以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は本実施形態で示す例に限られない。
本実施形態に係る炭素担体(以下、「本担体」という。)は、主に炭素から構成される多孔性炭素材料である。本担体の炭素含有量は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、70重量%以上であってもよく、75重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、85重量%以上であることが特に好ましい。
また、本担体の炭素含有量は、例えば、100重量%以下であってもよいし、95重量%以下であってもよいし、90重量%以下であってもよい。本担体の炭素含有量は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。炭素担体の炭素含有量は、元素分析(具体的には、燃焼法)により得られる。
本担体の真密度は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、1.8g/cm3以上であってもよく、1.9g/cm3以上であることが好ましく、2.0g/cm3以上であることがより好ましく、2.1g/cm3以上であることがさらに好ましく、2.2g/cm3以上であることがさらに好ましく、2.3g/cm3以上であることが特に好ましい。
また、本担体の真密度は、例えば、2.6g/cm3以下であってもよく、2.5g/cm3以下であってもよく、2.4g/cm3以下であってもよく、2.3g/cm3以下であってもよく、2.2g/cm3以下であってもよく、2.1g/cm3以下であってもよい。本担体の真密度は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。炭素担体の真密度は、定容積膨張法により得られる。
ここで、定容積膨張法により得られる多孔性炭素材料の真密度の測定値は、当該炭素材料が閉塞した細孔を有する場合、中実炭素材料のそれより小さくなる。また、例えば、多孔性炭素材料に黒鉛化処理を施すことにより、一部の細孔が閉塞されて、閉塞した細孔の容積が増加する。その結果、黒鉛化処理後の炭素材料の真密度の測定値は、当該黒鉛化処理前のそれに比べて小さくなる。このように炭素材料の真密度は、当該炭素材料に含まれる閉塞した細孔の容積を反映する。
一方で、多孔性炭素材料を触媒金属粒子を担持するための炭素担体として用いる場合、当該炭素材料に含まれる閉塞した細孔は、当該触媒金属粒子を担持できない無駄な空間である。したがって、閉塞した細孔の容積が小さいことを反映した本担体の比較的大きな真密度は、本担体が触媒金属粒子を担持するための炭素担体としての使用に適した多孔構造を有することを意味する。具体的に、例えば、本担体が、黒鉛化処理後に酸化処理が施された炭素材料である場合、当該黒鉛化処理によっていったん閉塞された細孔が当該酸化処理によって再び開口した結果、本担体は、当該酸化処理前の炭素材料よりも大きな真密度を有する。この酸化処理による真密度の増加は、本担体において触媒金属粒子を担持するための表面及び空間を増加させるため、本担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒の触媒活性の向上に寄与する。
本担体は、ラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて、ラマンシフト1580cm-1付近(具体的に、例えば、1550cm-1以上、1610cm-1以下の範囲内)にピークトップを有するGバンドの半値半幅(以下、「ラマンG半値半幅」という。)が37cm-1以下を示す炭素構造を有することが好ましい。
この場合、本担体のラマンG半値半幅は、36cm-1以下であることがより好ましく、35cm-1以下であることがさらに好ましい。また、本担体のラマンG半値半幅は、34cm-1以下であることがさらに好ましく、33cm-1以下であることがさらに好ましく、32cm-1以下であることがさらに好ましく、31cm-1以下であることがさらに好ましく、30cm-1以下であることがさらに好ましく、29cm-1以下であることがさらに好ましく、28cm-1以下であることが特に好ましい。
また、本担体のラマンG半値半幅は、例えば、10cm-1以上であってもよく、15cm-1以上であってもよく、18cm-1以上であってもよく、20cm-1以上であってもよく、22cm-1以上であってもよく、24cm-1以上であってもよく、26cm-1以上であってもよく、27cm-1以上であってもよく、28cm-1以上であってもよい。本担体のラマンG半値半幅は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
ここで、炭素材料のラマンスペクトルにおいて、Gバンドは、グラフェンを構成する炭素原子由来の成分である。そして、Gバンドの半値半幅は、グラフェンの発達度合いを示す。すなわち、炭素構造に含まれるグラフェンが発達するにつれて、当該炭素構造のラマンG半値半幅は小さくなる。この点、グラフェンが発達するにつれて、炭素構造の安定性は高まる。したがって、上述した上限値以下のラマンG半値半幅を示す炭素構造は、本担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒の耐久性の向上に寄与する。
一方、小さすぎるラマンG半値半幅を示す炭素構造は、グラフェンが発達しすぎているため、触媒金属粒子を担持するための適性に劣る。これに対し、適度な大きさのラマンG半値半幅を示す炭素構造は、グラフェンが発達しすぎておらず、適度な歪み及び/又はヘテロ原子を含むため、触媒金属粒子を担持するための適性に優れる。
また、グラフェンが発達するにつれて、炭素構造の親水性が低下する。このため、例えば、金属担持触媒を燃料電池に適用する場合、小さすぎるラマンG半値半幅を示す炭素構造は、生成された水を保持するための適性に劣る。これに対し、適度な大きさのラマンG半値半幅を示す炭素構造は、適度な親水性を有するため、生成された水を保持するための適性に優れる。
したがって、上述した下限値以上のラマンG半値半幅を示す炭素構造は、本担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒の耐久性及び/又は触媒活性(例えば、金属担持触媒を電池に適用した場合における発電性能(低加湿条件下における発電性能を含む))の向上に寄与する。
本担体は、ラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて、ラマンシフト1340cm-1付近(具体的に、例えば、1320cm-1以上、1360cm-1以下の範囲内)にピークトップを有するDバンドの半値半幅(以下、「ラマンD半値半幅」という。)が38cm-1以下を示す炭素構造を有することが好ましい。
この場合、本担体のラマンD半値半幅は、36cm-1以下であることがより好ましく、34cm-1以下であることがさらに好ましい。また、本担体のラマンD半値半幅は、32cm-1以下であることがさらに好ましく、30cm-1以下であることがさらに好ましく、29cm-1以下であることがさらに好ましく、28cm-1以下であることがさらに好ましく、27cm-1以下であることがさらに好ましく、26cm-1以下であることがさらに好ましく、25cm-1以下であることがさらに好ましく、24cm-1以下であることがさらに好ましく、23cm-1以下であることが特に好ましい。
また、本担体のラマンD半値半幅は、例えば、10cm-1以上であってもよく、15cm-1以上であってもよく、18cm-1以上であってもよく、20cm-1以上であってもよく、21cm-1以上であってもよく、22cm-1以上であってもよく、23cm-1以上であってもよい。また、本担体のラマンD半値半幅は、例えば、24cm-1以上であってもよく、25cm-1以上であってもよく、26cm-1以上であってもよく、27cm-1以上であってもよく、28cm-1以上であってもよく、29cm-1以上であってもよい。本担体のラマンD半値半幅は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
ここで、参考文献(A. Sadezky et al., Carbon 43 (2005) 1731-1742)によれば、炭素材料のラマンスペクトルにおいて、Dバンドは、グラフェン層のエッジや欠陥のような乱れた格子に近接した炭素原子由来の成分である。そして、Dバンドの半値半幅は、エッジや欠陥の周辺の炭素の結晶性を示す。すなわち、炭素構造におけるエッジや欠陥の周辺の炭素の結晶性が高くなるにつれて、当該炭素構造のラマンD半値半幅は小さくなる。また、炭素の結晶性が高くなるにつれて、炭素構造の安定性は高まる。したがって、上述した上限値以下のラマンD半値半幅を示す炭素構造は、本担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒の耐久性の向上に寄与する。
一方、小さすぎるラマンD半値半幅を示す炭素構造は、エッジや欠陥の周辺の炭素の結晶性が高すぎるため、触媒金属粒子を担持するための適性に劣る。これに対し、適度な大きさのラマンD半値半幅を示す炭素構造は、エッジや欠陥の周辺の炭素の結晶性が高すぎないため、触媒金属粒子を担持するための適性に優れる。
また、炭素の結晶性が高くなるにつれて、炭素構造の親水性は低下する。このため、例えば、金属担持触媒を燃料電池に適用する場合、小さすぎるラマンD半値半幅を示す炭素構造は、生成された水を保持するための適性に劣る。これに対し、適度な大きさのラマンD半値半幅を示す炭素構造は、適度な親水性を有するため、生成された水を保持するための適性に優れる。
したがって、上述した下限値以上のラマンD半値半幅を示す炭素構造は、本担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒の耐久性及び/又は触媒活性(例えば、金属担持触媒を電池に適用した場合における発電性能(低加湿条件下における発電性能を含む))の向上に寄与する。
本担体は、ラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて、ラマンシフト2700cm-1付近(具体的に、例えば、2670cm-1以上、2730cm-1以下の範囲内)にピークトップを有する2Dバンドの半値半幅(以下、「ラマン2D半値半幅」という。)が57cm-1以下を示す炭素構造を有することが好ましい。
この場合、本担体のラマン2D半値半幅は、55cm-1以下であることがより好ましく、54cm-1以下であることがさらに好ましく、53cm-1以下であることがさらに好ましい。また、本担体のラマン2D半値半幅は、52cm-1以下であることがさらに好ましく、51cm-1以下であることがさらに好ましく、50cm-1以下であることがさらに好ましく、49cm-1以下であることがさらに好ましく、48cm-1以下であることがさらに好ましく、47cm-1以下であることがさらに好ましく、46cm-1以下であることがさらに好ましく、45cm-1以下であることがさらに好ましく、44cm-1以下であることがさらに好ましく、43cm-1以下であることがさらに好ましく、42cm-1以下であることがさらに好ましく、41cm-1以下であることがさらに好ましく、40cm-1以下であることがさらに好ましく、39cm-1以下であることが特に好ましい。
また、本担体のラマン2D半値半幅は、例えば、10cm-1以上であってもよく、15cm-1以上であってもよく、20cm-1以上であってもよく、25cm-1以上であってもよく、30cm-1以上であってもよく、32cm-1以上であってもよい。また、本担体のラマン2D半値半幅は、34cm-1以上であってもよく、36cm-1以上であってもよく、38cm-1以上であってもよく、40cm-1以上であってもよく、42cm-1以上であってもよく、44cm-1以上であってもよく、46cm-1以上であってもよく、48cm-1以上であってもよく、50cm-1以上であってもよい。本担体のラマン2D半値半幅は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
