以下、本発明の好ましい実施形態に係る導電性構造体の製造方法について、各実施形態を例に挙げて説明する。本発明は、以下の実施形態の内容に限定されない。
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、図面においては、説明を容易にするために拡大又は縮小をして図示した部分がある。
図1から図3に示すように、第一実施形態は、対象物90、及び対象物90に接して設けられたシート状導電部材12を備える導電性構造体320の製造方法である。図3(A)から図3(D)は、第一実施形態に係る導電性構造体320の製造方法を説明するための概略図であり、各工程の概略を表している。
図1及び図2に示すように、シート状導電部材12は、間隔をもって配列された複数の導電性線状体13、及び複数の導電性線状体13を支持する樹脂層15を備えている。複数の導電性線状体13は、樹脂層15に接触して配置されている。樹脂層15は、シート状導電部材12における第一面12Aの少なくとも一部、及びシート状導電部材12における第二面12Bの少なくとも一部を構成している。
本実施形態に係る導電性構造体320の製造方法は、以下に示すように、積層体準備工程、第一露出工程、貼着工程、及び第二露出工程を備えている。
積層体準備工程は、シート状導電部材12、シート状導電部材12の第一面12Aに接して設けられた第一剥離シート18、及び第一面12Aの反対側の第二面12Bに接して設けられた第二剥離シート19を備える積層体120を準備する工程である。
第一露出工程は、積層体120から、第一剥離シート18を剥離して、第一面12Aを露出させる工程である。本実施形態においては、図3(A)に示すように、積層体120から、第一剥離シート18を剥離しており、図3(B)に示すように、シート状導電部材12の第一面12Aを露出させている。
貼着工程は、露出した第一面12Aを、対象物90の表面に貼り合わせる工程である。本実施形態においては、図3(C)に示すように、シート状導電部材12の露出した第一面12Aを、対象物90の表面に貼り合わせている。
第二露出工程は、第一露出工程において、剥離していない第二剥離シート19を剥離して、露出していない第二面12Bを露出させる工程である。本実施形態においては、図3(D)に示すように、第一露出工程で剥離しなかった、第二剥離シート19を剥離しており、第一露出工程において露出していなかった第二面12Bを露出させている。
<積層体準備工程>
図1、図2、及び図3(A)を参照すると、積層体準備工程では、積層体120を準備する。積層体120は、具体的には、第一剥離シート18と、第一剥離シート18の上に設けられ、複数の導電性線状体13及び樹脂層15を有するシート状導電部材12と、シート状導電部材12の上に設けられた第二剥離シート19と、を備えている。そして、第一剥離シート18と、第二剥離シート19との間に、シート状導電部材12が挟まれて配置されている。第一剥離シート18は、シート状導電部材12の第一面12Aを構成している樹脂層15と対面している。第二剥離シート19は、シート状導電部材12の第二面12Bを構成している複数の導電性線状体13及び樹脂層15と対面している。第一剥離シート18は、シート状導電部材12が備える樹脂層15に、直接、接触して設けられており、第二剥離シート19は、シート状導電部材12が備える複数の導電性線状体13に、直接、接触して設けられている。本実施形態において、複数の導電性線状体13の円周面の一部は、第二面12Bから露出するように配置されている。
シート状導電部材12において、複数の導電性線状体13は、互いに間隔をもって配列されている。複数の導電性線状体13は、シート状導電部材12の平面視において、いずれも、ほぼ直線状の線状体を成している。また、複数の導電性線状体13の断面は、いずれも、円形に近い形状をなしている。導電性線状体13は、導電性線状体13が延びる方向(すなわち、導電性線状体13の軸方向)と交差する方向に、複数配列されている。全ての導電性線状体13は、導電性線状体13の円周面の一部が樹脂層15に接触しており、複数の導電性線状体13の円周面の一部が樹脂層15に対して露出している。したがって、シート状導電部材12において、樹脂層15は、シート状導電部材12の第一面12Aを構成している。また、シート状導電部材12において、樹脂層15は、シート状導電部材12の第二面12Bの一部を構成している。つまり、シート状導電部材12の第二面12Bは、樹脂層15と複数の導電性線状体13とにより構成されている。
積層体120は、例えば、次の手順1により作製できる。まず、第一剥離シート18の上に、樹脂層15を形成するための樹脂組成物を塗布し、塗膜を形成する。次に、塗膜を乾燥させて、樹脂層15を作製する。次に、樹脂層15の上に、導電性線状体13を配列しながら配置する。例えば、ドラム部材の外周面に第一剥離シート18付きの樹脂層15を配置した状態で、ドラム部材を回転させながら、樹脂層15に対して、導電性線状体13を螺旋状に巻き付ける。その後、螺旋状に巻き付けた導電性線状体13の束をドラム部材の軸方向に沿って切断する。これにより、互いに間隔をもって配列された複数の導電性線状体13は、樹脂層15に配置される。本実施形態では、複数の導電性線状体13における円周面の一部は、樹脂層15に埋没し、円周面の一部は、樹脂層15から露出して配置される。その後、第二剥離シート19を樹脂層15の上に配置する。すなわち、樹脂層15の第一剥離シート18が接している面とは反対側の面に、第二剥離シート19を配置する。次に、第一剥離シート18及び第二剥離シート19を備え、複数の導電性線状体13が配置された樹脂層15をドラム部材から取り出す。以上の手順1で、積層体120が得られる。
また、積層体120は、例えば、次の手順2によっても作製できる。まず、剥離シートAの上に、樹脂層15を形成するための樹脂組成物を塗布し、塗膜を形成する。次に、塗膜を乾燥させて、樹脂層15を作製する。次に、樹脂層15の剥離シートAが接している面とは反対側の面に、剥離シートBを配置する。剥離シートBを配置した後、ロール状に巻き取り、巻き取りロールを作製する。次に、巻き取りロールを繰り出し、上記の剥離シートA、又は剥離シートBのいずれか一方の剥離シートを剥離しながら、樹脂層15の上に、導電性線状体13を配置する。導電性線状体13は、上記の手順1と同様にして配置すればよい。導電性線状体13を配置した後、剥離シートが剥離された面に、剥離した剥離シートと同種又は別種の剥離シートCを配置する。最終的に、積層体120が、第一剥離シート18、複数の導電性線状体13が間隔をもって配置された樹脂層15、第二剥離シート19の順で積層された構造となる組み合わせで、剥離シートA、剥離シートB、及び剥離シートCを選択する。樹脂層15の上に導電性線状体13を配置するときに、直前に剥離した剥離シート(つまり、剥離シートA、又は剥離シートB)は、導電性線状体13を配置した後に配置する剥離シートCとして再利用してもよい。例えば、樹脂層15の上に導電性線状体13を配置する直前に剥離する剥離シートを、剥離シートBとした場合では、第一剥離シート18は、剥離シートAであり、第二剥離シート19は、剥離除去した剥離シートBと別種の剥離シートBを新たに使用してもよく、剥離除去した剥離シートBを再利用してもよい。また、第二剥離シートとして剥離シートAでもとも別種の剥離シートCを使用してもよい。以上の手順2でも、積層体120が得られる。
これらの方法によれば、例えば、ドラム部材を回転させながら、導電性線状体13の繰り出し部をドラム部材の軸と平行な方向に沿って移動させることで、樹脂層15に、間隔をもって配置された複数の導電性線状体13において、隣り合う導電性線状体13の間隔Lを調整することが容易になる。
次に、積層体準備工程で準備する積層体120について、積層体120を構成する材料等について説明する。
(導電性線状体)
導電性線状体13の体積抵抗率は、例えば、1.0×10-9Ω・m以上、1.0×10-3Ω・m以下であることが好ましく、1.0×10-8Ω・m以上、1.0×10-4Ω・m以下であることがより好ましい。導電性線状体13の体積抵抗率を上記範囲にすると、複数の導電性線状体13の全体における面抵抗を低くしやすくなる。
導電性線状体13の体積抵抗率の測定は、次のとおりである。導電性線状体13の一方の端部及び端部からの長さ40mmの部分に銀ペーストを塗布し、端部及び端部から長さ40mmの部分の抵抗を測定し、導電性線状体13の抵抗値を求める。そして、導電性線状体13の断面積(単位:m2)を上記の抵抗値に乗じ、得られた値を上記の測定した長さ(0.04m)で除して、導電性線状体13の体積抵抗率を算出する。
導電性線状体13の断面の形状は、特に限定されない。導電性線状体13の断面の形状は、円形状に限られず、例えば、多角形状、扁平形状、又は楕円形状等を取り得る。樹脂層15との馴染み等の観点から、導電性線状体13の断面の形状は、楕円形状、又は円形状であることが好ましい。
