JP7812974B2 - エッチング方法 - Google Patents
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Description
本発明は、エッチング方法に関し、特に、半導体素子である3Dメモリー等の窒化シリコン膜の除去の工程に用いる等方的なドライエッチング方法のプロセス技術に関する。
半導体デバイスでは、低消費電力化や記憶容量増大に対する要求のため、更なる微細化、およびデバイス構造の3次元化が進んでいる。3次元構造のデバイスの製造では、構造が立体的で複雑であるため、ウエハ面に対して垂直方向にエッチングを行う「垂直性(異方性)エッチング」に加え、横方向にもエッチングが可能な「等方性エッチング」が多用されるようになる。等方性のエッチングとしては、薬液を用いたウエット処理を行ってきたが、微細化の進展により、薬液の表面張力によるパタン倒れや微細な隙間のエッチング残りの問題が顕在化している。さらには、大量の薬液処理が必要なことも環境負荷の観点やコストの点で問題である。そのため、等方性エッチングでは、薬液を用いたウエット処理から薬液を用いないドライ処理に置き換える必要が生じている。
半導体デバイス中では、窒化シリコン膜が多く使われることから、そのドライエッチングプロセスも、フッ化水素(HF)ガスを使い、なおかつプラズマを用いない公知例が知られている。例えば、特許文献1には、ウエハ温度60℃以上200℃以下で、フッ化水素ガスを供給して、熱酸化膜に損傷を与えることなく、窒化シリコン膜をエッチングする方法が記載されている。また、特許文献2には、チャンバー内の圧力を1333Pa以上にして、温度10~120℃でフッ化水素ガスを供給し、窒化シリコン膜を酸化シリコン膜に対して選択的にエッチングする方法が記載されている。
HFガスに別の成分を加えた公知例として、特許文献3には、一酸化窒素(NO)ガスまたは/およびオゾンガスとHFガスを供給し、これにより窒化シリコン膜を選択的にエッチングする方法が記載されている。また、特許文献4には、含フッ素カルボン酸とHFガスを含む混合ガスを100℃未満かつプラズマレスで接触させ、これにより窒化シリコン膜をエッチングする方法が記載されている。
HFガス以外のフッ素含有ガスでエッチングするものとして、特許文献5には、三フッ化塩素(ClF3)ガスにより、窒化シリコン膜を酸化シリコン膜に対して選択的にエッチングする方法が示されている。また、特許文献6には、フッ化ニトロシル(FNO)、三フッ化窒素オキシド(F3NO)、フッ化ニトロイル(FNO2)及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるフッ素含有エッチングガスにより、選択的に窒化シリコン膜をエッチングする方法が示されている。さらに、特許文献7には、臭素又はヨウ素とフッ素との化合物であるハロゲンフッ化物を含有するエッチングガスで、1Pa以上80kPa以下の圧力下でプラズマを用いずに窒化シリコン膜をエッチングすることが示されている。
何らかのプラズマによるラジカルを使うものとして、特許文献8には、フッ素含有ガスとアルコールガスとO2ガスと不活性ガスとを外部のプラズマで励起した状態で供給し、これにより窒化シリコン膜をシリコンおよび/または酸化シリコン膜に対して選択的にエッチングする方法が記載されている。また、特許文献9には、HとFを含むガスを導入する工程と、処理空間に不活性ガスのラジカルを選択的に導入する工程とを含む窒化シリコン膜の選択的にエッチング方法が示されている。さらに、特許文献10には、-20℃以下で、プラズマにより生成した酸素を含む前駆体とフッ素を含む前駆体を用いて、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜が積層した構造から窒化シリコン膜を選択的に横方向にエッチングすることが記載されている。
また、特許文献6、特許文献10には、3Dメモリーである3D-NANDデバイスの窒化シリコン膜と酸化シリコン膜が多層で積層した構造に形成された、高アスペクト比の開口部の側壁から窒化シリコン膜を選択的に横方向にエッチングすることが記載されている。
また、特許文献11には、窒化シリコン膜上にできるケイフッ化アンモニウム[(NH4)2SiF6]、フッ化水素アンモニウム[NH4HF2]等をランプなどにより、加熱して除去することが示されている。
例えば、三次元構造の半導体素子である3D-NANDフラッシュメモリの積層膜加工やFin型FETのゲート周りの加工においては、窒化シリコン膜を多結晶シリコン膜や酸化シリコン膜に対して高選択かつ等方的に、原子層レベルの制御性でエッチングする技術が求められる。中でも3D-NAND構造では、酸化シリコン膜(SiO2膜)と窒化シリコン膜(SiN)が交互に多数積層されていて、そこに深い穴形状や溝形状が形成された構造から、窒化シリコン膜を選択的に等方的に横方向に少量エッチングする工程が存在する。
背景技術で示したように、フッ酸水溶液やバッファードフッ酸水溶液によるウエットエッチングでは、微細な隙間のエッチング残りの問題や、エッチングの制御性が悪いという問題がある。また、ラジカルを用いたドライエッチングでは、活性種である反応性の高いラジカルの供給が律速となるため、深い穴形状や溝形状の場合、その表面に近いトップ部の窒化シリコン膜のエッチング量が大きく、底部に近いボトム部での窒化シリコン膜のエッチング量が小さくなり、エッチング量のトップ-ボトム差が生じる問題があった。また、プラズマを用いないガスエッチングの場合、酸化シリコン膜に対して、高い選択比で窒化シリコン膜を高精度にエッチングすることが難しく、残したい酸化シリコン膜部分の形状が劣化する問題があった。また、深い穴形状や溝形状の場合、反応生成物がトップ部で再付着するなどして、トップ部の窒化シリコン膜のエッチング量が小さく、エッチング量のトップ-ボトム差を生じる問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、残したい酸化シリコン膜の形状の劣化を起こさないで、酸化シリコン膜に対して窒化シリコン膜を高選択、高精度にエッチングでき、さらに窒化シリコン膜のエッチング量のトップ-ボトム差が小さくなる方法を提供する。
本発明の一態様に係るエッチング方法は、処理室内に配置されたウエハ上に予め形成された、窒化シリコン膜が酸化シリコン膜に上下に挟まれて積層された膜層の端部が溝または穴の側壁を構成する膜構造を、前記処理室内に処理用の気体を供給してプラズマを用いない状態でエッチングするドライエッチング方法であって、
(a)所定の温度でフッ化水素ガスを反応させて、窒化シリコン膜上に反応層を形成する工程、
(b)極性溶媒のガスを流して、前記(a)の工程で形成した前記反応層を処理する工程、
(c)フッ化水素ガスを流さない状態で、前記(a)の工程よりも高い温度で加熱を行い、前記(a)の工程で形成し前記(b)の工程で処理した前記反応層を揮発させて除去を行う工程、を有し、
前記(a)の工程、前記(b)の工程および前記(c)の工程を繰り返して複数回行うことで、前記窒化シリコン膜を前記端部から横方向にエッチングする。
(a)所定の温度でフッ化水素ガスを反応させて、窒化シリコン膜上に反応層を形成する工程、
(b)極性溶媒のガスを流して、前記(a)の工程で形成した前記反応層を処理する工程、
(c)フッ化水素ガスを流さない状態で、前記(a)の工程よりも高い温度で加熱を行い、前記(a)の工程で形成し前記(b)の工程で処理した前記反応層を揮発させて除去を行う工程、を有し、
前記(a)の工程、前記(b)の工程および前記(c)の工程を繰り返して複数回行うことで、前記窒化シリコン膜を前記端部から横方向にエッチングする。
また、本発明の他の一態様に係るエッチング方法は、処理室内に配置されたウエハ上に予め形成された、窒化シリコン膜が酸化シリコン膜に上下に挟まれて積層された膜層の端部が溝または穴の側壁を構成する膜構造を、前記処理室内に処理用の気体を供給してプラズマを用いない状態でエッチングするドライエッチング方法であって、
(a)所定の温度でフッ化水素ガスを反応させて、窒化シリコン膜上に反応層を形成する工程、
(d)極性溶媒のガスを流しながら、フッ化水素ガスを流さない状態で、前記(a)の工程よりも高い温度で加熱を行い、前記(a)の工程で形成した前記反応層を揮発させて除去を行う工程、を有し、
前記(a)の工程および前記(d)の工程を繰り返して複数回行うことで、前記窒化シリコン膜を前記端部から横方向にエッチングする。
(a)所定の温度でフッ化水素ガスを反応させて、窒化シリコン膜上に反応層を形成する工程、
(d)極性溶媒のガスを流しながら、フッ化水素ガスを流さない状態で、前記(a)の工程よりも高い温度で加熱を行い、前記(a)の工程で形成した前記反応層を揮発させて除去を行う工程、を有し、
前記(a)の工程および前記(d)の工程を繰り返して複数回行うことで、前記窒化シリコン膜を前記端部から横方向にエッチングする。
本発明によれば、残したい酸化シリコン膜の形状の劣化を起こさないで、酸化シリコン膜に対して窒化シリコン膜を高選択、高精度にエッチングでき、さらに窒化シリコン膜のエッチング量のトップ-ボトム差が小さくなる方法を提供することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
本発明は、半導体素子である3Dメモリー等の窒化シリコン膜の除去の工程に用いる等方的なドライエッチング方法のプロセス技術に関する。本発明者は、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)により形成された窒化シリコン膜、および酸化シリコン膜のそれぞれの単層膜、及び後述する積層膜にスリットを校正するサンプルについて、プラズマを用いないフッ化水素ガス(HF)によるドライエッチングの検討を行った。以下の説明では、本発明に係るドライエッチング方法として、処理室内に配置されたウエハ上に予め形成された、窒化シリコン膜が酸化シリコン膜に上下に挟まれて積層された膜層の端部が溝または穴の側壁を構成する膜構造(図10、図11を参照)を、処理室内に処理用の気体(フッ化水素ガス、極性溶媒ガス)を供給してプラズマを用いない状態でエッチングするドライエッチング方法について説明する。
[エッチング処理装置の構成例1]
まず、図3を用いて本発明の実施例1に係るエッチング処理装置100の全体構成を含めて概略を説明する。エッチング処理装置100の処理室1はベースチャンバー(チャンバーとも言う)11により構成され、その中には試料としてのウエハ2を載置するためのウエハステージ(ステージ、載置台とも言う)3が設置されている。処理室1の上側の中心部にはシャワープレート23が設置されており、処理ガスはシャワープレート23を介して処理室1へ供給される。
