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JPH0254415B2 - - Google Patents
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JPH0254415B2 - - Google Patents

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JPH0254415B2
JPH0254415B2 JP61077554A JP7755486A JPH0254415B2 JP H0254415 B2 JPH0254415 B2 JP H0254415B2 JP 61077554 A JP61077554 A JP 61077554A JP 7755486 A JP7755486 A JP 7755486A JP H0254415 B2 JPH0254415 B2 JP H0254415B2
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Masakyo Izumitani
Yoshikuni Ooshima
Koichi Akutsu
Shuzo Ueda
Masaaki Ishikawa
Juji Kusuhara
Iwao Shiraishi
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Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 湿り蒸気下の使途に供される新規な低C―Cr
―Mo鋼に関してこの明細書では、とくに原子力
発電設備用給水加熱器または類似物の用途にて特
有なエロージヨン・コロージヨン(E.C.と略す)
のアタツクを受ける環境中でも適切に使用するこ
とができるように成分組成を調整した、上記種類
の鋼に係る開発研究の成果を提案しようとするも
のである。 ここに通常250℃以下の、湿り蒸気および高温
凝縮水、あるいは高温凝縮水自体につき単に、語
“湿り蒸気”で一括してあらわすこととして、こ
れら高温の気液二相流又は高温水流の高速流動に
より、たとえば軽水炉のごとき原子力発電設備用
給水加熱器のような密閉容器の胴体内表面が、E.
C.によるアタツクを受けた場合、E.C.による腐食
生成物が、原子炉系統内を循環することによる系
統全体の放射化幣害や、給水加熱器自体のE.C.損
傷に由来した信頼性低下が懸念される。 これらの問題を排除する手段として、まず設計
面からは、系統内全体の流体の低流速化、すなわ
ち給水加熱器胴体径および配管系統口径の増大に
よる流体の低流速化、そして材料面から耐E.C.性
のより優れた鋼種の採用が考えられる。 前者の系統内流体の低流速化は設備の大型化に
つながり、鋼材使用量の増加、ひいては材料費、
建設費の増加を招くため、むしろ、材料面でこの
種の幣害を未然に防止することが要請される。 (従来の技術) E.C.に関する従来の数多くの知見、研究の成果
が解析、検討された結果、第1表に示すJIS
G4109,SCMV―3(通称1 1/4wt%(以下
単に%で示す)Cr―1/2%Mo―3/4%Si
鋼)の化学組成、熱処理(焼ならし焼もどし(以
下N―Tと略記する)と焼なまし(以下Aと略記
する)との二種類)および機械的性質(N―T鋼
およびA鋼について、それそれ高強度レベルおよ
び低強度レベル)の規格範囲のうち、C含有量を
とくに、規格上限近傍の0.15〜0.17%に規制し、
熱処理もN―Tに限定した高強度レベルの高C―
1 1/4%Cr―1/2%Mo―3/4%Si鋼こ
そ、給水加熱器に適するすぐれた耐E.C.性をもつ
鋼であるとの結論に従い、その特性が実際にも実
験で確認され、かようにしてこの高C―1 1/
4%Cr―1/2%Mo―3/4%Si鋼が、原子力
発電設備のより高い安全性強化策とし我国で独自
に、前記給水加熱器用鋼材として採用されるに至
つたのである。
【表】 ここでC含有量が0.15%以上のこの種鋼が適用
される理由は、一つに耐E.C.性の確保のため鋼に
硬さを付与するのに必要であるということに主と
