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JPH0679802B2 - 遺跡・遺構の整備復元・保存方法 - Google Patents
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JPH0679802B2 - 遺跡・遺構の整備復元・保存方法 - Google Patents

遺跡・遺構の整備復元・保存方法

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JPH0679802B2
JPH0679802B2 JP4265791A JP4265791A JPH0679802B2 JP H0679802 B2 JPH0679802 B2 JP H0679802B2 JP 4265791 A JP4265791 A JP 4265791A JP 4265791 A JP4265791 A JP 4265791A JP H0679802 B2 JPH0679802 B2 JP H0679802B2
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ruins
soil
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繁夫 青木
義和 遊垣
功 野田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は遺跡・遺構の整備復元・
保存方法に関し、より詳しくは遺跡・遺構の内部をポリ
シロキサン−ポリオキシアルキレンブロック共重合体で
処理し、表面をポリアルキレングリコール付加シリコー
ン化合物、またはこれらとシリコーン系硬化性組成物を
併用して処理することによる遺跡・遺構の整備復元・保
存方法に関する。
【0002】
【従来の技術】日本列島には数万年前より人が住み、縄
文時代・弥生時代から近代に到るまでの住居跡、農耕地
跡、墳墓跡、貝塚、寺院跡、たたら跡や、焼物、銅鏡、
鋳物等の製造場跡等多くの遺跡・遺構が残されている。
これらの遺跡・遺構は我々の祖先が残した貴重な文化財
であり、それが崩壊することなく、将来に向かって保存
・活用するために、原形のまま保存することが強く望ま
れている。これまでの遺跡・遺構は水田、原野、山林、
湖沼、河川等の地中に埋蔵され、その土や水によって保
護されてきたので、数千年という長い期間を経過した現
在においても、良好な保存状態で原形をとどめてきた。
【0003】しかしながら、近年、社会基盤の整備等に
より道路、住宅、工場、運動場、店舗、農耕地等を造る
ため、大地を掘り起こす機会が増大し、新たに埋蔵遺跡
が多数発見されている。一旦掘り起こされた遺構・遺跡
はそのままにしておくと風雨による風化、土中水の変化
による収縮亀裂、植物・蘚苔類等の繁茂、人畜による破
壊により急速に原形が消滅し、保存活用上大きな問題と
なっている。
【0004】これまで遺跡の保存と展示公開を目的とし
て、遺跡全体を保護棟で覆い、見学者はガラス窓ごしに
観察するような、いわゆる考古館等が造られていた。こ
れによって、風雨の影響、人畜による破壊はなくなった
が、遺跡の表面にカビや蘚苔類が繁茂し、これらを食料
とする虫が発生し、遺跡・遺構に穴をあけたりする被害
が発生している。この対策として毎月1回程度、ホルマ
リン水やグラムキソン等の生物防除剤を散布していた
が、生物被害の防止効果があまりなく、人体への影響も
あり、新しい生物防除法が望まれている。一方、遺跡の
保護棟による保存は温室化による土壌水分の蒸発(20
℃前後で1m2 /日あたり約800ccの水が蒸発す
る)が激しく、遺跡が乾燥して亀裂が発生したり、一部
で砂漠化する現象がみられる。また、乾燥等によって炉
跡の焼土の判別ができなくなることや、土壌水分の蒸発
により遺跡の一部に可溶性塩類の析出がみられること
や、遺構に亀裂・崩壊が起こること等の不都合がある。
これらの対策として、ポリエチレングリコール、アクリ
ルアミド、アクリル酸マグネシウム、酢酸ビニルエマル
ジョン等で遺跡表面に保護膜を作り保護してきた。しか
し、ポリエチレングリコールは処理後1週間程度はかな
