JP7800582B2 - センサ素子、匂い測定装置 - Google Patents
センサ素子、匂い測定装置Info
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Description
・医療分野:介護・介助、未病予防診断や疾病検査など。
・環境分野:工場などでの臭気管理など。
・バイオガス利用の分野:発酵工程管理や排水処理の管理など。
・安全分野:土砂崩れや水害などの予兆検知、エンジンオイルや機械動作油の劣化検知など。
・食品分野:植物(例えば野菜および穀類)や肉などの食材の熟成状態検知、酒類などの発酵食品の工程管理、植物の栽培管理、および食品の生産過程・保管過程・流通過程での品質管理など。
・マーケティング分野:香粧品、体臭対策、香り環境、商材の香りのプロデュースなど。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
センサ素子31が備える匂い物質透過層317は、R1-SiO3/2で表される構造、および、R2-SiO1で表される構造の少なくともいずれかを有する組成を含む。匂い物質透過層317がR1-SiO3/2で表される構造およびR2-SiO1で表される構造の両方を含む場合、匂い物質透過層317が柔らかくなり応答性が良好となる。また、匂い物質透過層317がR2-SiO1で表される構造を含まない場合、匂い物質透過層317が固くなり、匂い物質の脱離にかかる時間が短縮され測定の迅速性が向上する。R1-SiO3/2とR2-SiO1との混合比率は、例えばR1-SiO3/2:R2-SiO1=0.9:0.1~0.7:0.3である。ここで、R1は、炭素数が1以上18以下の炭化水素基である。なお、本発明において炭化水素基とは、炭素原子及び水素原子からなる基である。スラリー調整時の溶解性の観点から、R1の炭素数は1以上12以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上8以下が更に好ましく、1以上6以下が更に好ましい。ここで、R1は、脂肪族炭化水素基、および芳香族のうちの1または複数の官能基を含んでいてもよく、より好ましくはメチル基及び/又は芳香族を含む。これにより、匂い物質透過層と匂い物質受容層の密着性が向上するため、センサ素子31は繰り返し測定の精度に優れた特性が得られる。したがって、本開示に係る匂い物質透過層317を有するセンサ素子31は、繰り返し測定における高い測定精度、および、高い応答性を両立することができる。ここで、応答性とは、センサ素子31を用いて測定した後、同じセンサ素子31を利用して連続して次の測定が可能となるまでの時間を示す。本開示に係るセンサ素子31は、より短い時間で複数回の測定を行うことが可能である。脂肪族炭化水素基としては「炭素原子数1~18のアルキル基」等が挙げられる。「炭素原子数1~18のアルキル基」は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。直鎖のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、へプタデシル基及びオクタデシル基等が挙げられる。分岐のアルキル基としては、iso-プロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、iso-ブチル基、iso-ペンチル基、tert-ペンチル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、2-ヘプチル基、3-ヘプチル基、iso-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、iso-オクチル基、tert-オクチル基、2-エチルヘキシル基およびイソノニル基等が挙げられる。炭素数6~18の芳香族基としては、フェニル基、インデニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、フルオレニル基、フェナントレニル基、およびアントラセニル基等が挙げられる。R2は、水素原子、メチル基、炭素数1以上12以下のアルキル基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、フルオロメチル基、ポリエステル基、ポリエーテル基、アミド基および炭素数1以上12以下のアラルキル基のうちの1または複数の官能基を含んでいてもよい。
