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JP7848964B2 - 医療用器具 - Google Patents
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JP7848964B2 - 医療用器具 - Google Patents

医療用器具

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Description

本発明は、医療用器具に関する。
外科手術における生体組織の縫合の際に、縫合針を把持したり、生体組織を把持、固定したりするための医療用器具が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2018-102719号公報
外科手術においては、縫合糸付きの縫合針を用いて組織を縫った後、縫合糸を引っ張って糸を引き締める糸締めという動作を行う。糸締め動作によって糸の弛みが解消されるため所望の縫合状態が得られるので、より迅速に綺麗な閉創が可能となる。糸締め動作は、手術者によっては、縫合のために使用している攝子等の器具を手に持ったまま、当該器具に糸を引っ掛け、糸を引っ張ることによって行うことがある。
しかしながら、器具に糸を引掛けた際に、糸が器具の表面を滑って外れてしまうことがあり、糸の引掛け及び引張りをやり直しする必要が生じ、糸締め動作に時間がかかってしまうことがある。
よって、本発明の一態様は、外科手術において、器具を利用した糸締め動作を容易にすることを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、互いに対向する対向面をそれぞれ備えた一対の腕部を有し、当該腕部の先端部の前記対向面同士により対象物を挟持可能な医療用器具であって、前記先端部の前記対向面以外の周面である外周面に、前記腕部の長手方向に直交する横方向に沿った溝が形成されている。
本発明の一態様によれば、外科手術において、器具を利用した糸締め動作を容易にできる。
本発明の一実施形態による攝子の斜視図である。 溝の利用方法の例を示す図である。 図1における1つの腕部を側面から見た部分平面図である。 図1における1つの腕部を外面から見た部分平面図である。 図4のA-A線断面図である。 図4のB-B線断面図である。 図6に対応する、変形例による溝を備えた腕部の断面図である。
図1に、本発明の一実施形態による医療用器具100の斜視図を示す。図1には、医療器具100として外科手術用の挟持具、具体的には攝子を例示している。本明細書において、「外科手術用の挟持具」とは、外科手術において対象物を挟持する機能を有する器具である。ここで対象物とは、縫合針、縫合糸等、ガーゼ等の資材といった手術に用いられる器具及び物品、内臓、筋肉、血管といった人体組織であってよい。
図1に示すように、医療用器具100は、一対の長尺の腕部10、10を備えている。腕部10、10はそれぞれ、概ね板状の片(厚みの寸法が長さ及び幅の寸法よりも小さい形状)であり、腕部10、10の内面(対向面ともいう)F1、F1同士が対向するように線対称に配置されている。そして、腕部10、10同士は、当該腕部10の基端側(医療用器具100の基端側)で接合されて、接合部R3が形成されているのに対し、先端側では近接及び離間自在になっている。さらに、腕部10は、先端縁から所定長さまでの部分である先端部R1と、当該先端部R1から基端側に所定長さにわたって延在する中央部R2と有していてよい。先端部R1は対象物を挟持する部分であり、中央部R2は外力が加えられる際に外力を直接的に受容する部分である。腕部10、10の近接及び離間は、中央部R2に加えられる外力によって可能となっている。図1に示す例では、使用者が中央部R2を持って、腕部10、10が近接するように押すことができる。
