F1スピリット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/02/24 09:10 UTC 版)
| ジャンル | レースゲーム |
|---|---|
| 対応機種 | MSX |
| 開発元 | コナミ(現・コナミデジタルエンタテインメント) |
| 発売元 | コナミ(現・コナミデジタルエンタテインメント) |
| 人数 | 1-2人 |
| 発売日 | |
『F1スピリット THE WAY TO FORMULA-1』は、コナミ(現・コナミデジタルエンタテインメント)から1987年に発売されたMSX用レースゲームである。『グラディウス2』とともに、同社の拡張ウェーブ音源SCCを搭載した第1弾の作品である。
続編である『F1スピリット 3Dスペシャル』についても本項で述べる。
概要
トップビューの縦スクロールレースゲームである。
レースゲーム部分は、先行する同社作品『ロードファイター』を踏襲している[1]。ただし『ロードファイター』とは異なり、本作では横スクロールも併用することでコースの変化を大きくしていることが特徴に挙げられ、左右片方のみに寄ることで高速コーナーを、途中で切り返しを設けることで中低速コーナーを擬似的に表現している。古典的な縦スクロールレースゲームでありながら、左右の振れが激しいコースレイアウトによりプレイに奥行きを持たせると同時に独特の疾走感をもたらしている。スクロールは左右斜め方向に振れることはあっても、上方向のみで逆スクロールすることはない。
プレイヤーは駆け出しのレースドライバーとして、最初は下位カテゴリーのレースを経験しながら、最終的にF1に参戦して優勝することを目的とする。F1で全勝優勝するとエンディングとなる。
各コースはRALLY(ラリー)、F3000、ENDURANCE(エンデュランス)は3周、それ以外のコースは4周で争われるスプリントレースで争われる[1]。参加台数はコースによって異なるが、4周するまでにできるだけ多くの車を抜いて1位でゴールすることを目指す[1]。レース中は、画面右側に現在の順位やコース上の位置が表示される[1]。9位以内にゴールインすることによりクオリファイポイント(後述)を獲得でき、ポイントを重ねることによって次のレースに進めるようになる。レース自体は多数出現するザコ車をかわしていくだけの単純なものだが、プレイヤー車と速度が拮抗する青色のライバル車を抜かないと決して1位になれない。また、内部的に標準タイムが設定されており、標準タイムよりも早く走行している場合はザコ車を抜いても半分の確率で順位が上がらないようになっている。これは「周回遅れ」を表現するためとされている[2]。
ダメージ制も採用されており、プレイヤー車はクラッシュするとペナルティとして燃料(最大7ゲージ)が1ゲージ分減らされ、また一定確率でどれかのパーツが破損して走行に支障をきたす(後述)。燃料が完全に無くなると加速できなくなり、その状態で停止するかクラッシュすることでリタイアとなる。なお、順位を度外視すれば、後から来るザコ車に押してもらう(追突される)ことで強引に完走することも一応可能となっている。
また本作は2人同時プレイも可能である[1]。1人プレイでは画面右に表示されていた各種情報が簡略化されて、2人プレイ専用の画面レイアウトとなり、縦に2分割された画面で同一のコースで競うことになる[1]。クオリファイポイントもそれぞれが独立に獲得する。1人プレイか2人プレイかの選択はレース毎に行う。また、2人プレイのレースではライバル車は出現しない。
音源は『グラディウス2』で初めてROMカードリッジに搭載されたコナミオリジナルのSCCが搭載されている[1]。SCC音源への対応については、本作開発時は、まだSCC音源が完成していなかったが、とりあえず使用できる音源パート数が増えることは決まっていたので、完成するまでは2台のMSXに別々のデータを入れて同時に鳴らすことで曲を作っていた[3]。
同時代の類似作品にファミリーコンピュータで発売されたナムコ『ファミリーサーキット』がある。同作と比べて本作は、他車との当たり判定がある代わりにコース幅が広く車体も小さい、低速コーナーやシケインの前後を除きコースが縦横比2:1よりも鋭角にはならない、という違いがある。
1991年にはゲームボーイ版が発売された。ライバル車両との接触判定が消滅している等の差異がある。公式には他の据え置き型ゲーム機には移植されていないが、当時コンピュータプログラムの著作権保護法が設けられていなかった韓国では、Zemina社によってセガ・マスターシステム向けにコンバート移植された海賊版が存在する。
キーアサイン、操作方法
- PLAYER 1 (キーボード)
- カーソルキー
- ↑ : ギア シフトアップ。
- ↓ : ギア シフトダウン。
- ← : 左ステアリング。
- → : 右ステアリング。
- スペースキー Space : アクセル。
