以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
[部品実装装置1の全体構成]
図1は、本発明に係る部品実装装置1の装置本体2を示す平面図である。部品実装装置1は、プリント配線基板等の基板Pに部品が実装(搭載)された部品実装基板を生産する装置であり、図1に示す装置本体2と制御部4(図2参照)とを含む。図1では、水平面上において互いに直交するXY直交座標を用いて方向関係が示されている。
装置本体2は、本体フレーム21と、この本体フレーム21上に備えられる基板搬送機構23、部品供給ユニット24、ヘッドユニット25及び部品認識カメラ32とを備える。
基板搬送機構23は、X方向に延びる一対のベルト式のコンベア231を備える。基板Pは、コンベア231により、機外から所定の作業位置(図1に示す位置)に搬入され、部品実装処理が施された後、作業位置から機外へ搬出される。基板搬送機構23は、クランプ機構(図略)を備えており、部品実装処理中、基板Pは、このクランプ機構により作業位置に位置決めされる。
コンベア231同士の間隔は変更可能に構成されている。これによりサイズの異なる基板Pの搬送、ひいてはサイズの異なる部品実装基板の生産が可能となっている。当例では、一方(図1では下側)に位置するコンベア231を基準として他方のコンベア231をY方向に移動させることにより、コンベア231の間隔が変更される。
部品供給ユニット24は、基板Pに実装される部品を供給するユニット領域であり、複数のフィーダ24Fが並設された状態で装着されている。部品供給ユニット24は、本体フレーム21におけるY方向の両端部に基板搬送機構23を挟んで設けられている。フィーダ24Fは、チップ状の部品を供給する例えばテープフィーダである。部品供給ユニット24には、テープフィーダ以外のスティックフィーダやトレイフィーダなどのフィーダ24Fも配置され得る。
ヘッドユニット25は、部品供給ユニット24のフィーダ24Fから部品をピッキングして前記作業位置へ移動し、当該部品を基板Pに実装するツールである。ヘッドユニット25は、ヘッドユニット駆動機構26によりX方向及びY方向に移動可能に設けられている。
ヘッドユニット駆動機構26は、本体フレーム21に各々固定されたY方向に延在する一対の固定レール261と、これら固定レール261に移動自在に支持されたX方向に延在するビーム262と、このビーム262に螺合されて、Y軸サーボモータ263により回転駆動されるボールねじ軸264とを含む。また、ヘッドユニット駆動機構26は、ビーム262に固定されて、ヘッドユニット25をX方向に移動自在に支持する固定レール272と、ヘッドユニット25に螺合されて、X軸サーボモータ274により回転駆動されるボールねじ軸273とを含む。つまり、ヘッドユニット駆動機構26は、X軸サーボモータ274によりボールねじ軸273を介してヘッドユニット25をX方向に移動させ、また、Y軸サーボモータ263によりボールねじ軸264を介してビーム262をY方向に移動させる。この構成により、ヘッドユニット駆動機構26は、本体フレーム21の上方の空間の一定範囲内で、ヘッドユニット25をX方向及びY方向に移動させる。なお、当例では、固定レール272が本発明の「X軸」に相当し、固定レール261が本発明の「Y軸」に相当する。
ヘッドユニット25には、上下方向に延びる軸状の複数の実装ヘッド251と、これら実装ヘッド251を駆動するヘッド駆動機構252(図4に示す)とが備えられている。
ヘッド駆動機構252は、各実装ヘッド251を個別に昇降させる昇降駆動機構と、各実装ヘッド251を各々中心軸回り(R方向)に回転させる回転駆動機構とを含む。各実装ヘッド251の先端には、部品吸着用のノズルが備えられている。各ノズルには、負圧及び正圧が選択的に供給される。これにより、実装ヘッド251による部品の吸着保持及び基板P上への部品のリリース(実装)が行われる。
ヘッドユニット25には、さらに基板認識カメラ253が備えられている。基板認識カメラ253は、CCDやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を備えたカメラ本体と、LED照明等の照明デバイスとを一体に備えた照明一体形カメラである。基板認識カメラ253は、ヘッドユニット25に下向きで備えられており、ヘッドユニット25(実装ヘッド251)と一体に移動して、部品実装処理の際に作業位置に配置された基板Pに記された各種マークを撮像する。また、基板認識カメラ253は、後述する補正用データ取得処理の際に、後記治具基板60に記されている観測点62を撮像する。
