JP7830538B2 - 転写型シート状接合材 - Google Patents
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Description
本発明は、転写型シート状接合材に関する。
従来、電子部品の接合材として、半田の材料が広く用いられていた。しかしながら、半田の材料は、耐熱性に乏しいという問題があった。そのため、例えば、150℃以上の高温での使用が見込まれるSiC素子を用いたパワーデバイスでは、接合材として半田の材料の使用が困難であった。
そこで、焼結型接合材として、銀粒子を用いた接合材が提案されている。また、コストやイオンマイグレーションの観点で銅粒子が期待され、銅粒子を用いた転写型シート状接合材の開発が進められている。
転写型シート状接合材は、銅粒子、還元剤、樹脂、及び溶媒を少なくとも含むペーストを、離型PETフィルム等の樹脂基板上に塗布し、乾燥させて形成される。転写型シート状接合材による2つの部材(第1部材及び第2部材)の接合は、以下のようにして行う。まず、所定の転写条件でシート状接合材を第1部材に転写した後、樹脂基板を剥離する。次いで、第1部材上に転写したシート状接合材を第2部材と接触させて、所定の接合条件でシート状接合材を介して第1部材と第2部材とを接合する。
特許文献1には、キャッピング剤としてのトリエタノールアミンで表面がコーティングされた銅粒子(D10;100nm以上、D90;2000nm以下)と、活性剤としてのジカルボン酸と、分散剤と、結合剤としてのエポキシメタクリレートウレタンと、有機溶媒としてのテルピネオールと、を含むペーストをPETフィルム上に塗布し、乾燥させて得たシート状接合材が記載されている。特許文献1では、このシート状接合材を、転写温度200~225℃、加圧力5MPa、転写時間1~10秒の転写条件で、Auメッキされたシリコンダイに転写できることが記載されている。
しかしながら、特許文献1では、転写温度が200℃以上であるため、転写時に銅が焼結して、銅粒子の表面活性が損なわれるため、その後の接合時における銅の焼結及び被接合材への原子拡散を損なう場合があり、焼結性や原子拡散(接合性)が不安定になりがちな課題がある。銅粒子の焼結が進行しない緩やかな転写条件下で転写を行うと、シート状接合材を被転写材の全面に転写できない、又は、樹脂基板上にペースト乾燥膜(転写型シート状接合材)の残渣が残ってしまうといった問題がある。
また、特許文献1のシート状接合材では、接合温度250℃以下での低温接合時に十分な接合強度を安定して確保することが難しいとの課題もある。すなわち、特許文献1のシート状接合材では、接合後の接合サンプルのせん断強度にばらつきが生じる場合があることが判明した。せん断強度にばらつきが生じると、パワーモジュール性能のばらつき要因となり、実用上問題がある。
上記課題に鑑み、本発明は、(I)銅粒子の焼結が進行しない緩やかな転写条件下であっても優れた転写性が得られ、かつ、(II)250℃以下の低温接合であっても十分な接合強度を安定して確保できる、転写型シート状接合材を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明者らが鋭意検討したところ、銅粒子、還元剤、樹脂、及び溶媒を含むペーストを樹脂基板上に塗布、乾燥してなるペースト乾燥膜である転写型シート状接合材において、当該転写型シート状接合材の溶媒含液率を最適化することにより、上記(I)及び(II)の課題を解決することができるとの知見を得た。
上記の知見に基づき完成された本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
[1]銅粒子、還元剤、樹脂、及び溶媒を含むペーストを樹脂基板上に塗布、乾燥してなるペースト乾燥膜であり、
0.5質量%以上2.0質量%以下の溶媒含液率を有することを特徴とする転写型シート状接合材。
[1]銅粒子、還元剤、樹脂、及び溶媒を含むペーストを樹脂基板上に塗布、乾燥してなるペースト乾燥膜であり、
0.5質量%以上2.0質量%以下の溶媒含液率を有することを特徴とする転写型シート状接合材。
[2]前記還元剤がトリエタノールアミンからなる、上記[1]に記載の転写型シート状接合材。
[3]前記還元剤の含有量が、銅粒子100質量部に対して3質量部以上9質量部以下である、上記[1]又は[2]に記載の転写型シート状接合材。
