少する。各セルを流れる直流電流は一定であるため、第kセルが1次側直流電圧Vdc1から受け取る電力は減少する。第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kは制御対象であるため、受け取る電力の減少は第kセルの2次側直流コンデンサ電圧Vdc2kの大きさに反映され、第kセルの2次側直流コンデンサ電圧Vdc2kは減少し2次側直流コンデンサ電圧平均値Vdc2avgに近づけることができる。
P*<0で2次側コンデンサ電圧が実施形態1の制御対象の場合、エネルギーEkには第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kの大きさが反映される。第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kが1次側直流コンデンサ電圧平均値Vdc1avgよりも小さい場合、エネルギーEkもエネルギーの平均値Eavgより小さくなり、アンバランス電圧指令値Vdck*はマイナスとなる。
このアンバランス電圧指令値Vdck*が図2の第1,第2減算器1,2に入力される。第2減算器2は、第2ローパスフィルタLPF2を適用した第kセルの2次側直流コンデンサ電圧Vdc2kと第kセルのアンバランス電圧指令値Vdck*の和から2次側直流コンデンサ電圧平均値Vdc2avgを減算し、第kセルの2次側電圧偏差を求める。
その結果、バランス制御の指令値(Vdc2avg-Vdck*)は大きくなり第kセルの2次側直流コンデンサ電圧Vdc2kも増加する。第kセルが2次側直流電圧Vdc2から受け取る電力は増加し、第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kを増加させ1次側直流コンデンサ電圧平均値Vdc1avgに近づけることができる。
本実施形態2では、P*>0における1次側およびP*<0における2次側、すなわち電力伝送の上流側のコンデンサ電圧バランス偏差を意図的に少しだけ発生させる。これにより、P*>0における2次側およびP*<0における1次側、すなわち下流側のコンデンサ電圧バランス偏差を改善することができる。
本実施形態2では、第k(k=1~mの整数)セルの1次側直流コンデンサと2次側直流コンデンサに蓄積されたエネルギーEkが他のセルに比べて大きい場合に第kセルの電力伝送の上流側の直流コンデンサ電圧が小さくなるよう第kセルの第1インバータと第2インバータが出力する交流電圧の位相差を制御し、第kセルの1次側直流コンデンサと2次側直流コンデンサに蓄積されたエネルギーEkが他のセルに比べて小さい場合に第kセルの電力伝送の上流側の直流コンデンサ電圧が大きくなるよう第kセルの第1インバータと第2インバータが出力する交流電圧の位相差を制御する。
本実施形態2では、第2アンプ27の入力が電力伝送の下流側コンデンサ電圧ではなくセルの1次側直流コンデンサC1と2次側直流コンデンサC2に蓄積されたエネルギー合計値としている。その理由を説明する。P*>0の場合、第2アンプ27の入力をVdc2k-Vdc2avgとすることも考えられる。
しかし、例えば第kセルの2次側直流コンデンサ電圧Vdc2kが大きい場合、第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kを小さくすることで第kセルの2次側直流コンデンサC2が受け取る電力を減少させる。しかし、第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kを下げるには第kセルの1次側直流コンデンサC1を放電することになる。放電された電荷はDABコンバータを経由して第kセルの2次側直流コンデンサC2に移動するため、第kセルの2次側直流コンデンサ電圧Vdc2kはさらに増加してしまう。
すると、前述の動作により第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdc1kをさらに小さくしようとしてしまう。そのため、制御系が不安定になりやすくなり、ゲインG2には大きな値を設定できず効果は非常に小さくなってしまう。
一方、1次側直流コンデンサC1と2次側直流コンデンサC2に蓄積されたエネルギーEkならばコンデンサ電圧とは異なり電荷を移動しても一定であるため、制御系は安定しやすく高いゲインを設定でき十分な効果を得ることができる。
前述したように、第2アンプ27の入力をエネルギーEkとした方が望ましいが、第2アンプ27の入力を下流側の直流コンデンサ電圧としてもよい。この場合、第kセルの電力伝送の下流側の直流コンデンサ電圧が他のセルに比べて大きい場合に第kセルの電力伝送の上流側の直流コンデンサ電圧が小さくなるよう第kセルの第1インバータ、第2インバータが出力する交流電圧の位相差を制御し、第kセルの電力伝送の下流側の直流コンデンサ電圧が他のセルに比べて小さい場合に第kセルの電力伝送の上流側の直流コンデンサ電圧が大きくなるよう第kセルの第1インバータ、第2インバータが出力する交流電圧の位相差を制御する。
本実施形態2では負荷があれば効果を得られるが、無負荷では電力伝送の上流側のコンデンサ電圧を変更しても受け取る電力が零で差が生じないため、効果が得られない。そのため、電力指令値P*が零付近の場合はゲインG2を零にして不要な偏差を発生させないようにしてもよい。
本実施形態2は、実施形態1と組み合わせることで伝送される電力の絶対値が小さくてもコンデンサ電圧のバランス偏差を十分小さく保つことができる。しかし、無負荷の場合では制御手段を喪失し偏差が大きくなってしまうという問題がある。