本明細書では、腕部10の先端部R1の長手方向をL、長手方向Lに直交する幅方向をW、長手方向L及び幅方向Wに直交する厚み方向をDとする(図1)。図1に示す形態では、腕部10は、先端部R1においても概ね板状である、すなわち厚み(厚み方向Dの長さ)は幅(幅方向Wの長さ)よりも小さくなっている。しかしながら、腕部10は、厚み(厚み方向Dの長さ)が幅(幅方向Wの長さ)と同等であるか、又は幅(幅方向Wの長さ)よりも大きい形状としてもよい。
医療用器具100を構成する材料は限定されず、金属、樹脂等であってよい。金属の例としては、ステンレス、チタン等が挙げられる。樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、エンジニアリングプラスチック等が挙げられる。糸締め動作(後にさらに詳述)を確実に行うことができるという観点からは、金属製の器具が好ましい。また、安価に製造でき、成型が容易である等の観点からは、樹脂製の器具が好ましい。
本明細書では、腕部10の周面のうち、内面F1以外の面を外周面F2と呼ぶ。腕部10、10同士が近接して閉じた状態となった場合、内面F1は隠れ、腕部10の外周面F2は外部に露出した状態となる。また、外周面F2は、内面(対向面)F1と反対側に位置する外面F2eと、外面F2eの両側に延びる、外面F2eと内面F1との移行面である側面F2s、F2sとを含む。
図1に示すように、医療用器具100の腕部10の先端部R1の周面には、腕部10の長手方向Lに直交する方向に沿った溝5a、5b、…(合わせて溝5という)が形成されている。より具体的には、溝5a、5b、…は、腕部10の先端部R1の周面のうち外周面F2に形成されている。なお、本明細書において、「所定方向に沿った」とは、所定方向に完全に平行な方向のみならず、所定方向に対して10°以内、好ましくは5°以内で逸脱した方向も含むものとする。
図1に示すような、腕部10の先端部R1の外周面F2に形成された溝5は、外科手術の際に次のような利点をもたらす。外科手術において組織(臓器、筋肉、皮膚、血管等)を縫合する際には、通常、縫合針及び縫合糸を用いて組織を縫った後に縫合糸を引っ張って引き締める、糸締めという動作が行われる。糸締め動作は、組織を縫った後に創面をより密着させるために重要である。糸締め動作を適切に行うことで、いわゆる一回結びである単結紮の場合には、結紮をしっかりと確実に行うことができる。また、連続縫合の場合には、縫合中に緩みが生じて創面の密着が損なわれることがないようにすることができる。連続縫合の場合、糸締めは、一針ごとに行ってもよいし、組織を複数回縫った後に行ってもよく、糸結び(結紮)の際又はその直前に行ってもよい。このような糸締め動作は、縫い合わせのために使用している医療用器具(攝子、鉗子等)を一旦手から離して両手又は片手で行うこともあるが、手術者(医療用器具の使用者)によっては、縫い合わせのために使用した器具を引き続き手に持ちながら、輪にした糸を当該器具に引掛けて糸を引張ることで、糸締めを行う場合がある。ここで、医療用器具に糸を引掛けた際に、糸が医療用器具の表面を滑って外れてしまうと、糸の引掛け及び引張りをやり直す必要が生じ、時間のロスとなることがある。また、糸が器具の表面を滑って外れた衝撃が、組織の縫い合わせ状態に影響することもある。これに対し、本実施形態のように、医療用器具100の腕部10の先端部R1の外周面F2に溝5(図1)が形成されていることで、糸が器具から外れることを防止でき、糸締めの動作をより確実に行うことができる。例えば、図2に示すように、手術者は、縫合糸STの輪に、右手に持った医療用器具(攝子)100の先端部R1を差し入れる。その際、糸の位置を医療用器具100の長手方向Lに沿って調整することで、縫合糸STの輪を、先端部R1の外周面F2に形成された複数の溝のうちの1つ(図2の例では溝5b)に、引っ掛けることができる。そして、縫合糸STが腕部10の幅方向Wに延在した状態で、さらに医療用器具100を腕部10の幅方向Wに動かして、糸を幅方向Wに引っ張り、糸を引き締めることができる。その際、溝5に嵌った糸は滑りにくくなるので、手術者は、糸締め動作をより容易により確実に行うことができる。糸締めは外科手術中にしばしば必要とされる手技であるところ、本実施形態による医療用器具100を用いることで糸締め動作をスムーズに行うことができれば、手術の工程全体を正確に迅速に進行することが可能となる。
