以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。まず、本実施形態に係る加工装置において加工される被加工物について説明する。図1には、被加工物1を模式的に示す斜視図が含まれている。
被加工物1は、例えば、Si(シリコン)、SiC(シリコンカーバイド)、GaN(窒化ガリウム)、GaAs(ヒ化ガリウム)、若しくは、その他の半導体等の材料、または、サファイア、ガラス、石英等の材料からなる略円板状の基板等である。
被加工物1の表面は格子状に配列された複数の分割予定ライン(不図示)で区画される。また、被加工物1の表面の分割予定ラインで区画された各領域にはIC(Integrated Circuit)やLSI(Large Scale Integration)等のデバイス(不図示)が形成される。加工装置を使用して被加工物1を薄化し、分割予定ラインに沿って分割すると、個々のデバイスチップが形成される。ただし、本実施形態に係る加工装置において加工される被加工物はこれに限定されない。
加工装置に被加工物1を搬入する前に、被加工物1と、テープ9と、フレーム7と、が一体化され、フレームユニット11が形成される。被加工物1は、フレームユニット11の状態で加工装置に搬入され、加工される。形成された個々のデバイスチップはテープ9に支持される。その後、テープ9が外側に拡張されることでデバイスチップ間の間隔が広げられ、デバイスチップがピックアップされる。
環状のフレーム7は、例えば、金属等の材料で形成され、被加工物1の径よりも大きい径の開口7aを備える。フレームユニット11を形成する際は、被加工物1は、フレーム7の開口7a内に位置付けられ、開口7aに収容される。
テープ9は、フレーム7の開口7aよりも大きい径を有する。テープ9は、例えば、基材層と、該基材層の上に形成された粘着層と、を備えるダイシングテープと呼ばれるテープである。テープ9は、粘着層で発現する粘着力によりフレーム7及び被加工物1の裏面1bに貼着される。または、テープ9に代えて、例えば、粘着層を備えないポリオレフィン系シートやポリエステル系シート等の樹脂シートが使用されてもよい。樹脂シートは、被加工物1及びフレーム7に熱圧着される。
ポリオレフィン系シートは、アルケンをモノマーとして合成されるポリマーのシートであり、例えば、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、または、ポリスチレンシートである。ポリエステル系シートは、ジカルボン酸(2つのカルボキシル基を有する化合物)と、ジオール(2つのヒドロキシル基を有する化合物)と、をモノマーとして合成されるポリマーのシートである。例えば、ポリエチレンテレフタレートシート、または、ポリエチレンナフタレートシートである。
ただし、本実施形態に係る加工装置で加工される被加工物1は、テープ9及びフレーム7と一体化される必要はない。すなわち、フレームユニット11が形成される必要はない。被加工物1には、被加工物1の一方の面を保護する保護テープが貼着されてもよく、保護テープが貼着されていなくてもよい。以下、被加工物1がフレームユニット11の状態で加工装置に搬入され、加工装置がフレームユニット11に含まれた被加工物1を加工する場合について説明するが、本実施形態に係る加工装置はこれに限定されない。
次に、被加工物1を加工する加工装置について説明する。被加工物1を分割予定ラインに沿って分割する際には、例えば、環状の切削ブレードを備える切削装置が使用される。または、被加工物1に分割予定ラインに沿ってレーザビームを照射して被加工物1をレーザ加工するレーザ加工装置が使用される。また、被加工物1は研削装置で裏面側から研削されて薄化される。以下、本実施形態に係る加工装置が切削装置である場合を例に加工装置について説明するが、本実施形態に係る加工装置は切削装置に限定されない。
図1は、本実施形態に係る加工装置の一例である切削装置(加工装置)2を模式的に示す斜視図である。図1に示す通り、切削装置2の基台4の角部には、収容カセット13が載置されるカセットテーブル6が設けられている。カセットテーブル6は、昇降機構(不図示)により上下方向(Z軸方向)に昇降可能である。図1では、カセットテーブル6に載置された収容カセット13の輪郭を二点鎖線で示している。
