JP7848083B2 - 全固体二次電池用バインダー、全固体二次電池用バインダー組成物、全固体二次電池用スラリー、全固体二次電池用固体電解質シートおよびその製造方法、ならびに全固体二次電池およびその製造方法 - Google Patents
全固体二次電池用バインダー、全固体二次電池用バインダー組成物、全固体二次電池用スラリー、全固体二次電池用固体電解質シートおよびその製造方法、ならびに全固体二次電池およびその製造方法Info
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Description
芳香族ビニル化合物に基づく芳香族ビニル単位と、共役ジエン化合物に基づく共役ジエン単位とを有し、
下記一般式(1)で表される化合物と有機金属化合物との反応生成物である変性開始剤由来の官能基を含む、
共役ジエン系共重合体(A)を含有する。
れる官能基であり、nが2~5の整数の場合、複数のR5は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
前記共役ジエン系共重合体(A)が、下記一般式(2)または下記一般式(3)で表される変性剤由来官能基を更に含むことができる。
前記共役ジエン系共重合体(A)の結合スチレン含量が5~50%であることができる。
前記共役ジエン系共重合体(A)中の官能基の含有量が、0.0005モル/kg以上0.2モル/kg以下であることができる。
前記共役ジエン系共重合体(A)の数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が3以下であることができる。
前記いずれかの態様の全固体二次電池用バインダーと、液状媒体(B)とを含有し、
前記液状媒体(B)が、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン類、エステル類およびエーテル類よりなる群から選ばれる少なくとも1種である。
前記共役ジエン系共重合体(A)が前記液状媒体(B)に溶解してなるものであることができる。
前記態様の全固体二次電池用バインダー組成物と、固体電解質とを含有する。
前記固体電解質として、硫化物系固体電解質または酸化物系固体電解質を含有することができる。
正極活物質層と、固体電解質層と、負極活物質層とを少なくとも備え、
前記正極活物質層、前記固体電解質層、および前記負極活物質層の少なくともいずれか1層が、前記態様の全固体二次電池用スラリーを塗布および乾燥させて形成された層である。
基材上に、前記態様の全固体二次電池用スラリーを塗布および乾燥させて形成された層
を有する。
正極活物質層と、固体電解質層と、負極活物質層とを少なくとも備え、
前記正極活物質層、前記固体電解質層、および前記負極活物質層の少なくともいずれか1層が、前記態様の全固体二次電池用固体電解質シートで形成された層である。
前記態様の全固体二次電池用スラリーを基材上に塗布および乾燥させる工程を含む。
前記態様の全固体二次電池用固体電解質シートの製造方法を介して全固体二次電池を製造する。
本発明の一実施形態に係る全固体二次電池用バインダーは、芳香族ビニル化合物に基づく芳香族ビニル単位と、共役ジエン化合物に基づく共役ジエン単位とを有し、下記一般式(1)で表される化合物と有機金属化合物との反応生成物である変性開始剤由来の官能基を含む、共役ジエン系共重合体(A)を含有する。
共役ジエン系共重合体(A)は、芳香族ビニル化合物に基づく芳香族ビニル単位と、共役ジエン化合物に基づく共役ジエン単位とを有し、片末端に下記一般式(1)で表される化合物と有機金属化合物との反応生成物である変性開始剤由来の官能基を含む。
5~30のシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数3~30のヘテロ環基である。
し単位であってもよい。前記共役ジエン化合物とは異なるジエン系単量体としては、例えば1,2-ブタジエンが挙げられる。共役ジエン系共重合体(A)がジエン系単量体をさらに含む共重合体である場合、ジエン系単量体由来の繰り返し単位の含有割合は、好ましくは0超~1質量%、より好ましくは0超~0.1質量%、さらにより好ましくは0超~0.01質量%、特に好ましくは0超~0.001質量%である。ジエン系単量体由来の繰り返し単位の含有割合が前記範囲内にあると、ゲル生成を防止できる場合がある。
合物性が低下する問題があり、特に加工性が顕著に低下し得る。
まず、試料約0.7gを白金るつぼに入れ、濃硫酸(98重量%)約1mLを入れ、300℃で3時間加熱して、試料を電気炉で、下記ステップ1~3のプログラムで灰化を進めた。
1)ステップ1:初期温度0℃、昇温速度180℃/時間、保持時間180℃で1時間。2)ステップ2:初期温度180℃、昇温速度85℃/時間、保持時間370℃で2時間。3)ステップ3:初期温度370℃、昇温速度47℃/時間、保持時間510℃で3時間。
次いで、残留物に濃硝酸(48重量%)1mL、濃フッ酸(50重量%)20μLを加え、白金るつぼを密封して30分以上振ってから、試料にホウ酸1mLを入れて0℃で2時間以上保管した後、超純水30mLに希釈し、灰化を進めたものを測定した。
極微量窒素定量分析器(Horizontalfurnace、PMT&Nitrogendetector)をつけてArを250mL/min、O2を350mL/min、オゾナイザー300mL/minでキャリアガス流量を設定し、ヒーターを800℃に設定した後、約3時間待機して分析器を安定化させた。分析器が安定化された後、Nitrogenstandard(AccuStandardS-22750-01-5ml)を用いて検量線の範囲5ppm、10ppm、50ppm、100ppmおよび500ppmの検量線を作成して各濃度に該当するAreaを得た後、濃度対Areaの割合を用いて直線を作成した。その後、試料20mg入りのセラミックボートを前記分析器のAutosamplerに置いて測定してAreaを得た。得られた試料のAreaと前記検量線を用いてN含量を計算した。
マトグラムを測定し、溶液粘度および光散乱法に基づいて算出したものである。具体的には、ポリスチレン系ゲルを充填剤にした、カラム2本が連結された光散乱検出器および粘度検出器が備えられたGPC光散乱測定装置を用いて、絶対分子量と、各絶対分子量に該当する固有粘度とを得て、前記絶対分子量に該当する線形重合体の固有粘度を算出した後、各絶対分子量に対応する固有粘度の比として収縮因子を求めた。収縮因子は、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラム2本が連結された光散乱検出器および粘度検出器が備えられたGPC光散乱測定装置(ViscotekTDAmax、Malvern社製)に試料を注入し、光散乱検出器から絶対分子量を得て、光散乱検出器と粘度検出器から絶対分子量に対する固有粘度[η]を得た後、下記式(4)から前記絶対分子量に対する線形重合体の固有粘度[η]0を算出し、各絶対分子量に対応する固有粘度の比([η]/[η]0)の平均値を収縮因子として示した。このとき、溶離液は、テトラヒドロフランとN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンの混合溶液(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン20mLをテトラヒドロフラン1Lに混合させて調整する)を用いて、カラムはPLOlexix(Agilent社製)を用い、オーブンの温度40℃、THF流量1.0mL/分の条件で測定し、試料は10mLのTHFに重合体15mgを溶解させて準備した。