実施形態1と実施形態2を併用することにより、伝送電力が小さな条件においても1次側・2次側両方の直流コンデンサの電圧バランスを保つことができる。
実施形態1に比べると、バランスを均等にできた側は少しだけバランスが悪化してしまうが、実施形態1では偏差が生じてしまった側の電圧バランスを改善することができる。
これにより、部品の耐圧を実施形態1よりも小さくできる。実施形態3を単独で、または実施形態1と併用した場合と比較して、伝送電力が小さな条件での損失を低くすることができる。
[実施形態3]
図9に本実施形態3のパルス幅指令値(W1kp,W1km,W2kp,W2km)演算部のブロック図を示す。図9は図3に対して以下の点が異なる。
本実施形態3では、第kセルの1次側パルス幅指令値W1k,第kセルの2次側パルス幅指令値W2kは以下のように求めることを想定している。
1次側直流電圧Vdc1と巻線比を考慮した2次側直流電圧Vdc2/nを比較し、電圧が小さい方のパルス幅指令値は、例えば0.7~1程度の1に近い固定値とする。または、電力指令値P*が零に近いときは小さく、電力指令値P*が零から離れるほど大きくなる上限を0.7~1程度とした可変値としてもよい。
また、電圧が大きい方のパルス幅指令値は以下の(1)式のW1とする。なお、(1)式のW2は電圧が小さい方のパルス幅指令値である。また、(1)式のθは、電力指令値P*と、2次側直流電圧Vdc2と2次側直流電流Idc2の積をローパスフィルタでノイズを除去した値と、の偏差をPIアンプで増幅した値である。
第8減算器29は、第kセルの1次側パルス幅指令値W1kから第kセルの2次側パルス幅指令値W2kを減算する。第2比較器30は、第8減算器29の出力を入力し、W1k>W2kかどうかを判定する。第2比較器30は、後述するスイッチの頻繁な切り替わりを避けるためヒステリシス特性を持たせてもよい。
第2スイッチSW2は、第kセルの1次側パルス幅指令値W1k,第kセルの2次側パルス幅指令値W2kを入力し、W1k>W2kならW2k、W1k≦W2kならW1k、すなわちW1kとW2kのうち小さい方を出力する。第3スイッチSW3は、第kセルの1次側パルス幅指令値W1k,第kセルの2次側パルス幅指令値W2kを入力し、W1k>W2kならW1k、W1k≦W2kならW2k、すなわちW1kとW2kのうち大きい方を出力する。
第9減算器31は、第kセルの1次側直流コンデンサと2次側直流コンデンサに蓄積されたエネルギーEkと、各セルの1次側直流コンデンサと2次側直流コンデンサに蓄積されたエネルギーのうち全セル中の最小値Eminと、の偏差である第2エネルギー偏差を求める。
第2エネルギー偏差を増幅する第3アンプ32は、今回は例として以下の2つを併用する。比例アンプP2は、第9減算器31で求めた第2エネルギー偏差に比例した値を出力する。ゲイン付き一次遅れフィルタ32aは、第9減算器31で求めた第2エネルギー偏差の低周波数成分を増幅する。第6加算器33は、比例アンプP2の出力とゲイン付き一次遅れフィルタ32aの出力を加算する。
第7加算器34は、第3アンプ32の出力と第2スイッチSW2の出力を加算する。第1リミッタ35は第7加算器34の出力を制限する。第1リミッタ35の上限は通常1,下限は0.2など零よりも大きな値である。上限は1より少し小さな値としてもよい。
第10減算器36は、第1リミッタ35の入力と出力の差分を求め、第1リミッタ35を超過した値を出力する。第11減算器37は、第3スイッチSW3の出力から第10減算器36の出力を減算する。第2リミッタ38は、第11減算器37の出力を制限する。第2リミッタ38の上限・下限の設定は、第1リミッタ35と同様である。
第4スイッチSW4は、第1リミッタ35,第2リミッタ38両方の出力を入力し、W1k>W2kならば第2リミッタ38の出力を出力し、それ以外ならば第1リミッタ35の出力を出力する。
第4スイッチSW4の出力する値は、第kセルの1次側パルス幅指令値W1kと第kセルの2次側パルス幅指令値W2kの大小関係に依存せず、第kセルの1次側パルス幅指令値W1kにアンプ出力が加算された値である。
第5スイッチSW5は、第1リミッタ35,第2リミッタ38両方の出力を入力し、W1k>W2kならば第1リミッタ35の出力を出力し、それ以外ならば第2リミッタ38の出力を出力する。
第5スイッチSW5の出力する値は、第kセルの1次側パルス幅指令値W1kと第kセルの2次側パルス幅指令値W2kの大小関係に依存せず、第kセルの2次側パルス幅指令値W2kからアンプ出力が減算された値である。
第3加算器13は、第4スイッチSW4の出力に第kセルの1次側交流電流検出値i1kの直流成分をPIアンプ11で増幅した値を加算し、1次側のプラス側パルス幅指令値W1kpとして出力する。第5減算器14は、第4スイッチSW4の出力から第kセルの1次側交流電流検出値i1kの直流成分をPIアンプ11で増幅した値を減算し、1次側のマイナス側パルス幅指令値W1kmとして出力する。
第4加算器15は、第5スイッチSW5の出力に第kセルの2次側交流電流検出値i2kの直流成分をPIアンプ12で増幅した値を加算し、2次側のプラス側パルス幅指令値W2kpとして出力する。第6減算器16は、第5スイッチSW5の出力から第kセルの2次側交流電流検出値i2kの直流成分をPIアンプ12で増幅した値を減算し、2次側のマイナス側パルス幅指令値W2kmとして出力する。
本実施形態3では、これまでの実施形態1,2の問題点であった無負荷時のコンデンサ電圧のバランス偏差を小さくする方法を説明する。
まず、実施形態2と同様に第kセルの1次側直流コンデンサと2次側直流コンデンサに蓄積されたエネルギーEkを計算し入力する。また、各セルの1次側直流コンデンサと2次側直流コンデンサに蓄積されたエネルギーのうち全セル中の最小値Eminを求め、第kユニットのエネルギーEkとの偏差である第2エネルギー偏差を第3アンプ32に入力する。