導電性線状体13の断面が円形状である場合には、導電性線状体13の直径D(図2参照)は、それぞれ、1μm以上、125μm以下であることが好ましい。シート抵抗の上昇抑制と、シート状導電部材12を、導電性構造体320における発熱体として用いた場合の発熱効率及び耐絶縁破壊特性の向上との観点から、導電性線状体13の直径Dは、5μm以上、75μm以下であることがより好ましく、8μm以上、60μm以下であることがさらに好ましく、12μm以上、40μm以下であることがよりさらに好ましい。
導電性線状体13の断面が楕円形状である場合には、長径が上記の直径Dと同様の範囲にあることが好ましい。
導電性線状体13の直径Dは、デジタル顕微鏡を用いて、導電性線状体13を観察し、無作為に選んだ5箇所で、導電性線状体13の直径を測定し、その平均値とする。
導電性線状体13の間隔L(図2参照)は、0.3mm以上、50mm以下であることが好ましく、0.5mm以上、30mm以下であることがより好ましく、0.8mm以上、20mm以下であることがさらに好ましい。
導電性線状体13同士の間隔が上記範囲であれば、導電性線状体13がある程度密集しているため、導電性線状体13の抵抗を低く維持し、シート状導電部材12を導電性構造体320の発熱体として用いる場合の温度上昇の分布を均一にする等、シート状導電部材12の機能の向上を図ることができる。
導電性線状体13の間隔Lは、デジタル顕微鏡を用いて、導電性線状体13を観察し、隣り合う2つの導電性線状体13の間隔を測定する。
なお、隣り合う2つの導電性線状体13の間隔とは、導電性線状体13を配列させていった方向に沿った長さであって、2つの導電性線状体13の対向する部分間の長さである(図2参照)。間隔Lは、導電性線状体13の配列が不等間隔である場合には、全ての隣り合う導電性線状体13同士の間隔の平均値である。
導電性線状体13は、特に制限されず、金属製のワイヤーを含む線状体(以下「金属ワイヤー線状体」とも称する)であることがよい。金属製のワイヤーは、高い熱伝導性、高い電気伝導性、高いハンドリング性、及び汎用性を有する。シート状導電部材12を導電性構造体320の発熱体として適用した場合、金属ワイヤー線状体は、抵抗を大きく低下させることが可能であり、金属ワイヤー線状体の直径を極めて小さくしても、発熱に必要な電流で通電できる。これにより、導電性線状体13が視認されにくい状態にできる。すなわち、導電性線状体13として金属ワイヤー線状体を適用すると、導電性線状体13の軸方向における全体の抵抗値として求められる、複数の導電性線状体13の全体の抵抗値を低減しつつ、光線透過性が向上しやすくなる。また、シート状導電部材12を導電性構造体320の発熱体として適用したとき、速やかな発熱が実現されやすくなる。さらに、前述のように、直径が細い線状体を得られやすい。
なお、導電性線状体13としては、金属ワイヤー線状体の他に、カーボンナノチューブを含む線状体、及び、糸に導電性被覆が施された線状体が挙げられる。
金属ワイヤー線状体は、1本の金属製のワイヤーからなる線状体であってもよいし、複数本の金属製のワイヤーを撚った線状体であってもよい。
金属製のワイヤーとしては、銅、アルミニウム、タングステン、鉄、モリブデン、ニッケル、チタン、銀、及び金等の金属、又は、金属を二種以上含む合金(例えば、ステンレス鋼、及び炭素鋼等の鋼鉄、真鍮、りん青銅、ジルコニウム銅合金、ベリリウム銅、鉄ニッケル、ニクロム、ニッケルチタン、カンタル、ハステロイ、及びレニウムタングステン等)を含むワイヤーが挙げられる。また、金属製のワイヤーは、金、錫、亜鉛、銀、ニッケル、クロム、ニッケルクロム合金、又は、はんだ等でめっきが施されていてもよく、後述する炭素材料やポリマーにより表面が被覆されていてもよい。特に、タングステン及びモリブデン並びにこれらを含む合金から選ばれる一種以上の金属を含むワイヤーが、細くて高強度であり、低い体積抵抗率の導電性線状体13とする観点から好ましい。
金属製のワイヤーとしては、炭素材料で被覆された金属製のワイヤーも挙げられる。金属製のワイヤーは、炭素材料で被覆されていると、金属光沢が低減し、金属製のワイヤーの存在を目立たなくすることが容易となる。また、金属製のワイヤーは、炭素材料で被覆されていると金属腐食も抑制される。
金属製のワイヤーを被覆する炭素材料としては、非晶質炭素(例えば、カーボンブラック、活性炭、ハードカーボン、ソフトカーボン、メソポーラスカーボン、及びカーボンファイバー等)、グラファイト、フラーレン、グラフェン及びカーボンナノチューブ等が挙げられる。
カーボンナノチューブを含む線状体は、例えば、カーボンナノチューブフォレスト(カーボンナノチューブを、基板に対して垂直方向に配向するよう、基板上に複数成長させた成長体のことであり、「アレイ」と称される場合もある)の端部から、カーボンナノチューブをシート状に引き出し、引き出したカーボンナノチューブシートを束ねた後、カーボンナノチューブの束を撚ることにより得られる。このような製造方法において、撚りの際に捻りを加えない場合には、リボン状のカーボンナノチューブ線状体が得られ、捻りを加えた場合には、糸状の線状体が得られる。リボン状のカーボンナノチューブ線状体は、カーボンナノチューブが捻られた構造を有しない線状体である。このほか、カーボンナノチューブの分散液から、紡糸をすること等によっても、カーボンナノチューブ線状体を得ることができる。紡糸によるカーボンナノチューブ線状体の製造は、例えば、米国特許出願公開第2013/0251619号明細書(日本国特開2012-126635号公報)に開示されている方法により行うことができる。カーボンナノチューブ線状体の直径の均一さが得られる観点からは、糸状のカーボンナノチューブ線状体を用いることが望ましく、純度の高いカーボンナノチューブ線状体が得られる観点からは、カーボンナノチューブシートを撚ることによって糸状のカーボンナノチューブ線状体を得ることが好ましい。カーボンナノチューブ線状体は、2本以上のカーボンナノチューブ線状体同士が編まれた線状体であってもよい。また、カーボンナノチューブ線状体は、カーボンナノチューブと他の導電性材料が複合された線状体(以下「複合線状体」とも称する)であってもよい。
複合線状体としては、例えば、(1)カーボンナノチューブフォレストの端部から、カーボンナノチューブをシート状に引き出し、引き出したカーボンナノチューブシートを束ねた後、カーボンナノチューブの束を撚るカーボンナノチューブ線状体を得る過程において、カーボンナノチューブのフォレスト、シート若しくは束、又は撚った線状体の表面に、金属単体又は金属合金を蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、湿式めっき等により担持させた複合線状体、(2)金属単体の線状体若しくは金属合金の線状体又は複合線状体とともに、カーボンナノチューブの束を撚った複合線状体、及び、(3)金属単体の線状体若しくは金属合金の線状体又は複合線状体と、カーボンナノチューブ線状体又は複合線状体とを編んだ複合線状体等が挙げられる。なお、(2)の複合線状体においては、カーボンナノチューブの束を撚る際に、(1)の複合線状体と同様にカーボンナノチューブに対して金属を担持させてもよい。また、(3)の複合線状体は、2本の線状体を編んだ場合の複合線状体であるが、少なくとも1本の金属単体の線状体若しくは金属合金の線状体又は複合線状体が含まれていれば、カーボンナノチューブ線状体又は金属単体の線状体若しくは金属合金の線状体若しくは複合線状体の3本以上を編み合わせてあってもよい。
複合線状体の金属としては、例えば、金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル、クロム、スズ、及び亜鉛等の金属単体、及び、これら金属単体の少なくとも一種を含む合金(銅-ニッケル-リン合金、及び、銅-鉄-リン-亜鉛合金等)が挙げられる。
導電性線状体13は、糸に導電性被覆が施された線状体であってもよい。糸としては、ナイロン、又はポリエステル等の樹脂から紡糸した糸等が挙げられる。導電性被覆としては、金属、導電性高分子、及び炭素材料等の被膜等が挙げられる。導電性被覆は、メッキや蒸着法等により形成することができる。糸に導電性被覆が施された線状体は、糸の柔軟性を維持しつつ、線状体の導電性を向上させることができる。つまり、導電性線状体13の抵抗を、低下させることが容易となる。
導電性構造体320が電極を備える場合、導電性線状体13と電極との接触抵抗を抑制する観点で、導電性線状体13は、金めっきが施された線状体であることが好ましい。導電性線状体13は、金めっきが施されていることにより、前記の接触抵抗の影響を無視できるほど抑制できるため、抵抗値が安定しやすくなる。
(樹脂層)
樹脂層15は、樹脂を含む層である。樹脂層15により、導電性線状体13を、直接、又は間接的に支持できる。樹脂層15は、接着剤を含む層であることが好ましい。樹脂層15が接着剤を含む層であれば、複数の導電性線状体13が樹脂層15に対して間隔をもって配置される際に、導電性線状体13を樹脂層15に対して容易に貼り付けることができる。また、樹脂層15が接着剤を含む層であれば、シート状導電部材12の第一面12Aを構成している樹脂層15と、対象物90とが、容易に貼り付けられる。なお、樹脂層15は、伸縮性を有することが好ましい。このような場合には、シート状導電部材12の伸縮性を確保できる。
