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JP7818410B2 - ドッグフード - Google Patents
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JP7818410B2 - ドッグフード - Google Patents

ドッグフード

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Description

本発明は、ドッグフードに関するものである。より具体的には、いわゆる日本犬及び日本原産犬種に給餌することで、被毛や便質の改善等、健康状態を向上させる効果を奏する、特定犬種向けのドッグフードに関する。
近年、ペットブームなどとといわれるように、多くの家庭で愛玩動物が飼育されている。愛玩動物との触れ合いを通じて精神的な安らぎが得られることや、ペットの世話を通じた身体的な活動や規則正しい生活リズムが肉体的な健康の向上にもつながるなど、飼い主の健康への好ましい影響も広く知られるようになり、今後もますます多くの愛玩動物が飼育されていくであろうと考えられる。
様々な愛玩動物が飼育されるが、その中でも犬は飼い主によく慣れ、従順で、様々な大きさや外見の犬種が存在して飼い主の嗜好に応えられるなど愛玩動物として好ましい性質を多く備えており、非常に人気のある愛玩動物の一つである。しばしば愛玩動物である犬(以下、「ペット犬」という)は飼い主にとって大切な家族の一員と認識され、その健康状態などは非常に大きな関心事である。
ペット犬の健康に影響を与える要因は様々であるが、無視し得ない大きな要因として餌の選択があげられる。ペット犬の多くの犬種は好ましい外観や性格を実現するために人為的な改良を受けて固定化されてきたものであるが、この過程でそれぞれの犬種にとって好ましい餌も変化していると考えられる一方、現代においてペット犬に給餌される餌は必ずしもこれらそれぞれの犬種の必要を考慮して選択されているとは言えないからである。犬種に対して不適切な餌を給餌することは、短期的には消化不良のような症状をまねき、長期的には必要栄養素の欠乏や不足による疾患の発生などの不都合を発生させてしまうことになる。この課題を解決するため、従来より、特定の犬種のペット犬の必要に対応するための様々なドッグフードが開発され、上市されてきた。
特表2020-502039公表特許公報には、特定の量のフェニルアラニン、チロシン、リジンを含むアミノ酸と、p-クレゾールを産生できるバクテロイデス科、クロストリジウム科又はエンテロバクター科のうちの1つである細菌を減少させるプロバイオティックスを含む、小型の犬用のドッグフードが開示されている。
同公報には、犬の年齢又はサイズ、健康状態のみならず、異なる品種のイヌ科動物を区別して、それらのドッグフードの必要量を調整することが必要であることが説明されている。例えば、小型の犬ではいくつかのアミノ酸、主にフェニルアラニン、チロシン及びリジンを多く摂取する必要があることが明らかにされている。そして、同公報に開示されたドッグフードはこれら成分を含有するものとされており、給餌することで小型のイヌの健康を維持することができると期待されるものである。
同公報に記載された発明の例のように、犬の年齢又はサイズ、健康状態、特定の犬種に対して好適化されたドッグフードを提供しようとする発明は多くなされており、市場に流通しているものも少なくない。しかし、その多くは特定の栄養素を補強したドッグフードとすることによって必要栄養素の欠乏又は不足を解消するものである。別の類型として、近年ではペット犬の肥満と、これを原因とするヒトと同様の糖尿病他の成人病が問題になっていることから、含有する脂肪量を減らして低カロリーに調整したドッグフードも多く上市されている。もっとも、肥満状態でない健康なペット犬の摂取脂肪量を制限することは一般的には好ましくない。カロリーの高い脂肪の過剰摂取で肥満状態を招くことは避けなければならないものの、犬は一般的に脂肪の代謝能力が高く、摂取総カロリーが管理されていれば健康上の問題を生じることは少なく、むしろ、摂取総カロリーに占める炭水化物の割合が多すぎると糖尿病の原因となったり消化器官の負担になるため注意が必要といわれるからである。