ここで、複数の被加工物1(フレームユニット11)を収容できる収容カセット13について、図2を用いて説明する。図2には、収容カセット13の斜視図が模式的に示されている。収容カセット13は、箱型の筐体15を有する。収容カセット13は、筐体15の内部に被加工物1(フレームユニット11)の幅よりも大きな幅の収容空間17を備える。収容カセット13は、複数の被加工物1を縦方向(Z軸方向)に並べて収容空間17に収容できる。
収容カセット13の筐体15の前面には、収容空間17を外部に開放する開口19が設けられている。収容カセット13への被加工物1の搬出入は、開口19を経て実施される。そのため、開口19の幅は、被加工物1(フレームユニット11)の幅よりも大きい。収容カセット13の開口19に隣接する一対の側壁15aの内面には、被加工物1(フレーム7)の端部を支持する複数の支持溝21が形成されている。
複数の支持溝21は、それぞれ、一対の側壁15aに同じ高さに形成されている。そして、一対の側壁15aの内面では、それぞれ、互いに上下に隣接する支持溝21が一定の間隔23となるように並んでいる。被加工物1は、収容カセット13に収容される際、一方の側壁15aに形成された一つの支持溝21に挿し入れられるとともに、該支持溝21と同じ高さに形成されている他方の側壁15aの支持溝21に挿し入れられる。
すなわち、各側壁15aに形成された互いに対応する一対の支持溝21にフレーム7が支持された状態で被加工物1(フレームユニット11)が収容カセット13の収容空間17に収容される。収容カセット13は、各側壁15aに縦方向に並ぶ対となる支持溝21の数だけ被加工物1を収容可能である。
例えば、各側壁15aには、25個の支持溝21が上下に10mmの間隔23で設けられる。この場合、収容カセット13には、25個の被加工物1が収容可能となる。ただし、収容カセット13には、必ずしも収容能力の限界まで被加工物1が収容されなくてもよく、一部の支持溝21には被加工物1が載せられていなくてもよい。
収容カセット13からの被加工物1(フレームユニット11)の搬出作業は、後述の搬出ユニット12により実施される。収容カセット13に収容されている被加工物1を搬出する際には、搬出ユニット12が搬出作業を実施できる高さに被加工物1の高さが合うようにカセットテーブル6を昇降させる。
切削装置(加工装置)2の基台4の上面のカセットテーブル6に隣接する位置は、カセットテーブル6に置かれた収容カセット13から引き出された被加工物1(フレームユニット11)を仮置きするための仮置き領域10となる。仮置き領域10に隣接する位置には、カセットテーブル6に置かれた収容カセット13に収容された被加工物1(フレームユニット11)を収容カセット13から仮置き領域10に搬出する搬出ユニット12が設けられている。
そして、仮置き領域10には、Y軸方向(左右方向、割り出し送り方向)に平行な状態を維持しながら互いに接近、離隔される一対のガイドレール8が設けられる。図2、図3には、ガイドレール8を模式的に示す斜視図が含まれている。
一対のガイドレール8は、それぞれ、被加工物1(フレーム7)を下方から支持する支持面8aと、支持面8aに概ね垂直な突き当て部8bと、を備える。各ガイドレール8の突き当て部8bは、それぞれ支持面8aの外側で立接しており、互いに向かい合っている。一対のガイドレール8には、搬出ユニット12によって収容カセット13から搬出された被加工物1が一時的に載置される。
次に、仮置き領域10についてさらに詳述する。図3は、切削装置2の基台4の仮置き領域10における内部構造物を模式的に示す斜視図である。仮置き領域10には、一対のガイドレール8を互いに近づく方向または離れる方向に移動させるモータ56を備えるガイドレール移動機構54が設けられている。ガイドレール移動機構54は、被加工物1(フレームユニット11)を挟持して被加工物1をセンタリング位置に位置決めする位置と、被加工物1の搬送に適した位置と、被加工物1が開放される位置と、に一対のガイドレール8を位置付ける。