まず、図3を用いて本発明の実施例1に係るエッチング処理装置100の全体構成を含めて概略を説明する。エッチング処理装置100の処理室1はベースチャンバー(チャンバーとも言う)11により構成され、その中には試料としてのウエハ2を載置するためのウエハステージ(ステージ、載置台とも言う)3が設置されている。処理室1の上側の中心部にはシャワープレート23が設置されており、処理ガスはシャワープレート23を介して処理室1へ供給される。
処理ガスはマスフローボックス50内に、ガス種毎に設置されたマスフローコントローラー52によって供給流量が調整される。また、マスフローコントローラー52の下流側にはガス分配器51が設置されており、処理室1を上側から見た場合において、処理室1の中心付近に供給するガスと外周付近に供給するガスの流量や組成をそれぞれ独立に制御して供給できるようにし、処理ガスの分圧の空間分布を詳細に制御できるようにしている。図3では、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、ヘリウム(He)、フッ化水素(HF)、及び極性溶媒のガスとしてアルコールであるメタノール(CH3OH)を図に記載してある。なお、これら以外の他の処理ガスも供給することもできる。特に極性溶媒としては、水や、エタノール、イソプロパノールなどを用いることもできる。ただし、水を用いる場合は、0℃以下では凍結するので、ウエハステージ3のステージ温度として、0℃より高い温度を用いることが必要となる。
処理室1の下部には、処理室1を減圧するため、真空排気配管16によって、排気手段15が接続されている。排気手段(排気装置)15は、例えば、ターボ分子ポンプやメカニカルブースターポンプやドライポンプで構成されるものとする。また、処理室1の圧力を調整するため、調圧手段(調圧装置)14が排気手段15の上流側に設置されている。
ウエハステージ3の上部には、ウエハ2を加熱するためのIRランプユニットが設置されている。IRランプユニットは主にIRランプ60、反射板61、IR光透過窓72により構成することができる。IRランプ60には、サークル型(円形状、円環状)のランプを用いる。なお、IRランプ60から放射される光は可視光から赤外光領域の光を主とする光(ここではIR光と呼ぶ)を放出するものとする。本実施例では、IRランプ60として、3周分のランプ60-1、60-2、60-3が設置されているものとしたが、2周、4周などとしてもよい。IRランプ60の上方には、IR光を下方(ウエハ設置方向)に向けて反射するための反射板61が設置されている。IR透過窓72の材質としては、アルカリ金属イオンなどを含まず、赤外光領域の光を透過し、耐熱性のあるものが望ましく、具体的材料としては、石英が望ましい。
IRランプ60にはIRランプ用電源73が接続されており、その途中には高周波電力のノイズがIRランプ用電源73に流入しないようにするための高周波カットフィルター74が設置されている。また、IRランプ60-1、60-2、60-3に供給する電力がお互いに独立に制御できるような機能をIRランプ用電源73は有しており、ウエハ2の加熱量の径方向分布を調節できるようになっている(配線は一部図示を省略した)。IRランプユニットの中央には処理ガス導入用のシャワープレート23を設置するための空間が形成されている。
ウエハステージ3には、ウエハステージ3を冷却するための冷媒の流路39が内部に形成されており、チラー38によって冷媒が循環供給されるようになっている。このチラーとしては、本発明では、例えば、-50℃~50℃まで温度制御が可能なものを用いた。また、ウエハステージ3の方式として、ここでは近接冷却の方式のものを用いた。
ウエハステージ3の表面には、突起56が設けられており、ウエハ2は、突起56で構成された点で支持される形で搭載される。突起56の高さは、例えば、0.1mm~1.0mm程度が望ましく、支持される点数は、3点以上あることが望ましい。ここでは、具体的には、0.25mmの突起56を6点用いた。このウエハステージ3の材質としては、腐食耐性のある金属や金属化合物で、熱伝導性の高いものを用いることができる。
ウエハステージ3とウエハ2の間に突起56によるギャップ(隙間、空間)があるために、チャンバー11の全体に、He、Ar、N2のような不活性ガスを流すことにより、そのギャップに不活性ガスが流れ、熱伝導が起きて、ウエハ2が冷える。なお、ウエハ2の冷却方式に関しては、実施例4に示す静電吸着の方式も用いることができる。
また、ウエハステージ3の内部には、ウエハステージ3の温度を測定するための熱電対70が設置されており、この熱電対70は熱電対温度計71に接続されている。チラー38の設定温度に対して、熱電対70による熱電対温度計71によりウエハステージ3の温度は、±1℃以内の差であった。
上記で示した近接冷却のウエハステージ3は、構造が単純であるために低コスト化できるという利点がある。ただし、チャンバー11がアイドリング状態である真空状態では、ウエハ2は断熱されてしまうために、不活性ガスを流して冷却が始まるまでに、一定の時間を要する。またチラー38からの冷媒とウエハ2までの間隔が長めであるために、チラー38の設定温度に対して、実際のウエハ温度が高めになりやすいことがわかった。熱電対が付いたウエハにて、冷却時やプロセス時の温度を測定したところ、実際のウエハ温度は、チラー38の設定温度に対して、約5℃高くなることがわかった。
なお、本発明のエッチング処理装置100で用いるウエハステージ3を冷却するための機構としては、冷媒を循環させるもの以外に、熱電変換デバイスであるペルチェ素子等を用いることもできる。
本発明で用いるエッチング処理装置100は、処理室1などフッ化水素(HF)ガスにさらされるウエハステージ3以外のチャンバー11内部を加温することができる。例えば、温度としては、40℃から120℃程度を用いことができる。これにより、チャンバー11内部にフッ化水素(HF)ガスなどが吸着することを防ぐことができ、チャンバー11内部の腐食を極力軽減することが可能となる。
本発明では、50Pa~1000PaのHFガスをステージ温度40℃~-50℃で用いる。ウエハステージ3のステージ温度によっては、HFガスや用いる極性溶媒が窒化シリコン膜上で凝集し、固化やあるいは液化することがあると考えられる。そのため、静電吸着方式を用いた場合には、ウエハ2の裏面にも固化やあるいは液化が起きた時に、裏面冷却ガスのシールバンドがブレイクし、例えばHeのような冷却ガスがリークして、静電チャックエラーとなる可能性がある。これに対して、近接冷却のステージ3は、もともとギャップがあるため、HFや極性溶媒の固化やあるいは液化が起きた時にもウエハステージ3のエラーが出ず、安定して処理が可能であった。
さらに静電吸着方式では、ウエハ2とステージ3の間が狭いために、HFや用いる極性溶媒の固化あるいは液化が起きた時に、ウエハ2がステージ3に表面張力で貼り付きやすい。そのため、ウエハ2のデチャック時に、ウエハ2をプッシャーピンで持ち上げると、ウエハ2が割れる問題が生じる場合がある。これに対しても、ウエハ2とステージ3との間に、今回0.25mmのギャップを持つ近接冷却の方式にしたことにより、HFの液化でウエハ2がステージに貼り付く問題を軽減できた。
本発明のように、低温を用いるプロセスの適用においては、冷却源である静電チャック電極内部の大気雰囲気と接する構成部品に結露を生じ、給電部の様な電気回路においてはショートを起こす可能性がある。その点からも電極内部部品が簡素化された近接冷却のステージ3の構造はメリットがある。
[エッチングプロセスのフロー1]
次に本発明で提案するプラズマを用いないフッ化水素ガスによるエッチングプロセス(エッチング工程)について、図3、図5-1、図7-1を用いてフローを説明する。このフローは、処理室1内に配置されたウエハ2上に予め形成された、窒化シリコン膜が酸化シリコン膜に上下に挟まれて積層された膜層の端部が溝または穴の側壁を構成する膜構造(図10、図11参照)を、処理室1内に処理用の気体を供給してプラズマを用いない状態でエッチングするドライエッチング方法である。まず、処理室1に設けられた搬送口(図示省略)を介してウエハ2を処理室1に搬送した後に、ウエハ2をウエハステージ3にある突起56の上に静置する。
次に本発明で提案するプラズマを用いないフッ化水素ガスによるエッチングプロセス(エッチング工程)について、図3、図5-1、図7-1を用いてフローを説明する。このフローは、処理室1内に配置されたウエハ2上に予め形成された、窒化シリコン膜が酸化シリコン膜に上下に挟まれて積層された膜層の端部が溝または穴の側壁を構成する膜構造(図10、図11参照)を、処理室1内に処理用の気体を供給してプラズマを用いない状態でエッチングするドライエッチング方法である。まず、処理室1に設けられた搬送口(図示省略)を介してウエハ2を処理室1に搬送した後に、ウエハ2をウエハステージ3にある突起56の上に静置する。
その後、ウエハ2にウエハ冷却用のArガスをマスフローコントローラー52、ガス分配器51、さらにはシャワープレート23を介して供給することにより、図5-1のS101のウエハ冷却を行う。Arガスが、ウエハ2への熱伝達とHFガスを希釈するための希釈ガスの役割をしているために、ここでは図5-1のS101とS102が同時に行われる。なお、Arガスの流量は、ウエハ冷却の際と希釈ガスとして用いる際には変えることができる。また、エッチング処理が終了するまで、希釈用のArガスを流し続けることも出来るし、流さないことも出来る。また、Arガスの代わりに、不活性ガスとしてN2ガスを用いることもできる。
続いて、図5-1のS103として、HFガスを所定の量、所定の時間、処理室1に供給し、それと同時に加熱を行い反応層の形成を行った。加熱の方式として、ここでは、IR(赤外)ランプ60による加熱を用いた。ステージ3による冷却とIRランプ60による加熱の結果として得られるウエハ温度としては、30℃以上55℃以下が望ましく、35℃以上50℃以下がより望ましい。全圧あるいはHF分圧、加熱温度、ここではIRランプ出力、時間、繰り返し回数などによって、反応層の膜厚を制御することが可能である。また、前述のウエハ温度が、30℃よりも低い場合は、反応層が十分にできないためにエッチングが起きにくい。逆に55℃より高い場合は、反応層が過剰にできるため、それを分解、揮発させるときに、望まない隣接する酸化シリコン膜をエッチングするために選択性が低下する傾向がある。
本発明では、使用する圧力は、10Paから1000Pa程度が望ましい、また、50Pa以上1000Pa以下が望ましい、特に100Paから1000Paが望ましい。圧力が高い方が、窒化シリコン膜上の反応層が形成されやすくなるとともに、形成に必要な温度が低温化する。圧力を高くした場合でも、IRランプ60の出力を制御することで、酸化シリコン膜には影響を与えないで、窒化シリコン膜上に反応層を形成できる。