(上記式(4)中、Mは絶対分子量である。)
物であることがより好ましい。
ラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-(トリメチルシリル)シランアミン)、N,N’-((1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-(トリメチルシリル)シランアミン)、N,N’-((1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-フェニルシランアミン)、N,N’-((1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-フェニルシランアミン)、およびN,N’-((1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-フェニルシランアミン等が挙げられ、これらの中から選択される1種以上を使用することができる。
以下、共役ジエン系共重合体(A)の製造方法について説明する。
率の調節が容易となる。これにより、重合体の分子量分布を狭く調節することができ、物性の改善に優れることがある。
<結合スチレン含量>
共役ジエン系共重合体(A)の結合スチレン含量の下限値は、好ましくは5%であり、より好ましくは8%であり、特に好ましくは10%である。共役ジエン系共重合体(A)
の結合スチレン含量の上限値は、好ましくは50%であり、より好ましくは45%であり、特に好ましくは40%である。共役ジエン系共重合体(A)の結合スチレン含量が上記範囲内であると、電極の良好な密着性と柔軟性の両立を図ることができる。なお、結合スチレン含量は、1H-NMR測定によって測定することができる。
共役ジエン系共重合体(A)は、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子およびスズ原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子(以下、「特定原子」ともいう。)を含む官能基を有していてもよい。共役ジエン系共重合体(A)が、官能基を有していることで、得られる全固体二次電池用バインダーが、集電体および固体電解質材料等に対して優れた密着性を発揮できる場合がある。
ルミル基、トリメトキシゲルミル基、およびトリエトキシゲルミル基が特に好ましい。
共役ジエン系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1.0×105~2.0×106であり、より好ましくは1.0×105~1.5×106であり、特に好ましくは1.5×105~1.0×106である。重量平均分子量(Mw)が上記下限値以上であると、電極の密着性が向上しやすい傾向にある。重量平均分子量(Mw)が上記上限値以下であると、電極の柔軟性が保たれる傾向にある。なお、本明細書において、「重量平均分子量(Mw)」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量のことをいう。
共役ジエン系共重合体(A)の数平均分子量(Mn)は、1.0×105~1.5×106であり、より好ましくは1.0×105~1.0×106であり、特に好ましくは1.5×105~5.0×105である。数平均分子量(Mn)が上記下限値以上であると、電極の密着性が向上しやすい傾向にある。数平均分子量(Mn)が上記上限値以下であると、電極の柔軟性が保たれる傾向にある。なお、本明細書において、「数平均分子量(Mn)」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の数平均分子量のことをいう。
共役ジエン系共重合体(A)の数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)は、好ましくは3.0以下であり、より好ましくは1.0以上2.0以下であり、特に好ましくは1.1以上1.7以下である。Mw/Mnの値が前記範囲にあると、引張特性および粘弾性特性に優れ、各物性のバランスに優れる場合がある。
本発明の一実施形態に係る全固体二次電池用バインダー組成物は、上述の全固体二次電池用バインダーと、液状媒体(B)とを含有する。以下、本実施形態に係る全固体二次電池用バインダー組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。なお、全固体二次電池用バインダーについては、上述したので詳細な説明を省略する。
液状媒体(B)としては、特に限定されないが、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン等の脂環式炭化水素;トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、テトラリン等の芳香族炭化水素;3-ペンタノン、4-ヘプタノン、メチルヘキシルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;酢酸ブチル、酪酸ブチル、ブタン酸メチル、ペンタン酸ブチル、ヘキサン酸ブチル、酪酸ペンチル、ペンタン酸ペンチル、ヘキサン酸ペンチル、酪酸ヘキシル、ペンタン酸ヘキシル、ヘキサン酸ヘキシル等のエステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール等のエーテル類などを用いることができる。これらの溶媒は、1種単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係る全固体二次電池用バインダー組成物は、必要に応じて、老化防止剤、増粘剤等の添加剤を含有してもよい。