ここで、炭素材料のラマンスペクトルにおいて、2Dバンドは、グラフェン層を構成する炭素原子由来の成分である。そして、2Dバンドの半値半幅は、グラフェン層の均一さを示す。すなわち、炭素構造に含まれるグラフェン層が均一になるにつれて、当該炭素構造のラマン2D半値半幅は小さくなる。また、グラフェン層が均一になるにつれて、炭素構造の安定性は高まる。したがって、上述した上限値以下のラマン2D半値半幅を示す炭素構造は、本担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒の耐久性の向上に寄与する。
一方、小さすぎるラマン2D半値半幅を示す炭素構造は、グラフェン層の均一性が高すぎるため、触媒金属粒子を担持するための適性に劣る。これに対し、適度な大きさのラマン2D半値半幅を示す炭素構造は、グラフェン層が適度な欠陥や歪みを有するため、触媒金属粒子を担持するための適性に優れる。
また、グラフェン層が均一になるにつれて、炭素構造の親水性は低下する。このため、例えば、金属担持触媒を燃料電池に適用する場合、小さすぎるラマン2D半値半幅を示す炭素構造は、生成された水を保持するための適性に劣る。これに対し、適度な大きさのラマン2D半値半幅を示す炭素構造は、適度な親水性を有するため、生成された水を保持するための適性に優れる。
したがって、上述した下限値以上のラマン2D半値半幅を示す炭素構造は、本担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒の耐久性及び/又は触媒活性(例えば、金属担持触媒を電池に適用した場合における発電性能(低加湿条件下における発電性能を含む))の向上に寄与する。
本担体は、ラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて上記Gバンドの強度に対する上記Dバンドの強度の比(以下、「ラマンD/G比」という。)が1.6以上を示す炭素構造を有することが好ましい。
この場合、本担体のラマンD/G比は、1.7以上であることがより好ましく、1.8以上であることがさらに好ましく、1.9以上であることがさらに好ましく、2.0以上であることがさらに好ましい。また、本担体のラマンD/G比は、2.1以上であることがさらに好ましく、2.2以上であることがさらに好ましく、2.3以上であることが特に好ましい。
また、本担体のラマンD/G比は、例えば、4.0以下であってもよく、3.5以下であってもよく、3.0以下であってもよく、2.8以下であってもよく、2.6以下であってもよく、2.5以下であってもよく、2.4以下であってもよく、2.3以下であってもよく。また、本担体のラマンD/G比は、例えば、2.2以下であってもよく、2.1以下であってもよい。本担体のラマンD/G比は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
ここで、炭素材料のラマンD/G比は、炭素構造中のグラフェン層に含まれるエッジや欠陥の量を示す。すなわち、グラフェン層のエッジや欠陥が多くなるにつれて、炭素構造のラマンD/G比は大きくなる。この点、エッジや欠陥は触媒金属粒子の担持サイトとして機能する。このため、グラフェン層のエッジや欠陥が増加するにつれて、炭素構造の触媒金属粒子を担持するための適性が向上する。
また、グラフェン層のエッジや欠陥が増加するにつれて、炭素構造の親水性が増加する。炭素構造の親水性の増加は、例えば、金属担持触媒を燃料電池に適用する場合において、生成された水を保持するための適性を向上させる。
したがって、上述した下限値以上のラマンD/G比を示す炭素構造は、本担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒の耐久性及び/又は触媒活性(例えば、金属担持触媒を電池に適用した場合における発電性能(低加湿条件下における発電性能を含む))の向上に寄与する。
一方、大きすぎるラマンD/G比を示す炭素構造は、エッジや欠陥が多すぎるため、耐久性が低下する。これに対し、適度な大きさのラマンD/G比を示す炭素構造は、適度な量のエッジや欠陥を有する。したがって、上述した上限値以下のラマンD/G比を示す炭素構造は、本担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒の耐久性の向上に寄与する。
本担体は、ラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて上記Gバンドの強度に対する上記2Dバンドの強度の比(以下、「ラマン2D/G比」という。)が0.3以上を示す炭素構造を有することが好ましい。
この場合、本担体のラマン2D/G比は、0.4以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらに好ましく、0.6以上であることがさらに好ましく、0.7以上であることが特に好ましい。
また、本担体のラマン2D/G比は、例えば、1.5以下であってもよく、1.2以下であってもよく、1.0以下であってもよく、0.9以下であってもよく、0.8以下であってもよく、0.7以下であってもよい。また、本担体のラマン2D/G比は、例えば、0.6以下であってもよく、0.5以下であってもよく、0.4以下であってもよく、0.3以下であってもよい。本担体のラマン2D/G比は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
ここで、炭素材料のラマン2D/G比は、当該炭素材料の炭素構造に含まれるグラフェンの積層体を構成する層の数を示す。すなわち、2Dバンドの強度がGバンドの強度よりも大きい場合(ラマン2D/G比>1)は、グラフェンが単層である。2Dバンドの強度がGバンドの強度と同一である場合(ラマン2D/G比=1)は、グラフェンの積層体の層数がおおよそ2層である。2Dバンドの強度がGバンドの強度よりも小さい場合(ラマン2D/G比<1)は、グラフェンの積層体の層数が3層以上である。具体的な積層数は、2Dバンドの強度(ピークトップの高さ)とGバンドの強度(ピークトップの高さ)との比から求めることができる。
小さすぎるラマン2D/G比を示す炭素構造、すなわちグラフェンの積層体の層数が多すぎる炭素構造は、酸化劣化の起点となるエッジや欠陥のベーサル面に対する相対量が多すぎるため、耐久性(特に耐腐食性)が低下する。これに対し、上述した下限値以上のラマン2D/G比を示す炭素構造は、グラフェン積層体の層数が適切な範囲(例えば、2層から3層程度)に制御された少層グラフェン(few layer graphene)を含み、露出しているベーサル面に対するエッジや欠陥の相対量が適切な範囲内に制御されているため、耐久性(特に耐腐食性)の向上に寄与する。
一方、エッジや欠陥は触媒金属粒子の担持サイトとしても機能する。このため、大きすぎるラマン2D/G比を示す炭素構造は、ベーサル面に対するエッジや欠陥の相対量が少なすぎるため、触媒金属粒子を担持するための適性に劣る。これに対し、適度な大きさのラマン2D/G比を示す炭素構造は、適度な量のエッジや欠陥を含むため、触媒金属粒子を担持するための適性に優れる。
また、ベーサル面に対するエッジや欠陥の相対量が低下するにつれて、炭素構造の親水性は低下する。このため、例えば、金属担持触媒を燃料電池に適用する場合、大きすぎるラマン2D/G比を示す炭素構造は、生成された水を保持するための適性に劣る。これに対し、適度な大きさのラマン2D/G比を示す炭素構造は、適度な親水性を有するため、生成された水を保持するための適性に優れる。
したがって、上述した上限値以下のラマン2D/G比を示す炭素構造は、本担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒の耐久性及び/又は触媒活性(例えば、金属担持触媒を電池に適用した場合における発電性能(低加湿条件下における発電性能を含む))の向上に寄与する。
本担体の酸素含有量は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、1.0重量%以上であることが好ましく、1.5重量%以上であることがより好ましく、2.0重量%以上であることがさらに好ましく、2.4重量%以上であることがさらに好ましく、2.6重量%以上であることがさらに好ましく、2.8重量%以上であることがさらに好ましい。また、本担体の酸素含有量は、3.0重量%以上であることがさらに好ましく、3.1重量%以上であることがさらに好ましく、3.2重量%以上であることがさらに好ましく、3.3重量%以上であることがさらに好ましく、3.4重量%以上であることがさらに好ましく、3.5重量%以上であることがさらに好ましく、3.6重量%以上であることがさらに好ましく、3.7重量%以上であることがさらに好ましく、3.8重量%以上であることがさらに好ましく、3.9重量%以上であることがさらに好ましく、4.0重量%以上であることが特に好ましい。
また、本担体の酸素含有量は、例えば、20.0重量%以下であってもよく、15.0重量%以下であってもよく、12.0重量%以下であってもよく、10.0重量%以下であってもよく、9.5重量%以下であってもよく、9.0重量%以下であってもよく、8.5重量%以下であってもよく、8.0重量%以下であってもよく、7.5重量%以下であってもよく、7.0重量%以下であってもよく、6.5重量%以下であってもよく、6.0重量%以下であってもよく、5.5重量%以下であってもよく、5.0重量%以下であってもよく、4.8重量%以下であってもよく、4.6重量%以下であってもよく、4.4重量%以下であってもよく、4.2重量%以下であってもよく、4.0重量%以下であってもよく、3.8重量%以下であってもよく、3.6重量%以下であってもよい。また、本担体の酸素含有量は、例えば、3.5重量%以下であってもよく、3.4重量%以下であってもよく、3.3重量%以下であってもよく、3.2重量%以下であってもよく、3.1重量%以下であってもよい。本担体の酸素含有量は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。本担体の酸素含有量は、元素分析(具体的には、熱分解法)により得られる。
ここで、炭素材料の元素分析により得られる酸素含有量は、当該炭素材料の親水性に影響する。すなわち、炭素材料の酸素含有量が増加するにつれて、当該炭素材料の親水性が増加する。この点、一般に、炭素構造のラマンG半値半幅、ラマンD半値半幅、及びラマン2D半値半幅が小さくなるにつれて、又は、炭素構造のラマン2D/G比が大きくなるにつれて、当該炭素構造の親水性は低下する。ただし、小さなラマンG半値半幅、ラマンD半値半幅、又はラマン2D半値半幅を示す炭素構造、及び/又は、大きなラマン2D/G比を示す炭素構造であっても、その酸素含有量が増加することにより、その親水性は増加する。そして、高い親水性を有する炭素材料は、例えば、金属担持触媒を燃料電池に適用する場合において、生成された水を保持するための適性に優れる。
したがって、上述した下限値以上の酸素含有量を示す炭素構造は、本担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒の触媒活性(例えば、金属担持触媒を電池に適用した場合における発電性能(低加湿条件下における発電性能を含む))の向上に寄与する。
一方、大きすぎる酸素含有量を示す炭素構造は、酸化の開始点が多すぎるため、耐久性(特に耐腐食性)が低下する。これに対し、上述した上限値以下の酸素含有量を示す炭素構造は、酸化の開始点が多すぎないため、耐久性(特に耐腐食性)の向上に寄与する。
