JPS6339657B2 - - Google Patents
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- JPS6339657B2 JPS6339657B2 JP10667783A JP10667783A JPS6339657B2 JP S6339657 B2 JPS6339657 B2 JP S6339657B2 JP 10667783 A JP10667783 A JP 10667783A JP 10667783 A JP10667783 A JP 10667783A JP S6339657 B2 JPS6339657 B2 JP S6339657B2
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- steel
- hydrogen
- less
- resistance
- induced cracking
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- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)
Description
本発明は耐水素誘起割れ性に卓越した極低炭素
低Mn−Ni鋼の創案に係り、特に水素イオン濃度
の高い湿潤硫化水素環境においても耐水素誘起割
れ性に優れ、石油や天然ガスなどの輸送管ないし
貯蔵用タンクなどの素材に適した鋼を提供しよう
とするものである。 近年、安定した石油供給量を確保するために油
田の開発とパイプラインの敷設が多く計画されて
いるが、このような場合において、その石油や天
然ガス等の輸送パイプや貯蔵タンク等はそれら石
油等が含有する硫化水素と水との共存条件下にあ
るため鋼表面が極めて腐食され易いことは公知の
通りである。又かかる腐食によつて発生した水素
は鋼中に侵入し、伸延したMnS等の硫化物系介
在物の周辺に凝集し内圧を高めることによつて、
板厚方向に平行な水素誘起割れを生ぜしめる。こ
のような水素誘起割れは鋼の凝固過程におけるミ
クロ偏析に基いて形成されるマルテンサイトやベ
イナイトの低温変態組織において、より発生し易
く、又それら組織に沿つて伝播し易いものであつ
て、これらの水素誘起割れは、場合によつては、
板厚方向に貫通して鋼材を破壊する。然して上記
の如き湿性硫化水素腐食環境における鋼中への水
素浸入防止手段として、従来から鋼に0.25wt%
(以下このwt%を単に%という)以上のCuを添加
して、耐食性及び耐水素透過性の高い保護皮膜を
形成させることにより、水素誘起割れの発生を防
止することが知られている。しかしながら、実用
鋼塊の中央偏析部にはS、C、Mn等の不純物元
素ないし、水素誘起割れ感受性を増大させる元素
が偏集しているため、このCu添加処理のみによ
つて、水素誘起割れの発生を完全に防止すること
は困難である。何故ならばCu添加鋼ではあつて
もそれが使用される環境条件は一般に厳しく、例
えば共存水溶液の水素イオン濃度が高い場合にお
いて、具体的にはその水溶液の酸性度が高く、PH
4.6以下の場合には、上述した耐食性皮膜が形成
されないために水素誘起割れの多発する可能性が
大きい。 このため、かかる苛酷な湿潤硫化水素環境に供
される鋼にはS含有量を低下させて水素誘起割れ
発生の起点となる硫化物系介在物を減少させた
り、あるいは、Caや希土類元素を添加してこれ
ら非金属介在物の形状を制御し水素誘起割れ感受
性を低下させたり、あるいは、割れ感受性の高い
ベイナイトやマルテンサイトのバンド状組織の生
成を防ぐために鋼塊を徐冷することによつてミク
ロ偏析を軽減したり、ミクロ偏析が起り易く、又
焼入性を高めるC、Si、Mn、Cr、Mo、P、B
などの合金元素添加量を制限する必要がある。さ
らに、形成されたバンド状のベイナイトやマルテ
ンサイトの低温変態組織の割れ感受性を軽減する
目的で圧延後の鋼材に焼戻しなどの熱処理を施す
必要がある。しかしながら、上記のようなそれぞ
れの対策は、実用鋼塊や実用連続鋳造スラブ全体
(全位置)について均一なレベルでS含有量の低