- Nキー N ,Mキー M : ブレーキ。
- F1 F1:ポーズ機能。ポーズ、ゲーム再開。
- F5 F5:GAME/COMMAND選択画面を表示。
- PLAYER 02 (キーボード)
- Wキー(上) W : ギア シフトアップ。
- Sキー(下) S : ギア シフトダウン。
- Aキー(左) A : 左ステアリング。
- Dキー(右) D : 右ステアリング。
- シフトキー ⇧ Shift : アクセル。
- コントロールキー CTRL : ブレーキ。
- (ジョイスティック)
- 上:ギアシフトアップ。
- 下:ギアシフトダウン。
- 左:左ステアリング。
- 右:右ステアリング。
- A:アクセル。
- B:ブレーキ。
マシンセッティング
レースの度ごとに、自分の操る車のセッティングを調整することができる。ギアは4速でマニュアル操作するほか、各部パーツ選択からギアをオートマチックに選択することも可能で、プレイヤーが操作しやすい車を作ることができる[1]。
セッティング済みの3種類から選択するREADY MADEと、パーツひとつひとつを選択するORIGINAL DESIGNとがある。以下はORIGINAL DESIGNで選択可能なパーツである。
- ENGINE(エンジン)
- 6種類から選択。それぞれ、加速や最高速、燃費が異なる。マシンセッティングや走り方しだいではレース途中の給油が不要なエンジンもある。
- BODY(ボディ)
- 3種類から選択。左が初心者向けの頑丈で重い車体、右が上級者向けの軽いが破損しやすい車体、中央がその中間(以下同様)。
- BRAKE(ブレーキ)
- 3種類から選択。左が制動力は弱いが減衰しない初心者向け、右は制動力は高いが減衰するためポンピングブレーキのテクニックを要する上級者向け。
- SUSPENSION(サスペンション)
- 3種類から選択。左がコーナリング性能は低いがグリップが安定した初心者向け、右がコーナリング性能は高いがスピンしやすい上級者向け。
- GEAR(ギア)
- 3種類から選択。左はオートマチック。中央が低速域での加速重視のギア比、右が高速域での加速重視のギア比。
ピットイン
プレイヤー車はクラッシュすると、以下の4つのパーツのどれかが破損して走行に支障をきたす。クラッシュのみならず、他車やガードレール等への接触によっても破損することがある。
- フロントタイヤ
- コーナーが曲がりにくくなる。
- ブレーキ
- ブレーキ性能が低下し、減速しづらくなる。ピットに停車できず通り過ぎる恐れがあることを除けばレースにはほとんど影響しない。
- エンジン
- 加速が悪くなり、最高速度も低下する。このパーツが破損すると上位入賞は事実上不可能となる。
- リアタイヤ
- 左右にふらつき、直進性が大きく損なわれる。
燃料の給油や破損パーツの修理は、コース上に一箇所設置されているピットエリアに停車することで行う[1]。任意のタイミングでピット作業を切り上げることも可能だが、破損パーツが修理し切らない可能性もある。ピットイン中も他車は追い抜いていくため、レース中にいつどのタイミングでピットインするかも重要となる。
このパーツ破損のアイデアは、前年発売の同社アーケードゲーム『WECル・マン24』にも存在する。
コース
最初にプレイできるのはSTOCK(ストックレース)、RALLY(ラリー)、F3の3種類だけである[1]。
参戦可能なコースで上位の成績を残すとクオリファイポイント(1位で9ポイント、2位で8ポイント…、9位で1ポイント)が得られる[1]。このクオリファイポイントを蓄積することで、はじめて追加のコースがプレイできるようになっている[1]。最初は12ポイント到達で3コースが出現(F1 ROUND1 BRAZILまで)し、以後は2コースずつ出走可能なコースが増えていく。次のコース追加に必要なクオリファイポイントは、徐々に厳しくなっていく。
一度出現したコースには何度でも挑戦できる。クオリファイポイントは同一コースをこれまでプレイした中での最高位に対して付与されるものであり、一度獲得したポイントが没収されることはない。各コースでのクオリファイポイントの取得状況や新コースの出現状況は、パスワードによりセーブ・コンティニュー可能。
コースは全21コースで、F1以外は1コースずつあり、F1のコースは全16コースからなり[1]、発売年である1987年のF1グランプリのコースに準じたものとなっている。
- STOCK(ストックレース)
- RALLY(ラリー)
- F3
- F3000
- ENDURANCE(エンデュランス(耐久)レース)
- 明言されていないが、コースはル・マン24時間レースの行われるサルト・サーキットに準じている。
- F1
- ROUND 1 BRAZIL(第1戦 ブラジルGP:ジャカレパグア・サーキット)
- ROUND 2 SAN MARINO(第2戦 サン・マリノGP:イモラ・サーキット)