[4]前記銅粒子の平均粒子径が70nm以上300nm以下である、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の転写型シート状接合材。
[5]前記樹脂がアクリル樹脂からなる、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の転写型シート状接合材。
[6]前記樹脂の含有量が、銅粒子100質量部に対して1質量部以上5質量部以下である、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の転写型シート状接合材。
[7]前記銅粒子は、表層の少なくとも一部が亜酸化銅及び炭酸銅を含む被膜であり、炭素濃度が0.03質量%以上0.30質量%以下であり、酸素濃度が0.5質量%以上3.0質量%以下である、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の転写型シート状接合材。
本発明の転写型シート状接合材は、(I)銅粒子の焼結が進行しない緩やかな転写条件下であっても優れた転写性が得られ、かつ、(II)250℃以下の低温接合であっても十分な接合強度を安定して確保できる。
[転写型シート状接合材]
本発明の一実施形態による転写型シート状接合材は、銅粒子、還元剤、樹脂、及び溶媒を含むペーストを樹脂基板上に塗布、乾燥してなるペースト乾燥膜であって、0.5質量%以上2.0質量%以下の溶媒含液率を有することを特徴とする。
本発明の一実施形態による転写型シート状接合材は、銅粒子、還元剤、樹脂、及び溶媒を含むペーストを樹脂基板上に塗布、乾燥してなるペースト乾燥膜であって、0.5質量%以上2.0質量%以下の溶媒含液率を有することを特徴とする。
(銅粒子)
銅粒子は、銅を主成分とする。銅粒子は、銅粒子100質量%に対し銅元素を95質量%以上100質量%以下含むことが好ましく、97質量%以上含むことがさらに好ましい。銅元素を95質量%以上含むと、接合材の耐熱性が優れ、接合力がさらに優れる。
銅粒子は、銅を主成分とする。銅粒子は、銅粒子100質量%に対し銅元素を95質量%以上100質量%以下含むことが好ましく、97質量%以上含むことがさらに好ましい。銅元素を95質量%以上含むと、接合材の耐熱性が優れ、接合力がさらに優れる。
銅粒子の平均粒子径は300nm以下であることが好ましい。銅粒子の平均粒子径が300nm以下であることにより、250℃以下の低温接合であっても十分に高い接合強度を確保できる。銅粒子の平均粒子径は150nm以下がより好ましい。また、銅粒子の平均粒子径は5nm以上が好ましい。銅粒子の平均粒子径が5nm以上であると、銅微粒子の入手が容易となる。銅粒子の平均粒子径は70nm以上であることがより好ましい。銅粒子の平均粒子径が70nm以上であることにより、250℃以下の低温接合であっても十分に高い接合強度を確保できる。
銅粒子の形状(形態)は、特に限定されない。銅粒子の形状としては、球状(球体)、楕円状(楕円体)、板状等が挙げられ、これらの中でも、球状や楕円状が好ましく、球状がより好ましい。
銅粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して倍率:10000倍で10視野観察し、10視野において以下の選定基準(1)~(5)によって選定された全ての銅粒子について、各銅粒子の粒子径を測定し、そのD50を求めることにより、特定することができる。なお、楕円など真円ではない粒子については、長径を粒子径とする。なお、銅粒子の粒度分布も、上記の測定対象とした全ての銅粒子の粒子径によって特定される。ここで、シート状接合材における銅粒子の平均粒子径及び粒度分布を求める際には、シートの最表面部を観察する。シート作製前の粉末状態では、粉末をカーボンテープの上にスパチュラでのせ、余分な粉末をエアダスターで除去し、テープ表面を観察する。
(1)粒子の一部が画像の視野の外にはみだしている粒子は測定しない。
(2)輪郭がはっきりしており、孤立して存在している粒子は測定する。
(3)平均的な粒子形状から外れている場合でも、独立しており、単独粒子として測定が可能な粒子は測定する。
(4)粒子同士に重なりがあるが、両者の境界が明瞭で、粒子全体の形状も判断可能な粒子は、それぞれの粒子を単独粒子として測定する。
