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JP7826566B2 - 多孔質球状シリカ及びその製造方法 - Google Patents
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JP7826566B2 - 多孔質球状シリカ及びその製造方法 - Google Patents

多孔質球状シリカ及びその製造方法

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Description

本発明は、新規な多孔質球状シリカとその製造方法に関する。
多孔質シリカは種々に検討され、多様な物性を有する多孔質シリカが提案されている。多孔質シリカは、その特性を活かして、触媒や香料の担体、吸着材、化粧品添加剤、工業製品等の研磨剤、液体クロマトグラフィー用カラム充填剤等、幅広い用途に用いられている。特に触媒担体、液体クロマトグラフィー用カラム充填剤の用途では、細孔径分布がシャープな多孔質シリカが有用である。上記特性を持つ多孔質シリカは、例えば、アルコキシシランを原料として湿式合成する方法(特許文献1、2)や、球状シリカ微粒子の分散液を噴霧乾燥する方法(特許文献3)によって製造される。上記多孔質シリカを、カラム充填剤や触媒担体として使用する場合には、分離する目的成分や担持される触媒物質に応じて、最頻細孔径が調節されることで、カラムの良好な分離能や触媒物質の選択的な担持が可能となる。特に最頻細孔径が大きい多孔質シリカは、大きな分離成分や触媒担体を扱う際に好適であり、さらに高い細孔容積を有するものであれば、カラムの分離効率や触媒の担持量が向上する。大きな最頻細孔径と高い細孔容積を持つ多孔質シリカは、例えば、フュームドシリカ分散液を液中でゲル化させる方法(特許文献4)によって製造される。
特開2007-76941号公報 特開2008-120633号公報 特開2010-138021号公報 国際公開第2022/154014号パンフレット
しかしながら、シャープな細孔径分布を有しながら、大きな最頻細孔径と高い細孔容積を両立することは困難である。特許文献1~3に記載の多孔質球状シリカは、いずれもシャープな細孔径分布を有するが、特許文献1、2に記載の多孔質球状シリカは最頻細孔径が小さく、特許文献3に記載の多孔質球状シリカは細孔容積が低いといった課題がある。特許文献4に記載の多孔質球状シリカは、最頻細孔径が大きく、かつ高い細孔容積を有するが、細孔径分布がブロードであり、カラム充填剤や触媒担体の用途には不適である。
したがって、本発明の目的は、大きな最頻細孔径と高い細孔容積を有し、かつ、細孔径分布がシャープである多孔質球状シリカとその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねてきた。その結果、多孔質球状シリカの製造工程において、粒度分布が所定の範囲となるように分散したフュームドシリカ分散液を、エマルション法により球状に成形した後に、ゲル化させることにより、大きな最頻細孔径と高い細孔容積を有し、かつ、細孔径分布がシャープである多孔質球状シリカを製造することができることを見出し、以下の本発明を完成するに至った。
[1] 水銀圧入法による細孔容積が0.5ml/g以上、8ml/g以下であり、
水銀圧入法による最頻細孔径が5nm以上、50nm以下であり、
前記最頻細孔径の±5nmの範囲に存在する細孔容積の全細孔容積に対する割合が40%以上であることを特徴とする多孔質球状シリカ。
[2] 前記多孔質球状シリカの、水銀圧入法による最頻細孔径の±5nmの範囲に存在する細孔容積が0.5ml/g以上であることを特徴とする[1]に記載の多孔質球状シリカ。
[3] 前記多孔質球状シリカのコールターカウンター法で測定される体積基準の累積50%径(D50)が2~200μmの範囲にあり、
同じく累積10%径(D10)と、累積90%径(D90)との比(D10/D90)が0.3以上であることを特徴とする[1]または[2]に記載の多孔質球状シリカ。
[4] 前記多孔質球状シリカのBET法による比表面積が100m/g以上、400m/g以下であることを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載の多孔質球状シリカ。
[5] アルカリ金属含有率が50ppm以下であることを特徴とする[1]~[4]のいずれかに記載の多孔質球状シリカ。
[6] [1]~[5]のいずれかに記載の多孔質球状シリカを含む触媒担体。
[7] [1]~[5]のいずれかに記載の多孔質球状シリカを含むカラム充填剤。
[8] [1]~[5]のいずれかに記載の多孔質球状シリカを含む化粧品。
[9] [1]~[5]のいずれかに記載の多孔質球状シリカを含む研磨剤。
[10] [1]~[5]のいずれかに記載の多孔質球状シリカを含む樹脂組成物。
[11] [1]~[5]のいずれかに記載の多孔質球状シリカを含む吸着材。
[12] フュームドシリカ分散液の粒度分布におけるD50値が0.15μm以下、かつ、D90値が0.2μm以下となるようにフュームドシリカ分散液を調製する工程、
フュームドシリカが分散した水相と、非水溶性溶媒を主成分とする有機相からなるW/Oエマルションを調製する工程、
エマルションを加熱して水相をゲル化させ、ゲル化体分散液を得る工程、及び、
生じたゲル化体を液中から回収し乾燥する工程、
を含んでなる[1]~[5]のいずれかに記載の多孔質球状シリカの製造方法。
本発明の多孔質球状シリカは、シャープな細孔径分布を有するため、カラム充填剤として使用した場合には、特定の目的成分の分離を効率よく行うことができる。また、高い細孔容積を有するため、触媒担体として使用した場合には、触媒の担持量を多くすることができ、化粧品添加剤の用途で使用した場合には、高い吸油性能を付与することができる。加えて、高い最頻細孔径が示すように、大きな細孔径を有するため、特に大きな分離成分を対象とするカラム充填剤や大きな触媒成分の担持を目的とする担体として好適に用いることができる。加えて、工業製品等の研磨剤として用いる際には、細孔内部へ樹脂が浸入しやすくなり、研磨パット上の樹脂への固定が容易になる。
