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JP7796543B2 - 中空シリカ粒子 - Google Patents
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JP7796543B2 - 中空シリカ粒子 - Google Patents

中空シリカ粒子

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Description

本発明は、中空シリカ粒子、並びにこれを配合した樹脂組成物及び絶縁材料に関する。
5Gに代表される高速通信技術や自動運転等に用いられるレーダー等では数十GHzの高周波の使用が検討されている。このような、高周波の電波に対応する高周波回路においては、伝送損失や伝送遅延の低減のために、低誘電率、低誘電正接の絶縁材料が必要とされており、現在、熱特性改善のために絶縁材料に配合されているシリカ粒子に対しても、低誘電率、低誘電正接が求められている。また、高周波回路は微細化が望まれており、絶縁材料に配合されるシリカ粒子の小粒子径化も求められている。
現在、シリカ粒子の低誘電化として中空シリカ粒子を用いることが検討されている。
例えば、特許文献1には、マトリクス樹脂に中空構造を有するメソポーラスシリカ粒子が分散されてなる低誘電率膜が記載されている。
また、特許文献2には、無孔質の外殻シリカ層の内部に空洞を有し、空隙率が20~95体積%の範囲にあり、平均粒子径が0.1~50μmの範囲にあるシリカ系粒子が記載されている。
更に、特許文献3には、シリカを含むシェル層を備え、シェル層の内部に空間部を有する中空シリカであって、1GHzでの比誘電率が1.3~5.0であり、かつ、1GHzでの誘電正接が0.0001~0.05である中空シリカ粒子が記載されている。
特開2009-93876号公報 特開2013-103850号公報 国際公開第2021/172294号
しかしながら、特許文献1では、中空メソポーラスシリカをマトリクス樹脂に分散させることにより、低比誘電率の樹脂を実現しているが、中空メソポーラスシリカ外殻のメソ孔の吸湿性が高いため、高温高湿下での比誘電率の経時安定性が低いという問題を有している。
また、特許文献2では、ケイ酸アルカリ水溶液を噴霧乾燥して合成した中空シリカを、水熱処理により外殻の孔をふさいで、比誘電率、誘電正接の高温高湿下での経時安定性を改善しているものの、水熱処理により粒子に多数のシラノールが生成するために誘電正接自体が高く、いまだ満足できるレベルではない。
更に、特許文献3では、中空シリカをシランカップリング剤で処理して疎水化することにより、吸湿性を低減している。しかしながら、高温処理にて効果的に誘電正接を下げるためにアルカリ金属等を含有させているために高温処理で結晶化して密度や比誘電率が増加するとともに、吸湿性も高くなる傾向にあり、比誘電率、誘電正接の高温高湿下での経時安定性が低いという問題があった。
したがって、本発明は、平均粒子径が小さく、かつ高温高湿下での比誘電率及び誘電正接の経時変化の小さい中空シリカ粒子、並びにこれを配合した樹脂組成物及び絶縁材料を提供することを課題とする。
本発明は、以下の〔1〕~〔3〕に関する。
〔1〕平均粒子径が0.5μm以上3.0μm以下であり、
1100℃で1時間熱処理した時の粒子密度の増加率が8%以下である中空シリカ粒子。
〔2〕前記〔1〕に記載の中空シリカ粒子を配合した樹脂組成物。
〔3〕前記〔2〕記載の樹脂組成物を含む絶縁材料。
本発明によれば、平均粒子径が小さく、かつ高温高湿下での比誘電率及び誘電正接の経時変化の小さい中空シリカ粒子、並びにこれを配合した樹脂組成物及び絶縁材料を提供することができる。
[中空シリカ粒子]
本発明の中空シリカ粒子は、平均粒子径が0.5μm以上3.0μm以下であり、1100℃で1時間熱処理した時の粒子密度の増加率が8%以下であることを特徴とする。
本発明者らは、シリカ粒子の比誘電率及び誘電正接の安定性向上のためには、シリカ粒子の吸湿性を小さくすることが重要であると考えた。そして、シリカ粒子の吸湿性を低減するためには、シリカ粒子表面のシラノール基の量や、水が吸着しやすい細孔(メソ孔)等の微細な構造を減らすことが有効であり、平均粒子径が0.5μm以上3.0μm以下である中空シリカ粒子を、1100℃で1時間熱処理した時の粒子密度の増加率が8%以下である場合に、高温高湿下での比誘電率及び誘電正接の経時変化の小さいことを見出した。
なお、本発明の効果に関する上記のメカニズムは推定であり、これに限定されるものではない。
中空シリカ粒子の平均粒子径は、樹脂組成物に配合した時の粘度を低くし、加工性を保つ観点から、体積平均粒子径で0.5μm以上であり、好ましく0.7μm以上、より好ましくは0.9μm以上であり、そして、樹脂組成物の外観を向上させる観点から、3.0μm以下であり、好ましくは2.8μm以下、より好ましくは2.6μm以下である。
また、中空シリカ粒子の平均粒子径の変動係数は、多くの中空シリカ粒子を樹脂組成物に配合し、樹脂組成物の比誘電率及び誘電正接を低減する観点から、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは25%以上であり、そして、好ましくは300%以下、より好ましくは200%以下、更に好ましくは100%以下、更に好ましくは75%以下、更に好ましく50%以下である。
中空シリカ粒子の最大粒子径は、樹脂組成物の外観を向上させる観点から、体積平均粒子径で、好ましくは1.5μm以上、より好ましくは1.8μm以上、更に好ましくは2.0μm以上であり、そして、好ましくは5.0μm以下、より好ましくは4.5μm以下、更に好ましくは4.0μm以下である。
中空シリカ粒子の体積平均粒子径は、実施例に記載の方法で求めることができる。
中空シリカ粒子の1100℃で1時間熱処理した時の粒子密度の増加率は、高温高湿下での比誘電率及び誘電正接の経時変化を小さくする観点から、8%以下であり、好ましくは7%以下、より好ましくは6%以下であり、そして、好ましくは0%以上、より好ましくは0%である。熱処理は、室温から500℃/hの条件で昇温し、1100℃となった時点から1時間保持することで行う。