本担体のBET比表面積は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、300m2/g以上であることが好ましい。本担体のBET比表面積は、400m2/g以上であることがより好ましく、500m2/g以上であることがさらに好ましく、600m2/g以上であることがさらに好ましく、700m2/g以上であることがさらに好ましく、800m2/g以上であることがさらに好ましく、900m2/g以上であることがさらに好ましい。また、本担体のBET比表面積は、1000m2/g以上であることがさらに好ましく、1100m2/g以上であることがさらに好ましく、1150m2/g以上であることがさらに好ましく、1200m2/g以上であることがさらに好ましく、1250m2/g以上であることがさらに好ましく、1300m2/g以上であることがさらに好ましく、1350m2/g以上であることがさらに好ましく、1400m2/g以上であることが特に好ましい。
また、本担体のBET比表面積は、例えば、3300m2/g以下であってもよく、3000m2/g以下であってもよく、2500m2/g以下であってもよく、2000m2/g以下であってもよく、1800m2/g以下であってもよく、1600m2/g以下であってもよい。また、本担体のBET比表面積は、例えば、1500m2/g以下であってもよく、1450m2/g以下であってもよく、1400m2/g以下であってもよく、1350m2/g以下であってもよく、1300m2/g以下であってもよく、1250m2/g以下であってもよく、1200m2/g以下であってもよく、1150m2/g以下であってもよく、1100m2/g以下であってもよく、1000m2/g以下であってもよく、950m2/g以下であってもよく、900m2/g以下であってもよい。本担体のBET比表面積は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。本担体のBET比表面積は、窒素吸着法により温度77Kで得られる窒素吸着等温線からBET法により得られる。
炭素担体におけるBET比表面積の増加は、触媒金属粒子の担持サイトを増加させるため、当該炭素担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒の耐久性及び/又は触媒活性の向上に寄与する。
本担体は、孔径が5nm以上、70nm以下の細孔の容積(以下、「細孔容積(5-70nm)」という。)が0.50cm3/g以下であることが好ましい。この場合、本担体の細孔容積(5-70nm)は、0.45cm3/g以下であることがより好ましく、0.40cm3/g以下であることがさらに好ましく、0.35cm3/g以下であることがさらに好ましく、0.30cm3/g以下であることがさらに好ましく、0.25cm3/g以下であることがさらに好ましく、0.20cm3/g以下であることがさらに好ましく、0.15cm3/g以下であることがさらに好ましく、0.12cm3/g以下であることが好ましく、0.10cm3/g以下であることがより好ましく、0.09cm3/g以下であることがさらに好ましく、0.08cm3/g以下であることがさらに好ましい。また、本担体の細孔容積(5-70nm)は、0.07cm3/g以下であることがさらに好ましく、0.06cm3/g以下であることがさらに好ましく、0.05cm3/g以下であることが特に好ましい。
また、本担体の細孔容積(5-70nm)は、例えば、0.00cm3/g以上であってもよく、0.01cm3/g以上であってもよく、0.02cm3/g以上であってもよく、0.03cm3/g以上であってもよい。また、本担体の細孔容積(5-70nm)は、0.04cm3/g以上であってもよく、0.05cm3/g以上であってもよく、0.06cm3/g以上であってもよく、0.07cm3/g以上であってもよく、0.08cm3/g以上であってもよい。本担体の細孔容積(5-70nm)は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。本担体の細孔容積(5-70nm)は、窒素吸着法により温度77Kで得られる窒素吸着等温線からDFT法により得られる。
炭素担体において5nm以上、70nm以下という比較的大きな孔径を有する細孔は、例えば、当該炭素担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒を燃料電池に適用する場合、生成された水を保持するための適性に劣るため、当該細孔内において、当該生成された水によるプロトンパスが形成されにくい。また、孔径が5nm以上、70nm以下の細孔内に担持された触媒金属粒子は、電解質に被覆されやすいため、その触媒活性が低下しやすい。したがって、上述した上限値以下の細孔容積(5-70nm)を有する多孔性炭素構造は、本担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒の触媒活性(例えば、金属担持触媒を電池に適用した場合における発電性能(特に低加湿条件下における発電性能))の向上に寄与する。
本担体は、孔径が5nm未満の細孔の容積(以下、「細孔容積(5nm未満)」という。)が0.20cm3/g以上であることが好ましい。この場合、本担体の細孔容積(5nm未満)は、0.30cm3/g以上であることがより好ましく、0.35cm3/g以上であることがさらに好ましく、0.40cm3/g以上であることがさらに好ましい。また、本担体の細孔容積(5nm未満)は、0.45cm3/g以上であることがさらに好ましく、0.50cm3/g以上であることがさらに好ましく、0.55cm3/g以上であることがさらに好ましく、0.60cm3/g以上であることがさらに好ましく、0.65cm3/g以上であることが特に好ましい。
また、本担体の細孔容積(5nm未満)は、例えば、1.20cm3/g以下であってもよく、1.10cm3/g以下であってもよく、1.00cm3/g以下であってもよく、0.95cm3/g以下であってもよく、0.90cm3/g以下であってもよく、0.85cm3/g以下であってもよく、0.80cm3/g以下であってもよく、0.75cm3/g以下であってもよい。また、本担体の細孔容積(5nm未満)は、0.70cm3/g以下であってもよく、0.65cm3/g以下であってもよく、0.60cm3/g以下であってもよく、0.55cm3/g以下であってもよく、0.50cm3/g以下であってもよい。本担体の細孔容積(5nm未満)は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。本担体の細孔容積(5nm未満)は、窒素吸着法により温度77Kで得られる窒素吸着等温線からDFT法により得られる。
5nm未満という比較的小さな孔径を有する細孔は、比較的小さな粒子径を有し高い触媒活性を示す触媒金属粒子を担持するための適性に優れている。また、炭素担体において孔径が5nm未満の細孔は、例えば、当該炭素担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒を燃料電池に適用する場合、生成された水を保持するための適性に優れているため、当該細孔内において、当該生成された水によるプロトンパスが形成されやすい。また、孔径が5nm未満の細孔内に担持された触媒金属粒子は、電解質に被覆されにくい。したがって、上述した下限値以上の細孔容積(5nm未満)を有する多孔性炭素構造は、本担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒の触媒活性(例えば、金属担持触媒を電池に適用した場合における発電性能(特に低加湿条件下における発電性能))の向上に寄与する。
一方、大きすぎる細孔容積(5nm未満)を有する炭素担体においては、その炭素構造が疎になってしまうため、耐腐食性が低くなる。これに対し、上述した上限値以下の細孔容積(5nm未満)を有する炭素構造は、その密な構造により、本担体の耐腐食性の向上に寄与する。
本担体は、上記細孔容積(5-70nm)(cm3/g)に対する、上記細孔容積(5nm未満)(cm3/g)の比(以下、「細孔容積比(5/(5-70))」という。)(-)が4.0以上であることが好ましい。この場合、本担体の細孔容積比(5/(5-70))は、4.5以上であることがより好ましく、5.0以上であることがさらに好ましく、6.0以上であることがさらに好ましい。また、本担体の細孔容積比(5/(5-70))は、6.5以上であることがさらに好ましく、7.0以上であることがさらに好ましく、7.5以上であることがさらに好ましく、8.0以上であることがさらに好ましく、8.5以上であることがさらに好ましく、9.0以上であることがさらに好ましく、9.5以上であることがさらに好ましく、10.0以上であることがさらに好ましく、10.5以上であることがさらに好ましく、11.0以上であることがさらに好ましく、11.5以上であることがさらに好ましく、12.0以上であることが特に好ましい。
また、本担体の細孔容積比(5/(5-70))は、例えば、50.0以下であってもよく、40.0以下であってもよく、35.0以下であってもよく、30.0以下であってもよい。また、本担体の細孔容積比(5/(5-70))は、25.0以下であってもよく、20.0以下であってもよく、15.0以下であってもよく、10.0以下であってもよく、9.0以下であってもよく、8.0以下であってもよい。本担体の細孔容積比(5/(5-70))は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
小さすぎる細孔容積比(5/(5-70))を有する炭素担体、すなわち、細孔容積(5nm未満)に比べて大きすぎる細孔容積(5-70nm)を有する炭素担体においては、例えば、当該炭素担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒を燃料電池に適用する場合、細孔内でプロトンパスが形成されにくく、また、細孔内に担持された触媒金属粒子が電解質に被覆されやすい。これに対し、大きな細孔容積比(5/(5-70))を有する炭素担体においては、細孔内でプロトンパスが形成されやすく、また、細孔内に担持された触媒金属粒子が電解質に被覆されにくい。したがって、上述した下限値以上の細孔容積比(5/(5-70)を有する多孔性炭素構造は、本担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒の触媒活性(例えば、金属担持触媒を電池に適用した場合における発電性能(特に低加湿条件下における発電性能))の向上に寄与する。
一方、大きすぎる細孔容積比(5/(5-70))を有する炭素担体、すなわち細孔容積(5-70nm)に比べて大きすぎる細孔容積(5nm未満)を有する炭素担体においては、触媒金属粒子が細孔内よりも当該炭素担体の外表面に担持されやすくなるため、耐久性が低くなる。これに対し、上述した上限値以下の細孔容積比(5/(5-70))を有する多孔性炭素構造は、その細孔内に触媒金属粒子が効果的に担持されるため、本担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒の耐久性の向上に寄与する。
本担体は、細孔モード径が7.0nm以下であることが好ましい。この場合、本担体の細孔モード径は、6.0nm以下であることがより好ましく、5.0nm以下であることがさらに好ましく、4.5nm以下であることがさらに好ましく、4.0nm以下であることがさらに好ましく、3.5nm以下であることがさらに好ましく、3.0nm以下であることが特に好ましい。
