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JPH07117355B2 - 銅合金部材の汚れの管理方法 - Google Patents
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JPH07117355B2 - 銅合金部材の汚れの管理方法 - Google Patents

銅合金部材の汚れの管理方法

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JPH07117355B2
JPH07117355B2 JP3063665A JP6366591A JPH07117355B2 JP H07117355 B2 JPH07117355 B2 JP H07117355B2 JP 3063665 A JP3063665 A JP 3063665A JP 6366591 A JP6366591 A JP 6366591A JP H07117355 B2 JPH07117355 B2 JP H07117355B2
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iron film
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泰彦 近森
隆 小坂
正信 南
実 蜂谷
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は銅合金部材の汚れの管理
方法に関し、より詳しくは、海水等を冷却水として使用
する復水器、熱交換器等の設備における銅合金製の冷却
用管、管板等(以下、銅合金部材と称する)の表面に形
成するスライム等の汚れ具合を部分的にかつリアルタイ
ムに把握し、汚れを管理することができる方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】海水を冷却水として使用する復水器、熱
交換器等の設備における銅合金部材の内面は、冷却水の
流れによってインレットアタックおよびデポジットアタ
ックといった腐食を生じやすい。そこでこのような腐食
の抑制手段として、外部電源方式等による電気防食法
と、冷却水中に鉄イオンを供給して銅合金部材の表面に
鉄皮膜を形成させる方法との併用が近年広く実施されて
いる。
【0003】しかし、係る設備にあっては、冷却水とし
て海水等を使用するので、冷却水中の微生物(通常、プ
ランクトン)や海底面から浮遊するマンガンイオン等が
銅合金部材の内面に付着し(一般に総称としてスライム
と呼ばれる)、鉄皮膜の防食効果の低下や設備の熱貫流
効率の低下を招く等の問題が生じる。
【0004】そこでこのようなスライム等による部材の
汚れを軟質ボール洗浄、硬質ボール洗浄、ジェット洗
浄、ブラシ洗浄等の洗浄方法によって適宜除去する必要
がある。しかしブラシ洗浄またはジェット洗浄を行なう
には設備を長期(数日)に亘って休止する必要があり、
また軟質ボール洗浄および硬質ボール洗浄は運転中でも
可能であるが洗浄評価については設備を一時休止する必
要がある。さらに上記汚れの発生状況は水温、季節等の
様々な要因の影響を受けやすく、規則性がない。
【0005】そのため、洗浄に要する設備の休止期間を
できるだけ少なくし、係る銅合金部材の汚れを効果的に
洗浄すべく、汚れの状態を適格にかつ設備を休止せずに
把握しておく必要がある。
【0006】ところが、汚れの状態を目視により把握す
るには設備を休止せねばならず、定量的な判断もできな
い。また、係る付着物を採集して分析し、その結果を得
