高市早苗首相は21日、組閣を終えて政権を発足させた。先の自民党総裁選では幅広い支持を得るため、保守色を意図的に隠したが、公明党に代わって日本維新の会が連立に加わり、一気にタカ派色を強めた。排外主義的な政策を訴えて衆参両院選挙で躍進した参政党を強く意識しているのは間違いないが、社会の分断や国際的な対立を深刻化させかねない危うさをはらむ。(川田篤志、坂田奈央)
◆小野田紀美大臣の「!」つぶやき
右傾化が顕著なのは外国人政策だ。首相は、経済安全保障と新設の外国人政策の司令塔になる担当相に、排外主義的な言動が過去に物議を醸した保守派の小野田紀美参院議員を当選2回で抜てきした。
小野田氏は2020年のコロナ禍の際、自身のX(旧ツイッター)で「指定感染症になれば治療費は公費になる。それ目当てで日本に来る者が現れることは容易に想像できるのに!」と訴えるなど、差別を助長するような発言がたびたび問題視されてきた。21日に首相官邸を訪れた際は記者団の取材に応じなかった。
高市政権では、外国人の受け入れ数を制限する「総量規制」導入を視野に入れる。維新が9月の政策提言で「欧州の経験を見れば、外国人比率が10%を超えると、社会問題が顕在化し、緊張が高まることは明白だ」と「総量規制」を求めていたことを取り入れた。
制度の悪用への対応厳格化を含め、共生よりも取り締まりを優先する姿勢を前面に打ち出す高市政権。「日本人ファースト」を掲げた参政党へ流れた保守層を取り戻す狙いだが、根拠のない批判や過度な規制強化は差別をあおりかねない。
◆防衛省幹部の戸惑い「もっと外交に関心を持った方がいい」
首相は安全保障政策にもタカ派的な政治信条を反映させる。21日夜の会見で...
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