樹脂層15に接着剤が含まれる場合、樹脂層15に適用される接着剤は、特に限定されない。接着剤は、例えば、乾燥固化性の接着剤、加熱溶融性の接着剤、硬化性の接着剤(硬化性接着剤)、及び感圧性の接着剤等を用いることができる。乾燥固化性の接着剤は、接着剤組成物を塗布した後、乾燥させることで水分又は溶剤を取り除き、固体化する接着剤であることを表す。硬化性の接着剤は、接着剤組成物を塗布し、任意に乾燥させた後、化学反応をさせることで、固体化する接着剤を表す。硬化性の接着剤は、(1)加熱処理、及びエネルギー線の照射処理の少なくともいずれかの処理を施して重合反応等の化学反応をさせることで、固体化する接着剤、並びに、(2)湿気(水分)と反応することで、固体化する接着剤などが含まれる。加熱溶融性の接着剤は、熱により溶融し、冷却されることにより接着する接着剤を表す。感圧性の接着剤は、粘着剤(感圧性接着剤)の粘着性により接着する接着剤(粘着剤)を表す。樹脂層15の接着剤は、例えば、湿潤させて貼付性を発現させる接着剤等も挙げられる。
樹脂層15は、粘着剤(感圧性接着剤)を含む層であってもよい。粘着剤層の粘着剤は、特に限定されない。例えば、粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、及びポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、粘着剤は、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及びゴム系粘着剤からなる群から選択される少なくともいずれかであることが好ましく、アクリル系粘着剤であることがより好ましい。
アクリル系粘着剤としては、例えば、直鎖のアルキル基又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含むアクリル系重合体(つまり、アルキル(メタ)アクリレートを少なくとも重合した重合体)、環状構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含むアクリル系重合体(つまり、環状構造を有する(メタ)アクリレートを少なくとも重合した重合体)等が挙げられる。ここで「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の双方を示す語として用いており、他の類似用語についても同様である。
アクリル系重合体(単独重合体及び共重合体を含む)は架橋剤により架橋されていてもよい。架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、及び金属キレート系架橋剤等が挙げられる。アクリル系重合体を架橋する場合には、アクリル系重合体の単量体成分に由来する官能基として、これらの架橋剤と反応する水酸基、及びカルボキシル基の少なくとも1種等をアクリル系重合体に導入することができる。
樹脂層15は、特に限定されず、例えば、硬化性であるか、又は硬化性でなくてもよい。例えば、樹脂層15が接着剤を含む場合、又は樹脂層15が粘着剤を含む場合も同様に、樹脂層15は、硬化性であるか、又は硬化性でなくてもよい。樹脂層15は、樹脂層15が導電性構造体320の最表層を構成できる(つまり、導電性構造体320は、シート状導電部材12の第二面12Bを露出した状態で使用できる)観点で、硬化性樹脂層であることが好ましい。樹脂層15が硬化性樹脂層であれば、樹脂層15の表面は、優れた耐擦傷性が得られやすい。また、樹脂層15は、適用の簡便さの観点で、エネルギー線硬化性の硬化性樹脂層であることがより好ましい。エネルギー線硬化性の硬化性樹脂層は、紫外線、可視光線、赤外線、及び電子線等のエネルギー線硬化性の硬化性樹脂層が挙げられる。なお、「エネルギー線硬化」には、エネルギー線を用いた加熱による熱硬化も含まれる。
本明細書において、硬化とは、単に硬化性樹脂が反応することのみを指すのではない。硬化は、硬化した樹脂層15の表面のタック性が抑制される(好ましくはタック性がなくなる)こと、及び硬化した樹脂層15の表面が優れた耐擦傷性が得られることも含み得る概念である。
また、樹脂層15が導電性構造体320の最表層を構成する場合、樹脂層15は、タック性が小さいほうが好ましく、タック性を有さないことが好ましい。さらに、この観点で、樹脂層15は、硬化性樹脂であることが好ましく、エネルギー線硬化性樹脂を含む硬化性の接着剤層であることがより好ましい。
本明細書において、タック性とは、物質の表面に生じるベタつき感を意味する。本実施形態では、タック性は、樹脂層15の表面に生じるベタつき感を意味する。
樹脂層15がエネルギー線硬化性の樹脂層である場合、エネルギー線硬化性樹脂を含有していてもよい。例えば、樹脂層15が粘着剤を含む層である場合、樹脂層15は、粘着剤の他に、さらに、エネルギー線硬化性樹脂を含有する粘着剤組成物から形成される。また、例えば、樹脂層15が接着剤を含む層である場合、樹脂層15は、エネルギー線硬化性樹脂を含有する接着剤組成物から形成される。エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば、分子内に少なくとも1個の重合性二重結合を有する化合物が挙げられる。分子内に少なくとも1個の重合性二重結合を有する化合物としては、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物であることが好ましい。前記アクリレート系化合物としては、例えば、鎖状脂肪族骨格含有(メタ)アクリレート、環状脂肪族骨格含有(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ変性(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート以外のポリエーテル(メタ)アクリレート、及びイタコン酸オリゴマー等が挙げられる。エネルギー線硬化性樹脂は、一種単独で、又は二種以上を組み合わせて含んでいてもよい。エネルギー線硬化性樹脂が二種以上を含んでいる場合、エネルギー線硬化性樹脂の組み合わせ、及びその比率は、目的に応じて選択できる。
エネルギー線硬化性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、100以上、30000以下であることが好ましく、300以上、10000以下であることがより好ましい。
樹脂層15が、エネルギー線硬化性の樹脂層である場合、エネルギー線硬化性樹脂と、後述する熱可塑性樹脂とを組み合わせてもよく、エネルギー線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との組み合わせ、及びその比率は、目的に応じて選択できる。
樹脂層15が熱硬化性の樹脂層である場合、樹脂層15は、熱硬化性樹脂を含んでいる。樹脂層15に用いられる熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノキシ樹脂、アミン系化合物、及び酸無水物系化合物等が挙げられる。これらは一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、イミダゾール系硬化触媒を使用した硬化に適するという観点から、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アミン系化合物、及び酸無水物系化合物の一種単独、又は二種以上を使用することが好ましい。特に、優れた硬化性を示すという観点から、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、それらの混合物、又は、エポキシ樹脂と、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アミン系化合物、及び酸無水物系化合物からなる群から選択される少なくとも一種との混合物を使用することが好ましい。
樹脂層15が湿気硬化性の樹脂層である場合、樹脂層15は、湿気硬化性樹脂を含んでいる。樹脂層15に用いられる湿気硬化性樹脂としては、特に限定されず、ウレタン樹脂(イソシアネート基が湿気で硬化して生成する樹脂)、及び変性シリコーン樹脂等が挙げられる。
樹脂層15に、エネルギー線硬化性樹脂、及び熱硬化性樹脂の少なくとも一方が用いられる場合、樹脂層15は、光重合開始剤、及び熱重合開始剤等が用いられることが好ましい。樹脂層15が、エネルギー線硬化性樹脂を含む場合には、光重合開始剤等が用いられることにより、樹脂層15には、架橋構造が形成される。また、樹脂層15が、熱硬化性樹脂を含む場合には、熱重合開始剤等が用いられることにより、樹脂層15には、架橋構造が形成される。このため、導電性線状体13が、樹脂層15によって、より強固に保護されやすくなる。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4-ジエチルチオキサントン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、2-クロロアントラキノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド、及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニル-ホスフィンオキサイド等が挙げられる。