しかし、本願発明者は決して肥満状態ではなく、一般的には健康の範疇ととらえられるペット犬においても、摂取総カロリーに占める脂肪の割合が少ない方がより健康状態が向上する場合があることを見出した。さらに、脂肪以外の成分、具体的には特定の食材に由来するタンパク質に関しても、それらを含有しない又は含有量を低くすることで同様の効果が得られる場合があることを見出した。ここで、健康状態が向上するとは、重篤な疾患が治癒するというものではなく、健康の範疇ととらえることが可能な範囲内でより好ましい状態への変化が実現されペット犬のQOLが向上するというようなものを企図している。
健康状態の向上の例として、例えば次のようなものがあげられる。すなわち、被毛の状態や便質などの多少の状態の変化は深刻な疾病とは言い難く、日常的に通常発生する変動の範囲としてとらえられることがほとんどである。しかし、これらを放置して進行させてしまうと皮膚障害や下痢症状及び栄養失調などに悪化することも考えられる。これらを防止し又は軽微なうちに改善させることは、本発明が想定する健康状態の向上の代表的な一例である。
さて、本願発明者の詳細な観察により、給餌する栄養素と前記のような健康状態の改善には強い連関関係があることが見出された。より具体的には、摂取させる脂肪の割合を低く抑えるとともに、特定の食材、具体的には、牛肉、豚肉、サーモンに由来するタンパク質の量を減らし、さらに好ましくは乳糖を減ずるまたは除外することで被毛の状態や便質・下痢症状を改善することができることが示された。
また、前記に加え、乳酸菌スポロゲネス、ビフィズス菌インファンティス、酪酸菌等のプロバイオティックスやそのプレバイオティックス、食物繊維、冬虫夏草や納豆といった特定の機能性食材を摂取させることで、健康状態の向上効果がますます顕著となることをも見出した。さらに、ペット犬の犬種によってこのような効果が発現するかに大きな違いがあり、いわゆる日本犬及び日本原産犬種に対して顕著な効果が発現することをも明らかにした。具体的に本発明が顕著な効果を発現する日本犬の犬種として、柴犬、秋田犬、紀州犬、甲斐犬、北海道犬、四国犬について確認を行っている。また、本発明が顕著な効果を発現する日本原産犬種として、狆(チン)、日本スピッツ、日本テリア、土佐闘犬、屋久島犬、川上犬について確認を行っている。以下、前記日本犬と前記日本原産犬種を合わせて「日本犬等」と称呼する。また、本発明に係るドッグフードを給餌するべき犬種、つまり、本発明に係るドッグフードを給餌することによって健康状態が改善する犬種(日本犬等を含む)を「対象犬種」と称呼する。
日本犬等に、脂肪や特定の食材に由来するタンパク質、乳糖の含有量を制限することで健康状態が向上する正確な理由は不明であるが、おそらくは日本犬等が日本において長年人間と共生して進化してきた犬種であることと無関係ではないと想像される。つまり、近代まで日本人が食することが珍しかった食材、例えば、牛肉、豚肉、乳製品等の利用能力や脂肪代謝能力に劣る一方、比較的食物繊維や炭水化物が多く含まれる食餌への適性が高まっていると見られる。
これらの研究成果をもとに、本願発明者は、日本犬等の犬種のペット犬の健康状態をより向上することができるドッグフードを完成した。なお、本発明は、推定しているメカニズムの妥当性によらず疫学的アプローチによってペット犬の健康状態を向上しようとするものである。
特表2020-502039 公表特許公報
以上説明した通り、本発明が解決しようとする課題は、日本犬等の皮膚や被毛の状態や便質、下痢症状などをはじめとする健康状態を向上し、そのQOLの向上を図ることができるドッグフードを提供することである。
(1)前記課題を解決するため、本発明においては、
5乾燥重量%以上10乾燥重量%未満の粗脂肪を含有し、
原材料に牛肉及び豚肉及びサーモンを含まない
ことを特徴とする、ドッグフードとしている。
本発明に係るドッグフードは、粗脂肪の含有割合を5乾燥重量%以上10乾燥重量%未満としており、一般に市場に流通している通常のドッグフードに含有される粗脂肪量が10乾燥重量%乃至20乾燥重量%程度であるのに対して少なく調整されていることを特徴としている。肥満状態に陥っているペット犬向けのドッグフードでは、より粗脂肪の含有割合をより少なく調整したもの(例えば8乾燥重量%)も知られるが、健康なペット犬に給餌することを企図した通常のドッグフードとしては顕著に粗脂肪の含有割合が少ないといえる。