(5)重なり合っている粒子で、境界がはっきりせず、粒子の全形も判らない粒子は、粒子の形状が判断できないものとして測定しない。
(1)粒子の一部が画像の視野の外にはみだしている粒子は測定しない。
(2)輪郭がはっきりしており、孤立して存在している粒子は測定する。
(3)平均的な粒子形状から外れている場合でも、独立しており、単独粒子として測定が可能な粒子は測定する。
(4)粒子同士に重なりがあるが、両者の境界が明瞭で、粒子全体の形状も判断可能な粒子は、それぞれの粒子を単独粒子として測定する。
(5)重なり合っている粒子で、境界がはっきりせず、粒子の全形も判らない粒子は、粒子の形状が判断できないものとして測定しない。
銅粒子としては、保護剤、分散剤などを必要としないものを用いることが好ましい。このような銅粒子としては、特許第4304221号公報に記載された製造方法によって得られる金属超微粉や特許第6130616号公報に記載された製造方法によって得られる銅微粒子が例示される。ただし、銅粒子はこの例示に限定されない。
銅粒子は、表層の少なくとも一部が炭酸銅を含む被膜であることが好ましい。銅粒子の表層が炭酸銅を含む被膜であることで、銅粒子の焼結温度を、従来に比べて低く抑えながら接合力を高めることができる。炭酸銅を含む被膜は、亜酸化銅をさらに含んでもよい。
銅粒子は、有機保護膜で被覆されていないものを用いることが好ましい。銅粒子が有機保護膜に被覆されている場合、有機保護膜を分解させないと銅粒子の焼結が進行しないため、有機保護膜の分解温度以上の接合温度を必要とし、250℃以下の低温接合ができない場合がある。また、有機保護膜の分解ガスが接合層にボイドを形成したり、接合層にクラックが発生し、信頼性を低下させるリスクとなる。
銅粒子の炭素濃度は0.03質量%以上0.30質量%以下であることが好ましい。銅粒子の炭素濃度は0.03質量%以上であれば、銅粒子の有機溶媒への分散性が確保され、銅粒子の凝集物が生じにくいため、250℃以下の低温接合であっても十分な接合強度を安定して確保できる。銅粒子の炭素濃度が0.30質量%以下であれば、銅粒子の表層に含まれる炭素によって銅粒子の焼結が阻害されることがなく、250℃以下の低温接合であっても十分な接合強度を安定して確保できる。銅粒子の炭素濃度は、炭素硫黄分析装置(例えば、株式会社堀場製作所製「EMIA-920V」)を使用して測定できる。
銅粒子の酸素濃度は0.5質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。銅粒子の酸素濃度が0.5質量%以上であれば、空気中の酸素との反応性が抑えられるため、250℃以下の低温接合であっても十分な接合強度を安定して確保できる。銅粒子の酸素濃度が3.0質量%以下であれば、接合時に酸化膜を除去しやすく、焼結が阻害されにくいため、250℃以下の低温接合であっても十分な接合強度を安定して確保できる。銅粒子の酸素濃度は、酸素窒素分析装置(例えば、LECO社製「TC600」)を使用して測定できる。
シート状接合材における「銅粒子の含有量」は、ペーストにおける銅粒子の含有量と同等であり、例えばシートを窒素雰囲気下で1000℃程度まで加熱し、加熱後の重量から把握することができる。
(還元剤)
還元剤は、接合時に銅粒子の表面に不可避的に存在する酸化膜を還元する化合物である。接合時、還元剤により酸化膜が除去されることで銅粒子(純銅)同士が接触して焼結が進行し、拡散接合が進行する。
還元剤は、接合時に銅粒子の表面に不可避的に存在する酸化膜を還元する化合物である。接合時、還元剤により酸化膜が除去されることで銅粒子(純銅)同士が接触して焼結が進行し、拡散接合が進行する。
本実施形態において、還元剤は、トリエタノールアミンからなるものとすることが好ましい。トリエタノールアミンは、酸化膜の除去効果が高く、また高沸点かつ低揮発性であるため、転写時にも抜けにくく、経時安定性が高いため、接合前の保管安定性に優れる。
本実施形態において、還元剤の含有量は、銅粒子100質量部に対して3質量部以上9質量部以下であることが好ましい。還元剤の含有量が3質量部以上であれば、還元剤の量が十分であり、250℃以下の低温接合であっても銅粒子の焼結が十分となり、十分に高い接合強度を安定して確保できる。また、還元剤の含有量が9質量部以下であれば、転写時及び接合時に還元剤の染み出しが生じにくく、被接合材と同一形状での転写及び接合が実現できる。また、分解ガス成分が増えることなく、接合層にボイドやクラックが入りにくい。