老化防止剤としては、例えば、フェノール系老化防止剤、アミン系老化防止剤、キノン系老化防止剤、リン系老化防止剤、硫黄系老化防止剤、フェノチアジン系老化防止剤などが挙げられる。これらの中でも、フェノール系老化防止剤、アミン系老化防止剤が好ましい。これらの老化防止剤は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-エチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、スチレン化フェノール、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2-メチル-4,6-ビス[(n-オクチルチオ)メチル]フェノール、2,4-ビス(ドデシルチオメチル)-6-メチルフェノール、2-tert-ブチル-6-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニル=アクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニル=アクリレートが挙げられる。
本実施形態に係る全固体二次電池用バインダー組成物が増粘剤を含有することにより、その塗布性や得られる全固体二次電池の充放電特性を更に向上できる場合がある。
本実施形態に係る全固体二次電池用バインダー組成物は、共役ジエン系共重合体(A)に液状媒体(B)を加え、必要に応じてその他の添加剤を更に加え、適宜撹拌を行って共役ジエン系共重合体(A)を液状媒体(B)中に溶解または分散させる方法により調製することができる。
金属粒子の元素を、X線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて元素分析し、その金属を溶解できる酸で溶解させたものをICP(Inductively Coupled Plasma)を用いて測定することができる。
本発明の一実施形態に係る全固体二次電池用スラリーは、上述の全固体二次電池用バインダー組成物と、固体電解質とを含有する。本実施形態に係る全固体二次電池用スラリーは、正極活物質層および負極活物質層のいずれの活物質層を形成するための材料として使用することもできるし、また固体電解質層を形成するための材料として使用することもできる。
<正極活物質>
正極活物質としては、例えば、MnO2、MoO3、V2O5、V6O13、Fe2O3、Fe3O4、Li(1-x)CoO2、Li(1-x)NiO2、LixCoySnzO2、Li(1-x)Co(1-y)NiyO2、Li(1+x)Ni1/3Co1/3Mn1/3O2、TiS2、TiS3、MoS3、FeS2、CuF2、NiF2等の無機化合物;フッ化カーボン、グラファイト、気相成長炭素繊維および/またはその粉砕物、PAN系炭素繊維および/またはその粉砕物、ピッチ系炭素繊維および/またはその粉砕物等の炭素材料;ポリアセチレン、ポリ-p-フェニレン等の導電性高分子などを用いることができる。これらの正極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
負極活物質としては、可逆的にリチウムイオン等を吸蔵・放出できるものであれば特に限定されないが、例えば、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、Sn、SiもしくはIn等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。これらの中でも、信頼性の点から炭素質材料が、電池容量を大きくできる点からケイ素含有材料が、好ましく用いられる。
本実施形態に係る全固体二次電池用スラリーは、固体電解質を含有する。固体電解質としては、一般に全固体二次電池に使用される固体電解質を適宜選択して用いることができるが、硫化物系固体電解質または酸化物系固体電解質であることが好ましい。
しい。ただし、前記正極活物質または前記負極活物質とともに用いるときには、その総和が上記の濃度範囲となることが好ましい。
硫化物系固体電解質は、硫黄原子(S)および周期表第1族または第2族の金属元素を含み、イオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。このような硫化物系固体電解質としては、例えば、下記一般式(6)で表される組成式の硫化物系固体電解質が挙げられる。
LiaMbPcSd ・・・・・(6)
(式(6)中、Mは、B、Zn、Si、Cu、GaおよびGeから選択される元素を表す。a~dは各元素の組成比を表し、a:b:c:d=1~12:0~1:1:2~9を満たす。)
又はA.Hayashi,S.Hama,H.Morimoto,M.Tatsumisago,T.Minami,Chem.Lett.,(2001),pp872-873等の文献を参考にして合成することができる。
酸化物系固体電解質は、酸素原子(O)および周期表第1族または第2族の金属元素を含み、イオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。このような酸化物系固体電解質としては、例えば、LixaLayaTiO3〔xa=0.3~0.7、ya=0.3~0.7〕(LLT)、Li7La3Zr2O12(LLZ)、LISICON(Lithium Super Ionic Conductor)型結晶構造を有するLi3.5Zn0.25GeO4、NASICON(Natrium Super Ionic Conductor)型結晶構造を有するLiTi2P3O12、Li(1+xb+yb)(Al,Ga)xb(Ti,Ge)(2-xb)SiybP(3-yb)O12(ただし、0≦xb≦1、0≦yb≦1)、ガーネット型結晶構造を有するLi7La3Zr2O12が挙げられる。
本実施形態に係る全固体二次電池用スラリーは、上述した成分以外に、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、導電助剤、増粘剤、液状媒体(ただし、全固体二次電池用バインダー組成物からの持ち込み分を除く。)等が挙げられる。
導電助剤は、電子の導電性を補助する効果を有するために、正極活物質層または負極活物質層を形成するための全固体二次電池用スラリーに添加される。導電助剤の具体例としては、活性炭、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、黒鉛、炭素繊維、フラーレン等のカーボンが挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラック、ファーネスブラックが好ましい。本実施形態に係る全固体二次電池用スラリーが導電助剤を含有する場合、導電助剤の含有割合は、活物質100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、1~15質量部であることがより好ましく、2~10質量部であることが特に好ましい。
増粘剤の具体例としては、上述の「2.2.その他の添加剤」の<増粘剤>の項で例示
した増粘剤が挙げられる。本実施形態に係る全固体二次電池用スラリーが増粘剤を含有する場合、増粘剤の含有割合は、全固体二次電池用スラリーの全固形分量100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、0.1~3質量部であることがより好ましい。