ドッグフードに含有される脂肪分は、消化・吸収されてペット犬の体内で脂質として代謝・利用されるのであるが、対象犬種においては脂質の代謝能力が低く、脂質の代謝能力に問題のない通常の犬種のペット犬と同じ量の脂肪分を含有するドッグフードを給餌された場合に、消化率が低くなり便質も低下する傾向がある。しかし、ドッグフードに含まれる脂肪分の割合を低く調整したことにより、このような軽微な健康上の問題症状の発生を抑制することができる。
対象犬種においては、タンパク質分解酵素、例えば、システインプロテアーゼの活性がその他の犬種と比較して劣っているなど、先天的な弱点を有していると見られ、特定の食材またはこれに由来するタンパク質の消化・吸収・代謝を苦手としている。本願発明者の研究によれば、特定の食材とは具体的には、牛肉、豚肉、サーモンであって、これら食材及びこれらに由来するタンパク質を摂取させると消化不良症状を生じてしまう。そこで、これら食材及びこれらに由来するタンパク質を含まないドッグフードとすることで、消化不良症状の発生を防止することができる。なお、原材料に牛肉及び豚肉及びサーモンを含まないとは、積極的にはこれらの食材をドッグフードの原料とはしないという意図である。従って、例えば共通の生産設備にて各種ドッグフードを生産した場合に、不純物的にこれらの食材がごく少量混入したような例は、なお、原材料に牛肉及び豚肉及びサーモンを含まないという要件を満たし、本発明に含まれる。具体的には、牛肉、豚肉、サーモンは0.1乾燥重量%未満の含有量とされていなければならない。この程度の含有量であれば、対象犬種のペット犬においても健康上の問題症状を発生しないからである。
(2)前記課題を解決するため、本発明においては、
6.5乾燥重量%以上8乾燥重量%未満の粗脂肪を含有する
ことを特徴とする、(1)に記載のドッグフードとしている。
すでに説明した通り、対象犬種にとっては多くの脂質を摂取することは、重篤ではないにせよ、消化率が低くなり便質も低下するといった好ましくない症状の原因となる。しかしながら、犬にとって脂質は重要な栄養素であり、特にオメガ-6系脂肪酸であるリノール酸は体内で合成できない必須脂肪酸であり、欠乏又は不足すると被毛の光沢の喪失や皮膚炎のような皮膚疾患や腎機能の低下を招いてしまう。また、犬はオメガ-6脂肪酸の一であるリノール酸をオメガ-3脂肪酸の一であるα-リノレン酸に転換できるため、オメガ-3脂肪酸は必須脂肪酸ではないのだが、犬に給餌するオメガ-6脂肪酸とオメガ-3脂肪酸の割合が健康に関係するといわれる。従って、犬の健康にとって必要不可欠な脂肪酸を食餌を通じて摂取させる必要があり、このため、脂質の代謝能力が低いと考えられる対象犬種のペット犬に対しても、6.5乾燥重量%以上の粗脂肪を含有するドッグフードとして必須脂肪酸の充足を図ることが好ましい。
ペット犬が必要とする必須脂肪酸を食餌を通じて摂取させるため、脂質の代謝能力が低いと考えられる対象犬種のペット犬に対しても、4乾燥重量%以上の粗脂肪を含有するドッグフードとすることが好ましいことはすでに説明した通りであるが、より好ましくは6.5乾燥重量%以上の粗脂肪を含有するドッグフードとする。この程度の脂肪量であれば、ほとんどの対象犬種のペット犬が脂質過剰となることなく、同時に、より確実に必須脂肪酸の欠乏又は不足状態に陥らないからである。
また、すでに説明した通り、脂質の代謝能力が低いと考えられる対象犬種のペット犬に対して含有する脂肪分の割合を10乾燥重量%程度まで低く調整したドッグフードを給餌することにより、消化率が低くなり便質も低下するといった好ましくない症状の発生を抑制することができる。しかし、本願発明者の研究によれば、その効果は粗脂肪の含有量をさらに8乾燥重量%程度まで減らすことでより高い効果が得られることが判明している。一方で、犬にとって脂質は重要な栄養素であり、中でもオメガ-6系脂肪酸であるリノレン酸は必須脂肪酸であって、どうしても食餌を通じて摂取させなければならない。これが欠乏又は不足すると、直ちに被毛の光沢の喪失や皮膚炎のような皮膚疾患や腎機能の低下といった健康上の問題を生じるからである。
ところで、ドッグフードは注意深く調整するとしても、天然の原材料から製造する以上、どうしても含有栄養素にある程度の変動が生じてしまう。そうすると、ドッグフード中の粗脂肪を減らすことで軽微な健康上の問題症状の発生が抑制できる一方、含有栄養素の変動の範囲で必須脂肪酸が不足してしまうことで逆に健康上の問題を発生してしまうというリスクが生じてしまう。そこで、含有栄養素が多少変動したとしても必須脂肪酸の欠乏又は不足に陥る懸念が無いよう、粗脂肪の含有量を8乾燥重量%未満程度狙いにすることが好ましいのである。