して由来し、これに加えてSCMV―3のうちと
くにN―T鋼の規格、すなわち高い引張強度(例
えば引張強さ53Kgf/mm2以上)を、保証すること
にあつた。 しかるに今日原子力発電設備用給水加熱器の耐
E.C.性向上策として我国では、専ら材料面で対処
すべく高級な高C―1 1/4%Cr―1/2Mo
―3/4%Si鋼を採用するすう勢にあるとは言
え、その一方で上記のような高C―1 1/4%
Cr―1/2Mo―3/4%Si鋼の使用は次に示す
とおり溶接施工性がわるいため数多くの問題を抱
えている。 つまり前記給水加熱器は、直径約2m、長さ約
10mに及ぶ巨大な容器状である。先ず胴板は鋼板
を曲げ加工により円筒状として長手方向を溶接
し、この円筒状のものを数個、円周溶接でつな
ぐ。この円筒内部にさらに管板、管および各種部
材が溶接などにより組込まれた後、両端に鏡板を
溶接する。かかる溶接組立にあたつて、高C―1
1/4%Cr―1/2Mo―3/4%Si鋼は、 溶接硬化性指数、C当量(C+Si/24+Mn/
6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14)が例え
ば0.72%、 また溶接われ感受性指数、PCM値(C+Si/30
+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15
+V/10+5B)が例えば0.32% であることからも明らかなように、溶接われを起
こし易い鋼であるので、溶接に際しては溶接われ
などの回避のため予熱、後熱をことさらに入念に
行うと同時に溶接後の応力除去焼きなまし(通常
Stress Relieving、略してSRと呼ばれる。)も極
力高温で長時間行う必要がある。 しかしここに入念な予熱とは、例えば通常ガス
バーナで溶接予定箇所を250℃程度の温度に上げ
ることであり、従つて溶接作業環境をわるくする
ばかりか溶接能率を落とし、ガスバーナによるエ
ネルギー消費も著しいなど、多大の不利を生ず
る。 (発明が解決しようとする問題点) このようにして現在の原子力発電設備用給水加
熱器の建設に対して、省エネルギーや作業環境、
能率などの改善のためには、溶接われ感受性の低
いCr―Mo鋼の開発はきわめて重要である。 ここに湿り蒸気に対する耐E.C.性を具備してい
ること、給水加熱器に適する強度およびじん性を
もつことが不可欠の条件である。なお、この耐E.
C.性に関し、これまで使用されていた高C―1
1/4%Cr―1/2%Mo―3/4%Si鋼は決し
て完壁ではなく、容器の寿命、操業の安全性を考
慮し、さらに少しでもより改善されることもまた
切望されている。 すなわち、この発明の目的は湿り蒸気下での耐
E.C.性にすぐれ、しかも溶接性にすぐれた鋼組成
を提供することにある。 まず溶接性を改要するにはC含有量を低減すれ
ばよいことは前記C当量、PCMなどの計算式から
明白であるが、そうした場合、鋼の硬さは当然低
下するので耐E.C.性は劣化することが通常推定さ
れる。 ここに耐E.C.性を損なわずに溶接性を改善する
というより、むしろ耐E.C.性をさらに向上させ、
しかも溶接性も改善させることが望まれているわ
けで、耐E.C.性の向上に対してC含有量の低減は
元来不適切と考えるのが当業技術者の一般常識で
あり、事実C含有量の低減によつて耐E.C.特性の
改良を試みた事例は見出せない。 そして一方でこの課題は、現在の技術水準の下
では経済性を考慮すると克服不可能な難題である
と考えられ、前述したようないわば妥協を余儀な
くしていたのが実情である。 (問題点を解決するための手段) 発明者らはかような難題につき、敢えてより有
利な解決を目指してとくにこの鋼種におけるC含
有量および微量合金元素が耐E.C.性、溶接性、機
械的性質に及ぼすべき関係の本質を、系統的、基
礎的に鋭意研究を進めた結果、意外な事実、即ち
この種Cr―Mo鋼では耐E.C.性は、 C含有量を0.14%以下に低減させる方がより
すぐれるようになること、 さらに微量のCuおよびNiの同時添加によつ
て顕著に改善されること、 ,の各場合とも強度レベルが低くても優
れた性能が実現されること、 などを発見した。 かような事実は何れもこれまでの関係技術上の
