JP7805952B2 - 塩化ビニル樹脂組成物及びその製造方法、並びに成形体 - Google Patents
塩化ビニル樹脂組成物及びその製造方法、並びに成形体Info
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Description
例えば、特許文献1には、ポリ塩化ビニル樹脂、微細セルロース繊維又はその改質物、及び可塑剤を含有してなるポリ塩化ビニル樹脂組成物が記載されている。特許文献1のポリ塩化ビニル樹脂組成物は、高温下においても優れた強度を維持することに加えて低温下では柔軟性が損なわれず、かつ、伸縮性にも優れるとされている。
具体的には、本発明は以下の手段を提供する。
ナノセルロース及び塩化ビニル樹脂を含む塩化ビニル樹脂組成物であって、
前記ナノセルロースが、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物である酸化セルロースに由来し、かつ、N-オキシル化合物を実質的に含まない、塩化ビニル樹脂組成物。
[2]
前記ナノセルロースのゼータ電位が、-30mV以下である、[1]に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[3]
前記ゼータ電位が、-70mV以上である、[2]に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[4]
前記ナノセルロースが固形分濃度として0.1質量%である水混合液における光透過率が、95%以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[5]
前記酸化セルロースの重合度が、600以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[6]
前記酸化セルロースのカルボキシ基量が、0.10mmol/g以上である、[5]に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[7]
前記ナノセルロースの含有量が、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下である、[1]~[6]のいずれかに記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[8]
さらに金属石鹸を含む、[1]~[7]のいずれかに記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[9]
前記金属石鹸の含有量が、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である、[8]に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[10]
前記ナノセルロースが、金属石鹸、アミン、及び四級アンモニウムから選択させる少なくとも一種により変性されたナノセルロース変性体を含む、[1]~[9]のいずれかに記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[11]
[1]~[10]のいずれかに記載の塩化ビニル樹脂組成物の製造方法であって、
ナノセルロースと塩化ビニル樹脂の原料モノマーとを含む混合物を用い、塩化ビニル樹脂の原料モノマーを重合する工程を含む、製造方法。
[12]
ナノセルロース及び塩化ビニル樹脂を含む塩化ビニル樹脂組成物の製造方法であって、
酸化セルロースと塩化ビニル樹脂の原料モノマーとを含む第一の混合物を撹拌することにより、ナノセルロースと塩化ビニル樹脂の原料モノマーとを含む第二の混合物を得る工程、及び
第二の混合物を用い、塩化ビニル樹脂の原料モノマーを重合する工程、を含み、
前記酸化セルロースが、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含む、製造方法。
[13]
ナノセルロース及び塩化ビニル樹脂を含む塩化ビニル樹脂組成物の製造方法であって、
酸化セルロースを撹拌し、連続して塩化ビニル樹脂の原料モノマーを添加することにより、ナノセルロースと塩化ビニル樹脂の原料モノマーとを含む混合物を得る工程、及び
前記混合物を用い、塩化ビニル樹脂の原料モノマーを重合する工程、を含み、
前記酸化セルロースが、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含む、製造方法。
[14]
前記酸化セルロースが、N-オキシル化合物を実質的に含まない、[12]又は[13]に記載の製造方法。
[15]
前記酸化セルロースの重合度が、600以下である、[12]~[14]のいずれかに記載の製造方法。
[16]
前記重合の方法が、乳化重合又は懸濁重合である、[12]~[15]のいずれかに記載の製造方法。
[17]
前記重合工程の後、さらに金属石鹸を添加して混錬する工程を含む、[12]~[16]のいずれかに記載の製造方法。
[18]
[1]~[10]のいずれかに記載の塩化ビニル樹脂組成物の製造方法であって、
ナノセルロースと塩化ビニル樹脂とを含む混合物を乾燥する工程を含む、製造方法。
[19]
ナノセルロース及び塩化ビニル樹脂を含む塩化ビニル樹脂組成物の製造方法であって、
酸化セルロースと塩化ビニル樹脂とを含む第一の混合物を撹拌することにより、ナノセルロースと塩化ビニル樹脂とを含む第二の混合物を得る工程、及び
第二の混合物を乾燥する工程、を含み、
前記酸化セルロースが、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含む、製造方法。
[20]