部品認識カメラ32は、ヘッドユニット25の各実装ヘッド251に吸着保持された部品を下方から撮像するカメラであり、基板認識カメラ253と同様、CCDやCMOS等の撮像素子を備えたカメラ本体と、LED照明等の照明デバイスとを一体に備えた照明一体形カメラである。部品認識カメラ32は、基板搬送機構23と各部品供給ユニット24との間であってかつX方向における部品供給ユニット24の中央部分に各々上向きに配置されている。
既述の部品実装装置1では、基板Pがコンベア231に沿って作業位置に搬入されると、部品供給ユニット24と作業位置に配置された基板Pとの間をヘッドユニット25が往復しながら、フィーダ24Fから部品を取り出して基板P上の所定位置に実装(搭載)する。この際、各実装ヘッド251に吸着された部品の吸着状態が部品認識カメラ32により撮像され、その認識結果に基づきヘッドユニット25の移動量が補正される。当該基板Pに対して全ての部品の実装が終了すると、作業位置から基板Pが搬出され、次の基板Pが作業位置に搬入される。このような各部の動作の繰り返しにより部品実装基板が生産される。
[部品実装装置1の制御系]
図2は、部品実装装置1の制御系を示すブロック図である。部品実装装置1は、既述の通り制御部4を備えるとともに、部品実装処理等に関する各種情報を表示する表示部50と、制御部4に対する各種指令の入力操作を受ける入力部51(本発明の「指令入力部部」に相当する)とが備えられている。
制御部4は、CPU、ROM、RAM及び周辺回路等を備えて構成されている。制御部4は、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、装置本体2の各構成要素の動作を制御する。制御部4は、主たる機能構成として、実装制御部41、搬送制御部42、部品供給制御部43、撮像制御部44、データ算出部45、記憶部46、及び表示制御部47等を含む。
実装制御部41は、装置本体2による部品実装処理の動作、主にヘッドユニット駆動機構26やヘッド駆動機構252の動作を統括的に制御するとともに、当該制御に伴う各種演算処理を実行する。また、実装制御部41は、部品実装処理とは別に、補正用データ取得処理の動作を制御する。補正用データ取得処理(本発明の「実装準備処理」に相当する)とは、ヘッドユニット25の移動誤差を補正するためのデータを取得するための処理であって、作業位置に配置される治具基板60に設けられる観測点62を基板認識カメラ253で撮像することにより、ヘッドユニット25の移動誤差(ずれ量)を算出する処理である。補正用データ取得処理については後述する。この補正用データ取得処理は、部品実装装置1の稼働前(部品実装基板の生産開始前)や定期メンテナンスの際に実行される。
搬送制御部42は、基板搬送機構23(コンベア231)による基板Pの搬送動作を制御する。部品供給制御部43は、部品供給ユニット24に配列された複数のフィーダ24Fの各々の部品供給処理を制御する。
撮像制御部44は、基板認識カメラ253及び部品認識カメラ32による撮像動作を制御する。また、撮像制御部44は、画像処理部44aを備えており、基板認識カメラ253から出力される画像信号に基づいて基板Pのマーク及び治具基板60の観測点62のデジタル画像を生成するとともに、部品認識カメラ32から出力される画像信号に基づいて部品のデジタル画像を生成する。
データ算出部45は、部品実装処理の際に、部品認識カメラ32が撮像した画像(デジタル画像)に基づき、実装ヘッド251に対する部品の吸着ずれ量を算出し、さらに当該吸着ずれを補正するためのヘッドユニット25の移動補正量を算出する。また、データ算出部45は、補正用データ取得処理において、基板認識カメラ253が撮像した後記観測点62の画像に基づき、当該観測点62の位置におけるヘッドユニット25(実装ヘッド251)の移動誤差を算出するとともに、当該移動誤差を補正するためのヘッドユニット25の移動補正量を算出する。
記憶部46は、部品実装処理や補正用データ取得処理において実行される各種プログラムや、当該プログラムの実行に際して参照される各種データが記憶されている。データ算出部45において算出される前記移動補正量等のデータは、この記憶部46に更新的に記憶される。
表示制御部47は、表示部50による表示を制御し、部品実装処理の状況に応じた各種情報及び画像を表示させるとともに、補正用データ取得処理おける各種情報及び画像を表示させる。なお、表示部50は、液晶表示デバイス等からなり、入力部51は、キーボードやマウス等からなる。また、表示部50及び入力部51は、タッチパネルのように一体的に構成されていてもよい。
[補正用データ取得処理及び部品実装処理(第1実施形態)]