下を図ることが困難であり、又、鋼塊やスラブ全
体に亘つて効果的な非金属介在物の形態制御及び
ミクロ偏析に起因する低温変態生成物の形成を防
止することは非常に難しいものであつて、特にグ
レードの高いパイプライン用鋼の連続鋳造スラブ
における中央偏析に基ずく低温変態組織の生成を
鋼成分の組成調整により軽減若しくは解消するこ
とが非常に困難であることは公知の事実である。
また、スラブ徐冷や熱処理を併用することは経費
的及び省エネルギーの点で極めて不利な対策であ
る。 本発明は上記したような実情に鑑み検討を重ね
て創案されたものである。すなわち、本発明は既
述したような苛酷な腐食環境の条件下における使
用によつても高耐食性を有し、鋼中への水素侵入
量を著るしく低くできるように鋼成分組成と金属
組織の両面より研究を重ね、優れた耐水素誘起割
れ特性を示す降伏強さ20〜70Kg/mm2級の鋼板ある
いは鋼管に適した鋼を得ることに成功したもので
あつて、斯様な本発明に至つた知見に基ずき、本
発明鋼について以下説明する。 一般に鋼材の硫化水素を含む水溶液中における
腐食及び水素浸入性を支配する鋼材側因子は合金
元素と顕微鏡組織である。前述したように0.25%
以上のCu含有鋼はPH値で4.6以上の硫化水素を含
む水溶液中においては高耐食性を示し、かつ耐水
素透過性の高い保護皮膜を生成する。これに対し
てPH値が4.6より小さい強酸性硫化水素含有水溶
液中では係る保護皮膜は形成されないため、腐食
量はCu無添加鋼よりも大きくなる。このためPH
値の小さい強酸性硫化水素含有水溶液において
は、Cu含有鋼は腐食に伴つて発生する水素量も
多いため、高濃度の水素が鋼中に侵入し易くなる
ため、Cuの添加による侵入水素量の抑制効果は
期待し得ない。又Cuに代えてCr、Niあるいは
Mnの単純含有率を増大させても、PH値で4.6以上
の硫化水素含有水溶液中では、Cu添加の効果に
類する高耐食性を示すが、PH値で4.6以下の強酸
性硫化水素含有水溶液に対しては、Cu添加と同
様に耐食性は無添加鋼に比し劣化するため腐食に
伴う非常に高濃度の水素が鋼中に侵入することと
なつて、水素誘起割れが発生する危険性が高いこ
とはCu添加鋼と同様である。すなわち、これら
合金元素の含有量を調整するだけでは、耐水素侵
入性の向上による水素誘起割れの防止は達成し得
ない。 顕微鏡組成に関して水素浸入性に及ぼす影響に
ついて説明すると、第1図に示すようなフエライ
ト−パーライト鋼の従来から知られた典型的な鋼
組織において、フエライト相とパーライト相より
なる混合組織を有する場合には、パーライト相を
構成する炭化物は全腐食反応のうちの、水素発生
が速やかに進行し易い反応場所を提供するもので
あつて、この水素発生反応の進行によつて地鉄の
溶解速度が増えるものである。すなわち、斯かる
炭化物相の多い混合組織を有する鋼はPH値の小さ
い強酸性硫化水素含有水溶液中では耐食性能は低
く、且つ耐水素侵入性に劣る鋼である。また、こ
のようなフエライト−パーライト組織に局部的に
ベーナイト相やマルテンサイト相を有する鋼が、
耐食性能が耐水素侵入性能に劣ることは言うまで
もない。 したがつて、耐食性能と耐水素侵入性能を向上
させ、鋼の耐水素誘起割れ性能を充分に達成させ
るためには、出来得る限り炭化物相の少ない均一
組織を確保し得るように、鋼成分組成の調整と製
造条件の制御を行なう必要がある。然して本発明
者等は鋼中のC含有量を低下させて、パーライト
相分率を低下させる程、耐水素侵入性が向上し、
特に0.05%未満の極低炭素系とすることにより耐
水素侵入性が向上し、鋼の水素誘起割れ感受性が
低下することを確認した。本発明鋼では、更に鋼
のMn含有率を0.5%未満に抑えたことと相俟つ
て、実施例に見られる如く、PH値の低い強酸性硫
化水素含有水溶液中においても、耐食性が良好
で、耐水素侵入性の著しく高いものとなり、優れ
た耐水素誘起割れ性の達成が容易となつた。しか
しながら、斯かる極低C−低Mn系鋼の高耐食性
及び耐水素浸入性は、他の合金元素の影響によつ
て不安定なものであることが判明した。そのた