第3アンプ32の出力に基づいて第kセルの1次側交流電圧V1k,第kセルの2次側交流電圧V2kのパルス幅を操作する。操作は、まずパルス幅の狭い方を広げ、リミッタを超過したらパルス幅の広い方を狭くする。
2次側直流電圧Vdc2が小さく2次側パルス幅指令値W2k=0.7~1、1次側直流電圧Vdc1が大きく1次側パルス幅指令値W1k=(1)式とし、かつ第kセルの直流コンデンサ蓄積エネルギーEkが最小ではない場合を例に本実施形態3の動作を説明する。
第3アンプの出力が零のとき、第kセルの2次側インバータ出力電圧のパルス幅は広く設定され交流側は力率1で動作する。1次側インバータ出力電圧はパルス幅が狭く設定されトランスやリアクトルに供給する無効電力をすべて分担する。これにより1次側交流電流検出値i1k,2次側交流電流検出値i2kを小さくして銅損や導通損を低減する。
ここで、第kセルの直流コンデンサ蓄積エネルギーEkが最小ではない場合は第3アンプの出力がプラスとなり、パルス幅の狭い第kセルの1次側インバータ出力電圧のパルス幅を広げることで、交流側に供給される無効電力は過剰になり、第kセルの2次側インバータは進み力率で運転する。
不要な無効電力のやりとりが発生することにより1次側交流電流検出値i1k,2次側交流電流検出値i2kの振幅が増加し銅損や導通損も増加、コンデンサ電圧の放電を促す。
第kセルの1次側インバータ出力電圧のパルス幅を1まで広げてもコンデンサ電圧の放電が不十分な場合、第kセルの2次側インバータ出力電圧のパルス幅を狭くする。これにより交流側に供給される無効電力をさらに大きくし、コンデンサ電圧をさらに小さくすることができる。
コンデンサ蓄積エネルギーが最小のセルは第3アンプの出力が零のためパルス幅の変更が行われず、2次側パルス幅指令値W2k=0.7~1、1次側パルス幅指令値W1k=(1)式と同じ動作になり、損失を小さくしてコンデンサの放電を抑制する。以上の動作によりコンデンサ電圧のバランスを改善する。
本実施形態3では、1次側直流コンデンサと2次側直流コンデンサに蓄積されたエネルギーEkが最小以外のセルで、当該セルの出力する無効電力が大きくなるように(運転力率を低下させるように)1次側パルス幅指令値W1kと2次側パルス幅指令値W2kのうち小さい方のパルス幅を広げ、または、大きい方のパルス幅を狭め、または両方行って、1次側パルス幅指令値W1kと2次側パルス幅指令値W2kを補正し、1次側のプラス側パルス幅指令値W1kp、1次側のマイナス側パルス幅指令値W1km、2次側のプラス側パルス幅指令値W2kp、2次側のマイナス側パルス幅指令値W2kmとして出力する。
また、第kセルの電力伝送の下流側の直流コンデンサ電圧が最小以外のセルで、当該セルの出力する無効電力が大きくなるように(運転力率を低下させるように)1次側パルス幅指令値W1kと2次側パルス幅指令値W2kのうち小さい方のパルス幅を広げ、または、大きい方のパルス幅を狭め、または両方行って、1次側パルス幅指令値W1kと2次側パルス幅指令値W2kを補正し、1次側のプラス側パルス幅指令値W1kp、1次側のマイナス側パルス幅指令値W1km、2次側のプラス側パルス幅指令値W2kp、2次側のマイナス側パルス幅指令値W2kmとして出力してもよい。
本実施形態3では、パルス幅に第1,第2リミッタ35,38を設定している。第1,第2リミッタ35,38の上限は通常1であるが、0.7~0.95程度に設定してもよい。第1,第2リミッタ35,38の下限を0に設定すると交流側電圧が出力されず電力伝送ができなくなり制御不能に陥る。そのため例えば0.2程度など0より大きな値に設定する。
本実施形態3ではパルス幅の操作として狭い方を広げることを優先しているが、逆に広い方を狭くすることを優先してもよい。また、両方を均等に操作してもよい。
本実施形態3の第3アンプ32のゲインP2,ゲインG2は一定としている。しかし、実施形態1,2により負荷がある状態ならば実施形態3を適用しなくてもコンデンサ電圧をバランスさせることができる。そのため、電力指令値P*が0でなければゲインを0に切り替えてもよく、損失を抑えることができる。電力指令値P*の絶対値が0.1以上などある程度大きな条件でゲインを0に設定してもよく、軽負荷でも意図的に損失を発生させることで効率は少し低下してしまうがコンデンサ電圧バランスの偏差を小さくすることもできる。ゲインの切り替えにはヒステリシス特性を持たせてもよく、電力指令値P*の絶対値に基づきゲインを変化させてもよい。
実施形態3では意図的に損失を発生させるため、当然セルの熱責務が増加する。しかし、実施形態3の適用は無負荷あるいは軽負荷を想定し、このときの損失としては銅損・導通損・スイッチング損は非常に小さく鉄損を始めとする無負荷損が大半を占め、無負荷損が最大のセルに合わせて他のセルの損失を揃えているに過ぎず、損失の増加は小さい。
例えば、トランスTrの鉄心にひびが入り該当箇所の磁束密度が増加しヒステリシス損が増加した、積層鋼板の絶縁が衝撃で破損し渦電流損が増加した、経年劣化でコンデンサの漏れ電流が増加した、などの異常による極端な損失増加が発生しない限り、冷却機構の大型化は不要である。
本実施形態3によれば、伝送電力が零の条件においても1次側・2次側両方の直流コンデンサの電圧バランスを保ち運転を継続することができる。無負荷で待機する状況が頻発する用途においてもこの構成のコンバータを適用することができる。
実施形態1や実施形態2と併用することで、伝送電力がある条件において損失は増加してしまうが直流コンデンサの電圧バランスの偏差をより小さくできる。