以下、匂い物質透過層317の厚さの測定方法について、図2を用いて説明する。図2は、匂い物質受容層315および匂い物質透過層317を備えるセンサ素子31の断面を2.5万倍で観察した走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。匂い物質受容層315および匂い物質透過層317を備えるセンサ素子31の断面は、例えばクロスセクションポリッシャ、具体的にはIB-19530CP(日本電子株式会社製商品名)を用いて成形される。図2において符号L1~符号L20で示す線は、それぞれの箇所における匂い物質受容層315と匂い物質透過層317との境界から匂い物質透過層317の表面までの長さを示す線である。以下では、匂い物質受容層315と匂い物質透過層317との境界から匂い物質透過層317の表面までの長さを、匂い物質透過層317の断面長さと称する。なお、匂い物質受容層315と匂い物質透過層317との境界は、例えばSEMの反射観察、電子像SEM-EDX、またはSTEM等を用いて決定することができる。
センサ素子31が備える匂い物質受容層315は、樹脂(A)およびフィラー(B)を含む樹脂組成物を含む。この樹脂組成物は、界面活性剤(C)をさらに含んでいてもよい。この樹脂組成物をセンサ素子用基板上に塗布し、加熱乾燥させて乾固物としてから、匂い物質受容層315として使用する。樹脂(A)、フィラー(B)、および界面活性剤(C)については後に具体例を挙げて説明する。
本明細書中、「匂い物質」とは、広義において匂い物質受容層315に吸着可能な物質を意味する。従って、一般的に匂いの原因物質とされていない物質も含まれる。「匂い」には原因となる匂い物質が複数含まれることが多く、また、匂い物質として認知されていない物質または未知の匂い物質も存在する。本発明の一実施形態は、匂い物質受容層315への匂い物質の吸着量が匂い物質の種類によって異なることに着目するものである。
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物に含まれる樹脂(A)は、特に限定されないが、ウレタン樹脂、ポリアルキレンオキサイド、アクリル樹脂、フッ素基含有樹脂、ビニル重合樹脂(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラールなど)、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、パラフィンワックスおよびポリエステル樹脂等であってもよい。ただし、樹脂(A)は、R-SiOn(nは1以上3/2以下)で表される組成を含まない。
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、フィラー(B)を含んでいる。本明細書において、フィラー(B)とは、導電性炭素材料であり、より具体的には、体積固有抵抗が0.1Ω・cm以下の炭素材料のことである。上述の樹脂組成物は、樹脂(A)中にフィラー(B)が分散している状態である。フィラー(B)同士が互いに接触して導電経路を形成することで樹脂組成物が導電性を有する。
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、以下で説明するような界面活性剤(C)を含んでいてもよい。界面活性剤(C)は、フィラー(B)の分散剤としての作用を呈する。界面活性剤(C)は、樹脂組成物が上記の作用を発現する範囲において、公知の界面活性剤から適宜に選ぶことが可能である。
ここで、上式中の無機性および有機性の値は藤田らによって提案された有機性と無機性を表現する指標値を表しており、前記「界面活性剤入門」213頁に記載の表の値を用いて算出できる。
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物の製造方法の具体的な一例を示せば、下記の通りである。
上述した樹脂組成物は、樹脂組成物に匂い物質Aが吸着した場合と、匂い物質Aとは異なる匂い物質Bが吸着した場合とで、電気伝導性の経時的な変化が異なる。この性質を利用すれば、匂い物質を検出・識別可能なセンサ素子31を実現することができる。
以下では、センサ素子31を適用した匂いセンサ30の概要および効果について、図5を用いて説明する。図5は、センサ素子31を適用した匂いセンサ30の構成の一例を示すブロック図である。
上述した匂いセンサ30は、センサ素子31にさまざまな匂い物質が吸着した場合、該センサ素子31の電気伝導性の経時的な変化を匂い物質毎に出力することができる。この匂いセンサ30を適用すれば、匂い物質Aがセンサ素子31に吸着した場合の該センサ素子31の電気伝導性の経時的な変化と、匂い物質Bがセンサ素子31に吸着した場合の該センサ素子31の電気伝導性の経時的な変化と比較することができる。このような比較結果に基づいて、センサ素子31に吸着した匂い物質を推定可能な匂い測定装置100を実現することができる。