所定の時間、反応層の形成を行った後、図5-1には記載していないが、HFガスの供給を停止し、気相中に残留したHFガスを排気する工程がおこわなれる。真空排気する場合は、5Pa以下にすることが望ましい。つまり、ここでは、不活性ガスを流しながらHFガスを排気する工程が、S103と後続するS104との間に入れられる。
次に、図5-1のS104として、極性溶媒ガスを流して、反応層を改質するとともに一部を除去する。ここで、極性溶媒ガスとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールや、水を用いることができる。極性溶媒ガスを流す量としては、0.1~3.0L/minが望ましく、流す時間として、30s~300s程度が望ましい。また、このときの圧力は、10~1000Pa程度とすることが望ましい。なお極性溶媒ガスを流す際には、希釈ガスとして、Arや窒素ガスなどの不活性ガスを同時に流すこともできる。
所定の時間、反応層の形成を行った後、図5-1には記載していないが、極性溶媒ガスの供給を停止し、気相中に残留した極性溶媒ガスを排気する。真空排気する場合は、5Pa以下にすることが望ましい。つまり、ここでは、不活性ガスを流しながら極性溶媒ガスを排気する工程が、S104と後続するS105との間に入れられる。
次に、HFガスや極性溶媒ガスを流さない状態で加熱を行い、反応層の除去を行う(図5-1のS105)。ここでの加熱温度は、70℃から110℃(70℃以上110℃以下)が望ましく、70℃から100℃がより望ましい。加熱温度が70℃より低い場合は、反応層の除去が不十分であるため、エッチングが進まない。また、加熱温度が110℃より高い温度を用いた場合は、反応層の分解、揮発時に、望まない隣接する酸化シリコン膜のエッチングが起きやすく選択性が低下し、残すべき酸化膜の気形状が悪くなる傾向がある。
除去の際に加熱の方式として、ここでは、IRランプ60を用いた。IRランプ60を用いた場合は、加熱を短時間で行うことができるという利点がある。なお、加熱方法はこれに限定されるものではなく、例えば、ウエハステージ3を加熱する方法や、加熱のみを行う装置にウエハ2を別途搬送し加熱処理を行う方法でもよい。また、IRランプ60の照射時には、Arガスや窒素ガスを導入することができる。また、加熱処理は、必要に応じて、複数回行うこともできる。加熱処理のあとは、S101に戻ってウエハ冷却となる。このあと、S101からS105までの工程を1サイクルとして、これをN回繰り返す。必要なエッチング量が得られるまでサイクルを複数回繰り返した後、終了となる。ここで、S103の工程及びS105の工程は、ステージを-50℃以上0℃以下の低温として、それにランプ加熱を行うことで、S103の工程としてステージを30℃以上55℃以下の温度を得て、さらにS105の工程としてステージを70℃以上110℃以下の温度を得ることが出来る。
図7-1には、図3に示したエッチング処理装置100を用いた場合の、図5-1に示したフローによるタイムチャートを示した。HFガスを流しながらIRランプ加熱を行う工程と、極性溶媒ガスを流す工程と、HFガスや極性溶媒ガスを流さない状態でIRランプ加熱を行う工程が1サイクルの中にあり、それをN回繰り返すことで、窒化シリコン膜のエッチングが起きる。
[エッチング結果1]
本発明のプラズマを用いないフッ化水素(HF)ガスによるエッチングの結果を示す。ステージ3の設定温度を-30℃にして、プラズマCVDにより形成された窒化シリコン膜(PE-SiN)、及び酸化シリコン膜(PE-SiO2)のそれぞれの単層膜のエッチングレートを測定した。
本発明のプラズマを用いないフッ化水素(HF)ガスによるエッチングの結果を示す。ステージ3の設定温度を-30℃にして、プラズマCVDにより形成された窒化シリコン膜(PE-SiN)、及び酸化シリコン膜(PE-SiO2)のそれぞれの単層膜のエッチングレートを測定した。
ここでは、ベースウエハ2として、直径300mmの高抵抗基板(31Ωcm)に、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜のそれぞれ2cm角のクーポンサンプルを真空グリースで貼り付けたものを用いた。
上記ウエハ2を図3に示したエッチング処理装置100に入れた後、図5-1に示したプロセスフローでエッチングを行った。まず、ウエハ冷却のため、Arを流量1.4L/min、900Paにて、60秒間流した。その後、圧力は900Paのまま、HFを0.40L/min、希釈ガスとしてのArを0.20L/minを導入しながら、IRランプ60を出力60%で、同時に60秒間照射した。これによって、窒化シリコン膜上に反応層が形成される。
その後、排気のバルブ(不図示)を100%開けた状態で、120秒間排気した。この排気の操作によって、フッ素ガス及び反応生成物の一部が排気される。
次に、ステージ3の設定温度はそのままで、極性溶媒ガスとしてメタノールを圧力300Paで、60秒間流した。メタノールガスを流すことにより、反応層が改質するとともに一部除去される。ここでは、メタノールガスの流量を0.40、0.80、1.2L/minとした。また、ここでは、比較として、この極性溶媒ガスがないフローも行った。
次に、ステージ3の設定温度はそのままで、Arを0.50L/min流した状態で、排気のバルブを100%開けた状態で、ランプ強度70%で40秒間加熱を行った。この処理により、極性溶媒ガスフローにより改質された反応層が除去される。その後、初めに戻って、Arを圧力900Paで、1.4L/min、60秒間で流した状態で冷却した。この一連のプロセスを図5-1のフローに従って、ここでは10サイクル行った。
熱電対が付いた高抵抗基板を用いて、HFガスをArに代替して、ランプ照射時のプロセス温度を実際に測定した結果を表1-1に示した。ここでは、到達温度を示している。先のプロセスで用いたIRランプ60を出力60%、60秒間の場合に測定された温度は、50℃であった。また、反応層を除去する加熱プロセスとして、用いたIRランプ出力70%、40秒間で、温度測定を行ったところ、到達温度80℃であることがわかった。
メタノールガスフローを行うことにより、窒化シリコン膜の単層膜でのエッチング膜厚は減少し、選択比も低下する結果となった。ただし、メタノールガスフローの流量を増やすと窒化シリコン膜のエッチング膜厚は増加し、1.2L/minの場合にメタノールガスフローなしの場合と同程度のエッチングレートを示した。選択比もわずかに向上した。メタノールガスフローの効果としては、反応層の何らかの除去に寄与していることがわかる。
本発明が対象とする膜の構造としては、図10に示すような基板101上に窒化シリコン膜103と酸化シリコン膜102とが交互に多数積層されていて、そこに開口部104として、深い穴形状や溝形状が形成された3D-NANDで必要とされる構造である。ここで用いられる窒化シリコン膜103の膜厚としては、数nmから100nm、酸化シリコン膜102の膜厚としては数nmから100nmである。また、これらの積層数は、数十から数百層が積層されたものである。これらの積層のトータルの厚さ105は、数μmから数十μmである。開口部104の幅104Wは、数十nmから数百nmである。本発明のプロセスにより図11に理想的な断面図を示すように、窒化シリコン膜103を酸化シリコン膜102に対して高選択に横方向にエッチングする。この横方向へのエッチングの寸法106は、数nmから数十nmである。
ここで、窒化シリコン膜103の横方向へのエッチングに際して、酸化シリコン膜102に対する選択比が10以上、より望ましくは、20以上が望ましい。この選択比が低い場合は、本来エッチングされるべきではない酸化シリコン膜102のエッチングが同時に起きるために、酸化シリコン膜102のエッチング後の端部の形状が図12の111に示すように、矩形ではない丸いものとなり、デバイス性能に悪影響を及ぼす。
経験的には、選択比として10以上、より望ましくは20以上がある場合には、図11で示すような、矩形により近い形状が得られる。また、選択比が5未満である場合には、図12の111に示したような窒化シリコン膜103の端部の形状が丸みを帯びたものになり、望ましくない。
本発明の実施例として、窒化シリコン膜103(膜厚30nm)と酸化シリコン膜102(膜厚30nm)が交互に合計40層成膜されたサンプルに、200nmのスリット状のスペースが形成されたサンプルを用いて、微細パタンでのエッチング特性を評価した。実験条件としては、図1で検討した条件を用いて、10サイクルのエッチングを行った。その結果を表1-2に示した。
その結果、比較的高い選択比で、残すべき酸化シリコン膜102が矩形に近い形状でエッチングが進む場合でも、図13に示したように、ボトム部では、112に示したように、窒化シリコン膜103のエッチングが効率的に起きるものの、酸化シリコン膜102の部分の膜厚が薄くなる結果が見られた。また、トップ部では、111に示したように酸化シリコン膜102部分の膜厚が薄くなる傾向は見られなかったが、ボトムのエッチング量109に対して、トップのエッチング量106が小さい傾向が見られた。
表1-2には、エッチング量(窒化シリコン膜103のエッチング量から酸化シリコン膜102のエッチング量を引いたもの)、スリットパタンの結果からの選択比(窒化シリコン膜103の初期寸法からのエッチング量を酸化シリコン膜102のエッチング量で割ったもの)、残SiO2厚さ(図12に示したエッチング後の酸化シリコン膜102の先端112の厚さ108を初期の酸化シリコン膜102の厚さ107で割ったもの)を示した。ここで、良いエッチング条件としては、トップとボトムのエッチング量差が小さく、選択比が大きく、さらには残SiO2厚さが1に近い値であるものである。
なお、評価結果をわかりやすくするために、表1-2には、◎、〇、△、×といった記号を併記した。表1-3にその基準を示した。
メタノールガスフローを用いない場合は、反応生成物がボトム部では、エッチング量を増加させる働きをして、トップでは逆にエッチング量を低下させる働きをしている。これに対して、メタノールガスフローの工程を適用したものは、ボトムの残SiO2厚さが0.90以上に改善し、トップとボトムのエッチング量差も2.0nm以下と小さくなって、図14に示すような良好なエッチング結果を示すことがわかった。
次に、表1-2の結果を得た実験条件で、メタノールガスフローを0.4L/min、300Paに固定して、時間を60s、120s、180sと変える実験を行った。そのときのスリットサンプルでの実験結果を表1-4に示した。
[反応層の組成とメタノールガスフローの効果]