また、本担体の細孔モード径は、例えば、0.5nm以上であってもよく、1.0nm以上であってもよく、1.5nm以上であってもよく、2.0nm以上であってもよい。また、本担体の細孔モード径は、2.5nm以上であってもよく、3.0nm以上であってもよい。本担体の細孔モード径は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。本担体の細孔モード径は、窒素吸着法により温度77Kで得られる窒素吸着等温線からDFT法により得られる。
大きすぎる細孔モード径を有する炭素担体においては、例えば、当該炭素担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒を燃料電池に適用する場合、細孔内に電解質が侵入しやすいため、当該細孔内に担持された触媒金属粒子が当該電解質で被覆されることにより、当該触媒金属粒子の利用率が低下しやすい。これに対し、小さい細孔モード径を有する炭素担体においては、細孔内に電解質が侵入しにくいため、当該細孔内に担持された触媒金属粒子が電解質で被覆されにくい。したがって、上述した上限値以下の細孔モード径を有する多孔性炭素構造は、本担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒の触媒活性(例えば、金属担持触媒を電池に適用した場合における発電性能)の向上に寄与する。
一方、小さすぎる細孔モード径を有する炭素担体においては、触媒金属粒子の細孔内への担持が不十分となり、触媒金属粒子が当該炭素担体の外表面に担持されやすくなるため、耐久性が低下する。これに対し、上述した下限値以上の細孔モード径を有する多孔性炭素構造は、その細孔内に触媒金属粒子が効果的に担持されるため、本担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒の耐久性の向上に寄与する。
本担体は、窒素吸着法により温度77Kで得られる窒素吸着等温線において、飽和蒸気圧(P0)に対する吸着平衡圧(P)の比である相対圧力(P/P0)が0.5(-)における窒素脱着量から窒素吸着量を減じて得られる差(以下、「ヒステリシス(0.5P/P0)」という。)が40cm3/g以下を示す炭素構造を有することが好ましい。
この場合、本担体のヒステリシス(0.5P/P0)は、45cm3/g以下であることがより好ましく、40cm3/g以下であることがさらに好ましく、35cm3/g以下であることがさらに好ましく、30cm3/g以下であることがさらに好ましく、25cm3/g以下であることがさらに好ましく、20cm3/g以下であることがさらに好ましく、18cm3/g以下であることがさらに好ましく、15cm3/g以下であることが特に好ましい。
また、本担体のヒステリシス(0.5P/P0)は、例えば、0cm3/g以上であってもよく、1cm3/g以上であってもよい。また、本担体のヒステリシス(0.5P/P0)は、5cm3/g以上であってもよく、10cm3/g以上であってもよく、15cm3/g以上であってもよく、20cm3/g以上であってもよく、25cm3/g以上であってもよい。本担体のヒステリシス(0.5P/P0)は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
本担体は、窒素吸着法により温度77Kで得られる窒素吸着等温線において、相対圧力(P/P0)が0.8(-)における窒素脱着量から窒素吸着量を減じて得られる差(以下、「ヒステリシス(0.8P/P0)」という。)が20cm3/g以下を示す炭素構造を有することが好ましい。
この場合、本担体のヒステリシス(0.8P/P0)は、例えば、15cm3/g以下であることがより好ましく、10cm3/g以下であることがさらに好ましい。また、本担体のヒステリシス(0.8P/P0)は、9cm3/g以下であることがさらに好ましく、8cm3/g以下であることがさらに好ましく、7cm3/g以下であることがさらに好ましく、6cm3/g以下であることがさらに好ましく、5cm3/g以下であることがさらに好ましく、4cm3/g以下であることがさらに好ましく、3cm3/g以下であることが特に好ましい。
また、本担体のヒステリシス(0.8P/P0)は、例えば、0cm3/g以上であってもよく、1cm3/g以上であってもよく、2cm3/g以上であってもよく、3cm3/g以上であってもよい。また、本担体のヒステリシス(0.8P/P0)は、4cm3/g以上であってもよく、5cm3/g以上であってもよい。本担体のヒステリシス(0.8P/P0)は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
ここで、炭素担体に含まれる細孔の連通性が高くなるにつれて、当該炭素担体の窒素吸着等温線が示すヒステリシスは低減され、当該炭素担体のヒステリシス(0.5P/P0)及びヒステリシス(0.8P/P0)は小さくなる。したがって、上述した上限値以下のヒステリシス(0.5P/P0)、及び/又は、上述した上限値以下のヒステリシス(0.8P/P0)を示す多孔性炭素構造(すなわち、連通性の高い多孔性炭素構造)においては、例えば、本担体に担持された触媒金属粒子を含む金属担持触媒を燃料電池に適用する場合、細孔内で生成された水が効果的に排出されるため、当該金属担持触媒の耐久性及び/又は触媒活性の向上に寄与する。なお、ヒステリシス(0.5P/P0)は、孔径が比較的小さい細孔の連通性を示し、ヒステリシス(0.8P/P0)は、孔径が比較的大きな細孔の連通性を示す。
本担体は、上述した特性の2以上の任意の組み合わせを有する炭素材料として好ましく特定される。すなわち、例えば、本実施形態の一側面に係る本担体は、特定範囲内のBET比表面積、及び特定範囲内の真密度に加えて、ラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて下記の特性(i)~(iii):(i)特定範囲内のラマンG半値半幅;、(ii)特定範囲内のラマンD半値半幅;、及び(iii)特定範囲内のラマン2D半値半幅;からなる群より選択される1以上を示す炭素構造を有することが好ましい。
この場合、本担体は、特性(i)~(iii)からなる群より選択される1つのみを示す炭素構造を有してもよいし、当該群より選択される任意の2つの組み合わせ(特性(i)及び(ii)、特性(i)及び(iii)、又は特性(ii)及び(iii))を示す炭素構造を有してもよいし、当該特性(i)~(iii)の全てを示す炭素構造を有してもよい。
具体的に、本担体は、例えば、BET比表面積が300m2/g以上であり、真密度が2.1g/cm3以上であり、ラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて下記の特性(i)~(iii):(i)ラマンG半値半幅が37cm-1以下である;、(ii)ラマンD半値半幅が38cm-1以下である;、及び(iii)ラマン2D半値半幅が57cm-1以下である;からなる群より選択される1以上を示す炭素構造を有することとしてもよい。
本担体が比較的大きなBET比表面積と、比較的大きな真密度と、比較的小さいラマン半値半幅(ラマンG半値半幅、ラマンD半値半幅、及びラマン2D半値半幅からなる群より選択される1以上)とを有する場合、本担体は、触媒金属粒子が効果的に担持される表面積を有し、触媒金属粒子を担持できない閉塞した細孔の容積は小さく、且つ結晶性の高い炭素構造を有するため、金属担持触媒の耐久性と触媒活性との両立の達成に効果的に寄与する。
また、例えば、本実施形態の他の側面に係る本担体は、特定範囲内のBET比表面積、及び特定範囲内の真密度に加えて、ラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて下記の特性(iv)及び(v):(iv)特定範囲内のラマンD/G比:、及び(v)特定範囲内のラマン2D/G比;からなる群より選択される1以上を示す炭素構造を有することが好ましい。
この場合、本担体は、特性(iv)及び(v)からなる群より選択される1つのみを示す炭素構造を有してもよいし、当該特性(iv)及び(v)を示す炭素構造を有してもよい。
具体的に、本担体は、例えば、BET比表面積が300m2/g以上であり、真密度が2.1g/cm3以上であり、ラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて下記の特性(iv)及び(v):(iv)ラマンD/G比が1.6以上である;、及び(v)ラマン2D/G比が0.3以上である;からなる群より選択される1以上を示す炭素構造を有することとしてもよい。
本担体が比較的大きなBET比表面積と、比較的大きな真密度と、比較的大きなラマンD/G比、及び/又は、2D/G比とを有する場合、本担体は、触媒金属粒子が効果的に担持される表面積を有し、触媒金属粒子を担持できない閉塞した細孔の容積は小さく、且つ触媒金属粒子の担持に有利な炭素構造を有するため、金属担持触媒の耐久性と触媒活性との両立の達成に効果的に寄与する。
また、例えば、本実施形態のさらに他の側面に係る本担体は、特定範囲内のBET比表面積、及び特定範囲内の真密度に加えて、ラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて下記の特性(i)~(iii):(i)特定範囲内のラマンG半値半幅;、(ii)特定範囲内のラマンD半値半幅;、及び(iii)特定範囲内のラマン2D半値半幅;からなる群より選択される1以上と、下記の特性(iv)及び(v):(iv)特定範囲内のラマンD/G比;、及び(v)特定範囲内のラマン2D/G比;からなる群より選択される1以上と、を示す炭素構造を有することが好ましい。
この場合、本担体は、特性(i)~(iii)からなる群より選択される1つのみと、特性(iv)及び(v)の一方又は両方とを示す炭素構造を有してもよい。また、本担体は、特性(i)~(iii)からなる群より選択される任意の2つの組み合わせ(特性(i)及び(ii)、特性(i)及び(iii)、又は特性(ii)及び(iii))と、特性(iv)及び(v)の一方又は両方とを示す炭素構造を有してもよい。また、本担体は、特性(i)~(iii)の全てと、特性(iv)及び(v)の一方又は両方とを示す炭素構造を有してもよい。
具体的に、本担体は、例えば、BET比表面積が300m2/g以上であり、真密度が2.1g/cm3以上であり、ラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて下記の特性(i)~(iii):(i)ラマンG半値半幅が37cm-1以下である;、(ii)ラマンD半値半幅が38cm-1以下である;、及び(iii)ラマン2D半値半幅が57cm-1以下である;からなる群より選択される1以上と、下記の特性(iv)及び(v):(iv)ラマンD/G比が1.6以上である;、及び(v)ラマン2D/G比が0.3以上である;からなる群より選択される1以上と、を示す炭素構造を有することとしてもよい。
また、例えば、本実施形態のさらに他の側面に係る本担体は、特定範囲内の酸素含有量に加えて、ラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて下記の特性(i)~(iii):(i)特定範囲内のラマンG半値半幅;、(ii)特定範囲内のラマンD半値半幅;、(iii)特定範囲内のラマン2D半値半幅;、(iv)特定範囲内のラマンD/G比;、及び(v)特定範囲内のラマン2D/G比;からなる群より選択される1以上を示す炭素構造を有することが好ましい。
この場合、本担体は、特性(i)~(v)からなる群より選択される1つのみを示す炭素構造を有してもよいし、特性(i)~(v)からなる群より選択される任意の2つの組み合わせを示す炭素構造を有してもよいし、特性(i)~(v)からなる群より選択される任意の3つの組み合わせを示す炭素構造を有してもよいし、特性(i)~(v)からなる群より選択される任意の4つの組み合わせを示す炭素構造を有してもよいし、特性(i)~(v)の全てを示す炭素構造を有してもよい。