図4(A)には、被加工物1をセンタリング位置に位置決めする位置に位置付けられたガイドレール8を模式的に示す断面図が含まれている。図4(B)には、被加工物1の搬送に適した位置に位置付けられたガイドレール8を模式的に示す断面図が含まれている。図4(C)には、被加工物1が開放される位置に位置付けられたガイドレール8を模式的に示す断面図が含まれている。
ただし、切削装置2では図4(C)に示すように仮置き領域10に被加工物1が存在する状態においてガイドレール8が大きく開くことは想定されていない。仮置き領域10に被加工物1が存在するときに被加工物1が開放される位置までガイドレール8が開くと、被加工物1がガイドレール8から落下し被加工物1に損傷が生じる上、被加工物1を除去する作業が必要となる。
ガイドレール移動機構54についてさらに詳述する。図3には、ガイドレール移動機構54を模式的に示す斜視図が含まれている。図5は、ガイドレール移動機構を模式的に示す側面図である。図5には、ガイドレール8を模式的に示す断面図が含まれている。ガイドレール移動機構54は、Z軸方向に沿った回転軸56bを備えるモータ56と、回転軸56bの先端に設けられたプーリー56aと、プーリー56aの周りに取り付けられた環状のベルト58と、を備える。
ベルト58は、モータ56の回転軸56bに設けられたプーリー56aと、モータ56から離れた自由回転軸60に設けられたプーリー60a(図3参照)と、に環状にかけられている。自由回転軸60と、モータ56の回転軸56bと、はX軸方向に沿って並んでいる。モータ56を作動させると回転軸56bが回転し、回転軸56bのプーリー56aと、自由回転軸60のプーリー60aと、の間でベルト58が回転する。
ベルト58には、一方のガイドレール8の底部に設けられた固定部64と、他方のガイドレール8の底部に設けられた固定部64と、が接続されている。回転軸56bのプーリー56aと、自由回転軸60のプーリー60aと、の間に存在するベルト58の2つの部分を第1の部分及び第2の部分とする。このとき、一方のガイドレール8の固定部64はベルト58の第1の部分に固定され、他方のガイドレール8の固定部64はベルト58の第2の部分に固定される。
この状態で、ベルト58をモータ56で回転させると、2つのガイドレール8が同時に同じ距離だけ逆方向に移動する。すなわち、2つのガイドレール8が互いに近づく方向、または、互いに離れる方向に移動する。
ガイドレール移動機構54は、モータ56を制御して所定の量だけ所定の速度で回転させる機能を有するモータドライバー62を有してもよい。モータドライバー62は、例えば、IC等で構成される。そして、モータドライバー62は、電源からモータ56に供給される電力を調整してモータ56を制御する。または、切削装置2の後述の制御ユニット50(図1参照)は、モータ56を制御するモータドライバーとして機能してもよい。
基台4の上面には、仮置き領域10をY軸方向に沿って縦断する開口14が形成されている。開口14の内部には、搬出ユニット12をY軸方向に沿って移動させる移動機構(不図示)が設けられている。搬出ユニット12は、該移動機構に接続された移動体16を備える。図3には、搬出ユニット12を模式的に示す斜視図が含まれている。移動体16のカセットテーブル6に向いた面には開口18が設けられており、開口18には被加工物1(フレームユニット11のフレーム7)を把持する把持部20が配設されている。
把持部20は、それぞれ基端部が開口18を通して移動体16に収容された上板22と、下板24と、を備える。上板22及び下板24は、移動体16の内部に設けられた移動機構(不図示)により、互いに近接または離隔される。
収容カセット13に収容された被加工物1(フレームユニット11)を搬出ユニット12で搬出する際には、移動体16を収容カセット13に向けて移動させ、上板22及び下板24の間に被加工物1(フレーム7)を位置付ける。そして、上板22及び下板24を互いに近接する方向に移動させ、被加工物1(フレーム7)を上板22及び下板24で挟み込む。すると、被加工物1(フレーム7)が搬出ユニット12の把持部20に把持された状態となる。