本発明の極性溶媒ガスフローの効果を確認するために、反応層を分析する検討を行った。窒化シリコン膜103の単層膜において、実施例1の表1-2で示した条件で、メタノールガスフロー流量0.40L/minあり場合となしの場合で、IR加熱による反応層の除去は行わないで、反応層を積極的に残す実験を行った。
本発明の極性溶媒ガスフローの効果を確認するために、反応層を分析する検討を行った。窒化シリコン膜103の単層膜において、実施例1の表1-2で示した条件で、メタノールガスフロー流量0.40L/minあり場合となしの場合で、IR加熱による反応層の除去は行わないで、反応層を積極的に残す実験を行った。
図3に示したエッチング処理装置100を用いて、ステージ温度-30℃で、窒化シリコン膜の単層膜を用いて、まずウエハ冷却のため、Arを流量1.4L/min、900Paにて、60秒間流した。その後、圧力は900Paのまま、HFを0.40L/min、希釈ガスとしてのArを0.20L/minを導入しながら、IRランプ60を出力60%で、同時に60秒間照射した。これによって、窒化シリコン膜103上に反応層が形成される。その後、排気のバルブを100%開けた状態で、120秒間排気した。この排気の操作によって、フッ素ガス及び反応生成物の一部が排気される。
次に、ステージ3の設定温度はそのままで、極性溶媒ガスとしてメタノールガスの流量を0.40L/minを圧力300Paで、120秒間流した。メタノールガスを流すことにより、反応層が改質するとともに一部除去される。
その後の加熱による反応層の除去は行わず、ウエハ冷却に戻り、この一連のプロセスを8サイクル行った。フローとしては、図5-1で示したフローの加熱による反応層の除去(S105)をなしにして、S101からS104までを8回繰り返した。このプロセスでできた反応層を反応層B(メタノールガスフローあり)とする。
また、比較のために、極性溶媒ガスとしてメタノールガスのフローと加熱による反応層の除去を無くして、反応層を形成することを行った。フローとしては、図5-1で示したフローのうち、極性溶媒による反応層の改質と除去(S104)及び加熱による反応層の除去(S105)をなしにして、S101からS103までを8回繰り返した。このプロセスでできた反応層を反応層A(メタノールガスフローなし)とする。
これらの2つの反応層に対して、走査電子顕微鏡(SEM)による断面及び表面観察、X線光電子分光法(XPS)による組成分析、昇温脱離ガス分析(TDS)による脱離ガス分析を行った。
反応層A(メタノールガスフローなし)に関して、SEMによる断面と表面の観察を行ったところ、断面の反応層の膜厚は、61nmであり、その下層に未反応の窒化シリコン膜103が存在し、その部分の膜厚は、281nmであった。これに対して、反応層B(メタノールガスフローあり)では、断面の反応層の膜厚は、65nmであり、その下層の未反応の窒化シリコン膜103の部分の膜厚は、285nmであった。反応層の膜厚の数値は、メタノールガスフローありとなしで変わらないが、反応層B(メタノールガスフローあり)の場合は、反応層A(メタノールガスフローなし)に比べて、表面の荒れが大きく、反応層の一部凝集が起きていて、反応層が一部欠落している部分が見られた。以上のことから、メタノールガスフローにより、反応層が一部除去される効果があることわかった。
次に、これらの反応層A(メタノールガスフローなし)と反応層B(メタノールガスフローあり)に関して、X線光電子分光法(XPS)により組成分析を行った。組成分析は、そのままの状態での最表面(a)、10秒間Arでスパッタした内部(b)、さらに10秒間Arでスパッタした内部(c)を比較した。
反応層A(メタノールガスフローなし)の最表面(a)は、窒素(N1s)として、401eVのピークのみであり、窒化シリコンの395eVが見られないことがわかった。この401eVのピークはアンモニウム塩に帰属されることがわかった。10秒間Arでスパッタした内部(b)には、窒化シリコンの395eVのピークが現れて、アンモニウ塩の401eVのピークと窒化シリコンの395eVが約1:1であった。さらに10秒間Arでスパッタした内部(c)では、401eVのアンモニウム塩のピークは見られず、395eVの窒化シリコンのピークだけであった。
シリコン(Si2P)に関しては、反応層A(メタノールガスフローなし)の最表面(a)では、99eVの窒化シリコン、102eVのシリケート、つまりヘキサフルオロシリケートSiF6
2-に帰属されるピークが約1:1で見られた。10秒間Arでスパッタした内部(b)には、やはり99eVの窒化シリコン99eVと、102eVのシリケートがほぼ1:1で見られた。さらに10秒間Arでスパッタした内部(c)では、102eVのシリケートは無くなり、99eVの窒化シリコンのピークだけになった。
これに対して、反応層B(メタノールガスフローあり)の最表面(a)は、窒素(N1s)として、401eVのアンモニウム塩のピークと、窒化シリコンの395eVが約2:1で見られており、下層の窒化シリコン膜が見えていることから、反応層Aに比べて、薄くなっていると考えられる。この401eVのピークはアンモニウム塩に帰属されることがわかった。10秒間Arでスパッタした内部(b)には、窒化シリコンの395eVのピークが大きく現れて、アンモニウ塩の401eVのピークと窒化シリコンの395eVが約1:4であった。さらに10秒間Arでスパッタした内部(c)では、401eVのアンモニウム塩のピークは見られず、395eVの窒化シリコンのピークだけであった。
シリコン(Si2P)に関しても、反応層B(メタノールガスフローあり)の最表面(a)では、99eVの窒化シリコン、102eVのシリケート、つまりヘキサフルオロシリケートSiF6
2-に帰属されるピークが約1:1で見られた。10秒間Arでスパッタした内部(b)では、99eVの窒化シリコンと、102eVのシリケートがほぼ1:4で見られ、この結果からも反応層Bが反応層Aよりも薄いことがわかった。さらに10秒間Arでスパッタした内部(c)では、102eVのシリケートは無くなり、99eVの窒化シリコンのピークだけになった。
以上のことから、XPSによる反応層の分析からは、反応層A(メタノールガスフローなし)と反応層B(メタノールガスフローあり)では、そのピークから、組成の顕著な違いは確認できなかったが、メタノールガスフローありの場合に反応層の厚さが明らかに薄くなっていることが確認された。
ケイフッ化アンモニウム[(NH4)2SiF6]の場合、元素比は、Si=1、F=6、N=2である。ここで、反応層A(メタノールガスフローなし)の最表面(a)のXPSによる元素比は、Si=1、F=1.25、N=0.58、反応層B(メタノールガスフローあり)の最表面(a)のXPSによる元素比は、Si=1、F=1.46、N=0.88であり、いずれもフッ素や窒素が足らないことがわかった。わずかではあるが反応層B(メタノールガスフローあり)の方が、フッ素や窒素が多いことがわかった。
反応層として生成する成分である、ケイフッ化アンモニウム[(NH4)2SiF6]に類するものが、分解、揮発する際にできるHFやNH3が、条件によっては、隣接する酸化シリコン膜をエッチングすることが、トップ-ボトム差や、ボトムの酸化膜の細りに関係していると思われる。メタノールガスフローで反応層が一部除去されることが形状を改善した理由だと思われる。
次に、これらの反応層A(メタノールガスフローなし)と反応層B(メタノールガスフローあり)に関して、昇温脱離ガス分析(TDS)による脱離ガス分析を行った。TDS分析は、反応層が形成された1cm角のサンプルを、5.0×10-7Paの真空度の真空の状態から80℃~500℃の温度範囲で、10℃/分で昇温して、そのときの圧力上昇とそのときに脱離ガスを質量分析計(Q-マス)を用いて分析するものである。
反応層A(メタノールガスフローなし)では、150℃付近から圧力上昇があり、ピークは1つで、最大圧力を示す温度は182℃あった。この時のマスとしては、m/z=19のF+のピーク強度が大きく、その次にその約50分の1の強度で、m/z=16,17のNH2
+,NH3
+が出ていて、さらにその約5分の1の強度でm/z=47のSiF+が出ることがわかった。さらにメタノールに起因するピークなかった。このTDSによる分析結果からも反応層は、ケイフッ化アンモニウムを含むものであることが示唆された。
反応層B(メタノールガスフローあり)では、圧力のピークは2つあり、極大になる温度は176℃と208℃であることがわかった。このことから、メタノールガスフローありの場合は、分解、揮発する温度が高い成分が生じていることがわかる。この時のマスとしては、いずれもピークが2つであることを除くと、反応層A(メタノールガスフローなし)の場合と同様の結果で、この時のマスとしては、m/z=19のF+のピーク強度が大きく、その次にその約50分の1の強度で、m/z=16,17のNH2
+,NH3
+が出ていて、さらにその約5分の1の強度でm/z=47のSiF+が出ることがわかった。さらにメタノールに起因するピークなかった。また、メタノールに起因するピークは見られず、メタノールガスフローなしの場合と変わらないように見える。脱ガスのピークが2つになる理由の詳細は不明であるが、メタノールガスフローによって、分解、揮発温度が高い成分が生じる結果となった。先のXPSの結果と合わせて考えると、過剰なHFが抜けるなどして、ケイフッ化アンモニウムに近い組成になると推定される。しかし、メタノールガスフローでシフトした高温側のピークは、構成されるマスに変化がないように見えることから、詳細は今のところ不明である。
なお、圧力の150℃~250℃のピーク面積を比較すると、反応層A(メタノールガスフローなし)の場合は、4.72e-14(Pa・℃)に対して、反応層B(メタノールガスフローあり)の場合4.15e-14(Pa・℃)と15%程度減少していることがわかった。このことからもメタノールガスフローが反応層を一部除去していることがわかった。
(比較例)
本発明の極性溶媒ガスフローの効果をより詳細に確認するために、実施例1の表1-2で示したメタノールガスフロー流量0.40L/minの条件において、IR加熱による反応の除去を行わない実験を行った。
本発明の極性溶媒ガスフローの効果をより詳細に確認するために、実施例1の表1-2で示したメタノールガスフロー流量0.40L/minの条件において、IR加熱による反応の除去を行わない実験を行った。
図3に示したエッチング処理装置100を用いて、ステージ温度-30℃で、まずウエハ冷却のため、Arを流量1.4L/min、900Paにて、60秒間流した。その後、圧力は900Paのまま、HFを0.40L/min、希釈ガスとしてのArを0.20L/minを導入しながら、IRランプ60を出力60%で、同時に60秒間照射した。これによって、窒化シリコン膜103上に反応層が形成される。その後、排気のバルブを100%開けた状態で、120秒間排気した。この排気の操作によって、フッ素ガス及び反応生成物の一部が排気される。