め、安定した高耐食性と高耐水素侵入性を得るこ
とができるCとMn以外の合金元素の効果につい
て研究を重ねた結果、本発明者等は硫化物系介在
物量の増加は耐食性と耐水素侵入性の安定性に有
害であることと、同時に適量のNiの添加がPH値
の低い強酸性硫化水素含有水溶液中の極低−C−
低Mn系鋼の腐食速度と水素浸入量の低位安定化
に必須であることを見出した。すなわち、上記目
的の達成は、C量、Mn量、S量、Mi量をそれぞ
れ、0.003%≦C<0.05%、0.05%≦Mn<0.5%、
S≦0.010%、0.5%≦Ni<5.0%と制限することに
よつて可能となつたのである。 本発明における鋼成分は、 C:0.003〜0.05%未満、 Si:0.50%以下、 Mn:0.05〜0.5%未満、 Ni:0.50〜5.0%未満、 P:0.03%以下、 S:0.01%以下、 Al:0.05%以下、 並びに残部鉄および不可避的不純物からなるこ
とを特徴とし、降伏強度20〜70Kg/mm2を有する耐
水素誘起割れ性に卓越した極低炭素低Mn−Ni鋼
である。 上記したような本発明鋼の成分組成範囲を上記
に限定した理由について述べると以下の通りであ
る。 Cは、炭化物相の生成を抑制することを通じて
耐湿潤硫化腐食特性、耐水素侵入性を向上させる
ため、又溶接性の向上を図るためにその含有量は
出来る限り低い方が好ましいが、C量を特に0.05
%未満とすることにより耐水素浸入性が向上し、
耐水素誘起割れ感受性が向上することから、0.05
%未満とする必要がある。また、このC量を
0.003%未満とすることは工業的に困難であり、
且つフエライト粒界の脆化を招く恐れがあるため
に上記の如くC量の下限を制限する。 Siは、脱酸のために添加するものであるが、
0.50%を超えて含有させると靭性が劣化するため
0.50%をこの上限とする。 Mnは、脱酸剤及び鋼の強化元素として少なく
とも0.05%は必要であるが、0.5%以上になると、
湿潤硫化水素腐食による耐水素侵入性が極めて劣
化するため、上限を0.5%未満に止める必要があ
り、C、Ni、Sと共に本発明の主たる特徴をな
すものである。 Pは、製造上種々の事情から除去し難い元素で
あるが、機械的性質を劣化させるものであるから
少ない方が望ましい。通常の不純物としての許容
範囲であるが、0.03%以下であれば本発明におい
て問題を生じない。 Sは、湿潤硫化水素腐食による耐水素侵入性の
向上のためにはできる限り低い方が良いが、Ni
添加による相乗効果によつて向上が図れることも
あり、許容できる上限は0.01%とする。 Niは、S量の抑制効果と相俟つて耐水素侵入
性の向上と安定化に有効であり、又強度、靭性の
向上に有効であるので、少くとも0.50%以上含有
せしめる必要があるが、一方5.0%以上では効果
が飽和し経済的でないためその量を5.0%未満と
する。 Alは、脱酸のために必要であり、又顕微鏡組
織の微細化にも有効な元素であるが、0.05%を超
えて含有する場合には機械的性質の劣化を来たし
好ましくない。 本発明鋼によるものの、具体的な実施例につい
て説明すると以下の如くである。 本発明者等が具体的に採用した本発明による鋼
及びこれに対する比較鋼の化学成分は次の第1表
に示す通りである。
低Mn−Ni鋼の創案に係り、特に水素イオン濃度
の高い湿潤硫化水素環境においても耐水素誘起割
れ性に優れ、石油や天然ガスなどの輸送管ないし
貯蔵用タンクなどの素材に適した鋼を提供しよう
とするものである。 近年、安定した石油供給量を確保するために油
田の開発とパイプラインの敷設が多く計画されて
いるが、このような場合において、その石油や天
然ガス等の輸送パイプや貯蔵タンク等はそれら石
油等が含有する硫化水素と水との共存条件下にあ
るため鋼表面が極めて腐食され易いことは公知の
通りである。又かかる腐食によつて発生した水素
は鋼中に侵入し、伸延したMnS等の硫化物系介
在物の周辺に凝集し内圧を高めることによつて、
板厚方向に平行な水素誘起割れを生ぜしめる。こ
のような水素誘起割れは鋼の凝固過程におけるミ
クロ偏析に基いて形成されるマルテンサイトやベ