(3)前記課題を解決するため、本発明においては、
原材料に乳及びこれに由来する成分を含まない
ことを特徴とする、(1)または(2)に記載のドッグフードとしている。
乳は様々な種類の栄養素を豊富に含む優れた食品ではあるものの、ヒトにおいてはこれに含まれるラクトース(乳糖)を適切に消化できない結果、消化不良や下痢などの症状を呈する乳糖不耐症の原因物質を含むことでも知られる。ヒトに限らず、ほぼすべての哺乳類において成長すると乳糖不耐症となる傾向があり、これは犬の場合も例外ではないのだが、対象犬種においては、この症状が特に強く現れることが本願発明者の観察によって明らかになっている。哺乳類の乳糖不耐症の直接の原因は、離乳後にラクトースの消化酵素であるラクターゼの活性が低下することによるが、対象犬種においては、これに加えてウリジルトランスフェラーゼの活性をも低下してしまうらしく、この場合はラクトースが分解して生成するガラクトースまでもが問題となり、ウリジルトランスフェラーゼ活性の低下の度合いにもよるが潜在的には消化不良や下痢などの症状を超えた重篤な疾病を招きかねないものである。
そこで、原材料に乳及びこれに由来する成分を含まないドッグフードとすることで、消化不良や下痢、便質低下などの健康上の問題症状の発生を抑制することができるのである。
なお、乳中に含まれるラクトースが原因であれば、原理的には乳からラクトースを除去する、または、酵素などによって乳中のラクトースを加水分解することで、乳及びこれに由来成分を添加したドッグフードであっても、対象犬種の健康状態を良好に維持することが可能なはずである。しかし、前者については、乳中のラクロースを完全に除去することは容易ではなく、これを行うには大きなコストを要することや、多くの人工的な加工プロセスを経て製造されたドッグフードをペット犬に給餌することに不安感を感じる飼い主が一定数存在する点で好ましいとは言えない。また、後者についても、乳中のラクロースを完全に加水分解することは容易ではなく少なくない割合が残留することが多いこと、及び、ウリジルトランスフェラーゼの活性が低下している場合にはラクロースが加水分解されて生成するガラクトースによって健康上の不都合を発生してしまう可能性があることから、これも好ましい解決策ではない。
一方で、乳によらずにペット犬が必要とする必須栄養素を充足するドッグフードを調整することは決して難しいことではないため、本発明の係るドッグフードは乳及びこれに由来する成分を含まないものとしているのである。
(4)前記課題を解決するため、本発明においては、
ラクトバシラス属スポロゲネス菌又はビフィドバクテリウム属インファンティス菌又は酪酸菌のプロバイオティクス又はプレバイオティクスを含有する
ことを特徴とする、(1)乃至(3)のいずれかに記載のドッグフードとしている。
ラクトバシラス属スポロゲネス菌はいわゆる乳酸菌と呼ばれる細菌類一つで耐酸性が強いといわれる。ビフィドバクテリウム属インファンティスも同じく乳酸菌と呼ばれる細菌類の一つであり、母乳栄養児の大腸内においてこの菌が圧倒的に優位を占めるといわれ、耐酸性が強い。また、抗生物質耐性乳酸菌製剤ラクスパン散の有効成分である耐性乳酸菌の一つである(ラクスパンはキッセイ薬品工業株式会社の登録商標)。これらは、主に糖類を代謝して乳酸を産生する乳酸菌の中でも耐酸性に優れることから、経口摂取した場合に生きたまま腸に到達し、ラクトースを含む糖を代謝して乳酸を生成すると考えられる。
酪酸菌は、食物繊維や糖を代謝して酪酸を生成する細菌類であり、芽胞を形成するため耐酸性や耐塩性に極めて優れ、経口摂取した場合に生きたまま腸に到達し、やはり、ラクトースを含む糖を代謝して酪酸を生成すると考えられる。
これら細菌類であるプロバイオティクスは、ラクトースやこれが分解して生成するガラクトースを代謝し、対象犬種がこれらを原因として消化不良や下痢などの健康上の問題症状を発生することを抑制する。これにより、少量の乳またはこれに由来する成分を摂取させても健康上の問題症状の発生を抑制できることが期待できる。これにより、例えば、主要な食餌としてのドッグフードは乳またはこれに由来する成分を含まないものとするとしても、しつけやコミュニケーションを目的とするいわゆるおやつの選択の幅が広がるなど、飼い主とペット犬の双方の満足度の向上に寄与する。また、主にヒトに対する研究であるが、これらプロバイオティクスの摂取は便秘や血清コレステロールの低下、アレルギー症状の軽減のような好ましい効果が報告されており、ヒトと同じく雑食であるペット犬の健康増進にも期待できるものである。