本発明の製造方法は、フュームドシリカ分散液の粒度分布が所定の範囲となるように調整した後、当該分散液をゲル化させることで多孔質球状シリカを合成している。上記のようにゲル化させる工程を経ることで、調整した粒度分布を細孔骨格に反映させることができ、細孔径分布のシャープな多孔質球状シリカを得ることが容易になる。加えて、原料としてフュームドシリカを使用することで、フュームドシリカ自体が構造を有することにより、乾燥収縮による細孔容積の減少が抑制され、表面処理を伴わずとも大きな最頻細孔径と高い細孔容積を有する多孔質球状シリカを得ることが可能となる。
以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明がこれらの形態に限定されるものではない。
<多孔質球状シリカ>
(細孔容積)
本発明の多孔質球状シリカは、水銀圧入法により測定される細孔容積が0.5ml/g以上、8ml/g以下である。細孔容積が8ml/gを超えて大きなものを得ることは困難である。6ml/g以下であれば、より製造しやすく、4ml/以下であればさらに製造しやすく、2.5ml/g以下であれば、特に製造しやすい。特に本発明の多孔質球状シリカを触媒担体として用いる場合、高い担持量を有するためには、細孔容積は0.6ml/g以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.7ml/g以上であり、1.0ml/g以上であることはより好ましい。細孔容積が上記の範囲にあれば、本発明の多孔質球状シリカを化粧品添加剤として用いる場合にも、高い吸油量を有することができる。
(最頻細孔径)
また、水銀圧入法により測定される最頻細孔径は、5nm以上であり、好ましくは10nm以上であり、15nm以上であることはより好ましい。また上限としては50nm以下であり、30nm以下であることが好ましい。最頻細孔径が5nm未満であると、カラム充填剤として使用した際に、分離に利用されない細孔が多くなり、分離効率が低下する。また、最頻細孔径が50nmを超えると、粒子強度の低下が生じ、カラム充填剤への適用が困難となる。最頻細孔径が上記の範囲であれば、カラム充填剤として用いる場合に良好な分離能を示し、ハンドリング性も良好となる。最頻細孔径が上記範囲である多孔質球状シリカは、工業製品等の研磨剤として用いる場合に、細孔内部へ樹脂が浸入しやすく、研磨パット上の樹脂への固定が容易となる。
(最頻細孔径の±5nmの範囲に存在する細孔容積の全細孔容積に対する割合)
本発明の多孔質球状シリカは、前記最頻細孔径の±5nmの範囲に存在する細孔容積の全細孔容積に対する割合(以下、単に「細孔容積率」という場合がある。)が40%以上である。細孔容積率が上記の範囲未満であると、触媒物質の担持量が低下したり、カラム充填剤の分離能が悪化する要因となる。細孔容積率はより好ましくは45%以上であり、50%以上であることはさらに好ましい。上記範囲の細孔容積率を有する多孔質球状シリカは、その細孔径分布がシャープであり、細孔径が均一に整っているため、触媒担体として使用した場合には、触媒物質の大きさに応じた最頻細孔径の多孔質球状シリカを選択することで、触媒物質の効率の良い担持が可能であり、カラム充填剤として使用した場合には、特定の物質を精度良く分離できるため、良好な分離能を示す。なお、細孔容積率の好適な範囲に上限はないが、原料として使用するフュームドシリカ分散液のシリカ濃度によってその上限が決まり、90%を超えるものを得ることは技術的に困難である。
(円形度)
本発明の多孔質球状シリカは、その形状が球状である。ここで、球状とは、走査電子顕微鏡(SEM)を用いた画像解析法により求めた平均円形度が0.8以上であることを意味する。「画像解析法により求めた平均円形度」とは、2000個以上の多孔質球状シリカについて、SEMにより1000倍の倍率で観察したSEM像を画像解析して得られる円形度の相加平均値である。ここで「円形度」とは、下記式(1)により求められる値である。
C=4πS/L (1)
上記式(1)において、Cは円形度、Sは当該多孔質球状シリカが画像中に占める面積(投影面積)、Lは画像中における当該多孔質球状シリカの外周部の長さ(周囲長)を表す。平均円形度は特に好ましくは0.85以上である。
本発明の多孔質球状シリカは、上記性質を有するため、化粧品添加剤として使用した場合に、滑らかな感触性を付与することができる。
(最頻細孔径の±5nmの範囲に存在する細孔容積)
前記最頻細孔径の±5nmの範囲に存在する細孔容積は0.5ml/g以上であることが好ましい。より好ましくは、0.6ml/g以上であり、さらに好ましくは0.65ml/g以上である。最頻細孔径の±5nmの範囲に存在する細孔容積が上記の範囲にあることは、特定の細孔径を有する細孔の細孔容積が高いことを意味しており、特に触媒担体として用いる場合、触媒物質の大きさに応じた最頻細孔径を有する多孔質球状シリカを選択することで、触媒物質を効率よく担持させることが可能となる。なお、最頻細孔径の±5nmの範囲に存在する細孔容積の好適な範囲に上限はないが、0.9ml/gを超えるものを得ることは技術的に困難である。
当該細孔径及び細孔容積は、120℃での4時間の恒温乾燥による前処理後、水銀圧入法によって測定した値である。細孔径はWashburnの式(2)を用いて算出した。
PD=―4σcosθ (2)