なお、シート状接合材における還元剤の含有量は、ペーストにおける還元剤の含有量と同等である。
(樹脂)
樹脂は、転写型シート状接合材を第1部材に転写させる際の接着材として機能する。また、銅粒子を分散させる分散剤としての機能もあるとなお良い。
樹脂は、転写型シート状接合材を第1部材に転写させる際の接着材として機能する。また、銅粒子を分散させる分散剤としての機能もあるとなお良い。
樹脂は、分解性の高いバインダーであるアクリル樹脂や脂肪族ポリカーボネートなどの樹脂であることが好ましい。特に、樹脂がアクリル樹脂からなることが好ましい。アクリル樹脂は、接着機能があるため、転写性に優れるからである。具体的には、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリメタクリル酸アルキル、及びメタクリル酸エステル系共重合物から選択される一種以上を用いることができる。
本実施形態において、樹脂の含有量は、銅粒子100質量部に対して1質量部以上5質量部以下であることが好ましく、1.5質量部以上であることがより好ましい。樹脂の含有量が1質量部以上であれば、銅粒子の焼結が進行しない緩やかな転写条件下において、濃淡ムラが生じることなく全面転写が可能である。また、樹脂の含有量が5質量部以下であれば、バインダー中の分解性成分や未分解物が接合層にボイドを形成することがなく、被接合材との密着性が損なわれないため、250℃以下の低温接合で十分な接合強度を安定して確保できる。
なお、シート状接合材における樹脂の含有量は、ペーストにおける樹脂の含有量と同等である。
(溶媒)
溶媒は、200℃程度の沸点を持ち、揮発性の低いものが望ましい。ペースト塗布中に溶媒が蒸発して金属濃度が変わると、塗布膜の厚みムラが生じるからである。また、ペーストに樹脂を含ませる場合、溶媒は、用いる樹脂を溶解できるものである必要がある。これらの観点から、例えば、テルピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピニルアセテート、及びジヒドロターピニルメチルエーテルなどのテルペン系溶媒、1-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、及びオクタノールなどのアルコール類、アセトン及びメチルエチルケトンなどのケトン類、並びにトルエンなどの芳香族溶媒からなる群から選択される一種又は二種以上を用いることができる。
溶媒は、200℃程度の沸点を持ち、揮発性の低いものが望ましい。ペースト塗布中に溶媒が蒸発して金属濃度が変わると、塗布膜の厚みムラが生じるからである。また、ペーストに樹脂を含ませる場合、溶媒は、用いる樹脂を溶解できるものである必要がある。これらの観点から、例えば、テルピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピニルアセテート、及びジヒドロターピニルメチルエーテルなどのテルペン系溶媒、1-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、及びオクタノールなどのアルコール類、アセトン及びメチルエチルケトンなどのケトン類、並びにトルエンなどの芳香族溶媒からなる群から選択される一種又は二種以上を用いることができる。
ペースト中の溶媒濃度(仕込み溶媒濃度)C0は5質量%以上40質量%以上とすることが好ましい。ペースト中の溶媒濃度が5質量%以上であれば、適切な塗布を行うことができ、ペースト中の溶媒濃度が40質量%以下であれば、ペースト塗布後に塗布膜が流れにくく、塗布膜の調整が容易である。
(転写型シート状接合材の溶媒含液率)
本実施形態の転写型シート状接合材は、0.5質量%以上2.0質量%以下の溶媒含液率を有することが重要である。溶媒含液率を適切な範囲とすることで、(I)銅粒子の焼結が進行しない緩やかな転写条件下であっても優れた転写性が得られ、かつ、(II)250℃以下の低温接合であっても十分な接合強度を安定して確保できる。溶媒含液率が過度に低すぎると、ペースト乾燥膜にひび割れが生じ、また、銅粒子の焼結が進行しない緩やかな転写条件下では優れた転写性が得られない。よって、溶媒含液率は0.5質量%以上とする。他方で、溶媒含液率が高すぎると、転写は良好にできるが、シート状接合材に残存している溶媒が接合層にボイドやクラックを発生させるため、250℃以下の低温接合で十分な接合強度を安定して確保することができない。よって、溶媒含液率は2.0質量%以下とし、好ましくは1.7質量%以下とし、より好ましくは1.5質量%以下とする。