その後、移動体16を収容カセット13から離れる方向に移動させると、収容カセット13から被加工物1(フレームユニット11)が仮置き領域10に引き出される。そして、把持部20による被加工物1(フレーム7)の把持を解除する。このとき、被加工物1(フレーム7)は、一対のガイドレール8のそれぞれの支持面8a上に支持される。
そして、一対のガイドレール8をX軸方向に互い近接する方向に連動させて移動させ、一対のガイドレール8のそれぞれの突き当て部8bで被加工物1(フレーム7)を挟み込むと、被加工物1(フレームユニット11)をセンタリング位置に位置付けられる。図4(A)は、センタリング位置に位置付けられた被加工物1と、一対のガイドレール8と、を模式的に示す断面図である。
センタリング位置に位置付けられた被加工物1を後述の第1の搬送ユニット34により、所定の搬送動作で搬送すると、被加工物1を搬送先で所定の位置に精密に位置付けられる。被加工物1が仮置き領域10から搬送される際には、一対のガイドレール8を互いに離れる方向に移動させる。図4(B)は、仮置き領域10から搬送される際の被加工物1と、一対のガイドレール8と、を模式的に示す断面図である。
再び図1を参照しつつ切削装置2の説明を続ける。基台4の上面のカセットテーブル6に隣接する位置には、X軸方向(前後方向、加工送り方向)に長い開口4aが形成されている。開口4a内には、図示しないボールねじ式のX軸移動機構(加工送りユニット)と、X軸移動機構の上部を覆う蛇腹状の防塵防滴カバー28と、が配設されている。
X軸移動機構は、X軸移動テーブル30の下部に接続されており、このX軸移動テーブル30をX軸方向に移動させる機能を有する。例えば、X軸移動テーブル30は、カセットテーブル6に近接する搬出入領域と、後述の切削ユニット40の下方の加工位置と、の間を移動する。
X軸移動テーブル30上には、被加工物1(フレームユニット11)を吸引、保持するチャックテーブル(保持テーブル)32が設けられている。チャックテーブル32は、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されており、Z軸方向(鉛直方向、切り込み送り方向)に概ね平行な回転軸の周りに回転する。また、チャックテーブル32は、上述したX軸移動機構によってX軸方向に移動する。
チャックテーブル32の上面は、被加工物1(フレームユニット11)を保持するための保持面32aになっている。保持面32aは、チャックテーブル32の内部に形成された吸引路(不図示)等を介して吸引源(不図示)に接続されている。また、チャックテーブル32の周囲には、フレームユニット11に含まれるフレーム7を外側から固定するためのクランプ32bが設けられている。
仮置き領域10からチャックテーブル32への被加工物1(フレームユニット11)の搬送は、基台4の上面の仮置き領域10及び開口4aに隣接する位置に設けられた第1の搬送ユニット34により実施される。第1の搬送ユニット34は、基台4の上面から上方に突き出た昇降可能であるとともに回転可能な軸部と、軸部の上端から水平方向に伸長した腕部と、腕部の先端下方に設けられた保持部と、を有する。
第1の搬送ユニット34で仮置き領域10からチャックテーブル32へ被加工物1(フレームユニット11)を搬送する際には、X軸移動テーブル30を移動させてチャックテーブル32を搬出入領域に位置付ける。そして、仮置き領域10に仮置きされている被加工物1(フレーム7)を該保持部で保持し、被加工物1を持ち上げて、該軸部を回転させて被加工物1をチャックテーブル32の上方に移動させる。
その後、被加工物1(フレームユニット11)を下降させてチャックテーブル32の保持面32aに載せる。そして、クランプ32bでフレーム7を固定するとともに、チャックテーブル32の吸引源を作動させて、テープ9を吸引させる。すると、テープ9を介して被加工物1が吸引保持される。
切削装置2は、X軸移動テーブル30の搬出入領域から加工領域への移動経路の上方に、開口4aを横切るように配設された支持構造36を備える。そして、支持構造36には下方に向いた撮像ユニット38が設けられている。撮像ユニット38は、切削ユニット40の下方の加工領域へ移動するチャックテーブル32に吸引保持された被加工物1の表面1aを撮像し、表面1aに設けられた分割予定ラインの位置及び向きを検出する。