対象試料受入部50は、匂い物質を含む対象試料を内部に受け入れて第1気体を保持可能である。対象試料受入部50は、内部に進入する第2気体が通過する第1口501と、内部から出る第1気体および第2気体が通過可能な第2口502とを備えている。図1では、第1口501は、対象試料受入部50の紙面上部に設置され、第2口502は、対象試料受入部50の紙面下部に設置される態様を示すが、これに限定されない。例えば、第1口501および第2口502の位置は、第1気体に含まれる匂い成分の種類および組み合わせなどに応じて適宜設定し得る。例えば、第1気体に含まれる匂い成分の単位体積当たりの重量(すなわち、比重)が第2気体より重い場合と、軽い場合とで、第1口501の位置および第2口502の位置を変更してもよい。また、対象試料受入部50は、図5と同じく、気流生成用ファン35を内部に備えていてもよい。
調節部51は、対象試料受入部50内に内包されている第1気体の温度および湿度の少なくとも一方を調節する。調節部51が温度を調節する場合、調節部51は、例えば、ヒータまたは冷却器である。この場合、調節部51は、対象試料受入部50全体を覆うような構成であってもよい。また、調節部51が湿度を調節する場合、調節部51は、例えば、加湿器または除湿器である。調節部51は、第1気体の種類ごとに温度および湿度の少なくとも一方を調節してもよいし、同じ第1気体の測定中において所定時間毎に温度および湿度の少なくとも一方を変化させてもよい。調節部51としては、例えば温度および湿度の少なくとも一方を変化させることが可能なウォーターバス、ドライバス、ヒートジャケット、シリコンヒーター、順風乾燥機、恒温恒湿機、噴霧器等が用いられてもよい。
センサチャンバ60は、匂い物質を測定するためのセンサ素子31を格納する空間である。センサチャンバ60には、対象試料受入部50の第2口502と接続されている。具体的には、センサチャンバ60は、気体供給口601と、気体排出口602とを備え、対象試料受入部50の第2口502と、気体供給口601とが接続されている。
複数のセンサ素子31Aは薄膜を備えてもよい。一例として、図2および図3の匂い物質受容層315および匂い物質透過層317が薄膜である。
気体供給部80は、対象試料受入部50の第1口501と接続されており、対象試料受入部50の内部へ第2気体を送ることによって、第1気体を対象試料受入部50内からセンサチャンバ60の方へ送り出す。
推定装置10は、匂いセンサ30によって検出された匂い物質を推定する装置である。推定装置10は、例えばコンピュータであり、不図示のCPUおよびメモリを備えている。推定装置10は、匂いセンサ30と通信可能に接続されている。具体的には、推定装置10は、匂いセンサ30から取得した計測値を解析することによって、匂い物質の推定を実行する。センサチャンバ60が、センサ素子31、センサ素子31bとは異なる樹脂組成物を物質受容層315に用いたセンサ素子31cをさらに備える場合、推定装置10は、センサ素子31cに定電圧を供給して電圧計によって測定される測定値をさらに取得し解析してもよい。また、推定装置10は、測定値そのもの、測定値をプロットした波形、および推定モデルに基づいた未知の匂い物質の推定結果を表示してもよい。また、推定装置10は、複数の匂い物質を含む気体に対して、それぞれの匂い物質の存在割合の変化を示す数値、およびグラフなどを表示してもよい。また、推定装置10は、匂い物質を推定するために用いる推定モデル22を生成してもよい。
次に、匂い物質を推定するために用いる推定モデル22を生成する処理を行う匂い測定装置100の構成、および、推定モデル22を生成する処理について、図6および図7を用いて説明する。
図6は、匂い測定装置100の構成の一例を示す機能ブロック図である。なお、説明の便宜上、図1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
機械学習により推定モデルを生成する場合、基となるデータは、測定値そのものであってもよいし、測定値の統計量、微積分値、ピーク検出値、または自己相関値等、測定値の特徴量を抽出したデータであってもよい。統計量としては、例えば、平均値、分散値、最大値、最小値、最大値と最小値の差、標準偏差等が挙げられる。微積分としては、例えば、傾きや面積等が挙げられる。ピーク検出値としては、例えば、ビークの数、高さ等が挙げられる。自己相関値としては、例えば、階差等が挙げられる。