本実施形態の転写型シート状接合材は、0.5質量%以上2.0質量%以下の溶媒含液率を有することが重要である。溶媒含液率を適切な範囲とすることで、(I)銅粒子の焼結が進行しない緩やかな転写条件下であっても優れた転写性が得られ、かつ、(II)250℃以下の低温接合であっても十分な接合強度を安定して確保できる。溶媒含液率が過度に低すぎると、ペースト乾燥膜にひび割れが生じ、また、銅粒子の焼結が進行しない緩やかな転写条件下では優れた転写性が得られない。よって、溶媒含液率は0.5質量%以上とする。他方で、溶媒含液率が高すぎると、転写は良好にできるが、シート状接合材に残存している溶媒が接合層にボイドやクラックを発生させるため、250℃以下の低温接合で十分な接合強度を安定して確保することができない。よって、溶媒含液率は2.0質量%以下とし、好ましくは1.7質量%以下とし、より好ましくは1.5質量%以下とする。
転写型シート状接合材の溶媒含液率は、樹脂基板に塗布したペースト塗布膜の乾燥条件、具体的には乾燥温度及び乾燥時間を制御することによって、調整することができる。
転写型シート状接合材の溶媒含液率Vは、以下の式(1)及び式(2)によって求めることができる。
V={W0-(WB-WA)}/WA×100 ・・・式(1)
W0=WB×C0/100 ・・・式(2)
ここで、
W0:ペースト塗布膜中に存在する理論上の溶媒重量
WB:樹脂基板にペーストを塗布した直後のペースト塗布膜の重量
WA:ペースト乾燥膜の重量
C0:ペースト中の溶媒濃度
である。WBは、塗布後にペースト塗布膜を含めた基板の重量を測定し、この重量から塗布前に予め測定した基板の重量を差し引くことにより、求めることができる。WAは、ペースト乾燥膜を含む基板の重量から、ペースト乾燥膜を除去した基板の重量を差し引くことにより、求めることができる。
V={W0-(WB-WA)}/WA×100 ・・・式(1)
W0=WB×C0/100 ・・・式(2)
ここで、
W0:ペースト塗布膜中に存在する理論上の溶媒重量
WB:樹脂基板にペーストを塗布した直後のペースト塗布膜の重量
WA:ペースト乾燥膜の重量
C0:ペースト中の溶媒濃度
である。WBは、塗布後にペースト塗布膜を含めた基板の重量を測定し、この重量から塗布前に予め測定した基板の重量を差し引くことにより、求めることができる。WAは、ペースト乾燥膜を含む基板の重量から、ペースト乾燥膜を除去した基板の重量を差し引くことにより、求めることができる。
(シート状)
本実施形態の接合材は、シート状である。ここで、接合材の厚さは、特に限定されず、例えば10μm以上1mm未満とすることができる。
本実施形態の接合材は、シート状である。ここで、接合材の厚さは、特に限定されず、例えば10μm以上1mm未満とすることができる。
また、接合材の形状(厚さ方向から平面視した際の形状)は、特に限定されるものではなく、被接合部材の接合面の形状等に応じて、適宜選択することができ、例えば、矩形や円形等が挙げられる。
[転写型シート状接合材の製造方法]
本実施形態の転写型シート状接合材は、銅粒子、還元剤、樹脂、及び溶媒を含むペーストを樹脂基板上に塗布、乾燥することにより、作製することができる。
本実施形態の転写型シート状接合材は、銅粒子、還元剤、樹脂、及び溶媒を含むペーストを樹脂基板上に塗布、乾燥することにより、作製することができる。
ペーストの作製方法は特に限定されず、各成分を、自公転式ミキサー、乳鉢、ミル攪拌、スターラー攪拌等を用いる方法で混合することにより作製することができる。樹脂基板上へのペーストの塗布・乾燥方法も特に限定されず、例えば、アプリケーターを用いて樹脂基板上にペーストを塗布し、熱風オーブンにてペースト塗布膜を乾燥させることで、ペースト乾燥膜(転写型シート状接合材)を得ることができる。乾燥条件は、溶媒含液率が0.5質量%以上2.0質量%以下となるように適宜調整する。例えば、乾燥温度(雰囲気温度)は50℃以上90℃以下の範囲から選択することができ、乾燥時間は5分以上300分以下の範囲から選択することができる。また、溶媒含液率は、上記乾燥温度及び乾燥時間のみに依存するものではなく、乾燥速度などにも依存する。すなわち、溶媒含液率を調整するうえで、乾燥を緩やかに進行させることが望ましい。具体的には、乾燥速度が、乾燥前の重量を100として0.1%/分以上0.5%/分以下であると、溶媒含液率の調整がしやすい。例えば、乾燥蒸気が抜けにくいように半密閉系(バット上に塗膜サンプルを置いて、蓋をするなど)で乾燥させるなどの手法により緩慢に乾燥させることもできる。