ナノセルロース及び塩化ビニル樹脂を含む塩化ビニル樹脂組成物の製造方法であって、
酸化セルロースを撹拌し、連続して塩化ビニル樹脂を添加することにより、ナノセルロースと塩化ビニル樹脂とを含む混合物を得る工程、及び
前記混合物を乾燥する工程、を含み、
前記酸化セルロースが、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含む、製造方法。
[21]
前記酸化セルロースが、N-オキシル化合物を実質的に含まない、[19]又は[20]に記載の製造方法。
[22]
前記酸化セルロースの重合度が、600以下である、[19]~[21]のいずれかに記載の製造方法。
[23]
前記乾燥工程の後、さらに金属石鹸を添加して混錬する工程を含む、[19]~[22]のいずれかに記載の製造方法。
[24]
[1]~[10]のいずれかに記載の塩化ビニル樹脂組成物を含む、成形体。
[25]
窓枠用成形体である、[24]に記載の成形体。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、ナノセルロースを含む。
上記ナノセルロースは、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物である酸化セルロースに由来し(言い換えると、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物である酸化セルロースの解繊物を含み)、かつ、N-オキシル化合物を実質的に含まない。
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、粉末、ペレット、あるいは塊をそのまま成形する等して使用してもよい。また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、粉末、ペレット、あるいは塊のものを、当該塩化ビニル樹脂組成物と配合する対象の樹脂(以下、原料樹脂ともいう)とを混合して使用してもよい。塩化ビニル樹脂組成物を原料樹脂と配合する場合、当該塩化ビニル樹脂組成物を樹脂改質用組成物ともいう。
すなわち、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、そのものを樹脂とする態様も、樹脂改質用組成物の態様も包含する。
本発明におけるナノセルロースは、次亜塩素酸又はその塩によってセルロース系原料を酸化して、酸化セルロース(すなわち、上記セルロース系原料の酸化物に相当する)へと誘導することを経て得られる。この製造方法において得られるナノセルロースは、酸化セルロースが容易に解繊される特性(易解繊性)を発現することができ、大きなエネルギー負荷をかけることなく十分に解繊が進行する。このようなナノセルロースは、低コストで得ることができ効率的に作製できる。そのため、本発明の塩化ビニル樹脂組成物も効率的に得ることができる。
また、本発明におけるナノセルロースは、分散性が高い。このナノセルロースを塩化ビニル樹脂と複合させると、塩化ビニル樹脂中に均一にナノセルロースが分散した樹脂組成物が得られると考えられる。その結果、強度、具体的には、曲げ弾性率に優れる塩化ビニル樹脂が得られる。
本発明におけるナノセルロースは、次亜塩素酸又はその塩によってセルロース系原料を酸化して得られる酸化セルロースを微細化したものである。ここで、上記酸化セルロースは、セルロース系原料の酸化物ともいうことができる。したがって、本発明におけるナノセルロースは、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物に由来する。なお、植物の主成分はセルロースであり、セルロース分子が束になったものがセルロースミクロフィブリルと称される。セルロース系原料中のセルロースもまた、セルロースミクロフィブリルの形態で含まれている。
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、ナノセルロースを含むが、酸化セルロースを解繊処理して微細化させたものを配合することによって製造することもでき、塩化ビニル樹脂組成物を調製時に酸化セルロースを原料として用い、調製中に該酸化セルロースを微細化してナノセルロースとすることによって製造することもできる。したがって、塩化ビニル樹脂組成物中のナノセルロースは、適宜の時点で微細化されたものである。
N-オキシル化合物の含有量は、公知の手段で測定することができる。公知の手段としては、微量全窒素分析装置を用いる方法が挙げられる。具体的には、酸化セルロース又はナノセルロース中のN-オキシル化合物由来の窒素成分は、微量全窒素分析装置(例えば、三菱ケミカルアナリテック社製、装置名:TN-2100H等)を用いて窒素量として測定することができる。
本発明におけるナノセルロースは、後述する[ナノセルロースの製造方法]にて詳細を述べるように次亜塩素酸又はその塩を用いる酸化反応を経て製造することができ、以下のゼータ電位及び光透過率を満たすことが好ましい。ゼータ電位及び光透過率は、ナノセルロースとなっていることの指標とすることもできる。
本発明におけるナノセルロースは、ゼータ電位が-30mV以下であることが好ましい。ゼータ電位が-30mV以下(すなわち、絶対値が30mV以上)であると、ミクロフィブリル同士の反発が十分に得られ、解繊されたときに表面電荷密度が高いナノセルロースが生じやすくなる。これにより、ナノセルロースの分散安定性が向上し、スラリーとしたときの粘度安定性、ハンドリング性に優れたものとなる。