熱重合開始剤としては、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸塩(ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、及びペルオキソ二硫酸カリウム等)、アゾ系化合物(2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリン酸)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、及び2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等)、及び有機過酸化物(過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、過コハク酸、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、及びクメンヒドロパーオキサイド等)等が挙げられる。
これらの重合開始剤は、一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの重合開始剤を用いて架橋構造を形成する場合、重合開始剤の使用量は、エネルギー線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の少なくとも一方の樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上、100質量部以下であることが好ましく、1質量部以上、100質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上、10質量部以下であることがさらに好ましい。
樹脂層15は、硬化性でなく、例えば、熱可塑性樹脂組成物からなる層であってもよい。そして、熱可塑性樹脂組成物中に溶媒(水、溶剤等)を含有させることで、熱可塑性樹脂層を軟化させることができる。これにより、樹脂層15に導電性線状体13を形成する際に、導電性線状体13の樹脂層15への配置が容易となる。一方で、熱可塑性樹脂組成物中の溶媒を揮発させることで、熱可塑性樹脂層を乾燥固化させることができる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、及びアクリル樹脂等が挙げられる。溶媒としては、例えば、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤、及びハロゲン化アルキル系溶媒等の溶剤、並びに、水等が挙げられる。
樹脂層15は、無機充填材を含有していてもよい。無機充填材を含有することで、硬化後の樹脂層15の硬度をより向上させることができる。また、樹脂層15の熱伝導性が向上する。
無機充填材としては、例えば、無機粉末(例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、金属、及び窒化ホウ素等の粉末)、無機粉末を球形化したビーズ、単結晶繊維、及びガラス繊維等が挙げられる。これらの中でも、無機充填材としては、シリカフィラー及びアルミナフィラーであることが好ましい。無機充填材は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂層15には、その他の成分が含まれていてもよい。その他の成分としては、例えば、有機溶媒、難燃剤、粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、可塑剤、消泡剤、及び濡れ性調整剤等の周知の添加剤が挙げられる。
樹脂層15の厚さは、シート状導電部材12の用途に応じて決定すればよい。例えば、接着性の観点から、樹脂層15の厚さは、3μm以上、150μm以下であることが好ましく、5μm以上、100μm以下であることがより好ましい。
(第一剥離シート)
第一剥離シート18は、特に限定されず、剥離性を有するシートであればよい。第一剥離シート18は、例えば、剥離基材と、剥離基材の上に剥離剤が塗布されて形成された剥離剤層とを備える剥離シートでもよい。剥離基材の上に設けられる剥離剤層は、剥離基材の片面のみに設けられていてもよく、剥離基材の両面に備えていてもよい。剥離基材としては、例えば、紙基材、紙又は不織布等の基材に熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、及び熱可塑性樹脂フィルム等が挙げられる。剥離剤としては、例えば、オレフィン系樹脂、ゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂、及びシリコーン系樹脂等が挙げられる。
(第二剥離シート)
第二剥離シート19は、特に限定されず、剥離性を有するシートであればよい。第二剥離シート19は、第一剥離シート18よりも重剥離になるように、第一剥離シート18と異なっている剥離シートであることが好ましい。第二剥離シート19は、剥離基材と、剥離基材の上に設けられた剥離剤層とを備える剥離シートであってもよい。剥離基材及び剥離剤層に含まれる剥離剤は、第一剥離シート18で例示した剥離基材及び剥離剤から選択できる。また、第二剥離シート19は、例えば、後述の第二実施形態で説明する好ましい態様の第二剥離シート19も使用可能である。
第一剥離シート18及び第二剥離シート19の厚さは、特に限定されず、例えば、20μm以上、200μm以下であってもよい。第一剥離シート18及び第二剥離シート19が、例えば、剥離基材と、剥離基材の上に設けられた剥離剤層とを備える場合、剥離剤層の厚さは、特に限定されず、例えば、0.01μm以上、2.0μm以下であってもよい。剥離基材の厚さは、特に限定されず、例えば、3μm以上、150μm以下であってもよい。
<第一露出工程>
図3(A)及び図3(B)を参照すると、第一露出工程では、積層体120が備える第一剥離シート18を剥離することにより、シート状導電部材12の第一面12Aが露出する。そして、図3(B)に示すように、シート状導電部材12の第一面12Aが露出することにより、シート状導電部材12が備える樹脂層15が露出する。第一露出工程における第一剥離シート18を剥離する方法は、特に限定されず、機械的な手法による剥離方法でもよく、手動による剥離方法でもよい。第一剥離シート18を剥離する方向は、第一剥離シート18が剥離可能であり、シート状導電部材12の第一面12Aが露出することが可能であれば、特に限定されない。
本実施形態において、第一露出工程では、第一剥離シート18、及び第二剥離シート19の両者を剥離することはない。このため、貼り付け対象となる対象物に貼り付けるときに、例えば、貼り付け装置の汚染が抑制されやすくなる。
<貼着工程>
(対象物)
貼着工程で適用される対象物90について説明する。図3(C)、及び図3(D)において、対象物90は、シート状導電部材12の露出した第一面12Aと貼り合わせる面が平坦な面(平坦面)で構成されている。
本実施形態の対象物90においては、露出した第一面12Aと貼り合わせる面が、平坦面であればよく、貼り合わせる面以外の面は、どのような形状の面であっても構わない。
対象物90の材質等は、特に限定されない。対象物90の材質は、絶縁性の物質であるか、又は非絶縁性の物質であってもよい。対象物90の材質は、絶縁性の物質であることが好ましい。対象物90の絶縁性としては、例えば、対象物90の体積抵抗率が1012Ω・cm以上であってもよい。対象物90の材質としては、例えば、プラスチック、ガラス、セラミック、石材、木材、パルプ集成材、不織布、織物、及び絶縁被覆された金属等が挙げられる。
図3(C)を参照すると、貼着工程では、シート状導電部材12の露出した第一面12Aは、対象物90の表面(つまり、対象物の被貼着面)に貼り合わせられる。露出した第一面12Aを、対象物90の被貼着面に貼り合わせるときの貼着方法は、特に限定されない。機械的な手法による貼着方法でもよく、手動による貼着方法でもよい。作業効率の点で、貼着方法は、貼り付け装置を用いた機械的な手法による貼着方法であることが好ましい。貼り付け装置は特に限定されず、例えば、各種ラミネーター装置を用いてもよい。具体的には、シート状導電部材12の第一面12Aと対象物90の被貼着面との貼り合わせは、対象物90の被貼着面が平坦面で構成される場合、例えば、ロールプレス等による通常のラミネーター装置を使用すればよい。
<硬化工程>
本実施形態において、例えば、樹脂層15が、硬化性樹脂である場合は、以下で説明する硬化工程を備えていることが好ましい。硬化工程は必要に応じて行われる工程であり、樹脂層15が、硬化性樹脂である場合でも、硬化工程が行われない場合もある。