中空シリカ粒子の密度は、実施例に記載の方法で求めることができる。
中空シリカ粒子の測定周波数5.8GHzにおける比誘電率が、2.5以下であることで、中空シリカ粒子を配合した樹脂組成物の比誘電率を十分に低くすることができる。測定周波数5.8GHzにおける比誘電率は、中空シリカの強度の観点から好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上、更に好ましくは1.3以上であり、そして、樹脂組成物の比誘電率を十分低くする観点から、好ましくは2.4以下、より好ましくは2.2以下、更に好ましくは2.1以下である。
また、中空シリカ粒子を温度60℃、湿度90%にて5日間保存した時の測定周波数5.8GHzにおける比誘電率の増加量が、0.15以下である場合、高温高湿下での中空シリカ粒子の比誘電率の経時変化が小さいといえ、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.0である。
中空シリカ粒子の比誘電率は、実施例に記載の方法で求めることができる。
中空シリカ粒子の測定周波数5.8GHzにおける誘電正接が0.0070以下であることで、中空シリカ粒子を配合した樹脂組成物の誘電正接を十分に低くすることができる。測定周波数5.8GHzにおける誘電正接は、中空シリカの強度の観点から、好ましくは0.0001以上、より好ましくは0.0005以上、更に好ましくは0.001以上であり、そして、樹脂組成物の誘電正接を十分低くする観点から、好ましくは0.0060以下、より好ましくは0.0055以下、更に好ましくは0.0050以下である。
また、中空シリカ粒子を温度60℃、湿度90%にて5日間保存した時の測定周波数5.8GHzにおける誘電正接の増加量が、0.0020以下である場合、高温高湿下での中空シリカ粒子の誘電正接の経時変化が小さいといえ、好ましくは0.0010以下、より好ましくは0.0005以下、更に好ましくは0.0000である。
中空シリカ粒子の誘電正接は、実施例に記載の方法で求めることができる。
中空シリカ粒子を温度60℃、湿度90%にて5日間保存した時の吸湿量が、中空シリカ粒子の1.0質量%以下であると、高温高湿下での中空シリカ粒子の比誘電率及び誘電正接の経時変化が小さくなり、好ましい。吸湿量は、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以下である。
中空シリカ粒子の空孔率は、中空シリカ粒子の比誘電率を低くする観点から、好ましくは45体積%以上、より好ましくは47体積%以上、更に好ましくは48体積%以上であり、中空シリカ粒子が十分な強度を有する観点から、好ましくは80体積%以下、より好ましくは77体積%以下、更に好ましくは74体積%以下である。
中空シリカ粒子の空孔率は、実施例に記載の方法で求めることができる。
中空シリカ粒子のBET比表面積は、中空シリカの空孔率を高くして比誘電率を低くする観点から、好ましくは5m/g以上、7m/g以上、8.5m/g以上であり、そして、中空シリカ粒子の誘電正接を低くする観点、及び樹脂に配合する際に表面処理剤の使用量を低減し、樹脂組成物の誘電正接を低くする観点から、好ましくは30m/g以下、より好ましくは25m/g以下、更に好ましくは20m/g以下である。
中空シリカ粒子のBET比表面積は、実施例に記載の方法で求めることができる。
[中空シリカ粒子の製造方法]
本発明の中空シリカ粒子の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、カチオン界面活性剤Aを用いて疎水性液体の水性エマルションを作成する工程A、工程Aで得られた水性エマルションに、シラノール前駆体とカチオン界面活性剤Bとを添加し、シラノール前駆体を加水分解して得られるシラノールを縮合反応に供し、中空シリカ粒子前駆体を生成する工程B、及び工程Bで得られた中空シリカ粒子前駆体を熱処理する工程Cを有する。
〔工程A〕
工程Aでは、水を含む液Aに対して、カチオン界面活性剤A及び疎水性液体を混合・撹拌し、疎水性液体液滴が分散する工程A1により、疎水性液体の水性エマルションを作成してもよく、カチオン界面活性剤A、疎水性液体、及び上記水と相溶性のある有機溶媒を混合・撹拌することで、疎水性液体液滴を含む溶液を調製し、該溶液を撹拌しながら水と混合する工程A2により、疎水性液体の水性エマルションを作成してもよい。疎水性液体の水性エマルションの作成は、その他一般的な方法により行うことができる。
工程A1において、液Aの含む水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。また、液Aは、疎水性液体の乳化をより均一で安定に生成させるという観点から、水と相溶性のある有機溶媒を含有していてもよい。水と相溶性のある有機溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール類やアセトンが挙げられる。
液A中の水の含有量は、疎水性液体の液A中での溶解度を瞬時に低下させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは98質量%以上であり、また、更に好ましくは100質量%である。
工程A2において、水性エマルション中の水の含有量は、疎水性液体の液A中での溶解度を瞬時に低下させる観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上であり、そして、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
(カチオン界面活性剤A)
カチオン界面活性剤Aは、エマルションの分散性の観点、及び後述の工程Cにおいて分解・揮発させる観点から、好ましくは第四級アンモニウムの塩であり、より好ましくはアルキルトリメチルアンモニウム塩、及びジアルキルジメチルアンモニウム塩から選ばれる少なくとも一種、更に好ましくは下記一般式(1)又は一般式(2)で示される第四級アンモニウムの塩からなる群から選択される少なくとも1種類である。