ゼータ電位が-100mV以上(すなわち、絶対値が100mV以下)の場合には、酸化の進行に伴う繊維方向の酸化切断が抑制される傾向にあるため、均一なサイズのナノセルロースを得ることができ、乳化重合又は懸濁重合において、水中でナノセルロースが安定でかつ分散性が高まり、得られた塩化ビニル樹脂組成物にはナノセルロースが均一に含まれる傾向にある。そのため、塩化ビニル樹脂中で凝集が少なく均一に分散して強度が高まる傾向にある。
具体的には、後述する実施例に記載の条件に従い測定することができる。
本発明における繊維幅が細くて凝集物が少ないナノセルロースを分散媒中に分散させたナノセルロース分散体は、ナノセルロースの光散乱等が少なく、高い光透過率を示すことができる。具体的には、本発明におけるナノセルロースは、水と混合して固形分濃度0.1質量%とした混合液における光透過率が95%以上である。当該光透過率は、より好ましくは96%以上であり、さらに好ましくは97%以上である。なお、光透過率は、分光光度計により測定した波長660nmでの値である。
具体的には、後述する実施例に記載の条件に従い測定することができる。
上記ナノセルロース及び上記酸化セルロースのカルボキシ基量は、0.10mmol/g以上であることが好ましい。当該カルボキシ基量が0.10mmol/g以上であると、酸化セルロースに十分な易解繊性を付与することができる。これにより、温和な条件によって解繊処理を行った場合にも、品質が均一化されたナノセルロース含有スラリーを得ることができ、スラリーの粘度安定性、ハンドリング性を向上させることができる。一方、カルボキシ基量が2.0mmol/g未満であることが好ましい。カルボキシ基量が2.0mmol/g未満であると、解繊時にセルロースが過度に分解することを抑制でき、粒子状のセルロースの比率が少なく品質が均一なナノセルロースを得ることができる。これによって、分散性が向上し、ナノセルロースを含む塩化ビニル樹脂組成物の強度を高めることができると考えられる。こうした観点から、ナノセルロース及び酸化セルロースのカルボキシ基量は、より好ましくは0.35mmol/g以上であり、更に好ましくは0.40mmol/g以上であり、よりさらに好ましくは0.42mmol/g以上であり、さらにより好ましくは0.50mmol/g以上であり、一層好ましくは0.50mmol/g超過であり、より一層好ましくは0.55mmol/g以上であり、さらに一層好ましくは0.60mmol/g以上である。カルボキシ基量の上限については、より好ましくは1.5mmol/g以下であり、さらに好ましくは1.2mmol/g以下であり、よりさらに好ましくは1.0mmol/g以下であり、さらにより好ましくは0.9mmol/g以下である。カルボキシ基量の好ましい範囲は、既述の上限及び下限を適宜組み合わせることにより定めることができる。上記ナノセルロース及び酸化セルロースのカルボキシ基量は、より好ましくは0.35~2.0mmol/gであり、さらに好ましくは0.35~1.5mmol/gであり、よりさらに好ましくは0.40~1.5mmol/gであり、さらにより好ましくは0.50~1.2mmol/gであり、一層好ましくは0.50超過~1.2mmol/gであり、より一層好ましくは0.55~1.0mmol/gである。
カルボキシ基量=a(ml)×0.05/ナノセルロース又は酸化セルロース質量(g)
すなわち、固体13C-NMRスペクトルにおける165ppm~185ppmの範囲のピークにベースラインを引いて、全体の面積値を求めた後、ピークトップで面積値を垂直分割して得られる2つのピーク面積値の比率(大きな面積値/小さな面積値)を求め、該ピーク面積値の比率が1.2以上であればブロードなピークであるといえる。
また、上記ブロードなピークの有無は、165ppm~185ppmの範囲のベースラインの長さLと、上記ピークトップからベースラインへの垂線の長さL’との比によって判断することができる。すなわち、比L’/Lが0.1以上であれば、ブロードなピークが存在すると判断できる。上記比L’/Lは、0.2以上であってもよく、0.3以上であってもよく、0.4以上であってもよく、0.5以上であってもよい。比L’/Lの上限値は特に制限されないが、通常3.0以下あればよく、2.0以下であってもよく、1.0以下であってもよい。
また、上記グルコピラノース環の構造は、Sustainable Chem. Eng. 2020, 8, 48, 17800-17806に記載の方法に準じて解析することにより決定することもできる。
なお、平均繊維長及び平均繊維幅は、ナノセルロースの濃度が概ね1~10ppmとなるようにナノセルロースと水とを混合し、十分希釈したナノセルロース水分散体をマイカ基材上で自然乾燥させ、走査型プローブ顕微鏡を用いてナノセルロースの形状観察を行い、得られた像より任意の本数の繊維を無作為に選択し、形状像の周囲長÷2=繊維長、形状像の断面高さ=繊維幅とすることにより算出した値である。平均繊維幅及び平均繊維長は、ナノセルロースの水分散体を用いて測定してもよく、ナノセルロースと塩化ビニルモノマーとを含む水分散体を用いて測定してもよい。
平均繊維長及び平均繊維幅は、具体的には、ナノセルロースの水分散液を純水で例えば1000~1000000倍に希釈し、それをマイカ基材上で自然乾燥させ、オックスフォード・アサイラム製走査型ブローブ顕微鏡「MFP-3D infinity」を用いて、ACモードで、ナノセルロースの形状観察を行うことができる。
繊維長については、得られた画像を画像処理ソフトウェア「ImageJ」を用いて二値化し解析を行うことができる。繊維100本以上について、繊維長=「周囲長」÷2として平均繊維長を求められる。
繊維幅については、「MFP-3D infinity」に付属されているソフトウェアを用いて、繊維50本以上について、形状像の断面高さ=繊維幅として平均繊維幅を求められる。