樹脂基板は特に限定されず、例えば、離型PETフィルム、シリコンフィルム、フッ素樹脂フィルム等を挙げることができる。樹脂基板の厚さは、離型性を考慮して50~200μm程度とすることができる。
転写型シート状接合材による2つの部材(第1部材及び第2部材)の接合は、以下の転写及び接合の2工程を経て行われる。
(転写)
まず、シート状接合材を第1部材と接合させた後、樹脂基板を剥離する。すなわち、第1部材にシート状接合材を転写する。樹脂基板上に形成された転写型シート状接合材を第1部材に転写する際の条件は特に限定されないが、本実施形態では、転写温度(雰囲気温度)が150℃以下、加圧力10MPa以下、転写時間1分以下という、銅粒子の焼結が進行しない緩やかな転写条件下であっても優れた転写性が得られる。転写条件としては、転写温度は50℃以上150℃以下、加圧力は1MPa以上10MPa以下、転写時間は10秒以上1分以下の範囲内とすることができる。転写の際の雰囲気は、窒素(N2)等の不活性雰囲気としてもよいし、大気であってもよい。
まず、シート状接合材を第1部材と接合させた後、樹脂基板を剥離する。すなわち、第1部材にシート状接合材を転写する。樹脂基板上に形成された転写型シート状接合材を第1部材に転写する際の条件は特に限定されないが、本実施形態では、転写温度(雰囲気温度)が150℃以下、加圧力10MPa以下、転写時間1分以下という、銅粒子の焼結が進行しない緩やかな転写条件下であっても優れた転写性が得られる。転写条件としては、転写温度は50℃以上150℃以下、加圧力は1MPa以上10MPa以下、転写時間は10秒以上1分以下の範囲内とすることができる。転写の際の雰囲気は、窒素(N2)等の不活性雰囲気としてもよいし、大気であってもよい。
(接合)
次いで、第1部材上に転写したシート状接合材を第2部材と接触させて、所定の接合条件でシート状接合材を介して第1部材と第2部材とを接合する。接合条件は特に限定されないが、本実施形態では、250℃以下の低温接合であっても十分な接合強度を安定して確保できる。接合条件としては、接合温度(雰囲気温度)は200℃以上250℃以下、加圧力は1MPa以上40MPa以下、転写時間は1分以上60分以下の範囲内とすることができる。接合の際の雰囲気は、窒素(N2)等の不活性雰囲気とすることが好ましい。
次いで、第1部材上に転写したシート状接合材を第2部材と接触させて、所定の接合条件でシート状接合材を介して第1部材と第2部材とを接合する。接合条件は特に限定されないが、本実施形態では、250℃以下の低温接合であっても十分な接合強度を安定して確保できる。接合条件としては、接合温度(雰囲気温度)は200℃以上250℃以下、加圧力は1MPa以上40MPa以下、転写時間は1分以上60分以下の範囲内とすることができる。接合の際の雰囲気は、窒素(N2)等の不活性雰囲気とすることが好ましい。
[転写型シート状接合材の製造]
(試験例No.1)
大陽日酸製銅粒子(粒子径110nm品;D10;39nm、D50;112nm、D90;310nm)40g、還元剤としてのトリエタノールアミン3.2g、アクリルバインダー(共栄社化学株式会社製、オリコックスKC-1700)0.8g、及び溶媒としてのテルピネオール13.14gを、自公転式ミキサーにて混合し、ペーストを得た。なお、銅粒子の表層は亜酸化銅及び炭酸銅を含む被膜であり、銅粒子の炭素濃度は0.17質量%であり、銅粒子の酸素濃度は1.6質量%である。ペースト中の溶媒濃度(仕込み溶媒濃度)C0は23.0質量%とした。
(試験例No.1)
大陽日酸製銅粒子(粒子径110nm品;D10;39nm、D50;112nm、D90;310nm)40g、還元剤としてのトリエタノールアミン3.2g、アクリルバインダー(共栄社化学株式会社製、オリコックスKC-1700)0.8g、及び溶媒としてのテルピネオール13.14gを、自公転式ミキサーにて混合し、ペーストを得た。なお、銅粒子の表層は亜酸化銅及び炭酸銅を含む被膜であり、銅粒子の炭素濃度は0.17質量%であり、銅粒子の酸素濃度は1.6質量%である。ペースト中の溶媒濃度(仕込み溶媒濃度)C0は23.0質量%とした。