先に説明した通り、乳酸菌とは主に糖類を代謝して乳酸を産生する細菌類の総称であるので、非常に多くの種類が存在している。本願発明者の研究によれば、これらの中で、ラクトバシラス属スポロゲネス菌及びビフィドバクテリウム属インファンティス菌をペットフードに添加することで顕著な効果が得られることが分かっており、数ある乳酸菌の中でもこれらが好ましい菌種である。これら菌種は、耐酸性に優れて経口摂取した際に生きたまま腸に到達する可能性が高い一方、多くの乳酸菌は腸に到達するまでにほぼ死滅するといわれ、本願発明者の研究でこれら菌種で好ましい結果が得られたのはこれが一因であろうと考えられる。ところで、ラクトバシラス属スポロゲネス菌、ビフィドバクテリウム属インファンティス菌、酪酸菌はいずれも健康な対象犬種のペット犬の腸内より分離した菌種であり、健康な対象犬種のペット犬の腸内に本来的に常在して健康状態を維持しているものであるから、これを補給することで対象犬種の健康状態が回復又は向上することは何ら不思議なことではない。なお、本発明に係るドッグフードに含有するこれらプロバイオティクスは、0.01乾燥重量%以上5乾燥重量%未満とすることが好ましい。プロバイオティクスは、比較的少量であっても、継続的に給餌することによって対象犬種のペット犬の腸内の腸内細菌叢を良好に変化させる効果を奏し、前記含有量であれば必要な効果が得られるからである。
本発明においてプレバイオティクスとは、これら細菌類の増殖促進などに寄与する食物繊維やオリゴ糖などを意味している。ただし、対象犬種がラクトースを摂取することで健康上の問題症状を発生するため、ラクトースは本発明におけるプレバイオティクスから除くことが好ましい。プレバイオティクスの給餌により、ペット犬の腸内の腸内細菌叢において乳酸菌や酪酸菌などが優位となるので、プロバイオティクスを給餌した場合と同様の効果が期待できるのである。
(5)前記課題を解決するため、本発明においては、
6乾燥重量%以上の粗繊維を含有する
ことを特徴とする、(1)乃至(4)のいずれかに記載のドッグフードとしている。
犬にとって食物繊維は必須ではないものの、便質を改善する働きや、プレバイオティクスの一種としての働きがあるとして、これを添加した様々なドッグフードが上市されている。食物繊維が多すぎると便秘の原因となったり、消化率が低下して必要な栄養素の吸収が妨げられるともされ、肥満状態にあるペット犬向けのものを除くと5乾燥重量%程度の粗繊維の含有率とされることがほとんどである。一方、本願発明者の研究によると、対象犬種のペット犬においては粗繊維の含有割合を高めに設定しても消化率の低下などの不都合は発生しにくく、便質はむしろ向上し、プロバイオティクスを摂取させている場合にはその効果がますます顕著となるなど、健康状態をより顕著に向上する傾向が見いだされている。そこで、粗繊維の含有率を6乾燥重量%以上と高めに設定したドッグフードとすることが好ましいのである。
(6)前記課題を解決するため、本発明においては、
0.01乾燥重量%以上5乾燥重量%未満の納豆を含有する
ことを特徴とする、(1)乃至(5)のいずれかに記載のドッグフードとしている。
納豆は、蒸したまたは茹でた大豆を納豆菌によって細菌発酵させた発酵食品であるが、大豆が原料であることからタンパク質が豊富であり、本発明に係るペットフードのタンパク質源として好ましい他、食物繊維が豊富であってそのもの自体が腸の働きを整える他、プレバイオティクスとしての働きが期待できる。さらに、納豆菌は枯草菌の一種であって芽胞を形成するため、耐酸性や耐塩性に極めて優れ、経口摂取した場合に生きたまま腸に到達して増殖することで乳酸菌等の増殖を促進するとされる。また、興和株式会社から発売されている整腸・制酸健医薬ザ・ガード整腸錠アルファスリープラスの有効成分の一つでもある。
前記説明した納豆の働きは、下痢症状や便質の改善など、(1)~(5)に記載した本願発明の効果と近いものであるが、本願発明者の研究によると、(1)~(5)に記載したドッグフードに納豆を少量添加することでその効果が顕著に向上することが見いだされている。納豆自体の働きに加え、納豆のプロバイオティクス及びプレバイオティクスとしての作用が本願発明に係るドッグフードの働きを強める相乗効果が得られたと見られ、従って、納豆を含有するドッグフードとすることが好ましいのである。なお、納豆の含有量は0.01乾燥重量%以上5乾燥重量%未満とすることが好ましい。この範囲であれば必要とする効果が得られ、かつ、嗜好性を含む弊害が発生しないからである。