該加工領域には、チャックテーブル(保持テーブル)32に保持されたフレームユニット11の被加工物1を切削(加工)する切削ユニット(加工ユニット)40が設けられている。切削ユニット40は、円環状の砥石部を外周に備える切削ブレード(加工具)42と、先端部に切削ブレード42が装着され該切削ブレード42の回転軸となるY軸方向に沿ったスピンドル44と、を備える。
スピンドル44の基端側には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。チャックテーブル32に保持された被加工物1に回転する切削ブレード42を切り込ませることで、被加工物1を切削(加工)できる。被加工物1がすべての分割予定ラインに沿って切削されると、個々のデバイスチップが形成される。その後、チャックテーブル32は、X軸移動機構により搬出入領域に移動される。
基台4の上面の仮置き領域10及び開口4aに隣接する位置には開口4bが形成されており、開口4bには加工後の被加工物1を洗浄する洗浄ユニット46が収容されている。洗浄ユニット46は、被加工物1(フレームユニット11)を保持するスピンナテーブルを備えている。スピンナテーブルの下部には、スピンナテーブルを所定の速さで回転させる回転駆動源(不図示)が連結されている。
切削装置2は、搬出入領域に位置付けられたチャックテーブル32から洗浄ユニット46にフレームユニット11を搬送する第2の搬送ユニット48を備える。第2の搬送ユニット48は、Y軸方向に沿って移動可能な腕部と、腕部の先端下方に設けられた保持部と、を有する。
第2の搬送ユニット48でチャックテーブル32から洗浄ユニット46へ被加工物1(フレームユニット11)を搬送する際には、まず、被加工物1(フレームユニット11)を該保持部で保持する。そして、腕部をY軸方向に沿って移動させ、被加工物1(フレームユニット11)を洗浄ユニット46のスピンナテーブルの上に載せる。その後、スピンナテーブルで被加工物1(フレームユニット11)を保持して被加工物1を洗浄する。
洗浄ユニット46で被加工物1を洗浄する際には、スピンナテーブルを回転させながら被加工物1の表面1aに向けて洗浄用の流体(代表的には、水とエアーとを混合した混合流体)を噴射する。そして、洗浄ユニット46で洗浄された被加工物1は、カセットテーブル6に載る収容カセット13に収容される。
収容カセット13に被加工物1を収容する際には、第1の搬送ユニット34を使用して洗浄ユニット46から仮置き領域10に被加工物1(フレームユニット11)を搬送する。そして、搬出ユニット12の移動体16を収容カセット13に向けて移動させて被加工物1(フレームユニット11)を収容カセット13に押し入れる。このとき、収容作業が確実に実施されるように、仮置き領域10に被加工物1(フレームユニット11)が置かれた際に一対のガイドレール8を互いに近接させて、被加工物1(フレームユニット11)をセンタリング位置に位置付けてもよい。
切削装置2は、さらに、該切削装置2の各構成要素を制御する制御ユニット50を備える。制御ユニット50は、例えば、カセットテーブル6、搬出ユニット12、仮置き領域10、X軸方向移動機構、チャックテーブル32、撮像ユニット38、切削ユニット40、洗浄ユニット46、及び搬送ユニット34,48を制御する。
制御ユニット50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成される。補助記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御ユニット50の機能が実現される。
本実施形態に係る切削装置(加工装置)2の制御ユニット50は、各種の情報を記憶する記憶部50aを含む。記憶部50aには各構成要素を制御するためのプログラムや制御条件等が登録されており、制御ユニット50はプログラムや制御条件に従って各構成要素を制御する。