次に、補正用データ取得処理及び部品実装処理の第1実施形態について図3~図7を用いて説明する。
ヘッドユニット25(実装ヘッド251)は、ヘッドユニット駆動機構26の構成要素の寸法精度等により、XY座標軸上において固有の移動誤差を有する。この固有の移動誤差を事前に調べ、部品実装処理において補正することが部品の実装精度を高める上で重要となる。補正用データ取得処理は、このヘッドユニット25の固有の移動誤差を調べるとともに、当該移動誤差を補正するための移動補正量を求める処理である。
補正用データ取得処理には、図3に示すような治具基板60が使用される。図3は、治具基板60を示す平面図である。治具基板60は、ヘッドユニット25の作業エリア内に配置可能な最大サイズ、すなわち部品実装処理が可能な最大サイズの基板Pと同サイズの平面視矩形の金属又は樹脂製の基板である。なお、作業エリアとは、ヘッドユニット25(実装ヘッド251)の可動範囲である。
治具基板60は、例えば、コンベア231に支持され、クランプ機構により作業位置に位置決めされることにより、作業エリア内に配置される。すなわち、基板搬送機構23は、本発明の「治具基板保持部」に相当する。
治具基板60の上面には、X方向及びY方向に一定の間隔で格子状に並んだドット状の複数の観測点62が設けられている。当例では、治具基板60は、X方向にやや細長い長方形であり、X方向の並びを行、Y方向の並びを列として、Y方向にN行、X方向にM列の複数の観測点62が設けられている。
図4は、制御部4による補正用データ取得処理の制御を示すフローチャートである。このフローチャートに示す制御は、治具基板60が作業位置にセットされた後、オペレータが入力部51の操作により制御部4に対して開始指令を入力することにより開始される。なお、補正用データ取得処理が実行される時には、コンベア231の間隔が最大サイズの基板Pに対応する間隔に変更される。これにより、治具基板60を作業位置にセットすることが可能となる。
まず、制御部4は、表示部50を制御し、撮像エリアAr1の設定要求画面を表示させる(ステップS1)。撮像エリアAr1とは、基板認識カメラ253により撮像する観測点62のエリア(本発明の「特定エリア」に相当する)であり、生産対象となる基板Pのサイズや品種等の条件に応じてオペレータが設定する。
図6は、撮像エリアAr1の設定例を示す部品実装装置1の平面略図であり、図6中において符号P2は、部品実装装置1において部品実装処理が可能な最大サイズの基板を示している。治具基板60の形状及びサイズは、この基板P2と同一である。一方、符号P1は、高精度の部品実装が求められる一般的なサイズの基板を示している。例えば、通常、基板P1と同サイズの部品実装基板が生産され、最大サイズの部品実装基板(基板P2)の生産が殆ど行われない場合には、オペレータは、図7に示すように、基板P2に対応するエリアを撮像エリアAr1として設定することができる。なお、図7は、撮像エリアAr1の設定例を示す治具基板60の平面略図である。
なお、表示部50及び入力部51がタッチパネルで構成されている場合には、制御部4は、治具基板60の画像を表示部50に表示させる。ペレータは、表示部50に表示される治具基板の画像のうち、基板P1に対応するエリアの輪郭を指先又はタッチペン等でなぞることにより撮像エリアAr1を設定することができる。
次に、撮像エリアAr1が設定されたか否かを判断し(ステップS3)、ここでYesの場合には、制御部4は、ヘッドユニット25を移動させて、治具基板60の観測点62のうち、ステップS3で設定された撮像エリアAr1(以下、設定エリアAr1と称する場合がある)内の観測点62と、第1行の全観測点62(図7のエリアAr2の観測点62)と、第1列の全観測点62(図7のエリアAr3の観測点62)とを基板認識カメラ253により各々撮像させる(ステップS5)。
なお、第1行の全観測点62と第1列の全観測点62とは、ステップS3で設定される撮像エリアAr1の範囲に拘わらず撮像する。この場合、制御部4は、対象となる観測点62の配置に基づき、最も効率的に(短時間で)観測点62を撮像できる最適ルートを算出し、そのルートに沿ってヘッドユニット25を移動させる。最適ルートは、前記データ算出部45により算出される。また、設定エリアAr1の観測点62と、第1行及び第1列の観測点62(エリアAr2、Ar3の観測点62)とが重複する場合には、重複する観測点62のうち、前記最適ルートの観点から有利な方の観測点62のみが撮像される。第1行及び第1列の重複する観測点62(各々第1番目の観測点62)についても同様である。
次に、対象となる観測点62の全ての撮像が終了した否かを判断する(ステップS7)。ここでYesと判断した場合、制御部4は、設定エリアAr1内の全ての観測点62におけるヘッドユニット25の位置補正量を算出する(ステップS9)。