金属石鹸としては、上述の金属石鹸を含む市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、サンエース製のRZ-161、RZ-162、MDZ-CP-102、FTZ-111、SCI-HSA-M1、SAK-CS-P、SAK-CS-G、SAK-CS-P-1/USP、SAK-CS-PPT、SAK-CS-GPT-1、SAK-CS-POF、SAK-CS-PLB、SAK-CS-PC、SAK-ZS-P、SAK-ZS-TB、SAK-ZS-PLB500、SAK-ZS-TPS、SAK-ZS-TBPS、SAK-MS-P、SAK-MS-P/USP、SCI-HCS、SCI-HCS-SG、SCI-HCS-AB、SCI-HZS、SCI-HMS、SCI-ZNB、SAK-NAS-P、SAK-KS-CP、SAK-ZL-P、SCI-LIS、FerricStearate83X、堺化学工業のLHR-200シリーズ、LHR-300シリーズ、LHR-400シリーズ、日東化成工業のHT-シリーズ、PSLシリーズ、SRシリーズ、TRシリーズ等が挙げられる。
滑剤としては、特に制限されず、例えば、ステアリルアルコール等が挙げられる。
次に、ナノセルロースの製造方法について説明する。本発明におけるナノセルロースは、セルロース系原料を次亜塩素酸又はその塩で酸化して酸化セルロースを得る工程Aと、必要に応じて酸化セルロースを解繊する工程Bとを含む方法により製造することができる。
本発明におけるナノセルロースは、工程Bを行うことなく得ることもできる。すなわち、本発明におけるナノセルロースは、次亜塩素酸又はその塩によりセルロース系原料を酸化し、前記酸化の後、解繊処理を実質的に行うことなく、ナノセルロースを得る工程を含む製造方法によっても製造することもできる。
また、本発明におけるナノセルロースは、塩化ビニル樹脂又は塩化ビニル樹脂の原料モノマーの存在下で酸化セルロースを解繊する方法によっても得られる。すなわち、塩化ビニル樹脂の製造中にナノセルロースとしてもよい。
セルロース系原料は、セルロースを主体とする材料であれば特に限定されず、例えば、パルプ、天然セルロース、再生セルロース、及びセルロースを機械的処理することにより解重合した微細セルロース等が挙げられる。セルロース系原料としては、パルプを原料とする結晶セルロース等の市販品をそのまま使用することができる。その他、おからや大豆皮等、セルロース成分を多量に含む未利用バイオマスを原料としてもよい。また、使用する酸化剤を原料パルプの中に浸透しやすくする目的で、予めセルロース系原料を適度な濃度のアルカリで処理してもよい。
解繊処理することなく酸化によってナノセルロースを得る観点から、酸化反応の反応時間は、30分以上とすることが好ましい。酸化反応の反応時間は、解繊をより進行させる観点から、より好ましくは2時間以上、さらに好ましくは3時間以上である。酸化反応の反応時間の上限は、特に制限されず、適宜調整すればよい。反応時間の上限は、通常15日以下であり、10日以下であってもよく、7日以下であってもよい。反応時間の上限は、生産性の観点からは、好ましくは30時間以下、より好ましくは20時間以下である。
本発明の製造方法では、酸化により得られた溶液を用いて、ろ過等の公知の固液分離を必要に応じて行うことが好ましい。したがって、本発明の製造方法の一態様は、次亜塩素酸又はその塩を用いてセルロース系原料を酸化し、前記酸化の後、解繊処理を実質的に行うことなく、得られた反応混合物を必要に応じて固液分離して、ナノセルロースを含む分散液を得る工程を含む。ここでいう固液分離とは、固形分と液相とを分離する操作を意味し、ナノセルロースを含む分散液が液相に相当する。
本発明のこの一態様において、固液分離を行うことがより好ましい。固液分離を行うことにより、微細化されていない酸化セルロースを固形分として回収することができる。この微細化されていない酸化セルロース(すなわち、固液分離による固形分)は、再利用してさらに酸化反応を行うか、解繊処理の工程に供して微細化してもよい。
精製の方法は、分散液中のナノセルロース以外の不純物を除く手段であれば特に制限されない。不純物としては、酸化反応等に由来する塩成分や、酸化反応が過度に進行した結果として得られる粒子状のセルロース、可溶成分等が挙げられる。精製の具体的な方法としては、一般的な手法、例えば、透析チューブに分散液を入れて不純物を水などに抜き出す方法や、電気透析、各種のクロマトグラフィー(分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等のクロマトグラフィー)等が挙げられる。
本発明におけるナノセルロースは、上記で得られた酸化セルロースを解繊して微細化することにより得てもよい。酸化セルロースを解繊する方法としては、マグネチックスターラー等を用いた弱い撹拌による方法、機械的解繊による方法等が挙げられる。
液中分散機としては、特に限定されず、例えば、ホモミキサー、マグネチックスターラー、撹拌棒、撹拌翼付き撹拌機、ディスパー型ミキサー、ホモジナイザー、外部循環撹拌、自転公転撹拌機、振動型撹拌機、超音波分散機等を用いる方法が挙げられる。また、液中分散機としては、上述した装置の他、回転せん断型撹拌機、コロイドミル、ロールミル、圧力式ホモジナイザー、容器駆動型ミル、媒体撹拌ミル等も挙げることができる。さらに、液中分散機としては、ニーダーを用いることができる。
回転せん断型撹拌機とは、回転翼と外筒との間隙へ撹拌対象物を通すことにより分散する装置であり、間隙でのせん断流れと前後の強度な速度変動により分散する。
コロイドミルは、回転ディスクと固定ディスクとの間の間隙でのせん断流れにより分散する装置である。ロールミルは、複数の回転するロール間の間隙を利用したせん断力と圧縮力により分散する。