ここで、Pは圧力[psia/絶対圧]、σは水銀の表面張力、Dは細孔径[μm]、θは水銀との接触角である。水銀の表面張力は480dynes/cm、水銀との接触角は140degreesとした。測定は0.0036~200μmの細孔径を対象に実施し、100nmよりも大きい細孔径は、粒子間の空隙と見なして、100nm以下の細孔径について細孔容積を算出した。また、同様の方法で得られた100nm以下の細孔径に対する細孔容積の積分値を微分し、メインピークとなった細孔径を最頻細孔径とした。
(粒度分布)
本発明の多孔質球状シリカは、コールターカウンター法で測定される粒度分布における体積基準の累積50%径(D50)が、2~200μmの範囲にあることが好ましい。また、同じく累積10%径(D10)と、累積90%径(D90)との比(D10/D90)は0.3以上であることが好ましい。多孔質球状シリカの粒度分布が上記の範囲であれば、分析カラムの充填剤として使用した際に、カラムの閉塞が生じにくく、充填が容易になる。D50は好ましくは2~100μmであり、特に好ましくは5~50μmであり、さらに好ましくは5~20μmである。D10/D90は、好ましくは0.4以上であり、更に好ましくは、0.5以上である。なお、D10/D90は1.0を超えることは有り得ず、一般には0.6以下である。
(BET法による比表面積)
本発明の多孔質球状シリカは、BET法による比表面積が100m/g以上、400m/g以下であることが好ましい。比表面積は好ましくは150m/g以上であり、200m/g以上、350m/g以下の範囲にあることは特に好ましい。本発明の製造方法によって得られる多孔質球状シリカの比表面積は、原料として使用したフュームドシリカの比表面積から数10m/gを差し引いた値となる。得られる多孔質球状シリカの比表面積が上記範囲となるように、原料として使用するフュームドシリカを選定すると、ゲル化が起こりやすく、球状への成形が容易になる。一般にフュームドシリカの比表面積は400m/g以下であるため、比表面積が400m/gを超える多孔質球状シリカを得ることは困難である。ここで比表面積は、窒素吸着BET多点法による値である。比表面積が上記範囲であれば、触媒や香料の担体、吸着材として用いた場合に、反応物との接触面積を増やすことができ、反応効率の向上に寄与する。
(アルカリ金属の含有率)
本発明の多孔質球状シリカは、アルカリ金属の含有率が50ppm以下である(質量基準)。アルカリ金属含有率は30ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることはより好ましい。アルカリ金属の含有率が上記範囲であれば、不純物の含有による触媒活性の低下を生じず、触媒担体として好適に用いることができ、また、特に半導体等のアルカリ金属の含有を嫌うものを対象とする研磨剤として極めて有用である。
本発明の多孔質球状シリカは、親水性であってもよいし、疎水性であってもよい。後述する製造方法で製造される本発明の多孔質球状シリカは親水性である。疎水性のものは、当該製造方法によって親水性の多孔質球状シリカを得た後にシリカ表面処理の方法を適宜適用したりして有ることができる。ここで「親水性」であるとは、有機溶媒を含まない水に分散可能なことをいう。
本発明の多孔質球状シリカは、上記のような特性を持つため、分析カラムの充填剤、触媒や香料の担体、二酸化炭素等の吸着材、化粧品添加剤、工業用製品等の研磨剤、各種樹脂組成物用添加剤として用いることができる。
<多孔質球状シリカの製造方法>
本発明の多孔質球状シリカを製造する方法は、特に限定されないが、前記高い細孔容積と大きな最頻細孔径は、フュームドシリカ分散液を原料として使用することにより容易に実現される。一般に、フュームドシリカは微粒子状シリカ(一次粒子)が凝集した構造を有している。そのため、フュームドシリカ分散液を多孔質球状シリカの原料として使用し、該分散液中のフュームドシリカをゲル化させて、ネットワークを形成させることで、乾燥収縮による細孔容積の減少が抑制され、高い細孔容積と大きな最頻細孔径を有する多孔質球状シリカを得ることが可能となる。
加えて、フュームドシリカ分散液の粒度分布が所定の範囲となるように分散した後、ゲル化させることで、該分散液の分散状態を多孔質球状シリカの骨格構造として反映させることが容易となり、シャープな細孔径分布を有する多孔質球状シリカを得ることができる。
より具体的には、粒度分布が所定の範囲となるようにフュームドシリカ分散液を調製し(分散液調製工程)、上記フュームドシリカが分散した水相と、非水溶性溶媒を主成分とする有機相からなるW/Oエマルションを調製し(W/Oエマルション調製工程)、次いで、エマルションを加熱して水相をゲル化させ、多孔質球状シリカ分散液を得た後に(ゲル化工程)、生じた多孔質球状シリカを液中から回収し乾燥する(ゲル化体回収工程)ことにより多孔質球状シリカを製造する方法が挙げられる。以下、各工程について詳細に説明する。
(分散液調製工程)
分散液調製工程は、フュームドシリカを水に分散させて、分散液を調製する工程である。
水にフュームドシリカを分散する方法としては、水にフュームドシリカを予備的に分散した分散液を調製し、破砕機等によって微分散する方法が挙げられる。具体的に微分散するために使用できる破砕機としては、ボールミル、ビーズミル、振動ミル、ピンミル、アトマイザー、ナノマイザー(商品名)、アルティマイザー、コロイドミル、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザーが挙げられる。
微分散時の破砕機等の運転条件は、フュームドシリカ分散液の所定の分散状態となるように装置に応じて調整されることが好ましい。フュームドシリカ分散液の分散状態は、レーザー回折散乱法で測定した粒度分布のD50値とD90値を評価することで確認できる。D50値は、好ましくは0.15μm以下であり、より好ましくは0.13μm以下であり、0.12μm以下であることは特に好ましい。D90値は、好ましくは0.20μm以下であり、より好ましくは0.18μm以下であり、0.17μm以下であることが特に好ましい。なお、D50とD90のいずれもが上記範囲を満たしていることが好ましい。