(7)前記課題を解決するため、本発明においては、
0.01乾燥重量%以上5乾燥重量%未満の冬虫夏草を含有する
ことを特徴とする、(1)乃至(6)のいずれかに記載のドッグフードとしている。
冬虫夏草とはフユムシナツクサタケ、セミタケ、ノムシタケ、サナギタケ、ハナサナギタケなど土中の昆虫類に寄生した菌糸が地上に子実体を作るきのこの総称である。冬虫夏草は、抗炎症作用、抗腫瘍作用、免疫抑制作用のような様々な効果を備えることが明らかにされており、ヒトによる臨床試験ではセミタケ熱水抽出物に肌荒れ防止効果が認められている。
冬虫夏草の肌荒れ防止効果発現の正確なメカニズムは不明ながら、肌荒れや皮膚炎の大きな原因の一つはアレルギーその他による皮膚の炎症反応であり、冬虫夏草の抗炎症作用によってこれが抑制されることで肌荒れが防止又は治癒される効果が発現するものと考えられる。本願発明者の研究によれば、ヒトにおける肌荒れ防止効果と同様に、ペット犬においても皮膚や被毛の状態が改善する、つまり、いわゆるフケの発生が抑制されたり被毛の艶が向上するといった効果が得られることが確認されている。
前記説明した冬虫夏草の働きは、皮膚や被毛の状態の向上又は改善など、(1)~(5)に記載した本願発明の効果と近いものであるが、本願発明者の研究によると、(1)~(5)に記載したドッグフードに冬虫夏草を少量添加することでその効果が顕著に向上することが見いだされている。皮膚の荒れのような症状を発生している場合は炎症反応も併発してしまうことが常であり、これが冬虫夏草の働きによって治癒又は改善することで、元の皮膚の荒れのような症状も速やかに治癒又は改善するものと思われる。従って、冬虫夏草を含有するドッグフードとすることが好ましいのである。
ところで、冬虫夏草は長時間加熱しても柔らかくなりにくいなどそのまま食用とするには難があるため、粉砕して食品等に添加する、あるいは、この抽出物を食品等に添加することでより好ましい食品等を得ることができる。食感等の違いを別とすれば、冬虫夏草をそのまま添加しても、冬虫夏草の粉砕物や抽出物を添加しても、本発明に係る機能性食品等の作用効果に違いはない。なお、冬虫夏草の含有量は0.01乾燥重量%以上5乾燥重量%未満とすることが好ましい。この範囲であれば必要とする効果が得られ、かつ、嗜好性を含む弊害が発生しないからである。
(8)前記課題を解決するため、本発明においては、
柴犬、秋田犬、紀州犬、甲斐犬、北海道犬、四国犬、狆(チン)、日本スピッツ、日本テリア、土佐闘犬、屋久島犬、川上犬の犬種向けである
ことを特徴とする、(1)乃至(7)のいずれかに記載のドッグフードとしている。
本発明に係るドッグフードは、様々なエビデンスより、対象犬種においては、摂取させる脂肪の割合を低く抑えるとともに、特定の食材に由来するタンパク質の量を減らし、さらに好ましくは乳糖を減ずるまたは除外することで被毛の状態や便質を改善し、その健康状態の向上を図ることができるというものである。もっとも、犬に限らず生物の体内で発生している真の現象を完全に解明することは至難の業であるので、本発明に係るドッグフードが対象犬種の健康状態を向上することのメカニズムには推定を含むことを認めざるを得ない。従って、本発明は、推定しているメカニズムの妥当性によらず疫学的アプローチによってペット犬の健康状態を向上しようとするものである。また、脂質の代謝能力が高い通常の犬種においては、摂取総カロリーに占める炭水化物の割合が過剰となると糖尿病や胃腸障害を引き起こすリスクもあるといわれるため、本発明に係るドッグフードがあらゆる犬種にとって好適であるとは言い切れない。
さて、本出願人の研究によれば、対象犬種、すなわち、柴犬、秋田犬、紀州犬、甲斐犬、北海道犬、四国犬、狆(チン)、日本スピッツ、日本テリア、土佐闘犬、屋久島犬、川上犬の犬種については、摂取させる脂肪の割合を低く抑えるとともに特定の食材に由来するタンパク質の量を減らすなどした本発明に係るドッグフードを給餌することで健康状態が向上することを確認しており、メカニズムに関わらず、対象犬種の健康状態に対して利益があるあることが明らかである。
そこで、本発明に係るドッグフードをこれら対象品種向けのドッグフートとすることで、飼い主が、摂取させ類脂質の割合を低く、かつ、特定の食材に由来するタンパク質の量減らしたドッグフードを給餌するという判断を容易とし、以て、ペット犬の健康維持に寄与することができる。