圧力式ホモジナイザーとは、細孔から高圧でスラリー等を吐出する分散機として用いられ、圧力噴射式分散器とも呼ばれる。上記圧力式ホモジナイザーとしては、高圧ホモジナイザーが好ましい。高圧ホモジナイザーとは、例えば10MPa以上、好ましくは100MPa以上の圧力でスラリーを吐出できる能力を有するホモジナイザーをいう。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、マイクロフルイダイザー、湿式ジェットミル等の対向衝突型高圧ホモジナイザーが挙げられる。
容器駆動型ミルは、容器内中のボール等の媒体の衝突、摩擦により分散する装置であり、具体的には、回転ミル、振動ミル、及び遊星ミル等がある。媒体撹拌ミルは、ボールやビーズ等の媒体を用い、媒体の衝撃力とせん断力により分散する装置であり、具体的には、アトライター及びビーズミル(サンドミル)等がある。
ニーダーとは、粉体等を液体でぬらす操作(ニーディングあるいは捏和ともいう)を行う装置であり、具体的には、双腕型捏和機(2つの半円柱形の容器内で二軸の混合翼によって分散する装置である);バンバリーミキサー(密閉系、加圧下で分散する装置である);スクリュー押し出し機、コニーダー、エクストルーダー等の押出型捏和機;等がある。
これらの装置は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塩化ビニル樹脂組成物に含まれる塩化ビニル樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニルと他のビニルモノマーとの共重合体等を挙げることができる。
他のビニルモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン等のα-オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸類;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル等のアクリル酸またはメタクリル酸のエステル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の塩化ビニル以外のハロゲン化ビニル類;N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のN-置換マレイミド類等が挙げられる。
これらのポリ塩化ビニル樹脂は、市販品や塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の方法に従って調製したものを用いることができる。また、アクリル系ゴム変性塩化ビニル樹脂の如きゴム変性塩化ビニル樹脂も含まれる。
塩化ビニル樹脂の平均重合度は、500~3000が好ましく、500~2000がより好ましく、500~1500がさらに好ましい。塩化ビニル樹脂の平均重合度が500以上であることにより、得られる成形体の機械特性がより向上する傾向にある。一方、塩化ビニル樹脂の平均重合度が3000以下であることにより、塩化ビニル樹脂組成物の加工性がより良好となる傾向にある。
塩化ビニル樹脂の平均重合度の値は、メーカーのカタログ、又は、公知のMark-Houwink-桜田の式等を用いて得られる値である。
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、例えば、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物に由来するナノセルロースと塩化ビニル樹脂とを配合することによって製造することができ、製造方法は特に制限されない。また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含む酸化セルロースを用いることによって製造することができる。
すなわち、本発明の態様の一つは、ナノセルロースを含む塩化ビニル樹脂組成物の製造方法であって、酸化セルロースと塩化ビニル樹脂の原料モノマーとを含む第一の混合物を撹拌することにより、ナノセルロースと塩化ビニル樹脂の原料モノマーとを含む第二の混合物を得る工程、第二の混合物を用い、重合する工程を含み、前記酸化セルロースが、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含む、製造方法である。
すなわち、本発明の態様の一つは、ナノセルロースを含む塩化ビニル樹脂組成物の製造方法であって、ナノセルロースと塩化ビニル樹脂の原料モノマーとを含む混合物を用い、重合する工程を含み、前記ナノセルロースが、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含む、製造方法である。また、本発明の態様の一つは、ナノセルロースを含む塩化ビニル樹脂組成物の製造方法であって、前記酸化セルロースを撹拌し、連続して塩化ビニル樹脂の原料モノマーを添加することにより、前記ナノセルロースと塩化ビニル樹脂の原料モノマーとを含む混合物を得る工程、前記混合物を用い、重合する工程を含み、前記酸化セルロースが、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含む、製造方法。
また、本発明の一態様は、ナノセルロースを含む塩化ビニル樹脂組成物の製造方法であって、酸化セルロースと塩化ビニル樹脂とを含む第一の混合物を撹拌することにより、ナノセルロースと塩化ビニル樹脂とを含む第二の混合物を得る工程、第二の混合物を乾燥する工程を含み、前記酸化セルロースが、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含む、製造方法である。