また、ある程度伝送電力が大きな条件では本実施形態3の制御ゲインを小さくすることで本実施形態3を無効化し、効率低下を防ぐことができる。また、後述する実施形態4とは異なり直流側に発生するリプルは基本波周波数の2倍となるので、小さなフィルタで除去できる。
[実施形態4]
図10に本実施形態4のパルス幅指令値(W1kp,W1km,W2kp,W2km)演算部のブロック図を示す。図10は図9に対して以下の点が異なる。
本実施形態4では、第12減算器39を追加している。第12減算器39は、第2リミッタ38の入力と出力の差分を求め、第2リミッタ38を超過した値を出力する。
この第12減算器39の出力は、第kセルの1次側交流電流の直流成分指令値とし、第3減算器9で用いる。また、第12減算器39の出力の符号を反転した信号は、第kセルの2次側交流電流の直流成分指令値とし、第4減算器10で用いる。
第3減算器9は第12減算器39の出力から第3ローパスフィルタLPF3の出力を減算する。第4減算器10は第12減算器39の出力の符号を反転した値から第4ローパスフィルタLPF4の出力を減算する。
実施形態3は、パルス幅を変化させることで損失を意図的に増加させ無負荷時のコンデンサ電圧のバランス偏差を小さくする。しかし、変化させることのできるパルス幅に制限があり、上記のようなこれを上回るコンデンサ電圧バランス外乱が発生した場合には対処できない。
本実施形態4は、無負荷においてより大きなバランス外乱が発生した場合でもコンデンサ電圧のバランス偏差を小さくする方法を説明する。
実施形態3では、狭い方のパルス幅を広げる操作を行うが、操作量がリミッタを超過した分については広い方のパルス幅を狭くする操作を行い、ここでもリミッタを超過したらその分は操作を行わない。
本実施形態4では、広い方のパルス幅を狭くする操作についてもリミッタを超過した分を検出し、超過分を第kセルの1次側交流電流検出値i1k,第kセルの2次側交流電流検出値i2kの直流成分の指令値とした。
第kセルの1次側交流電流検出値i1k,第kセルの2次側交流電流検出値i2kに直流成分を重畳することでより大きな損失を発生させコンデンサを放電することができる。
与える直流成分指令値は、第kセルの1次側交流電流検出値i1kと第kセルの2次側交流電流検出値i2kで逆向きに設定した。本実施形態4では、第1乗算器8は、1次側交流電流検出値i1kを1/n倍、または、2次側交流電流検出値i2kをn倍する。これにより高周波トランス内部の鉄心で1次側・2次側両方の電流により発生する磁束の直流成分が互いに打ち消し合うため、鉄心の磁気飽和を防ぐことができる。
本実施形態4では、1次側直流コンデンサと2次側直流コンデンサに蓄積されたエネルギーEkが全セル中最小以外のセルで、当該セルが出力する電流の直流成分が大きくなるように1次側パルス幅指令値W1kと2次側パルス幅指令値W2kを補正し、1次側のプラス側パルス幅指令値W1kp、1次側のマイナス側パルス幅指令値W1km、2次側のプラス側パルス幅指令値W2kp、2次側のマイナス側パルス幅指令値W2kmとして出力する。
また、電力伝送の下流側の直流コンデンサ電圧が最小以外のセルで、当該セルが出力する電流の直流成分が大きくなるように1次側パルス幅指令値W1kと2次側パルス幅指令値W2kを補正し、1次側のプラス側パルス幅指令値W1kp、1次側のマイナス側パルス幅指令値W1km、2次側のプラス側パルス幅指令値W2kp、2次側のマイナス側パルス幅指令値W2kmとして出力してもよい。
本実施形態4では、損失を発生させる手段として交流側の無効電力増加の優先度を高く、交流電流への直流重畳の優先度を低くした。この理由を説明する。無効電力を増加すると、直流側には基本波周波数の2倍のリプルが発生する。直流重畳の場合は基本波周波数に等しい周波数のリプルが発生する。リプル周波数が低いと、同じコンデンサ容量でも電圧リプルの振幅が大きくなる、除去に大型のフィルタが必要になる、といった問題が生じる。そのため、発生するリプル周波数の高い手段を優先した。
本実施形態4の適用が必要なほど大きなバランス外乱としては、トランスやコンデンサの異常の他、セル内への異物混入による放電、セルの絶縁破壊などが考えられる。そこで、第kセルの1次側交流電流検出値i1k,第kセルの2次側交流電流検出値i2kの直流成分指令値を積算してその値をメンテナンスなどで定期的に確認、積算値の大きなセルが存在すれば他のセルに劣化や異常が発生したと考え、最も積算値の小さなセルを交換し故障を未然に防ぐといった運用を行うことも考えられる。
本実施形態4によれば、伝送電力が零の条件においてより大きなバランス外乱が発生した場合でも1次側・2次側両方の直流コンデンサの電圧バランスを保ち運転を継続することができる。
また、直流側には基本波周波数に等しい周波数のリプルが発生してしまうが、これを最小限に抑えることができる。
なお、本発明は非特許文献1に示されているような複数台のDAB方式コンバータの一端がすべて直列接続され、もう一端が直列・並列接続を組み合わせた構成にも適用することができる。この場合、複数台のDAB方式コンバータのうち一端が直列に、もう一端が並列に接続した単位セルが複数直列接続されていると見なし、単位セル内部の直列コンデンサ電圧バランス制御は既存の制御法を適用する。各単位セルのコンデンサ電圧のバランス制御は本発明を適用する。
[実施形態5]
実施形態1~4は、両端が直列接続された複数のセル(DAB方式コンバータ)のコンデンサ電圧バランスを均等に保つ制御法である。伝送電力の向きや大きさにかかわらず適用でき、補助回路を使用しないという特長がある。