(1)4乾燥重量%以上10乾燥重量%未満の粗脂肪を含有し、原材料に牛肉及び豚肉及びサーモンを含まないことを特徴とするドッグフードとしたので、対象犬種の皮膚や被毛の状態の悪化や便質の低下、消化不良症状などの軽微な健康上の問題症状の発生を抑制してその健康状態を向上又は改善することができるドッグフードとすることができるという効果を奏する。
(2)6.5乾燥重量%以上8乾燥重量%未満の粗脂肪を含有することとしたので、本発明の効果がより顕著に得られるばかりでなく、天然の原材料から製造するドッグフードの含有栄養素の変動が生じた場合でも必須脂肪酸の欠乏又は不足に陥る懸念の無いドッグフードとすることができるという効果を奏する。
(3)原材料に乳及びこれに由来する成分を含まないこととしたので、対象犬種が消化不良や下痢、便質低下などの健康上も問題症状を発生することがなくなり、本発明の効果がさらに確実に得られるという効果を奏する。
(4)ラクトバシラス属スポロゲネス菌又はビフィドバクテリウム属インファンティス菌又は酪酸菌のプロバイオティクス又はプレバイオティクスを含有することとしたので、対象犬種がラクトースなど好ましくない糖類を摂取した場合においても健康上の問題症状の発生を抑制することができ、及び、これによってしつけやコミュニケーションを目的とするいわゆるおやつの選択の幅が広がるなど、飼い主とペット犬の双方の満足度の向上に寄与することができるという効果を奏する。
(5)6乾燥重量%以上の粗繊維を含有することとしたので、便質が改善するほか、プロバイオティクスを摂取させている場合にはその効果がますます顕著となるなど、本発明に係るドッグフードの効果をますます顕著にすることができるという効果を奏する。プロバイオティクスを摂取させている場合にはその効果がますます顕著となるなど、健康状態をより顕著に向上
(6)納豆を含有することとしたので、下痢症状や便質の改善など本発明に係るドッグフードの効果を顕著に向上することができるという効果を奏する。
(7)冬虫夏草を含有するを含有することとしたので、肌荒れや皮膚炎の治癒又は改善、被毛の艶の向上など、本発明に係るドッグフードの効果をますます堅調なものにできるという効果を奏する。
(8)対象犬種向けのドッグフードとしたので、飼い主が、摂取させ類脂質の割合を低く、かつ、特定の食材に由来するタンパク質の量減らしたドッグフードを給餌するという判断が容易になり、以て、ペット犬の健康維持に寄与することができるという効果を奏する。
以下、本発明について実施例に基づいて具体的に説明する。以下の説明では、様々に調整した本発明に係るドッグフードや比較例を取り上げるが、それらの成分内訳は表1に整理した通りである。
表1の実施例1及び比較例1に示すとおり、総カロリーが360kcalであって、粗タンパク質25%、粗脂肪8%、粗繊維5%となるように調整したドッグフード(実施例1)と、粗タンパク質25%、粗脂肪12%、粗繊維5%となるように調整したドッグフード(比較例1)を準備した。なお、実施例1、比較例1とも、鶏肉、タラ、サツマイモ、米、キャノーラ油を主原料として調整しており、牛肉、豚肉、サーモン、乳製品は原材料に含んいない。
上記実施例1のドッグフードと比較例1のドッグフードを、健康な柴犬5頭、秋田犬1頭、紀州犬1頭、甲斐犬1頭、北海道犬1頭、四国犬1頭、日本スピッツ1頭にそれぞれ1カ月間給餌した後に消化率検査及び糞便検査を実施した。この結果、すべての犬種において実施例1のドッグフードを給餌した場合の方が消化率検査においても糞便検査においても良好な結果が得られ、対象犬種における本発明の優位性が示された。
表1の実施例2及び比較例2に示すとおり、総カロリーが360kcalであって、粗タンパク質25%、粗脂肪8%、粗繊維6%となるように調整したドッグフード(実施例2)と、粗タンパク質25%、粗脂肪8%、粗繊維4%となるように調整したドッグフード(比較例2)を準備した。なお、実施例2のドッグフード、比較例2のドッグフードとも、実施例1の場合と同様の原材料で調整した。
上記実施例2のドッグフードと比較例2のドッグフードを、健康な柴犬5頭、秋田犬1頭、紀州犬1頭、甲斐犬1頭、北海道犬1頭、四国犬1頭、日本スピッツ1頭にそれぞれ1カ月間給餌した後に消化率検査及び糞便検査を実施した。この結果、すべての犬種において2種のドッグフードで消化率がほぼ同一となった。一般に、犬においては食餌中の粗繊維量が多いほど消化率は低くなるが、対象犬種ではその傾向が見られないことが明らかになった。また、糞便検査においては、すべての犬種で実施例2のドッグフードを給餌した方が良好な結果となった。よって、対象犬種における本発明の優位性が示された。