具体的に、本担体は、例えば、酸素含有量が2.6重量%以上であり、ラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて上記特性(i)~(v):(i)ラマンG半値半幅が37cm-1以下である;、(ii)ラマンD半値半幅が38cm-1以下である;、(iii)ラマン2D半値半幅が57cm-1以下である;、(iv)ラマンD/G比が1.6以上である;、及び(v)ラマン2D/G比が0.3以上である;からなる群より選択される1以上を示す炭素構造を有することとしてもよい。
また、本担体は、特定範囲内の酸素含有量に加えて、ラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて上記特性(i)~(iii):(i)特定範囲内のラマンG半値半幅;、(ii)特定範囲内のラマンD半値半幅;、及び(iii)特定範囲内のラマン2D半値半幅;からなる群より選択される1以上を示す炭素構造を有することとしてもよい。
具体的に、例えば、本担体は、酸素含有量が1.0重量%以上であり、上記特性(iii)として、ラマン2D半値半幅が57cm-1以下である炭素構造を有することとしてもよい。
また、本担体は、特定範囲内の酸素含有量に加えて、ラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて上記特性(iv)及び(v):(iv)特定範囲内のラマンD/G比;、及び(v)特定範囲内のラマン2D/G比;からなる群より選択される1以上を示す炭素構造を有することとしてもよい。
また、本担体は、特定範囲内の酸素含有量に加えて、ラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて下記の特性(i)~(iii):(i)特定範囲内のラマンG半値半幅;、(ii)特定範囲内のラマンD半値半幅;、及び(iii)特定範囲内のラマン2D半値半幅からなる群より選択される1以上と、ラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて下記の特性(iv)及び(v):(iv)特定範囲内のラマンD/G比;、及び(v)特定範囲内のラマン2D/G比;からなる群より選択される1以上と、を示す炭素構造を有することとしてもよい。
また、本担体は、例えば、特定範囲内のBET比表面積と、特定範囲内の真密度と、特定範囲内の酸素含有量とを有することが好ましい。
また、本担体は、例えば、細孔容積に関する特性として、特定範囲内の細孔容積(5-70nm)、特定範囲内の細孔容積(5nm未満)、及び特定範囲内の細孔容積比(5/(5-70)からなる群より選択される1以上を有してもよい。
すなわち、この場合、本担体は、特定範囲内の細孔容積(5-70nm)、特定範囲内の細孔容積(5nm未満)、及び特定範囲内の細孔容積比(5/(5-70))という3つの細孔容積特性のうち、1つのみを有してもよいし、任意の2つの組み合わせ(特定範囲内の細孔容積(5-70nm)及び特定範囲内の細孔容積(5nm未満)、特定範囲内の細孔容積(5-70nm)及び特定範囲内の細孔容積比(5/(5-70))、又は特定範囲内の細孔容積(5nm未満)及び特定範囲内の細孔容積比(5/(5-70))を有してもよいし、当該細孔容積特性の全て(3つ)を有してもよい。
本担体は、炭素化材料であることが好ましい。炭素化材料は、有機物を含む原料の炭素化により得られる。炭素化の原料における有機物の含有量は、例えば、5重量%以上、90重量%以下であってもよく、10重量%以上、80重量%以下であることが好ましい。
原料に含まれる有機物は、炭素化できるものであれば特に限られない。有機物に含まれる有機化合物は、ポリマー(例えば、熱硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂)であってもよいし、及び/又は、より分子量が小さい有機化合物であってもよい。
具体的に、有機物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル-ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリロニトリル-ポリアクリル酸メチル共重合体、ポリアクリロニトリル-ポリメタクリル酸共重合体、ポリアクリロニトリル-ポリメタクリル酸-ポリメタリルスルホン酸共重合体、ポリアクリロニトリル-ポリメタクリル酸メチル共重合体、フェノール樹脂、ポリフルフリルアルコール、フラン、フラン樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミン、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、窒素含有キレート樹脂(例えば、ポリアミン型、イミノジ酢酸型、アミノリン酸型及びアミノメチルホスホン酸型からなる群より選択される1種以上)、ポリアミドイミド樹脂、ピロール、ポリピロール、ポリビニルピロール、3-メチルポリピロール、アクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ビニルピリジン、ポリビニルピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、ピラン、モルホリン、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、キノキサリン、アニリン、ポリアニリン、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ポリスルフォン、ポリアミノビスマレイミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ベンゾイミダゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミド、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、セルロース、カルボキシメチルセルロース、リグニン、キチン、キトサン、ピッチ、絹、毛、ポリアミノ酸、核酸、DNA、RNA、ヒドラジン、ヒドラジド、尿素、サレン、ポリカルバゾール、ポリビスマレイミド、トリアジン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリウレタン、ポリアミドアミン及びポリカルボジイミドからなる群より選択される1以上であってもよい。
本担体は、窒素を含むことが好ましい。すなわち、本担体は、その炭素構造に窒素原子(例えば、ドープされた窒素原子)を含むことが好ましい。窒素を含む本担体は、窒素を含む炭素化材料であることが好ましい。窒素含有炭素化材料は、例えば、窒素含有有機物を含む原料の炭素化により得られる。窒素含有有機物は、窒素含有有機化合物を含むことが好ましい。窒素含有有機化合物は、その分子内に窒素原子を含む有機化合物であれば特に限られない。本担体に含まれる窒素は、窒素ドープ処理により導入されたものであってもよい。
本担体の窒素含有量は、例えば、0.10重量%以上であってもよく、0.15重量%以上であることが好ましく、0.20重量%以上であることがより好ましく、0.25重量%以上であることがより一層好ましく、0.30重量%以上であることが特に好ましい。本担体の窒素含有量は、例えば、10.00重量%以下であってもよい。炭素担体の窒素含有量は、当該炭素担体の元素分析(具体的には、燃焼法)により得られる。
本担体は、有機物及び金属を含む原料の炭素化により得られる炭素化材料であることが好ましい。この場合、本担体は、炭素化後に金属除去処理が施された炭素化材料であってもよい。金属除去処理は、炭素化材料に含まれる原料由来の金属の量を低減する処理である。具体的に、金属除去処理は、例えば、酸による洗浄処理及び/又は電解処理であることが好ましい。
本担体が有機物及び金属を含む原料の炭素化により得られる炭素化材料である場合、本担体は、当該炭素化の原料に由来する金属(以下、「原料金属」ということがある。)を含むこととしてもよい。この場合、本担体は、その多孔質構造を構成する骨格の内部に金属を含む。本担体が上述のように金属除去処理を経て製造される炭素化材料であっても、本担体の骨格の内部には原料金属が残存する。この場合、本担体の骨格の内部に含まれる金属の重量は、本担体の骨格の表面に含まれる金属の重量より大きいこととしてもよい。
本担体の骨格の内部に含まれる金属は、例えば、当該骨格に表面エッチング処理を行い、当該エッチング処理により露出した断面を分析することで検出され得る。すなわち、この場合、本担体の1つの粒子をエッチング処理すると、エッチング処理により露出した当該粒子の断面に金属が検出される。本担体に含まれる金属は、例えば、本担体の誘導結合プラズマ発光分光分析によって検出することができる。
本担体の金属含有量(触媒金属粒子を未だ担持していない本担体の重量に対する、当該本担体に含まれる金属の重量の割合)は、例えば、0.000重量%以上であってもよく、0.001重量%以上であってもよく、0.002重量%以上であってもよく、0.003重量%以上であってもよい。また、本担体の金属含有量は、例えば、1重量%以下であってもよく、0.5重量%以下であってもよく、0.1重量%以下であってもよく、0.05重量%以下であってもよく、0.01重量%以下であってもよく、0.008重量%以下であってもよく、0.005重量%以下であってもよい。本担体の金属含有量は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。本担体の金属含有量は、例えば、本担体の誘導結合プラズマ発光分光分析により得られる。
原料金属は、遷移金属であることが好ましい。すなわち、原料金属は、周期表の3族から12族に属する遷移金属であることが好ましく、周期表の3族から12族の第4周期に属する遷移金属であることが特に好ましい。
原料金属は、白金以外の遷移金属であってもよい。また、原料金属は、貴金属(例えば、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、及び金(Au))以外の遷移金属であってもよい。
具体的に、原料金属は、例えば、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ランタノイド(例えば、ガドリニウム(Gd))及びアクチノイドからなる群からなる群より選択される1種以上であってもよく、Fe、Co、Ni、Cu、及びZnからなる群より選択される1種以上であることが好ましく、Fe、Co、Ni、及びZnからなる群より選択される1種以上であることがより好ましく、Co、Ni、及びZnからなる群より選択される1種以上であることが特に好ましい。
本担体は、白金(Pt)を含有しないこととしてもよい。また、本担体は、貴金属を含有しないこととしてもよい。すなわち、本担体は、例えば、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、及び金(Au)を含有しないこととしてもよい。
炭素化材料の製造における炭素化は、原料に含まれる有機物が炭素化される温度で当該原料を加熱することにより行う。炭素化温度は、原料が炭素化される温度であれば特に限られず、例えば、1200℃以上であることが好ましく、1300℃以上であることがより好ましく、1400℃以上であることがさらに好ましく、1500℃以上であることが特に好ましい。
また、炭素化温度は、例えば、3000℃以下であってもよく、2500℃以下であることが好ましい。また、炭素化温度は、2400℃以下であってもよく、2300℃以下であってもよく、2200℃以下であってもよく、2100℃以下であってもよく、2000℃以下であってもよく、1900℃以下であってもよく、1800℃以下であってもよく、1700℃以下であってもよく、1600℃以下であってもよい。炭素化温度は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。炭素化温度までの昇温速度は特に限られず、例えば、0.5℃/分以上、300℃/分以下であってもよい。炭素化は、窒素雰囲気等の不活性雰囲気中で行うことが好ましい。