[R N] (1)
[R N] (2)
一般式(1)及び一般式(2)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数4~22の直鎖状又は分岐状アルキル基を示し、Rは、炭素数1~3のアルキル基を示し、複数のRはそれぞれ異なる基であってもよく、Xは1価陰イオンを示す。
炭素数4~22のアルキル基としては、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種エイコシル基等が挙げられる。
炭素数1~3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。一般式(1)及び一般式(2)中、Rは、メチル基であることが好ましい。
一般式(1)及び(2)におけるXは、焼成時に容易に分解・揮散する観点から、好ましくはハロゲンイオン、水酸化物イオン、硝酸化物イオン等の1価陰イオンから選ばれる少なくとも一種である。Xとしては、より好ましくはハロゲン化物イオンであり、更に好ましくは塩化物イオンである。
一般式(1)で表されるアルキルトリメチルアンモニウム塩としては、ブチルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド(ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド)、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ブチルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ベヘニルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
一般式(2)で表されるジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、ジブチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムブロミド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロミド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロミド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
第四級アンモニウムの塩は、工程Bにおいて縮合したシラノールとの複合体の形成し易くする観点、及び工程Cにおいて分解・揮発させ易くする観点から、好ましくはラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、及びベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドである。
(疎水性液体)
疎水性液体は、好ましくは、水中で乳化滴(乳化油滴)を形成できるものである。また、分散媒として水を含む液Aを使用する点、及び、疎水性液体の利用効率の向上の点から、液体状態にある温度域が0~100℃であることが好ましく、20~90℃であることがより好ましい。
疎水性液体としては、具体的には、特開2016-121060号公報の段落〔0015〕~〔0023〕に記載のものが挙げられる。これらの中でも、炭素数6~18の炭化水素が好ましく、炭素数6~14の炭化水素基がより好ましく、ヘキサン及びドデカンがより好ましい。
工程A1において、水に対する疎水性液体の質量比[疎水性液体/水]は、得られる疎水性液体の液滴の粒子径を適度な範囲とする観点から、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.35以上、更に好ましくは0.4以上であり、そして、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.65以下、更に好ましくは0.6以下である。
工程A2において、水に対する疎水性液体の質量比[疎水性液体/水]は、得られる疎水性液体の液滴の粒子径を適度な範囲とする観点から、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.003以上、更に好ましくは0.005以上であり、そして、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.02以下である。
工程A1において、疎水性液体に対するカチオン界面活性剤Aの質量比[カチオン界面活性剤A/疎水性液体]は、疎水性液体を液Aに分散させる観点から、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.005以上、更に好ましくは0.01以上であり、そして、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.04以下、更に好ましくは0.035以下である。
工程A2において、疎水性液体に対するカチオン界面活性剤Aの質量比[カチオン界面活性A剤/疎水性液体]は、疎水性液体液滴を含む溶液を均一に調製する観点から、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.85以上、更に好ましくは0.9以上であり、そして、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下、更に好ましくは1以下である。
工程Aにおいて、撹拌速度、温度等を適宜調整することにより、得られる疎水性液体を含む液滴の粒子径を適度な範囲とすることができる。工程Aは、0℃~80℃の温度で行われることが好ましい。
疎水性液体を含む液滴の体積平均粒子径は、中空シリカ粒子の平均粒子径を上記範囲とする観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上、更に好ましくは0.4μm以上であり、そして、好ましくは2.5μm以下、より好ましくは2.0μm以下、更に好ましくは1.5μm以下である。