- ROUND 3 BELGIUM(第3戦 ベルギーGP:スパ・フランコルシャン)
- ROUND 4 MONACO(第4戦 モナコGP:モンテカルロ市街地コース)
- ROUND 5 U.S.A.(第5戦 アメリカGP:デトロイト市街地コース)
- ROUND 6 FRANCE(第6戦 フランスGP:ポール・リカール・サーキット)
- ROUND 7 GREAT BRITAIN(第7戦 イギリスGP:シルバーストン・サーキット)
- ROUND 8 WEST GERMANY(第8戦 西ドイツGP:ホッケンハイムリンク)
- ROUND 9 HUNGARY(第9戦ハンガリーGP:ハンガロリンク)
- ROUND 10 AUSTRIA(第10戦 オーストリアGP:エステルライヒリンク)
- ROUND 11 ITALY(第11戦 イタリアGP:モンツァ・サーキット)
- ROUND 12 PORTUGAL(第12戦 ポルトガルGP:エストリル・サーキット)
- ROUND 13 SPAIN(第13戦 スペインGP:ヘレス・サーキット)
- ROUND 14 MEXICO(第14戦 メキシコGP:エルマノス・ロドリゲス・サーキット)
- ROUND 15 JAPAN(第15戦 日本GP:鈴鹿サーキット)
- ROUND 16 AUSTRALIA(第16戦 オーストラリアGP:アデレード市街地コース)
F1最終戦であるオーストラリアGPを出現させるにはクオリファイポイントが180ポイントに到達することが必要となる。これは、それまでに出現した20コース全てで一度は1位でゴールインしなければならないことを意味する。オーストラリアGPでトップでゴールインするとエンディングとなる。
A1スピリット (A1 SPIRIT)
パナソニックからジョイハンドルと称する操縦桿タイプのジョイスティックが発売された際、付属ソフトとして本作が添付された。
基本的に当作品とゲーム内容に差異は無い。タイトルがパナソニック製MSXのシリーズ名にちなみA1スピリットに書き換えられたこと、マシンセッティングでREADY-MADEを選んだときのマシン外観が車体ではなく飛行機状の機体に差し替えられていることが相違点である。なお、飛行機状の機体は500km/h以上の速度を出すことができるが、速過ぎてコーナーを曲がれずゲームにならない。1987年発売。コナミ。対応機種、MSX 。
- キーボード操作
F1スピリット 3Dスペシャル
| ジャンル | レースゲーム |
|---|---|
| 対応機種 | MSX2+ |
| 開発元 | コナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント) |
| 発売元 | コナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント) |
| 人数 | 1~2人 |
| 発売日 | 1988年11月19日 |
1988年秋のMSX2+規格発表に合わせ、MSX2+専用ソフトとして発売された。
MSX2+で搭載された横スクロール機能に走査線割り込みを併用することにより、ラスタースクロールによるフロントビューの擬似3Dを実現したことが特徴。引き換えに、前作の独特の疾走感は失われている。
クオリファイ制などゲームの基本システムは前作を踏襲している。マシンセッティングについては、タイヤの選択やウィングのダウンフォースなど、より細かくマニアックにセッティングできるようになった。
2人プレイについては、コナミから発売された「マルチプレイヤーケーブル」(1988年11月19日発売、税抜1,680円)によりMSX2+本体のジョイスティックポート同士を接続することで可能になる。本体やモニターのみならず、ゲーム自体も2組が必要となる。
音源はMSX2+で事実上標準搭載されたMSX-MUSICとPSGに対応。後年発売された本作のサウンドトラック『F1スピリット + F1スピリット 3Dスペシャル』のライナーノーツでは、曲想が制約されたことを吐露する記述があった。
結果的にコナミ唯一の、MSX2+専用並びにMSX-MUSIC対応ソフトとなった。以降のコナミ製MSX2対応のソフトウェアの一部は、2+の機能をサポートする形で両対応のものとしてリリースされている。
関連作品
- チェッカーフラグ(1988年、アーケードゲーム)
- 画面構成とゲームシステムの多くが継承されている、実質F1スピリットのアーケード版。
- A-JAX(1987年、アーケードゲーム)
- 一部、本作の没曲からBGMを流用している[4]。
- F-1 SENSATION(1993年、ファミリーコンピュータ)
- 3Dスペシャルのゲームシステムを継承されている。発売時期の関係上、開発途中にFOCAとフジテレビジョンのライセンスを得ている。
脚注
固有名詞の分類
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