炭素化は、常圧(大気圧)下で行ってもよいが、加圧下(大気圧より大きい圧力下)で行うことが好ましい。加圧下で炭素化を行う場合、当該炭素化を行う雰囲気の圧力は、例えば、ゲージ圧で0.05MPa以上であってもよく、ゲージ圧で0.15MPa以上であることが好ましく、0.20MPa以上であることがより好ましく、0.40MPa以上であることがさらに好ましく、0.50MPa以上であることが特に好ましい。炭素化を行う雰囲気の圧力の上限値は特に限られないが、当該圧力は、例えば、ゲージ圧で10MPa以下であってもよい。
本担体は、炭素化後に黒鉛化処理が施された炭素化材料であることが好ましい。すなわち、本担体は、例えば、有機物を含む原料の炭素化により得られた炭素化材料に、さらに黒鉛化処理を施すことにより得られた炭素化材料であることが好ましい。
黒鉛化処理は、黒鉛化が進行する温度で炭素化材料を加熱することにより行う。黒鉛化処理において炭素化材料を加熱する加熱温度は、当該炭素化材料において黒鉛化が進行する温度であれば特に限られないが、当該炭素化材料を得るための炭素化温度より高い温度であることが好ましい。
具体的に、黒鉛化処理における加熱温度は、例えば、1300℃以上であってもよく、1400℃以上であることが好ましく、1500℃以上であることがより好ましく、1600℃以上であることがさらに好ましく、1650℃以上であることがさらに好ましく、1700℃以上であることが特に好ましい。
さらに、黒鉛化処理における加熱温度は、例えば、1750℃以上であってもよく、1800℃以上であってもよく、1850℃以上であってもよく、1900℃以上であってもよく、1950℃以上であってもよく、2000℃以上であってもよく、2050℃以上であってもよく、2100℃以上であってもよく、2150℃以上であってもよく、2200℃以上であってもよい。
また、黒鉛化処理における加熱温度は、例えば、3000℃以下であってもよく、2500℃以下であってもよく、2400℃以下であってもよく、2300℃以下であってもよく、2250℃以下であってもよく、2200℃以下であってもよい。
さらに、黒鉛化処理における加熱温度は、例えば、2150℃以下であってもよく、2050℃以下であってもよく、2000℃以下であってもよく、1950℃以下であってもよく、1900℃以下であってもよく、1850℃以下であってもよく、1800℃以下であってもよく、1750℃以下であってもよく、1700℃以下であってもよい。
黒鉛化処理における加熱温度は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。黒鉛化処理における加熱温度までの昇温速度は特に限られず、例えば、0.5℃/分以上、300℃/分以下であってもよい。黒鉛化処理は、窒素雰囲気等の不活性雰囲気中で行うことが好ましい。
本担体が炭素化後に黒鉛化処理が施された炭素化材料である場合、当該黒鉛化処理後の炭素化材料には粉砕処理を施さないことが好ましい。すなわち、本担体の製造においては、例えば、原料の炭素化により得られた炭素化材料に粉砕処理を施すことにより、その粒径(例えば、メディアン径)を調整し、その後、粉砕された炭素化材料に黒鉛化処理を施し、当該黒鉛化処理後の炭素化材料には粉砕処理を施さないことが好ましい。
本担体は、黒鉛化処理後に酸化処理が施された炭素化材料であることが好ましい。すなわち、本担体は、例えば、有機物を含む原料の炭素化により得られた炭素化材料に、黒鉛化処理を施し、その後、さらに酸化処理を施すことにより得られた炭素化材料であることが好ましい。
酸化処理は、酸素を含む雰囲気中、酸化が進行する温度で炭素化材料を加熱することにより行う。酸化処理を実施する雰囲気は、酸素を含む雰囲気であれば特に限られないが、例えば、空気中(大気中)であることが好ましい。酸化処理において炭素化材料を加熱する加熱温度は、当該炭素化材料において酸化が進行する温度であれば特に限られないが、当該炭素化材料を得るための炭素化温度より低い温度であることが好ましい。
具体的に、酸化処理における加熱温度は、例えば、300℃以上であってもよく、320℃以上であることが好ましく、350℃以上であることがより好ましく、380℃以上であることがさらに好ましく、400℃以上であることがさらに好ましく、420℃以上であることが特に好ましい。
また、酸化処理における加熱温度は、例えば、650℃以下であってもよく、600℃以下であることが好ましく、550℃以下であることがより好ましく、500℃以下であることがさらに好ましく、480℃以下であることが特に好ましい。酸化処理における加熱温度は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
本担体は、触媒活性を示す炭素材料であることが好ましい。すなわち、この場合、本担体は、それ自身が単独で触媒活性を示す炭素触媒である。炭素触媒である本担体は、上述のように有機物と金属とを含む原料を炭素化することにより得られる炭素化材料であることが好ましい。
本担体が示す触媒活性は、例えば、還元活性及び/又は酸化活性であることが好ましく、酸素還元活性及び/又は水素酸化活性であることがより好ましく、少なくとも酸素還元活性であることが特に好ましい。
本担体は、触媒金属粒子を担持するための炭素担体として好ましく用いられる。この点、本実施形態に係る金属担持触媒(以下、「本触媒」という。)は、本担体と、本担体に担持された触媒金属粒子とを含む。
本触媒は、本担体に触媒金属粒子を担持することにより製造される。すなわち、例えば、本担体に、触媒金属粒子を構成すべき金属の前駆体を含浸させ、次いで、当該前駆体を含浸した本担体に還元処理を施すことにより、本担体に当該金属を含む触媒金属粒子を担持する。
触媒金属粒子は、触媒活性を示す金属粒子であれば特に限られないが、例えば、還元活性及び/又は酸化活性を示す金属粒子であることが好ましく、酸素還元活性及び/又は水素酸化活性を示す金属粒子であることがより好ましく、少なくとも酸素還元活性を示す金属粒子であることが特に好ましい。
具体的に、触媒金属粒子は、貴金属を含む金属粒子(以下、「貴金属粒子」という。)であることが好ましい。貴金属粒子は、純貴金属(合金を形成していない貴金属)及び/又は貴金属合金(貴金属と、貴金属以外の金属(以下、「非貴金属」という。)との合金)を含む。貴金属合金は、1種以上の貴金属と、1種以上の非貴金属との合金である。
貴金属は、例えば、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及び金(Au)からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、Ru、Pd、Rh、Ir及びPtからなる群より選択される1種以上であることがより好ましく、Ptであることが特に好ましい。すなわち、貴金属粒子は、白金粒子(白金を含む金属粒子)であることが特に好ましい。白金粒子は、純白金(合金を形成していない白金)及び/又は白金合金(白金と非貴金属との合金)を含む。
貴金属合金を構成する非貴金属は、貴金属と合金を形成するものであれば特に限られないが、貴金属以外の遷移金属であることが好ましい。具体的に、貴金属合金に含まれる非貴金属は、例えば、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ニオブ(Nb)及びセリウム(Ce)からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、Fe、Co及びNiからなる群より選択される1種以上であることがより好ましく、Co及びNiからなる群より選択される1種以上であることが特に好ましい。
本担体が有機物及び原料金属を含む原料の炭素化材料である場合、本担体に担持される触媒金属粒子は、当該原料金属と同一種の金属を含むこととしてもよいし、当該原料金属と同一種の金属を含まないこととしてもよい。
本触媒は、本触媒の重量に対する、本触媒に含まれている貴金属(より具体的には、触媒金属粒子に含まれている貴金属)の重量の割合(以下、「貴金属含有量」という。)が10重量%以上であることが好ましい。本触媒の貴金属含有量は、例えば、20重量%以上であることがより好ましく、30重量%以上であることがさらに好ましく、35重量%以上であることがさらに好ましく、40重量%以上であることがさらに好ましく、45重量%以上であることが特に好ましい。
また、本触媒の貴金属含有量は、例えば、90重量%以下であってもよく、80重量%以下であってもよく、70重量%以下であってもよく、60重量%以下であってもよい。本触媒の貴金属含有量は、上述した下限値のいずれかと、上述した上限値のいずれかとを任意に組み合わせて特定されてもよい。本触媒の貴金属含有量は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光光度法により得られる。
本実施形態に係る電極(以下、「本電極」という。)は、本触媒を含む。すなわち、本電極は、例えば、電極基材と、当該電極基材に担持された本触媒と、を含む。具体的に、本電極は、例えば、電極基材と、当該電極基材上に形成された、本触媒を含む触媒層と、を含む。
本電極は、電池電極であることが好ましい。すなわち、本電極は、例えば、燃料電池(例えば、固体高分子形燃料電池)、空気電池、水電解槽(例えば、固体高分子形水電解槽)、レドックスフロー電池、又はハロゲン電池の電極であることが好ましい。
本電極は、カソードであってもよいし、アノードであってもよいが、カソードであることが好ましい。すなわち、本電極は、燃料電池、空気電池、水電解槽、レドックスフロー電池、又はハロゲン電池のカソード又はアノードであり、好ましくはカソードである。
本実施形態に係る電池(以下、「本電池」という。)は、本電極を含む。具体的に、本電池は、本電極を含む燃料電池(例えば、固体高分子形燃料電池)、空気電池、レドックスフロー電池、又はハロゲン電池であることが好ましい。本電池は、本電極を含む膜/電極接合体(MEA)を有することが好ましい。
本電池は、カソード又はアノードとして本電極を有する電池であり、好ましくはカソードとして本電極を有する電池である。すなわち、本電池は、カソード又はアノードとして本電極を有する燃料電池、空気電池、レドックスフロー電池、又はハロゲン電池であり、好ましくはカソードとして本電極を有する燃料電池、空気電池、レドックスフロー電池、又はハロゲン電池である。
次に、本実施形態に係る具体的な実施例について説明する。
[炭素担体の製造:例C1~例C4]
市販のケッチェンブラック(EC600JD、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)を例C1の炭素担体KBとして用いた。また、炭素担体KBを空気中、450℃で1時間加熱することにより、空気酸化処理を行った。この空気酸化処理によって得られた炭素材料を例C2の炭素担体KB-AOとして用いた。
炭素担体KBを窒素雰囲気中、常圧下、2000℃で加熱することにより、黒鉛化処理を行った。この黒鉛化処理によって得られた炭素材料を例C3の炭素担体KB-G2000として用いた。上述の例C3で得られた炭素担体KB-G2000を空気中、450℃で1時間加熱することにより、空気酸化処理を行った。この空気酸化処理によって得られた炭素材料を例C4の炭素担体KB-G2000AOとして用いた。
[炭素担体の製造:例C5]
1.0gのポリアクリロニトリルと、1.0gの2-メチルイミダゾールと、3.3gの塩化亜鉛(ZnCl2)と、30gのジメチルホルムアミドとを混合した。得られた混合物から乾燥により溶媒を除去した。乾燥した混合物を大気中250℃で加熱して不融化を行った。