次いで、作製したペーストを、厚さ100μmの離形PETフィルム上にアプリケーターを用いて、塗布膜200μmの厚さで塗布し、熱風オーブンにて乾燥温度80℃、乾燥時間240分の乾燥条件で塗布膜を乾燥させてテルピネオールの一部を除去し、ペースト乾燥膜(転写型シート状接合材)を得た。得られた転写型シート状接合材の配合と、既述の方法で測定した転写型シート状接合材の溶媒含液率を表1に示す。
(試験例No.2~29)
銅粒子の含有量は40gのまま固定し、銅粒子の仕様(粒径、炭素濃度、及び酸素濃度)、還元剤の含有量、樹脂の種類及び含有量、並びに溶媒の種類を表1に示すものに変更して、試験例No.1と同様にしてペーストを得た。ペースト中の溶媒濃度(仕込み溶媒濃度)C0は、表1に示す値とした。次いで、表1に示す乾燥条件で、試験例No.1と同様にして、ペースト乾燥膜(転写型シート状接合材)を得た。得られた転写型シート状接合材の配合と、既述の方法で測定した転写型シート状接合材の溶媒含液率を表1に示す。
銅粒子の含有量は40gのまま固定し、銅粒子の仕様(粒径、炭素濃度、及び酸素濃度)、還元剤の含有量、樹脂の種類及び含有量、並びに溶媒の種類を表1に示すものに変更して、試験例No.1と同様にしてペーストを得た。ペースト中の溶媒濃度(仕込み溶媒濃度)C0は、表1に示す値とした。次いで、表1に示す乾燥条件で、試験例No.1と同様にして、ペースト乾燥膜(転写型シート状接合材)を得た。得られた転写型シート状接合材の配合と、既述の方法で測定した転写型シート状接合材の溶媒含液率を表1に示す。
[転写性の評価]
各試験例において、転写型シート状接合材上にAuメッキが施されたSiC(5mm角、厚さ350μm)をマウントし、転写温度が150℃、加圧力が10MPa、転写時間が30秒、大気雰囲気下の転写条件で、SiCのAuメッキ面に転写型シート状接合材を転写させた。シート状接合材をSiCに全面転写ムラなく均一に転写できた場合を「優」、SiCに全面転写できたが、一部に濃淡ムラがある場合を「可」、SiCに全面転写できないものを「劣」として、表2の「転写性」の欄に示した。なお、転写性が「劣」の場合には、接合後の接合サンプルのせん断強度に顕著に大きなばらつきが生じることから、以降の接合の試験は実施しなかった。
各試験例において、転写型シート状接合材上にAuメッキが施されたSiC(5mm角、厚さ350μm)をマウントし、転写温度が150℃、加圧力が10MPa、転写時間が30秒、大気雰囲気下の転写条件で、SiCのAuメッキ面に転写型シート状接合材を転写させた。シート状接合材をSiCに全面転写ムラなく均一に転写できた場合を「優」、SiCに全面転写できたが、一部に濃淡ムラがある場合を「可」、SiCに全面転写できないものを「劣」として、表2の「転写性」の欄に示した。なお、転写性が「劣」の場合には、接合後の接合サンプルのせん断強度に顕著に大きなばらつきが生じることから、以降の接合の試験は実施しなかった。
[接合品せん断強度の評価]
各試験例において、SiC上に転写した転写型シート状接合材と、無酸素銅板C1020(20mm角、厚さ2mm)とを接触させて、加圧接合装置にて、接合温度が250℃、加圧力が10MPa、接合時間が5分、N2雰囲気下の接合条件にて、シート状接合材を介してSiCと無酸素銅板とを接合して、接合品を製造した。接合品のせん断強度は、ボンドテスター(デイジ社製、4000Plus)を用いて、ツール高さ100μm、ツール速度200μm/sにて測定した。各試験例について5つの接合品を製造し、せん断強度を測定した結果を表2に示す。
各試験例において、SiC上に転写した転写型シート状接合材と、無酸素銅板C1020(20mm角、厚さ2mm)とを接触させて、加圧接合装置にて、接合温度が250℃、加圧力が10MPa、接合時間が5分、N2雰囲気下の接合条件にて、シート状接合材を介してSiCと無酸素銅板とを接合して、接合品を製造した。接合品のせん断強度は、ボンドテスター(デイジ社製、4000Plus)を用いて、ツール高さ100μm、ツール速度200μm/sにて測定した。各試験例について5つの接合品を製造し、せん断強度を測定した結果を表2に示す。