るには相当の日時と手間がかかり、しかも採集の際に設
備を休止しなければならないので、付着物量から汚れの
状態を直接把握することも困難である。
【0007】このような汚れの把握方法として真空度偏
差値を利用する方法が従来から一般的に使用されてい
る。係る方法は、銅合金部材に汚れが付着すると熱貫流
効率の低下を生じ、発電プラント等の設備の蒸気側の真
空度に影響することを利用して、真空度偏差値から汚れ
の状態を把握する方法であり、真空度偏差値が汚れの程
度と密接な関係があることは経験的に見出されている。
係る真空度偏差値は(実測真空度)−(予想真空度)の
値であり、予想真空度は設備の容量、ポンプ数、冷却水
温等に基づいて設備ごとに演算で求める値である。
【0008】ところで、復水器、熱交換器等の設備は通
常複数の熱交換ユニット(コンデンサー;各ユニットは
一般に複数の冷却用管と2つの水室を具備する)を具備
しており、ユニット毎に汚れの状態は異なることが分か
っている。しかしながら、上記真空度偏差値を利用する
方法の場合、上記設備の蒸気側は通常設備全体で一つと
なっていることから、設備全体で平均的にしか汚れの状
態を把握することができない。そのため従来は、設備の
一部ユニットに汚れが集中した場合には検知し辛く、本
来なら一ユニットのみを早期に軟質ボール洗浄等すれば
足りる場合であっても、結果的に全ユニットをブラシ洗
浄せざるを得なくなることがあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の問題に鑑みて成されたものであり、海水等を冷却水と
して使用する復水器、熱交換器等の設備における銅合金
部材の表面に形成するスライム等の汚れ具合を該設備の
ユニット毎にかつリアルタイムに把握し、その汚れを管
理することによって、該設備を効率的に適正稼働状態に
維持することが可能な方法を提供することを目的とする
ものである。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者らは
上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、銅合金部材の
自然電位が該銅合金部材の汚れの程度と非常に密接な関
係があることを見出し、本発明に到達した。
【0011】すなわち、本発明の銅合金部材の汚れの管
理方法は、冷却水を必要とする設備に使用される銅合金
部材を電気防食法と該部材の表面に鉄皮膜を形成させる
ことによる防食法とを併用して防食する際における該銅
合金部材の汚れの管理において、該冷却水中に設けた電
極から該冷却水を通じて該銅合金部材に通電する電流回
路と、該銅合金部材の電位を測定する電位測定回路とを
有する通電装置を用いて、該通電を一時的に遮断した後
に陰極(銅合金部材)電位が減衰して安定するところの
自然電位を求める工程と、該自然電位を予め定められた
基準値と比較する工程と、該自然電位が該基準値より貴
になると該銅合金部材の汚れを洗浄する工程とからなる
ことを特徴とする方法である。
【0012】本発明の対象となる銅合金部材は、表面が
海水、淡水等の冷却水と接しており、電気防食法と鉄皮
膜による防食法とを併用して防食されているものであ
る。上記の電気防食法および鉄皮膜による防食法はいず
れも特に制限されない。例えば、鉄皮膜による防食法と
しては硫酸第1鉄溶液の導入あるいは鉄電極を用いた鉄
電解法等によって鉄皮膜形成用の鉄イオンを供給する方
法がある。
【0013】本発明において汚れの程度の指標として求
める自然電位は、通電していない時の銅合金部材(陰
極)の電位(復極安定電位)であり、すなわち通電を遮
断した後に減衰して安定したところの陰極電位である。