液状媒体の具体例としては、上述の「2.1.液状媒体(B)」の項で例示した液状媒体が挙げられる。本実施形態に係る全固体二次電池用スラリーに液状媒体を添加する場合、全固体二次電池用バインダー組成物に含まれる液状媒体(B)と同一の液状媒体を添加してもよく、異なる液状媒体を添加してもよいが、同一の液状媒体を添加することが好ましい。本実施形態に係る全固体二次電池用スラリー中の液状媒体の含有割合は、その塗布性を良好なものとし、塗布後の乾燥処理における共役ジエン系共重合体(A)や活物質の濃度勾配を抑制するために、任意の割合に調整することができる。
本実施形態に係る全固体二次電池用スラリーは、上述の全固体二次電池用バインダー組成物と固体電解質とを含有するものである限り、どのような方法によって製造されたものであってもよい。
本発明の一実施形態に係る固体電解質シートは、基材上に上述の全固体二次電池用スラリーを塗布および乾燥させて形成された層を有するものである。
体二次電池の構成部材の表面に、固体電解質を含有する全固体二次電池用スラリーを直接塗布、乾燥させて、固体電解質シートを成型することもできる。
(1)上述した方法により、基材の一方の面に固体電解質層を形成させる。これを二つに分割して、同じ固体電解質層を有する固体電解質シートを二つ作成する。
(2)あらかじめ準備しておいたアルミ板上に両面テープ(ニチバン株式会社製、品番「NW-25」)を貼り付け、さらに同両面テープの上にカプトンテープ(株式会社テラオカ製、品番「650S」)を粘着面が上になるようにして貼り付ける。
(3)(2)で用意したカプトンテープの粘着面上に、(1)で作成した固体電解質シートの一つの固体電解質層側と貼り合わせ、ローラーで圧着させる。
(4)基材を上に向けて(3)で作成されたアルミ板を水平面に固定した後、基材を上方向にアルミ板との角度が90°となるように一定速度で引き上げ、基材と固体電解質層との接着面から基材を剥離する。
(5)剥離した界面の両側、すなわち基材に残存した固体電解質層の表面から深さ1.5μm(1.5μm以下の厚さしか残存しなかった場合はその残存した全て)までの固体電解質層および、粘着テープに残存した固体電解質層表面から深さ1.5μmまでの固体電解質層を掻き取り、それを「測定試料A」とする。
(6)(1)で作成したもう一方の固体電解質シートから固体電解質層を全て掻き取り、それを「測定試料B」とする。
(7)測定試料Aおよび測定試料Bのそれぞれについて、高周波誘導加熱方式パイロライザーを有する熱分解ガスクロマトグラフィを用いて分析し、各試料の単位重量当たりの重合体成分の含有量(質量%)を算出する。得られた値を下記式(7)に代入することにより、重合体分布係数を算出する。
重合体分布係数=(測定試料Aの重合体含有量:質量%)/(測定試料Bの重合体含有量:質量%) ・・・・・(7)
の界面にバインダーとして機能する重合体成分が少なくなるため、基材と固体電解質層の密着性が低下する傾向がある。また、このようなブリード(移行)が起こることにより、固体電解質層表面の平滑性が損なわれる傾向がある。一方、重合体分布係数が前記範囲を超えると、基材と固体電解質層の界面に絶縁体であるバインダー成分が局在化することにより、固体電解質シートの内部抵抗が上昇して電気的特性が損なわれる傾向がある。
本発明の一実施形態に係る全固体二次電池用電極は、集電体と、前記集電体の表面上に上述の全固体二次電池用スラリーが塗布および乾燥されて形成された活物質層と、を備えるものである。かかる全固体二次電池用電極は、金属箔などの集電体の表面に、上述の全固体二次電池用スラリーを塗布して塗膜を形成し、次いで該塗膜を乾燥して活物質層を形成することにより製造することができる。このようにして製造された全固体二次電池用電極は、集電体上に、上述の共役ジエン系共重合体(A)、固体電解質、および活物質、さらに必要に応じて添加した任意成分を含有する活物質層が結着されてなるものであるから、柔軟性、耐擦性および粉落ち耐性に優れるとともに、良好な充放電耐久特性を示す。
よび/または負極として好適に用いられる。また、上述の全固体二次電池用スラリーを用いて形成された固体電解質層は、全固体二次電池用の固体電解質層として好適に用いられる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
以下の実施例および比較例において、各物性値の測定法は以下の通りである。
重合体中の1,2-ビニル結合含有量(単位:モル%)は、重水素化クロロホルムを溶媒として用い、500MHzの1H-NMRにより求めた。
重合体中の結合スチレン含量(単位:%)は、重水素化クロロホルムを溶媒として用い、500MHzの1H-NMRにより求めた。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(商品名「HLC-8120GPC」、東ソー株式会社製)を使用して得られたGPC曲線の最大ピークの頂点に相当する保持時間からポリスチレン換算で、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)をそれぞれ求め、Mw/Mnを算出した。
(GPCの条件)
・カラム:商品名「GMHXL」(東ソー社製)2本
・カラム温度:40℃
・移動相:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/分
・サンプル濃度:10mg/20mL
[製造例1]
真空乾燥させた4Lステンレススチール圧力容器2個を準備した。一番目の圧力容器にシクロヘキサン985g、下記式(1-3)で表される化合物120gおよびテトラメチルエチレンジアミン86gを投入し、第1反応溶液を製造した。これと同時に、二番目の圧力容器に液状の20重量%のn-ブチルリチウム318gおよびシクロヘキサン874gを投入し、第2反応溶液を製造した。このとき、下記式(1-3)で表される化合物、n-ブチルリチウムおよびテトラメチルエチレンジアミンのモル比は1:1:1であった。各圧力容器の圧力は、7barに維持させた状態で、質量流量計を用いて連続式反応器内に、第1連続式チャンネルに第1反応溶液を1.0g/minの注入速度で、第2連続式チャンネルに第2反応溶液を1.0g/minの注入速度でそれぞれ注入した。このとき、連続式反応器の温度は-10℃を維持し、内部圧力は、バックプレッシャーレギュレーターを用いて3barを維持し、反応器内の滞留時間は10分以内になるように調節した。反応を終了して変性開始剤を得た。