さらに、本発明の一態様は、ナノセルロースを含む塩化ビニル樹脂組成物の製造方法であって、前記酸化セルロースを撹拌し、連続して塩化ビニル樹脂を添加することにより、前記ナノセルロースと塩化ビニル樹脂とを含む混合物を得る工程、前記混合物を乾燥する工程を含み、前記酸化セルロースが、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含む、製造方法である。
ここで乾燥方法としては特に限定されないが、例えば、熱風乾燥、及び噴霧乾燥等が挙げられる。
液中分散機としては、前記(工程B:解繊処理)にて述べたものが挙げられる。
このような装置を用いた撹拌により酸化セルロースの微細化を進めることができるが、ナノセルロース含有組成物の構成成分が均一化や乳化されるまで撹拌を行ってもよい。これにより、ナノセルロース含有組成物中にナノセルロースが均一に分散し、また、ナノセルロース含有組成物を乳化物として得ることもできる。
塩化ビニル樹脂組成物と添加剤との混錬の方法は特に制限されず、上記の方法により得られた塩化ビニル樹脂組成物に添加剤を添加し、好ましくは50℃~300℃の範囲で加熱しながら、混錬することが好ましい。混錬には、公知の混錬機を用いることができ、例えば、プラストミル等を用いることができる。添加剤と共に混錬された塩化ビニル樹脂組成物は、そのままの状態で用いても、所望の形状(粉末状、ビーズ状、ペレット状等)に成形してもよい。
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、用途等の目的に応じて適宜成形し、成形品を作製することができる。本発明の態様の一つは、本発明の塩化ビニル樹脂組成物より作製された、成形品である。本発明の成形品の用途は、特に制限されず、例えば、塩化ビニル樹脂の公知の用途が挙げられるが、例えば、窓枠等の建材、パイプ、雨樋、異型成形品、自動車材料、玩具、文房具等の雑貨、OA機器、家電機器等の材料として有用である。これらの中でも、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、窓枠用が好適である。
ビーカーに、有効塩素濃度が42質量%である次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶を350g入れ、純水を加えて撹拌し、有効塩素濃度を21質量%とした。そこへ、35質量%塩酸を加えて撹拌し、pH11の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を得た。
上記次亜塩素酸ナトリウム水溶液を新東科学社製の撹拌機(スリーワンモータ、BL600)にてプロペラ型撹拌羽根を使用して200rpmで撹拌しながら恒温水浴にて30℃に加温した後、セルロース系原料として、ティーディーアイ社の粉末パルプ(VP-1)を50g加えた。
セルロース系原料を供給後、同じ恒温水槽で30℃に保温しながら、48質量%水酸化ナトリウムを添加しながら反応中のpHを11に調整して、2時間、撹拌機にて同条件で撹拌を行った。
反応終了後、遠心分離(1000G、10分間)及びデカンテーション、除いた液に相当する量の純水を追加、を繰り返すことにより、酸化セルロースAの分散液(固形分濃度10%)を回収した。
ここで、固形分濃度は、得られた酸化セルロースの分散液を110℃で2時間乾燥して乾燥物の質量から、(乾燥物の質量/酸化セルロースの分散液の質量)×100の式から算出した。
(次亜塩素酸ナトリウム水溶液中の有効塩素濃度の測定)
次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶を純水に加えた水溶液0.582gを精密に量り、純水50mLを加え、ヨウ化カリウム2g及び酢酸10mLを加え、直ちに密栓して暗所に15分間放置した。15分間の放置後、遊離したヨウ素を0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液(溶液ファクター1.000)で滴定した結果(指示薬 デンプン試液)、滴定量は34.55mLであった。別に空試験を行い補正し、0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液1mLが3.545mgClに相当するので、次亜塩素酸ナトリウム水溶液中の有効塩素濃度は21質量%であった。
製造例1で得られた酸化セルロースAを含む分散液36.9gに0.5mol/L塩酸0.52gを添加して撹拌し、セルロースナノファイバーAを沈殿させた。ここにモノドデシルアミン0.034g(エタノール5gを含む、以下同様)と純水4.13gを加えて撹拌、濾過、純水10gで洗浄しながら濾過をこの順に実施して、酸化セルロースをモノドデシルアミンと反応させた酸化セルロースBの分散液(固形分濃度10%)を得た。
製造例1で得られた酸化セルロースAを含む分散液100gに、予めステアリン酸マグネシウム(脂肪酸金属多価塩)0.4部を2-プロパノール100mLに溶解し、30分間攪拌した溶液を添加し、その後、業務用(家庭用)ミキサーで攪拌し、エバポレータで粉末状になるまで溶媒を除去して酸化セルロースC(固形分濃度99%)を得た。
(カルボキシ基量の測定)
酸化セルロースの濃度を0.5質量%に調整した酸化セルロース水分散体60mlに、0.1mol/L塩酸水溶液を加えてpH2.5にした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、pHが11.0になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が穏やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下記式を用いてカルボキシ基量(mmol/g)を算出した。