機械学習により推定モデルを生成する場合、基となるデータは、そのまま機械学習に用いてもよいし、基となるデータに対して必要により前処理を行ってもよい。また前処理を行う場合、前処理は、特徴量抽出を行う前に行われてもよいし、特徴量抽出を行った後に行われてもよいし、特徴量抽出を行う前後の両方で行われてもよい。前処理は公知の方法で行ってよく、補正、ノイズ除去、標準化、データの変換、平滑化、データ拡張等の方法が挙げられる。補正は、複数の素子や市販のセンサ(例えば温度センサや湿度センサ等)、標準ガスの測定結果に基づいて行われてよい。例えば、補正は、出力比算出、独立成分分析(ICA)、統計量算出、積算、加算、減算、除算等の方法によって行われてよい。ノイズ除去としては、例えば、外れ値やホワイトノイズ等の除去が挙げられる。標準化としては、例えば、正規化、正則化等が挙げられる。データの変換としては、例えばトレンドの除去、周波数変換、対数変換等が挙げられる。平滑化としては、例えば、移動平均、階差等が挙げられる。データ拡張としては、例えば、同じサンプルデータの追加(例えば正規分布を仮定)、新しいサンプルデータの追加(例えば、ベクトルの混合比による追加)等が挙げられる。
推定モデル生成部14に適用可能な機械学習アルゴリズムとしては、回帰分析、分類、木、時系列解析、ニューラルネットワーク、クラスタリング等が挙げられる。回帰分析としては、例えば、ロジスティック回帰、Lasso、エラスティックネット、サポートベクター回帰(SVR)、線形、Ridge、アンサンブル回帰等が挙げられる。分類としては、例えば、k近似法(k-nearest neighbor method)、サポートベクター分類(SVC)、単純ベイズ分類(Naibe Bayse classifier)、確率的勾配降下法(SGD)、カーネル近似等が挙げられる。木としては、例えば、決定木、回帰木、ランダムフォレスト、ブースティング(lightGBM、XGboost)、スタッキング等が挙げられる。時系列としては、例えば、AR、MA、ARIMA、状態空間等が挙げられる。ニューラルネットワークとしては、例えば、多層パーセプトロン(MLP)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、残渣ニューラルネットワーク(ResNet)、トランスフォーマー、グラフニューラルネットワーク(GNN)等が挙げられる。クラスタリングとしては、例えば、混合ガウスモデル(GMM)、k平均法(kmeas)、minikmeans、変分混合ガウスモデル(VBGMM)、カーネル近似等が挙げられる。
以下、匂い測定装置100を用いて推定モデル22を生成する処理について、図7を用いて説明する。図7は、匂い測定装置100の推定装置10が推定モデル22を生成する処理の流れの一例を示すフローチャートである。推定モデル22は、複数の匂い物質のそれぞれを少なくとも1つのセンサ素子31に吸着させた場合に電圧計33によって測定される測定値と、該測定値を与えた匂い物質に固有の識別情報との組み合わせを含む学習用データを用いた機械学習によって生成される。ここで、匂い物質に固有の識別情報とは、例えば、匂い物質の名称、CAS番号、および化学式等であってもよい。
次に、推定モデル22を用いて匂い物質を推定する匂い測定装置100aの構成、および、推定処理について、図8および図9を用いて説明する。
図8は、匂い測定装置100aの構成の一例を示す機能ブロック図である。なお、説明の便宜上、図1および図6にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
以下、制御部1aの各部が行う具体的な処理については、図9を用いて説明する。図9は、推定装置10aが匂い物質を推定する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10は、センサ素子群31Aに含まれる1つのセンサ素子31cの構成の一例を示す上面図である。センサ素子31cは、基板311上に配置された金属配線である電極313と、電極313上に形成された円状の匂い物質受容層315cと、を備える。電極313は、第1金属配線313Cと第2金属配線313Dとを含む。第1金属配線313Cおよび第2金属配線313Dはそれぞれ、匂い物質受容層315cの電気伝導性の変化を計測するための電極として機能する金属配線である。図10において、金属配線313aおよび金属配線313dは、基板311の表側(すなわち、紙面手前側)に配されており、匂い物質受容層315cに接している。一方、金属配線313bおよび金属配線313cはそれぞれ、金属配線313aおよび金属配線313dと基板311の表側で接続されており、基板311を裏側に向かって貫通している。それゆえ、金属配線313bおよび金属配線313cは、匂い物質受容層315cに接していない。匂い物質受容層315cの直径Rは、0.2mm以上、5mm以下である。図10において、センサ素子31cが備える匂い物質受容層315cの形状は一例として楕円状であるが、これに限定されない。匂い物質受容層315cの形状が楕円である場合は、短径と、長径との平均が0.2mm以上、5mm以下であってよい。また、匂い物質受容層315cの形状は真円であってもよい。