イナイトの低温変態組織において、より発生し易
く、又それら組織に沿つて伝播し易いものであつ
て、これらの水素誘起割れは、場合によつては、
板厚方向に貫通して鋼材を破壊する。然して上記
の如き湿性硫化水素腐食環境における鋼中への水
素浸入防止手段として、従来から鋼に0.25wt%
(以下このwt%を単に%という)以上のCuを添加
して、耐食性及び耐水素透過性の高い保護皮膜を
形成させることにより、水素誘起割れの発生を防
止することが知られている。しかしながら、実用
鋼塊の中央偏析部にはS、C、Mn等の不純物元
素ないし、水素誘起割れ感受性を増大させる元素
が偏集しているため、このCu添加処理のみによ
つて、水素誘起割れの発生を完全に防止すること
は困難である。何故ならばCu添加鋼ではあつて
もそれが使用される環境条件は一般に厳しく、例
えば共存水溶液の水素イオン濃度が高い場合にお
いて、具体的にはその水溶液の酸性度が高く、PH
4.6以下の場合には、上述した耐食性皮膜が形成
されないために水素誘起割れの多発する可能性が
大きい。 このため、かかる苛酷な湿潤硫化水素環境に供
される鋼にはS含有量を低下させて水素誘起割れ
発生の起点となる硫化物系介在物を減少させた
り、あるいは、Caや希土類元素を添加してこれ
ら非金属介在物の形状を制御し水素誘起割れ感受
性を低下させたり、あるいは、割れ感受性の高い
ベイナイトやマルテンサイトのバンド状組織の生
成を防ぐために鋼塊を徐冷することによつてミク
ロ偏析を軽減したり、ミクロ偏析が起り易く、又
焼入性を高めるC、Si、Mn、Cr、Mo、P、B
などの合金元素添加量を制限する必要がある。さ
らに、形成されたバンド状のベイナイトやマルテ
ンサイトの低温変態組織の割れ感受性を軽減する
目的で圧延後の鋼材に焼戻しなどの熱処理を施す
必要がある。しかしながら、上記のようなそれぞ
れの対策は、実用鋼塊や実用連続鋳造スラブ全体
(全位置)について均一なレベルでS含有量の低
下を図ることが困難であり、又、鋼塊やスラブ全
体に亘つて効果的な非金属介在物の形態制御及び
ミクロ偏析に起因する低温変態生成物の形成を防
止することは非常に難しいものであつて、特にグ
レードの高いパイプライン用鋼の連続鋳造スラブ
における中央偏析に基ずく低温変態組織の生成を
鋼成分の組成調整により軽減若しくは解消するこ
とが非常に困難であることは公知の事実である。
また、スラブ徐冷や熱処理を併用することは経費
的及び省エネルギーの点で極めて不利な対策であ
る。 本発明は上記したような実情に鑑み検討を重ね
て創案されたものである。すなわち、本発明は既
述したような苛酷な腐食環境の条件下における使
用によつても高耐食性を有し、鋼中への水素侵入
量を著るしく低くできるように鋼成分組成と金属
組織の両面より研究を重ね、優れた耐水素誘起割
れ特性を示す降伏強さ20〜70Kg/mm2級の鋼板ある
いは鋼管に適した鋼を得ることに成功したもので
あつて、斯様な本発明に至つた知見に基ずき、本
発明鋼について以下説明する。 一般に鋼材の硫化水素を含む水溶液中における
腐食及び水素浸入性を支配する鋼材側因子は合金
元素と顕微鏡組織である。前述したように0.25%
以上のCu含有鋼はPH値で4.6以上の硫化水素を含
む水溶液中においては高耐食性を示し、かつ耐水
素透過性の高い保護皮膜を生成する。これに対し
てPH値が4.6より小さい強酸性硫化水素含有水溶
液中では係る保護皮膜は形成されないため、腐食
量はCu無添加鋼よりも大きくなる。このためPH
値の小さい強酸性硫化水素含有水溶液において
は、Cu含有鋼は腐食に伴つて発生する水素量も
多いため、高濃度の水素が鋼中に侵入し易くなる
ため、Cuの添加による侵入水素量の抑制効果は
期待し得ない。又Cuに代えてCr、Niあるいは
Mnの単純含有率を増大させても、PH値で4.6以上
の硫化水素含有水溶液中では、Cu添加の効果に
類する高耐食性を示すが、PH値で4.6以下の強酸
性硫化水素含有水溶液に対しては、Cu添加と同
様に耐食性は無添加鋼に比し劣化するため腐食に
伴う非常に高濃度の水素が鋼中に侵入することと