カルボキシ基量=a(ml)×0.05/酸化セルロースの質量(g)
pH10に調整した水素化ホウ素ナトリウム水溶液に酸化セルロースを加え、25℃で5時間、還元処理を行った。水素化ホウ素ナトリウム量は、酸化セルロース1gに対して0.1gとした。還元処理後、吸引ろ過にて固液分離、水洗を行い、得られた酸化セルロースを凍結乾燥させた。純水10mlに乾燥させた酸化セルロース0.04gを加えて2分間撹拌した後、1mol/L銅エチレンジアミン溶液10mlを加えて溶解させた。その後、キャピラリー型粘度計にて25℃でブランク溶液の流下時間とセルロース溶液の流下時間測定した。ブランク溶液の流下時間(t0)とセルロース溶液の流下時間(t)、酸化セルロースの濃度(c[g/ml])から次式のように相対粘度(ηr)、比粘度(ηsp)、固有粘度([η])を順次求め、粘度測の式から酸化セルロースの重合度(DP)を計算した。
ηr=η/η0=t/t0
ηsp=ηr-1
[η]=ηsp/(100×c(1+0.28ηsp))
DP=175×[η]
(1)試料管:ジルコニア製管(4mm径)
(2)磁場強度:9.4T(1H共鳴周波数:400MHz)
(3)MAS回転数:15kHz
(4)パルスシーケンス:CPMAS法
(5)コンタクトタイム:3ms
(6)待ち時間:5秒
(7)積算回数:10000~15000回
(8)測定装置:JNM ECA-400(日本電子社製)
また、第6位に係る、セルロース系原料の固体13C-NMRと、酸化セルロースの固体13C-NMRとのスペクトルデータの変化が見られなかったことから、第6位の水酸基は酸化されず、酸化セルロースにおいて水酸基のままであると判断した。
ジャケット及び攪拌機を備えた内容量25リットルのステンレス鋼製重合反応器を脱気したのち40℃の温水150部と製造例1の酸化セルロースAの分散液(固形分濃度10%)を20部仕込んだのち、ジャケットに温水を通じて重合反応器内温を30℃まで昇温し、1分間当たり9000回転の回転速度で10分間攪拌した。一部分を取り出して酸化セルロースAは解繊されてナノセルロース(ナノセルロースAとも記載する)となったことを光透過率及びゼータ電位の測定で確認した。ナノセルロースAの光透過率は、95.03%であり、ゼータ電位は、-42.3mVであった。続いて塩化ビニルモノマー100部を仕込んだ。なお、上記撹拌は、塩化ビニルモノマーの存在下で行うこともでき、すなわち、塩化ビニルモノマーと製造例1の酸化セルロースAの分散液とを含む混合物を、ジャケットに温水を通じて重合反応器内温を30℃まで昇温し、1分間当たり9000回転の回転速度で10分間攪拌することによっても、塩化ビニルモノマーとナノセルロースAとの混合物が得られた。
次いで、鹸化度約80モル%、平均重合度約2000の部分鹸化ポリ酢酸ビニル0.1部、t-ブチルパーオキシネオデカノエイト0.03部、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート0.01部を仕込み、重合温度57℃で約6時間重合した。重合反応器内の未反応モノマーを回収したのち重合反応器を冷却し、スラリーを払い出した。得られたスラリーを脱水して熱風乾燥機にて55℃で24時間乾燥し、塩化ビニル樹脂/ナノセルロースAの複合体を白色粉末として得た。
次いで、得られた塩化ビニル樹脂/ナノセルロースAの複合体100部に対し、金属石鹸であるCa-Zn系金属石鹸としてステアリン酸カルシウム塩とステアリン酸亜鉛塩の混合物(株式会社サンエース製)3部、滑剤(カルコール86:花王(株)製、ステアリルアルコール)1.0部を配合しプラストミルを用いて加熱混練した。プラストミルによる混練温度は190℃とし、混練時間は2分間とした。その後、加圧機を用いて190℃で2分間加圧し、混練物を平板状とした。圧力は最初の1分を10MPa、次の1分を15MPaとした。得られた平板状の混練物を用いてJIS K 6251:2010に規定する3号ダンベル(厚さ4mm)形状の試験片を作製した。この試験片を用いた3点曲げ試験の結果を表2に記す。
製造例1で用いた酸化セルロースAの分散液(固形分濃度10%)を20部と水150部をホモミキサーで1分間当たり9000回転の回転速度で10分間攪拌して混ぜ合わせた。一部分を取り出して酸化セルロースAは解繊されてナノセルロース(ナノセルロースAとも記載する)となったことを光透過率及びゼータ電位測定で確認した。ナノセルロースAの光透過率は、95.03%であり、ゼータ電位は、-42.3mVであった。
そのナノセルロースAの水分散液に市販の塩化ビニル系樹脂パウダー(平均粒子径:1.4μm、重合度:1000)100部を加えて撹拌機で1分間当たり200回転の回転速度で6時間攪拌した。
それを回転円盤式のスプレードライヤーを用い、熱風温度110℃、出口温度50℃で噴霧乾燥し、塩化ビニル重合樹脂/ナノセルロースAの複合体を白色粉末として得た。
次いで得られた塩化ビニル重合樹脂/ナノセルロースAの複合体100部に対し、金属石鹸である鉛系熱金属石鹸(NSP-R:NIケミテック(株)製)3部、滑剤(カルコール86:花王(株)製、ステアリルアルコール)1.0部を配合しプラストミルを用いて加熱混練した。プラストミルによる混練温度は190℃とし、混練時間は2分間とした。その後、加圧機を用いて190℃で2分間加圧し、混練物を平板状とした。圧力は最初の1分を10MPa、次の1分を15MPaとした。得られた平板状の混練物を用いてJIS K 6251:2010に規定する3号ダンベル(厚さ4mm)形状の試験片を作製した。この試験片を用いた3点曲げ試験の結果を表2に記す。