り安定しているが、その後土中水に溶けて拡散してしま
い数週間で効果が失われ、アクリルアミドはゲル化した
保護膜が乾燥するに従い収縮を起こし、土壌表面を引き
剥がしながら鱗片状にめくれあがり、そしてアクリル酸
マグネシウムもまた経年劣化して鱗片状に剥がれる問題
がある。
【0005】遺跡には人間が生活してきた様々な施設が
あり、その整備復元・保存は重要な課題となっている。
例えば、住居跡には木の柱の跡、かまど跡、食物貯蔵地
跡、地下倉庫跡等、立体構造であり主として土壌からな
る遺構がある。これらの遺構は一旦発見・発掘され、そ
れらを保護してきた土壌が取り除かれると、その後は短
期間に雨水、乾燥、人間、動物、昆虫、地中の虫類等の
作用により崩壊してしまう。従って、これらの遺構を原
形の状態に整備復元し、保存する方法は従来より求めら
れていたが、適切なものがなく解決方法が求められてい
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、遺構・遺跡
等を整備復元し、その復元状態が長期間にわたり持続す
ること、かつその復元された遺跡・遺構の表面にカビ・
蘚苔類等の生物被害が発生しないようにすること、そし
てこれに加えて遺跡・遺跡等の土壌表面を引き剥がした
り、亀裂を発生させたり、砂漠化させたりしないこと、
色調の変化を防止すること、処理効果が長期間持続する
こと、人体に悪影響がないこと等を可能ならしめる遺跡
・遺構等の整備復元・保存方法を提供することを課題と
してなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意研究の
結果、数多くの低分子化合物および高分子化合物ならび
にこれらの組合せについて試験を行い、特定のシリコー
ン系化合物およびこれらの組合せの場合、上記の課題が
解決できることを実証し、本発明を完成させた。
【0008】すなわち、本発明は、劣化した遺跡・遺構
を実測図に従って整備復元し、さらにそのままの状態で
保存する方法において、遺跡・遺構を構成する土壌層等
を下部より、最初の層を1〜50cmの厚さに実測図に
従って復元造成し、その表面にポリシロキサン−ポリオ
キシアルキレンブロック共重合体の溶液を均一に散布
し、さらにその上に上記と同様な作業を遺跡・遺構の原
形の最上層から1〜50cm下まで繰り返し、その上に
厚さ1〜50cmの土壌最上層を復元造成し、その表面
にポリアルキレングリコール付加シリコーン化合物の溶
液を均一に散布することを特徴とする遺跡・遺構の整備
復元・保存方法に関する。
【0009】本発明の遺跡・遺構の整備復元・保存方法
の好ましい実施態様は、上記ポリアルキレングリコール
付加シリコーン化合物とシリコーン系硬化性組成物とを
併用することである。
【0010】また、本発明のもう一つの好ましい実施態
様において、上記ポリアルキレングリコール付加シリコ
ーン化合物として次式(化2):
【化2】 (式中、mは0〜10、nは1〜10、xは2〜6、y
は3〜10、zは0〜10を表し、Aは−H、−C
3 、−C2 5 、−C3 7 、−COCH3 および−
COC2 5 から選択される基を表す。)で表される化
合物が使用される。
【0011】本発明において遺跡・遺構の実測図とは、
縄文時代や弥生時代の古い時代に造られた、例えば住居
などの柱を立てる穴、かまど、食物貯蔵場所等を実測し
て図面としたものであり、現代の建築や機械製作におい
て用いる設計図に相当するものである。
【0012】遺跡は造られた時代から長い時間を経過し
ており、遺構は埋蔵中あるいは発掘後雨水・虫害、風
害、人畜害、鳥害、乾燥による害などにより風化、破損
または消失している。これにより一旦掘り起こされた遺
跡は永遠に失われてしまうことがままある。貴重な文化
財である遺跡・遺構を整備復元して、保存・活用するこ
とは遺跡を永遠に残すことにもなり、文化的活動のため
に必要不可欠なものである。これが、本発明のような遺
構・遺跡の整備復元が必要な理由である。
【0013】本発明において遺跡・遺構を構成する土壌
層(一部消失しているものは実測図に従って周囲の土壌
をもってきて造成する)を一旦掘り起こし(この場合、
可能ならば土壌がバラバラにならないように一定の厚