表1の実施例3及び比較例3に示すとおり、総カロリーが325kcalであって、粗タンパク質25%、粗脂肪7%、粗繊維6%となるように調整した総合栄養食を準備し、これに5乾燥重量%の鶏肉を追加して実施例3(a)のドッグフードを得た。同様に、前記総合栄養食にタラ、牛肉、サーモン、無塩チーズを追加して、それぞれ実施例3(b)、比較例3(a)、比較例3(b)、比較例3(c)のドッグフードとした。なお、実施例3のドッグフード及び比較例3のドッグフードのベースとなった総合栄養食は、実施例1の場合と同様の原材料で調整した。
上記実施例3のドッグフード2種と比較例3のドッグフード3種を、健康な柴犬5頭にそれぞれ1週間給餌した後に消化率検査及び糞便検査を実施した。この結果、比較例3のドッグフード3種を給餌した際に明確な消化不良傾向が見られ、対象犬種では牛肉、サーモン、無塩チーズを含まないドッグフードを給餌することが好ましいことが分かった。よって、対象犬種における本発明の優位性が示された。
表1の実施例4及び比較例4に示すとおり、実施例1と同じドッグフードを調整し、これにラクトバシラス属スポロゲネス菌及びビフィドバクテリウム属インファンティス菌及び酪酸菌をコーティング顆粒粉末としたサプリメントであるN3+(株式会社マッシュルームデザインスタジオ製)を加えたものを実施例4とし、これを加えないもの(実施例1と同じもの)を比較例4とした。
上記実施例4のドッグフードと比較例4のドッグフードを、健康な柴犬25頭にそれぞれ1カ月間給餌した後に、便質、被毛の状態、健康全般の印象の3つの観点について飼い主にアンケート調査を実施した。この結果、いずれの項目においても実施例4のドッグフードを給餌した後に好ましい変化を生じたという回答が顕著に多く、対象犬種における本発明の優位性が示された。
表1の実施例5及び比較例5に示すとおり、実施例1と同じドッグフードを調整し、これらに冬虫夏草、納豆、ハナビラタケ、大豆を1日の食餌量換算で1gずつ追加したものをそれぞれ実施例5(a)、実施例5(b)、比較例5(a)、比較例5(b)とした。なお、冬虫夏草や納豆は、すでに説明した通りの効果を奏する原材料であるが、ハナビラタケと大豆はこれらとの比較の為に比較的類似性が高いと想像される原材料を選択したものである。ハナビラタケは、いわゆるキノコ類であるという点で冬虫夏草に近く、大豆は納豆の原材料である。
上記実施例5のドッグフード2種と比較例5のドッグフード2種を、健康な柴犬5頭ずつにそれぞれ1カ月間給餌した後に便質、被毛の状態、健康全般の印象の3つの観点について飼い主にアンケート調査を実施した。この結果、いずれの項目においても実施例5(a)のドッグフードおよび実施例5(b)のドッグフードを給餌した後に好ましい変化を生じたという回答が顕著に多く、対象犬種における本発明の優位性が示された。
以上説明した通り、本発明は、日本犬等の皮膚や被毛の状態や便質、下痢症状などをはじめとする健康状態を向上又は改善し、そのQOLの向上を図ることができるドッグフードを提供するものであり、その産業上の価値は頗る高い。

Claims (5)

  1. 5乾燥重量%以上10乾燥重量%未満の粗脂肪と、
    ラクトバシラス属スポロゲネス菌及びビフィドバクテリウム属インファンティス菌及び酪酸菌のプロバイオティクス又はプレバイオティクスを含有し、
    原材料に牛肉及び豚肉及びサーモン並びにこれらに由来するタンパク質、及び、乳及びこれに由来する成分を含まない
    ことを特徴とする、ドッグフード。
  2. 6乾燥重量%以上の粗繊維を含有する
    ことを特徴とする、請求項1に記載のドッグフード。
  3. 0.01乾燥重量%以上5乾燥重量%未満の納豆を含有する
    ことを特徴とする、請求項1に記載のドッグフード。
  4. 0.01乾燥重量%以上5乾燥重量%未満の冬虫夏草又は冬虫夏草抽出物を含有する
    ことを特徴とする、請求項1に記載のドッグフード。
  5. 柴犬、秋田犬、紀州犬、甲斐犬、北海道犬、四国犬、狆(チン)、日本スピッツ、日本テリア、土佐闘犬、屋久島犬、川上犬の犬種向けである
    ことを特徴とする、請求項1に記載のドッグフード。
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