なお、本実施形態のように、腕部10の外周面F2に形成された溝5を縫合糸の糸締めのために利用できる医療用器具100は、外科手術におけるあらゆる縫合法において好適に利用できるが、縫合針を把持したままで糸締め動作ができることから、連続縫合において特に好適に利用できる。
腕部10の先端部R1の外周面F2に形成される溝5は、溝のない医療用器具100を通常の方法で製造した後に、切削、エッチング等により所定位置に形成することができる。或いは、医療用器具が注型、射出成形等により成形される場合には、所定位置に溝を備えた注型用の型を利用して、溝5を形成することもできる。
以下、溝5のより詳細な構成についてさらに詳述する。図3に、図1の医療用器具100のうち一方の腕部10の一部(主として先端部R1)を、幅方向Wで見た拡大平面図、すなわち腕部10の一方の側面F2sの側か見た拡大平面図を示す。また、図4に、図1の医療用器具100のうち腕部10の一部(主として先端部R1)を厚み方向Dで見た拡大平面図、すなわち腕部10の外面F2eの側から見た拡大平面図を示す。また、図5に、図4における部分的なA-A線断面図、すなわち、腕部10の外面F2eの表面付近を、溝5を含む位置で腕部10長手方向Lに沿って切った断面図を示す。また、図6に、図4におけるB-B線断面図を示す。
図1、図3及び図4に示すように、本実施形態による医療用器具100においては、1つの腕部10には、複数の溝5a、5b、5c、5d、5e、5fが互いに離間して形成されている。但し、上述の糸締め動作を容易にできるのであれば、医療用器具100の1つの腕部10に形成される溝の数は1つであってもよいし、6以外の2以上の数であってもよい。1つの腕部当たりの溝5の数が2以上であると、糸締め動作において、腕部10の長手方向Lに沿って先端部R1に糸を引っかける機会を増やすことができ、好ましい。すなわち、糸は複数の溝5のうちどの溝に引っ掛けてもよいので、手術者の癖や状況に応じて溝5を選択して糸締めに利用できる。なお、医療用器具100を構成する材料、溝5の深さや溝幅等にもよるが、先端部R1の強度低下を防ぐという観点では、1つの腕部当たりの溝5の数は8以下であると好ましい。
1つの腕部10における溝5の数が1つであっても複数であっても、腕部10において溝5が形成される範囲は、先端部R1内である。この先端部R1の長さの具体的な範囲は、医療用器具100のサイズ及び構成にもよるが、先端縁から腕部10の長手方向Lに10mm以上50mm以下、好ましくは20mm以上30mm以下の範囲であってよい。
また、個々の溝5が形成される位置は、溝5を利用した糸締め動作(図2)が可能である限り、特に限定されない。但し、少なくとも1つの溝5が、長さ(深さ含む)を測定するための目盛線として機能するような位置に形成されていると好ましい。溝5を、長さ測定のための目盛線として機能させるには、例えば、先端縁から溝(目盛線)5までの距離を、使用者が目視で認識可能な、長さ測定のための一単位となり得る長さとすることができる。ここで、「長さ測定のための一単位となり得る長さ」とは、例えばメートル法であれば1mm若しくはその倍数、2.5mm若しくはその倍数等であってよい。例えばインチ法であれば0.05inch若しくはその倍数、又は0.25inch若しくはその倍数であってよい。よって、例えば、先端縁から最も先端縁に近い溝(目盛線)5までの距離を、長さをメートル法で測定する使用者のためには、2.5mm、5mm、10mm、20mm等にすることができるし、長さをインチ法で測定する使用者のためには、0.25inch、0.5inch、1inch、2inch等とすることができる。