真空乾燥させた4Lステンレススチール圧力容器2個を準備した。一番目の圧力容器にシクロヘキサン944g、下記式(1-1)で表される化合物161gおよびテトラメチルエチレンジアミン86gを投入し、第1反応溶液を製造した。これと同時に、二番目の圧力容器に液状の20重量%のn-ブチルリチウム318gおよびシクロヘキサン874gを投入し、第2反応溶液を製造した。このとき、下記式(1-1)で表される化合物、n-ブチルリチウムおよびテトラメチルエチレンジアミンのモル比は1:1:1であった。各圧力容器の圧力は7barに維持させた状態で、質量流量計を用いて連続式反応器内に、第1連続式チャンネルに第1反応溶液を1.0g/minの注入速度で、第2連続式チャンネルに第2反応溶液を1.0g/minの注入速度でそれぞれ注入した。このとき、連続式反応器の温度は-10℃を維持し、内部圧力は、バックプレッシャーレギュレーターを用いて3barを維持し、反応器内の滞留時間は10分以内になるように調節した。反応を終了して変性開始剤を得た。
真空乾燥させた4Lステンレススチール圧力容器2個を準備した。一番目の圧力容器にシクロヘキサン898g、下記式(1-2)で表される化合物207gおよびテトラメチルエチレンジアミン86gを投入し、第1反応溶液を製造した。これと同時に、二番目の圧力容器に液状の20重量%のn-ブチルリチウム318gおよびシクロヘキサン874gを投入し、第2反応溶液を製造した。このとき、下記式(1-2)で表される化合物、n-ブチルリチウムおよびテトラメチルエチレンジアミンのモル比は1:1:1であった。各圧力容器の圧力は7barに維持させた状態で、質量流量計を用いて連続式反応器内に、第1連続式チャンネルに第1反応溶液を1.0g/minの注入速度で、第2連続式チャンネルに第2反応溶液を1.0g/minの注入速度でそれぞれ注入した。このとき、連続式反応器の温度は-10℃を維持し、内部圧力は、バックプレッシャーレギュレーターを用いて3barを維持し、反応器内の滞留時間は10分以内になるように調節した。反応を終了して変性開始剤を得た。
<合成例1>
3器の反応器が直列で連結された連続反応器のうち第1反応器に、n-ヘキサンにスチレンが60重量%で溶解されているスチレン溶液を3.08kg/h、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を12.90kg/h、n-ヘキサン47.66kg/h、n-ヘキサンに1,2-ブタジエンが2.0重量%で溶解されている1,2-ブタジエン溶液を10g/h、極性添加剤として、n-ヘキサンに2,2-(ジ-2(テトラヒドロフリル)プロパンが10重量%で溶解されている溶液を10.0g/h、製造例1で製造された変性開始剤を292.50g/hの速度で注入した。このとき、第1反応器の温度は50℃となるように維持し、重合転化率が43%となったとき、移送配管を介して、第1反応器から第2反応器へ重合物を移送した。
変性剤として、N,N-ビス(3-(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)-メチル-1-アミンの代りに3,3’-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)が溶解されている溶液を第3反応器に連続的に供給したこと以外は、前記合成例1と同様に実施し、共役ジエン系共重合体(A-2)を製造した[変性剤:aca.Li=1:1mol]。
合成例1において、変性開始剤として、製造例1で製造された変性開始剤の代わりに、製造例2で製造された変性開始剤を292.5g/hの速度で第1反応器に連続的に供給したこと以外は、前記実施例1と同様に実施し、共役ジエン系共重合体(A-3)を製造した。
合成例1において、変性開始剤として、製造例1で製造された変性開始剤の代わりに、製造例3で製造された変性開始剤を292.5g/hの速度で第1反応器に連続的に供給したこと以外は、前記合成例1と同様に実施し、共役ジエン系共重合体(A-4)を製造した。
合成例1において、変性剤として、N,N-ビス(3-(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)-メチル-1-アミンの代わりに、3-(ジメトキシ(メチル)シリル)-N,N-ジエチルプロパン-1-アミンが溶解されている溶液を第3反応器に連続的に供給したこと以外は、前記合成例1と同様に実施し、共役ジエン系共重合体(A-5)を製造した[変性剤:aca.Li=1:1mol]。
3器の反応器が直列で連結された連続反応器のうち第1反応器に、n-ヘキサンにスチレンが60重量%で溶解されているスチレン溶液を6.58kg/h、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を9.58kg/h、n-ヘキサン47.66kg/h、n-ヘキサンに1,2-ブタジエンが2.0重量%で溶解されている1,2-ブタジエン溶液を10g/h、極性添加剤として、n-ヘキサンに2,2-(ジ-2(テトラヒドロフリル)プロパンが10重量%で溶解されている溶液を10.0g/h、製造例1で製造された変性開始剤を292.5g/hの速度で注入した。このとき、第1反応器の温度は50℃となるように維持し、重合転化率が43%となったとき、移送配管を介して、第1反応器から第2反応器へ重合物を移送した。
を第3反応器に投入した[変性剤:act.Li=1:1mol]。第3反応器の温度は、65℃となるように維持した。
合成例6において、重合転化率が41%となったとき、移送配管を介して第1反応器から第2反応器へ重合物を移送し、変性剤として3,3’-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)が溶解されている溶液を第3反応器に投入[変性剤:act.Li=1:1mol]したこと以外は、合成例6と同様に実施し、共役ジエン系共重合体(A-7)を製造した。
合成例1において、N,N-ビス(3-(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)-メチル-1-アミンが溶解されている溶液を第3反応器に投入しないこと以外は、合成例1と同様に実施し、共役ジエン系共重合体(A-8)を製造した。
3器の反応器が直列で連結された連続反応器のうち第1反応器に、n-ヘキサンにスチレンが60重量%で溶解されているスチレン溶液を3.08kg/h、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を12.90kg/h、n-ヘキサン47.66kg/h、n-ヘキサンに1,2-ブタジエンが2.0重量%で溶解されている1,2-ブタジエン溶液を10g/h、極性添加剤として、n-ヘキサンに2,2-(ジ-2(テトラヒドロフリル)プロパンが10重量%で溶解されている溶液を10.0g/h、重合開始剤として、n-ヘキサンにn-ブチルリチウムが15重量%で溶解されているn-ブチルリチウム溶液を39.0g/hの速度で注入した。このとき、第1反応器の温度は55℃となるように維持し、重合転化率が48%となったとき、移送配管を介して、第1反応器から第2反応器へ重合物を移送した。