硬化工程は、シート状導電部材12の第一面12A、及びシート状導電部材12の第二面12Bの一部を構成する樹脂層15が、硬化性樹脂であり、貼着工程の後に、対象物90と貼り合わせた樹脂層15を硬化させる工程である。具体的には、硬化工程は、第一剥離工程で露出した第一面12Aを、対象物90の表面に貼り合わせた後であり、第二剥離シート19を剥離する前に(つまり、第二露出工程の前に)、樹脂層15を硬化させる工程である。硬化工程において、樹脂層を硬化させる方法は、熱による硬化でもよく、光による硬化でもよく、両者の組み合わせによる硬化でもよい。また、樹脂層を硬化させる方法は、湿気による硬化であってもよい。硬化工程における樹脂層の硬化方法は、樹脂層15を形成するための樹脂組成物の成分によって選択すればよい。樹脂層15としての硬化性樹脂層は、導電性構造体320の表面の耐擦傷性を高め、導電性構造体320の導電性を維持しやすくする観点で、最表層であることが好ましい。
樹脂層15が、例えば、エネルギー線硬化性の樹脂層であって、当該樹脂層に(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物を含んでいる場合、シート状導電部材12が、第二剥離シート19を剥離させない状態で硬化されることで、エネルギー線硬化性の樹脂層が硬化しやすくなる。この理由は、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物を含む樹脂層を硬化させるときにおいて、第二剥離シート19によって酸素阻害を抑制できるためと推測される。
<第二露出工程>
図3(D)を参照すると、第二露出工程では、第二剥離シート19を剥離することにより、シート状導電部材12の第二面12Bを露出させている。そして、シート状導電部材12の第二面12Bが露出することにより、シート状導電部材12が備える樹脂層15が露出する。第二露出工程における第二剥離シート19を剥離する方法は、特に限定されず、第二剥離シート19が剥離可能であり、シート状導電部材12の第二面12Bが露出することが可能であれば、前述の第一露出工程と同様の方法であってもよい。
本実施形態において、第二露出工程を備えることで、シート状導電部材12の第二面12Bが露出するため、シート状導電部材12の第二面12Bは、導電性構造体320の最表層の表面として構成し得る。樹脂層15が硬化性樹脂である場合、第二面12Bの一部を構成する硬化した樹脂層15が導電性構造体320の最表層となり得るため、導電性構造体320の表面は、タック性が抑制されるとともに、優れた耐擦傷性が得られる。また、第二露出工程を備えることで、シート状導電部材12の第二面12Bが露出するため、樹脂層15の上に、保護層を設けることができる。さらに、第二露出工程を備えることで、シート状導電部材12の第二面12Bが露出するため、樹脂層15の上に、電極を設け、当該電極を導電性線状体13と電気的に接続することができる。そして、樹脂層15が粘着剤を含む樹脂層であれば、露出した第二面12Bにも、対象物90と同じ対象物、又は対象物90と異なる対象物を貼り付けることができる。
<第一実施形態の作用効果>
本実施形態によれば、次のような作用効果を奏することができる。
(1)積層体120は、基材を備えていないため、シート状導電部材12の厚さを薄くすることが可能である。このため、導電性線状体13と樹脂層15とを備えたシート状導電部材12を対象物90に貼り付けるときにおいて、対象物90に対してシート状導電部材12の追従性が向上した導電性構造体が得られる。
(2)導電性線状体13と樹脂層15とを備えたシート状導電部材12を対象物90に貼り付けて使用する場合において、シート状導電部材12の一方の面に配置される第一剥離シート18を剥がして、当該剥離シートを剥がした面を対象物90に貼り付けた後、シート状導電部材12の他方の面に配置される第二剥離シート19を剥がす。このため、シート状導電部材12を対象物90に貼り付けるときの貼り付け装置(不図示)の汚染が抑制される。
[第二実施形態]
以下、第二実施形態について図面に基づいて説明する。本発明は実施形態の内容に限定されない。なお、図面においては、説明を容易にするために拡大又は縮小をして図示した部分がある。
図5に示すように、第二実施形態は、対象物92、及び対象物92に接して設けられたシート状導電部材20を備える導電性構造体400の製造方法である。図5(A)から図5(D)は、第二実施形態に係る導電性構造体400の製造方法を説明するための概略図であり、各工程の概略図を表している。
第二実施形態は、第一実施形態で用いたシート状導電部材12を備える積層体120を準備することに代えて、シート状導電部材20を用いた積層体200を準備する点で異なる(図4参照)。また、第二実施形態は、シート状導電部材20の第一面20Aと貼り合わされる表面(すなわち、被貼着面)が、三次元形状を有する三次元構造物としての対象物92である点で異なる(図5(C)及び図5(D)参照)。つまり、第二実施形態では、シート状導電部材20の第一面20Aが、対象物92に貼り合わされ、シート状導電部材20の第二面20Bが、導電性構造体400の最表層の表面として構成し得る。
本実施形態に係る導電性構造体400の製造方法は、積層体準備工程、第一露出工程、貼着工程、及び第二露出工程を有する。積層体準備工程、第一露出工程、及び第二露出工程の具体例は、積層体200及び対象物92を用いること以外、例えば、第一実施形態で説明した内容と同様である。また、本実施形態において、樹脂層15が硬化性樹脂である場合、硬化工程を備えていてもよい。硬化工程の具体例は、例えば、第一実施形態で説明した内容と同様である。
以下の説明では、第一実施形態との相違に係る部分を主に説明し、重複する説明については省略又は簡略化する。第一実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略又は簡略化する。
本実施形態では、貼着工程において、シート状導電部材20と、被貼着面が三次元形状を有する三次元構造物としての対象物92とを貼り合わせる。
本明細書において、三次元形状は、下記の(I)及び(II)の形状を含む。
(I)シート状導電部材の露出した面と貼り合わせる対象物の被貼着面が、平坦面ではなく、曲面であるか、又は凹凸面を有する面を含む形状である。
(II)シート状導電部材の露出した面と貼り合わせる対象物の被貼着面が、平坦面を含む場合、当該被貼着面は、一つの平坦面と、その他の面とを含む形状である。当該その他の面は、平坦面、曲面、及び凹凸面からなる群から選ばれる少なくとも一つの面を含む。
対象物の被貼着面は、シート状導電部材の露出した面との貼り合わせが可能であればよい。三次元形状が上記(I)の場合、対象物の被貼着面は、一つの面でもよく、二つ以上の複数の面でもよい。被貼着面が複数の面を有する場合、いずれの面も曲面であるか、又は凹凸面で構成されていればよい。三次元形状が上記(II)の場合、対象物の被貼着面は、平坦面である一つの面と、その他の面が一つ又は二つ以上の面を有する。その他の面は、平坦面でもよく、曲面でもよく、凹凸面でもよい。凹凸面は、平面上に凹凸部を有していてもよく、曲面上に凹凸部を有していてもよい。凹凸部の凹部と凸部は、連続的又は断続的に形成されていてもよい。
なお、本明細書において、対象物の被貼着面が一つの面のみであって、当該被貼着面が平坦面で構成される場合は、三次元形状とみなさない。
三次元形状を有する三次元構造物は、例えば、各種材料及び各種成形方法によって得られる成形体であってもよい。例えば、対象物92の被貼着面が三次元形状を有する三次元構造物としての成形体である場合、電気製品の筐体、車両内装部品、車両外装部品、建材、及び内装材等に使用される成形体が挙げられる。また、例えば、シート状導電部材20を導電性構造体400の発熱体として用いる場合、当該発熱体の用途としては、例えば、デフォッガー(defogger)、及びデアイサー(deicer)等が挙げられる。この場合、対象物92としては、例えば、浴室等の鏡、輸送用装置(乗用車、鉄道、船舶、及び航空機等)の窓、建物の窓、アイウェア、信号機の点灯面、及び標識等が挙げられる。
本実施形態における貼着工程では、各種の成形装置(例えば、真空成形、圧空成形、真空・圧空成形、及びプレス成形などの成形法で用いられる成形装置)を利用することが好ましい。本実施形態における貼着工程は、各種の成形装置の中でも、真空・圧空成形(以下、TOM成形と称する場合がある)に用いられる成形装置を用いることがより好ましい。以下、第二実施形態において、貼着工程が、シート状導電部材20の第一面20Aと対象物92の表面とを、真空・圧空成形(TOM成形:Three dimension Overlay Method)により貼り合わせる工程である場合について説明する。
<積層体準備工程>
積層体200は、シート状導電部材20の平面視において、複数の導電性線状体23が、いずれも、波形状を成していること以外は、第一実施形態で説明したシート状導電部材12と同様の構造である。また、積層体200は、例えば、第一実施形態で説明した積層体120と同様の手順(手順1又は手順2)により作製できる。導電性線状体23を波形状に形成するには、例えば、樹脂層15の上に、導電性線状体23を配置するときに、樹脂層15と導電性線状体23とを相対移動させながら配置すればよい。波形状は、図4に示す波形状に限らず、例えば、正弦波、円形波、矩形波、三角波、及びのこぎり波等の波形状であってもよい。導電性線状体23が波形状であること以外の具体例は、第一実施形態で説明した導電性線状体13の内容と同様である。