D50値とD90値が上記の範囲であれば、細孔径分布がシャープな多孔質球状シリカを得ることができる。D50値とD90値の下限値に制限はないが、D50値が0.05μm以下であるフュームドシリカ分散液を得ることは困難である。
該分散液の粒度分布測定には、LS 13 320(ベックマン・コールター株式会社製)を用いた。測定時の溶媒として用いた水の屈折率を1.333、粒子の屈折率を1.46とし、得られた粒度分布から、体積基準の累計50%径、及び累計90%径を評価した。
フュームドシリカは水に分散可能であり、かつ、加熱、pHの調整等によりゲル化可能なものが使用できる。このような性状は、シリカ表面に多数のシラノール基を有することにより達せられるから、いわゆる表面処理をしていないフュームドシリカであれば、殆どのものが使用できる。またゲル化の進行の容易さから、フュームドシリカの比表面積としては100m/g以上、特に200m/g以上のものを用いることが好ましい。250m/g以上であることはさらに好ましい。比表面積が大きいほどゲル化の進行速度が速く、該フュームドシリカが分散した液滴(W相)をゲル化させることが容易になる。入手の容易さから、上限としては400m/gのものを用いることが好ましい。
ここで説明する方法で得られる多孔質球状シリカの比表面積は、原料として使用したフュームドシリカの比表面積から数10m/gを差し引いた値となる。したがって、目的とする多孔質球状シリカの比表面積に応じて、原料として使用するフュームドシリカを適宜選択することで、製造条件を変更することなく、多孔質球状シリカの比表面積を任意に制御することができる。なお、本発明に用いるヒュームドシリカは、異なる比表面積のものを混合して用いることも可能である 。
上記のようなフュームドシリカは商業的に販売されており、例えば、トクヤマ社のレオロシールの各種親水性グレード、日本アエロジル社のアエロジルの各種親水性グレード、旭化成ワッカーシリコーン社の乾式シリカHDKの各種親水性グレードなどが使用できる。
一般に、フュームドシリカは高純度で、アルカリ金属などの不純物をほとんど含まないため、製造した多孔質球状シリカのアルカリ金属含有量も極めて少なくできる。
この工程の溶媒としては水が必須であるが、エマルションの形成や後のゲル化を阻害しない範囲で他の溶媒が含まれていてもかまわない。また、後述するゲル化を促進するために潜在性塩基を用いる場合は、フュームドシリカを分散させる前に、水に溶解させておくとよい。
フュームドシリカ分散液におけるシリカ濃度は、10質量%~30質量%の範囲にあることが好ましい。15質量%以上であることはより好ましく、20質量%以上であることは特に好ましい。フュームドシリカ分散液のシリカ濃度が高い程、ゲル化の進行速度は速くなるが、シリカ濃度が高すぎる場合には、流動性を失ってしまってフュームドシリカ分散液とすることが困難となる。
フュームドシリカ分散液のゲル化は加熱によって加速される。上記分散液調製工程の段階でフュームドシリカ分散液のゲル化が進行すると、次のW/Oエマルション調製工程でW相が球状となり難く、極端な場合はエマルションの成形そのものが困難になる。従って、分散液調製工程ではフュームドシリカ分散液の液温は室温(20℃)程度以下に保つことが好ましい。フュームドシリカの比表面積や濃度が高く、ゲル化が進行しやすい場合には、室温よりも低い温度(好ましくは15℃以下、より好ましくは12℃以下)に冷却することも有効である。
(W/Oエマルション調製工程)
W/Oエマルション調製工程は、分散液調製工程によって得たフュームドシリカ分散液を非水溶性溶媒中に分散させてW/Oエマルションを形成する工程である。このようなW/Oエマルションを形成することにより、分散質であるフュームドシリカ分散液は表面張力等により球状になるので、該球状形状で非水溶性溶媒中に分散しているフュームドシリカ分散液をゲル化させることにより、球状のゲル化体を得ることができる。
本製造方法において使用する非水溶性溶媒としては、フュームドシリカ分散液とエマルションを形成できる程度の疎水性を有した溶媒であればよい。そのような溶媒としては、例えば、炭化水素類やハロゲン化炭化水素類等の有機溶媒を使用することが可能である。より具体的にはヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、流動パラフィン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロプロパン等の非水溶性溶媒が挙げられる。これらの中でも、適度な粘度を有するヘキサン、ヘプタン、デカンを好適に用いることができる。なお、必要に応じて、複数の溶媒を混合して用いてもよい。また、フュームドシリカ分散液とエマルションを形成し得るものであれば、低級アルコール類などの親水性溶媒を併用する(混合溶媒として使用する)ことも可能である。
非水溶性溶媒の使用量は、W/Oエマルションを形成できる範囲であれば特に限定されないが、一般的にはフュームドシリカ分散液1体積部に対して非水溶性溶媒が1~10体積部程度となる量が使用される。
本製造方法において、上記W/Oエマルションを形成する際には、界面活性剤を添加することが好ましい。使用する界面活性剤としては、W/Oエマルション形成に用いられる公知の界面活性剤が制限なく使用でき、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、及びノニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。これらの中でも、W/Oエマルションを形成しやすく、アルカリ金属の混入が起こりにくい点で、ノニオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、親水性及び疎水性の程度を示す値であるHLB値が、3以上5以下のものを特に好適に用いることができる。なおここで「HLB値」とは、グリフィン法によるHLB値を意味する。好適に用いることのできる界面活性剤の具体的としては、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノセスキオレート等が挙げられる。