具体的には、制御部4は、基板認識カメラ253が実際に撮像した撮像エリアAr1内の観測点62の画像の位置とその設計上の位置(例えば撮像視野の中心)との誤差(位置ずれ量)を算出するとともに、その補正量Δnm(ΔXnm、ΔYnm)を算出する。なお、「nm」は、観測点62を特定する番号であり、「n」は図3の行番号、「m」は列番号である。制御部4は、この補正量Δnmを、基板認識カメラ253が実際に撮像した設定エリアAr1内の全ての観測点62について算出する。
次に、制御部4は、設定エリアAr1を除く残りのエリアAr0(設定外エリアAr0と称する場合がある)の観測点62におけるヘッドユニット25の位置補正量を算出する。
(ステップS11)
具体的には、制御部4は、ステップS5の処理で撮像した第1行の観測点62の画像の位置とその設計上の位置との誤差(位置ずれ量)を算出し、その補正量Δ1m(ΔX1m、ΔY1m)を算出する。この補正量Δ1mを、基板認識カメラ253が実際に撮像した第1行の全ての観測点62について算出する。つまり、第1行の各観測点62におけるヘッドユニット25の補正量Δ1m(ΔX1m、ΔY1m)を算出する。
また、制御部4は、ステップS5の処理で撮像した第1列の観測点62の画像の位置とその設計上の位置との誤差(位置ずれ量)を算出するとともに、その補正量Δn1(ΔXn1、ΔYn1)を算出する。この補正量Δn1を、基板認識カメラ253が実際に撮像した第1列の全ての観測点62について算出する。つまり、第1列の各観測点62におけるヘッドユニット25の補正量Δn1(ΔXn1、ΔYn1)を算出する。
そして、制御部4は、第1行の各観測点62の補正量Δ1m(ΔX1m、ΔY1m)と、第1列の各観測点62の補正量Δn1(ΔXn1、ΔYn1)との組合せにより、設定外エリアAr0の各観測点62の補正量Δnm(ΔXnm、ΔYnm)を算出する。つまり、制御部4は、設定外エリアAr0の第n行、第m列に位置する観測点62におけるヘッドユニット25の補正量Δnmを(ΔXnm、ΔYnm)を、次式1、2より算出する。
ΔXnm=ΔX1m+ΔXn1・・・(1)
ΔYnm=ΔY1m+ΔYn1・・・(2)
なお、設定エリアAr1内の観測点62と、第1行及び第1列の観測点62とが互いに重複している場合、重複する観測点62における補正量Δnmは同一である。よって、制御部4は、重複する観測点62についてのステップS11の処理では、ステップS9の処理で求められた補正量Δnmと同じ値を、第1行及び第1列の観測点62の補正量Δnmとする。
既述の補正量Δnmの算出が終了すると、制御部4は、ステップS9、S11の処理で算出した補正量Δnmのデータ(以下、補正データと称する場合がある)を記憶部46に格納して、補正用データ取得処理を終了する。なお、以下の説明では、ステップS9の処理に基づき求められた設定エリアAr1内の補正量Δnmのデータを「設定エリア内補正データ」と称し、ステップS11の処理に基づき求められた設定外エリアAr0の補正量Δnmのデータを「設定エリア外補正データ」と称する場合がある。
次に、制御部4による部品実装処理の制御について説明する。図5は、制御部4による部品実装処理の制御を示すフローチャートである。
部品実装処理が開始されると、制御部4は、基板Pに実装される部品毎に、まず、部品の目標実装位置が設定エリアAr1内か否かを判断する(ステップS21)。正確には、部品の目標実装位置が、基板Pのうち、前記設定エリアAr1に対応するエリア(本発明の「第1エリア」に相当する)内か否かを判断する。ここでYesと判断した場合には、制御部4は、記憶部46に記憶されている補正データのうち、エリア内補正データを参照し、このエリア内補正データに基づき部品実装処理を実行する(ステップS23)。
具体的には、制御部4は、部品の目標実装位置が、設定エリアAr1内の何れかの観測点62の位置と一致するか否かを判断し、一致すると判断した場合には、エリア内補正データのうち、当該観測点62における補正データを参照し、この補正データと目標実装位置とに基づき、ヘッドユニット25の移動動作を制御する。
部品の目標実装位置が、設定エリアAr1内の何れの観測点62とも一致しないと判断した場合には、制御部4は、エリア内補正データのうち、目標実装位置に最寄りの一乃至複数の観測点62における補正データを参照し、この補正データと目標実装位置とに基づきヘッドユニット25の移動動作を制御する。