以下、匂い測定装置100において用いられる、複数種類のセンサ素子31を製造する製造方法について説明する。センサ素子31の匂い物質受容層315は、その原料として様々な組成を有するスラリーを使用し得る。
まず、導電性炭素材料および樹脂組成物の混合比が異なる複数種類のスラリーが調製される。導電性炭素材料および樹脂組成物の混合比は、所望する匂い物質受容層315の感度および検知特異性によって適宜設定されればよい。スラリーは、導電性炭素材料および樹脂組成物以外に溶媒、添加剤、および界面活性剤を含んでいてもよい。フィラーおよび樹脂組成物を含む樹脂組成物のスラリー作成/混錬の際には、フィラーおよび樹脂組成物の混合物に、溶媒としてのNMPを複数回に分けて添加し、混錬を繰り返してもよい。なお、混錬の繰り返し回数を多くすることで、匂い物質受容層315の断面における空隙率は低下する。
次に、基板上に電極が配置される。電極は、第1電極および第2電極を備えていてよい。第1電極および第2電極は、平行直線状、平行曲線状、櫛形状、および同心円状に配置されてもよい。また、第1電極および第2電極は、前記のどの形状が採用される場合においても、互いに線対称、または点対称で配置されていることが好ましい。さらに、第1電極および第2電極は平行直線状又は平行曲線状に配置されていることがより好ましい。第1電極および第2電極は、図10および図11に示すような形状となるよう配置されることが特に好ましい。具体的には、第1金属配線313Cが互いに垂直になるようT字状に配された2本の金属配線(313aおよび金属配線313c)によって構成され、第2金属配線313Dが互いに垂直になるようT字状に配された2本の金属配線(313cおよび金属配線313d)によって構成され、第1金属配線313Cと、第2金属配線313Dとは、金属配線313aと、金属配線313cとが向かい合うように平行線状に配置されることが好ましい。このように第1金属配線および第2金属配線が配置されることにより、匂い測定装置100は、気体に含まれる匂い物質を高精度に測定することができる。
続いて、電極が配置された基板上に、複数種類のスラリーのそれぞれを塗布する塗布領域が規定される。塗布領域は、例えば、レジストが配されることによって規定されてもよい。また、塗布工程において、スラリーがノズルから滴下される場合は、塗布領域は、ノズル径に合わせて規定されてもよい。レジストMは、塗布領域330を規定するように配されている。塗布領域330は、基板311がむきだしの状態である。
続いて、複数種類のスラリーのそれぞれが塗布領域330に塗布される。スラリーが塗布される方法は、従来公知の方法を適用可能であり、ノズルから滴下されてもよく、スプレーされてもよく、スピンコートされてもよい。スラリーが塗布される方法は、特にノズルから滴下される方法が好ましく、例えば武蔵エンジニアリング株式会社製のIMAGE MASTER350PCSmartにSUS製金属ニードルノズル(内径0.1mmΦ,外形0.23mm)を使用することで、所望の塗布形状を得ることができる。
最後に、塗布領域330に塗布されたスラリーを乾燥させて、匂い物質受容層315が形成される。スラリーの乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば、赤外線加熱により常圧で100℃、1時間加熱し、その後真空乾燥機内で減圧しながら100℃で1時間加熱する方法を採用することができる。
種々の樹脂組成物とNMPとを混練することで、匂い物質透過層317用の樹脂を溶かした溶液が調整される。なお、混錬の繰り返し回数を多くすることで、匂い物質透過層317の断面における空隙率は低下する。
匂い物質透過層317用の樹脂を溶かした溶液を、乾燥した匂い物質受容層315の上から塗布する。このとき、匂い物質受容層315と匂い物質透過層317との間に隙間が生じないようにする。塗布方法としては、上述した(塗布工程)に記載の方法と同様の方法をとることができる。塗布後の乾燥方法も、上述した(乾燥工程)に記載の方法と同様の方法をとることができる。
推定装置10、10aの制御ブロック(特に制御部1)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