常識ないしは学術的概念とは相反する予想外の知
見といえる。 発明者らはこれらの知見事実を前記給水加熱器
のごとき湿り蒸気下で使用される鋼に応用し、か
ような用途において上述のように難題とされた、
耐E.C.性ならびに溶接性の両面的な改善を一挙に
成し遂げたのである。 ここに第1発明は、 C:0.02%以上0.14%以下、 Si:0.50%をこえ0.90%まで、 Mn:0.30%以上0.80%以下、 Cr:0.70%以上1.60%以下、 Mo:0.40%以上0.70%以下、 Cu:0.02%以上0.50%以下及び Ni:0.02%以上0.50%以下 を含有し、残部はFe及び不可避不純物からなり、
耐E.C.性及び溶接性に優れることを特徴とする、
湿り蒸気下で使用する低C―Cr―Mo鋼であり、
次に第2発明は、 C:0.02%以上0.14%以下、 Si:0.50%をこえ0.90%まで、 Mn:0.30%以上0.80%以下、 Cr:0.70%以上1.60%以下、 Mo:0.40%以上0.70%以下、 Cu:0.02%以上0.50%以下: Ni:0.02%以上0.50%以下及び Al:0.005%以上0.08%以下 を含有し、残部はFe及び不可避不純物からなり、
耐E.C.性及び溶接性に優れることを特徴とする、
湿り蒸気下で使用する低C―Cr―Mo鋼である。 なお、第1発明、第2発明につき上記したとこ
ろのうちの重要成分であるC含有量を特に0.02%
以上0.13%以下、同じくCu及びNi含有量につき
それぞれ0.16%以上0.30%以下に制限し各発明で
所期した効果を一層高める領域として限定した実
施態様を包含する。 (作用) さて上記成分範囲の限定理由はつぎのとおりで
ある。 C含有量はこの発明で最重要な要件であり、溶
接硬化性および溶接われ感受性を低減させ溶接の
予熱温度の低下、後熱の省略、そして応力除去焼
きなまし温度の低下、さらにはすぐれた耐E.C.性
をとくに在来観念を打破して実現するためには、
0.14%以下に限定されなければならない。溶接性
の点ではC量はもとより低ければ低いほどよい
が、原子力発電設備用給水加熱器などの湿り蒸気
下での使途に供用する鋼として要求されるよう
な、常湿並びに約250℃までの温度域における強
度およびじん性を得るには少なくとも0.02%は必
要であるので下限を0.02%とする。 とくにこの発明に従う組成のCr―Mo鋼はC含
有量を極く微量ではあつても上記のように低減さ
せると、溶接われ感受性が著しく改善されるとこ
ろに顕著な特徴をあらわし、さらにこのC含有量
の上限0.14%から0.13%への低下により強度レベ
ルの大きな低下を招くことなく溶接われ感受性を
著しく改善することができ、従つてC含有量は好
ましくは0.13%まで、より好ましくは0.11%まで
に制御するのが良い。 次にSiは常温およびに高温における強度の増加
に有効な元素である。この発明では所期した効果
を充分発揮させるためにC含有量の厳しい制限を
余儀なくしているのでそれに伴う強度低下も予測
され、ここに所定の強度を維持するためには最低
のSi含有量は0.50%をこえることが必要であり、
強度の点では0.90%までなら多ければ多いほどよ
いが、0.90%を超えると溶接熱影響部のじん性が
劣化するので0.50%をこえ0.90%までに限定され
る。 Mnは鋼に強度と延性を与えるために0.30%以
上を必要とする反面、この発明の組成の鋼では強
度確保に対してむしろCrおよびMoが大きく寄与
するため、強度の点でMnを大量に使用する必要
はなくむしろ0.80%を超えると却つて溶接硬化性
が上昇し問題を生じるので0.30〜0.80%の範囲に
限定する。 CrおよびMoはともに高い流速の湿り蒸気によ
るE.C.に対する抵抗を増す重要な元素である。原
子力発電設備用給水加熱器などの用途ですぐれた
耐E.C.性を付与するには、この各発明の組成の鋼
ではCrおよびMoはそれぞれ少なくとも0.70%お
よび0.40%必要である。CrおよびMoは耐E.C.性
の向上の目的に照らして多ければその効果も大き
いが、Crは1.60%を超えると、またMoは0.70%
を超えると何れも加工性、溶接性の低下が懸念さ
れる。従つて、Cr含有量は0.70〜1.60%の範囲