なつて、水素誘起割れが発生する危険性が高いこ
とはCu添加鋼と同様である。すなわち、これら
合金元素の含有量を調整するだけでは、耐水素侵
入性の向上による水素誘起割れの防止は達成し得
ない。 顕微鏡組成に関して水素浸入性に及ぼす影響に
ついて説明すると、第1図に示すようなフエライ
ト−パーライト鋼の従来から知られた典型的な鋼
組織において、フエライト相とパーライト相より
なる混合組織を有する場合には、パーライト相を
構成する炭化物は全腐食反応のうちの、水素発生
が速やかに進行し易い反応場所を提供するもので
あつて、この水素発生反応の進行によつて地鉄の
溶解速度が増えるものである。すなわち、斯かる
炭化物相の多い混合組織を有する鋼はPH値の小さ
い強酸性硫化水素含有水溶液中では耐食性能は低
く、且つ耐水素侵入性に劣る鋼である。また、こ
のようなフエライト−パーライト組織に局部的に
ベーナイト相やマルテンサイト相を有する鋼が、
耐食性能が耐水素侵入性能に劣ることは言うまで
もない。 したがつて、耐食性能と耐水素侵入性能を向上
させ、鋼の耐水素誘起割れ性能を充分に達成させ
るためには、出来得る限り炭化物相の少ない均一
組織を確保し得るように、鋼成分組成の調整と製
造条件の制御を行なう必要がある。然して本発明
者等は鋼中のC含有量を低下させて、パーライト
相分率を低下させる程、耐水素侵入性が向上し、
特に0.05%未満の極低炭素系とすることにより耐
水素侵入性が向上し、鋼の水素誘起割れ感受性が
低下することを確認した。本発明鋼では、更に鋼
のMn含有率を0.5%未満に抑えたことと相俟つ
て、実施例に見られる如く、PH値の低い強酸性硫
化水素含有水溶液中においても、耐食性が良好
で、耐水素侵入性の著しく高いものとなり、優れ
た耐水素誘起割れ性の達成が容易となつた。しか
しながら、斯かる極低C−低Mn系鋼の高耐食性
及び耐水素浸入性は、他の合金元素の影響によつ
て不安定なものであることが判明した。そのた
め、安定した高耐食性と高耐水素侵入性を得るこ
とができるCとMn以外の合金元素の効果につい
て研究を重ねた結果、本発明者等は硫化物系介在
物量の増加は耐食性と耐水素侵入性の安定性に有
害であることと、同時に適量のNiの添加がPH値
の低い強酸性硫化水素含有水溶液中の極低−C−
低Mn系鋼の腐食速度と水素浸入量の低位安定化
に必須であることを見出した。すなわち、上記目
的の達成は、C量、Mn量、S量、Mi量をそれぞ
れ、0.003%≦C<0.05%、0.05%≦Mn<0.5%、
S≦0.010%、0.5%≦Ni<5.0%と制限することに
よつて可能となつたのである。 本発明における鋼成分は、 C:0.003〜0.05%未満、 Si:0.50%以下、 Mn:0.05〜0.5%未満、 Ni:0.50〜5.0%未満、 P:0.03%以下、 S:0.01%以下、 Al:0.05%以下、 並びに残部鉄および不可避的不純物からなるこ
とを特徴とし、降伏強度20〜70Kg/mm2を有する耐
水素誘起割れ性に卓越した極低炭素低Mn−Ni鋼
である。 上記したような本発明鋼の成分組成範囲を上記
に限定した理由について述べると以下の通りであ
る。 Cは、炭化物相の生成を抑制することを通じて
耐湿潤硫化腐食特性、耐水素侵入性を向上させる
ため、又溶接性の向上を図るためにその含有量は
出来る限り低い方が好ましいが、C量を特に0.05
%未満とすることにより耐水素浸入性が向上し、
耐水素誘起割れ感受性が向上することから、0.05
%未満とする必要がある。また、このC量を
0.003%未満とすることは工業的に困難であり、
且つフエライト粒界の脆化を招く恐れがあるため
に上記の如くC量の下限を制限する。 Siは、脱酸のために添加するものであるが、
0.50%を超えて含有させると靭性が劣化するため
0.50%をこの上限とする。 Mnは、脱酸剤及び鋼の強化元素として少なく
とも0.05%は必要であるが、0.5%以上になると、
湿潤硫化水素腐食による耐水素侵入性が極めて劣
化するため、上限を0.5%未満に止める必要があ
り、C、Ni、Sと共に本発明の主たる特徴をな
すものである。 Pは、製造上種々の事情から除去し難い元素で