疎水性液体を含む液滴の体積平均粒子径は、実施例に記載の方法で求めることができる。
〔工程B〕
工程Bでは、工程Aで得られた水性エマルションに、シラノール前駆体を添加し、疎水性液体の液滴の表面に存在させたシラノール前駆体をアルカリ性物質の存在下で加水分解してシラノールを得る。得られたシラノールが、アルカリ性物質の存在により縮合することで、疎水性液体の液滴の表面にシリカ及びカチオン界面活性剤を含む外殻部を有し、内部に疎水性液体を含む中空シリカ粒子前駆体を形成する。
水性エマルションへの、シラノール前駆体の添加の際に、更にカチオン界面活性剤Bを添加してもよい。カチオン界面活性剤Bは、水性エマルションに、シラノール前駆体とカチオン界面活性剤Bを同時に又は別々に添加してもよく、シラノール前駆体とカチオン界面活性剤Bのいずれか一方に水性エマルションを添加した後に、残りの一方を添加してもよい。
工程Bは、中空シリカ粒子前駆体の形成後、工程Cの前に、中空シリカ粒子前駆体を単離する工程、及び中空シリカ粒子前駆体を乾燥する工程を含んでいてもよい。中空シリカ粒子の単離は、例えば、ろ過により行うことができる。また、中空シリカ粒子前駆体の乾燥は、中空シリカ粒子前駆体が含む疎水性液体の沸点が100℃より高ければ、例えば、100℃以上疎水性液体の沸点以下の温度に加熱することで行うことができる。中空シリカ粒子前駆体が含む疎水性液体の沸点が100℃以下である場合は、例えば、凍結乾燥等により中空シリカ粒子前駆体を乾燥することができる。
(シラノール前駆体)
シラノール前駆体は、アルコキシシラン等の加水分解によりシラノール化合物を生成する化合物であり、好ましくはオルトケイ酸アルキルエステル及びピロケイ酸アルキルエステルから選ばれる。具体的には、下記一般式(3)~(7)で示される化合物、又はこれらの組合せを挙げることができる。
SiY (3)
SiY (4)
SiY (5)
SiY (6)
Si-O-SiY (7)
一般式(3)~(7)中、Rはそれぞれ独立して、ケイ素原子に直接炭素原子が結合している有機基を示し、Yは加水分解によりヒドロキシ基になる1価の加水分解性基を示す。
一般式(4)~(6)において、Rは、それぞれ独立して、好ましくは水素原子の一部がフッ素原子に置換していてもよい炭素数1~22の炭化水素基であり、疎水性有機物の利用効率の向上の点から、好ましくは炭素数1~22、より好ましくは炭素数4~18、更に好ましくは炭素数8~16のアルキル基、フェニル基、又はベンジル基である。
一般式(3)~(7)において、Yは、好ましくは炭素数1~8のアルコキシ基またはフッ素を除くハロゲン基であり、より好ましくは炭素数1~4のアルコキシ基である。
シラノール前駆体は、好ましくは一般式(3)及び一般式(7)で示される化合物から選ばれる。金属腐食性の酸の生成を抑制する観点、及び加水分解の反応性の観点から、シラノール前駆体は、好ましくはYが炭素数1~4のアルコキシ基である一般式(3)及び一般式(7)で示される化合物から選ばれ、より好ましくはYがメトキシ基及び/又はエトキシ基である一般式(3)及び一般式(7)で示される化合物から選ばれ、更に好ましくはオルトケイ酸メチルエステル及びピロケイ酸メチルエステル、並びにオルトケイ酸エチルエステル及びピロケイ酸エチルエステルから選ばれる。シラノール前駆体は単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
なお、Yがメトキシ基であるシラノール前駆体を用いる場合には、室温(25℃)では加水分解の反応速度が速すぎて、中空シリカ前駆体の外殻が緻密になりづらいため、15℃以下の温度で工程Bを行うことが好ましい。
疎水性液体に対するシラノール前駆体の質量比[シラノール前駆体/疎水性液体]は、中空シリカ粒子の空孔率を適度な範囲とする観点から、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、更に好ましくは25以上であり、そして、好ましくは90以下、より好ましくは80以下、更に好ましくは75以下である。
(カチオン界面活性剤B)
カチオン界面活性剤Bとしては、工程Aに示したカチオン界面活性剤Aと同様のカチオン界面活性剤を用いることができる。カチオン界面活性剤Bとしては、縮合したシラノールとの複合体を形成し易くする観点、及び工程Cにおいて分解・揮発させ易くする観点から、好ましくは第四級アンモニウムの塩であり、より好ましくはラウリルトリメチルアンモニウムクロリド(ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド)、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、及びベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドであり、更に好ましくはラウリルトリメチルアンモニウムクロリドである。
本工程で用いるカチオン界面活性剤Bは、工程Aで用いたカチオン界面活性剤Aと同じでも異なっていてもよい。また、カチオン界面活性剤Bは単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
カチオン界面活性剤Bに対するシラノール前駆体の質量比[シラノール前駆体/カチオン界面活性剤B]は、中空シリカ粒子前駆体の分散性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは2以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、更に好ましくは23以下である。
(アルカリ性物質)
シラノール前駆体はアルカリ性物質によりシラノールへと加水分解され、更に脱水縮合されシリカとなる。