に、またMoは0.40%〜0.70%の範囲にそれぞれ
限定される。なおCrはそもそも焼入性を向上さ
せる元素として高強度組識の形成に寄与するのみ
ならず固溶体強化作用を有するものであり、一方
Moは析出硬化型元素であり、焼もどし処理時に
炭化物を微細に析出して何れも強度の上昇にも寄
与し、その結果として上述の効果がそれぞれの制
限範囲内で適切に発揮される。 次にCu:0.02%以上0.50%、Ni:0.02%以上
0.50%の範囲内で両者を同時に含有させる理由
は、高い流速の湿り蒸気に対する耐E.C.性がさら
に著しく改善できることにある。この効果は
Cu0.02%以上、Ni0.02%以上でそれらの各単独の
場合に比べて複合することにより一層著しくなる
ので併用する必要がある。耐E.C.性の改善の点で
はCuおよびNiは多ければ多いほどよいがいずれ
か一方が0.5%を超えると溶接性を著しく低下さ
せるのでこれらの各含有量の上限を0.5%とした。
CuおよびNiの同時添加による耐E.C.性の一層の
向上に対しては、おのおの0.16%以上とすること
がより好ましく、何れも0.50%までなら多ければ
多いほど効果は大きいが、その反面で溶接われ感
受性に関してはむしろ少ない方がよく、おのおの
0.30%以下であることが望まれる。 つまり耐E.C.性と溶接性を最高にするには、C
を0.13%以下に限定し、かつ0.16〜0.30%でCuお
よびNiの両者を含有させることが実施上望まし
い。 CuおよびNiは元来固溶体強化作用をもち焼入
性を向上させる元素であり、これらを複合で含有
させることにより強度は大きく上昇する。かよう
にCuおよびNiにより強度が向上できるので、強
度面でのC含有量の低減が可能になるわけで、ひ
いてはCu,Niの含有が耐E.C.性の改善にも役立
つわけである。すなわちCuとNiは合わせ含有さ
れるとそれら自身が耐E.C.性を改善するとともに
高強度化に役立ち、その高強度化はC含有量の低
減を可能にするのでこの点でも耐E.C.性の向上に
二重に寄与することになる。 更に第2発明においてAlを0.005〜0.08%の範
囲で含有させるのは、AlがAlNを形成すること
による細粒化作用に基づいて、とくにじん性の向
上に役立つからである。それらの効果は、0.005
%以上で明瞭に発現されて増量とともに最初は著
しくなるが約0.08%で飽和するので、0.005〜0.08
%に限定する。 この各発明について通常の製鋼工程で含有され
る程度の不可避的な混入不純物は許容できる。す
なわち、その一般的な限度はSおよびPについて
は溶接部の高温われ感受性を高くするためいずれ
も0.025%以下にすることが好ましい。一方Nは
通常の製鋼工程で含有される0.0020〜0.0150%は
許容されるが、0.0150%を超えるとブローホール
などの発生により鋼塊性状がわるくなるとともに
溶接性も劣化するので上記の範囲であることが好
ましい。 さらに上記組成の鋼は湿り蒸気下で使用する部
材に用いて前述のとおり耐E.C.性、溶接性、強
度、じん性等を兼備し、これらの特性が要求され
る上記用途に充当してこそ価値があり、経済的で
ある。換言すればこの発明は上記用途へ使用され
た場合に限つて品質、経済性の両面で効果を発揮
する。 以上、この各発明の鋼組成、用途等の各限定理
由を説明したが、この発明の鋼は前述のような成
分調整の下に溶接したのち、常法による圧延又は
鍛造工程を経てから焼ならしおよび引続き焼もど
しを施すか又は焼なましを施すことにより鋼材と
して製造され、ここに熱処理は上記の2種類に限
定される。 なおここでいう焼ならしとはAc3点以上に加熱
後空冷(例えば板厚100mm未満では単なる空冷、
100mm以上の極厚材では空冷または強制冷却)す
る処理であり、焼もどしとはAc1点以下に加熱後
空冷する処理であり、また焼なましとはAc3点以
上に加熱後徐冷する処理である。焼ならし焼もど
し材は通常フエライト・パーライト組識であり、
ベイナイトを含むこともある。焼なまし材は通常
フエライト+パーライト組識である。 湿り蒸気下で使用される機器の代表例として原
子力発電設備用給水加熱器について念のために述
べれば、この発明の鋼の熱処理が給水加熱器用鋼