あるが、機械的性質を劣化させるものであるから
少ない方が望ましい。通常の不純物としての許容
範囲であるが、0.03%以下であれば本発明におい
て問題を生じない。 Sは、湿潤硫化水素腐食による耐水素侵入性の
向上のためにはできる限り低い方が良いが、Ni
添加による相乗効果によつて向上が図れることも
あり、許容できる上限は0.01%とする。 Niは、S量の抑制効果と相俟つて耐水素侵入
性の向上と安定化に有効であり、又強度、靭性の
向上に有効であるので、少くとも0.50%以上含有
せしめる必要があるが、一方5.0%以上では効果
が飽和し経済的でないためその量を5.0%未満と
する。 Alは、脱酸のために必要であり、又顕微鏡組
織の微細化にも有効な元素であるが、0.05%を超
えて含有する場合には機械的性質の劣化を来たし
好ましくない。 本発明鋼によるものの、具体的な実施例につい
て説明すると以下の如くである。 本発明者等が具体的に採用した本発明による鋼
及びこれに対する比較鋼の化学成分は次の第1表
に示す通りである。
【表】
又前記したような従来鋼および本発明鋼につい
ての造塊法、圧延条件、それによつて得られた供
試材および該供試材によつて得られた機械的性質
と耐水素誘起割れ性についての試験結果を要約し
て示すと次の第2表の通りである。
ての造塊法、圧延条件、それによつて得られた供
試材および該供試材によつて得られた機械的性質
と耐水素誘起割れ性についての試験結果を要約し
て示すと次の第2表の通りである。
【表】
更に本発明鋼であるI鋼とJ鋼についての金属
組織は添附図面第2図と第3図に示すが、従来鋼
である前記A鋼についての第1図のものと比較し
てパーライト相が見られないフエライト相組織
(第2図のI鋼)であることは明かである。 然して前記第1表に示した成分組成を有する連
続鋳造材又は鋼塊より製造した鋼板又は鋼管につ
いて行つた引張り試験と水素誘起割れ試験の結果
について説明すると、水素誘起割れ試験片の形状
は100mm(長さ)×20mm(幅)×(元板厚あるいは元
鋼管厚−2)mm厚さとし、試験片長手方向を鋼材
の圧延方向と平行になるように採取した。又これ
らの試験片は淡水あるいは0.5%酢酸+5%食塩
水溶液(NACE TM−01−77規定)に硫化水素
を飽和させた腐食環境中に外部応力無負荷で96時
間浸漬せしめた後取り出し、試験片の表面を冷水
で洗滌し、直ちに45±2℃のグリセリン槽に装入
し72時間放置した後、JIS Z−3113に規定される
グリセリン置換法により鋼中から放出された水素
量を測定した。即ち斯かる放出水素量の測定によ
り腐食環境中で鋼中に侵入した水素量を測定評価
した。又各試験片における3断面の1鋼種当りで
は9断面の検鏡を倍率50倍実施して水素誘起割れ
の有無を判定したが、その結果を示しているのが
前記第2表である。 即ち上記したような本発明によるときは、PHの
低い苛酷な硫化水素含有水溶液中でも鋼中への水
素侵入量が低く、水素誘起割れが皆無であり、又
ラインパイプないし貯蔵タンクに使用される鋼材
の機械的性質を損うこともなく、勿論PH値の高い
湿潤硫化水素環境においても効果を有することは
明かで、工業的にその効果の大きい発明である。
組織は添附図面第2図と第3図に示すが、従来鋼
である前記A鋼についての第1図のものと比較し
てパーライト相が見られないフエライト相組織
(第2図のI鋼)であることは明かである。 然して前記第1表に示した成分組成を有する連
続鋳造材又は鋼塊より製造した鋼板又は鋼管につ
いて行つた引張り試験と水素誘起割れ試験の結果
について説明すると、水素誘起割れ試験片の形状
は100mm(長さ)×20mm(幅)×(元板厚あるいは元
鋼管厚−2)mm厚さとし、試験片長手方向を鋼材
の圧延方向と平行になるように採取した。又これ
らの試験片は淡水あるいは0.5%酢酸+5%食塩
水溶液(NACE TM−01−77規定)に硫化水素
を飽和させた腐食環境中に外部応力無負荷で96時
間浸漬せしめた後取り出し、試験片の表面を冷水
で洗滌し、直ちに45±2℃のグリセリン槽に装入