さ、一定の面積のブロックとして切り出すことが望まし
い)、遺跡・遺構の実測図に従って、その最下部から復
元していく。復元の際に最下部に1〜50cmの厚さの
土壌層を造成し、その表面にポリシロキサン−ポリオキ
シアルキレンブロック共重合体の水溶液を均一に散布
し、さらにその上に上記と同様な作業を、最上層の1〜
50cmの厚さを残して繰り返す。
【0014】遺跡が崩壊する大きな原因の1つとして遺
跡を構成する土壌の乾燥または湿潤の繰り返しがあり、
遺跡を安定に保つには遺跡の下部から上部にかけて一定
の水が移動することが不可欠であることが本発明者等の
研究により示された。そして、上記のように1〜50c
mの厚さの土壌層の表面にポリシロキサン−ポリオキシ
アルキレンブロック共重合体の水溶液を均一に散布する
と、土壌表面層から土壌層内部にかけてポリシロキサン
−ポリオキシアルキレンブロック共重合体が存在するよ
うになり、この共重合体が一定の土壌水分を保持するこ
とにより、土壌の乾燥を防止し、過剰の水分は透過させ
地表面から大気に蒸発することが見出された。また、こ
の共重合体はゲル化効果および土壌の団粒化効果を有
し、従って土壌層の崩壊を防止する機能を有することも
分かっている。
【0015】本発明において使用し得るポリシロキサン
−ポリオキシアルキレンブロック共重合体として以下の
ものを挙げることができる。 (1)次式(化3):
【化3】 (式中、aは50〜2000、bは10〜500、cは
2〜6、dは3〜500、そしてeは0〜500を表
し、そしてRは−H、−CH3 、−C2 5 、−C3
7 、−COCH3 および−COC2 5 から選択される
基を表す。) (2)次式(化4):
【化4】 (式中、a’は4以上の整数、b’は4以上の整数、
c’は5以上の整数、R’は一価の炭化水素基、そして
R”一価の炭化水素基を表す。)で表される線状ポリシ
ロキサン−ポリオキシアルキレンブロックを反復単位と
して有する高分子量非加水分解性ブロック共重合体。
【0016】本発明では、遺跡の内部構造において、上
記の方法で厚さ1〜50cmの各土壌層の上部からポリ
シロキサン−ポリオキシアルキレンブロック共重合体の
水溶液で処理する操作を繰り返し、遺跡の土壌の最上層
はポリアルキレングリコール付加シリコーン化合物の水
溶液で処理する。
【0017】また、本発明において使用するポリアルキ
レングリコール付加シリコーン化合物とは上記一般式で
表されるものが好ましく、例えば下記の化学式(化5〜
化10)で表されるものである。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【0018】本発明においてポリアルキレングリコール
付加シリコーン化合物は主としてカビや蘚苔類の発生を
防止する役割を担う。なお、ポリアルキレングリコール
付加シリコーン化合物自体は公知の化合物であり、これ
まで表面張力降下剤としての用途は知られていたが、本
発明のように土壌表面のカビや蘚苔類の発生を防止する
効果はこれまで報告されたことはなく、本発明において
初めてこの特性が見出されたものである。
【0019】本発明においてポリアルキレングリコール
付加シリコーン化合物を遺跡・遺構の土壌表面に散布す
るには、該化合物を水、アルコール類、有機溶媒類に溶
解し、エアースプレー方式で行う方法が望ましい。ま
た、この散布は土壌表面に均一に行うことが望ましい。
土壌表面に対する散布量はポリアルキレングリコール付
加シリコーン化合物が100〜3000g/土壌表面1
2 の割合となるのが望ましい。100g/m2 以下で
あるとカビや蘚苔類の発生防止効果がなく、3000g
/m2 以上散布量を増加しても効果が飽和点に達し経済
性がない。
【0020】次にポリアルキレングリコール付加シリコ
ーン化合物とシリコーン系硬化性組成物を併用する場合
について説明する。ポリアルキレングリコール付加シリ
コーン化合物単独では、カビ・蘚苔類の発生は防止され
るが、遺跡・遺構の保存条件が良好な場合ばかりとは限
らず、例えば保護建屋がなく原野にそのまま保存される
場合とか、保護建屋があっても土壌中の水分量が多すぎ
たり少なすぎたり、外気の温度や湿度等が高すぎたり低
すぎたり、また風雨が直接影響する場合や人畜が直接接