通常、陰極電位が真の自然電位になるには通電遮断後約
5分間を要する。
【0014】本発明にあっては上記自然電位を実際に測
定してもよいが、電気防食の効果および測定作業上の観
点から、通電遮断時間をできるだけ短縮して自然電位を
得ることが好ましく、下記式(1) En=E60+(E60−E50) (1) [式(1)中、Enは自然電位、E50は通電を遮断し
てから50秒後の陰極電位、E60は通電を遮断してか
ら60秒後の陰極電位をそれぞれ示す]に基づいて求め
ることが最も好ましい。下記式(1)に基づいて求めた
自然電位は実測した値と略一致するので、この方法によ
って約1分で自然電位を求めることが可能である。
【0015】また、本発明において用いる通電装置は、
冷却水中に設けた電極から冷却水を通じて銅合金部材に
通電する電流回路と、銅合金部材の電位を測定する電位
測定回路とを有するものであればよく、外部電源方式に
よる電気防食装置を兼ねたものであると装置が煩雑とな
らないので好ましい。また、かかる通電装置を電気防食
装置と別に設けてもよい。なお、対象とする設備が複数
のユニットからなるものである場合は、上記通電装置を
ユニット毎に設けて各ユニットにおける自然電位を求め
ることが好ましい。
【0016】本発明にあっては、上記自然電位を予め定
められた基準値と比較し、自然電位が基準値より貴の場
合は銅合金部材の汚れを洗浄する。上記基準値は操業条
件や環境条件等によって変化するので一律に定めること
は困難であり、設備毎あるいはそのユニット毎に設定す
る必要がある。上記基準値の設定にあたっては、前記鉄
皮膜の防食効果の低下および/または前記設備の熱貫流
効率の低下が許容範囲を超えないように経験的に定める
ことが好ましい。具体的には例えば、銅合金部材への付
着物量を一定期間測定してそのデータから設定しても良
く、また上記従来の真空度偏差値を参考にして設定して
もよい。そして、設備をより厳しく管理する場合は基準
値をより卑の値に設定するようにすればよい。また、上
記基準値を自然電位のバラツキ等を見越してある程度の
幅をもって設定し、その範囲に入ったら洗浄の準備を
し、その範囲より貴となったら直ちに洗浄するようにし
てもよい。
【0017】また、前記の汚れを洗浄する方法は特に制
限されず、汚れの程度等に応じて選択されるが、設備の
休止期間が短くてすむ(数時間)ことから軟質ボール洗
浄または硬質ボール洗浄が好ましく、良好な鉄皮膜を除
去する危険性が少ない軟質ボール洗浄が最も好ましい。
【0018】以上説明した本発明の銅合金部材の汚れの
管理方法は、それだけでも充分に汚れの管理が可能であ
るが、もちろんより慎重を期すために従来の真空度偏差
値を利用する方法等と併せて行なってもよい。
【0019】また、本発明の銅合金部材の汚れの管理方
法を、本出願人らによる鉄皮膜抵抗の計測方法(特開昭
59−147247号公報)と併せて用いるとなお好ま
しい。この鉄皮膜抵抗の計測方法は、銅合金部材表面に
形成される鉄皮膜の抵抗値測定に際し、重畳されて計測
される鉄皮膜抵抗値(Rf)、分極抵抗値(Rd)および測
定上のIR降下分を含んだ第3成分抵抗値(Rx)から鉄
皮膜抵抗値(Rf)のみを分離して計測することを可能と
し、係る鉄皮膜抵抗値(Rf)に基づいて鉄皮膜の状態を
把握できるようにする方法である。
【0020】すなわち、上記鉄皮膜抵抗の計測方法は、
冷却水を必要とする設備に使用される銅合金部材を電気
防食法と該部材の表面に鉄皮膜を形成させることによる
防食法とを併用して防食する際における該防食用鉄皮膜
の管理において、電流測定回路と電位測定回路とを有す
る通電装置を用いて、通電時の陰極電位と通電電流値I
