JP7786262B2 - トナー用ワックス組成物 - Google Patents
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Description
トナーは、定着工程において定着ロールによる加熱を受けて軟化し、且つ定着ロールによる圧力を受けることにより印刷媒体表面に定着して画像が形成される。トナーに含有されるワックスは、定着時にトナー表面に染み出し、トナーが定着ロールに残存する現象、すなわちフィルミングを防止する離型性を発現するとともに、印刷媒体に定着したトナー表面に染み出して結晶化することにより印刷物のグロス性に寄与する働きをする。
また、高いグロス性、ムラのない均一グロス性を達成するためには、印刷媒体に定着したトナー表面に染み出したワックスの凹凸を低減することが必要である。
特許文献1には、個々のモノエステル分子内において2種の炭化水素鎖が互いに異なる2種のモノエステルワックスを組み合わせて使用する方法が開示されている。しかし、モノエステルワックスは、融解温度に対して凝固温度が著しく低いために、超高速印刷した際に印刷媒体に定着させたトナー表面に染み出たモノエステルワックスが素早く固化せずに印刷物同士が固着するブロッキングを起こしやすい。また、銀塩写真やグラビア印刷によって得られる画質と同等以上のムラのない高いグロス性も得られない。
そこで、特許文献2には、加熱定着型の複写機もしくはプリンタに用いる低温定着性、耐ホットオフセット性および流動性に優れたトナー用離型剤としてケトン化合物からなるトナー用離型剤の記載がある。しかし、特許文献2のケトン化合物では銀塩写真やグラビア印刷によって得られる画質と同等以上のムラのない高いグロス性を付与できない。また、トナー用ワックスとして用いるパラフィンワックス、エステルワックスなどと比較して、ケトン化合物は分子の対称性が高いことから融解温度と凝固温度が狭くなるが超高速印刷には不十分である。
式(1) : R1-CO-R2
(式(1)中、R1およびR2はそれぞれ独立に直鎖飽和炭化水素鎖を表し、R1およびR2の合計炭素数は30~48である。)
式(1) : R1-CO-R2
(式(1)中、R1およびR2はそれぞれ独立に直鎖飽和炭化水素鎖を表し、R1およびR2の合計炭素数は30~48である。)
尚、本発明において、脂肪族ケトン化合物とは、目的物である脂肪族ケトン及び製造に際して同伴する原料由来の脂肪酸、脂肪酸金属塩等の化合物を含む化合物である。
また、本明細書において記号「~」を用いて規定された数値範囲は「~」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。例えば「2~5」は「2以上かつ5以下」を表す。
したがって、当該ワックスベース混合物をトナー用ワックス組成物として使用することによって、超高速印刷の定着工程においてトナー中で素早く凝固することから印刷物同士の固着(ブロッキング性)を抑制できるとともに、紙等の印刷媒体に印刷された画像の表面に染み出し固化したワックスが平滑となることから、画像に高いグロス性、グロス均一性を付与することができる。
特に、当該ワックスベース混合物をトナー用ワックス組成物として使用することによって、超高速印刷に適用することができ、写真やポスターのようなベタ塗り印刷物の作成などにおいて、銀塩写真やグラビア印刷によって得られる画質と同等以上のムラのない高いグロス性を付与した高画質の画像を作成できる。
ワックスとしての脂肪族ケトン化合物(a)は、下記式(1)で表される化合物である。
式(1) : R1-CO-R2
式(1)中、R1およびR2はそれぞれ独立に直鎖飽和炭化水素鎖を表し、R1およびR2の合計炭素数は30~48である。
直鎖飽和脂肪族炭化水素基の炭素数が15未満であると、耐熱性が悪くなって定着機を汚染したり、トナー保管時に染み出すことによってトナー同士のブロッキングを起こす原因となる場合がある。一方、直鎖飽和脂肪族炭化水素基の炭素数が23を超えると融点が高くなりすぎるため、トナーを印字媒体に定着する際に定着不良(コールドオフセット)が発生しやすくなる。また、トナーバインダー樹脂との相溶性が悪くなり、トナー保管時にブリードアウトしてブロッキングを起こしやすくなる。
直鎖アルカン化合物(b)は炭素数14~24の直鎖アルカンであり、具体的には、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、イコサン、ヘンイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサンである。直鎖アルカン化合物(b)の炭素数は、トナー保存性、印刷物のグロス性の観点から、好ましくは15~23であり、さらに好ましくは15~21である。
本発明のトナー用ワックス組成物は、上記脂肪族ケトン化合物(a)と上記直鎖アルカン化合物(b)とを含有し、脂肪族ケトン化合物(a)100質量部に対する直鎖アルカン化合物(b)の含有量が、0.001~5質量部であり、好ましくは0.005~4質量部であり、より好ましくは0.01~3質量部である。