アルカリ性物質としては、具体的には、特開2016-121060号公報の段落〔0014〕に記載のものが挙げられる。これらの中でも、第四級アンモニウムの水酸化物塩が好ましい。第四級アンモニウムの水酸化物塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド(コリン)、テトラエタノールアンモニウムヒドロキシド、メチルトリエタノールアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド等が挙げられ、中空シリカ粒子前駆体の外殻を緻密にする観点から、好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、及びメチルトリエタノールアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシドであり、より好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシドである。
アルカリ性物質に対するシラノール前駆体の質量比[シラノール前駆体/アルカリ性物質]は、中空シリカ粒子前駆体の外殻を緻密にする観点から、好ましくは5以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは40以下、より好ましくは35以下、更に好ましくは31以下、更に好ましくは29以下である。
アルカリ性物質は、上記第四級アンモニウムの水酸化物塩の他に、例えばアルカリ金属の塩、アルカリ土類金属の塩等を含んでいてもよいが、得られる中空シリカ粒子中のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量を低減させるために、シラノール前駆体に対するアルカリ金属とアルカリ土類金属の合計含有量が、シリカ(SiO)換算で、50質量ppm以下、好ましくは30質量ppm以下、より好ましくは10質量ppm以下である。
アルカリ性物質は、カチオン界面活性剤Bと混合してシラノール前駆体に接触させることで、最大粒子径が小さく、適度な変動係数を有する中空シリカ粒子を得ることができる。アルカリ性物質とカチオン界面活性剤Bの混合物と、シラノール前駆体との接触は、シラノール前駆体を含む反応系にアルカリ性物質とカチオン界面活性剤Bの混合物を添加してもよく、アルカリ性物質とカチオン界面活性剤Bの混合物含む反応系にシラノール前駆体を添加してもよいが、空孔率を高くするとともに、合成濃度を高くして生産性を上げる観点から、シラノール前駆体を含む反応系にアルカリ性物質とカチオン界面活性剤Bの混合物を添加するのが好ましい。
工程Bを行う温度は、用いるシラノール前駆体及びアルカリ性物質の種類や量により適宜調整でき、中空シリカ粒子前駆体の外殻を緻密にする観点から、好ましくは0℃以上100℃以下である。例えば、シラノール前駆体として、オルトケイ酸エチルエステルやピロケイ酸エチルエステルを用いる場合は、20℃以上45℃以下であることが好ましく、オルトケイ酸メチルエステルやピロケイ酸メチルエステルを用いる場合は、0℃以上20℃以下であることが好ましい。
工程Bを行う時間は、中空シリカ粒子前駆体の外殻を緻密にする観点から、好ましくは30分間以上、より好ましくは1時間以上、更に好ましくは2時間以上であり、製造効率の観点から、好ましくは24時間以下、より好ましくは20時間以下、更に好ましくは16時間以下である。
(中空シリカ粒子前駆体)
中空シリカ粒子前駆体は、シリカを含む外殻を備え、かつ外殻の内部に疎水性液体を含む複合シリカ粒子である。外殻には、界面活性剤を鋳型とした細孔が粒子中心方向に向かって放射方向に形成されている。
〔工程C〕
工程Cでは、工程Bで得られた中空シリカ粒子前駆体を熱処理することで、中空シリカ粒子前駆体の外殻に存在するカチオン界面活性剤を分解・揮発させ、内部の疎水性液体を揮発させた後に、外殻に存在する細孔を焼成により塞ぎ、均一な外殻を有する中空シリカ粒子を得る。
工程Cの熱処理温度は、中空シリカ粒子表面のシラノール基を低減する観点から、好ましくは1000℃以上、より好ましくは1030℃以上、更に好ましくは1050℃以上であり、中空シリカ粒子の凝集を避ける観点から、好ましくは1200℃以下、より好ましくは1180℃以下、更に好ましくは1160℃以下である。
工程Cの熱処理時間は、中空シリカ粒子表面のシラノール基を低減する観点から、好ましくは15分間以上、より好ましくは30分間以上、更に好ましくは45分間以上であり、中空シリカ粒子の凝集を避ける観点から、好ましくは3時間以下、より好ましくは2時間以下、更に好ましくは1.5時間以下である。
[樹脂組成物]
本発明の中空シリカ粒子を樹脂に配合することで、樹脂組成物とすることができる。
中空シリカを配合する樹脂としては特に限定されないが、樹脂組成物の低誘電性のために、ポリパラフェニレン樹脂、液晶ポリマー樹脂、エステルやエーテル系の硬化剤、酸無水物系の硬化剤、及びイミダゾール系の硬化剤から選ばれる硬化剤を使用したエポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、フッ素系樹脂等の比誘電率、誘電正接が低い樹脂やこれら樹脂の誘導体であることが好ましい。
樹脂組成物中の中空シリカ粒子の配合量は、樹脂組成物の比誘電率及び誘電正接を低くする観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、樹脂組成物の粘度及び加工性の観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
本発明の樹脂組成物は、高周波回路基板の絶縁材料として好適に使用できる観点から、測定周波数5.8GHzにおける比誘電率が、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上、更に好ましくは1.3以上であり、そして、好ましくは2.8以下であり、より好ましくは2.7以下、更に好ましくは2.65以下である。
また、樹脂組成物を温度60℃、湿度90%にて5日間保存した時の測定周波数5.8GHzにおける比誘電率の増加量が、0.15以下である場合、高温高湿下での樹脂組成物の比誘電率の経時変化が小さいといえ、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.0である。
樹脂組成物の比誘電率は、実施例に記載の方法で求めることができる。