本開示の態様1に係るセンサ素子は、樹脂(A)およびフィラー(B)を含む樹脂組成物を含む匂い物質受容層と、前記匂い物質受容層の少なくとも一部と接している第1金属配線、および該第1金属配線と離間しており、かつ該匂い物質受容層の少なくとも一部と接している第2金属配線と、前記匂い物質受容層の、前記第1金属配線および前記第2金属配線と接している側とは反対側の少なくとも一部を覆う匂い物質透過層と、を備え、匂い物質透過層は、R1-SiO3/2で表される構造、および、R2-SiO1で表される構造の少なくともいずれかを有する組成を含み、前記R1は、炭素数が1以上18以下の炭化水素基である。
以下のものを使用した。
S1:KR-271(メチル/フェニル系シリコーンレジン)
S2:KR-480(メチル/フェニル系シリコーンレジン)
S3:KR-251(メチル系シリコーンレジン)
以上いずれも信越化学工業株式会社製。
以下のものを使用した。
S4:KF3935 (側鎖高級脂肪族アミド変性シリコーンオイル)
S5:X22-3710 (片末端カルボキシル基変性シリコーンオイル)
S6:X22-1877 (側鎖アルキル・アラルキル変性シリコーンオイル)
S7:FL-100-1000cs (フルオロメチル含有変性シリコーンオイル)
S8:KF-6123 (ポリエーテル、水酸基含有変性シリコーンオイル)
以上いずれも信越化学工業株式会社製。
<S9の作成>
ガラスフラスコ内に、FINEDIC FD-305(ポリエステル樹脂)DIC株式会社製100部に対してキシレン300部、KF-101(グリシジル基変性シリコーンオイル)信越化学工業株式会社製20部、ジブチルスズ0.04部を加え、140℃の還流条件下で12時間反応後、冷却してイソプロピルアルコールを徐々に加えて、白濁したところで不要分を濾別し乾固した。NMRにて構造を確認したところ、得られた生成物がポリエステル変性シリコーンオイル(S9)であることが確認された。
Z1:PEG4000(ポリエチレングリコール)富士フィルム和光純薬株式会社製。
A5:モビタールB14S(ポリビニルブチラール樹脂)株式会社クラレ製。
[ポリエステルアミド(A6)の作製]
冷却管、水分離管、加熱冷却装置、温度計、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、キシレン150部と、ポリアリルアミン20%水溶液(ニットーボーメディカル(株)製「PAA-03」、平均分子量約3,000)120部とを仕込み、160℃まで昇温し、水分離管を使用して水を留去した。この際、水と分離したキシレンは反応溶液に返流した。その後、製造例1で得たポリエステル樹脂(PE-1)72部を160℃まで昇温したものを仕込み、2時間160℃で反応を行った。次いで160℃で0.5時間加熱し、キシレンを留去した後、残留する樹脂を取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、ポリエステルアミド樹脂(A6)を得た。ポリエステルアミド樹脂(A6)の数平均分子量(Mn)は10,000で、酸価が0.3mg KOH/gであった。
エタノール、d-リモネン、酢酸エチル、NMP(N-メチルピロリドン)は東京化成工業株式会社製のものを使用した。
CB:カーボンブラックSUPER C65 MTIコーポレーション製。
表1は匂い物質受容層に用いる樹脂組成物(以下、受容層樹脂組成物)1~4に含まれる物質および該物質の組成比を示す。
受容層用樹脂:A1 70重量部
フィラー:CB 30重量部
NMP:400重量部
上述の受容層用樹脂、フィラーおよびNMPを混合した混合物を、自転/公転ミキサー((株)シンキー製ARE-310)を用いて2000回転/分で20分間撹拌して、スラリーとして受容層樹脂組成物1を得た。
表2はセンサ素子(E1-5)~(E-25)と、匂い物質受容層および匂い物質透過層の組成との対応を示す。武蔵エンジニアリング株式会社製のIMAGE MASTER350PCSmartにSUS製金属ニードルノズル(内径0.1mmΦ,外形0.23mm)を取り付けた塗工装置を用いて、作製したセンサ用基板K-1上に、匂い物質受容層を構成した。受容層樹脂組成物1を適量滴下し、金属配線部に塗布した。塗布後、100℃に加熱した循風乾燥機で3時間乾燥させた。
匂い物質受容層および匂い物質透過層を表2に示す組成とすること以外はセンサ素子E1-5を作成した方法と同様の方法で、センサ素子E1-6~E1-13、E1-17、E1-18、E1-20を作製した。