酸化セルロースAの分散液を酸化セルロースBの分散液(固形分濃度10%)に変えたことと、金属石鹸を実施例1で用いたステアリン酸カルシウム塩とステアリン酸亜鉛塩の混合物(株式会社サンエース製)に替えたこと以外は、実施例2と同様に試験片を作製した。この試験片を用いた3点曲げ試験の結果を表2に記す。
20部の酸化セルロースAの分散液を2部の酸化セルロースC(固形分濃度99%)に変えたことと、金属石鹸を実施例1で用いたステアリン酸カルシウム塩とステアリン酸亜鉛塩の混合物(株式会社サンエース製)に変えたこと以外は、実施例2と同様に試験片を作製した。この試験片を用いた3点曲げ試験の結果を表2に記す。
(ゼータ電位測定)
ナノセルロースの水分散体に純水を加えて、ナノセルロースの濃度が0.1%になるように希釈した。希釈後のナノセルロースの水分散体に、0.05mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH8.0に調整して、大塚電子社製ゼータ電位計(ELSZ-1000)によりゼータ電位を20℃で測定した。
ナノセルロースの水分散体に純水を加えて、ナノセルロースの濃度が0.1%になるように希釈した。希釈後のナノセルロースの水分散体を10mm厚の石英セルに入れて、分光光度計(JASCO V-550)により波長660nmの光透過率を測定した。
(3点曲げ試験)
試験片を用いて3点曲げ試験を行った。具体的には、実施例1~4の試験片を用いてJIS K 7171:2016に規定する曲げ試験(試験速度:5mm/分、支点間距離:30mm)を行い、曲げ弾性率(MPa)を測定した。酸化セルロース並びにナノセロースを未添加の試験片をブランクとして曲げ弾性率が20%以上向上したものを〇とした。
セルロース系原料として、針葉樹パルプ(SIGMA-ALDRICH社 NIST RM 8495,bleached kraft pulp)を5mm角にハサミで切断し、大阪ケミカル社製「ワンダーブレンダー WB-1」にて、25,000rpmで1分間処理して、綿状に機械解繊した。
TEMPOを0.048g及び臭化ナトリウムを0.3gビーカーに入れ、純水を加えて撹拌して水溶液とし、上記機械解繊した針葉樹クラフトパルプを3.0g加えた。
上記水溶液をスターラーで撹拌しながら恒温水浴にて25℃に加温した後、0.1mol/L水酸化ナトリウムを加えて撹拌し、pH10.0の水溶液とした。そこへ、有効塩素濃度13.2質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液7.74gを加え、同じ恒温水槽で25℃に保温した状態で、0.1mol/L水酸化ナトリウムを添加しながら反応中のpHを10.0に調整して、120分間スターラーで撹拌を行った。
反応終了後、目開き0.1μmのPTFE製メンブランフィルターを使用して、吸引ろ過により生成物を固液分離して得られたろ過上物に、純水を加えて酸化セルロースDの分散液(固形分濃度10%)を約30g得た。酸化セルロースDのカルボキシ基量は1.55mmol/gであった。また酸化セルロースD中のN-オキシル化合物由来の窒素成分を、微量全窒素分析装置(三菱ケミカルアナリテック社製、装置名:TN-2100H)を用いて窒素量として測定し、原料パルプからの増加分を算出した結果、5ppmであった。得られた酸化セルロースDに水150部をホモミキサーで1分間当たり9000回転の回転速度で10分間攪拌して混ぜ合わせた。その一部分を取り出して直ちに光透過率を測定したところ光透過率は60%未満であった。それを1日放置したところ上澄み液が確認された。
すなわち、参考例における酸化セルロースは解繊性が低く、塩化ビニルに配した場合には異物となり、外観不良や強度低下の恐れがあることから塩化ビニル樹脂の製造には適さないことが明らかとなった。
Claims (10)
- ナノセルロース及び塩化ビニル樹脂を含む塩化ビニル樹脂組成物であって、
前記ナノセルロースが、グルコピラノース環の第2位及び第3位の水酸基が酸化されてカルボキシ基が導入された構造を有し、
前記ナノセルロースのゼータ電位が、-30mV以下である、
塩化ビニル樹脂組成物。 - 前記ゼータ電位が、-70mV以上である、
請求項1に記載の塩化ビニル樹脂組成物。 - 前記ナノセルロースが固形分濃度として0.1質量%である水混合液における光透過率が、95%以上である、
請求項1又は2に記載の塩化ビニル樹脂組成物。 - 前記ナノセルロースの含有量が、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物。 - さらに金属石鹸を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物。 - 前記金属石鹸の含有量が、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である、
請求項5に記載の塩化ビニル樹脂組成物。 - 前記ナノセルロースが、金属石鹸、アミン、及び四級アンモニウムから選択させる少なくとも一種により変性されたナノセルロース変性体を含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物。 - 請求項1~7のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物の製造方法であって、
ナノセルロースと塩化ビニル樹脂の原料モノマーとを含む混合物を用い、塩化ビニル樹脂の原料モノマーを重合する工程を含む、製造方法。 - 請求項1~7のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物を含む、成形体。
- 窓枠用成形体である、請求項9に記載の成形体。
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