複数の導電性線状体23が波形状であれば、例えば、TOM成形によって、シート状導電部材20の第一面20Aを対象物92の表面に貼り合わせるときに、シート状導電部材20が対象物92の形状に追従しやすくなる。また、TOM成形によって、シート状導電部材20の第一面20Aを対象物92の表面に貼り合わせるときに、導電性線状体23の断線を抑制できるという利点も得られる。
本実施形態において、第二剥離シート19は、第一実施形態で例示した具体例と同様の第二剥離シート19を用いることができる。第二剥離シート19は、シート状導電部材20の第一面20Aが対象物92の被貼着面に貼り付けられた後で剥離される。このため、シート状導電部材20及び第二剥離シート19が対象物92への追従性に優れる観点で、第二剥離シート19は、剥離基材と、剥離基材の少なくとも一方の面に設けられた剥離剤層とを備える剥離シートであり、剥離基材は、樹脂シートであることが好ましい。剥離基材は、ポリオレフィンフィルムであることがより好ましく、ポリプロプレンフィルムであることがさらに好ましい。剥離剤層を構成する剥離剤は、第一実施形態の第一剥離シート18で例示した剥離剤と同様の剥離剤から選択できる。特に、第二剥離シート19が、剥離基材、及び剥離基材の少なくとも一方の面に設けられた剥離剤層を備え、剥離基材が、ポリプロピレンフィルムであれば、TOM成形によって、シート状導電部材20の第一面20Aを対象物92の表面に貼り合わせるときに、より優れた追従性が得られやすい。
<貼着工程>
図5(C)を参照すると、貼着工程では、第一剥離シート18を剥離することにより露出したシート状導電部材20の第一面20Aと、対象物92の表面とが、TOM成形によって貼り合わされている。図5(C)及び図5(D)に示すように、本実施形態で用いられる対象物92は、特定の形状を備えた三次元構造物である。対象物92は、厚さ方向の断面視において、C字状の形状を成しており、一方向に向かって、一方の面が凸の形状に湾曲する曲面を有し、他方の面が凹の形状になるように湾曲する曲面を有している。凸の形状に湾曲する曲面を有する面は、シート状導電部材20の露出した第一面20Aと貼り合わされる面である。
本実施形態において、対象物92は、シート状導電部材20の第一面20Aと貼り合わされる表面がC字状の曲面である、三次元形状を有する三次元構造物を例に挙げているが、これに限定されない。対象物92は、シート状導電部材20の第一面20Aと貼り合わされる表面が、他の三次元形状を有する三次元構造物であってもよい。TOM成形による効果を発揮しやすいことから、対象物92の被貼着面が、曲面等のような三次元形状を有する三次元構造物が好ましい。対象物92の被貼着面は、平坦面のみを貼り合わされる面とする構造物であってもよい。さらに、対象物92全体の立体構造は、例えば、円筒状でもよく、円柱状でもよく、角柱状でもよく、角錐状でもよく、球状でもよく、半球状でもよい。また、本実施形態で用いられる対象物92の材質は、特に限定されず、第一実施形態で説明した対象物90の材質と同様の材質が適用することができる。
貼着工程において、TOM成形を利用して貼り合わせることで、シート状導電部材20は、三次元形状を有する三次元構造物としての対象物92における表面の形状に追従するように変形して、対象物92の表面に貼り付けられる。したがって、貼着工程が、第一露出工程において露出した第一面20Aを、TOM成形によって、対象物92の表面に貼り合わせる工程であれば、シート状導電部材20が、対象物92の形状に精度よく賦形されて、対象物92に対して精度よく接着できる。この観点で、貼着工程において、TOM成形を利用する場合、対象物92は、三次元形状を有する三次元構造物を用いることが好ましい。具体的には、例えば、各種成形装置で成形した、三次元形状を有する成形品などが挙げられる。
TOM成形を適用した貼着工程は、例えば、以下の工程を備えている。
(s1)第一ボックスと第二ボックスを有するチャンバーボックスを備えたTOM成形装置における第一ボックスと第二ボックスとの境界に、シート状導電部材20を収容し、第二ボックス内に対象物92を収容する工程。
(s2)第一ボックス内及び第二ボックス内を減圧する工程。
(s3)減圧した状態で、シート状導電部材20を加熱する工程。
(s4)シート状導電部材20が予め定められた温度に達した後、対象物92を第一ボックスに向けて移動させて、シート状導電部材20を対象物92の形状に賦形する工程。
(s5)第一ボックス内を加圧し、シート状導電部材20と対象物92とを貼り合わせる工程。
TOM成形装置は、例えば、第一ボックスと、第二ボックスとにより二分割されたチャンバーボックスを備えている。第一ボックスは、第二ボックス側に向けて開放された部位を備えており、第二ボックスは、第一ボックス側に向けて開放された部位を備えている。第一ボックスと、第二ボックスとは、互いに開放されている部位が対面して配置されている。第一ボックスは、第一ボックスの内部の空気を吸引排出して減圧する減圧装置と、第一ボックスの内部に空気を送り込んで加圧する加圧装置と、第一ボックス内に配置される加熱装置とを備える。第二ボックスは、第二ボックスの空気を吸引排出して減圧する減圧装置を備えている。TOM成形装置は、一例として、布施真空株式会社製のTOM成形装置が挙げられる。
上記の工程(s1)では、シート状導電部材20を、第一ボックスと第二ボックスとの境界部に収容し、対象物92を第二ボックス内に収容する。このとき、シート状導電部材20は、第一露出工程で露出したシート状導電部材20の第一面20Aが、第二ボックス内に収容された対象物92側に向けて配置される。対象物92は、凸の形状に湾曲している曲面が、シート状導電部材20の第一面20A側に向けて配置される。工程(s1)では、チャンバーボックス内は、大気圧に開放した状態である。
上記の工程(s2)では、第一ボックス内、及び第二ボックス内の両者が減圧される。第一ボックス及び第二ボックスの内部は、予め定められた減圧状態まで減圧される。減圧状態は特に限定されず、例えば、真空圧として、100Pa以上、1000Pa以下の範囲が挙げられる。
上記の工程(s3)では、減圧した状態で、赤外線ヒーターなどの加熱装置により、シート状導電部材20が加熱される。シート状導電部材20は、表面温度が予め定められた温度になるまで加熱される。加熱されたシート状導電部材20の表面温度は、例えば、80℃以上、180℃以下が挙げられる。
上記の工程(s4)では、シート状導電部材20の表面温度が予め定められた温度に達した後、対象物92を第一ボックスに向けて移動させる。対象物92が第一ボックスに向けて移動されると、シート状導電部材20が対象物92に押し当てられる。シート状導電部材20は、対象物92の表面に押し当てられることで、対象物92が有する凸の形状に湾曲した形状に追従する。これにより、シート状導電部材20は、対象物92の形状に沿って賦形されると同時に、対象物92に貼着される。
上記の工程(s5)では、第一ボックス内に、空気を導入して、第一ボックス内が加圧状態になることで、シート状導電部材20の第一面20Aと対象物92の表面とが貼り合わせられる。加圧状態は、例えば、大気圧(0.1MPa)でもよい。また、第一ボックス内に、圧縮空気を導入してもよい。この場合、第一ボックス内の加圧状態は、大気圧を超えて(0.1MPa超)、大気圧+2MPa以下の範囲でもよい。つまり、工程(s5)において、第一ボックス内の加圧状態の圧力は、大気圧(0.1MPa)以上、2MPa以下の範囲であってもよい。
上記の工程(s5)の後、第二ボックス内にも空気を導入して、チャンバーボックス内の圧力を大気圧に戻して、第二剥離シート19を剥離する前の導電性構造体400を取り出す。
<第二実施形態の作用効果>
(1)本実施形態によれば、前述の第一実施形態における作用効果(1)及び(2)と同様の作用効果を奏することができる。
(2)本実施形態によれば、貼着工程として、TOM成形が適用されて、シート状導電部材20の露出した面と、対象物92の表面が貼り合わせられる。このため、シート状導電部材20は、三次元形状を有する三次元構造物としての対象物92の形状に精度よく賦形されて、対象物92に対して精度よく接着できる。また、対象物92が三次元形状を有する三次元構造物であっても、容易に接着できる。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について図面に基づいて説明する。本発明は実施形態の内容に限定されない。なお、図面においては、説明を容易にするために拡大又は縮小をして図示した部分がある。
図6に示すように、第三実施形態は、対象物90、及び対象物90に接して設けられたシート状導電部材12を備える導電性構造体321の製造方法である。図6(A)から図6(E)は、第二実施形態に係る導電性構造体321の製造方法を説明するための概略図であり、各工程の概略図を表している。
第三実施形態は、第二露出工程の後、シート状導電部材12における露出した第二面12Bの上に、保護層60を設ける保護層形成工程を備える点で、第一実施形態と異なる。