例えば、記憶部50aには被加工物1を加工するための加工条件が予め入力され登録されており、制御ユニット50は加工条件に従って切削ユニット(加工ユニット)40等を制御する。加工条件は、被加工物1の種別や所望の加工結果に合わせて適宜設定される。そして、制御ユニット50は、各構成要素から送られた情報を参照しつつ各構成要素を制御して被加工物1の切削(加工)を所定の手順で進行させる。ただし、記憶部50aには、さらに別の情報等が記憶されてもよい。制御ユニット50の構成及び機能等については、後に詳述する。
切削装置2は、タッチパネル付きディスプレイ52を備える。タッチパネル付きディスプレイ52は、各種の情報及び操作画面を表示する。作業者は、表示画面を表示するタッチパネル付きディスプレイ52の所定の位置をタッチすることで切削装置(加工装置)2に各種の指令を入力できる。すなわち、タッチパネル付きディスプレイ52は、各種の指令の入力に使用される入力ユニット(入力インターフェース)として機能するとともに、各種の情報を報知する報知ユニットとしても機能する。
以上に説明する切削装置2では、収容カセット13に収容された被加工物1が次々に搬出され加工される。より詳細には、収容カセット13から被加工物1(フレームユニット11)が仮置き領域10に搬出され、ガイドレール8によりセンタリング位置に位置付けられる。次に、被加工物1は、チャックテーブル(保持テーブル)32に吸引保持され、切削ユニット(加工ユニット)40により加工される。その後、被加工物1が洗浄ユニット46で洗浄され、仮置き領域10に戻され、収容カセット13に再び収容される。
なお、切削装置(加工装置)2は、加工エラーや装置トラブル等の理由により、被加工物1の加工中に稼働が停止することがある。この場合、切削装置2の使用者または管理者等により停止の原因に対処がされた後、切削装置2が再稼働する。このとき、稼働の途上にあった各種の機構を一度初期状態に戻す初期動作と呼ばれる動作が実施される。仮置き領域10に設けられた一対のガイドレール8における初期動作では、ガイドレール8が互いに接近するように、そして、離れるように移動する。
ただし、切削装置(加工装置)2が停止したときに、ガイドレール8上に被加工物1が載っていることがある。この場合、切削装置2の再稼働に伴う初期動作においてガイドレール8が図4(C)に示すように被加工物1を開放する位置に移動し、ガイドレール8の間に被加工物1が落下し被加工物1が破損することがある。この場合、破損した被加工物1の除去作業が必要となることがある。そのため、無視できない大きな損失が生じてしまう。
そこで、本実施形態に係る加工装置では、一対のガイドレール8に残存する被加工物1を検出し、ガイドレール8からの被加工物1の落下を防止する。以下、ガイドレール8に残存する被加工物1を検知する構成を中心に、本実施形態に係る加工装置の説明を続ける。
ガイドレール8に残存する被加工物1の検出は、主に、制御ユニット50の機能により実現される。具体的には、ガイドレール移動機構54のモータ56を作動させたときにモータ56にかかる負荷に基づいてガイドレール8上の被加工物1の有無を検出する。制御ユニット50は、切削装置(加工装置)2の他の構成要素とともに、ガイドレール移動機構54にも接続されている。
そして、制御ユニット50は、ガイドレール移動機構54のモータ56にかかる負荷を検出する負荷検出部50cを備える。ガイドレール移動機構54のモータドライバー62は、モータ56を作動させてガイドレール8を所定の速度で移動させるときの負荷電流値を制御ユニット50の負荷検出部50cに送信する。
または、モータドライバー62は、負荷電流値からモータ56の出力トルクを算出し、この出力トルクをモータ56にかかる負荷を含む情報として制御ユニット50の負荷検出部50cに送信する。または、モータドライバー62は、モータ56の出力トルクの定格トルクに対する割合を算出し、負荷を含む情報としてこの算出された割合を制御ユニット50の負荷検出部50cに送信する。なお、ガイドレール移動機構54が制御ユニット50に送信するモータ56の負荷はこれらに限定されず、特に制限はない。