不融化後の混合物を、窒素雰囲気中、0.90MPaのゲージ圧力(加圧)下、1500℃で加熱することにより、炭素化を行った。炭素化により得られた炭素化材料に希塩酸を加え、撹拌した。その後、炭素化材料を含有する懸濁液を、ろ過膜を使用してろ過し、ろ液が中性になるまで蒸留水で炭素化材料を洗浄した。こうして酸洗浄による金属除去処理を行った。
微粉砕機によって、金属除去処理後の炭素化材料を、その粒子径の中央値が0.4μm以下になるまで粉砕した。粉砕後の炭素化材料の真空乾燥を行い、水分を除去した。こうして得られた炭素化材料を例C5の炭素担体C1500として用いた。
[炭素担体の製造:例C6~例C9]
上述の例C5で得られた炭素担体C1500を窒素雰囲気中、常圧下、1700℃、1900℃、2000℃、又は2200℃で加熱することにより、黒鉛化処理を行った。こうして1700℃、1900℃、2000℃及び2200℃の黒鉛化処理によって得られた炭素化材料をそれぞれ、例C6の炭素担体C1500-G1700、例C7の炭素担体C1500-G1900、例C8の炭素担体C1500-G2000、及び例C9の炭素担体C1500-G2200として用いた。
[炭素担体の製造:例1~例4]
上述の例C6~例C9で得られた炭素担体C1500-G1700、炭素担体C1500-G1900、炭素担体C1500-G2000、及び炭素担体C1500-G2200を空気中、450℃で1時間加熱することにより、酸化処理を行った。こうして黒鉛化処理後の酸化処理によって得られた炭素化材料を例1の炭素担体C1500-G1700AO、例2の炭素担体C1500-G1900AO、例3の炭素担体C1500-G2000AO、及び例4の炭素担体C1500-G2200AOとして用いた。
[定容積膨張法(真密度)]
JIS M 8717に準拠した定容積膨張法によって炭素担体の真密度を測定した。具体的に、ウルトラピクノメーター(UP-1200e、Anton Paar社製)を用いて、体積1.8cm3の試料室に炭素担体を充填することによって排除されるヘリウムガスの体積をボイルの法則により算出した。このような測定を各炭素担体について3回実施し、当該3回の測定で得られた体積の算術平均値を、当該炭素担体の体積として得た。そして、電子天秤により測定された炭素担体の重量(g)を、上述のようにして得られた当該炭素担体の体積(cm3)で除することにより、当該炭素担体の真密度(g/cm3)を算出した。
[元素分析(酸素含有量)]
元素分析(熱分解法)によって炭素担体の酸素含有量を測定した。具体的に、有機微量元素分析装置(2400II、パーキンエルマー株式会社)を用いて、ヘリウム/水素雰囲気(水素5~8体積%)中、2mgの炭素担体を、1000℃の炭素被覆白金の上で熱分解し、当該熱分解により生成された酸素含有化合物(ガス)を分析することにより、当該炭素担体の酸素含有量(重量%)を得た。
[ラマン分光法]
炭素担体をラマン分光法により解析した。ラマンスペクトルは、HORIBA顕微レーザーラマン分光測定装置(LabRAM、HORIBA Jobin Yvon)を用いて測定した。測定に用いたレーザーは532nmの励起波長で、出力が50mW、減光フィルターD3を介し、露光90秒×積算2回の条件で測定することにより、ラマンスペクトルを得た。
得られたラマンスペクトルにベースライン補正を施した。すなわち、ラマンシフト(cm-1)が800cm-1付近の散乱強度と、2000cm-1付近の散乱強度とを結ぶ直線をベースラインに決定し、散乱スペクトルの各強度から当該ベースラインを差し引くことでベースライン補正を行った。ここで、ラマンスペクトルの一例として、図1に、例1の炭素担体C1500-G1700AOについて得られた、ベースライン補正後のラマンスペクトルを示す。
そして、ラマンシフト1580cm-1付近(具体的には、1550cm-1以上、1610cm-1以下の範囲内)にピークトップを有するGバンドを特定した。そして、Gバンドの強度Ig(Gバンドのピークトップの強度)に対応するラマンシフト(cm-1)Agから、当該Gバンドの強度Igの半分の強度に対応するラマンシフト(cm-1)Bgを減じることにより、ラマンG半値半幅(cm-1)を算出した。すなわち、炭素担体のラマンG半値半幅は次の式により算出した:ラマンG半値半幅(cm-1)=Ag(cm-1)-Bg(cm-1)。
次いで、ラマンシフト1340cm-1付近(具体的には、1320cm-1以上、1360cm-1以下の範囲内)にピークトップを有するDバンドを特定した。そして、Dバンドの強度Id(Dバンドのピークトップの強度)に対応するラマンシフト(cm-1)Adから、当該Dバンドの強度Idの半分の強度に対応するラマンシフト(cm-1)Bdを減じることにより、ラマンD半値半幅(cm-1)を算出した。すなわち、炭素担体のラマンD半値半幅は次の式により算出した:ラマンD半値半幅(cm-1)=Ad(cm-1)-Bd(cm-1)。
さらに、ラマンシフト2700cm-1付近(具体的には、2670cm-1以上、2730cm-1以下の範囲内)にピークトップを有する2Dバンドを特定した。そして、2Dバンドの強度I2d(2Dバンドのピークトップの強度)に対応するラマンシフト(cm-1)A2dから、当該2Dバンドの強度I2dの半分の強度に対応するラマンシフト(cm-1)B2dを減じることにより、ラマン2D半値半幅(cm-1)を算出した。すなわち、炭素担体のラマン2D半値半幅は次の式により算出した:ラマン2D半値半幅(cm-1)=A2d(cm-1)-B2d(cm-1)。
また、Dバンドの強度IdをGバンドの強度Igで除することにより、ラマンD/G比を算出した。すなわち、炭素担体のラマンD/G比は次の式により算出した:ラマンD/G比=Id/Ig。
また、2Dバンドの強度I2dをGバンドの強度Igで除することにより、ラマン2D/G比を算出した。すなわち、炭素担体のラマン2D/G比は次の式により算出した:ラマン2D/G比=I2d/Ig。
[窒素吸着法]
窒素吸着法によって、炭素担体の比表面積、細孔容積、窒素吸着等温線におけるヒステリシス、及び細孔モード径を、比表面積・細孔分布測定装置(TriStar II 3020、株式会社島津製作所製)及び付属の解析ソフトウェア(TriStar II 3020)を用いて測定した。
すなわち、まず、0.1gの炭素担体を、100℃、6.7×10-2Paで、3時間保持することにより、当該炭素担体に吸着している水分を取り除いた。次いで、BET法により、77Kにおける窒素吸着等温線を得た。この77Kにおける窒素吸着等温線は、77Kの温度で、窒素ガスの圧力の変化に伴う、炭素担体への窒素吸着量の変化を測定して得た。
図2には、BET法により77Kで得られる窒素吸着等温線の一例として、例1の炭素担体C1500-G1700AOについて得られた窒素吸着等温線を示す。図2に示す吸着等温線において、横軸は飽和蒸気圧(P0)(77Kの窒素では1.01×105Pa)に対する吸着平衡圧(P)の比である相対圧力(P/P0)(-)を示し、縦軸は窒素吸着量(cm3/g)を示す。図1に示すように、吸着側等温線(相対圧力を増加させながら測定された吸着等温線)(図中の黒塗り丸印)と、脱着側等温線(相対圧力を減少させながら測定された吸着等温線)(図中の白抜き丸印)が得られた。
そして、各炭素担体について得られた窒素吸着等温線において、相対圧力(P/P0)が0.5における窒素脱着量から窒素吸着量を減じることにより、当該窒素脱着量と当該窒素吸着量との差であるヒステリシス(0.5P/P0)(cm3/g)を算出した。また同様に、相対圧力(P/P0)が0.8における窒素脱着量から窒素吸着量を減じることにより、当該窒素脱着量と当該窒素吸着量との差であるヒステリシス(0.8P/P0)(cm3/g)を算出した。
また、温度77Kにおける窒素吸着等温線から、炭素担体のBET比表面積(m2/g)を得た。また、温度77Kにおける窒素吸着等温線から、DFT法により、炭素担体の細孔径が5nm未満の各細孔の容積(cm3/g)を積算することにより、細孔径が5nm未満の細孔容積(細孔容積(5nm未満))(cm3/g)を算出した。同様に、細孔径が5nm以上、70nm以下の各細孔の容積(cm3/g)を積算することにより、細孔径が5nm以上、70nm以下の細孔容積(細孔容積(5-70nm))(cm3/g)を算出した。
さらに各炭素担体について、細孔容積(5nm未満)を細孔容積(5-70nm)で除することにより、当該細孔容積(5-70nm)に対する当該細孔容積(5nm未満)の比(細孔容積比(5/(5-70)))(-)を算出した。
また、温度77Kにおける窒素吸着等温線から、DFT法により細孔径分布を得た。図3Aには、例C1の炭素担体KB(白抜き丸印)、及び例C3の炭素担体KB-G2000(黒塗り丸印)について得られた細孔径分布を示す。また、図3Bには、例C5の炭素担体C1500(白抜き丸印)、例C7の炭素担体C1500-G1900(黒塗り丸印)、及び例2の炭素担体C1500-G1900AO(黒塗り四角印)について得られた細孔径分布を示す。
図3A及び図3Bにおいて、横軸は細孔径D(nm)を示し、縦軸はLog微分細孔容積(図中の「dV/dlogD」)(cm3/g)を示す。そして、このような各炭素担体の細孔径分布において、Log微分細孔容積が最も大きい値になる細孔径(nm)を、当該炭素担体の細孔モード径(nm)として得た。
[金属担持触媒の製造]
上述の各炭素担体に金属触媒粒子を担持することにより、金属担持触媒を製造した。具体的に、例C5~例C9及び例1~例4の各々で得られた炭素担体1gと、白金濃度が10重量%(白金含有量1g)になる量の白金前駆体である塩化白金酸(H2PtCl6)を含む水溶液10gとを混合し、まず-0.1MPaのゲージ圧力(減圧)下で1時間撹拌し、次いで0.15MPaのゲージ圧力(加圧)下で1時間撹拌した、さらに常圧下で18時間撹拌した。その後、得られた混合液を-0.1MPaのゲージ圧力(減圧)下、100℃で乾燥させ、さらに窒素中、150℃中で保持して、溶媒成分を揮発させた。
得られた固形物に対し、まず水素雰囲気(水素ガス100体積%)中、350℃で180分の加熱処理(気相還元処理)を行った。続いて、処理された固形物に対して、窒素雰囲気(窒素ガス100体積%)中、700℃で180分の加熱処理を行った。こうして炭素担体と、当該炭素担体に触媒金属粒子として担持された白金粒子とを含む金属担持触媒が得られた。
[発電試験及び電位サイクル試験]
金属担持触媒の性能の一側面を評価するため、当該金属担持触媒を含む電極を有する燃料電池の発電試験及び電位サイクル試験を行った。なお、電位サイクル試験では、金属担持触媒の耐久性、特に耐負荷変動性(負荷変動に対する耐性)を評価した。具体的に、まず金属担持触媒を含む触媒層が形成された電池カソードを製造した。すなわち、上述のようにして製造された金属担持触媒0.25gに、当該金属担持触媒に含まれる炭素担体に対する重量比が1.1となる量の電解質(等価質量(Equivalent Weight)EW=820)を加え、さらに、蒸留水及び1-プロパノールをそれぞれ2g加えて電解質溶液を調製した。この電解質溶液と、ボール25gとをポットに投入し、200rpm、50分間ボールミルで混合することにより、均一に分散された金属担持触媒を含むスラリー状の触媒層用組成物を得た。
得られたスラリー状の触媒層用組成物を、ガス拡散層(“29BC”、SGLカーボン社製)(2.3cm×2.3cm)の面積5cm2の領域上に、金属担持触媒に担持された触媒金属粒子に含まれる白金の電池電極の単位面積あたりの含有量が0.2mg-Pt/cm2になるように塗布して乾燥させることにより、当該ガス拡散層上に触媒層を形成した。こうして、金属担持触媒を含む触媒層が形成された電池カソードを得た。
次に、金属担持触媒を含む触媒層が形成された電極を含む燃料電池を製造した。すなわち、正極としては、上述のようにして製造された、金属担持触媒を含む触媒層(正極触媒層)が形成された電池カソードを使用した。