触することがある場合等では、これらの保護膜が必要と
なる。この保護膜形成剤としてシリコーン系硬化性組成
物を併用するものである。シリコーン系硬化性組成物と
しては例えば下記のものが挙げられる。 例1 次式:R1 n Si(OR2 4-n (式中、R1 はメチル基、エチル基、アミル基、フェニ
ル基またはビニル基を表し、R2 はメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基またはアセチル基を表し、n
は1〜3の整数を表す)で表されるオルガノアルコキシ
シランまたはオルガノアセトキシシランの少なくとも1
種を酸性または中性の水溶液に溶解した後、該水溶液に
ケイ酸リチウムおよび他のケイ酸塩化合物の少なくとも
1種を添加・溶解し、該水溶液をpH11〜12のアル
カリ性に調整した後、金属酸化物を添加して調製した溶
液であり、その詳細は本発明者等による特開昭63−1
7974号公報に記載されている。 例2 分子内に2個以上の水酸基を有するヒドロキシル化ジオ
ルガノポリシロキサン100重量部に対して、架橋剤
(テトラエチルシリケート、テトラプロピルシリケート
等)0.3〜30重量部、硬化触媒(ジブチルスズラウ
レート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオ
クテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルス
ズジパルミテート、ジオクチルスズジステアレート、ラ
ウリン酸スズ、オクチル酸スズ、オクチル酸鉄、オクチ
ル酸鉛、テトラブチルチタネート等のカルボン酸の金属
塩、n−ヘキシルアミン、グアニジン等のアミン化合物
またはこれらの塩酸塩等)0.01〜8重量部を添加し
た組成物であり、これらにさらに下記の界面活性剤、
水、アルコール類、繊維、無機粉粒体、油性成分等を配
合してもよい。 例3 分子内に2個以上のビニル基を有するビニル化ジオルガ
ノポリシロキサン100重量部に対して、架橋剤(分子
内に2個以上のSi−H基を有する水素化ジオルガノポ
リシロキサン)20〜100重量部、硬化触媒(塩化白
金酸、白金黒、白金アスベスト、白金シリカゲル、白金
活性炭、塩化白金酸カリウム等)0.001〜3重量部
を添加した組成物であり、これらにさらに下記の界面活
性剤、水、アルコール類、繊維、無機粉粒体、有機溶
剤、油性成分等を配合してもよい。界面活性剤の例:ポ
リオキシエチレンオクチルドデシルアルコール、ポリオ
キシエチレン2−デシルテトラデシルアルコール、ポリ
オキシエチレンオレイルアルコールエーテル、ソルビタ
ンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ポリオ
キシエチレンソルビタンモノオレエート、グリセリルモ
ノオレエート、グリセリルモノミリステアレート、ポリ
オキシエチレングリセリルモノオレエート、ポリオキシ
エチレンジヒドロコレステロールエーテル、ポリオキシ
エチレンオクチルフェノールエーテル、グリセロールモ
ノイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレングリセ
ロールモノイソステアレート、ジグリセリルモノステア
レート、デカグリセリルデカステアレート;ミリスチン
酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸のカリウ
ム、ナトリウム、ジエタノールアミン、トリエタノール
アミン、アミノ酸等の塩;特にジオルガノポリシロキサ
ン−ポリオキシアルキレン共重合体。 アルコール類の例:エタノール、ブタノール、エチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリ
コール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレ
ングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセ
リン、テトラグリセリン、グルコース、マルトース、マ
ルチトース、サッカロース、フルクトース、キシリトー
ス、ソルビトール等。 繊維の例:微結晶セルロース、絹フィブロイン、フィブ