3器の反応器が直列で連結された連続反応器のうち第1反応器に、n-ヘキサンにスチレンが60重量%で溶解されているスチレン溶液を6.58kg/h、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を9.58kg
/h、n-ヘキサン47.66kg/h、n-ヘキサンに1,2-ブタジエンが2.0重量%で溶解されている1,2-ブタジエン溶液を10g/h、極性添加剤として、n-ヘキサンに2,2-(ジ-2(テトラヒドロフリル)プロパンが10重量%で溶解されている溶液を10.0g/h、重合開始剤として、n-ヘキサンにn-ブチルリチウムが15重量%で溶解されているn-ブチルリチウム溶液を39.0g/hの速度で注入した。このとき、第1反応器の温度は55℃となるように維持し、重合転化率が48%となったとき、移送配管を介して、第1反応器から第2反応器へ重合物を移送した。
合成例1において、製造例1で製造された変性開始剤の代わりに、n-ヘキサンにn-ブチルリチウムが15重量%で溶解されているn-ブチルリチウム溶液を39.0g/hの速度で第1反応器に連続的に投入したこと以外は、合成例1と同様に実施し、共役ジエン系共重合体(A-11)を製造した。
6.4.1.全固体二次電池用バインダー組成物の調製
上記合成例1で得た共役ジエン系共重合体(A-1)と、老化防止剤としてスミライザーGM500ppmと、を液状媒体(B)であるジイソブチルケトン中に添加し、90℃で3時間撹拌することにより、共役ジエン系共重合体(A-1)と老化防止剤をジイソブチルケトンに溶解させた。その後、この溶液を3つ口フラスコに移し、100Torrの減圧を維持しながら、水蒸気含有量が25.0mg/L以下の乾燥窒素ガスのバブリングを90℃で4時間行い、残留水分量を55ppmまで減らした全固体二次電池用バインダー組成物を調製した。次いで、このバインダー組成物を、平均孔径が3.00μmであるフィルター膜を有するカートリッジフィルター(アドバンテック社製、オールフッ素樹脂カートリッジフィルター、製品名「TCF-300-H5MF」)を透過させ、アイセロ化学株式会社より市販されている1Lのクリーンバリア(登録商標)ボトル(超高純度溶剤用バリア性容器)に充填した。このバインダー組成物全体を100質量%としたときの、全固形分は10.1%である。なお、この調製作業は、清浄度クラスがISO14644-1のクラス7、室内露点が-40℃DP以下のドライルーム内で実施した。
<全固体二次電池正極用スラリーの調製>
正極活物質としてLiCoO2(平均粒子径:10μm)70質量部と、固体電解質としてLi2SとP2S5からなる硫化物ガラス(Li2S/P2S5=75mol%/25mol%、平均粒子径5μm)30質量部と、導電助剤としてアセチレンブラック2質量部と、上記で調製したバインダー組成物を固形分相当で2質量部とを混合し、さらにジ
イソブチルケトンを加えて、固形分濃度を75%に調整した後に自転公転ミキサー(THINKY社製、あわとり練太郎ARV-310)で10分間混合して全固体二次電池正極用スラリーを調製した。
固体電解質としてLi2SとP2S5からなる硫化物ガラス(Li2S/P2S5=75mol%/25mol%、平均粒子径5μm)100質量部と、上記で調製したバインダー組成物を固形分相当で2質量部とを混合し、さらにジイソブチルケトンを加えて、固形分濃度を55%に調整した後に自転公転ミキサー(THINKY社製、あわとり練太郎ARV-310)で10分間混合して全固体二次電池固体電解質層用スラリーを調製した。
負極活物質としての人造黒鉛(平均粒子径:20μm)65質量部、固体電解質としてLi2SとP2S5からなる硫化物ガラス(Li2S/P2S5=75mol%/25mol%、平均粒子径5μm)35質量部と、上記で調製したバインダー組成物を固形分相当で2質量部とを混合し、さらにジイソブチルケトンを加えて、固形分濃度を65%に調整した後に自転公転ミキサー(THINKY社製、あわとり練太郎ARV-310)で10分間混合して全固体二次電池負極用スラリーを調製した。
上記で得られた全固体二次電池固体電解質層用スラリーについて、調製後5分以内に50rpmのB型粘度計(東機産業株式会社製)により25℃にて粘度測定を行い、その粘度をη0とした。この全固体二次電池固体電解質層用スラリーを25℃に調温した恒温槽で48時間保管し、保管後のスラリーを50rpmのB型粘度計(東機産業株式会社製)により25℃にて粘度測定を行い、その粘度をη1とした。このときの粘度変化率Δη(%)=(η1/η0)×100を算出し、下記基準により評価した。結果を下表1に示す。粘度変化率Δηが小さいものほどスラリーの分散安定性に優れている。
(評価基準)
AA:Δηが80%以上120%未満。
A:Δηが70%以上80%未満または120%以上130%未満。
B:Δηが60%以上70%未満または130%以上140%未満。
C:Δηが60%未満または140%以上。
<全固体二次電池正極の作製>
上記で調製した全固体二次電池正極用スラリーをドクターブレード法によりアルミニウム箔上に塗布し、120℃の減圧下でジイソブチルケトンを蒸発させて3時間かけて乾燥させることにより、厚み0.1mmの正極活物質層が形成された全固体二次電池正極を作製した。
上記で調製した全固体二次電池固体電解質用スラリーをドクターブレード法により離型PETフィルム上に塗布し、120℃の減圧下でジイソブチルケトンを蒸発させて3時間かけて乾燥させることにより、厚み0.1mmの固体電解質層を作製した。
上記で調製した全固体二次電池負極用スラリーをドクターブレード法によりステンレス箔上に塗布し、120℃の減圧下でジイソブチルケトンを蒸発させて3時間かけて乾燥させることにより、厚み0.1mmの負極活物質層が形成された全固体二次電池負極を作製
した。
上記で得られた全固体二次電池正極のアルミニウム箔上に形成された正極活物質層について、正極活物質層上に幅20mmのテープを貼り、これを剥離角度90°、剥離速度50mm/minの条件で剥離するときの剥離強度を測定した。評価基準は下記の通りである。結果を下表1に示す。
(評価基準)
AA:剥離強度が20N/m以上。
A:剥離強度が10N/m以上20N/m未満。
B:剥離強度が5N/m以上10N/m未満。
C:剥離強度が5N/m未満。
上記で得られた全固体二次電池正極のアルミニウム箔上に形成された正極活物質層について、正極活物質層の厚さ方向における重合体分布係数を以下のようにして算出した。