本発明の樹脂組成物は、高周波回路基板の絶縁材料として好適に使用できる観点から、測定周波数5.8GHzにおける誘電正接が好ましくは0.0001以上、より好ましくは0.005以上、更に好ましくは0.001以上であり、そして、好ましくは0.0090以下であり、より好ましくは0.0089以下であり、更に好ましくは0.0088以下である。
また、樹脂組成物を温度60℃、湿度90%にて5日間保存した時の測定周波数5.8GHzにおける誘電正接の増加量が、0.0020以下である場合、高温高湿下での樹脂組成物の誘電正接の経時変化が小さいといえ、好ましくは0.0010以下、より好ましくは0.0005以下、更に好ましくは0.0000である。
樹脂組成物の誘電正接は、実施例に記載の方法で求めることができる。
[絶縁材料]
絶縁材料が本発明の樹脂組成物を含むことで、伝送損失や伝送遅延を低減できる絶縁材料とすることができる。絶縁材料は、例えば、ビルドアップ絶縁フィルム、銅張積層板の絶縁層、プレプリグ、封止材、コネクターの絶縁部材、電線の被覆材等に用いることができる。
後述する実施例及び比較例において、中空シリカ粒子、樹脂組成物の各種測定は、以下の方法により行った。
[測定方法]
(中空シリカ粒子の平均粒子径及び変動係数の測定)
中空シリカ粒子の平均粒子径は、コールターカウンター法により、Multisizer 3(ベックマン・コールター株式会社製、20μmアパチャーチューブを使用)を用いて測定した。
体積基準で平均粒子径及び粒子径の標準偏差を求め、変動係数は以下の式にて計算した。
(変動係数)(%)=(粒子径の標準偏差)/(平均粒子径)×100
また、最大粒子径は累積頻度分布99%となる粒子径とした。
(中空シリカ粒子の密度の測定)
真密度測定装置(Quantachrome社製:ULTRAPYCNMETER1200e)を用いて、窒素を測定ガスとして測定した。
(中空シリカ粒子の空孔率の測定)
前記方法により測定した密度を用い、下記式により算出した。シリカ粒子の真密度は2.2g/cmとした。
空孔率(%)=[1-(中空シリカ粒子の真密度/シリカ粒子の真密度)]×100
(中空シリカ粒子のBET比表面積の測定)
比表面積測定装置(株式会社島津製作所製、商品名「フローソーブIII2305」)を使用し、中空シリカ粒子のBET比表面積を測定した。試料は、200℃で15分加熱する前処理を行った。
(高温高湿下で保存後の吸湿量の測定)
24mLの空の秤量瓶の重量を測定後、中空シリカ粒子を入れて重量を測定した。重量を測定した中空シリカ粒子が入った秤量瓶を温度60℃で湿度90%Rhに保たれた恒温恒湿器(エスペック株式会社製 商品名「小型環境試験器 SH-241」)に入れて5日間保存した。5日間保存後、恒温恒湿器より取り出した中空シリカ粒子が入った秤量瓶をデシケーターで25℃になるまで冷却し重量を測定した。中空シリカ粒子が入った秤量瓶の保存前後の重量と空の秤量瓶の重量より吸湿量を算出した。
吸湿前の中空シリカ粒子の重量=保存前の中空シリカが入った秤量瓶の重量-空の重量瓶の重量
吸湿後の中空シリカ粒子の重量=保存後の中空シリカが入った秤量瓶の重量-空の重量瓶の重量
吸湿量(%)={(吸湿後の中空シリカ粒子の重量/吸湿前の中空シリカ粒子の重量)-1}*100
(中空シリカ粒子の比誘電率及び誘電正接の測定)
中空シリカ粒子の比誘電率及び誘電正接は、ネットワーク・アナライザー(アジレント・テクノロジー株式会社製、商品名:N5221A)に、株式会社関東電子応用開発製の摂動法空洞共振器(CP-580)を接続した装置を使用し、空洞共振器摂動法(CP-MA 誘電率測定ソフトウェア、株式会社関東電子応用開発製)にて、温度25℃、周波数5.8GHzで測定を行った。
テフロンチューブ(中興化成株式会社製:PTFEチューブ、内径1.5mm、外径2.5mm)内部に、製造直後の中空シリカ粒子が全て測定範囲内(底部から6.75mmから36.35mm)に入るように充填し、測定用サンプルを作成した。中空シリカ粒子の充填前後の重量測定より中空シリカ粒子の充填重量を計算し、中空シリカ粒子の充填重量と比重よりテフロンチューブに充填した中空シリカ粒子の体積を求めた。
比誘電率及び誘電正接は、中空シリカ粒子が充填されていない空のテフロンチューブの測定値をブランクとして、中空シリカ粒子を充填したテフロンチューブの測定値との差から求めた。
温度60℃で湿度90%Rhに保たれた恒温恒湿器(エスペック株式会社製 商品名「小型環境試験器 SH-241」)に入れて5日間保存した中空シリカ粒子についても同様に比誘電率及び誘電正接を測定した。
(樹脂組成物の比誘電率及び誘電正接の測定)
樹脂組成物の比誘電率及び誘電正接は、樹脂組成物を直径2.5mm長さ4mmに成形した直後の、「中空シリカ粒子の比誘電率及び誘電正接の測定」と同様に空洞共振器摂動法にて周波数5.8GHzで測定を行った。
温度60℃で湿度90%Rhに保たれた恒温恒湿器(エスペック株式会社製 商品名「小型環境試験器 SH-241」)に直径2.5mm長さ4mmに成形した樹脂組成物を入れて5日間保存した。この樹脂組成物についても同様に比誘電率及び誘電正接を測定した。
(樹脂組成物の外観の評価)
目視にて、樹脂組成物の表面における粒状形状の有無を確認した。表2には、樹脂組成物の表面に粒状形状を確認しなかったものを「〇」、粒状形状を確認したものを「×」として示した。
(エマルション中の疎水性液体を含む液滴の平均粒子径の測定)
エマルションAを、光路長10mmの角型セルに約1mL入れ、光散乱装置「ゼータサイザーナノZS」(マルバーン・パナリティカル社製)を用いて疎水性液体を含む液滴の粒子径を測定することで、体積平均粒子径を求めた。
〔中空シリカ粒子の製造〕
実施例1
イオン交換水388.6g、ドデカン(キシダ化学株式会社製:1級n-ドデカン)200g、コータミン86w(花王株式会社製:ステアリルトリメチルアンモニウムクロリドを28質量%含む)11.4gを混合・撹拌しエマルションAを得た。得られたエマルションA中の粒子の体積平均粒子径は0.9μmであった。