一方、ステップS21の処理においてNoと判断した場合、すなわち、部品の目標実装位置が設定外エリアAr0(本発明の「第2エリア」に相当する)と判断した場合には、制御部4は、記憶部46に記憶されている補正データのうち、エリア外補正データを参照し、このエリア外補正データに基づき部品実装処理を実行する(ステップS27)。
具体的には、制御部4は、部品の目標実装位置が、設定外エリアAr0の何れかの観測点62の位置と一致するか否かを判断し、一致すると判断した場合には、エリア外補正データのうち、当該観測点62における補正データを参照し、この補正データと目標実装位置とに基づき、ヘッドユニット25の移動動作を制御する。
部品の目標実装位置が、設定外エリアAr0の何れの観測点62とも一致しないと判断した場合には、制御部4は、エリア外補正データのうち、目標実装位置に最寄りの一乃至複数の観測点62における補正データを参照し、この補正データと目標実装位置とに基づきヘッドユニット25の移動動作を制御する。
なお、ステップS23、S27の処理では、制御部4は、部品認識カメラ32が撮像した画像に基づき部品の吸着状態を認識する処理を併せて実行し、部品に吸着ずれがある場合には、この吸着ずれが解消されるように位置補正量を算出し、さらにこの補正量に基づきヘッドユニット25の移動動作を制御する。
部品の実装処理が終了すると、制御部4は、基板Pに対する全部品の部品実装処理が終了したか否かを判断し(ステップS25)、ここで、Noと判断した場合には、制御部4は、処理をステップS21にリターンし、ステップS21~S24の処理を繰り返す。そして、最終的に全部品の部品実装処理が終了したと判断すると(ステップS25でYes)、制御部4は、本フローチャートの制御を終了する。
なお、当例では、治具基板60が作業位置にセットされる工程が、本発明の「治具基板準備工程」に相当する。また、図4のステップS5、S7の処理が、本発明の「観測点撮像工程」に相当し、ステップS9~S11の処理が、本発明の「ずれ量算出工程」に相当し、図5のステップS21~S27の処理が、本発明の「部品実装処理」に相当する。
[作用効果]
以上説明した部品実装装置1によれば、補正用データ取得処理において事前に撮像する観測点62は、図7に示した通り、治具基板60の全観測点62のうち、オペレータが設定した設定エリアAr1の観測点62と、第1行(エリアAr2)の全観測点62と、第1列(エリアAr3)の全観測点62とであり(ステップS5)、その他の観測点62は撮像されない。そのため、治具基板60の全観測点62を撮像する場合に比べて、観測点62の撮像時間が短縮される。
しかも、既述の設定エリアAr1は、高精度の部品実装が求められる一般的なサイズの基板Pに対応しており、この設定エリアAr1については全ての観測点62が実際に撮像され(ステップS5)、観測点62毎に補正データが算出される(ステップS9)。そして、部品の目標実装位置が設定エリアAr1内にある場合には、実際に撮像された観測点62毎の補正データ(設定エリア内補正データ)に基づき、ヘッドユニット25の移動動作が制御される(ステップS23)。これにより、設定エリアAr1に対応するサイズの基板Pに対しては、設定エリア内補正データに基づく高い精度の部品実装処理が可能となる。
従って、既述の部品実装装置1によれば、求められる部品の実装位置精度を確保しながら、ヘッドユニット25(実装ヘッド251)の補正用データ取得処理に要する時間を合理的に短縮することが可能となる。
なお、設定エリアAr1よりも大きいサイズの部品実装基板が生産される場合には、当該基板Pのうち、設定エリアAr1に対応する領域以外の領域(設定外エリアAr0)は、設定エリア外補正データに基づきヘッドユニット25の移動動作が制御される(ステップS27)。設定エリア外補正データは、実際には撮像していない観測点62における補正量Δnmを、実際に撮像した第1行の各観測点62の補正量Δ1m(ΔX1m、ΔY1m)と第1列の各観測点62の補正量Δn1(ΔXn1、ΔYn1)との組合せにより近似したデータである。よって、設定エリアAr1に対応する領域以外の領域についても、支障なく部品の実装処理を行うことが可能である。
なお、既述の実施形態では、主たる生産対象である部品実装基板(基板P1)に対応するエリアを撮像エリアAr1として設定した場合について説明した。つまり、当該基板P1については、設定エリア内補正データに基づきヘッドユニット25の移動動作が制御され(ステップS25)、また、基板P1よりもサイズの大きい基板(例えば最大サイズの基板P2)の場合、基板P2のうち設定エリアAr1に対応する領域以外の領域(設定外エリアAr0)については、設定エリア外補正データに基づきヘッドユニット25の移動動作が制御される(ステップS27)例について説明した。