すなわち、本実施形態に係る導電性構造体321の製造方法は、積層体準備工程、第一露出工程、貼着工程、第二露出工程、及び保護層形成工程を有する。本実施形態において、積層体準備工程、第一露出工程、及び第二露出工程の具体例は、例えば、前述の第一実施形態で説明した内容と同様である。貼着工程の具体例は、例えば、前述の第一実施形態で説明した内容、及び前述の第二実施形態で説明した内容と同様である。つまり、本実施形態において、貼着工程で用いられる対象物90は、例えば、被貼着面が、一つの面であり、当該非貼着面が平坦面で構成されていてもよく、平坦面以外の面を備える三次元形状を有する三次元構造物でもよい。すなわち、対象物90は、三次元形状を有していてもよく、三次元形状を有していなくてもよい。貼着工程で採用される貼着方法は、例えば、ロールプレスなどの通常の各種ラミネーター装置、並びに、真空成形、圧空成形、TOM成形、及びプレス成形などで用いられる各種成形装置によって行えばよい。また、本実施形態において、樹脂層15が硬化性樹脂である場合、硬化工程を備えていてもよい。硬化工程の具体例は、例えば、第一実施形態で説明した内容と同様である。
以下の説明では、第一実施形態との相違に係る部分を主に説明し、重複する説明については省略又は簡略化する。第一実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略又は簡略化する。
<保護層形成工程>
保護層形成工程は、図6(E)に示すように、第二露出工程の後に、露出した第二面12Bの上に、保護層60を設ける工程である。
図6(E)を参照すると、保護層形成工程では、シート状導電部材12の第二面12Bの上に、保護層60が設けられる。本実施形態において、保護層60は、樹脂層15及び導電性線状体13を被覆する。保護層60によって、シート状導電部材12の第二面12Bが保護される。保護層60は、例えば、導電性構造体321の表面の耐擦傷性を高め、導電性構造体321の導電性を維持しやすくするための層である。したがって、保護層形成工程は、第二露出工程で、シート状導電部材12の第二面12Bを露出させた後に設けられる工程である。保護層60は、例えば、導電性構造体321の表面の耐擦傷性を高め、導電性構造体321の導電性を維持しやすくする観点で、最表層であることが好ましい。なお、第二露出工程と、保護層形成工程との間に、例えば、後述の第三実施形態で説明する電極配置工程を設けてもよい。
保護層形成工程は、図6(E)に示すように、樹脂層15及び導電性線状体13を被覆する保護層60を形成する態様に限られない。図示しないが、保護層形成工程は、樹脂層15の上に設けられた導電性線状体13が配置されている部分を除く位置に、保護層60を設ける工程であってもよい。
保護層60は、例えば、熱可塑性樹脂フィルムによって形成されてもよいし、熱硬化性樹脂又はエネルギー線硬化性樹脂等の硬化性樹脂を含む樹脂組成物によって形成されてもよい。保護層60が、熱可塑性樹脂フィルムによって形成される場合、保護層60は、熱可塑性樹脂フィルムを、第二露出工程で露出したシート状導電部材12の第二面12Bに対して、例えば、真空成形、圧空成形、TOM成形、及びプレス成形などの方法を採用することによって設けられてもよい。保護層60が硬化性樹脂を含む樹脂組成物によって形成される場合、保護層60は、例えば、硬化性樹脂を含む液状の樹脂組成物を塗布して、硬化することにより設けられてもよい。この場合、保護層60は、具体的には、例えば、第二面12Bに対して、熱硬化性樹脂及びエネルギー線硬化性樹脂の少なくとも一方を含む樹脂組成物を塗布し、任意に乾燥させた後、当該樹脂組成物に含まれる樹脂成分に応じて、加熱処理及びエネルギー線の照射処理の少なくとも一つの処理を施して硬化させることにより設けられてもよい。硬化性樹脂を含む液状の樹脂組成物を第二面12Bに塗布する方法は、例えば、ディッピング、スプレー、インクジェット、及び転写などの塗布方法が挙げられる。
本明細書において、保護層60は、第一剥離シート18及び第二剥離シート19と区別される。本実施形態において、第一剥離シート18及び第二剥離シート19は、シート状導電部材12における第一面12A及び第二面12Bに一時的に設けられ、積層体120から剥離されて使用される。一方、本実施形態において、保護層60は、シート状導電部材12の第二面12Bに設けられ、意図的に剥離されることはない。
(保護層)
保護層60に適用され得る熱可塑性樹脂フィルム、及び硬化性樹脂について説明する。
保護層60は、真空成形、圧空成形、TOM成形、及びプレス成形などの方法によって設けられる場合、シート状導電部材12の第二面12Bに対する追従性の観点から、熱可塑性樹脂フィルムから形成されることが好ましい。保護層60に適用される熱可塑性樹脂フィルムの熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、及びフッ素樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂フィルムの熱可塑性樹脂は、これらの樹脂を一種単独、又は二種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
保護層60は、表面保護の観点から、硬化性樹脂を含む樹脂組成物から形成されることも好ましい。硬化性樹脂を含む樹脂組成物から形成される場合、保護層60は、硬化性樹脂を含む液状の樹脂組成物の塗布(例えば、ディッピング、スプレー、インクジェット、及び転写など)によって設けられる。硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含む樹脂組成物、(メタ)アクリルポリオールと、ポリイソシアネート化合物とを含む樹脂組成物、及びラジカル重合反応可能な樹脂組成物、並びに、(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物と、光重合開始剤とを含む樹脂組成物などが挙げられる。
保護層60は、無機充填材、着色剤、老化防止剤、光安定剤、難燃剤、導電剤、帯電防止剤、及び可塑剤等の添加剤を含んでいてもよい。
保護層60に含まれる無機充填材としては、例えば、熱伝導率が10W/mK以上を有する無機充填材であってもよい。無機充填材は、具体的には、例えば、金属粒子、金属酸化物粒子、金属水酸化物粒子、及び金属窒化物系粒子等が挙げられる。無機充填材の含有量は、保護層60の全体に対して、0質量%以上、90質量%以下であってもよい。
保護層60に含まれる着色剤としては、例えば、無機顔料、有機顔料、及び染料等の着色剤が適用できる。
保護層60の厚さは、保護機能確保の観点から、例えば、0.1μm以上、2500μm以下の範囲であってもよい。硬化性樹脂を含む液状の樹脂組成物の塗布によって保護層60が形成される場合、保護層60の厚さは、0.1μm以上、10μm以下であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂フィルムによって保護層60が形成される場合、保護層60の厚さは、8μm以上、2500μm以下であることが好ましい。
<第三実施形態の作用効果>
(1)本実施形態によれば、前述の第一実施形態における作用効果(1)及び(2)と同様の作用効果を奏することができる。
(2)また、本実施形態によれば、保護層60を設ける工程を備えるため、例えば、導電性構造体321の表面の耐擦傷性を高め、導電性を維持しやすくすることができる。
[第四実施形態]
以下、第四実施形態について図面に基づいて説明する。本発明は実施形態の内容に限定されない。なお、図面においては、説明を容易にするために拡大又は縮小をして図示した部分がある。
図7に示すように、第四実施形態は、対象物90、及び対象物90に接して設けられたシート状導電部材12を備える導電性構造体322の製造方法である。図7(A)から図7(E)は、第三実施形態に係る導電性構造体322の製造方法を説明するための概略図であり、各工程の概略図を表している。
第四実施形態は、第一実施形態において、第二露出工程の後の工程が異なる。すなわち、第四実施形態は、シート状導電部材12における露出した第二面12Bの上に、導電性線状体13と電気的に接続するように、一対の電極50を配置する、電極配置工程を備える点で、第一実施形態と異なる。
本実施形態に係る導電性構造体322の製造方法は、積層体準備工程、第一露出工程、貼着工程、第二露出工程、及び電極配置工程を備える。本実施形態において、積層体準備工程、第一露出工程、及び第二露出工程の具体例は、例えば、前述の第一実施形態で説明した内容と同様である。また、貼着工程の具体例は、例えば、前述の第一実施形態で説明した内容、及び前述の第二実施形態で説明した内容と同様である。つまり、本実施形態において、貼着工程は、第三実施形態と同様の工程で行ってもよい。また、本実施形態において、樹脂層15が硬化性樹脂である場合、硬化工程を備えていてもよい。硬化工程の具体例は、例えば、第一実施形態で説明した内容と同様である。
以下の説明では、第一実施形態との相違に係る部分を主に説明し、重複する説明については省略又は簡略化する。第一実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略又は簡略化する。
<電極配置工程>