とを測定する工程と、通電を一時的に遮断し、減衰して
いく陰極電位を、該陰極電位が安定するところの自然電
位になるまで若しくは該自然電位の予測が可能になるま
で測定する工程と、該通電遮断後の陰極電位と該自然電
位との差である電位変化値Vを通電を遮断してからの時
間ごとに求める工程と、該電位変化値の対数logVの
時間に対する減衰曲線(イ)を得る工程と、該減衰曲線
(イ)が指数的な減少傾向から直線的な減少傾向に移行
した後の、該対数logVの時間に対する回帰直線
(ロ)を求める工程と、該減衰曲線(イ)と該回帰直線
(ロ)との差である鉄皮膜抵抗成分電位Vf を通電を遮
断してからの時間ごとに求める工程と、該鉄皮膜抵抗成
分電位Vf の対数logVfの時間に対する回帰直線
(ハ)を求める工程と、該回帰直線(ハ)から通電を遮
断した瞬間の鉄皮膜抵抗成分電位Vf(t=0)を求める工程
と、得られた鉄皮膜抵抗成分電位Vf (t=0) および通電
電流値Iを用いて下記式 Rf ={Vf(t=0)/I}×{S/K} [式中、Rf は鉄皮膜抵抗値、Sは通電対象面積、Kは
通電電流配分比率をそれぞれ示す]から鉄皮膜抵抗値R
f を求める工程とからなることを特徴とする方法であ
る。そして、上記鉄皮膜抵抗値Rf は鉄皮膜の状態と密
接な関係があることを利用して鉄皮膜抵抗値Rf から鉄
皮膜の状態を把握し、通電電流量の調節等によって鉄皮
膜の管理を可能とする方法である。
【0021】なお、上記鉄皮膜抵抗の計測方法にあって
はその過程で自然電位を求めているが、その自然電位が
汚れの程度と密接な関係があることは全く見出されてお
らず、単に鉄皮膜抵抗値Rf を求めるために必要な値で
あった。
【0022】このような鉄皮膜抵抗の計測方法と本発明
の銅合金部材の汚れの管理方法とを併せて行なうことに
よって、自然電位から汚れの管理が、さらに鉄皮膜抵抗
値Rf から鉄皮膜の状態の把握が同一の装置でしかも同
時に可能となり、設備をより効率的に適正稼働状態に維
持することが可能となる。
【0023】以下、本発明の銅合金部材の汚れの管理方
法と上記鉄皮膜抵抗の計測方法とを併せて行なう場合を
例にとって図面を参照してより詳細に説明する。
【0024】図1は電気防食法として外部電源方式によ
る防食法を実施する復水器において本発明の管理方法を
実施するための通電装置の一例を示すブロック図であ
る。
【0025】図1において、水室5内には通電用の電極
1、並びに管板面2および冷却管3(銅合金部材)の電
位を検出するための亜鉛基準電極4が設置されている。
そして、直流電源装置6は電流測定回路(同図中のA)
および電位測定回路(同図中のE)を有するものであ
り、基準電極4によって照合させた適正電位を維持する
ように通電電流の調整を行なうようになっている。ま
た、図1中の7は後述する計測装置である。さらに、図
示はしないが、上記復水器には鉄電解装置、硫酸第一鉄
の導入装置、あるいは鉄電極を設ける等して鉄イオンを
冷却水中に供給するようになっている。
【0026】本発明の銅合金部材の汚れの管理方法を実
施するにあたっては、通電を一時的に遮断した後に上記
電位測定回路によって上記自然電位が測定される。ま
た、自然電位を上記式(1)に基づいて求める場合は、
通電を遮断してから50秒後と60秒後の陰極電位を上
記電位測定回路によって測定し、それらのデータから計
測装置7によって自然電位が求められる。そして計測装
置7によって上記自然電位を予め定められた基準値と比
較し、自然電位が基準値より貴になった場合に銅合金部
材の汚れを洗浄する手段(図示せず)を作動させる。洗
浄手段を作動させる手段は特に制限されず、係る場合に
信号を発するようにしておき、手動的に洗浄手段を作動