し72時間放置した後、JIS Z−3113に規定される
グリセリン置換法により鋼中から放出された水素
量を測定した。即ち斯かる放出水素量の測定によ
り腐食環境中で鋼中に侵入した水素量を測定評価
した。又各試験片における3断面の1鋼種当りで
は9断面の検鏡を倍率50倍実施して水素誘起割れ
の有無を判定したが、その結果を示しているのが
前記第2表である。 即ち上記したような本発明によるときは、PHの
低い苛酷な硫化水素含有水溶液中でも鋼中への水
素侵入量が低く、水素誘起割れが皆無であり、又
ラインパイプないし貯蔵タンクに使用される鋼材
の機械的性質を損うこともなく、勿論PH値の高い
湿潤硫化水素環境においても効果を有することは
明かで、工業的にその効果の大きい発明である。
図面は本発明の技術的内容を示すものであつ
て、第1図は本発明の実施例について示した従来
鋼A、第2図は本発明鋼Iのそれぞれ倍率400倍
による組織の顕微鏡写真を示すものである。
て、第1図は本発明の実施例について示した従来
鋼A、第2図は本発明鋼Iのそれぞれ倍率400倍
による組織の顕微鏡写真を示すものである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 C:0.003〜0.05wt%未満、 Si:0.50wt%以下、 Mn:0.05〜0.5wt%未満、 Ni:0.50〜5.0wt%未満、 P:0.03wt%以下、 S:0.01wt%以下、 Al:0.05wt%以下、 並びに残部鉄および不可避的不純物からなること
を特徴とし、降伏強度20〜70Kg/mm2を有する耐水
素誘起割れ性に卓越した極低炭素低Mn−Ni鋼。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10667783A JPS59232251A (ja) | 1983-06-16 | 1983-06-16 | 耐水素誘起割れ性に卓越した極低炭素低Mn−Ni鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10667783A JPS59232251A (ja) | 1983-06-16 | 1983-06-16 | 耐水素誘起割れ性に卓越した極低炭素低Mn−Ni鋼 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS59232251A JPS59232251A (ja) | 1984-12-27 |
| JPS6339657B2 true JPS6339657B2 (ja) | 1988-08-05 |
Family
ID=14439697
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10667783A Granted JPS59232251A (ja) | 1983-06-16 | 1983-06-16 | 耐水素誘起割れ性に卓越した極低炭素低Mn−Ni鋼 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS59232251A (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS62253751A (ja) * | 1986-04-28 | 1987-11-05 | Nippon Kokan Kk <Nkk> | 耐硫化物応力腐食割れ性に優れた低炭素−ニツケル添加鋼 |
| JPH01279732A (ja) * | 1988-04-30 | 1989-11-10 | Nippon Steel Corp | 耐水素誘起割れ特性に優れた高強度鋼線 |
-
1983
- 1983-06-16 JP JP10667783A patent/JPS59232251A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS59232251A (ja) | 1984-12-27 |
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