ロイン粉末、絹、木綿、羊毛、ナイロン、ポリエステ
ル、ビニロン等の短繊維。 無機粉粒体の例:無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タ
ルク、カオリン、マイカ、雲母チタン、オキシ塩化ビス
マス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜
鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、
黄酸化鉄、グンジョウ、カーボンブラック、カラミン
等。 有機溶剤の例:ベンゼン、トルエン、キシレン、イソプ
ロピルアルコール、エチレングリコールアセテート、エ
チレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコー
ルモノブチルエーテル、酢酸イソプロピル、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、ジイソプロピルケトン、ジ酢酸エチレ
ングリコール、ジメチルエーテル等。 油性成分の例:牛脂、スクワラン、オリーブ油、月見草
油、米ぬか油、炭化水素、流動パラフィン等。
【0021】本発明においてポリアルキレングリコール
付加シリコーン化合物とシリコーン系硬化性組成物を併
用するとき、ポリアルキレングリコール付加シリコーン
化合物を最初に散布して、次にシリコーン系硬化性組成
物を散布してもよいし、両者を混合液として散布しても
よいし、またはシリコーン系硬化性組成物を最初に散布
して、次にポリアルキレングリコール付加シリコーン化
合物を散布してもよい。
【0022】
【実施例】次に本発明を実施例に基づいて説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下
の実施例における全ての試験は横浜市磯子区岡村4丁目
11番地22に所在する縄文時代から古墳時代までの竪
穴式住居跡の柱跡を復元することにより行った。
【0023】実施例1 図1は住居跡の柱跡の現在の状態を示す断面図であり、
図2は図1に示す柱跡の実測図であり、図3は図1に示
す柱跡の整備復元後の断面図である。図中、1は土壌、
2は現在の柱跡、3は原形の柱跡、4は現在消失してい
る土壌部分、5〜9は復元した土壌層(第1層〜第4層
および最上層)、10はポリシロキサン−ポリオキシア
ルキレンブロック共重合体の散布層、そして11はポリ
アルキレングリコール付加シリコーン化合物(またはこ
れとシリコーン系硬化性組成物との組合せ)の散布層を
示す。
【0024】図1に示す現在の柱跡に、図2に示す消失
した土壌部分4を実測図に従って周囲の土壌を用いて造
成し、次に図3に示すように最上層から第4層〜第1層
の順に各層がブロックとなるように各層の境界を切断し
た(なお、各層の厚さは10cmとした)。次いで、第
1層5を設置し、その表面に下記の方法(ポリマー合成
例1)に従って合成した交互ブロック共重合体の10%
水溶液をハンドスプレーガンで500g/m2 (ポリマ
ー換算)となるように散布した。次に第2層6のブロッ
クを第1層上に載置し、第1層と同様の処理を行った。
この操作を第4層8まで繰り返した。
【0025】(ポリマー合成例1)機械的攪拌機、凝縮
器、温度計および窒素送入口を備えた500mlの3つ
口フラスコ中に、ジメタアリルポリエーテル〔CH2
C(CH3 )CH2 O(C2 4 O)18(C3 6 O)
33CH2 C(CH3 )=CH2 〕100g、トルエン3
50g、クロル白金酸の形態にあるPt20ppmを入
れた。この混合物に温度を80〜100℃に維持するよ
うな速度でジヒドロポリジメチルシロキサン〔HMe2
SiO(MeSiO)40SiMe2H〕109gを徐々
に添加した。この反応の終了はSiHに対するAgNO
3 試験が負になることで判定した。次いで反応混合物を
NaHCO3 で中和し、ろ過し、ロータリーエバポレー
ターにより50℃/1mmHgで溶媒を除去した後、次
式: −〔(MeSiO)40Me2 SiCH2 CH(CH3 )CH2 O(C2 4 O )18(C3 6 O)33CH2 CH(CH3 )CH2 16.1− の反復単位を有する分子量52000の交互ブロック共