次に反応槽にイオン交換水13192.5g、エマルションAを138.1g、コータミン24P(花王株式会社製:ラウリルトリメチルアンモニウムクロリドを27.5質量%含む)125.6g、オルトケイ酸エチルエステル(旭化成ワッカーシリコーン株式会社製:TEOS999)3120.8gを入れ撹拌しながら40℃に加温した後、10分間撹拌し調製液Bを得た。次にAH212-CS(四日市合成株式会社製:ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシドを50質量%含む)221.5gとコータミン24Pの711.6gを均一に混合し調製液Cを得た。調製液Bに調製液Cを定速で添加し、その後、40℃で3時間撹拌し、白濁液Dを得た。次いで、得られた白濁液Dを5Cのろ紙(アドバンテック東洋株式会社製)を用いてろ別し、水洗いした後、110℃で乾燥することにより白色の中空シリカ粒子前駆体を得た。
得られた中空シリカ粒子前駆体を1100℃で1時間焼成することで、中空シリカ粒子を得た。得られた中空シリカ粒子の物性を表1及び表2に示す。
実施例2
イオン交換水342.2g、ドデカン(キシダ化学株式会社製:1級n-ドデカン)150g、コータミン2285(花王株式会社製:ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドを58質量%含む)7.8gを混合・撹拌し、エマルションAを得た。得られたエマルションA中の粒子の体積平均粒子径は0.5μmであった。
イオン交換水の量を13146.5g、エマルションAの量を184.1gにした以外は、以降の操作を実施例1と同様にして中空シリカ粒子を得た。得られた中空シリカ粒子の物性を表1及び表2に示す。
実施例3
撹拌機のついた反応槽にメタノール(富士フイルム和光純薬株式会社製)2670g、カチオーゲンTML(第一工業製薬株式会社製:ドデシルトリメチルアンモニウムクロリドを30質量%含む)248g、ヘキサン(富士フイルム和光純薬株式会社製)80g、テトラメチルアンモニウム25%水溶液(セイケムアジア株式会社製)52.7gを入れて撹拌しながら10℃に温調し、溶液Aを調製した。そして、溶液Aを撹拌しながら15℃に温調したイオン交換水8000gを添加し、その後、15℃で10分撹拌することにより、O/W型乳化液を得た。
次いで、O/W型乳化液に、テトラメトキシシラン(多摩化学工業株式会社製)170gを添加し、その後、15℃で10分間撹拌し、白濁液を得た。
次いで、得られた白濁液を5Cのろ紙(アドバンテック東洋株式会社製)を用いてろ別し、水洗いした後、110℃で乾燥することにより白色の中空シリカ粒子前駆体を得た。
得られた中空シリカ粒子前駆体を1100℃で1時間焼成することで、中空シリカ粒子を得た。得られた中空シリカ粒子の物性を表1及び表2に示す。
比較例1
2L-セパラブルフラスコに、イオン交換水600g、メタクリル酸メチル99.5g、塩化メタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム0.5gを入れ、内温70℃まで昇温させた。次いで、水溶性重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:V-50)0.5gをイオン交換水5部に溶かした溶液を添加し、その後、75℃で3時間加熱撹拌を行って冷却した後、得られた混合液から凝集物を200メッシュの篩(目開き約75μm)を用いてろ過し、カチオン性ポリマー粒子の懸濁液(固形分(有効分)含有量14質量%、平均一次粒子径270nm)を得た。
次に、10Lフラスコに、水6kg、メタノール2kg、1M水酸化ナトリウム水溶液45g、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド35g、及び上記で得られたカチオン性ポリマー粒子の懸濁液33gを入れて撹拌し、その水溶液に、テトラメトキシシラン34gをゆっくりと加え、5時間撹拌した後、12時間熟成させた。
次いで、得られた白色沈殿物を、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過した後、10Lの水で洗浄し、100℃の温度条件で5時間乾燥した。得られた乾燥粉末を、600℃で2時間焼成することで、中空シリカ粒子を得た。得られた中空シリカ粒子の物性を表1及び表2に示す。
なお、得られた中空シリカ粒子は外殻のシリカに窒素ガスが透過できる微細孔があり、真密度測定装置では空孔率を測定できなかったため、表1には、透過型電子顕微鏡像から空孔率を推定した値を記載した。
比較例2
撹拌機のついた反応槽(耐圧硝子工業株式会社製:TEM-D1500M)に、シリカ(株式会社アドマテックス製:アドマファインSO-C2)200g、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド25%水溶液(セイケムアジア株式会社製:pH14)640g、及び、イオン交換水160gを入れて撹拌しながら、1時間30分かけて180℃まで昇温し、その後、180℃で1時間撹拌することにより、シリカ溶解液(シリカ濃度:20質量%、シリカ/有機アルカリ(モル比)=1.9)を得た。
次に調製したシリカ溶解液1000gとイオン交換水1000gを均一になるまで混合し、シリカ溶解液の希釈液を得た。得られたシリカ溶解液の希釈液を噴霧乾燥機(藤崎電機株式会社製:マイクロミストスプレードライヤー)を用いて噴霧乾燥し(噴霧乾燥条件:熱風入口温度:130℃、ノズル流量:100L/min、噴霧液量25mL/分)、乾燥粉末を得た。次いで、噴霧乾燥により得られた乾燥粉末を1100℃で1時間焼成することで、中空シリカ粒子を得た。得られた中空シリカ粒子の物性を表1及び表2に示す。
比較例3
実施例1において、AH212-CSを水酸化ナトリウム水溶液(13.2質量%、22.2mL、73.1mmol)に変更し、焼成温度を1000℃にした以外は実施例1と同様にして中空シリカ粒子を合成した。得られた中空シリカ粒子の物性を表1に及び表2示す。なお、得られた中空シリカ粒子はナトリウムを820ppm含有していた。
実施例1~3及び比較例1~3のいずれの中空シリカ粒子も粉末X線回折で結晶性のシリカに由来する回折ピークは認められず、非晶質であった。