電極配置工程は、第二露出工程の後に、露出した第二面12Bの上に、導電性線状体13と電気的に接続するように、一対の電極50を配置する工程である。本実施形態において、図7(D)に示すように、第二面12Bを露出させ、その後、図7(E)に示すように、露出した第二面12Bの上に、導電性線状体13と電気的に接続するように、電極50が配置されている。そして、図8に示すように、電極50は、露出した第二面12Bの上に、導電性線状体13と電気的に接続するように、一対の電極50として配置されている。
図7(E)を参照すると、電極配置工程では、シート状導電部材12の第二面12Bの上に、導電性線状体13と電気的に接続するように、電極50が設けられる。電極50は、図7(E)において図示しない一方の電極と対をなしている。そして、図8に示すように、電極50は、シート状導電部材12に配置されている導電性線状体13の軸方向における両端部側に貼り合わせされ、一対の電極50として設けられる。これにより、一対の電極50は、導電性線状体13に対し、電気的に接続されて配置される。本実施形態において、一対の電極50は、導電性線状体13に電流を供給するために用いられる。
(電極)
電極50に適用される材料等について説明する。電極50は、公知の電極材料を用いて形成できる。電極材料としては、導電性ペースト(銀ペースト等)、金属箔(銅箔等)、及び金属ワイヤー等が挙げられる。
電極材料が、金属箔又は金属ワイヤーである場合、金属箔又は金属ワイヤーの金属としては、金属(銅、アルミニウム、タングステン、鉄、モリブデン、ニッケル、チタン、銀、及び金等)、又は、金属を2種以上含む合金(例えば、ステンレス鋼、炭素鋼等の鋼鉄、真鍮、りん青銅、ジルコニウム銅合金、ベリリウム銅、鉄ニッケル、ニクロム、ニッケルチタン、カンタル、ハステロイ、及びレニウムタングステン等)が挙げられる。また、金属箔又は金属ワイヤーは、金、錫、亜鉛、銀、ニッケル、クロム、及びニッケルクロム合金、又は、はんだ等によって、めっきが施されていてもよい。
一対の電極50のうち、一方の電極の幅は、シート状導電部材12の平面視において、10mm以下であることが好ましく、3000μm以下であることがより好ましく、1500μm以下であることがさらに好ましい。なお、一方の電極が金属ワイヤーである場合には、電極の幅は、金属ワイヤーの直径であり、金属ワイヤーを2本以上用いた場合の一方の電極の幅とは、各金属ワイヤーの直径の和のことをいう。
電極50の厚さは、2μm以上、200μm以下であることが好ましく、2μm以上、170μm以下であることがより好ましく、10μm以上、150μm以下であることがさらに好ましい。電極50の厚さが、上記範囲内であれば、電気伝導率が高く低抵抗となり、導電性線状体13との抵抗値を低く抑えられる。また、電極50として十分な強度が得られる。なお、電極50が金属ワイヤーである場合には、電極50の厚さは、金属ワイヤーの直径である。
導電性構造体322をヒーターに適用した場合、電極50の発熱を抑制する観点で、電極50の体積抵抗率は、以下の範囲であることが好ましい。電極50の体積抵抗率は、1.0×10-9Ω・m以上、1.0×10-5Ω・m以下であることが好ましく、5.0×10-9Ω・m以上、5.0×10-6Ω・m以下であることがより好ましい。電極50の体積抵抗率は、導電性線状体13の体積抵抗率の測定方法と同様の方法で求められる。
一対の電極50が配置される位置において、一方の電極から他方の電極まで距離は特に限定されず、一方の電極と他方の電極と間の距離は、例えば、2mm以上、2m以下であってもよく、50mm以上、500mm以下であってもよい。
<第四実施形態の作用効果>
(1)本実施形態によれば、前述の第一実施形態における作用効果(1)及び(2)と同様の作用効果を奏することができる。
(2)また、本実施形態によれば、一対の電極50を設ける工程を備えるため、導電性線状体13に電流を供給することができる。
[実施形態の変形]
本発明は前述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、第一実施形態、第三実施形態、及び第四実施形態では、積層体準備工程で準備する積層体120を準備しているが、目的に応じて、図9から図11に示す積層体100を準備してもよい。積層体100において、シート状導電部材10では、複数の導電性線状体13の円周面の全部が、樹脂層15に埋没して配置されている点で、積層体120におけるシート状導電部材12と異なる。したがって、シート状導電部材10において、シート状導電部材10の第一面10A及び第二面10Bは、樹脂層15により構成されている点で、シート状導電部材12と異なる。この場合、積層体100を準備すること以外、積層体準備工程、第一露出工程、及び第二露出工程の具体例は、第一実施形態で説明した内容と同様であり、貼着工程の具体例は、第一実施形態、及び第二実施形態で説明した内容と同様である。つまり、シート状導電部材10の第一面10Aが、対象物90、又は対象物92と貼り合わされること以外は、同様の内容である。また、第一実施形態、第三実施形態、及び第四実施形態における積層体準備工程として、第二実施形態で準備した積層体200を準備してもよい。さらに、積層体100の導電性線状体13として、第二実施形態で説明したような波形状に配置することも可能である。図9から図11において、第一実施形態等と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
本発明に係る製造方法が、電極配置工程を備える場合、積層体準備工程では、第一実施形態、第三実施形態、及び第四実施形態で準備した積層体120、又は第二実施形態で準備した積層体200を準備することが好ましい。積層体が、積層体120、又は積層体200であれば、導電性線状体13、又は導電性線状体23と電気的に接続しやすくなる。
本発明に係る製造方法は、必要に応じて、下記のような工程を備えていてもよい。
例えば、各実施形態において、積層体準備工程で、積層体100を準備した場合、導電性線状体13の円周面の全体が、樹脂層15に埋められて配置されている。導電性線状体13をシート状導電部材10の表面(第二面10B)から露出させたい場合は、第二露出工程の後で、樹脂層15に埋められて配置された導電性線状体13を露出させるための除去工程を備えていてもよい。除去工程は、例えば、第二露出工程の後、樹脂層15の表面から導電性線状体13を露出させるように、樹脂層15の表面の一部を除去して、樹脂層15の表面から導電性線状体13を露出させる工程である。
樹脂層15の表面を除去する方法としては、例えば、切削加工、又は研削加工などの方法が挙げられる。例えば、図11(E)に示す導電性構造体300を、ヒーターとして適用する場合、除去工程を設けることにより、樹脂層15の表面から、導電性線状体13が露出するため、導電性構造体300は、より効率の良いヒーターとしての適用が可能である。また、除去工程を備えていることにより、導電性線状体13と一対の電極とが、電気的に接続しやすくなる。
各実施形態において、積層体100を準備した場合、第二露出工程の後、保護層形成工程を設けてもよい。さらに、保護層形成工程の後、保護層60の表面から導電性線状体13を露出させるように、樹脂層15及び保護層60の一部を除去して、保護層60の表面から導電性線状体13を露出させる除去工程を設けてもよい。又は、保護層形成工程は、樹脂層15の上に、導電性線状体13が配置されている部分を除く位置に、保護層60を設ける工程であってもよい。導電性線状体13が配置されている部分を除く位置に、保護層60を設ける場合は、前述の樹脂層15の一部を除去して導電性線状体13を露出させればよく、保護層60の一部を除去する工程は不要になる。
さらに、除去工程の後、除去工程で露出した導電性線状体13と電気的に接続するように、一対の電極50を配置する、電極配置工程を設けてもよい。
第二実施形態において、第二露出工程の後、保護層形成工程、及び電極配置工程の少なくとも一方の工程を設けてもよい。保護層形成工程、及び電極配置工程の両工程を設ける場合、両工程の順序は、いずれの順序でもよい。また、第三実施形態において、保護層形成工程の後、電極配置工程を設けてもよい。保護層形成工程の後、電極配置工程を設ける場合は、保護層形成工程の後、導電性線状体13が露出するように、上記と同様の除去工程を設けもよい。また、第四実施形態において、電極配置工程の後、保護層形成工程を設けてもよい。
各実施形態において、上述の硬化工程は備えていてもよく、備えていなくてもよい。
各実施形態において、第二露出工程の後、シート状導電部材の露出した第二面と、図示しない他の対象物の表面とを貼り合わせる貼着工程を設けてもよい。この場合、第一露出工程の後に対象物(第一対象物)と貼り合わせる貼着工程が第一貼着工程になり、第二露出工程の後に他の対象物(第二対象物)と貼り合わせる貼着工程が第二貼着工程になる。第一対象物と、第二対象物とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。第一対象物の被貼着面と、第二対象物の被貼着面とは、互いに三次元形状を有していてもよく、互いに三次元形状を有していなくてもよい。また、第一対象物の被貼着面と、第二対象物の被貼着面とは、いずれか一方が三次元形状を有しており、他方が三次元形状を有していなくてもよい。