次に、ステージの設定温度はそのままで、極性溶媒ガスとしてメタノールガスの流量を0.40L/minを圧力300Paで、60秒間流した。メタノールガスを流すことにより、反応層が改質するとともに一部除去される。
その後の加熱による反応層の除去は行わず、ウエハ冷却に戻り、この一連のプロセスを10サイクル行った。フローとしては、図5-1で示したフローの加熱による反応層の除去(S105)はなしで、S101からS104までを繰り返した。
上記のエッチングのプロセスにより、実施例1で用いた、窒化シリコン膜103(膜厚30nm)と酸化シリコン膜102(膜厚30nm)が交互に合計40層成膜されたサンプルに、200nmのスリット状のスペースが形成されたサンプルを用いて、微細パタンでのエッチング特性を評価した。
その結果、窒化シリコン部分のエッチングが起き始めていたが、その部分には堆積物が多く存在することがわかった。この堆積物は、実施例1の反応層の組成とメタノールガスフローの効果で示したように、ケイフッ化アンモニウムに類するものであると思われ、走査電子顕微鏡(SEM)観察の際に、電子線を照射すると揮発することがわかった。表1-5にケイフッ化アンモニウムと思われる堆積物の部分を無視した場合の窒化シリコン膜のエッチング量を示したが表1-2で示したIR加熱による反応の除去を行った場合に比べて、小さいことがわかった。以上のことから、極性溶媒ガスの反応層の改質と除去だけでは窒化シリコン膜103を十分にエッチングすることはできず、加熱による反応層の除去の工程が必要であることがわかった。
本発明のプラズマを用いないフッ化水素ガスによるエッチングプロセスの別の形態について説明する。ここでは、実施例1で示した図3のエッチング処理装置100を用いて、図5-2、図7-2に示したフローを説明する。
[エッチングプロセスのフロー2]
まず、処理室1に設けられた搬送口(図示省略)を介してウエハ2を処理室1に搬送した後に、ウエハ2をウエハステージ3にある突起56の上に静置する。この場合には、ステージ温度として40℃を用いた。
まず、処理室1に設けられた搬送口(図示省略)を介してウエハ2を処理室1に搬送した後に、ウエハ2をウエハステージ3にある突起56の上に静置する。この場合には、ステージ温度として40℃を用いた。
その後、ウエハ2に熱伝導させるためのArガスをマスフローコントローラー52、ガス分配器51、さらにはシャワープレート23を介して供給することにより、図5-2のS101のステージ温度によるウエハ加熱を行う。ここで、S101を加熱/冷却と記載したのは、ステージ温度にウエハ温度を合わせるということを意味しており、後述のS105のあとは、ウエハ温度がステージ温度より高くなるため、冷却となる。
Arガスは、ウエハ2への熱伝導とHFガスを希釈するための希釈ガスの役割をしているために、ここでは、図5-2のS101とS102は、同時に行われる。なお、Arガスの流量は、ウエハ2への熱伝導の際と希釈ガスとして用いる際には変えることができる。また、エッチング処理が終了するまで、希釈用のArガスを流し続けることも出来るし、流さないことも出来る。また、Arガスの代わりに、不活性ガスとしてN2ガスを用いることもできる。
続いて、図5-2のS103として、HFガスを所定の量、所定の時間、処理室1に供給し反応層の形成を行った。ここでは、図5-2のフローで示したようなIR(赤外)ランプ60による加熱は用いずに、ステージ3による熱伝達の温度のみ用いる。ここでは、ステージ温度として40℃を用いたが、ステージ温度、つまりウエハ温度は、30℃以上55℃以下が望ましく、35℃以上50℃以下がより望ましい。ステージ温度、全圧あるいはHF分圧、時間、繰り返し回数などによって、反応層の膜厚を制御することが可能である。
本発明では、使用する圧力は、10Paから1000Pa程度が望ましい、特に300Paから1000Paが望ましい。圧力が高い方が、窒化シリコン膜103上の反応層が形成されやすくなるとともに、形成に必要な温度が低温化する。所定の時間、反応層の形成を行った後、図5-2には記載していないが、HFガスの供給を停止し、気相中に残留したHFガスを排気する。真空排気する場合は、5Pa以下にすることが望ましい。つまり、ここでは、不活性ガスを流しながらHFガスを排気する工程が、S103と後続するS104との間に入れられる。
次に、図5-2のS104として、極性溶媒ガスを流して、反応層を改質するとともに一部を除去する。ここで、極性溶媒ガスとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールや、水を用いることができる。極性溶媒ガスを流す量としては、0.1~3.0L/minが望ましく、流す時間として、30s~300s程度が望ましい。また、このときの圧力は、10~1000Pa程度とすることが望ましい。なお極性溶媒ガスを流す際には、希釈ガスとして、Arや窒素ガスなどの不活性ガスを同時に流すこともできる。
所定の時間、反応層の形成を行った後、図5-2には記載していないが、極性溶媒ガスの供給を停止し、気相中に残留した極性溶媒ガスを排気する。真空排気する場合は、5Pa以下にすることが望ましい。つまり、ここでは、不活性ガスを流しながら極性溶媒ガスを排気する工程が、S104と後続するS105との間に入れられる。
次に、HFガスや極性溶媒ガスを流さない状態で加熱を行い、反応層の除去を行う(図5-2のS105)。ここでの加熱温度は、70℃から110℃(70℃以上110℃以下)が望ましく、70℃から100℃がより望ましい。加熱の方式として、ここでは、IRランプ60を用いた。加熱方法はこれに限定されるものではなく、例えば、ウエハステージ3を加熱する方法や、加熱のみを行う装置にウエハ2を別途搬送し加熱処理を行う方法でもよい。また、IRランプ照射時には、Arガスや窒素ガスを導入することができる。また、加熱処理は、必要に応じて、複数回行うこともできる。加熱のあとは、S101に戻り、ステージによるウエハ冷却となる。このあと、S101からS105までの工程を1サイクルとして、これをN回繰り返す。必要なエッチング量が得られるまでサイクルを繰り返した後、終了となる。ここで、S103の工程及びS105の工程は、ステージを-50℃以上0℃以下の低温として、それにランプ加熱を行うことで、S103の工程としてステージを30℃以上55℃以下の温度を得て、さらにS105の工程としてステージを70℃以上110℃以下の温度を得ることが出来る。
図7-2には、図5-2に示したフローによるタイムチャートを示した。HFガス及びArを流す工程(反応層を形成する工程)と、極性溶媒ガスを流す工程と、HFガスを流さない状態でIRランプ加熱を行う工程が1サイクルの中にあり、それをN回繰り返すことで、窒化シリコン膜のエッチングが起きる。
[エッチング結果2]
図3のエッチング処理装置100とエッチングプロセスフロー2(図5-2、図7-2)を用いて、ステージ温度を40℃に設定し、HF/Arを流すステップでは、IR加熱は行わないプロセスを検討した。まず、ウエハ2への熱伝導のため、Arを流量1.4L/min、900Paにて、60秒間流した。その後、圧力900Paで制御しつつ、HFを0.40L/min、希釈ガスとしてのArを0.20L/minを60秒間導入した。これによって、窒化シリコン膜103上に反応層が形成される。
図3のエッチング処理装置100とエッチングプロセスフロー2(図5-2、図7-2)を用いて、ステージ温度を40℃に設定し、HF/Arを流すステップでは、IR加熱は行わないプロセスを検討した。まず、ウエハ2への熱伝導のため、Arを流量1.4L/min、900Paにて、60秒間流した。その後、圧力900Paで制御しつつ、HFを0.40L/min、希釈ガスとしてのArを0.20L/minを60秒間導入した。これによって、窒化シリコン膜103上に反応層が形成される。
その後、排気のバルブを100%開けた状態で、120秒間排気した。この排気の操作によって、フッ素ガス及び反応生成物の一部が排気される。次に、ステージ3の設定温度はそのままで、極性溶媒ガスとしてメタノールガスの流量を0.40L/minとして、圧力300Paで、120秒間流した。メタノールガスを流すことにより、反応層が改質するとともに一部除去される。
次に、ステージ3の設定温度はそのままで、Arを0.50L/min流した状態で、排気のバルブを100%開けた状態で、ランプ強度70%で40秒間加熱を行った。この処理により、極性溶媒ガスフローにより改質された反応層が除去される。その後、初めに戻って、Arを圧力900Paで、1.4L/min、60秒間で流した状態で冷却した。この一連のプロセスを図5-2のフローに従って、ここでは10サイクル行った。
実施例1と同様に窒化シリコン膜103(膜厚30nm)と酸化シリコン膜102(膜厚30nm)が交互に合計40層成膜されたサンプルに、200nmのスリット状のスペースが形成されたサンプルを用いて、微細パタンでのエッチング特性を評価した。その結果を表2に示した。
本発明のプラズマを用いないフッ化水素ガスによるエッチングプロセスの別の形態について説明する。ここでは、実施例1で示した図3のエッチング処理装置100を用いて、図6-2、図8に示したフローを説明する。
[エッチングプロセスのフロー3]
まず、処理室1に設けられた搬送口(図示省略)を介してウエハ2を処理室1に搬送した後に、ウエハ2をウエハステージ3にある突起56の上に静置する。この場合には、ステージ温度として30℃を用いた。
まず、処理室1に設けられた搬送口(図示省略)を介してウエハ2を処理室1に搬送した後に、ウエハ2をウエハステージ3にある突起56の上に静置する。この場合には、ステージ温度として30℃を用いた。
その後、ウエハ2に熱伝導させるためのArガスをマスフローコントローラー52、ガス分配器51、さらにはシャワープレート23を介して供給することにより、図6-2のS111のステージ3によるウエハ加熱/冷却を行う。ここで加熱/冷却と記載したのは、ステージ温度にウエハ温度を合わせるということを意味しており、後述のS114のあとは、ウエハ温度がステージ温度より高くなるため、冷却となる。
Arガスは、ウエハへの熱伝導とHFガスを希釈するための希釈ガスの役割をしているために、ここでは図6-2のS111とS112は、同時に行われる。なお、Arガスの流量は、ウエハ2への熱伝導の際と希釈ガスとして用いる際には変えることができる。また、エッチング処理が終了するまで、希釈用のArガスを流し続けることも出来るし、流さないことも出来る。また、Arガスの代わりに、不活性ガスとしてN2ガスを用いることもできる。