各試験例における5つの接合品のせん断強度の平均値を表2に示す。平均値が、70MPa以上の場合を「優」、50MPa以上70MPa未満の場合を「可」、50MPa未満の場合を「劣」として、表2の「せん断強度判定」の欄に示した。
各試験例において、せん断強度のばらつき指標(%)として、{(せん断強度の最大値-せん断強度の最小値)×100}/せん断強度の平均値を計算し、表2に示す。当該ばらつき指標が15%未満の場合を「優」、15%以上25%未満の場合を「可」、25%以上の場合を「劣」として、表2の「せん断強度のばらつき判定」の欄に示した。
[接合後の接合層の染み出しの評価]
各試験例において、接合品におけるSiCの外周部をマイクロスコープ(ホーザン株式会社製、L-KIT504)にて20倍の倍率で観察し、SiCの外周部周辺での液状の染み出しの有無を確認し、表2に示した。
各試験例において、接合品におけるSiCの外周部をマイクロスコープ(ホーザン株式会社製、L-KIT504)にて20倍の倍率で観察し、SiCの外周部周辺での液状の染み出しの有無を確認し、表2に示した。
※1
110nm品(D10;39nm、D50;112nm、D90;310nm)
50nm品(D10;15nm、D50; 51nm、D90;194nm)
70nm品(D10;24nm、D50; 72nm、D90;284nm)
300nm品(D10;52nm、D50;298nm、D90;652nm)
400nm品(D10;66nm、D50;403nm、D90;811nm)
※2:銅粒子100質量部に対する還元剤含有量(質量部)
※3:銅粒子100質量部に対するアクリルバインダー中のアクリル樹脂含有量(質量部)
110nm品(D10;39nm、D50;112nm、D90;310nm)
50nm品(D10;15nm、D50; 51nm、D90;194nm)
70nm品(D10;24nm、D50; 72nm、D90;284nm)
300nm品(D10;52nm、D50;298nm、D90;652nm)
400nm品(D10;66nm、D50;403nm、D90;811nm)
※2:銅粒子100質量部に対する還元剤含有量(質量部)
※3:銅粒子100質量部に対するアクリルバインダー中のアクリル樹脂含有量(質量部)
表1及び表2から明らかなように、転写型シート状接合材の溶媒含液率が0.5質量%未満となる比較例No.1では、優れた転写性が得られず、転写型シート状接合材の溶媒含液率が2.0質量%超えとなる比較例No.5では、十分な接合強度を安定して確保できなかったのに対して、転写型シート状接合材の溶媒含液率が0.5質量%以上2.0質量%以下の範囲内となる発明例では、銅粒子の焼結が進行しない緩やかな転写条件下であっても優れた転写性が得られ、かつ、250℃の低温接合であっても十分な接合強度を安定して確保できた。
本発明の転写型シート状接合材は、電子部品を接合する用途で産業上利用可能である。具体的には、パワーデバイスと呼ばれる電子デバイス内のような、半田等の接合材の使用が困難な高温環境において、基盤、素子等の部品の接合用途が例示される。
Claims (7)
- 銅粒子、還元剤、樹脂、及び溶媒を含むペーストを樹脂基板上に塗布、乾燥してなるペースト乾燥膜であり、
0.5質量%以上2.0質量%以下の溶媒含液率を有することを特徴とする転写型シート状接合材。 - 前記還元剤がトリエタノールアミンからなる、請求項1に記載の転写型シート状接合材。
- 前記還元剤の含有量が、銅粒子100質量部に対して3質量部以上9質量部以下である、請求項1又は2に記載の転写型シート状接合材。
- 前記銅粒子の平均粒子径が70nm以上300nm以下である、請求項1又は2に記載の転写型シート状接合材。
- 前記樹脂がアクリル樹脂からなる、請求項1又は2に記載の転写型シート状接合材。
- 前記樹脂の含有量が、銅粒子100質量部に対して1質量部以上5質量部以下である、請求項1又は2に記載の転写型シート状接合材。
- 前記銅粒子は、表層の少なくとも一部が亜酸化銅及び炭酸銅を含む被膜であり、炭素濃度が0.03質量%以上0.30質量%以下であり、酸素濃度が0.5質量%以上3.0質量%以下である、請求項1又は2に記載の転写型シート状接合材。
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