させても、あるいは自動的に作動させてもよい。
【0027】また、上記鉄皮膜抵抗の計測方法を併せて
行なう場合は、上記電流測定回路および電位測定回路に
よって通電時の陰極電位、通電電流値Iおよび通電遮断
後の陰極電位を測定し、それらのデータから計測装置7
によって鉄皮膜抵抗値Rf が求められる。
【0028】図2は上記計測装置7の一例のブロック図
である。
【0029】図2において、8は演算および計測装置全
体の制御を行う中央処理部(CPU)、9は計測処理手
順、測定された陰極電位等の各種パラメータ、並びに予
め定められた基準値等を記憶する記憶部、10は複数点
入力される電位、電流のアナログ信号の切換器、11は
電位、電流のアナログ信号をデジタル信号に変換するア
ナログ→デジタル信号変換器、12は測定結果、操作指
令等を表示できる文字盤、13は計測装置に対し各種パ
ラメータ等をインプットするためのキーボード部、14
は測定を行う時等に用いるチャンネルセレクトスイッチ
部、15は測定結果あるいは設定パラメータの内容等を
用紙に印刷可能なプリンター部、16は計測装置に電力
を供給する電源部である。
【0030】図3は自然電位Enおよび鉄皮膜抵抗値R
f から汚れおよび鉄皮膜の状態を同時に把握するための
概念図である。
【0031】スライム等による汚れが大きくなると自然
電位Enが貴になるという密接な関係がある。また、鉄
皮膜が厚く、耐食性が高くなると鉄皮膜抵抗値Rf が大
きくなるという密接な関係がある。従って、自然電位お
よび鉄皮膜抵抗値についてある基準値を予め定めると、
それらの値に基づいて図3に示すように鉄皮膜および汚
れの具合が把握される4つの区域(破線で区分されてい
る)に分けられる。
【0032】従って、設備またはユニット毎に図3のよ
うな自然電位と鉄皮膜抵抗値との関係図を作成し、それ
らの目標基準値を予め定めておけば、実測した自然電位
および鉄皮膜抵抗値を同図中にプロットすることによっ
て対象とする設備の銅合金部材の汚れおよび鉄皮膜の状
態を同時にかつ容易に把握することが可能である。
【0033】そして、鉄皮膜抵抗値が基準値以下であれ
ば鉄イオンを供給する等して鉄皮膜の強化を図り、また
自然電位が基準値より貴であればボール洗浄等によって
汚れを除去する指示を与えることが可能である。
【0034】図4に本発明の銅合金部材の汚れの管理方
法を上記鉄皮膜抵抗の計測方法および真空度偏差値を利
用する方法と共に行なう際のフローの一例を示す。
【0035】図4において、En は自然電位(mV)、
Rf は鉄皮膜抵抗値(Ω・m)、Rd は分極抵抗(Ω
・m)、ΔHは真空度偏差値、tは入口水室温度
(℃)、グレードA洗浄はブラシ洗浄、グレードB洗浄
は硬質ボール洗浄、通常洗浄は軟質ボール洗浄をそれぞ
れ示す。
【0036】図4のフローに示すように、自然電位En
、鉄皮膜抵抗値Rf 、真空度偏差値ΔH等の測定、記
憶、演算、指令等が自動的に行なわれる。自然電位En
および鉄皮膜抵抗値Rf は対象設備の各ユニット毎に測
定され、それらの値を各々の基準値に基づく図3のよう
な概念図にプロットして該プロットの時間的推移を観察
することによって汚れ具合および鉄皮膜の状況が把握さ
れる。そして、上記概念図におけるプロットの位置、す
なわち汚れ具合および鉄皮膜の状況に応じてスライム等
の汚れ具合に基づく管内洗浄の要・不要、鉄イオン供給
装置の運転あるいは停止が各ユニット毎に判断され、設
備の運転を停止することなくリアルタイムに適格な指示
を行なうことができる。また、設備全体の汚れ具合を念
の為に真空度偏差値ΔHによっても管理しており、真空
度偏差値ΔHが基準値を超えた場合は設備全体を完全に