まず、得られた全固体二次電池正極を二つに分割した。次いで、あらかじめ準備しておいた70mm×150mmのアルミ板に、両面テープ(株式会社ニチバン製、品番「NW-25」)を120mm、さらに同両面テープの上にカプトンテープ(株式会社テラオカ製、品番「650S」)を粘着面が上になるようにして貼り付けた固定用ステージを作成した。この固定用ステージの上に、得られた全固体二次電池正極を20mm×100mmの大きさに切り出した試験片の活物質層側を貼り付け、ローラーで圧着させた。この試験片が固定された固定ステージを水平面に載置し、試験片を上方向に固定ステージとの角度が90°となるように一定速度で引き上げ、接着面から集電体を剥離させた。その後、集電体側に残存した活物質層の表面から深さ1.5μmおよび粘着テープ側に残存した活物質表面から深さ1.5μmまでの活物質層を掻き取り、これを測定試料Aとした。一方、分割しておいたもう一つの電極から活物質層を全て掻き取り、これを測定試料Bとした。測定試料Aおよび測定試料Bのそれぞれについて、高周波誘導加熱方式パイロライザーを有する熱分解ガスクロマトグラフィにて分析し、各試料の単位重量当たりの重合体成分の含有量(質量%)を算出した。得られた値を下記式(7)に代入することにより、重合体分布係数を算出し、下記基準により評価した。結果を下表1に示す。
重合体分布係数=(測定試料Aの重合体含有量:質量%)/(測定試料Bの重合体含有量:質量%) ・・・・・(7)
(評価基準)
AA:重合体分布係数が0.85以上1.0未満。
A:重合体分布係数が0.7以上0.85未満。
B:重合体分布係数が0.55以上0.7未満。
C:重合体分布係数が0.55未満。
正極試験片のアルミニウム箔側を直径1.0mmの金属棒に沿わせ、この金属棒に巻き付けて正極活物質層が割れるか否か、巻き付け端部に損傷があるか否かを評価した。評価基準は下記の通りである。結果を下表1に示す。正極活物質層の損傷が見られないものは、試験片の柔軟性が高く、全固体二次電池組み立てのプロセス適性が良好であることを示す。
(評価基準)
A:正極活物質層の割れなし、巻き付け端部の損傷なし。
B:正極活物質層の割れなし、巻き付け端部の損傷あり。
C:正極活物質層の割れあり。
PETフィルムから剥がした固体電解質層を2枚のステンレス鋼製の平板からなるセルで挟み、インピーダンスアナライザーを使用して測定し、ナイキストプロットからリチウムイオン伝導度を算出した。評価基準は下記の通りである。結果を下表1に示す。リチウムイオン伝導度が大きい程、電池性能が良好な全固体二次電池が得られることを示す。
(評価基準)
AA:リチウムイオン伝導度が0.8×10-4S/cm以上1.0×10-4S/cm以下。
A:リチウムイオン伝導度が0.5×10-4S/cm以上0.8×10-4S/cm未満。
B:リチウムイオン伝導度が0.2×10-4S/cm以上0.5×10-4S/cm未満。
C:リチウムイオン伝導度が0.2×10-4S/cm未満。
<全固体二次電池の作製>
上記で作製した全固体二次電池正極を直径13mmの円板状に切り出し、全固体二次電池負極とPETフィルムから剥がした固体電解質層を直径15mmの円板状に切り出した。次に、全固体二次電池正極の正極活物質層の面が固体電解質層と接するように、全固体二次電池正極を固体電解質層の一方の面に貼り合わせた。全固体二次電池負極の負極活物質層の面が固体電解質層と接するように、全固体二次電池負極を固体電解質層のもう一方の面に貼り合わせ、ヒートプレス機を用いて、加熱(120℃)しながら加圧し(600MPa、1分)、アルミニウム箔/正極活物質層/固体電解質層/負極活物質層/ステンレス箔の積層構造を有する全固体二次電池用積層体を作製した。次いで、このようにして作製した全固体二次電池用積層体をスペーサーとワッシャーを組み込んだステンレス製の2032型コインケースに入れ、2032型コインケースをかしめることで、全固体二次電池を作製した。
上記で作製した全固体二次電池を用い、30℃の環境下、充放電試験を実施した。充放電は、4.2V~3.0Vの電位範囲で、0.1Cレートで測定を行った。この0.1Cレートの充放電を繰り返し行い、1サイクル目の放電容量をA(mAh/g)、20サイクル目の放電容量をB(mAh/g)としたとき、20サイクル後の容量維持率を下記式(8)によって算出した。評価基準は以下の通りである。結果を下表1に示す。
20サイクル後の容量維持率(%)=(B/A)×100 ・・・・・(8)
なお、CレートのCとは時間率であり、(1/X)C=定格容量(Ah)/X(h)と定義される。Xは定格容量分の電気を充電又は放電する際の時間を表す。例えば、0.1Cとは、電流値が定格容量(Ah)/10(h)であることを意味する。
(評価基準)
AA:容量維持率が95%以上100%以下。
A:容量維持率が90%以上95%未満。
B:容量維持率が85%以上90%未満。
C:容量維持率が85%未満。
使用する成分の種類および量を下表1に記載した通りとした以外は、上記実施例1と同様にして、全固体二次電池用バインダー組成物、全固体二次電池用スラリー、全固体二次電池正負極・固体電解質層および全固体二次電池を作製し、評価を行った。
物性、ならびに各評価結果をまとめた。
<開始剤>
・開始剤a:製造例1で合成した変性開始剤
・開始剤b:製造例2で合成した変性開始剤
・開始剤c:製造例3で合成した変性開始剤
・開始剤d:n-ブチルリチウム
<変性剤>
・変性剤A:N,N―ビス(3-(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)-メチル-1-アミン
・変性剤B:3,3’―(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)
・変性剤C:3(ジメトキシ(メチル)シリル)-N,N-ジエチルプロパン-1-アミン
・カップリング剤D:ジクロロジメチルシラン
Claims (14)
- 芳香族ビニル化合物に基づく芳香族ビニル単位と、共役ジエン化合物に基づく共役ジエン単位とを有し、
下記一般式(1)で表される化合物と有機金属化合物との反応生成物である変性開始剤由来の官能基を含む、
共役ジエン系共重合体(A)を含有する、全固体二次電池用バインダー。
(上記式(1)中、R1~R3は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数1~30のヘテロアルキル基、炭素数2~30のヘテロアルケニル基、炭素数2~30のヘテロアルキニル基、炭素数5~30のシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、または炭素数3~30のヘテロ環基である。R4は、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数5~20のシクロアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数5~20のアリレン基である。ここで、置換基は、炭素数1~10のアルキル基、炭素数5~10のシクロアルキル基、または炭素数6~20のアリール基である。R5は、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数1~30のヘテロアルキル基、炭素数2~30のヘテロアルケニル基、炭素数2~30のヘテロアルキニル基、炭素数5~30のシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数3~30のヘテロ環基、または下記一般式(1a)または下記一般式(1b)で表される官能基である。nは、1~5の整数であり、R5のうち少なくとも一つは、下記一般式(1a)または下記一般式(1b)で表される官能基であり、nが2~5の整数の場合、複数のR5は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