また、溝5を、長さ測定又は深さ測定のための目盛線として機能させるためには、例えば、少なくとも2つの溝間の距離(ピッチ)を、使用者が目視で認識可能な、長さ測定のための一単位(上述)とすることができる。よって、例えば、溝間の距離は、長さをメートル法で測定する使用者のためには、2.5mm、5mm、10mm、20mm等にすることができるし、長さをインチ法で測定する使用者のためには、0.25inch、0.5inch、1inch、2inch等とすることができる。
溝5を、長さ測定のための目盛線として機能させるためには、複数の溝5を一定のピッチ若しくは等間隔で形成することが好ましい。本実施形態では、図3及び図4に示すように、1つの腕部10に形成された溝5a、5b、5c、5d、5e、5fは、腕部10の長手方向Lに5mmのピッチで、等間隔に離間して形成されている。なお、図示の形態では、先端縁から、先端縁に最も近い溝5aの中心線までの長さを5mmとし、さらに溝の中心線同士の長手方向Lの距離が等しく形成されている。
さらに、溝5が目盛線を兼ねていることが使用者に分かるように、溝5に、例えば「5mm」、「10mm」、…といった文字又はマークを小さく印字若しくは刻印しておいてもよい。或いは、文字やマークを付すことなく、又は文字やマーク等を付すと共に、取扱説明書等において、溝が目盛線を兼ねていること、及び/又は先端縁から溝までの距離又は溝間の距離がどの程度の長さを指しているかを説明しておいてもよい。その場合、先端縁から溝までの距離又は溝間の距離は、必ずしも、長さ測定の方法に応じた切りの良い距離とする必要はない。
このように、溝5が目盛線としての機能を兼ねていることによって、医療用器具100の使用中に、別途スケール機器等を用いることなく長さの測定が可能となる。これにより、例えば医療用器具100の先端部R1を創に差し入れることで創の深さを容易に測定できるし、組織の表面に医療用器具100の先端部R1を寝かせて沿わせることで、組織の表面における創の長さや幅等を確実に容易に測定できる。また、創のみならず、連続縫合の場合のピッチ(縫合間隔)の把握にも役立つ。すなわち、本実施形態による医療用器具100があれば、知りたい若しくは測りたい長さ又は深さが一目瞭然となる。よって、医療用器具100を利用して長さ測定又は深さ測定を容易にできることで、創の状態を迅速に把握することができる。このことは、教育の場面においても教授者の説明を容易にする、或いは教授を受ける者の理解を深めることを助けることに寄与する。また、このような作用効果は、術野を目視で直接観察している場合はもちろん、画像を通して観察した場合、例えば動画上でも同様に得られる。実物を直接見るのではなく画像を通して術野を見る状況でスケールがないと特に大きさを把握し難いことがあるが、そのような状況でも専用スケールを持ち出さなくとも、知りたい若しくは測りたい長さ又は深さを容易に把握できる。
上述のように、溝5は、腕部10の周面のうち外周面F2に形成されているが、この構成は、溝5が目盛線として機能する場合には、医療用器具100の腕部10、10同士を閉じた状態であっても、目盛線を確認できるという利点をもたらす。この利点は、腕部10の内面に目盛が付された形態では得られない。
また、溝5が目盛線として機能するということは、言い換えれば、溝状の目盛線が形成されているということである。腕部10の先端部R1に単に目盛線を付すというのであれば、凸条(線状の凸部)によって目盛線を形成するか、或いは、着色又は材料の変性等によって凹凸のない平坦な目盛線を形成することもできる。しかしながら、本実施形態のように目盛線が溝状であることで、手術中に、凸条が生体組織や手術に利用される物品(ガーゼ、タンポン等)に引っ掛かること、着色又は材料の変性が生体組織に悪影響を及ぼすこと等を防止できる。