休止してブラシ洗浄することとしてある。なお、図4に
示した各基準値は実設備における一例を示したものであ
って、各設備または各ユニット毎に経験的に定められる
ものである。
【0037】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に
説明するが、これによって本発明の管理方法が限定され
るものではない。
【0038】実施例 外部電源方式による電気防食装置と鉄電解法による鉄イ
オン供給装置を設けた火力発電所の復水器の1ユニット
について本発明の管理方法を適用した。なお、本実施例
においてはそのユニットだけの真空度偏差値ΔHを測定
するため、他のユニットは閉鎖して行なった。対象とす
る復水器は海水を冷却水として用いており、アルミニウ
ム黄銅冷却管とネーバル黄銅管板とを具備するものであ
る。
【0039】(基準値の設定)先ず、対象となる復水器
における自然電位Enおよび鉄皮膜抵抗値Rf の各々の
基準値を求めるための事前調査を行なった。
【0040】電気防食および鉄イオン供給を6ヶ月行な
って生物やマンガンスケール等のスライム付着物が蓄積
した復水器の管内をジェット洗浄した。その後、電気防
食および鉄イオン供給を再開し、約3ヶ月間に亘って管
内付着物を定期的に採集して付着物量を測定した。ま
た、採集と同時に前述の計測装置を用いて自然電位E
n、鉄皮膜抵抗値Rf および真空度偏差値ΔHを測定し
た。
【0041】なお、自然電位En は飽和甘汞電極(SC
E)基準で前記式(1)に基づいて求めたが、表1から
明らかなように、その値は実測した自然電位(通電遮断
後5分後の陰極電位)と充分に一致するものであった。
【0042】
【表1】
【0043】図5に付着物量と自然電位En および鉄皮
膜抵抗値Rf との関係を示したグラフ、図6に付着物量
と真空度偏差値ΔHとの関係を示したグラフ、図7に真
空度偏差値ΔHと自然電位En および鉄皮膜抵抗値Rf
との関係を示したグラフをそれぞれ示す。
【0044】図5から明らかなように、自然電位En は
付着物量と密接な関係があり、管内付着物量(生物やマ
ンガンスケール等のスライム量)の増加に伴って自然電
位En は貴化し、他方鉄皮膜抵抗値Rf は低下してい
る。
【0045】また、真空度偏差値ΔHは従来から実際の
操業において設備全体の汚れの具合を把握するための指
標として広く使用されており、図6に示すように付着物
量と密接な関係がある(但し、複数のユニットを具備す
る通常の設備にあっては付着物量は全ユニットで均一で
はないので、各ユニット毎に汚れの具合を把握すること
はできない)。
【0046】そこで、本実施例においては真空度偏差値
ΔHを参考にして自然電位En および鉄皮膜抵抗値Rf
の基準値を定める。すなわち、従来、真空度偏差値ΔH
が2〜3mmHgになるとボール洗浄を行なうことが好まし
かった場合、例えば真空度偏差値ΔH=3mmHgを基準と
する。そして、その値に対応する付着物量は図6から
4.5mg/cmである。従って、付着物量を4.5mg/
cm以下に管理するためには図5から自然電位En の基
準値を−150mV(SCE)に定めればよいことが分
かる。また、鉄皮膜抵抗値Rf はそれに対応する0.6
5Ω・mとすればよい。
【0047】また、図7に示す真空度偏差値ΔHと自然
電位En および鉄皮膜抵抗値Rf との関係に基づいて、
真空度偏差値ΔHから直接各基準値を定めてもよい。
【0048】このように各基準値を設定すると、図5か
ら明らかなように、自然電位En が−150mVより貴
になる程汚れが顕著(付着物量が4.5mg/cm超)で
熱貫流効率の低下を招き、また鉄皮膜抵抗値Rf が0.