しかし、この制御法にはセル台数が増加するとセル間の通信負荷の増加、配線ケーブルの複雑化といった問題点がある。この制御法では、入力に1次側,2次側直流コンデンサ電圧平均値Vdc1avg,Vdc2avg、および、1次側,2次側直流コンデンサC1,C2に蓄積されたエネルギーの平均値Eavgを必要とする。この1次側,2次側直流コンデンサ電圧平均値Vdc1avg,Vdc2avg、エネルギーの平均値Eavgを求めるためには各セルに他のすべてのセルの1次側,2次側直流コンデンサ電圧を入力しなければならない。
別途、上位基板など平均値を求める手段を別で用意する方法も考えられる。しかし、この上位基板にはすべてのセルの1次側・2次側直流コンデンサ電圧の入力が必要である。また、上位基板から出力された平均値はすべてのセルに入力しなければならない。
非特許文献1の実施形態3では、片側を直列に、もう片側を並列に接続した複数台のDAB方式コンバータで1台のユニットを構成し、そのユニットを複数台、両側を直列に接続した電力変換装置の制御法が開示されている。
各ユニット内部の直並列制御とユニットの直列制御は独立であるため、ユニット直列制御では各コンバータの直流電圧をすべて把握する必要はなく、配線ケーブルや通信情報量を削減することができる。しかし、この方式はすべてのコンバータが両側とも直列に接続した構成には対応できない。さらに、ユニットの直列制御には別途補助回路が必要となる。
本実施形態5では、すべてのセル(DABコンバータ)の両側が直列に接続された構成を対象とした電圧バランスを均等に保つ制御法において、配線ケーブルの簡略化および通信情報量を削減する方法を説明する。
図11は、y×z台のDABコンバータが両側で直列接続された構成である。本実施形態5は図11の回路に適用する。図11では、1台のDABコンバータをセルと呼称し、構成要素であるセルのz台の集合体をユニットと呼称する。また、構成要素であるユニットのy台の集合体で1台の装置を構成する。
換言すると、本実施形態5のDAB方式双方向絶縁型DC/DCコンバータは、1次側直流電源DC1と、2次側直流電源DC2と、1次側直流電源DC1と2次側直流電源DCとの間に接続された第1ユニット~第y(y=2以上の整数)ユニットと、を備える。第1ユニット~第yユニットはそれぞれ第1セル~第z(z=2以上の整数)セルと、を有する。
図11において、DCPは1次側直流電源、DCSは2次側直流電源、Cpは1次側直流コンデンサ、Csは2次側直流コンデンサ、Vdcpは1次側直流電源DCPの1次側直流電圧、Vdcsは2次側直流電源DCSの2次側直流電圧を示す。また、11は第1ユニット、12は第2ユニット、1yは第yユニットを示す。さらに、111は第1ユニット第1セル、112は第1ユニット第2セル、11zは第1ユニット第zセル、121は第2ユニット第1セル、12zは第2ユニット第zセル、1y1は第yユニット第1セル、1yzは第yユニット第zセルを示す。
また、Vdcp111は1次側直流コンデンサ電圧、Vdcs111は2次側直流コンデンサ電圧、ip111は1次側交流電流検出値、is111は2次側交流電流検出値である。各符号の末尾に記載された3桁の英数字はセルの番号を示し、2桁の英数字はユニットの番号を示す。例えば、Vdcp111は第1ユニット第1セルの1次側直流コンデンサ電圧を示し、Vdcp11は第1ユニットの1次側直流コンデンサ電圧(第1ユニットの第1セル~第zセルの1次側直流コンデンサ電圧を加算した値)を示す。
図12~15に本実施形態5の制御部を示す。図12は第j(j=1~yの整数)ユニット第k(k=1~zの整数)セルの位相差指令値(θ1jk)演算部のブロックである。図12は、実施形態1(図2)と実施形態2(図8)に相当する。図12は以下により構成される。
E1jkは、第jユニット第kセルの1次側・2次側直流コンデンサCp,Csの両方に蓄積されたエネルギーである。エネルギーE1jkは、以下により求める(図示省略)。
第jユニット第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdcp1jk,2次側直流コンデンサ電圧Vdcs1jkにLPFを適用し、結果を2乗しそれぞれ1次側・2次側直流コンデンサ容量Cp,Csをかけ、2で割った値を足し合わせる。すなわち、E1jk=Cp×Vdcp1jk2/2+Cs×Vdcs1jk2/2である。
E1javgは、第jユニットの各セルの1次側・2次側直流コンデンサCp,Csの両方に蓄積されたエネルギーの平均値である。
第13減算器40は、エネルギーE1jkとエネルギーの平均値E1javgとの偏差である第1エネルギー偏差を求める。第4アンプ41は、第13減算器40の出力にゲインG2をかけて増幅する。ゲインG2は固定値とするほか、図示のゲイン調整器42のように電力指令値P*が零付近の時は小さくするなど、電力指令値P*に基づいて値を変化させてもよい。第4アンプ41の出力が、第jユニット第kセルの直流コンデンサ電圧のアンバランス電圧指令値Vdc1jkとなる。
Vdcp1jkは、第jユニット第kセルの1次側直流コンデンサ電圧である。ローパスフィルタLPF1は、第jユニット第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdcp1jkから基本波の2倍の周波数のリプルやノイズなどを除去する。
Vdcp1javgは、第jユニット各セルの1次側直流コンデンサ電圧平均値である。第jユニット各セルの1次側直流コンデンサ電圧平均値Vdcp1javgは第jユニット各セルの1次側直流コンデンサ電圧Vdcp1j1~Vdcp1jzの合計または第jユニットの1次側直流コンデンサ電圧Vdcp1jのどちらかを1ユニットのセルの台数zで割った値である。