匂い物質透過層用のR1-SiO3/2で表される組成物S1に代えて、匂い物質透過層用のR1-SiO3/2で表される組成物S1を8部と、匂い物質透過層用のR2-SiO1で表される組成物S4~S9それぞれを2部、予め混合した混合物をそれぞれ得た。これらの混合物を用いたこと以外はセンサ素子E1-5を作成した方法と同様の方法で、表2に示す通りの組成を有する匂い物質受容層および匂い物質透過層を備えたセンサ素子E1-14~E1-16、E1-21~E1-24を作製した。
匂い物質受容層の形成のみを行い、匂い物質透過層を形成しないこと以外はセンサ素子E1-5と同様の方法で、センサ素子E1-19を作製した。
匂い物質受容層の形成のみを行い、匂い物質透過層を形成しないこと以外はセンサ素子E1-24と同様の方法で、センサ素子E1-25を作製した。
検体(匂い物質)を導入する導入口および温度調整用のアルミブロック恒温槽を備えた対象試料受入部と、気体供給用の窒素ガスボンベ、マスフローコントローラ、およびセンサチャンバと、を備えた筐体を作製した。対象試料受入部の容積は、センサチャンバの容積の5倍となるように設計した。
アルミラミガスバック(AA-10、ジーエルサイエンス社製)に、エタノール0.01g、d-リモネン0.05g、酢酸エチル0.02gをマイクロシリンジで導入し、続いて窒素ガス10Lを導入した。ガスバックを40℃で3時間放置し、その後室温で9時間放置することで、各種の有機溶剤ガス(1倍)を作製した。さらに、それらのガスを、窒素ガスを用いて下記の希釈倍率で希釈した。
希釈倍率:1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍。
[各種有機溶剤ガスの測定]
実験室内(温度23℃、湿度40%)に設置した匂いセンサ13~33のそれぞれについて、アルミブロック恒温槽を用いて、対象試料受入部内部を30℃に温調した。その後、匂いセンサの導入口に匂い物質(検体)として先に調整しておいた各種各希釈倍率の有機溶剤ガスを1種類ずつ入れた。その後、気体供給用の窒素ガスボンベから窒素を対象試料受入部へ、マスフローコントローラによって1L/minの流量で15秒間流し、センサチャンバを経由し外部に排出した。その後、対象試料受入部を経由せずに、直接窒素ガスボンベからセンサチャンバへ、マスフローコントローラによって1L/minの流量で60秒間流し、そのまま外部に排出した。この操作により、センサ素子に付着した匂い物質を除去した。有機溶剤ガスの導入開始から匂い物質を除去完了までの間、センサ素子に接続されている電圧計の測定値を100Hzのサンプリングレートでコンピュータに記録した。こうして、匂いセンサにおける24個のセンサ素子のそれぞれの電圧値の時間変化を測定した。この匂い測定操作を、匂いセンサごとに16回ずつ繰り返し行った。
各センサ素子について、検体導入前の出力電圧V0および検体導入中の電圧Vの差の最大値ΔVを算出した。この時の出力電圧をVmaxとする。検体導入前の電圧領域と、検体導入中の電圧の最大値領域を含むように、測定期間を設定した。また、ある時点における測定値は、当該時点の前後0.1s分の電圧データの算術平均値を使用した。なお、平均値を取る時間領域は、サンプリングレート(Hz)の逆数の10倍(つまり10点データ分を取得)とすることもできる。また、検体導入前の出力電圧V0に対する測定時の10点データの標準偏差とΔVとの比(ΔVが当該標準偏差の何倍に相当するか)を取った。その比の16回平均が3倍以上であった時に、センサ素子が使用した希釈倍率の検体を検出できたと判断し、センサ素子が検体を検出できなくなるまで希釈倍率を変更した検体を用いた測定を繰り返して検出限界の希釈倍率を得た。また、用意した各検体について、同様の測定を行った。
図13は、Tzを求めるための操作を説明するためのグラフであり、縦軸は電圧値、横軸は時間を示す。図13において、Xは測定された電圧値の変化を示し、T0は対象試料受入部に検体を導入し始めた時間を示す。以下、図13を用いて、繰り返し測定性の評価方法および結果について説明する。センサ素子E1-5~E1-25についてエタノール1.5倍希釈サンプルを用いた測定を行い、得られた時間に対する電圧値をプロットした。得られたプロットに対し、次の1~5に示す処理を行って、Tzを得た。
1.T1を求める。T1はセンサチャンバへの検体導入後に洗浄のため窒素ガスボンベから窒素ガスを流し始めた時間である。
2.プロットに基づき得られるグラフ(例えば、図13に示すグラフ)に対して、検体導入を始めた時間(T0)を通り、電圧値V0よりも高い値で縦軸と接する線L1を設定する。
3.図13の「操作A」に示すように、設定した線L1を、グラフXの下部から漸近させて、ベースライン(電圧値V0を通り横軸と平行な線)に接する。