界面活性剤の使用量は、W/Oエマルションを形成させる際の一般的な量と変わるところがない。具体的には、フュームドシリカ分散液100mlに対して0.05g以上10g以下の範囲を好適に採用することができる。
W/Oエマルションを形成する際に、フュームドシリカ分散液を非水溶性溶媒中に分散させる方法としては、W/Oエマルションの公知の形成方法を採用することができる。工業的な製造の容易性などの観点からは、機械乳化によるエマルション形成が好ましく、具体的には、ミキサー、ホモジナイザー等を使用する方法を例示できる。好適には、ホモジナイザーを用いることができる。この乳化工程により水相の液滴の粒度分布がシャープなエマルションが得られるため、最終的に得られる球状多孔質シリカの粒度分布もシャープなものとなる。
(ゲル化工程)
ゲル化工程は、W/Oエマルション調製工程に引き続き、フュームドシリカ分散液の液滴が非水溶性溶媒中に分散している状態において、フュームドシリカ分散液をゲル化させる工程である。該ゲル化は公知の方法で行うことができる。例えば高温に加熱する手法や、フュームドシリカ分散液のpHを弱酸性ないし塩基性に調整する手法により容易にゲル化を進行させることができる。上記手法は、その反応を主体的に制御できる点で好ましい。なお前述の方法で調製し、pH調整を行っていないフュームドシリカ分散液のpHは、一般的に3.0~4.5の範囲にある。
加熱を行う場合には、用いた各溶媒の沸点を超えないようにすべきであり、ゲル化温度の下限としては、好ましくは50℃以上であり、より好ましくは60℃以上である。上限としては好ましくは100℃以下であり、より好ましくは90℃以下である。
上記pH調整は、あらかじめフュームドシリカ分散液に尿素などの加熱によって熱分解し、塩基性を示すような物質(「潜在性塩基」と称す)を混合しておき、ゲル化時に加熱することでpHを上昇させる方法や、ミキサー等による攪拌を行いW/Oエマルション形成状態を維持しながら、塩基を該エマルション中へ添加する方法により容易に行うことができる。
当該塩基の具体例としては、アンモニア;水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等の水酸化テトラアルキルアンモニウム類;トリメチルアミン等のアミン類;水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリ類;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩類;及びアルカリ金属ケイ酸塩、等が挙げられる。なお、上記撹拌の強度は、W/Oエマルションと塩基との混合が起きる程度に強ければよい。
上記pH調整の方法のなかでも、金属元素の混入がない点で、尿素等の潜在性塩基の熱分解による方法、あるいは塩基としてアンモニア、水酸化テトラアルキルアンモニウム類、又はアミン類を用いる方法が好ましい。pH調整にアンモニアを使用する場合には、アンモニアをガスとして吹き込んでもよいし、アンモニア水として添加してもよい。加熱により全体にむら無くpH調整が可能であるという点で尿素を用いたpH調整を採用することが特に好ましい。
pHを調整してゲル化を促進させる際のpHとしては、フュームドシリカ分散液のpH値が4.5~8.0程度に上昇するように添加量を調整することが特に好ましい。潜在性塩基を用いる場合も同様であるが、例えば尿素を用いる場合の具体的な添加量を示すと、フュームドシリカ分散液に対して1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることは特に好ましい。上限としては、7質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることはより好ましい。
上記の加熱やpH調整を行う際には、ゲル化体同士の凝集を防ぐために攪拌することが好ましい。攪拌は公知の方法が一般に使用されるが、具体的に例を挙げると、攪拌翼のついたミキサーを使用することができる。
またゲル化後は分散質が液体状から固体状へと変化するため、系はW/Oエマルションではなく、固体(ゲル化体)が疎水性溶媒中に分散した分散液(サスペンション)となる。
(ゲル化体回収工程)
本製造方法においては、上記のようにして生じたゲル化体を液中から回収する。ゲル化体を回収する方法としては、濾過や遠心分離等、一般的な固液分離の方法が使用できるが、当該回収に先立ち、WO相分離を行っても良い。WO相分離とは、前記ゲル化体分散液をO相とW相の2層に分離するものであり、一般的には解乳とも呼ばれている操作である。ここで前記ゲル化工程により得られたゲル化体は分離したW相側に存在している。これをO相と分離することにより、ろ過等による固液分離でのゲル化体の回収が容易となる。
前記WO相分離方法としては、解乳の方法として公知の方法を適宜選択して実施することができるが、好ましくは、解乳において通常使用される一定量の水溶性有機溶媒をゲル化体分散液に加えて加熱し、O相とW相に分離することにより行う。この工程を経ると、一般に、上層がO相(主に有機溶媒を含む層)、下層がW相(水性有機溶媒とゲル化体を含む水層)となる。
上記の水溶性有機溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。このうち、イソプロピルアルコールを特に好適に用いることができる。