第1減算器1は、第jユニット第kセルの1次側直流コンデンサ電圧Vdcp1jkと、第jユニット各セルの1次側直流コンデンサ電圧平均値Vdcp1javgの偏差を求め、さらに偏差に第jユニット第kセルの直流コンデンサ電圧のアンバランス電圧指令値Vdc1jkを加算して第jユニット第kセルの1次側電圧偏差を出力する。第jユニット第kセル1次側電圧偏差が第1スイッチSW1の上側端子に入力される。
Vdcs1jkは、第jユニット第kセルの2次側直流コンデンサ電圧である。第2ローパスフィルタLPF2は、第jユニット第kセルの2次側直流コンデンサ電圧Vdcs1jkから基本波の2倍の周波数のリプルやノイズなどを除去する。
Vdcs1javgは、第jユニット各セルの2次側直流コンデンサ電圧平均値である。第jユニット各セルの2次側直流コンデンサ電圧平均値Vdcs1javgは第jユニット各セルの2次側直流コンデンサ電圧Vdcs1j1~Vdcs1jzの合計または第jユニットの2次側直流コンデンサ電圧Vdcs1jのどちらかを1ユニットのセルの台数zで割った値である。
第2減算器2は、第jユニット第kセルの2次側直流コンデンサ電圧Vdcs1jkと第jユニット各セルの2次側直流コンデンサ電圧平均値Vdcs1javgの偏差を求め、さらに偏差に第jユニット第kセルの直流コンデンサ電圧のアンバランス電圧指令値Vdc1jkを加算して第jユニット第kセルの2次側電圧偏差を出力する。
第1巻数比演算器4は、第2減算器2の出力にトランス巻数比の逆数1/nをかけ、符号を反転させる。第1巻数比演算器4の出力が第1スイッチSW1の下側端子に入力される。
第1比較器3は、電力指令値P*がプラスか否かを判定する。第1スイッチSW1は、電力指令値P*がプラスならば上側端子の入力を、電力指令値P*が零またはマイナスならば下側端子の入力を出力する。
第1スイッチSW1の頻繁な切り替わりを防ぐため、電力指令値P*が零付近ならば直前の第1スイッチSW1の状態を維持させヒステリシス特性を持たせてもよい。また、電力指令値P*が零ならば、第jユニット第kセルの1次側電圧偏差と第jユニット第kセルの2次側電圧偏差の平均値を出力してもよい。
第8加算器43は、第1スイッチSW1の出力に後述する第jユニット電圧制御偏差Vd1jを加算する。
第1アンプ5は、第8加算器43の出力を増幅し第jユニット第kセルの位相θ1jkbを出力する。今回は例として以下の2つを併用する。比例アンプP1は、第8加算器43の出力に比例した値を出力する。ゲイン付き一次遅れフィルタ5aは、第8加算器43の出力の低周波数成分を増幅する。第1加算器6は、以上2つのアンプ出力を加算し位相θ1jkbを出力する。
第2加算器7は、位相θ1jkbに別途与えられる位相指令値θ*を加算し、第jユニット第kセルの位相差指令値θ1jkを出力する。位相指令値θ*は直流側の電流や電圧のフィードバック制御によって与えられる場合もある。
ここでは、位相θ1jkb,位相指令値θ*,位相差指令値θ1jkはプラスの時に1次側交流電圧の位相が2次側交流電圧に対して進みとなり、電力は1次側から2次側に伝送されるものとする。
本実施形態5の図12は実施形態1とは以下の点が異なる。第jユニット各セルの1次側直流コンデンサ電圧平均値Vdcp1javg,第jユニット各セルの2次側直流コンデンサ電圧平均値Vdcs1javgは、すべてのセルy×z台分の平均値ではなく第jユニットに所属するセルz台分の平均値である。エネルギーの平均値E1javgも同様に、第jユニットに所属するセルz台分の平均値である。
第1スイッチSW1の出力には、後述する第jユニット電圧制御偏差Vd1jを加算し第1アンプ5に入力する。
図13は第jユニット電圧制御偏差(Vd1j)演算部のブロック図である。図13は第1アンプ5の入力までは図12と同一の構成であり、以下の表1に示すように入力信号のみが異なる。
なお、図13の40aは第14減算器、1aは第15減算器、2aは第16減算器、41aは第5アンプ、4aは第2巻数比演算器、3aは第3比較器、SW1aは第6スイッチ、43aは第9加算器を示す。また、第14演算器40aの出力を第3エネルギー偏差とする。
構成の差としては、位相θ1jkbを出力する第1アンプ5を削除する。
第8乗算器44は、第1アンプ5の代わりに、ユニット1台を構成するセル台数の逆数1/zをかけ、得られた値を第jユニット電圧制御偏差Vd1jとして図12に入力する。
図14は第jユニット第kセルのパルス幅指令値(Wp1jkp,Wp1jkm,Ws1jkp,Ws1jkm)演算部のブロック図を示す。図14は、実施形態4(図9)に相当する。
実施形態4(図9)との相違点は、以下の通りである。第kセルの1次側パルス幅指令値W1kが第jユニット第kセルの1次側パルス幅指令値Wp1jk、第kセルの2次側パルス幅指令値W2kが第jユニット第kセルの2次側パルス幅指令値Ws1jk、第kセルの1次側直流コンデンサと2次側直流コンデンサに蓄積されたエネルギーEkが第jユニット第kセルの1次側,2次側直流コンデンサCp,Csの両方に蓄積されたエネルギーE1jk、各セルのエネルギーのうち最小値Eminが第jユニット各セルのエネルギーの最小値E1jmin、第kセルの1次側交流電流検出値i1kが第jユニット第kセルの1次側交流電流検出値ip1jk、第kセルの2次側交流電流検出値i2kが第jユニット第kセルの2次側交流電流検出値is1jk、第kセルの1次側のプラス側パルス幅指令値W1kpが第jユニット第kセルの1次側のプラス側パルス幅指令値Wp1jkp、第kセルの1次側のマイナス側パルス幅指令値W1kmが第jユニット第kセルの1次側のマイナス側パルス幅指令値Wp1jkm、第kセルの2次側のプラス側パルス幅指令値W2kpが第jユニット第kセルの2次側のプラス側パルス幅指令値Ws1jkp、第kセルの2次側のマイナス側パルス幅指令値W2kmが第jユニット第kセルの2次側のマイナス側パルス幅指令値Ws1jkmに変更されている。