また、制御ユニット50の負荷検出部50cは、モータ56にかかる負荷を検出する。例えば、負荷検出部50cは、モータドライバー62から送信されるモータ56の負荷電流値をモータ56にかかる負荷として検出する。または、負荷検出部50cは、モータドライバー62から送信されるモータ56の負荷電流値からモータ56の出力トルクを算出する。または、負荷検出部50cは、モータ56の出力トルクの定格トルクに対する割合を算出する。
さらに、負荷検出部50cは、モータドライバー62が算出したモータ56の出力トルクからモータ56の負荷を検出してもよい。また、負荷検出部50cは、モータドライバー62が算出し送信したモータ56の出力トルクの定格トルクに対する割合からモータ56の負荷を検出してもよい。負荷検出部50cが検出するモータ56の負荷はこれらに限定されず、特に制限はない。
制御ユニット50は、さらに、モータ56を作動させてガイドレール8を移動させたときに負荷検出部50cで検出されるモータ56にかかる負荷に基づいて、一対のガイドレール8上に被加工物1が存在するか否かの判定を実施する判定部50bを備える。ここで、判定部50bが判定を実施するに際し、モータ56にかかる負荷を利用できることについて説明する。
ガイドレール8上に被加工物1(フレームユニット11)が存在する場合、被加工物1の重量がガイドレール8に印加される。そのため、このときにモータ56を作動させてある速度でガイドレール8を移動させようとしたとき、ガイドレール8上に被加工物1が存在しない場合と比較して極めて大きな負荷がモータ56にかかる。その一方で、ガイドレール8上に被加工物1が存在しない場合、ガイドレール8を移動させるモータ56にはそのような大きな負荷がかからない。
そのため、ガイドレール8を移動させるためにモータ56を作動させたときに検出されるモータ56の負荷に基づいて、ガイドレール8上に被加工物1が存在するか否かの判定が可能となる。
次に、判定部50bが実施する判定の手順について説明する。判定部50bは、例えば、負荷検出部50cが検出するモータ56にかかる負荷と、所定の閾値と、を比較する。そして、モータ56にかかる負荷が所定の閾値を超えている場合、ガイドレール8上に被加工物1が存在すると判定する。その一方で、モータ56にかかる負荷が所定の閾値を超えていない場合、ガイドレール8上に被加工物1が存在しないと判定する。
記憶部50aには、判定部50bで実施される判定の条件が登録される。より詳細には、記憶部50aには、ガイドレール8上に被加工物1が存在するか否かの判定の基準となるモータ56の負荷が所定の閾値として登録される。判定部50bは、記憶部50aに予め登録された所定の閾値を参照して、判定を実施する。
例えば、負荷検出部50cがモータ56にかかる負荷としてモータ56の出力トルクを検出する場合、判定部50bは、負荷検出部50cで検出されたモータ56の出力トルクに基づいて判定を実施する。この場合、記憶部50aには、判定の閾値となる出力トルクが所定の閾値として予め登録される。
ガイドレール8上に被加工物1が存在するか否かの判定部50bによる判定は、モータ56の作動を開始してすぐに実施され完了する。そのため、例えば、ガイドレール8上に被加工物1が存在する場合において、モータ56が作動してガイドレール8が互いに離れるように移動を開始しても、図4(C)に示すように被加工物1が開放される位置にガイドレール8が達する前に判定が完了する。
そして、制御ユニット50は、判定部50bがガイドレール8上に被加工物1が存在すると判定する場合、ガイドレール移動機構54を制御して直ちにモータ56を停止させる。この場合、図4(C)に示すように被加工物1が開放される位置に移動する前にガイドレール8が停止するため、被加工物1のガイドレール8からの落下が防止される。
なお、制御ユニット50は、判定部50bがガイドレール8上に被加工物1が存在すると判定する場合に、報知ユニットを制御して、その旨を切削装置(加工装置)2の使用者等に報知させる報知制御部50dを有してもよい。切削装置2が報知ユニットとして機能できるタッチパネル付きディスプレイ52を有する場合、報知制御部50dは、ガイドレール8上に被加工物1が残存する旨を警告する警告画面をタッチパネル付きディスプレイ52に表示させる。