上記の水溶性有機溶媒の添加量としては、エマルション形成時に用いたHLBが3以上5以下の界面活性剤の種類および量によって調整することが好ましい。例えば、界面活性剤としてソルビタンモノオレートを用いた場合には、非水溶性有機溶媒の質量に対して質量で1/6~1/2倍程度(水溶性有機溶媒/非水溶性有機溶媒)の水溶性有機溶媒を加え、必要に応じて攪拌後、静置することにより、好適に解乳を行うことができる。
WO相分離においては、界面活性剤はO相側に移行(抽出)されるため、O相を除去することにより、界面活性剤による不純物が混合していない多孔質球状シリカを得ることができる。
前記加熱の温度範囲は50℃以上、好ましくは50~80℃程度、より好ましくは60~70℃程度である。
上記の如く水溶性有機溶媒をゲル化体分散液に添加した後には、ゲル化体同士の凝集を防ぐために攪拌することが好ましい。攪拌は公知の方法が一般に使用されるが、具体的に例を挙げると、攪拌翼のついたミキサーを使用することができる。混合の程度は特に制限されないが、攪拌によって液面が回転する程度であればよく、ミキサーによる攪拌を例として挙げると、0.1~3.0kW/m、好ましくは0.5~1.5kW/mである。また、攪拌時間としては0.5~24時間、好ましくは0.5~1時間程度が適当である。
上記WO相分離の後に、ゲル化体を含んだ前記W相の回収を行う。具体的にはデカンテーション等により、O相(上層)を分離除去することができる。
回収したW相に含まれるゲル化体を固液分離して回収し、乾燥することで、本発明の多孔質球状シリカを得ることができる。ゲル化体の回収方法としては、公知の方法が使用でき、具体的な例を挙げると、吸引濾過や遠心分離がある。乾燥方法としては、一般的な方法が使用できるが、粒子同士の凝集を抑制するために、流動的な乾燥方法を採用することが好ましい。具体的には、振動乾燥、気流乾燥、噴霧乾燥等が挙げられる。また、乾燥前に、表面張力の低い有機溶媒への溶媒置換や、固液分離後のケークをこれらの有機溶媒でリンスすることによっても、粒子同士の凝集を抑制することができる。上記有機溶媒としては、細孔内部に残存する水との置換が容易になる点から、水溶性であることが好ましい。具体的な水溶性有機溶媒の例としては、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等がある。
溶媒置換やリンスにより、細孔内部の乾燥収縮も調節できるため、適度な乾燥収縮により、細孔容積を制御することが可能である。溶媒置換を行う場合には、上記水溶性有機溶媒の濃度を低下させ、水の割合を増やすことで、乾燥収縮が起きやすくなり、細孔容積は小さくなる。逆に、水溶性有機溶媒の濃度を上昇させると、乾燥収縮が抑制され、細孔容積は高くなる方向である。リンスを行う場合には、水溶性有機溶媒の使用量を減らすことによって、細孔容積は小さくなる。
乾燥する際の温度は、フュームドシリカ分散液の調製から乾燥までに使用した各種溶媒のうち、最も沸点の高い溶媒の沸点以上であることが好ましく、圧力は常圧ないし減圧下で行うことが好ましい。なお、上記「沸点以上」とは、乾燥の際の圧力下での溶媒の沸点以上を意味する。
本発明の多孔質球状シリカは乾燥後、さらに焼成しても良い。焼成により、有機物の除去や圧縮強度の調整を行うことができる。有機物の除去を目的とする場合には、焼成温度は本発明の製造方法の中で使用した各有機物の沸点以上であればよい。また、圧縮強度の調整を目的とする場合には、目標とする値が得られるように、焼成条件を調整すればよく、一般に焼成時間が長く、焼成温度が高い程、圧縮強度は高くなる方向である。
焼成の方法としては、公知の方法が使用でき、一般的には、乾燥した多孔質球状シリカをるつぼや石英バット等に入れ、電気炉で加熱する方法が挙げられる。
焼成時の雰囲気は、特に制限されず、アルゴンや窒素等の不活性ガス下、または大気雰囲気下で行うことができる。
焼成時の昇温速度は、電気炉等の加熱装置の温度上昇が追従可能な範囲であればよい。昇温速度が遅くなる程、焼成の処理効率が低下するため、極端に遅くならないことが好ましい。一般的な電気炉を使用した場合には、2~10℃/minでの昇温が好適である。
乾燥した多孔質球状シリカ、または乾燥及び焼成した多孔質球状シリカは、さらに解砕しても良い。解砕は、一般的な粉砕機等により行うことができ、具体的には、ボールミル、ピンミル、振動ミル、ビーズミル、ジェットミル、マスコロイダー(商品名)等によって処理する方法が知られている。解砕条件は、使用する機器によって任意に調整されることが望ましく、粒子が破壊されず、凝集がほどける程度であればよい。
上記製造方法において、得られる多孔質球状シリカの粒径は、エマルション化工程で調製するW/Oエマルションにおけるフュームドシリカ分散液の液滴(W相)径にほぼ一致する。従って、目的とする径の範囲となるように分散条件を設定すればよい。W/Oエマルションにおける液滴径の制御方法は種々知られており、それら技術を適宜選択、適用すればよい。液滴の粒径の調整方法としては、公知の方法が使用できるが、具体的には、界面活性剤の添加量を調整する方法や乳化時に加えるせん断力を回転数や流量等によって調整する方法がある。界面活性剤の添加量による調整では、界面活性剤の使用量が多いと液滴は微細になりやすく、使用量が少ないと液滴は大きくなりやすい。またせん断力による調整では、加えるせん断力が大きい程、液滴は微細になりやすく、せん断力が小さい程、液滴は大きくなりやすい。
細孔容積は乾燥収縮によって制御することができる。乾燥収縮の制御方法は、公知の方法が使用でき、具体的には、乾燥前の水溶性溶媒の濃度を調整する方法が挙げられる。細孔容積は焼成条件によっても制御することができ、焼成温度が高く、焼成時間が長い程、細孔容積は小さくなる方向である。また、本発明の製造方法のように、原料としてフュームドシリカを使用することにより、フュームドシリカが凝集構造を有することに起因して、前記高い最頻細孔径となる。比表面積は原料として使用するフュームドシリカの比表面積を適宜選択することによって調整可能であるし、また、ゲル化時間によっても調整可能である。ゲル化時間が短い程、比表面積は高くなる方向である。比表面積は焼成条件によっても調整することができる。一般に焼成温度が高く、焼成時間が長い程、比表面積は低くなる方向である。
