日清紡が描く未来、AI同士がつながり自律 無線に勝機
日清紡グループ(以下、日清紡G)は、2035年ごろまでにエレクトロニクス事業だけで売上高全体の80%を得る計画である。その実現に向けて、2025年4月に研究開発体制を刷新し、日清紡ホールディングス(以下、日清紡HD)にフューチャーイノベーション本部(以下、FI本部)を設けた。本部長の野田卓哉氏に、同氏が描く未来社会の姿と、そこで勝機をつかむために開発する技術などを聞いた。 ――FI本部はどのよう
日清紡、新事業を生む研究組織を始動 「大失敗防ぐ」
1907年創業の日清紡グループ(以下、日清紡G)は、日本無線を連結子会社にした2010年を節目として、繊維やブレーキパッド、化学品といったマテリアル事業から、無線通信やシステム、半導体といったエレクトロニクス事業へと軸足を移してきた。2024年には日清紡Gの売上高の60%をエレクトロニクス事業が占めるようになった。10年後にはその比率を80%へ高める計画。計画達成に向けて2025年4月に発足した
ドコモがロボット AIのための通信模索、6G時代見据え
NTTドコモが、落合陽一氏が代表を務めるピクシーダストテクノロジーズ(東京・中央)とユカイ工学(東京・新宿)、アスラテック(東京・港)と共同で開発を進める、未来社会に向けた複数のロボットを発表した。同社が6G(第6世代移動通信システム)に向けた業界横断のプロジェクト「6G Harmonized Intelligence」の成果である。NTTドコモ6Gテック部担当部長の永田聡氏にその意図を聞いた。
ラピダス、「液晶技術が必要」 シャープ系元社長参画
半導体ファウンドリーのRapidus(ラピダス、東京・千代田)が、2026年3月をめどに後工程のパイロットラインを立ち上げる。目玉となるのが、世界初の600mm角のキャリア(土台)を使ったパネル・レベル・パッケージ(PLP)によるRDL(再配線層)製造プロセスだ。 600mmプロセスの実現に当たっては、パネルの反りが最大の課題となる。その解決のためラピダスに参画したのが、2025年4月に入社した
全固体電池「あと5合」、出光 中国参入の暴風しのぐ
出光興産とトヨタ自動車が開発する全固体電池の実用化が目前だ。一方で中国勢も全固体電池の量産を見据える。例えば、中国・比亜迪(BYD)は2027年に全固体電池を試験的に車両に搭載すると明かしている。 電気自動車(EV)の課題を補う次世代技術として注目を集めるのが全固体電池だ。電池に含まれる電解質が液体ではなく、固体であることが全固体電池の特徴である。これにより、車載電池で一般的なリチウムイオン電池
宇宙で水処理、栗田工業 「生死直結の仕事」挑む意義
水処理は顧客ごとに処理内容や前提条件が異なり、最適な処理方式の検討が必要だが、そこで経験的に重要なのが処理に関する状況変化の振れ幅を大きめに想定することという。一方で慎重に考えすぎると、栗田工業が手掛けた国際宇宙ステーション(ISS)搭載設備のような、難易度の高い案件へのチャレンジが難しくなる。そこをどうかじ取りしていくのか、考え方を同社最高技術責任者(CTO)の久世邦博氏に聞いた。 ――顧客と
日本OSAT連合会の澄田会長、後工程「個では勝てない」
アオイ電子やアムコー・テクノロジー・ジャパン(大分県臼杵市)など、半導体の後工程受託企業(OSAT)が連携に乗り出す。国内の20社強が参画する「日本OSAT連合会」が2025年4月に発足した。半導体における後工程の重要性が増す中、台湾・日月光投資控股(ASE)などが高いシェアを握るOSAT市場で日本はどう巻き返すのか。同連合会会長で元TDK会長の澄田誠氏と事務局長の林力氏に聞いた。 国内で争って
水処理の栗田工業、正反対の技術者一緒に CTOの狙い
水処理には多様な目的があるため必要な技術は幅広く、多くの専門技術者を社内に抱える半面、タコつぼ的に連携が不十分な傾向もあった。だが、これまで正反対の方向と思われていた技術の間に共通の知見があるとして、栗田工業は技術者の組織を大きく改編した。同社最高技術責任者(CTO)の久世邦博氏が「社内組織を超えた専門技術者同士の横のつながりこそが会社を強くする」と考えるに至った背景を聞いた。 ――水処理を手掛
巨大中国市場に挑む ジヤトコ、電動バイクで新規事業
ジヤトコが電動アシスト自転車や電動バイクなどの新規事業に力を入れている。同社の柱である自動車向け変速機の収益減少に備えるためだ。 「テクノロジーリーダー名鑑」では、注目の事業やプロジェクトを率いるリーダーを取り上げます。 日産自動車傘下のジヤトコは、内燃機関(ICE)車に搭載する自動変速機(AT)や無段変速機(CVT)を主力とする部品メーカー。ICE車の減少が見込まれる中で、電気自動車(EV)への
帝人、川上大事は「正論」 サンプルよりデータ提供へ
材料の付加価値は、最初は材料自体にあっても、次第に顧客に近い川下分野に移るのが常であるという。付加価値の変化をどう見極めて対応していくのか、帝人グループ執行役員技術戦略管掌の中原雄司氏に聞いた。 【関連記事】 ――顧客に近づいていく、一部ではリチウムイオン2次電池のセパレーターを評価するのに社内で電池の形にするなどの取り組みがあるとのことですが、お金も時間も取られて大変なのではありませんか。 そ