続いて、図6-2のS113として、HFガスを所定の量、所定の時間、前記処理室1に供給し反応層の形成を行った。ここでは、図6-2のフローで示したようなIR(赤外)ランプ60による加熱は用いずに、ステージ3による熱伝達の温度のみ用いる。ここではステージ温度として30℃を用いたが、ステージ温度、つまりウエハ温度は、30℃以上55℃以下が望ましく、35℃以上50℃以下がより望ましい。ステージ温度、全圧あるいはHF分圧、時間、繰り返し回数などによって、反応層の膜厚を制御することが可能である。
本発明では、使用する圧力は、10Paから1000Pa程度が望ましい、特に300Paから1000Paが望ましい。圧力が高い方が、窒化シリコン膜103上の反応層が形成されやすくなるとともに、形成に必要な温度が低温化する。所定の時間、反応層の形成を行った後、図6-2には記載していないが、HFガスの供給を停止し、気相中に残留したHFガスを排気する。真空排気する場合は、5Pa以下にすることが望ましい。つまり、ここでは、不活性ガスを流しながらHFガスを排気する工程が、S113と後続するS114との間に入れられる。
次に、図6-2のS114として、極性溶媒ガスの導入しながら加熱することにより、反応層を改質しながら除去を行う。ここで極性溶媒ガスとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールや、水を用いることができる。極性溶媒ガスを流す量としては、0.1~3.0L/minが望ましい。ここでの加熱温度は、70℃から110℃が望ましく、70℃から100℃がより望ましい。加熱の方式として、ここでは、IRランプ60を用いた。加熱方法はこれに限定されるものではなく、例えばウエハステージ3を加熱する方法や、加熱のみを行う装置にウエハ2を別途搬送し加熱処理を行う方法でもよい。また、極性溶媒ガスの導入しながら加熱することにより、反応層を改質しながら除去を行う工程には、Arガスや窒素ガスなどの不活性ガスを導入することができる。さらに、この工程は、必要に応じて複数回行うこともできる。
次に、図6-2には記載していないが、加熱及び極性溶媒ガスの供給を停止し、気相中に残留した極性溶媒ガスを排気する。真空排気する場合は、5Pa以下にすることが望ましい。つまり、ここでは、不活性ガスを流しながら極性溶媒ガスを排気する工程が、S114の後に入れられる。
このあと、S111のステージ3によるウエハ加熱/冷却に戻る。S111は、ステージ温度とウエハ温度を合わせる工程であり、S114により、ウエハ2は加熱されているので、次のS111は冷却となる。このあと、S111からS114までの工程を1サイクルとして、これをN回繰り返す。必要なエッチング量が得られるまでサイクルを繰り返した後、終了となる。S113の工程及びS114の工程は、ステージを-50℃以上0℃以下の低温として、それにランプ加熱を行うことで、S113の工程としてステージを30℃以上55℃以下の温度を得て、さらにS114の工程としてステージを70℃以上110℃以下の温度を得ることができる。
図8には、図6-2に示したフローによるタイムチャートを示した。HFガス及びArを流す工程(反応層を形成する工程)と、極性溶媒ガスを流す工程と、HFガスを流さない状態でIRランプ加熱を行う工程が1サイクルの中にあり、それをN回繰り返すことで、窒化シリコン膜のエッチングが起きる。
[エッチング結果3]
実施例1で示した図3のエッチング処理装置100とエッチングプロセスフロー3(図6-2、図8)を用いて、ステージ温度を30℃に設定し、HF/Arを流すステップでは、IR加熱は行わないプロセスを検討した。まず、ウエハ2への熱伝導のため、Arを流量1.4L/min、900Paにて、60秒間流した。その後、圧力900Paで制御しつつ、HFを0.40L/min、希釈ガスとしてのArを0.20L/minを60秒間導入した。これによって、窒化シリコン膜103上に反応層が形成される。
実施例1で示した図3のエッチング処理装置100とエッチングプロセスフロー3(図6-2、図8)を用いて、ステージ温度を30℃に設定し、HF/Arを流すステップでは、IR加熱は行わないプロセスを検討した。まず、ウエハ2への熱伝導のため、Arを流量1.4L/min、900Paにて、60秒間流した。その後、圧力900Paで制御しつつ、HFを0.40L/min、希釈ガスとしてのArを0.20L/minを60秒間導入した。これによって、窒化シリコン膜103上に反応層が形成される。
その後、排気のバルブを100%開けた状態で、120秒間排気した。この排気の操作によって、フッ素ガス及び反応生成物の一部が排気される。次に、ステージ3の設定温度はそのままで、メタノールガスを0.40L/min流した状態で、圧力を300Paに制御して、IRランプ出力70%で30s~50s間加熱を行った。これによりメタノールガスの流れる中で、反応層が除去される。その後、初めに戻って、Arを圧力900Paで、1.4L/min、60秒間で流した状態でウエハ2を冷却し、ステージ温度と同じ温度になるようにした。この一連のプロセスを図6-2のフローに従って、ここでは10サイクル行った。
メタノールガスフローと同時にIRランプ照射する時間を変えた時に、10サイクル後に得られた窒化シリコン膜(PE-SiN)103、酸化シリコン膜(PE-SiO2:図2では、PE-SiO2)102の単層膜のエッチング膜厚と、酸化シリコン膜102に対する窒化シリコン膜103の選択比を図2に示した。
図2に示したように、このプロセスでも窒化シリコン膜103のエッチングが起き、窒化シリコン膜103のエッチング量は、メタノールガスフローと同時にIRランプ照射する時間が40s程度で飽和することがわかった。酸化シリコン膜102のエッチング量はほとんど変化しなかったが、単層膜での選択比は、メタノールガスフローと同時にIRランプ照射する時間が短い方が高い結果となった。
ここで、実施例1と同様に窒化シリコン膜103(膜厚30nm)と酸化シリコン膜102(膜厚30nm)が交互に合計40層成膜されたサンプルに、200nmのスリット状のスペースが形成されたサンプルを用いて、微細パタンでのエッチング特性を評価した。その結果を表3に示した。
本実施例のようにメタノールガスフローと同時IR照射を行った場合でも、効果があり、表3の時間が30sと短い場合以外は、ボトムの残SiO2厚さが0.90以上に改善し、トップとボトムのエッチング量差も2.0nm以下と小さくなって、図14に示すような良好なエッチング結果を示すことがわかった。メタノールガスフローを加熱処理と同時に行うことで、ボトム部で反応生成物がエッチング量を増加させる働きをして、トップでは逆にエッチング量を低下させる働きをしていることを抑制することがわかった。
本発明のプラズマを用いないフッ化水素ガスによるエッチングプロセスの別の形態について説明する。ここでは、図4のエッチング処理装置100Aを用いて、図5-1、図9-1に示したフローを説明する。
[エッチング処理装置の構成例2]
次に、図4を用いて本発明の実施例4に係るエッチング処理装置100Aの全体構成を含めて概略を説明する。エッチング処理装置100Aの処理室1はベースチャンバー11により構成され、その中にはウエハ2を載置するためのウエハステージ3が設置されている。処理室1の上方にはプラズマ源が設置されており、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)放電方式を用いている。ICPプラズマ源はプラズマによるチャンバー11の内壁のクリーニングやプラズマによる反応性ガスの生成に用いることができる。ICPプラズマ源を構成する円筒型の石英チャンバー12が処理室1の上方に設置されており、石英チャンバー12の外側にはICPコイル20が設置されている。ICPコイル20にはプラズマ生成のための高周波電源21が整合機22を介して接続されている。高周波電力の周波数は13.56MHzなど、数十MHzの周波数帯を用いるものとする。石英チャンバー12の上部には天板25が設置されている。天板25の下部には、ガス分散板24とシャワープレート23が設置されており、処理ガスはガス分散板24とシャワープレート23を介して石英チャンバー12内に導入される。
次に、図4を用いて本発明の実施例4に係るエッチング処理装置100Aの全体構成を含めて概略を説明する。エッチング処理装置100Aの処理室1はベースチャンバー11により構成され、その中にはウエハ2を載置するためのウエハステージ3が設置されている。処理室1の上方にはプラズマ源が設置されており、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)放電方式を用いている。ICPプラズマ源はプラズマによるチャンバー11の内壁のクリーニングやプラズマによる反応性ガスの生成に用いることができる。ICPプラズマ源を構成する円筒型の石英チャンバー12が処理室1の上方に設置されており、石英チャンバー12の外側にはICPコイル20が設置されている。ICPコイル20にはプラズマ生成のための高周波電源21が整合機22を介して接続されている。高周波電力の周波数は13.56MHzなど、数十MHzの周波数帯を用いるものとする。石英チャンバー12の上部には天板25が設置されている。天板25の下部には、ガス分散板24とシャワープレート23が設置されており、処理ガスはガス分散板24とシャワープレート23を介して石英チャンバー12内に導入される。
処理ガスはガス種毎に設置されたマスフローボックス50内のマスフローコントローラー52によって供給流量が調整される。また、マスフローコントローラー52の下流側にはガス分配器51が設置されており、石英チャンバー12の中心付近に供給するガスと外周付近に供給するガスの流量や組成をそれぞれ独立に制御して供給できるようにし、処理ガスの分圧の空間分布を詳細に制御できるようにしている。なお、図4ではAr、N2、HF、O2及び極性溶媒のガスとしてアルコールであるメタノール(CH3OH)を図に記載してある。なお、これら以外の他の処理ガスも供給することもできる。特に、極性溶媒としては、水や、エタノール、イソプロパノールなどを用いることもできる。ただし、水を用いる場合は、0℃以下では凍結するので、ステージ温度として、0℃より高い温度を用いることが必要となる。
処理室1の下部には、処理室1を減圧するため、真空排気配管16によって、排気手段(排気装置)15に接続されている。排気手段には例えば、ターボ分子ポンプやメカニカルブースターポンプやドライポンプで構成されるものとする。また、処理室1の圧力を調整するため、調圧手段(調圧装置)14が排気手段15の上流側に設置されている。