にはこれまで採用された事例のない“焼なまし”
でもよいということは大きな特長であり、次に述
べるようにとくに高い価値をもつ。 すなわち焼なましの熱処理を受けた鋼は焼なら
し焼もどしの処理を受けたものに比べ、溶接後の
応力除去焼なまし等の熱サイクルに鈍感であり組
識および機械的性質の変動も少ない。 従つて大型溶接構造物の応力除去焼なましのよ
うに相当の温度のばらつきが予想されるような場
合、構造物の各部の品質をできるだけ均一にする
ためには、その構造物には焼ならし焼もどし鋼よ
りむしろ焼なまし鋼を用いる方がより望ましいと
いえる。 焼なまし鋼にこのような特徴があるにもかかわ
らず、原子力発電設備用給水加熱器には従来焼な
らし焼もどし鋼のみが用いられ、これまで焼なま
し鋼を用いようとする動きは全くなかつたのであ
り、その大きな理由は焼なまし鋼は焼もどし鋼に
比べ強度が低く、耐E.C.性が著しく劣ると思われ
ていたからである。しかし発明者らは従来の固定
観念にとらわれることなく鋭意研究の結果、この
発明に従う成分において焼なましの熱処理を施し
ても耐E.C.性は頗る大きく、低C化も可能で溶接
性も充分改善でき、その上、原子力発電設備用給
水加熱器用鋼として適切な強度、じん性をもつこ
とを確認した。 (実施例) さて以上述べたようなこの各発明の構成要件を
さらに明瞭にしこの発明による特別の効果を具体
的に示すため以下実施例について説明する。 供試鋼の化学組成を第2表に示す。 表中の記号No.1〜3が第1発明鋼であり、記号
No.4〜13は第2発明鋼で、記号No.14,15は我国に
おいて湿り蒸気下で使用される機器の代表例とし
て原子力発電設備用給水加熱器にこれまで使用さ
れてきた市販の高C―1 1/4%Cr―1/
2Mo―3/4%Si鋼であり、いわゆる従来鋼に相
当し、C含有量がこの発明の上限値0.14%を大き
く上廻つて0.16〜0.17%である。 記号No.16〜18についてはあとで示すN―T―
SR材とN―T材及びA―SR材の何れについても
耐E.C.性の改良に対する微量のCuおよびNiによ
るこの各発明の効果が、この各発明によるC含有
量の上限値0.14%を超えると得られなくなること
を示すいわゆる比較鋼であり、またそのうち記号
No.16,17は溶接性試験に充当した比較鋼である。 さらに記号No.19,20はCr量がこの発明の下限
値に満たず、また記号No.21,22はCr,Mo量がと
もにこの各発明の範囲の上限値を超え、かくして
耐E.C.性または溶接性のいずれかが劣ることを示
す比較鋼である。
【表】
【表】 これらの鋼は市販のものを用いた記号No.14,15
の従来鋼を除いて、小型高周波誘導加熱式真空溶
解炉を用いて溶製した100Kg鋼塊を、小型圧延機
により板厚30mmに熱間圧延したものである。圧延
後の熱処理は原子力発電設備用給水加熱器用鋼材
に従来施されていた焼ならし焼もどし処理に限定
することなく焼なましも行つた。 なおここでいう焼ならし処理は930℃の加熱炉
に装入、1時間保持後抽出し大気中で放冷するも
のである。焼もどし処理条件は660℃×1hとし
た。 また焼なましの熱処理は930℃の加熱炉に装入、
1時間保持後炉中で鋼板の冷却速度が800〜400℃
間の平均で0.8℃/分にあるよう調節して徐冷さ
せるものである。 鋼板は溶接組立てを行つた後必ず応力除去焼な
ましを受けるので焼ならし焼もどし材、焼ならし
材ともさらに645℃×1h、ただしNo.15とNo.16の場
合は670℃×8h、No.17とNo.18の場合690℃×11hの
応力除去焼なまし(SR)が付与され試験に供さ
れた。ただし溶接性試験に対しては応力除去焼な
ましを行つていない試験材が充当されていること
は説明するまでもない。 これらの供試材料を用いて、まず各発明鋼が原
子力発電設備用給水加熱器に用いられる鋼として
妥当な強度、じん性を有することを常温並びに
250℃における引張試験およびV―シヤルピー衝
撃試験を行うことにより験証した。なおここでい
う妥当な強度、じん性とは、例えば引張強さにつ
いて言えば常温でおよそ40Kgf/mm2以上であれば
よく、給水加熱器150℃程度に加熱されることを
考慮しそれより高めの250℃でも同様に40Kgf/