しかし、上記部品実装装置1の運用例として、例えば、図8、図9に示すように撮像エリアAr1を設定することもできる。図8は、撮像エリアAr1の他の設定例を示す部品実装装置1の平面略図であり、図9は、撮像エリアAr1の他の設定例を示す治具基板60の平面略図である。
例えば、図8に示すように、基板P(最大サイズの基板P2と同サイズとする)が、その一部に、他のエリアPa3に比べて高精度の部品実装が求められるエリアPa1、Pa2(高精度エリアPa1、Pa2という)を含む場合には、図9に示すように、治具基板60のうち、高精度エリアPa1、Pa2に対応するエリアを各々撮像エリアAr1として設定することもできる。
このようにすれば、当該基板Pのうち、高精度エリアPa1、Pa2の部品実装処理については、設定エリア内補正データに基づきヘッドユニット25の移動動作が制御され(ステップS23)、高精度エリアPa1、Pa2以外のエリアPa3の部品実装処理については、設定エリア外補正データに基づきヘッドユニット25の移動動作が制御される(ステップS25)。従って、当該基板Pの各エリアPa1~Pa3において各々求められる部品の実装精度を確保しながら、補正用データ取得処理に要する時間を合理的に短縮することが可能となる。
[補正用データ取得処理及び部品実装処理(第2実施形態)]
次に、補正用データ取得処理及び部品実装処理の第2実施形態について図10~図13を用いて説明する。
図10は、制御部4による補正用データ取得処理の制御を示すフローチャートである。このフローチャートに示す制御も、治具基板60が作業位置にセットされた後、オペレータが入力部51の操作により制御部4に対して開始指令を入力することにより開始される。
まず、制御部4は、ヘッドユニット25を移動ささせて、治具基板60の観測点62のうち、予め設定された特定の行(特定行)に属する全ての観測点62を基板認識カメラ253により各々撮像させる(ステップS41)。具体的には、図12に示すように、制御部4は、第1行から2行間隔(3行毎)の各行、つまり、第1行、第4行、第7行…第As行の各行[As=1+(s-1)×3;sは1以上の整数]の観測点62を撮像させる。なお、図12に示す例では、治具基板60には、20行25列の合計500個の観測点62が設けられている。
次に、特定行に属する観測点62の撮像が終了したか否かを判断し(ステップS43)、ここで、Yesと判断した場合には、制御部4は、ヘッドユニット25をさらに移動させ、治具基板60の観測点62のうち、予め設定された特定の列(特定列)に属する全ての観測点62を基板認識カメラ253により各々撮像させる(ステップS45)。具体的には、図12に示すように、制御部4は、第1列から2列間隔(3列毎)の各列、つまり、第1列、第4列、第7列…第Ar列の各列[Ar=1+(r-1)×3;rは1以上の整数]の観測点62を撮像させる。
なお、ステップS41、45の処理において、制御部4は、対象となる観測点62の配置に基づき、最も効率的に(短時間で)観測点62を撮像できる最適ルートを算出し、そのルートに沿ってヘッドユニット25を移動させる。最適ルートは、前記データ算出部45により算出される。また、各行及び各列の互いに重複する観測点62(列と行の交差位置の観測点62)ついては、何れか一方の観測点62のみを撮像する。これにより、図12に示すように、治具基板60の観測点62のうち、前記特定行及び前記特定列の観測点62(図12中に黒丸で示す観測点62)のみを撮像する。
次に、制御部4は、特定列に属する観測点62の撮像が終了したか否かを判断し(ステップS47)、ここで、Yesと判断した場合には、ステップS41、S43で撮像した観測点62の画像に基づき各観測点62におけるヘッドユニット25の位置補正量を算出する(ステップS49)。具体的には、制御部4は、第1実施形態の補正用データ取得処理のステップS9(図4)の処理と同様にして、各観測点62における補正量Δnm(ΔXnm、ΔYnm)を算出する。
補正量Δnmの算出が終了すると、制御部4は、ステップS49の処理で算出した補正量Δnmのデータ(以下、補正データと称する場合がある)を記憶部46に格納して、補正用データ取得処理を終了する。
次に、制御部4による部品実装処理の制御について説明する。図11は、制御部4による部品実装処理の制御を示すフローチャートである。
部品実装処理が開始されると、制御部4は、基板Pに実装される部品毎に、まず、部品の目標実装位置が、特定行又は特定列のライン上にあるか否か、すなわち、基板Pのうち、図10のステップS41、S45で撮像された観測点62を結ぶ格子状のラインに対応する位置に目標実装位置があるか否かを判断する(ステップS61)。