ウエハステージ3の上部にはウエハ2を加熱するためのIRランプユニットが設置されている。IRランプユニットは主にIRランプ60、反射板61、IR光透過窓72からなる。IRランプ60にはサークル型(円形状、円環状)のランプを用いる。なお、IRランプ60から放射される光は可視光から赤外光領域の光を主とする光(ここではIR光と呼ぶ)を放出するものとする。本実施例ではIRランプ60として3周分のランプ60-1、60-2、60-3が設置されているものとしたが、2周、4周などとしてもよい。IRランプ60の上方には、IR光を下方(ウエハ設置方向)に向けて反射するための反射板61が設置されている。IR透過窓72の材質としては、アルカリ金属イオン等を含まず、赤外光領域の光を透過し、耐熱性のあるものが望ましく、具体的材料としては、石英が望ましい。
IRランプ60にはIRランプ用電源73が接続されており、その途中には高周波電力のノイズがIRランプ用電源に流入しないようにするための高周波カットフィルター74が設置されている。また、IRランプ60-1、60-2、60-3に供給する電力がお互いに独立に制御できるような機能がIRランプ用電源73には設置されており、ウエハ2の加熱量の径方向分布を調節できるようになっている(配線は一部図示を省略した)。
IRランプユニットの中央には流路27が形成されている。この流路27にはプラズマ中で生成されたイオンや電子を遮蔽し、中性のガスや中性のラジカルのみを透過させてウエハ2に照射するための複数の穴の開いたスリット板26が設置されている。スリット板26としては、アルカリ金属イオン等を含まず、耐熱性のあるものが望ましく、具体的材料としては、アルミナや石英を用いることができる。
ウエハステージ3には、ステージ3を冷却するための冷媒の流路39が内部に形成されており、チラー38によって冷媒が循環供給されるようになっている。このチラー38としては、本発明では、-50℃~50℃に温度制御できるものを用いた。また、ウエハ2を静電吸着によって固定するため、板状の電極板30がステージ3に埋め込まれており、それぞれにDC(直流)電源31が接続されている。また、ウエハ2を効率よく冷却するため、ウエハ2の裏面とウエハステージ3との間にHeガスを供給できるようになっている。また、ウエハ2を吸着したまま、加熱、冷却を行っても、ウエハ2の裏面に傷がつかないようにするため、ウエハステージ3の表面(ウエハ2の戴置面)はポリイミド等の樹脂でコーティングされているものとする。また、ウエハステージ3の内部にはステージ3の温度を測定するための熱電対70が設置されており、熱電対70は熱電対温度計71に接続されている。
チラー38の設定温度に対して、熱電対70による熱電対温度計71によりステージ3の温度は、±1℃以内の差であり、また熱電対70で別途、測定したウエハ温度は、±3℃以内の差(ステージ温度に対しては、±2℃以内)であった。
なお、本発明のエッチング処理装置100Aで用いるステージ3を冷却するための機構としては、冷媒を循環させるもの以外に、熱電変換デバイスであるペルチェ素子等を用いることもできる。
また、本発明で用いるエッチング処理装置100Aは、処理室1などフッ化水素ガスにさらされるウエハステージ以外のチャンバー内部を加温することができる。例えば、温度としては、40℃から120℃程度を用いことができる。これにより、チャンバー11の内部にフッ化水素ガスが吸着することを防ぐことができ、チャンバー11の内部の腐食を極力軽減することが可能となる。
[エッチングプロセスのフロー4]
次に、本発明で提案するプラズマを用いないフッ化水素ガスによるエッチングプロセスについて説明する。ここでは、実施例1と基本的に同じフローではあるが、図4に示したエッチング処理装置100Aを用いていることから、実施例1のエッチングプロセスのフロー1と一部異なる点がある。図5-1、図9-1、図4(装置図)を用いてフローを説明する。
次に、本発明で提案するプラズマを用いないフッ化水素ガスによるエッチングプロセスについて説明する。ここでは、実施例1と基本的に同じフローではあるが、図4に示したエッチング処理装置100Aを用いていることから、実施例1のエッチングプロセスのフロー1と一部異なる点がある。図5-1、図9-1、図4(装置図)を用いてフローを説明する。
まず、処理室1に設けられた搬送口(図示省略)を介してウエハ2を処理室1に搬送した後に、静電吸着のためのDC電源31によりウエハ2をウエハステージ3に固定するとともに、ウエハ2の裏面にウエハ冷却用のHeガス55を供給することにより、図5-1のS101のウエハ冷却を行う。
このあとについては、実施例1で説明した図5-1のフロー図に従いエッチングを行う。図5-1のフローの説明は、重複することになるので、省略する。
図9-1には、図4に示したエッチング処理装置100Aを用いた場合の、図5-1に示したフローによるタイムチャートを示した。静電吸着のステージ3であり、ウエハ2の裏面にウエハ冷却用のHeガス55を供給する部分が追加されている。HFガスを流しながらIRランプ加熱を行う工程と、極性溶媒ガスを流す工程と、HFガスや極性溶媒ガスを流さない状態でIRランプ加熱を行う工程が1サイクルの中にあり、それをN回繰り返すことで、窒化シリコン膜のエッチングが起きる。
[エッチング結果4]
図4で示したエッチング処理装置100Aを用いて、図5-1、図9-1のプロセスフローを用いてエッチングを行った。図4のエッチング処理装置100Aでは、エッチング時に±1200Vの電圧をかけて、ウエハ2を静電吸着した。また、ステージ3の熱伝導を良くするために、Heを裏面から圧力1.0kPaとなるように流した。
図4で示したエッチング処理装置100Aを用いて、図5-1、図9-1のプロセスフローを用いてエッチングを行った。図4のエッチング処理装置100Aでは、エッチング時に±1200Vの電圧をかけて、ウエハ2を静電吸着した。また、ステージ3の熱伝導を良くするために、Heを裏面から圧力1.0kPaとなるように流した。
ステージ温度を-30℃にて、Arを1.4L/minで圧力を900Paにした後、900Paの圧力を維持して、HFを0.40L/min、希釈ガスとしてのArを0.20L/minを導入しながら、IRランプ60を60%の出力で、同時に60秒間照射した。これによって、窒化シリコン膜103上に反応層が形成される。
その後、排気のバルブを100%開けた状態で、60秒間排気した。この排気の操作によって、フッ素ガス及び反応生成物の一部が排気される。次にステージ3の設定温度はそのままで、極性溶媒ガスとしてメタノールを流量0.4L/min、圧力を300Pa、450Pa、600Paにして、60秒間流した。この極性溶媒ガスを流すことにより、反応層が改質するとともに一部除去される。
次に、ステージ3の設定温度はそのままで、Arを0.50L/min流した状態で、排気のバルブを100%開けた状態で、ランプ強度70%で40秒間加熱を行った。これにより、極性溶媒ガスフローにより改質された反応層が除去される。その後、初めに戻って、Arを圧力900Paで、1.4L/min、60秒間で流した状態で冷却した。この一連のプロセスを図5-1のフローに従って、ここでは10サイクル行った。
実施例1で、表1-2や表1-4で示したのと同様の形式にて評価したスリットサンプルでの実験結果を表4に示した。
メタノールガスフローの圧力を増やした場合も、ボトムの残SiO2厚さが0.90以上であり、トップとボトムのエッチング量差も2.0nm以下と小さく、図14に示すような良好なエッチング結果を示すことがわかった。
本実施例で用いた図4のエッチング処理装置100Aでは、ICPプラズマの生成機構を搭載していることから、エッチングプロセス前に、酸素プラズマによるチャンバーのクリーニングをO2=1.0L/min、50Pa、1500Wの条件で300秒行った。これによって、チャンバー内の異物などを減少させることができた。
本発明のプラズマを用いないフッ化水素ガスによるエッチングプロセスの別の形態について説明する。ここでは、図4のエッチング処理装置100Aを用いて、図6-1、図9-2に示したフローを説明する。
[エッチングプロセスのフロー5]
次に、本発明で提案するプラズマを用いないフッ化水素ガスによるエッチングプロセスについて説明する。先の実施例で示したフローと基本的に類似しているがで、図4に示したエッチング処理装置100Aを用いていることから、実施例1のエッチングプロセスのフロー1と一部異なる点がある。
次に、本発明で提案するプラズマを用いないフッ化水素ガスによるエッチングプロセスについて説明する。先の実施例で示したフローと基本的に類似しているがで、図4に示したエッチング処理装置100Aを用いていることから、実施例1のエッチングプロセスのフロー1と一部異なる点がある。
まず、処理室1に設けられた搬送口(図示省略)を介してウエハ2を処理室1に搬送した後に、静電吸着のためのDC電源31によりウエハ2をウエハステージ3に固定するとともに、ウエハ2の裏面にウエハ冷却用のHeガス55を供給することにより、図6-1のS101のウエハ冷却を行う。
図4で示したエッチング処理装置100Aを用いて、図6-1、図9-2のプロセスフローを用いてエッチングを行った。図4のエッチング処理装置100Aでは、エッチング時に±1200Vの電圧をかけて、ウエハ2を静電吸着した。ここでは、ステージ温度を-30℃とした。またステージ3の熱伝導を良くするために、Heを裏面から圧力1.0kPaとなるように流した。これにより、S111のステージ冷却を行った。
次に、S112の工程でArガスを導入した。このArガスは希釈ガスであり、ここでは圧力を上げるのに用いられている。ここでは、静電吸着のステージ3と裏面からのHeによる冷却を用いていることから、この工程を省略することもできる。
続いて、図6-1のS113として、HFガスとArガスを所定の量、所定の時間、処理室1に供給し、それと同時に加熱を行い反応層の形成を行った。加熱の方式として、ここでは、IR(赤外)ランプ60による加熱を用いた。ステージ3による冷却とIRランプ60による加熱の結果として得られるウエハ温度としては、30℃以上55℃以下が望ましく、35℃以上50℃以下がより望ましい。全圧あるいはHF分圧、加熱温度、ここではIRランプ出力、時間、繰り返し回数などによって、反応層の膜厚を制御することが可能である。また前述のウエハ温度が、30℃よりも低い場合は、反応層が十分にできないためにエッチングが起きにくい。逆に55℃より高い場合は、反応層が過剰にできるため、それを分解、揮発させるときに、望まない隣接する酸化シリコン膜102をエッチングするために選択性が低下する傾向がある。
本発明では、使用する圧力は、10Paから1000Pa程度が望ましい、特に100Paから1000Paが望ましい。圧力が高い方が、窒化シリコン膜103上の反応層が形成されやすくなるとともに、形成に必要な温度が低温化する。圧力を高くした場合でも、IRランプ60の出力を制御することで、酸化シリコン膜102には影響を与えないで、窒化シリコン膜103上に反応層を形成できる。