mm2以上が維持されることが望まれ、0℃における
吸収エネルギーについて言えば使用条件を考慮す
るとおよそ2.1Kgf・m以上であればよいという
ことになる。 引張試験には直径6mm、平行部30mm、ゲージ長
25mmの丸棒試片を、また衝撃試験には2mmVノツ
チシヤルピー試片を用いた。 また代表的供試材を用いてこの発明の目的のひ
とつである溶接性の改善効果を調べた。溶接性試
験にはJIS Z 3158に定められた斜めY形溶接わ
れ試験法を用い、われ阻止予熱温度を明らかにし
た。 次に代表的試験材について行つた高速高温水に
よるE.C.試験の方法を述べる。試験片は第1図に
示すように直径9mm、厚さ10mmの円板に幅3mm、
深さ5mmの溝を十字に切込んだものである。試験
は溝の交叉部に上部より直径1mmのノズルを通し
150℃、酸素5ppb以下の原子炉水を模擬した高温
高圧水を10m/sの高流速で500時間吹きつけ、
E.C.による試験片の重量減を調べることによつて
行つた。 以上の試験方法に基づく試験結果を第3表、第
2図及び第3図に示す。
【表】 第2図はこの第2発明の組成に属する鋼と従来
鋼及び比較鋼を用いて常温における引張強さとC
含有量の関係ならびに溶接時のわれ阻止予熱温度
とC含有量の関係を示したものである。 第3表によればいずれの各発明鋼も上記使途に
適合して充分に高い常温および250℃における引
張強さとじん性を示し、耐E.C.性および溶接性の
改善のためC含有量を低減させても強度の点では
まつたく問題がないことが明らかである。また従
来給水加熱器用鋼に施されていた焼ならし焼もど
し処理を、強度ので難い焼なまし処理に変更して
も支障がなく、強度の点ではC含有量を従来に比
べて著しく低減できるということの知見は全く新
規なものである。 次にCr,Mo量がこの第2発明の範囲に入る鋼
について溶接われ感受性とC含有量の関係を第2
図に示す。第2図からこの第2発明の上限値を超
えたC含有量を有する従来鋼No.14及びNo.15並びに
比較鋼No.16のわれ阻止予熱温度は150〜200℃であ
るのに反し、この第2発明に従いC含有量を0.14
%以下に限定すると上記予熱温度を125℃以下に
低下でき、さらにC量を0.13%以下、Cu及びNi
をそれぞれ0.30%以下に限定すればさらに100℃
以下に低下できるのである。 記号No.11とNo.6及びNo.12とNo.13のわれ阻止予熱
温度の比較から、この鋼種の場合に一般的技術水
準の下での予想に反して微量のCu及びNiが溶接
われ感受性に大きな影響を及ぼし、それらの含有
量を何れも0.30%以下に限定することにより、わ
れ阻止予熱温度をそれらが0.30%超0.50%以下で
ある場合に比べ25℃も低下できる。又、第1発明
鋼No.1〜3のわれ阻止予熱温度も100℃以下であ
る。 つまり溶接のわれを阻止するには従来鋼では少
なくとも150〜200℃の高い温度に予熱する必要が
あつたのに対し、せいぜい125℃以下に予熱すれ
ばよく、とくにC量0.13%以下、Cu及びNi量が
0.16〜0.3%の鋼では100℃以下の予熱でもよいと
いうことで溶接施工上飛躍的改良ということがで
きる。 次に耐E.C.性とこの第1発明の重要な要件であ
るC,CuおよびNi含有量との関係についても従
来鋼の記号No.14,15との比較から低C化とともに
CuおよびNiの複合添加がこの特性の向上に極め
て有効であることがわかる。この特性の向上に
CuおよびNiの複合添加が有効であり、Cu及びNi
は多ければ多いほどその効果も大きいが、Cu及
びNiにこの特性向上の効果を発揮させるにはC
含有量の0.14%以下の限定が不可欠であることは
比較鋼No.16〜18と比較すれば明白である。この種
Cu―Mo鋼の耐E.C.性が低C化、即ち給水加熱器
用鋼としてC含有量を0.14%以下に限定すること
により、また微量のCuおよびNiの同時添加、好
ましくは各々0.16%以上の添加により著しく改善
することが見出されたわけである。 更に耐E.C.性とこの第2発明の重要な要件であ
るC,CuおよびNi含有量との関係について第3
図を用いて説明すると、第2発明鋼記号No.4,5
及び9と従来鋼の記号No.14及び15、比較鋼記号No.