また、第10加算器45は、第9減算器31が出力する第2エネルギー偏差に後述する第jユニットエネルギー偏差Ed1jを加算する。
図14は実施形態1~4とは以下の点が異なる。
エネルギーの最小値E1jminは、第jユニットに所属するセルのエネルギーE1j1,E1j2,…,E1jzのうちの最小値である。
第10加算器45はエネルギーE1jkと最小値E1jminの偏差に後述する第jユニットエネルギー偏差Ed1jを加算し第3アンプ32に入力する。
図15は第jユニットエネルギー偏差(Ed1j)演算部のブロック図である。図15は以下により構成される。
E1jは、第jユニットに所属するすべてのセルz台分の合計のエネルギーである。E1minは、y台のユニットのエネルギーのうちの最小値である。第17減算器46は、合計のエネルギーE1jと最小値E1minの偏差を求める。
第11加算器47は、第17減算器46の出力に第1装置のエネルギー偏差Ed1を加算する。ただし、本実施形態5ではEd1=0である。第9乗算器48は、第11加算器47の出力にユニット構成セル台数zの逆数を乗算する。第9乗算器48の出力が第jユニットエネルギー偏差Ed1jである。
本実施形態5では、各集合体において各構成要素の電力伝送の上流側の直流コンデンサ電圧が集合体内で等しくなるように各構成要素の第1インバータと第2インバータが出力する交流電圧の位相差を制御する。
すなわち、各ユニットにおいて各セルの電力伝送の上流側の直流コンデンサ電圧がユニット内で等しくなるように各セルの第1インバータと第2インバータが出力する交流電圧の位相差を制御し、各ユニットの電力伝送の上流側の直流コンデンサ電圧が等しくなるように各ユニットの第1インバータと第2インバータが出力する交流電圧の位相差を制御する。
実施形態5では、セル111~セル11zの合計z台のセルをまとめてユニット11と見なし、このユニットがy台直列接続されていると見なして制御を行う。ユニット内の各セルの電圧バランス制御は図12,図14であり、動作は実施形態1~4と同一である。
図12では、電力が1次側から2次側に流れる場合に1次側のセル直流電圧を均一に保ち、実施形態1と同じ動作を行う。また、図12には電力が1次側から2次側に流れる際、エネルギーの小さいセルの1次側直流電圧を増加し、より大きな電力を受け取れるようにする機能を持たせている。これは実施形態2と同じ動作である。
図14はエネルギーの大きなセルで交流側の力率を低下させ(実施形態3)、交流側電流に直流成分を重畳させ(実施形態4)、損失を意図的に増加させて直流電圧の放電を促す。
差としては、図12では第jユニット電圧制御偏差Vd1j、図14では第jユニットエネルギー偏差Ed1jを入力できるようにした。ここに、ユニットの電圧バランス制御の出力結果を入力する。
ユニットの電圧バランス制御は図13,図15であり、これも実施形態1~4と同一である。
図13では制御対象である第jユニットの1次側直流コンデンサ電圧Vdcp1j,2次側直流コンデンサ電圧Vdcs1jと、y台ある各ユニットの1次側,2次側直流コンデンサ電圧平均値Vdcp1avg,Vdcs1avgを比較し、電力指令値P*(融通電力)の向きに応じて1次側・2次側適切な方の偏差を出力し、第jユニットの電圧制御偏差Vd1jとして各セルに分配する。
第jユニット電圧制御偏差Vd1jは図12の偏差(第1スイッチSW1の出力)に加算された後に第1アンプ5で増幅される。図13の制御ブロックにより、電力指令値P*(融通電力)の向きに合わせた側のユニット電圧バランスが揃い、またエネルギーの小さなユニットについては電力を受け取る側のユニット直流電圧が増加する。第jユニットの電圧制御偏差Vd1jは第jユニットのセルz台に入力されるため、事前に1/z倍して操作量が過剰にならないようにする。
図15は軽負荷・無負荷時を対象とした放電動作を行うことでユニット直流電圧をバランスさせる制御ブロックである。エネルギーの大きなユニットでは第jユニットのエネルギー偏差Ed1jが大きくなり図14に出力され、第3アンプ32で増幅され、第jユニットのz台のセルで損失が増加する。
ユニット内のセル電圧バランス制御では図12,図14の制御を搭載する。セル電圧バランス制御に必要な情報は同一ユニット内のセルの直流電圧とエネルギーに限られ(エネルギーは直流電圧から求められる)、他のユニットに関する情報は入力せずに制御できる。
ユニット電圧バランス制御は図13,図15のブロックを搭載する。この制御では、各ユニットの直流電圧と蓄積エネルギー合計値の情報で制御を行うことができ、各セルの情報は不要である。セル電圧バランス制御からユニット電圧バランス制御に渡す信号はVdcp1javg×z=Vdcp1j,Vdcs1javg×z=Vdcs1j,E1javg×z=E1jの3つ×ユニットy台=3y本である。ユニット電圧バランス制御からは、Vd1j,Ed1jの2本×ユニットy台=2y本を出力する。
セル電圧バランス制御からユニット電圧バランス制御に渡す信号を削減する方法として、第jユニットのエネルギーE1jを通信するのではなく各ユニットのセル直流コンデンサ電圧平均値Vdcp1javg,Vdcs1javgが各セル内の1次側,2次側直流コンデンサCp,Csに印加されていると仮定して(Cp×Vdcp1javg2/2+Cs×Vdcs1javg2/2)×zとして求めてもよい。これにより第jユニットのエネルギーE1jの通信が不要となるが、ユニット蓄積エネルギーとしては誤差が生じるので、図13のゲインG2を図12のものよりも小さな値にして不安定化を防ぐ方法が考えられる。