4.3で得られたL1からの垂直線を引き、グラフXにおけるプロットとの交点を決め、L1とプロットの距離がVmaxの10%となるような線分が引けるプロット上の当該交点に相当する時間(T2)を求める。
5.T2とT1の差をTzとする。
表3に示すように、匂い物質受容層の組成は同じでありながら、R1-SiO3/2で表される構造を有する組成を含む匂い物質透過層を有する実施例1-9と、有さない比較例2では、Tzに大きな違いが見られないものの、実施例群の方が各有機溶剤ガスの希釈倍率が高い結果を示している。したがって、本発明に係る構成を有する実施例1-9に対応するセンサ素子では、測定精度の向上、および、応答性向上を実現できていると言える。また、実施例1-10~1-26に係るセンサ素子も、同様の傾向を示した。
表3に示すように、匂い物質受容層の組成は同じでありながら、匂い物質透過層をR1-SiO3/2の組成で構成された実施例1-9と、それ以外の組成で構成された比較例3では、実施例群の方が各有機溶剤ガスの希釈倍率、Tzともにより良い結果を示している。したがって、本発明に係る構成を有する実施例1-9に係るセンサ素子では、測定精度の向上、および、応答性向上を実現できていると言える。また、実施例1-10~1-26に係るセンサ素子も、実施例1-9に係るセンサ素子と同様の傾向を示した。
表3に示すように、匂い物質受容層の組成は同じでありながら、R1-SiO3/2で表される構造を有する組成を含む匂い物質透過層を有する実施例1-26と、有さない比較例4では、Tzに大きな違いが見られないものの、実施例1-26の方が各有機溶剤ガスの希釈倍率が高い結果を示している。したがって、本発明に係る構成を有する実施例1-26に対応するセンサ素子では、測定精度の向上、および、応答性向上を実現できていると言える。
11 測定値取得部(取得部)
12 変化パターン解析部(解析部)
16 推定部
30 匂いセンサ
31A 複数のセンサ素子(センサ素子群)
31、31b、31c センサ素子
32 定電圧電源(電源)
33 電圧計(測定機器)
100、100a 匂い測定装置
313A、313C 第1金属配線
313B、313D 第2金属配線
315、315c、315d 匂い物質受容層
317 匂い物質透過層
50 対象試料受入部
51 調節部
60 センサチャンバ
80 気体供給部
91、92、93、94 管体
501 第1口
502 第2口
503 試料導入口
Claims (8)
- 樹脂(A)およびフィラー(B)を含む樹脂組成物を含む匂い物質受容層と、
前記匂い物質受容層の少なくとも一部と接している第1金属配線、および該第1金属配線と離間しており、かつ該匂い物質受容層の少なくとも一部と接している第2金属配線と、
前記匂い物質受容層の、前記第1金属配線および前記第2金属配線と接している側とは反対側の少なくとも一部を覆う匂い物質透過層と、
を備え、
匂い物質透過層は、R1-SiO3/2で表される構造、および、R2-SiO1で表される構造の少なくともいずれかを有する組成を含み、
前記R1は、炭素数が1以上18以下の炭化水素基であり、
前記R2は、水素原子、アミド基、メチル基、炭素数1以上12以下のアルキル基、炭素数1以上12以下のアラルキル基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、フルオロメチル基、ポリエステル基、およびポリエーテル基のうちの1または複数の官能基を含み、
前記フィラーは導電性炭素材料または金属粉である、
匂い測定装置用のセンサ素子。 - 前記匂い物質透過層の厚さが0.1μm以上50μm以下の薄膜状である、請求項1に記載の匂い測定装置用のセンサ素子。
- 前記匂い物質受容層に含まれる樹脂(A)は、-SiOn(nは1以上3/2以下)で表される組成を含まない、請求項1に記載の匂い測定装置用のセンサ素子。
- 前記匂い物質受容層の厚さが1μm以上50μm以下の薄膜状である、請求項1に記載の匂い測定装置用のセンサ素子。
- 前記フィラー(B)は、導電性炭素材料である、請求項1に記載の匂い測定装置用のセンサ素子。
- 前記R1は、脂肪族炭化水素基、および芳香族のうちの1または複数の官能基を含む、
請求項1に記載の匂い測定装置用のセンサ素子。 - 前記フィラー(B)の含有量は、前記樹脂(A)と前記フィラー(B)との合計量を100重量%とした場合に、10~50重量%である、
請求項1に記載の匂い測定装置用のセンサ素子。 - 請求項1~7のいずれか1項に記載のセンサ素子を複数備える、
匂い測定装置。
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