図1に示す形態では、医療用器具100の腕部10、10の両方にそれぞれ溝5が形成されているが、溝5は片方の腕部10のみに形成されていてもよい。但し、溝5が腕部10、10の両方に形成されていることで、糸締め動作の際に、医療用器具100をどの向きで使用しても溝5に糸を掛けることができる。例えば、医療用器具100を、図2に示すように腕部10の側面F2sが上を向くように使用した場合には、腕部10、10のどちらが奥側にあっても溝5に糸を掛けることができ、糸締め動作を容易にできる。また、溝5が目盛線として機能する場合、医療用器具100をどの向きで使用しても、目盛を視認できるという利点をもたらす。また、溝5が両方の腕部10、10に形成されている場合、腕部10の長手方向Lにおける溝5の位置は、両腕部10、10で揃っていることが好ましい。これにより、糸締めの動作において、糸が一方の腕部10と他方の腕部10とにわたって掛けられた場合でも、糸が腕部10、10の両方の溝5にわたって嵌り、糸を確実に保持できる。
なお、腕部10の長手方向Lにおける溝5の位置は、両腕部10、10で揃っていなくともよく、例えば、一方の腕部10にメートル法によって付された目盛り線が形成されていて、他方の腕部10にインチ法によって付された目盛線が形成されていてもよい。
溝5の溝幅w(図5)は、使用される縫合糸が引っ掛かる大きさであれば特に限定されないが、好ましくは10μm以上1.2mm以下、より好ましく100μm以上1mm以下、さらに好ましくは300μm以上800μm以下であってよい。このような範囲により、外科手術において通常使用される縫合糸の太さ(10μm以上800μm以下)に対応できる。溝幅wは、1つの溝5に沿って一定であってもよいし、溝5の途中で変動していてもよい。溝5の途中で溝幅wが変動している場合、溝幅wが漸次増大又は減少していてもよいし、例えば溝5の縁が波状になるようになっていてもよい。溝5の縁が波状になっていることで溝5が糸を保持する機能は高くなるものの、溝5の縁が手術中に生体組織又は物品に引っ掛かることを防止するという観点からは、溝5の縁は直線状になっていることが好ましい。なお、溝幅w(溝幅wが変動している場合にはその平均値)は、外周面F2の再表目の位置で測定される幅(溝5の開口の幅)することができる。
溝5が複数形成されている場合、各溝の溝幅wは同じであってもよいし異なっていてもよい。例えば、先端側の溝5ほど溝幅wが小さく又は大きくなっていてもよい。また、腕部10、10の一方に形成された溝5の溝幅wは、他方に形成された溝5の溝幅wと同じであってもよいし異なっていてもよい。例えば、一方の腕部10に形成された溝5の溝幅wは、他方の腕部10に形成された溝5の溝幅wより大きく又は小さくなっていてもよい。
また、溝5の深さd(図5)も、使用される縫合糸が引っ掛かる大きさであれば特に限定されないが、好ましくは10μm以上1.2mm以下、より好ましく100μm以上1mm以下、さらに好ましくは300μm以上800μm以下であってよい。これにより、溝5が、外科手術において通常使用される縫合糸の太さ(10μm以上800μm以下)に対応できる。溝5の深さdも、1つの溝5に沿って一定であってもよいし、溝5の途中で変動していてもよい。溝5の途中で深さdが変動している場合、深さdが漸次増大又は減少していてもよい。
溝5が複数形成されている場合、各溝の深さdも同じであってよいし異なっていてもよい。例えば、先端側の溝5ほど溝の深さdが小さく又は大きくなっていてもよい。また、腕部10、10の一方に形成された溝5の溝の深さdは、他方に形成された溝5の溝の深さdと同じであってもよいし異なっていてもよい。例えば、一方の腕部10に形成された溝5の深さdは、他方の腕部10に形成された溝5の溝の深さdより大きく又は小さくなっていてもよい。
さらに、溝5は、図3、図4及び図6に示すように、腕部10の外周面F2全体にわたって形成されていてよい。これにより、糸締め動作の際に、腕部10の向きによらず、すなわち、腕部10の外周面F2のうちの外面F2eが上を向いていても、側面F2sのいずれかが上を向いていても、溝5に糸を掛けることができる。また、使用者が医療用器具100を右手で持っても左手で持っても、糸締め動作を容易にするという利点が得られる。さらに、溝5が目盛線として機能する場合には、医療用器具100をどの向きで使用しても目盛を視認できるという利点をもたらす。すなわち、外周面F2のいずれかの部分が視認できれば、目盛を視認できる。