本実施形態5により、DABコンバータの直列接続構成において制御を2段階に階層化でき、制御に必要なセル間の配線や通信情報量を削減することができる。また、図12と図13では第1スイッチSW1,第6スイッチSW1aより前の制御ブロックは同じ構成であり、図15の制御部は規模が小さくゲインなどの調整要素がない。そのため、同じ制御設計でセルとユニット両方の電圧バランス制御に対応できる。
制御部を実装する基板に第jユニット電圧制御偏差Vd1j,第jユニットエネルギー偏差Ed1j,第jユニットの1次側直流コンデンサ電圧平均値Vdcp1javg,第jユニットの2次側直流コンデンサ電圧平均値Vdcs1javg,エネルギーの平均値E1javgの入出力機能を実装すれば、同じ基板でセルとユニット両方の電圧バランスを制御できる。例えば1枚の基板で4台のセルの制御機能を持たせた場合、5枚用いることで16台の直列運転に対応できる。
以上示したように、本実施形態5によれば、DABコンバータの直列接続構成を、「DABコンバータセルが直列接続されたユニットの直列接続構成」と見なして制御を2段階に階層化でき、コンバータ間の配線の簡略化、通信情報量の削減ができる。セルの直列制御もユニットの直列制御も同一であるため制御設計が簡単になり、直列数増加に柔軟に対応できるようになる。
[実施形態6]
図16は、図11に示す直列接続した構成要素であるz台のセルの集合体をユニットとし、構成要素であるユニットのy台の集合体を装置とし、さらに構成要素である装置のx台の集合体を上位装置とした構成である。本実施形態6は図16の回路に適用する。
換言すると、本実施形態6のDAB方式双方向絶縁型DC/DCコンバータは、1次側直流電源DCPと、2次側直流電源DCSと、1次側直流電源DCPと2次側直流電源DCSとの間に接続された第1装置~第x(x=2以上の整数)装置と、を備える。第1装置~第x装置はそれぞれ第1ユニット~第yユニットを備える。第1ユニット~第yユニットはそれぞれ第1セル~第zセルを有する。
また、本実施形態6の各符号の末尾に記載された1桁の英数字は装置の番号を示す。例えば、Vdcp1は第1装置の1次側直流コンデンサ電圧を示す。
本実施形態6は、各ユニットにおいて各セルの電力伝送の上流側の直流コンデンサ電圧がユニット内で等しくなるように各セルの第1インバータと第2インバータが出力する交流電圧の位相差を制御する。また、各装置において各ユニットの電力伝送の上流側の直流コンデンサ電圧が装置内で等しくなるように各ユニットの第1インバータと第2インバータが出力する交流電圧の位相差を制御する。また、各装置の電力伝送の上流側の直流コンデンサ電圧が等しくなるように各装置の第1インバータと前記第2インバータが出力する交流電圧の位相差を制御する。
本実施形態6において、図12,図14の制御部は、第1装置第jユニット第kセル1jkの制御部としてそのまま使用できる。また、図13,図15の制御部も第1装置第jユニットの制御部として使用できる。ただし、本実施形態6では、実施形態5で零とした第1装置電圧制御偏差Vd1,第1装置エネルギー偏差Ed1に値を代入する。
図17は第i(i=1~xの整数)装置電圧制御偏差(Vdi)演算部のブロック図である。図17と図13は同一の構成であるが、入力信号が異なり、その違いを以下に示す。
出力信号も異なり、図13では第jユニット電圧制御偏差Vd1jとして図12に入力される。図17では第i装置電圧制御偏差指令Vdiとなり、i=1の場合に図13に入力される。iが異なる値ならば、該当装置の電圧制御偏差となる。
なお、図17の40bは第18減算器、41bは第6アンプ、42bはゲイン調整器、1bは第19減算器、2bは第20減算器、4bは第3巻数比演算器、3bは第4比較器、SW1bは第7スイッチ、43bは第10加算器、44bは第10乗算器を示す。なお、第18減算器40bの出力を第4エネルギー偏差とする。
図18は第i装置エネルギー偏差(Edi)演算部のブロック図である。図18と図15の差を以下に示す。
出力信号も異なり、図15では第jユニットエネルギー偏差Ed1jとして図14に入力される。図18では第i装置エネルギー偏差Ediとなり、i=1の場合に図15に入力される。iが異なる値ならば、該当装置のエネルギー偏差となる。
以上示したように、本実施形態6によれば、DABコンバータの直列接続構成の制御を3段階に階層化でき、さらなるコンバータ間の配線の簡略化、通信情報量の削減ができる。4段階以上の階層化も行うことができ、直列台数の増加することができる。
実施形態6では、実施形態5の装置がさらにx台直列接続されていると見なして制御を行う。装置の電圧バランス制御についても実施形態1~4と同一である。実施形態6は制御を3段階に階層化した例である。セル電圧バランス制御では他のユニットや装置のセルの情報を入力することなく制御でき、装置電圧バランス制御では個別のユニットやセルの情報は不要である。
そのため、実施形態5よりも制御に必要なセル間の配線や通信情報量をさらに削減することができる。1枚の基板で4台のセルの制御機能を持たせて制御を構成する例では、21枚用いることで64台の直列運転に対応できる。
実施形態6では図17と図18で0を加算しているが、この0をさらに上位の電圧偏差に置き換えることでさらなる階層化ができる。通信遅延が制御の安定性に影響を及ぼさない限り、深く階層化して直列セル台数を増加することができる。
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。