重合体203gを得た。
【0026】次に、遺構の最上層の表面に繁茂している
蘚苔類を遺構表面を傷つけないように慎重に取り除き、
遺構表面を軟質のブラシにて清掃し、新鮮な表層を露呈
させ、遺構の表面および最上層全体に次式(化11):
【化11】 で表されるポリアルキレングリコール付加シリコーン化
合物を10%水溶液として調製したものをハンドスプレ
ーガンを使用して500g/m2 となるように散布し
た。
【0027】評価 上記方法により遺跡が整備復元されたが、2年経過後も
各層の色、構造変化は全く認められず、表面層への蘚苔
類・カビの発生も全く認められなかった。
【0028】比較例1 本発明に使用するポリシロキサン−ポリオキシアルキレ
ンブロック共重合体、ポリアルキレングリコール付加シ
リコーン化合物を全く使用せずに、実施例1と同様な試
験を行った。
【0029】評価 各土壌層の境界に色変化が現れ、各土壌層の側面(表面
に露出している)から土壌が崩れ落ち遺跡の原形が崩壊
した。また、最上層および各土壌層の側面には実験開始
後1ヵ月で蘚苔類・カビの発生が認められた。
【0030】実施例2 水78部にメチルトリメトキシシラン4部を攪拌しなが
らゆっくり添加し、水溶液が均一な透明になったところ
でケイ酸リチウム12部とケイ酸ナトリウム2部を添加
し、均一になるまで攪拌した後、水酸化ナトリウムでp
Hを12に調整した。さらに、酸化アルミニウム2部を
添加して均一な透明液体(シリコーン系硬化性組成物)
を得た。一方、最上層の処理を除いて実施例1と全く同
様に操作した後、遺構の表面に実施例1と同様な方法で
ポリアルキレングリコール付加シリコーン化合物を散布
した後、上記透明液体を1000ml/m2 の割合で散
布した。
【0031】評価 2年経過後も遺構表面には蘚苔類やカビの発生は認めら
れず、降雨、風等による影響も全く認められなかった。
また、保護膜の収縮によって遺構表面が破損されること
もなかった。
【0032】実施例3 ヒドロキシル化ジメチルポリシロキサン(分子量300
00)40重量部、ポリエチレングリコール(分子量4
000)5重量部、ステアリン酸2重量部、ポリオキシ
エチレンソルビタンステアレート3重量部、水200重
量部、テトラエチルシリケート5重量部、ジブチルスズ
ジラウレート0.7重量部を攪拌混合し、さらに次式
(化12):
【化12】 で表される化合物40重量部を添加し攪拌混合し、処理
液(ポリアルキレングリコール付加シリコーン化合物と
シリコーン系硬化性組成物との混合液)を調製した。最
上層の処理を除いて実施例1と全く同様に操作した後、
上記処理液を実施例1と同様な方法で遺構表面に300
0ml/m2 の割合で散布した。
【0033】評価 2年経過後も遺構表面には蘚苔類やカビの発生は認めら
れず、降雨、風等による影響も全く認められなかった。
また、保護膜の収縮によって遺構表面が破損されること
もなかった。
【0034】実施例4 ビニル化ジメチルポリシロキサン(分子量20000)
30重量部、ポリオキシエチレンオクチルドデシルアル
コール6重量部、グリセリンモノステアレート3重量
部、水100重量部、グリセリン3重量部、水素化ジメ
チルポリシロキサン(分子量8000)15重量部、白
金シリカゲル0.6重量部、ワセリン5重量部を攪拌混
合し、処理液(シリコーン系硬化性組成物)とした。一
方、最上層の処理を除いて実施例1と全く同様に操作し
た後、実施例1と同様な方法で遺構表面に次式(化1
3):
【化13】 で表される化合物を1500g/m2 の割合で散布した
後、上記処理液を500ml/m2 の割合で散布した。
【0035】評価 2年経過後も遺構表面には蘚苔類やカビの発生は認めら
れず、降雨、風等による影響も全く認められなかった。
また、保護膜の収縮によって遺構表面が破損されること
もなかった。
【0036】実施例5 実施例1において使用したポリマー合成例1に代えて下
記のポリマー合成例2に従って製造したポリシロキサン
−ポリオキシアルキレンブロック共重合体を使用した以
外は、実施例1と全く同様の操作を行ったところ、これ
もまた実施例1と同様良好な結果が得られた。
【0037】(ポリマー合成例2)ヒドロキシル基含有