但し、溝5は、外周面F2全体にわたって形成されていなくともよい。溝5が外周面F2の一部に形成されている形態には、医療用器具100を構成する材料、溝5の深さや溝幅等にもよるが、先端部R1の強度低下を防ぐ観点から、或いは医療用器具100の製造の際に切削等により溝5を形成する場合の作業を簡素化できるという観点から、好ましい。
図7(図6に対応する図)に、溝5の変形例を示す。図7に示す例では、溝5は、外周面F2のうち、凡そ外面F2eにのみ形成されていて、側面F2s、F2sには形成されていない。これにより、例えば図2に示すように側面F2sが上を向く向きで、医療用器具100を持った場合でも、糸は外面F2eに引っ掛けることができる。また、図7に示すように、溝5は、外面F2eと側面F2sとの移行部にまで延びていると好ましい。腕部10の先端部R1に糸の輪を引っかけた場合(図2)、外面F2eと側面F2sとの移行部において糸の方向が大きく変わるので、その移行部においてより確実に溝5内で糸を保持することができれば、溝5による糸の保持機能は高まる。なお、外面F2eと側面F2sとの移行部は、例えば幅方向Wに沿って切った腕部10の断面が四角形であれば四角形の頂点に相当する。
さらに、別の変形例として、溝5を、外面F2eと側面F2sとの移行部の少なくとも一方に形成し、それ以外の部分には形成しない構成もあってよい(図示せず)。この構成により、糸締め動作の際の溝5による糸の保持機能を最小限確保しつつ、先端部R1の強度低下を防止し、医療用器具100の製造を容易にすることができる。
なお、一方の腕部10に形成されている溝5の構成と、他方の腕部10に形成されている溝5の構成(数、形成位置、溝幅、溝の深さ)とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、一方の腕部10には溝5が複数形成され、他方の腕部10には溝5が1つ形成されていてもよい。
図1に示すように、腕部10の中央部R2の外面F2eには、医療用器具100を手で持った際の滑り止めとしてグリップ部7が形成されている。グリップ部7は、外面F2eに形成された凹凸であり、具体的には、腕部10の長手方向に直交する幅方向に沿った一連の線状溝であってよい。グリップ部7に形成された一連の線状溝は、使用者の指が置かれる範囲に対応する中央部R2内に形成されており、先端部R1に形成された上述の溝5とは長手方向に離間している。なお、グリップ部7は線状溝に限らず、使用者の指が滑り難くなるのであれば、線状以外の凹凸を形成すること、摩擦低減用の素材を貼着すること等によって構成されていてもよい。
また、図1に示すように、腕部10、10の少なくとも一方、好ましくは両方の先端部R1の内面F1は、粗面化部8を有していてよい。粗面化部8は、例えば、内面F1に形成された微細な凹凸であってよい。粗面化部8があることで、医療用器具100の先端部R1で縫合針を把持した場合に、縫合針をより確実に把持できるようにした機能、いわゆる持針機能が付与される。よって、縫合針を組織に刺して抜く際に、持針器等の助けを必要とせずにスムーズに縫合針を運針できる。粗面化部8の構成としては、持針機能のための公知の構成を適用できる。粗面化部8は、先端部R1の内面F1の一部又は全体を粗面化できるのであれば、その形態は、内面F1において凹凸を刻印したもの、粗面化若しくは高摩擦化されたシートを内面F1に貼着したもの等であってよい。
さらに、図1に示すように、医療用器具100の腕部10、10の先端部R1の先端縁には、鉤部9a、9bが形成されており、腕部10、10を閉じた際に両者が噛み合うようになっている。図1に示す例では、一方の腕部10における鉤部9aが、厚み方向Dの中央において内面F1から幅方向Wに突出する凸部となっていて、他方の腕部10における鉤部9bが、凸部である上記鉤部9aが嵌る形状の凹部となっている。このような鉤部9a(凸部)と鉤部9b(凹部)との噛み合いによって、組織をしっかりと把持し、展開することができる。医療用器具100が上述の粗面化部8及び鉤部9を両方有する場合、持針機能付き有鈎攝子となる。このような持針機能付き有鈎攝子を用いることで、外科手術中の動作、特に縫合針及び縫合糸を用いた縫合動作を一層スムーズに行うことができる。なお、鉤部9a、9bの構成としては、図示のものに限られず、公知の有鉤攝子における鉤部のものを適用できる。