ただし、報知制御部50dが制御する報知ユニットはこれに限定されない。例えば、切削装置(加工装置)2が報知ユニットとして、複数の色の光を発することのできる警報ランプを備える場合、報知制御部50dは警報ランプを制御する。そして、判定部50bがガイドレール8上に被加工物1が存在すると判定する場合に、報知制御部50dはこの警報ランプを制御して、警告を表す赤色を発するランプを点灯させる。
また、切削装置2が報知ユニットとして、警報音を発生できるブザーを備える場合、報知制御部50dはブザーを制御する。そして、判定部50bがガイドレール8上に被加工物1が存在すると判定する場合に、報知制御部50dはこのブザーを制御して、警報音を発生させる。
その一方で、制御ユニット50は、判定部50bがガイドレール8上に被加工物1が存在しないと判定する場合、モータ56を停止させない。例えば、切削装置(加工装置)2において被加工物1の加工中に稼働が停止し、その再稼働のために初期動作が実施されている場合、モータ56が停止せずガイドレール8の移動が継続され初期動作が継続される。この場合、報知制御部50dは報知ユニットに特に情報を報知させなくてもよく、報知ユニットに切削装置2が正常動作していることを報知させてもよい。
以上に説明する通り、本実施形態に係る加工装置は、制御ユニット50の判定部50bは、ガイドレール移動機構54がガイドレール8を移動させたときにモータ56にかかる負荷に基づいてガイドレール8上に被加工物1が存在するか否かを判定できる。そして、ガイドレール8上に被加工物1が存在する場合、判定部50bは被加工物1が存在すると判定する。この場合、制御ユニット50は直ちにガイドレール移動機構54を停止させることも可能であり、これにより被加工物1のガイドレール8からの落下を防止する。
なお、本発明は上記実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態では切削装置2を例に説明したが、本発明の一態様に係る加工装置はこれに限定されない。本発明の一態様に係る加工装置は、被加工物1をレーザ加工するレーザ加工装置や、被加工物1を研削砥石で研削する研削装置、被加工物1を研磨する研磨装置でもよい。
また、上記実施形態では、一度稼働が停止した加工装置の再稼働時における初期動作においてガイドレール8上に被加工物1が残存するか否かが判定されたが、判定は他のタイミングで実施されてもよい。例えば、収容カセット13に収容された被加工物1を次々に加工する通常動作において、ガイドレール8上に被加工物1が存在しないタイミングで判定が実施されてもよい。
再稼働時における初期動作以外にも、ガイドレール8上に被加工物1が残存すると問題となるタイミングがある。本発明の一態様に係る加工装置では、通常稼働時においてガイドレール8上に被加工物1が残存すると問題となるタイミングにおいて、モータ56の負荷に基づく判定が実施されてもよい。すなわち、本発明の一態様に係る加工装置における判定のタイミングに限定はない。
また、本発明の一態様に係る加工装置では、ガイドレール8上に被加工物1が残存することを確認するために判定部50bによる判定が実施されてもよい。例えば、仮置き領域10からチャックテーブル(保持テーブル)32に被加工物1を搬送する際に、または、仮置き領域10に戻された被加工物1を収容カセット13に収容する際に、仮置き領域10に被加工物1が存在することが確認されてもよい。
ガイドレール8上に被加工物1が存在するべきタイミングにおいてモータ56を作動させ、その負荷に基づいてガイドレール8上に被加工物1が存在することが確認されると、加工装置において通常の動作が継続されても問題がないことが確認される。
その一方で、そのようなタイミングにおいてガイドレール8上に被加工物1が存在しないことが確認された場合、被加工物1が予定された通りに搬送されず加工装置のいずれかの位置に滞留していることが考えられる。この場合、直ちに加工装置の稼働を停止させることで、被加工物1や加工装置に破損が生じる事態を回避できることもある。
その他、上述した実施形態や変形例等にかかる構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。