一方、負極は以下のようにして作製した。市販の白金担持触媒Pt/C(炭素担体に担持された白金粒子を含む触媒:UNPC40-II、石福金属興業株式会社製)0.5gと、5%ナフィオン(登録商標)10gと、蒸留水2gと、ボール25gとをポットに投入し、200rpm、50分間ボールミルで混合することにより、スラリー状のPt/C組成物を調製した。このスラリー状のPt/C組成物を、ガス拡散層(5cm2)上に単位面積あたりの白金含有量が0.1mg-Pt/cm2となるようにしたこと以外は、上記正極と同様にして、当該Pt/C組成物から形成された触媒層(負極触媒層)を含む電池アノードを作製した。
そして、上記正極触媒層と上記負極触媒層との間に、固体高分子電解質膜(Dupont社製、“Nafion(登録商標)211”)を配置して、これらを150℃、1MPaの条件で3分間圧着することにより、MEAを作製した。このMEAに一対のガスケットを貼り付け、さらに一対のセパレーターで挟み、発電試験及び電位サイクル試験用の燃料電池単セルを作製した。そして、この単セルを燃料電池自動評価システム(株式会社東陽テクニカ製)に設置し、まず発電試験を行い、その後、電位サイクル試験を行った。
発電試験は、単セルに対して、背圧150kPaで正極側に飽和加湿空気(酸素)を2.5L/分で供給し(相対湿度100%)、負極側に飽和加湿水素を1.0L/分で供給し(相対湿度100%)、セル温度を75℃に設定して、開回路電圧を5分間測定した。その後、セル電流密度を4.0A/cm2から0A/cm2まで、各電流密度で3分間保持しながら、セル電圧を測定した。そして、相対湿度100%下、電流密度0.2A/cm2で測定された電圧(mV)を初期の触媒活性の指標の一つである「BOL(Beginning Of Life)(0.2A/cm2)(100%RH)」として得た。また、相対湿度100%下、電流密度1.0A/cm2で測定された電圧(mV)を初期の触媒活性の指標の他の一つである「BOL(1.0A/cm2)(100%RH)」として得た。
続いて、単セルに対して、背圧150kPaで正極側に加湿空気(酸素)を2.5L/分で供給し(相対湿度40%)、負極側に加湿水素を1.0L/分で供給し(相対湿度40%)、セル温度を75℃に設定して、開回路電圧を5分間測定した。その後、セル電流密度を4.0A/cm2から0A/cm2まで、各電流密度で3分間保持しながら、セル電圧を測定した。そして、相対湿度40%下、電流密度0.2A/cm2で測定された電圧(mV)を低湿度条件における初期の触媒活性の指標の一つである「BOL(0.2A/cm2)(40%RH)」として得た。さらに、「BOL(0.2A/cm2)(100%RH)」から「BOL(0.2A/cm2)(40%RH)」を減じて得られた値(mV)を、湿度低下に伴う「電圧低下量(mV)」として得た。
その後、セル温度を75℃に設定して、単セルの両側に背圧150kPaで飽和加湿窒素を0.5L/分で供給し(相対湿度100%)、アノード側に飽和加湿水素を0.5L/分で供給し(相対湿度100%)、まず電位を0.6Vで10秒保持し、次いで0.95Vで10秒保持する矩形波のサイクルを繰り返すことにより、電位サイクル試験を行った。
そして、上記矩形波のサイクルを10000回行った後、再び発電試験を行った。この電位サイクル試験後の発電試験において、相対湿度100%下、電流密度0.2A/cm2で測定された電圧(mV)を「EOL(End Of Life)(0.2A/cm2)(100%RH)」として得た。
[起動停止試験]
また、金属担持触媒の性能の他の側面を評価するため、当該金属担持触媒を含む電極を有する燃料電池の起動停止試験を行った。すなわち、起動停止試験前後の電圧の変化により、金属担持触媒の耐久性、特に耐腐食性(腐食に対する耐性)を評価した。具体的に、上述の発電試験及び電位サイクル試験と同様にして作製した正極触媒層と負極触媒層との間に、固体高分子電解質膜(Dupont社製、“Nafion(登録商標)211”)を配置して、これらを150℃、1MPaの条件で3分間圧着することにより、MEAを作製した。このMEAに一対のガスケットを貼り付け、さらに一対のセパレーターで挟み、起動停止試験用の燃料電池単セルを作製した。そして、この単セルを燃料電池自動評価システム(株式会社東陽テクニカ製)に設置し、起動停止試験を行った。
すなわち、セル温度を80℃に設定して、単セルの両側に背圧35kPaで飽和加湿窒素を1.0L/分で供給し(相対湿度100%)、アノード側に飽和加湿水素を1.0L/分で供給し(相対湿度100%)、掃引速度500mV/秒にて、電位を1.0Vから1.5Vまで走査する三角波のサイクルを繰り返すことにより、起動停止試験を行った。
上記三角波のサイクルを1000回行った後、発電試験を行った。そして、この起動停止試験後の発電試験において相対湿度100%下、電流密度0.2A/cm2で測定された電圧(mV)を「起動停止後電圧(0.2A/cm2)」として得た。また同様に、起動停止試験後の発電試験において相対湿度100%下、電流密度1.0A/cm2で測定された電圧(mV)を「起動停止後電圧(1.0A/cm2)」として得た。
[結果]
図4A及び図4Bには、炭素担体の特性を評価した結果を示す。また、図4Cには、金属担持触媒の性能を評価した結果を示す。
図4Cに示すように、黒鉛化処理が施され酸化処理が施されていない例C6~C9の炭素担体を含む金属担持触媒のBOL(0.2A/cm2)(100%RH)は、当該黒鉛化処理が施されていない例C5のそれより顕著に小さかった。これに対し、黒鉛化処理の後に酸化処理が施された例1~4の炭素担体を含む金属担持触媒のBOL(0.2A/cm2)(100%RH)は、例C6~C9のそれより顕著に大きく、例C5のそれと同等以上であった。中でも例2及び3の炭素担体を含む金属担持触媒のBOL(0.2A/cm2)(100%RH)は、特に大きかった。
例C6~C9のBOL(0.2A/cm2)(40%RH)は、例C5のそれより顕著に小さかった。これに対し、例1~4のBOL(0.2A/cm2)(40%RH)は、例C6~C9のそれより顕著に大きく、例C5のそれと同等以上であった。中でも例1~3のBOL(0.2A/cm2)(40%RH)は、例C5のそれより顕著に大きく、例1のそれは特に大きかった。
例C6~C9の、湿度が100%RHから40%RHに低下することによる電圧低下量(mV)は、例C5のそれと同等以上であり、特に例C8及びC9のそれは、顕著に大きかった。これに対し、例1~4の電圧低下量(mV)は、例C5のそれより小さく、それぞれ例C6~C9のそれより顕著に小さかった。中でも例1及び2の電圧低下量(mV)は、例C5のそれより顕著に小さく、例1のそれは特に小さかった。
例C6~C9のBOL(1.0A/cm2)(100%RH)は、例C5のそれより顕著に小さかった。これに対し、例1~4のBOL(1.0A/cm2)(100%RH)は、例C5のそれと同等以上であり、例C6~C9のそれより顕著に大きかった。中でも例1~3のBOL(1.0A/cm2)(100%RH)は、例C5のそれより顕著に大きく、例1のそれは特に大きかった。
例C6及びC7のEOL(0.2A/cm2)(100%RH)は、例C5のそれより顕著に大きかったが、例C8及びC9のそれは、例C5のそれより顕著に小さかった。これに対し、例1~4のEOL(0.2A/cm2)(100%RH)は、例C5のそれより顕著に大きかった。また例3及び4のEOL(0.2A/cm2)(100%RH)は、それぞれ例C8及びC9のそれより顕著に大きかった。
例C6~C9の起動停止後電圧(0.2A/cm2)は、例C5のそれより顕著に大きかった。例1~4の起動停止後電圧(0.2A/cm2)は、例C5のそれより顕著に大きく、それぞれ例C6~C9のそれよりも大きかった。中でも例2~4の起動停止後電圧(0.2A/cm2)は、それぞれ例C7~C9のそれより顕著に大きく、例4のそれは特に大きかった。
例C6~C9の起動停止後電圧(1.0A/cm2)は、例C5のそれより大きかった。例1~4の起動停止後電圧(1.0A/cm2)は、例C5のそれより顕著に大きく、それぞれ例C6~C9のそれよりも顕著に大きかった。中でも例2~4の起動停止後電圧(1.0A/cm2)は顕著に大きく、例4のそれは特に大きかった。
以上より、例1の炭素担体を含む金属担持触媒は、湿度の低下に伴う触媒活性の低下を示す「電圧低下量」が小さく、BOL(0.2A/cm2)(40%RH)に反映される低湿度下での高い触媒活性を示した。また、例1の炭素担体を含む金属担持触媒は、特に大きなBOL(1.0A/cm2)(100%RH)も示した。
例2及び3の炭素担体を含む金属担持触媒は、BOL(0.2A/cm2)(100%RH)及びBOL(1.0A/cm2)(100%RH)に反映される初期の触媒活性と、起動停止後電圧(0.2A/cm2)及び起動停止後電圧(1.0A/cm2)に反映される炭素担体の耐腐食性と、をいずれも高いレベルで達成した。
例4の炭素担体を含む金属担持触媒は、起動停止後電圧(0.2A/cm2)及び起動停止後電圧(1.0A/cm2)に反映される炭素担体の耐腐食性を極めて高いレベルで発揮した。
図4Aに示すように、黒鉛化処理後に酸化処理が施された例1~4の炭素担体の真密度は、それぞれ当該酸化処理が施されていない例C6~C9の炭素担体のそれより顕著に大きかった。すなわち、炭素担体の真密度は、酸化処理によって顕著に増加した。中でも例1~3の真密度は、特に大きかった。一方、例C1、C3及びC4の真密度は小さかった。
例1~4の炭素担体の酸素含有量は、それぞれ例C6~C9のそれより顕著に大きかった。すなわち、炭素担体の酸素含有量は、酸化処理によって顕著に増加した。中でも例1の酸素含有量は、特に大きかった。一方、例C3及びC4の酸素含有量は小さかった。
例1~4の炭素担体のラマンG半値半幅は、例C1~C5のそれより小さかった。例1~4の炭素担体のラマンD半値半幅は、例C1、C2及びC5のそれより顕著に小さかった。中でも例3及び4のラマンD半値半幅は、特に小さかった。例1~4の炭素担体のラマン2D半値半幅は、例C1~C6のそれより小さかった。
例1~4の炭素担体のラマンD/G比は、それぞれ例C6~C9のそれより大きかった。すなわち、炭素担体のラマンD/G比は、酸化処理によって増加した。また、例C1~C5のラマンD/G比は小さかった。例1~4の炭素担体のラマン2D/G比は、例C1、C2及びC5のそれより大きかった。中でも例3及び4のラマン2D/G比は、特に大きかった。
図4Bに示すように、例1~4の炭素担体のBET比表面積は、それぞれ例C6~C9のそれより大きかった。すなわち、炭素担体のBET比表面積は、酸化処理によって増加した。中でも例1のBET比表面積は、特に大きかった。
例1~4の炭素担体の細孔容積(5-70nm)は、例C1~C4のそれより顕著に小さく、例C5~C9のそれと同程度であった。一方、例1~4の炭素担体の細孔容積(5nm未満)は、例C1~C4のそれより顕著に大きかった。また、例1~4の細孔容積(5nm未満)は、それぞれ例C6~C9のそれより顕著に大きかった。すなわち、炭素担体の細孔容積(5nm未満)は、酸化処理によって顕著に増加した。
例1~4の炭素担体の細孔容積比(5/(5-70))は、例C1~C4のそれより顕著に大きかった。また、例1、3及び4の細孔容積比(5/(5-70))は、それぞれ例C6、C8及びC9のそれより顕著に大きかった。中でも例1の細孔容積比(5/(5-70))は、特に大きかった。
例1~4の炭素担体の細孔モード径は、例C1~C4のそれより顕著に小さかった。また、例1~3の細孔モード径は、例C5~C9のそれと同程度であった。一方、例4の細孔モード径は、例C5~C9のそれより大きかった。
例1~4の炭素担体のヒステリシス(0.5P/P0)及びヒステリシス(0.8P/P0)は、例C1~C4のそれより顕著に小さかった。また、例1~4のヒステリシス(0.5P/P0)は、例C6~C9のそれより大きかった。一方、例1~4のヒステリシス(0.8P/P0)は、例C6~C9のそれと同程度であった。