反応層の形成を行った後、図6-1には記載していないが、HFガスの供給を停止し、気相中に残留したHFガスを排気する。真空排気する場合は、5Pa以下にすることが望ましい。つまり、ここでは、不活性ガスを流しながらHFガスを排気する工程が、S113と後続するS114との間に入れられる。
次に、図6-1のS114として、極性溶媒ガスの導入しながら加熱することにより、反応層を改質しながら除去を行う。ここで極性溶媒ガスとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールや、水を用いることができる。極性溶媒ガスを流す量としては、0.1~3.0L/minが望ましい。ここでの加熱温度は、70℃から110℃が望ましく、70℃から100℃がより望ましい。加熱の方式として、ここでは、IRランプ60を用いた。加熱方法はこれに限定されるものではなく、例えばウエハステージ3を加熱する方法や、加熱のみを行う装置にウエハ2を別途搬送し加熱処理を行う方法でもよい。また、極性溶媒ガスの導入しながら加熱することにより、反応層を改質しながら除去を行う工程には、Arガスや窒素ガスなどの不活性ガスを導入することができる。さらに、この工程は、必要に応じて複数回行うこともできる。
次に、図6-1には記載していないが、加熱及び極性溶媒ガスの供給を停止し、気相中に残留した極性溶媒ガスを排気する。真空排気する場合は、5Pa以下にすることが望ましい。つまり、ここでは、不活性ガスを流しながら極性溶媒ガスを排気する工程が、S114の後に入れられる。
このあと、S111のステージ3によるウエハ冷却に戻る。このあと、S111からS115までの工程を1サイクルとして、これをN回繰り返す。必要なエッチング量が得られるまでサイクルを繰り返した後、終了となる。
図9-2には、図6-1に示したフローによるタイムチャートを示した。HFガス及びArを流す工程(反応層を形成する工程)と、極性溶媒ガスを流す工程と、HFガスを流さない状態でIRランプ加熱を行う工程が1サイクルの中にあり、それをN回繰り返すことで、窒化シリコン膜のエッチングが起きる。
[エッチング結果5]
図4で示したエッチング処理装置100Aを用いて、図6-1、図9-2のプロセスフローを用いてエッチングを行った。図4のエッチング処理装置100Aでは、エッチング時に±1200Vの電圧をかけて、ウエハ2を静電吸着した。またステージ2の熱伝導を良くするために、Heを裏面から圧力1.0kPaとなるように流した。
図4で示したエッチング処理装置100Aを用いて、図6-1、図9-2のプロセスフローを用いてエッチングを行った。図4のエッチング処理装置100Aでは、エッチング時に±1200Vの電圧をかけて、ウエハ2を静電吸着した。またステージ2の熱伝導を良くするために、Heを裏面から圧力1.0kPaとなるように流した。
ステージ温度を-30℃にて、Arを1.4L/minで圧力を900Paにした後、900Paの圧力を維持して、HFを0.40L/min、希釈ガスとしてのArを0.20L/minを導入しながら、IRランプ60を60%の出力で、同時に60秒間照射した。これによって、窒化シリコン膜103上に反応層が形成される。
その後、排気のバルブを100%開けた状態で、120秒間排気した。この排気の操作によって、フッ素ガス及び反応生成物の一部が排気される。
次に、ステージの設定温度はそのままで、メタノールガスを0.40L/min流した状態で、圧力を300Paに制御して、IRランプ出力70%で30s~50s間加熱を行った。これによりメタノールガスの流れる中で、反応層が除去される。その後、初めに戻って、Arを圧力900Paで、1.4L/min、60秒間で流した状態でウエハを冷却し、ステージ温度と同じ温度になるようにした。この一連のプロセスを図6-1のフローに従って、ここでは10サイクル行った。
ここで、実施例1と同様に窒化シリコン膜103(膜厚30nm)と酸化シリコン膜102(膜厚30nm)が交互に合計40層成膜されたサンプルに、200nmのスリット状のスペースが形成されたサンプルを用いて、微細パタンでのエッチング特性を評価した。その結果を表5に示した。
本実施例のようにメタノールガスフローと同時IR照射を行った場合でも、効果があり、表5の時間が30sと短い場合以外は、トップとボトムのエッチング量差も2.5nm以下と小さく、残SiO2厚さがいずれも0.95で、図14に示すような良好なエッチング結果を示すことがわかった。メタノールガスフローを加熱処理と同時に行うことで、ボトム部で反応生成物がエッチング量を増加させる働きをして、トップでは逆にエッチング量を低下させる働きをしていることを抑制することがわかった。
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
1:処理室、2:ウエハ、3:ウエハステージ、11:ベースチャンバー、12:石英チャンバー、13:放電領域、14:調圧手段、15:排気手段、16:真空排気配管、20:ICPコイル、21:高周波電源、22:整合機、23:シャワープレート、24:高ガス分散版、25:天板、26:スリット板、27:流路、30:静電吸着用電極、31:静電吸着用DC電源、38:チラー、39:冷媒の流路、50:マスフローボックス、51:ガス分配器、52:マスフローコントローラー、54:バルブ、55:Heガス、56:近接冷却用突起部、60、60-1、60-2、60-3:IRランプ、61:反射板、64:IRランプ用電源、70:熱電対、71:熱電対温度計、72:IR光透過窓、73:IRランプ用電源、74:高周波カットフィルター、100,100A:エッチング処理装置、101:基板、102:窒化シリコン膜、103:酸化シリコン膜、104:開口部、105:積層膜、106:窒化シリコン膜に対する酸化シリコン膜のエッチング量、109:窒化シリコン膜に対する酸化シリコン膜のエッチング量、111:選択比が低い場合のエッチング後の酸化シリコン膜の端部、112:エッチング後の酸化シリコン膜の端部の一例を示す図で、酸化シリコン膜の角が矩形を保ちつつ、酸化シリコン膜の部分の膜厚が薄くなったもの、113:選択比が高く、膜厚も保持された場合のエッチング後の酸化シリコン膜の端部の一例を示す図。
Claims (16)
- 処理室内に配置されたウエハ上に予め形成された、窒化シリコン膜が酸化シリコン膜に上下に挟まれて積層された膜層の端部が溝または穴の側壁を構成する膜構造を、前記処理室内に処理用の気体を供給してプラズマを用いない状態でエッチングするドライエッチング方法であって、
(a)所定の温度でフッ化水素ガスを反応させて、前記窒化シリコン膜上に反応層を形成する工程、
(b)極性溶媒のガスを流して、前記(a)の工程で形成した前記反応層を処理する工程、
(c)前記フッ化水素ガスを流さない状態で、前記(a)の工程よりも高い温度で加熱を行い、前記(a)の工程で形成し前記(b)の工程で処理した前記反応層を揮発させて除去を行う工程、を有し、
前記(a)の工程、前記(b)の工程および前記(c)の工程を繰り返して複数回行うことで、前記窒化シリコン膜を前記端部から横方向にエッチングすることを特徴とするエッチング方法。 - 処理室内に配置されたウエハ上に予め形成された、窒化シリコン膜が酸化シリコン膜に上下に挟まれて積層された膜層の端部が溝または穴の側壁を構成する膜構造を、前記処理室内に処理用の気体を供給してプラズマを用いない状態でエッチングするドライエッチング方法であって、
(a)所定の温度でフッ化水素ガスを反応させて、前記窒化シリコン膜上に反応層を形成する工程、
(d)極性溶媒のガスを流しながら、前記フッ化水素ガスを流さない状態で、前記(a)の工程よりも高い温度で加熱を行い、前記(a)の工程で形成した前記反応層を揮発させて除去を行う工程、を有し、
前記(a)の工程および前記(d)の工程を繰り返して複数回行うことで、前記窒化シリコン膜を前記端部から横方向にエッチングすることを特徴とするエッチング方法。 - 請求項1に記載のエッチング方法において、
前記(a)の工程の前記温度が30℃以上55℃以下であることを特徴とするエッチング方法。 - 請求項1に記載のエッチング方法において、
前記(c)の工程が70℃以上110℃以下であることを特徴とするエッチング方法。 - 請求項1に記載のエッチング方法において、
前記(b)の工程の前記極性溶媒がアルコールであることを特徴とするエッチング方法。 - 請求項1に記載のエッチング方法において、
前記(c)の工程の前記加熱がランプ加熱であることを特徴とするエッチング方法。 - 請求項1に記載のエッチング方法において、
前記(a)の工程及び前記(c)の工程は、ステージを-50℃以上0℃以下の低温として、それにランプ加熱を行うことで、前記(a)の工程としてステージを30℃以上55℃以下の温度を得て、さらに前記(c)の工程としてステージを70℃以上110℃以下の温度を得ることを特徴とするエッチング方法。 - 請求項1に記載のエッチング方法において、
前記(a)の工程の圧力が50Pa以上1000Pa以下であることを特徴とするエッチング方法。 - 請求項1に記載のエッチング方法において、
前記(a)の工程、前記(b)の工程及び前記(c)の工程との間に、不活性ガスを流しながら排気する工程を入れることを特徴とするエッチング方法。 - 請求項2に記載のエッチング方法において、
前記(a)の工程の前記温度が30℃以上55℃以下であることを特徴とするエッチング方法。 - 請求項2に記載のエッチング方法において、
前記(d)の工程が70℃以上110℃以下であることを特徴とするエッチング方法。 - 請求項2に記載のエッチング方法において、
前記(d)の工程の前記極性溶媒がアルコールであることを特徴とするエッチング方法。 - 請求項2に記載のエッチング方法において、
前記(d)の工程の前記加熱がランプ加熱であることを特徴とするエッチング方法。 - 請求項2に記載のエッチング方法において、
前記(a)の工程及び前記(d)の工程は、ステージを-50℃以上0℃以下の低温として、それにランプ加熱を行うことで、前記(a)の工程としてステージを30℃以上55℃以下の温度を得て、さらに前記(d)の工程としてステージを70℃以上110℃以下の温度を得ることを特徴とするエッチング方法。 - 請求項2に記載のエッチング方法において、
前記(a)の工程の圧力が50Pa以上1000Pa以下であることを特徴とするエッチング方法。 - 請求項2に記載のエッチング方法において、
前記(a)の工程と前記(d)の工程との間に、不活性ガスを流しながら排気する工程を入れることを特徴とするエッチング方法。
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