65Ω・m以下になると鉄皮膜の防食効果がスライム
付着による汚れの蓄積で低下していることが把握できる
ので、ボール洗浄等で管内を洗浄する警報の告知基準と
なる。
【0049】従って、上記の各基準値に基づいて、自然
電位Enおよび鉄皮膜抵抗値Rf から汚れおよび鉄皮膜
の状態を同時に把握することができる概念図が得られる
(図8)。そして、自然電位および鉄皮膜抵抗値の実測
値を同図中にプロットすることによって対象とする部材
の汚れおよび鉄皮膜の状態を同時にかつ容易に把握する
ことができ、適切な対応をリアルタイムにとることがで
きる。
【0050】なお、管理をより厳しくする場合は、例え
ば真空度偏差値ΔH=2mmHgを基準としてその値に対応
する自然電位En =−200mVおよび鉄皮膜抵抗値R
f =0.7Ω・mを基準値とすればよい。
【0051】(復水器の運転管理)次に、上記の基準値
を用いて実際に復水器の運転管理を行なった。
【0052】復水器の管内をジェット洗浄して内面を清
浄にした状態から電気防食および鉄イオン供給を開始
し、前述の計測装置を用いて自然電位En 、鉄皮膜抵抗
値Rfおよび真空度偏差値ΔHを約4ヶ月間測定した。
【0053】自然電位En および鉄皮膜抵抗値Rf の実
測値を図8にプロットして得たグラフを図9に示す。図
9中、黒丸(・)は実測値を示し、矢線(→)は測定お
よび復水器稼働開始後の時間の経過を示す。なお、測定
開始は晩春であり、スライムの生成しやすい夏期を経て
初秋までの記録である。
【0054】図9における測定値を経時的に見ると、測
定値は帯状となって移行しており、大きく4ブロックに
分けられる。すなわち、測定開始直後(晩春)は管内面
は清浄で、自然電位En は約−400mVでかつ鉄皮膜
抵抗値Rf が0.65Ω・m以下であることから、電
気防食による防食効果が有効に働いていることが把握で
きる。この間鉄イオンの供給も同時に行なっているので
時間の経過と共に鉄皮膜抵抗値Rf は増大している。ま
た、鉄皮膜の形成に伴って徐々に自然電位Enが貴化し
ているが、この時期は電気防食による防食効果が支配的
である。
【0055】初夏になると鉄皮膜抵抗値Rf は急速に増
大し、自然電位En も貴化が進んでいることから、形成
された鉄皮膜が固まり、さらにスライムの付着が始まっ
たことが把握できる。この時期は電気防食による防食か
ら鉄皮膜による防食に次第に移行していることが分か
る。
【0056】夏期になると自然電位En の貴化が著し
く、鉄皮膜抵抗値Rf はピーク値から急速に低下してい
ることから、スライムの生成が盛んで、汚れが顕著にな
っていることが把握できる。この期間の終りには鉄皮膜
抵抗値Rf は0.65Ω・m以下となり、かつ自然電
位En も−150mVより貴化したので、図4のフロー
に従ってボール洗浄(軟質)を実施した。なお、上記期
間の終りには真空度偏差値ΔHも3mmHgを超えていた。
【0057】ボール洗浄を行なった結果、晩夏には自然
電位En および鉄皮膜抵抗値Rf が初夏の時期と略同様
まで回復し(図中斜線部)、汚れおよび鉄皮膜が良好な
状態に回復したことが把握できる。
【0058】以下に、上記測定期間における真空度偏差
値ΔHと冷却管内の鉄皮膜および汚れ具合とを表2に示
す。
【0059】
【表2】
【0060】表2から明らかなように、本発明の汚れの
管理方法と前記鉄皮膜抵抗の計測方法とを併せて行なっ
て自然電位Enおよび鉄皮膜抵抗値Rf から汚れおよび
鉄皮膜の状態を把握した結果は、従来から行なわれてい
る真空度偏差値ΔH並びに冷却管内の鉄皮膜および汚れ
具合とよく対応しており、特に汚れ具合が適格に把握さ
れていることが分かる。
【0061】さらに、本発明の汚れの管理方法に従って
洗浄を行なったところ、汚れおよび鉄皮膜が良好な状態
に回復したことから、本発明の方法が有効であることが
分かる。
【0062】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明の管理方法に
よって、海水等を冷却水として使用する復水器、熱交換
器等の設備における冷却管、管板等の銅合金部材の表面
に形成するスライム等の汚れ具合をリアルタイムに把握
することが可能となる。そして、その汚れを管理するこ
とによって鉄皮膜の防食効果の低下および設備の熱貫流
効率の低下をユニット毎に防止でき、設備を効率的に適
正稼働状態に維持することが可能となる。
【0063】また、本発明に係る自然電位は複数のユニ