ここでYesと判断した場合には、制御部4は、処理をステップS65に移行し、目標実装位置における位置補正量を算出する。例えば、部品の目標実装位置が、図10のステップS41、S45で撮像された観測点62の位置と一致する場合には、制御部4は、記憶部46に記憶されている補正データのうち、当該観測点62に対応する補正データを当該目標実装位置におけるヘッドユニット25の補正データとする。他方、部品の目標実装位置が、図10のステップS41、S45で撮像された観測点62の位置と一致しない場合には、制御部4は、記憶部46に記憶されている特定行又は特定列の各観測点62に対応する補正データのうち、当該目標実装位置に最寄りの一乃至複数の観測点62に対応する補正データに基づき、当該目標搭載位置におけるヘッドユニット25の位置補正量を算出する。
一方、ステップS61の処理でNoと判断した場合、すなわち、部品の目標実装位置が、特定列又は特定行のライン上に無いと判断した場合、制御部4は、特定列又は特定行のうち、部品品の目標実装位置を囲む、観測点62の行及び列を選定する。
図13は、部品の目標実装位置と観測点62との位置関係の一例を示す模式図である。図13は、部品Cの目標実装位置が、図10のステップS41、S45で撮像された観測点62の行及び列(図12参照)のうち、第4行及び第7行と、第7列及び第10列とで囲まれている場合を示している。このような場合、制御部4は、ステップS63の処理において、第4行及び第7行と、第7列及び第10列とを選定した後、処理をステップ65に移行する。なお、部品Cの目標実装位置が基板Pの端部や角部である場合には、目標位置を囲む観測点62の行及び列の数は、3つ又は2つでもよい。
ステップS63の処理を経由した場合のステップS65の処理では、制御部4は、まず、ステップS63で選定した行及び列(第4行及び第7行、第7列及び第10列)に属する観測点62のうち、部品Cの目標実装位置に最寄りの一乃至複数の観測点62を特定する。そして、記憶部46に記憶されている補正データのうち、当該観測点62に対応する補正データに基づき、部品Cの目標実装位置におけるヘッドユニット25の位置補正量を算出する。例えば、図13に示すように、部品Cの目標搭載位置が、第5行第8列の観測点62の位置にある場合、制御部4は、第1実施形態の図4のステップS11の処理(式1、2)に準じて、第4行第8列に位置する観測点62における補正データと、第5行第7列の観測点62における補正データとに基づき補正量Δnmを算出する。
ステップS65の処理において位置補正量が算出されると、制御部4は、算出した位置補正量(補正データ)と目標搭載位置とに基づき、ヘッドユニット25の移動を制御することにより、部品実装処理を実行する(ステップS67)。
部品の実装処理が終了すると、制御部4は、基板Pに対する全部品の部品実装処理が終了したか否かを判断し(ステップS69)、ここで、Noと判断した場合には、制御部4は、処理をステップS61にリターンし、ステップS61~S69の処理を繰り返す。そして、最終的に全部品の部品実装処理が終了したと判断すると(ステップS69でYes)、制御部4は、本フローチャートの制御を終了する。
なお、当例では、治具基板60が作業エリア内にセットされる工程が、本発明の「治具基板準備工程」に相当する。また、図10のステップS41~S47の処理が、本発明の「観測点撮像工程」に相当し、ステップS49の処理が、本発明の「ずれ量算出工程」に相当し、図5のステップS61~S69の処理が、本発明の「部品実装処理」に相当する。
以上説明した部品実装装置1(第2実施形態)によれば、補正用データ取得処理において事前に撮像する観測点62は、図12に示した通り、治具基板60の全観測点62のうち、特定行及び特定列の各観測点62であり、その他の観測点62は撮像されない。そのため、治具基板60の全観測点62を撮像する場合に比べて、観測点62の撮像時間が短縮される。
しかも、部品実装処理時には、前記特定列及び特定行のうち、部品の目標実装位置を囲む行及び列が選定され、当該特定列及び特定行に属する観測点62のうち最寄りの一乃至複数の観測点62に対応する補正データに基づき、目標実装位置における位置補正量が算出される。そして、当該位置補正量に基づきヘッドユニット25の移動動作が制御される(ステップS65、S67)。従って、基板Pに対する部品の実装精度も確保される。
従って、第2実施形態のような補正用データ取得処理及び部品実装処理によれば、第1実施形態と同様に、求められる部品の実装位置精度を確保しながら、ヘッドユニット25(実装ヘッド251)の補正用データ取得処理に要する時間を合理的に短縮することが可能となる。