直鎖アルカン化合物(b)の含有量が0.001質量部未満の場合は、トナー用ワックス組成物として用いた際に、印刷物に高いグロス性が得られないことがある。また、直鎖アルカン化合物(b)が5質量部を超える場合には、高いグロス性が得られるものの、トナー保管時にトナーから染み出しやすくなりブロッキングを起こすことがある。また、ワックス組成物の凝固温度を顕著に下げ、融解温度と凝固温度の温度差が広くなり超高速印刷に適応できないことがある。
〔脂肪族ケトン化合物A-1の製造〕
1LのSUS製セパラブルフラスコに、ステアリン酸マグネシウム[製品名ニッサンエレクトールMM-2、日油(株)製ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸含有量;98%]を700.0g秤取り、窒素吹き込みで250℃まで昇温した。この時、材料に含有される水分は系外に留出させた。その後、窒素を2MPa圧入させ、温度を340~350℃に昇温し、8時間反応を続けた後、100℃まで冷却して、粗脂肪族ケトン化合物を得た。窒素吹き込み下100℃で該脂肪族ケトン化合物を100メッシュの金属ストレーナーを用いてろ過を行うことにより、副生成物として生成した酸化マグネシウムを除去した。
また、ろ過して得られたワックスをステンレス製バットに排出し、室温で固化させて、ミキサーで粉砕した。得られた脂肪族ケトン化合物(ジヘプタデシルケトン;R1とR2の合計炭素数=34)の酸価は0.28mgKOH/g、透明融点は88.7℃であった。
1LのSUS製セパラブルフラスコに、ベヘニン酸[日油(株)製ベヘニン酸、ベヘニン酸含有量;97%、酸価=164.9mgKOH/g]を600.0g(1.8モル)と酸化マグネシウム35.6g(0.9モル)を秤取り、窒素吹き込みで250℃まで昇温した。この時、材料に含有される水分は系外に留出させた。その後、窒素を2MPa圧入させ、温度を340~350℃に昇温し、8時間反応を続けた後、100℃まで冷却して、粗脂肪族ケトン化合物を得た。窒素吹き込み下100℃で該脂肪族ケトン化合物を100メッシュの金属ストレーナーを用いてろ過を行うことにより、過剰の酸化マグネシウムを除去した。また、ろ過して得られたワックスをステンレス製バットに排出し、室温で固化させて、ミキサーで粉砕した。得られた脂肪族ケトン化合物(ジヘンエイコシルケトン;R1とR2の合計炭素数=42)の酸価は0.33mgKOH/g、透明融点は92.6℃であった。
1LのSUS製セパラブルフラスコに、ステアリン酸[日油(株)製ビーズステアリン酸さくら、ステアリン酸/パルミチン酸の混合物(質量比65/35)、酸価=207.8mgKOH/g]を600.0g(2.2モル)と酸化マグネシウム44.4g(1.01モル)を秤取り、窒素吹き込みで250℃まで昇温した。この時、材料に含有される水分は系外に留出させた。その後、窒素を2MPa圧入させ、更に温度を340~350℃に昇温し、8時間反応を続けた後、100℃まで冷却して、粗脂肪族ケトン化合物を得た。窒素吹き込み下100℃で該脂肪族ケトン化合物を100メッシュの金属ストレーナーを用いてろ過を行うことにより、過剰の酸化マグネシウムを除去した。また、ろ過して得られたワックスをステンレス製バットに排出し、室温で固化させて、ミキサーで粉砕した。得られた脂肪族ケトン化合物(ジヘプタデシルケトン/ジペンタデシルケトン/ペンタデシルヘプタデシルケトンの混合物;R1とR2の合計炭素数=30~34)の酸価は0.15mgKOH/g、透明融点は78.4℃であった。また、GCによる分析の結果、脂肪族ケトン混合物の質量比は、ジヘプタデシルケトン/ジペンタデシルケトン/ペンタデシルヘプタデシルケトン=42/13/45であった。
(1)酸価:JOCS(日本化学会)2.4.2.2-2003に準拠して測定した。
(2)透明融点:JOCS(日本化学会)2.2.4.1-2003に準拠して測定した。
(3)融解温度(Tpm)、凝固温度(Tec):示差走査熱量分析(DSC)として、株式会社日立ハイテクサイエンス製の「DSC7000X」を使用した。JIS K 7121(国際規格はASTM D3418-82)に準拠して行う。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いた。脂肪族ケトン化合物の融解温度は融解ピーク温度(Tpm)から読み取り、凝固温度は補外結晶化終了温度(Tec)から読み取った。また、補外結晶化終了温度は、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、結晶化ピークの低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点の温度とした。測定は、約10mgの脂肪族ケトン化合物を試料ホルダーに入れ、リファレンス材料として空の試料ホルダーを用いて行い、150℃に昇温した後、30℃/minで150℃から30℃まで降温し、30℃から150℃まで昇温した。
下記計算式(1)より融解温度(Tpm)から凝固温度(Tec)を除した温度差ΔTを算出した。
計算式(1) 融解温度(Tpm)-凝固温度(Tec)=ΔT
〔直鎖アルカン化合物B-1〕