ットからなる復水器、熱交換器等の設備においてユニッ
ト毎に測定できるので、本発明によればユニット毎にそ
の汚れの状態を把握することが可能となり、設備をユニ
ット毎に非常に効率的に管理することができる。
【0064】さらに、本発明の汚れの管理方法は鉄皮膜
抵抗の計測方法と併せて行なうことができ、そうするこ
とによって汚れの管理と鉄皮膜の状態とを同一の装置で
しかも同時に把握することが可能となり、設備をより効
率的に適正稼働状態に維持することが可能である。
【0065】従って、本発明によれば設備のトラブルは
未然に防止でき、万一異常が生じた場合にも直ちに処理
ができるので、設備を常に安全かつ効率的に操業するこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の管理方法を実施するための通電装置の
一例のブロック図である。
【図2】計測装置7の一例のブロック図である。
【図3】自然電位および鉄皮膜抵抗値から汚れおよび鉄
皮膜の状態を同時に把握するための概念図である。
【図4】本発明の銅合金部材の汚れの管理方法を上記鉄
皮膜抵抗の計測方法および真空度偏差値を利用する方法
と共に行なう際のフローの一例である。
【図5】付着物量と自然電位En および鉄皮膜抵抗値R
f との関係を示したグラフである。
【図6】付着物量と真空度偏差値ΔHとの関係を示した
グラフである。
【図7】真空度偏差値ΔHと自然電位En および鉄皮膜
抵抗値Rf との関係を示したグラフである。
【図8】自然電位および鉄皮膜抵抗値から汚れおよび鉄
皮膜の状態を同時に把握するための概念図である。
【図9】自然電位および鉄皮膜抵抗値の実測値を図8に
プロットしたグラフである。
【符号の説明】
1 通電用電極 2 管板面 3 冷却管 4 基準電極 5 水室 6 直流電源装置 7 計測装置 A 電流測定回路 E 電位測定回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 蜂谷 実 千葉県船橋市藤原町1−172−8 (56)参考文献 特開 昭59−147247(JP,A) 特開 平1−139998(JP,A)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷却水を必要とする設備に使用される銅
    合金部材を電気防食法と該部材の表面に鉄皮膜を形成さ
    せることによる防食法とを併用して防食する際における
    該銅合金部材の汚れの管理において、該冷却水中に設け
    た電極から該冷却水を通じて該銅合金部材に通電する電
    流回路と、該銅合金部材の電位を測定する電位測定回路
    とを有する通電装置を用いて、該通電を一時的に遮断し
    た後に陰極(銅合金部材)電位が減衰して安定するとこ
    ろの自然電位を求める工程と、該自然電位を予め定めら
    れた基準値と比較する工程と、該自然電位が該基準値よ
    り貴になると該銅合金部材の汚れを洗浄する工程とから
    なることを特徴とする、銅合金部材の汚れの管理方法。
  2. 【請求項2】 前記自然電位を、下記式(1) En=E60+(E60−E50) (1) [式(1)中、Enは自然電位(mV)、E50は通電
    を遮断してから50秒後の陰極電位(mV)、E60
    通電を遮断してから60秒後の陰極電位(mV)をそれ
    ぞれ示す]に基づいて求めることを特徴とする、請求項
    1に記載の銅合金部材の汚れの管理方法。
  3. 【請求項3】 前記の汚れを洗浄する工程を、軟質ボー
    ル洗浄、硬質ボール洗浄およびジェット洗浄よりなる群
    から選ばれる少なくとも一種の洗浄方法によって行なう
    ことを特徴とする、請求項1または2に記載の銅合金部
    材の汚れの管理方法。
  4. 【請求項4】 前記基準値を、前記鉄皮膜の防食効果の
    低下および/または前記設備の熱貫流効率の低下が許容
    範囲を超えないように経験的に定めることを特徴とす
    る、請求項1〜3のうちのいずれかに記載の銅合金部材
    の汚れの管理方法。
  5. 【請求項5】 前記通電装置が外部電源方式による電気
    防食装置であることを特徴とする、請求項1〜4のうち
    のいずれかに記載の銅合金部材の汚れの管理方法。
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