なお、図10の補正用データ取得処理では、予め設定された特定列及び特定行の観測点62を基板認識カメラ253により撮像している(ステップS41~S47)。しかし、予め設定された特定列及び特定行の観測点62を基板認識カメラ253により撮像する代わりに、第1実施形態の補正用データ取得処理と同様に、オペレータが、基板認識カメラ253により撮像させる行及び列の観測点62を入力部51の操作により任意に設定できるようにしてもよい。
この構成によれば、部品実装基板のうち、例えば、相対的に高い実装精度が求められる基板Pについては、特定行及び特定列の各々間隔を相対的に狭く設定することにより、図11のステップS65で求められる補正データの精度を高めることができる。逆に、そこまで高い実装精度が求められない基板Pについては、特定行及び特定列の各々間隔を相対的に広く設定することにより、図10のステップS41~S47の処理に要する時間をより短縮することができる。
以上説明した部品実装装置1及び当該部品実装装置1において実行される部品実装方法は、本発明に係る部品実装装置及び部品実装方法の好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成及び方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、第1実施形態の補正用データ取得処理(図4)では、エリア外補正データを作成するために(ステップS11)、ステップS5の処理で第1行及び第1列の観測点62を基板認識カメラ253により各々撮像している。しかし、エリア外補正データを作成するために撮像する観測点62は、第1行と第1列の各観測点62には限定されない。例えば第10行と第15列の各観測点62など、他の列及び行の観測点62であってもよい。要は、一行分及び一列分の観測点62を基板認識カメラ253により撮像すればよい。
また、このように一行分及び一列分の観測点62を基板認識カメラ253により撮像してエリア外撮像データを作成する以外に、二行分の観測点62と一列分の観測点62とを撮像してエリア外撮像データを作成するようにしてもよい。例えば、第1行及び第10行の観測点62と第1列の観測点62とを撮像してエリア外撮像データを作成するようにしてもよい。この場合、第1行~第9行に対応するエリアの補正量Δnmを、第1行及び第1列の観測点62の撮像結果に基づき算出し、第10行以上に対応するエリアの補正量Δnmを、第10行及び第1列の観測点62の撮像結果に基づき算出することができる。同様に、一行分の観測点と二列分の観測点とを撮像し、又は二行分の観測点と二列分の観測点とを撮像してエリア外撮像データを作成するようにしてもよい。
また、エリア外撮像データを作成する場合、実際に撮像した複数行(<N)の観測点62の補正データから1行分の補正データを算出する、又は実際に撮像した複数列(<M)の観測点62の補正データから1列分の補正データを算出するようにしてもよい。具体的には、例えば、第1行の観測点62から求めた補正量Δ1m(補足データ)と、第1行と所定間隔を隔てた第10行の観測点62の補正量Δ10m(補足データ)とから仮想のY行、1行分の観測点の補正量Δymを算出し、この仮想のY行、1行分の観測点の補正量Δymを用いてエリア外撮像データを作成するようにしてもよい。同様に、例えば、第1列の観測点62から求めた補正量Δn1(補足データ)と、第1列と所定間隔を隔てた第10列の観測点62の補正量Δn10(補足データ)とから仮想のX列、1列分の観測点の補正量Δnxを算出し、この仮想のX列、1列分の観測点の補正量Δnxを用いてエリア外撮像データを作成するようにしてもよい。なお、仮想のY行の観測点の補正量Δymや、仮想のX列の観測点の補正量Δnxは、例えば前記補足データの平均値とすることができる。
また、第2実施形態の補正用データ取得処理(図10)では、予め設定された特定列及び特定行の観測点62として、第1行から2行間隔(3行毎)の各行の観測点62と、第1列から2列間隔(3列毎)の各列の観測点62を基板認識カメラ253により撮像している。しかし、撮像する観測点62の行及び列の間隔は、既述のような2行間隔及び2列間隔には限定されない。また、撮像する観測点62の行の間隔と列の間隔とは互いに異なっていてもよく、生産対象となる部品実装基板のサイズや品種によって適宜選定することができる。
実施形態では、治具基板60として、部品実装装置1で生産可能な最大サイズの基板と同サイズの治具基板60を用いているが、それよりも小さい治具基板60を用いてもよい。この場合には、治具基板60を移動させながら、図4及び図10を用いて説明した補正用データ取得処理を複数回実施するようにすればよい。