(上記一般式(1a)中、R6は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数5~20のシクロアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリレン基である。ここで、置換基は、炭素数1~10のアルキル基、炭素数5~10のシクロアルキル基、または炭素数6~20のアリール基である。R7およびR8は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数5~10のシクロアルキル基、または炭素数6~20のアリール基で置換されるかまたは非置換の炭素数1~20のアルキレン基である。R9は、水素、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数1~30のヘテロアルキル基、炭素数2~30のヘテロアルケニル基、炭素数2~30のヘテロアルキニル基、炭素数5~30のシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、または炭素数3~30のヘテロ環基である。Xは、N、OまたはS原子であり、XがOまたはSの場合、R9は存在しない。)
(上記一般式(1b)中、R10は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数5~20のシクロアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリレン基である。ここで、置換基は、炭素数1~10のアルキル基、炭素数5~10のシクロアルキル基、または炭素数6~20のアリール基である。R11およびR12は、それぞれ独立して、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数1~30のヘテロアルキル基、炭素数2~30のヘテロアルケニル基、炭素数2~30のヘテロアルキニル基、炭素数5~30のシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数3~30のヘテロ環基である。) - 前記共役ジエン系共重合体(A)が、下記一般式(2)または下記一般式(3)で表される変性剤由来官能基を更に含む、請求項1に記載の全固体二次電池用バインダー。
(上記式(2)中、R20は、単結合または炭素数1~10のアルキレン基である。R21およびR22は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基である。R23は、単結合または炭素数1~10のアルキレン基である。R24は、水素、炭素数1~10のアルキル基または炭素数1~10のアルキル基で置換された2価、3価もしくは4価のアルキルシリル基である。aは2または3の整数である。cは1~3の整数であり、bは0~2の整数で、かつ、b+c=3である。)
(上記式(3)中、A1およびA2は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキレン基である。R25~R28は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基である。L1~L4は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基で置換された2価、3価もしくは4価のアルキルシリル基、または炭素数1~20のアルキル基である。) - 前記共役ジエン系共重合体(A)の結合スチレン含量が5~50%である、請求項1に記載の全固体二次電池用バインダー。
- 前記共役ジエン系共重合体(A)中の官能基の含有量が、0.0005モル/kg以上0.2モル/kg以下である、請求項1に記載の全固体二次電池用バインダー。
- 前記共役ジエン系共重合体(A)の数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が3以下である、請求項1に記載の全固体二次電池用バインダー
。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の全固体二次電池用バインダーと、液状媒体(B)とを含有し、
前記液状媒体(B)が、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン類、エステル類およびエーテル類よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、全固体二次電池用バインダー組成物。 - 前記共役ジエン系共重合体(A)が前記液状媒体(B)に溶解してなる、請求項6に記載の全固体二次電池用バインダー組成物。
- 請求項6に記載の全固体二次電池用バインダー組成物と、固体電解質とを含有する、全固体二次電池用スラリー。
- 前記固体電解質として、硫化物系固体電解質または酸化物系固体電解質を含有する、請求項8に記載の全固体二次電池用スラリー。
- 正極活物質層と、固体電解質層と、負極活物質層とを少なくとも備える全固体二次電池において、
前記正極活物質層、前記固体電解質層、および前記負極活物質層の少なくともいずれか1層が、請求項8に記載の全固体二次電池用スラリーを塗布および乾燥させて形成された層である、全固体二次電池。 - 基材上に、請求項8に記載の全固体二次電池用スラリーを塗布および乾燥させて形成された層を有する、全固体二次電池用固体電解質シート。
- 正極活物質層と、固体電解質層と、負極活物質層とを少なくとも備える全固体二次電池において、
前記正極活物質層、前記固体電解質層、および前記負極活物質層の少なくともいずれか1層が、請求項11に記載の全固体二次電池用固体電解質シートで形成された層である、全固体二次電池。 - 請求項8に記載の全固体二次電池用スラリーを基材上に塗布および乾燥させる工程を含む、全固体二次電池用固体電解質シートの製造方法。
- 請求項13に記載の全固体二次電池用固体電解質シートの製造方法を介して全固体二次電池を製造する、全固体二次電池の製造方法。
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