ジメチルポリシロキサン〔Me3 SiO(MeSi
2 O) 100(SiMeHO)13SiMe3 〕27g、ア
リルポリエーテル〔CH2 =CHCH2 O(C2
4 O)18(C3 6 O)20CH3 〕94g、トルエン3
30g、および白金系付加触媒としてPt20ppmを
用い合成例1と同様の操作を行い、次式(化14):
【化14】 で表される分子量35000のブロック共重合体120
gを得た。
【0038】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明は、
遺跡・遺構の土壌を多重層としてブロックに分け、それ
らの最上層を除く各層表面をポリシロキサン−ポリオキ
シアルキレンブロック共重合体の水溶液で処理してある
ので、遺跡・遺構の色彩の変化がなく、乾燥・湿潤等に
よる遺構・遺構の崩壊が起こることなく、整備復元し、
さらに最上層を人体に無害のポリアルキレングリコール
付加シリコーン化合物の水溶液で処理してあるので、蘚
苔類やカビの発生を防止する。このように本発明は、今
まで適切な手段がなかった遺跡・遺構の整備復元および
保存方法を提供するものである。
【0039】また、上記シリコーン化合物とシリコーン
系硬化性組成物とを併用することにより、該シリコーン
化合物の保持効果が高められて蘚苔類・カビ発生防止効
果を長期間持続させ、さらに遺跡・遺構の表面を物理的
・化学的な作用から保護することも本発明は可能とし
た。しかもこのシリコーン系硬化性組成物による保護膜
自体の膨張、収縮により遺跡・遺構の表面が破損される
こともない。従って、本発明は、遺跡・遺構の整備復元
と保存を従来の方法に比較してより良好な状態で、しか
も長期間持続して行うことを可能としたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】住居跡の柱跡の現在の状態を示す断面図であ
る。
【図2】図1に示す柱跡の実測図である。
【図3】図1に示す柱跡の整備復元後の断面図である。
【符号の説明】
1 土壌 2 現在の柱跡 3 原形の柱跡 4 現在消失している土壌部分 5〜9 復元した土壌層(第1層〜第4層および最上
層) 10 ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロック
共重合体の散布層 11 ポリアルキレングリコール付加シリコーン化合物
(またはこれとシリコーン系硬化性組成物との組合せ)
の散布層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 劣化した遺跡・遺構を実測図に従って整
    備復元し、さらにそのままの状態で保存する方法におい
    て、 遺跡・遺構を構成する土壌層等を下部より、最初の層を
    1〜50cmの厚さに実測図に従って復元造成し、その
    表面にポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロック
    共重合体の溶液を均一に散布し、さらにその上に上記と
    同様な作業を遺跡・遺構の原形の最上層から1〜50c
    m下まで繰り返し、その上に厚さ1〜50cmの土壌最
    上層を復元造成し、その表面にポリアルキレングリコー
    ル付加シリコーン化合物の溶液を均一に散布することを
    特徴とする遺跡・遺構の整備復元・保存方法。
  2. 【請求項2】 ポリアルキレングリコール付加シリコー
    ン化合物とシリコーン系硬化性組成物を併用する請求項
    1記載の遺跡・遺構の整備復元・保存方法。
  3. 【請求項3】 ポリアルキレングリコール付加シリコー
    ン化合物として次式(化1): 【化1】 (式中、mは0〜10、nは1〜10、xは2〜6、y
    は3〜10、zは0〜10を表し、Aは−H、−C
    3 、−C2 5 、−C3 7 、−COCH3 および−
    COC2 5 から選択される基を表す。)で表される化
    合物を使用する請求項1または2記載の遺跡・遺構の整
    備復元・保存方法。
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