アルカリ金属含有率は、前記したようにアルカリ金属を実質的に含有しないフュームドシリカを原料として用い、その他の原料もアルカリ金属を実質的に含有しないものを用いて、当業者が十分に注意を払ってコンタミネーション(不純物の混入)を避けて製造を行えば、容易に低減できる。さらにアルカリ金属含有率の低減を目指す場合には、固液分離後、乾燥する前に水や有機溶媒等によってケークを洗浄してもよい。
以下に、本発明を具体的に説明するための実施例を示す。ただし本発明はこれらの実施例のみに制限されるものではない。
<評価方法>
製造した多孔質球状シリカに対して、以下の項目について評価を行った。
(コールターカウンターによる粒度分布、体積基準の累積径の測定)
40mlのイオン交換水に多孔質球状シリカを0.1g添加し、超音波洗浄機(BRANSON製 BRANSONIC1510J-DTH)を用いて、30分間分散させた。得られた分散液の粒度分布をベックマン・コールター株式会社社製Multisizer IIIを用いて測定した。測定にはアパチャー径が100μmのアパチャーを使用した。得られた粒度分布から、体積基準の累積50%径、累積10%径、および、累積90%径を評価した。
(BET比表面積)
BET比表面積の測定は、BELSORP-miniX(日本ベル株式会社製)により行った。測定対象のサンプルを、1kPa以下の真空下において、200℃の温度で3時間以上乾燥させ、液体窒素温度における窒素の吸着側のみの吸着等温線を取得し、BET法(Stephen Brunauer, P.H.Emmett and Edward Teller, J. Am. Chem. Soc. 60, 309 (1938))により解析して算出した。
(細孔容積及び細孔径分布)
細孔容積及び細孔径分布の測定は、前述の定義に従って、オートポアV9620(micromeritics社製)により行った。
(アルカリ金属含有率)
多孔質球状シリカ1gに硝酸10mlとフッ酸10mlを添加して溶解し、180℃で4時間加熱して蒸発乾固した。室温に冷却後、硝酸を2mlと超純水18mlを加え、20mlにメスアップして測定試料を得た。得られた測定試料のアルカリ金属含有量を誘導結合プラズマ発光分析装置(サーモサイエンティフィック製、ICAP650DUO)を使用して測定した。
(円形度)
2000個以上の多孔質球状シリカについて、SEM(日立ハイテクノロジーズ製S-5500、加速電圧3.0kV、二次電子検出)を用いて倍率1000倍で観察したSEM像を画像解析し、前述の定義に従って平均円形度を算出した。
<実施例1>
(分散液調製工程)
尿素6.65gを溶解させたイオン交換水200mlに、レオロシールQS-30(株式会社トクヤマ製)をホモジナイザー(IKA製、T25BS1)で攪拌しながら66g添加し、フュームドシリカを予備分散した。次いで、超音波ホモジナイザー(BRANSON製、Sonifier SFX250)を使用して、出力60%で2分間の分散を2回行うことで微分散を行い、フュームドシリカ分散液を得た。得られた分散液のD50値は0.12μm、D90値は0.16μmであった。なお、分散液調製工程は、10℃に冷却したチラー中で行った。得られたフュームドシリカ分散液の粒度分布測定には、LS 13 320(ベックマン・コールター株式会社製)を用いた。測定時の溶媒として用いた水の屈折率を1.333、粒子の屈折率を1.46とし、得られた粒度分布から、体積基準の累計50%径(D50値)、及び累計90%径(D90値)を評価した。
(W/Oエマルション調製工程)
上記方法で調製したフュームドシリカ分散液から65.5gを分取し、ソルビタンモノオレート(花王株式会社製、レオドールSP-010V)0.75gを分散した129gのデカンを添加した後、ホモジナイザーを用いて、8600回転/分の条件で3分間攪拌することにより、W/Oエマルションを得た。
(ゲル化工程)
得られたW/Oエマルションを翼径60mm、翼幅20mm、斜角45度の4枚パドル翼を用い、300rpmの条件で撹拌しながら、80℃のウォーターバスで3時間保持することにより、ゲル化を行った。
(ゲル化体回収工程)
イソプロピルアルコール77gと水52gを加えて70℃で30分間保持しながら攪拌羽で攪拌した。その後、静置することによりO相を上層、W相を下層とする2層に分離した。
ついでデカンテーションにより、O相とW相を分離し、W相を回収した。
得られたゲル化体を吸引濾過機により、W相から濾別した。回収したゲル化体を150℃の条件で12時間、真空乾燥機により乾燥後、800℃で1時間焼成した。このようにして得られた多孔質球状シリカの物性を表1に示す。
<実施例2>
実施例1において、分散液調製工程での微分散をナノマイザー(ナノマイザー株式会社製、NMS-200L D10)により、処理圧力125MPaの条件で実施したほかは、実施例1と同様にして多孔質球状シリカを得た。得られた多孔質球状シリカの物性を表1に示す。なお、分散液調製工程で得られた分散液のD50値は0.10μm、D90値は0.15μmであった。
<実施例3>
実施例1において、分散液調製工程での微分散をアルティマイザー(株式会社スギノマシン製、HJP-25005)により、処理圧力150MPaの条件で実施したほかは、実施例1と同様にして多孔質球状シリカを得た。得られた多孔質球状シリカの物性を表1に示す。なお、分散液調製工程で得られた分散液のD50値は0.09μm、D90値は0.12μmであった。
<比較例1>
実施例1において、分散液調製工程での微分散条件を出力20%に変更したほかは、実施例1と同様にして多孔質球状シリカを得た。得られた多孔質球状シリカの物性を表1に示す。なお、分散液調製工程で得られた分散液のD50値は0.20μm、D90値は0.25μmであった。