表1の結果に示されるように、本発明の中空シリカ粒子は、1100℃で1時間熱処理した時の粒子密度の増加率が8%以下と低く、温度60℃、湿度90%にて5日間保存した時の吸湿量が、中空シリカ粒子の1.0質量%以下とすることができた。一方、比較例1~3の中空シリカ粒子は、1100℃で1時間熱処理した時の粒子密度の増加率が高く、温度60℃、湿度90%にて5日間保存した時の吸湿量が大きくなっていた。
また、表2の結果に示されるように、本発明の中空シリカ粒子の温度60℃、湿度90%にて5日間保存した後の比誘電率及び誘電正接は、製造直後と変わらず低く、経時変化は非常に小さかった。これに対して、比較例1~3の中空シリカ粒子の比誘電率は低いものの、比較例1及び2の樹脂組成物は誘電正接が高くなった。また、比較例1~3の樹脂組成物を温度60℃、湿度90%にて5日間保存した後の誘電正接は著しく高くなっていた。
〔樹脂組成物の製造〕
実施例4
エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製:jER(商標)828)23.7g、酸無水物系硬化剤(三菱ケミカル株式会社製:YH-306)28.8g、イミダゾール系硬化剤(三菱ケミカル株式会社製:EMI24)0.3gを混錬機(株式会社シンキー社製:Planetary Vacuum Mixer)を用いて、大気圧下で1400rpmで1分間、0.3kPa減圧下で2000rpmで5分間混錬しエポキシ樹脂混錬液を得た。
得られたエポキシ樹脂混錬液2gと実施例1で得られた中空シリカ粒子1.2gを混錬機(株式会社シンキー社製:Planetary Vacuum Mixer)にて大気圧で1400rpmで1分間、0.3kPa減圧下で2000rpmで5分間混錬しエポキシ樹脂中空シリカ粒子混錬液を得た。
得られたエポキシ樹脂中空シリカ粒子混錬液を160℃で6時間硬化処理を行い樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性を表3に示す。
実施例5
実施例1で得られた中空シリカ粒子1.2gにかえて、実施例2で得られた中空シリカ粒子1.2gを用いた以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性を表3に示す。
実施例6
実施例1で得られた中空シリカ粒子1.2gにかえて、実施例3で得られた中空シリカ粒子2.0gを用いた以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性を表3に示す。
比較例4
実施例1で得られた中空シリカ粒子1.2gにかえて、比較例1で得られた中空シリカ粒子3.4gを用いた以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性を表3に示す。
比較例5
実施例1で得られた中空シリカ粒子1.2gにかえて、比較例2で得られた中空シリカ粒子2.7gを用いた以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性を表3に示す。
比較例6
実施例1で得られた中空シリカ粒子1.2gにかえて、比較例3で得られた中空シリカ粒子2.4gを用いた以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性を表3に示す。
なお、実施例4~6及び比較例4~6において、樹脂と中空シリカ粒子の体積比率はすべて同じである。
表3の結果に示されるように、本発明の中空シリカ粒子を含む樹脂組成物は、測定周波数5.8GHzにおける、比誘電率及び誘電正接を低くすることができた。また、温度60℃、湿度90%にて5日間保存した後の比誘電率及び誘電正接は変化がなかった。更に、中空シリカ粒子の平均粒子径が小さいため、外観の優れた樹脂組成物が得られた。
一方、比較例1~3の中空シリカ粒子を含む比較例4~6の樹脂組成物の比誘電率は低いものの、比較例4及び5の樹脂組成物は誘電正接が高くなった。また、比較例4~6の樹脂組成物を温度60℃、湿度90%にて5日間保存した後の誘電正接は著しく高くなっていた。
以上のことから、本発明の樹脂組成物を含む絶縁材料は、高周波の電波に対応する高周波回路における経時変化の小さい絶縁材料として用いることが可能であると考えられる。

Claims (9)

  1. 平均粒子径が0.5μm以上3.0μm以下であり、
    1100℃で1時間熱処理した時の粒子密度の増加率が8%以下であり、
    平均粒子径の変動係数が15%以上300%以下である、中空シリカ粒子。
  2. 測定周波数5.8GHzにおける、比誘電率が2.5以下、かつ、誘電正接が0.0070以下であり、温度60℃、湿度90%にて5日間保存した時の比誘電率の増加量が0.15以下、かつ、誘電正接の増加量が0.0020以下である請求項1に記載の中空シリカ粒子。
  3. 空孔率が45体積%以上80体積%以下である、請求項1又は2に記載の中空シリカ粒子。
  4. 温度60℃、湿度90%にて5日間保存した時の吸湿量がシリカ粒子重量の1.0質量%以下である、請求項1~3のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
  5. BET比表面積が30m/g以下である、請求項1~4のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
  6. 最大粒子径が5.0μm以下である、請求項1~のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
  7. 請求項1~のいずれかに記載の中空シリカ粒子を配合した樹脂組成物。
  8. 測定周波数5.8GHzにおける、比誘電率が2.8以下、かつ、誘電正接が0.0090以下であり、温度60℃、湿度90%にて5日間保存した時の比誘電率の増加量が0.15以下、かつ、誘電正接の増加量が0.0020以下である請求項に記載の樹脂組成物。
  9. 請求項又はに記載の樹脂組成物を含む絶縁材料。
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