直鎖アルカン化合物B-1として、ヘプタデカン[東京化成工業(株)製Heptadecane(>99.5%(ガスクロマトグラフィー純度))]を用いた。
〔直鎖アルカン化合物B-2〕
直鎖アルカン化合物B-2として、オクタデカン[東京化成工業(株)製Octadecane(>99.5%(ガスクロマトグラフィー純度))]を用いた。
〔直鎖アルカン化合物B-3〕
直鎖アルカン化合物B-3として、ヘンイコサン[東京化成工業(株)製Heneicosane(>99.0%(ガスクロマトグラフィー純度))]を用いた。
上昇融点:JOCS(日本化学会)2.2.4.2-2003に準拠して測定した。
表3に示す組成にてトナー用ワックス組成物(C-1)~(C-12)を調製し、得られたトナー用ワックス組成物のΔT[融解温度(Tpm)-凝固温度(Tec)]、グロス性、均一グロス性および着色剤分散性を評価した。評価結果も表3に示す。
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた4つ口フラスコに脂肪族ケトン化合物(A-1)を1000g、直鎖アルカン化合物(B-1)を0.03g(脂肪族ケトン化合物(A-1)100質量部に対して0.003質量部)採取し、窒素下、100℃で加熱溶融して、内容物が均一になるように30分間加熱攪拌した。この混合物10gをアズワン株式会社製の持手付きアルミケース(NO.3)に流し込み、室温で放冷してワックスを固化させて、ワックス組成物(C-1)を得た。
上記トナー用ワックス組成物(C-1)と同様の方法で、表3に示す組成にてトナー用ワックス組成物(C-2)~(C-12)を調製した。
(1)ブランクとの乖離
得られたトナー用ワックス組成物の融解温度(Tpm)および凝固温度(Tec)を、脂肪族ケトン化合物と同様の方法で測定した。また、脂肪族ケトン化合物(a)のみのΔT[融解温度(Tpm)-凝固温度(Tec)]をブランクとし、ブランクΔTからのトナー用ワックス組成物のΔT[融解温度(Tpm)-凝固温度(Tec)]の乖離(単位:℃)を、下記計算式(2)により算出した。上記の乖離が大きいほど、ブランクと比べて融解温度と凝固温度の温度差が狭くなったことを表す。
計算式(2) ブランクとの温度差(℃)= (脂肪族ケトン化合物(a)のΔT)-(トナー用ワックス組成物のΔT)
具体的には、脂肪族ケトン化合物A-1ベースのワックス組成物C-1~C-4(実施例1~4)については、脂肪族ケトン化合物A-1単独のサンプルC-8(比較例1)をブランクサンプルとして用い、脂肪族ケトン化合物A-2ベースのワックス組成物C-5、C-6(実施例5、6)については、脂肪族ケトン化合物A-2単独のサンプルC-9(比較例2)をブランクサンプルとして用い、脂肪族ケトン化合物A-3ベースのワックス組成物C-7(実施例7)については、脂肪族ケトン化合物A-3単独のサンプルC-10(比較例3)をブランクサンプルとして用いた。
評価基準は以下のとおりである。
◎:ブランクとの乖離(℃)が3.0以上
〇:ブランクとの温度差(℃)が0.0超過、3.0未満
×:ブランクとの温度差(℃)が0.0以下
トナー用ワックス組成物10.0gを融点以上の温度で融解させ、鏡面処理が施された直径20cmの金属製プレートに厚さ2mmの枠を挟み、枠内に融解液を流し込んで、金属プレートで上下から挟みこんで冷却してトナー用ワックス組成物のワックス板を作成した。得られたワックス板について、株式会社堀場製作所製グロスチェッカIG-320を用いて、入射角60度の条件で測定(10箇所の測定領域を評価)し、その平均値をグロス性とした。
評価基準は以下のとおりである。
◎:20.0以上
〇:17.0以上、20.0未満
×:17.0未満
上記(2)の評価(グロス性)でトナー用ワックス組成物の板10箇所の画像を評価したときに最大グロス値と最低グロス値を用いて、次の計算式(3)により算出した。
計算式(3) (最大グロス値)-(最低グロス値)=(均一グロス性)
評価基準は以下のとおりである。
◎:2.0以下
〇:2.0超過3.0未満
×:3.0以上
トナー用ワックス組成物の5gおよびトナー用ポリエステル樹脂80g、着色剤(ピグメントレッド;クラリアント社製の製品名パーマネントルビンL6B05)、サリチル酸アルミニウム1gを取り、ヘンシェルミキサーにて十分攪拌混合した後、ラボプラストミル(東洋精機社)で130~140℃の温度で加熱混練した。得られた混練物をスライドガラス状にとり、光学顕微鏡(倍率X200)にて観察した。
評価基準は以下のとおりである。
○:顔料粒子が凝集することなく、均一に分散している。
×:凝集して、空隙がみられる。
Claims (1)
- 下記式(1)で表される脂肪族ケトン化合物(a)と、炭素数14~24の直鎖アルカン化合物(b)とを含有し、脂肪族ケトン化合物(a)100質量部に対する直鎖アルカン化合物(b)の含有量が0.001~5質量部であるトナー用ワックス組成物。
式(1) : R1-CO-R2
(式(1)中、R1およびR2はそれぞれ独立に直鎖飽和炭化水素鎖を表し、R1およびR2の合計炭素数は30~48である。)
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