<比較例2>
実施例1において、分散液調製工程での微分散条件を1分間の分散を1回に変更したほかは、実施例1と同様にして多孔質球状シリカを得た。得られた多孔質球状シリカの物性を表1に示す。なお、分散液調製工程で得られた分散液のD50値は0.15μm、D90値は0.30μmであった。
<比較例3>
実施例1の分散液調製工程と同様にして調製したフュームドシリカ分散液を、噴霧乾燥して造粒した後、800℃で1時間焼成して多孔質球状シリカを得た。得られた多孔質球状シリカの物性を表1に示す。なお、分散液調製工程で得られた分散液のD50値は0.11μm、D90値は0.14μmであった。
<評価結果>
(実施例1~3)
表1に示すように、実施例1~3においては、水銀圧入法による細孔容積が0.5ml/g以上であって、高い細孔容積を有し、かつ、水銀圧入法による最頻細孔径が5nm以上であって、最頻細孔径が大きい多孔質球状シリカでありながら、水銀圧入法による最頻細孔径の±5nmの範囲に存在する細孔容積の全細孔容積に対する割合(細孔容積率)が40%以上であって、その細孔径分布はシャープであった。これは、本発明の製造方法により、フュームドシリカ分散液の粒度分布が所定の範囲となるように分散条件を調整し、該分散液をゲル化させることで実現できる。
また、実施例1~3においては、フュームドシリカ分散液の微分散に種々の装置を使用し、その運転条件もまちまちであったが、得られた多孔質球状シリカはいずれも大きな最頻細孔径と高い細孔容積を有し、かつ、細孔径分布がシャープであった。このように、本発明の製造方法では、フュームドシリカ分散液の分散方法は制限されず、該分散液の粒度分布が所定の範囲にあれば、細孔径分布がシャープな多孔質球状シリカを得ることができる。
(比較例1)
比較例1において調製したフュームドシリカ分散液は、D50値が0.20μm、D90値が0.25μmと所定の範囲よりも大きく、得られた多孔質球状シリカの細孔容積率は19%と、その細孔径分布はブロードであった。これは分散力が不十分であったことに起因しており、このように、フュームドシリカ分散液の分散状態が適当でない場合には、本発明の多孔質球状シリカを得ることは困難である。
(比較例2)
比較例2において調製したフュームドシリカ分散液は、D50値が0.15μmと所定の範囲内であったが、D90値は0.30μmと所定の範囲よりも大きく、得られた多孔質球状シリカの細孔容積率は18%と、その細孔径分布はブロードであった。これは分散時間が不十分であったことに起因しており、このように、フュームドシリカ分散液の分散状態が適当でない場合には、本発明の多孔質球状シリカを得ることは困難である。
(比較例3)
比較例3において調製したフュームドシリカ分散液のD50値とD90値は、いずれも所定の範囲内であったが、得られた多孔質球状シリカの細孔容積率は22%と、その細孔径分布はブロードであった。これはフュームドシリカ分散液を噴霧乾燥によって造粒したためであり、このように、分散液の分散状態が適当であっても、フュームドシリカ分散液をゲル化させる工程を経なければ、分散液の粒度分布を細孔骨格に反映させることができず、本発明の多孔質球状シリカを得ることは困難である。

Claims (11)

  1. 水銀圧入法による細孔容積が0.5ml/g以上、4ml/g以下であり、
    水銀圧入法による最頻細孔径が10nm以上、30nm以下であり、
    前記最頻細孔径の±5nmの範囲に存在する細孔容積の全細孔容積に対する割合が40%以上であり、
    BET法による比表面積が150m/g以上、400m/g以下であることを特徴とする多孔質球状シリカ。
  2. 前記多孔質球状シリカの、水銀圧入法による最頻細孔径の±5nmの範囲に存在する細 孔容積が0.5ml/g以上であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質球状シリカ 。
  3. 前記多孔質球状シリカのコールターカウンター法で測定される体積基準の累積50%径(D 50)が2~200μmの範囲にあり、
    同じく累積10%径(D10)と、累積90%径(D90)との比(D10/D90) が0.3以上であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質球状シリカ。
  4. アルカリ金属含有率が50ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質球状シリカ。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の多孔質球状シリカを含む触媒担体。
  6. 請求項1~4のいずれかに記載の多孔質球状シリカを含むカラム充填剤。
  7. 請求項1~4のいずれかに記載の多孔質球状シリカを含む化粧品。
  8. 請求項1~4のいずれかに記載の多孔質球状シリカを含む研磨剤。
  9. 請求項1~4のいずれかに記載の多孔質球状シリカを含む樹脂組成物。
  10. 請求項1~4のいずれかに記載の多孔質球状シリカを含む吸着剤。
  11. フュームドシリカ分散液の粒度分布におけるD50値が0.1μm以下、D90値が 0.2μm以下となるようにフュームドシリカ分散液を調整する工程、
    フュームドシリカが分散した水相と、非水溶性溶媒を主成分とする有機相からなるW/ Oエマルションを調製する工程、
    エマルションを加熱して水相をゲル化させ、ゲル化体分散液を得る工程、及び、
    生じたゲル化体を液中から回収し乾燥する工程、
    を含んでなる請求項1記載の多孔質球状シリカの製造方法。
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