18との対比から、C量を0.14%以下にした上、Cu
及びNiを複合添加することが耐E.C.性の向上に
有効であることが明白である。この種Cu―Mo鋼
の耐E.C.性が低C化、即ち給水加熱器用鋼として
C含有量を0.14%以下に限定することにより、ま
た微量のCuおよびNiの同時添加、好ましくは
各々が0.16%以上の添加により著しく改善するこ
とが見出されたわけである。 さらに第3表において、Cr及び/又はMo量が
この各発明の範囲外である0.5Cr―0.5Mo鋼(記
号No.19,No.20)、21/4Cr―1Mo鋼(記号No.21,
No.22)についてみると、前者はCr量が少ないた
め耐E.C.性が不十分であり、湿り蒸気下で使用す
る際にE.C.が問題となること、また後者は溶接わ
れ感受性指数が高く250℃の予熱を必要とし作業
上多大の困難をともなうことがわかる。これに対
し各発明鋼は前述したごとく耐E.C.性、溶接性の
いずれをも具備し、湿り蒸気下で使用される鋼と
して優れた特性を有している。 (発明の効果) 以上詳細に述べたようにこの発明によれば溶接
に当たつての予熱温度を125℃程度またはそれよ
りもかなり低い温度にすることができ、作業環境
を損なう恐れが少ないとともに溶接時の予熱に要
するエネルギーも少なくても済むためエネルギー
コストが低下でき、しかも、もちろん湿り蒸気に
対する耐E.C.性が格段にすぐれているため容器の
長寿命化が達成できるなどの効果を得ることがで
きる。とくにこの発明は原子力発電設備用給水加
熱器のごときに使用して、顕著な効果をあげるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はE.C.試験片の斜視図であり、第2図は
C含有量に関してこの発明の鋼組成における引張
強さと溶接の際のわれ阻止に必要な予熱温度の低
減効果とを示す比較グラフ、第3図は耐E.C.性に
およぼす鋼中成分の影響をまとめて示した比較グ
ラフである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 C:0.02wt%以上0.14wt%以下、 Si:0.50wt%をこえ0.90wt%まで、 Mn:0.30wt%以上0.80wt%以下、 Cr:0.70wt%以上1.60wt%以下、 Mo:0.40wt%以上0.70wt%以下、 Cu:0.02wt%以上0.50wt%以下及び Ni:0.02wt%以上0.50wt%以下、 を含有し、 残部はFe及び不可避不純物からなり、耐E.C.
    性及び溶接性に優れることを特徴とする、湿り蒸
    気下で使用する低C―Cr―Mo鋼。 2 C含有量が0.13wt%以下でCu及びNi含有量
    がそれぞれ0.16wt%以上0.30wt%以下である、特
    許請求の範囲1に記載した低C―Cr―Mo鋼。 3 C:0.02wt%以上0.14wt%以下、 Si:0.50wt%をこえ0.90wt%まで、 Mn:0.30wt%以上0.80wt%以下、 Cr:0.70wt%以上1.60wt%以下、 Mo:0.40wt%以上0.70wt%以下、 Cu:0.02wt%以上0.50wt%以下、 Ni:0.02wt%以上0.50wt%以下及び Al:0.005wt%以上0.08wt%以下 を含有し、 残部はFe及び不可避不純物からなり、耐E.C.
    性及び溶接性に優れることを特徴とする、湿り蒸
    気下で使用する低C―Cr―Mo鋼。 4 C含有量が0.13wt%以下でCu及びNi含有量
    が、それぞれ0.16wt%以上0.30wt%以下である、
    特許請求の範囲3に記載した低C―Cr―Mo鋼。
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