以上、医療用、特に外科手術用の攝子を例に挙げて本発明の実施形態を説明したが、本発明の実施形態は、攝子に限られず、外科手術において用いられるあらゆる器具に適用可能であり、外科手術における縫合及びそれに関連する動作(手技)のために利用される様々な器具として構成されると好適である。また、特に、手術用の挟持具(一対の腕部を有する医療用器具であって、当該一対の腕部がそれぞれ互いに対向する対向面を備えた対向面同士によって対象を挟持可能である医療用器具)として構成されると好適である。攝子の以外の形態の具体例としては、に、鉗子、持針器、剪刀、その他の手術中に縫合糸を引っ掛ける可能性のある器具が挙げられる。また、本実施形態による医療用器具のサイズも限定はされず、本実施形態は、例えば、目視で動作を確認しながら使用される器具であってもよいし、拡大鏡、内視鏡等を用いて動作を確認しながら使用される器具であってもよい。
また、溝等の構成も上記の実施形態には限定されない。本明細書において示された実施形態は、特許請求の範囲に記載された範疇内で種々の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能であり、それらも本発明の技術的範囲に属する。
5、5a~5f 溝
7 グリップ部
8 粗面化部
9a、9b 鉤部
10 腕部
100 医療用器具(手術用攝子)
F1 対向面(内面)
F2 外周面
F2s 外周面のうちの側面
F2e 外周面のうちの外面
R1 先端部
R2 中央部
R3 接合部

Claims (10)

  1. 互いに対向する対向面をそれぞれ備えた一対の腕部を有し、当該腕部の先端部の前記対向面同士により対象物を挟持可能な医療用器具であって、
    前記先端部の前記対向面以外の周面である外周面に、前記腕部の長手方向に直交する横方向に沿い、前記外周面の位置で測定される開口の幅が10μm以上1.2mm以下であり、かつ、深さが10μm以上1.2mm以下の複数の溝が形成されており、
    前記複数の溝が、前記腕部の少なくとも一方の前記外周面の全体にわたって連続して形成されており、長さ測定のための目盛線として機能し、所定の長さ単位系に応じた間隔で形成されている、医療用器具。
  2. 前記複数の溝は、前記一対の腕部にそれぞれ形成されており、前記一対の腕部どうしで互いに異なる単位系に応じた間隔で形成されている、請求項1に記載の医療用器具。
  3. 前記複数の溝は、1つの溝について、溝幅が漸次増大もしくは減少、または溝の縁が波状になることで、その幅が変動している、請求項1に記載の医療用器具。
  4. 前記複数の溝は、1つの前記腕部において、先端側の溝ほど溝幅が小さく又は大きくなっている、請求項1に記載の医療用器具。
  5. 前記複数の溝は、前記一対の腕部にそれぞれ形成されており、前記一対の腕部どうしで幅が互いに異なる、請求項1に記載の医療用器具。
  6. 前記複数の溝は、1つの溝について、深さが漸次増大もしくは減少している、請求項1に記載の医療用器具。
  7. 前記複数の溝は、1つの前記腕部において、先端側の溝ほど溝の深さが小さく又は大きくなっている、請求項1に記載の医療用器具。
  8. 前記複数の溝は、前記一対の腕部にそれぞれ形成されており、前記一対の腕部どうしで深さが互いに異なる、請求項1に記載の医療用器具。
  9. 前記先端部に鉤部が形成された攝子である、請求項1に記載の医療用器具。
  10. 前記先端部の前記対向面に凹凸を備えている、請求項1に記載の医療用器具。
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